JP2013041909A - 薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマcvd装置の製膜室の調整方法 - Google Patents
薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマcvd装置の製膜室の調整方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】薄膜太陽電池を製造する際に、プラズマCVD装置の1つの製膜室で同じ組成の膜を連続して製膜するのではなく異なる不純物を含む複数の膜を連続して製膜する場合に、クリーニング前後での製膜室雰囲気の再現性に問題がなくクリーニング前の変換効率が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】プラズマCVD装置のクリーニング後の仮製膜工程で光電変換層と同じ組成の複数の膜を製膜することで、製膜室雰囲気の再現性を得ることが可能となる。
【選択図】図3
【解決手段】プラズマCVD装置のクリーニング後の仮製膜工程で光電変換層と同じ組成の複数の膜を製膜することで、製膜室雰囲気の再現性を得ることが可能となる。
【選択図】図3
Description
本発明は、薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマCVD装置の製膜室の調整方法、
特に一室で異なる不純物を含む複数の膜を製膜するプラズマCVD装置を用いた薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマCVD装置の製膜室の調整方法に関する。
特に一室で異なる不純物を含む複数の膜を製膜するプラズマCVD装置を用いた薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマCVD装置の製膜室の調整方法に関する。
プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて製膜を行う場合、薄膜を形成する基板以外に、製膜室の内面にも膜が堆積する。製膜室の内面の堆積が進行すると、厚膜化した膜が剥がれ落ちて、製膜中の薄膜に混入することがある。堆積膜の混入は、基板に形成する膜の膜質の低下の原因の一つとなる。
そこで、プラズマCVD装置を用いて製膜を行う工程を有する製造ラインにおいては、堆積膜の混入を防ぐために、定期的に、製膜室の内面の堆積膜を除去するクリーニングを行っている。
クリーニング方法としてプラズマエッチング用のガスを用いてクリーニングを行ったときは、エッチングガスが製膜室中に残留することがある。また、物理的な除去によるクリーニングを行ったときには、製膜室を大気開放する必要があるため、大気中の水分等が残留する。このように、製膜室内にエッチングガスや水分等が残留すると、安定した製膜が困難になる。したがって、クリーニング前と後で、製膜室雰囲気の再現性を得ることは、プラズマCVD装置を用いて製膜を行う上での課題のひとつとなっている。
特許文献1に、CVDチャンバを清掃した後、次のCVD処理の前にそのチャンバを調整(コンディショニング)する方法が開示されている。チャンバ内をクリーニングするクリーニングのステップと、水素プラズマをチャンバ内に形成し、クリーニングのステップで生じたフッ素残留物を除去する水素プラズマ形成のステップと、コンディショニングのステップとを有する方法である。コンディショニングのステップにおいて、適切なケイ素含有ガスにより、ケイ素含有化合物の薄膜を堆積している。かつ、ケイ素を含有する膜を、コンディショニング後のチャンバ内で堆積する旨が開示されている。
薄膜太陽電池を製造する際に、プラズマCVD装置の1つの製膜室で、同じ組成の膜を連続して製膜するのではなく、異なる不純物を含む複数の膜を連続して製膜する場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、チャンバのコンディショニングに用いる薄膜、クリーニング後のチャンバ内で堆積される膜は1種類であり、1つのチャンバで異なる不純物を含む複数の膜を製膜する場合については、開示されていない。1つの製膜室で異なる不純物を含む複数の膜を連続して製膜する場合、チャンバのコンディショニングに用いる薄膜が1種類では、クリーニング後の製膜室雰囲気の再現性に問題がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つの製膜室で異なる不純物を含む複数の膜を連続して製膜するプラズマCVD装置を用いた場合に、クリーニング前後の製膜室雰囲気の再現性を向上させることのできる薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマCVD装置の製膜室の調整方法を提供することにある。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、プラズマCVD装置の製膜室内部をクリーニングするクリーニング工程と、クリーニング工程の後、製膜室で仮製膜を行う仮製膜工程と、仮製膜工程の後、製膜室で複数の膜からなる光電変換層を製膜する光電変換層製膜工程を有し、仮製膜工程においても、光電変換層と同じ不純物を含む複数の膜を形成することを特徴としている。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、仮製膜工程が、p型非晶質シリコン層と、i型非晶質シリコン層と、n型非晶質シリコン層を製膜するpin非晶質シリコン層製膜工程を有することを特徴としている。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、仮製膜工程が、pin非晶質シリコン層製膜工程を少なくとも3回行うことを特徴としている。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、光電変換層製膜工程が、少なくともi型非晶質シリコン層を製膜する工程を有する工程であり、仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚は、光電変換層製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚の3倍以上であることを特徴としている。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、仮製膜工程において、pin非晶質シリコン層製膜工程を少なくとも2回行うことを特徴としている。
本発明に係るプラズマCVD装置の製膜室の調整方法は、プラズマCVD装置の製膜室内部をクリーニングするクリーニング工程と、クリーニング工程の後、製膜室で仮製膜を行う仮製膜工程と、仮製膜工程の後、製膜室で複数の膜からなる光電変換層を製膜する光電変換層製膜工程を有し、仮製膜工程においても、光電変換層と同じ不純物を含む複数の膜を形成することを特徴としている。
本発明に係るプラズマCVD装置の製膜室の調整方法は、仮製膜工程において、p型非晶質シリコン層と、i型非晶質シリコン層と、n型非晶質シリコン層を形成することを特徴としている。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマCVD装置の製膜室の調整方法により、プラズマCVD装置のクリーニング前後の製膜室雰囲気の再現性を向上させることができる。
本発明において、光電変換層とは、少なくともp型シリコン層、i型シリコン層、n型シリコン層を有する積層膜をさす。薄膜太陽電池とは、少なくとも1組の光電変換層を電極ではさみ込んだ構造をさす。
本発明において、仮製膜とは、プラズマCVD装置のクリーニング後に、製膜用ガスを用いて膜を堆積させるプロセスをさす。特許文献1に記載の、コンディショニングも同じ意味で用いられていると推測される。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るプラズマCVD装置のクリーニング後の製膜室の調整方法、および薄膜太陽電池の製造方法について、図面を参照し説明すれば、以下のとおりである。
第1の実施の形態に係るプラズマCVD装置のクリーニング後の製膜室の調整方法、および薄膜太陽電池の製造方法について、図面を参照し説明すれば、以下のとおりである。
まず、図1を用いてプラズマCVD装置について説明し、次に図2を用いて本実施の形態に係るシングル型の非晶質シリコン薄膜太陽電池の構造について説明する。
図1は、本発明に係るプラズマCVD装置の構成を示す図である。プラズマCVD装置には、製膜室1、ガス供給装置4およびガス配管5などのガス供給部、交流電源7および整合回路8などの電力供給部、排気配管9および真空ポンプ10などの排気系が含まれる。製膜室1の内部には、カソード電極2およびアノード電極3から構成される電極対が配置されている。
製膜室1は、プラズマ処理を行うための空間であり、製膜室内の真空度は、製膜室1に接続された排気配管9を通じて排気されることにより調節される。これにより、製膜室1の内部を大気圧以下の圧力に保持することができる。
カソード電極2は、シャワープレート21および母材22から構成されている。シャワープレート21には、短冊状のプレートにガスの流路となる複数のガス供給孔6が形成されている。また、カソード電極2は、整合回路8を通じて交流電源7に接続されている。交流電源7は、カソード電極2とアノード電極3との間に交流電力を供給するものであり、たとえばRF(Radio Frequency)電源である。
アノード電極3上には、基板11が載置され、基板11を加熱するためのヒータ12がアノード電極中に設けられている。ヒータ12には、ヒータ電源13から電力が供給される。カソード電極2、アノード電極3の材料として、クリーニング時にエッチングされにくいアルミニウム合金を用いた。ステンレス鋼またはカーボンなどを用いてもよい。
ガスは、ガス供給装置4からでて、ガス配管5を通り、カソード電極2とアノード電極3との間に、複数のガス供給孔6から均一に供給される。ガス供給装置4は、製膜室1において、製膜を行う際には製膜用のプロセスガスを供給し、製膜室1のクリーニングを行う際にはエッチングガスを供給するものである。また、ガス供給装置4において、ガスの流量調整、および、ガスの供給開始または停止の調節が行われる。本実施の形態においては、プロセスガスとして、シラン等のシリコン系のガスを用い、エッチングガスとして、NF3などのフッ素系のガスを用いた。
カソード電極2とアノード電極3の電極対において放電されて、プラズマが発生させられることにより、基板11上に製膜が行われる。なお、製膜を行った場合には、製膜室の内面にも堆積膜が形成される。
尚、図1にはアノードとカソードが地面に対して平行な場合のプラズマCVD装置について示したが、アノードとカソードは地面に対して垂直でもよい。また、アノードとカソードが、製膜室中に複数組ある構成としてもよい。
図2は、本実施の形態に係るシングル型の非晶質シリコン薄膜太陽電池の構造を示す断面図である。ガラス基板31上に第1電極層32が形成され、その上に、p型非晶質シリコン層33、i型非晶質シリコン光電変換層34、n型非晶質シリコン層35を順次積層してなる半導体薄膜が形成されている。さらにその上に、第2電極36を形成し、薄膜太陽電池としている。第1電極層32としては、透明導電膜のひとつであるSnO2を用い、第2電極層36として、ZnOとAgからなる金属膜を含む積層膜を用いた。
次に、シングル型の非晶質シリコン薄膜太陽電池の製造方法について説明する。ガラス基板31上に第1電極層32を形成し、その上に光電変換層30を形成し、さらに、第2電極層36を形成した。第2電極層の形成には、スパッタリング法を用いた。光電変換層30は、p型非晶質シリコン層33、i型非晶質シリコン層34、n型非晶質シリコン層35からなる。
p型非晶質シリコン層33は、たとえば以下の製膜条件において形成することができる。製膜室内の圧力は、200Pa以上3000Pa以下であることが望ましく、本実施の形態では500Paとした。カソード電極の単位面積あたりのパワー密度は0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とすることが望ましく、本実施の形態では0.1W/cm2とした。製膜室内に導入される混合ガスとしては、たとえば、シラン、水素、ジボランを含むガスを利用できる。シランガスに対する水素ガスの流量比は、5倍から30倍程度が望ましく、本実施の形態では10倍とした。p型非晶質層33の厚さは、2nm以上50nm以下が望ましく、本実施の形態では10nmとした。
i型非晶質シリコン層34は、たとえば以下の製膜条件において形成することができる。製膜室内の圧力、パワー密度、シランガスに対する水素ガスの流量比は、p型非晶質シリコン層33と同じで、製膜室内に導入される混合ガスとして、シランガス、水素ガスを含むガスを利用した。また、i型非晶質シリコン層34の厚さは、100nm以上500nm以下が望ましく、本実施の形態では320nmとした。i型非晶質シリコン層34としては、i型非晶質シリコン薄膜または微量の不純物を含む弱p型もしくは弱n型で、光電変換機能を十分に備えているシリコン薄膜が用いられてもよく、これらの薄膜を積層したものでもよい。
n型非晶質シリコン層35は、たとえば以下の製膜条件において形成することができる。製膜室内の圧力、パワー密度、シランガスに対する水素ガスの流量比は、p型非晶質シリコン層33と同じで、製膜室内に導入される混合ガスとして、シラン、水素、フォスフィンを含むガスを利用した。また、n型非晶質シリコン層35の厚さは、2nm以上50nm以下が望ましく、本実施の形態では20nmとした。
p型非晶質シリコン層33、i型非晶質シリコン層34、およびn型非晶質シリコン層35は、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料からなる層で形成されていてもよい。また、異なる複数の薄膜を積層したものでもよい。
p型非晶質シリコン層33、i型非晶質シリコン層34、およびn型非晶質シリコン層35は、プラズマCVD装置の、同じ製膜室で各層を連続して製膜を行った。製膜室から基板を出し入れする時間が不要となるため、製膜時間を短縮することが可能となる。さらに、複数の製膜室を必要としないため、プラズマCVD装置の小型化が可能となるという利点も有する。
次に、第1の実施の形態を、実施例を用いて具体的に説明する。
図3は、実施例に関わる薄膜太陽電池の光電変換層を形成する際に用いたプラズマCVD装置の、クリーニング後の製膜室の調整方法のフロー図である。
クリーニング工程S1(Sはステップを表す。以下同様)において、製膜室のクリーニングを行った。製造ラインにおいて、プラズマCVD装置を用いて連続して製膜を行う際には、定期的に、製膜室の内面の堆積膜を除去するクリーニングを行う。本実施の形態においては、プラズマエッチング用のガスを用いてクリーニングを行った。エッチングガスとして、反応性エッチングを行うための反応性ガスであるNF3と、反応性ガスを希釈するための希釈ガスとの混合ガスを用いた。フッ素系のガスであるNF3を製膜室内に導入した状態でプラズマを発生させることにより、エッチング反応種であるフッ素ラジカルを生成させる。フッ素ラジカルとシリコン系堆積膜とが反応することにより、シリコン系堆積膜が気体となって除去される。
クリーニング方法としては、製膜室を大気開放し、製膜室の内面に付着した膜を物理的に取り除いても良い。電極等、堆積膜の影響の大きい構成部品については、別途、酸またはアルカリの薬液を用いて化学的に除去してもよい。
その後、仮製膜工程において、ダミー基板をプラズマCVD装置のカソード電極上に載置し、製膜用のガスを用いて仮製膜を行った。ダミー基板とは、仮製膜工程で用いる基板を示しており、繰り返し使用することが可能である。本実施の形態においては、ダミー基板として、ガラス基板を用いた。仮製膜を行うことにより、製膜室の雰囲気を安定させることが可能となる。また、プラズマ放電による、製膜室中に残留したクリーニングによる不純物の清浄化、残留ガスが溜まりやすい製膜室の構成部品表面への製膜により構成部品表面からの不純物の放出を抑えるという効果を得ることができる。
実施例においては、仮製膜工程は、p型非晶質シリコン層の仮製膜工程S2、i型非晶質シリコン層の仮製膜工程S3、n型非晶質シリコン層の仮製膜工程S4の3つの工程からなる。
p型非晶質シリコン層の仮製膜工程S2、i型非晶質シリコン層の仮製膜工程S3、n型非晶質シリコン層の仮製膜工程S4は、光電変換層を構成するp型非晶質シリコン層33、i型非晶質シリコン光電変換層34、n型非晶質シリコン層35と同じ製膜条件で仮製膜を行った。膜厚は、それぞれ10nm、320nm、20nmで、光電変換層30を形成する各層と同じである。
その後、ダミー基板を取り出し、光電変換層製膜工程S5において、同じプラズマCVD装置の中で、光電変換層30の形成を行った。基板として、第1電極層32の形成されたガラス基板31を用いた。光電変換層30の形成を行った後、第2電極層36の形成を行い、薄膜太陽電池とした。
次に、比較例について説明する。比較例が、実施例と異なる点は、仮製膜工程において、仮製膜工程S3のみ行った点である。したがって、仮製膜工程において、実施例では、異なる不純物を含む複数の膜を製膜したが、比較例では一種類の膜を製膜した。
比較例の仮製膜工程の膜厚は350nmとした。すなわち、実施例と比較例は、仮製膜工程で製膜する膜厚は同じである。
次に、実施例、比較例で作製した薄膜太陽電池の変換効率を測定した。プラズマCVD装置のクリーニングを行う前に製膜した、光電変換層を用いて形成した薄膜太陽電池の特性と比較することで、クリーニング後の再現性を比較した。
図4に、実施例、比較例のクリーニング前後の特性の比較を示す。いずれの場合も、クリーニング前の変換効率を100とした場合の比で示している。クリーニング後の変換効率の比は、実施例は95であり、比較例は92であった。実施例の方が、変換効率がクリーニング前に近いことがわかる。実施例においては、仮製膜工程において、光電変換層と同じ複数の膜の製膜を行っている。仮製膜工程で光電変換層と同じ組成を有する膜を形成することにより、クリーニング後の最初の製膜においても、製膜室の雰囲気が安定した製膜時の状態に近くなったためと考えられる。また、非晶質シリコン薄膜太陽電池の変換効率は、不純物の影響を大きく受けるため、実施例と比較例の間で顕著な差がみられたと考えられる。
本実施の形態においては、シングル型の非晶質シリコン薄膜太陽電池について説明したが、シングル型の微結晶シリコン薄膜太陽電池でも同様の効果が得られる。p型微結晶シリコン層、i型非晶質シリコン層、n型微結晶シリコン層というように、微結晶シリコン層と非晶質シリコン層を組み合わせたタンデム型の薄膜太陽電池でもよい。また、非晶質シリコン光電変換層と微結晶シリコン光電変換層からなる積層型薄膜太陽電池の光電変換層を形成する場合も同様である。
本実施の形態においては、仮製膜工程を、仮製膜工程S2、仮製膜工程S3、仮製膜工程S4の順番で行ったが、この順に限定されるものではない。また、膜厚は一例であって、これに限定されるものではない。
本実施の形態においては、クリーニング後の製膜室を安定させる方法として、仮製膜を行う場合についてのみ述べたが、窒素パージや水素プラズマ処理等の他の方法を組み合わせて行ってもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、第1の実施の形態で示した実施例の仮製膜工程を複数回行い、得られた光電変換素子を用いて作製した薄膜太陽電池の変換効率について、以下に説明する。
第2の実施の形態として、第1の実施の形態で示した実施例の仮製膜工程を複数回行い、得られた光電変換素子を用いて作製した薄膜太陽電池の変換効率について、以下に説明する。
図5に、仮製膜工程の回数と、そのときの薄膜太陽電池の変換効率の比を示す。薄膜太陽電池としては、図2を用いて説明したものを形成した。薄膜太陽電池の変換効率の比は、クリーニング前の変換効率を100とした値を示す。仮製膜工程を複数回行うに際しては、1回の仮製膜ごとに基板を製膜室から出し入れせず、連続して同じ基板を用いた。
実施例の仮製膜工程を3回繰り返した後に、製膜した光電変換層を用いた薄膜太陽電池の変換効率の比は、ほぼ100であり、クリーニング前と同程度の変換効率が得られた。変換効率の再現性が得られたのは、製膜室の雰囲気の再現性が得られているためであると考えられる。クリーニング前後で、変換効率の再現性を得るためには、仮製膜工程は3回行うことが望ましい。製造ライン等でプラズマCVD装置を用いる場合は、より高い安定性を得るために、4回以上行うことが望ましい。
比較として、比較例の仮製膜工程を4回繰り返した後、製膜した光電変換層を用いた薄膜太陽電池の変換効率との比は、97であった。これは、1種類の膜の仮製膜を繰り返すことでは、製膜室の雰囲気の再現性がとれないためであると考えられる。
本実施の形態においては、仮製膜工程を複数回行うに際して、連続して同じ基板を用いたが、仮製膜ごとに異なる基板を用いてもよい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態として、i型非晶質シリコン層の膜厚を変えた仮製膜工程を行い、得られた薄膜太陽電池の変換効率について、以下に説明する。第1の実施の形態で説明した実施例と異なる点は、i型非晶質シリコン層の膜厚を、320nmより厚くした点であり、他は同じである。第1の実施の形態で説明した実施例においては、仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚を、シングル型の非晶質シリコン薄膜太陽電池と同じとしたが、本実施の形態においては複数倍の膜厚とした。
第3の実施の形態として、i型非晶質シリコン層の膜厚を変えた仮製膜工程を行い、得られた薄膜太陽電池の変換効率について、以下に説明する。第1の実施の形態で説明した実施例と異なる点は、i型非晶質シリコン層の膜厚を、320nmより厚くした点であり、他は同じである。第1の実施の形態で説明した実施例においては、仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚を、シングル型の非晶質シリコン薄膜太陽電池と同じとしたが、本実施の形態においては複数倍の膜厚とした。
仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚を、約2倍の650nmとし、クリーニング前後の薄膜太陽電池の変換効率を測定した。クリーニング前の変換効率を100とした場合の、クリーニング後の変換効率の比は96であった。
次に、仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚を、約3倍の1μmとし、クリーニング前後の変換効率を測定したところ、クリーニング後の変換効率の比は97であった。膜厚を、約3倍の1μmとしたときに、高い変換効率の比が得られたのは、仮製膜工程で光電変換層と同じ組成を有する膜を形成し、かつi型非晶質シリコン層の膜厚を厚くすることにより、クリーニング後の最初の製膜においても、製膜室の雰囲気が安定した製膜時の状態により近くなったためと考えられる。p型やn型ではなく、i型非晶質シリコン層の膜厚を厚くすることで、ジボランガスやフォスフィンガス中に含まれる、ボロンやリンといった不純物が製膜室に過剰に供給されることなく、製膜室の雰囲気を安定させることが可能となった。
さらに、仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚を1μmとし、仮製膜工程を2回行った。クリーニング後の変換効率の比は、ほぼ100であり、クリーニング前と同程度の変換効率が得られた。i型非晶質シリコン層の膜厚を厚くし、仮製膜工程を複数回行うことで、製膜室の雰囲気の安定性が得られたと考えられる。
以上、第1の実施の形態から第3の実施の形態について具体的に説明を行ったが、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した3つの実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、薄膜太陽電池の製造方法、およびプラズマCVD装置のクリーニング後の製膜室の調整方法に広く適用することができる。
1 製膜室
2 カソード電極
21 シャワープレート
22 母材
3 アノード電極
4 ガス供給装置
5 ガス配管
6 ガス供給孔
7 交流電源
8 整合回路
9 排気配管
10 真空ポンプ
11 基板
12 ヒータ
13 ヒータ電源
30 光電変換層
31 ガラス基板
32 第1電極層
33 p型非晶質シリコン層
34 i型非晶質シリコン層
35 n型非晶質シリコン層
36 第2電極層
2 カソード電極
21 シャワープレート
22 母材
3 アノード電極
4 ガス供給装置
5 ガス配管
6 ガス供給孔
7 交流電源
8 整合回路
9 排気配管
10 真空ポンプ
11 基板
12 ヒータ
13 ヒータ電源
30 光電変換層
31 ガラス基板
32 第1電極層
33 p型非晶質シリコン層
34 i型非晶質シリコン層
35 n型非晶質シリコン層
36 第2電極層
Claims (7)
- プラズマCVD装置の製膜室内部をクリーニングするクリーニング工程と、
前記クリーニング工程の後、前記製膜室で仮製膜を行う仮製膜工程と、
前記仮製膜工程の後、前記製膜室で複数の膜からなる光電変換層を製膜する光電変換層製膜工程を有し、
前記仮製膜工程においても、前記光電変換層と同じ不純物を含む複数の膜を形成する薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記仮製膜工程は、p型非晶質シリコン層と、i型非晶質シリコン層と、n型非晶質シリコン層を製膜するpin非晶質シリコン層製膜工程を有する請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記仮製膜工程において、前記pin非晶質シリコン層製膜工程を少なくとも3回行う請求項2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記光電変換層製膜工程は、少なくともi型非晶質シリコン層を製膜する工程を有する工程であり、
前記仮製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚は、前記光電変換層製膜工程におけるi型非晶質シリコン層の膜厚の3倍以上である請求項2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記仮製膜工程において、前記pin非晶質シリコン層製膜工程を少なくとも2回行う請求項4に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- プラズマCVD装置の製膜室内部をクリーニングするクリーニング工程と、
前記クリーニング工程の後、前記製膜室で仮製膜を行う仮製膜工程と、
前記仮製膜工程の後、前記製膜室で複数の膜からなる光電変換層を製膜する光電変換層製膜工程を有し、
前記仮製膜工程においても、前記光電変換層と同じ不純物を含む複数の膜を形成するプラズマCVD装置の製膜室の調整方法。 - 前記仮製膜工程において、p型非晶質シリコン層と、i型非晶質シリコン層と、n型非晶質シリコン層を形成する請求項6に記載のプラズマCVD装置の製膜室の調整方法。
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2011
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