JP2013040841A - 放射性金属廃棄物処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 放射性金属廃棄物または解体廃棄物を溶融する高周波溶融炉5と、平板なインゴットを形成する複数の鋳型8と、高周波溶融炉中の溶湯を鋳型に鋳込む鋳込み装置と、鋳型ごと搬送する搬送装置6と、鋳型に鋳込まれた溶湯を搬送中に冷却してインゴットにするための冷却ノズル10と、冷却後に鋳型からインゴット20を取り出す脱塊装置11と、を有し、放射性金属廃棄物または解体廃棄物を平板なインゴット20に形成して供給する。
【選択図】 図2
Description
たとえば、廃止措置が執られている東海発電所で発生する廃棄物には低レベル放射性廃棄物が11%含まれるとされるが、それ以外は放射性廃棄物でない廃棄物と放射性物質として扱う必要のない廃棄物である。
人体は、天然放射性物質や宇宙線に起因する自然放射線を常に受けているが、この自然界の放射線レベルと比較して十分小さい線量しか放出しない微量の放射性物質しか含まない物体は、放射性物質として扱う必要がないとする考えをクリアランスといい、放射線防護に係る規制の体系から外してもよい物を区分するレベルをクリアランスレベルという。
クリアランスレベル以下の線量しか出さない物体を放射性物質でない物として扱うことは、放射線防護の観点からも合理的である。すなわち、原子力の研究開発および利用に伴い発生する廃棄物から人の健康に対するリスクが無視できるものを分別して、再使用あるいは再生利用が可能なものを活用し、また放射線防護を考慮しないより簡易な処分方法により廃棄することができる。
図4は、従来より実施されてきた汚染廃棄物の放射線管理区域からの搬出手順の1例を説明する流れ図である。
図示した手順によると、解体廃棄物を収納したボックスパレットを保管場所から仕分けエリアに搬入して開封し、切断エリアに移送する。解体廃棄物には、配管、平板、形鋼、弁やポンプ類などの複雑な形状の小型機器を分解した物や、ボルトやナットなどの小物が含まれている。
作業台では、解体廃棄物について、放射性物質による汚染を除きやすくするため、弁、配管、タンクなどは、作業員がハンドソーで縦割りにするなどして、事前の評価により汚染の度合いが高いとされる部分が露出するように細断する(S2)。
解体廃棄物は、汚染モニタの構造に基づいて、たとえば、断面が400mm平方に収まり、高さが40mm以下であることなどが要求される。また、突起物は100mm以下になるように管理される。このため、作業員の手作業により解体廃棄物を細断して、汚染モニタに掛け易い形状と寸法に整える(S3)。
なお、切断に伴い発生する切粉やドロスは、汚染モニタに掛けることが困難であるため、現実的には、放射能濃度が低いにも拘わらず、放射能濃度の高い廃棄物として取り扱われている。
形状を整えた解体廃棄物は、再度ボックスパレットに収納して除染エリアに移送する。除染エリアでは、解体廃棄物を取り出し、たとえば手動ブラストによりブラスト除染を実施して、放射性物質、表面酸化物、塗装などを除去し(S4)、秤量する(S5)。
このように、現在の工程では、汚染モニタに通すための前処理に手数が掛かり、合理化の要請がある。なお、ある量の解体廃棄物に対して上記の工程を実行するために、およそ10人の熟練作業者が必要とされる。
なお、本発明の放射性金属廃棄物処理装置は、取り出したインゴットにブラストを照射するブラスト装置と、汚染モニタの測定部位に適合するパレットにインゴットを収納するクレーンなどの移動収納装置をさらに備えても良い。
また、鋳型は、搬送装置の搬送帯(たとえばコンベアベルトなど)に所定の間隔で固定して、搬送帯と一緒に移動する間に、鋳込み、冷却、離型をするようにしてもよい。
したがって、個々の解体廃棄物について、汚染モニタに掛けるために手作業により形状を整える細断作業を省略することができる。
また、放射性金属廃棄物は溶融炉内で完全に混合するので、局部的な汚染部は希釈化される。材料の表面における放射性物質の濃度が規制される場合であっても、除染のために汚染面を露出させる細断を省略してもよい。
また、鋳物として得られる金属材料は、鋳物自体あるいは多数の鋳物を収納したパレットを整然と配列させたり積み重ねたりすることができるので、保管場所における保管を合理化する。
さらに、解体廃棄物を平板状のインゴットとして供給する場合は、より広い適用分野において、より容易に再利用あるいは活用することができる。
図1と図2は、本実施例の放射性金属廃棄物処理装置における各要素装置の配列により解体廃棄物前処理の工程を説明する工程図、図3は本実施例の工程を説明する流れ図である。図1に示した工程の後の工程を図2に示している。
本実施例の放射性金属廃棄物処理装置は、仮に、装填領域、溶融鋳込み領域、冷却脱塊領域、除染収納領域に分けることができる。解体廃棄物は、ボックスパレットに収納された状態で、本実施例の放射性金属廃棄物処理装置に供給される。
装填領域における作業手順は、図3に示すように、始めに、材料供給工程(S11)として、作業員がクレーンなどを使って、解体廃棄物をボックスパレットから材料供給コンベヤ1のシュータへ移動させる。
所望の重量になった投入バスケット4は、投入用ジブクレーン3により、溶融鋳込み領域の溶融炉の上に移動させられる。
溶融鋳込み領域における作業手順は、まず、炉内投入工程(S13)として、遠隔操作により、高周波溶融炉5の炉上に持ち込まれた投入バスケット4の底を開口させると、解体廃棄物が溶融炉中に落下し溶融物中に補給される。補給量は、先に対象物秤量器2で計測した解体廃棄物の量になる。空になった投入バスケット4は投入用ジブクレーン3により再び対象物秤量器2にセットされ、次の補給を待ち受ける。
高周波溶融炉5の炉中にセットされる坩堝7はいくつか用意されていて、坩堝7が消耗したときばかりでなく、解体廃棄物の種類や成分が変化するときに不純物が混入しないように、高周波溶融炉5内の坩堝7を交換することができるようにされている。
鋳込み工程(S16)において、鋳型コンベア6には鋳型8が設置されており、高周波溶融炉5を傾動させることにより、溶湯を鋳型8に注入する。
鋳型8は、たとえば、幅と奥行きが500mm、深さが40mmなど、既存の汚染モニタの測定台に適合する寸法の試料が形成されるようにすることが好ましい。
鋳型8により、解体廃棄物のインゴットが単純なタイル形状を有するようにした場合は、測定の便宜のみならず、再使用あるいは再生利用するためにも便利なものとなる。
冷却工程(S17)において、冷却ノズル10により、冷却室内の負圧で吸引した外気を鋳型コンベヤ6で搬送する鋳型8に吹き付け、溶融体を冷却して固化する。溶湯を入れた鋳型8を冷却して昇温した空気は、ブロワ13により吸引して排出し、冷却室9内の温度が上昇しないようにする。
空になった鋳型8は、集められて点検を受け再使用可能と判定された場合は、鋳型ラックに収納して再度の使用に控えさせる。次に使用するときには、鋳型8の表面に、離型剤スプレーで噴霧して離型剤を処理し、予熱してから、再び鋳込み位置に供給される。
ブラスト照射工程(S19)において、インゴット搬送コンベヤ15は、インゴットをブラスト照射装置17の照射位置に搬送する。ブラスト照射装置17は自動化された手順に従って、照射位置にあるインゴットに対してブラストを照射し、表面の不純物を削り落とす。ブラスト照射装置17はフードの中に設置され、放射性物質を含むかもしれないスラグがブラスト照射により飛散して外部に拡散しないようにしている。
搬出工程(S21)において、インゴット秤量後のインゴット20をパレット積載ジブクレーン21の把持位置に搬送し、パレット積載ジブクレーン21を用いてパレット22に整然と収納し、パレット22を次の工程に搬送する。
なお、次の工程で直ちに処理することができないときには、インゴット20を収容したパレット22は、処理可能になるまで、建屋内の適宜の保管場所に運んで保管しておいてもよい。
汚染モニタ測定(S22)において、解体廃棄物が所定の処分条件を超えたレベルの廃棄物として扱う必要があると判定された場合は、改めて回収し、高いレベルの廃棄物として処分する。
なお、この装置の場合、縦横500mm以下の物は、最大4品まで同時計測が可能である。そこで、たとえば、四角い板状に形成された解体廃棄物のインゴットを4枚配列して一度に測定するようにして、測定効率が上げることができる。
さらに、切断により生じる切り粉が減少し、放射性廃棄物として扱うべき廃棄物の量が減少する。
また、保管する場合にも、一定の面積内に高密度に近接して配列することができ、さらに、容易に重ねることができるので、保管効率も高い。また、適当なパレットに複数収納してパレット同士を密着配列して、高密度保管することもできる。
また、適宜な形状をした対象物を溶融して所定形状に整形するため、減容効果が大きく、搬送・保管などにおける効率が向上する。さらに、埋設などの処分するときは、減容効果により処分効率が向上する。
2 対象物秤量器
3 投入用ジブクレーン
4 投入バスケット
5 高周波溶融炉
6 鋳型コンベア
7 坩堝
8 鋳型
9 冷却室
10 冷却ノズル
11 脱塊装置
12 フィルタ
13 ブロワ
14 インゴット
15 インゴット搬送コンベア
16 スラグ回収コンベア
17 ブラスト照射装置
18 インゴット秤量器
19 整列用ジブクレーン
20 インゴット
21 パレット積載ジブクレーン
22 パレット
Claims (4)
- 放射線利用施設で発生する処理対象の金属解体廃棄物を高周波溶融する高周波溶融装置と、平板なインゴットを形成する複数の鋳型と、前記高周波溶融炉中の溶融体を前記鋳型に鋳込む鋳込み装置と、前記鋳型を搬送する搬送装置と、前記鋳型に鋳込まれた溶融体を搬送中に冷却してインゴットにする冷却装置と、冷却後に前記鋳型から前記インゴットを取り出す脱塊装置と、を有し、前記処理対象の金属解体廃棄物を平板なインゴットに形成して供給することを特徴とする放射性金属廃棄物処理装置。
- 前記鋳型は、汚染モニタ装置において放射線計測が可能な平板な形状のインゴットを形成するものであることを特徴とする請求項1記載の放射性金属廃棄物処理装置。
- 前記複数の鋳型は前記搬送装置の搬送帯上に所定の間隔で固定され、搬送帯が歩進するたびに次の鋳型に溶湯を流し込むことができる構造になっていることを特徴とする請求項1または2記載の放射性金属廃棄物処理装置。
- さらに、取り出した前記インゴットにブラストを照射するブラスト装置と、前記インゴットを汚染モニタ装置の測定部位に適合するパレットに収納する移動収納装置をさらに備えた、請求項1から3のいずれか1項に記載の放射性金属廃棄物処理装置。
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