JPH10263749A - 型銑の製造方法および装置 - Google Patents

型銑の製造方法および装置

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JPH10263749A
JPH10263749A JP7559397A JP7559397A JPH10263749A JP H10263749 A JPH10263749 A JP H10263749A JP 7559397 A JP7559397 A JP 7559397A JP 7559397 A JP7559397 A JP 7559397A JP H10263749 A JPH10263749 A JP H10263749A
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智明 田玉
Toshitane Matsukawa
敏胤 松川
Nozomi Tamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳銑機の型銑冷却において、従来のモールド
との接触面での冷却は、散水冷却に比べて冷却効果は悪
いので、鋳銑機での冷却能力が高い冷却方法を提供す
る。 【解決手段】 モールド(型枠)内の溶銑を冷却して表
層部に凝固シェルを有する型銑となし、この型銑を前記
モールドから脱離させた後、該型銑の全面を冷却して完
全に凝固させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、型銑の製造方法お
よび装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶銑を凝固し型銑を製造する型銑製造設
備は、一般に鋳銑機と呼ばれ、図4に示すような構成と
なっている。モールドコンベア18は多連につながった複
数のモールド1で構成されており、溶銑はトピードカー
10などの輸送容器により搬入され、樋9を通して鋳銑機
のモールド1に注湯される。モールド1内に注湯された
溶銑を空気冷却する大気放冷帯を通過する間に溶銑の表
面に凝固シェルを形成した後に、上部から散水設備によ
り散水し冷却する散水冷却帯を通過し、溶銑は内部まで
完全に凝固し型銑5となる。大気放冷帯をおく理由は、
溶銑に直接大量の散水を行うと水蒸気爆発の危険がある
からである。型銑5はモールド1がモールドコンベア18
のヘッド部のスプロケットホイール4の周囲に沿って回
転する間に自重によりモールド1から脱離(以下、離型
という)し、貨車6などに載荷され輸送される。
【0003】型銑を離型したモールドはモールドコンベ
ア下部の戻りラインを戻る間に離型剤散布装置7から離
型剤(石灰乳など)を散布され、乾燥バーナ8により乾
燥された後にモールドコンベア18のテール部で再度溶銑
を注湯される。鋳銑機の型銑生産量を増加するには冷却
能力を向上させる必要がある。すなわち、溶銑の注湯量
を増やすためにモールドコンベアの回転を速くすると大
気放冷帯と散水冷却帯で十分な冷却ができなくなり、型
銑が十分凝固しない状態で離型され貨車内で溶銑が散逸
するなどのトラブルが発生するためである。
【0004】このためモールドコンベアの速度を速くす
るとともに大気放冷帯、散水冷却帯を長くすることで完
全に凝固させる必要があるが、これはモールドコンベア
の全長を長くすることであり、設備の大型化につながっ
てしまう。そこで特開平6−142843号公報では、設備の
能力を最大限に利用するためにモールドへの注湯量とモ
ールドコンベアの速度と型銑の目標冷却温度とから予め
求めておいた冷却散水パターンに合わせて冷却散水量を
調節する制御冷却方法が開示されている。また大気放冷
帯の代わりに小さな液滴径の気水ミストによる冷却を行
うこで冷却速度を大きくし、溶銑表層部に凝固シェルを
形成する時間を短縮することで冷却を促進する方法が特
開平4−52050 号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では生産能
力をあげるため、型銑冷却能力を向上させるにはモール
ドコンベアの長大化など設備の大型化が必要であり、設
置コストのみならず、メンテナンスコストも大きくなっ
てしまう。また、特開平6−142843号公報に示される方
法は冷却散水パターンを制御することで無駄な散水を抑
制し、モールドの温度を下げすぎないことで離型剤塗布
後の乾燥バーナの燃料節減などの効果はあるが、設備そ
のものの型銑冷却能力を向上させるものではないため、
生産能力を上げるためにはやはり設備の大型化が必要と
なる。
【0006】特開平4−52050 号公報に開示された方法
は、大気放冷の代わりに気水ミストによる冷却を行うこ
とで溶銑の表面に凝固シェルが形成されるまでの伝熱係
数を向上できるので冷却速度を大きくする方法であり、
生産能力の向上に効果があるが、その後に引き続く散水
冷却帯では上面は冷却水との直接接触による冷却になっ
ているのに対し、モールドとの接触面はモールドを介し
ての冷却となっているため、散水の直接接触に比して冷
却が弱い点は従来法と変わらない。
【0007】本発明は、さらに型銑の冷却能力を向上さ
せることで、設備を大型化することなく型銑製造設備の
生産能力を向上させることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】従来の方法では鋳銑機の
モールド上で、注湯から凝固完了まで行っているため、
最も伝熱効果の大きい水と型銑表面の直接接触が上面の
みに限られ、モールドと接触している下面および側面は
冷却速度を十分大きくすることができないとう問題があ
った。
【0009】そこで本発明者らは、冷却速度をあげるに
は、できるだけ早く型銑をモールドから離型し、型銑の
全面で水と接触させて冷却速度を大きくすることが効果
的であることに想到した。そして同時に、初期の冷却に
より離型が可能な程度に型銑の凝固シェルが十分強固に
なった時点で離型し、その後は別の冷却方法により型銑
全面からの冷却を行うことで、設備的にもモールドコン
ベアの長大化を避けることができ、設備の大型化の必要
がない型銑製造設備に想到したものである。
【0010】すなわち本発明は、モールド(型枠)内の
溶銑を冷却して表層部に凝固シェルを有する型銑とな
し、この型銑を前記モールドから脱離させた後、該型銑
の全面を冷却して完全に凝固させることを特徴とする型
銑の製造方法である。また本発明は、モールド(型枠)
内の溶湯を冷却して表層部に凝固シェルを有する型銑を
製造する一次冷却帯と、該一次冷却帯で製造された型銑
の全面を水冷却して完全に凝固させる二次冷却帯と、か
らなることを特徴とする型銑の製造装置である。
【0011】また本発明は、前記一次冷却帯が、モール
ドコンベアと気水ミストスプレーノズルとを有してなる
ことを特徴とする前記の型銑の製造装置であり、前記二
次冷却帯が、上下に散水設備を有するメッシュベルト製
コンベアであることを特徴とする前記の型銑の製造装置
であり、前記二次冷却帯が、浸漬冷却槽であることを特
徴とする前記の型銑の製造装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る設備の構成を図1に
示す。溶銑はトピードカー10等の溶銑輸送容器から樋9
を通ってモールドコンベア18上のモールド1に注湯され
る。モールド内溶銑は、一次冷却として気水ミストスプ
レーノズル16から噴霧されるミストで冷却される。溶銑
は表層部に凝固シェルが形成され、内部に未凝固の溶融
部を有する凝固シェルからなる型銑となる。凝固シェル
が、モールドコンベアから離型、落下しても破損しない
程度にまで成長した状態で、型銑はモールドから離型さ
れる。型銑を離型したモールドはモールドコンベア下面
を戻る途中で離型剤塗布装置7で離型剤が塗布される
が、モールドは従来の鋳銑機のような散水冷却帯を通過
していないため、従来の鋳銑機に比べ高温であるため、
乾燥バーナによる離型塗布剤の乾燥は省略することもで
きる。
【0013】離型した型銑5は二次冷却として全面から
水冷却される。図1は型銑5がメッシュベルト製のコン
ベア13に載り、上下から散水設備3により散水冷却を行
う例を示している。ここで、型銑5は全面を水と接触し
て水冷却を受けることが可能である。特にべルトコンベ
アにメッシュベルトを使用することにより、ベルト下方
から型銑に散水をかけることができる。このほか二次冷
却の方法としては、気水ミストを噴霧する方法や、ベル
トコンベアの代わりに冷水槽内で浸漬冷却する方法もあ
る。いずれの場合も一次冷却で強固な凝固シェルが形成
されているため、二次冷却で水蒸気爆発を気にせず型銑
の全面から冷却を行うことができ、従来より速いスピー
ドで型銑を連続的に製造できる。
【0014】本発明によると、モールドコンベア上での
冷却は凝固シェルを形成するまででよいので、モールド
コンベアの長さは従来の鋳銑機に比べ大幅に短縮でき、
かつ離型した後直ちに型銑全面から強冷却を行うことが
できたので、著しく冷却速度を大きくすることができ
た。
【0015】
【実施例】
(実施例1)実施例1に係る設備構成を図2に示した。
型銑製造設備は一次冷却帯(30m)と、二次冷却帯(20
m)とからなり、全長50mである。
【0016】一次冷却帯には、多連につながったモール
ド1が 120枚配置され、下部に離型剤塗布装置7と乾燥
バーナ8が配置され、モールドコンベア18から型銑を落
下させても破損しない程度の凝固シェルを形成させ二次
冷却帯に引き渡す役目を担う。モールド内溶銑は表面が
完全に凝固していないので、散水冷却では水蒸気爆発す
る可能性がある。そこで、一次冷却帯では、水滴が迅速
に蒸発できるように気水ミストスプレーノズル16を用い
て液滴径を細かくした気水冷却を行った。
【0017】二次冷却帯(20m)には、メッシュベルト
13を用いて上下面スプレー冷却を行った。メッシュベル
ト13は例えばステンレス金網などで作られた、型銑支持
ができる耐熱性のある孔の開いたベルトである。メッシ
ュベルト13の下面から斜方ノズル17で冷却水を散布で
き、型銑の上下両面から冷却できるので、従来法に比べ
て凝固する時間は短縮できる。 (実施例2)実施例2に係る設備構成を図3に示した。
【0018】型銑製造設備は一次冷却帯(30m)と、二
次冷却帯(水冷槽)とからなる。一次冷却帯には、多連
につながったモールド1が120 枚配置され、下部に離型
剤(石灰乳)塗布装置7が配置される。実施例1と同様
にモールドコンベア18から型銑5を落下させても破損し
ない程度の凝固シェルを形成し、型銑を二次冷却帯に引
き渡す。一次冷却帯では、実施例1と同様に、水蒸気爆
発対策として気水ミストスプレーノズル16を用いて気水
冷却を行った。
【0019】型銑5は、冷却槽14の冷却液中に浸漬した
コンベア上に落下させ、全面浸漬冷却し、コンベア末端
から貨車に積み込む。本実施例でモールド数を120 枚、
モールドスピードを30m/min で型銑重量の5kg/個のとき
生産量4000t/d の実績であった。 (比較例)比較例に係る設備構成を図5に示した。
【0020】型銑製造設備は、多連につらなったモール
ド1が 230枚全長60mのモールドコンベア18に配置さ
れ、その下部に離型剤塗布装置7、乾燥バーナ8が配置
される。全長60mのモールドコンベアの大気放冷ゾーン
は47m、散水ノズルによる上方からの散水冷却(水量25
0t/h)ゾーンは13mである。
【0021】モールド数 230枚、モールドスピード15m/
min で型銑重量5kg/個のとき、大気放冷時間3分、その
後水冷 30secで型銑は完全に凝固する。このとき生産量
は2000t/d であった。表1に実施例1、2および比較例
の結果をまとめた。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】型銑内部に未凝固溶融部が存在する状態
で離型するようにしたので、モールドコンベアが短縮さ
れ、かつ離型した後直ちに上下冷却を行ったので、従来
に比べ冷却速度が早まり、全体として従来に比べて凝固
時間を約半分に短縮でき、生産性を2倍に向上すること
ができる。
【0024】さらに、モールド個数の削除、モールド内
面の乾燥作業の省略などで操業費が削減された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る設備の概略説明図。
【図2】本発明の1実施例の説明図。
【図3】本発明の1実施例の説明図。
【図4】従来の方法の説明図。
【図5】比較例の説明図。
【符号の説明】
1 モールド 2 気水比ミストスプレー 3 散水設備 4 スプロケットホイール 5 型銑 6 貨車 7 離型剤塗布装置 8 乾燥バーナ 9 樋 10 トピードカー 11 コンベア 12 ドライフォグ(気水冷却) 13 メッシュベルト 14 冷却槽 16 気水ミストスプレーノズル 17 斜方ノズル 18 モールドコンベア

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モールド(型枠)内の溶銑を冷却して表
    層部に凝固シェルを有する型銑となし、この型銑を前記
    モールドから脱離させた後、該型銑の全面を冷却して完
    全に凝固させることを特徴とする型銑の製造方法。
  2. 【請求項2】 モールド(型枠)内の溶湯を冷却して表
    層部に凝固シェルを有する型銑を製造する一次冷却帯
    と、該一次冷却帯で製造された型銑の全面を水冷却して
    完全に凝固させる二次冷却帯と、からなることを特徴と
    する型銑の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記一次冷却帯が、モールドコンベアと
    気水ミストスプレーノズルとを有してなることを特徴と
    する請求項2に記載の型銑の製造装置。
  4. 【請求項4】 前記二次冷却帯が、上下に散水設備を有
    するメッシュベルト製コンベアであることを特徴とする
    請求項2ないし3に記載の型銑の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記二次冷却帯が、浸漬冷却槽であるこ
    とを特徴とする請求項2ないし3に記載の型銑の製造装
    置。
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