JP2013039734A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力発生手段に至る電路の途中がショートされた場合、かかる状態を確実に検出することが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】駆動回路120の温度を検出する温度検出センサー115を有するとともに、駆動信号S1に基づく駆動電流の積算量を表す積算電流量に対する温度検出センサー115で検出した正常時の駆動回路120の温度を表す特性である基準温度プロファイルと、積算電流量に対する温度検出センサー115で検出した駆動回路120の実測温度を表す特性である実測温度プロファイルとを比較部114で比較して基準温度プロファイルの所定の積算電流量における温度と前記積算電力量と同一量における実測プロファイルの温度とを比較し、両者の温度差が所定の閾値を超えたとき異常であると判断する。
【選択図】図5

Description

本発明は液体噴射装置に関し、特に圧電素子に駆動信号を供給する制御手段に、その温度を検出する温度検出センサーを内蔵するものに適用して有用なものである。
液体噴射装置としては、例えば圧電素子からなる圧力発生手段によりインク滴吐出のための圧力を発生させる複数の圧力発生室と、共通のマニホールドから各圧力発生室に個別にインクを供給するインク供給路と、各圧力発生室に形成されてインク滴を吐出するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)を具備するインクジェット式記録装置(以下、記録装置ともいう)がある(例えば特許文献1参照)。
この種の記録装置の中には、圧力発生手段である圧電素子と該圧電素子に駆動信号を供給する駆動回路との間のフレキシブル基板に導電性のインク等が付着されることによる電線路のショートを検出するためのセンサーを備えるものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−355961号公報 特開平07−060954号公報
ところで、上述の如く、インク等によるショートをフレキシブル基板上に配設したセンサーで検出する場合には、センサーが配置されている部位にインクが回り込まなかった場合には、センサーが反応しないような状態が生起される。すなわち、この場合には、フレキシブル基板にインクが付着して回路がショートされていても、この状態を検出することができないという問題を発生していた。
なお、このような問題はインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、圧力発生手段に至る電路の途中がショートされた場合、かかる状態を確実に検出することが可能な液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、駆動信号により駆動される圧力発生手段により圧力発生室の液体に圧力変化を生じさせ、前記圧力発生室内の液体をノズル開口を介して吐出させる液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段に供給する前記駆動信号を生成する制御手段と、前記制御手段の温度を検出する温度検出センサーとを有するとともに、前記制御手段が、基準プロファイル記憶手段と、実測プロファイル生成手段と、比較手段とを有しており、さらに前記基準プロファイル記憶手段が、前記駆動信号に基づく駆動電流の積算量を表す積算電流量に対する前記温度検出センサーで検出した正常時の前記制御手段の温度を表す特性である基準温度プロファイルを記憶しているものであり、前記実測プロファイル生成手段が、前記積算電流量に対する前記温度検出センサーで検出した前記制御手段の実測温度を表す特性である実測温度プロファイルを生成するものであり、前記比較手段が、前記基準温度プロファイルの所定の積算電流量における温度と前記積算電流量と同一量における前記実測プロファイルの温度とを比較し、両者の温度差が所定の閾値を超えたとき異常であると判断して、これを表す異常信号を送出するものであることを特徴とする液体噴射装置にある。
本態様によれば、温度検出センサーで制御手段の温度を検出しているので、制御手段と圧力発生手段との間でショートが発生している場合には、その分駆動信号に基づく駆動電流が増加する。かかる駆動電流の増加はジュール熱の増加となって制御手段の温度上昇を生起させる。この結果、基準温度プロファイルと同一の積算電流量における制御部の温度の実測値と基準温度プロファイルにおける温度との乖離が大きくなる。かかる乖離度は積算電流量の増加に伴い増加する。その分ジュール熱も積算されるからである。
したがって、乖離度に基づき圧力発生手段に至る電路でのショートの発生を検出することができる。本態様では、基準温度プロファイルと実測温度プロファイルとを比較して前記乖離度が所定の閾値を超えたとき、異常信号が送出されるので、液体の付着部位等に制約されることなくショートによる異常を容易かつ確実に検出することができる。
ここで、前記温度検出センサーは、前記圧力発生手段に前記駆動信号を供給するICで形成した駆動回路の内部に配設されたものであるのが望ましい。ジュール熱は駆動回路の内部にこもるため、その変化が正確に反映された温度検出を行うことができるからである。さらに、前記温度検出センサーは、前記駆動回路の温度を管理するため前記駆動回路の内部に配設された温度検出センサーと兼用するものであるのが望ましい。この場合には、駆動回路の熱的な影響による破損を未然に防止すべく内蔵されている温度検出センサーを兼用してショートの検出にも適用し得るので、所望の温度検出を正確かつ容易に行い得るばかりでなく、部品点数を増加させることなく合理的な装置構成を実現し得る。
また、前記制御手段は、印刷用の前記駆動信号の他に前記異常を検出するための異常検出モードに固有の他の駆動信号を前記圧力発生手段に供給して前記基準温度プロファイルを生成するとともに生成した基準温度プロファイルを基準プロファイル記憶手段に記憶する一方、前記異常検出モードにおいて前記他の駆動信号を前記圧力発生手段に供給して実測した前記温度に基づき前記実測プロファイル生成手段で前記実測温度プロファイルを生成するものとすることができる。この場合には、基準温度プロファイルと実測温度プロファイルとを同一波形の駆動信号で形成しているので、印刷モードとは独立した、検出モードで正確かつ適確に電路部分でのショートの発生を検出することができる。なお、この場合の検出モードは印刷の途中のフラッシング時、印刷と印刷の合間等を利用することにより印刷モードの作業になるべく影響を与えることなく所定のショート検出を行うことができる。
さらに、前記制御手段は、印刷モードにおける所定の前記駆動信号を前記圧力発生手段に供給して前記基準温度プロファイルを生成するとともに生成した基準温度プロファイルを基準プロファイル記憶手段に記憶する一方、印刷中に実測した前記温度に基づき前記実測プロファイル生成手段で前記実測温度プロファイルを生成するものとすることができる。この場合には、印刷作業を中断することなく、所定の印刷作業は進行させながら所望のショート検出も併せて行うことができる。
液体噴射装置の構成を示す模式的斜視図である。 実施の形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 図2の平面図である。 図3のA―A′線断面図である。 液体噴射装置の制御系の構成を示すブロック線図である。 基準温度プロファイルと実測温度プロファイル特性の一例を示す特性図である。
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、インクジェット式記録装置(以下、記録装置ともいう)の一例を示す概略図である。図1に示すように、記録ヘッドユニット1A及び1Bは、液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置Iに設けられている。すなわち、記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インクジェット式記録装置Iのキャリッジ3に搭載され、キャリッジ3は、インクジェット式記録装置Iの装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出する。
記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、キャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図1中は図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
図2は、図1に示す記録ヘッドユニット1A,1Bを内蔵するインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)の概略構成を示す分解斜視図であり、図3は、図2の平面図であり、図4は図3のA−A′線断面図である。
図2〜図4に示すように、記録ヘッド10の流路形成基板11は、シリコン単結晶基板からなる。流路形成基板11の一方の面には二酸化シリコンからなり、本形態における振動部となる弾性膜50が形成されている。流路形成基板11には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板11の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板30のマニホールド部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。かくして本形態では、流路形成基板11に、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになり、圧力発生室12にインクが充填される。
また、流路形成基板11の一方の面である開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。ここで、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等で好適に構成することができる。
流路形成基板11の反対側の開口面には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば厚さ30〜50nm程度の酸化チタン等からなり弾性膜50等の第1電極60の下地との密着性を向上させるための密着層56が設けられている。なお、弾性膜50上に、必要に応じて酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜が設けられていてもよい。
さらに、この密着層56上には、第1電極60と、厚さが2μm以下、好ましくは0.3〜1.5μmの薄膜である圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、本形態における圧力発生手段であり、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、密着層56、第1電極60及び必要に応じて設ける絶縁体膜が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50や密着層56を設けなくてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
かかる圧電素子300の個別電極である第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、弾性膜50上や必要に応じて設ける絶縁体膜上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
圧電素子300が形成された流路形成基板11上、すなわち、第1電極60、弾性膜50や必要に応じて設ける絶縁体膜及びリード電極90上には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このマニホールド部31は、本形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板11の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。また、流路形成基板11の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、マニホールド部31のみをマニホールドとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板11に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板11と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、必要に応じて設ける絶縁体膜等)にマニホールド100と各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板11の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本形態では、流路形成基板11と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成してある。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられており、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍が、貫通孔33内に露出するように構成してある。
一方、保護基板30上には、後に詳述する制御装置(図2〜図4には図示せず)で制御されて圧電素子300を駆動する駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。ここで、本形態における駆動回路120にはその温度を管理するための温度検出センサー(図2〜図4には図示せず)が内蔵されている。この点に関しては後に詳述する。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。
固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
かかる記録ヘッド10では、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの駆動信号にしたがい、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧が印加される。かくして弾性膜50、密着層56、第1電極60及び圧電体層70を撓み変形させることにより、振動部として機能する弾性膜50を介して各圧力発生室12内のインクに前記変形に伴う振動を伝達させる。この結果、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出される。
図5はインクジェット式記録装置Iの制御系を示すブロック線図である。同図に示すように、インクジェット式記録装置I内には、インクジェット式記録装置Iの制御を行う制御装置110が設けられている。制御装置110は、CPU111、基準プロファイル記憶部112、実測プロファイル生成部113、比較部114および駆動回路120を備えている。
さらに詳言すると、CPU111はキャリッジ3(図1参照)の移動を示す信号を送出して駆動モーター6を駆動させ、キャリッジ3をキャリッジ軸5(図1参照)に沿って移動させるとともに、記録シートS(図1参照)の搬送を示す信号を送出して供給ローラー117を駆動させることにより記録シートS(図1参照)を搬送させる。
また、CPU111は駆動回路120を介して各圧電素子300を駆動するための駆動信号等に関する情報を送出するとともに、基準プロファイル記憶部112および実測プロファイル生成部113に対して駆動信号S1に基づく駆動電流の積算量を表す積算電流量に関する情報を送出する。ここで、積算電流量としては具体的には圧電素子300の駆動回数、インク吐出発数、電圧積分値および微振動秒数等とすることができる。ただ、これらの場合には基準温度プロファイルを生成させる場合と、実測温度プロファイルを生成させる場合の駆動信号S1の波形が好ましくは同一である必要がある。
一方、基準プロファイル記憶部112は、駆動信号S1に基づく駆動電流の積算量を表す積算電流量に対する温度検出センサー115で検出した正常時の駆動回路120の温度を表す特性である基準温度プロファイルを記憶している。実測プロファイル生成部113は、積算電流量に対する温度検出センサー115で検出した駆動回路120の実測温度を表す特性である実測温度プロファイルを生成するものである。すなわち、駆動電流の通電量に対する実測温度の関係を表す温度プロファイルを生成する。
ここで、本形態における温度検出センサー115は、圧電素子300に駆動信号S1を供給するICで形成した駆動回路120の内部に配設されたものであり、駆動回路120の温度を管理するため温度検出センサーとしても兼用し得るようになっている。
比較部114は、基準プロファイル記憶部112が記憶している基準温度プロファイルの所定の積算電流量における温度と、積算電流量と同一量における実測プロファイル生成部113で生成された実測温度プロファイルの温度とを比較し、両者の温度差が所定の閾値を超えたとき異常であると判断して、これを表す異常信号をアラーム116に送出して異常事態の発生(ショートの発生)を告知させる。
図6は基準温度プロファイルと実測温度プロファイルとの一例を示す特性図である。同図に示す場合は、横軸に吐出発数(回)を採ったものであり、縦軸が駆動回路120の温度である。また、一点鎖線が基準温度プロファイルであり、実線が異常時の実測温度プロファイルである。同図に示す通り、異常時には吐出発数が増加するに伴い実測温度プロファイルと基準温度プロファイルとの差であるΔTが大きくなる。そこで、吐出発数に対するΔTの閾値Thを予め定めておけば比較部114でTh<ΔTとなった時点でアラーム116を発するようにすることができる。すなわち、温度検出センサー115がショートの発生に伴い増加する駆動電流の増加に伴う温度上昇を検出して、これを実測温度プロファイルに反映させるので、正常時の基準温度プロファイルと比較することにより異常検出が可能となる。
かかる基準温度プロファイルと実測温度プロファイルとの比較は印刷モードとは独立したモード、例えばフラッシング時等を利用して好適に実施することができる。
本形態によれば、温度検出センサー115で駆動回路120の温度を検出しているので、駆動回路120と圧電素子300との間でショートが発生している場合には、その分駆動信号S1に基づく駆動電流が増加する。かかる駆動電流の増加はジュール熱の増加となって駆動回路120の温度上昇を生起させる。この結果、基準温度プロファイルと同一の吐出発数nにおける駆動回路120の温度の実測値と基準温度プロファイルにおける温度との乖離が大きくなる。
したがって、このときの乖離度に基づき圧電素子300に至る電路でのショートの発生を検出することができる。
さらに、本形態においては温度検出センサー115の検出信号はCPU111に直接供給される。そこで、CPU111は前記検出信号に基づき駆動回路120自体の内部温度を監視し、この内部温度が所定値(例えば95℃)を超える場合に損傷を未然に防止すべくアラーム118を発するようになっている。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では温度検出センサーを駆動回路120に内蔵させているが、これは外部に配設しても構わない。要は、ジュール熱による温度上昇を検出し得るような構成となっていれば良い。
また、基準温度プロファイルおよび実測温度プロファイルの横軸は吐出発数としたが、圧電素子300の駆動回数、電圧積分値、微振動秒数等に限らず、圧電素子300に流れ込む電流の積算値、すなわち通電量であれば良い。縦軸の温度はジュール熱に基づくものであるので、横軸は圧電素子300に流れ込む電流の積算値、すなわち通電量とすれば正常時と異常時との峻別を良好に行い得るからである。このように横軸を電流の積算値とした場合、駆動信号の波形に依存しない検出が可能になる。
したがって、印刷用の駆動信号S1の他に異常を検出するための異常検出モードに固有の他の駆動信号を圧電素子300に供給して基準温度プロファイルを生成する一方、異常検出モードにおいて他の駆動信号を圧電素子300に供給して実測した駆動回路120の温度に基づき実測プロファイル生成部113で実測温度プロファイルを生成することもできるが、次のような構成とすることも可能である。
すなわち、印刷モードにおける所定の駆動信号S1を圧電素子300に供給して基準温度プロファイルを生成する一方、印刷中に実測した駆動回路120の温度に基づき実測温度プロファイルを生成するような構成とすることもできる。
また、上記実施の形態における記録ヘッド10は、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電素子300を用いたもので説明したが、特にこれに限定する必要はない。例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。
なお、図1に示す実施の形態は、記録シートSの搬送方向と交差する方向(主走査方向
)に移動するキャリッジ3に記録ヘッドユニット1A,1Bを搭載し、記録ヘッドユニット1A,1Bを主走査方向に移動させながら印刷を行う、いわゆるシリアル型のインクジェット式記録装置であるがこれに限るものではない。記録ヘッド本体が固定されて記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット記録装置であっても、勿論構わない。
さらに上記実施の形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体
有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
I 記録装置(インクジェット式記録装置)、 1A、1B 記録ヘッドユニット、 10 記録ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)、 12 圧力発生室、 21 ノズル開口、 110 制御装置、 111 CPU、 112 基準プロファイル記憶部、113 実測プロファイル生成部、 114 比較部、 115 温度検出センサー、
300 圧電素子、 S1 駆動信号

Claims (5)

  1. 駆動信号により駆動される圧力発生手段により圧力発生室の液体に圧力変化を生じさせ、前記圧力発生室内の液体をノズル開口を介して吐出させる液体噴射ヘッドと、
    前記圧力発生手段に供給する前記駆動信号を生成する制御手段と、
    前記制御手段の温度を検出する温度検出センサーとを有するとともに、
    前記制御手段が、基準プロファイル記憶手段と、実測プロファイル生成手段と、比較手段とを有しており、
    さらに前記基準プロファイル記憶手段が、前記駆動信号に基づく駆動電流の積算量を表す積算電流量に対する前記温度検出センサーで検出した正常時の前記制御手段の温度を表す特性である基準温度プロファイルを記憶しているものであり、
    前記実測プロファイル生成手段が、前記積算電流量に対する前記温度検出センサーで検出した前記制御手段の実測温度を表す特性である実測温度プロファイルを生成するものであり、
    前記比較手段が、前記基準温度プロファイルの所定の積算電流量における温度と前記積算電流量と同一量における前記実測プロファイルの温度とを比較し、両者の温度差が所定の閾値を超えたとき異常であると判断して、これを表す異常信号を送出するものであることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 請求項1に記載する液体噴射装置において、
    前記温度検出センサーは、前記圧力発生手段に前記駆動信号を供給するICで形成した駆動回路の内部に配設されたものであることを特徴とする液体噴射装置。
  3. 請求項2に記載する液体噴射装置において、
    前記温度検出センサーは、前記駆動回路の温度を管理するため前記駆動回路の内部に配設された温度検出センサーと兼用するものであることを特徴とする液体噴射装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する液体噴射装置において、
    前記制御手段は、印刷用の前記駆動信号の他に前記異常を検出するための異常検出モードに固有の他の駆動信号を前記圧力発生手段に供給して前記基準温度プロファイルを生成するとともに生成した基準温度プロファイルを基準プロファイル記憶手段に記憶する一方、前記異常検出モードにおいて前記他の駆動信号を前記圧力発生手段に供給して実測した前記温度に基づき前記実測プロファイル生成手段で前記実測温度プロファイルを生成するものであることを特徴とする液体噴射装置。
  5. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する液体噴射装置において、
    前記制御手段は、印刷モードにおける所定の前記駆動信号を前記圧力発生手段に供給して前記基準温度プロファイルを生成するとともに生成した基準温度プロファイルを基準プロファイル記憶手段に記憶する一方、印刷中に実測した前記温度に基づき前記実測プロファイル生成手段で前記実測温度プロファイルを生成するものであることを特徴とする液体噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7537156B2 (ja) 2020-07-27 2024-08-21 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置、及びヘッドユニット

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