本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
図1は、本発明の潜像印刷物(1)を示す図であり、基材(2)上に印刷画像(3)を備えて成る。
図2に、印刷画像(3)を構成する各画像要素の概念図を示す。印刷画像(3)は、第一の画像(4)の上に第二の画像(5)が形成されて成る。第一の画像(4)は、一様な階調で形成された第一の背景部(6)と、第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字を表した第一の情報部(7)から成る。第一の背景部(6)は、第一の背景部(6)を形成している第一の背景画線(後述する)における一部の位相をずらすことによって、第三の有意情報であるアルファベットの「C」の文字をポジで表した第一のポジ画線群(8)と、第三の有意情報をネガで表した第一のネガ画線群(9)に区分けされる。
第二の画像(5)は、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字をポジで表した第二のポジ画線群(10)と、第二の有意情報をネガで表した第二のネガ画線群(11)から成る。なお、第二の画像を構成する第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)は、盛り上がりのある画線で形成される。
図3に、第一の画像(4)の詳細な画線構成図を示す。図3(a)に示す第一の画像(4)は、第一の背景部(6)と第一の情報部(7)から成る。
図3(b)に示すように、第一の背景部(6)は、画線幅(W1)の第一の背景画線(12)が、第一の方向(図中上下方向)にピッチ(P1)で連続して複数配置されて成り、第一の背景画線(12)における一部の位相をずらすことによって、第三の有意情報をネガ及びポジで表して成る第一のネガ画線群(9)と第一のポジ画線群(8)に区分けされている。
なお、本発明でいうネガとは、有意情報自体が淡く、一方の有意情報の周囲は濃い状態とし、本発明でいうポジとは、有意情報自体が濃く、一方の有意情報の周囲は淡い状態を指す。
第一の背景画線(12)における位相のずれは、第一の背景画線(12)のピッチ(P1)の1/2ピッチであることが最も望ましい。これは、後述する観察角度領域Cにおける第三の有意情報の視認性を高く保つためである。
図3(c)に示すように、第一の情報部は、ピッチ(P1)で第一の方向に連続して配置されて第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字を形成する第一の情報画線(13)を有している。第一の情報画線(13)を形成する形態を説明する。
その形態の一例として、図3(c)に示すように、第一の情報部(7)は、ピッチ(P1)の中に画線幅(W2)の第一の情報画線(13)が二本配置され、それを一組として間に幅(W1)の非画線部を有し、ピッチ(P1)で複数配置されて成る。この場合も同様に、第一の情報画線(13)は、第一の背景画線(12)における位相のずれに対応して、少なくとも一部の位相をずらすことによって、第一の背景画線(12)と重複しないように形成されている。
別の形態としては、第一の情報部(7)は、画線幅(W2)の2倍の画線幅を有する第一の情報画線(13)が、第一の方向(図中上下方向)にピッチ(P1)で連続して複数配置されてもよい。この場合は、前述した形態の一例がピッチ(P1)の中に第一の情報画線(13)が2本配置されているのに対し、本形態の一例では、ピッチ(P1)の中に第一の情報画線(13)が1本配置されることとなる。この場合も同様に、第一の情報画線(13)は、第一の背景画線(12)における位相のずれに対応して、少なくとも一部の位相をずらすことによって、第一の背景画線(12)と重複しないように形成されている。
第一の背景部(6)の画線面積率は、25%から75%の範囲で形成されることが望ましい。なお、最も望ましい面積率は50%である。第一の背景部(6)の画線面積率が25%以下又は75%以上の場合、第二の画像(5)の盛り上がりのある画線の重なり方によっては、後述する観察角度領域Cにおいて出現する第三の有意情報のコントラストが低くなり、容易に視認できなくなる可能性が高くなるため望ましくない。なお、本明細書中でいう画線面積率とは、一定の面積の中に画線の面積が占める割合を言う。
第一の情報部(7)の画線面積率は、第一の背景部(6)の画線面積率の10%以上75%以下であることが望ましい。10%以下の場合、後述する観察角度領域Aにおける観察で視認される第一の有意情報のコントラストが低くなり、容易に視認できなくなるためであり、75%以上の場合、観察角度領域B及び観察角度領域Cにおける観察において、第一の有意情報が消失しきらない場合があるためである。
以上のように、第一の画像(4)は、その中に第一の有意情報と、第三の有意情報を備える。第一の有意情報は、第一の画像(4)の万線パターンの面積率の大小によって表され、第三の有意情報は万線パターンの第一の方向(図中上下方向)の位相のずれによって表されて成る。この第一の画像(4)は、基材(2)と異なる色を有するインキを用いて形成する。色はいかなる色でもよく、通常の着色インキを用いるほかに、金や銀のようなメタリック系インキを用いたり、高光沢なグロス系インキを用いたりすることで、より高いチェンジングの効果を得ることができる。
第一の画像(4)を印刷する場合の印刷方式は、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、凹版印刷等、いかなる方式を用いてもよいが、印刷した画線に高すぎる盛り上がりが形成された場合には、続いて重ね合わせる第二の画像(5)の印刷に悪影響を与えることがあるため、過剰に盛り上がりのある画線を形成してしまう印刷方式は好ましくない。最も好ましいのはオフセット印刷であり、高解像度な第一の画像(4)を容易に形成することができる。また、インキジェットプリンタやレーザプリンタ等のデジタル印刷機器を用いて形成しても何ら問題はない。
なお、説明の便宜上、実施の形態や実施例1及び実施例2の第一の画像(4)の説明図において、第一の画像(4)を構成している画線を縦線や横線、あるいは斜め線等によって記載しているが、実際には全て塗りつぶしの画線である。
図4に、第二の画像(5)を示す。第二の画像(5)は、図2で示したとおり、第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)から成る。
第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)は、正反射光下において反射光量の差異により第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字を可視化させる機能を有し、かつ、傾けた場合には、第三の有意情報であるアルファベットの「C」の文字を出現させるための壁として機能する。これらの具体的な機能については後記する。
第二のポジ画線群(10)は、画線輪郭部及び/又は画線内部の少なくとも一部に、画線が存在しない非画線領域(欠損部分)を備える。第二のポジ画線群(10)に非画線領域を設けることによって、一方の連続した直線で構成された第二のネガ画線群(11)とは異なる立体構造を付与し、入射する光に対して、第二のネガ画線群(11)とは異なる反射光を生じさせて光のコントラストを生じさせて、第二の有意情報を可視化させることができる。また、第二の有意情報の視認性を高めるために、非画線領域は、一定の周期性を有する構造であることが望ましい。この非画線領域は拡散反射光下で容易に目視できない程度の大きさで形成することが望ましい。
一例として、図4に示す第二のポジ画線群(10)は、少なくとも一部に非画線部を有する画線幅(W4)の第二のポジ画線(15)が、第一の方向(図中上下方向)にピッチ(P1)で連続して複数配置されて、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字をポジで形成している。
この場合における少なくとも一部に非画線部を有する第二のポジ画線(15)とは、画線幅(W4)の画線をベースとして、第一の方向(図中上下方向)と直交する角度にピッチ(P2)、幅(W5)で分断された画線のことである。
ただし、この形態は一例であり、その他の形態として図5に示す。
図5(a)に示す形態は、図4で説明した形態と同様である。
図5(b)に示す形態は、第二のポジ画線(15)における画線を分断し、かつ分岐させた、いわゆる分断分岐画線とした例であり、この形態では上下左右あらゆる方向から入射する光に対して、第二のネガ画線(14)との間に光のコントラストを生じさせることができる。
図5(c)に示す形態は、第二のポジ画線(15)における画線の一部分の位相を第一の方向にずらした、いわゆる位相変調画線とした例であり、この形態においても上下左右あらゆる方向から入射する光に対して、第二のネガ画線(14)との間に光のコントラストを生じさせることができる。
図5(d)に示す形態は、第二のポジ画線(15)における画線幅方向に沿って両方の画線面に切り込みを設けた骨画線とした例であり、この形態でも上下左右あらゆる方向から入射する光に対して、第二のネガ画線(14)との間に強い光のコントラストを生じさせることができる。また、図示はしていないが、画線幅方向に沿って一方の画線面のみに切り込みを設けた形態でもよい。
第二のネガ画線群(11)は、画線幅(W3)の第二のネガ画線(14)が、第一の方向(図中上下方向)にピッチ(P1)で連続して複数配置されて、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字をネガで形成している。
第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)の画線面積率は、10%から90%の範囲で形成することが望ましい。10%以下や90%以上で形成すると、後述する観察角度領域Cにおいて出現する第三の有意情報が充分な視認性を得られず、不明瞭となるためである。
第二の画像(5)を形成する画線が透明である場合、第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)の画線面積率はお互いに異なっていても問題ないが、第二の画像(5)を形成する画線が半透明である場合、第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)の画線面積率は略等しいことが望ましい。第二の画像(5)を形成する画線が不透明である場合、拡散反射光下のいずれかの角度から観察した場合に第二の有意情報が視認されてしまう場合がある。よって、第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)の面積率は略等しいことが望ましい。
第二のネガ画線(14)の画線幅(W3)と第二のポジ画線(15)の画線幅(W4)が異なる構成のとき、互いの画線幅の差が大きすぎると、後述する観察角度領域Cで出現する第三の有意情報の濃淡の中に第二の有意情報の濃淡が反映されて、不明瞭な画像となる場合がある。そのため、第二のネガ画線(14)の画線幅(W3)と第二のポジ画線(15)の画線幅(W4)の差異は、2倍以下に留める必要がある。
また、前述したように、第二のポジ画線(15)又は第二のネガ画線(14)が、画線を完全に分断した分断線であり、かつ、その分断線が単純に第一の方向に一定のピッチで配置された構成を用いる場合には、分断された画線と画線の間の非画線部の幅は0.2mm以下に留めることが望ましい。0.2mmを超えた場合、後述する観察角度領域Cにおける観察において、盛り上がりのある画線の遮蔽効果が機能せず、第三の有意情報の発現効果が低下する場合があるためである。
しかし、後述する実施例1のように、画線が完全に分断された分断線を用いるものの、その分断線は第一の方向に隣り合った分断線の非画線領域の位相をわずかにずらして配置した場合や、後述する実施例2のように、画線を完全に分断せず、画線輪郭部のみを分断して画線中心のみつながった分断線を用いた場合にはこの限りではない。
第二の画像(5)は、透明か、あるいは半透明なカラーフリップフロップ性を有するインキを用いて、盛り上がりのある画線で形成する。不透明なインキを用いた場合には、第一の情報画線(13)が第二の画像(5)によって隠蔽され、第一の有意情報の視認性が低下してしまうために好ましくない。第二の画像(5)については、盛り上がりが必要であることから、フレキソ印刷やグラビア印刷でも形成可能であるが、高い画線の盛り上がりを容易に形成可能な凹版印刷やスクリーン印刷で形成することがより望ましい。
第二の画像(5)の画線の盛り上がりは、適切な画線ピッチで構成すれば2μmあれば効果を発揮する。最大高さは、効果の面から考えると特に制限が生じるものではないが、潜像印刷物の耐摩擦性や流通適性から考えると50μm以下に留めることが望ましい。
なお、本明細書で言うカラーフリップフロップ性とは、正反射した場合に、色相が変化する特性のことであり、光沢インキや金属インキ等が有する明暗のみが変化する明暗フリップフロップ性とは異なり、正反射時の色変化に富んだ性質のことである。このカラーフリップフロップ性を備えた材料としては、近年多種多様な顔料が販売されているが、現在市販されている代表的な顔料としては、虹彩色パール顔料、鱗片状マイカ顔料、鱗片状金属顔料、ガラスフレーク顔料、コレステリック液晶顔料等が存在する。
これらの顔料を適量分散させてインキ化し印刷することで、透明性あるいは半透明であって、カラーフリップフロップ性を備えた画線を形成することが可能である。本明細書中では、主に虹彩色パール顔料を用いて第二の画像(5)を形成している。虹彩色パール顔料を含んで形成された画線は、拡散反射光下では無色透明であり、正反射光が生じた場合にのみ特定の色相の干渉色を発する特徴を有している。
高いカラーフリップフロップ性を付与したい場合には、盛り上がりのある画線の表面にカラーフリップフロップ性を有する顔料が画線表面にそろって配向していることが望ましく、このような状態は一般にリーフィングと呼ばれる。優れたリーフィング効果を得る方法としては、例えば特開2001−106937号公報に記載の技術のように顔料に撥水及び撥油性を付与する方法がある。
以上のような第二の画像(5)を、第一の画像(4)を形成した上に重ねて、図6に示すように印刷画像(3)を形成する。第一の画像(4)の画線群と第二の画像(5)の画線群は平行に重ね合わせる必要がある。
図7(a)〜(d)に、第一の画像(4)と第二の画像(5)の重なりの位置がそれぞれ異なる場合の、潜像印刷物(1)の一部を拡大した正面図と、A−A´の断面から見た断面図を示す。
図7(a)は、第一の背景画線(12)の中心に、第二のネガ画線(14)がちょうど重なる状態であり、図7(b)は、第一の背景画線(12)と、第二のネガ画線(14)が大きく重なる状態であり、図7(c)は、第一の背景画線(12)と、第二のネガ画線(14)が重ならない状態であり、図7(d)は、第一の背景画線(12)と、第二のネガ画線(14)が完全に一致した状態であり、このいずれの場合でも本発明の潜像印刷物(1)を形成することができ、一定の効果を得ることができる。
ただし、第二の画像(5)の盛り上がりのある画線が半透明であって、やや光の遮断性の強い画線である場合、図7(c)と図7(d)のように、二つの画線が重なるか、重ならないかの最も極端な違いが生じた状態では、第一の画像(4)の画線と第二の画像(5)の画線が干渉することで、第三の有意情報が拡散反射光下で可視化される場合があり、好ましくない。この場合に限り、図7(a)か、図7(b)に示す位置関係で二つの画像を重ね合わせることが望ましい。
次に、本発明の潜像印刷物(1)の効果について、図8を用いて説明する。図8(a)に、光源(16)と潜像印刷物(1)と観察者の視点(17a、17b、17c)の位置関係を示し、図8(b)、図8(c)、図8(d)にそれぞれの視点(17a、17b、17c)で観察者が視認できる画像を示す。なお、本実施の形態の説明においては、光源(16)から約45度の角度で潜像印刷物に光が入射する例で説明する。
まず、観察者の視点が視点(17a)にある場合、光源(16)から入射する光の角度と、潜像印刷物(1)から反射して視点(17a)に達する光の角度が大きく異なる。この状態では、観察者の視点(17a)に達する反射光の中に正反射光はほとんど存在せず、拡散反射光が支配的となる。本明細書中では、この観察角度領域を観察角度領域Aと呼ぶこととする。なお、観察角度領域Aは、後述する観察角度領域Bを挟んで反対側にも存在する。
この観察角度領域Aの中に観察者の視点(17a)がある場合、観察者には図8(b)に示す第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が観察される。観察される画像は、第一の画像(4)を形成したインキの色彩で視認される。
続いて、観察者の視点が視点(17b)にある場合、光源(16)から入射する光の角度と、潜像印刷物(1)から反射して視点(17b)に達する光の角度が同じか、近い値と成る。この状態では、観察者の視点(17b)に達する反射光の中に正反射光の割合が著しく増え、正反射光が支配的であって、拡散反射光が極端に少ない状態となる。本明細書中では、この観察角度領域を観察角度領域Bと呼ぶこととする。
この観察角度領域Bの中に観察者の視点(17b)がある場合、観察者には図8(c)に示す第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字が観察される。また、入射する光の角度に応じて第二のポジ画線群(10)が強く光を反射するか、あるいは第二のネガ画線群(11)が光を強く反射するかの違いが生じ、いわゆる光の「ネガポジ反転効果」も生じる。この場合、観察される画像は、カラーフリップフロップ性を有する顔料の干渉色の濃淡によって視認される。
最後に、観察者の視点が視点(17c)にある場合、光源(16)から入射する光の角度と、潜像印刷物(1)から反射して視点(17c)に達する光の角度が大きく異なるため、観察角度領域Aと同じく拡散反射光が支配的となり、第二の画像(5)のカラーフリップフロップ性は失われて第二の有意情報は不可視となる。ただし、第二の画像(5)を極めて深い角度から観察した場合、盛り上がりのある画線の表面は、画線群を形成する材料に含まれている顔料成分による光の散乱や屈折が大きくなることで、画線の透明度がみかけ上は低下し、透明あるいは半透明だった画線が不透明なやや白みがかった色に変化する。よって、正対した状態では透明あるいは半透明であった第二の画像(5)の画線群が、深い角度の観察においては、第一の画像(4)を形成する画線群や基材を観察者の視点(17c)から遮蔽する壁として機能する。盛り上がりのある画線の手前にある画線は見え、盛り上がりの画線の奥にある画線は見えなくなる、いわゆる遮蔽効果が観察角度領域Cにおいて生じる。本明細書中では、この観察角度領域を観察角度領域Cと呼ぶこととする。
この観察角度領域Cの中に観察者の視点(17c)がある場合、観察者には図8(d)に示す第三の有意情報であるアルファベットの「C」の文字が観察される。また、第一の背景画線(12)に対する、第二のネガ画線(14)及び第二のポジ画線(15)の重なった位置関係に応じて、第一のポジ画線群(8)が濃く見えるか、あるいは第一のネガ画線群(9)が濃く見えるかの違いが生じ、図8(d)に示すように、第三の有意情報がネガで見える場合と、ポジで見える場合とがある。この場合、観察される画像は、第一の画像(4)を形成したインキの色彩の濃淡によって視認される。なお、観察者の視点(17c)から第三の有意情報がネガで見えた場合、潜像印刷物を第一の方向で上下を反転させて観察すると濃淡が反転してポジで見え、逆に観察者の視点(17c)から第三の有意情報がポジで見えた場合、潜像印刷物を第一の方向で上下を反転させて観察すると濃淡が反転してネガで見える、「ネガポジ反転効果」も生じる。
以上が、本発明の潜像印刷物(1)の効果であるが、以下に以上の効果が発現する原理について説明する。まず、観察角度領域Aにおいて、第一の画像(4)は着色されて成る一方で第二の画像(5)は透明か半透明であることから、第一の画像(4)のみが視認される。
観察角度領域Bにおいて、第二の画像(5)はカラーフリップフロップ性を有した画線で形成されているために特定の干渉色を呈する。また、盛り上がりのある立体構造物は、入射した光と法線を成す立体物表面が最も強く光を反射し、逆に、入射した光と平行な角度の立体物表面の反射する光が小さい。第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)とはいずれも盛り上がりを有する画線であるものの、それぞれ画線細部の立体構造が異なるため、特定の方向から光が入射した場合に、反射する光の強弱が生じ、それによって第二のポジ画線群(10)と第二のネガ画線群(11)との間に一定のコントラストが得られ、第二の有意情報が出現する。このとき、第一の画像(4)は、第一の情報部(7)の濃度に適切な制限を設けているために、第二の画像(5)から発せられる強い光の反射によって隠蔽される。よって、観察角度領域Bでは第二の有意情報のみが視認される。
観察角度領域Cにおいては、正反射光がほとんど生じないことから、第二の画像(5)に含まれる第二の有意情報は不可視となる一方、第一の画像(4)のうちの一部の画線は、第二の画像(5)の盛り上がりのある画線群によって隠蔽される。この隠蔽効果の説明のため、図9(a)に、観察者が潜像印刷物(1)をA´−B´ライン側から第一の方向と平行に、観察角度領域C中に視点をおいて観察する図を示し、また、この場合のB´−Bラインの断面図を図9(c)に示し、A´−Aラインの断面図を図9(b)に示す。第一の背景画線(12)は、ピッチ(P1)の2分の1だけ第一の方向に位相がずれていることから、図9(b)に示すように、第一のポジ画線群(8)を形成している第一の背景画線(12)と第二のネガ画線(14)が重なっている場合、第一のネガ画線群(9)を形成している第一の背景画線(12)と第二のネガ画線(14)の重なりは、図9(c)に示すように、二つの画線の重なり合いの位相が逆転した関係となる。
図9(a)に示す状態で潜像印刷物(1)を観察した場合、盛り上がりのある画線による隠蔽効果が生じ、図9(b)に示すように、観察者の視点(17c)からは、第二のネガ画線(14)の手間にある第一のポジ画線群(8)を形成している第一の背景画線(12)が視認できる一方、図9(c)に示すように、観察者の視点(17c)からは、第二のネガ画線(14)の奥にある第一のネガ画線群(9)を形成している第一の背景画線(12)は視認できない。よって、第一のポジ画線群(8)が濃くなり、第一のネガ画線群(9)は淡くなることで、第三の有意情報であるアルファベットの「C」の文字が出現する。このとき、第一の画像(4)の中の第一の有意情報は、第一の情報部(7)の濃度に適切な制限を設けているために、二つの画線の干渉によって生じる強い濃淡によって隠蔽される。よって、観察角度領域Cでは第三の有意情報のみが視認される。
以下、前述の発明を実施するための形態に従って、具体的に作成した潜像印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
実施例1について、図10から図14を用いて説明する。実施例1は、第一の画像をオフセット印刷で形成し、第二の画像をスクリーン印刷で印刷して潜像印刷物を形成した例である。
図10に、実施例1の潜像印刷物(1−1)を示す。潜像印刷物(1−1)は、基材(2−1)に一般的な白色上質紙(日本製紙製 NPIフォーム用紙)を用い、赤色の印刷画像(3−1)を形成した。
図11に、印刷画像(3−1)を構成する各画像要素を示す。印刷画像(3−1)は、第一の画像(4−1)の上に第二の画像(5−1)が形成されて成る。第一の画像(4−1)は、一様な階調で形成された第一の背景部(6−1)と、第一の有意情報であるアルファベットの「A」を表した第一の情報部(7−1)から成る。第一の背景部(6−1)は、第三の有意情報であるアルファベットの「C」をポジで表した第一のポジ画線群(8−1)と、第三の有意情報をネガで表した第一のネガ画線群(9−1)に区分けされる。
第二の画像(5−1)は、第二の有意情報であるアルファベットの「B」をポジで表した第二のポジ画線群(10−1)と、第二の有意情報をネガで表した第二のネガ画線群(11−1)から成る。第二の画像を構成する第二のポジ画線群(10−1)と第二のネガ画線群(11−1)は、盛り上がりのある画線で形成される。なお、図10の印刷画像(3−1)の図中に「B」の文字が現れているが、実際には「B」の文字は不可視であり、第一の有意情報である「A」の文字のみが視認される。
図12に、第一の画像(4−1)の詳細な画線構成図を示す。図11に示したように第一の画像(4−1)は、第一の背景部(6−1)と第一の情報部(7−1)から成る。
第一の背景部(6−1)は、画線幅0.15mmの第一の背景画線(12−1)が、第一の方向に0.3mmピッチで連続して複数配置されて成り、第一の背景画線(12−1)における一部の位相を第一の方向に0.15mmずらすことによって、第三の有意情報をネガ及びポジで表して成る第一のポジ画線群(8−1)と第一のネガ画線群(9−1)に区分けされている。
第一の情報部は、第一の有意情報であるアルファベットの「A」を形成する第一の情報画線(13−1)を有している。その形態として、0.3mmピッチの中に画線幅0.02mmの第一の情報画線(13−1)が二本配置され、それを一組として0.15mmの幅の非画線部を有し、第一の方向に0.3mmピッチで複数配置されて成る。第一の情報画線(13−1)は、第一の背景画線(12−1)における位相のずれに対応して、少なくとも一部の位相を第一の方向に0.15mmずらすことによって、第一の背景画線(12−1)と重複しないように形成されている。
実施例1における第一の背景部(6−1)の画線面積率は、50%である。また、一方の第一の情報部(7−1)の画線面積率は13%であることから、第一の情報部(7−1)の画線面積率は、第一の背景部(6−1)の画線面積率の26%である。
以上のような構成の第一の画像(4−1)を、UV乾燥方式のウェットオフセット印刷によって赤色の着色インキ(DaiCuue アビリオ プロセス 紅N)で基材(2−1)上に印刷した。
図13に、第二の画像(5−1)を示す。第二の画像(5−1)は、第二のポジ画線群(10−1)と第二のネガ画線群(11−1)から成る。第二のポジ画線群(10−1)と、第二のネガ画線群(11−1)とは、画線面積率の略等しい二つの盛り上がりを有する画線によって形成した。
第二のポジ画線群(10−1)は、少なくとも一部に非画線部を有する画線幅0.2mmの第二のポジ画線(15−1)が、第一の方向(図面上下方向)に0.3mmピッチで連続して複数配置されて、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字をポジで形成している。
少なくとも一部の非画線部を有する第二のポジ画線(15−1)とは、図13に示すように、画線幅0.3mmの画線をベースにして、第一の方向(図面上下方向)と直行する角度で幅0.15mm及び0.2mmピッチで分断された画線のことである。
第一の方向に隣り合う第二のポジ画線(15−1)同士の非画線領域は、第一の方向と直交する方向に0.05mm(分断線の非画線領域の幅にあたる)ずらして配置した。このように第一の方向に隣り合う第二のポジ画線(15−1)同士の非画線領域をずらすことによって、非画線領域を設けることで損なわれる傾向のある、観察角度領域Cにおける盛り上がりのある画線の遮蔽効果を補い、観察角度領域Cにおいて第二の有意情報が可視化されることを防ぐことができる。
第二のネガ画線(14−1)は、画線幅0.15mmの画線であり、0.3mmピッチで第一の方向に連続して複数配置されて、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字をネガで表した第二のネガ画線群(11−1)を形成して成る。第二のポジ画線(15−1)と第二のネガ画線(14−1)の画線面積率は等しく、第二のポジ画線群(10−1)と第二のネガ画線群(11−1)の面積率も50%で等しい。以上のような構成の第二の画像を表1のスクリーンインキを用いて、UV乾燥方式のスクリーン印刷で第一の画像(4−1)の上に印刷して本発明の潜像印刷物(1−1)を得た。第二の画像(5−1)の画線の盛り上がり高さは約10μmであった。
表1に示すインキは、光が入射することで金色の干渉色を発する虹彩色パール顔料を含んでおり、本インキで形成した画線は、正反射光が生じない状態では無色透明であって、正反射光が生じた状態では金色の干渉色を発する画線となる。なお、本インキに混合した虹彩色パール顔料は顔料表面に撥水及び撥油性を付与し、盛り上がりのある画線表面に配向する特性を有している。
実施例1における潜像印刷物(1−1)の効果について図14を用いて説明する。図14(a)に、光源(16−1)と潜像印刷物(1−1)と観察者の視点(17a−1、17b−1、17c−1)の位置関係を示し、図14(b)、図14(c)、図14(d)にそれぞれの視点(17a−1、17b−1、17c−1)で観察者が視認できる画像を示す。
観察者の視点(17a−1)が観察角度領域Aの中にある場合、図14(b)に示す第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が赤色で観察された。
観察者の視点が視点(17b−1)の観察角度領域Bの中にある場合、図14(c)に示す第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字が虹彩色パール顔料の干渉色である金色の光の強弱によって観察された。また、潜像印刷物(1−1)をわずかに傾けて入射する光の角度を変えたところ、図11に示した第二のポジ画線群(10−1)が強く光を反射するか、あるいは第二のネガ画線群(11−1)が光を強く反射するかの違いが生じ、金色の光の「ネガポジ反転効果」も生じることが確認できた。
観察者の視点(17c−1)が観察角度領域Cにある場合、図14(d)に示す第二の有意情報であるアルファベットの「C」の文字が、図11に示した第一のポジ画線群(8−1)は濃い赤色で、第一のネガ画線群(9−1)は淡い赤色で観察された。加えて、潜像印刷物(1−1)を第一の方向で上下を反転させて観察すると第二の有意情報であるアルファベットの「C」の文字と周囲の濃淡が反転し、第一のポジ画線群(8−1)は淡い赤色で、第一のネガ画線群(9−1)は濃い赤色で観察され、「ネガポジ反転効果」も備えることが確認できた。
実施例2について、図15から図21を用いて説明する。実施例2は、第一の画像(4−2)を二種類の異なる色相のインキを用いて形成し、色彩表現豊かな潜像印刷物(1−2)を形成した例である。
図15に、実施例2の潜像印刷物(1−2)を示す。潜像印刷物(1−2)は、基材(2−2)に一般的な白色コート紙(国立印刷局製 オフセットコート用紙)を用い、緑色の印刷画像(3−2)を形成した。
図16に、印刷画像(3−2)を構成する各画像要素を示す。印刷画像(3−2)は、第一の画像(4−2)の上に第二の画像(5−2)が重ね合わせて形成されて成る。第一の画像(4−2)は、一様な階調で形成された第一の背景部(6−2)と、第一の有意情報であるアルファベットの「A」を表した第一の情報部(7−2)から成る。第一の背景部(6−2)は、第三の有意情報であるアルファベットの「C」をポジで表した第一のポジ画線群(8−2)と、第三の有意情報をネガで表した第一のネガ画線群(9−2)に区分けされる。
第二の画像(5−2)は、第二の有意情報であるアルファベットの「B」をポジで表した第二のポジ画線群(10−2)と、第二の有意情報をネガで表した第二のネガ画線群(11−2)から成る。なお、第二の画像(5−2)を構成する第二のポジ画線群(10−2)と第二のネガ画線群(11−2)は、盛り上がりのある画線で形成した。なお、図15の印刷画像(3−2)の図中に「B」の文字が現れているが、実際には「B」の文字は不可視であり、第一の有意情報である「A」の文字のみが緑色で視認される。
図17に、第一の画像(4−2)の詳細な画線構成図を示す。第一の画像(4−2)は、図示しない第一の背景部(6−2)と第一の情報部(7−2)から成る。
第一の背景部は、第一の背景画線A(12a−2)と第一の背景画線B(12b−2)の二種類の画線から形成され、第一の情報部は、第一の背景部を形成しているそれぞれの画線に隣接する第一の情報画線A(13a−2)と第一の情報画線B(13b−2)の二種類の画線から成る。
図18に、第一の背景部(6−2)を形成する画線構成を示す。第一の背景部(6−2)は、画線幅0.1mmの第一の背景画線A(12a−2)と画線幅0.1mmの第一の背景画線B(12b−2)が、第一の方向に0.4mmピッチで連続して配置されて成り、第一の背景画線A(12a−2)と第一の背景画線B(12b−2)における一部の位相を第一の方向に0.2mmずらすことによって、第三の有意情報をネガ及びポジで表して成る第一のネガ画線群(9−2)と第一のポジ画線群(8−2)に区分けされている。
図19に、第一の情報部(7−2)を形成する画線構成を示す。第一の情報部(7−2)は、第一の有意情報であるアルファベットの「A」を形成する第一の情報画線A(13a−2)と第一の情報画線B(13b−2)を有している。
その形態として、0.4mmピッチの中に画線幅0.02mmの第一の情報画線A(13a−2)が二本配置され、それを一組として0.1mmの幅の非画線部を有し、第一の方向に0.4mmピッチで複数配置されて成る。さらに、0.4mmピッチの中に画線幅0.02mmの第一の情報画線B(13b―2)が二本配置され、それを一組として0.1mmの幅の非画線部を有し、第一の方向に0.4mmピッチで複数配置されて成る。第一の情報画線B(13b−2)も、第一の背景画線B(12b−2)における位相のずれに対応して、少なくとも一部の位相を第一の方向に0.2mmずらすことによって、第一の背景画線B(12b−2)と重複しないように形成されている。
第一の背景部を形成している第一の背景画線A(12a−2)及び第一の背景画線B(12b−2)と、第一の情報部を形成している第一の情報画線A(13a−2)及び第一の情報画線B(13b−2)の位置関係について図17を用いて説明する。
第一の情報画線A(13a−2)は、第一の背景画線A(12a−2)の上下両端にそれぞれ隣接し、第一の情報画線B(13b−2)は、第一の背景画線B(12b−2)の上下両端にそれぞれ隣接して成り、第一の有意情報であるアルファベットの「A」を表して成る。
実施例2における第一の背景部(6−2)の画線面積率は、50%である。また、一方の第一の情報部(7−2)の画線面積率は20%であることから、第一の情報部(7−2)の画線面積率は、第一の背景部(6−2)の画線面積率の40%である。
以上のような構成の第一の画像(4−2)を、二種類の異なる色相のインキを用いてUV乾燥方式のウェットオフセット印刷で形成した。具体的には、第一の背景画線A(12a−2)と第一の情報画線A(13a−2)を青色の着色インキ(DaiCuue アビリオ プロセス 藍N)で印刷し、第一の背景画線B(12b−2)と第一の情報画線B(13b−2)を黄色の着色インキ(DaiCuue アビリオ プロセス 透明黄N)で、それぞれ基材(2−2)上に印刷した。なお、面積率の等しい青色の画線と黄色の画線が容易に目視できない程度の間隔で密集しているために、第一の画像(4−2)は混色した緑色と認識される。
図20に、第二の画像(5−2)を示す。第二の画像(5−2)は、図示しない第二のポジ画線群(10−2)と第二のネガ画線群(11−2)から成る。第二のポジ画線群(10−2)と、第二のネガ画線群(11−2)とは、画線面積率の略等しい二つの盛り上がりを有する画線によって形成した。
第二のポジ画線(15−2)は、画線幅0.25mmの画線をベースとして第一の方向と直交する角度に0.3mmピッチで0.2mmの画線幅で分断された画線の中心に幅0.1mmの画線が重なった形状の分断線であって、この第二のポジ画線(15−2)が、0.4mmピッチで第一の方向に連続して配置されて、第二の有意情報であるアルファベットのBの文字をポジで形成している。
第二のネガ画線(14−2)は、画線幅0.2mmの画線であり、0.4mmピッチで第一の方向に連続して配置されて、第二の有意情報であるアルファベットのBの文字をネガで形成している。
第二のポジ画線(15−2)と第二のネガ画線(14−2)の画線面積率は等しく、第二のポジ画線群(10−2)と第二のネガ画線群(11−2)の面積率も50%で等しい。
以上のような構成の第二の画像を実施例1と同じ表1のスクリーンインキを用いて、UV乾燥方式のスクリーン印刷で第一の画像(4−2)の上に印刷して本発明の潜像印刷物(1−2)を得た。第二の画像(5−2)の画線の盛り上がり高さは約10μmであった。
実施例2における潜像印刷物(1−2)の効果について図21を用いて説明する。図21(a)に、光源(16−2)と潜像印刷物(1−2)と観察者の視点(17a−2、17b−2、17c−2)の位置関係を示し、図21(b)、図21(c)、図21(d)にそれぞれの視点(17a−2、17b−2、17c−2)で観察者が視認できる画像を示す。
観察者の視点(17a−2)が観察角度領域Aの中にある場合、観察者には図21(b)に示す第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が緑色で観察された。
観察者の視点が視点(17b−2)の観察角度領域Bの中にある場合、図21(c)に示す第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字が虹彩色パール顔料の干渉色である金色の光の強弱によって観察された。また、潜像印刷物(1−2)をわずかに傾けて入射する光の角度を変えたところ、図16に示した第二のポジ画線群(10−2)が強く光を反射するか、あるいは第二のネガ画線群(11−2)が光を強く反射するかの違いが生じ、金色の光の「ネガポジ反転効果」も生じることが確認できた。
観察者の視点(17c−2)が観察角度領域Cにある場合、図21(d)に示す第二の有意情報であるアルファベットの「C」の文字が、図17に示した第一のポジ画線群(8−2)は青色で、第一のネガ画線群(9−2)は黄色で観察された。加えて、潜像印刷物(1−2)を第一の方向で上下を反転させて観察すると第二の有意情報であるアルファベットの「C」の文字と周囲の色彩が反転し、第一のポジ画線群(8−2)は黄色で、第一のネガ画線群(9−2)は青色に変化する「色相反転効果」も備えていることが確認できた。