JP2013039312A - 内視鏡用挿入補助器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】術者が、被験者の向きを変更したときに、自分は場所を移動せずに、被験者の向きの変更の前の側から内視鏡を操作することを可能にした内視鏡用挿入補助器具を提供する。
【解決手段】被験者130の口に装着されるマウスピース8と、マウスピース8から湾曲して延出される湾曲筒部9と、湾曲筒部9から先端開口18の方向に向けて延出され、先端開口18の方向に向けて内径が漸増されたキャップ3とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、被験者の口を介して内視鏡を被験者の体内へ挿入する際に使用される内視鏡用挿入補助器具に関する。
従来、内視鏡による検査や治療に関する補助器具として、マウスピースやガイドチューブなどが使用されている(例えば特許文献1〜4)。従来の内視鏡用補助器具の中で、術者と被験者との相対位置の変更に対処したものは見当たらない。
一方、内視鏡を使った手術では、通常、内視鏡関連制御装置はベッドの頭側から見てベッドの左側に位置し、被験者はベッドに左向きに寝かせられる(左側臥位)。そして、術者は、ベッドに対して内視鏡関連制御装置側、すなわちベッドの左側にいて、左手に内視鏡操作器を、右手に内視鏡を持って、治療や検査を行っている。
特開2000−229062号公報 特開2008−289592号公報 特開2008−289520号公報 特開2007−75284号公報
被験者の左側臥位では、胃の一部が食道の底面より下に位置し、十二指腸は胃より上に位置している。したがって、出血箇所が胃の最下部近辺になっている場合、血が胃の下部に溜まり、内視鏡による出血箇所の観察及び処置が困難になる。
そこで、被験者を左側臥位から右側臥位に反転させて、胃内の血液を十二指腸の方へ排出するとともに、胃の出血箇所が、内視鏡により観察可能な上側になるようにする。しかし、その場合、術者は、被験者のマウスピースから内視鏡を挿入するために、被験者の向きに合わせて、ベッドの右側へ移動する必要がある。また、術者は、ベッドの右側では、内視鏡操作器と内視鏡のシャフトとの持ち手を変更する必要もある。通常の術者は、普段慣れている持ち手が変わってしまって、不慣れな操作を強いられるので、治療や処置の能率が低下してしまう。
本発明の目的は、術者が、被験者の向きが変更された場合にも、反対側へ移動することなく、同一側から内視鏡操作を可能にした内視鏡用挿入補助器具を提供することである。
本発明の内視鏡用挿入補助器具は、被験者の口から体内に内視鏡を導入する際に用いられるものであって、被験者の口に装着され、内視鏡が挿通可能な内径を有する筒状の装着部と、該装着部から湾曲して延出される湾曲筒部と、前記湾曲筒部から先端開口方向に向けて延出され、先端開口方向に向けて内径が漸増されたテーパ部とを備えていることを特徴とする。
術者は、装着部の軸方向とは異なる方向へ向けられたテーパ部の先端開口から内視鏡を挿入することにより、被験者の顔側に移動しなくても、内視鏡操作が可能になる。また、テーパ部は、先端開口方向に向けて内径が漸増されているので、術者による内視鏡の挿入方向が、テーパ部の先端開口の向きに対して多少ずれても、術者は、内視鏡を内視鏡用挿入補助器具の先端開口に円滑に挿入することができる。
本発明の一例では、前記湾曲筒部と前記テーパ部とが別部材で形成され、前記テーパ部が前記湾曲筒部に対して周方向に回動自在に装着されている。
テーパ部が湾曲筒部に対して周方向に回動することにより、テーパ部の先端開口の向きは変化する。こうして、先端開口の向きを微調整して、術者が内視鏡を先端開口へ一層挿入し易いものにすることができる。
本発明の一例では、前記湾曲筒部は、それぞれの中心角が80°〜100°の円弧状に形成されている同一形状の2部品から形成され、それぞれの部品が前記装着部、前記テーパ部、及び他方の部品に接続可能である。
湾曲筒部は、それぞれの中心角が80°〜100°の円弧状に形成されている同一形状の2部品から形成され、それぞれの部品が前記装着部、前記テーパ部、及び他方の部品に接続可能であるため、湾曲筒部を適宜1つ又は2つの部品により構成して、先端開口の向きについて2種類の内視鏡用挿入補助器具を用意して、状況に対処することができる。
また、湾曲筒部を2つの部品で構成する場合、それぞれの部品が同一形状であるため、術者は各部品の組み付けの順番を気にすることなく組み付けが可能となる。さらに、製造時においては、湾曲筒部を形成するための金型が1種類で済み、部品の管理等も容易となる。
本発明の一例では、前記テーパ部は、周壁の一部の稜線が直線状に形成され、該直線状の部分が前記装着部の軸方向に対して80°〜100°の範囲の角度に形成されると共に、その先端開口の周縁を含む平面が前記稜線に対して傾斜している。
テーパ部の周壁の一部の稜線を、装着部の軸方向に対して90°を中心に±10°の範囲としての80°〜100°の範囲の角度に形成することにより、直線状の周壁部分では、内視鏡を装着部の軸方向に対して80°〜100°の方向からテーパ部内への挿入が可能になる。また、テーパ部の先端開口の周縁を含む平面が前記稜線に対して傾斜しているため、広い角度から前記テーパ部に内視鏡を挿入することができる。また、挿入した内視鏡を前記テーパ部に沿って広い角度で動かすこともできる。
本発明の一例では、前記装着部は、被験者の口に装着されるマウスピースを含んでいる。
装着部がマウスピースと一体化されることにより、内視鏡用挿入補助器具の使用時に、内視鏡用挿入補助器具とマウスピースとを結合する手間を省くことができる。
本発明の一例では、前記装着部は、被験者の口に装着されるマウスピース又はオーバーチューブに着脱自在に形成されている。
装着部が、被験者の口に装着されるマウスピース又はオーバーチューブに着脱自在とされることにより、例えば、被験者が最初、左側臥位で処置した後、途中から右側臥位へ変更したとき、マウスピースやオーバーチューブは取り外すことなく保持したまま、内視鏡用挿入補助器具をマウスピース又はオーバーチューブに追加的に装着することができる。これにより、後から内視鏡用挿入補助器具が必要になった時の術者の処置を能率化することができる。
本発明の一例では、前記装着部において被験者の口よりも外部に位置する箇所、又は前記湾曲筒部の前記装着部との境界部近傍に、表裏を貫通して内部の液体を外部に排出可能な排液口が設けられている。
体液が内視鏡用挿入補助器具内に侵入して来た時は、排液口を介して内視鏡用挿入補助器具内の体液を排出することができる。
本発明の一例では、前記排液口が設けられている箇所の内壁は、前記装着部又は前記境界部において径方向外側へ突出する突出部となっており、前記突出部は前記装着部の軸方向を中心として回動自在に形成されている。
排液口が設けられている箇所の内壁は、装着部又は境界部において径方向外側へ突出する突出部となっており、突出部は装着部の軸方向を中心として回動自在に形成されることにより、突出部を内壁内の最低位置へ回動させることができる。この結果、内視鏡用挿入補助器具内の体液を、突出部に集めて、排液口から外部へ円滑に排出することができる。
補助器具の構造図。 別の補助器具の構造図。 図1又は図2の補助器具の元側の部品に代替させる各種の元側の部品の構造図。 体液排出構造付き補助器具の外観図。 図4の補助器具についての部品分解図。 別の体液排出構造付き補助器具の構造図。 さらに別の体液排出構造付き補助器具の構造図。 補助器具の使用状況についての説明図。 被験者への口当て部の装着状況についての説明図。
図1を参照して、補助器具1の構造について説明する。図1において、(a)は補助器具1の正面図、(b)は補助器具1の右側面図、(c)は補助器具1の背面図である。
補助器具1は、相互に別部材から成ってそれぞれ元側及び先側に配設される元側パイプ2及び先側のキャップ3を備える。元側パイプ2は、口当て部7と、口当て部7から両側へ延出するマウスピース8及び湾曲筒部9とを有している。マウスピース8は、被験者への口の装着の際には、被験者により噛まれるようになっている。
A1はマウスピース8の中心線を含む直線を示し、マウスピース8はA1に沿って延在している。湾曲筒部9は、ほぼ円弧状の中心線に沿って延在している。A2は、後で詳説するが、キャップ3の直線状壁面16の稜線を含む直線を示している。
口当て部7は、一方の方向が長幅、他方の方向が短幅となっており、使用の際には、長幅の方向が被験者の口の左右に合わせられる。口当て部7は、短幅方向(図1(c)の左右方向)の2辺の内の一方側は直線輪郭に、他方の側は外側へ凸の湾曲線の輪郭とされている。典型的には、直線側は被験者の鼻側に、凸の湾曲線側は被験者の顎側に合わせて、マウスピース8は被験者の口に装着される。
透孔10は、口当て部7の長幅方向(図1(c)の上下方向)へマウスピース8に対して両側の、口当て部7の部位に穿設される。透孔10は、口当て部7が被験者130(図9)の口に装着されたときに、被験者130の口内の唾液等の体液の口外へ排出する通路となる。この補助器具1では、マウスピース8と湾曲筒部9とは、それぞれ別部材から製作したものを接着剤により相互に固定して、1部品の元側パイプ2を構成している。この補助器具1は、また、右側臥位用になっているので、2つの透孔10の内、右側臥位において下側になる方の、被験者130の右側の透孔10から、口内の体液が口外へ排出される。
首部付きの膨出部11は、口当て部7の長幅方向外側へ突出するように口当て部7の長幅方向両端部に結合している。膨出部11は、固定バンド136(図9)の長さ調整のために、固定バンド136の両端部の所定の係止孔137に通される。その際、係止孔137は弾性的に拡開して、膨出部11の通過を許容し、通過後、首部の所で元の径に復元して、首部が係止孔137に嵌まるようになっている。
キャップ3は、元側の周部において湾曲筒部9の先側の周部に周方向Rへ360°回動自在に結合するとともに、先端に先端開口18を有している。キャップ3は、面対称の形状に形成され、対称面の面方向に対峙する壁面を、側面視が直線状の直線状壁面16及び側面視が凹状の凹状壁面17として形成されている。
前述したように、A2は直線状壁面16の稜線を含む直線となっている。A1に対するA2の角度は、標準的には90°に設定されるが、80°〜100°の範囲内の角度に設定されればよい。また、図1(b)におけるαは、A2に対する先端開口18の周縁を含む平面の傾斜角を示す。αは、図示の例では45°であるが、これに限定されず、45°より小さい角度から90°未満までの範囲内で任意の値を選択することができる。
キャップ3における内径は、キャップ3の中心線に沿って元側の端から先端開口18へ向かうに連れて漸増している。さらに、キャップ3における内径の増加率は、キャップ3の中心線に沿って先端開口18に接近するほど増大している。
また、キャップ3は、図示のものでは、延在方向全体がテーパ形状となっているが、元側パイプ2側の部分を所定長さの直管部とすることもできる。この場合、凹状壁面17の稜線は直管部の範囲において直線となるが、直線状壁面16は、直管部も含めてキャップ3の延在方向の全範囲にわたり側面視が直線状の形状を維持する。
図1における周方向Rへのキャップ3の回動位置は、A2が湾曲筒部9の凸側稜線と連結する回動位置になっている。
なお、キャップ3と湾曲筒部9とは、別部材とすることなく1つの部材で形成してもよい。その場合、キャップ3の先端開口18の開口方向が固定となるので、その方向は図1(b)の状態となるように形成する。
図8及び図9を参照して、補助器具1の使用方法について説明する。説明の便宜上、ベッド131の左右を、ベッド131の頭側から見た左右と定義する。
被験者130はベッド131に寝かされ、モニター等の内視鏡関連の医療機器はベッド131の左側に配置されている。術者は、ベッド131に対して左にいて、内視鏡132を、通常、右手で把持して、操作する。
被験者130は、通常は、ベッド131の上に左側臥位の姿勢になるが、胃内の出血のために、下側になった方の部分としての胃の左部分に血が滞留し、かつ出血箇所が該左部分にあると、該内視鏡132による胃内の出血箇所の視認が困難になる。これに対処するため、被験者130は、左側臥位から、図8のように、右側臥位に向きを変更される。
補助器具1は、A1及びA2をそれぞれ水平方向及び鉛直方向に揃うように、マウスピース8において被験者130に装着される。キャップ3の先端開口18は、右側臥位の被験者130の顔の左側面より上方に位置し、かつ元側パイプ2とキャップ3との結合部における相対回動位置の調整により左斜め上方の向きとされる。
図9は被験者130への補助器具1の具体的な固定の仕方の一例を示している。複数の係止孔137が、固定バンド136の少なくとも一方の端部に一列に穿設され、固定バンド136の長さが被験者130の顔部の周長に合う1つの係止孔137が選択されて、該係止孔137に口当て部7の膨出部11が挿入されて、留められる。また、マスク135は、被験者130の口元に顔の表面側から当てられて、口を外部に対して封鎖する。マスク135は、口当て部7の内面側の周縁部に固定されているか、口当て部7とは分離した別部材として用意されて、補助器具1の装着時に使用される。
術者は、ベッド131の左側より内視鏡132を先端開口18からキャップ3内へ押し込んでいく。キャップ3の直線状壁面16は、先端開口18の開口範囲をほぼ左横からほぼ真上までにわたる広角範囲の確保につながる。これにより、内視鏡132を先端開口18への内視鏡132の挿入方向の自由度が高まり、術者によるキャップ3内への内視鏡132の挿入操作が楽になる。
さらに、先端開口18が、斜め左上向きとなっていること、及びキャップ3の内径が、先端開口18の方へ向かって漸増し、先端開口18において最大となっていることも、先端開口18への内視鏡132の先端の挿入をやり易くする。また、直線状壁面16の存在は、先端開口18への内視鏡132の先端の挿入後、内視鏡132が直線状壁面16の直線にほぼ沿って進み、キャップ3を通過する際の内視鏡132の折れ曲がりを抑制する。その結果、術者による内視鏡132の押し込み力は軽減される。
内視鏡132の先端が被験者130の胃内の所望位置に達すると、挿入が終了し、術者は、内視鏡による胃内の観察や処置を行う。
なお、被験者130が右側臥位から仰臥位へ変化した場合には、先端開口18は左斜め下方に向く。左側の術者は、先端開口18が左斜め下方より左斜め上方の向きにある方が、先端開口18への内視鏡132の挿入がやり易い。したがって、元側パイプ2とキャップ3との結合部における相対回動位置を周方向Rへ180°変更して、先端開口18の向きを左斜め下方から左斜め上方へ変更する。
図2を参照して、別の補助器具20について説明する。図2において、(a)は補助器具20の正面図、(b)は補助器具20の右側面図、(c)は補助器具20の背面図である。
補助器具20は、元側から先端側の方へ順番に元側パイプ2、継ぎ足しパイプ21及びキャップ22の3つの部品を備えている。補助器具20の元側パイプ2は、補助器具1の元側パイプ2と同一の構造であるので、その各部位については補助器具1の元側パイプ2の各部位に付けた符号と同一の符号を付け、説明は省略する。
継ぎ足しパイプ21は、その元側を湾曲筒部9の先側に着脱自在に装着される。キャップ22は、その元側を継ぎ足しパイプ21の先側に着脱自在に装着される。湾曲筒部9の先側と継ぎ足しパイプ21の元側との結合は、図1の補助器具1における元側パイプ2の湾曲筒部9の先側とキャップ3の元側との結合と同様に、湾曲筒部9の先側の周方向へ360°回動自在にすることもできる。
キャップ22は、直線の中心線A3を有し、中心線A3に対する回転体の形状になっている。キャップ22の先端開口23の周線を含む平面は中心線A3に対して直角に揃えられている。キャップ22は、中心線A3に沿ってキャップ22の元側から先端開口23の先側に進むに連れて、内径が漸増している。さらに、キャップ22における内径の増加率は、A3に沿って先端開口23に接近するほど増大している。
右側臥位の被験者130に対して、補助器具20を使用する場合、先端開口23はベッド131の左側へ向けられている。図2の補助器具20では、A1とA3との交角は約135°となっているので、先端開口23はベッド131の左斜め上方の向きになる。術者は、ベッド131の左側から内視鏡132の先端を、先端開口23を介してキャップ22内へ挿入していく。内視鏡132は、継ぎ足しパイプ21及び湾曲筒部9の円弧状の中心線に沿って、マウスピース8の方へ案内され、先側は、被験者130の口及び食道を経由して胃に到達する。
補助器具20では、キャップ22は、補助器具1のキャップ3の場合と同様に、その内径が先端開口23の方へ向かって漸増しているので、術者による先端開口23の方への内視鏡132の挿入向きが多少、ずれても、内視鏡132の先端を円滑にキャップ22内へ挿入することができる。
補助器具20では、継ぎ足しパイプ21を省略して、キャップ22を湾曲筒部9に直接装着することもできる。継ぎ足しパイプ21を省略した補助器具20では、先端開口23は、被験者130がベッド131上で右側臥位となっている場合には、上向きとなり、また、仰臥位となっている場合には、ベッド131の頭側から見て左向きになる。術者は、ベッド131の頭側から見て、ベッド131の左側に位置するとともに、内視鏡132の先端を先端開口23の向きとは反対向きに先端開口23の方へ進ませて、先端開口23の中へ挿入し、さらに、先端開口23から補助器具20内へ押し込んでいく。
図3(a)〜(c)を参照して、元側パイプ30,40,50について説明する。元側パイプ30,40,50は、図1の補助器具1又は図2の補助器具20において元側パイプ2の代替として使用される。元側パイプ30,40,50は、共に、先側には補助器具1のキャップ3又は補助器具20の継ぎ足しパイプ21の元側を周方向へ360°、相対回動自在に結合されるようになっている。
図3(a)の元側パイプ30では、外筒グリップ33は、フランジ32に対して湾曲筒部9とは反対側へ延出され、ほぼ円筒に形成されている。複数のリブ34は、外筒グリップ33の外周面に突設され、A1の方向へ所定長さ延在している。典型的には、リブ34は、右側臥位時の上下方向の一方の側には2つ存在し、他方の側には1つ存在する。これにより、外筒グリップ33とマウスピース(図示せず)との結合時のA1の周りの位置決めが行われる。
1対の摘まみ35は、湾曲筒部9の中心線を含む平面に含まれかつA1に対して直角方向の直線方向(以下、「右側臥位時の上下方向」という。)のフランジ32の両端の部位に突設され、術者が2つの指で右側臥位時の上下方向内側へ挟み込んで、右側臥位時の上下方向内側へ弾性変形するようになっている。フック36は、各摘まみ35からA1の方向にリブ34の方へ突出している。
外筒グリップ33が装着するマウスピース(図示せず)は、図示していないが、ほぼ、図1の口当て部7及びマウスピース8に相当する構造となっている。術者は、リブ34がマウスピースの内周側の溝に嵌合するように、マウスピースに対する元側パイプ30の周方向相対位置を合わせてから、外筒グリップ33を押し込む。外筒グリップ33は、口当て部の表面側から裏面側に通過してから、マウスピースの内周に嵌合する。
フック36は、マウスピースの口当て部の面に対して平行に該口当て部に配設された被係止軸が通過する際、摘まみ35と一体的に半径方向内方へ弾性変形し、通過後は半径方向外方へ復元する。この結果、フック36は、マウスピースの口当て部の被係止軸を係止して、意図しないマウスピースからの元側パイプ30の外れを阻止する。
術者は、元側パイプ30をマウスピースから分離する際は、2つの摘まみ35を2つの指で半径方向内方へ挟圧する。これにより、フック36は、マウスピースの口当て部の被係止軸から半径方向内方へ離れ、該被係止軸の係止を解除する。術者は、摘まみ35に対する指による挟圧を保持したまま、元側パイプ30をA1方向へ引き抜いて、マウスピースから元側パイプ30を分離する。
図3(b)の元側パイプ40は、先側から元側へ順番に湾曲筒部9とフランジ42と内筒グリップ43とを有している。内筒グリップ43は、フランジ42に対して湾曲筒部9とは反対側へA1に沿って延出され、ほぼ円筒に形成されている。複数のリブ44は、内筒グリップ43の外周面に突設され、A1の方向へ所定長さ延在している。
元側パイプ40の内筒グリップ43が装着する外筒グリップは、図示は省略しているが、図3(a)のフランジ32及び外筒グリップ33とほぼ同一の構造を有し、所定のマウスピースにフック(図3(a)のフック36とほぼ同一の構造)による係止により結合済みとなっている。該外筒グリップには、被験者130の食道の方へ延在する外筒がすでに取付け済みとなっている。
術者は、リブ44が外筒グリップの内周側の溝に嵌合するように、外筒グリップに対する元側パイプ40の周方向相対位置を合わせてから、内筒グリップ43を押し込む。内筒グリップ43は、外筒グリップのフランジの表面側から裏面側に通過してから、外筒グリップの内周に嵌合する。
図3(c)の元側パイプ50は、先側から元側へ順番に湾曲筒部9とフランジ52と外筒アダプタ53とを有している。外筒アダプタ53は、フランジ52に対して湾曲筒部9とは反対側へA1に沿って延出され、ほぼ円筒に形成されている。
元側パイプ50の外筒アダプタ53が装着する外筒グリップは、図示は省略しているが、図3(a)のフランジ32及び外筒グリップ33とほぼ同一の構造を有している。この段階で、オーバーチューブは被験者130に装着済みとなっている。
術者は、外筒アダプタ53を外筒グリップの内周側に押し込む。これにより、外筒アダプタ53は外筒グリップに挟着される。
図4及び図5を参照して、別の補助器具60について説明する。図4は補助器具60の外観図であり、図5は補助器具60を部品に分解して各部品は断面で示している。補助器具60は体液排出構造を有している。補助器具60は、元側から先側へ順番にコネクタ61、湾曲管67及びキャップ74を備えるとともに、コネクタ61から分岐する排液チューブとしてのカテーテル80を備えている。
コネクタ61は、別部品から成るアダプタ部63及び接続部64を相互に結合したものから成る。湾曲管67は元側筒部68及び先側筒部69を備える。元側筒部68及び先側筒部69は同じ部品から成る。元側筒部68及び先側筒部69は同一の構造であるので、元側筒部68の構造についてのみ説明する。
元側筒部68は、円周角がほぼ90°を中心に80°〜100°の範囲内にある円弧状に延在している。元側筒部68は、その延在方向へ大部分を占める円弧状の曲がり部分70と、該曲がり部分70の元側の端部に連設され径が増大されている接続部分71とを有している。係止溝72は、接続部分71においてその最大曲率半径の稜線の位置に穿設され、接続部分71の元側端に開口している。リブ73は、曲がり部分70の先側端部の外周面において、曲がり部分70の最大曲率半径の稜線の位置に突設される。リブ73の輪郭及び寸法は係止溝72のそれらに等しく設定されており、リブ73は係止溝72に嵌合自在になっている。
キャップ74は、一体成型品であり、元側の接続部分75と、先側のテーパ部分76とを有する。キャップ74の中心線は、元側筒部68及び先側筒部69の円弧状中心線と同一の曲率半径の円弧となっている。テーパ部分76は、中心線に沿って先側へ向かって内径が漸増し、先側において先端開口77を有している、テーパ部分76の内径の増加率は、テーパ部分76の中心線に沿って先端開口77に接近するほど増大する。
接続部分75の構造は、元側筒部68及び先側筒部69の接続部分71の構造と同一となっている。すなわち、嵌合溝78は、係止溝72と同一の輪郭及び寸法とされ、接続部分75においてその最大曲り半径の稜線の位置に穿設され、接続部分75の元側の端に開口している。
元側筒部68、先側筒部69及びキャップ74を組み付ける際には、元側筒部68のリブ73が先側筒部69の係止溝72に嵌合するように、元側筒部68の先側端部及び先側筒部69の元側端部を相互に嵌め込むとともに、先側筒部69のリブ73がキャップ74の嵌合溝78に嵌合するように、キャップ74の接続部分75を先側筒部69の先側端部に嵌め込む。
コネクタ61のアダプタ部63は、元側の円筒部分88と先側の膨出部89とを有している。膨出部88の内周面は、先側ほど径が増大するテーパ90に形成されている。
接続部64は、元側の膨出部91と、先側の湾曲部92とを有している。膨出部91は、径方向へ弾力性を有し、アダプタ部63と接続部64とを相互に結合するために、アダプタ部63の膨出部89を内周側に押込まれる際に、拡開して、押込み終了後は元の寸法に復元するようになっている。膨出部89,91は、アダプタ部63と接続部64との結合後、周方向へ相互に相対回転自在になっている。
湾曲部92は、内周側に通路空間95を画成している。溝96は、湾曲部92の内周において、通路空間95から径方向外側へ掘り下げられるように、通路空間95の最大曲率半径の稜線側に形成されている。溝96の底面はアダプタ部63の中心線に対して平行になっている。アダプタ部63と接続部64との結合状態では、溝96の底面の半径方向位置は、アダプタ部63のテーパ90の最大径部の半径方向位置に等しく設定されている。
リブ97は、その位置が溝96の位置に合わさるように、湾曲部92の外周面に突設される。リブ97の輪郭及び寸法は、湾曲部92の横断面方向の外側から見て、元側筒部68のリブ73の輪郭及び寸法に等しく設定されている。ただし、リブ97の隆起量はリブ73の隆起量より大とされている。コネクタ61と元側筒部68とを相互に結合する際には、リブ97が元側筒部68の係止溝72に嵌合するようになっている。
接続口98は、リブ97の頂面から所定長さ、直線状に突出している。これにより、接続口98の存在が、リブ97を元側筒部68の係止溝72に嵌合させるときの支障になることが防止される。排出通路99は、接続口98内に形成され、一端において溝96の底面に開口し、他端において接続口98の突出端に開口している。接続口98の突出端部外周には、カテーテル80の端部が装着される。
前述したように、膨出部89,91の結合は、相対回転を許容した結合となっている。また、溝96の底面の半径方向位置はアダプタ部63のテーパ90の最大径部の半径方向位置に等しく設定されている。したがって、補助器具60を被験者130の口に装着した時に、溝96が、通路空間95より低い位置になり、かつ接続口98の延在方向が鉛直方向となるように、アダプタ部63に対する接続部64の回転位置を調整することができる。これにより、被験者130の口からコネクタ61へ流出して来る体液は、最低位置としての溝96に集まり、排出通路99を介してコネクタ61の外へ排出することができる。
カテーテル80は、元側を接続部64に接続され、先側にはカテーテルコネクタ81が装着される。カテーテルコネクタ81は、カテーテル80とは反対側の端部において吸引機(図示せず)に着脱自在に装着されるようになっている。吸引機は、カテーテル80を介してコネクタ61内の体液を吸入する。
クランプ82は、カテーテル80の中間部に嵌装されており、両端部に相互に係止可能なフック部83及び係止爪84を有している。係止爪84がフック部83に掛けられると、挟圧部85がカテーテル80を押し潰して、カテーテル80を閉止する。係止爪84をフック部83から外すと、挟圧部85はカテーテル80の押し潰しを解除し、カテーテル80は開いて、体液の流れが許容される。
湾曲管67を構成する元側筒部68及び先側筒部69は同じ部品とされる結果、補助器具60において、先側筒部69を省略して、元側筒部68の先側にキャップ74を装着させたり、また、元側筒部68を省略して、先側筒部69の元側をコネクタ61に装着させたりすることができる。その場合、補助器具60において、キャップ74の先端開口77の軸方向は、コネクタ61の軸方向に対して元側筒部68又は先側筒部69の中心角に相当する80〜100°の範囲の向きとなる。
図6を参照して、別の補助器具100について説明する。図6において、(a)はカテーテル80が接続されているときの補助器具100の側面図、(b)はカテーテル80を外した状態で補助器具100を背面側(補助器具100において被験者130に対峙していない方の面側)から見た図である。補助器具100において、図4及び図5の補助器具60の部品と同一の部品及びその部位については、補助器具60のものと同一の符号を付けて、説明は省略する。
補助器具100は、補助器具60の湾曲管67の代わりに湾曲管101を備える。湾曲管101は、元側から先側へ順番に元側筒部102と先側筒部69とを有している。湾曲管101の先側筒部69は、湾曲管67(図4)の先側筒部69と同一の構造であるので、説明は省略する。
元側筒部102は、湾曲管67(図4)の元側筒部68と同一の長さでかつ同一の円弧状に延在し、元側においてコネクタ61には周方向へ回転自在に結合している。
蓋部103は、元側筒部102の元側の部分を、そのコネクタ61側を除き包囲するように、該部分に連設され、タンク部104の蓋部となる。タンク部104は、上端において蓋部103に接合され、内部に十分な容積の体液貯留空間をもつ。排出口105は、タンク部104に対してコネクタ61とは反対側に向けて、タンク部104の側面の下部に突設される。
カテーテル80は、一方の端部において排出口105に接続され、他方の端部においてカテーテルコネクタ108に接続される。カテーテルコネクタ108は、吸引機(図示せず)に接続される。タンク部104の内部空間の容積は、溝96より十分に増大したものとなっている。被験者130の口から補助器具100へ流出して来る体液は、十分な容積のタンク部104の内部空間に溜まり、先側筒部69の方へ流れることを回避される。タンク部104の内部空間の体液は、カテーテル80を介して吸引機の方へ吸入される。
図7を参照して、別の補助器具110について説明する。図7において、(a)はカテーテル119等を外した状態で補助器具110を背面側(補助器具110において被験者130とは対峙していない方の面側)から見た図、(b)は補助器具110の側面図である。補助器具110において、図6の補助器具100の部品及びその部位と同一の部品及びその部位については、補助器具100の部品及びその部位に付けた符号と同一の符号を付して説明は省略し、相違点について説明する。
補助器具110では、タンク部116内の容積が補助器具100(図6)のタンク部104内の容積よりさらに増大されるとともに、タンク部116内に溜まった体液をタンク部116内の底部の3箇所から排出するようになっている。
補助器具110は、補助器具100の湾曲管101の代わりに湾曲管111を備える。湾曲管111は元側筒部112と先側筒部69とを有している。湾曲管111の先側筒部69は、湾曲管67(図4)の先側筒部69と同一の構造であるので、説明は省略する。
元側筒部112は、湾曲管101(図6)の元側筒部102と同一の円周角度範囲において円弧状に延在し、元側においてコネクタ61に周方向へ回転自在に結合している。
蓋部113は、元側筒部112の元側の部分を、そのコネクタ61側を除き包囲するように、該部分に連設され、タンク部116の蓋部となる。タンク部116は、蓋部113に接合され、内部に十分な容積の体液貯留空間をもつ。タンク部116は底部において1つの背面側排出口117と2つの側面側排出口118とを有している。背面側排出口117はタンク部116の背面に突設され、2つの側面側排出口118はタンク部116の左右の側面に突設される。
3本のカテーテル119は、一端側においてそれぞれ背面側排出口117又は側面側排出口118に接続され、他端側においてアダプタ120に接続される。カテーテル80は一端側においてアダプタ120へ接続される。
カテーテルコネクタ108が吸引機に接続されると、タンク部116の内部空間内の体液は、背面側排出口117及び側面側排出口118を介してタンク部116から吸引され、3本のカテーテル119を介してアダプタ120へ導かれてから、アダプタ120において合流し、その後は、1本のカテーテル80を介して吸引機の方へ導かれる。
補助器具110では、タンク部116内に溜まった体液は、3本のカテーテル119を介してタンク部116外へ排出されるので、図6の補助器具100の場合より体液の排出流量を増大させることができる。
本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。例えば、キャップ3の形状を中空の円錐台のような形状とすることも可能である。
1,20,60,100,110・・・補助器具(内視鏡用挿入補助器具)、2・・・元側パイプ(湾曲筒部)、3,22,74・・・キャップ(テーパ部)、8・・・マウスピース(装着部)、18,23,77・・・先端開口、21・・・継ぎ足しパイプ(湾曲筒部)、68,102,112・・・元側筒部(湾曲筒部)、69・・・先側筒部(部品)、76・・・テーパ部分(テーパ部)、95・・・通路空間(内壁)、96・・・溝(突出部)、98・・・接続口(排液口)、130・・・被験者、131・・・ベッド、132・・・内視鏡。

Claims (8)

  1. 被験者の口から体内に内視鏡を導入する際に用いられる内視鏡用挿入補助器具であって、
    被験者の口に装着され、内視鏡が挿通可能な内径を有する筒状の装着部と、
    該装着部から湾曲して延出される湾曲筒部と、
    前記湾曲筒部から先端開口方向に向けて延出され、先端開口方向に向けて内径が漸増されたテーパ部とを備えていることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  2. 請求項1記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記湾曲筒部と前記テーパ部とが別部材で形成され、前記テーパ部が前記湾曲筒部に対して周方向に回動自在に装着されていることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  3. 請求項2記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記湾曲筒部は、それぞれの中心角が80°〜100°の円弧状に形成されている同一形状の2部品から形成され、それぞれの部品が前記装着部、前記テーパ部、及び他方の部品に接続可能であることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記テーパ部は、周壁の一部の稜線が直線状に形成され、該直線状の部分が前記装着部の軸方向に対して80°〜100°の範囲の角度に形成されると共に、その先端開口の周縁を含む平面が前記稜線に対して傾斜していることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記装着部は、被験者の口に装着されるマウスピースを含んでいることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記装着部は、被験者の口に装着されるマウスピース又はオーバーチューブに着脱自在に形成されていることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記装着部において被験者の口よりも外部に位置する箇所、又は前記湾曲筒部の前記装着部との境界部近傍に、表裏を貫通して内部の液体を外部に排出可能な排液口が設けられていることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
  8. 請求項7記載の内視鏡用挿入補助器具において、
    前記排液口が設けられている箇所の内壁は、前記装着部又は前記境界部において径方向外側へ突出する突出部となっており、前記突出部は前記装着部の軸方向を中心として回動自在に形成されていることを特徴とする内視鏡用挿入補助器具。
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