JP2013037271A - 感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性エレメント、プリント配線板 - Google Patents

感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性エレメント、プリント配線板 Download PDF

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【課題】可撓性に優れるとともに反り及び反発力が十分に低減されたソルダーレジストを形成可能であり、且つ、支持体との剥離性が良好な、感光性樹脂組成物と、それを用いた感光性エレメント、プリント配線板の提供。
【解決手段】エチレン性不飽和結合を有するポリウレタン化合物と、下記式(1−1)で表される構造を有する化合物と、光重合開始剤と、カルボキシル基を有するバインダーポリマーと、を含有する感光性樹脂組成物であって、前記下記式(1−1)で表される構造を有する化合物の添加量が、5〜25質量%である感光性樹脂組成物。
Figure 2013037271

[式(1−1)中、Rは四価の有機基を示す。]
【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性エレメント、プリント配線板に関する。
プリント配線板の製造業界では、従来、プリント配線板上にソルダーレジストを形成することが行われている。このソルダーレジストは、実装部品をプリント配線板に接合するためのはんだ付け工程において、プリント配線板の導体層の不要な部分にはんだが付着することを防ぐ役割を有している他、実装部品接合後のプリント配線板の使用時においては、導体層の腐食を防止したり導体層間の電気絶縁性を保持したりする永久マスクとしての役割も有している。
ソルダーレジストの形成方法としては、例えば、プリント配線板の導体層上に熱硬化性樹脂をスクリーン印刷する方法が知られているが、このような方法ではレジストパターンの高解像度化に限界があるため、近年のプリント配線板の高密度化に対応させることが困難になってきている。
そこで、レジストパターンの高解像度化を達成するために、フォトレジスト法が盛んに用いられるようになってきている。このフォトレジスト法は、基板上に感光性樹脂組成物からなる感光層を形成し、この感光層を所定パターンの露光により硬化させ、未露光部分を現像により除去して所定パターンの硬化膜を形成するものである。
かかる方法に使用される感光性樹脂組成物は、作業環境保全、地球環境保全の点から、炭酸ナトリウム水溶液等の希アルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のものが主流になってきている。このような感光性樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に記載の液状レジストインキ組成物や、特許文献2に記載の感光性熱硬化性樹脂組成物などが知られている。
特開昭61−243869号公報 特開平1−141904号公報
通常、プリント配線板に用いられるソルダーレジストには、解像性、耐金めっき性、耐薬品性、電気絶縁性、はんだ耐熱性等が要求される。そして、近年では上記特性に加えて、カメラ、携帯電話等の小型機器に備えられるフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit。以下、「FPC」という。)に用いられるソルダーレジストとして、FPCを折り曲げた際に破壊されないという、いわゆる可撓性が要求され、また近年の電子機器の小型化薄型化に伴い、部品実装時の反り及び反発力の低減が要求されている。
しかしながら、これらの諸特性を満たすソルダーレジストを形成し得る感光性樹脂組成物を得ようとすると、感光性樹脂組成物をドライアップした際にべたつきが生じ、該感光性樹脂組成物を支持する支持体とのはく離が不十分となる等の問題がある。
本発明は、可撓性に優れるとともに反り及び反発力が十分に低減されたソルダーレジストを形成可能であり、且つ支持体とのはく離性が良好な、感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また本発明は、上記感光性樹脂組成物を含有する感光層を備える感光性エレメント、さらに、上記感光性樹脂組成物を用いて形成された永久マスクを備える、プリント配線板を提供することを目的とする。
本発明は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタン化合物と、下記式(1−1)で表される構造を有する化合物と、光重合開始剤と、カルボキシル基を有するバインダーポリマーと、を含有するし、前記下記式(1−1)で表される構造を有する化合物の添加量が、5〜25質量%である感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 2013037271
[式(1−1)中、Rは四価の有機基を示す。]
このような感光性樹脂組成物は、べたつきを伴わずに支持体とのはく離性が良好となる。また、上記感光性樹脂組成物を硬化して得られたソルダーレジストは、可撓性に優れ、反り及び反発力が十分に低減されたものとなる。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、上記式(1−1)で表される構造を有する化合物の重量平均分子量は、5000〜100000であることが好ましい。このような感光性樹脂組成物は、希アルカリ水溶液に対する現像性が一層良好となるとともに、例えばシート状に成形したときのタック性が良好となる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、リン含有難燃剤を更に含有していてもよい。
近年、各種工業製品の火災に対する難燃化の規制が厳しくなっており、プリント配線板等に使用される材料も例外ではない。そして最近では、環境問題、人体に対する安全性問題への関心の高まりと共に、非公害性、低有毒性、安全性へと重点が移り、単に燃えにくいだけでなく、有害ガス及び発煙性物質の低減が要望されつつある。
本発明に係る感光性樹脂組成物においては、上記特定の組成を有するため、リン含有難燃剤の添加により、ハロゲン系化合物、アンチモン系化合物等を使用せずに高い難燃性を得ることができる。そのため、本実施形態に係る感光性樹脂組成物によれば、非公害性、低有毒性、安全性等の特性と、難燃性と、を両立することができる。
上記リン含有難燃剤は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。このようなリン含有難燃剤によれば、上記特定の組成との組み合わせ効果により、本発明に係る感光性樹脂組成物の難燃性が一層良好になる。
Figure 2013037271
[式(2)中、A及びBはそれぞれ独立にアリール基又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na又はKであり、nは1〜4の整数である。]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、熱硬化剤をさらに含有していてもよい。このような感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、耐金めっき性、耐薬品性、電気絶縁性、はんだ耐熱性等の特性に一層優れるものとなる。
本発明は、また、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層と、を備える、感光性エレメントを提供する。
本発明に係る感光性エレメントによれば、可撓性に優れるとともに反り及び反発力が十分に低減されたソルダーレジストを容易に形成することができる。また、本発明に係る感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層と支持体とのはく離性が良好なため、取扱い性に優れる。
本発明は、さらに、上述した感光性樹脂組成物を用いて形成された永久マスクを備える、プリント配線板を提供する。
本発明によれば、可撓性に優れるとともに反り及び反発力が十分に低減されたソルダーレジストを形成可能であり、且つ、支持体とのはく離性が良好な、感光性樹脂組成物を提供することができる。また本発明によれば、上記感光性樹脂組成物を含有する感光層を備える感光性エレメント、上記感光性樹脂組成物を用いて形成された永久マスクを備える、プリント配線板を提供することができる。
本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
(感光性樹脂組成物)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和結合を有するポリウレタン化合物と、(B)下記式(1−1)で表される化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)カルボキシル基を有するバインダーポリマーと、を含有する。なお、式(1−1)中、Rは四価の有機基を示す。
Figure 2013037271
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(E)リン含有難燃剤をさらに含有していてもよく、(F)熱硬化剤をさらに含有していてもよく、(G)その他のモノマー成分をさらに含有していてもよい。
以下、本実施形態に係る感光性樹脂組成物に含まれ得る各成分について、詳述する。
<(A)成分:エチレン性不飽和結合を有するポリウレタン化合物>
(A)成分は、エチレン性不飽和結合を有しているため、後述する光重合開始剤から生じたラジカルによって重合(場合によって、その他のモノマー成分とともに共重合)し、感光性樹脂組成物を硬化させる成分である。ここでポリウレタン化合物とは、同一分子内にウレタン結合を複数有する化合物をいう。すなわち、(A)成分は、エチレン性不飽和結合と複数のウレタン結合とを有する化合物ということができる。
(A)成分は、例えば、二つ以上の水酸基を有するアルコール化合物と二つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物との反応によって得ることができる。このとき、上記アルコール化合物及び/又は上記イソシアネート化合物は、少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有している。
(A)成分としては、エチレン性不飽和結合及びカルボキシル基を有するポリウレタン化合物が好ましい。このようなポリウレタン化合物を含有する感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液による現像性がより良好になる。
ポリウレタン化合物がカルボキシル基を有するとき、該ポリウレタン化合物の酸価は、20〜100mgKOH/gであることが好ましく、40〜90mgKOH/gであることがより好ましく、50〜80mgKOH/gであることがさらに好ましい。ポリウレタン化合物の酸価が上記範囲であると、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性が一層良好となり、一層優れた解像度が得られるようになる。
エチレン性不飽和結合及びカルボキシル基を有するポリウレタン化合物は、例えば、上記アルコール化合物及び/又は上記イソシアネート化合物として、カルボキシル基を有しているものを用いることにより得ることができる。
感光性樹脂組成物は、(A)成分として、少なくとも一つのエチレン性不飽和結合及び二つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物を含有することが好ましい。このような感光性樹脂組成物は、ドライアップ後の支持体との剥離性を維持しつつ、ソルダーレジストとしたときの反りを一層低減させることができる。
上記エポキシアクリレート化合物としては、二つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸と、の反応により得られる化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物等のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸と、の反応により得られる化合物が挙げられる。
上記ジイソシアネート化合物は、イソシアネート基を二つ有する化合物であり、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナン−ジイソシアネートメチル等が上記ジイソシアネート化合物として例示できる。また、上記ジイソシアネート化合物としては、一種を単独で、又は2種以上を組み合わせて適用できる。
上記ジオール化合物は、二つの水酸基と一つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。ここで、水酸基は、アルコール性水酸基であってもフェノール性水酸基であってもよい。
上記ジオール化合物は、上記水酸基として、アルコール水酸基を有していることが好ましい。このようなジオール化合物から得られるポリウレタン化合物によれば、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性を一層良好にすることができる。
上記ジオール化合物としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。
上記エポキシアクリレート化合物と上記ジイソシアネート化合物と上記ジオール化合物との反応においては、上記エポキシアクリレートが有する水酸基と上記ジイソシアネート化合物が有するイソシアネート基との間、及び、上記ジオール化合物が有する水酸基と上記ジイソシアネート化合物が有するイソシアネート基との間で、いわゆるウレタン化反応が生じる。この反応により、例えば、上記エポキシアクリレート化合物に由来する構造単位と上記ジオール化合物に由来する構造単位とが、上記ジイソシアネート化合物に由来する構造単位を介して、交互に又はブロック的に重合される。
ここで、上記反応においては上記以外の化合物、例えばジオール化合物、が添加されてもよい。これにより、ポリウレタン化合物の主鎖構造を変えることが可能となり、酸価や重量平均分子量等の特性を所望の範囲に調整することができる。
(A)成分としては、重量平均分子量(Mw)が2000〜70000のポリウレタン化合物を含有することが好ましく、重量平均分子量が3000〜50000のポリウレタン化合物を含有することがより好ましい。このようなポリウレタン化合物を(A)成分として含む感光性樹脂組成物は、塗膜性が一層良好になるとともに、硬化後の耐クラック性及びHAST耐性(超加速高温高湿寿命試験(HAST)に対する耐性)が一層良好になる。なお、ここで重量平均分子量の値は、GPC分析におけるポリスチレン換算による値を示す。GPCの測定条件は以下のとおりであり、下記(B)成分及び(C)成分におけるGPCの測定条件も同一である。
カラム:Gelpack GL−R440+GL−R450+GL−R400M(いずれも日立化成工業株式会社商品名、多孔性スチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子をカラム充填剤として使用)
流量:2.05mL/min
濃度:120mg/5mL
注入量:200μL
溶離液:THF
感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、一層良好な低反り性及び低反発性を実現する観点から、感光性樹脂組成物の総量基準で、5〜60質量%とすることが好ましく、10〜50質量%とすることがより好ましい。(A)成分の含有量が60質量%以下であると塗膜性が一層向上する傾向があり、5質量%以上であると実装時の反り及び反発性が一層良好になる傾向がある。
<(B)成分:式(1−1)で表される構造を有する化合物>
(B)成分は、下記式(1−1)で表される構造を有する化合物である。式中、Rは四価の有機基を示す。本実施形態においては、当該(B)成分を、(A)成分、(C)成分の光重合開始剤及び(D)成分のカルボキシル基を有するバインダーポリマーと組合せて用いることにより、感光性樹脂組成物と支持体とのはく離性が良好となり、且つ、感光性樹脂組成物の硬化物が可撓性に優れ、反り及び反発力が十分に低減されたものとなる。
Figure 2013037271
としては、例えば、ベンゼン、ベンゾフェノン、ナフタレン、1,2−ジフェニルエタン、2,2−ジフェニルエタン、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルエーテル、ピリジン、ペリレン等の芳香環を有する化合物から芳香環上の4個の水素原子を除いた残りの原子団に相当する基が挙げられる。Rがこれらの基であると、本発明の効果がより確実に奏される。
(B)成分は、例えば、ジアミン化合物と、下記式(3)で表される部分構造(酸無水物)を二つ有する化合物と、の反応によって得ることができる。このような化合物としては、例えば、下記式(1−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013037271
Figure 2013037271
式(1−2)中、Rは上記酸無水物を二つ有する化合物の残基を示し、Rは上記ジアミン化合物の残基を示し、nは1以上の整数を示す。ここで残基とは、対応する化合物から結合に供された官能基(酸無水物又はアミノ基)を除いた部分の構造をいう。
上記ジアミン化合物としては、例えば、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノ−3,3´,5,5´−テトラメチルジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジエチル−5,5´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニル−2,2´−プロパン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,4´−ジアミノベンズアニリド、4,4´−ジアミノベンズアニリド、3,3´−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジエトキシ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、3,3´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、3,3´−ジメチル−5,5´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、3,3´−ジエトキシ−4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス[3−(アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2´−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。また、ポリプロピレングリコールジアミン、ポリエチレングリコールジアミン等のポリアルキレングリコールジアミン化合物を用いることもできる。
上記ジアミン化合物としては、アミノフェノキシ構造(−O−C−NHで表される構造)を有するジアミン化合物及び/又はポリアルキレングリコールジアミン化合物を含むことが好ましく、これらを組合せて用いてもよい。ポリアルキレングリコールジアミン化合物としては、アルキレン鎖がエチレン鎖及び/又はプロピレン鎖である化合物が好ましく、アルキレン鎖がプロピレン鎖である化合物(ポリプロピレングリコールジアミン)がより好ましい。
上記酸無水物を二つ有する化合物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシルフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシルフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,3−ジカルボキシルフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記酸無水物を二つ有する化合物としては、3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物又は3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含むことが好ましい。
上記ジアミン化合物と上記酸無水物を二つ有する化合物との反応は、例えば反応温度10〜60℃、好ましくは20〜55℃で行うことができる。反応圧力は限定されず、反応時間は使用する有機溶剤の種類や反応温度により適宜変更することができ、例えば4〜24時間とすることができる。このような反応時間であれば、通常反応が十分に完結する。
(B)成分としては、重量平均分子量(Mw)が5000〜100000である化合物を含有することが好ましく、重量平均分子量が5500〜95000である化合物を含有することがより好ましく、重量平均分子量が6000〜90000である化合物を含有することがさらに好ましい。重量平均分子量が上記範囲である化合物を(B)成分として含有すると、感光性樹脂組成物を層状にしたとき、該層のタック性が一層良好となるとともに、希アルカリ水溶液による現像性が一層良好になる。なお、ここで重量平均分子量の値は、GPC分析におけるポリスチレン換算による値を示す。
感光性樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分の総量基準(具体的には表1の各成分の和に対する(B)成分の割合)で、5〜25質量%であるが、6〜25質量%であることが好ましく、7〜20質量%とすることがより好ましい。(B)成分の含有量を25質量%以下とすることで、塗膜性が一層良好になる傾向があり、5質量%以上とすることで、後述するリン含有難燃剤が添加された場合の難燃性が一層向上する傾向がある。
<(C)成分:光重合開始剤>
(C)成分は、光によりラジカルを発生し、(A)成分等が有するエチレン性不飽和結合を重合させる成分である。
(C)成分としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N´−テトラアルキル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類;ベンジルジメチルケタール等のベンジル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9´−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン類;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、ピラゾリン化合物などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(C)成分としては、感度及び解像度が一層良好になる観点から、芳香族ケトン類を含むことが好ましく、中でも2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1を含むことがより好ましい。
感光性樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の総量基準で、0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.2〜3質量%とすることがより好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲であると、感光性樹脂組成物の光感度が一層良好になる。
<(D)成分:カルボキシル基を有するバインダーポリマー>
(D)成分は、感光性樹脂組成物にフィルム形成性を付与する成分である。(D)成分がカルボキシル基を有することにより、感光性樹脂組成物は、希アルカリ水溶液による現像が可能なものとなる。
(D)成分としては、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物であってもよい。このような(D)成分は、(C)成分の光重合開始剤から生じたラジカルにより(A)成分のエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン化合物と共に重合し、感光性樹脂組成物を硬化する、いわゆる感光性プレポリマーとしても機能する。
(D)成分としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、メラミン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル等の公知の樹脂やその酸変性樹脂であって、分子内にカルボキシル基を有するものが挙げられる。
(D)成分は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)することにより得ることができる。
このようなエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル等のエステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(D)成分としては、感光性樹脂組成物の光感度が良好となること、感光性樹脂組成物を用いて得られるレジストのレジスト形状が良好となること、等の観点から、アクリル系樹脂を含有することが好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えば、単量体として(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いて得られる重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これらと共重合し得るビニルモノマーと、の共重合体も好適に用いることができる。
上記ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。また、上記ビニルモノマーとしては、共重合に供されるエチレン性不飽和二重結合とは別に、エチレン性不飽和結合をさらに有する化合物を用いることもできる。
(D)成分としては、酸価が50〜170mgKOH/gであるバインダーポリマーを含有することが好ましく、酸価が60〜150mgKOH/gであるバインダーポリマーを含有することがより好ましく、酸価が70〜130mgKOH/gであるバインダーポリマーを含有することがさらに好ましい。(D)成分としてこのようなバインダーポリマーを含有することで、アルカリ現像性が一層良好になる。
なお、酸価は、以下のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価を測定する樹脂を1g精秤し、該樹脂1gにアセトン30gを添加し、均一に溶解して試料溶液を作製する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインを試料溶液に適量添加した後、0.1NのKOH水溶液を用いて、滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/Wp
式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfは0.1NのKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂の質量(g)を示す。なお、このような酸価の測定方法は、上記ポリウレタン化合物等にも同様に適用できる。
(D)成分としては、重量平均分子量(Mw)が、20000〜150000であるバインダーポリマーを含むことが好ましく、重量平均分子量が40000〜130000であるバインダーポリマーを含むことがより好ましく、60000〜120000であるバインダーポリマーを含むことがより好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。(D)成分としてこのようなバインダーポリマーを含む感光性樹脂組成物は、塗膜性及びアルカリ現像性に一層優れるものとなる。
また、(D)成分としては、Tgが25℃〜100℃であるバインダーポリマーを含むことが好ましく、Tgが35℃〜90℃であるバインダーポリマーを含むことがより好ましく、Tgが50℃〜80℃であるバインダーポリマーを含むことがより好ましい。(D)成分としてこのようなバインダーポリマーを含む感光性樹脂組成物は、成膜製に一層優れる。
感光性樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の総量基準で、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲であると、感光性樹脂組成物の塗膜性、及び、感光性樹脂組成物の硬化物の耐折性が、一層良好になる傾向がある。
<(E)成分:リン含有難燃剤>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(E)成分としてリン含有難燃剤を更に含有していてもよい。(E)成分によれば、感光性樹脂組成物に高い難燃性を付与することができる。また、(E)成分を含有する上記感光性樹脂組成物は、ハロゲン系化合物、アンチモン系化合物等を使用せずとも高い難燃性が実現される。そのため、このような感光性樹脂組成物によれば、非公害性、低有毒性、安全性等の特性と、難燃性と、を両立することができる。
(E)成分としては、下記式(2)で表される化合物(以下、場合により「ホスフィン酸塩」と称する。)を含むことが好ましい。このようなリン含有難燃剤によれば、上記(A)、(B)、(C)、(D)〜下記(F)〜(G)成分との組み合わせ効果により、感光性樹脂組成物の難燃性が一層良好になる。また、ホスフィン酸塩によれば、ブリードアウトの発生や結晶物の析出を十分に抑制することができる。このようなホスフィン酸塩は、単独で又は2種類以上を組合せて使用することができる。
Figure 2013037271
式(2)中、A及びBはそれぞれ独立にアリール基又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na又はKであり、nは1〜4の整数である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。A及びBは、これらのうち、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基であることがより好ましい。
上記ホスフィン酸塩は、粒状体として感光性樹脂組成物に添加することができる。上記ホスフィン酸塩が粒状体であるとき、ホスフィン酸塩全体に対して80質量%以上が、粒度10μm以下の粒子であることが好ましく、粒度5μm以下の粒子であるとことがより好ましく、粒度3μm以下の粒子であることがさらに好ましい。粒度が10μmを超える粒子が、ホスフィン酸塩全体に対して20質量%を超えると、感光性樹脂組成物の塗膜外観が悪くなる傾向があるとともに、高解像度のプリント配線板を製造することが困難になる傾向がある。
上記ホスフィン酸塩としては、例えば、EXOLIT OP 930、EXOLIT OP 935、EXOLIT OP 940(いずれもクラリアント社製、商品名)を用いることもできる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物において、(E)成分に由来するリン原子の含有量は、感光性樹脂組成物の全量基準で、1.5〜5.0質量%であることが好ましく、2.0〜4.5質量%であることがより好ましい。このような感光性樹脂組成物は、難燃性に一層優れるとともに、反り及び反発力が一層低減される。
<(F)成分:熱硬化剤>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(F)成分として熱硬化剤を更に含有していてもよい。このような感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、耐金めっき性、耐薬品性、電気絶縁性、はんだ耐熱性等の特性に一層優れるものとなる。
熱硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性の化合物などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型三級脂肪酸変性ポリオールエポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル類、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン等のジグリシジルアミン類等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して使用してもよい。
また、(F)成分として、潜在性の熱硬化剤であるブロックイソシアネート化合物を用いることもできる。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、アルコール化合物、フェノール化合物、ε−カプロラクタム、オキシム化合物、活性メチレン化合物等のブロック剤によりブロック化されたポリイソシアネート化合物が挙げられる。ブロック化されるポリイソシアネート化合物としては、4,4−ジフェニルメタンジシソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;などが挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点からは芳香族ポリイソシアネートが、着色防止の観点からは脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが好ましい。
感光性樹脂組成物中の(F)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の総量基準で、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。(F)成分の含有量が上記範囲であると、上記(E)成分と組み合わせた場合における難燃性が一層向上する傾向があるとともに、感光性樹脂組成物の硬化物の絶縁信頼性が一層良好になる傾向がある。
<(G)成分:その他のモノマー又はオリゴマー成分>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、例えば(A)成分と共重合し得るモノマー又はオリゴマー成分等を更に有していてもよい。
このようなモノマー又はオリゴマー成分としては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられ、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β´−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β´−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビ__ス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートプロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CHCHO−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−)のブロック構造を有することを意味する。
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。上記のα,β−不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーとしては、(A)成分以外の例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、イソシアヌレート骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
感光性樹脂組成物中の(G)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の総量基準で、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。(G)成分の含有量を1質量%以上とすることで、光感度が一層向上し、作業性が一層良好になる傾向があり、20質量%以下とすることで、上記(E)成分と組み合わせた場合における難燃性が一層向上する傾向があるとともに、感光性樹脂組成物の塗膜性が一層良好になる傾向がある。
<その他の成分>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(G)成分以外に、必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料;ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤;熱発色防止剤;p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤;フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系有機顔料やアゾ系有機顔料などの有機顔料;二酸化チタン等の無機顔料;シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;消泡剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、などを含有していてもよい。
これらの成分の含有量は、感光性樹脂組成物の総量基準で、各々0.01〜20重量%程度とすることが好ましい。また、上記の成分は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。さらに、本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、メラミン、ジシアンジアミド等の密着剤を添加することもできる。
また、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して、固形分30〜70質量%程度の溶液としてもよい。このような溶液は、支持体上等に容易に塗布することができる。
(感光性エレメント)
本実施形態に係る感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された感光性樹脂組成物層と、を備え、感光性樹脂組成物層は、上記感光性樹脂組成物を含有している。
本実施形態に係る感光性エレメントによれば、可撓性に優れるとともに反り及び反発力が十分に低減されたソルダーレジストを容易に形成することができる。また、本実施形態に係る感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層と支持体とのはく離性が良好なため、取扱い性に優れる。
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す感光性フィルム1は、支持体10と、支持体10上に設けられた感光性樹脂組成物層20と、感光性樹脂組成物層20上の支持体10とは反対側の面上に設けられた保護フィルム30と、を備える。感光性樹脂組成物層20は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層である。なお、図1に示す感光性フィルム1は、保護フィルム30を備えるが、保護フィルム30はあってもなくてもよい。
感光性樹脂組成物層20は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解し、固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体10上に塗布して形成することが好ましい。
感光性樹脂組成物層20の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。また、本発明により奏される上述の効果が一層大きくなるとともに、解像度及び可とう性に優れる点では、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。
支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。
支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みを5μm以上とすることで現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れにくくなる傾向があり、また、100μm以下とすることで解像度及び可撓性がより良好となる傾向がある。
保護フィルム30としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。また、保護フィルム30の厚みは、通常、10〜50μm程度である。
支持体10と感光性樹脂組成物層20の2層からなる感光性フィルム(感光性エレメント)、又は、支持体10と感光性樹脂組成物層20と保護フィルム30の3層からなる感光性フィルム(感光性エレメント)は、そのまま貯蔵してもよく、巻芯にロール状に巻き取って保管してもよい。
感光性フィルム1は、レジストパターンの形成に用いることができる。レジストパターンは、例えば、感光性フィルム1を回路形成用基板上に積層する積層工程と、活性光線を感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、感光性樹脂組成物層に硬化部を形成させる露光工程と、該硬化部以外の感光性樹脂組成物層を除去する現像工程と、を備える製造方法により製造することができる。
上記レジストパターンの製造方法は、感光性フィルム1が保護フィルム30を有する場合、感光性フィルム1から保護フィルム30を除去する除去工程を、積層工程の前に更に備える。また、上記積層工程においては、感光性樹脂組成物層の支持体とは反対側の面と回路形成用基板とが接するように積層する。すなわち、感光性フィルム1を、回路基板上に感光性樹脂組成物層20、支持体10の順に積層されるように、積層する。
上記回路形成用基板とは、絶縁層と、絶縁層上に形成された導電体層(銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金からなる)とを備えた基板をいう。
上記積層工程における積層方法としては、例えば、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層する方法が挙げられる。このようにして積層する場合、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、当該導電体層以外の面であってもよい。
ここで、感光性樹脂組成物層の加熱温度は50〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4000Pa以下とすることがより好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂組成物層を前記のように50〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必ずしも必要ではないが、積層性を更に向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
このようにして積層が完了した後、露光工程において感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して硬化部を形成させる。硬化部の形成方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。また、LDI方式、DLP(Digital Light Processing)露光法等のマスクパターンを有さない直接描画法による露光も可能である。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する支持体が透明の場合には、そのまま活性光線を照射することができる。支持体が不透明の場合には、支持体を除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、半導体レーザー等の紫外線を有効に放射する光源を使用することができる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射する光源を使用することもできる。
次いで、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、現像工程において、ウエット現像、ドライ現像等で硬化部以外の感光性樹脂組成物層を除去して現像し、レジストパターンを形成させる。
ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像することができる。現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが好ましく、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等が用いられる。
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、例えば、プリント配線板のソルダーレジストとして使用する場合は、前記現像工程終了後、ソルダーレジストとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射やオーブンによる加熱を行うことが好ましい。
紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば、0.2〜10J/cm程度の照射量で照射を行うことができる。また加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。さらに、紫外線照射と加熱とを両方実施してもよく、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。
また、上記の形成方法により得られたレジストパターンはプリント配線板上に形成される永久レジストとして使用されると好ましい。本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜は、優れた信頼性を有するので、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ねる、プリント配線板の永久レジストとして有効である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1及び2、比較例1〜4)
後述する各成分を、固形分の配合比(質量比)が表1に示した比率となるように混合することによって、感光性樹脂組成物を得た。以下に、各成分について、詳述する。
(A)成分:ポリウレタン化合物;UXE−3063(日本化薬株式会社製、商品名、重量平均分子量9000、酸価57.2mgKOH/g、二重結合当量900g/mol)
(B−1)成分:攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、窒素雰囲気下、N,N−ジメチルアセトアミド320gと、オキシジフタル酸無水物248gの懸濁液中に、N,N−ジメチルアセトアミド640gで溶解した2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン328gを少量ずつ添加した。これを攪拌しながら、反応温度を40〜50℃に保ち、添加後5時間窒素雰囲気下で攪拌を継続して、上記(B)成分に相当する樹脂((B−1)成分)を含有する溶液を得た。得られた(B−1)成分の重量平均分子量は90,000であり、溶液中の固形分((B−1)成分)の含有量は溶液の総量基準で37.5質量%であった。
(B−2)成分:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンの配合量を295gに変更した以外は、(B−1)成分と同様の合成方法により、(B−2)成分を含有する溶液を得た。得られた(B−2)成分の重量平均分子量は7,000であり、溶液中の固形分((B−2)成分)の含有量は溶液の総量基準で36.0質量%であった。
(C)成分:イルガキュア369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1)
(D)成分:カルボキシル基を有するバインダーポリマーで、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルの共重合体(メタクリル酸:メタクリル酸メチル:アクリル酸エチル=12質量%:58質量%:30質量%)であり、重量平均分子量70,000、酸価78mgKOH/g、Tg61℃である、バインダーポリマー。
(E)成分:EXOLIT OP 935(クラリアント社製、商品名、ホスフィン酸塩、リン含有量=23質量%)
(F)成分:BL3175(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名、メチルエチルケトンオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体)
(G)成分:FA−321M(日立化成工業株式会社製、商品名、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート)
Figure 2013037271
表1中の値は、各成分の固形分の配合比を示し、表1中の記号「−」は、該当する成分を配合しなかったことを示す。
[感光性エレメントの作製]
実施例1及び2、比較例1〜4の感光性樹脂組成物溶液をそれぞれ、支持体として用いたポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥することにより感光性樹脂組成物層を形成した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、いずれも25μmであった。
[プリント配線板用基板への積層]
銅箔をポリイミドフィルム基材に積層したプリント配線板用基板(新日鐵化学株式会社製、商品名「エスパネックスMB」、銅箔18μm、ポリイミドフィルム厚さ25μmの銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗した後、乾燥した。このプリント配線板用基板の銅表面上に、連続プレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名MVLP−500)を用いて、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、上記感光性エレメントを接着し、プリント配線板用基板に感光性樹脂組成物層が積層した積層体(以下、「評価用積層体」と称する。)を得た。
[プリント配線板の製造]
上記評価用積層体上に、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、カバーレイの信頼性評価用ネガとして配線パターンを有するフォトツールとを密着させ、株式会社オーク製作所製HMW−201GX型露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を15秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、カバーレイを形成したプリント配線板(以下、「評価用FPC」と称する。)を得た。
得られた感光性エレメント、評価用積層体及び評価用FPCを用いて、下記の評価を行った。評価結果は、表2に示したとおりであった。
(塗膜性評価)
感光性エレメントの感光性樹脂組成物層の外観を目視により観察し、ムラやハジキが観察されずに塗膜性が良好であった場合を「○」、ムラやハジキが観察されて塗膜性が悪かった場合を「×」として、評価した。
(支持体剥離性の評価)
上述した評価用積層体の製造に際し、剥離したポリエチレンフィルムに感光性樹脂組成物層の一部が転写した場合を「×」、そのような転写が見られず良好に剥離できた場合を「○」として評価した。
(光感度の評価)
上記評価用積層体上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させ、株式会社オーク製作所製HMW−201GX型露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を15秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。光感度を評価する数値として、上記エネルギー量を用いた。この数値が低いほど、光感度が高いことを示す。
(解像度、レジスト形状の評価)
ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールとを、上記評価用積層体上に密着させ、上述した露光機を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を15秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。ここで、解像度は、現像処理によって矩形のレジスト形状が得られたライン幅間のスペース幅の最も小さい値(単位:μm)により評価した。この値が小さいほど、解像度に優れていることを示す。また、レジスト形状はSEM観察を行い矩形であるか否かの確認をした。
(可撓性(耐折性)の評価)
上記評価用FPCを、ハゼ折りにより180度折り曲げを繰り返して行い、その際のカバーレイにおけるクラックが発生するまでの回数を顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、5回以上折り曲げてもカバーレイにクラックが認められないものは「A」とし、クラックが発生するまでの回数が2回以上で5回以下のものは「B」とし、クラックが発生するまでの回数が2回以下のものは「C」とした。
(難燃性の評価)
銅箔張積層板(新日鐵化学株式会社製、商品名「エスパネックスMB」のシリーズ)の銅箔をエッチングにより除去して厚さ25μmのPIフィルムを得た。次いで、そのPIフィルムの両面に、連続プレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名MVLP−500)を用いて、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、上記感光性エレメントを接着し、PIフィルムの両主面に感光性エレメントが積層した難燃性評価用積層体を得た。
次に、株式会社オーク製作所製HMW−201GX型露光機を使用して、上記難燃性評価用積層体が有する二つの感光性エレメントの感光性樹脂組成物層にそれぞれ、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。
続いて、常温で一時間静置して、ポリエチレンテレフタレートフィルムを難燃性評価用積層体から剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を15秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、カバーレイを形成した難燃性評価用サンプルを得た。
この難燃性評価用サンプルついて、UL94規格に準拠した薄材垂直燃焼試験を行った。評価はUL94規格に基づいて、VTM−0又はVTM−1と表した。
(反りの評価)
上記評価用FPCを、50mm×50mmサイズにカットし、260℃のホットプレート上へ60秒放置した後の反りを評価した。反りが3mm以下であったものは「A」、3〜10mmであったものは「B」、円筒状になったものは「C」として評価した。
(反発性(スティフネス性)の評価)
上記評価用FPCを一定のサイズ(50mm×50mm)にカットして試験片を作製し、JIS L 1096の曲げ反発性のA法(ガーレ法)に準拠して、ガーレー式スティフネステスター(テスター産業株式会社製)を用いて反発性(スティフネス性)を測定した。この測定において、試験片が振子から離れる時の目盛の読み(RG、単位:mgf)を反発性の値とした。この値が小さいほど、低反発であることを示す。
[表面光沢の評価]
同様にして得られた硬化膜表面に蛍光灯の光を反射させ、硬化膜表面に蛍光灯の光が反射しないものは「○」、反射するものは「×」とした。
[表面硬度の評価]
同様にして得られた硬化膜の表面をJIS K5400に準じ表面硬度の評価を実施した。
Figure 2013037271
表2から明らかなように、(B)成分の式(1−1)で表される構造を有する化合物の添加量が、5〜25質量%を外れ、0質量%である比較例4は、支持体からのはく離性、難燃性、表面光沢に劣り、また、3.9質量%である比較例1では、支持体からのはく離性が改良されるが、難燃性、表面光沢に劣る。さらに、25質量%を超え29.0質量%である比較例2では、支持体からのはく離性が悪く、レジスト形状のラインギザつきが生じ、塗膜性、表面硬度に劣る。また、(B)成分が範囲内でも、(D)成分のカルボキシル基を有するバインダーポリマーを添加しない比較例3では、塗膜性、レジスト形状のラインギザつき、反り、表面硬度に劣る。
これらに対し、本発明の(A)〜(D)成分を有する、実施例1、2の感光性樹脂組成物によれば、十分な光感度及び解像度が得られることが確認された。また、実施例1、2の感光性樹脂組成物から形成された硬化膜を備える積層板は、表面光沢を抑制でき、十分な難燃性(VTM−0)を有していることが確認された。更に、実施例1、2の感光性樹脂組成物から形成された硬化膜は、良好な低反り、低反発性を有していることが分かった。
1:感光性フィルム(感光性エレメント)
10:支持体
20:感光性樹脂組成物層
30:保護フィルム

Claims (6)

  1. エチレン性不飽和結合を有するポリウレタン化合物と、下記式(1−1)で表される構造を有する化合物と、光重合開始剤と、カルボキシル基を有するバインダーポリマーと、を含有する感光性樹脂組成物であって、前記下記式(1−1)で表される構造を有する化合物の添加量が、5〜25質量%である感光性樹脂組成物。
    Figure 2013037271
    [式(1−1)中、Rは四価の有機基を示す。]
  2. リン含有難燃剤をさらに含有する、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記リン含有難燃剤が、下記式(2)で表される化合物である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2013037271
    [式(2)中、A及びBはそれぞれ独立にアリール基又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na又はKであり、nは1〜4の整数である。]
  4. 熱硬化剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層と、を備える、感光性エレメント。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された永久マスクを備える、プリント配線板。
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