JP2013034376A - 配線ボックス - Google Patents

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Masayuki Yasuda
真之 安田
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Abstract

【課題】設置箇所の遮音性を向上させつつ、その設置作業を容易に行うことができる配線ボックスを安価に提供する。
【解決手段】配線ボックス10は、防火性能を有しない遮音性材料により一面に開口部20aを有する有底箱状に形成されたボックスカバー21と、軽量間仕切壁の壁裏に設置されるとともに、底壁12及び該底壁12の周縁に立設された周壁13を備え該周壁13によって囲み形成されたボックス開口部Sを有する箱状のボックス11とからなる。ボックスカバー21には、造営材Pに固定される固定部31と、開口部からボックス11を収容可能とする大きさに形成された収容部24とが設けられ、ボックスカバー21が、ボックス開口部を開口させつつボックスの外面全体を覆って該ボックスに一体化されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、遮音性を有するボックスカバーを備えた配線ボックスに関する。
建築物の壁としての軽量間仕切壁は、軽量形鋼材を立設し、該軽量形鋼材を挟むようにして壁材(例えば、石膏ボード)を立設することで構築される。軽量間仕切壁は、対となる壁材の間に中空部が形成されており、軽量間仕切壁は中空壁となっている。この軽量間仕切壁に配線器具を設置するため、軽量間仕切壁の壁裏側に、前面に開口を有する有底四角箱状の配線ボックスが設置される。この配線ボックスを用いた配線器具の設置は以下のように行われる。すなわち、軽量間仕切壁の構築前(壁材の立設前)、軽量形鋼材に配線ボックスを固定し、該配線ボックス内にケーブルを引き込んでおく。壁材の立設後、該壁材において配線ボックスの開口と対応する位置に貫通孔を形成し、該貫通孔からケーブルを壁表側に引き出した後、ケーブルに対する配線器具の接続作業が行われ、配線器具を壁材に取り付けることで配線器具が軽量間仕切壁に設置される。
上記のように構築された軽量間仕切壁においては、配線ボックスが設置された箇所となる貫通孔を通して音が漏れ、遮音性が低下するという問題があった。そこで、特許文献1には、配線ボックスが設置された箇所における遮音性を向上させた構造が開示されている。この構造は、配線ボックスの外面、内面又は内外両面を、遮音性を有するシート状耐熱シール材で覆い、該配線ボックスを設置することで形成されている。具体的には、配線ボックスは、シート状耐熱シール材で外面が覆われた状態で、造営材に固定された支持金具にボルトナットにより固定されている。また、シート状耐熱シール材の前端縁は、貫通孔の周りで壁材の裏面に接触している。このため、壁材と配線ボックスとの間の隙間がシート状耐熱シール材で塞がれ、配線ボックスの設置箇所の遮音性が向上するようになっている。
また、特許文献2には、建築物の壁面に防音又は遮音を考慮したスイッチボックスやコンセントを取り付けるためのコンセントカバー及び取付方法が開示されている。特許文献2のコンセントカバーは、防音性又は遮音性を有するコンセントカバー材料シートを折り畳んで箱体を形成することにより形成され、箱部とフランジ部とを備える。そして、このコンセントカバーは、建築物の壁面へのスイッチボックスの取付時、その施工現場でコンセントカバー材料シートを折り畳んで形成される。その後、壁面に形成された開口部にコンセントカバーの箱部が挿入されるとともにフランジ部が壁面に固着される。そして、コンセントカバー内にスイッチボックスが装着され、壁面に形成された開口部はフランジ部によって密閉され、壁面における防音又は遮音が考慮されている。
特開2003−41683号公報 特開2003−32832号公報
ところが、特許文献1に開示の遮音性を向上させた構造においては、遮音性を向上させる機能に加え防火性能も備えるため、シート状耐熱シール材が高価であるという問題があった。また、シート状耐熱シール材は、防火目的のために一般的に使用されるパテ状の耐熱シール材をシート状にしたものである。しかし、このようなパテ状の耐熱シール材は、配線ボックスの外面を覆った状態で壁内に設置されていると経時とともに硬化し、劣化してしまい、結果として配線ボックスの設置箇所の遮音性が低下してしまう。また、特許文献2に開示のコンセントカバー及び取付方法においては、コンセントカバーはスイッチボックスやコンセントの壁面への設置時にコンセントカバー材料シートを折り畳んで形成され、該コンセントカバーが壁面に固着された後、スイッチボックスがコンセントカバーに装着される。よって、特許文献2におけるコンセントカバーを用いると、遮音性を考慮したスイッチボックスの設置作業が非常に面倒であった。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、設置箇所の遮音性を向上させつつ、その設置作業を容易に行うことができる配線ボックスを安価に提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、防火性能を有しない遮音性材料により一面に開口部を有する有底箱状に形成されたボックスカバーと、建築物の壁裏に設置されるとともに、底壁及び該底壁の周縁に立設された周壁を備え該周壁によって囲み形成されたボックス開口部を有する箱状のボックスとからなり、前記ボックスカバーには、前記建築物の壁裏に設置された造営材に固定される固定部と、前記開口部からボックスを収容可能とする大きさに形成された収容部とが設けられ、前記ボックスカバーが、前記ボックス開口部を開口させつつボックスの外面全体を覆って該ボックスに一体化されてなることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線ボックスにおいて、前記収容部は、該収容部に収容されるボックスの外形形状と対応する大きさに形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の配線ボックスにおいて、前記ボックスの周壁にはケーブルが挿通可能な挿通孔が開口形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配線ボックスにおいて、前記ボックスカバーは、高比重、かつ気泡を有する材料より形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の配線ボックスにおいて、前記ボックスカバーには、前記開口部の全周から外方に向けて延びるフランジが形成されていることを要旨とする。
本発明によれば、設置箇所の遮音性を向上させつつ、その設置作業を容易に行うことができる配線ボックスを安価に提供することができる。
(a)は実施形態の配線ボックスを示す斜視図、(b)はボックスを示す斜視図。 実施形態の配線ボックスを示す正面図。 配線ボックスを示す側面図。 配線ボックスを軽量形鋼材に固定した状態を示す断面図。 ボックス内にケーブルを引き込んだ状態を示す断面図。 軽量間仕切壁に配線ボックスを設置した状態を示す断面図。
以下、本発明を具体化した配線ボックスの一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、配線ボックス10は、四角箱状をなす合成樹脂材料製のボックス11と、遮音性を有するボックスカバー21とが一体化されてなるものである。まず、ボックス11の構成について説明する。図1(b)に示すように、ボックス11は、一面にボックス開口部Sを有する有底四角箱状に形成されている。詳細には、ボックス11は、長方形状をなす底壁12と、該底壁12の周縁から立設された周壁13とから形成されている。前記ボックス開口部Sは周壁13によって囲み形成されている。なお、周壁13は、図1の上下に対向する上側壁13a及び下側壁13bと、図1の右左に対向する右側壁13c及び左側壁13dとからなる。そして、周壁13におけるボックス開口部S側の端面は同一平面上に位置し、該端面が位置する平面によってボックス11の開口面H1が形成されている(図1(b)の2点鎖線参照)。
上側壁13a及び下側壁13bには、ケーブル40(図5参照)を挿通可能とする挿通孔15が二つずつ形成されている。一方の挿通孔15はノック部14によって閉鎖され、他方の挿通孔15にはノック部14が形成されず、他方の挿通孔15は開口形成されている。また、上側壁13a及び下側壁13bの内面には、配線器具42(図6参照)をボックス11に取り付けるために用いられるボス部19が形成されている。
次に、ボックスカバー21の構成について説明する。図1(a)及び図2に示すように、ボックスカバー21は、一面に開口部20aを有する有底四角箱状に形成されている。ボックスカバー21は、特殊オレフィン系発泡材のようにオレフィンに高比重材を充填し、かつ気泡を有する材料によって形成されている。すなわち、ボックスカバー21は防火性能を有しない遮音性材料より形成され、前記気泡は遮音性材料の比重を低くすることがないように微細な気泡となっている。なお、ボックスカバー21を形成する遮音性材料は防火性能を有しないことから、パテ状の耐熱シール材と異なり、配線ボックス10が軽量間仕切壁Wに設置されても経時とともに硬化、劣化しない。
図2及び図4に示すように、ボックスカバー21は、長方形状に形成された底部22と、該底部22の周縁から立設された周壁23とが一体に成形されてなり、底部22と周壁23によって囲み形成された収容部24を有する。そして、ボックスカバー21において、周壁23における開口部20a側の端面が位置する平面をボックスカバー21の開口面H2とし、前記開口部20aは、周壁23に囲み形成されるとともに開口面H2に開口している。ボックスカバー21には、底部22及び周壁23を貫通する透孔やスリット等が形成されておらず、ボックスカバー21の外側から内側、又は内側から外側への音を遮る機能を有している。
周壁23は底部22から開口部20aに向かうに従い、長辺方向及び短辺方向へ開口幅を広げるように形成され、収容部24は底部22から開口部20aに向かうに従い広がるように形成されている。すなわち、ボックスカバー21における周壁23は、底部22から開口部20aに向けて傾斜する勾配を有する。この勾配は、ボックスカバー21を成形する際に、ボックスカバー21の成形用金型を抜くための抜き勾配によって形成される。
また、図1に示すように、ボックスカバー21の開口部20aの周囲にはフランジ26が一体形成されている。フランジ26は、その基端がボックスカバー21の開口端に一体形成されている。このフランジ26は、開口部20aの全周からボックスカバー21の外方に向けて延びるように形成され、フランジ26の前面はボックスカバー21の開口面H2上に位置している。そして、フランジ26は、その基端を中心として底部22に近づく側又は底部22から離れる側に向けて傾倒可能に形成されている。
図2及び図3に示すように、ボックスカバー21の周壁23のうちの一つの壁部であり、一対の長辺側の壁部のうちの一方には固定部31が取付ネジ32によって取り付けられている。なお、固定部31を取付ネジ32でボックスカバー21に取り付ける際、ボックスカバー21には取付ネジ32が貫通した孔(図示せず)が形成されるが、該孔の一方の開口部は取付ネジ32の頭部によって塞がれ、他方の開口部は固定部31によって塞がれている。このため、ボックスカバー21に固定部31が設けられていても、ボックスカバー21の外側から内側、又は内側から外側への音を遮る機能が低下することはない。
固定部31は合成樹脂材料より細長板状に形成されるとともに、ボックスカバー21に対する取付面と背向する面は、造営材たる軽量形鋼材P(図6参照)に当接させる当接面31bを形成している。この当接面31bは全体として平面状をなすとともに、一部が肉抜きされて凹状に形成されている。固定部31が周壁23に取り付けられた状態において、固定部31の長さ方向の両端部は、周壁23を形成する一対の短辺側の壁部の外面より突出するとともに、該突出部には固定孔31aが固定部31を貫通して形成されている。また、固定部31の突出部は、各先端に向かうに従い、ボックスカバー21への取付面側から軽量形鋼材Pへの当接面31b側へ厚みが薄くなるように形成されている。
そして、図1、図2及び図4に示すように、上記ボックス11は、ボックスカバー21の開口部20aから収容部24内に収容された状態で、底壁12の外面がボックスカバー21における底部22の内面に接着剤によって接着されている。よって、ボックス11とボックスカバー21とが一体化され、配線ボックス10が形成されている。図1(a)及び図2に示すように、配線ボックス10において、ボックスカバー21は収容部24に収容されたボックス11の外面全体を覆っている。また、ボックス11はそのボックス開口部Sを開口させるようにボックスカバー21の収容部24へ底壁12側から収容されている。
また、配線ボックス10において、ボックス11の上側壁13a、下側壁13b、左側壁13d、及び右側壁13cの外面、すなわちボックス11の外周面と、該外周面に対向する周壁23の内周面との間には、僅かな隙間Kが形成されている。この隙間Kは、ボックスカバー21における周壁23の内周面に勾配が形成されていることから、ボックス11における周壁13の外周面との間に形成される。また、ボックスカバー21における周壁23は、底部22側から開口部20aに向かうに従い拡開するように勾配を有するため、隙間Kは、底部22から開口部20aに向かうに従い徐々に幅広になっている。また、配線ボックス10において、ボックス11の開口側がボックスカバー21の開口部20aから突出せず、ボックス11の開口面H1と、ボックスカバー21の開口面H2とが同一平面上に位置するようになっている。
次に、配線ボックス10が設置される建築物の壁としての軽量間仕切壁Wについて説明する。図6に示すように、軽量間仕切壁Wは、複数の軽量形鋼材P(図6では一本の軽量形鋼材Pのみ図示)と、該軽量形鋼材Pを挟むように固定されることで立設される壁材Waとから構築されている。前記壁材Waは石膏ボードが用いられる。前記軽量形鋼材Pは、薄鋼板からなり、軽量形鋼材Pの立設方向に対して直交する方向への平断面視が略C字状をなすC型鋼である。そして、軽量間仕切壁Wを構築するには、まず、複数の軽量形鋼材Pを立設する。次に、対となる壁材Waを、軽量形鋼材Pを挟むように配設し、壁材Waをビスによって軽量形鋼材Pに固定すると、軽量間仕切壁Wが構築される。この軽量間仕切壁Wにおいて、対となる壁材Waの間には中空部Tが形成されている。
次に、上記配線ボックス10を用いた配線器具42の設置について説明する。なお、軽量形鋼材Pが予め立設されているものとする。さて、軽量間仕切壁Wに配線ボックス10を設置するには、まず、図4に示すように、ボックスカバー21におけるフランジ26を、基端を中心として底部22から離れる側に向けて傾倒させ、フランジ26の先端が底部22から離れる側へ延びるようにフランジ26を傾斜させる。次に、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに固定する。すなわち、固定部31の両固定孔31aに固定ビス33を挿通し、該固定ビス33を軽量形鋼材Pに強制的に螺入する。すると、固定部31を介して配線ボックス10が軽量形鋼材Pに固定される。なお、固定部31を軽量形鋼材Pに固定するとき、固定部31は、壁表側となる壁材Waが設置される側に位置する軽量形鋼材Pの外面より若干後退した位置に固定される。これは、ボックスカバー21の開口面H2を、軽量形鋼材Pにおいて壁材Waが立設される側の面とを同一平面上に位置させるためである。
次に、図5に示すように、周壁23の上部にケーブル40を差し込み、さらに、挿通孔15に挿通してボックス11内に引き込む。なお、周壁23にケーブル40を差し込む際、ケーブル40を差し込む位置に切断工具(図示せず)等によって切れ込みを入れてケーブル40の差し込みを補助する。ボックスカバー21の周壁23に切れ込みを入れる際、該切れ込みは周壁23における挿通孔15と対向する位置に入れられる。すなわち、ボックスカバー21の周壁23において、ボックス11の周壁13が存在しない位置に切れ込みが入れられる。このとき、ボックスカバー21の周壁23を切断した切断工具は、挿通孔15の内周面に接触するため、切断工具がケーブル40の差し込み位置から大きく離れた位置まで移動してしまうことが防止される。そして、切れ込みにケーブル40を差し込み、挿通孔15にケーブル40を挿通した後、切れ込みをシール材(例えば、パテやコーキング材)によって埋める。
次に、軽量形鋼材Pを挟むように壁材Waを立設する。すると、壁材Waの裏面がフランジ26に当接し、壁材Waが軽量形鋼材Pに固定されることにより、フランジ26が壁材Waの裏面によって軽量形鋼材P側へ押され、基端を中心として底部22に近づく側に向けて傾倒する。すると、フランジ26は原形状に復帰しようとするため、フランジ26は壁材Waの裏面に圧接する。そして、ボックス11は、外面全体がボックスカバー21によって覆われるとともに、ボックスカバー21と壁材Waとの間はフランジ26によって閉鎖される。このため、ボックス11は、壁材Waとボックスカバー21によって中空部Tから遮断される。
次に、壁材Waの裏側に設置された配線ボックス10を探知し、切断工具(図示せず)を用いて壁材Waを切除し、図6に示すように、壁材Waに貫通孔Wbを形成するとともに、ボックス11を壁表側に臨ませる。このとき、貫通孔Wbの開口縁は、ボックス11の内面に沿っているため、ボックス11の外面全体を覆うボックスカバー21のフランジ26は、壁材Waにおける貫通孔Wbの周囲に圧接した状態が維持される。その後、配線器具42を保持枠43に保持させ、該保持枠43を、ボス部19を用いてボックス11に取り付けるとともに、配線器具42をボックス11に収容すると、配線器具42が軽量間仕切壁Wに設置される。
配線器具42が軽量間仕切壁Wに設置された状態において、ボックスカバー21はボックス11の外面全体を覆い、フランジ26は、貫通孔Wbの周囲で壁材Waの裏面に圧接している。このため、壁材Waとボックス11との間の隙間がボックスカバー21で塞がれ、軽量間仕切壁Wにおいて、配線ボックス10の設置箇所の遮音性が向上する。また、ボックス11の外周面とボックスカバー21の内周面との間に隙間Kが形成されている。このため、ボックスカバー21とボックス11との共振が防止される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)配線ボックス10を形成するボックスカバー21は防火性能を有しない遮音性材料で形成されている。このため、ボックスカバー21を遮音性能及び防火性能を有する材料で形成する場合に比して配線ボックス10を安価に製造することができる。加えて、ボックスカバー21は防火性能を有しないため、防火性能を持たせるためにボックスカバー21をパテ状の材料を用いて形成した場合とは異なり、ボックスカバー21が硬化し、劣化することがなく、該劣化による遮音性の低下を防止することができる。さらに、配線ボックス10は、ボックス11とボックスカバー21が接着されて一体化されている。このため、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに固定するだけでボックス11及びボックスカバー21を同時に軽量間仕切壁Wに設置することができる。よって、ボックス11とボックスカバー21が別体とされ、それぞれを軽量間仕切壁Wに設置する必要がある場合に比して、設置箇所の遮音性を向上させつつ、その設置作業を容易とすることができる。
(2)ボックスカバー21は、防火性能を有しない遮音性材料により予め四角箱状に成形されている。よって、特許文献2のようにシート状の遮音性材料を折り畳んで箱状に成形する手間を省くことができ、遮音性を向上させた配線ボックス10の設置作業を容易とすることができる。
(3)ボックス11の底壁12と、ボックスカバー21の底部22とが接着剤によって接着され配線ボックス10が形成されている。すなわち、ボックス11の周壁13と、ボックスカバー21の周壁23とは接着されていない。このため、ノック部14によって閉鎖された挿通孔15を開放させる場合においては、ノック部14を除去するときに、ノック部14がボックスカバー21の周壁23に接着されておらず、ノック部14を容易に除去することができる。
(4)ボックス11における周壁13の外周面と、ボックスカバー21における周壁23の内周面との間には隙間Kが形成されている。このため、音によりボックスカバー21の周壁23が振動してもボックス11の周壁13が共振することが防止され、遮音性を維持することができる。
(5)ボックスカバー21における周壁23の内周面と、ボックス11における周壁13の外周面との間には僅かな隙間Kが形成されている。このため、切断工具等でボックスカバー21の周壁23を切り込むため、周壁23をボックス11側へ押した際、ボックスカバー21の周壁23は即座にボックス11の周壁13に接触する。このため、ボックス11の周壁13によってボックスカバー21の周壁23が支えられ、切り込み作業が容易に行われる。
(6)ボックス11の周壁13には、ノック部14によって閉鎖されず、予め開放された挿通孔15が形成されている。このため、ボックス11とボックスカバー21とが一体化された配線ボックス10であっても、ボックス11内にケーブル40を引き込む際、ボックスカバー21にケーブル40を差し込むだけでそのまま挿通孔15からボックス11内にケーブル40を引き込むことができ、ケーブル40の挿通作業を容易とすることができる。
(7)ボックス11の周壁13には、挿通孔15が予め開口形成されている。このため、ボックスカバー21の周壁23において、挿通孔15と対向する位置にケーブル40挿通のための切れ込みを形成する際、切断工具が挿通孔15を形成する内周面に接触して、必要以上に大きな切れ込みが形成されることが防止される。よって、切れ込みを埋めるためにシール材を塗布するための作業量及びシール材の使用量を抑えることができる。また、切れ込みを小さく抑えることができるため、配線ボックス10の遮音性の低下も防止することができる。
(8)ボックスカバー21は、特殊オレフィン系発泡材のようにオレフィンに高比重材を充填し、かつ気泡を有する材料によって形成されている。このため、ボックスカバー21は、高比重材によって低周波の音域を遮音し、気泡により高周波の音域を遮音できるようになっている。
(9)ボックスカバー21にはフランジ26が形成され、フランジ26はボックスカバー21から延設されている。このため、フランジ26は壁材Waによって押圧されるとボックスカバー21の底部22に近づく側へ傾倒する。そして、フランジ26は傾倒状態から原形状への復帰力によって壁材Waの裏面に圧接する。したがって、壁材Waの裏面とボックス11との間の隙間をフランジ26によって確実に遮断することができ、配線ボックス10の設置箇所の遮音性が向上する。
(10)ボックスカバー21には固定部31が組付けられ、該固定部31を用いて配線ボックス10を軽量形鋼材Pに固定することができる。このため、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに固定する際、固定ビス等を、ボックスカバー21を貫通させる必要がない。よって、ボックスカバー21に固定ビス等を貫通させることにより、ボックスカバー21による遮音性が低下してしまうことを防止することができる。
(11)配線ボックス10は、ボックス11とボックスカバー21とが一体化されている。このため、配線ボックス10の運搬や施工中にボックス11とボックスカバー21とが分離することが防止され、運搬中や施工中の煩わしさを無くすことができる。
(12)配線ボックス10は、ボックス11の底壁12とボックスカバー21の底部22とが接着されて一体化されている。このため、底壁12と底部22との接着に加え、ボックス11の周壁13とボックスカバー21の周壁23とを接着する場合に比して使用する接着剤の量を抑え、さらに、接着剤の塗布作業の量を抑えることができ、配線ボックス10の製造コストを抑えることができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ ボックスカバー21の大きさを、その収容部24に実施形態に記載のボックス11を2つ収容可能に形成してもよい。そして、ボックスカバー21にボックス11を一つ又は二つ接着してもよい。
○ 配線ボックス10は、防火性能を有しない遮音性材料よるなるシート材を折り畳み、ボックス11の外面全体を覆う有底四角箱状に成形したボックスカバー21にボックス11を接着して形成してもよい。
○ ボックス11とボックスカバー21の一体化は、接着でなく、溶着や貼着テープによる互いの接合や、ビス止め等で行ってもよい。
○ ボックス11における周壁13の外周面と、該外周面に対向するボックスカバー21における内周面全体とを接着してもよい。
○ 固定部31は削除してもよい。
○ 挿通孔15をノック部14で閉鎖せず、全ての挿通孔15を開放してもよい。このように構成すると、ケーブル40をボックスカバー21の周壁23を貫通させてボックス11内に引き込む作業を行う際、ボックスカバー21の周壁23に切れ込みを形成するだけでよいため、ノック部14を除去する必要がある場合に比してケーブル40をボックス11に引き込む作業を容易とすることができる。又は全ての挿通孔15をノック部14で閉鎖してもよい。
○ ボックスカバー21において、フランジ26は削除してもよい。
○ ボックスカバー21の周壁23において、ケーブル40が挿通される位置に目印や、周壁23の厚み内に切れ込み等を形成してもよい。このように構成すると、ケーブル40の挿通作業をより一層簡易化することができる。
○ 固定部31は、軽量形鋼材Pに固定可能であれば実施形態の形状に限定されず、任意に変更してもよい。
○ 隙間Kは、図2に示すような隙間より大きくてもよく、隙間Kの幅を任意に変更してもよい。
○ ボックスカバー21における周壁23に形成される勾配は、ボックスカバー21を成形する際に形成される抜き勾配以外の勾配であってもよい。
○ 建築物の壁として土壁に配線ボックス10を設置してもよく、この場合、造営材としての木柱に固定部31が固定されて配線ボックス10が設置される。
K…隙間、P…造営材としての軽量形鋼材、S…ボックス開口部、W…建築物の壁としての軽量間仕切壁、10…配線ボックス、11…ボックス、12…底壁、13…周壁、15…挿通孔、20a…開口部、21…ボックスカバー、22…底部、26…フランジ、31…固定部、40…ケーブル。

Claims (5)

  1. 防火性能を有しない遮音性材料により一面に開口部を有する有底箱状に形成されたボックスカバーと、建築物の壁裏に設置されるとともに、底壁及び該底壁の周縁に立設された周壁を備え該周壁によって囲み形成されたボックス開口部を有する箱状のボックスとからなり、前記ボックスカバーには、前記建築物の壁裏に設置された造営材に固定される固定部と、前記開口部からボックスを収容可能とする大きさに形成された収容部とが設けられ、前記ボックスカバーが、前記ボックス開口部を開口させつつボックスの外面全体を覆って該ボックスに一体化されてなる配線ボックス。
  2. 前記収容部は、該収容部に収容されるボックスの外形形状と対応する大きさに形成されている請求項1に記載の配線ボックス。
  3. 前記ボックスの周壁にはケーブルが挿通可能な挿通孔が開口形成されている請求項1または請求項2に記載の配線ボックス。
  4. 前記ボックスカバーは、高比重、かつ気泡を有する材料より形成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
  5. 前記ボックスカバーには、前記開口部の全周から外方に向けて延びるフランジが形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
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