JP2013033772A - 板体収容カセットおよびその使用方法 - Google Patents

板体収容カセットおよびその使用方法 Download PDF

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Hiroyuki Shimada
浩幸 島田
Kazuya Arimoto
和也 有本
Takayuki Minato
貴行 湊
Toshisuke Okajima
俊祐 岡嶋
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    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
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Abstract

【課題】 直方体状の枠体(1) 内に複数枚の板体(B) を縦姿勢でかつ並列にかつその板体
(B) 面が枠体(1) の両側面と平行になるように収容する板体収容カセットであって、板体
(1) の出入および運搬を円滑に行うことができることはもとより、板体(1) が大サイズで
かつ重量が大の基板やパネルであっても、カセット側の板体(1) 支承部にも損傷を与え難
くかつ板体(1) 側の下端エッジにも割れや欠けを生じ難いカセットを提供することを目的
とする。
【解決手段】 直方体状の枠体(1) において、その低所位置には板体下端受けとめ用ロー
ラ(2) 群、低所位置であって前記ローラ(2) 群の設置位置よりも高い位置には板体下部規
制用ローラ(3) 群、枠体(1) の中所ないし高所位置には板体上部側規制用ローラ(4) 群を
それぞれ設けることにより、板体(1) を3点支持しうるようにしたカセットである。
【選択図】 図11

Description

本発明は、全体視で直方体状の枠体(1) からなり、その枠体(1) 内に、複数枚の板体(B
) を縦姿勢でかつ並列にかつ該板体(B) 面が枠体(1) の両側面と平行になるように収容す
る板体収容カセットに関するものである。また、その板体収容カセットの使用方法に関す
るものである。
(基板を水平姿勢で取り扱う従来のカセット)
ガラスを用いた各種の基板(たとえばTFT液晶基板)は、一般に水平姿勢で各種の取
り扱いに供するのが通常である。しかしながら、基板のサイズが大きくなると、工場内で
行う基板面に対する各種の処理操作(たとえば洗浄操作やスパッタリング操作)や基板面
に対する他部材の貼付操作(たとえば偏光板の貼付操作)のために要する設置面積が大に
なる上、基板を工程間に送るためのカセットの移動のために要する面積も大になるという
不利がある。
(基板を垂直姿勢で取り扱う工夫)
そのため、基板を縦姿勢で取り扱うカセットについて工夫がなされるようになってきて
いる。そして、そのような工夫の流れの中で、基板の搬送を縦姿勢で行う特許文献1や特
許文献2の工夫がなされている。
−特許文献1における基板の縦姿勢での搬送機構−
特開2006−143462号公報(特許文献1)の請求項1には、「基板を略直立さ
せた状態で搬送する縦型基板搬送機構であって、前記基板Wの下端を受ける基板受け具(
受け治具)7が複数間隔をおいて整列配置されたベルト部材6を有する搬送コンベア2と
、この搬送コンベア2の上方に配置され、前記基板Wの上縁を支持し当該基板Wの搬送方
向へ搬送するべく回転する複数の支持ローラ8とを備えたことを特徴とする縦型基板搬送
機構4。」が示されている。
−特許文献2における容器に対する基板の縦姿勢での出入機構−
特開2003−7803号公報(特許文献2)には、液晶ガラス基板などのフラットパ
ネル搬送用容器の中にローラーコンベヤを取り付けると共に、このローラーコンベヤを利
用して容器からパネルの出し入れが容易になるようにした挿入・取り出し装置が示されて
いる。その図2、4、段落0004には、容器1に対するパネル8の出入を行う挿入・取
り出し装置が示されており、パネルの下端をローラーコンベヤ9のローラー4の凹型溝の
部分で支え、パネルの上端側をガイドローラー13で両側から挟み込むことにより、次工程
に合わせてパネル8の立つ角度を変えられるようにした機構が示されている。
特開2006−143462号公報 特開2003−7803号公報
(従来技術の問題点)
基板を水平姿勢で取り扱う従来のカセットの問題点については、後の[発明の効果]の
箇所において本発明と対比して述べる。
従来技術である上記の特許文献1、2の問題点についても、後の[発明の効果]の箇所
において本発明と対比して述べる。
[特許文献1]
上記の特許文献1の縦型基板搬送機構4においては、基板Wはその上縁を複数の支持ロ
ーラ8で支持して送り動作され、その支持ローラ8は搬送コンベア2による基板Wの搬送
速度に同期して回転し、基板上縁を支持した状態で基板搬送方向に送り回転するので、安
定した直進走行性が得られ、成膜処理時の膜質の安定化が図られるようにしてある(段落
0010、0044〜0046)。
この特許文献1の図5〜8、12には、基板Wの下端を受け治具7や中継ローラ48で支
持することが示されており、その図10や段落0045、0049には、基板Wの上縁を
支持ローラ8の樹脂製リングに接触させて支持することにつき記載がある。
ただし、この特許文献1の縦型基板搬送機構4は、ベルト部材6を有する搬送コンベア
2を用いて基板Wを搬送(基板Wを1列で搬送)するものであり、所定数の基板Wを収容
するカセットにかかるものではない。
また、上記において基板Wの下端を支持する受け治具7は、その図6〜8(特に基板W
との関係が明確な図6の上端部がわかりやすい)のように、基板受けブロック21を備えて
おり(段落0026)、該基板受けブロック21はその上端部に基板Wの下端を支持する断
面視ですり鉢状の支持溝29が形成されている(段落0030)。ここで、この支持溝29を
断面視ですり鉢状にしているのは、基板Wの受け渡しを容易にするためである(段落00
31)。なお、図6の溝付きローラ25は、凸レール27が係合するためのものであって、基
板Wの下端の支持とは無関係である。
中継ローラ48も図12に示されているようにローラ部材50の周面に略V字状の溝50a を
形成したものからなり、その溝50a 内に基板Wの下端が収容されるようになっている(段
落0040)。
この特許文献1の縦型基板搬送装置1は、成膜室、真空熱処理室、エッチング室、イオ
ン注入室などの真空処理室における基板搬送系を念頭においてなされたこともあって、縦
型基板搬送機構4(搬送コンベア2とガイドローラユニット3とからなる)を複数組(図
1においては2組)直列に配置して基板搬送系を構築することについては開示があるもの
の、縦型基板搬送機構4を並列に設けることについては想定されていない上、その縦型基
板搬送機構4を基板を収容するカセットに応用することについても想定されていない。
以上をまとめてみると、特許文献1の縦型基板搬送装置1は、所定数の基板Wを収容す
るカセットにかかるものではない点で本発明とは目的物が相違するが、「縦姿勢にした基
板Wの上縁を支持ローラ8で支持し、基板Wの下端を受け治具7や中継ローラ48で支持し
、1列の状態で搬送に供すること」が示されている。
[特許文献2]
−パネル8の容器1内での収容状態−
上記の特許文献2のフラットパネル搬送用容器あっては、立垂姿勢を示す図1およびそ
れを横倒しにした姿勢の図2のように、パネル8は横倒しの縦姿勢でローラー4の助けを
借りて図2の右横の開口部(図1の立垂姿勢の上部開口部)から奥の内壁(図1の立垂姿
勢の底部の内壁)の溝に嵌まるまで挿入される。1枚のパネル8の挿入後は、横倒し姿勢
の容器1を図2の奥または手前方向に少し移動させて同様にパネル8の挿入操作を行えば
、所定枚数のパネルを容器1内に収容することができる。その後、容器1を立垂姿勢に戻
して蓋2で蓋をすれば、図1のようになる。蓋2の内壁に溝を設けておくことにより、容
器1内に収容したパネル8は、立垂姿勢の容器1の底部の内壁の溝と、蓋2の内壁の溝と
により、パネル8の上辺と下辺との双方が規制されるので、安定する。(なお、図3には
、パネル8の上辺が蓋2の溝に嵌まり、パネル8の下辺がローラー4の凹型溝に嵌まって
いる状態が描かれているが、この図3は間違いである。)
−パネル8の容器1への出入操作と容器1の搬送操作−
先にも述べたように、この特許文献2においては、容器1へのパネル8の出し入れを次
のようにして行っている(段落0005、図2を参照)。
・立垂姿勢にある図1の容器1から蓋2を外した後、図2のように横倒しにする。この
とき、容器1内に挿入してあるローラー4付きのローラーコンベヤ本体3が横倒し姿勢の
容器1の下側になるようにする。
・この状態で、ローラーコンベヤ9のローラー4上に載ったパネル8を取り出し装置10
の吸引装置12により吸い付けて、横倒し姿勢の容器1の下側に位置するローラー4上に挿
入する(図2)。
・1枚のパネル8の挿入後は、横倒し姿勢の容器1を図2の奥または手前方向に少し移
動させて同様にパネル8の挿入操作を行う。これにより、所定枚数のパネル8が容器1内
に収容される。
・容器1からのパネル8の取り出しは、上記の挿入操作と逆の操作をすればよい。
−本発明との相違点−
上述のように、特許文献2におけるパネル8の容器1内での収容状態は、立垂姿勢の「
容器1の底部の内壁の溝」と「蓋2の内壁の溝」とによってパネル8の上辺と下辺との双
方が規制された状態にあるだけであり、後述の本発明のカセットにおける板体(1) の収容
状態とは全く共通性がない。特許文献2における容器1の構造も、本発明のカセットとは
顕著に相違する。
(発明の目的)
このような背景下において、本発明は、「全体視で直方体状の枠体(1) からなり、その
枠体(1) 内に、複数枚の板体(B) を縦姿勢でかつ並列にかつ該板体(B) 面が枠体(1) の両
側面と平行になるように収容する板体収容カセット」であって、かつ上述の従来技術とは
構造も作用効果も相違する板体収容カセットを提供することを目的とするものである。ま
た、そのカセットの使用方法を提供することを目的とするものである。
本発明の板体収容カセットは、
(イ)全体視で直方体状の枠体(1) からなり、該枠体(1) の正面および背面のうちの少
なくとも一方が出入口となると共に、その枠体(1) 内に複数枚の板体(B) を縦姿勢でかつ
並列にかつ該板体(B) 面が枠体(1) の両側面と平行になるように収容するカセットである
こと、
(ロ)該枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置には、縦姿勢の板体(B) の下
端を受けとめる板体下端受けとめ用ローラ(2) 群を、その回転軸の向きが枠体(1) の左右
方向となるように設けてあること、
(ハ)該枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置であって前記ローラ(2) 群の
設置位置よりも高い位置には、該ローラ(2) 群によって下端を受けとめられた縦姿勢の板
体(B) の下部側の左右方向の位置ずれを規制する板体下部規制用ローラ(3) 群を、その回
転軸の向きが枠体(1) の上下方向となるように設けてあること、および、
(ニ)該枠体(1) の中所ないし高所位置には、前記ローラ(2) 群によって下端を受けと
められた縦姿勢の板体(B) の上部側の左右方向の動きを規制する板体上部側規制用ローラ
(4) 群を、その回転軸の向きが枠体(1) の上下方向となるように設けてあること、
を特徴とするものである。
本発明の板体収容カセットの使用方法は、上記の板体収容カセットを用いて、該カセッ
トと他の装置との間の板体(B) の授受を該板体(B) を縦姿勢にした状態で行うこと、を特
徴とするものである。
(板体(B) を水平姿勢で取り扱う従来のカセットとの対比)
−1−
基板などの板体(B) を水平姿勢で取り扱う従来のカセットは、次のような問題点ないし
限界を有している。
・カセットに収容した板体(B) に塵埃が付着しやすいこと。
・カセットに収容した板体(B) が撓みやすく、特に板体(B) のサイズが大きくなるにつ
れて撓み量が大きくなること。取り扱い可能な板体(B) のサイズの大きさには、おのずか
ら限界があること。
・カセットに対する板体(B) の出入操作をロボットのハンドで行うことになるため、そ
の出入操作が必ずしも容易ではないこと。その際には、たとえばカセットの入口部に板体
(B) がぶつかって板体(B) の割れや欠けを生ずるおそれもあること。
・カセットに収容したときの上下の板体(B), (B)間のピッチは、板体(B) 撓みとロボッ
トのハンドの厚みなどを加味して相応に広くしなければならないので、1台のカセットに
収容しうる板体(B) の枚数が少なくなり、収納効率が悪くなること。
・板体(B) を水平姿勢で収容するものであるため、工場内におけるカセットのフットプ
リント(占有面積)が大にならざるをえないこと。
・加えて、カセットに対して板体(B) を出入するための関連装置(たとえば出入用のロ
ボット)のコストが高くならざるをえず、その関連装置の占有面積も大になること。
−2−
これに対し、板体(B) を縦姿勢で収容する本発明の板体収容カセットは、次のようなメ
リットがある。
・カセットに収容した板体(B) に塵埃が付着しにくいこと。
・カセットに収容した板体(B) が撓みがなくなり、板体(B) のサイズが大きくなっても
ほとんど撓みを生じないこと。そのため、サイズが極めて大きい板体(B) であっても取り
扱いが可能になること。
・板体(B) を縦姿勢で収容するものであり、かつその縦姿勢においては板体(B) の撓み
を考慮する必要がないため、カセットに並列に収容した隣接板体(B), (B)間のピッチを極
小にすることができること。その結果、1台のカセットに収容しうる占有面積当りの板体
(B) の枚数を多くすることができ、収納効率が向上すること。
・カセットに対する板体(B) の出入機構が上述の従来法とは根本的に相違しているので
、その出入操作が従来に比し格段に容易かつ円滑になること(出入を手で行うことも可能
)。その際に、カセットの入口部に板体(B) がぶつかるようなトラブルは皆無になること

・板体(B) を縦姿勢で収容するものであるため、工場内におけるカセットのフットプリ
ント(占有面積)が従来に比し小になること。
・加えて、カセットに対して板体(B) を出入するための関連装置も、ローラ方式により
縦姿勢の板体(B) を動かすものとなるため、構造的にも簡素となり、占有面積も小さくな
り、かつコスト的にも有利となること。
・後の工程において、たとえば板体(B) の両面に対して偏光板の貼り付け操作を行うと
きには、カセットから板体(B) を1枚繰り出して貼り付ける操作を次々に行うだけで済む
ので、後の工程との連携プレイの点でも極めて効率的になること。すなわち、縦姿勢の板
体(B) に各種の処理や貼り付けを行う装置や工程に対して板体(B) を授受するのに、最適
なものとなること。
−3−
加えて、板体(B) を縦姿勢で収容する本発明の板体収容カセットは、上記の−2−で述
べたメリットのほか、次のようなメリットもある。
1.板体(B) をその表面に対して非接触状態で収容することができること。
2.板体(B) のサイズや厚みが異なっても対処することができ、サイズや厚みの異なる
板体(B) が混在した形での対処も可能であること。
3.床面からの高さを可変にすることもできること。
4.板体(B) の出入に際し、人手での取り扱いも可能であること。
5.多数枚の板体(B) を、全部一括して、いくつかの枚数単位で、飛び飛びに、あるい
は1枚ずつ出入することができること。
6.枠体(1) の正面および背面のうちの少なくとも一方を出入口とすることができるの
で、入れた方から出したり、入れた方とは反対側から出したりすることが自在であること

7.簡単な構造のストッパ手段(6) の設置により、カセットへの板体(B) の入出時やカ
セットの移動時に対処することができ、また床に傾斜箇所がある場合でもカセットを移動
することが可能であること。板体(B) の取り出しも、ストッパ手段(6) のストップ機能を
解除するだけでよいこと。
8.カセット内に板体(B) を傾斜させた姿勢で収容することも可能であること。
(特許文献1、2との対比)
[縦型基板等の支承方式]
すでに述べたように、特許文献1の縦型基板搬送装置1は、所定数の基板Wを収容する
カセットにかかるものではない点で本発明とは目的物が相違する。ただし、特許文献1に
は、「縦姿勢にした基板Wの上縁を支持ローラ8で支持し、基板Wの下端を受け治具7や
中継ローラ48で支持し、1列の状態で搬送に供すること」が示されている。
また、すでに述べたように、特許文献2のフラットパネル搬送用容器の構造は、立垂姿
勢の「容器1の底部の内壁の溝」と「蓋2の内壁の溝」とによってパネル8の上辺と下辺
との双方が規制された状態にするものであり、本発明のカセットとは顕著に相違している
。ただし、特許文献2には、「ローラーコンベヤ9のローラー4上に載ったパネル8を取
り出し装置10の吸引装置12により吸い付けて、横倒し姿勢の容器1の下側に位置するロー
ラー4上に挿入する」ように工夫したパネル挿入・取り出し装置が示されている。
すなわち、特許文献1、2には、「板体(基板やパネル)の下端をローラで支持すると
共に、その板体の上部をローラで支持する板体の支承方式(2点支持方式)が示されてい
る。この支承方式を「2点支持方式」と称することにする。
[基板の下端を受けとめる凹型溝のローラ]
特許文献1の2点支持方式においては、先にも述べたように、板体(基板W)の下端を
支持するローラとして、凹型溝のローラ(断面視ですり鉢状の支持溝が形成されている受
け治具7や略V字状の溝を有する中継ローラ48)を用いている。
特許文献2の2点支持方式においては、先にも述べたように、板体(パネル8)の下端
を支持するローラとして、凹型溝を有する鼓型のローラー4を用いている。
このように文献1、2において板体の下端を支持するローラとして凹型溝を有するもの
を用いているのは、板体を下端の部分で位置決めするためである。
[2点支持方式の問題点]
特許文献1、2において採用している2点支持方式は、板体の下端を凹型溝のローラで
受けると共に板体の上部をローラで支持するものであるので、縦形の板体を安定して支持
することができる。しかしながら、板体が大サイズで重量が大の基板やパネルでありかつ
そのような板体を所定枚数収容して移動や保管を行うカセットにおいては、板体の下端を
凹型溝のローラで受け止めると、該ローラの溝の側壁や溝の斜面が削れて摩耗屑が発生す
ることを免れず、また板体の方もその下端のエッジ部分に欠けを生じやすくなることを免
れない。このようなトラブルの発生は上記の「板体の下端を凹型溝のローラで受けとめる
ようにした2点支持方式」においては必然的とも言えるものであるため、カセットに対す
る板体の入出操作や板体を収容したカセットの移動操作に万全の注意を払っても、上記の
ようなトラブルを解消することは困難である。
[本願発明の3点支持方式の作用効果]
これに対し、本願発明の板体収容カセットにあっては、
・枠体(1) の低所位置には縦姿勢の板体(B) の下端を受けとめる板体下端受けとめ用ロ
ーラ(2) 群を設け、
・このローラ(2) 群の設置位置よりも高い位置には該ローラ(2) 群によって下端を受け
とめられた縦姿勢の板体(B) の下部側の左右方向の位置ずれを規制する板体下部規制用ロ
ーラ(3) 群を設け、
・一方、枠体(1) の中所ないし高所位置には、前記ローラ(2) 群によって下端を受けと
められた縦姿勢の板体(B) の上部側の左右方向の動きを規制する板体上部側規制用ローラ
(4) 群を設ける、
という特別の工夫(つまり、特許文献1、2においては全く考えが及んでいない3点支持
方式の工夫)を講じてあるため、板体が大サイズで重量が大の基板やパネルであっても、
板体下端受けとめ用ローラ(2) の寿命が長くなる上、板体(1) の下端のエッジに欠けを生
ずるというような事態が避けられ、カセットの信頼性が格段に向上したものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(枠体(1) )
本発明の板体収容カセットにおいて、カセットの骨格となる枠体(1) は全体視で直方体
状からなる。枠体(1) の材質は金属、樹脂被覆金属、樹脂など任意であり、強度、防錆性
、軽量性、組立の容易性、洗浄の容易性、コストなどを考慮して適切な材質を選択する。
枠体(1) の正面および背面のうち、少なくとも一方が出入口となる。この枠体(1) 内に、
複数枚の板体(B) を縦姿勢でかつ並列にかつ該板体(B) 面が枠体(1) の両側面と平行にな
るように収容するわけである。このときの「並列」の列数については、数列から数10列
とすることが多いが、複数列であれば何列でも差し支えない。板体(B) の収容列数の多い
カセットを作製し、状況に応じてそのうちの一部の列を使うようにすることも自在である
(板体(B) )
板体(B) としては、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)
、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED) 、FED(Field Emission Di
splay)、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display) などのフラットパネル
・ディスプレイ(FPD(Flat Panel Display))の製造のためのガラス板、セラミックス
板、シリコン板、プラスチックス板をはじめとするリジッドな板体(特にガラス板)であ
る素板そのものを用いることができる。その素板の少なくとも片面に機能層を付加した半
製品や製品パネルも用いることができる。ここで「機能層」としては、上記の素板上に成
層される透明導電膜、金属薄膜、配向膜、液晶層、カラーフィルタ、誘電体層、有機EL
層、有機半導体、金属ナノ粒子層をはじめとする多種多様の層があげられる。機能層は、
単層であっても多層であってもよく、また連続層であっても断続層であってもよい。「機
能層」の「層」とは、基板上に何らかの機能を付与した「もの」という意味である。「機
能層」のほか、偏光板や位相差板を貼付した半製品パネルや製品パネルも用いることがで
きる。機能層に代えてあるいは機能層にプラスして、保護層ないし保護膜を設けたものも
用いることができる。以下の説明においては、上記のような目的の板体(B) を「基板類」
と称することがある。
板体(B) の厚みやサイズについては特に制約はないが、板体(B) がガラス板を用いた基
板類であるときを例にとると、本発明においては、厚みが 0.7mmとかそれ以下で、サイズ
がG5、G6、G7、あるいはG8以上である大サイズの基板に対しても充分に適用でき
るので、板体(B) としてそのような薄くかつ大サイズの基板を用いる場合が特に重要であ
る。ちなみに、基板類がガラス板を用いたものであるときの素板ガラスについては、現在
では、その厚みはたとえば 0.7mmまたはそれ以下というように薄く、そのサイズはたとえ
ば1150mm×1300mm(G5サイズ)、1500mm×1850mm(G6サイズ)、1
870mm×2200mm(G7サイズ)、さらには2850mm×3050mm(G10サイズ
)というように大型化している。ただし、G(世代/generation)はおおよその目安であ
り、同じGでも厚みやサイズは実際には種々様々である。ガラスの比重は 2.5程度である
ので、厚みが 0.7mmの場合の1枚当りの重量は、G6サイズで5kg程度、G7サイズで7
kg程度、G10サイズでは15kg程度にもなる。ただし、上記よりも厚みが厚い基板や上
記よりもサイズが小さい基板であっても、何ら支障はない。
板体(B) としては、上記の基板類のほか、化粧板、金属板、木板、繊維板、プラスチッ
クス板、繊維強化プラスチックス板、石板などを用いることもできる。それらにさらに加
工を施したもの、それらに保護膜、保護フィルム、保護紙等の保護層を積層したものも用
いることができる。
なお、本発明においては1つの板体収容カセットに、厚みの異なるもの、縦または横あ
るいは縦横のサイズの異なるもの、材質の異なるものを混在させて収容することもできる
。同じサイズの長方形のものにつき、その短辺が鉛直方向なるようにしたものとその長辺
が鉛直方向になるものとを混在させて収容することもできる。このように、種々のバリエ
ーションに対処できる点も、本発明の特徴の一つである。
(板体下端受けとめ用ローラ(2) 群)
本発明においては、上記の枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置に、縦姿勢
の板体(B) の下端を受けとめる板体下端受けとめ用ローラ(2) 群を、その回転軸の向きが
枠体(1) の左右方向となるように設ける。この場合、板体下端受けとめ用ローラ(2) 群を
枠体(1) の左右方向に1列になるように揃えて配置することもできるが、そのようにする
とスペースの点で個々のローラ(2) のローラ長が制約されるために板体(B) 下端がローラ
(2) の端部近くに位置することがあるので、ローラ(2) 群を構成する個々のローラ(2) を
枠体(1) の左右方向に千鳥の足跡のように互い違いにずらしてローラ長を必要十分に確保
するようにすることが好ましい(後述の図5参照)。
板体下端受けとめ用ローラ(2) 群は、枠体(1) の奥行き方向に向けて縦姿勢で収容する
板体(B) の下端を受けとめるものであるので、板体(B) 1枚につき枠体(1) の奥行き方向
に必要な個数(m個、たとえば数個〜数10個)を配置する。そして、カセットには板体
(B) を枠体(1) 巾方向に複数列収容するので、板体(B) を巾方向にn枚収容可能にすると
きは枠体(1) 巾方向にもそのようなローラ(2) 群をn列配置する。従って、ローラ(2) の
総数はm×n個になる。この場合、ローラ(2) として枠体(1) 巾方向の長さの長いものを
用い、1個のローラ(2) で複数枚の板体(B) を受けとめるようにすることも可能であるが
、板体(B) は1枚ずつカセットに出入することが多いので、特殊な場合以外は、1個のロ
ーラ(2) の枠体(1) 巾方向の長さ(ロール長)は1枚の板体(B) を受けとめうるに足る長
さに設定すればよい。
板体下端受けとめ用ローラ(2) の形状は、単純な円柱状または円筒状(つまり平ローラ
状)に設計することが特に好ましい。ただし、板体下端が必ず円柱部または円筒部のみに
接触し、他の部分に接触するおそれのない構造ならば、端部側の部分のみを本体部の外径
とは異なる径にするような変形形状も許容される。特許文献1、2で使用している凹溝付
きのローラ(つまり、断面視でV字状、すり鉢状、凹型溝、鼓状の如き凹溝付きのローラ
)は、板体下端エッジと凹溝側壁とが接触することを免れないため、板体下端のエッジ部
分に欠けを生じやすく、また凹溝付きのローラの凹溝側壁が削れて損傷しやすいという不
利があるため、本発明の目的には不適である。
個々の板体下端受けとめ用ローラ(2) は、軸支持具(2c), (2c)で支持された水平方向の
軸(2b)にローラ(2a)を自由回転自在に設置した構成とするのが通常である(後述の図5参
照)。
この板体下端受けとめ用ローラ(2) は、板体(B) の全自重を、割れや欠け等の破損を起
こしやすい板体下端に直接接触して受けとめるものであるから、ローラ本体部の少なくと
も表面側は、ポリウレタン、各種エラストマー、各種ゴム、超高分子量ポリエチレン、シ
リコーン系樹脂、フッ素系樹脂をはじめ、クッション性、耐摩耗性、低アウトガス性、低
転写性、洗浄時の液切れ性などのうち必要な性質を有する材質のもので構成することが望
ましい。軸(2b)や軸支持具(2c)の材質は、強度上の配慮から金属とすることが多い。
(板体下部規制用ローラ(3) 群)
枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置であって上記の板体下端受けとめ用ロ
ーラ(2) 群の設置位置よりも高い位置には、その板体下端受けとめ用ローラ(2) 群によっ
て下端を受けとめられた縦姿勢の板体(B) の下部側の左右方向の位置ずれを規制する板体
下部規制用ローラ(3) 群が、その回転軸の向きが枠体(1) の上下方向となるように設けら
れる(後述の図5参照)。
個々の板体下部規制用ローラ(3) は、直立した軸(3b)の上部側にローラ(3a)を自由回転
自在に設置した構成とするのが通常である。このとき、ローラ(3a)は軸(3b)に対して上下
方向にスライド可能に構成し、板体(B) の下部側に対する規制位置を変更可能に構成する
ことも好ましい。ローラ(3a)の外周側や端部側は、洗浄時の液切れを円滑にするため、角
切り形状ないし丸みのある形状に構成することが望ましい。
上述の板体下端受けとめ用ローラ(2) 群を千鳥の足跡のように互い違いに配置したとき
は、それに合わせてこの板体下部規制用ローラ(3) 群も千鳥の足跡のように互い違いに配
置することが多い。
板体下部規制用ローラ(3) は、板体(B) の側面に接触する部材であることから、ローラ
本体部の少なくとも表面側は、上述の板体下端受けとめ用ローラ(2) の箇所で述べたのと
同様の材質のもので構成することが望ましい。
(ローラ(2), (3)群の支持板(5) )
枠体(1) に対する上述の板体下端受けとめ用ローラ(2) 群および板体下部規制用ローラ
(3) 群の設置はどのようにして行ってもよいが、次のように工夫することが有利である。
すなわち、枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置に、枠体(1) の両側面間に架
かる支持板(5) を必要数設け、その支持板(5) に板体下端受けとめ用ローラ(2) 群と前記
の板体下部規制用ローラ(3) 群とを設置するのである。そのように構成することは、枠体
(1) の補強も兼ねることになる。
この場合、1枚の支持板(5) に板体下端受けとめ用ローラ(2) 群と板体下部規制用ロー
ラ(3) 群との双方を設置するようにしてもよく、板体下端受けとめ用ローラ(2) 群と板体
下部規制用ローラ(3) 群とを別々の支持板(5), (5)に設置し、それらの支持板(5), (5)を
近接配置するようにしてもよい。
(板体上部側規制用ローラ(4) 群)
そして、枠体(1) の中所ないし高所位置には、上記の板体下端受けとめ用ローラ(2) 群
によって下端を受けとめられかつ上記の板体下部規制用ローラ(3) 群によって低所位置を
規制された縦姿勢の板体(B) につき、その上部側の左右方向の動きを規制する板体上部側
規制用ローラ(4) 群が、その回転軸の向きが枠体(1) の上下方向となるように設けられる
(図6参照)。
この板体上部側規制用ローラ(4) 群の設置の仕方には種々の態様が可能であるが、たと
えば、枠体(1) の中所ないし高所位置の位置に相当する枠体(1) 両側面に上下方向に向か
う支持部材(8) を設けると共に、その支持部材(8) に枠体(1) の両側面間に向く桟(7a)を
有する桟格子状の支持枠(7) を設け、その桟(7a)に板体上部側規制用ローラ(4) 群を垂下
設置するようにするのが有利である。支持部材(8) に取り付けてある桟格子状の支持枠(7
) をその支持部材(7) の上下位置に調節可能に構成すれば、支持枠(7) の桟(7a)に取り付
けられた上部側規制用ローラ(4) 群も一括して上下するからである。
個々の板体上部側規制用ローラ(4) は、直立した軸(4b)の下部側にローラ(4a)を自由回
転自在に設置した構成とするのが通常である。このとき、ローラ(4a)は軸(4b)に対して上
下方向にスライド可能に構成してもよい。ローラ(4a)の外周側や端部側は、洗浄時の液切
れを円滑にするため、角切り形状ないし丸みのある形状に構成することが望ましい。
この板体上部側規制用ローラ(4) も、上記の板体下部規制用ローラ(3) と同様に板体(B
) の側面に接触する部材であることから、上記の板体下部規制用ローラ(3) (および上述
の板体下端受けとめ用ローラ(2) )の箇所で述べたものと同様の材質のもので構成するこ
とが望ましい。
(ストッパ手段(6) )
板体(B) の出入口となる枠体(1) の正面側および背面側の少なくとも一方には、カセッ
トからの板体(B) の飛び出しを防止するストッパ手段(6) を付設することが特に望ましい
。ストッパ手段(6) の代表例はストップバー(6a)である。
上記のストッパ手段(6) は、上述の板体下端受けとめ用ローラ(2) 群、板体下部規制用
ローラ(3) 群および板体上部側規制用ローラ(4) 群により下端を支承されかつ板体の下部
および上部を規制された状態の板体(B) がカセットから飛び出すのをストップする高位置
と、そのストップを解除する低位置とに切り換え可能にカセットに付設することが特に望
ましい。高位置と低位置との切り換えには、たとえばプランジャ、バネ、テコ、ジャッキ
などの手段を利用することができる。このような高低両位置に切り換え可能なストッパ手
段(6) は、枠体(1) の正面側および背面側の少なくとも一方に付設されるが、それを設置
しない側には固定式のストッパ手段(6) を設ければよい。
カセットからの板体(B) の飛び出しを防止するストッパ手段(6) の形状や材質は種々に
設計できるが、形状はたとえば円筒状または円柱状とし、材質については、少なくとも表
面側を、ポリウレタン、各種エラストマー、各種ゴムのようなクッション性および耐摩耗
性を有する材質のもので構成することが望ましい。
(板体収容カセットの使用方法)
上記の板体収容カセットを用いれば、そのカセットと他の関連装置との間の板体(B) の
授受を、板体(B) を縦姿勢にした状態で行うことができる。縦姿勢には、斜め縦姿勢も含
まれる。他の関連装置の例は、ラミネート装置、スパッタリング装置、エッチング装置、
熱処理装置、検査装置などである。
本発明の板体収容カセットの使い方の一例を、他の関連装置の一例としての偏光板貼付
機に適用する場合を例にとって述べると、次のようになる。
1.空の板体収容カセットを台車に載せて偏光板貼付機の設置場所に移動させ、貼付機
内の搬出工程のところに送り込んで待機させる。
2.偏光板貼付機においては、1枚の機能層付きの基板の両面に偏光板を貼付すること
によりパネルとなしてから、そのパネルを貼付機内の搬出工程にまで送り出す操作が次々
と行われる。
3.その送り出されてきたパネルを順次スライド移動させて、カセット内に収容する。
このとき、パネルは、カセットの板体下端受けとめ用ローラ(2) 群、板体下部規制用ロー
ラ(3) 群および板体上部側規制用ローラ(4) 群により支持される。
4.所定枚数のパネルがカセットに収容された段階で、そのカセットを台車に載せて次
の工程(検査、保管、出荷などの工程)のために移動させる。入れ替わりに、上記1のよ
うに空の板体収容カセットを貼付機内の搬出工程のところに待機させる。
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
実施例1
(図面について)
図1は、本発明の板体収容カセットの一例を示した斜視図である。
図2は、図1のカセットの正面図である。
図3は、図1のカセットの側面図である。
図4は、図1のカセットの平面図である。
図5は、図2のA部詳細図である。(イ)は平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図
である。
図6は、図2のB部詳細図であり、(イ)は正面図、(ロ)は側面図、(ハ)は底面図
である。
図7は、ローラ(2), (3)群を支持する支持板(5) の平面図である。
図8は、板体上部側規制用ローラ(4) 群を垂下設置する支持枠(7) の平面図である。
図9〜10はストッパ手段(6) の説明図(側面図)であり、カセットからの板体(B) の
飛び出しをストップする高位置にある場合(図9)と、そのストップを解除した低位置に
ある場合(図10)とを示してある。
図11は、図1のカセットの正面側の下部側(図2のA部に相当する箇所)の拡大斜視
図であり、ローラ(2), (3)群とそれを支持する支持板(5) 、さらにはカセットからの板体
(B) の飛び出しをストップする高位置にあるストッパ手段(6) を示してある。
(枠体(1) )
この実施例においては、枠体(1) はステンレス鋼製の角材で構成されている。この枠体
(1) には、最小で800mm×500mm、最大で1600mm×1000mmのサイズの板体(B
) (ガラス基板やパネル)が収容される。
(ローラ(2), (3)群の支持板(5) )
図1のように、この枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置には、枠体(1) の
両側面間に架かる支持板(5) を間隔をあけて計8枚設けてある。なお、正面側の2枚の支
持板(5) は、枠体(1) の出入を円滑にするために間隔を詰めてある。それぞれの支持板(5
) には、板体下端受けとめ用ローラ(2) 群と板体下部規制用ローラ(3) 群とが設置される
(板体下端受けとめ用ローラ(2) 群)
支持板(5) に設けられる板体下端受けとめ用ローラ(2) (その回転軸の向きが枠体(1)
の左右方向となるように設けられる)は、図2のA部詳細図を示す図5のように(図11
も参照)、それぞれの支持板(5) に2列にかつ隣接するローラが互い違いになるように千
鳥の足跡のような設置してある。
板体下端受けとめ用ローラ(2) は、この実施例においては、L字形の軸支持具(2c), (2
c)で支持されたSUS304製の水平方向の軸(2b)に、軸受けを介して超高分子量ポリエ
チレンでできた円筒状のローラ(2a)を自由回転自在に取り付けた構成としてある。
(板体下部規制用ローラ(3) 群)
支持板(5) に設けられる板体下部規制用ローラ(3) (その回転軸の向きが枠体(1) の上
下方向となるように設けられる)は、図2のA部詳細図を示す図5のように(図11も参
照)、それぞれの支持板(5) に2列に設置してある。
個々の板体下部規制用ローラ(3) は、この実施例においては、直立した軸(3b)の上部側
に、超高分子量ポリエチレンでできた円筒状のローラ(3a)を自由回転自在に設置した構成
としてある。この板体下部規制用ローラ(3) は、上記の板体下端受けとめ用ローラ(2) 群
の設置位置よりも高い位置に位置させるため、軸(3b)の長さを長くして、ローラ(3a)の位
置が上記の板体下端受けとめ用ローラ(2) のローラ(2a)の上面の位置よりも高くなるよう
に設定してある。なお、隣接する2つのローラ(3a), (3a)間の隙間に板体(B) を位置させ
て規制するものであるため、ローラ(3a)の配置については、図4のように2個1組で隙間
の狭いところと隙間の広いところができるようにしてある。
(板体上部側規制用ローラ(4) 群とその設置箇所)
板体(B) の上部側の左右方向の動きを規制するために枠体(1) の中所ないし高所位置に
設けられる板体上部側規制用ローラ(4) 群は、この実施例においては、枠体(1) の上下方
向に設けられるSUS304製の回転軸(4b)の下端側に、超高分子量ポリエチレンででき
た円筒状のローラ(4a)を設置したものからなる。
枠体(1) の中所ないし高所位置の位置に相当する枠体(1) 両側面には上下方向に向かう
支持部材(8) を設けてあり、その支持部材(8) に枠体(1) の両側面間に向く桟(7a)を有す
る桟格子状の支持枠(7) (図8参照)を設けてある。そして、板体上部側規制用ローラ(4
) 群は、その桟(7a)に垂下設置してある。支持枠(7) を支持部材(8) に対して上下位置に
変更すれば、支持枠(7) の桟(7a)に取り付けられた上部側規制用ローラ(4) 群は一括して
上下する。
(ストッパ手段(6) )
ストッパ手段(6) は、枠体(1) の正面側と背面側とに設置してある。正面側のストップ
バー(6a)は、図11および図9、10のようにバネにより高位置と低位置とに切り換え可
能にしてある。背面側にもストップバー(6a)を設けるときは、高位置と低位置とに切り換
え可能にしてもよく、固定式としてもよい。ストップバー(6a)は、この実施例ではアルミ
ニウム合金製の芯管をポリウレタンで被覆したものでできている。
(操作例)
板体(B) として1600mm×1000mmのガラス基板を用い、上記のカセットに対する
板体(B) の挿入操作、台車に載せての他部署への搬送、カセットからの板体(B) の取り出
し操作を3ケ月間試行したが、各操作を円滑に行うことができた。
そして、その試行の全期間にわたって、取り扱ったガラス板(板体(B) )の下端エッジ
が欠けたり割れたりするトラブルは認められなかった。またその試行の全期間にわたって
、板体下端受けとめ用ローラ(2) 群のローラ(2a)、板体下部規制用ローラ(3) 群のローラ
(3a)、板体上部側規制用ローラ(4) 群のローラ(4a)のいずれにも、取り替えを必要とする
ような摩耗や傷は認められなかった。
比較例1
比較のため、板体下部規制用ローラ(3) 群は使用せず、板体下端受けとめ用ローラ(2)
群のローラ(2a)に代えて凹溝を有する鼓型のローラを用い、板体上部側規制用ローラ(4)
群のローラ(4a)はそのまま用いて、2点支持方式にて上記と同様の試行を行った。
しかしながら、このときには、試行2週間程度で、板体下端受けとめる鼓型のローラの
溝の底部分から斜面部分にかけての摩耗が目立つようになったため、その鼓型のローラの
交換を余儀なくされた。また、試行2週間の期間に、機能層付きガラス板(板体(B) )の
下端エッジが欠けたり割れたりするトラブルが5枚あり、信頼性の点で疑問があった。
本発明の板体収容カセットは、基板類などの板体(B) を縦姿勢で収容するカセットとし
て極めて有用である。また、このカセットは用いれば、他の関連装置(たとえば偏光板貼
付機)との間の板体(B) の授受を円滑に行うことができる。
発明の板体収容カセットの一例を示した斜視図である。 図1のカセットの正面図である。 図1のカセットの側面図である。 図1のカセットの平面図である。 図2のA部詳細図である。(イ)は平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図である。 図2のB部詳細図であり、(イ)は正面図、(ロ)は側面図、(ハ)は底面図である。 ローラ(2), (3)群を支持する支持板(5) の平面図である。 板体上部側規制用ローラ(4) 群を垂下設置する支持枠(7) の平面図である。 ストッパ手段(6) の説明図(側面図)であり、カセットからの板体(B) の飛び出しをストップする高位置にある場合を示してある。 ストッパ手段(6) の説明図(側面図)であり、カセットからの板体(B) の飛び出しストップを解除した低位置にある場合を示してある。 図1のカセットの正面側の下部側(図2のA部に相当する箇所)の拡大斜視図である。
(B) …板体、
(1) …枠体、
(2) …板体下端受けとめ用ローラ、(2a)…ローラ、(2b)…軸、(2c)…軸支持具、
(3) …板体下部規制用ローラ、(3a)…ローラ、(3b)…軸、
(4) …板体上部側規制用ローラ、(4a)…ローラ、(4b)…軸、
(5) …支持板、
(6) …ストッパ手段、(6a)…ストップバー、
(7) …支持枠、(7a)…桟、
(8) …支持部材

Claims (6)

  1. (イ)全体視で直方体状の枠体(1) からなり、該枠体(1) の正面および背面のうちの少
    なくとも一方が出入口となると共に、その枠体(1) 内に複数枚の板体(B) を縦姿勢でかつ
    並列にかつ該板体(B) 面が枠体(1) の両側面と平行になるように収容するカセットである
    こと、
    (ロ)該枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置には、縦姿勢の板体(B) の下
    端を受けとめる板体下端受けとめ用ローラ(2) 群を、その回転軸の向きが枠体(1) の左右
    方向となるように設けてあること、
    (ハ)該枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置であって前記ローラ(2) 群の
    設置位置よりも高い位置には、該ローラ(2) 群によって下端を受けとめられた縦姿勢の板
    体(B) の下部側の左右方向の位置ずれを規制する板体下部規制用ローラ(3) 群を、その回
    転軸の向きが枠体(1) の上下方向となるように設けてあること、および、
    (ニ)該枠体(1) の中所ないし高所位置には、前記ローラ(2) 群によって下端を受けと
    められた縦姿勢の板体(B) の上部側の左右方向の動きを規制する板体上部側規制用ローラ
    (4) 群を、その回転軸の向きが枠体(1) の上下方向となるように設けてあること、
    を特徴とする板体収容カセット。
  2. 前記の枠体(1) の正面側から背面側にかけての低所位置に、枠体(1) の両側面間に架か
    る支持板(5) が必要数設けてあり、その支持板(5) に前記の板体下端受けとめ用ローラ(2
    ) 群と前記の板体下部規制用ローラ(3) 群とが設置してある請求項1記載の板体収容カセ
    ット。
  3. 前記の板体上部側規制用ローラ(4) 群の設置高さが調節可能に構成されている請求項1
    記載の板体収容カセット。
  4. 板体(B) の出入口となる枠体(1) の正面側および背面側の少なくとも一方に、カセット
    からの板体(B) の飛び出しを防止するストッパ手段(6) を付設してある請求項1記載の板
    体収容カセット。
  5. 前記ストッパ手段(6) をカセットに、前記板体下端受けとめ用ローラ(2) 群に下端を支
    承された板体(B) がカセットから飛び出すのをストップする高位置と、そのストップが解
    除される低位置とに切り換え可能に付設してある請求項4記載の板体収容カセット。
  6. 請求項1記載の板体収容カセットを用いて、該カセットと他の装置との間の板体(B) の
    授受を該板体(B) を縦姿勢にした状態で行うこと、を特徴とする板体収容カセットの使用
    方法。
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