JP4192568B2 - 搬送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電子ディスプレイに用いる板ガラス等の板状物を、板状容器に収納して搬送する搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子ディスプレイ(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ)等に用いる板ガラスを製造するための搬送経路が、一本の直線経路として形成された搬送システムが知られている。このような搬送システムでは、ローラコンベアを搬送手段とした搬送経路に沿って、板ガラスの処理装置が処理の順番に従って一列に配置される。そして、未加工の板ガラスを搬送経路に沿って搬送し、搬送経路の各部に設けた処理装置で順番に加工処理を加えるものとしている。
このような搬送システムを示す一例としては、例えば、特許文献1に示される技術である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−255338号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示される技術では、搬送経路に沿って搬送される物品は、板ガラスそのものである。ところが、板ガラスが大きくなってくると自重が増え、搬送経路に沿って長距離に渡って搬送されると、板ガラスと搬送装置との接触部で板ガラス自体に傷がついてしまうという問題が発生する。
一方、このような不具合を防止するために、板ガラスだけを搬送するのではなく、板ガラスを板状容器等の保護ケースに収納した状態で、前記搬送経路に投入することが考えられている。ところが、板ガラスを処理装置に供給する際には、板状容器より板ガラスを取り出すと共に、処理後に再び搬送経路に沿って搬送するために板状容器を保管しておくことが必要である。すなわち、板ガラスを板状容器から取り出す(搬送経路から処理装置に移載する)ための手段と、板状容器を保管するための手段とが必要である。
加えて、板状容器の保管スペースを確保するとなると、搬送システム全体の設置スペースの大型化を招いてしまう。なお、板ガラスのみを搬送する場合であっても、搬送経路から処理装置への移載手段は必要であるので、該移載手段と、板ガラスを板状容器から取り出すための手段とを兼用することで、板ガラスの取り出し手段による設置スペースの増大は防止される。
本発明は以上の如き状況に鑑み、大面積・大重量の板状物を板状容器に収納して搬送することにより板状物表面に傷が付くのを防止し、処理装置への供給等の必要に応じて、板状容器より板状物だけを取り出すことを可能とし、あわせて、板状容器の保管スペースの確保に伴う搬送システム全体の設置スペースの増大を抑えることを可能とする搬送システムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、板状物の処理装置間を連絡する搬送経路を備える搬送システムであって、
底面の一部に通過孔が設けられ、前記板状物を収納する板状容器と、
前記搬送経路を構成する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアの上流側に設けられ、前記板状物を前記搬送コンベアから前記処理装置に搬入するための第1の連絡コンベアと、
前記搬送コンベアの下流側に設けられ、前記板状物を前記処理装置から前記搬送コンベアへ搬出するための第2の連絡コンベアと、
前記搬送コンベアの下方に配置されるとともに、前記板状容器の通過孔より上下方向に突出・退避する移載ローラを備え、前記処理装置で処理する前の前記板状物を前記板状容器から側方に設けられた前記第1の連絡コンベアに移載する、搬入用移載装置と、
前記搬送コンベアの下方に配置されるとともに、前記板状容器の通過孔より上下方向に突出・退避する移載ローラを備え、前記処理装置で処理した後の前記板状物を側方に設けられた前記第2の連絡コンベアから前記板状容器に移載する、搬出用移載装置と、
前記搬入用移載装置と前記搬出用移載装置とで挟まれた前記搬送コンベア上に配置され、前記板状物を移載した後の前記板状容器を保管するとともに、前記板状容器を前記搬送コンベア上に供給する容器保管手段と、
を備えるものである。
【0006】
請求項2においては、前記容器保管手段は、平面視で搬送経路と重複する位置かつ、搬送経路上の板状容器よりも上方で、板状容器を保管する手段としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の搬送システム実施の一形態である搬送システム100の全体構成について説明する。
【0009】
図1は搬送システムの構成を示す斜視図、図2は板状容器を搬送する搬送コンベアを示す斜視図、図3は板ガラスおよび板状容器を示す斜視図、図4は積層状態の板状容器を示す斜視図、図5は移載装置を示す斜視図、図6は容器保管手段の昇降手段直上に板状容器が搬送されてきた状態を示す斜視図、図7は容器保管手段の昇降手段により板状容器持ち上げられ、かつ保持手段により板状容器が保持された状態を示す斜視図、図8は容器保管手段の保持手段により保持された板状容器の直下に、別の板状容器が搬送されてきた状態を示す斜視図、図9は容器保管手段の保持手段により、複数の板状容器が積層された状態で保持された状態を示す斜視図である。
【0010】
本発明の搬送システムで取り扱う板状物としては、電子ディスプレイ(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)に用いられる板ガラスや、有機ELに用いられる樹脂板等がある。以下では、板状物の一例として板ガラス1を用いて説明する。
【0011】
図1から図3に示す如く、搬送システム100は、板状物である板ガラス1を収納する板状容器2を、搬送経路3に沿って搬送するものである。
板状容器2の搬送手段は搬送コンベア4としており、搬送コンベア4・4・・・を直線状に連結して、搬送経路3が構成される。
【0012】
図2に示す如く、搬送コンベア4は、板状容器2を支持すると共に搬送する多数のローラ13・13・・・と、ローラ13の駆動力伝達機構を収納する本体4aと、搬送方向の左右(図2中では紙面手前側および奥側)端で本体4aに立設するガイド4b・4bとを備えている。また、本体4aは支持脚4c・4c・・・により、床面上方で支持されるものとなっている。
多数のローラ13は、搬送方向沿って直列に配置されてローラ列を構成すると共に、該ローラ列が搬送方向の左右で複数列(本実施の形態では三列)設けられるものとなっている。
【0013】
本体4aには、各ローラ13の駆動手段としてモータ(図示せず)が備えられ、ベルトやプーリ等の駆動力伝達手段を介して各ローラ13が駆動されるようになっている。
搬送経路3の両側に立設されるガイド4b・4b・・・により、板状容器2が搬送コンベア4より脱落することを防止するようにしている。また、搬送経路3において、後述の処理装置5側への受け渡し部分では、ガイド4bを設けない構成としている。
【0014】
次に、板ガラス1を収納する板状容器2の構成について説明する。
図1および図3に示す如く、板ガラス1は板面1aが床面(搬送経路3の上面)と略平行となる姿勢で板状容器2に収納される。板ガラス1を収納した板状容器2は、搬送コンベア4により搬送経路3上を搬送され、該搬送経路3に沿って配設された処理装置5(後述)の側方まで搬送されて来たときに、移載装置8により板状容器2から取り出されて連絡コンベア30に移載される。
図3に示す如く、板状容器2の形状は、板ガラス1の形状に対応して板状(上下方向に薄い直方体形状)とされている。板状容器2は、該板状容器2の面積最大の面が床面(搬送経路3の上面)に対して略平行とした状態で、搬送コンベア4上を搬送される。以下、板ガラス1および板状容器2は、以上で記載した搬送状態での姿勢を基準として、上下左右等の方向を定義する。
【0015】
板状容器2は主に底面2a、ガイド2b、ガイド2c、係合凹部2d、突出部2e、係合孔2f、支持体14、通過孔31などで構成されている。
板状容器2の底面2aは、板面1aを水平とした板ガラス1を収納可能とするように、板面1aよりも前後左右で幅広とされている。板面1a上には、板ガラス1を載置して支持するための支持体14が、多数立設されている。載置状態の板ガラス1と底面2aとの間に空間が形成されるとともに、支持体14の板ガラス1と当接する部分は、樹脂やゴム等板ガラス1に傷を付けない材質で構成される。
【0016】
底面2aの(搬送方向の)前後両端には、支持体14の上端よりも上方に延出するガイド2b・2bが立設されており、多数の支持体14に支持される板ガラス1が搬送経路3の前後方向に脱落することを防止する。一方、底面2aの左右両端には、前後一対のガイド2c・2cがそれぞれ立設されている。
【0017】
ガイド2cの上端高さは、支持体14の上端高さよりも高く形成されており、板状容器2に収納された板ガラス1が搬送経路3の側方に脱落することを防止する。
【0018】
板状容器2には、前記ガイド2bの上面の左右に、突出部2e・2eが突設されると共に、底面2aの下面より上側に向けて係合穴2f・2f・・・が形成されている。係合穴2fは突出部2eに対応するものであり、突出部2eと係合穴2fとは、平面視で重複する位置となっている。一つの板状容器2に突出部2eが四箇所設けられるのに対応して、係合穴2fも四箇所設けられている。突出部2eおよび係合穴2fは、平面視で、長方形の頂点位置に位置するものとなっている。
【0019】
すなわち、図4に示す如く、板状容器2を上下に重ねると、各突出部2eが各係合穴2fに係合し、積層された板状容器2・2において、一方の板状容器2が他方の板状容器2に対して、水平方向に移動する(ずれる)ことが制止される。
以上構成により、板状容器2を精度良く多数積層することが可能である。
【0020】
また、板状容器2の底面2aには、通過孔31が穿設されている。該通過孔31の詳細については後述する。
【0021】
続いて、図5を用いて移載装置32について説明する。
移載装置32は、主に基部33、昇降台34、ローラユニット35、移載ローラ36、制御装置40などで構成される。
【0022】
移載装置32は搬送経路3を構成する搬送コンベア4の下方に配置される。移載装置の基部33は上下方向に昇降する機構を有し、該基部33の上部には昇降台34が設けられている。また、昇降台34の上面には、ローラユニット35・35・・・が立設されている。さらに、ローラユニット35の上面には移載ローラ36・36・・・が回転駆動可能に枢着されている。よって、移載装置32の昇降台34よりも上方の部分(昇降台34、ローラユニット35、移載ローラ36)は一体的に昇降する。そして、移載装置32には制御手段40が設けられており、該制御手段40により移載装置32の昇降および移載ローラ36の回転駆動が制御される。
なお、制御手段40は、搬送システム100全体を統括する中央制御手段(図示せず)と接続され、該中央制御手段からの指令により移載装置32の動作を制御する構成としても、単独で移載装置32の動作を制御する構成としてもよく、限定されない。
一方、搬送コンベア4の底面には開口部が穿設されており、ローラユニット35は搬送コンベア4底面の開口部を貫通して上方に突出している。
【0023】
ローラユニット35上面の高さは、移載装置32が下降しているときに、移載コンベア4のローラ13・13・・・の上端(搬送経路3に沿って搬送される板状容器2の底面と当接する高さ)よりも低い待機位置にある。
また、ローラユニット35上面の高さは、移載装置32が上昇しているときに、移載コンベア4のローラ13・13・・・の上端(搬送経路3に沿って搬送される板状容器2の底面と当接する高さ)よりも高い移載位置に来るように構成されている。
すなわち、移載装置32は、制御手段40により、ローラユニット35を待機位置と移載位置との間で切り替え自在に制御することで、板状容器2から板ガラス1だけを移載することができる。
【0024】
さらに、図5に示す如く、ローラユニット35・35・・・は、板状容器2が搬送コンベア4上、かつ移載装置32の直上に位置するときに、板状容器2の底面2aに穿設された通過孔31・31・・・と平面視で略一致するように配置されている。
また、ローラユニット35の平面断面形状は通過孔31の外形よりも小さくなるように構成されている。
【0025】
ローラユニット35・35・・・上面に設けられた移載ローラ36・36・・・は、その上端がローラユニット35・35・・・上面よりもさらに上方に突出している。
そして、移載装置32が上昇しているときに、移載ローラ36の上端は、搬送経路3上の板状容器2に設けられた支持体14の上端(板状容器2に収容された板ガラス1の下面)よりも高い位置に来るように構成されている。
さらに、移載ローラ36の回転軸の軸線方向は、搬送経路3の搬送方向と略一致する。
【0026】
以上の如く構成することにより、板状容器2が搬送コンベア4上、かつ移載装置32の直上に位置するときに移載装置32が上昇すると、ローラユニット35は板状容器2の通過孔31より上方に突出する。そして、板状容器2に板ガラス1が収納されているときには、該板ガラス1の下面は移載ローラ36・36・・・上端により支持され、支持体14から離間して持ち上げられた状態となる。このとき、板状容器2のガイド2c・2cの上端高さは移載ローラ36・36・・・により持ち上げられた板ガラス1の下面よりも低くなるように構成されている。
この状態で移載ローラ36が回転駆動されると、移載ローラ36に支持されている板ガラス1は搬送経路3の側方に搬送される。
なお、本実施例では昇降台34から計六基のローラユニット35・35・・・が立設されているが、板ガラス1が連絡コンベア30に移載可能であればよいので、該ローラユニット35の数は限定されず、少なくとも一基設けられていればよい。また、ローラユニット35に設けられる移載ローラ36の数も限定されない。また、移載ローラ36は車輪式に限定されず、例えばベルト等を巻回したクローラ式としてもよい。
【0027】
次に、図1を用いて連絡コンベア30について説明する。
図1に示す如く、連絡コンベア30・30は、搬送経路3を構成する搬送コンベア4の下方に設けられた移載装置32・32の側方に配置される。
搬送経路3の上流側(処理装置で処理する前の板ガラス1が収納された板状容器2が搬送されてくる方向)に設けられている連絡コンベア30は、搬送経路3と処理装置の搬入口(図示せず)とを接続しており、板ガラス1を搬送経路3から処理装置に搬入するための搬入経路となっている。
搬送経路3の下流側(処理装置で処理した後の板ガラス1が収納された板状容器2が搬送されて行く方向)に設けられている連絡コンベア30は、搬送経路3と処理装置の搬出口(図示せず)とを接続しており、板ガラス1を処理装置から搬送経路3へ搬出するための搬出経路となっている。
【0028】
連絡コンベア30の基本的な構成は搬送コンベア4と略同じであり、多数のローラ37・37・・・と、該ローラ37を回転駆動する駆動力伝達機構(図示せず)と、板ガラス1が連絡コンベア30から脱落しないためのガイド38・38と、支持脚39・39・・・などを備えている。
【0029】
ただし、搬送コンベア4と異なり、ローラ37は板ガラスの板面1a(下面)と当接することから、該ローラ37の板ガラスとの当接部の材質は、ゴムや樹脂など、柔らかく板ガラス1を傷つけないものを選択することが望ましい。また、処理装置の搬入口および搬出口を極力搬送経路3に近接させて、連絡コンベア30の搬送距離を短くすることが望ましい。
また、連絡コンベア30のローラ37の上端は、移載装置32により板状容器2から離間して持ち上げられた板ガラス1の下面高さと略同じとしている。
【0030】
以上の如く構成することにより、大面積・大重量の板状物である板ガラス1の表面を傷つけることなく搬送することが可能である。
また、移載装置32は搬送コンベアの下方に配置されるとともに、板状容器2の通過孔31より上方に突出・退避する移載ローラ36を備えており、ハンドロボットなど複雑な機構を有する移載手段を用いることなく板状容器2から板ガラス1のみを取り出したり、板状容器2に板ガラス1を収納することが可能である。
【0031】
続いて、図1、および図6から図9を用いて容器保管手段15の説明を行う。
本実施の搬送システム100において、搬送経路3における搬送方向は一方向に設定されている。図1において、左側を搬送方向の上流側とし、右側を搬送方向の下流側としている。
なお、本実施例では搬送方向は一方向としたが、これに限定されず、搬送経路3のローラ13・13・・・を正逆回転駆動可能として、板状容器2を往復搬送可能としても良い。
【0032】
図1に示す如く、前記移載装置32・32で挟まれた搬送経路3上に、容器保管手段15が設けられている。容器保管手段15は、板ガラス1を取り出された空の板状容器2を保管する手段である。
搬送コンベア4からなる搬送経路3上で、板ガラス1は板状容器2に収納された状態で搬送されるが、移載装置32および連絡コンベア30により、処理装置(図示せず)へは板ガラス1のみが移載・搬入される。このため、搬送経路3上には、板ガラス1が取り出された空の板状容器2が残されることになる。
【0033】
処理装置での板ガラス1の処理時間が短い場合や、処理装置内で滞留している板ガラス1の数が少ない場合、あるいは搬送経路3上を搬送されている板状容器2に収納された板ガラス1の数が少ない場合は、搬送経路3の下流側の移載装置32直上に板状容器2を待機させておいても特に問題は生じない。
【0034】
しかし、処理装置での板ガラス1の処理時間が長い場合や、処理装置内で滞留している板ガラス1の数が多い場合、搬送経路3上を搬送されている板状容器2に収納された板ガラス1の数が多い場合には、搬送経路3の上流側の移載装置32と、搬送経路3の下流側の移載装置32との間で空の板状容器2が待機する時間が長くなったり、待機する個数が多くなったりする。
このような使用条件では、搬送経路3の上流側の移載装置32と、搬送経路3の下流側の移載装置32との間の搬送経路の長さを大きくとる必要が起こり得る。
このことは搬送システム全体の設置スペースを抑えるという観点から見て好ましいことではない。
【0035】
また、搬送経路3に沿って複数の処理装置がある場合に、上流側の処理装置で処理中に空の板状容器2が搬送経路3上で待機していると、搬送経路3の上流側の処理装置での処理が完了するまで、次に搬送されてきた板状容器2に収納された板ガラス1を下流側の処理装置に供給することができず、処理工程の作業性を低下させる場合がある。
特に、上流側の処理装置での処理が不要な板ガラス1の製造を同一の搬送システム100を用いて平行して行っていた場合、上流側の処理装置による処理が不要な板ガラス1は、その上流側の処理装置の前で該処理装置内での処理が完了するまで停滞することとなり、製造に時間がかかってしまう。
【0036】
容器保管手段15は以上の如き問題を解消するために、搬送システム100に設置されるものである。
【0037】
図1に示す如く、昇降手段19は、搬送経路3の上流側の処理装置への搬入用移載装置32と、搬送経路3の下流側の処理装置からの搬出用移載装置32との間の搬送コンベア4の下方に設けられている。
【0038】
容器保管手段15は主に保持手段18や、昇降手段19などで構成される。
昇降手段19は、床面に載置される基部20と、該基部20に対して上下に進退する昇降台21とを備えている。昇降台21には、基板21aの前後に板状の部材である支持板21b・21bが立設され、側面視で凹形状となっている。
搬送コンベア4の下面には、支持板21b・21bを挿通する開口4d・4dが形成されて、支持板21b・21bが板状容器2の下面と当接可能となっている。また、支持板21bの前後幅は、ローラ13・13間の間隔よりも狭く形成されており、支持板21b・21bはそれぞれ、ローラ13・13間を通過して板状容器2の下面と当接可能となっている。
【0039】
従って、昇降手段19を昇降させることにより、搬送経路3上かつ昇降手段19の直上にある板状容器2を、搬送経路3から離間して、上方に持ち上げたり、下降させて搬送経路3上に載置することが可能である。
そして、昇降手段19には制御手段41が設けられており、該制御手段41により昇降手段19の昇降が制御される。
なお、制御手段41は、搬送システム100全体を統括する中央制御手段(図示せず)と接続され、該中央制御手段からの指令により昇降手段19の動作を制御する構成としても、単独で昇降手段19の動作を制御する構成としてもよく、限定されない。
【0040】
一方、保持手段18は、昇降手段19を囲うように、搬送コンベア4の外側に配置される四つの制止部22・22・・・から構成される。
各制止部22は、床面に立設する円柱状の支柱23と、該支柱23と同軸に設けられ、支柱23の長手方向を回動軸として回動する回転体24とを備え、回転体24には平面視略L字型の制止部材25が固設されている。
【0041】
続いて、容器保管手段15による板状容器2の保管方法について図6から図9を用いて説明する。
図6は、上流側の移載装置32により板ガラス1が連絡コンベア30に移載・搬送された後の空の板状容器2が、容器保管手段15の直上まで搬送コンベア4により搬送されてきた状態を示している。
図6に示す状態から、まず、平面視で板状容器2と制止部材25とが重ならない位置まで保持手段18の制止部22を回動させる。
【0042】
次に、昇降手段19を上昇させて、板状容器2を搬送経路3から離間して、上方に持ち上げる。このとき、板状容器2を持ち上げる高さは、板状容器2のガイド2b・2bに穿設された係合凹部2d・2dと、前記保持手段18の制止部材25とが略同じ高さとなる位置である。
【0043】
続いて、制止部材25の先端部25aが、板状容器2の係合凹部2d・2dに係合する位置まで、保持手段18の制止部22を回動させる。この状態が図7に示す状態である。
【0044】
図7に示す如く、制止部材25の先端部25aが、板状容器2の係合凹部2dに係合している状態では、板状容器2は保持手段18により支持された状態であり、昇降手段19を下降させても板状容器2は搬送経路3の上方に離間した位置で保持される。また、保持手段18により保持された状態の板状容器2と、搬送経路3との間の隙間は、板状容器2の上下方向の厚み(上端は突起部2e)よりも大きくなるように構成されている。
【0045】
すなわち、保持手段18により板状容器2が保持された状態であっても、昇降手段19を下降させていれば、保持手段18により保持された状態の板状容器2(以後、「上方の板状容器2」と呼ぶ)の下を別の板状容器2(以後「下方の板状容器2」と呼ぶ)が通過することが可能である。
【0046】
図8は、保持手段18により板状容器2が保持された状態において、別の板状容器2が、昇降手段19の直上(保持手段18により保持された板状容器2の直下)まで搬送経路3に沿って搬送されてきた状態を示している。
この状態から、下方の板状容器2の上面が、上方の板状容器2の底面2aと当接する位置まで昇降手段19を上昇させる。
次に、保持手段18の制止部22を回動し、上方の板状容器2と、制止部材25との係合を解除する。上方の板状容器2と、下方の板状容器2とは積層された状態で、昇降手段19により支持されている。
続いて、下方の板状容器2の係合凹部2d・2dと、保持手段18の制止部材25とが略同じ高さとなる位置まで昇降手段19を上昇させる。
さらに、制止部材25の先端部25aが、下方の板状容器2の係合凹部2d・2dに係合する位置まで、保持手段18の制止部22を回動させる。この状態が図9に示す状態である。
図9に示す状態では、制止部材25の先端部25aが、板状容器2の係合凹部2dに係合している状態では、上方の板状容器2および下方の板状容器2は、積層した状態で保持手段18により支持され、昇降手段19を下降させても板状容器2は搬送経路3の上方に離間した位置で保持される。
【0047】
従って、複数の板ガラス1を同一の処理装置で処理しているときでも、複数の空の板状容器2を、搬送経路3の上方にて積層した状態で保管することが可能である。
また、搬送経路3の上方にて積層された空の板状容器2・2・・・を保管している状態でも、該積層された空の板状容器2・2・・・の下を別の板状容器2が通過可能である。
【0048】
以上の如く構成することにより、空の板状容器2を積層した状態で搬送経路3の上方にて保管することが可能であり、工程内に、板状容器2の専用の保管スペースや、空の板状容器2を回収するための専用の搬送経路等を設ける必要がなく、搬送システム全体の設置スペースの増大を抑え、搬送システムの簡素化を図ることが可能である。
【0049】
また処理装置にて多数の板ガラス1・1・・・を同時に処理する場合でも、搬送経路3上で空の板状容器2を別の板状容器2が追い越すことが可能であり、空の板状容器2により別の板状容器2の搬送を阻害することがなく、高い搬送能力を維持可能である。
【0050】
さらに、移載装置32を複数設け、該移載装置32・32間に挟まれる搬送経路3上に容器保管手段15を設けることで、搬送経路3から処理装置への板ガラス1の搬入と、処理装置から搬送経路3への板ガラス1の搬出を同時に行うことが可能であり、搬送能力が高い。
【0051】
特に、本実施の形態の如く、処理装置毎に容器保管手段15を設ける構成とすることにより、処理装置で板ガラス1の処理が終了すると、該板ガラス1の保護手段である板状容器2を、直ちに処理装置直近の搬送経路3上に供給して、板ガラス1を収納して保護することができる。特に、空の板状容器2の保管手段を、複数の処理装置毎に対応して設ける場合や、搬送システム内の一部に、処理装置と独立して空の板状容器2の保管部を構成する場合に比して、空の板状容器2の供給スピードを迅速化できる。
【0052】
なお、図1に示す搬送経路3の上流側の移載装置32よりもさらに上流側に、容器保管手段15と略同じ構成の別の容器保管手段を設け、板ガラス1が収納された状態の板状容器2・2・・・を積層・保管することも可能である。
このように構成することにより、処理装置内に板ガラス1を搬入するのを待っている板状容器2・2・・・を別の板状容器2が搬送経路3上で追い越すことが可能となる。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の如く、板状物の処理装置間を連絡する搬送経路を備える搬送システムであって、
底面の一部に通過孔が設けられ、前記板状物を収納する板状容器と、前記搬送経路を構成する搬送コンベアと、前記搬送コンベアの上流側に設けられ、前記板状物を前記搬送コンベアから前記処理装置に搬入するための第1の連絡コンベアと、前記搬送コンベアの下流側に設けられ、前記板状物を前記処理装置から前記搬送コンベアへ搬出するための第2の連絡コンベアと、前記搬送コンベアの下方に配置されるとともに、前記板状容器の通過孔より上下方向に突出・退避する移載ローラを備え、前記処理装置で処理する前の前記板状物を前記板状容器から側方に設けられた前記第1の連絡コンベアに移載する、搬入用移載装置と、前記搬送コンベアの下方に配置されるとともに、前記板状容器の通過孔より上下方向に突出・退避する移載ローラを備え、前記処理装置で処理した後の前記板状物を側方に設けられた前記第2の連絡コンベアから前記板状容器に移載する、搬出用移載装置と、前記搬入用移載装置と前記搬出用移載装置とで挟まれた前記搬送コンベア上に配置され、前記板状物を移載した後の前記板状容器を保管するとともに、前記板状容器を前記搬送コンベア上に供給する容器保管手段と、を備えるので、大面積・大重量の板状物の表面を傷つけることなく搬送することが可能である。
また、ハンドロボットなど複雑な機構を有する移載手段を用いることなく板状容器から板状物のみを取り出したり、板状容器に板状物を収納することが可能である。
また、処理装置で処理する板状物の処理時間に関わらず、処理装置に板状容器を供給することが可能である。
また、搬送コンベアの下方に搬入用移載装置と搬出用移載装置とを設け、搬入用移載装置と搬出用移載装置とで挟まれた搬送コンベア上に前記容器保管手段を配置したので、搬送コンベアから処理装置への板状物の搬入と、処理装置から搬送コンベアへの板状物の搬出を同時に行うことが可能であり、搬送能力が高い。
また、搬送コンベアを利用して、上流側の搬入用移載装置又は容器保管手段から、下流側の容器保管手段又は搬出用移載装置へ板状容器を搬送することができる。
【0054】
請求項2記載の如く、前記容器保管手段は、平面視で搬送経路と重複する位置かつ、搬送経路上の板状容器よりも上方で、板状容器を保管する手段としたので、工程内に板状容器専用の保管スペースや、空の板状容器を回収するための専用の搬送経路等を設ける必要がなく、搬送システム全体の設置スペースの増大を抑え、搬送システムの簡素化を図ることが可能である。
また、特定の処理装置で処理しない板状物が生じても、搬送経路上で空の板状容器を別の板状容器が追い越すことが可能であり、空の板状容器により別の板状容器の搬送を阻害することがなく、高い搬送能力を維持可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送システムの構成を示す斜視図。
【図2】板状容器を搬送する搬送コンベアを示す斜視図。
【図3】板ガラスおよび板状容器を示す斜視図。
【図4】積層状態の板状容器を示す斜視図。
【図5】移載装置を示す斜視図。
【図6】容器保管手段の昇降手段直上に板状容器が搬送されてきた状態を示す斜視図。
【図7】容器保管手段の昇降手段により板状容器持ち上げられ、かつ保持手段により板状容器が保持された状態を示す斜視図。
【図8】容器保管手段の保持手段により保持された板状容器の直下に、別の板状容器が搬送されてきた状態を示す斜視図。
【図9】容器保管手段の保持手段により、複数の板状容器が積層された状態で保持された状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 板ガラス(板状物)
2 板状容器
2a 底面
3 搬送経路
4 搬送コンベア
15 容器保管手段
30 連絡コンベア
31 通過孔
32 移載装置
36 移載ローラ
100 搬送システム
Claims (2)
- 板状物の処理装置間を連絡する搬送経路を備える搬送システムであって、
底面の一部に通過孔が設けられ、前記板状物を収納する板状容器と、
前記搬送経路を構成する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアの上流側に設けられ、前記板状物を前記搬送コンベアから前記処理装置に搬入するための第1の連絡コンベアと、
前記搬送コンベアの下流側に設けられ、前記板状物を前記処理装置から前記搬送コンベアへ搬出するための第2の連絡コンベアと、
前記搬送コンベアの下方に配置されるとともに、前記板状容器の通過孔より上下方向に突出・退避する移載ローラを備え、前記処理装置で処理する前の前記板状物を前記板状容器から側方に設けられた前記第1の連絡コンベアに移載する、搬入用移載装置と、
前記搬送コンベアの下方に配置されるとともに、前記板状容器の通過孔より上下方向に突出・退避する移載ローラを備え、前記処理装置で処理した後の前記板状物を側方に設けられた前記第2の連絡コンベアから前記板状容器に移載する、搬出用移載装置と、
前記搬入用移載装置と前記搬出用移載装置とで挟まれた前記搬送コンベア上に配置され、前記板状物を移載した後の前記板状容器を保管するとともに、前記板状容器を前記搬送コンベア上に供給する容器保管手段と、
を備えたことを特徴とする搬送システム。 - 前記容器保管手段は、平面視で搬送経路と重複する位置かつ、搬送経路上の板状容器よりも上方で、板状容器を保管する手段とした、ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
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