JP2013029245A - 草本系バイオマスの燃焼方法および燃焼装置 - Google Patents

草本系バイオマスの燃焼方法および燃焼装置 Download PDF

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Abstract

【課題】流動層炉の流動層において、流動媒体粒子の凝集を抑制し、草本系バイオマスを安定して燃焼することのできる、草本系バイオマスの燃焼方法および燃焼装置を提供する。
【解決手段】アブラヤシ空果房が投入されるとともに下部から一次空気が供給されて、ケイ砂を含む流動媒体とともに該アブラヤシ空果房を流動させて流動層を形成し、該流動層中で上記アブラヤシ空果房を燃焼させる循環流動層炉1のライザ10を有する草本系バイオマスの燃焼装置において、上記ライザ1内へ石灰石を添加剤として供給する添加剤供給部40を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、流動層炉の炉本体内にて流動媒体を酸化性ガスにより流動させた流動層中で草本系バイオマスを燃焼させる草本系バイオマスの燃焼方法および燃焼装置に関する。
近年、地球温暖化の防止対策として、バイオマスエネルギーの利用が注目されている。バイオマスは、化石資源ではなく生物由来の有機性資源であるため、再生可能である。なかでも植物由来のバイオマスは、二酸化炭素排出量を削減する効果が特に期待されている。
バイオマスは有機物であるので、燃焼させると二酸化炭素が発生する。植物由来のバイオマスは、その植物の成長過程で光合成により二酸化炭素から変換された炭素資源を含んでいる。要するに、植物由来のバイオマスの燃焼により発生する二酸化炭素は、その植物が成長過程で大気中から吸収した二酸化炭素に由来している。したがって、バイオマスを燃焼させても、全体としては大気中の二酸化炭素量を増加させていないとみなすことができる。すなわち、バイオマスは、カーボンニュートラルなエネルギー源である。こうした植物由来のバイオマスとして、草本系バイオマス、特にアブラヤシ空果房やスィッチグラスが着目されている。
アブラヤシの空果房は、アブラヤシの果実からパーム油を採取した後に残る一部である。アブラヤシ果房は直径数cmの果実を数百個有しており、果実は果房の芯に強く結合している。この結合を弱めて芯から果実を容易に分離するため、さらに搾油成分の変質を抑制するために、果房は、まず蒸気加熱される。その後、回転篩等により果実が脱果される。果実が脱果された残りの部分が空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)である。空果房は、大量に排出されるものの水分を多く含んでいるため、有効利用されることなく野外放置や野焼きなどで廃棄されていた。
近年、アブラヤシ空果房をボイラー燃料として利用することが試みられており、そのための装置が提案されている。かかる装置は、蒸気圧力下で回転篩により果実を空果房から分離する蒸熱脱果機、脱果後の空果房を裁断する空果房裁断機、および裁断後の空果房を圧搾する空果房圧搾機を備えている。空果房は空果房裁断機により裁断された後、空果房圧搾機により水分を除去され、ボイラー燃料として使用される。
また、スィッチグラスは、多年生イネ科植物で成長が著しく早いエネルギー作物であり、主に茎部を燃料として用いることが検討されている。
このような草本系バイオマスをボイラー燃料として利用する具体的な技術としては、炉内に供給された粒子状の流動媒体(以下、「流動媒体粒子」ともいう)を、炉下部から酸化性ガスを供給することにより流動させた流動層中で、バイオマス粒を燃焼させる流動層炉を用いる方法が検討されている。また、流動層炉では、流動媒体粒子として、安価で汎用的なケイ砂が用いられることが多い。
特許文献1には、草本系バイオマスではなく、汚泥や廃棄物などの処理対象物を燃焼するための循環流動層炉が開示されている。この特許文献1の循環流動層炉は、炉本体としてのライザと、流動媒体を捕集してライザへ戻すダウンカマーとで主に構成され、ダウンカマーは、該ライザの上部と接続配管で接続され該ライザから排ガスとともに送られた流動媒体を捕集する捕集部と、該捕集部で捕集された流動媒体をライザの下部に戻すための戻し管と、ライザからのガスが捕集部内を上昇するのを防止するシール部を有している。
上記循環流動層炉では、ライザの下部から上方へ向けて一次空気がそして該ライザの側部から二次空気が供給されていて、該ライザに投入された処理対象物が砂などの流動媒体粒子とともに流動することによりライザ内に流動層が形成されている。上記処理対象物は該流動層中で燃焼され、ライザで発生した排ガスおよび流動媒体粒子の一部がダウンカマーへ送られ、固気分離される。排ガスは、捕集部から外部の排ガス処理設備へと排出される。また、流動媒体粒子は、捕集部で捕集されて降下して、戻し管を経てライザへ戻される。
特開2003−240209
アブラヤシ空果房やスィッチグラスなどの草本系バイオマスには、カリウムが多く含まれている。例えば草本系バイオマスにおけるカリウムの含有率は、乾燥ベースで0.7〜3wt%程度である。したがって、草本系バイオマスを処理対象物として、例えば特許文献1の循環流動層炉などの流動層炉で燃焼させて燃焼熱エネルギーを回収する際には、このカリウムに起因して以下のような問題が生じる。
ケイ砂を流動媒体粒子とする場合、流動層炉では、燃焼により草本系バイオマスから放出されたガス状のカリウム化合物がケイ砂粒子表面に吸着され、ケイ砂粒子表面に融着物が形成される。この結果、ケイ砂粒子同士が融着し、ケイ砂の凝集そして塊化が生じて、ケイ砂粒子の流動状態を維持できなくなり、上記流動層炉の正常な運転が妨げられる。
流動媒体が凝集そして塊化して良好な流動をしていない流動層中に草本系バイオマスを投入すると、該草本系バイオマスは流動媒体中に均等に分散できないため、部分的に集まった状態で燃焼することになる。これにより、炉内では発熱する領域が偏在することになり、局所的な高温部分であるホットスポットが形成されることになるため、これに起因するNOx等の有害ガスの発生や、炉内耐火物の損傷、耐用寿命の短縮、COの発生などの問題が生じ、草本系バイオマスの安定した燃焼が困難となる。
また、流動媒体粒子が凝集する場合、流動状態を維持するためには、大量の流動媒体粒子の抜出しと新規流動媒体粒子の補充とを行って流動媒体粒子を入れ替える操作を頻繁に行う必要があることから、連続して運転することができないという問題や、新規流動媒体粒子の購入と抜き出した流動媒体粒子の廃棄に多くの費用が必要となるという問題も生じる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、流動層炉の流動層において、流動媒体粒子の凝集を抑制し、草本系バイオマスを安定して燃焼することのできる、草本系バイオマスの燃焼方法および燃焼装置を提供することを課題とする。
発明者は、流動媒体粒子の融着・凝集の原因を検討すべく、まず、種々のバイオマスの灰分を分析した。分析の結果を以下の表1に示す。分析したバイオマスは、木屑、PKS、EFB(アブラヤシ空果房)、スィッチグラスである。「PKS」とは、アブラヤシの種子から搾油した残渣である。
Figure 2013029245
表1に挙げられたバイオマスのうちEFB(アブラヤシ空果房)やスィッチググラスは、乾燥ベースで0.7〜3wt%程度のカリウムを含有する。次に、発明者は、このような高いカリウム含有率の草本系バイオマスを循環流動層炉内で燃焼する際の流動媒体粒子(ケイ砂)の挙動を詳細に検討した。そして、発明者は、上記草本系バイオマスが流動媒体粒子に融着を生じさせるメカニズムに関して下記のとおりであることを見出した。
循環流動層炉に投入された草本系バイオマスは燃焼し、炉本体の燃焼領域でガス状のカリウム化合物を放出する。燃焼領域に共存するケイ砂粒子表面はこのカリウム化合物を吸着し、カリウムはケイ砂の結晶内部に浸透してガラス状の反応物(SiO−KO化合物)を生成し、生成した反応物はその融点が800℃以下と炉内温度より低いため溶融状態となる。そして、カリウムが浸透したケイ砂はその表面に溶融状態のSiO−KO化合物が生成しているため、数粒のケイ砂粒子同士が融着・凝集する。融着・凝集したケイ砂は炉本体の炉底部に落下して更に融着・凝集し、塊を形成する。なお、草本系バイオマス以外の廃棄物を流動層炉で燃焼する際には燃焼灰が溶融して燃焼灰によって流動粒子が融着する事例もあるが、草本系バイオマスの燃焼灰は炉内温度では溶融せず、飛灰としてガスと共に炉本体から排出されるので、融着の原因にはならない。草本系バイオマスでは放出されたカリウム化合物により流動粒子表面に溶融状態の反応物が生成されて流動粒子が融着することが分かった。
発明者は、以下のように添加剤を供給することにより、ケイ砂同士の融着・凝集の発生を防止できることを見出した。添加剤として、石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))、ドロマイト((CaCOm(MgCOn)のうち少なくとも一つを、流動層炉内に投入された草本系バイオマスに添加し、これらから脱離したカルシウム化合物やマグネシウム化合物の微粒子を、草本系バイオマスからカリウム化合物が放出される炉内に共存させることにより、これらの微粒子が、溶融を始めたケイ砂表面に付着し、SiO−KO−CaO化合物やSiO−KO−MgO化合物が生成される。これらの反応物は融点が1000℃以上と炉内温度より高く、ケイ砂表面に溶融融液が存在しないためケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。このように、添加剤を供給することにより、ケイ砂粒子表面に草本系バイオマスから放出されたカリウム化合物により溶融物が生成されることを抑制し、ケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。
また、ケイ砂表面へのカルシウム化合物やマグネシウム化合物の微粒子の付着を、ケイ砂相互の融着が進む前に、炉本体中段の最高温度領域で生じさせることにより、ケイ砂表面へ微粒子を相溶させSiO−KO−CaO化合物やSiO−KO−MgO化合物の生成を効果的に進ませることができる。このとき、炉本体内の温度はケイ砂相互の融着防止のために低下させる必要はなく、850〜900℃に維持することができ、効率よく草本系バイオマスを燃焼することができる。また、添加剤は、草本系バイオマスのカリウム含有重量の2〜10倍の重量を供給すれば、添加剤の過不足ない供給量で、ケイ砂同士の融着を十分に防止できる。
<第一発明>
本発明に係る草本系バイオマスの燃焼方法は、流動層炉の炉本体に草本系バイオマスを供給するとともに該炉本体の下部から酸化性ガスを供給して、ケイ砂を含む流動媒体とともに該草本系バイオマスを流動させて流動層を形成し、該流動層中で上記草本系バイオマスを燃焼させる。
かかる燃焼方法において、本発明では、上記炉本体内へ石灰石、消石灰またはドロマイトのうち少なくとも一つを添加剤として供給することを特徴としている。
炉本体内へ上記添加剤を供給することにより、該添加剤から脱離したカルシウム化合物やマグネシウム化合物の微粒子が、草本系バイオマスからカリウム化合物が放出されている炉内に共存し、これらの微粒子が、溶融を始めたケイ砂の表面に付着し、SiO−KO−CaO化合物やSiO−KO−MgO化合物が生成される。これらの反応物は融点が炉内温度より高く、ケイ砂表面に溶融融液が存在しないためケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。
添加剤を炉本体内へ直接供給することとしてもよい。また、流動層炉が、炉本体と、該炉本体の上部からの流動媒体を捕集する捕集部と、該捕集部で捕集された流動媒体を炉本体へ戻すための戻し管とを有する循環流動層炉である場合には、上記戻し管を経由させて添加剤を上記炉本体に供給することとしてもよい。また、流動層炉が循環流動層炉の場合には、添加剤は炉内の燃焼領域に存在しなければ融着防止効果を発揮できないため、添加剤を流動媒体と共に循環流動層炉内を循環するようにする。そのために、添加剤の粒径は流動媒体と共に循環流動層炉内を循環するのに適した粒径のものを用いる。
添加剤の供給量が、供給する草本系バイオマスのカリウム含有重量の2〜10倍であることが好ましい。これによって、添加剤の過不足ない供給量で、ケイ砂同士の融着を十分に防止できる。
<第二発明>
本発明に係る草本系バイオマスの燃焼装置は、草本系バイオマスが投入されるとともに下部から酸化性ガスが供給されて、ケイ砂を含む流動媒体とともに該草本系バイオマスを流動させて流動層を形成し、該流動層中で上記草本系バイオマスを燃焼させる流動層炉の炉本体を有する。
かかる草本系バイオマスの燃焼装置において、本発明では、上記炉本体内へ石灰石、消石灰またはドロマイトのうち少なくとも一つを添加剤として供給する添加剤供給部を有することを特徴としている。
添加剤供給部が炉本体内へ添加剤を供給することにより、該添加剤から脱離したカルシウム化合物やマグネシウム化合物の微粒子が草本系バイオマスからカリウム化合物が放出されている炉内に共存され、これらの微粒子がケイ砂の表面に付着し、SiO−KO−CaO化合物やSiO−KO−MgO化合物が生成される。これらの反応物は融点が炉内温度より高く、ケイ砂表面に溶融融液が存在しないためケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。
添加剤供給部は、添加剤が炉本体へ草本系バイオマスと共にもしくは別途に供給されるように設けられていることとしてもよい。また、流動層炉が、炉本体と、該炉本体の上部からの流動媒体を捕集する捕集部と、該捕集部で捕集された流動媒体を炉本体へ戻すための戻し管とを有する循環流動層炉である場合には、添加剤供給部は、添加剤が上記戻し管へ供給されるように設けられていることとしてもよい。
本発明では、炉本体内へ石灰石、消石灰またはドロマイトのうち少なくとも一つを添加剤として供給することにより、該添加剤から脱離したカルシウム化合物やマグネシウム化合物の微粒子が草本系バイオマスからカリウム化合物が放出されている炉内に共存され、これらの微粒子がケイ砂の表面に付着し、SiO−KO−CaO化合物やSiO−KO−MgO化合物が生成される。これらの反応物は融点が炉内温度より高く、ケイ砂表面に溶融融液が存在しないためケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。したがって、炉本体底部でケイ砂が塊化することもないので、流動媒体粒子が良好に流動し、上記流動層炉の正常な運転を維持でき、草本系バイオマスを安定して燃焼させることができる。また、局所的な高温部分であるホットスポットに起因するNOx等の有害ガスの発生、炉内耐火物の損傷、耐用寿命の短縮、COの発生などの問題を回避できる。
第一実施形態に係る草本系バイオマスの燃焼装置の概略構成図である。 第二実施形態に係る草本系バイオマスの燃焼装置の概略構成図である。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係る草本系バイオマスの燃焼装置の概略構成図である。該燃焼装置は、循環流動層炉1と、該循環流動層炉1に後述の添加剤を供給する添加剤供給部40とを有している。該循環流動層炉1は、炉本体にて流動媒体を酸化性ガスにより流動させた流動層中で、該炉本体内に供給された燃料を燃焼させる。本実施形態では、燃料として草本系バイオマスであるアブラヤシ空果房(EFB)が供給されるようになっている。また、流動媒体としてはケイ砂が用いられている。
本実施形態では、アブラヤシ空果房が燃料である例を説明するが、燃料はこれに限られず、例えばスィッチグラス等のカリウム含有率が高い草本系バイオマス(乾燥燃料中のカリウム含有率が例えば0.7%以上)であればよい。また、流動媒体としてのケイ砂は流動媒体の一部に含まれていればよい。
図1に示されるように、循環流動層炉1は、主に、炉本体としてのライザ10と、流動媒体や添加剤を捕集してライザ10へ戻すダウンカマー20とで構成されている。該ダウンカマー20は、上記ライザ10の上部と接続配管30で接続され該ライザ10から排ガスとともに送られた流動媒体や添加剤を捕集する捕集部21と、該捕集部21で捕集された流動媒体および添加剤をライザ10の下部に戻すための戻し管22と、ライザ10からのガスが捕集部21内を上昇するのを防止するシール部23とを有している。
ライザ10は、一次空気を上方へ向けて向き込むための散気管11が炉内の下部に設けられている。また、該ライザ10の下部の側壁には、炉内に燃料たるアブラヤシ空果房および後述の添加剤としての石灰石を供給するための供給口13と、炉内に二次空気を吹き込むための二次空気吹き込み口12とが下方から順次設けられている。
添加剤供給部40は、図1に示されるように、添加剤としての石灰石を、供給口13へ供給されるアブラヤシ空果房へ混入するように供給するようになっている。したがって、本実施形態では、アブラヤシ空果房とともに石灰石が上記供給口13からライザ10内に直接供給される。添加剤供給部40が石灰石を供給する位置は、これに限られず、例えばライザ10の側壁に供給口13とは異なる石灰石の供給口を設けて、該供給口から石灰石が供給されるようにしてもよい。
以下、循環流動層炉1の動作を、ライザ10でのアブラヤシ空果房の燃焼を中心に説明する。該循環流動層炉1では、ライザ10に流動媒体が装入されている。そして、該ライザ10にて、散気管11及び二次空気吹き込み口12から炉内に空気を吹き込むことにより、該ライザ10内に供給されたアブラヤシ空果房および石灰石を上記流動媒体とともに流動化させて流動層を形成し、その過程で該流動層にてアブラヤシ空果房を燃焼させる。
具体的には、上記流動媒体は、ライザ10内でその下方から吹き込まれる一次空気により流動状態となり、該ライザ10内の下部で流動媒体による濃厚層を形成し、その保有する高い熱容量および撹拌効果によりアブラヤシ空果房の乾燥及び揮発分の放出を促進させる。また、上記ライザ10内の上部には、一次空気及び二次空気の吹き込みにより吹き上げられて流動媒体による希薄層が形成され、その流動媒体の保有する熱容量および撹拌効果によりアブラヤシ空果房の燃焼を行う。つまり、このような循環流動層炉は、ライザ10内に流動媒体による濃厚層と希薄層とから成る流動層を形成することで、チャー(未燃炭素分)の発生を防止して、効率的にアブラヤシ空果房を燃焼させる。また、ライザ10内の燃焼領域は850〜900℃程度に維持される。
ライザ10でのアブラヤシ空果房の燃焼により生じた排ガスは、接続配管30を経てダウンカマー20の捕集部21に供給されるようになっている。また、流動媒体および添加剤も、その一部が上記排ガスとともに上記捕集部21へ供給される。該捕集部21では、それらを排ガスや比較的粒径の小さい灰などと、流動媒体、添加剤や比較的粒径の大きな灰などとに分離する。したがって、添加剤としての石灰石は、流動媒体と共に循環流動層炉内を循環するのに適した粒径のものであって、上記捕集部21で捕捉するのに適した粒径(例えば、88μm〜2mm程度)のものであることが好ましい。捕集部21で分離した排ガスは、比較的粒径の小さな灰などを同伴して、該捕集部21の上部から排ガス処理設備へと送られ、除塵後に煙突から外部へと放出される。捕集部21で回収した流動媒体、添加剤および比較的粒径の大きな灰などは、シール部23及び戻し管22を介してライザ10の下部へと戻される。
本実施形態では、ライザ10内で燃焼したアブラヤシ空果房は燃焼領域でガス状のカリウム化合物を放出する。また、アブラヤシ空果房と共にライザ10内に供給された添加剤としての石灰石からカルシウム化合物を含む微粒子が脱離する。添加剤として石灰石を添加しない場合にはガス状のカリウム化合物はケイ砂の表面に吸着され、融点が炉内温度以下である800℃以下のSiO−KO化合物が生成されケイ砂の表面に溶融物が存在しケイ砂相互の融着が生じるが、石灰石を添加することにより、カルシウム化合物を含む微粒子が共存するため、このカルシウム化合物を含む微粒子が、カリウム化合物が吸着され溶融を始めたケイ砂表面に付着し、ケイ砂の表面に反応物としてSiO−KO−CaO化合物が生成される。この反応物の融点は、1000℃以上であり、炉内温度より高く、ケイ砂表面に溶融融液が存在しないためケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。溶融し始めたケイ砂の表面にカルシウム化合物の供給が続くため、このSiO−KO−CaO化合物である反応物の融点は、炉内温度より高くなるように維持される。このように、石灰石を供給することにより、ケイ砂粒子表面にアブラヤシ空果房から放出されたカリウム化合物により溶融物が生成されることを抑制し、ケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。また、上記石灰石は、アブラヤシ空果房のカリウム含有重量の2〜10倍程度の重量が供給されることが好ましい。また、上記石灰石は、アブラヤシ空果房の乾燥重量の1.4〜7.0wt%の重量が供給されることが好ましい。石灰石の供給量が下限値より少ないとケイ砂相互の融着・凝集を防止する効果が無いし、上限値より多いと、反応に寄与しないまま飛灰として排出される比率が増加するため経済的に不利である。これによって、石灰石の過不足ない供給量でケイ砂同士の融着・凝集を十分に防止できる。
このように本実施形態では、添加剤として石灰石を、供給口13へ供給されるアブラヤシ空果房へ混入し、ライザ10に供給することにより、流動媒体粒子であるケイ砂相互の融着・凝集が防止されるので、ライザ10の炉本体底部でケイ砂が塊化することもない。したがって、流動媒体粒子は良好に流動し、循環流動層炉1の正常な運転を維持でき、アブラヤシ空果房を安定して燃焼させることができる。また、局所的な高温部分であるホットスポットに起因するNOx等の有害ガスの発生、炉内耐火物の損傷、耐用寿命の短縮、COの発生などの問題を回避できる。
さらに、上述したように、本実施形態では流動媒体粒子相互の融着・凝集が防止されるので、流動状態を維持するために従来頻繁に必要だった流動媒体粒子の抜出しや新規流動媒体粒子の補充を行わなくて済む。したがって、循環流動層炉1の確実な連続運転を可能とするとともに、頻繁に必要だった新規流動媒体粒子の購入と抜き出した流動媒体粒子の廃棄に起因する費用の発生を防止できる。
また、流動媒体粒子としてアルミナなどを使用すれば、添加剤を供給しなくとも流動媒体粒子相互の融着・凝集を回避することが可能ではあるが、アルミナ等の流動媒体は高価であり、その分、費用が嵩んでしまう。これに対し、本実施形態では、少量の添加剤の投入により、安価なケイ砂を流動媒体粒子として使用できるので、結果として、費用を抑制することができる。
<第二実施形態>
第一実施形態では、添加剤が草本系バイオマスとともに循環流動層炉のライザへ直接供給されることとしたが、添加剤が供給される位置はこれに限られない。図2は、第二実施形態に係る燃焼装置の概略構成図である。この図2に見られるように、本実施形態では、添加剤供給部40は、添加剤が戻し管22へ供給されるように設けられており、該添加剤が戻し管22を介して流動媒体粒子とともにライザ10内へ供給されるようになっている。
第一および第二実施形態では、添加剤として石灰石(CaCO)を用いることとしたが、添加剤はこれに限られず、例えば、消石灰(Ca(OH))やドロマイト((CaCOm(MgCOn)であってもよい。添加剤が消石灰である場合には、既述した石灰石の場合と同様に、流動媒体粒子としてのケイ砂の表面にSiO−KO−CaO化合物が生成される。また、添加剤がドロマイトである場合には、ケイ砂の表面にSiO−KO−CaO化合物とSiO−KO−MgO化合物が生成される。いずれの場合であっても、ケイ砂表面には炉内温度で溶融しない反応物が生成されるため、ケイ砂表面に溶融融液が存在することがないので、ケイ砂相互の融着・凝集を防止できる。添加剤がドロマイトである場合には、アブラヤシ空果房の乾燥重量の1〜5wt%の重量が供給されることが好ましい。また、添加剤は、必ずしも石灰石、消石灰およびドロマイトのうち一つだけで構成する必要はなく、これらの混合物であってもよいことは言うまでもない。
また、第一実施形態では、本発明を循環流動層炉に適用した形態を説明したが、これに限らず、本発明はダウンカマーを有さない流動層炉にも適用できる。その場合には、草本系バイオマスとともに添加剤を草本系バイオマス供給口から流動層炉に供給してもよいし、添加剤を草本系バイオマス供給口と異なる供給口から流動層炉に供給してもよい。
1 循環流動層炉
10 ライザ(炉本体)
21 捕集部
22 戻し管
40 添加剤供給部

Claims (7)

  1. 流動層炉の炉本体に草本系バイオマスを供給するとともに該炉本体の下部から酸化性ガスを供給して、ケイ砂を含む流動媒体とともに該草本系バイオマスを流動させて流動層を形成し、該流動層中で上記草本系バイオマスを燃焼させる燃焼方法において、
    上記炉本体内へ石灰石、消石灰またはドロマイトのうち少なくとも一つを添加剤として供給することを特徴とする草本系バイオマスの燃焼方法。
  2. 添加剤を炉本体内へ直接供給することとする請求項1に記載の草本系バイオマスの燃焼方法。
  3. 流動層炉が、炉本体と、該炉本体の上部からの流動媒体を捕集する捕集部と、該捕集部で捕集された流動媒体を炉本体へ戻すための戻し管とを有する循環流動層炉であり、
    上記戻し管を経由させて添加剤を上記炉本体に供給することとする請求項1に記載の草本系バイオマスの燃焼方法。
  4. 添加剤の供給量が、供給する草本系バイオマスのカリウム含有重量の2〜10倍であることとする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の草本系バイオマスの燃焼方法。
  5. 草本系バイオマスが投入されるとともに下部から酸化性ガスが供給されて、ケイ砂を含む流動媒体とともに該草本系バイオマスを流動させて流動層を形成し、該流動層中で上記草本系バイオマスを燃焼させる流動層炉の炉本体を有する草本系バイオマスの燃焼装置において、
    上記炉本体内へ石灰石、消石灰またはドロマイトのうち少なくとも一つを添加剤として供給する添加剤供給部を有することを特徴とする草本系バイオマスの燃焼装置。
  6. 添加剤供給部は、添加剤が炉本体へ草本系バイオマスと共にもしくは別途に供給されるように設けられていることとする請求項5に記載の草本系バイオマスの燃焼装置。
  7. 流動層炉が、炉本体と、該炉本体の上部からの流動媒体を捕集する捕集部と、該捕集部で捕集された流動媒体を炉本体へ戻すための戻し管とを有する循環流動層炉であり、
    添加剤供給部は、添加剤が上記戻し管へ供給されるように設けられていることとする請求項5に記載の草本系バイオマスの燃焼装置。
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