JP2013028128A - 電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属箔と金属箔上に配置される抵抗層との間の剥離を回避し充分なピール強度を有した電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属箔の表面にベンゾトリアゾール処理を施したのち、その金属箔表面上に電気抵抗層を形成する。電気抵抗層は、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、鉄、インジウム、亜鉛、タンタル、スズ、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、モリブデン及びこれらの合金からなる群の中から選択された金属から形成される。また、電気抵抗層付き金属箔は別の一実施形態において、金属箔上に配置された熱可塑性樹脂層を更に備える。
【選択図】なし
【解決手段】金属箔の表面にベンゾトリアゾール処理を施したのち、その金属箔表面上に電気抵抗層を形成する。電気抵抗層は、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、鉄、インジウム、亜鉛、タンタル、スズ、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、モリブデン及びこれらの合金からなる群の中から選択された金属から形成される。また、電気抵抗層付き金属箔は別の一実施形態において、金属箔上に配置された熱可塑性樹脂層を更に備える。
【選択図】なし
Description
本発明は電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法に関し、例えば、回路基板の表面又は内部に搭載可能な抵抗素子として利用可能な電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法に関する。
プリント回路基板の配線材料として、一般に銅箔が使用されている。銅箔は、その製造法により電解銅箔と圧延銅箔に分類されており、エポキシ又はポリイミド等の樹脂基板に接合されてプリント回路用基板として使用されてきている。
一方、近年の各種電子機器の高密度化、高機能化、小型化への要求に伴い、配線材料である銅箔上に更に電気抵抗材料からなる薄膜(電気抵抗層)を形成する技術が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。電子回路基板には電気抵抗素子が不可欠であるが、抵抗層を備えた銅箔を使用すれば、銅箔上に形成された電気抵抗層をエッチングすることで、回路基板上又は内部に所望の電気抵抗を有する抵抗素子が作製できる。これにより、従来のようにチップ抵抗素子を半田接合法等により基板上に表面実装する場合に比べて、基板の表面積を有効に利用することが可能となり、高集積化が図れる。また、回路基板内部に抵抗素子を形成することで、回路基板の表面に抵抗素子を実装する場合に比べて、回路設計上の制約もより少なくなるため、回路長の短縮が可能となり、電気的特性及び信頼性の改善も図れる。
抵抗層を銅箔等の金属箔の表面上に形成して抵抗素子を形成する場合、少なくとも抵抗層と金属箔との間において剥離を生じさせない程度に接着強度を向上させる必要がある。一般に、金属箔表面にCu−Zn合金などの耐熱処理を施すと、金属箔と抵抗層との密着が向上するため、従来は、金属箔表面に合金めっき処理を実施して密着強度を増大させることが行われてきた。
しかしながら、耐熱処理を施して得られる層、例えばCu−Zn合金層の厚みを厚くしすぎると、エッチングにより回路形成を行った際に耐薬品性が劣る場合がある。これはCuに比べてイオン化傾向が大であるZn成分が薬液によって選択的に浸食されるためであり、結果として、回路形成後のピール強度が安定せず、所望の抵抗素子を安定的に形成することが難しくなる。
上記課題を鑑み、本発明は、金属箔と金属箔上に配置される抵抗層との間の剥離を回避し充分なピール強度を有した電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者は、抵抗層を配置する金属箔として、従来とは別の新規な金属箔を採用することを考えた。即ち、これまでは、金属箔と抵抗層との密着性を向上するため、金属箔の表面にCu−Zn合金などの耐熱処理を施した金属箔を採用してきたが、本発明では、金属箔の表面にベンゾトリアゾール(Benzotriazole、以下BTA)処理を施した金属箔を採用することによって、金属箔と抵抗層との剥離の抑制を実現可能な電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法を見出した。
更に、本発明者は、上述の抵抗層上に熱可塑性樹脂層を配置したところ、抵抗層と金属箔との間の剥離を抑制しつつ、更に電気抵抗層−樹脂基材層間の剥離強度を向上可能であることを見出した。
かかる知見を基礎として完成した本発明は一側面において、BTA水溶液で前処理された金属箔と、金属箔の表面上に配置された電気抵抗層とを備える電気抵抗層付き金属箔である。
本発明の電気抵抗層付き金属箔は別の一実施形態において、金属箔上に配置された熱可塑性樹脂層を更に備える。
本発明の電気抵抗層付き金属箔は更に別の一実施形態において、ピール強度が0.7kN/m以上である。
本発明の電気抵抗層付き金属箔は更に別の一実施形態において、電気抵抗層が、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、鉄、インジウム、亜鉛、タンタル、スズ、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、モリブデン及びこれらの合金からなる群の中から選択された金属から形成される。
本発明の電気抵抗層付き金属箔は更に別の一実施形態において、電気抵抗層が、NiCr合金、NiCrAlSi合金及びNiCrSiO合金のいずれかを含む。
本発明の電気抵抗層付き金属箔は更に別の一実施形態において、金属箔が電解銅箔又は圧延銅箔を含む。
本発明は別の一側面において、金属箔の表面上にBTA水溶液で前処理することと、前処理した金属箔の表面上に電気抵抗層を形成することを含む電気抵抗層付き金属箔の製造方法である。
本発明の電気抵抗層付き金属箔の製造方法は別の一実施態様において、金属箔上に熱可塑性樹脂層を配置することを更に含む。
本発明によれば、金属箔と金属箔上に配置される抵抗層との間の剥離を抑制し充分な剥離強度を有した電気抵抗層付き金属箔及びその製造方法が提供できる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔は、金属箔と、金属箔上に配置された電気抵抗層(以下「抵抗層」ともいう)とを備える。金属箔としては、例えば電解銅箔又は圧延銅箔を用いることができる。本実施形態の「銅箔」とは、銅箔の他に銅合金箔も含まれるものとする。なお、金属箔として電解銅箔を用いる場合は一般的な電解装置を用いて製造することが出来るが、抵抗値のバラツキを低減するためには、その電解プロセスにおいて適切な添加剤を選択することや、ドラム回転速度の安定化など、銅箔の表面粗さが均一で厚みの一様な電解銅箔を形成しておくと好ましい。金属箔の厚みにも特に制限はないが、例えば箔厚が5〜70μm、特に箔厚が5〜35μmの金属箔が使用できる。
本発明の第1の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔は、金属箔と、金属箔上に配置された電気抵抗層(以下「抵抗層」ともいう)とを備える。金属箔としては、例えば電解銅箔又は圧延銅箔を用いることができる。本実施形態の「銅箔」とは、銅箔の他に銅合金箔も含まれるものとする。なお、金属箔として電解銅箔を用いる場合は一般的な電解装置を用いて製造することが出来るが、抵抗値のバラツキを低減するためには、その電解プロセスにおいて適切な添加剤を選択することや、ドラム回転速度の安定化など、銅箔の表面粗さが均一で厚みの一様な電解銅箔を形成しておくと好ましい。金属箔の厚みにも特に制限はないが、例えば箔厚が5〜70μm、特に箔厚が5〜35μmの金属箔が使用できる。
特に実用上の問題はないが、金属箔の表面粗さを大きくしすぎると、金属箔上に形成される抵抗層の抵抗値のばらつきが大きくなる場合がある。特に、抵抗層を薄膜化する場合には、粗い金属箔の表面上に、例えばスパッタリング等により均一な薄膜状の抵抗層を形成することが困難になる。その結果、抵抗層の抵抗値のばらつきが大きくなり、所望の抵抗素子の電気的特性を安定的に得ることが難しくなる。
より抵抗層の抵抗値のばらつきを低減させるという観点においては、金属箔は、少なくとも一方の表面が、光学的方法で測定した十点平均粗さRzが1.5μm以下に調整された表面であることが好ましい。ここで、「光学的方法で測定した十点平均粗さRzが1.5μm以下」の表面とは、0.2μm×0.2μm以下の分解能を持ち、光干渉式による光学的表面形状測定装置で測定した場合に得られる十点平均粗さRzの値を有する表面を意味する。
即ち、光干渉的表面形状測定装置により得られた粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表した値で規定した場合の値を十点平均粗さRzとして定義するものである。
この測定方法を採用することにより、金属箔表面の表面粗さと抵抗層の抵抗値の相関関係をより具体的に把握することができる。言い換えれば、この測定方法によれば、平均粗さRzを所定の範囲内で大きくするにつれて一次関数的に抵抗層の抵抗値も上昇する傾向を評価できるため、製造者が、目標とする電気抵抗値に合わせて抵抗層の平均粗さRzを制御することにより、所望の電気抵抗値を有する抵抗層をより安定的に製造できる。
光干渉的表面形状測定機器としては、非接触3次元表面形状粗さ測定システム、品番NT1100(WYKOオプティカルプロファイラ(分解能0.2μm×0.2μm以下:Veeco社製)を用いることができる。システムの測定方式は、垂直走査型干渉方式(Vertical Scan Interferometry/VSI方式)であり、視野範囲は120μm×90μm、測定スキャン濃度が7.2μm/secである。干渉方式は、ミラウ干渉方式(対物レンズ50倍、内部レンズ1倍)である。
一般に金属箔の粗さRzが小さくなると密着性が小さくなるが、本実施形態に係る金属箔おいては、金属箔の粗さRzが小さい、例えば1.5μm以下であっても、BTA水溶液にて前処理をすることにより、十分な密着強度を得ることができるが、さらに粗さRzを0.55μm以下、更には0.5μm以下、更には0.4μm以下としても、その効果を十分に発揮できる。粗さRzの下限値に特に制限はないが、例えば粗さRzは本測定方法の垂直分解能であるRz0.1nm以上とすることができる。
BTA処理は、その濃度が低すぎると密着強度が十分に得られない場合があり、逆に多すぎる場合は、BTA消費量の増大により生産性が低下する。以下の条件に制限されるものではないが、例えば、BTA濃度が、0.1〜5.0vol%、より好ましくは0.3〜0.5vol%、とするのが好ましい。
また、このBTA水溶液中には、特定のシランを混合することも効果的である。テトラエトキシシランや、金属箔を積層する対象となる樹脂基材に合わせて、例えば、エポキシシランあるいはアミノシラン等を混合することによって、樹脂基材との密着性を向上させることが可能である。
金属箔上の電気抵抗層の厚み、大きさ、形状又は電気的特性は、回路設計に応じて任意に決定される。即ち、電気抵抗層の材料の種類や膜厚等の選択は、作製する抵抗素子の機能を考慮して決定されるものであり、特に制限はない。一例としては、シート抵抗値が10〜250Ω/sq或いはそれ以上の電気抵抗層が好適に形成できる。第1の実施の形態で得られる電気抵抗層によれば、シート抵抗値のばらつきの小さい電気抵抗層が得られる。具体的には、シート抵抗値のばらつきが、金属箔の長さ方向及び幅方向においてそれぞれ±5%未満の電気抵抗層が得られる。
電気抵抗層の材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、鉄、インジウム、亜鉛、タンタル、スズ、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、モリブデン及びこれらの合金からなる群の中から選択された金属を挙げることができる。電気抵抗が比較的高い金属であれば、それぞれの金属を単独層として又は他の元素との合金層として好適に使用することができる。
アルミニウム、シリコン、銅、鉄、インジウム、亜鉛、錫等の比較的電気抵抗の低い材料であっても、これらを他の元素と合金化することにより電気抵抗が高くなる材料であれば電気抵抗層の材料として使用しても構わない。電気抵抗層の材料としては、例えば、NiCr合金、NiCrAlSi合金及びNiCrSiO合金のいずれかを含む材料が好適に用いられる。
電気抵抗層の形成に際しては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンビームめっき法などの物理的表面処理法、熱分解法、気相反応法などの化学的表面処理法、又は電気めっき法、無電解めっき法などの湿式表面処理法を用いて形成することができる。一般には、電気めっき法が低コストで製造できる利点がある。スパッタリング法は、均一な厚みで等方性を備えた膜が形成できるため、品質の高い抵抗素子を得ることができるという利点がある。
第1の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔を製造する場合は、まず、所定の銅又は銅合金製の金属箔を用意する。このとき、光学的方法で測定した十点平均粗さRzが1.5μm以下となるように、添加剤・箔厚制御を実施することが好ましい。次いで、金属箔をBTA水溶液で処理、例えばBTA水溶液を金属箔に塗布あるいは吹き付け、またはBTA水溶液中に浸漬し、その後大気中で送風あるいは加熱等の方法で表面乾燥を行うことで表面処理を実施、表面処理後の金属箔の表面上に、例えばスパッタリング等により電気抵抗層を形成すればよい。電気抵抗層の膜厚が均一化されるように、スパッタリング装置の特性に合わせてマスキングを付して所定の厚みに制御することが好ましい。
第1の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔を回路基板内に組み込む際は、例えば、回路基板上に電気抵抗層付き金属箔の電気抵抗層側を接触させ、熱圧着等により回路基板と電気抵抗層付き金属箔とを接合する。次いで、金属箔上にフォトレジスト膜としてドライフィルムを熱圧着し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。次いで、塩化鉄系エッチング液等で、パターニングされたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして金属箔及び電気抵抗層の一部を除去し、フォトレジスト膜を除去する。回路基板上に残る金属箔上に更にフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて抵抗素子の長さ、表面積に準じた形状にパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして金属箔を除去し、フォトレジスト膜を除去することによって、回路基板上に抵抗素子を形成する。その後公知の多層配線技術により抵抗素子上に絶縁層及び配線層を形成すれば、回路基板内に抵抗素子が埋設できる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔は、抵抗層上に配置された熱可塑性樹脂層を更に備える点が、第1の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔と異なる。他は実質的に同様であるので重複した記載を省略する。
第2の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔は、抵抗層上に配置された熱可塑性樹脂層を更に備える点が、第1の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔と異なる。他は実質的に同様であるので重複した記載を省略する。
熱可塑性樹脂層としては、例えば回路基板に適用されるエポキシ系、ポリイミド系、ガラスエポキシ系のボンディングシート、ボンディングフィルム、又はポリイミド及びエポキシ樹脂を含むプライマー(塗料)等が好適に使用される。熱可塑性樹脂層の形成方法に特に制限はない。例えば、電気抵抗層付き金属箔の表面と回路基板との間に固体状のシート又はフィルムを重ね、熱圧着により接合させてもよいし、液状のプライマーを電気抵抗層付き金属箔の表面上に塗布し、乾燥後、熱圧着により接合させることもできる。熱可塑性樹脂層の層厚にも特に制限はないが、少なくとも1μm以上の樹脂層を形成すれば接合強度を向上させることができ、樹脂層の層厚はより好ましくは、5〜50μmである。
第2の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔を製造する場合は、まず、所定の銅又は銅合金製の金属箔を用意する。このとき、第1の実施の形態と同様に、光学的方法で測定した十点平均粗さRzが1.5μm以下となるように調整することが好ましい。次いで、金属箔をBTA水溶液で処理、例えばBTA水溶液を金属箔に塗布あるいは吹き付け、またはBTA水溶液中に浸漬し、その後大気中で送風あるいは加熱等の方法で表面乾燥を行うことで表面処理を実施する。次いで、表面処理後の金属箔の表面上に例えばスパッタリング等により電気抵抗層を形成する。その後、液状のプライマー又はボンディングシート等を配置して、熱可塑性樹脂層を形成すればよい。
第2の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔を回路基板内に組み込む際は、熱圧着等により回路基板と熱可塑性樹脂層を具備する電気抵抗層付き金属箔とを接合する。次いで、金属箔上にフォトレジスト膜としてドライフィルムを熱圧着し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。次いで、塩化鉄系エッチング液等でパターニングされたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして金属箔、電気抵抗層及び熱可塑性樹脂層の一部を除去し、フォトレジスト膜を除去する。その後、回路基板上に残る金属箔上にフォトレジスト膜を形成し、抵抗素子の長さを決定後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして金属箔及び熱可塑性樹脂層を除去し、フォトレジスト膜を除去することによって、回路基板上に抵抗素子を形成する。その後、公知の多層配線技術により抵抗素子上に絶縁層及び配線層を形成すれば、回路基板内に抵抗素子を埋設できる。第2の実施の形態に係る電気抵抗層付き金属箔によれば、金属箔−電気抵抗層間で剥離が生じにくく且つ電気抵抗層のピール強度が0.7kN/m以上、好ましくは0.9kN/m以上を示す程度に十分な接着強度を有する電気抵抗層付き金属箔が提供できる。
更なる観点から、本発明は、上記第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態における電気抵抗層付き金属箔を、回路基板上に積層させてなる積層体を提供する。
以下に本発明の実施例を示すが、以下の実施例に本発明が限定されることを意図するものではない。
(スパッタリング装置)
以下の実施例に示す各サンプルは、CHA社製Vaccume WEB Chamber(14inch幅)を使用して作製した。
以下の実施例に示す各サンプルは、CHA社製Vaccume WEB Chamber(14inch幅)を使用して作製した。
(電解銅箔での評価)
厚さ18μmの電解銅箔を用意した。表面粗さは光干渉的表面形状測定機器を用いて測定を行い、Rz=0.55μmであった。表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後表1に示す濃度のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。
厚さ18μmの電解銅箔を用意した。表面粗さは光干渉的表面形状測定機器を用いて測定を行い、Rz=0.55μmであった。表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後表1に示す濃度のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。
次に、80質量%ニッケル(Ni)と20質量%クロム(Cr)よりなる合金(Ni/Cr合金)の電気抵抗層を、スパッタリング装置を用いて、電解銅箔上におよそ0.08μm堆積させて形成した。得られた抵抗層付銅箔を電気抵抗層上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。比較例1,2では剥離が銅箔と抵抗層の間で剥離が発生し、強度が低すぎてピール強度の測定が困難であった。実施例1〜4については、抵抗層と基材樹脂間で剥離が発生し、0.15〜0.23kN/mのピール強度であった。
(基材−熱可塑性樹脂層−電気抵抗層付き金属箔の強度評価)
実施例5〜7として、実施例1〜4と同一の条件で抵抗層付銅箔を作製し、その抵抗層上に熱可塑性樹脂を5μm厚みで塗布・乾燥した。更にその上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。結果を表2に示す。
実施例5〜7として、実施例1〜4と同一の条件で抵抗層付銅箔を作製し、その抵抗層上に熱可塑性樹脂を5μm厚みで塗布・乾燥した。更にその上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。結果を表2に示す。
剥離は抵抗層と熱可塑樹脂間で発生しており、0.85〜1.10kN/mといずれも充分なピール強度が得られた。
(圧延銅箔での評価)
厚さ18μmの圧延銅箔を用意した。表面粗さは光干渉的表面形状測定機器を用いて測定を行い、Rz=1.43μmであった。表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後表3に示す濃度のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。
厚さ18μmの圧延銅箔を用意した。表面粗さは光干渉的表面形状測定機器を用いて測定を行い、Rz=1.43μmであった。表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後表3に示す濃度のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。
次に、80質量%ニッケル(Ni)と20質量%クロム(Cr)よりなる合金(Ni/Cr合金)の電気抵抗層を、スパッタリング装置を用いて、電解銅箔上におよそ0.08μm堆積させて形成した。得られた抵抗層付銅箔を電気抵抗層上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。比較例3,4では剥離が銅箔と抵抗層の間で剥離が発生し、強度が低すぎてピール強度の測定が困難であった。実施例9〜12については、抵抗層と基材樹脂間で剥離が発生し、0.18〜0.36kN/mのピール強度であった。
(基材−熱可塑性樹脂層−電気抵抗層付き金属箔の強度評価)
実施例13〜16として、実施例9〜12と同一の条件で抵抗層付銅箔を作製し、その抵抗層上に熱可塑性樹脂を5μm厚みで塗布・乾燥した。更にその上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。結果を表4に示す。
実施例13〜16として、実施例9〜12と同一の条件で抵抗層付銅箔を作製し、その抵抗層上に熱可塑性樹脂を5μm厚みで塗布・乾燥した。更にその上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。結果を表4に示す。
剥離は抵抗層と熱可塑樹脂間で発生しており、0.81〜1.02kN/mといずれも充分なピール強度が得られた。
(NiCrAlSi及びNiCrSiOでの評価)
厚さ18μmの電解銅箔並びに圧延銅箔を用意した。表面粗さは光干渉的表面形状測定機器を用いて測定を行い、Rzの値は0.55及び1.43μmであった。表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後表5に示す濃度のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。
厚さ18μmの電解銅箔並びに圧延銅箔を用意した。表面粗さは光干渉的表面形状測定機器を用いて測定を行い、Rzの値は0.55及び1.43μmであった。表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後表5に示す濃度のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。
次に、56質量%ニッケル(Ni)、38質量%クロム(Cr)、2質量%アルミニウム(Al)と4%シリコン(Si)よりなる合金(NiCrAlSi合金)の電気抵抗層または、4質量%ニッケル(Ni)、60質量%クロム(Cr)、18%シリコン(Si)と18質量%酸素(O)よりなる合金(NiCrAlSi合金)の電気抵抗層を、スパッタリング装置を用いて、電解銅箔上におよそ0.08μm堆積させて形成した。その表面に熱可塑性樹脂を5μm厚みで塗布・乾燥した。更に得られた抵抗層付銅箔を電気抵抗層上にエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたエポキシ基材(プリプレグ:パナソニック電工製R−1661)を熱圧着により接合させ、IPC規格(IPC−TM−650)に基づくピール試験により電気抵抗層のピール強度を測定した。BTAを添加しなかった比較例5〜7では剥離が銅箔と抵抗層の間で発生し、強度が低すぎてピール強度の測定が困難であった。実施例9〜12については、抵抗層と基材樹脂間で剥離が発生し、1.11〜1.43kN/mのピール強度であった。
(金属箔の表面粗さの違いによる電気抵抗層の抵抗値ばらつきの評価)
厚さ12μm及び18μmの各2種類の電解銅箔を用意した。12μm箔2種類の粗さの違いは、粗化処理工程における粗化処理電流値を変えて、こぶ付け処理の量を変えることで調整した。18μm箔2種類での粗さの違いは製箔条件およびこぶ付け処理量を変えることで調整した。また18μmの圧延箔も用意した。これらの銅箔の表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後濃度が0.5vol%のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。次に、80質量%ニッケル(Ni)と20質量%クロム(Cr)よりなる合金(Ni/Cr合金)の電気抵抗層を、上記スパッタリング装置を用いて、5種類の箔上にそれぞれのシート抵抗値の平均値が25Ω/sq前後となる厚みに堆積させて形成した。
厚さ12μm及び18μmの各2種類の電解銅箔を用意した。12μm箔2種類の粗さの違いは、粗化処理工程における粗化処理電流値を変えて、こぶ付け処理の量を変えることで調整した。18μm箔2種類での粗さの違いは製箔条件およびこぶ付け処理量を変えることで調整した。また18μmの圧延箔も用意した。これらの銅箔の表面の酸化層を除去するため、5vol%硫酸に30秒浸漬後、純水で1分間洗浄し、その後濃度が0.5vol%のBTA水溶液へそれぞれ1分間浸漬後、純水で1分間洗浄し、液切り・乾燥させた。次に、80質量%ニッケル(Ni)と20質量%クロム(Cr)よりなる合金(Ni/Cr合金)の電気抵抗層を、上記スパッタリング装置を用いて、5種類の箔上にそれぞれのシート抵抗値の平均値が25Ω/sq前後となる厚みに堆積させて形成した。
それぞれの電気抵抗層の表面粗さについて、前述の光干渉的表面形状測定機器を用いて、十点平均粗さRzを測定した。また電気抵抗層のシート抵抗値については、銅箔をエポキシ樹脂基材と積層後、アルカリエッチング液により銅箔層を全面エッチングして抵抗層を基材表面に露出させ、JIS−K7194に基づく四探針法により測定した。結果を表6に示す。参考例1、3および5の電気抵抗層は、他の参考例2、4に比べて抵抗値のばらつきが小さく、±5%未満となった。
Claims (7)
- ベンゾトリアゾール水溶液で前処理を実施した金属箔と、その金属箔表面上に配置された電気抵抗層とを備える電気抵抗層付き金属箔。
- ベンゾトリアゾール水溶液中のベンゾトリアゾール濃度が0.1〜0.5vol%である請求項1に記載の電気抵抗層付き金属箔。
- 前記抵抗層付き金属箔上に配置された熱可塑性樹脂層を更に備える請求項1又は2に記載の電気抵抗層付き金属箔。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の電気抵抗層付き金属箔を回路基板上に積層させてなる積層体。
- 金属箔の表面をベンゾトリアゾール水溶液にて処理し、
得られた金属箔の表面に電気抵抗層を形成する電気抵抗層付金属箔の製造方法。 - ベンゾトリアゾール水溶液中のベンゾトリアゾール濃度が0.1〜0.5vol%である請求項5に記載の方法。
- 前記電気抵抗層の表面に、更に熱可塑性樹脂層を更に形成する請求項5又は6に記載の方法。
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