JP2013023992A - 真空弁の弁箱 - Google Patents

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【課題】直管状をなす吸込部の軸芯と吐出部の軸芯を一致させ、確実に異物の詰まりを防止する。
【解決手段】吸水管19に接続される吸水部32と、真空送水管15に接続され、第2軸芯A2が第1軸芯A1と一致された吐出部33と、第3軸芯A3が吸水部32の第1軸芯A1に対して鋭角に位置するとともに吐出部33の第2軸芯A2に対して鈍角に位置し、弁座36の内部に第3軸芯A3に対して直交方向に位置する弁口37が形成された弁箱本体34とを備えた真空弁30の弁箱31において、弁箱本体34の第3軸芯A3に沿って見て、弁箱本体34の吸水部32が連続する部分に、吸水部32の側へ膨出する膨出部38を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、真空下水道システム等の真空送水システムに使用される真空弁装置に用いる真空弁の弁箱に関するものである。
真空吸引を利用して送水を行う真空式送水システムが知られている。この真空送水システムの一例としては、真空式下水道システムがある。この真空式下水道システムは、真空ステーション、真空送水管および真空弁ユニットを備えている。
真空ステーションは、真空ポンプ、集水タンクおよび圧送ポンプを備えている。真空送水管は、上流側が真空弁ユニットに接続され、下流側が真空ステーションの集水タンクに接続されている。真空ステーションの真空ポンプは、真空送水管内に負圧を発生させる。この真空送水管内の負圧により、真空弁ユニット内の汚水が真空送水管を通って真空ステーションの集水タンクに排水される。集水タンクに貯留された汚水は、圧送ポンプによってさらに下流側に搬送される。
真空弁ユニットは、上流側の宅内下水設備から排出される汚水を一時的に貯留する貯水枡を備えている。この貯水枡の内部には、真空弁と、この真空弁を開閉させるコントローラとからなる真空弁装置が配設されている。真空弁は、下端が貯水枡内に位置する吸水管と真空送水管との間に介設されている。この真空弁は、弁体を収容する弁箱本体を有する弁箱と、弁体を開閉駆動する駆動部とを備えている。コントローラは、貯水枡内に予め設定した第1水位(HWL)まで汚水が溜まると、真空弁を閉弁状態から開弁状態に切り換える。また、排水により貯水枡内の汚水が予め設定した第2水位(LWL)になると、真空弁を開弁状態から閉弁状態に切り換える。そして、閉弁時には吸水管と真空送水管の連通を遮断し、開弁時には吸水管と真空送水管を連通させて、貯水枡内の汚水を真空送水管に送水する。
真空弁の弁箱1は、図7(A),(B)に示すように、吸水管側に接続される吸水部2と、真空送水管側に接続される吐出部3とを備えている。これら吸水管、吸水部2、吐出部3および真空送水管は、同一の内径(呼び口径)で形成されている。また、吸水部2および吐出部3は、各軸芯が一致するように設けられている。吸水部2と吐出部3の境界部分には、弁体を移動可能に配設する円錐筒状の弁箱本体4が設けられている。この弁箱本体4は、吸水部2の側に鋭角に位置し、吐出部3の側に鈍角に位置するように、一体的に設けられている。さらに、弁箱1には、弁箱本体4内に配設した弁体が着座する弁座5が、内向きに突設されている。この弁座5の内部には、弁箱本体4の軸芯上に中心が位置する円形状の弁口6が設けられる。この弁口6は、弁箱本体4の軸芯に対して直交方向に広がっている。また、弁口6の内径は、吸水部2および吐出部3と略同一内径である。
この弁箱1の吸水部2には、排水時に内径と略同一直径の球状異物が通過することがある。しかし、吸水部2は、弁箱本体4に対して鋭角に交わるため、図7(C)に示すように、出口2aの下部に弁座5の縁が位置する。また、この吸水部2の出口2aは、弁座5の部分の横幅が最も広く、上側に向かうに従って徐々に狭くなる。そのため、球状異物は、最も直径が大きくなった部分が横幅が狭くなった中間位置に干渉し、出口2aを通過できない。なお、吸水部2の出口2aは、弁座5の縁を吐出部3の側へ位置させることにより異物が干渉する位置を調整することは可能である。しかし、異物が通過できる位置まで弁座5を変形させた場合には、弁体の着座代が無くなり、密閉(閉弁)できなくなる。
この問題を防止できるようにした真空弁が特許文献1に記載されている。この真空弁は、吸水部の下端(円形状配管の下側頂部)を弁座の上端に位置させている。これにより、吸水部を軸方向から見ると、出口が円形状に貫通した状態となるように構成している。また、特許文献1の従来例には、吐出部における弁座を通過した位置に、円弧状をなす窪みを設けた真空弁が記載されている。この真空弁は、球状異物が弁口を通過する際に窪みで一旦下向きに移動することにより、弁口および吐出部の壁面に干渉して詰まることを防止できる。
しかしながら、前者の真空弁は、吸水部の軸芯と吐出部の軸芯が一致しないため、前後に配管する吸水管および真空送水管の高さを一致させることができない。そのため、真空弁ユニットの設計が煩雑になるという問題がある。また、後者の真空弁は、吐出部に形成した窪みに汚物が沈殿したり、窪みに残留した水が凍結したりすることがある。この場合、球状異物が通過できなくなるという問題がある。また、両者の真空弁は、吸水部から直管状に延びた部分に弁座が着座するため、シール性に懸念がある。
実開平5−57083号公報
本発明は、それぞれ直管状をなす吸込部の軸芯と吐出部の軸芯を一致させ、確実に異物の詰まりを防止できる真空弁の弁箱を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明の真空弁の弁箱は、吸水管に接続される直管状の吸水部と、真空送水管に接続され、第2軸芯が前記吸水部の第1軸芯と一致された直管状の吐出部と、前記吸水部と前記吐出部の間に介設された円錐筒状のもので、第3軸芯が前記吸水部の第1軸芯に対して鋭角に位置するとともに前記吐出部の第2軸芯に対して鈍角に位置し、前記吸水部と前記吐出部との間に位置するように弁座が突設され、その内部に前記第3軸芯に対して直交方向に位置する弁口が形成された弁箱本体と、を備え、弁体が前記弁箱本体内に前記第3軸芯に沿って移動可能に配設され、前記弁座に前記弁体が着座されることにより前記弁口を通した前記吸水部と前記吐出部との連通が遮断され、前記弁座から前記弁体が離反されることにより前記吸水部と前記吐出部とが前記弁口を通して連通される真空弁の弁箱において、前記弁箱本体の第3軸芯に沿って見て、前記弁箱本体の前記吸水部が連続する部分に、前記吸水部の側へ膨出する膨出部を設けた構成としている。
本発明の真空弁の弁箱では、弁箱本体の吸水部が連続する部分に膨出部を設けているため、弁箱本体における吸水部が交わる範囲の直径を広げることができる。そのため、弁箱本体内に連通する吸水部の出口の開口面積を広くすることができる。また、吐出部には窪みを設ける必要がないため、汚物が沈殿したり、残留した水が凍結したりすることはない。その結果、吸水部と同一直径の球状異物の詰まりを防止して、弁箱内を通過させることができる。
しかも、それぞれ直管状をなす吸水部の第1軸芯と吐出部の第2軸芯が一致されているため、吸水管と真空送水管の配管を簡素化できるうえ、無駄な流体抵抗が生じることはない。また、弁箱本体の内周部に弁座を突設しているため、弁体の着座代を十分に設けることができ、十分なシール性能を確保できる。よって、真空送水システムに適用した際に、真空ステーションによる真空排気能力の低下を防止し、システムダウンを防止できる。
この弁箱では、前記膨出部は、前記弁箱本体の第3軸芯に対する外壁部の傾斜角度を小さくすることにより形成されることが好ましい。このようにすれば、金型を用いた射出成形により確実に製造できる。よって、製造コストの増大を防止できる。
また、前記弁箱の弁座に、前記吸水部の側から吐出部の側に向けて窪む曲面状凹部を設けることが好ましい。このようにすれば、吸水部と同一直径の球状異物を詰まらせることなく、確実に通過させることができる。
本発明の真空弁の弁箱では、弁箱本体の吸水部が連続する部分に膨出部を設けているため、吸水部の出口の開口面積を広くすることができる。また、吐出部には窪みを設ける必要がないため、汚物が沈殿したり、残留した水が凍結したりすることはない。その結果、吸水部と同一直径の球状異物の詰まりを防止して、弁箱内を通過させることができる。
しかも、直管状をなす吸水部の第1軸芯と吐出部の第2軸芯が一致されているため、吸水管と真空送水管の配管を簡素化できるうえ、無駄な流体抵抗を無くすことができる。また、弁箱本体の内周部に弁座を突設しているため、弁体の着座代を十分に設けることができ、十分なシール性能を確保できる。よって、真空送水システムに適用した際のシステムダウンを防止できる。
本発明の真空弁の弁箱を用いた真空式下水道システムを示す概略図である。 真空弁の構成を示す断面図である。 (A),(B)は真空弁の弁箱を示す斜視図である。 真空弁の弁箱を示し、(A)は側面図、(B)は(A)の中央横断面図、(C)は弁箱本体の要部端面図、(D)は(A)のIV−IV線断面図である。 真空式下水道システムの真空弁装置の概念図である。 真空弁装置の構成を示す断面図である。 従来の真空弁の弁箱を示し、(A)は側面図、(B)は(A)の中央横断面図、(C)は(A)のVII−VII線断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る真空弁30の弁箱31を用いた真空送水システムの一例である真空式下水道システムの真空弁ユニット10を示す。本発明の弁箱31は、吸水部32と吐出部33と弁箱本体34とを備え、吸水部32を通過可能な直径の球状異物を内部で詰まらせることなく、確実に通過できるようにしたものである。
まず、真空式下水道システムについて説明する。このシステムは、宅内下水設備と真空ステーションとの間に、真空弁ユニット10が配設されている。真空弁ユニット10は、汚水を一時的に貯留する貯水枡11を備え、この貯水枡11内に本発明の弁箱31を用いた真空弁30を配設している。この真空弁30を開弁させることにより、貯水枡11内の汚水が真空ステーションによる真空吸引作用で下流側の集水タンクに排水される。
貯水枡11は有底筒状をなし、その上端開口が蓋体12により閉塞されている。この貯水枡11の底には、汚水を貯留するための汚水溜13が設けられている。また、貯水枡11には、汚水溜13の上方に、上流側が宅内下水設備に連通した大気圧状態の自然流下管14が接続されている。さらに、貯水枡11には、自然流下管14より上方に位置するように、下流側が真空ステーションの集水タンクに接続された負圧(-25〜-70kPa)状態の真空送水管15が接続されている。そして、貯水枡11には、真空送水管15より更に上方に位置するように、大気開放した空気取入管16が接続されている。
貯水枡11内には、仕切弁17、継手管18、吸水管19および真空弁装置が収容されている。真空送水管15には、仕切弁17が介設されるとともに、継手管18および真空弁装置の真空弁30を介して吸水管19が接続されている。吸水管19は、一端の開口が汚水溜13の底から所定間隔(50〜100mm)をもって上方に位置するように配管されている。そして、真空弁装置は、本発明の弁箱31を用いた真空弁30と、この真空弁30を開閉させるコントローラ70とで構成されている。
真空弁30は、図2に示すように、仕切弁17を介して真空送水管15が接続された継手管18と吸水管19との間に介設される弁箱31と、この弁箱31内に配設する止水用弁体46と、この止水用弁体46を開閉駆動させる駆動アクチュエータ48とを備えている。
図3(A),(B)および図4(A),(B)に示すように、弁箱31は、それぞれ直管状をなす吸水部32と吐出部33とを備えている。吸水部32には、ベント管20を介して吸水管19が接続される。吐出部33には、軸芯が一致するように、継手管18および仕切弁17を介して真空送水管15が接続される。これら吸水部32と吐出部33の内径(呼び口径)は同一である。また、これら吸水部32と吐出部33は、互いの軸芯A1,A2が一致するように設けられている。
弁箱31は、吸水部32と吐出部33の間に、止水用弁体46を移動可能に配設する円錐筒状の弁箱本体34が介設されている。この弁箱本体34は、円錐筒状をなす外壁部35に吸水部32および吐出部33が一体的に設けられている。弁箱本体34は、その第3軸芯A3が、吸水部32の第1軸芯A1に対して鋭角に位置し、吐出部33の第2軸芯A2に対して鈍角に位置するように設けられている。弁箱本体34の内周部には、吸水部32と吐出部33の間に位置するように、止水用弁体46が着座する弁座36が突設されている。この弁座36の内部には、円形状をなす弁口37が形成されている。この弁口37は、中心が弁箱本体34の第3軸芯A3と一致するとともに、弁箱本体34の第3軸芯A3に対して直交方向に広がるように設けられている。また、弁口37の内径は、吸水部32および吐出部33と同一の内径である。
そして、本実施形態の弁箱本体34には、吸水部32が連続する部分に、吸水部32の側へ膨出する膨出部38が設けられている。この膨出部38は、図4(B),(C)に示すように、弁箱本体34の第3軸芯A3に沿って見て、吸水部32の側に位置する所定領域の外壁部35を膨出させて形成される。ここで、弁箱本体34の外壁部35は、金型による射出成形で製造するために、開口部39から弁座36に向けて開口面積が次第に小さくなるように、第3軸芯A3に対して所定角度(例えば5度)で傾斜するように設けられている。そして、膨出部38は、第3軸芯A3に対する外壁部35の傾斜角度に対して、平行に近い小さな傾斜角度(例えば0.5〜3度)とすることにより形成されている。
また、本実施形態の弁箱本体34の弁座36には、吸水部32の側から吐出部33の側に向けて窪む曲面状凹部40が設けられている。この曲面状凹部40は、着座する止水用弁体46の着座代を十分に確保できる範囲で、吐出部33の側に延びるように設けられている。なお、弁座36の吐出部33の側は、吐出部33の下端(円形状配管の下側頂部)と接する曲面状の曲面部41とされている。しかも、弁座36の上端内周部は、吐出部33の上端と接するように構成されている。
このように弁箱本体34に膨出部38を設け、この膨出部38に吸水部32を連続させることにより、図4(D)に示すように、弁箱本体34の吸水部32が交わる領域の直径を広げることができる。その結果、吸水部32から弁箱本体34内に連通する吸水部32の出口32aの開口面積を大きくすることができる。また、弁座36に曲面状凹部40を設けることにより、出口32aに対して球状異物が干渉する位置を、横幅が広い弁座36の側へ調整できる。そのため、吸水部32と同一直径の球状異物を確実に通過させ、弁箱本体34内に流入させることができる。
また、本実施形態の弁箱31には、弁座36の下流側に吐出部33の内部空間と連通した第1検圧室42が形成され、弁座36の上流側に弁箱本体34の内部空間からなる第2検圧室43が形成されている。第1検圧室42は、コントローラ70の第2アクチュエータ79に接続されるもので、吐出部33から突出する円筒部44を設けることにより形成される。第2検圧室43は、第1検圧室42と同様にコントローラ70の第2アクチュエータ79に接続されるもので、弁箱本体34の上部に位置するように筒状に突出する接続部45が設けられている。排水時には、第1検圧室42内の真空度(負圧)は、真空送水管15内の真空度より低くなる。また、第2検圧室43内の真空度は、第1検圧室42内の真空度より低くなる。
図2に示すように、止水用弁体46は、駆動アクチュエータ48により弁箱本体34の第3軸芯A3に沿って進退移動可能に配設されている。この止水用弁体46は、弁座36に圧接されるシール部材47を備えている。この止水用弁体46により、真空弁30の開閉が切り換えられる。即ち、駆動アクチュエータ48により止水用弁体46が進出されると、止水用弁体46が弁座36に着座して弁口37を閉塞し、真空弁30は閉状態となる。そして、真空弁30の閉弁により、弁口37を通した吸水部32と吐出部33との連通が遮断される。一方、駆動アクチュエータ48により止水用弁体46が後退されると、止水用弁体46が弁座36から離反されて弁口37を開放し、真空弁30が開状態となる。そして、真空弁30の開弁により、吸水部32と吐出部33とが弁口37を通して連通される。
駆動アクチュエータ48は、内部を基準圧室57と圧力室58に区画した止水用シリンダ49を備えている。この止水用シリンダ49は、弁箱本体34の開口部39に密閉状態で取り付けられる下側ケース50と、この下側ケース50の上端開口に密閉状態で取り付けられる上側ケース53とを有する。下側ケース50には、弁箱本体34の第3軸芯A3に位置するように挿通部材51が配設されている。また、下側ケース50の外周部には、大気と連通させるための通気孔52が設けられている。上側ケース53には、コントローラ70の第2変圧室74に接続される第2変圧室接続部54が設けられている。また、上側ケース53には、付勢スプリング60を位置決めする位置決め筒部55が設けられている。
下側ケース50と上側ケース53との間には、可撓性材料からなるダイヤフラム56が配設されている。このダイヤフラム56により止水用シリンダ49の内部が、弁箱本体34の側に位置する基準圧室57と、離間した上側に位置する圧力室58とに区画されている。このダイヤフラム56には、圧力室58内に位置するように受皿形状をなすピストンカップ59が配設されている。このピストンカップ59と上側ケース53との間には、ピストンカップ59を下側ケース50へ向けて付勢する付勢スプリング60が配設されている。また、ピストンカップ59には、下側ケース50の挿通部材51を挿通されて、弁箱本体34内を第3軸芯A3に沿って延びる開閉作動部材61が配設されている。この開閉作動部材61の先端には、止水用弁体46が連結されている。
この駆動アクチュエータ48は、圧力室58内が設定真空度になると、基準圧室57の大気圧との差圧による上向きの押圧力が付勢スプリング60の付勢力を上回り、ピストンカップ59が上向きに移動(後退)する。これにより、開閉作動部材61を介して止水用弁体46が弁座36から離反し、弁口37を開放して開弁させる。一方、圧力室58内が設定真空度を下回ると、基準圧室57の大気圧との差圧による押圧力が付勢スプリング60の付勢力を下回り、ピストンカップ59が下向きに移動(進出)する。これにより、開閉作動部材61を介して止水用弁体46が弁座36に着座し、弁口37を閉塞して閉弁させる。
次に、この真空弁30を開閉制御するコントローラ70の一例について説明する。
コントローラ70は、図5に示すように、三方弁構造の切換弁本体72を備えている。この切換弁本体72は、フロート77の昇降に連動する開弁専用メカニカル型の第1アクチュエータ76により開作動される。また、切換弁本体72は、真空弁30の第1および第2検圧室42,43内の差圧ΔPにより動作する閉弁専用ニューマチック型の第2アクチュエータ79により閉作動される。これら真空弁30とコントローラ70とは、図6に示すように、4本の空気チューブ71A〜71Dによって接続される。
具体的には、切換弁本体72は、空気チューブ71Aによって継手管18に接続される第1変圧室73と、空気チューブ71Bによって真空弁30の第2変圧室接続部54(圧力室58)に接続される第2変圧室74を備えている。これら変圧室73,74は、切換弁体75が下向きに移動されることにより連通が遮断される。この遮断状態では、第2変圧室74が大気開放され、第2変圧室74に連続した真空弁30の圧力室58が大気開放される。また、変圧室73,74は、切換弁体75が上向きに移動されることにより連通される。この連通状態では、切換弁体75によって第2変圧室74が大気と遮断され、第2変圧室74に連続した圧力室58が、変圧室73,74を介して継手管18と同等の真空度に真空吸引される。なお、切換弁体75の移動状態は、図示しないトグル部材の弾性的な保持力で保持される。
第1アクチュエータ76は、貯水枡11内の水位に応じて昇降するフロート77(図1参照)と、フロー77トの昇降に連動して切換弁体75の直動方向に沿って移動する開作動部材78とを備えている。そして、貯水枡11内に予め設定した第1水位HWLまで汚水が貯められると、切換弁体75をトグル部材の保持力に抗して閉位置から開位置に移動させるものである。
第2アクチュエータ79は、内部を第1受圧室85と第2受圧室86に区画した切換用シリンダ80を備えている。この切換用シリンダ80は、切換弁本体72上に取り付けられる下側ケース81と、この下ケースに密閉状態で取り付けられる筒状のシリンダ本体82と、このシリンダ本体82上に密閉状態で取り付けられる上側ケース83とを有する。下側ケース81とシリンダ本体82との間には第1ダイヤフラム84が配設され、切換用シリンダ80内を、上側に位置する第1受圧室85と下側に位置する第2受圧室86に区画している。また、シリンダ本体82と上側ケース83との間には第2ダイヤフラム87が配設され、切換用シリンダ80内を、第2受圧室86と区画するとともに、流体収容室88と空気室89に更に区画している。
下側ケース81には、切換弁体75の軸芯に位置するように挿通部材90が配設されている。また、下側ケース81には、空気チューブ71Cによって真空弁30の第2検圧室43に接続される第2検圧室接続部91が設けられている。シリンダ本体82は、筒状をなす内壁92が設けられ、この内壁92によって、内側に位置する第1受圧室85と、外側に位置する流体収容室88および空気室89に区画されている。また、シリンダ本体82には、内側の第1受圧室85に連通し、空気チューブ71Dによって第1検圧室42に接続される第1検圧室接続部93が設けられている。なお、流体収容室88は、第2ダイヤフラム87によって区画された上側領域からなる。また、空気室89は、シリンダ本体82の外壁と内壁92との間に設けられた有底筒状の環状溝内において、第2ダイヤフラム87によって区画された下側領域からなる。この空気室89は、外壁に空気孔94を設けることにより、大気開放されている。上側ケース83は、流体収容室88の上側開口部を密閉するものである、この上側ケース83には、第1受圧室85と区画された内側の第1流体収容室88aと、空気室89と区画された外側の第2流体収容室88bとを連通される流体通路95が設けられている。この流体通路95は、孔径が0.3mm〜0.4mmの小孔からなる。
第1ダイヤフラム84には、第1受圧室85内に位置するように受皿形状をなす第1ピストン96が配設されている。また、第1受圧室85内には、第2ダイヤフラム87が連結された第2ピストン97が配設されている。そして、これらピストン96,97の間には、第1ピストン96を下側ケース81へ向けて付勢する付勢スプリング98が配設されている。また、第1ピストン96には、下側ケース81の挿通部材90を挿通されて、切換弁本体72内の切換弁体75上に延びる閉作動部材99が配設されている。
この第2アクチュエータ79は、真空弁30の第1検圧室42に接続された第1受圧室85の真空度が、真空弁30の第2検圧室43に接続された第2受圧室86の真空度より高くなる。そして、第1受圧室85と第2受圧室86との差圧ΔPによる上向きの押圧力が、付勢スプリング98の付勢力を上回る。そうすると、第1ピストン96の上向きの移動によって付勢スプリング98が収縮される。これにより、閉作動部材99による切換弁体75の非閉作動状態が維持される。一方、貯水枡11内が吸水管19より下側の第2水位LWLになると、空気の混入により第1受圧室85と第2受圧室86との差圧ΔPによる上向きの押圧力が、付勢スプリング98の付勢力を下回る。そうすると、付勢スプリング98の付勢力によって第1ピストン96が下向きに移動される。これにより、閉作動部材99によって切換弁体75が閉作動される。なお、付勢スプリング98による付勢力は、第1受圧室85内の真空度、即ち、第1検圧室42を介して連続する真空送水管15の真空度に応じて第2ピストン97が上下動することにより、調整される。具体的には、真空送水管15内の真空度が高い場合には、第2ピストン97が下向きに移動することにより、付勢スプリング98の付勢力は強くなる。一方、真空送水管15内の真空度が低い場合には、付勢スプリング98の付勢力によって第2ピストン97が上向きに移動することにより、付勢スプリング98の付勢力は弱くなる。
次に、本発明の弁箱31を用いた真空式下水道システムの動作について説明する。
貯水枡11内に汚水が溜まり、第1アクチュエータ76のフロート77が着水して第1水位HWLまで上昇すると、開作動部材78が上向きに移動され、切換弁体75が開位置に移動する。これにより、コントローラ70の第1変圧室73と第2変圧室74とが連通するとともに、第2変圧室74が大気と遮断される。そして、真空弁30の圧力室58が、第2変圧室74、第1変圧室73、継手管18および真空送水管15を介して真空吸引される。その結果、真空弁30のピストンカップ59が付勢スプリング60の付勢力に抗して上向きに移動することにより、止水用弁体46が開作動し、弁座36から離反して開弁する。よって、貯水枡11内の汚水は、吸引作用によって吸水管19、弁箱31、継手管18、仕切弁17および真空送水管15を経て真空ステーションへ排水される。
排水により貯水枡11内の汚水が吸水管19の下端近傍まで低下すると、吸水管19からの吸水に空気が混入(分離吸引)し始める。この際、自然流下管14を通して貯水枡11内に吸水管19の内径と同等の球状異物が混入している場合には、球状異物が吸水管19の下端から吸引されることがある。この場合、本実施形態では、真空弁30の弁箱31に膨出部38を設けることにより、弁箱本体34における吸水部32が交わる範囲の直径を広げ、弁箱本体34内に連通する吸水部32の出口32aの開口面積を広くしている。しかも、本実施形態では、弁座36に吸水部32の側から吐出部33の側に向けて窪む曲面状凹部40を設けている。そのため、吸水部32と同一直径の球状異物を詰まらせることなく、弁箱本体34内に確実に通過させることができる。そして、弁箱本体34内に流入させた球状異物は、弁座36の弁口37を通して吐出部33に流入させ、継手管18、仕切弁17および真空送水管15を経て真空ステーションへ排出される。
そして、分離吸引が進むと、吸水管19、弁箱本体34、吸水部32および真空送水管15の順番で真空度が一様に低下する。そうすると、吸水部32に連通する第1検圧室42および弁箱本体34に連通する第2検圧部の真空度も一様に低下し、第2アクチュエータ79の第1および第2受圧室85,86内の真空度も一様に低下する。また、第1および第2受圧室85,86の差圧ΔPが低下し、その差圧ΔPによる押圧力が付勢スプリング98の付勢力以下になると、付勢スプリング98の付勢力によって第2アクチュエータ79が閉作動する。これにより、切換弁体75が閉位置に移動されることにより、コントローラ70は、第1変圧室73と第2変圧室74との連通が遮断され、第2変圧室74が大気開放された状態になる。その結果、真空弁30の圧力室58内が大気圧状態となり、付勢スプリング60の付勢力でピストンカップ59が閉作動される。よって、真空弁30は、止水用弁体46が閉位置に移動され、弁座36に着座して閉弁状態となる。
そうすると、真空弁30の吸水部32から吐出部33を経た排水が停止される。また、弁口37の遮断により、真空送水管15の真空度が高くなり、それに伴って第1検圧室42の真空度が高くなる一方、第2検圧室43は大気圧状態となる。その結果、第2アクチュエータ79は、第1受圧室85の真空度が高くなる一方、第2受圧室86が大気圧状態となる。よって、第1ピストン96が付勢スプリング98の付勢力に抗して後退した非閉作動状態となる。
このように、本発明の弁箱31を用いた真空式下水道システムは、貯水枡11内に吸水管19と同等の球状異物が混入していても、弁箱31内で詰まりを生じさせることなく下流側へ排出できる。また、弁箱31の吐出部33には窪みを設けていないため、汚物が沈殿したり、残留した水が凍結したりすることはないため、それに伴う球状異物の詰まりを防止できる。よって、複数の真空弁ユニット10を接続した真空ステーションの真空排気能力の低下を防止し、システムダウンを防止できる。
しかも、本実施形態の弁箱31は、それぞれ直管状をなす吸水部32の第1軸芯A1と吐出部33の第2軸芯A2が一致されているため、吸水管19と真空送水管15の配管を簡素化できるうえ、無駄な流体抵抗が生じることはない。また、弁箱本体34の内周部に弁座36を突設しているため、弁体の着座代を十分に設けることができ、十分なシール性能を確保できる。さらに、膨出部38は、弁箱本体34の第3軸芯A3に対する外壁部35の傾斜角度を小さくすることにより形成されるため、金型を用いた射出成形により確実に製造できる。よって、製造コストの増大を防止できる。
なお、本発明の真空弁30は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、膨出部38は、弁箱本体34の第3軸芯A3に対する外壁部35の傾斜角度を変更することによって、軸方向に沿って膨出させたが、吸水部32の連続部分だけを膨出させた構成としてもよい。また、前記実施形態では、弁座36に球面状凹部を設けたが、この球面状凹部は設けない構成としてもよい。
さらに、この真空弁30の弁箱31は、真空式下水道システムに限られず、種々の真空送水システムに適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
10…真空弁ユニット
30…真空弁
31…弁箱
32…吸水部
32a…出口
33…吐出部
34…弁箱本体
35…外壁部
36…弁座
37…弁口
38…膨出部
40…曲面状凹部
42…第1検圧室
43…第2検圧室
46…止水用弁体
48…駆動アクチュエータ
70…コントローラ
72…切換弁本体
76…第1アクチュエータ
79…第2アクチュエータ

Claims (3)

  1. 吸水管に接続される直管状の吸水部と、
    真空送水管に接続され、第2軸芯が前記吸水部の第1軸芯と一致された直管状の吐出部と、
    前記吸水部と前記吐出部の間に介設された円錐筒状のもので、第3軸芯が前記吸水部の第1軸芯に対して鋭角に位置するとともに前記吐出部の第2軸芯に対して鈍角に位置し、前記吸水部と前記吐出部との間に位置するように弁座が突設され、その内部に前記第3軸芯に対して直交方向に位置する弁口が形成された弁箱本体と、
    を備え、弁体が前記弁箱本体内に前記第3軸芯に沿って移動可能に配設され、前記弁座に前記弁体が着座されることにより前記弁口を通した前記吸水部と前記吐出部との連通が遮断され、前記弁座から前記弁体が離反されることにより前記吸水部と前記吐出部とが前記弁口を通して連通される真空弁の弁箱において、
    前記弁箱本体の第3軸芯に沿って見て、前記弁箱本体の前記吸水部が連続する部分に、前記吸水部の側へ膨出する膨出部を設けたことを特徴とする真空弁の弁箱。
  2. 前記膨出部は、前記弁箱本体の第3軸芯に対する外壁部の傾斜角度を小さくすることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の真空弁の弁箱。
  3. 前記弁箱の弁座に、前記吸水部の側から吐出部の側に向けて窪む曲面状凹部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空弁の弁箱。
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