JP2013023505A - 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型インクジェットインク及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化反応性、出射安定性、画像光沢を維持すると共に、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタを用いても、白スジ故障耐性に優れた画像が得られる活性光線硬化型インクジェットインクを提供する。
【解決手段】2種以上の光反応性モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該光反応性モノマーとして、少なくとも1種のアクセプターモノマーと、少なくとも1種のドナーモノマーを含有し、更に、該光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、複数の光反応性モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
従来、紫外線や電子線などの活性エネルギー線により硬化する活性光線硬化型組成物は、プラスチック、紙、木工及び無機材料等の塗料、接着剤、印刷インキ、印刷回路基板及び電気絶縁関係等の種々の用途に実用化されている。
また、これらの活性光線硬化型組成物を使用したインクジェット用インクシステムとしては、紫外線で硬化する紫外線硬化型インクジェットインクがあるが、この紫外線硬化型インクジェットインクを用いたインクジェット記録方式は、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録ができる点で近年注目されつつある。近年、バーコード等のラベル印刷を少量可変で行いたいというニーズが高まっているが、紫外線硬化型インクジェットインクはラベルに多用される非吸収性記録媒体に対しても、紫外線照射により硬化させる定着方式であるため使用可能であること、またラベルを曲面に貼ってもプリント物の密着性が良好で剥がれにくい特徴を備えており、ラベル印刷用途に適している。
このようなインクジェット方式を用いたラベル印刷では、その処理速度が経済性に影響するため従来のようにプリントヘッドが移動しながら印刷する、いわゆるスキャン方式ではなく、幅方向に並んだ固定式のインクジェットヘッドの下を記録媒体が直角方向に移動しながら印刷する、いわゆるラインヘッド方式が用いられる。
しかしながら、このラインヘッド方式を用いたインクジェット記録方法においては、スキャン方式に比べ、隣接するインクドット同士が移動して重なり、記録媒体の搬送方向に平行な濃淡のスジが発生する課題がある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献2には、水系のインクジェットインクにおいて、隣接ドット同士の重なりよる画像品質の改善として、10msでのインクの動的表面張力を25〜50mN/mの範囲に規定する記載が認められる。しかしながら、表面張力を上記で規定する範囲とするための具体的な手段としては、比較的多量の有機溶媒を使用しており、この方法を活性光線硬化型インクジェットインクに適用した場合には、インクに占める反応に寄与しない成分、例えば、有機溶媒の比率が高まることにより、他の性能に悪影響を及ぼしてしまう課題があった。
特開2005−279968号公報 特開2005−200566号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、活性光線による硬化反応性、出射安定性、画像光沢を維持すると共に、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタを用いても、白スジ故障耐性に優れた画像が得られる活性光線硬化型インクジェットインクと、それを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
1.2種以上の光反応性モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、
該光反応性モノマーとして、少なくとも1種のアクセプターモノマーと、少なくとも1種のドナーモノマーを含有し、更に、該光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
2.前記親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーの含有量が、インク全質量の5.0質量%以上、20質量%以下であることを特徴とする前記1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
3.前記アクセプターモノマーが下記一般式(M)で表されるマレイミド化合物であり、前記ドナーモノマーがビニルエーテル化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
Figure 2013023505
〔式中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R、Rは環を形成してもよい。Y、Y、Zは、それぞれアルキレン基、アルキレンオキシ基、フェニレン基、エステル基、エーテル基及びチオエーテル基から選ばれる基が組み合わされた2価の有機連結基を表し、Yは不斉炭素を有する2価の基を表す。nは1〜6の整数、n1は0または1、n2は0または1を表す。〕
4.前記親疎水偏在型モノマーが、ビニルエーテル化合物であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
5.HLB値が9.0以上、12以下の界面活性剤を含有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
6.10msでの動的表面張力が25mN/m以上、45mN/m以下であることを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
7.前記1から6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを、インクジェットノズルより記録媒体上に吐出し、次いで、活性エネルギー線を照射して該活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを硬化させて画像記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
8.前記記録媒体上に活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを吐出して画像記録する方式が、ラインヘッド方式であることを特徴とする前記7に記載のインクジェット記録方法。
本発明により、親疎水偏在型モノマーを少量添加することで動的表面張力を大きく低下させることができ、その結果、活性光線による硬化反応性、出射安定性、画像光沢を維持すると共に、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタを用いても、白スジ故障耐性に優れた画像が得られる活性光線硬化型インクジェットインクと、それを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明に適用可能なインクジェットプリンタの要部の構成の一例を示す正面図である。 本発明で好適に用いることのできるラインヘッド方式のインクジェットプリンタの要部の構成の一例を示す上面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、2種以上の光反応性モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該光反応性モノマーとして、少なくとも1種のアクセプターモノマーと、少なくとも1種のドナーモノマーを含有し、更に、該光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにより、活性光線による硬化反応性、出射安定性、画像光沢を維持すると共に、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタを用いても、白スジ故障耐性に優れた画像が得られる活性光線硬化型インクジェットインクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、前述のように、ラベル用途等の印刷分野では、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク(以降、硬化型インク、あるいは単にインクともいう)を用いたラインヘッド方式のインクジェットプリントが採用されているが、このラインヘッド方式のインクジェットプリンタでは、記録媒体に対するインクの濡れ性が乏しい場合には、記録媒体に着弾したインク液滴の隣接ドット同士が重なって記録媒体の搬送方向に平行なスジ故障が発生する問題が生じていた。
従来の方法では、例えば、水系のインクジェットインクにおいて、隣接する異なる色のドット同士の重なりよる画像劣化(色にじみ)に対しては、10msでの動的表面張力を25〜50mN/mに設定する方法が採用されており、この場合の動的表面張力を低下させる手段としては、主には有機溶媒を多量に添加することにより対応が取られていた。しかしながら、硬化型インクにおいては、インク全質量に占める有機溶媒等の比率が過度に高くなると、光反応性モノマーに対する反応に寄与しない成分の比率が高くなり、得られる画像の硬化度(例えば、耐擦過性等)や均一性等の性能に悪影響を及ぼしてしまう問題があった。
本発明では、光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを含有し、同時に少なくとも1種のアクセプターモノマーと、少なくとも1種のドナーモノマーを含有せしめることにより、インクの10msでの動的表面張力を25〜50mN/mの範囲に制御することができ、光反応性モノマーの硬化性等の性能を維持しつつ、スジ故障を顕著に抑制することができたものである。
本発明においては、光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを特定量含有することを特徴とするが、この時、本発明に係る親疎水偏在型モノマーが本発明に係るアクセプターモノマーと同種であっても、あるいは本発明に係る親疎水偏在型モノマーが本発明に係るドナーモノマーと同種であってもよい。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクについて、その詳細を説明する。
《光反応性モノマー》
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクでは、2種以上の光反応性モノマーを含有し、この光反応性モノマーが、
1)光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマー
2)アクセプターモノマー
3)ドナーモノマー
であることを特徴とする。この時、親疎水偏在型モノマーがアクセプターモノマーを兼ねても、あるいは親疎水偏在型モノマーがドナーモノマーを兼ねてもよい。
〔親疎水偏在型モノマー〕
本発明の活性エネルギー線硬化型インクにおいては、光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを含有することを特徴とし、好ましくはインク全質量に対し5.0質量%以上、20質量%以下含有することである。
本発明でいう親疎水偏在型モノマーとは、上記の様に親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在しているモノマーであり、更に詳しくは、親水性のオキシ基やヒドロキシ基を有さない炭素数が6以上の直鎖アルキル部位を末端に有し、少なくとも1つのビニル基やアクリル基等の反応性基を有するモノマーをいう。インクへの溶解性の観点から、好ましくは炭素数が8以上、12以下の直鎖アルキル部位を末端に有しているモノマーが好ましく、末端アルキル部に枝分かれのアルキル基を有するモノマーは表面張力低下能が高くさらに好ましい。
本発明でいう親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在しているとは、下記一般式(P)のようにジョイント部(L)を介して親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが両末端に位置していることをいう。(L)はアルキル基、オキシアルキル基等どのような基でもよく、(L)を介さずに親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが両末端に位置している形態も含む。
一般式(P)
(親水性基ブロック)−(L)−(疎水性基ブロック)
本発明において、親疎水偏在型モノマーとしては、親水性のオキシ基やヒドロキシ基を有さないC6以上の直鎖アルキル部位を末端に有し、少なくとも1つのビニル基やアクリル基等の反応性基を有するモノマーを言う。インクジェットインクへの溶解性から好ましくはC8以上〜12以下の直鎖アルキル部位を末端に有しているモノマーが良く、末端アルキル部に枝分かれのアルキル基を有するモノマーは表面張力低下能が高くさらに好ましく用いられる。
本発明でいう親水性基を有するブロックを構成する親水性基とは、例えば、オキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホニウム基、ビニルエーテル基、アクリル基、マレイミド基等を挙げることができ、更にはこれらの基が分岐した構成も含む。
また、本発明でいう疎水性基を有するブロックを構成する疎水性基とは、例えば、炭素数が6以上のアルキル基、とりわけ分岐アルキル基や、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アルキル基で置換されたシリル基、パーフルオロアルキル基、ビニル基等を好ましく挙げることができる。
本発明に係る親疎水偏在型モノマーとしては、特に制限はないが、例えば、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルへキリルビニルエーテル等を挙げることができるが、その中でも、特に、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルへキリルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物が好ましい。
また、本発明に係る親疎水偏在型モノマーは、市販品としても入手することができ、例えば、BASFジャパン社製のDDVE(ドデシルビニルエーテル)、日本カーバイド工業社製のEHVE(2−エチルヘキシルビニルエーテル)等を挙げることができる。
本発明に係る親疎水偏在型モノマーは、従来公知の合成方法に従って得ることができる。
本発明の硬化型インクにおいては、本発明に係る親疎水偏在型モノマーを、インク全質量(100質量%)に対し、5.0質量%以上、20質量%以下含有することが好ましい。本発明に係る親疎水偏在型モノマーの含有量が5.0質量%以上であれば、所望の動的表面張力の低下能を発現させることができ、20質量%以下であれば、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの硬化性やその他の特性に対する影響を排除することができる。
〔光反応性モノマー:アクセプター型モノマー、ドナー型モノマー〕
不飽和結合を構成する炭素原子の電荷が電子過多なドナー型モノマーと不飽和結合を構成する炭素原子の電荷が電子不足のアクセプター型モノマーとの組み合わせで行う電荷移動錯体の重合系(CT(チャージトランスファー)重合系(Sonny Jonsson,et.al,Polymer Materials Sci.&Enginer.1995,72,470−472))が知られている。
(不飽和結合の炭素原子の電荷)
ここで上記の不飽和結合を構成する炭素原子の電荷とは、分子軌道法理論に基づいて計算によって得られる基底状態における原子上の電荷(atomic charge)であり、本発明では、重合性モノマーの基底状態における不飽和結合の炭素原子上の電荷を、コンピュータを用いて計算によって求めた。本発明では、分子軌道計算ソフトに、SPARTAN‘08 for Windows(登録商標)を使用し、計算手法として、Equilibrium Geometry at Ground state with Hartree−Fock 3−21G in Vacuumにて行い、電荷の値として、Natural atomic chargeを用いた。
本発明に係る不飽和結合を構成する炭素とは、電子密度の低いモノマーの場合には、電子吸引性基が結合した不飽和結合上の二つの炭素のうち電荷の値の大きい方の炭素を示し、電子密度が高いモノマーの場合には、電子供与性基が結合した不飽和結合上の二つの炭素のうち電荷の値の小さい方の炭素を示すものとする。尚、重合性モノマー一分子中に当該の不飽和結合が複数存在する場合には、各不飽和結合の炭素の電荷の平均値を使用する。
本発明の硬化型インクにおいては、少なくとも2種の重合性モノマーが有する不飽和結合炭素の電荷の差の最大値が、0.24以上、0.46以下であることが好ましい。電荷の差の最大値が、0.24以上であれば、CT重合が起こりやすくなる。又、電荷の差の最大値が、0.46以下であれば、電荷移動錯体が過度に安定化することなく、十分な重合速度を得ることができる。
(アクセプター型モノマー)
本発明におけるアクセプター型モノマーとは、本発明に係る不飽和結合を構成する炭素原子の電荷の値が大きい方の重合性モノマーであり、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが含有する電子密度が高いドナー型モノマーが有する不飽和結合を構成する炭素原子の電荷と比較して、相対的に電荷の値が大きい炭素原子を有するモノマーである。本発明におけるアクセプター型モノマーが含有する不飽和結合を構成する炭素原子の電荷としては、−0.30以上、好ましくは−0.28以上である。
本発明の硬化型インクにおいては、少なくとも2種の不飽和結合を有する重合性モノマーのうち、最大値の不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を有する重合性モノマーが、下記一般式(1)または一般式(2)で表される不飽和結合を有していることが好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(1)または一般式(2)において、EWG及びEWGは、各々電子吸引性基を表し、EWGまたはEWGの一部が結合して環状構造を有していてもよい。電子吸引性基は、シアノ基、ハロゲン基、ピリジル基、ピリミジル基、ニトロ基、下記一般式(a)で表される基、または下記一般式(b)で表される基を表す。またEWGとEWGは互いに結合して以下に示す電子吸引性連結基を形成して環状構造を形成しても良い。連結基としては、−CO−O−CO−、−CO−N(R)−CO−、−S(O)−O−CO−、−S(O)−N(R)−CO−、−S(O)−O−S(O)−、または−S(O)−N(R)−S(O)−を挙げる事ができる。EWGとEWGは直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、環状アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、アリーレン基またはアリールアルキレン基等の連結基を介して環状構造を形成しても良く、さらに置換基を有していても良い。また、EWGまたはEWGの一部が連結基を介し、2つ以上の不飽和結合部分を有する多官能重合性化合物を形成してもよい。Rは置換基を表す。
Figure 2013023505
上記一般式(a)、(b)において、Qは、OH、OR′、NR′R″またはR′を表す。R′及びR″は、各々水素原子、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、ヒドロキシ基を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表す。nは、1または2を表す。
一般式(1)または一般式(2)で表される不飽和結合の具体例としては、例えば、ビニレンジカルボン酸構造、ビニレンイミド基、ビニレンジカルボン酸構造、ビニレンジカルボン酸エステル基、ビニレンモノカルボン酸アミドモノカルボン酸構造、ビニレンモノカルボン酸アミドモノカルボン酸エステル基、ビニレンジカルボン酸アミド基、ビニレン骨格両端にニトリル基が置換したビニレンニトリル基、ビニレン骨格両端にハロゲン基が置換したハロゲン化ビニル基、ビニレン骨格両端にカルボニルが置換したビニレンジケトン基、ビニレンジチオカルボン酸構造、ビニレンチオイミド基、ビニレンジチオカルボン酸構造、ビニレンジチオカルボン酸エステル基、ビニレンモノチオカルボン酸アミドモノチオカルボン酸構造、ビニレンモノチオカルボン酸アミドモノチオカルボン酸エステル基、ビニレンジチオカルボン酸アミド基、ビニレン骨格両端にピリジル基が置換した基、ビニレン骨格両端にピリミジル基が置換した基などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中で好ましい不飽和結合は、ビニレンジカルボン酸構造、マレイミド基、シトラコンイミド基などのビニレンイミド基、マレイン酸構造、フマル酸構造などのビニレンジカルボン酸構造、マレイン酸エステル基、フマル酸エステル基などのビニレンジカルボン酸エステル基等が挙げられる。
また、本発明においては、一般式(1)または一般式(2)で表される不飽和結合が、下記一般式(A−1)〜一般式(A−14)から選ばれる少なくとも1種の不飽和結合または重合性モノマーであることが好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(A−1)〜一般式(A−14)において、R、Rは、各々独立に水素原子、直鎖アルキレン基、又は、分岐アルキレン基、環状アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、アリール基またはアリールアルキレン基を表し、さらに置換基を有しても良く、2つ以上の不飽和結合を有する多官能重合性化合物を形成するための連結基とすることができる。Xはハロゲン原子を表す。
本発明に係る一般式(1)または一般式(2)で表される不飽和結合においては、一般式(A−1)〜一般式(A−14)で表される不飽和結合部分のうち、更には、一般式(A−1)、一般式(A−2)、一般式(A−3)または一般式(A−6)で表される不飽和結合部分であることが好ましい。
以下に、一般式(A−1)〜一般式(A−14)で表される不飽和結合部分を有する重合性モノマーの一例を示すが、本発明ではここに例示する重合性モノマーに限定されるものではない。なお、以下に例示する重合性モノマーが有する不飽和結合の炭素原子の電荷は、いずれも−0.30以上の値を示す。
本発明において、一般式(A−2)〜(A−8)、(A−14)で表される不飽和結合を有する単官能の重合性モノマー、あるいは一般式(A−1)、(A−9)〜(A−13)で表される重合性モノマーとしては、以下の例が挙げられる。ビニレンジカルボン酸無水物を有する化合物の例として、無水マレイン酸、ビニレンイミドを有する化合物の例として、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−2−エチルヘキシルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−オクタデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(p−カルボメトキシフェニル)マレイミド、4,4′−ジマレイミドビスフェノールF、N−ブチルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、2,3−ジメチル−1−N−(2−メタクリルオキシエチルマレイミド、ビニレンジカルボン酸の例として、マレイン酸、フマル酸、ビニレンジカルボン酸エステルの例として、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−tert−ブチル、マレイン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジ(2−エチルヘキシル)、等が挙げられるが、いずれもこれら具体例には限定されない。
また、好ましい不飽和結合を有する多官能の重合性モノマーを得るには、従来公知の様々な連結基骨格を用いて得ることができる。例えば、米国特許第6,034,150号明細書、特開平11−124403号公報に記載されているような多官能のマレイミド誘導体が挙げられる。
以下に、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクに好ましく用いることのできるマレイミド誘導体について詳細に説明する。
本発明に係るマレイミド化合物は、硬化型インクとして要求される溶解性、低粘度、吐出安定性の観点から、分子中にキラル構造を有するマレイミド化合物が好ましい。
本発明において、キラル基を有するマレイミド化合物は、分子中にキラル炭素原子を最低一つ以上有していれば特に限定されないが、この好ましいマレイミド化合物としては、下記一般式(M)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(M)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R、Rは環を形成してもよい。Y、Y、Zは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、フェニレン基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基から選ばれる基が組み合わされた2価の有機連結基を表し、Yは不斉炭素を有する2価の基を表す。nは1〜6の整数、n1は0または1、n2は0または1を表す。
、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。またR及びRが結合して、シクロプロピレン環、シクロブチレン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等を形成してもよい。
、Yで表される2価の有機連結基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等)、アルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシ基、ポリエチレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ポリブチレンオキシ基)、アルキレンオキシカルボニル基(例えば、エチレンオキシカルボニル基、ヘキシレンオキシカルボニル基等)、アルキレンエステル基(例えば、メチレンエステル基、ヘキシレンエステル基、フェニレン基)、フェニル基(例えば、メチルフェニレン基、オキシカルボニルフェニレンカルボニルオキシ基、カルボニルオキシフェニレンオキシカルボニル基が挙げられる。
は不斉炭素(キラル炭素)を有する2価の基を表す。
具体的には、下記式が挙げられる。
Figure 2013023505
式中、Xは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルキルオキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基またはヒドロキシ基を表す。好ましくは、炭素数1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基が挙げられる。
Zはn価の連結基を表す。n=1の場合は水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、ヘキシル基)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルエステル基等、n=2の場合は、前記Y、Yで表される2価の有機連結基と同義であり、n=3の場合は、グリセリン基、トリメチロールアルキル基、トリアジン基等、n=4の場合は、ペンタエリスリトール基等、n=6の場合は、ビストリメチロールアルキル基等を表す。
インクジェットヘッドからの出射のためには、キラル基を有するマレイミド化合物の分子量は200〜1000、好ましくは200〜800が好ましい。200より小さいと結晶化しやすく、出射時に目詰まりが起こりやすくなる。また、分子量は1000より大きいと、粘度が高くなり、出射が難しくなる。
さらに好ましくは、以下の構造式で表されるマレイミド化合物が挙げられる。
Figure 2013023505
ここでn11、n12は0〜6の整数、n13は1〜30の整数が好ましい。R、Rは、Zは、一般式(M)におけるR、R、Zと同義である。Xは、上記Yで表される不斉炭素(キラル炭素)を有する2価の基の例として挙げた式のXと同義である。特に好ましくは、R、Rは水素原子、Xは炭素数1〜4のアルキル基、n12は0、Zは炭素数1〜18のアルキレン、ポリオキシアルキレンである。
以下に、一般式(M)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2013023505
Figure 2013023505
Figure 2013023505
Figure 2013023505
Figure 2013023505
これらのマレイミド化合物の合成法は公知であり、例えば、特開平11−124403号公報、あるいはMacromolecular Chemical and physics,2009,210,269−278記載の方法を用いて、容易に合成することができる。
本発明の硬化型インクにおいて適用可能なより好ましいマレイミド誘導体としては、低粘度、溶解性、吐出安定性の観点から、下記一般式(I)で表されるマレイミド誘導体が挙げられる。
Figure 2013023505
上記一般式(I)において、R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R11、R12はそれぞれ結合して環を形成してもよい。A11、A13は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、A12は不斉中心を有する3価の炭化水素基を表す。Yは、カルボニルオキシ(−C=O−O−)またはオキシカルボニル(−O−C=O−)を表す。pは1または2を表す。R13はpが1の場合は分子量15〜600のアルキル基、アルキレンオキシ基、pが2の場合は、分子量14〜600のアルキレン基、アルキレンオキシ基を表す。mは0または1、nは0または1を表す。
一般式(I)において、R11及びR12で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。またR11及びR12が結合して、シクロプロペン環、シクロブチレン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等を形成しても良い。
11、A13で表される2価の有機連結基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基エチレンオキシ基、ポリエチレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ポリブチレンオキシ基、エチレンオキシカルボニル基、ヘキシレンオキシカルボニル基、メチレンエステル基、ヘキシレンエステル基、フェニレン基、メチルフェニレン基、オキシカルボニルフェニレンカルボニルオキシ基、カルボニルオキシフェニレンオキシカルボニル基が挙げられる。
12は不斉炭素(キラル炭素)を有する3価の基を表す。
更には、前記一般式(I)においては、A11、およびA13がメチレン基、A12が−CHR14−、R13が炭素数2〜12のアルキル基、又はアルキレン基であることが好ましい。この時、R14は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルキルオキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基またはヒドロキシ基を表す。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等)が挙げられる。
pが1の場合のR13で表される分子量15〜600のアルキレン基としては、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキレン基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル、基、ネオペンチル基、ドデシレル基、2,2,4−オクチル基等を挙げることができる。
pが2以上のR13で表される分子量14〜600のアルキレン基としては、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキレン基を表し、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン、基、ネポペンチレン基、ドデシレン基、2,2,4−オクチレン基等を挙げることができる。
pが1の場合のR13で表されるアルキレンオキシ基としては、ヒドロキシまたはアルコキシポリエチレンオキシ基、ヒドロキシまたはアルコキシポリプロレンオキシ基、ヒドロキシまたはアルコキシポリブチレンオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
好ましいR13は、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキレン基、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数4〜12の直鎖あるいは分岐のアルキレン基、炭素数4〜12の直鎖あるいは分岐のアルキル基である。
さらに好ましいマレイミド誘導体として、下記一般式(II)〜(IV)で表されるマレイミド誘導体を挙げることができる。
Figure 2013023505
上記一般式(II)〜(IV)において、R14は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルキルオキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基またはヒドロキシ基を表す。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等)が挙げられる。pは、1または2を表す。R15は直鎖の炭素数4〜12のアルキル基、又はアルキレン基を表す。
以下に本発明の一般式(I)で表されるマレイミド誘導体の具体例を示す。
Figure 2013023505
Figure 2013023505
Figure 2013023505
Figure 2013023505
上記説明した本発明に係る電子密度の低いモノマーとしては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、マレイミド化合物が、高感度化の観点から好ましい。
〔ドナー型モノマー〕
本発明のインクにおいては、反応性ポリマーの1種として、ドナー型モノマーを含有することを特徴の1つとする。
本発明に係るドナー型モノマーとは、不飽和結合を構成する炭素原子の電荷の値が小さい重合性モノマーであり、電子密度の低いモノマーが含有する不飽和結合を構成する炭素原子の電荷に対し、相対的に電荷の値が小さい炭素原子を有する重合性モノマーである。
本発明に係る電子密度の高いモノマーが含有する不飽和結合を構成する炭素原子の電荷値としては、−0.45以下であることが好ましく、より好ましくは−0.50以下である。
不飽和結合を有する2種以上の重合性モノマーにおいて、最小値の不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を有する重合性モノマーが、下記一般式(3)で表される不飽和結合を有することが好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(3)において、R、Rは、各々独立に水素原子、直鎖アルキレン基、又は、分岐アルキレン基、環状アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、アリール基またはアリールアルキレン基を表し、さらに置換基を有していても良く、2つ以上の不飽和結合を有する多官能重合性モノマーを形成するための連結基とすることができる。Xはハロゲン原子を表す。
本発明に係る一般式(3)で表される不飽和結合を有する重合性モノマーにおいては、1つの不飽和結合を有する単官能重合性モノマー、あるいはYが連結基構造部分を有し、2つ以上の不飽和結合を有する多官能重合性モノマーを形成してもよい。
本発明に係る一般式(3)で表される不飽和結合の具体例としては、例えば、ビニルエーテル基、プロペニルエーテル基等のアルケニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、プロペニルチオエーテル基等のアルケニルチオエーテル基、ビニルスルホキシド基、プロペニルスルホキシド基等のアルケニルスルホキシド基、カルボン酸エステルの酸素原子にビニル基が結合したビニルエステル基、アミノ基の窒素原子にビニル基が結合したビニルアミン基、アミド基の窒素原子にビニル基が結合したビニルアミド基、イミダゾール環の窒素原子にビニル基が結合したビニルイミダゾール基、カルバゾール環の窒素原子にビニル基が結合したビニルカルバゾール基、ビニレン骨格と酸素原子を環内に含む環状5員環構造、環状6員環構造等が挙げられる。
本発明に係る一般式(3)で表される不飽和結合においては、下記一般式(D−1)〜一般式(D−9)から選ばれる少なくとも1種の不飽和結合または重合性モノマーであることが好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(D−1)〜一般式(D−9)において、RからRは、各々独立に水素原子、直鎖アルキレン基、又は、分岐アルキレン基、環状アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、アリール基またはアリールアルキレン基を表し、さらに置換基を有していても良く、2つ以上の不飽和結合を有する多官能重合性モノマーを形成するための連結基とすることができる。Zは、−O−、−N(R)−または−S−を示す。Rは、水素原子、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、環状アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、アリール基、またはアリールアルキレン基を表し、さらに置換基を有していても良い。
次いで、一般式(D−1)〜一般式(D−9)で表される本発明に係る不飽和結合を有する重合性モノマーの一例を示すが、本発明ではここに例示する重合性モノマーに限定されるものではない。なお、以下に例示する重合性モノマーの不飽和結合を構成する炭素原子が有する電荷値は、いずれも−0.40以下である。
例えば、ビニルエーテル化合物としては、以下に示すものがある。
〈2官能ビニルエーテル化合物〉
2官能ビニルエーテル化合物としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE)、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテルなどを挙げることができる。
この他にも特許第4037856号公報に開示されている少なくとも酸素原子を含む脂環骨格を持つビニルエーテル化合物、特開2005−015396号公報に開示されている脂環式骨格を有するビニルエーテル、特開2008−137974号公報に開示されている1−インダニルビニルエーテル、特開2008−150341号公報に開示されている4−アセトキシシクロヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
また、上記に挙げたジビニルエーテルのビニルエーテル基をプロペニルエーテル基、イソプロペニルエーテル基、ブテニルエーテル基、イソブテニルエーテル基に置換するなど、ビニルエーテル基のα位またはβに置換基を導入することもできる。
これらの2官能ビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジエチレングリコールジビニルエーテルおよびトリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、が硬化性、種々の素材との相溶性、臭気、安全性の点で優れており好ましい。
〈3官能以上の多官能ビニルエーテル化合物〉
本発明に好適な3官能以上の多官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどが挙げられる。
3官能のビニルエーテル化合物としては、下記一般式(A)で表される化合物のような分子内にオキシアルキレン基を有する化合物が、その他の化合物との相溶性や溶解性、基材との密着性を得る上で好ましい。また、オキシアルキレン基の総数は10以下であることが好ましい。10より大きいと、硬化膜の耐水性が低下する。なお、下記一般式(A)ではオキシエチレン基を例示しているが、炭素数の異なるオキシアルキレン基とすることも可能である。オキシアルキレン基の炭素数としては1〜4とすることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(A)において、R11は水素または有機基を表す。R11で表される有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリール基、フリル基またはチエニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基または3−ブテニル基等の炭素数1〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基またはフェノキシエチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基またはペンチルカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基またはブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基、エトキシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基またはブチルペンチルカルバモイル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルバモイル基等の基が挙げられるがこれらに限定されない。この中でも有機基としては、ヘテロ原子を含まない炭化水素基が硬化性の観点で好ましい。また、p,q,rは0または1以上の整数であり、p+q+rは3〜10の整数である。
また、ビニルエーテル基を4つ以上有する多官能ビニルエーテル化合物としては、下記一般式(B)、(C)に表される化合物を挙げることができる。
Figure 2013023505
上記一般式(B)において、R12は、メチレン基、炭素数1〜6のアルキレン基、オキシアルキレン基、エステル基の何れかを含む連結基であり、p、q、l、mはそれぞれ0または1以上の整数であり、p+q+l+mの総数は3〜10の整数である。
Figure 2013023505
上記一般式(C)において、R13は、メチレン基、炭素数1〜6個のアルキレン基、オキシアルキレン基、エステル基の何れかを含む連結基を表し、p1、q1、r1、l1、m1、s1はそれぞれ0または1以上の整数であり、p1+q1+r1+l1+m1+s1の総数は3〜10の整数である。
上記一般式(B)、(C)においてはオキシエチレン基を例示しているが、炭素数の異なるオキシアルキレン基とすることも可能である。オキシアルキレン基の炭素数としては1〜4であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
本発明において、3官能以上の多官能ビニルエーテルとしては4官能以上であることが、硬化膜の耐溶媒性や耐候性など優れた硬化特性を得る上で更に好ましい。
また、上述の3官能以上の多官能ビニルエーテルは、ビニルエーテル基として下記一般式(D)で表される官能基とすることも、硬化感度の向上、臭気の低減を図る上で好ましい。
Figure 2013023505
上記一般式(D)において、RとRはそれぞれ水素原子または有機基を表し、RとRの有機基の炭素原子数の総和が1以上の整数である。
〔単官能ビニルエーテル化合物〕
単官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
上記以外にも、これまでに開示されている種々のビニルエーテル化合物を適用することが可能である。例えば、特許第3461501号公報に開示されている分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を含む化合物、特許第4037856号公報に開示されている少なくとも酸素原子を含む脂環骨格を持つビニルエーテル化合物、特開2005−015396号公報に開示されている脂環式骨格を有するビニルエーテル、特開2008−137974号公報に開示されている1−インダニルビニルエーテル、特開2008−150341号公報に開示されている4−アセトキシシクロヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
多官能(二官能以上)ビニルエーテルは、脂環式、芳香環、といった環式骨格を有しており、且つ、疎水性の高いモノマーが、硬化膜の黄変が少ない観点で好ましい。
環式骨格の中でも、脂環式は、UV吸収を持つ芳香環に比べ感度が優れ、且つ、酸素原子などのヘテロ原子を環内に含む複素環タイプの脂式環式に比べ、高感度が得られることから、特に好ましい。又、臭気の観点からも脂環式は好ましい。
環状骨格としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ジシクロヘキサン環、ジシクロペンタジエン環、ノルボルネン環、イソボルネン環、アダマンタン環、などの同素環式の脂環式環状基、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、ピレン環、などの同素環式の芳香族環状基、エポキシ環、オキセタン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、ピリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ジオキサン環、キヌクリジン環、テトラヒドロフラン環、アジリジン環、ジチアン環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリドン環、キノロン環、インドール環、ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環などの複素環式の環状基、などが挙げられる。
芳香環骨格を有するモノマーとしては、例えば、ハイドロキノンジビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、などが挙げられる。又、それらの芳香環に直鎖状や分岐状のアルキル基、アルコキシル基が置換していても良い。
複素環骨格を有するモノマーとしては、オキセタンメタノールジビニルエーテル、オキサペンタンジオールジビニルエーテル、オキサシクロヘキサンジオールジビニルエーテル、オキサノルボルナンジオールジビニルエーテル、オキサノルボルナンジメタノールジビニルエーテル、オキサトリシクロデカンジオールジビニルエーテル、オキサアダマンタンジオールジビニルエーテル、ジオキソランメンタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。又、特許第4037856号に挙げられるような、オキセタン環、ヒドロフラン環を橋かけ骨格としたモノマーも挙げられる。
脂環式骨格を有するモノマーとしては、シクロペンタンジオールジビニルエーテル、シクロペンタンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンジオールジビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、アダマンタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソボルニルジビニルエーテル、などが挙げられる。
この中でも、前述の通り、硬化感度、硬化膜黄変、臭気の点から、ヘテロ原子を含まない脂環式骨格のシクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソボルニルジビニルエーテル、さらに好ましくは、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルが好ましい。
その他のアルケニルエーテル基を有する重合性モノマーとして、例えば、1)Crevello,Journal of Polymer Science: Part A:Polymer Chemistry, Vol.31,1473−1482(1993)、2)Crevello,Journal of Polymer Science: Part A:Polymer Chemistry, Vol.33,1381 −1389 (1995)、3)Oskar Nuyken,et,al,Macromol.Chem.Phys.199,191−196(1998)等の各文献に記載の化合物が挙げられる。
ビニルチオエーテル、ビニルスルホキシドを含有する重合性モノマーとして、ビニルメチルスルホキシド、ビニル−tert−ブチルスルフィド、ビニルメチルスルフィド、ビニルエチルスルフィド等が挙げられる。
ビニレン骨格と酸素原子を環内に含む環状5員環、環状6員環化合物を有する重合性モノマーとして、イミダゾール、ピロール、フラン、ジヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン等が挙げられる。
窒素原子上にビニル基が置換した構造を有するN−ビニル化合物の具体例としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−エチルウレア、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルエチルカルバメートおよびそれらの誘導体が挙げられ、これらの化合物の中でも特にN−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミドが好ましい。N−ビニルホルムアミドは、例えば、荒川化学工業株式会社から入手することができる。
(マレイミド化合物とビニルエーテル化合物の組成比)
本発明のインクにおいて、アクセプター型モノマーであるマレイミド化合物と、ドナー型モノマーであるビニルエーテル化合物との組成比は、電荷移動錯体を経由するために、理論的にはマレイミド基とビニルエーテル基との数が等しい、すなわちマレイミド化合物のマレイミド基とビニルエーテル化合物のビニルエーテル基との当量比が50/50の場合に最も硬化しやすくなると考えられる。しかしながら、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物もそれぞれ重合できるので、当量比で20/80〜70/30の範囲で用いることができる。マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物が当量比で20/80〜70/30の範囲を超えると、光硬化感度が著しく低下するとともに、マレイミドが70当量%を超えると、粘度が著しく高くなり、インクジェットの本来の目的である出射性に悪影響を及ぼす。出射性、光硬化感度を最適にするには、さらに25/75〜60/40の範囲で用いることが好ましい。
〔その他の重合性官能基を有する化合物〕
本発明のインクにおいては、上記説明した各光反応性モノマーの他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、他のカチオン重合性化合物、例えば、エポキシ化合物、オキセタン環含有化合物等を用いることができる。
〈エポキシ化合物〉
エポキシ化合物としては、通常、エポキシ樹脂として用いられるモノマー、オリゴマー又はポリマーの何れも使用可能である。具体的には、従来公知の芳香族エポキシド、脂環族エポキシド及び脂肪族エポキシドが挙げられる。尚、以下、エポキシドとは、モノマー又はそのオリゴマーを意味する。これらの化合物は1種又は必要に応じて2種以上用いてもよい。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられ、具体例としては、例えば、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2080、セロキサイド2000、エポリードGT301、エポリードGT302、エポリードGT401、エポリードGT403、EHPE−3150、EHPEL3150CE;ユニオンカーバイド社製のUVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6100、UVR−6216、UVR−6000等を挙げることができる。
脂肪族エポキシドとしては、例えば、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
更に、これらの化合物の他に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル及びフェノール、クレゾールのモノグリシジルエーテル等も用いることができる。これらのエポキシドの内、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドを用いることができ、その中でも脂環式エポキシドが好ましい。
これらエポキシ化合物は、本発明に係るビニルエーテル化合物を含むインク中に、0〜20質量%の範囲で配合することができ、硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性の点で好ましい。
〈オキセタン化合物〉
オキセタン化合物は、分子内に1以上のオキセタン(トリメチレンオキシド)環を有する化合物である。具体的には3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成社製:OXT101等)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(同OXT121等)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(同OXT211等)、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテル(同OXT221等)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(同OXT212等)、ジ(1−メチル−3−オキセタニル)メチルエーテル等を好ましく用いることができ、特に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテルが好ましい。
また、本発明のインクにおいては、上記説明した各光反応性モノマーの他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、さらに分子内に1個の重合性官能基を有する、N−ビニル化合物、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、マレイミド化合物を加えることができる。
N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
また、他に添加してもよいモノマーとしては、マレイン酸、マレイン酸エステル類、フマル酸、フマル酸エステル類、(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えばイソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、デシルアクリレート)、イソミルスチルアクリレート)、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能モノマー、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等の二官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三以上の多官能モノマーが挙げられる。
《光開始剤》
本発明のインクにおいては、光反応性モノマーと共に光開始剤を用いることができる。本発明に適用可能な光開始剤としては、一般の知られているラジカルを発生する光開始剤は、全て使用することができるが、好ましくは下記が挙げられる。
1)ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、及びそれらの塩
2)チオキサントン類(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)
3)アセトフェノン類
4)ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類
5)2,4,6−トリハロメチルトリアジン類
6)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体等のイミダゾール類
7)ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類
8)ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
9)4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、及びこれらのエチレンオキシド付加物。
また、インクに加える形態は必要に応じて溶解物、または分散物として加えることができる。
また、カチオン重合性モノマーと共に、光重合開始剤としてカチオン重合開始剤を含有することができる。
カチオン重合開始剤としては、具体的には光酸発生剤等を挙げることができ、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物としては、
1)第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩、
2)第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物、
3)第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、
4)第4に、鉄アレン錯体、
を挙げることができる。
《光増感剤》
本発明のインクには、吸収波長を長波にする目的で、増感剤を用いることができる。光増感剤の例としては、チオキサントン類(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)、アントラキノン類(エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等)、アクリジン類(9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等)、スチリルケトン類、クマリン類、ローダミン類、シアニン類、メロシアニン類等を挙げることができる。また、特開2010−018728公報等に記載されているジヒドロベンゾチアイン−4−オン増感剤も用いてもよい。光増感剤を加える場合の光増感剤の添加量は、光開始剤の添加量の0.1質量倍から2質量倍の範囲が好ましい。
また、表面硬化性を高める目的で、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、トリエタノールアミン等を加えてもよい。
《色材》
本発明のインクジェットインクを着色する場合は、染料、顔料いずれも用いることができるが、光硬化の特性上、光劣化しにくい顔料を色材として用いることが好ましい。
用いられる顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料または有色有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエロー等のイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)No.で以下に例示する。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、
C.I.ピグメントグリーン7、36、
C.I.ピグメントブラウン23、25、26
上記顔料の中でも、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
有機顔料は、レーザー散乱による測定値でインクジェットインク中の平均粒径が15〜250nmの微細粒子であることが好ましい。顔料の平均粒径が15nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、250nmを超える場合は、粗大粒子が多く含まれるようになるために、インクジェットヘッドの目詰まりの原因になり、吐出安定性の低下や、サテライトと言われる微小のミストが発生する問題が起こる。ただし、酸化チタンの場合は白色度と隠蔽性を持たせるために平均粒径は150〜300nm、好ましくは180〜250nmとする。
またインクジェットインク中の顔料の最大粒径は、1μmを越えないよう、十分に分散あるいは、ろ過により粗大粒子を除くことが好ましい。粗大粒子が存在すると、吐出安定性が低下する。有機顔料の微細化は公知の分散方法を用いて行うことができる。
また顔料はその表面に顔料分散剤との吸着を促進するために、酸性処理または塩基性処理、シナージスト、各種カップリング剤等、公知の技術により表面処理を行うことが分散安定性を確保するために好ましい。
顔料は、十分な濃度及び十分な耐光性を得るため、インクジェットインク中に白色を除く色の場合1.5〜8質量%、酸化チタンを用いた白色インクの場合、10〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
《顔料分散剤》
顔料分散剤としては、ヒドロキシ基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
具体例としては、BYK Chemie社製の「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(ヒドロキシ基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」、が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製の「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製の「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300((メタ)アクリル系共重合物)」;楠本化成社製の「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
さらには、花王社製の「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製の「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000、7000」;日光ケミカル社製の「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ製のアジスパー821、822、824、ソルスパース24000GR (ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、顔料100に対し5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。5質量%より少ないと分散安定性が得られないし、70質量%より多いと吐出安定性が劣化する。
さらに、これらの顔料分散剤は、0℃における重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性があることが好ましい。溶解性が5質量%未満であると、インクジェットインクを低温保存したときに、好ましくないポリマーゲルまたは顔料の軟凝集体が発生し、インクジェットインクの保存安定性と吐出安定性とが劣化する。
《重合禁止剤》
本発明のインクにおいては、保存安定性を得るために、ラジカル重合禁止剤を添加することができる。
ラジカル重合禁止剤としては、メトキノン(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、ハイドロキノン、4−メトキシ−1−ナフトール、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、各種糖類、リン酸系酸化防止剤、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体、ニトロシルラジカル類、ジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物等が挙げられる。特に、ニトロシルラジカル類が好ましい。
ラジカル重合禁止剤の添加量は10〜5000ppmであることが好ましい。10ppm未満では保存安定性が得られず、インクの増粘やインクジェットノズルに対する撥液性が得られなくなる等吐出安定性を損なう。5000ppmより多いと光硬化感度が低下してしまう。
《その他の添加剤》
本発明のインクジェットインクには、必要に応じて界面活性剤、滑剤、充填剤、防錆剤、消泡剤、増粘剤、ゲル化剤、ポリマー類等各種の添加剤を含有させることができる。
また、必要に応じてエステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤等少量の溶剤を添加することもできる。
〔界面活性剤〕
本発明のインクにおいては、HLB値が9.0以上、12以下の界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明でいうHLB値とは、Hydrophile−Lipophile−Balance、親水性−親油性−バランスのことであり、化合物の親水性又は親油性の大きさを示す値である。HLB値が小さいほど親油性が高く、値が大きいほど親水性が高くなる。
本発明に係るHLB値は、以下の計算式によって求めることができる。
HLB=7+11.7Log(Mw/Mo)
式中、Mwは親水基の分子量、Moは親油基の分子量を表し、Mw+Mo=M(化合物の分子量)である。
或いは、グリフィン法によれば、HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量(J.Soc.Cosmetic Chem.,5(1954),294)として求めることもできる。
以下に、HLB値が9.0以上、12以下の界面活性剤の一例を示すが、本発明では例示する界面活性剤にのみ限定されるものではない。( )内はHLB値を示す。
花王株式会社製:エマルゲン104P(9.6)、エマルゲン105(9.7)、エマルゲン106(10.5)、エマルゲン210P(10.7)、エマルゲン306P(9.4)、エマルゲン404(8.8)、エマルゲン408(10.0)、エマルゲン409PV(12.0)、エマルゲン705(10.5)、レオドールTW−S106V(9.6)、レオドールTW−S320V(10.5)、レオドールTW−O106V(10.0)、レオドールTW−O320V(11.0)、レオドール430V(10.5)、レオドール440V(11.8)、レオドールMS−165V(11.0)、エマノーン4110(11.6)、エマノーンCH−25(10.7)、アミート105(9.8)、アミート105A(10.8)、
日信化学工業株式会社製:サーフィノールCT111(8〜11)、サーフィノールCT121(11〜15)、サーフィノールTG(9)、オルフィンSTG(9〜10)、オルフィンE1004(7〜9)、
信越化学工業株式会社製:KF−351(12)、KF−353(10)、KF−355A(12)、KF−615A(10)、KF−618(11)、KF−6011(12)、
等を挙げることができる。
《インク物性》
〔動的表面張力〕
本発明のインクでは、最大泡圧法による測定温度30℃、ライフタイム10msでの動的表面張力が25mN/m以上、45mN/m以下であることが好ましい。
本発明でいう動的表面張力とは、吐出による液滴形成時のノズルメニスカスの振動周波数および液滴の形成時間に相当する10〜10Hzにおける過渡的な表面張力で、周波数に対して単調に増減するので、本発明においては、比較的簡便な最大泡圧法で測定限界に近い気泡周波数100Hz(10ms)付近での動的表面張力を求める。
本発明に係る動的表面張力の測定方法としては、公知の方法により測定することができ、例えば、メニスカス法、滴下法、γ/A曲線法、振動ジェット法、最大泡圧法、カーテンコーター法(ジャーナル・オブ・フルーイッド・メカニズム J.Fluid Mech.(1981),vol.112.p443〜458)等が挙げられるが、本発明では最大泡圧法を用いて測定した動的表面張力値、具体的には30℃において、例えば、クルス社製のBP2バブルプレッシャー動的表面張力計、協和界面科学社製のDynamic Surface Tension Meter BP−D4タイプ等を使用し、連続的に泡を発生させ、10ms時の値を使用した。
本発明のインクを、本発明で規定する動的表面張力値に制御する方法としては、本発明にかかる親疎水偏在型モノマーの添加量をインク全質量の5.0質量%以上、20質量%以下とすること、界面活性剤の種類と添加量を適宜調整することにより達成することができる。
〔粘度〕
本発明のインクの出射性は粘度に大きく依存しており、ノズルが詰まることなく良好に出射するためには、粘度は30℃において5〜100mPa・sであることが好ましい。粘度は回転粘度計を用いて測定できる。
《記録媒体》
本発明のインクジェット記録に用いる記録媒体としては、特に制限はないが、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂に適用することで本発明の目的効果をいかんなく発揮させることができる点で好ましい。
各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども使用できる。
本発明のインクジェット記録方法で用いる記録媒体の一つであるポリ塩化ビニルの具体例としては、SOL−371G、SOL−373M、SOL−4701(以上、ビッグテクノス株式会社製)、光沢塩ビ(株式会社システムグラフィ社製)、KSM−VS、KSM−VST、KSM−VT(以上、株式会社きもと製)、J−CAL−HGX、J−CAL−YHG、J−CAL−WWWG(以上、株式会社共ショウ大阪製)、BUS MARK V400 F vinyl、LITEcal V−600F vinyl(以上、Flexcon社製)、FR2(Hanwha社製)LLBAU13713、LLSP20133(以上、桜井株式会社製)、P−370B、P−400M(以上、カンボウプラス株式会社製)、S02P、S12P、S13P、S14P、S22P、S24P、S34P、S27P(以上、Grafityp社製)、P−223RW、P−224RW、P−249ZW、P−284ZC(以上、リンテック株式会社製)、LKG−19、LPA−70、LPE−248、LPM−45、LTG−11、LTG−21(以上、株式会社新星社製)、MPI3023(株式会社トーヨーコーポレーション社製)、ナポレオングロス 光沢塩ビ(株式会社二樹エレクトロニクス社製)、JV−610、Y−114(以上、アイケーシー株式会社製)、NIJ−CAPVC、NIJ−SPVCGT(以上、ニチエ株式会社製)、3101/H12/P4、3104/H12/P4、3104/H12/P4S、9800/H12/P4、3100/H12/R2、3101/H12/R2、3104/H12/R2、1445/H14/P3、1438/One Way Vision(以上、Inetrcoat社製)、JT5129PM、JT5728P、JT5822P、JT5829P、JT5829R、JT5829PM、JT5829RM、JT5929PM(以上、Mactac社製)、MPI1005、MPI1900、MPI2000、MPI2001、MPI2002、MPI3000、MPI3021、MPI3500、MPI3501(以上、Avery社製)、AM−101G、AM−501G(以上、銀一株式会社製)、FR2(ハンファ・ジャパン株式会社製)、AY−15P、AY−60P、AY−80P、DBSP137GGH、DBSP137GGL(以上、株式会社インサイト社製)、SJT−V200F、SJT−V400F−1(以上、平岡織染株式会社製)、SPS−98、SPSM−98、SPSH−98、SVGL−137、SVGS−137、MD3−200、MD3−301M、MD5−100、MD5−101M、MD5−105(以上、Metamark社製)、640M、641G、641M、3105M、3105SG、3162G、3164G、3164M、3164XG、3164XM、3165G、3165SG、3165M、3169M、3451SG、3551G、3551M、3631、3641M、3651G、3651M、3651SG、3951G、3641M(以上、Orafol社製)、SVTL−HQ130(株式会社ラミーコーポレーション製)、SP300 GWF、SPCLEARAD vinyl(以上、Catalina社製)、RM−SJR(菱洋商事株式会社製)、Hi Lucky、New Lucky PVC(以上、LG社製)、SIY−110、SIY−310、SIY−320(以上、積水化学工業株式会社製)、PRINT MI Frontlit、PRINT XL Light weight banner(以上、Endutex社製)、RIJET 100、RIJET 145、RIJET165(以上、Ritrama社製)、NM−SG、NM−SM(日栄化工株式会社製)、LTO3GS(株式会社ルキオ社製)、イージープリント80、パフォーマンスプリント80(以上、ジェットグラフ株式会社製)、DSE 550、DSB 550、DSE 800G、DSE 802/137、V250WG、V300WG、V350WG(以上、Hexis社製)、Digital White 6005PE、6010PE(以上、Multifix社製)等が挙げられる。
また、可塑剤を含有しない樹脂基材又は非吸収性の無機基材を構成要素とする記録媒体としては、下記の各種基材を構成要素として、1種類の基材単独で、又は複数の種類の基材を組み合わせて、使用をすることができる。本発明に用いられる可塑剤を含有しない樹脂基材としては、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、可塑剤を含有しない硬質ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は可塑剤を含有していないことが特徴であるが、その他の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性について特に制限はない。
本発明に用いられる記録媒体として好ましくは、ABS樹脂、PET樹脂、PC樹脂、POM樹脂、PA樹脂、PI樹脂、可塑剤を含有しない硬質PVC樹脂、アクリル樹脂、PE樹脂、PP樹脂である。さらに好ましくはABS樹脂、PET樹脂、PC樹脂、PA樹脂、可塑剤を含有しない硬質PVC樹脂、アクリル樹脂である。
また、本発明に用いられる非吸収性の無機基材としては、例えば、ガラス板、鉄やアルミニウムなどの金属板、セラミック板等が挙げられる。これらの無機基材は表面にインク吸収性の層を有していないことが特徴である。これらの非吸収性の無機基材はその他の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性について特に制限はない。
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェットインクを吐出して画像形成を行う際に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
本発明のインクジェット記録方法は、上記本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクをインクジェットノズルより記録媒体上に吐出して、次いで紫外線などの活性エネルギー線を照射してインクを硬化させる記録方法である。
(インク着弾後の活性エネルギー線照射条件)
本発明のインクジェット記録方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
本発明のインクジェット記録方法は、硬化型インクを記録媒体に付着させた後に、光照射を行う。光照射は可視光照射、紫外線照射であってもよく、特に紫外線照射が好ましい。紫外線照射を行う場合、紫外線照射量は100mJ/cm以上、好ましくは500mJ/cm以上であり、また10,000mJ/cm以下、好ましくは5,000mJ/cm以下の範囲で行う。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができ、また紫外線照射によって着色剤が退色してしまうことも防止できるので有利である。紫外線照射はメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えば、Fusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
メタルハライドランプは高圧水銀ランプ(主波長は365nm)に比べてスペクトルが連続しており、200〜450nmの範囲で発光効率が高く、且つ長波長域が豊富である。従って、色材として顔料を使用している本発明の活性光線硬化型インクジェットインクでは、メタルハライドランプが適している。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録媒体の収縮を抑えることが可能となる。
従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、光源の総消費電力が1kW・hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどへの印字では、記録媒体の収縮があまりにも大きく、実質上使用出来ないのが現状であった。
本発明では、254nmの波長領域に最高照度をもつ活性光線を用いることが好ましく、総消費電力が1kW・hr以上の光源を用いても、高精細な画像を形成出来、且つ記録媒体の収縮も実用上許容レベル内に収められる。
本発明においては、更に活性光線を照射する光源の総消費電力が1kW・hr未満であることが好ましい。総消費電力が1kW・hr未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、熱陰極管、LEDなどがあるが、これらに限定されない。
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上にインクが着弾し、活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが、記録媒体のカール、皺、記録媒体の質感変化、などの面から好ましい。
尚、ここでいう「総インク膜厚」とは、記録媒体に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
(インクの加熱および吐出条件)
本発明のインクジェット記録方法においては、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを加熱した状態で、活性エネルギー線を照射することが、吐出安定性の面から、好ましい。
加熱する温度としては、35〜100℃が好ましく、35〜80℃に保った状態で、活性エネルギー線を照射すること、吐出安定性の点でさらに好ましい。
インクジェットインクを所定の温度に加熱、保温する方法として特に制限はないが、例えば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系や、フィルター付き配管、ピエゾヘッド等を断熱して、パネルヒーター、リボンヒーター、保温水等により所定の温度に加熱する方法がある。
インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃が好ましく、さらに設定温度±2℃が好ましく、特に設定温度±1℃が、吐出安定性の面から好ましい。
各ノズルより吐出する液滴量としては、記録速度、画質の面から2〜20plであることが好ましい。
次いで、本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説明する。
以下、記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。
図1は記録装置の要部の構成を示す正面図である。
記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。
この記録装置1は、記録媒体Pの下にプラテン部5が設置されている。
プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録媒体Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。
その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録媒体Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行う。
ヘッドキャリッジ2は記録媒体Pの上側に設置され、記録媒体P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。
ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
尚、図1ではヘッドキャリッジ2がホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行っているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性エネルギー線硬化型インクジェットインク(例えばUV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から記録媒体Pに向けて吐出する。
記録ヘッド3は記録媒体Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に記録媒体Pの他端まで移動するという走査の間に、記録媒体Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対してUVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行い、1領域の着弾可能領域に向けて活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの吐出を行った後、搬送手段で記録媒体Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行いながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行う。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段および搬送手段と連動して記録ヘッド3か活性エネルギー線硬化型インクジェットインクらを吐出することにより、記録媒体P上に活性エネルギー線硬化型インクジェットインク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段4は、例えば特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプおよび特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。
ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザ、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
特に波長254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管および殺菌灯が滲み防止、ドット径制御を効率よく行うことができ好ましい。
ブラックライトを照射手段4の放射線源に用いることで、UVインクを硬化するための照射手段4を安価に作製することができる。
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、記録媒体Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と記録媒体Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と記録媒体Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。
又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にするとさらに好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプまたはフィルターを交換することで適宜変更することができる。
本発明のインクジェット記録方法においては、ラインヘッド方式のインクジェット記録ヘッド配置を有するインクジェット記録装置を用いて画像記録することが好ましい。
図2に、ラインヘッド方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す。
図2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色のインクジェット記録ヘッド3を、記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側、すなわち、記録媒体Pが搬送される方向のヘッドキャリッジ2の後部には、同じく記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。
照明手段4に用いられる紫外線ランプは、図1に記載したのと同様のものを用いることができる。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2および照射手段4は固定され、記録媒体Pのみが、搬送されて、インク出射および硬化を行って画像形成を行う。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《マレイミド化合物の合成》
〔マレイミド誘導体1−1の合成〕
攪拌機、減圧装置およびトラップを備えた300mlナス型フラスコに、文献「有機合成化学協会誌第23巻第2号(1965)」に記載の方法で合成したN−β−オキシイソプロピルマレイミド5.0g、セバシン酸3.03g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.7g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.05gおよびトルエン20mlを順次仕込み、減圧下、生成する水とトルエンを共沸留去しながら、反応温度80℃の条件で12時間攪拌し反応終了とした。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル300mlに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、濃縮してマレイミド誘導体1−1を3.3g得た。
上記合成したマレイミド誘導体1−1を、H−NMR(JEOL JNM−AL400 日本電子製、400MHz、CDCl)を用いて分析した結果、下記の構造であることを確認した。
〔マレイミド誘導体1−2の合成〕
攪拌機、減圧装置およびトラップを備えた300mlナス型フラスコに、特許第3599160号公報に記載の方法で合成した2−マレイミド−2−メチル酢酸33.8g、1,10−デカンジオール16.7g、p−トルエンスルホン酸一水和物4.47g、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.35gおよびトルエン20mlを順次仕込み、減圧下、生成する水とトルエンを共沸留去しながら、反応温度80℃の条件で5時間攪拌し反応終了とした。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル300mlに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、濃縮してマレイミド誘導体1−2を22.3g得た。
上記合成したマレイミド誘導体1−2を、H−NMR(JEOL JNM−AL400 日本電子製、400MHz、CDCl)を用いて分析した結果、下記の構造であることを確認した。
Figure 2013023505
《インクの調製》
〔インク1の調製:本発明〕
(顔料分散液1の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 40.9g
アクセプターモノマー(マレイン酸エステル):マレイン酸ジエチル(略称:DEM 大八化学工業社製) 37.3g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 10.7g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
上記顔料分散液1の各材料を混合し、粒径0.5mmのジルコニアビーズとともにペイントシェーカーで6時間分散、混合して、顔料分散液1を調製した。
(インクの調製)
上記調製した顔料分散液1に、下記添加剤を添加してインク1を調製した。
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASFジャパン製)
5.0g
Quantacure ITX(チオキサントン系光増感剤 Aceto Chemical製) 3.0g
〔インク2の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液2を用いた以外は同様にして、インク2を調製した。
(顔料分散液2の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 35.6g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 43.1g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 10.2g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク3の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液3を用いた以外は同様にして、インク3を調製した。
(顔料分散液3の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 40.5g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 43.2g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 5.1g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク4の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液4を用いた以外は同様にして、インク4を調製した。
(顔料分散液4の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 27.0g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 42.9g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 18.9g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク5の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液5を用いた以外は同様にして、インク5を調製した。
(顔料分散液5の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 40.3g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 38.4g
親疎水偏在型モノマー:イソステアリルアクリレート(略称:ISTA、S−1800A 新中村化学工業社製 当量比で10%添加) 10.3g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク6の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液6を用いた以外は同様にして、インク6を調製した。
(顔料分散液6の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 37.5g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 41.7g
親疎水偏在型モノマー:2エチルヘキシルビニルエーテル(略称:EHVE 日本カーバイド工業(株)製) 9.7g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク7の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液7を用いた以外は同様にして、インク7を調製した。
(顔料分散液7の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 34.5g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−2 44.4g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 9.9g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク8の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液8を用いた以外は同様にして、インク8を調製した。
(顔料分散液8の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 35.4g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 42.9g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 10.1g
界面活性剤:FZ−2104(シリコン系界面活性剤 東レダウコーニング社製 HLB:9) 0.5g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク9の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液9を用いた以外は同様にして、インク9を調製した。
(顔料分散液9の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 35.4g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 42.9g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 10.1g
界面活性剤:FZ−2105(シリコン系界面活性剤 東レダウコーニング社製 HLB値:11) 0.5g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク10の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液10を用いた以外は同様にして、インク10を調製した。
(顔料分散液10の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 44.7g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 34.1g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルマレイミド(略称:DDMI 大和化成工業(株)製) 10.1g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク11の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液11を用いた以外は同様にして、インク11を調製した。
(顔料分散液11の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 38.2g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 34.0g
親疎水偏在型モノマー1:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 6.7g
親疎水偏在型モノマー2:ドデシルマレイミド(略称:DDMI 大和化成工業(株)製)) 10.0g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク12の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液12を用いた以外は同様にして、インク12を調製した。
(顔料分散液12の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 41.0g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 43.0g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン
製) 4.4g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク13の調製:本発明〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液13を用いた以外は同様にして、インク13を調製した。
(顔料分散液13の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 24.3g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 42.6g
親疎水偏在型モノマー:ドデシルビニルエーテル(略称:DDVE BASFジャパン製) 21.5g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク14の調製:比較例〕
(顔料分散液14の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 81.8g
ビニルエーテル化合物2:ブタンジオールジビニルエーテル(略称:BDVE BASFジャパン社製) 10.2g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
カチオン重合禁止剤(略称:2MAE 2−メチルアミノエタノール) 0.02g
上記顔料分散液の各材料を混合し、粒径0.5mmのジルコニアビーズとともにペイントシェーカーで6時間分散、混合して、顔料分散液14を調製した。
(インクの調製)
上記調製した顔料分散液14に、下記添加剤を添加、混合して、インク14を調製した。
光カチオン重合開始剤((4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート) 4.0g
増感剤(略称:DEA ジエトキシアントラセン) 1.0g
〔インク15の調製:比較例〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液15を用いた以外は同様にして、インク15を調製した。
(顔料分散液15の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 39.9g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 38.1g
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(略称:HDDA 非親疎水偏在型モノマー ダイセル・サイテック社製) 10.4g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク16の調製:比較例〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液16を用いた以外は同様にして、インク16を調製した。
(顔料分散液16の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 33.2g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 45.2g
ブタンジオールジビニルエーテル(略称:BDVE 非親疎水偏在型モノマー BASFジャパン社製) 10.0g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク17の調製:比較例〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液17を用いた以外は同様にして、インク17を調製した。
(顔料分散液17の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 34.6g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 43.6g
ジプロピレングリコールジビニルエーテル(略称:DPGGDVE 非親疎水偏在型モノマー 日本カーバイド工業社製) 10.2g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
〔インク18の調製:比較例〕
上記インク1の調製において、顔料分散液1に代えて、下記顔料分散液18を用いた以外は同様にして、インク18を調製した。
(顔料分散液18の調製)
ドナーモノマー(ビニルエーテル化合物):トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称:TEGDVE 日本カーバイド工業社製) 35.6g
アクセプターモノマー(マレイミド化合物):マレイミド誘導体1−1 43.1g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.2g
顔料:カーボンブラック 2.0g
高分子分散剤:スルスパース24000GR(ルーブリゾール社製) 1.0g
2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル 0.1g
上記調製した各インクの反応性モノマー構成を表1に示す。なお、表1に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
DEM:マレイン酸ジエチル
MID1−1:マレイミド誘導体1−1
MID1−2:マレイミド誘導体1−2
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
DDVE:ドデシルビニルエーテル
ISTA:イソステアリルアクリレート
EHVE:2エチルヘキシルビニルエーテル
DDMI:ドデシルマレイミド
BDVE:ブタンジオールジビニルエーテル
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
DPGDVE:ジプロピレングリコールジビニルエーテル
《インクの評価》
上記調製したインク1〜18について、以下の方法に従って、特性値の測定及び性能評価を行った。
〔動的表面張力の測定〕
各インクについて、クルス社製のBP2バブルプレッシャー動的表面張力計を用い、液温30℃にて連続的に泡を発生させ、10ms時の表面張力値を測定し、これを動的表面張力(mN/m)とした。
(動的表面表力値の低下率の測定)
上記測定した各インクの動的表面張力値のベースインク(親疎水偏在型モノマーを含有しないインク)に対する動的表面張力低下率(%)を算出した。
1)メインモノマーとしてマレイン酸ジエチル/TEGDVEのみで構成されているインクの動的表面張力値は、58.2(mN/m)である。(インク1のベースインク)
2)メインモノマーとしてマレイミド誘導体1−1/TEGDVEのみで構成されているインクの動的表面張力値は、56.3(mN/m)である。(インク2〜6、8、9、11〜16のベースインク)
3)メインモノマーとしてマレイミド誘導体1−2/TEGDVEのみで構成されているインクの動的表面張力値は、56.4(mN/m)である。(インク7のベースインク)
〔白スジ故障耐性の評価〕
上記調製した各インクを、図2に記載の構成からなるラインヘッド方式のコニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512Lを搭載した紫外線硬化型プリンターに装填し、画像解像度720×720dpi(なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す)で、記録媒体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(表1にはPETと記載)及びポリプロピレンフィルム(表1にはPPと記載)上に、それぞれ黒ベタ画像を印字した後、高圧水銀灯の出力を150mJ/cmの光量になるように調整し、UV照射した。UV照射されたベタ画像における白スジ故障の発生の有無を目視観察し、下記の基準に従って白スジ故障耐性を評価した。
◎:白スジ故障及び画像ムラの発生は全く認められない
○:白スジ故障の発生はないが、極弱い画像ムラの発生が認められる
△:白スジ故障及び画像ムラが一部で発生している
×:強い白スジ故障と画像ムラがベタ画像全面に発生している
〔出射安定性の評価〕
各インクを上記コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512Lを搭載した紫外線硬化型プリンターに投入し、下記条件で連続出射を行った。
ヘッド温度を75℃以下でインク粘度10mPa・sになる温度、または75℃でも10mPa・sより大きい場合はヘッド温度を75℃に設定した、42plの液滴サイズを8kHzの周波数で1L相当の各インクを60分間連続吐出し、60分後における欠ノズルの発生比率を測定し、下記基準に従って、出射安定性を評価した。
◎:欠ノズルの発生は全く認められなかった(発生率0%)
○:欠ノズルの発生数が1個以上で、かつ全ノズル数の3%未満である
△:欠ノズルの発生数が、全ノズル数の3%以上、10%未満である
×:欠ノズルの発生数が、全ノズル数の10%以上である
〔光硬化感度の評価〕
上記調製した各インクを、図2に記載の構成からなるラインヘッド方式のコニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512Lを搭載した紫外線硬化型プリンターに装填し、画像解像度720×720dpiで、記録媒体としてポリエチレンテレフタレートフィルム上に黒ベタ画像を印字した後、高圧水銀灯の出力を10mJ/cm、30mJ/cm、100mJ/cmの光量になるように調整し、UV照射した。UV照射されたベタ画像表面を触診して画像膜の硬化状態を調べ、下記の基準に従って光硬化感度を評価した。
◎:光量が10mJ/cmで硬化していた
○:光量10mJ/cmでは硬化しなかったが、光量30mJ/cmでは硬化している
△:光量30mJ/cmで硬化しなかったが、光量100mJ/cmでは硬化している
×:光量100mJ/cmでも硬化していない
〔画像光沢の評価〕
白スジ故障耐性の評価で作成した黒ベタ画像表面を目視観察し、光沢感を有する画像であれば「○」、光沢感に乏しい画像であれば「×」と判定した。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2013023505
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する反応性ポリマーで構成された本発明のインクは、出射安定性に優れ、形成した画像の白スジ故障耐性、光硬化感度及び画像光沢に優れていることが分かる。
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
4 照射手段
P 記録材料

Claims (8)

  1. 2種以上の光反応性モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、
    該光反応性モノマーとして、少なくとも1種のアクセプターモノマーと、少なくとも1種のドナーモノマーを含有し、更に、該光反応性モノマーとして少なくとも1種の親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  2. 前記親水性基を有するブロックと疎水性基を有するブロックが偏在している親疎水偏在型モノマーの含有量が、インク全質量の5.0質量%以上、20質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  3. 前記アクセプターモノマーが下記一般式(M)で表されるマレイミド化合物であり、前記ドナーモノマーがビニルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
    Figure 2013023505
    〔式中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R、Rは環を形成してもよい。Y、Y、Zは、それぞれアルキレン基、アルキレンオキシ基、フェニレン基、エステル基、エーテル基及びチオエーテル基から選ばれる基が組み合わされた2価の有機連結基を表し、Yは不斉炭素を有する2価の基を表す。nは1〜6の整数、n1は0または1、n2は0または1を表す。〕
  4. 前記親疎水偏在型モノマーが、ビニルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  5. HLB値が9.0以上、12以下の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  6. 10msでの動的表面張力が25mN/m以上、45mN/m以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを、インクジェットノズルより記録媒体上に吐出し、次いで、活性エネルギー線を照射して該活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを硬化させて画像記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 前記記録媒体上に活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを吐出して画像記録する方式が、ラインヘッド方式であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
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