JP2013020721A - 導電粒子 - Google Patents

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光晴 松沢
Kenji Takai
健次 高井
Kunihiko Akai
邦彦 赤井
Masashi Tamura
政司 田村
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Abstract

【課題】耐食性に優れ、かつ異方導電接着剤の接続信頼性及び絶縁信頼性に寄与する導電粒子を提供すること。
【解決手段】本発明の導電粒子10は、コア粒子12と、コア粒子12を被覆し、Niを含むNiめっき層14と、Niめっき層14の少なくとも一部を被覆し、Au及びPdのうち少なくともいずれかを含む貴金属めっき層16と、Niめっき層14及び貴金属めっき層16のうち少なくともいずれかを被覆し、有機化合物を含む防錆膜18と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電粒子に関する。
液晶表示用ガラスパネルに液晶駆動用ICを実装する方式は、COG(Chip−on−Glass)実装とCOF(Chip−on−Flex)の2種類に大別することが出来る。COG実装では、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いて液晶用ICを直接ガラスパネル上に接合する。一方COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに液晶駆動用ICを接合し、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いてそれらをガラスパネルに接合する。ここでいう異方性とは、加圧方向には導通し、非加圧方向では絶縁性を保つことを意味する。
異方導電接着剤に用いられる一般的な導電粒子は、コア粒子と、コア粒子を被覆するNi又はNi合金等のNiめっき層と、Niめっき層を被覆する貴金属めっき層とを備える。貴金属めっき層は、電気特性及び耐蝕性に優れたAu、Pd並びにPd−Ni及びPd−CrのようなPd合金等から構成される。貴金属めっき層は、置換めっき法、還元めっき法及び置換還元めっき法のいずれかの方法を用いてNiめっき層上に形成される。
特開平8−260193号公報
ところが、前述した貴金属めっき層を施した導電粒子を用いた異方導電性接着剤の吸湿耐熱試験後の電気特性(接続信頼性及び絶縁信頼性)が試験前の初期値よりも劣化する事例が多数発生していることが判った。
接続信頼性及び絶縁信頼性が劣化する原因としては、異方導電性接着剤の吸湿作用や異方導電性接着剤中の不純物イオンによって導電粒子表面が腐食し、回路電極間の接続抵抗が上昇したり、導電粒子表面から溶出した金属イオンによって非加圧方向の絶縁抵抗が低下したりすることが推定される。
耐食性に優れた貴金属めっき層を最外層に施しているにもかかわらず、金属イオンの溶出が発生する理由として、貴金属めっき層の巣穴又はめっき層厚さのムラに起因して、下地の卑金属層から金属イオンが溶出していることが考えられる。
貴金属めっきを行うためには、下地として卑金属層を形成する必要がある。前述したとおり、導電粒子の卑金属層として主に使用されるのはNiめっき層である。しかし、Niめっき層の表面状態や貴金めっき層の厚さ次第では、Niめっき層表面を貴金属めっき層で均一に覆うことが出来ず、めっき巣やめっきムラが生じてしまう。特にリンを高濃度で添加されているNiめっき層に貴金属めっきを施す場合、貴金属めっき層でNiめっき層を均一にめっきすることは困難である。そして、下地のNiめっき層のうち貴金属めっき層で被覆されていない部分では、Niめっき層が腐食してNiイオンが溶出してしまう可能性が推定される。また、貴金属めっきの形成は、Niめっき層表面を錯化させながら行うため、下地のNiイオンが貴金属めっき層に混合したり、貴金属めっき層表面に付着したりすることによって、Niイオンが溶出することが考えられる。
本発明者らは各種実験を行った結果、異方導電接着剤の吸湿作用や異方導電性接着剤中の不純物イオンによって、導電粒子のNiめっき層からNiイオンが溶出することが原因で、接続信頼性及び絶縁信頼性が劣化してしまう事を確認した。さらに本発明者らは、導電粒子のNiめっき層の厚さTNiと貴金属めっき層の厚さTPMの比TNi/TPMが5以上である場合、Niイオンが溶出する傾向が顕著であることを突き止めた。
一般的に、Au、Pd並びにPd−Ni及びPd−CrのようなPd合金等の貴金属は、耐食性に優れていると認知されている。そのため、銀又は銅のめっきとは異なり、上記の貴金属のめっき層を有する導電粒子の耐食性を向上させるための検討に関する報告は乏しい。
なお、上記特許文献1には、家電製品等に用いられるコネクタ等に施された金めっきのピンホールを封孔処理する方法が開示されている。この方法では、防蝕効果のあるベンゾトリアゾール系化合物を添加した電解めっき液で金めっき材を処理する。その後、アルキルりん酸エステル系化合物を金めっき材に塗布することで、金めっきを封孔処理する。
樹脂又は防錆効果のある粉体と導電粒子とのハイブリダイゼーションによって、樹脂又は粉体を導電粒子に直接付着させる手法もある。しかし、導電粒子全体に樹脂被膜を形成した場合、この導電粒子を用いた異方導電性接着剤の接続抵抗が高くなり易い。導電粒子に粉体被膜を形成した場合、導電粒子を異方導電性接着剤中に配合した際に粉体被膜が剥れる可能性がある。したがって、粉体被膜を有する導電粒子は、絶縁信頼性及び接着剤の配合材料への影響を考慮すると実用的ではない。
また、異方導電性接着剤中に直接防錆材料を配合する方法もある。しかし、この方法では、導電粒子表面に直接被膜を形成しているわけではなく、接着剤中に防錆材料を分散させているだけである。そのため、防錆材料を配合する方法に導電粒子の耐食性を向上させる効果があるか疑問がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐食性に優れ、かつ異方導電接着剤の接続信頼性及び絶縁信頼性に寄与する導電粒子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る導電粒子は、コア粒子と、コア粒子を被覆し、Niを含むNiめっき層と、Niめっき層の少なくとも一部を被覆し、Au及びPdのうち少なくともいずれかを含む貴金属めっき層と、Niめっき層及び貴金属めっき層のうち少なくともいずれかを被覆し、有機化合物を含む防錆膜と、を備える。
上記本発明の導電粒子は防錆膜を具備するため、耐食性に優れる。したがって、本発明の導電粒子を含む異方導電性接着剤では、導電粒子からの金属イオンの溶出が抑制さる。また、異方導電性接着剤中の不純物イオンが各めっき層に与える影響が防錆膜によって低減される。その結果、上記本発明の導電粒子を含有する異方導電性接着剤では、優れた接続信頼性及び絶縁信頼性が実現する。
上記本発明の導電粒子の粒径は5μm以下であればよい。
上記本発明では、Niめっき層及び貴金属めっき層のうち少なくともいずれかの表面が平滑であることが好ましい。
上記本発明では、Niめっき層及び貴金属めっき層のうち少なくともいずれかの表面の一部が突起していてもよい。
上基本発明では、有機化合物が、トリアゾール系化合物、チアゾール系化合物、りん酸系化合物及び脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの化合物は、Niめっき層及び貴金属めっき層の表面と配位結合し易い。したがって、これらの有機化合物を用いることにより、Niめっき層及び貴金属めっき層の表面全体に均一な防錆膜を形成し易くなり、本発明の効果が顕著になる。
上記本発明では、有機化合物がフェニル基又は炭素数が3以上であるアルキル基の少なくともいずれかを有することが好ましい。これらの疎水基は防錆機能に優れる。これらの疎水基を有する有機化合物から構成した防錆膜は、疎水性を有し、疎水性の接着剤との親和性が高い。疎水性の接着剤を含む異方導電性接着剤では、疎水性の防錆膜を備える導電粒子の分散性が向上するため、本発明の効果が顕著になる。
純水25gと純水中に分散した上記本発明の導電粒子0.5gとを有する分散液を100℃で10時間加熱した時、分散液中に溶出した金属イオンの量が導電粒子の全質量に対して5000質量ppm以下であることが好ましい。このように金属イオンの溶出が抑制された導電粒子を用いることにより、異方導電性接着剤の絶縁信頼性及び接続信頼性が顕著に向上する。
本発明によれば、耐食性に優れ、かつ異方導電接着剤の接続信頼性及び絶縁信頼性に寄与する導電粒子を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電粒子の概略断面図である。 図2(a)は、本発明の第一実施形態に係る導電粒子を備える異方導電性接着剤の概略断面図であり、図2(b)及び図2(c)は、異方導電性接着剤を用いた接続構造体の作製方法を説明するための概略断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(導電粒子)
図1に示すように、本実施形態の導電粒子10は、コア粒子12と、コア粒子12を被覆し、Niを含むNiめっき層14と、Niめっき層14の少なくとも一部を被覆し、Au及びPdのうち少なくともいずれかを含む貴金属めっき層16と、Niめっき層14及び貴金属めっき層16のうち少なくともいずれか被覆し、有機化合物からなる防錆膜18(保護膜)と、を備える。防錆膜18とは、例えば、Niめっき層14及び貴金属めっき層16のうち少なくともいずれかの表面に配位結合した複数の有機化合物分子からなる分子膜である。また、本実施形態における有機化合物は、いわゆる樹脂(有機高分子)ではない。
コア粒子12の表面にNiめっき層14を形成した後、Niめっき層14の表面に貴金属めっき層16を形成する。貴金属めっき層16の形成後、貴金属めっき層16の表面に下記の方法により防錆膜18を形成することにより、導電粒子10が完成する。Niめっき層14及び貴金属めっき層16はそれぞれ置換めっき法、還元めっき法及び置換還元めっき法のいずれかで形成すればよい。Niめっき層14は、Ni単体であってもよく、Ni合金であってもよい。貴金属めっき層16は、例えば、Au単体、Au合金、Pd単体、並びにPd−Ni及びPd−CrのようなPd合金であればよい。
Niめっき層14は、コア粒子12の表面全体を被覆することが好ましい。これにより、導電粒子10の導電性が顕著に向上する。貴金属めっき層16は、Niめっき層14の表面全体を被覆することが好ましい。これにより、導電粒子10の導電性及び耐食性が顕著に向上する。防錆膜18は、貴金属めっき層16の表面全体を被覆してもよい。これにより、導電粒子10の耐食性が顕著に向上する。なお、Niめっき層14の表面の一部は、貴金属めっき層16に被覆されずに、防錆膜18によって直接被覆されていてもよい。貴金属めっき層16及びNiめっき層14の表面は、平滑であってもよく、その一部が突起していてもよい。導電粒子10はその表面の一部にシリカ等の絶縁性の微粒子を備えてもよい。
導電粒子10の粒径(直径)は、異方導電性接着剤で接続される回路基板上に並ぶ基板電極の最小間隔よりも小さいことが必要である。基板電極の高さにばらつきがある場合には、導電粒子10の粒径は高さばらつきの最大値より大きいことが好ましい。これらの理由から、導電粒子10の粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。なお、コア粒子12の粒径は、Niめっき層14、貴金属めっき層16及び防錆膜18の厚さの合計値よりもはるかに大きい。よって、導電粒子10の粒径はコア粒子12の粒径に略等しい。
Niめっき層14の平均厚さは10〜300nm程度であればよい。好ましくは、Niめっき層14の平均厚さは20〜200nm程度である。貴金属めっき層16の平均厚さは10〜50nm程度であればよい。好ましくは、貴金属めっき層16の平均厚さは10〜25nm程度であればよい。防錆膜18は非常に薄く、その平均厚さのスケールは、例えばnm又はÅである。防錆膜18が薄いほど、導電粒子10の耐食性を向上させる効果が小さくなる傾向があり、防錆膜18が厚いほど、導電粒子10の導電性が小さくなる傾向がある。ただし、本発明の効果は、防錆膜18の厚さに関わらず達成される。
Niめっき層14の平均厚さTNiと貴金属めっき層16の平均厚さTPMの比TNi/TPMは5以上であることが好ましい。この場合、導電粒子10からのNiイオンの溶出が顕著に抑制される。
コア粒子12の組成は特に限定されない。コア粒子12は、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂等から構成される。ミクロンスケールのコア粒子は、懸濁重合、シード重合、沈殿重合、分散重合等の公知の方法によって合成される。コア粒子12の形状は真球状であることが好ましい。
湿性及び耐食性を有する防錆膜18を構成する有機化合物としては、トリアゾール系化合物、チアゾール系化合物、りん酸系化合物、脂肪酸、並びにメルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、イミン基及び窒素化合物の少なくともいずれかを有する化合物等が好ましい。トリアゾール系化合物としては、トリアゾール、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体が挙げられる。チアゾール系化合物としては、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾール誘導体、チアゾール、チアゾール誘導体などが挙げられる。これらの有機化合物の分子の末端に位置する官能基が、Niめっき層14又は貴金属めっき層16の表面の金属に配位結合することによって、有機化合物からなる防錆膜18が形成される。つまり、有機化合物分子末端の官能基及び有機化合物分子中央の分子構造から防錆膜が構成される。防錆膜18は、各めっき層の巣穴や厚さムラを解消して、各めっき層からの金属イオンの溶出を効果的に抑制すると共に、異方導電性接着剤中の不準物から各めっき層を保護する。
具体的なトリアゾール系化合物としては、例えば下記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。式(1)中、Rは水素、アルキル基又は置換アルキル基を表わし、Rはアルカリ金属、水素、アルキル基又は置換アルキル基を表わす。
Figure 2013020721
具体的なチアゾール系化合物としては、例えば下記一般式(2)で示されるメルカプトベンゾチアゾール系化合物が挙げられる。式(2)中、Rはアルカリ金属又は水素を表わす。
Figure 2013020721
具体的なりん酸系化合物としては、下記一般式(3)又は一般式(4)で示されるアルキルりん酸エステルが挙げられる。式(3)及び式(4)中、式中、Rはアルキル基又は置換アルキル基を表わし、Mは水素又はアルカリ金属を表わす。
Figure 2013020721
具体的な脂肪酸としては、例えば下記一般式(5)で示される脂肪酸が挙げられる。式(5)中、Rは炭素数が10〜20である飽和鎖式炭化水素又は不飽和鎖式炭化水素を表わす。
7−COOH (5)
疎水性の強い接着剤成分を含む異方導電性接着剤に導電粒子10を添加する場合、疎水基を有する有機化合物から防錆膜18を形成することが好ましい。親水性の強い接着剤成分を含む異方導電性接着剤に導電粒子10を添加する場合、親水基を有する有機化合物から防錆膜18を形成することが好ましい。このように疎水基又は親水基を有する有機化合物から防錆膜18を形成することによって、防錆膜18の表面に疎水基又は親水基が配置され、異方導電性接着剤の接着剤成分(ワニス)と導電粒子10の親和性が向上し、ワニス中での導電粒子の分散性が向上する。
親水基を有する有機化合物としては、例えば、下記一般式(6)で表される有機化合物Aが挙げられる。
A1−R−R (6)
式(6)中、RA1は、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、アルコキシル基又はアルコキシカルボニル基等の親水基である。Rは、炭素数が3以上であるアルキル基又はフェニル基である。Rは、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、イミン基又は含窒素基である。
有機化合物Aの官能基Rは貴金属めっき層16のAuやPd又はNiめっき層14のNiに配位結合し易い。したがって、有機化合物Aから形成した防錆膜18において、官能基Rは各めっき層側に位置する。各めっき層と反対側を向く防錆膜18の表面には、親水性の接着剤成分への親和性を有する親水基RA1が位置する。官能基Rと親水基RA1との間に位置するR基が防錆効果を奏する。
疎水基を有する有機化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表される有機化合物Bが挙げられる。
A2−R−R (7)
式(7)中、RA2は、炭素数が3以上であるアルキル基又はフェニル基等の疎水基である。Rは、炭素数が3以上であるアルキル基又はフェニル基である。Rは、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、イミン基又は含窒素基である。
有機化合物Bの官能基Rは貴金属めっき層16のAuやPd又はNiめっき層14のNiに配位結合し易い。したがって、有機化合物Bから形成した防錆膜18において、官能基Rは各めっき層側に位置する。各めっき層と反対側を向く防錆膜18の表面には、疎水性の接着剤成分への親和性を有する疎水基RA2が位置する。官能基Rと疎水基RA2との間に位置するR基は防錆効果を有する。
上記の有機化合物A又はBから形成した防錆膜18は、導電粒子表面に耐湿性及び耐食性を付与する効果と異方導電性接着剤との親和性を高める効果を奏し易い。
貴金属めっき層16の表面に防錆膜18を形成するために好適な有機化合物(貴金属用表面処理剤)は、Au又はPdと配位結合しやすいメルカプト基、スルフィド基及びジスルフィド基のいずれかを有する。具体的な貴金属用表面処理剤としては、メメルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、システイン、ベンゾチアゾールジチオ及びチアゾールジチオ等が挙げられる。
Niめっき層14の表面に防錆膜18を形成するために好適な有機化合物(Ni用表面処理剤)は、Niと配位結合しやすいイミン基、含窒素基、りん酸基又は亜りん酸酸基を有する。具体的なNi用表面処理剤としては、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、りん酸エステル化合物及び亜りん酸エステル化合物等が挙げられる。
貴金属めっき層16は主に無電解めっき法を用いて形成される。無電解めっき法では、錯体となるNiめっき層14を形成した上で、Niめっき層14をAu,Pd等の貴金属でめっきする。しかし、Niめっき層14の表面全体を貴金属で均一にめっきすることは容易ではない。したがって、貴金属めっき層16のムラ又は巣が発生し、下地のNiめっき層14が露出する場合がある。この場合には、上述の貴金属用表面処理剤では、露出したNiめっき層14表面上に防錆膜18を形成し難い。したがって、貴金属用表面処理剤単独では、貴金属めっき層16上に形成したものと同様の官能基をNiめっき層14上に形成し難い。この問題を解決するためには、Ni,Au,Pdのすべてに適用可能な表面処理剤を用いることが望ましい。しかし、その場合、各めっき層上に形成できる官能基の種類が限られる。そこで、貴金属めっき層16の表面処理の前後に、貴金属用表面処理剤と同一の官能基を有するNi用表面処理剤でNiめっき層14を処理すればよい。または、金属用表面処理剤と、金属用表面処理剤と同一の官能基を有するNi用表面処理剤とを混合した処理剤でNiめっき層14及び貴金属めっき層16を同時に処理してもよい。混合した処理剤は、処理時間を短縮できる点において好ましい。
防錆膜18は、上記の有機化合物のうち一種だけを含んでもよく、複数種を含んでもよい。また、防錆膜18を形成するための有機化合物としては、異方導電性接着剤の組成やNiめっき層14に対する貴金属めっき層16の被覆率に応じて上記の有機化合物の中から、適宜選択すればよい。
各めっき層の表面に防錆膜18を形成する方法は特に限定されない。例えば、各めっき層が形成されたコア粒子10を上記の有機化合物(表面処理剤)を溶媒に分散した表面処理液で処理すればよい。これにより、各めっき層の表面が均一に処理され、均一な防錆膜18が形成される。溶媒としては、水、アルコール及び有機溶媒等が挙げられる。導電粒子10への影響、表面処理剤の溶解性及び作業性を考慮するとアルコール系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒の中でも入手しやすいメタノールやエタノール等が好ましい。
貴金属めっき層16の表面だけを処理する場合、メルカプト酢酸等の貴金属用表面処理剤を10〜100mmol/l程度分散させた有機溶媒中に、貴金属めっき層16が形成されたコア粒子10を分散させればよい。
Niめっき層14の表面だけを処理する場合、ベンゾトリアゾール系化合物等のNi用表面処理剤を10〜100mmol/l程度分散させた有機溶媒中に、Niめっき層14が形成されたコア粒子10を分散させればよい。
Niめっき層14及び貴金属めっき層16を同時に処理する場合、メタノールやエタノール等の有機溶媒中にメルカプト酢酸等の貴金属用表面処理剤とベンゾトリアゾール系化合物等のNi用表面処理剤を10〜100mmol/l程度散させた有機溶媒中に、Niめっき層14及び貴金属めっき層16が形成されたコア粒子10を分散させればよい。
上記の表面処理剤によって防錆膜18を形成した後、表面処理剤を濾過し、導電粒子10を回収する。その後、余分な表面処理剤を洗い流すために、水又はアルコール系溶媒で導電粒子10をリンスすることが好ましい。リンスに用いる溶媒は、導電粒子10表面上に形成した官能基によって使い分けることが好ましい。
回収された導電粒子10を加熱乾燥して、余分な水分及び溶媒を取り除くことが好ましい。加熱乾燥の温度は60〜200℃であればよい。加熱時間は10〜180分であればよい。
25gの純水と純水中に分散した0.5gの導電粒子10とを有する分散液を100℃で10時間煮出した時、分散液中に溶出した金属イオンの量が0.5gの導電粒子10に対して5000質量ppm以下であることが好ましい。このように金属イオンの溶出が抑制された導電粒子10を用いることにより、異方導電性接着剤の絶縁信頼性及び接続信頼性が顕著に向上する。
(異方導電性接着剤)
図2(a)に示すように、本実施形態に係る異方導電性接着剤40は、接着剤3と、接着剤3に分散させた上記導電粒子10とを備える。
異方導電性接着剤に用いられる接着剤3には、熱反応性樹脂と硬化剤の混合物が用いられる。好ましい接着剤としては、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールA,F,AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂を単独で用いてもよい。2種以上のエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂における不純物イオン(Na,Cl等)や加水分解性塩素等の含有量は300ppm以下であることが好ましい。このような高純度のエポキシ樹脂を用いることにより、エレクトロマイグレーションを防止し易くなる。
潜在性硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、三フッ化ホウ素-アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられる。
この他、接着剤3として、ラジカル反応性樹脂と有機過酸化物の混合物や紫外線などのエネルギー線硬化性樹脂が用いてもよい。
接着剤3には、ブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等を混合してもよい。これにより、異方性導電フィルムの接着性が向上したり、接着後の異方性導電フィルムにおける応力が低減したりする。また、接着剤3としてはペースト状またはフィルム状のものが用いられる。接着剤3をフィルム状にするためには、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を配合することが効果的である。これらのフィルム形成用高分子は、反応性樹脂の硬化時の応力緩和にも効果がある。特に、フィルム形成用高分子が水酸基等の官能基を有することが好ましい。この場合、接着性が向上する。
フィルム状の異方導電性接着剤40の作製では、少なくとも上記のエポキシ樹脂、アクリルゴム、潜在性硬化剤からなる接着剤3を、有機溶剤に溶解させたり、あるいは分散させたりすることにより、液状化する。そして、液状化した接着剤3中に導電粒子10を分散させた後、接着剤3を剥離性基材上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去する。液状化に用いる溶剤としては、芳香族炭化水素系と含酸素系の混合有機溶剤が好ましい。この混合有機溶剤を用いることにより、接着剤3の溶解性が向上する。
異方導電性接着剤40の厚さは、導電粒子10の粒径及び異方導電性接着剤の特性を考慮して相対的に決定される。異方導電性接着剤40の厚さは1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましい。厚さが1μm未満の場合、充分な接着性が得られない。厚さが100μmより大きい場合、充分な導電性を得るために多量の導電粒子10を必要とするために現実的ではない。
異方導電性接着剤40を用いた接続構造体42の作製方法を、図2(b)及び図2(c)に示す。図2(b)に示すように、第一の基板4と第二の基板6を準備し、異方導電性接着剤40をその間に配置する。このとき、第一の基板4が備える第一の電極5と第二の基板6が備える第二の電極7が対向するようにする。その後、第一の基板4と第二の基板6を、第一の電極5と第二の電極7とが対向する方向で加圧加熱しつつ積層して、図2(c)に示す接続構造体42を得る。縦方向(加圧方向)では、第一の電極5と第二の電極7が導電粒子10を介して導通し、横方向(非加圧方向)は絶縁性が維持される。第一の基板4及び第二の基板6としては、ガラス配線基板やポリイミド等のテープ基板、ドライバーIC等のベアチップ、リジット型のパッケージ基板等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下では、防錆膜で被覆されていないNiめっき層及び貴金属めっき層を有するコア粒子を「めっき粒子」という。
(めっき粒子1)
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子の表面に、厚さ0.2μmのNi層を無電界めっきで形成した。Ni層の外表面に厚さ0.04μmのAuでめっきしてAu層を形成し、めっき粒子1を得た。
(めっき粒子2)
Au層の代わりに厚さ0.04μmのPd層を形成したこと以外はめっき粒子1と同様の方法でめっき粒子2を作製した。
(めっき粒子3)
Au層の厚さを0.01μmとしたこと以外はめっき粒子1と同様の方法でめっき粒子3を作製した。
(めっき粒子4)
Pd層の厚さを0.01μmとしたこと以外はめっき粒子2と同様の方法でめっき粒子4を作製した。
(導電粒子1)
チオフェノール16mmolをメタノール200mlに溶解させて表面処理液を作製した。10gのめっき粒子1を表面処理液に加え、室温で2時間スリーワンモーターと直径45mmの攪拌羽で攪拌した。これにより、めっき粒子1の表面を処理した。表面処理後のめっき粒子1をメタノールで洗浄後、φ0.8μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により回収した。回収しためっき粒子1を120℃で1時間加熱乾燥することにより、10gの導電粒子1を得た。導電粒子1は、チオフェノールからなる防錆膜を備えるめっき粒子1である。つまり、導電粒子1は表面にフェニル基を有する。
(導電粒子2)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子2を用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で導電粒子2を作製した。
(導電粒子3)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子3を用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で導電粒子3を作製した。
(導電粒子4)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子4を用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で導電粒子4を作製した。
(導電粒子5)
チオフェノールの代わりにベンゾトリアゾールを用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で10gの導電粒子5を作製した。導電粒子5は、ベンゾトリアゾールからなる防錆膜を備えるめっき粒子1である。つまり、導電粒子5は表面にフェニル基を有する。
(導電粒子6)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子2を用いたこと以外は、導電粒子5と同様の方法で導電粒子6を作製した。
(導電粒子7)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子3を用いたこと以外は、導電粒子5と同様の方法で導電粒子7を作製した。
(導電粒子8)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子4を用いたこと以外は、導電粒子5と同様の方法で導電粒子8を作製した。
(導電粒子9)
チオフェノールの代わりにメルカプト酢酸を用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で10gの導電粒子9を作製した。導電粒子9は、メルカプト酢酸からなる防錆膜を備えるめっき粒子1である。つまり、導電粒子9は表面にカルボキシル基を有する。
(導電粒子10)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子2を用いたこと以外は、導電粒子9と同様の方法で導電粒子10を作製した。
(導電粒子11)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子3を用いたこと以外は、導電粒子9と同様の方法で導電粒子11を作製した。
(導電粒子12)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子4を用いたこと以外は、導電粒子9と同様の方法で導電粒子12を作製した。
(導電粒子13)
チオフェノールの代わりにカルボキシルベンゾトリアゾールを用い、めっき粒子1の代わりにめっき粒子3を用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で、導電粒子13を作製した。導電粒子13は、カルボキシルベンゾトリアゾールからなる防錆膜を備えるめっき粒子3である。つまり、導電粒子13は表面にカルボキシル基を有する。
(導電粒子14)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子4を用いたこと以外は導電粒子13と同様の方法で導電粒子14を作製した。
(導電粒子15)
チオフェノール16mmolと共にベンゾトリアゾール16mmolを用いたこと以外は導電粒子1と同様の方法で10gの導電粒子15を作製した。導電粒子15は、チオフェノール及びベンゾトリアゾールからなる防錆膜を備えるめっき粒子1である。つまり、導電粒子15は表面にフェニル基を有する。
(導電粒子16)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子2を用いたこと以外は、導電粒子15と同様の方法で導電粒子16を作製した。
(導電粒子17)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子3を用いたこと以外は、導電粒子15と同様の方法で導電粒子17を作製した。
(導電粒子18)
めっき粒子1の代わりにめっき粒子4を用いたこと以外は、導電粒子15と同様の方法で導電粒子18を作製した。
(実施例1)
接着剤成分であるフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製商品名、PKHC)100g及びアクリルゴム(ブチルアクリレート40部、エチルアクリレート30部、アクリロニトリル30部、グリシジルメタクリレート3部の共重合体、分子量:85万)75gを、酢酸エチル400gに溶解し、接着剤成分の含有量が30重量%である溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(エボキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、ノバキュアHX−3941)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を作製した。
導電粒子1を分散した接着剤溶液をセパレータにロールコータで塗布し、90℃で10分乾燥し、厚さ25μm,面積2×19mmの異方導電性接着フィルムを作製した。なお、接着剤成分に対する導電粒子1の比率は9体積%に調整した。セパレータとしては、シリコーンで表面処理した厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを用いた。
実施例1の異方導電接着フィルムをAl回路付きガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm)で貼り付けた後、セパレータを剥離し、金バンプ付きチップのバンプとAl回路との位置合わせを行った。次いで、190℃、40g/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行って、実施例1の接続構造体を得た。
な金バンプの面積は30×90μmであった。金バンプのスペースは15μmであった。金バンプの高さは15μmであった。チップが備えるバンブ数は362であった。チップの面積は1.7×1.7mmであった。チップの厚みは0.5μmであった。Al回路付きガラス基板の厚みは0.7mmであった。
(実施例2)
導電粒子1の代わりに導電粒子2を用いた以外は実施例1と同様に実施例2の接続構造体を作製した。
(実施例3)
導電粒子1の代わりに導電粒子3を用いた以外は実施例1と同様に実施例3の接続構造体を作製した。
(実施例4)
導電粒子1の代わりに導電粒子4を用いた以外は実施例1と同様に実施例4の接続構造体を作製した。
(実施例5)
導電粒子1の代わりに導電粒子5を用いた以外は実施例1と同様に実施例5の接続構造体を作製した。
(実施例6)
導電粒子1の代わりに導電粒子6を用いた以外は実施例1と同様に実施例6の接続構造体を作製した。
(実施例7)
導電粒子1の代わりに導電粒子7を用いた以外は実施例1と同様に実施例7の接続構造体を作製した。
(実施例8)
導電粒子1の代わりに導電粒子8を用いた以外は実施例1と同様に実施例8の接続構造体を作製した。
(実施例9)
導電粒子1の代わりに導電粒子9を用いた以外は実施例1と同様に実施例9の接続構造体を作製した。
(実施例10)
導電粒子1の代わりに導電粒子10を用いた以外は実施例1と同様に実施例10の接続構造体を作製した。
(実施例11)
導電粒子1の代わりに導電粒子11を用いた以外は実施例1と同様に実施例11の接続構造体を作製した。
(実施例12)
導電粒子1の代わりに導電粒子12を用いた以外は実施例1と同様に実施例12の接続構造体を作製した。
(実施例13)
導電粒子1の代わりに導電粒子13を用いた以外は実施例1と同様に実施例13の接続構造体を作製した。
(実施例14)
導電粒子1の代わりに導電粒子14を用いた以外は実施例1と同様に実施例14の接続構造体を作製した。
(実施例15)
導電粒子1の代わりに導電粒子15を用いた以外は実施例1と同様に実施例15の接続構造体を作製した。
(実施例16)
導電粒子1の代わりに導電粒子16を用いた以外は実施例1と同様に実施例16の接続構造体を作製した。
(実施例17)
導電粒子1の代わりに導電粒子17を用いた以外は実施例1と同様に実施例17の接続構造体を作製した。
(実施例18)
導電粒子1の代わりに導電粒子18を用いた以外は実施例1と同様に実施例18の接続構造体を作製した。
(比較例1)
導電粒子1の代わりに未処理のめっき粒子1を用いた以外は実施例1と同様に比較例1の接続構造体を作製した。
(比較例2)
導電粒子1の代わりに未処理のめっき粒子2を用いた以外は実施例1と同様に比較例2の接続構造体を作製した。
(比較例3)
導電粒子1の代わりに未処理のめっき粒子3を用いた以外は実施例1と同様に比較例3の接続構造体を作製した。
(比較例4)
導電粒子1の代わりに未処理のめっき粒子4を用いた以外は実施例1と同様に比較例4の接続構造体を作製した。
(導電粒子の表面状態の評価)
実施例1で用いた導電粒子1を、水とトルエンを1:1で混合した溶媒に投入し、5分間攪拌した後、5分間放置した。放置後、導電粒子が水とトルエンのどちらの溶媒になじんでいるかを目視で評価した。導電粒子表面に形成した官能基によって、導電粒子は分散し易い溶液が異なると推定される。また、実施例2〜18で用いた各導電粒子、及び比較例1〜4で用いた各めっき粒子についても、導電粒子1と同様の評価を行った。各粒子の表面状態の結果を下記表1に示す。なお、表1には、水及びトルエンのうち、より多量の導電粒子又はめっき粒子が分散した溶媒を示す。表1に記載の「ミセル化」とは、導電粒子がミセル化したことを意味する。
(溶出試験)
実施例1で用いた導電粒子1からの金属イオンの溶出量を測定した。溶出試験では、純水25gに導電粒子0.5gを分散させた分散液を、高圧容器内において100℃で10時間加熱した。得られた分散液を0.2μmのフィルタを通して導電粒子を濾過し、煮出し液を抽出した。5倍希釈王水を用いて、煮出し液を所定の希釈倍率で希釈した。希釈した煮出し液中の金属イオンの濃度を原子吸光光度計で測定した。式(3)に従って、金属イオンの濃度の測定値から、金属イオン溶出量を算出した。高圧容器としては、アズワン株式会社製ジャケット付テフロンるつぼを用いた。原子吸光光度計としては、日立製作所製Z−5310を用いた。実施例2〜18で用いた各導電粒子、及び比較例1〜4で用いた各めっき粒子についても、導電粒子1と同様に溶出試験を行った。各粒子の金属イオン溶出量を下記表1に示す。
金属イオン溶出量[ppm]=金属イオンの濃度の測定値×(分散液の重量[g]/分散液中の全導電粒子の重量[g])×希釈倍率 式(3)
(絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験)
実施例1〜18、比較例1〜4で作製した各接続構造体の絶縁抵抗試験(絶縁信頼性試験)及び導通抵抗試験(導通信頼性試験)を行った。異方導電性接着剤を備える接続構造体では、チップ電極(金バンプ)間の絶縁抵抗が高く、チップ電極とガラス電極(Al回路)との間の接続抵抗が低いことが重要である。
絶縁抵抗試験では、接続構造体を気温60℃,湿度90%の恒温高湿槽内に1000時間放置し、イオンマイグレーション測定器で絶縁抵抗を随時測定した。導通抵抗試験では、接続構造体を気温85℃,湿度85%の恒温高湿槽内に1000時間放置した。そして、接続構造体を恒温高湿槽内に放置する前の接続抵抗(初期値)と、恒温高湿槽内に1000時間放置した後の接続抵抗を測定した。絶縁抵抗及び接続抵抗の測定結果を表1に示す。
Figure 2013020721
表1に示すとおり、防錆膜を備える導電粒子1〜18の金属イオンの溶出量は、防錆膜を備えないめっき粒子1〜4と比較して少ないことが確認された。実施例1〜18では、充分に高い絶縁抵抗と低い接続抵抗が確認された。比較例3,4の結果から、金属イオンの溶出量が絶縁信頼性の特性に大きく影響することが確認された。
3・・・接着剤、4・・・第一の基板、5・・・第一の電極、6・・・第二の基板、7・・・第二の電極、10・・・導電粒子、12・・・コア粒子、14・・・Niめっき層、16・・・貴金属めっき層、18・・・防錆膜、40・・・異方導電性接着剤、42・・・接続構造体。

Claims (7)

  1. コア粒子と、
    前記コア粒子を被覆し、Niを含むNiめっき層と、
    前記Niめっき層の少なくとも一部を被覆し、Au及びPdのうち少なくともいずれかを含む貴金属めっき層と、
    前記Niめっき層及び前記貴金属めっき層のうち少なくともいずれかを被覆し、有機化合物を含む防錆膜と、
    を備える、導電粒子。
  2. 粒径が5μm以下である、
    請求項1に記載の導電粒子。
  3. 前記Niめっき層及び前記貴金属めっき層のうち少なくともいずれかの表面が平滑である、
    請求項1又は2に記載の導電粒子。
  4. 前記Niめっき層及び前記貴金属めっき層のうち少なくともいずれかの表面の一部が突起している、
    請求項1又は2に記載の導電粒子。
  5. 前記有機化合物が、トリアゾール系化合物、チアゾール系化合物、りん酸系化合物及び脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電粒子。
  6. 前記有機化合物がフェニル基又は炭素数が3以上であるアルキル基の少なくともいずれかを有する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電粒子。
  7. 純水25gと前記純水中に分散した前記導電粒子0.5gとを有する分散液を100℃で10時間加熱した時、前記分散液中に溶出した金属イオンの量が前記導電粒子の全質量に対して5000質量ppm以下である、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電粒子。
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