JP2013018184A - 2軸配向積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】六方晶系フェライト粉末の磁性層を使用してもカッピングを所定の範囲に収めることができ、優れた電磁変換特性を発現できるベースフィルムの提供。
【解決手段】磁性層が六方晶系フェライト粉末を使用した塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる二軸配向積層フィルムであって、二軸配向積層フィルムは、磁性層を形成する側の最外層に位置するA層と、磁性層を形成しない側の最外層に位置するB層とを有し、単位断面積あたり1.0MPaの荷重をかけて30℃から110℃に昇温したときのA層の幅方向の伸縮率(TMAa)とB層の幅方向の伸縮率(TMAb)の差(TMAb−TMAa)が、0.05%以上1.5%未満である2軸配向積層フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、データストレージなどの塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる2軸配向積層フィルムに関する。
LTOなどのデータストレージテープとしては、ベースフィルムの一方の面に磁性塗液を塗布して磁性層を形成し、他方の表面にバックコート層を形成する塗布型磁気記録テープが用いられている。このとき、ベースフィルムには、搬送性を高めるために表面はなるべく粗いことが望まれ、他方電磁変換特性などの点から、磁性層側の表面はできるかぎり平坦であることが求められる。
そこで、このような相反する性能を達成する観点から、特許文献1(特開2003−291288号公報)では、表裏の表面粗さが異なる積層フィルムを用いることが提案されている。また、特許文献2では、さらに多層にすることも提案されている。
ところで、リニア記録方式の磁気記録テープは、走行中の磁気ヘッドとの間隔が一定でないと、SN比などの特性が低下し、エラーの原因となる。そのため磁気記録テープの磁性層部分が凸になるように、ベースフィルムの設計がなされてきた。
一方、近年の記録容量拡大の要求に対し、六方晶系フェライト粉末を用いた磁性層が使用され始めており、六方晶系フェライト粉末の磁性層を使用した際にも磁気記録テープの磁性層部分が凸になるようなベースフィルムが求められている。
特開2003−291288号公報
本発明の目的は、六方晶系フェライト粉末の磁性層を使用してもカッピングを所定の範囲に収めることができ、優れた電磁変換特性を発現できるベースフィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決しようと鋭意研究するにあたって、六方晶系フェライト粉末の磁性層を使用するには、熱膨張率の異なる2種のポリマーを積層させることで、磁気記録テープとしたときのカッピングを所望の範囲にすることができ、特に記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いたとき、優れた電磁変換特性を発現できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、二軸配向積層フィルムは、磁性層を形成する側の最外層に位置するA層と、磁性層を形成しない側の最外層に位置するB層とを有し、単位断面積あたり1.0MPaの荷重をかけて30℃から110℃に昇温したときのA層の幅方向の伸縮率(TMAa)とB層の幅方向の伸縮率(TMAb)の差(TMAb−TMAa)が、0.05%以上1.5%未満である2軸配向積層フィルムが提供される。また、本発明によれば、その好ましい態様として、A層またはB層の厚みが、2軸配向積層フィルム全体の厚みに対して、10〜90%の範囲にある2軸配向積層フィルムおよびA層の表面が、表面粗さ(RaA)1〜7nmの範囲である2軸配向積層フィルムも提供される。
本発明の2軸配向積層フィルムは、磁性層に六方晶系フェライト粉末を使用して、例えば記憶容量が0.8TB以上という高記憶容量のデータストレージのベースフィルムに用いることで、得られる磁気記録テープに適正なカッピングを容易に具備させることができ、その結果、磁気ヘッドとのヘッド当たりが改善された、すなわち電磁変換特性に優れた磁気記録テープを提供することができる。
実施例で用いたカールの測定の概略図である。
以下、本発明について、詳述する。
本発明の二軸配向積層フィルムは、フィルム層を2層以上積層した長尺の積層フィルムで、磁性層を塗布する側の最外層に位置するフィルム層をA層、磁性層を塗布しない側の最外層に位置するフィルム層をB層と称する。なお、二軸配向積層フィルムの長手方向を製膜方向、縦方向、MD方向と称し、幅方向を横方向またはTD方向と称することがある。
そして、本発明の二軸配向積層フィルムは、前述の30℃から110℃に昇温したとき、A層の幅方向の伸縮率(TMAa)と前述B層の幅方向の伸縮率(TMAb)の差(TMAb−TMAa)を、0.05%以上1.5%という範囲にしたことにある。好ましい伸縮率の差(TMAb−TMAa)は、0.05%以上1.0%未満である。
TMAb−TMAaが下限より小さいと、磁性層、バック層を塗布した後の得られる磁気記録テープが、磁性層面が凹みになるカッピングとなる。他方、伸縮率差が1.5%以上では、磁性層面凸になるカッピングとなるが、カッピング量が1.5mmを超え、スリット時にカールを抑えきれず、幅寸法のばらつきが大きくなる。
ところで、本発明におけるTMAaとTMAbとは、二軸配向積層フィルムの状態では、他のフィルム層の影響を受けてしまうことから、それぞれA層とB層を形成する樹脂組成物を、積層しない以外は二軸配向積層フィルムと同じ製膜条件にて製造して、単層フィルムを作成し、その単層フィルムの幅方向の伸縮率を測定したものである。また、TMAaとTMAbは、測定方向に単位断面積あたり1.0MPaの荷重をかけて、30℃から110℃まで昇温させたときの寸法変化率であり、伸縮率がプラスの場合はフィルムが伸長していることを示し、マイナスの場合にはフィルムが収縮していることを示す。
本発明におけるA層とB層とを形成する樹脂は、フィルムに製膜できる熱可塑性樹脂であり、前述のTMAb−TMAaを満足するものであれば特に制限はされず、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどそれ自体公知の熱可塑性樹脂を好適に使用できる。そのような中でも、得られる二軸配向積層フィルムに十分な機械的特性を具備させることができることからポリエステルが好ましく、特にエチレンテレフタレートやエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たなる繰り返し単位とするポリエステルが好ましい。
ところで、A層とB層とは、上記の通り、同じ製膜条件で製造されることから、上記のようなTMAb−TMAaを発現するには、それぞれの層を形成する樹脂は、異なることが必要である。一方、A層とB層の樹脂があまりに異なりすぎると、A層とB層とが剥離してしまったり、TMAb−TMAaが上限を超えたり、過度にマイナスサイドになってしまう。そのため、A層とB層の樹脂は適度に異なるものの、主たる繰り返し単位は同じ樹脂であることが好ましく、A層がホモもしくは少量共重合の樹脂で、B層がA層よりも共重合量の多い樹脂であることが好ましく、またA層の樹脂にガラス転移温度を挙げるような樹脂をブレンドしたり、結晶性を向上させるような結晶核剤を含有させることも好ましい。そういった観点から、好ましい共重合成分としては、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの場合、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などの6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸が挙げられ、またジオール成分として、例えば1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。また、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの場合、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などの6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、4、4’−(エチレンジオキシ)ビス安息香酸などの4、4’−(アルキレンジオキシ)ビス安息香酸、またジオール成分として、例えば1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。これらの中でも、特に、より環境変化に対する寸法安定性を向上させつつ、カールも制御しやすいことから、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、4、4’−(アルキレンジオキシ)ビス安息香酸が好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸と4、4´−(エチレンジオキシ)ビス安息香酸が好ましい。これら共重合成分は、前述の通り、B層側に用いられるのが好ましい。B層に用いる場合の共重合量は、A層のTMAとの関係から差を大きくしたい場合は増やすようにすればよく、例えば全繰り返し単位のモル数を基準として、5〜15モル%の範囲が好ましい。
A層およびB層がポリエステルである場合、その固有粘度は、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60質量比)の混合溶媒中、35℃において、測定したときの固有粘度が0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜1.5dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満ではフィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方固有粘度が1.5dl/gを超える場合は重合時の生産性が低下する。A層およびB層が、ポリエステルである場合、その融点は、200〜300℃であることが好ましく、更に好ましくは210〜290℃、特に好ましくは220〜280℃である。融点が下限に満たないと得られる二軸配向積層フィルムの耐熱性が不十分な場合があり、融点が上限を超える場合は、溶融混練する際の温度が非常に高温になり、熱劣化などを引き起こしやすくなる。
本発明の二軸配向積層フィルムは、前述のA層とB層を積層したものであるが、A層とB層とがそれぞれ最外層に位置していればよく、A層とB層の2層フィルムでも、A層およびB層とそれぞれ同じ樹脂組成のA’層およびB’層とを交互に積層した多層フィルムであってもよい。ただ、前述のTMAb−TMAaによって、カッピングを改良する観点から、最外層に位置するA層または最外層に位置するB層厚みが、2軸配向積層フィルム全体の厚みに対して、10〜90%の範囲、さらに15〜80%の範囲にあることが好ましい。また、同様な理由から、A層の厚みは、2軸配向積層フィルム全体の厚みに対して、5〜50%の範囲、さらに10〜40%の範囲にあることが好ましい。
本発明の2軸配向積層フィルムは、搬送や巻取りなどの特性を実用上問題ない範囲で維持しつつ、データストレージにしたときの電磁変換特性を高度に維持させる観点から、A層の表面は、表面粗さ(RaA)が1〜7nmの範囲にあることが好ましい。好ましいRaAは、1〜5nm、さらに2〜4nmの範囲である。
また、本発明の塗布型磁気記録テープ用積層2軸配向ポリエステルフィルムは、上述の表面粗さ(RaA)を具備させる観点から、磁性層を形成する側の表面を形成するポリエステルは、不活性粒子を含有しないか、含有するとしても、平均粒径0.05〜0.15μm、さらに0.07〜0.14μmの不活性粒子を、該表面を形成するポリエステルの質量を基準として、0.005〜0.4質量%、さらに0.007〜0.3質量%、特にさらに0.01〜0.2質量%の範囲で含有することが好ましい。なお、ここでいう不活性粒子を含有しないとは、平均粒径0.05μm以上の不活性粒子の含有量が0.005質量%未満であることを意味する。
不活性粒子を含有させる場合については、含有させる不活性粒子はもともと粗大粒子を含まないか含有するとしても極めて少ない不活性粒子が好ましい。
このような粒度分布がシャープなものにしやすく、一次粒子の状態で存在しやすい不活性粒子としては、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレンなどの有機高分子粒子および球状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましく、特にシリコーン樹脂、架橋ポリスチレンおよび球状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。もちろん、これらの不活性粒子を含有させる場合は、さらに粗大粒子をなくすため、フィルターでのろ過を行ったり、分散剤で不活性粒子の表面を処理したり、押出機での混練を強化することが好ましい。
本発明の2軸配向積層フィルムは、前述の表面粗さを有するものであれば特に制限されず、磁性層側が同じ表面粗さなら、より搬送性や巻取り性を向上させやすく、同じ搬送性や巻取り性なら、より磁性層側の表面粗さを平坦にすることができることから、B層の表面粗さ(RaB)が磁性層側の表面粗さ(RaA)よりも1nm以上大きいことが好ましい。
そのような観点から、B層の最外層の表面は、表面粗さ(RaB)が磁性層側の表面粗さ(RaA)よりも1nm以上大きく、3〜10nmの範囲にあることが好ましい。好ましいRaBは、4〜9nm、さらに5〜9nmの範囲である。RaBが下限未満もしくはRaAよりも小さいと、搬送性や巻取り性の向上効果が発現されがたく、他方上限を超えると、磁性層側の表面を突き上げや転写によって粗くしてしまうことがある。
B層の最外層の表面に、上述のような表面粗さを具備させるには、平均粒径が0.2〜0.5μm、さらに0.2〜0.4μmの不活性粒子を、該B層の最外層の質量を基準として、0.01〜0.5質量%、さらに0.02〜0.4質量%の範囲で含有させることが好ましい。さらに、該フィルムBの最外層は、平均粒径が0.05〜0.15μm、さらに0.06〜0.14μmの不活性粒子を、フィルムBの最外層の質量を基準として、0.05〜0.5質量%、さらに0.06〜0.4質量%の範囲で含有することが好ましい。このような2種類以上の不活性粒子を併用することで、より搬送性と巻取り性を高めつつ、磁性層側の表面を平坦に維持しやすい。
上述のB層に含有させる不活性粒子としては、ポリマー中で安定的に存在できるものであれば特に制限されず、それ自体公知のものを採用でき、好ましくは前述の磁性層を形成する側の表面で説明したのと同様な不活性粒子である。
本発明におけるポリエステルの製造方法は、例えば芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応させてポリエステルの前駆体を合成する第一反応と、該前駆体を重縮合反応させる第二反応とからなり、それ自体公知の方法を採用できる。なお、原料由来の異物を低減するために、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールなどの原料は、精製を繰り返して、異物を低減しておくのが好ましい。
さらに好ましい第一反応の条件について説明する。第一反応は、常圧下で行ってもよいが、0.05MPa〜0.5MPaの加圧下で行うことが反応速度をより速めやすいことから好ましい。また、第一反応の温度は、210℃〜270℃の範囲で行なうことが好ましい。反応圧力を上記範囲内とすることで反応の進行を進みやすくしつつ、ジアルキレングリコールに代表される副生物の発生を抑制できる。このとき、アルキレングリコール成分は、第一反応を行う反応系に存在する酸成分に対し1.1〜6モル倍用いることが、反応速度及び樹脂の物性維持の点から好ましい。より好ましくは2〜5モル倍、さらに好ましくは3〜5モル倍である。
また、第一反応の反応速度をより早くするには、それ自体公知の触媒を用いることが好ましく、たとえばLi,Na,K,Mg,Ca,Mn、Co、Tiなどの金属成分を有する金属化合物が好ましく挙げられ、これらの中でも加圧下で行う場合は、反応の進みやすさの点からMnやTi化合物が好ましい。特にTi化合物は、さらに重縮合反応触媒としても使用でき、かつ触媒残渣の析出も少ないことから好ましい。本発明で用いるチタン化合物としては、触媒残渣の析出による不溶性粗大異物の発生を抑制する観点からポリエステル中に可溶な有機チタン化合物が好ましい。特に好ましいチタン化合物としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキシド、トリメリット酸チタンなどを好ましく例示できる。
添加する触媒量は、第一反応中に存在する全酸成分のモル数を基準として、金属元素換算で、10〜150ミリモル%の範囲にあることが好ましく、さらに20〜100ミリモル%、特に30〜70ミリモル%の範囲にあることが反応速度を促進しつつ、触媒起因の粗大不溶性異物の生成を抑制でき、さらに得られる共重合芳香族ポリエステルの耐熱性を高度に維持できることから好ましい。なお、チタン化合物を添加する場合の添加時期は、第一反応のエステル化反応開始時から存在するように添加し、前述のとおり、引き続き重縮合反応触媒として使用することが好ましい。もちろん、重縮合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加してもよい。
つぎに、第一反応で得られた前駆体を重縮合反応させる第二反応について説明する。
本発明では、得られるポリエステルに、高度の熱安定性を付与させる目的で、第二反応における重縮合反応の開始以前に、反応系にリン化合物からなる熱安定剤を添加することが好ましい。具体的なリン化合物としては、化合物中にリン元素を有するものであれば特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム、トリエチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテートなどを挙げることができ、これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。なお、リン化合物の添加時期は、第一反応が実質的に終了してから第二反応である重縮合反応初期の間に行うことが好ましく、添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
ところで、重縮合反応の温度は270℃〜300℃の範囲で行い、重縮合反応中の圧力は50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。重縮合反応中の圧力が上限より高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高いポリエステルを得ることが困難になる。重縮合触媒としては、それ自体公知のTi,Al,Sb,Geなどの金属化合物を好適に使用でき、それらの中でもエステル化反応時に添加されたチタン化合物を引き続き使用することが触媒残渣による不溶性粗大異物の発生を抑制できることから好ましい。
また、不活性粒子を含有させる方法については、前述のような粗大粒子の低減を行ったものを選択し、それをアルキレングリコールのスラリー状態として、さらにフィルターなどによって粗大粒子を低減し、それを重合工程で添加して粒子含有量が0.02〜1.0質量%の粒子含有マスターポリエステルを作成し、該マスターポリエステルを、粒子を含有しないポリエステルで希釈するのが、不活性粒子の凝集による粗大突起を低減する上で好ましい。
このようにして得られるポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、核剤、を必要に応じて配合しても良いが、少なくとも磁性層を形成する側の表面に用いるポリエステルは、粗大突起を形成しやすい他の熱可塑性ポリマー、顔料、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などは含有させないことが好ましい。
本発明の塗布型磁気記録テープ用2軸配向積層ポリエステルフィルムは、データストレージのベースフィルムに用いることから、二軸配向フィルムである。二軸配向フィルムは、上述のポリエステルを溶融状態で押出し、二軸方向に延伸することで製造でき、製膜方法などはそれ自体公知のものを採用することができる。なお、フィルターでの濾過は、製膜直前であるほど、再凝集などによって後から生成される不溶性粗大異物の影響を低減できることから、製膜する際の溶融押出工程で用いるのが好ましい。
例えば、2層の二軸配向積層ポリエステルフィルムで説明すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、前述のような(TMAb−TMAa)となるフィルム最外層a用のポリエステルAとフィルム最外層b用のポリエステルBとを、それぞれさらに前述のような高精度のフィルターでろ過したのち、溶融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造となし、次いで口金よりポリエステルの融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に共押出しする。このとき押出し温度をA層側とB層側で変化させることにより、さらにそれぞれの層の固有粘度を調整することも出来る。好ましい押出し温度は使用するポリエステルの融点より15℃以上40℃以下が固有粘度を調整する上で好ましい。15℃より低いと未溶融のポリマーが発生し異物となってしまい好ましくない。一方、40℃を超えると、ポリマーが劣化してしまい、劣化異物が発生するため好ましくない。さらに、固有粘度が低くなりすぎるため、製膜性が劣るため好ましくない。
このようにして共押出しされたシート状物を30〜70℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(縦方向または横方向)に(ポリエステルのガラス転移温度(Tg)−10)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
さらに、前記二軸配向積層ポリエステルフィルムは(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃で熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が付与される。その際、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。この際、前記(TMAb−TMAa)を大きくするには、幅方向に若干引っ張ることが好ましい。幅方向に引っ張る場合は、1〜20%が好ましく、さらに3〜15%が特に好ましい。
このようにして得られた塗布型磁気記録テープ用2軸配向積層ポリエステルフィルムは、例えば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面(A)に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み0.5〜1.5μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面(B)にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
ここで、磁性塗料などの組成は、例えば後述の実施例の測定にある組成などが挙げられる。このようにして得られた磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO4やLTO5など))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明におけるポリエステル、ポリエステルフィルムおよびデータストレージの特性は、下記の方法で測定および評価した。
(1)伸縮率(TMA)
TMA(セイコーインスツルメンツ株式会社製、商品名:SS6000)を用い、湿度50%RH下において、サンプル幅4mm、チャック間20mmにて、横方向に、単位断面積あたり1.0MPaの荷重をかけて、30℃から110℃まで、昇温速度10℃/分にて昇温させた。各10枚の試料の測定を行い、30℃から110℃までの伸縮率(TMA)(単位:%)を下記式から求め、平均値を算出した。伸縮率がプラスの場合はフィルムが伸長していることを示し、マイナスの場合にはフィルムが収縮していることを示す。
伸縮率(TMA)=(M−M0)/M0×100 (%)
M:110℃でのサンプル長、M0:30℃でのサンプル長
(2)フィルム積層厚み
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、20000倍で観察した。TEMの切片厚さは約100nmとし、含有粒子径および粒子濃度をもとに、界面の観察結果から、各層の厚みを評価した。また、上記による観察が困難な場合、SIMS(2次イオン質量分析装置)を用いて評価することもできる。表面からエッチングしながら、粒子もしくはポリエステル樹脂層に起因する元素濃度のデプスプロファイルを測定し、各層の厚みを評価する。
(3)中心面平均粗さ(Ra)
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetro Proにより中心面平均粗さ(Ra)を求めた。
(4)不活性粒子の平均粒径
添加する不活性粒子の平均粒径および相対標準偏差は、JIS Z8823−1に準拠する遠心沈降法で得られる粒度分布から得られる数平均値を平均粒径とした。
(5)ガラス転移点および融点
ガラス転移点、融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal lyst2920)により昇温速度20℃/minで測定した。
(6)データストレージ(磁気テープ)の作成
下記に示す組成物をボールミルに入れ、16時間混練、分散した後、イソシアネート化
合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、1時間高速剪断分散して磁性
塗料とした。
磁性塗料の組成:
バリウムフェライト粒子 100重量部
塩化ビニル― 酢酸ビニル共重合体 15重量部
(積水化学製エスレック7A)
熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部
酸化クロム 5重量部
カーボンブラック 5重量部
レシチン 2重量部
脂肪酸エステル 1重量部
トルエン 50重量部
メチルエチルケトン 50重量部
シクロヘキサノン 50重量部
この磁性塗料を、得られた二軸配向積層フィルムの一方の表面に乾燥後の塗布厚さ0.5μmとなるように塗布し、次いで2,500ガウスの直流磁場中で配向処理を行い、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレンダー処理(線圧2,000N/cm、温度80℃)を行い、巻き取った。この巻き取ったロールを55℃のオーブン中に3日間放置した。
さらに下記組成のバックコート層塗料を、二軸配向積層フィルムの他方の表面に、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、乾燥させ、さらに12.65mm(=1/2インチ)に裁断し、それをLTO用のケースに組み込み、長さが850mで磁気記録容量が0.8TBのデータストレージカートリッジを作成した。
バックコート層塗料の組成:
カーボンブラック 100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 60重量部
イソシアネート化合物 18重量部
( 日本ポリウレタン工業社製コロネートL)
シリコーンオイル 0.5重量部
メチルエチルケトン 250重量部
トルエン 50重量部
(7)カッピング量
上記(6)で作成した磁気テープを長手方向に170mm、幅方向に1/2インチ幅に切り出す。そして、水平方向に配置された2つのフリーロール(図1中の2)に磁性層側を下にしてセットする。なお、フリーロールはフィルムと接する部分の外経が10mm、フリーロールの中心軸間の距離は10cmとし、フィルムの両端には、17.5g/mmの荷重(図1中の3)をかける。次に、発光部と受光部を兼ね備えたキーエンス製レーザー変位計(図1中の4)(LK−G30)をフィルムの上方に配置し、レーザー光(図中の5)をフィルムの面方向に斜めに照射した。そして、フィルムの幅方向に沿って、フィルムの変位(距離)を計測する。
計測された変位について、フィルムの幅方向における両端の変位の平均値と、フィルム幅方向における中央部分で観測される極大値または極小値とを用い、前述の平均値と極大値または極小値との差異であるカール値をカッピング量として測定した。なお、磁性層側を内側にしてカールしている場合はプラスの値となり、逆に磁性層側を外側にしてカールしている場合はマイナスの値とした。上記測定を、3つのサンプルについて行い、それらの平均値を算出した。
[参考例1]樹脂1の作成
蒸留による精製を繰り返した2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルとエチレングリコールとをそれぞれ100部と70部用意し、それらを攪拌機、精留塔、冷却器を供えた反応槽に仕込み、150℃まで昇温した。その後、トリメリット酸チタンをTi元素量として、全ジカルボン酸成分のモル数に対して7mmol%となるように添加し、反応槽全体を窒素により0.25MPaの圧力下で加熱して、反応槽内部温度を240℃に昇温した。反応の進行に従い、圧力一定のまま内温を250℃まで上げた。その後、反応槽内の圧力を常圧にゆっくりと戻し、トリメチルホスフェートをリン元素量で、全ジカルボン酸成分のモル数に対して12mmol%となるように添加し、余剰のエチレングリコールを追い出して、エステル交換反応を終了させた。
得られた反応生成物を重合反応槽へと移送した。このとき、移送途中で95%濾過精度5μmの金属繊維製のフィルターを通して濾過した。重合反応槽では250℃からゆっくりと昇温しながら、また減圧させながら重縮合反応を行い、最終的に290℃、30Paで所定の重合度になるまで重縮合を行い、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
[参考例2]樹脂2の作成
平均粒径が0.1μmで相対標準偏差が0.13のアルコキシド法で作成した真球状シリカ粒子を、エチレングリコールに10質量%となるように添加して、100℃で20分間過熱したのち、95%濾過精度5μmの金属繊維製のフィルターを通過するように循環させて、真球状シリカ粒子の含有量が10質量%のエチレングリコールスラリーを作成した。そして、このエチレングリコールスラリーを、エステル交換反応の段階で、真球状シリカ粒子の含有量が、得られるポリエステルの質量に対して、0.5質量%となるように添加したほかは、参考例1と同様な操作を繰り返して、樹脂2を作成した。
[参考例3]樹脂3の作成
真球状シリカ粒子を、平均粒径が0.3μmで相対標準偏差が0.12の真球状シリカ粒子に変更したほかは、参考例2と同様な操作を繰り返して、樹脂3を作成した。
[参考例4]樹脂4の作成
ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを20部、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を80部にするほかは、参考例1と同様な操作を繰り返して、樹脂4を作成した。樹脂4の組成は、酸成分の29モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の71モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98モル%がエチレングリコール成分、グリコール成分の2モル%がジエチレングリコール成分であり、融点は240℃、ガラス転移温度は117℃の共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
[参考例5]樹脂5の作成
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルの代わりに、テレフタル酸ジメチルエステルを使用したほかは、参考例1と同様の操作を繰り返し、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(樹脂5)を作成した。
[参考例6]樹脂6の作成
平均粒径が0.1μmで相対標準偏差が0.13のアルコキシド法で作成した真球状シリカ粒子を、エチレングリコールに10質量%となるように添加して、100℃で20分間過熱したのち、95%濾過精度5μmの金属繊維製のフィルター(第1フィルター)を通過するように循環させて、真球状シリカ粒子の含有量が10質量%のエチレングリコールスラリーを作成した。そして、このエチレングリコールスラリーを、エステル交換反応の段階で、真球状シリカ粒子の含有量が、得られるポリエステルの質量に対して、0.5質量%となるように添加したほかは、参考例5と同様な操作を繰り返して、樹脂6を作成した。
[参考例7]樹脂7の作成
真球状シリカ粒子を、平均粒径が0.3μmで相対標準偏差が0.12の真球状シリカ粒子に変更したほかは、参考例6と同様な操作を繰り返して、樹脂7を作成した。
[実施例1]
A層用ポリマーとして、樹脂1と樹脂2を表1の不活性粒子の割合になるように用意した。また、B層用ポリマーとして、樹脂4(B層用ポリマーの全酸成分のモル数を基準として、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分のモル数が14mol%となるように調整)と樹脂2と樹脂3を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、それぞれ、170℃で6時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、295℃にて溶融させ、マルチマニホールド型多層共押出ダイを用いて、A層用ポリマーを最外層用とそれ以外用とに3:7の比率で分け、さらに最外層用以外のポリマーを均等に24層に分け、B層用ポリマーは均等に25層に分け、(A層の最外層)−(B層)−(A層)−(B層)−(A層)−・・・−(B層)−(A層)−(B層の最外層)と積層させ、合計50層の多層積層未延伸フィルムを得た。このようにして得られた多層積層未延伸フィルムを120℃に予熱し、さらに低速、高速のロール間でフィルムを130℃に加熱して4.6倍に延伸した後、急冷し、縦延伸フィルムを得た。続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に6.0倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを200℃の熱風で3秒間熱固定しつつ横方向に10%延伸を行い、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。
また、A層用ポリマーとB層用ポリマーをそれぞれ295℃にて溶融させ、T型ダイにて単層未延伸フィルムを得て、上述の積層二軸配向ポリエステルフィルム作成と同一条件にて単層二軸配向ポリエステルフィルムを作成した。単層二軸配向ポリエステルフィルムの伸縮率(TMA)を表1に示す。
[実施例2]
乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて押出機ホッパーに供給したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。
[実施例3]
マルチマニホールド型共押出ダイを用いて、A層の片側にB層を積層させて2層未延伸フィルムを得たほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた2層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。
[実施例4]
A層用ポリマーとして、樹脂1と樹脂2を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、B層用ポリマーとして、樹脂4(B層用ポリマーの全酸成分のモル数を基準として、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分のモル数が22mol%となるように調整)と樹脂2と樹脂3を表1の不活性粒子の割合になるように用意したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。また実施例1と同一作成法にて得たA層用ポリマーとB層用ポリマーによる単層二軸配向ポリエステルフィルムの伸縮率(TMA)を表1に示す。
[実施例5]
A層用ポリマーとして、樹脂1と樹脂2を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、B層用ポリマーとして、樹脂5、樹脂6、樹脂7を表1の不活性粒子の割合になるように用意したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。また実施例1と同一作成法にて得たA層用ポリマーとB層用ポリマーによる単層二軸配向ポリエステルフィルムの伸縮率(TMA)を表1に示す。
[実施例6]
A層用ポリマーとして、樹脂4(A層用ポリマーの全酸成分のモル数を基準として、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分のモル数が14mol%となるように調整)と樹脂2と樹脂3を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、B層用ポリマーとして、樹脂5、樹脂6、樹脂7を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、それぞれ、170℃で6時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、285℃にて溶融させ、マルチマニホールド型多層共押出ダイを用いて、A層用ポリマーを最外層用とそれ以外用とに3:7の比率で分け、さらに最外層用以外のポリマーを均等に24層に分け、B層用ポリマーは均等に25層に分け、(A層の最外層)−(B層)−(A層)−(B層)−(A層)−・・・−(B層)−(A層)−(B層の最外層)と積層させ、合計50層の多層積層未延伸フィルムを得た。このようにして得られた多層積層未延伸フィルムを110℃に予熱し、さらに低速、高速のロール間でフィルムを120℃に加熱して4.6倍に延伸した後、急冷し、縦延伸フィルムを得た。続いてステンターに供給し、140℃にて横方向に6.0倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを200℃の熱風で3秒間熱固定しつつ横方向に10%延伸を行い、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。また実施例1と同一作成法にて得たA層用ポリマーとB層用ポリマーによる単層二軸配向ポリエステルフィルムの伸縮率(TMA)を表1に示す。
[比較例1]
A層用ポリマーとして、樹脂1と樹脂2を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、B層用ポリマーとして、樹脂1、樹脂2、樹脂3を表1の不活性粒子の割合になるように用意したほかは、実施例3と同様な操作を繰り返した。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。また実施例1と同一作成法にて得たA層用ポリマーとB層用ポリマーによる単層二軸配向ポリエステルフィルムの伸縮率(TMA)を表1に示す。
[比較例2]
A層用ポリマーとして、樹脂4(A層用ポリマーの全酸成分のモル数を基準として、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分のモル数が14mol%となるように調整)と樹脂2と樹脂3を表1の不活性粒子の割合になるように用意し、B層用ポリマーとして、樹脂1、樹脂2を表1の不活性粒子の割合になるように用意したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表1に示す。また実施例1と同一作成法にて得たA層用ポリマーとB層用ポリマーによる単層二軸配向ポリエステルフィルムの伸縮率(TMA)を表1に示す。
Figure 2013018184
上記表中のPENはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、共重合PENは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、PETはポリエチレンテレフタレートである。
本発明の塗布型磁気記録テープ用積層2軸配向ポリエステルフィルムは、六方晶系フェライト粉末を使用した磁気記録媒体でもカッピングを所定範囲に収めることができ、優れた電磁変換特性を発現できることから塗布型磁気記録テープのベースフィルムとして利用できる。
1 フィルム
2 フリーロール
3 荷重
4 変位計
5 レーザー光

Claims (3)

  1. 磁性層が六方晶系フェライト粉末を使用した塗布型磁気記録テープのベースフィルムに用いる二軸配向積層フィルムであって、
    二軸配向積層フィルムは、磁性層を形成する側の最外層に位置するA層と、磁性層を形成しない側の最外層に位置するB層とを有し、単位断面積あたり1.0MPaの荷重をかけて30℃から110℃に昇温したときのA層の幅方向の伸縮率(TMAa)とB層の幅方向の伸縮率(TMAb)の差(TMAb−TMAa)が、0.05%以上1.5%未満である2軸配向積層フィルム。
  2. A層またはB層の厚みが、2軸配向積層フィルム全体の厚みに対して、10〜90%の範囲にある請求項1に記載の2軸配向積層フィルム。
  3. A層の表面が、表面粗さ(RaA)1〜7nmの範囲である請求項1または2のいずれかに記載の2軸配向積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9901751B1 (en) * 2016-08-29 2018-02-27 Pyramid Technical Consultants, Inc. Multi-layer range measurement apparatus for characterizing charged particle beams

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