JP2013015076A - パイロット噴射量補正方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無噴射状態において微小噴射量の複数の噴射を行い、その際生ずるエンジン回転変動に対応する周波数成分に基づいて、燃料噴射弁の基準となる基準通電時間と実際通電時間との差分を学習することで、通電時間、通電タイミングの補正を行うパイロット燃料噴射量補正制御が実行されるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置において、学習値として得られた基準通電時間と前記微少噴射の際の通電時間との差分を、所定の演算式により算出された分割率にしたがって分割し、基準通電時間の前後に配し補正通電時間を得ることで補正誤差が噴射特性へ及ぼす悪影響を抑圧可能としてなるものである。
【選択図】図2
Description
例えば、噴射量の学習処理を行うよう構成された燃料噴射制御装置によるパイロット噴射制御において、学習のための噴射を実施した場合と、学習のための噴射を実施しなかった場合のエンジン回転数の変動量を検出し、検出された回転数変動量を基にインジェクタにおいて実際に噴射されたであろう燃料噴射量(実燃料噴射量)を演算算出し、実燃料噴射量と指令燃料噴射量との差を補正量として、燃料噴射量の補正を行い、実燃料噴射量が指令燃料噴射量に一致するようにしたものなどが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
このような回転変動量を求める手法としては、例えば、車両がいわゆるオーバーラン(無噴射状態)において、微小噴射量の噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動を、エンジン回転数の周波数成分の変化として検出し、その周波数成分の変化から実噴射量を推定する手法もあり、かかる手法に基づいた燃料噴射量の補正も行われている。
すなわち、複数段のパイロット噴射を行うものにあって、例えば、通電時間の補正量が正の値で比較的大きい場合には、噴射開始位置が前側に大きくずれるような補正がなされる結果、前段のパイロット噴射と重なってしまう虞があった。そのため、パイロット噴射の相互の間隔を予め広めに採る必要があったが、広く採りすぎると、通電時間の補正量が負の値で比較的大きくなった場合には、補正の結果、噴射間隔が広がりすぎて、失火などの燃焼不安定を招く虞があった。
燃料噴射弁が無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶し、以後、パイロット燃料噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置におけるパイロット燃料噴射量補正方法であって、
前記学習値として得られた基準通電時間と前記微小噴射の際の通電時間との差分を、所定の演算式により算出された分割率にしたがって分割し、前記基準通電時間の前後に配し補正通電時間を得るよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
内燃機関の動作制御を実行する電子制御ユニットであって、燃料噴射弁の無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を算出する一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を算出し、当該算出結果を学習値として更新可能に記憶し、以後、パイロット燃料噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されるよう構成されてなる電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、前記学習値として得られた基準通電時間と前記微小噴射の際の通電時間との差分を、所定の演算式により算出された分割率にしたがって分割し、前記基準通電時間の前後に配し補正通電時間を得るよう構成されてなるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるパイロット噴射量補正方法が適用される燃料噴射制御装置の一構成例について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における燃料噴射制御装置は、いわゆるコモンレール式燃料噴射制御装置であり、かかるコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をディーゼルエンジン(以下「エンジン」と称する)3の気筒へ噴射供給する複数のインジェクタ2−1〜2−nと、燃料噴射制御処理や後述する圧力センサ診断処理などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4に制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
インジェクタ2−1〜2−nは、エンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。かかる本発明の実施の形態におけるインジェクタ2−1〜2−nは、例えば、従来から用いられているいわゆる電磁弁タイプのものなどが好適である。
かかる電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号が入力される他、エンジン回転数、アクセル開度、外気温度、大気圧などの各種の検出信号が、エンジン3の動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。
まず、本発明の実施の形態におけるコモンレール式燃料噴射制御装置は、次述するような基本となるパイロット燃料噴射量補正制御が電子制御ユニット4により実行されるよう構成されてなるものであることを前提としている。
本発明の実施の形態において前提とされるパイロット燃料噴射量補正制御は、従来装置においても行われているもので、インジェクタ2−1〜2−nの劣化や故障等に起因して、特に、パイロット噴射における燃料噴射量の本来の燃料噴射量からずれを補正するものである。
次いで、その変動周波数成分を基に、その時に実際に噴射されたであろう燃料量の推定値(推定噴射量)が算出される。
同図において、「オーバーラン較正」と表記されると共に符号M2−1が付された箇所は、先に説明した、微小噴射から始まり、所定の閾値に収束せしめられた推定噴射量を得るに要した通電時間ETが算出されるまでの一連の処理を模式的に表している。
この基準通電時間マップから読み出される基準通電時間と上述の通電時間ETは、減算処理(図2の符号M2−3が付された箇所)により差分ΔETが求められるようになっている。
学習値が取得された以後は、該当する目標レール圧、燃料噴射量における通電時間は、基準通電時間を学習値で補正したもの、すなわち、基準通電時間と差分通電時間学習値ΔETとの加算結果とされ(図2の符号M2−6参照)、インジェクタ2−1〜2−nの劣化等による通電時間、燃料噴射量のずれが補正されるようになっている。
電子制御ユニット4による処理が開始されると、最初にパイロット噴射量補正量の取得が完了したか否かが判定される(図3のステップS102参照)。
すなわち、先に図2を参照しつつ説明したパイロット噴射量補正制御処理の実行により、差分通電時間学習値ΔETが取得されているか否かが判定され、取得されていると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS104の処理へ進む一方、差分通電時間学習値ΔETが未だ取得されていないと判定された場合(NOの場合)には、以後の一連の処理を実行する状態ではないとして、処理を終了し、一旦、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
ここで、”補正値誤差割合”とは、上述のように取得された差分通電時間学習値ΔETがどの程度の誤差を含んでいるかを、例えば、百分率等により表したものである。この補正値誤差割合は、試験やシミュレーション結果等に基づいてシステムトレランス等を考慮し設定された所定の演算式を用いて算出されるもので、かかる所定の演算式には、例えば、差分通電時間学習値ΔETが取得された際のエンジン回転数、レール圧等の種々のパラメータが入力され、演算されるものとなっている。
上述のようにステップS112の処理が行われた後は、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
ここで、”補正値分割率”とは、差分通電時間学習値ΔETを、基準通電時間の前後に配する割合である。
この補正値分割率は、試験やシミュレーション結果等に基づいて設定された演算式により求められるものとなっている。
次いで、演算算出された補正値分割率に基づく基準通電時間への補正値(差分通電時間学習値)の反映が行われ、補正通電時間が決定される(図3のステップS110参照)。
なお、図5(A)は基準通電時間を、図5(B)は補正量が正の場合に補正値分割率に基づいて基準通電時間を補正した場合の様子を、図5(C)は補正量が負の場合に補正値分割率に基づいて基準通電時間を補正した場合の様子を、それぞれ模式的に示した模式図である
上述のようにして補正通電時間が決定された後は、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
2−1〜2−n…インジェクタ
3…エンジン
4…電子制御ユニット
Claims (4)
- 燃料噴射弁が無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶し、以後、パイロット燃料噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置におけるパイロット燃料噴射量補正方法であって、
前記学習値として得られた基準通電時間と前記微小噴射の際の通電時間との差分を、所定の演算式により算出された分割率にしたがって分割し、前記基準通電時間の前後に配し補正通電時間を得ることを特徴とするパイロット燃料噴射量補正方法。 - 前記学習値として得られた基準通電時間と前記微小噴射の際の通電時間との差分が、所定の閾値を超える誤差を含む場合に、前記差分を分割して、前記基準通電時間の前後に配することを特徴とする請求項1記載のパイロット燃料噴射量補正方法。
- 内燃機関の動作制御を実行する電子制御ユニットであって、燃料噴射弁の無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を算出する一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を算出し、当該算出結果を学習値として更新可能に記憶し、以後、パイロット燃料噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されるよう構成されてなる電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、前記学習値として得られた基準通電時間と前記微小噴射の際の通電時間との差分を、所定の演算式により算出された分割率にしたがって分割し、前記基準通電時間の前後に配し補正通電時間を得るよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。 - 電子制御ユニットは、前記学習値として得られた基準通電時間と前記微小噴射の際の通電時間との差分が、所定の閾値を超える誤差を含むか否かの判定を行い、所定の閾値を超える誤差を含むと判定された場合に前記差分を分割して、前記基準通電時間の前後に配するよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。
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