JP2016211460A - 微小燃料噴射量補正方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、ディーゼルエンジンにおいて、燃焼を穏やかにし、燃焼時のエンジン振動の低減や、燃費の向上、排気の清浄化を図るため、パイロット噴射を多段に行うことは良く知られている技術である。
そのため、上述のような噴射量のずれを解消すべくパイロット噴射制御においては、その噴射量の補正制御が行われることが一般的である。
まず、燃料噴射弁は、その噴射孔を開閉するノズルニードルの噴射孔側の端部と反対側の端部近傍に、ノズルニードルの開閉制御のため、高圧燃料の流入、流出が制御可能に構成された圧力制御室が設けられており、ノズルニードルが噴射孔を閉じる際、圧力制御室には高圧燃料が流入せしめられ、ノズルニードルを噴射孔近傍に形成された弁座へ押圧し、噴射孔を閉鎖する一方、燃料噴射の際には圧力制御室の高圧燃料が放出され、ノズルニードルを弁座から離間させる構成となっていることを前提としている。
すなわち、シート径の拡大は、ノズルニードルが弁座から離間する際に、ノズルニードル下面に作用する高圧燃料の受圧面積の減少を招き、ノズルニードルの弁座からの離間を阻害するため、ニードルの開弁を遅らせ、その結果、燃料噴射量の減少を招く。
このような噴射量の減少を補正するため、通常、通電時間の延長が行われるが、そうすると、通電時間の延長分だけ1回目のパイロット噴射と2回目のパイロット噴射とのインターバルが減少する。
前記微小噴射を多段で行う場合に、前記微小燃料噴射量補正方法に基づく各微小噴射に対する燃料補正量が算定された際に、前後する微小噴射の噴射間隔が基準噴射間隔を下回る場合には、先行する微小噴射に対して前記基準噴射間隔を下回る噴射間隔で行われる後発の微小噴射に対する前記算定された燃料補正量を、前記燃料噴射弁の噴射特性の変動データに基づいて算出された追加補正値によって一時的に補正するよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達するため、本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
内燃機関の動作制御を実行する電子制御ユニットであって、燃料噴射弁の無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を単発で行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の通電時間を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記微小噴射の通電時間に対応する推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を算出し、当該算出結果を学習値として更新可能に記憶し、以後、微小噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出される微小燃料噴射量補正処理が実行可能に構成されてなる電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記微小噴射を多段で行う場合に、前記微小燃料噴射量補正処理に基づく各微小噴射に対する燃料補正量が算定された際に、前後する微小噴射の噴射間隔が基準噴射間隔を下回る場合には、先行する微小噴射に対して前記基準噴射間隔を下回る噴射間隔で行われる後発の微小噴射に対する前記算定された燃料補正量を、前記燃料噴射弁の噴射特性の変動データに基づいて算出された追加補正値によって一時的に補正するよう構成されてなるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における微小燃料噴射量補正方法が適用されるコモンレール式燃料噴射制御装置の構成例について図1を参照しつつ説明する。
このコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をエンジン3の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2−1〜2−nと、燃料噴射制御処理や後述するレール圧制御処理などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4に制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
燃料噴射弁2−1〜2−nは、エンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。
本発明の実施の形態においては、エンジン3の動作状態に応じて、調量弁6と圧力制御弁12のそれぞれの動作状態を適宜変えることで、適切なレール圧制御の実現が図られるようになっている。
かかる電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号が入力される他、エンジン回転数やアクセル開度、また、燃料温度などの各種の検出信号が、エンジン3の動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。
かかる構成自体は、従来から知られているこの種のコモンレール式燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
本発明の実施の形態において前提とされる微小燃料噴射量補正制御は、従来装置においても行われているもので、燃料噴射弁2−1〜2−nの劣化や製造ばらつき等に起因して、特に、パイロット噴射における燃料噴射量の本来の燃料噴射量からのずれを補正するに好適なものである。
すなわち、上述の数十回程度の微小噴射は、通電時間を変えながら複数回行われ、目標噴射量での微小噴射の際に生ずるエンジン回転数の変動量に対応する角速度変動が抽出され、その角速度変動となる通電時間が検出される。なお、目標噴射量が微小噴射としてのパイロット噴射の噴射量に対するものである場合、すなわち、目標パイロット噴射量である場合には、上述の角速度変動は、基準角速度変動とされる。
ここで、基準通電時間は、燃料噴射弁2−1〜2−nの各々の使用開始時点における通電時間である。換言すれば、基準通電時間は、燃料噴射弁2−1〜2−nの使用開始直前に実測された通電時間であり、燃料噴射弁2−1〜2−n毎に、レール圧と燃料噴射量とに対応する通電時間がマップ化(以下、便宜的に「基準通電時間マップ」と称する)されて、電子制御ユニット4に予め記憶されているものである。
同図において、「無噴射較正」と表記されると共に符号M2−1が付された箇所は、先に説明した複数回の微小噴射を行うことで目標パイロット噴射量に対応する角速度変動である基準角速度変動を得、その基準角速度変動を得るに要した通電時間ETが検出されるまでの一連の処理を模式的に表している。
この基準通電時間マップから読み出される基準通電時間と上述の通電時間ETは、減算処理(図2の符号M2−3が付された箇所)に供せられ、減算処理により差分ΔETが求められるようになっている。
学習値が取得された以後は、該当する目標レール圧、燃料噴射量における通電時間は、基準通電時間を学習値で補正したもの、すなわち、基準通電時間と差分通電時間学習値ΔETとの加算結果とされ(図2の符号M2−6参照)、燃料噴射弁2−1〜2−nの劣化等による通電時間、燃料噴射量のずれが補正されるようになっている。
電子制御ユニット4による処理が開始されると、燃料噴射弁2−1〜2−nの各々について、噴射特性のドリフト(インジェクタドリフト)、すなわち、噴射特性の変動に関するデータ取得が既に済んでいるか否かが判定される(図3のステップS102参照)。
また、変動に関するデータとは、各々の噴射特性要素について予め定められた標準値からの変動量を意味する。
なお、上述の各噴射特性要素の標準値は、燃料噴射弁2−1〜2−nの具体的な仕様や、個々の燃料噴射弁2−1〜2−nの実際に取得された噴射特性に関するデータ等に基づいて、実際にはばらつきのあるデータのなかで、いわゆる中央値となる値を選定するのが好適である。
なお、本発明の実施の形態においては、噴射特性要素の変動データの取得には、先にコモンレール式燃料噴射制御装置の前提として説明した微小燃料噴射量補正制御が実行されて必要な学習値の取得がなされることも含むものとする。
ステップS104において、噴射間隔tintが基準噴射間隔Tsを上回っていると判定された場合(YESの場合)には、後述する短噴射間隔用追加噴射補正が必要な状態ではないとして、以後、従来同様の微小噴射量補正制御による通常の噴射補正が実行されることとなる(図3のステップS106参照)。
すなわち、本来のパイロット噴射量を得るために必要とされる、追加補正噴射時間、及び、追加補正タイミングと、噴射特性に関する変動データとの間には、相関関係がある。
そこで、追加補正噴射時間、及び、追加補正タイミングの算出は、例えば、予め選定された噴射特性に関する変動データ、例えば、噴射間隔tintの変動量と第2回目のパイロット噴射の噴射量の変動量に対して、必要とされる追加補正噴射時間、及び、追加補正タイミングを、試験結果やシミュレーション結果等に基づいて予めそれぞれ定めた演算式により算出するか、又は、それぞれ予め定められたマップを用いて定めるのが好適である。
これらマップは、電子制御ユニット4の適宜な記憶領域に記憶、保持させ、ステップS108の処理実行において用いるられるようにする。
なお、メインルーチンにおいては、上述のように補正された第2のパイロット噴射の噴射時間、及び、通電開始タイミングに基づいて、第2のパイロット噴射が行われることとなる。
図4において、点線で表された波形は、上述のようにシート径の拡大が生じている燃料噴射弁2−1〜2−nに対して、噴射量の補正を何ら行わずに、すなわち、従来の微小燃料噴射量補正のみならず、本発明の実施の形態における短噴射間隔用追加噴射補正も行うことなく、2回のパイロット噴射のための通電を行った場合の概略の通電波形である。
なお、図4においては、時間軸に沿って時間の経過と共に、第1回目のパイロット噴射の概略通電波形、次いで、第2回目のパイロット噴射の概略通電波形が示されたものとなっている。
この場合の噴射量は、前提条件として、シート径の拡大が発生していることに起因して、2回のパイロット噴射のそれぞれにおいて、本来必要な量を下回っている状態である。
この場合、2回のパイロット噴射の通電開始は、噴射量の減少を補うべく、従来の微小燃料噴射量補正が行われない場合(点線の概略波形参照)に比して、いずれも早められたものとなっている。
一方、第2回目のパイロット噴射においては、先の前提条件の下では、従来の微小燃料噴射量補正が過度に作用し、その噴射量は、本来所望されている量を超えたものとなっている。
その結果、この2回目のパイロット噴射の噴射量は、適正な量に補正されたものとなる(図5の二点鎖線の燃料噴射量概略変化特性線参照)。
2−1〜2−n…燃料噴射弁
3…エンジン
4…電子制御ユニット
Claims (10)
- 燃料噴射弁が無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を単発で行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の通電時間を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記微小噴射の通電時間に対応する推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶し、以後、微小噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されるよう構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における微小燃料噴射量補正方法であって、
前記微小噴射を多段で行う場合に、前記微小燃料噴射量補正方法に基づく各微小噴射に対する燃料補正量が算定された際に、前後する微小噴射の噴射間隔が基準噴射間隔を下回る場合には、先行する微小噴射に対して前記基準噴射間隔を下回る噴射間隔で行われる後発の微小噴射に対する前記算定された燃料補正量を、前記燃料噴射弁の噴射特性の変動データに基づいて算出された追加補正値によって一時的に補正することを特徴とする微小燃料噴射量補正方法。 - 前記追加補正値は、前記微小燃料噴射量補正方法に基づいて算定された前記後発の微小噴射の通電時間を補正する追加補正噴射時間と、前記微小燃料噴射量補正方法に基づいて算定された前記後発の微小噴射の通電開始タイミングを補正する追加補正タイミングであることを特徴とする請求項1記載の微小燃料噴射量補正方法。
- 前記燃料噴射弁の噴射特性の変動データは、少なくとも 前後する2つの微小噴射の噴射間隔の変化と、前記後発の微小噴射の噴射量の変化に関するデータであることを特徴とする請求項2記載の微小燃料噴射量補正方法。
- 前記微小噴射の通電時間は、燃料噴射が無噴射状態にある場合に、レール圧に応じて設定される目標噴射量での微小噴射が、1燃料噴射サイクルに1微小噴射を基本として通電時間を変えながら複数回実行され、前記目標噴射量での微小噴射の際に生ずるエンジン回転数の変動量に対応する角速度変動を基準角速度変動として抽出し、当該基準角速度変動に対応する通電時間として決定されることを特徴とする請求項3記載の微小燃料噴射量補正方法。
- 前記微小噴射は、メイン噴射に先行するパイロット噴射であることを特徴とする請求項4記載の微小燃料噴射量補正方法。
- 内燃機関の動作制御を実行する電子制御ユニットであって、燃料噴射弁の無噴射状態において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を単発で行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の通電時間を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記微小噴射の通電時間に対応する推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を算出し、当該算出結果を学習値として更新可能に記憶し、以後、微小噴射の際に、前記基準通電時間を前記学習値により補正した値を通電時間とすることで、燃料噴射弁の噴射特性のずれに起因する燃料噴射量のずれを補正可能とし、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出される微小燃料噴射量補正処理が実行可能に構成されてなる電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記微小噴射を多段で行う場合に、前記微小燃料噴射量補正処理に基づく各微小噴射に対する燃料補正量が算定された際に、前後する微小噴射の噴射間隔が基準噴射間隔を下回る場合には、先行する微小噴射に対して前記基準噴射間隔を下回る噴射間隔で行われる後発の微小噴射に対する前記算定された燃料補正量を、前記燃料噴射弁の噴射特性の変動データに基づいて算出された追加補正値によって一時的に補正するよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。 - 前記追加補正値は、前記微小燃料噴射量補正方法に基づいて算定された前記後発の微小噴射の通電時間を補正する追加補正噴射時間と、前記微小燃料噴射量補正方法に基づいて算定された前記後発の微小噴射の通電始タイミングを補正する追加補正タイミングであることを特徴とする請求項6記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。
- 前記燃料噴射弁の噴射特性の変動データは、少なくとも 前後する2つの微小噴射の噴射間隔の変化と、前記後発の微小噴射の噴射量の変化に関するデータであることを特徴とする請求項7記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。
- 前記電子制御ユニットは、
前記微小噴射の通電時間を、燃料噴射が無噴射状態にある場合に、レール圧に応じて設定される目標噴射量での微小噴射を、1燃料噴射サイクルに1微小噴射を基本として通電時間を変えながら複数回実行し、前記目標噴射量での微小噴射の際に生ずるエンジン回転数の変動量に対応する角速度変動を基準角速度変動として抽出し、当該基準角速度変動に対応する通電時間として決定するよう構成されてなることを特徴とする請求項8記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。 - 前記微小噴射は、メイン噴射に先行するパイロット噴射であることを特徴とする請求項9記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。
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