JP2013014556A - 修復部分を識別可能な歯科用修復材料 - Google Patents

修復部分を識別可能な歯科用修復材料 Download PDF

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剛大 亀谷
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Abstract

【課題】歯質及び歯周組織と容易に識別でき、蛍光発光のための光照射形態の問題が改善された歯科用修復材料を提供する。
【解決手段】可視光照射により青色の蛍光を発する蓄光性蛍光体を含有する歯科用修復材料とする。当該歯科用修復材料は、その他の成分として、重合性単量体、無機粒子、及び重合開始剤をさらに含んでいてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、修復部分を識別可能な歯科用修復材料に関する。さらに詳しくは、可視光照射によって長残光の青色蛍光を発することにより、口腔内の色調の影響を受けることなく修復部分と歯質及び歯周組織とを容易に識別できる歯科用修復材料に関する。
近年、歯科修復治療では、歯科用コンポジットレジン等の審美性に優れた歯科用修復材料が使用されるようになってきた。しかし、二次う蝕の発生や変色といった種々の理由から、再治療のため歯科用修復材料を取り外す必要が生じた場合や、支台築造におけるコア材と歯質のマージン部分の形成のため歯科用修復材料を除去する場合、審美性に優れるがゆえに天然歯と修復部分の区別がつかず、歯科用修復材料と一緒に正常な歯質まで除去してしまう、またこれによって、残存歯質の強度が弱くなる、などの課題があった。
このような課題を解決するため、従来、蛍光を発することにより歯質と容易に識別できる歯科用修復材料が考案されている。
例えば、特許文献1には、可視波長の光を照射することによって発光する添加剤を含有する歯科用補修材料が開示されている。当該材料では、添加剤としてクロムで活性化された粉砕ルビーが配合され、可視波長の光を照射することによってピンク色の蛍光を発し、歯質と歯科用補修材料との判別が可能になる。
また、特許文献2には、約200〜400nmの波長の紫外光を照射することによって蛍光を発する蛍光色素を含有する歯科用組成物が開示されている。当該組成物では、蛍光色素として7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリンが配合され、特定の波長の紫外光を照射することによって青色の蛍光を発し、歯質と歯科用組成物との判別が可能になる。
特開平2−286610号公報 特表2009−510120号公報
特許文献1に記載の歯科用補修材料においては、可視波長の光を照射することによりピンク色の蛍光を発するが、蛍光色が口腔内の色と非常に近似しているため、歯科用補修材料と歯周組織との識別性が低下するという問題があった。また、特許文献2に記載の歯科用組成物においては、紫外光を照射することにより、識別しやすい青色の蛍光を発するが、紫外光照射を止めると天然色に直ちに戻るものであるため、作業中照射し続けなければならず、作業性に問題があり、また紫外光に長時間暴露されることによって人体に悪い影響を与える可能性があった。すなわち、蛍光発光のための光照射形態に問題のあるものであった。
そこで、本発明は、歯質及び歯周組織と容易に識別でき、蛍光発光のための光照射形態の問題が改善された歯科用修復材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を続けた結果、可視光を照射することにより長残光の青色蛍光を発する蓄光性蛍光体を歯科用修復組成物に配合することにより、歯質及び歯周組織と容易に識別でき、蛍光発光のための光照射形態の問題が改善された歯科用修復材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、可視光照射により青色の蛍光を発する蓄光性蛍光体を含有する歯科用修復材料である。
本発明においては、前記蓄光性蛍光体に、波長400〜515nmの光を25000lxの照度で5秒間照射したときに、照射停止から2分後の青色光の残光輝度が100mcd/m2以上であることが好ましい。
前記蓄光性蛍光体は、波長400〜500nmの可視光の照射により青色の蛍光を発するものであることが好ましい。前記蓄光性蛍光体は、カルシウム原子、ストロンチウム原子、及びバリウム原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、アルミニウム原子と、酸素原子とから本質的になる化合物を母結晶とすることが好ましい。前記蓄光性蛍光体は、賦活剤としてユウロピウムを含むことが好ましい。前記蓄光性蛍光体は、共賦活剤としてジスプロシウムを含むことが好ましい。
前記歯科用修復材料は、重合性単量体、無機粒子、及び重合開始剤をさらに含むことが好ましい。
本発明の歯科用修復材料により修復された部分に、歯科用可視光線照射器を用いて可視光を照射した場合には、当該修復部分は長時間にわたって青色の蛍光を発する。従って、本発明によれば、修復部分を、歯質及び歯周組織と容易に識別することができ、作業中可視光を照射し続ける必要がなく、作業性にも優れる。また、照射光が可視光であり、照射し続ける必要もないため、人体に悪影響を与えるおそれがない。
本発明の歯科修復材料は、可視光照射により青色の蛍光を発する蓄光性蛍光体を含有することに特徴がある。
蓄光性蛍光体は、照射光を吸収及び蓄積して、光照射を停止しても即座に消光せず、暗所で照射光を徐々に放出して発光する長残光性の蛍光体である。本発明に用いられる蓄光性蛍光体は、可視光、好ましくは、400〜500nmの波長の可視光の照射によって長残光の青色の蛍光を発光し得るものであれば特に制限はなく、このような蛍光特性を有する一般公知の蓄光性蛍光体を用いてよい。
蓄光性蛍光体の残光特性に関し、修復治療の作業性の観点から、前記蓄光性蛍光体に、波長400〜515nmの光を25000lxの照度で5秒間照射したときに、照射停止から2分後の青色光の残光輝度が100mcd/m2以上であることが好ましい。
本発明において、蓄光性蛍光体は、可視光照射により残光時間が長く歯質及び歯周組織との識別性に優れる青色蛍光が得られやすいことから、母結晶に賦活剤が添加された無機蛍光体であることが好ましい。蓄光性蛍光体は、さらに共賦活剤を含んでいてもよい。
蓄光性蛍光体の母結晶は、カルシウム原子、ストロンチウム原子、及びバリウム原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、アルミニウム原子と、酸素原子とから本質的になる化合物であることが好ましい。なお、化合物が、カルシウム原子、ストロンチウム原子、及びバリウム原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、アルミニウム原子と、酸素原子とから本質的になるとは、基本的に、化合物がこれらの原子のみからなるが、蓄光性蛍光体の蛍光特性に悪影響を及ぼさない程度であれば、化合物に他の元素の原子が不純物として混入されていてもよいこと意味する。母結晶は、M4Al1425で表される化合物(Mは、カルシウム原子、ストロンチウム原子、及びバリウム原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子)であることがより好ましい。
蓄光性蛍光体は、賦活剤としてユウロピウムを含むことが好ましい。
蓄光性蛍光体は、共賦活剤としてジスプロシウムを含むことが好ましい。
蓄光性蛍光体として特に好ましくは、Sr4Al1425:Eu,Dyである。当該蓄光性蛍光体としては、市販品として、ルミノーバBG、ルミノーバBGL((株)根本特殊化学製)などが入手可能である。
蓄光性蛍光体は、好ましくは重合性単量体と組み合わせて歯科用修復材料に用いられる。このとき、該蓄光性蛍光体と重合性単量体との親和性を改善したり、該蓄光性蛍光体と重合性単量体との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、蓄光性蛍光体に予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。
かかる表面処理剤として、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物が挙げられる。有機金属化合物を2種以上使用する場合は、2種以上の有機金属化合物の混合物の表面処理層としてもよいし、複数の有機金属化合物層が積層した複層構造の表面処理層としてもよい。
有機ケイ素化合物としては、R1nSiX4-nで表される化合物が挙げられる(式中、R1は、炭素数1〜12の置換又は無置換の炭化水素基であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nは、0〜3の整数である。R1及びXが複数ある場合にはそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
この中でも、重合性単量体と共重合し得る官能基を有するカップリング剤、例えばω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が特に好ましく用いられる。
有機チタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニルアセテート等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウム有機酸塩キレート化合物等が挙げられる。
蓄光性蛍光体は、歯科用修復材料に粒子の形態で歯科用修復材料に配合されることが好ましい。粒子の形状としては、球状であっても非球状であってもよい。粒子の平均一次粒子径としては、1〜60μmが好ましく、2〜40μmがより好ましい。
なお、蓄光性蛍光体粒子の平均一次粒子径は、これ以上解砕されない最小単位の粒子の平均直径であり、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
蓄光性蛍光体の配合量としては、蛍光の発光強度と歯科用修復材料としての特性のバランスに応じて適宜設定すればよいが、歯科用修復材料の全重量に対し、1〜20重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
本発明の歯科用修復材料は、硬化性成分として、重合性単量体を含むことが好ましい。重合性単量体としては、歯科材料に使用される公知の重合性単量体が何ら制限無く用いられるが、一般には、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。重合性単量体におけるラジカル重合性単量体の具体例としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリルの表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。
以下に(メタ)アクリル酸エステル系及び(メタ)アクリルアミド誘導体系の重合性単量体の具体例を挙げる。(I)一官能性(メタ)アクリレート及び一官能性(メタ)アクリルアミド誘導体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
(II)二官能性(メタ)アクリレートの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート(2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、通称Bis−GMA)、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート等が挙げられる。
(III)三官能性以上の(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
前記重合性単量体は、いずれも、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、歯質、金属、セラミックスなどに対する接着性を向上させる場合、本発明の歯科用修復材料には、これらの被着体に対する接着性を付与する機能性モノマーを重合性単量体として含有させることが好ましい場合がある。
機能性モノマーとして、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー、及び11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などのカルボン酸基を有するモノマーが挙げられる。これらは、歯質や非金属に対して優れた接着性を呈するので好ましい。
また、機能性モノマーとして、例えば、10−メルカプトデシル(メタ)アクリレート、6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン、特開平10−1473号公報に記載のチオウラシル誘導体や特開平11−92461号公報に記載の硫黄元素を有する化合物が挙げられる。これらは、貴金属に対して優れた接着性を呈するので、好ましい。
さらに、機能性モノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤は、セラミックス、陶材、歯科用コンポジットレジンへの接着に効果的である。
本発明の歯科用修復材料が、重合性単量体を含む場合には、硬化性向上のために、重合開始剤を含むことが好ましい。このとき、重合促進剤をさらに含むことが好ましい。
重合開始剤としては、歯科用修復材料に使用される公知の重合開始剤が何ら制限なく使用される。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤が、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
光重合開始剤としては、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類、水溶性アシルフォスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類のうち、アシルフォスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルフォスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)フォスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、アシルフォスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、欧州特許第0009348号明細書又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
上記水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、アセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、アセチルメチルフォスフォネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル−4−オキソフォスフォノブタノエート・モノナトリウ厶塩、アセチルフェニールフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシペンチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルフォスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリディン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ディアジン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、アセチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフォナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)フォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートオキシム・ナトリウ厶塩、アセチルメチルフォスフィネート−O−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルヒドラゾンエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、フォーミルメチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルフォスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及び水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが使用できる。
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウ厶塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
上記光重合開始剤として用いられるケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるクマリン化合物の例としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6、7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
上述のクマリン化合物の中でも、特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
上記光重合開始剤として用いられるアントラキノン類の例としては、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−アミノケトン類の例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、α−ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す歯科用修復材料が得られる。
本発明に用いられる重合開始剤のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチルエステル等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤の含有量は特に限定されないが、得られる歯科用修復材料の硬化性等の観点からは、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合開始剤が0.001〜30重量部含有されることが好ましい。重合を十分に進行させ、機械的強度を十分に確保する観点から、重合開始剤の含有量は0.001重量部以上が好ましく、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、歯科用修復材料からの析出を抑制し、機械的強度を十分に確保する観点から、重合開始剤の含有量は30重量部以下が好ましく、より好適には20重量部以下、さらに好適には15重量部以下、最も好適には10重量部以下である。
重合促進剤としては、歯科用修復材料に使用される公知の重合促進剤が何ら制限なく使用され、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
重合促進剤としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ尿素化合物などが挙げられる。
重合促進剤として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、歯科用修復材料の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、歯科用修復材料に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
重合促進剤として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
重合促進剤として用いられるボレート化合物は、好ましくはアリールボレート化合物である。好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物としては、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基又はn−ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
重合促進剤として用いられるバルビツール酸誘導体としては、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5−ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が例示される。
特に好適なバルビツール酸誘導体としては、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩が挙げられる。
重合促進剤として用いられるトリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
重合促進剤として用いられる銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
重合促進剤として用いられるスズ化合物としては、例えば、ジ−n−ブチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ−n−オクチル錫ジラウレート及びジ−n−ブチル錫ジラウレートである。
重合促進剤として用いられるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等の特開2003−96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
重合促進剤として用いられるハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等が好適に用いられる。
重合促進剤として用いられるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
重合促進剤として用いられるチオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
重合促進剤として用いられる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。
重合促進剤として用いられる亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。
重合促進剤として用いられるチオ尿素化合物としては、1−(2−ピリジル)−2−チオ尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−プロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−n−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤の含有量は特に限定されないが、得られる歯科用修復材料の硬化性等の観点からは、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合促進剤を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。重合を十分に進行させ、機械的強度を確保する観点から、重合促進剤の含有量は0.001重量部以上が好ましく、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、歯科用修復材料からの析出を抑制し、十分な機械的強度を確保する観点から、重合促進剤の含有量は30重量部以下が好ましく、より好適には20重量部以下、さらに好適には10重量部以下である。
本発明の歯科用修復材料は、機械的特性などの観点から、無機粒子を含有することが好ましい。また、本発明の歯科用修復材料は、ペースト操作性などの向上を目的として、無機超微粒子を含んでいてもよい。なお、本発明においては、平均一次粒子径が0.1μm以上の粒子を無機粒子、0.1μm未満の粒子を無機超微粒子として分類する。
無機粒子としては、歯科用修復材料に使用される公知の無機粒子が何ら制限なく使用される。当該無機粒子としては、各種ガラス類〔シリカを主成分とし、必要に応じ、重金属、ホウ素、アルミニウム等の酸化物を含有する。例えば、溶融シリカ、石英、ソーダライムシリカガラス、Eガラス、Cガラス、ボロシリケートガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)等の一般的な組成のガラス粉末;バリウムガラス(GM27884、8235、ショット社製、Ray−SorbE2000、Ray−SorbE3000、SpecialtyGlass社製)、ストロンチウム・ボロシリケートガラス(Ray−SorbE4000、SpecialtyGlass社製)、ランタンガラスセラミックス(GM31684、ショット社製)、フルオロアルミノシリケートガラス(GM35429、G018−091、G018−117、ショット社製)などの歯科用ガラス粉末〕、各種セラミック類、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア等の複合酸化物、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、硬化物の機械的特性などの向上の観点から、シリカを主成分として含むもの(シリカを25重量%以上、好ましくは40重量%以上含むもの)が好適である。
無機粒子の平均一次粒子径としては、0.1〜1.0μmが好ましく、0.2〜0.9μmがより好ましく、0.4〜0.7μmが特に好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では、機械的強度が不十分であったり、ペーストにべたつきを生じ操作性が不十分となるおそれがあり、1.0μmを超えると、硬化物の研磨滑沢性や滑沢耐久性を損なうおそれがある。
なお、無機粒子の平均一次粒子径は、これ以上解砕されない最小単位の粒子の平均直径であり、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
無機粒子を重合性単量体と組み合わせて歯科用修復材料に用いる場合には、該無機粒子と重合性単量体との親和性を改善したり、該無機粒子と重合性単量体との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。かかる表面処理剤としては蓄光性蛍光体で例示した有機金属化合物を同様に用いることができる。
無機粒子の形状としては特に制限されることなく、不定形もしくは球形の粒子の粉末として用いることができる。不定形の無機粒子を用いると、機械的強度及び耐磨耗性に特に優れ、球形の無機粒子を用いると、研磨滑沢性及び滑沢耐久性に特に優れる。無機粉末の形状は歯科用修復材の目的に応じて適宜選択すればよい。
無機粒子の配合量としては、歯科修復材料の全体量に対し、30〜80重量%が好ましく、60〜75重量%がより好ましい。
無機超微粒子としては、歯科用修復材料に使用される公知の無機超微粒子が何ら制限なく使用される。好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、又はこれらからなる複合酸化物粒子、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、フッ化イッテルビウム等が挙げられる。好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ、アルミナ、チタニア等の粒子であり、例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル、アエロキサイドAluC、アエロキサイドTiO2P25、アエロキサイドTiO2P25S、VP Zirconium Oxide 3−YSZ、VP Zirconium Oxide 3−YSZ PHが挙げられる。
無機超微粒子の平均一次粒子径としては、5〜50nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。なお、無機超微粒子の平均粒子径は、超微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、無作為に選択した100個の超微粒子の粒子径の平均値として測定できる。なお、超微粒子が非球状である場合には、粒子径は、超微粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とする。
無機超微粒子を重合性単量体と組み合わせて歯科用修復材料に用いる場合には、該無機超微粒子と重合性単量体との親和性を改善したり、該無機超微粒子と重合性単量体との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。かかる表面処理剤としては蓄光性蛍光体で例示した有機金属化合物を同様に用いることができる。
無機超微粒子の配合量としては、歯科用修復材料の全重量に対し、5〜50重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。
本発明の歯科用修復材料には、目的に応じて、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、着色剤、抗菌剤、X線造影剤、増粘剤、その他の蛍光剤、フッ素源などをさらに添加することも可能である。
例えば、硬化後の表面からフッ素イオン徐放性を期待する場合は、フルオロアルミノシリケートガラス、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ素イオン徐放性フィラーを添加することもできる。
抗菌性を期待する場合は、例えば、セチルピリジニウムクロライド、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイドなどの抗菌活性を有する界面活性剤や光触媒性酸化チタンを添加することができる。
本発明の歯科用修復材料は、歯科用コンポジットレジン、技工用コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジン、歯科用セメント(レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント)、歯科用ポスト、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン、CAD/CAM用ミルブランク等として用いることができ、修復部分と歯質の識別の観点から、特に、歯科用コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジンとして好適に用いられる。
本発明の歯科用修復材料により修復された部分に、歯科用可視光線照射器を用いて可視光を照射した場合には、当該修復部分は長時間にわたって青色の蛍光を発する。特に、一般的な歯科用可視光線照射器による光照射が数秒(例えば5秒)でも、修復部位を、数分間(例えば2分間)以上蛍光発光させることも可能である。従って、本発明によれば、修復部分を、歯質及び歯周組織と容易に識別することができ、作業中可視光を照射し続ける必要がなく、作業性にも優れる。また、照射光が可視光であり、照射し続ける必要もないため、人体に悪影響を与えるおそれがない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔製造例1〕 重合性単量体組成物Aの製造
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(エトキシ基の平均付加モル数:2.6)(D2.6Eと称する)70重量部と、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMAと称する)30重量部を混合し、得られた重合性単量体100重量部に対して、重合開始剤としてα−カンファーキノン0.5重量部、及び重合促進剤として4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル1.0重量部を溶解させ、重合性単量体組成物Aを得た。
〔製造例2〕 無機粒子Bの製造
市販バリウムガラス(GM27884NF180、ショット社製)(平均一次粒子径:0.2μm)100gをエタノール500mLに分散し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gと水5gを加えて、室温で2時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって表面処理して、無機粒子Bを得た。
〔製造例3〕 無機超微粒子Cの製造
市販微粒子アルミナ(AEROXIDE Alu C、日本アエロジル社)(平均一次粒子径:0.02μm)100gに対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30gと水15gを加えて、製造例2と同様の方法により表面処理して、無機超微粒子Cを得た。
〔製造例4〕 蓄光性青色蛍光体Dの製造
市販蓄光性青色蛍光体(Sr4Al1425:Eu,Dy;ルミノーバBGL−300FFS、根本特殊化学社製、励起波長200〜450nm)100gに対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2gと水1gを加えて、製造例2と同様の方法により表面処理して、蓄光性青色蛍光体Dを得た。粒子の平均一次粒子径は、2.4μmであった。また、下記の方法で評価した蛍光体の残光輝度は、照射停止直後で308mcd/m2、照射停止から2分後で200mcd/m2であった。
〔製造例5〕 蓄光性赤色蛍光体Eの製造
市販蓄光性赤色蛍光体(ヒカリ・マス、TDOグラフィックス社製)100gに対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2gと水1gを加えて、製造例2と同様の方法により表面処理して、蓄光性赤色蛍光体Eを得た。粒子の平均一次粒子径は、25μmであった。また、下記の方法で評価した蛍光体の残光輝度は、照射停止直後で173mcd/m2、照射停止から2分後で75mcd/m2であった。
〔製造例6〕 青色蛍光体Fの製造
市販青色蛍光体(Sr5(PO43Cl:Eu;NP−103、日亜化学社製)100gに対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2gと水1gを加えて、製造例2と同様の方法により表面処理して、青色蛍光体Fを得た。粒子の平均一次粒子径は、30μmであった。また、下記の方法で評価した蛍光体の残光輝度は、照射停止直後、照射停止から2分後共に0mcd/m2であった。
〔蛍光体残光輝度試験〕
製造例4〜6の蓄光性青色蛍光体D、蓄光性赤色蛍光体E、及び青色蛍光体F各0.025gに対し、歯科用可視光線照射器(JETライト3000、モリタ社製、有効波長域400〜515nm)を用いて25000lxの照度で5秒間光照射した。照射停止直後及び照射停止から2分後の各蛍光体の発光する蛍光の輝度を輝度計LS−100(コニカミノルタ社製)にて測定した。
〔実施例1〜3及び比較例1〜3〕
重合性単量体組成物A30重量部と無機粒子B65重量部と無機超微粒子C5重量部を混合、練和して均一にし、硬化性組成物を得た。さらに硬化性組成物100重量部に対し、蓄光性青色蛍光体D、蓄光性赤色蛍光体E、青色蛍光体Fをそれぞれ表1に記載する配合量(重量部)で混合、練和して均一にし、これを真空脱泡して、実施例1〜3及び比較例1〜3の歯科用修復材料を得た。
〔試験例1〕 歯質色に対する識別性試験
直径15mmの貫通孔を開けた厚さ1mmのステンレス製型に歯科用修復材料を填入し、ポリプロピレンフィルムで圧接して、歯科用可視光線照射器(JETライト3000、モリタ社製)で歯科用修復材料全体に光があたるように5箇所を各20秒ずつ光照射し、硬化物を得た。硬化物を光の通らないブラックBOXに入れ、24時間保存した後、蛍光灯下に取り出し、歯科用修復材料色度板を得た。また、市販歯科充填用コンポジットレジン(クラレメディカル社製、クリアフィルAP−X、A2シェード)の直径15mm、厚さ1mmの硬化板を、当該製品の製品取扱説明書に記載された硬化条件に従って作製し、歯質色色度板を得た。実施例1〜3及び比較例1〜2については、歯科用可視光線照射器(JETライト3000、モリタ社製、有効波長域400〜515nm)、比較例3については、紫外線照射器(LEDブラックライト、サウスウォーカー社製、波長375nm)を用いて、歯科用修復材料色度板に5秒間光照射した。光照射直後及び、光照射から2分後の歯科用修復材料色度板を写真撮影し、得られた写真に映し出されている色度板像の色(白背景のL1*,a1*,b1*)を分光色差計(日本電色工業社製、SE6000、光源D65/2)を用いて測定した。また、同様にして、歯質色色度板の色(白背景のL2*,a2*,b2*)を測定した。歯科用修復材料色度板と歯質色色度板の色の値から、下式を用いて、色差ΔE*を求め、識別性を評価した。ΔE*は大きいほど良く、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。
ΔE*={(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)21/2
〔試験例2〕 歯肉色に対する識別性試験
試験例1と同様の作製方法に従って、歯科用修復材料色度板を得た。また、市販義歯床用硬質裏装材(クラレメディカル社製、クラリベース、色調はピンク)の直径15mm、厚さ1mmの硬化板を、当該製品の製品取扱説明書に記載された硬化条件に従って作製し、歯肉色色度板を得た。実施例1〜3及び比較例1〜2については、歯科用可視光線照射器(JETライト3000、モリタ社製、有効波長域400〜515nm)、比較例3については、紫外線照射器(LEDブラックライト、サウスウォーカー社製、波長375nm)を用いて、歯科用修復材料色度板に5秒間光照射した。光照射直後及び、光照射から2分後の歯科用修復材料色度板を写真撮影し、得られた写真に映し出されている色度板像の色(白背景のL1*,a1*,b1*)を分光色差計(日本電色工業社製、SE6000、光源D65/2)を用いて測定した。また、同様にして、歯肉色色度板の色(白背景のL2*,a2*,b2*)を測定した。歯科用修復材料色度板と歯肉色色度板の色の値から、試験例1と同様に、色差ΔE*を求め、識別性を評価した。ΔE*は大きいほど良く、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。
〔試験例3〕 歯科用修復材料蛍光輝度試験
試験例1と同様の作製方法に従って、歯科用修復材料の硬化物を得た。硬化物を光の通らないブラックBOXに入れ、24時間保存した後、蛍光灯下に取り出し、歯科用修復材料色度板を得た。実施例1〜3及び比較例1〜2については、歯科用可視光線照射器(JETライト3000、モリタ社製、有効波長域400〜515nm)、比較例3については、紫外線照射器(LEDブラックライト、サウスウォーカー社製、波長375nm)を用いて、歯科用修復材料色度板に5秒間光照射した。照射停止直後及び照射停止から2分後の歯科用修復材料色度板の発光する蛍光の輝度を輝度計LS−100(コニカミノルタ社製)にて測定した。
Figure 2013014556
実施例1と比較例1の結果が示すように、蓄光性青色蛍光体Dを配合した場合、光照射後、歯質色及び歯肉色に対し、良好な識別性を示し、その識別性は、光照射後2分経過後も維持される。また、実施例1〜3の結果が示すように、蓄光性青色蛍光体Dの配合量を増やすことにより、識別性は高まる。一方、比較例2の結果が示すように、蓄光性赤色蛍光体Eを配合した場合には、蛍光色が赤味を帯びているため、歯肉色に対しては、識別性を示さない。また、比較例3の結果が示すように、蓄光性のない青色蛍光体Fを配合した場合には、光照射を停止した瞬間に蛍光色が消失するため、歯質色に対しては、識別性を示さない。
本発明の歯科用修復材料は、歯科用コンポジットレジン、技工用コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジン、歯科用セメント(レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント)、歯科用ポスト、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン、CAD/CAM用ミルブランク等として用いることができ、特に、歯科用コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジンとして好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 可視光照射により青色の蛍光を発する蓄光性蛍光体を含有する歯科用修復材料。
  2. 前記蓄光性蛍光体に、波長400〜515nmの光を25000lxの照度で5秒間照射したときに、照射停止から2分後の青色光の残光輝度が100mcd/m2以上である請求項1に記載の歯科用修復材料。
  3. 前記蓄光性蛍光体が、波長400〜500nmの可視光の照射により青色の蛍光を発するものである請求項1又は2に記載の歯科用修復材料。
  4. 前記蓄光性蛍光体が、カルシウム原子、ストロンチウム原子、及びバリウム原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子と、アルミニウム原子と、酸素原子とから本質的になる化合物を母結晶とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用修復材料。
  5. 前記蓄光性蛍光体が、賦活剤としてユウロピウムを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用修復材料。
  6. 前記蓄光性蛍光体が、共賦活剤としてジスプロシウムを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯科用修復材料。
  7. 前記歯科用修復材料が、重合性単量体、無機粒子、及び重合開始剤をさらに含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯科用修復材料。
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