JP2013014055A - フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金型11に連続搬送されるフィルム状支持体21上に、2つ以上の樹脂供給手段12,13から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を順次切り替えて連続供給し、支持体21と金型11とで挟み、活性エネルギー線を照射して硬化させてフィルムを連続製造する方法であって、少なくとも2番目に供給される樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されないように支持体上に供給され、樹脂の切り替え時には、フィルム状支持体への供給中の樹脂組成物と、次の樹脂組成物の供給量の総量が一定またはそれ以上になるように樹脂組成物を切り替える、フィルムの製造方法。
【選択図】図1
Description
また、紫外線硬化性樹脂の供給方法としては、図4に示す方法以外にも、例えば樹脂塗工に通常用いられるTダイを使用する方法(特許文献1、2参照)、樹脂を棒状に吐出させた後、ロールで強制的に圧延し、幅方向に展開させる方法(特許文献3参照)なども知られている。
この樹脂の残存痕の転写は、金型表面に付着した硬化不良の紫外線硬化性樹脂が硬化樹脂層に全て移行すれば解消されるが、硬化不良の紫外線硬化性樹脂の移行が完了するまでには、金型にフィルム支持体を数100m搬送する必要があった。また、この間に製造されたフィルムは、樹脂の残存痕が転写されているため、通常、廃棄処分されていた。
なお、本発明において、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、可視光線、プラズマ、赤外線などの熱線等を意味する。
また、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
さらに(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物」は、オキシアルキレン基を1つ有するオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物またはオキシアルキレン基を2つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を意味する。
また、「微細凹凸構造」は、凸部または凹部の平均間隔が可視光波長以下、つまり400nm以下の構造を意味する。
一方、第二の樹脂供給手段13は、2番目に供給される樹脂組成物(第二の樹脂組成物)をフィルム状支持体21上に供給するものであり、第二の樹脂組成物を貯蔵する第二のタンク13aと、第二の樹脂組成物を吐出させる第二のディスペンサ13bと、第二のタンク13aおよび第二のディスペンサ13bを連結する第二の配管13cとを備える。
第一のディスペンサ12bおよび第二のディスペンサ13bには、その少なくとも一方に樹脂組成物がフィルム状支持体21の幅方向に広がるように、Tダイが取り付けられていてもよい。
まず、金型11に連続搬送されるフィルム状支持体21上に、第一の樹脂供給手段12から第一の樹脂組成物を供給する。このとき、ブレード(図示略)等を用いて第一の樹脂組成物をフィルム状支持体21の幅方向に均一に広げるのが好ましい。
ついで、金型11とニップロール14との間で、フィルム状支持体21および第一の樹脂組成物をニップし、フィルム状支持体21と金型11との間に第一の樹脂組成物を均一に行渡らせると同時に、金型11の表面に微細凹凸構造が形成されている場合には、該微細凹凸構造の凹部内に第一の樹脂組成物を充填する。
そして、金型11の下方に設置された活性エネルギー線照射装置15から、フィルム状支持体21を通して第一の樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、第一の樹脂組成物を硬化させることによって、金型11の表面構造が転写された硬化樹脂層(図示略)を形成する。
ついで、剥離ロール16により、表面に硬化樹脂層が形成されたフィルム20(第一のフィルム20a)を金型11から剥離する。
このように樹脂の切り替えを行うことで、第一の樹脂組成物の供給量は減少していくとともに、第二の樹脂組成物の供給量は増加していき、やがて、フィルム状支持体21上には第二の樹脂組成物のみが供給されることとなる。
そうして、図2に示すように、金型の表面構造が転写された、第一の樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層22a、および第二の樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層22bがフィルム状支持体21上に連続して形成されたフィルム20が得られる。
上述したように、樹脂の硬化不良により金型表面に樹脂が付着した場合は、この樹脂が次ぎに供給される樹脂組成物の硬化樹脂層に全て移行するまで、樹脂の残存痕が硬化樹脂層に転写されるため、この間に製造されたフィルムは廃棄されていた。
しかし、本発明であれば、混合硬化樹脂層22cの部分のみを廃棄すればよいので、無駄を軽減できる。
ただし、供給停止後に第一の樹脂供給手段に残った第一の樹脂組成物がディスペンサの先端などで硬化するのを抑制できる点で、第一の樹脂組成物も活性エネルギー線が照射されないように供給するのが好ましい。特に、第一の樹脂組成物の供給量の減少スピードと、第二の樹脂組成物の供給量の増加スピードを上げて、樹脂の切り替えを早く行う場合には、これらの樹脂組成物の供給位置が近い方が好ましい。従って、第一の樹脂組成物も活性エネルギー線が照射されないように供給するのが好ましい。
さらに、2つの樹脂供給手段がフィルムの幅方向に一列に並んだ状態でフィルムを製造する場合は、フィルム状支持体21上への樹脂の供給量の総量が一定またはそれ以上になるように、第一の樹脂組成物の供給を瞬時に停止するのと同時に、第二の樹脂組成物の供給を開始してもよい。
また、フィルム状支持体や金型についても特に制限されない。
以下、本発明に用いる樹脂組成物、フィルム状支持体、および金型について説明する。
本発明に用いる樹脂組成物は、少なくとも重合性化合物と重合開始剤とを含む。
(重合性化合物)
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
なお、フィルム状支持体上に1番目に供給される樹脂組成物には、内部離型剤が含まれていることが好ましい。1番目に供給され樹脂組成物が内部離型剤を含むことで、内部離型剤が金型表面に移行し、金型と硬化樹脂層との離型性が向上するので、金型からフィルムを剥離しやすくなる。
1番目に供給される樹脂組成物の硬化樹脂層と金型との離型性が良好となる点から、内部離型剤として(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を含むことが好ましい。
(HO)3−n(O=)P[−O−(CH2CH2O)m−R1]n ・・・(1)
R1は、アルキル基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。
mは、1〜10の整数が好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、モノエステル体(n=1)、ジエステル体(n=2)、トリエステル体(n=3)のいずれであってもよい。また、ジエステル体またはトリエステル体の場合、1分子中の複数の(ポリ)オキシアルキレンアルキル基はそれぞれ異なっていてもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、フィルム状支持体を活性エネルギー線の照射を介して行うため、フィルム状支持体としては、活性エネルギー線の照射を著しく阻害しないものが好ましい。フィルム状支持体の材質としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。
本発明に用いる金型としては、例えば表面に微細凹凸構造が形成された金型などが挙げられるが、表面の構造については微細凹凸構造に限定されない。
以下、表面に微細凹凸構造が形成された金型の一例について、具体的に説明する。
金型基材の材料としては、金属(表面に酸化皮膜が形成されたものを含む。)、石英、ガラス、樹脂、セラミックス等が挙げられる。
金型基材の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。
(i−1)アルミニウム基材の表面に、複数の細孔(凹部)を有する陽極酸化アルミナを形成する方法。
(i−2)金型基材の表面にリソグラフィ法によって微細凹凸構造を形成する方法。
(a)アルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、アルミニウム基材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)工程(d)と工程(e)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウムの表面に形成された金型を得る工程。
工程(a)では、アルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化して酸化皮膜を形成する。アルミニウム基材を陽極酸化すると、細孔を有する酸化皮膜が形成される。
また、アルミニウム基材は、表面状態を平滑化にするために、機械研磨、羽布研磨、化学的研磨、電解研磨処理(エッチング処理)などで研磨されることが好ましい。また、アルミニウム基材は、所定の形状に加工する際に用いた油が付着していることがあるため、陽極酸化の前にあらかじめ脱脂処理されることが好ましい。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、平均間隔が100nm以上の規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、平均間隔が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(b)では、工程(a)で形成された酸化皮膜の少なくとも一部を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する。陽極酸化の細孔発生点を形成することで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c)では、酸化皮膜の少なくとも一部を除去したアルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に円柱状の細孔を有する酸化皮膜を形成する。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(d)では、工程(c)で形成された酸化皮膜の細孔の径を拡大させる処理(以下、「細孔径拡大処理」という。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
工程(e)では、工程(d)の後アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化する。すると、円柱状の細孔の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔がさらに形成される。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(f)では、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返す。すると、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが形成され、アルミニウム基材の表面に陽極酸化アルミナを有する金型が得られる。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成されたモスアイ構造の反射率低減効果は不十分である。
細孔間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する細孔間の間隔(細孔の中心から隣接する細孔の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔の最底部と、細孔間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
細孔のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
外部離型剤としては、アルミニウム基材の陽極酸化アルミナと化学結合を形成し得る官能基を有するものが好ましい。なお、厳密には微細凹凸構造を表面に有する金型の、微細凹凸構造の表面を離型剤で処理するものであるが、以降単に「微細凹凸構造を表面に有する金型」や、「金型の表面」を処理する、と記載する場合がある。
(ii−1)外部離型剤の希釈溶液に金型を浸漬する方法。
(ii−2)外部離型剤またはその希釈溶液を、金型の微細凹凸構造が形成された側の表面に塗布する方法。
ついで、金型にエアーを吹き付け、目に見える水滴はほぼ除去した後、加水分解性シリル基を有するフッ素化合物をフッ素系溶媒で希釈した希釈溶液に金型を浸漬した後、浸漬した金型をゆっくりと溶液から引き上げる。その際、電動引き上げ機等を用いて、一定速度で引き上げ、引き上げ時の揺動を抑えることが好ましい。これにより塗布ムラを少なくできる。さらに、必要に応じて金型を加熱加湿させた後、金型を乾燥させる。
希釈用のフッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロポリエーテル、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパン等が挙げられる。加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の濃度は、希釈溶液(100質量%)中、0.01〜0.5質量%が好ましい。
例えば、金型の表面構造が微細凹凸構造である場合、フィルム表面には、樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部を有する。
また、凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した値である。
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔の間隔、細孔の深さを測定した。
以下に示す割合で各成分を混合し、第1の樹脂組成物A、第2の樹脂組成物Bを調製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20質量部、
アロニックスM−260(東亞合成社製)70質量部、
ヒドロキシエチルアクリレート10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」)1.5質量部。
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物(大阪有機化学工業社製、「TAS」)45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学社製、「C6DA」)45質量部、
ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製、「X−22−1602」)10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」)3.0質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア819」)0.2質量部。
ロール状のアルミニウム基材(純度:99.99%)を用意した。
該アルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で6時間陽極酸化を行った(工程(a))。
ついで、酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した(工程(b))。
ついで、該アルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で20秒間陽極酸化を行った(工程(c))。
ついで、酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃の5質量%リン酸水溶液に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った(工程(d))。
ついで、前記工程(c)および工程(d)を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行い(工程(e))、平均間隔:100nm、深さ:220nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状の金型を得た。
得られた金型を、オプツールDSX(ダイキン化成品販売社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬した後、一晩風乾して、離型剤で処理されたロール状の金型を得た。
図1に示すフィルムの製造装置を用い、以下のようにしてフィルムを製造した。
なお、金型11としては、先に作製した、離型剤で処理されたロール状の金型を用いた。
また、第一の樹脂供給手段から供給される第一の樹脂組成物としては、前記第一の樹脂組成物Aを用い、第二の樹脂供給手段から供給される第二の樹脂組成物としては、前記第二の樹脂組成物Bを用いた。
また、フィルム状支持体21としては、ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、「W32A」、厚さ:188μm、幅:300mm)を用いた。
そして、活性エネルギー線照射装置15を用い、フィルム状支持体21側から、積算光量1100mJ/cm2の紫外線を第一の樹脂組成物に照射し、第一の樹脂組成物を硬化させることによって、フィルム状支持体21上に金型11の表面構造が転写された硬化樹脂層(図示略)を形成した。ついで、剥離ロール16により、表面に硬化樹脂層が形成されたフィルム20(第一のフィルム20a)を金型11から剥離した。
樹脂の切り替え中、および切り替え後についても、切り替え前と同様に紫外線を樹脂組成物に照射してフィルム20を製造した。
なお、樹脂の切り替え中には、第一の樹脂組成物および第二の樹脂組成物の混合物が硬化した混合硬化樹脂層22cがフィルム状支持体21上に形成された。
また、フィルム製造後の金型表面について目視にて観察したところ、樹脂の付着は確認されなかった。
従って、本発明によれば、樹脂の切り替え時における金型表面への樹脂の付着を抑制でき、樹脂の切り替え後も樹脂の残存痕の転写を防止しつつ、樹脂の切り替え前と同様に、金型の表面構造をフィルム状支持体の表面に転写できることが示された。
実施例1と同様にして第一の樹脂供給手段12から第一の樹脂組成物を供給し、第一の樹脂組成物を硬化させて、フィルム状支持体21上に金型11の表面構造が転写された硬化樹脂層(図示略)を形成した。
200mのフィルム状支持体21の表面に第一の樹脂組成物からなる硬化樹脂層を形成した後、第一の樹脂供給手段12からの第1の樹脂組成物の供給を停止し、金型11とフィルム状支持体21との間に第一の樹脂組成物がなくなるまでフィルム状支持体21を移動させた後、一旦、フィルム状支持体21の移動を停止した。
引き続き、フィルム状支持体21の移動を再開し、第二の樹脂供給手段13から第二の樹脂組成物の供給を開始した。そして、第一の樹脂組成物の場合と同様にして第二の樹脂組成物を硬化させて、フィルム状支持体21上に金型11の表面構造が転写された硬化樹脂層(図示略)を形成した。
また、フィルム製造後の金型表面について目視にて確認したところ、第二の樹脂組成物からなる硬化樹脂層に形成された樹脂の残存痕と同様の形状のスジが確認された。このスジは第二の樹脂組成物の硬化不良による樹脂の付着が原因であり、樹脂を切り替えた後、金型表面に付着した樹脂の残存痕が微細凹凸構造とともに硬化樹脂層に転写されたものと考えられる。
11:金型、
12:第一の樹脂供給手段、
13:第二の樹脂供給手段、
15:活性エネルギー線照射装置、
20、20a、20b:フィルム、
21:フィルム状支持体、
22a、22b:硬化樹脂層
22c:混合硬化樹脂層。
Claims (1)
- 金型に連続搬送されるフィルム状支持体上に、2つ以上の樹脂供給手段から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を順次切り替えて供給し、フィルム状支持体上に供給された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を金型とフィルム状支持体とで挟み、活性エネルギー線を照射して硬化させ、金型の表面構造が転写された硬化樹脂層が前記フィルム状支持体の表面に形成されたフィルムを連続して製造する方法であって、
少なくとも2番目に供給される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されないように前記フィルム状支持体上に供給され、
樹脂の切り替え時には、フィルム状支持体への供給中の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の供給量と、次の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の供給量の総量が一定またはそれ以上になるように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を切り替える、フィルムの製造方法。
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