JP2013013293A - モータ起動制御装置およびモータ起動制御方法 - Google Patents

モータ起動制御装置およびモータ起動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 センサレス駆動方式による同期モータの駆動制御において、異常音の発生を抑制しつつ、駆動素子の破壊の危険性を低減してモータを起動することができるモータ起動制御装置およびモータ起動制御方法を提供する。
【解決手段】 起動制御部11は、強制起動期間で、ピーク値ホールド回路部17で検出されたモータ電流のピーク値のばらつきを算出し、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも大きいか否か、小さいか否、および所定範囲内であるか否かを判定する。起動制御部11は、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも大きいとき、駆動電圧の変調率を小さくし、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも小さいとき、駆動電圧の変調率を大きくする。算出したピーク値のばらつきが所定範囲内であるとき、起動を完了して、強制起動期間を終了し、通常運転期間に移行し、制御部18による位相差制御を開始する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータ起動制御装置およびモータ起動制御方法に関し、特に、空気調和機の圧縮機などに用いられ、モータ位置を検出することなく、スムーズに同期モータを駆動するためのモータ起動制御装置およびモータ起動制御方法に関する。
永久磁石同期モータ(以下「同期モータ」という)は、永久磁石回転子(以下「回転子」という)と固定子巻き線(以下「巻き線」という)とを有し、制御性および保守性に優れており、さらに、高効率および高出力の運転が可能であり、広く空気調和機の圧縮機などに使用されている。同期モータの駆動制御では、回転子の磁極位置と、通電する巻き線の位置とを関係付けて制御することが必要である。
空気調和機などの圧縮機用の同期モータでは、回転子の磁極位置を検出することができないため、矩形波駆動制御や120度駆動制御の駆動方式においては、巻き線に誘起される誘起電圧を利用して、該回転子の磁極位置を検出するセンサレス位置検出方式が採用されている。しかしながら、前記誘起電圧は、回転子が回転した際に、初めて巻き線に誘起されるので、同期モータが停止している場合には、回転子の磁極位置を検出することができない。そこで、起動時に、所定の2相の巻き線に通電し、回転子の位置を確定してから、3相の巻き線に通電し、徐々に駆動電流を上げながら、同期運転を行い、位置検出が可能となった時点で、センサレス駆動運転へ移行する方法がとられている。
また、矩形波駆動制御や120度駆動制御の駆動方式では、誘起電圧は、通電休止区間に検出されるが、180度正弦波駆動制御の駆動方式においては、通電休止区間がないので、誘起電圧を検出することができず、回転子の位置を検出することができない。そこで、駆動電圧とモータ電流との位相差を元に磁極位置を推定し、制御を行う位相差制御運転を行う方法がとられている。180度正弦波駆動制御の場合も、矩形波駆動制御や120度駆動制御の駆動方式の場合と同様に、起動初期は、誘起電圧の検出ができないので、強制的に所定の2相の巻き線に通電し、強制運転を行い、位置検出が可能となった時点でセンサレス駆動運転へ移行する。
第1の従来技術として、特許文献1に記載されるモータ起動制御装置がある。このモータ起動制御装置は、モータの駆動電圧とモータ電流との位相差のばらつきに基づき、モータの安定状態を推定し、駆動電圧や通電周波数を制御するようにしている。
第2の従来技術として、特許文献2に記載されるモータ制御装置がある。このモータ制御装置は、駆動電圧とモータ電流との位相差情報に基づいて、起動異常であるか否かを判定し、起動異常であると判定された場合には、モータを停止し、起動異常であると判定されなかった場合には、位相差制御に移行する。
第3の従来技術として、特許文献3に記載されるモータの制御装置がある。このモータの制御装置は、強制運転時、目標電流位相に対する検出電流位相の差である位相誤差を算出し、平均化された位相誤差を用いて負荷を推定する。そして、推定された負荷を基に、位相制御運転の初期値となる目標位相差および印加電圧補正量を決定する。
特開2001−54295号公報 特開2009−254191号公報 特許第4453472号公報
上述した強制運転方法によると、安定した起動を制御するために、誘起電圧の検出によって、または第1の従来技術の場合は駆動電圧とモータ電流との位相差のばらつきを基に、駆動電圧または通電周波数を制御しているが、実際のモータ負荷、あるいは駆動制御回路に流れる駆動電流の絶対値の大きさについては、考慮されていない。また、モータ特性および負荷トルクの大きさがわからないので、起動の失敗をなるべく回避するために、起動時に想定される圧縮機の負荷トルクより大きいトルクを発生することができる最大の電流値を、駆動電流として選定する傾向にある。しかしながら、負荷トルクが同じでも、駆動する同期モータの特性、たとえば誘起電圧特性や巻腺抵抗値によっては、駆動電流の電流値が大きくばらつき、駆動回路の破壊に至る大きさの電流値、たとえば駆動素子の絶対最大定格を越える電流値の駆動電流が一定期間流れることによって、駆動回路における駆動素子の破壊の危険が生じるという問題がある。また、駆動電流の電流値が大きくばらつくことによって、起動音が大きくなり、スムーズな安定した起動ができないなどの問題もある。
第2の従来技術では、負荷が大きい場合に起動異常としてモータを停止し、また、第3の従来技術では、負荷を推定して、負荷による起動の失敗を回避しているが、駆動する同期モータの特性、たとえば誘起電圧特性や巻腺抵抗値によっては、駆動電流の電流値が大きくばらつくことがあり、第1の従来技術と同様の課題がある。
本発明の目的は、センサレス駆動方式による同期モータの駆動制御において、異常音の発生を抑制しつつ、駆動素子の破壊の危険性を低減してモータを起動することができるモータ起動制御装置およびモータ起動制御方法を提供することである。
本発明は、コイルを含む同期モータの起動を制御するモータ起動制御装置であって、
同期モータのコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出するモータ電流検出手段と、
同期モータの回転が停止している停止状態から予め定める回転数で回転する回転状態まで同期モータを起動する起動期間に、モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、前記起動期間に同期モータのコイルに印加する駆動電圧を制御する制御手段とを含むことを特徴とするモータ起動制御装置である。
また本発明は、前記モータ電流検出手段は、同期モータのコイルに流れるモータ電流のピーク値を保持するピーク値ホールド回路部を有し、
前記ピーク値は、ピーク値ホールド回路部によって保持されるピーク値であることを特徴とする。
また本発明は、前記制御手段は、モータ電流のピーク値のばらつきの大きさに応じて、駆動電圧の振幅を変調する変調率を変化させることによって、駆動電圧を制御することを特徴とする。
また本発明は、前記制御手段は、モータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内になったとき、同期モータが予め定める回転数で回転する回転状態になったと判断して、起動期間を終了することを特徴とする。
また本発明は、前記ピーク値ホールド回路部は、電界効果トランジスタを用いるオペアンプを含むことを特徴とする。
また本発明は、コイルを含む同期モータの起動を制御するモータ起動制御装置で実行されるモータ起動制御方法であって、
同期モータのコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出するモータ電流検出ステップと、
同期モータの回転が停止している停止状態から予め定める回転数で回転する回転状態まで同期モータを起動する起動期間に、モータ電流検出ステップで検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、
判定ステップでの判定結果に基づいて、前記起動期間に同期モータのコイルに印加する駆動電圧を制御する制御ステップとを含むことを特徴とするモータ起動制御方法である。
本発明によれば、コイルを含む同期モータの起動を制御するにあたって、モータ電流検出手段は、同期モータのコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出する。判定手段は、同期モータの回転が停止している停止状態から予め定める回転数で回転する回転状態まで同期モータを起動する起動期間に、モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内であるか否かを判定する。そして、制御手段は、判定手段の判定結果に基づいて、前記起動期間に同期モータのコイルに印加する駆動電圧を制御する。したがって、モータ起動制御装置は、センサレス駆動方式による同期モータの駆動制御において、異常音の発生を抑制しつつ、駆動素子の破壊の危険性を低減してモータを起動することができる。すなわち、モータ起動制御装置は、起動時の駆動電圧の制御において、モータ電流のピーク値のばらつきを基に駆動電圧を制御することによって、モータ電流の波形を整形し、起動時の振動および騒音の発生を低減することができ、同期モータの安定駆動を実現することができる。
また本発明によれば、前記モータ電流検出手段は、同期モータのコイルに流れるモータ電流のピーク値を保持するピーク値ホールド回路部を有する。そして、前記ピーク値は、ピーク値ホールド回路部によって保持されるピーク値である。したがって、モータ起動制御装置は、所定期間でのモータ電流のピーク値を検出することができる。
また本発明によれば、前記制御手段は、モータ電流のピーク値のばらつきの大きさに応じて、駆動電圧の振幅を変調する変調率を変化させることによって、駆動電圧を制御する。したがって、モータ起動制御装置は、変調率を変化させることによって、駆動電圧の振幅を変化させて、モータ電流を制御することができる。
また本発明によれば、前記制御手段は、モータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内になったとき、同期モータが予め定める回転数で回転する回転状態になったと判断して、起動期間を終了する。したがって、モータ起動制御装置は、ピーク値のばらつきが所定範囲内に収束したとき、起動期間を終了して、通常運転期間に移行することができる。
また本発明によれば、前記ピーク値ホールド回路部は、電界効果トランジスタを用いるオペアンプを含む。したがって、モータ起動制御装置は、従来技術によるスイッチング素子を用いてピーク値ホールド回路部を実現することができる。
また本発明によれば、コイルを含む同期モータの起動を制御するモータ起動制御装置で実行されるモータ起動制御方法によって同期モータの起動を制御するにあたって、モータ電流検出ステップでは、同期モータのコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出する。判定ステップでは、同期モータの回転が停止している停止状態から予め定める回転数で回転する回転状態まで同期モータを起動する起動期間に、モータ電流検出ステップで検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内であるか否かを判定する。そして、制御ステップでは、判定ステップでの判定結果に基づいて、前記起動期間に同期モータのコイルに印加する駆動電圧を制御する。したがって、モータ起動制御装置は、センサレス駆動方式による同期モータの駆動制御において、異常音の発生を抑制しつつ、駆動素子の破壊の危険性を低減してモータを起動することができる。すなわち、モータ起動制御装置は、起動時の駆動電圧の制御において、モータ電流のピーク値のばらつきを基に駆動電圧を制御することによって、モータ電流の波形を整形し、起動時の振動および騒音の発生を低減することができ、同期モータの安定駆動を実現することができる。
本発明の一実施形態である同期モータ駆動装置100の構成を示すブロック図である。 ピーク値ホールド回路部17の構成を示す図である。 モータ起動制御処理の処理手順を示すフローチャートである。 従来技術による同期モータ駆動装置90の一例を示すブロック図である。 同期モータ駆動装置90で第1モータを起動したときのモータ電流波形51の一例を示す図である。 同期モータ駆動装置100で第1モータを起動したときのモータ電流波形52の一例を示す図である。 同期モータ駆動装置90で第2モータを起動したときのモータ電流波形53の一例を示す図である。 同期モータ駆動装置100で第2モータを起動したときのモータ電流波形54の一例を示す図である。 第1モータを起動したときの変調率およびピーク値の測定結果の例を示す図である。 第2モータを起動したときの変調率およびピーク値の測定結果の例を示す図である。 第1モータを第1条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ61の一例を示す図である。 第1モータを第2条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ62の一例を示す図である。 第2モータを第1条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ63の一例を示す図である。 第2モータを第2条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ64の一例を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態である同期モータ駆動装置100の構成を示すブロック図である。モータ起動制御装置である同期モータ駆動装置100は、センサレス駆動方式で3相のモータの駆動を制御する装置であり、たとえば空気調和機の圧縮機などに用いられる。同期モータ駆動装置100でのセンサレス駆動方式は、モータの位置を検出するモータ位置検出器を用いることなく、駆動電圧として180度正弦波を用いてモータを駆動する方式である。本発明に係るモータ起動制御方法は、同期モータ駆動装置100で実行される。
同期モータ駆動装置100は、交流電源(図1では「AC」と記す)1、コンバータ回路部2、インバータ回路部3、モータ(図1では「M」と記す)4、電流センサ5、モータ電流検出アンプ部6、ピーク値ホールド回路部17および制御部18を含んで構成される。
交流電源1は、モータ4を駆動するための駆動電力をコンバータ回路部2に供給する。コンバータ回路部2は、交流電源1から供給される交流を直流に変換してインバータ回路部3に供給する。
インバータ回路部3は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:略称「IGBT」)などのパワーデバイスを、モータ4を駆動する駆動素子として含んで構成される。インバータ回路部3は、コンバータ回路部2から供給される直流をU相、V相およびW相の3相からなる交流に変換してモータ4に供給する。インバータ回路部3は、コンバータ回路部2から供給される直流を、後述するパルス幅変調(Pulse Width Modulation:以下「PWM」という)作成部10から指示されるパルス幅変調情報に応じた振幅、周波数および位相の正弦波の交流に変換する。
モータ4は、3相に巻かれたコイルを含む固定子(以下「ステータ」という)と、ネオジウムなどの永久磁石を内包する回転子(以下「ロータ」という)とを含んで構成される永久磁石同期モータ(以下「同期モータ」という)である。
電流センサ5は、インバータ回路部3と、モータ4の予め定める相、たとえばU相のコイルとの間を流れるモータ電流の電流値を検出する。モータ電流検出手段であるモータ電流検出アンプ部6は、電流センサ5が検出した電流値を増幅し、増幅した電流値を、ピーク値ホールド回路部17および後述する位相差検出部15に送る。
ピーク値ホールド回路部17は、所定期間ごとの電流値の最大値をピーク値として保持し、保持するピーク値を後述する起動制御部11に送る。ピーク値ホールド回路部17は、モータ電流検出アンプ部6に内蔵される。ピークホールド回路部17は、リセットスイッチ43のオン、オフのタイミングでピーク値を更新することができる。ピークホールド回路部17は、ピーク値を更新するタイミングとして、PWM作成部10が生成するPWM駆動波形のキャリア波形を使用する。所定時間は、たとえば、キャリア波形の周波数が5kHzのとき、最小200μsであるが、起動時間の最適化を考慮して、最小200μsの整数倍の時間周期とすることが好適である。
制御部18は、正弦波データテーブル部7、回転数設定部8、正弦波データ作成部9、PWM作成部10、起動制御部11、比例積分(Proportional Integral:以下「PI」という)演算部13、目標位相差格納部14、位相差検出部15および加算器16を含んで構成される。制御部18は、強制起動期間および通常運転期間に分けて、モータ4の駆動制御を行う。起動期間である強制起動期間は、モータ4の回転が停止している停止状態からモータ4が回転数設定部8に設定されている回転数で回転する回転状態までモータ4を起動する期間である。通常運転期間は、強制起動期間の後、回転数設定部8に設定されている回転数で回転する回転状態を維持するために、後述する位相差制御で駆動制御が行われる期間である。
正弦波データテーブル部7には、モータ4の所定の回転数に対応する正弦波波形を生成するためのデータが格納されている。すなわち、正弦波データテーブル部7は、モータ4の回転数と、各回転数で回転させる正弦波の駆動電圧をインバータ回路部3に生成させるための正弦波データとを対応付けて記憶する。正弦波データは、正弦波の駆動電圧の振幅および位相を、3相の相ごとに表すデータである。回転数設定部8には、モータ4の回転数の値が設定されている。すなわち、回転数設定部8は、モータ4を回転させる目標の回転数の値を記憶する。回転数設定部8に設定されている回転数は、予め定める回転数である。
正弦波データ作成部9は、回転数設定部8に設定された回転数に対応するU相、V相およびW相の各相の正弦波データを正弦波データテーブル部7から読み出し、読み出した正弦波データをPWM作成部10に送る。また、正弦波データ作成部9は、U相のモータ駆動電圧情報、つまりU相の正弦波データを位相差検出部15へ送る。
位相差検出部15は、モータ電流検出アンプ部6から受け取ったモータ電流の電流値を所定のタイミングでアナログデジタル(A/D)変換する。位相差検出部15は、正弦波データ作成部9から受け取るU相のモータ駆動電圧情報が示す駆動電圧の半周期を2等分した前半期間および後半期間について、A/D変換後の電流値を、所定の時間毎にサンプリングし、サンプリングした電流値を積算して、モータ電流信号の面積を算出する。所定の時間は、たとえばモータ4の電気角で1周期ないし2周期程度の時間である。モータ電流信号の面積とは、サンプリングされた電流値を、モータ電流の電流値を縦軸にし、時間を横軸にしたグラフで表したとき、サンプリングされた電流値を、前半期間および後半期間について積算した値である。
位相差検出部15は、算出した前半期間および後半期間のモータ電流信号の面積の面積比から、駆動電圧とモータ電流との位相差を算出し、算出した位相差を表す位相差情報を加算器16に送る。面積比から位相差情報を算出する方法は、従来技術によるものであり、たとえば特許文献1の段落番号[0125]〜[0129]に記載されている。
目標位相差格納部14には、回転数に応じた最適な目標位相差を表す目標位相差情報が記憶されており、記憶している目標位相差情報を加算器16に送る。加算器16は、目標位相差格納部14から受け取った目標位相差情報が示す目標位相差から、位相差検出部15から受け取った位相差情報が示す位相差を減算して、目標位相差情報が示す目標位相差と位相差情報が示す位相差との誤差を算出し、算出した誤差を表す誤差データをPI演算部13に送る。
PI演算部13は、加算器16から受け取った誤差データが示す誤差を積算した積分誤差を算出し、算出した積分誤差を表す積分誤差データを、通常運転期間でのデューティ基準値(図1では「duty基準値」と記す)として、PWM作成部10に送る。
判定手段である起動制御部11は、ピーク値ホールド回路部17から受け取ったピーク値のばらつきに応じた最適条件をPWM作成部10に送る。最適条件は、たとえば、変調率である。変調率は、駆動電圧の振幅を変調する割合を示す。たとえば変調率+3%は、振幅を103%に変調することである。
PWM作成部10は、通常運転期間では、正弦波データ作成部9から受け取った正弦波データと、PI演算部13から受け取ったデューティ基準値とに基づいて、PWM波形を表すPWM波形データ、つまりパルス幅変調情報を生成し、生成したPWM波形データをインバータ回路部3に送る。PWM波形データは、振幅と周期とを含むデータである。通常運転期間で行われる駆動制御は、位相差制御である。
PWM作成部10は、強制起動期間では、正弦波データ作成部9から受け取った正弦波データと、PI演算部13から受け取ったデューティ基準値と、起動制御部11から受け取った変調率とに基づいて、PWM波形データを生成し、生成したPWM波形データをインバータ回路部3に送る。
インバータ回路部3は、PWM作成部10から受け取ったPWM波形データが示すPWM波形に基づいて、各相のIGBTなどの駆動素子を制御して、各相への駆動電圧を生成する。PWM作成部10および起動制御部11は、制御手段である。
図2は、ピーク値ホールド回路部17の構成を示す図である。ピーク値ホールド回路部17は、第1オペアンプ41、第2オペアンプ42、リセットスイッチ43、トランジスタTR1、コンデンサC1、および抵抗素子R1,R2を含んで構成される。
第1オペアンプ41は、差動増幅器であり、モータ電流検出アンプ部6の出力が非反転入力端子に入力され、出力端子が抵抗素子R1の一端に接続される。トランジスタTR1は、Nチャネルの電界効果トランジスタ(以下「FET」という)であり、ゲートが抵抗素子R1の他端に接続され、ソースおよびドレインが第1オペアンプ41の反転入力端子、コンデンサC1の一端、抵抗素子R2の一端、および第2オペアンプ42の非反転入力端子に接続される。
コンデンサC1は、ホールドコンデンサであり、他端が−Vボルトの直流電源に接続される。抵抗素子R2の他端は、リセットスイッチ43を介して、0ボルトの接地電位に接続される。第2オペアンプ42の出力端子は、ピーク値ホールド回路部17の非反転入力端子に接続されるとともに、起動制御部11に接続され、ピーク値を出力する。
リセットスイッチ43がオフのとき、つまり開放されているときは、ピークホールド動作を行い、オンのとき、つまり閉じているときは、リセット状態、つまりピーク値がゼロの状態になる。電流センサ5にて検出された電流値は、モータ電流検出アンプ部6の抵抗成分によって電圧値に変換され、第1オペアンプ41の非反転入力端子に入力される。
第1オペアンプ41の非反転入力端子に入力される電圧値がコンデンサC1の一端の電圧値よりも大きいときは、第1オペアンプ41の非反転入力端子の電圧値が反転入力端子の電圧値よりも大きいので、第1オペアンプ41の出力は上がり、トランジスタTR1を順方向にバイアスする。その結果、第1オペアンプ41は、ゲイン、つまり増幅利得が「1」のバッファになり、コンデンサC1は、入力される電圧値の電圧まで充電される。
第1オペアンプ41の非反転入力端子に入力される電圧値がコンデンサC1の電圧値よりも小さくなると、第1オペアンプ41の非反転入力端子の電圧値が反転入力端子の電圧値よりも小さくなるので、第1オペアンプ41の出力端子の電圧値は下がり、トランジスタTR1を逆バイアスする。その結果、コンデンサC1の電圧値、つまりピーク値はそのまま保持される。
入力される電圧値が、再度コンデンサC1の電圧値よりも大きくなると、上述した動作を繰り返す。その結果、ピークホールド期間、つまりリセットスイッチがオフの期間では、第1オペアンプ41の出力端子の電圧値は、常にそれまでのピーク値が出力される。第2オペアンプ42は、インピーダンス変換用バッファであり、コンデンサC1の電圧値の電圧を低インピーダンスで出力する。リセットスイッチ43をオンにする、つまりコンデンサC1の電圧値を0ボルトに切り換えることによって、ピーク値はリセットされる。このリセットのタイミングは、たとえばPWM波形生成のタイミングにすることもできる。
図3は、モータ起動制御処理の処理手順を示すフローチャートである。ユーザが、たとえば図示しない操作部に設けられる、モータ4の回転を開始させる開始スイッチを操作すると、ステップA1に移る。
ステップA1では、制御部18は、強制起動タイミングであるか否かを判定する。通常運転期間でないとき、強制起動タイミングであると判定し、強制起動期間を開始して、ステップA2に進み、通常運転期間であるとき、強制起動タイミングでないと判定し、ステップA8に進む。モータ電流検出ステップであるステップA2では、ピーク値ホールド回路部17は、強制起動期間の電流値のピーク値を検出する。具体的には、ピーク値ホールド回路部17は、電流センサ5で検出され、モータ電流検出アンプ部6で増幅された電流値のピーク値を抽出する。
ステップA3では、起動制御部11は、ピーク値ホールド回路部17が抽出したピーク値のばらつきを算出する。ステップA4では、起動制御部11は、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも大きいか否かを判定する。予め定める範囲内である所定範囲は、たとえば図9,10で後述する基準値比で1.00±0.50の範囲である。起動制御部11は、ピーク値が所定範囲の最大値よりも大きいとき、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも大きいと判定し、ステップA9に進み、ピーク値が所定範囲の最大値よりも大きくないとき、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも大きくないと判定し、ステップA5に進む。
ステップA5では、起動制御部11は、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも小さいか否かを判定する。起動制御部11は、ピーク値が所定範囲の最小値よりも小さいとき、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも小さいと判定し、ステップA10に進み、ピーク値が所定範囲の最小値よりも小さくないとき、算出したピーク値のばらつきが所定範囲よりも小さくないと判定し、ステップA6に進む。ステップA3〜A5は、判定ステップである。
ステップA6では、起動制御部11は、電流値を所定回数採取することができたが否かを判定する。所定回数は、所定範囲内に収束するまでに、ステップA2〜A5までの処理を最低限繰り返す必要がある回数であり、たとえば3回に設定される。起動制御部11は、電流値を所定回数採取することができたとき、ステップA7に進み、電流値を所定回数採取することができなかったとき、ステップA2に戻る。
ステップA7では、制御部18は、起動を完了して、位相差制御に移行する。すなわち、強制起動期間を終了して、通常運転期間を開始する。ステップA8では、制御部18は、位相差制御運転を開始して、モータ起動制御処理を終了する。位相差制御運転は、上述した通常運転期間での駆動制御による運転である。
ステップA9では、起動制御部11は、駆動電流波形の変調率を小さくして、ステップA2に戻る。すなわち、起動制御部11は、駆動電圧の振幅を小さくすることによってモータ電流の電流値を小さくするために、PWM作成部10に送る変調率を小さくする。ステップA10では、起動制御部11は、駆動電流波形の変調率を大きくして、ステップA2に戻る。すなわち、起動制御部11は、駆動電圧の振幅を大きくすることによってモータ電流の電流値を大きくするために、PWM作成部10に送る変調率を大きくする。ステップA9,A10は、制御ステップである。
変調率を大きくする場合、および変調率を小さくする場合のいずれの場合であっても、ステップA9またはステップA10では、第1回目は、変調率を大きく変化させ、第2回目以降徐々に、変調率を変化させる割合を小さくすることによって、収束性を上げることができる。たとえば、第1回目は、変調率を3%変化させ、第2回目は、変調率を2%変化させ、第3回目は、変調率を1%変化させる。これらの変調率は、モータ特性に応じて、変調率の変化が、どの程度モータ電流に反映されるかによって決定される。
同期モータ駆動装置100は、モータ電流のピーク値のばらつきによって、モータ特性を推定し、推定結果に応じて、変調率を変化させて、起動制御を行う。モータ特性を推定するとは、図3に示したモータ起動制御処理のフローチャートにおいて、起動条件として、PWM作成部10に設定した駆動電圧の変調率の変化に対して、モータ電流のピーク値を測定し、その駆動電圧の変調率に対するモータ電流の変化の度合いから、個々のモータがもつ誘起電圧特性、およびコイルの巻き線抵抗値を推定することである。同期モータ駆動装置100は、この推定結果に基づいて、個々のモータ特性に対し、起動条件が、適正であるのか、大きすぎるのか、小さすぎるのかを判定して、変調率を制御する。以下に、その具体的な実施例を示す。起動条件は、前述した最適条件、つまり変調率のことである。
図4は、従来技術による同期モータ駆動装置90の一例を示すブロック図である。同期モータ駆動装置90は、本発明に係る同期モータ駆動装置100と比較するために用いた装置である。同期モータ駆動装置90は、図1に示した同期モータ駆動装置100から、起動制御部11およびピーク値ホールド回路部17を除いたものである。同期モータ駆動装置90の構成要素のうち、同期モータ駆動装置100の構成要素を同じものについては、同じ参照符を付して、重複をさけるために説明を省略する。
同期モータ駆動装置90は、交流電源1、コンバータ回路部2、インバータ回路部3、モータ4、電流センサ5、モータ電流検出アンプ部6および制御部91を含んで構成される。制御部91は、正弦波データテーブル部7、回転数設定部8、正弦波データ作成部9、PWM作成部10a、PI演算部13、目標位相差格納部14、位相差検出部15および加算器16を含んで構成される。制御部91は、図1に示した制御部18のPWM作成部10をPWM作成部10aに置き換え、起動制御部11を除いた構成である。
PWM作成部10aは、通常運転期間および強制起動期間ともに、正弦波データ作成部9から受け取った正弦波データと、PI演算部13から受け取ったデューティ基準値とに基づいて、PWM波形を表すPWM波形データを生成し、生成したPWM波形データをインバータ回路部3に送る。
起動運転期間では、同期モータ駆動装置100および同期モータ駆動装置90は、いずれも、最初、所定の2相に通電する相固定モードで駆動して、ロータの位置を確定した後、転流を行い、つまり3相に通電して、徐々に駆動電圧を上昇させながら、同期運転を行う同期モードで駆動を行う。同期モードで、位置検出が可能となった時点でセンサレス駆動運転を行う通常運転期間へ移行する。位置検出が可能となった時点とは、駆動電圧とモータ電流との位相差が確定した時点である。
起動運転期間の最初の時点では、同期モータ駆動装置100および同期モータ駆動装置90は、いずれも、予め設定された電圧値を所定の変調率で変調した電圧値の駆動電圧をモータ4に印加する。予め設定された電圧値は、モータ4に接続される外部負荷を駆動可能な最大の駆動電圧である。
同期モータ駆動装置90は、起動条件として、相固定モードの変調率を+3%とし、同期モード開始時に変調率を+5%とし、同期モード終了時に変調率を+8%とする第1条件を用いる。第1条件の変調度は、従来技術による実施結果から決められた値である。同期モータ駆動装置100は、起動条件として、相固定モードの変調率を+1.3%とし、同期モード開始時に変調率を+3.5%とし、同期モード終了時に変調率を+6.0%とする第2条件を用いる。ただし、同期モータ駆動装置100は、相固定モードおよび同期モードで、図3に示したフローチャートのモータ起動制御処理を実行する。
図5〜図8は、モータ特性の異なる第1モータおよび第2モータを、従来技術による同期モータ駆動装置90と、本発明に係る同期モータ駆動装置100とによって、同じ負荷トルクで起動したときのモータ電流波形の例を示す図である。縦軸はモータ電流の電流値(A)であり、横軸は時間(秒)である。第1モータのステータのコイルのインダクタンス値は、第2モータのステータのコイルのインダクタンス値よりも大きい。
図5は、同期モータ駆動装置90で第1モータを起動したときのモータ電流波形51の一例を示す図である。強制起動期間でのモータ電流のピーク値はP1,P2であり、通常運転期間でのモータ電流のピーク値はP3である。ピーク値P1は、相固定モードでのピーク値であり、ピーク値P2は、同期モードでピーク値である。第1モータが有する巻き線抵抗および誘起電圧特性によって、強制起動期間でのモータ電流のピーク値は、誘起電圧の立ち上がりが遅いなどの特性の違いによる理由で大きなピーク値P2を示している。ピーク値P2は、強制起動期間を終了し、通常運転期間に移行したときのモータ電流のピーク値P3との差が大きくなっている。また、強制起動期間におけるピーク値P1とピーク値P2との間でも大きな差が生じている。このようなピーク値の大きな変動は、起動時に大きな異常音が発生するとともに、不安定な状態となってしまう。不安定な状態とは、ロータの回転数の変動が継続し、目標の回転数に収束し難い状態のことである。
図6は、同期モータ駆動装置100で第1モータを起動したときのモータ電流波形52の一例を示す図である。強制起動期間でのモータ電流のピーク値はP1’,P2’であり、通常運転期間でのモータ電流のピーク値はP3’である。第1モータが有する巻き線抵抗および誘起電圧特性に左右されることなく、強制起動期間でのモータ電流のピーク値は、誘起電圧の立ち上がりが改善され、図5に示したピーク値P2よりもピーク値P2’は小さくなっている。ピーク値P2’は、強制起動期間を終了し、通常運転期間に移行したときのモータ電流のピーク値P3’との差は小さくなっている。このとき起動時に大きな異常音は発生することなく、安定した起動を実現することができている。安定した起動とは、ロータの回転数の変動が継続することなく目標の回転数に収束する起動である。
図7は、同期モータ駆動装置90で第2モータを起動したときのモータ電流波形53の一例を示す図である。強制起動期間でのモータ電流のピーク値はQ1,Q2であり、通常起動期間でのモータ電流のピーク値はQ3である。このとき、第2モータが有する巻き線抵抗および誘起電圧特性によって、強制起動期間でのモータ電流のピーク値は、誘起電圧の立ち上がりが第1モータよりも早いなどの理由で、第1モータと比較すると低いピーク値Q2を示している。強制起動期間を終了し、通常運転期間に移行したときのモータ電流のピーク値Q3との差も小さくなっている。また、強制起動期間におけるピーク値Q1とピーク値Q2との間でも、第1モータの場合よりも大きな差は生じていない。したがって、起動時に大きな異常音が発生することなく、比較的安定した起動を実現することができている。
図8は、同期モータ駆動装置100で第2モータを起動したときのモータ電流波形54の一例を示す図である。強制起動期間でのモータ電流のピーク値はQ1’,Q2’であり、通常起動期間でのモータ電流のピーク値はQ3’である。このとき、第2モータが有する巻き線抵抗および誘起電圧特性によって、強制起動期間でのモータ電流のピーク値は、誘起電圧の立ち上がりが第1モータよりも早いなどの理由で、第1モータと比較すると低いピーク値Q2’を示している。強制駆動期間を終了し、通常運転期間に移行したときのモータ電流のピーク値Q3’との差もさらに小さくなっている。また、強制起動期間におけるピーク値Q1’とピーク値Q2’との間でも、第1モータの場合よりも大きな差は生じていない。したがって、起動時に大きな異常音が発生することなく、より安定した起動を実現することができている。
図9は、第1モータを起動したときの変調率およびピーク値の測定結果の例を示す図である。図10は、第2モータを起動したときの変調率およびピーク値の測定結果の例を示す図である。図9(a)は、同期モータ駆動装置90によって第1モータを第1条件で起動したときの測定結果55の一例である。図9(b)は、同期モータ駆動装置100によって第1モータを第2条件で起動したときの測定結果56の一例である。図10(a)は、同期モータ駆動装置90によって第2モータを第1条件で起動したときの測定結果57の一例である。図10(b)は、同期モータ駆動装置100によって第2モータを第2条件で起動したときの測定結果58の一例である。
各測定結果55〜58は、変調率、ピーク値(A)、基準値(A)および基準値比の項目を含み、各変動率に対するピーク値(A)、基準値(A)および基準値比を示している。変調率は、駆動電圧の振幅の変調率である。ピーク値(A)は、各変調率における最大のピーク値を示している。基準値(A)は、各変調率で、基準となるモータ特性のモータが示すモータ電流のピーク値である。つまり、各変調率で、理論的に平衡が保たれたときのピーク値である。基準値比は、各変調率のピーク値(A)の各変調率の基準値(A)に対する比率であり、各変調率のピーク値(A)を各変調率の基準値(A)で除算した値で示される。
インバータ回路部3は、制御部18または制御部91からの指示によって、変調率に応じた駆動電圧をモータ4のコイルに印加する。モータ4のコイルに駆動電圧を印加してモータ4のコイルにモータ電流を流した場合、通常モータ特性と平衡を保つようにモータ電流が流れる。すなわち、モータ特性に合った駆動電圧が印加された場合は、変調率に応じたモータ電流が流れ、安定した起動を実現することができる。
モータ特性に対して負荷が大きい場合、モータ特性に適した負荷の場合にコイルに流れるモータ電流以上のモータ電流が流れる。このとき、モータ電流のピーク値も大きくばらつくため、異常音が発生し、不安定な起動となってしまう。
図9(a)に示した測定結果55の場合、すなわち、同期モータ駆動装置90によって第1モータを第1条件で起動したときの測定結果55の場合、変調率が3%のときは、ピーク値は6.000Aであり、基準値は3.009Aであり、基準値比は1.99となる。同様に変調率が5%のときは、ピーク値は6.240Aであり、基準値は3.015Aであり、基準値比は2.07となる。同様に変調率が8%のときは、ピーク値は7.880Aであり、基準値は3.024Aであり、基準値比は2.61となる。いずれの変調率の場合もピーク値が大きくばらつき、基準値との差が大きくなっている。
図9(a)に示した測定結果55をグラフ化したのが、図11である。横軸が変調率であり、縦軸がモータ電流の電流値である。図11は、同期モータ駆動装置90によって第1モータを第1条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ61の一例を示す図である。グラフ611がモータ電流のピーク値のグラフであり、グラフ612が、モータ電流の基準値のグラフである。上述したように、各変調率でのピーク値と基準値との差が大きいことが分かる。
図9(b)に示した測定結果56の場合、すなわち、同期モータ駆動装置100によって第1モータを第2条件で起動したときの測定結果56の場合、変調率が1.3%のときは、ピーク値は2.880Aであり、基準値は3.004Aであり、基準値比は0.96となる。同様に変調率が3.5%のときは、ピーク値は2.880Aであり、基準値は3.011Aであり、基準値比は0.96となる。同様に変調率が6.0%のときは、ピーク値は2.720Aであり、基準値は3.018Aであり、基準値比は0.90となる。いずれの変調率の場合もピーク値のばらつきは、図9(a)の測定結果55よりも少なく、基準値に近い値となっており、モータ特性との平衡が保たれ、起動に最適な条件といえる。
図9(b)に示した測定結果56をグラフ化したのが、図12である。横軸が変調率であり、縦軸がモータ電流の電流値である。図12は、同期モータ駆動装置100によって第1モータを第2条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ62の一例を示す図である。グラフ621がモータ電流のピーク値のグラフであり、グラフ622が、モータ電流の基準値のグラフである。上述したように、各変調率でのピーク値と基準値との差が小さくなっていることが分かる。
図10(a)に示した測定結果57の場合、すなわち、同期モータ駆動装置90によって第2モータを第1条件で起動したときの測定結果57の場合、変調率が3%のときは、ピーク値は5.280Aであり、基準値は3.671Aであり、基準値比は1.44となる。同様に変調率が5%のときは、ピーク値は6.000Aであり、基準値は3.678Aであり、基準値比は1.63となる。同様に変調率が8%のときは、ピーク値は7.720Aであり、基準値は3.689Aであり、基準値比は2.09となる。いずれの変調率の場合も、第1モータと比較して、ピーク値のばらつきは小さくなっているが、基準値との差は、1.4倍以上ある。
図10(a)に示した測定結果57をグラフ化したのが、図13である。横軸が変調率であり、縦軸がモータ電流の電流値である。図13は、同期モータ駆動装置90によって第2モータを第1条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ63の一例を示す図である。グラフ631がモータ電流のピーク値のグラフであり、グラフ632が、モータ電流の基準値のグラフである。上述したように、各変調率でのピーク値と基準値との差がまだあることが分かる。
図10(b)に示した測定結果58の場合、すなわち、同期モータ駆動装置100によって第2モータを第2条件で起動したときの測定結果58の場合、変調率が1.3%のときは、ピーク値は3.360Aであり、基準値は3.665Aであり、基準値比は0.92となる。同様に変調率が3.5%のときは、ピーク値は4.560Aであり、基準値は3.673Aであり、基準値比は1.24となる。同様に変調率が6.0%のときは、ピーク値は2.680Aであり、基準値は3.682Aであり、基準値比は0.73となる。いずれの変調率の場合も、図10(a)に示した第1条件の場合と比較して、理論値、つまり基準値に近い値となっており、モータ特性との平衡が保たれ、起動に最適な条件に近いと言える。
図10(b)に示した測定結果58をグラフ化したのが、図14である。横軸が変調率であり、縦軸がモータ電流の電流値である。図14は、同期モータ駆動装置100によって第2モータを第2条件で起動したときの変調率に対するピーク値の相関グラフ64の一例を示す図である。グラフ641がモータ電流のピーク値のグラフであり、グラフ642が、モータ電流の基準値のグラフである。上述したように、各変調率でのピーク値と基準値との差が小さくなっていることが分かる。
以上のように、同期モータ駆動装置100は、強制起動期間におけるモータ電流のピーク値のばらつき度合いに応じて、駆動電圧の変調率を制御することによって、起動時の振動および騒音の発生を低減することができる。強制起動期間におけるモータ電流のピーク値のばらつきが所定範囲よりも大きくなった場合は、モータ電流の振幅が大きく変動しているので、異常音が発生する。このとき、同期モータ駆動装置100は、起動時の駆動電圧の変調率を下げることで、モータ特性にあったモータ電流にすることができる。
逆に、強制起動期間におけるモータ電流のピーク値のばらつきが所定範囲よりも小さくなった場合は、起動に失敗する可能性があるので、同期モータ駆動装置100は、駆動電圧の変調率を上げる。同期モータ駆動装置100は、強制起動期間におけるモータ電流のピーク値のばらつきが所定範囲内であれば、起動を完了し、位相差制御運転に移行することができる。
また、同期モータ駆動装置100は、モータ電流のピーク値を所定範囲内にすることができるので、モータ電流が大きく変動し、駆動素子の絶対最大定格を越える電流が流れて、駆動素子が破壊される危険性を低減することができる。
上述した実施形態では、変調率として、駆動電圧の振幅を変調する変調率を用いたが、振幅を変調することに限定されるものではない。たとえば、変調度として、デューティ値を変調させる変調度を用いてもよいし、振幅およびデューティ値を組み合わせて変調させる変調度を用いてもよい。
このように、コイルを含むモータ4の起動を制御するにあたって、モータ電流検出アンプ部6は、モータ4のコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出する。起動制御部11は、モータ4の回転が停止している停止状態から回転数設定部8に設定されている回転数で回転する回転状態までモータ4を起動する強制起動期間に、モータ電流検出アンプ部6によって検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが所定範囲内であるか否かを判定する。そして、PWM作成部10および起動制御部11は、起動制御部11の判定結果に基づいて、強制起動期間にモータ4のコイルに印加する駆動電圧を制御する。したがって、同期モータ駆動装置100は、センサレス駆動方式によるモータ4の駆動制御において、異常音の発生を抑制しつつ、駆動素子の破壊の危険性を低減してモータを起動することができる。すなわち、同期モータ駆動装置100は、起動時の駆動電圧の制御において、モータ電流のピーク値のばらつきを基に駆動電圧を制御することによって、モータ電流の波形を整形し、起動時の振動および騒音の発生を低減することができ、モータ4の安定駆動を実現することができる。
さらに、モータ電流検出アンプ部6は、モータ4のコイルに流れるモータ電流のピーク値を保持するピーク値ホールド回路部17を有する。そして、前記ピーク値は、ピーク値ホールド回路部17によって保持されるピーク値である。したがって、同期モータ駆動装置100は、所定期間でのモータ電流のピーク値を検出することができる。
さらに、PWM作成部10および起動制御部11は、モータ電流のピーク値のばらつきの大きさに応じて、駆動電圧の振幅を変調する変調率を変化させることによって、駆動電圧を制御する。したがって、同期モータ駆動装置100は、変調率を変化させることによって、駆動電圧の振幅を変化させて、モータ電流を制御することができる。
さらに、PWM作成部10および起動制御部11は、モータ電流のピーク値のばらつきが所定範囲内になったとき、モータ4が回転数設定部8に設定されている回転数で回転する回転状態になったと判断して、強制起動期間を終了する。したがって、同期モータ駆動装置100は、ピーク値のばらつきが所定範囲内に収束したとき、強制起動期間を終了して、通常運転期間に移行することができる。
さらに、ピーク値ホールド回路部17は、トランジスタTR1を用いる第1,第2オペアンプ41,42を含む。したがって、同期モータ駆動装置100は、従来技術によるスイッチング素子を用いてピーク値ホールド回路部17を実現することができる。
さらに、コイルを含むモータ4の起動を制御する同期モータ駆動装置100で実行されるモータ起動制御方法によってモータ4の起動を制御するにあたって、図3に示したフローチャートにおいて、ステップA2では、モータ4のコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出する。ステップA3〜A5では、モータ4の回転が停止している停止状態から回転数設定部8に設定されている回転数で回転する回転状態までモータ4を起動する強制起動期間に、ステップA2で検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが所定範囲内であるか否かを判定する。そして、ステップA9,A10では、ステップA3〜A5での判定結果に基づいて、強制起動期間にモータ4のコイルに印加する駆動電圧を制御する。したがって、同期モータ駆動装置100は、センサレス駆動方式によるモータ4の駆動制御において、異常音の発生を抑制しつつ、駆動素子の破壊の危険性を低減してモータを起動することができる。すなわち、同期モータ駆動装置100は、起動時の駆動電圧の制御において、モータ電流のピーク値のばらつきを基に駆動電圧を制御することによって、モータ電流の波形を整形し、起動時の振動および騒音の発生を低減することができ、モータ4の安定駆動を実現することができる。
1 交流電源
2 コンバータ回路部
3 インバータ回路部
4 モータ
5 電流センサ
6 モータ電流検出アンプ部
7 正弦波データテーブル部
8 回転数設定部
9 正弦波データ作成部
10 PWM作成部
11 起動制御部
13 PI演算部
14 目標位相差格納部
15 位相差検出部
16 加算器
17 ピーク値ホールド回路部
18,91 制御部
41 第1オペアンプ
42 第2オペアンプ
43 リセットスイッチ

Claims (6)

  1. コイルを含む同期モータの起動を制御するモータ起動制御装置であって、
    同期モータのコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出するモータ電流検出手段と、
    同期モータの回転が停止している停止状態から予め定める回転数で回転する回転状態まで同期モータを起動する起動期間に、モータ電流検出手段によって検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
    判定手段の判定結果に基づいて、前記起動期間に同期モータのコイルに印加する駆動電圧を制御する制御手段とを含むことを特徴とするモータ起動制御装置。
  2. 前記モータ電流検出手段は、同期モータのコイルに流れるモータ電流のピーク値を保持するピーク値ホールド回路部を有し、
    前記ピーク値は、ピーク値ホールド回路部によって保持されるピーク値であることを特徴とする請求項1に記載のモータ起動制御装置。
  3. 前記制御手段は、モータ電流のピーク値のばらつきの大きさに応じて、駆動電圧の振幅を変調する変調率を変化させることによって、駆動電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載のモータ起動制御装置。
  4. 前記制御手段は、モータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内になったとき、同期モータが予め定める回転数で回転する回転状態になったと判断して、起動期間を終了することを特徴とする請求項1に記載のモータ起動制御装置。
  5. 前記ピーク値ホールド回路部は、電界効果トランジスタを用いるオペアンプを含むことを特徴とする請求項2に記載のモータ起動制御装置。
  6. コイルを含む同期モータの起動を制御するモータ起動制御装置で実行されるモータ起動制御方法であって、
    同期モータのコイルに印加する駆動電圧に応じて該コイルに流れるモータ電流の電流値を検出するモータ電流検出ステップと、
    同期モータの回転が停止している停止状態から予め定める回転数で回転する回転状態まで同期モータを起動する起動期間に、モータ電流検出ステップで検出されたモータ電流のピーク値のばらつきが予め定める範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、
    判定ステップでの判定結果に基づいて、前記起動期間に同期モータのコイルに印加する駆動電圧を制御する制御ステップとを含むことを特徴とするモータ起動制御方法。
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