JP2011050170A - インバータ装置 - Google Patents
インバータ装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011050170A JP2011050170A JP2009196275A JP2009196275A JP2011050170A JP 2011050170 A JP2011050170 A JP 2011050170A JP 2009196275 A JP2009196275 A JP 2009196275A JP 2009196275 A JP2009196275 A JP 2009196275A JP 2011050170 A JP2011050170 A JP 2011050170A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phase difference
- correction amount
- current
- frequency correction
- voltage
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Control Of Ac Motors In General (AREA)
Abstract
【課題】同期モータの特性に関係なく、簡単な制御で安定した運転を可能にする、安価かつ高性能なインバータ装置を提供する。
【解決手段】位相差検出部8は、インバータ回路2の交流電圧と交流電流との位相差を検出し、PI演算部11は、この位相差と目標とする位相差との誤差に応じたデューティ基準値を算出する。位相差振動検出部17は、位相差の振動成分を検出し、回転数補正量演算部18は、この振動成分に基づいて回転数補正量を算出する。回転数補正量の正負は位相差とデューティ基準値との関係に応じて決められる。PWM作成部15は、補正された回転数指令値に応じた正弦波データとデューティ基準値とに基づいて、PWM信号を作成して、インバータ回路2に出力する。
【選択図】図1
【解決手段】位相差検出部8は、インバータ回路2の交流電圧と交流電流との位相差を検出し、PI演算部11は、この位相差と目標とする位相差との誤差に応じたデューティ基準値を算出する。位相差振動検出部17は、位相差の振動成分を検出し、回転数補正量演算部18は、この振動成分に基づいて回転数補正量を算出する。回転数補正量の正負は位相差とデューティ基準値との関係に応じて決められる。PWM作成部15は、補正された回転数指令値に応じた正弦波データとデューティ基準値とに基づいて、PWM信号を作成して、インバータ回路2に出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータを駆動するためのインバータ装置に関し、さらにはこのインバータ装置により駆動される圧縮機駆動装置およびこのインバータ装置を搭載した冷凍装置、空調装置(これらを総称して冷凍・空調装置とする)に関する。
永久磁石同期モータは、保守性、制御性、耐環境性に優れ、高効率、高出力運転が可能であるため広く用いられている。また、永久磁石を使用しない同期リラクタンスモータも安価でリサイクルが容易なモータとして盛んに研究されている。永久磁石同期モータや同期リラクタンスモータなどの同期モータを高性能制御するためには、ロータ位置に応じた正弦波電流を流すことが重要である。そのため、一般にモータ制御装置には、ホール素子、エンコーダ、レゾルバ等のロータ位置センサが必要となる。
あるいは、位置センサに代えて、モータの電圧や電流の情報からロータの位置を演算によって間接的に求める方法が、特許文献1、特許文献2などに、近年いろいろと提案されている。
ロータ位置センサは機器の小型化を妨げる大きな要因になるだけでなく、センサの信号を伝える複数本の配線や受信回路が必要となる。そのため、信頼性、作業性、価格等に問題がある。また、位置センサを用いずにモータの電圧や電流の情報から間接的にロータの位置を演算する方法は、複雑かつ高速な演算処理が必要なので、制御装置が高価になるという問題がある。
一方、上記のように直接的あるいは間接的にロータの位置を検出する方法の他に、特許文献3のように、モータ電圧とモータ電流の位相差を制御することにより、正弦波駆動を実現する方法や、特許文献4のように、V/f一定制御による同期モータの駆動装置において、同期モータ駆動の安定性を高める方法が開示されている。
図8は、特許文献3における従来例のモータ制御装置の制御ブロック図を示している。このモータ制御装置は、ステータに3相のコイル、ロータに永久磁石を備えた同期モータ1を駆動するために、インバータ回路2とコンバータ回路3とAC電源4と電流センサ5とモータ電流検出アンプ部6とマイクロコンピュータ7とから構成されている。
同期モータ1はインバータ回路2によって駆動され、インバータ回路2には、コンバータ回路3からAC電源4が直流に変換して与えられる。電流センサ5は、モータコイル端子U,V,W各相の中で特定相、(図8ではU相)に流れるモータ電流を検出する。電流センサ5で検出されたモータ電流はモータ電流検出アンプ部6に与えられ、所定量増幅およびオフセット加算されたモータ電流信号がマイクロコンピュータ7に与えられる。
マイクロコンピュータ7は、位相差検出部8と目標位相差情報格納部9と加算器10とPI演算部11と回転数設定部12と正弦波データテーブル13と正弦波データ作成部14とPWM作成部15とを有し、各処理はソフト的に行われる。
位相差検出部8は、モータ電流検出アンプ部6から与えられたモータ電流信号を所定のタイミングでA/D変換して取込み、2個所のモータ駆動電圧位相期間ごとにサンプリングした各電流サンプリングデータを積算してモータ電流信号面積とし、両モータ電流信号面積の面積比を位相差情報として出力する。目標とする位相差情報は、目標位相差情報格納部9に格納される。目標位相差情報と位相差情報との誤差データは、加算器10によって算出される。PI演算部11は、算出された誤差データに対して比例誤差データおよび積分誤差データを算出して、デューティ基準値を出力する。なお、加算部10とPI演算部11とによって、位相差制御部が構成される。
回転数設定部12は同期モータ1の回転数指令を設定する。正弦波データテーブル13は、同期モータの所定の回転数に対応する正弦波データを格納したテーブルを有する。正弦波データ作成部14は、回転数指令と時間経過に従って正弦波データテーブル13からモータコイルU,V,W各相に対応した正弦波データを読出すとともに、U相の正弦波データからU相のモータ駆動電圧位相情報を出力する。PWM作成部15は、正弦波データとデューティ基準値とから各相のインバータ2の駆動素子にPWM波形信号を出力する。
特許文献5に記載されたインバータ装置では、簡単な制御で安定した同期モータなどの運転を可能にするために、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を制御するマイクロコンピュータにおいて、交流電圧と交流電流との位相差を検出し、この検出した交流電圧/電流位相差情報と目標とする位相差情報との誤差に応じたデューティ基準値を算出する。また、交流電圧と交流電流との位相差の振動成分を検出し、この振動成分に基づいて同期モータの回転数の補正量を算出する。算出したデューティ基準値と補正された回転数に応じた正弦波データに基づいてPWM波形信号を作成して、インバータ回路に出力する。
特許文献3の方法では、制御が簡単なため、制御装置を安価にすることができるが、負荷に大きな変動が発生した場合、乱調が発生し、乱調の振幅が大きければ、回復不能となり、脱調して運転不能に至る。したがって、安定性に問題がある。
特許文献4の方法では、安定性が高められるが、2相の電流を検出する電流センサが必要であり、価格等に問題がある。また、3/2相変換や座標変換などの演算処理が必要となるため、マイクロコンピュータの演算量も多くなり、演算に時間がかかりすぎる。例えば、同期モータを高回転で駆動するほど、演算に必要な時間が長くなり、回転数に応じた所定時間内に演算が終了せず、駆動が不可能になるおそれがある。
特許文献5の方法では、制御が簡単であり、安定性が高められるが,同期モータの巻線抵抗,鎖交磁束,インダクタンスによっては、周波数の補正を行っても乱調を助長する状態となり、脱調して運転不能に至る場合があるなど安定性にはまだ問題がある。
図9に示すように、位相差と電流位相が負の相関関係のような単調な関係にある場合には、位相差を用いて間接的に電流位相を制御できる。乱調が発生した場合には、角速度を補正することにより、電流位相を安定化することができる。具体的には、電流位相が大きくなった場合には、減速補正し、逆に小さくなった場合には、加速補正する。
特許文献5のように、この制御を位相差を用いて行う場合は、位相差が小さくなれば減速補正を行い、位相差が大きくなれば加速補正を行うことになる。一方、図10に示すように、負荷トルクによっては位相差と電流位相が単調な関係を示さない特性のモータに対して、上記の制御を行うと、負の相関関係を有する区間Aでは、安定化できるが、正の相関関係を有する区間Bでは、電流位相と位相差の関係が区間Aと異なっているため、同一の制御では電流位相を安定化することができない。
そこで、本発明は、上記に鑑み、同期モータの特性に関係なく、簡単な制御で安定した運転を可能にする、安価かつ高性能なインバータ装置の提供を目的とする。
本発明は、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路を制御する制御装置とを備え、制御装置は、インバータ回路における交流電圧と交流電流との位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差と目標とする位相差との誤差に応じてデューティ基準値を調整する調整手段と、前記位相差の振動成分を検出するための位相差振動成分検出手段と、振動成分に基づいて交流電圧周波数補正量を算出するための周波数補正量演算手段と、前記位相差とデューティ基準値との関係に応じて前記周波数補正量の正負を切り替える補正量符号演算手段と、周波数補正量演算手段および補正量符号演算手段によって得られた前記周波数補正量により交流電圧周波数を補正する周波数補正手段と、補正された交流電圧周波数に対応する出力波形データとデューティ基準値とに基づいてPWM信号を算出するPWM作成手段とを有し、制御装置は、前記PWM信号をインバータ回路に出力するものである。
補正量符号演算手段は、位相差とデューティ基準値とが負の相関関係を有するとき、位相差が大きくなれば、周波数補正量の符号を正とし、位相差が小さくなれば、周波数補正量の符号を負とし、位相差とデューティ基準値とが正の相関関係を有するとき、位相差が大きくなれば、周波数補正量の符号を正とし、位相差が小さくなれば、周波数補正量の符号を負とする。
交流電圧と交流電流との位相差が検出され、この検出した交流電圧/電流位相差と目標とする位相差との誤差に応じたデューティ基準値が算出される。また、交流電圧/電流位相差の振動成分が検出され、この振動成分に基づいて交流電圧周波数の補正量が求められる。そして、位相差とデューティ基準値との関係に応じて周波数補正量の正負が切り替えられる。すなわち、デューティ基準値が小さくなると位相差が小さくなり、デューティ基準値が大きくなると位相差が大きくなるような関係がある場合、位相差が小さくなれば減速補正が行われ、位相差が大きくなれば加速補正が行われる。また、逆にデューティ基準値が小さくなると位相差が大きくなり、デューティ基準値が大きくなると位相差が小さくなるような関係の場合、位相差が小さくなれば減速補正が行われ、位相差が大きくなれば加速補正が行われる。
インバータ回路を流れる直流電流を検出する直流電流検出手段が設けられ、位相差検出手段は、前記直流電流に基づいて交流電圧と交流電流との位相差を検出する。あるいは、交流電流の極性を検出する交流電流極性検出手段が設けられ、位相差検出手段は、交流電流の極性が反転した時点の交流電圧と交流電流との位相差を検出する。
周波数補正量演算手段は、振動成分の大きさに応じて周波数補正量の大きさを調整する。あるいは、交流電圧周波数の大きさに応じて周波数補正量の大きさを調整する。さらには、デューティ基準値の大きさに応じて周波数補正量の大きさを調整する。
そして、インバータ回路の出力側に同期モータが接続され、周波数補正手段は、同期モータの回転数に対応する交流電圧の周波数を補正する。なお、モータの回転数と周波数とは比例関係にあり、交流電圧周波数補正量は回転数補正量に対応する。
本発明によると、交流電流を検出するための電流センサが不要となり、しかもマイクロコンピュータの演算量も少なく、A/D変換器やマイクロコンピュータの処理速度も従来の方式に比べ低くてもよい。しかも、モータの特性に応じて位相差制御を行うことにより、簡単な構成でモータトルクや電流の振動を抑制し、脱調を防止して安定した制御を実現する信頼性の高いインバータ装置を得ることができる。
そして、ロータ位置センサやモータ電流センサを設けなくても、正弦波駆動をはじめとする180度通電駆動が可能となり、モータ効率の向上、低騒音および低振動を実現できる。したがって、小型で信頼性の高い圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置を提供することができる。
本実施形態のインバータ装置を図1に示す。モータ駆動用のインバータ装置において、3相の同期モータであるモータ1がインバータ回路2の出力側に接続され、モータ1はインバータ制御によって駆動される。インバータ回路2には、コンバータ回路3によってAC電源4からの交流電圧が直流電圧に変換されて供給される。
マイクロコンピュータ7は、位相差検出部8、目標位相差情報格納部9、加算器10、PI演算部11、回転数設定部12、正弦波データテーブル13、正弦波データ作成部14、PWM作成部15、モータ電流推定部16、位相差振動検出部17、回転数補正量演算部18および回転数補正部19を有し、各処理をプログラムにしたがってソフト的に行う。なお、図8に示したインバータ装置の構成部材と同一機能を有する構成部材については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
そして、コンバータ回路3とインバータ回路2とを結ぶ直流回路の負極側に、電流検出抵抗21が設けられる。電流検出抵抗21の両端に発生する電圧に基づいて、インバータ回路2に流れる直流電流を検出する直流電流検出手段としての直流電流検出アンプ部22が設けられる。直流電流検出アンプ部22は、制御装置としてのマイクロコンピュータ7に接続され、検出した直流電流を増幅して、直流電流信号としてマイクロコンピュータ7に出力する。
マイクロコンピュータ9のモータ電流推定部16は、入力された直流電流信号からモータ電流を推定演算する。すなわち、モータ電流推定部16は、入力された直流電流信号から電流変化分演算手段により直流電流の変化分を求め、直流電流信号の変化分を分配演算手段によりモータ電流信号を推定演算する。ここで、電流変化分演算手段および分配演算手段に関しては、特開平8−19263号公報に記載されている。
位相差検出手段である位相差検出部8は、モータ電流推定部16により推定演算されたモータ電流信号(図2(b)参照)を用いて、モータ電圧/電流位相差(図2(c)参照)を検出する。
目標位相差情報格納部9は、目標とする位相差情報を格納し、加算器10は、位相差検出部8によって検出されたモータ電圧/電流位相差と目標位相差との誤差量を求める。PI演算部11では、P制御によって誤差量に対して所定の増幅を行って、比例誤差量を算出し、I制御によって誤差量を積算して、その値を増幅して積分誤差量を算出し、両者を加算してデューティ基準値を算出する。加算器10およびPI演算部11によって、調整手段が構成される。
次に、回転数の設定およびPWM出力について説明する。本発明による位相差制御方式は、逆起電圧パルスなどを検出して速度制御を行う方式とは異なる。すなわち、モータ1の回転数は、モータ巻線に通電するPWM波からなる正弦波電圧の周波数で決定される、いわゆる強制励磁駆動である。なお、モータ1の回転数と周波数とは比例関係にある。
位相差振動成分検出手段である位相差振動検出部17は、位相差検出部8で検出された位相差に基づいて、位相差の振動成分を検出する。周波数補正量演算手段である回転数補正量演算部18は、この振動成分に基づいて回転数補正量を演算する。周波数補正手段である回転数補正部19は、回転数指令値と回転数補正量とから回転数を算出し、補正された回転数を正弦波データ生成部14に出力する。回転数設定部12は、目標とする回転数指令値を格納し、回転数補正部19に出力する。位相差振動検出部17、回転数補正量演算部18および回転数補正部19により、安定化制御手段20が構成される。
具体的には、位相差検出部8から検出されたモータ電圧/電流位相差に直流成分が含まれるため、このままでは振動量がわかりにくい。そこで、位相差振動検出部17は、位相差検出部8で検出された複数相のうちのいずれかの特定相の位相差から直流成分を除去し、位相差振動成分を抽出する。
例えば、特定相をU相位相差とした場合、位相差振動検出部17は、位相差検出部8から出力されたモータ電圧/電流位相差のうち、U相位相差(図2(c)参照)を入力する。この入力されるデータをU相位相差データAとし、このU相位相差データAを各時間で表したものを図3に示す。
位相差振動検出部17は、図4に示すように、入力されたU相位相差データAをハイパスフィルタ23に通すことにより、直流成分を除去し、純粋な変動量としたU相位相差振動成分(図2(d)参照)を抽出する。抽出された振動成分が回転数補正量演算部18に設けられた比例増幅器24に通ることにより、回転数補正量が算出される。なお、位相差の直流成分とは、例えば交流電圧の位相が90度の時点の位相差の値を純粋な変動量としてとらえるために減算する値である。図3において、t1〜t5のデータの平均値は31であり、各時間での位相差からこの位相差平均値を引いた値が振動成分となる。振動成分は、t1では−26、t2では−1、t3では29、t4では9、t5では−11である。
これにより、振動成分の大きさに応じて、回転数補正量の大きさを調整することができる。すなわち、位相差振動検出部17によって検出された振動成分が大きい場合は、回転数補正量を大きくする。また、振動成分が小さい場合は、回転数補正量を小さくする。
また、回転数補正量演算部18は、図5に示すように、位相差振動検出部17によって検出された振動成分を比例増幅器24に通した後、乗算器25でモータ回転数指令値との乗算を行い、回転数補正量を算出してもよい。これにより、振動成分の大きさと回転数の大きさに応じて、回転数補正量の大きさを調整することができる。
さらに、図6に示すように、振動成分を比例増幅器24に通した後、乗算器25においてPI演算部11で算出されたデューティ基準値との乗算を行い、回転数補正量を算出し てもよい。これにより、振動成分の大きさとデューティ基準値の大きさに応じて、回転数補正量の大きさを調整することができる。図5、6に示した方法によれば、モータ回転数や負荷条件の変化にも対応可能である。
回転数補正部18は、回転数補正量に基づいて回転数指令値を増減する補正を行う。この補正された回転数指令値が正弦波データ作成部14に入力され、補正後の回転数指令値に対応する正弦波データが正弦波データテーブル13から読み出される。
ここで、正弦波データテーブル13には、連続的にアナログ値を出力すると正弦波波形が出力されるデータ列が格納されている。このデータ列の参照アドレスがPWMキャリア周期ごとに所定数ずつ更新される。この所定数が大きければ高回転数となる。つまり、モータ回転数は、モータ1の構造的なものを除外すると、PWMキャリア周波数と正弦波データテーブル13の参照データとの更新間隔で決まる。例えば、巻線相数が3相であれば、それぞれの相のデータは、電気角で120度ずつにずらした正弦波データを参照すればよい。なお、その都度、正弦波演算を行って正弦波データを作成してもよい。
正弦波データ作成部14は、回転数補正部19からの補正された回転数と時間経過とにしたがって、正弦波データテーブル13からモータ巻線端子U,V,Wの各相に対応した正弦波データを読み出して、正弦波データをPWM作成部15に出力するとともに、U相の正弦波データからU相のモータ駆動電圧位相情報を位相差検出部8に出力する。
PWM作成手段であるPWM作成部15は、正弦波データとデューティ基準値とから各相ごとにインバータ回路2の各駆動素子にモータ駆動電圧であるPWM波形信号を出力する。すなわち、PWM作成部15は、各相の正弦波データと位相差制御によって算出されたデューティ基準値とを乗算して、PWMデューティのデューティ幅を決定し、PWM波形信号をインバータ回路2の各駆動素子に出力する。このPWM作成部15を構成するPWM波形発生器は、たとえばPWMキャリア周期で三角波を発生し、この三角波の波高値と前記乗算された値とを比較し、比較結果に基づいてHigh/Low信号を出力する。
なお、正弦波データの作成は、正弦波データテーブル13を元に作成せずに、演算によって作成しても構わない。このデューティ基準値と別途回転数指令値から求まる正弦波データとに基づいてPWM作成部15がその都度の出力デューティを計算し、インバータ部2を介してモータ巻線に印加することによってモータ1が駆動される。
上記の構成において、モータ駆動電圧(出力デューティ)に対するモータ巻線電流位相差を一定に制御するための位相差制御フィードバックループによって、駆動電圧の大きさ(PWMデューティのデューティ幅)が決定される。また、モータ1を所望の回転数で回転させるために、所望の周波数で出力される正弦波データによって回転数が決定される。これによって、所望の位相差、所望の回転数でモータ1を駆動制御できる。
ここで、モータによっては、図10に示すように、負荷トルクによって、位相差と電流位相(デューティ基準値)が単調な関係を示さない特性のモータがある。区間Aでは、位相差と電流位相(デューティ基準値)とが負の相関関係を示し、区間Bでは、位相差と電流位相とが正の相関関係を示す。このような特性のモータにも対応できるように、本インバータ装置では、駆動するモータにおける位相差とデューティ基準値との関係に応じて回転数補正量の正負を切り替える補正量符号演算手段を備えている。
補正量符号演算手段として、角速度補正量符号演算部30が設けられる。角速度補正量符号演算部30は、PI演算部11に設けられ、位相差検出部8から出力された電流位相に関する情報に基づいて、区間Aにあるのか区間Bにあるのかを判断し、回転数補正量に対する符号を決める。そして、角速度補正量符号演算部30は、符号の情報を符号切替部31に出力する。なお、区間A,Bを分ける電流位相の基準値は、駆動するモータに応じて予め設定されている。
角速度補正量符号演算部30は、現在の電流位相と基準値とを対比して、区間を判断する。位相差と電流位相とが負の相関関係を有するとき、すなわち区間Aにあるとき、位相差が大きくなれば、回転数補正量の符号を正とし、位相差が小さくなれば、回転数補正量の符号を負とする。また、位相差と電流位相の値とが正の相関関係を有するとき、すなわち区間Bにあるとき、位相差が大きくなれば、回転数補正量の符号を正とし、位相差が小さくなれば、回転数補正量の符号を負とする。
符号切替部31は、回転数補正手段の一部を構成し、回転数補正部19から出力された回転数指令値に対して、符号を切り替えられた回転数補正量に基づき回転数指令値を補正して、補正後の回転数指令値を正弦波データ作成部14に出力する。符号を負にしたとき、減速補正が行われ、符号を正にしたとき、加速補正が行われる。
また、駆動するモータが、図9に示すような位相差と電流位相とが負の相関関係を有する場合、角速度補正量符号演算部30は、回転数補正量の正負を切り替えない。
このように、モータの特性を考慮して、位相差制御を行うことにより、駆動するモータに関係なく、安定した運転が可能になる。
他の実施形態のインバータ装置を図7に示す。図1に示す上記実施形態における直流電流検出アンプ部の代わりに、モータ電流極性検出部26が設けられる。その他の構成は、上記実施形態と同じである。
モータ電流極性検出部26は、インバータ回路2に流れるモータ巻線端子U,V,Wの各相の交流電流極性を検出し、それらを論理合成して交流電流極性信号を形成して、位相差検出部8に出力する。位相差検出部8は、モータ電流極性検出部26からの交流電流極性信号に基づいて、交流電流極性が反転した時点の交流電圧と交流電流との位相差を検出する。なお、モータ電流極性検出部26の具体的な構成については、例えば特開平1−202194号公報、特開2001−258287号公報に記載されている。
図1における直流電流による位相差検出では、2個所のモータ駆動電圧位相期間ごとにサンプリングした各電流サンプリングデータを積算して、モータ電流信号面積とし、両モータ電流信号面積の面積比を位相差情報としている。位相差の検出のためには、電流瞬時値検出が必要であるが、図7における交流電流極性検出では、電流極性情報のみが得られればよい。これによって、A/D変換機能を持たないマイクロコンピュータ7の使用も可能となり、コストを削減することができる。
ここで、冷凍・空調装置などに使用される圧縮機では、内部が高温状態になり、ホールICなどのロータ位置を検出する位置センサを設けることが困難であるため、位置センサレスでモータ1を駆動する必要がある。そこで、上記のインバータ装置を圧縮機駆動装置のモータを駆動するために使用する。これによって、コイルおよびホール素子で構成された電流センサ、カレントトランスといった交流電流を検出するための電流センサが不要となるとともに、位置センサも不要となる。そして、このインバータ装置を備えた圧縮機駆動装置を冷凍・空調装置に搭載する。これによって、冷蔵庫、冷凍庫、空気調和機といった冷凍・空調装置を安定して運転することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。本実施例では、特定相の位相差を検出しているが、U相に限らず、V相、W相でもよい。
また、本発明のインバータ装置を、例えば蛍光灯や誘導加熱調理器等の電化製品、あるいは電車や電気自動車、エレベータ等の電気製品に用いてもよい。これらの製品において、安定した駆動が行われる。
1 モータ
2 インバータ回路
3 コンバータ回路
4 AC電源
7 マイクロコンピュータ
8 位相差検出部
9 目標位相差情報格納部
10 加算器
11 PI演算部
12 回転数設定部
13 正弦波データテーブル
14 正弦波データ作成部
15 PWM作成部
16 モータ電流推定部
17 位相差振動検出部
18 回転数補正量演算部
19 回転数補正部
20 安定化制御手段
21 電流検出抵抗
22 直流電流検出アンプ部
30 角速度補正量符号演算部
31 符号切替部
2 インバータ回路
3 コンバータ回路
4 AC電源
7 マイクロコンピュータ
8 位相差検出部
9 目標位相差情報格納部
10 加算器
11 PI演算部
12 回転数設定部
13 正弦波データテーブル
14 正弦波データ作成部
15 PWM作成部
16 モータ電流推定部
17 位相差振動検出部
18 回転数補正量演算部
19 回転数補正部
20 安定化制御手段
21 電流検出抵抗
22 直流電流検出アンプ部
30 角速度補正量符号演算部
31 符号切替部
Claims (10)
- 直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路を制御する制御装置とを備え、制御装置は、インバータ回路における交流電圧と交流電流との位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差と目標とする位相差との誤差に応じてデューティ基準値を調整する調整手段と、前記位相差の振動成分を検出するための位相差振動成分検出手段と、振動成分に基づいて交流電圧周波数補正量を算出するための周波数補正量演算手段と、前記位相差とデューティ基準値との関係に応じて前記周波数補正量の正負を切り替える補正量符号演算手段と、周波数補正量演算手段および補正量符号演算手段によって得られた前記周波数補正量により交流電圧周波数を補正する周波数補正手段と、補正された交流電圧周波数に対応する出力波形データとデューティ基準値とに基づいてPWM信号を算出するPWM作成手段とを有し、制御装置は、前記PWM信号をインバータ回路に出力することを特徴とするインバータ装置。
- 補正量符号演算手段は、位相差とデューティ基準値とが負の相関関係を有するとき、位相差が大きくなれば、周波数補正量の符号を正とし、位相差が小さくなれば、周波数補正量の符号を負とし、位相差とデューティ基準値とが正の相関関係を有するとき、位相差が大きくなれば、周波数補正量の符号を正とし、位相差が小さくなれば、周波数補正量の符号を負とすることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
- インバータ回路を流れる直流電流を検出する直流電流検出手段が設けられ、制御装置は、前記直流電流に基づいて交流電圧と交流電流との位相差を検出することを特徴とする請求項1または2記載のインバータ装置。
- 交流電流の極性を検出する交流電流極性検出手段が設けられ、位相差検出手段は、交流電流の極性が反転した時点の交流電圧と交流電流との位相差を検出することを特徴とする請求項1または2記載のインバータ装置。
- 周波数補正量演算手段は、振動成分の大きさに応じて周波数補正量の大きさを調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインバータ装置。
- 周波数補正量演算手段は、交流電圧周波数の大きさに応じて周波数補正量の大きさを調整することを特徴とする請求項5記載のインバータ装置。
- 周波数補正量演算手段は、デューティ基準値の大きさに応じて周波数補正量の大きさを調整することを特徴とする請求項5記載のインバータ装置。
- インバータ回路の出力側に同期モータが接続され、周波数補正手段は、同期モータの回転数に対応する交流電圧の周波数を補正することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインバータ装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のインバータ装置を備えたことを特徴とする圧縮機駆動装置。
- 請求項9記載の圧縮機駆動装置を備えたことを特徴とする冷凍・空調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009196275A JP2011050170A (ja) | 2009-08-27 | 2009-08-27 | インバータ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009196275A JP2011050170A (ja) | 2009-08-27 | 2009-08-27 | インバータ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011050170A true JP2011050170A (ja) | 2011-03-10 |
Family
ID=43835941
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009196275A Pending JP2011050170A (ja) | 2009-08-27 | 2009-08-27 | インバータ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011050170A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015516792A (ja) * | 2012-03-15 | 2015-06-11 | ボルグワーナー トルクトランスファー システムズ エービー | 道路車両のための電気的駆動軸装置 |
JP2016067079A (ja) * | 2014-09-23 | 2016-04-28 | アスモ株式会社 | 電動機の制御装置 |
CN111034025A (zh) * | 2017-08-31 | 2020-04-17 | 日本电产东测有限公司 | 马达的控制装置和存储介质 |
WO2022262091A1 (zh) * | 2021-06-17 | 2022-12-22 | 浙江大学先进电气装备创新中心 | 用于pmsm的多电流传感器比例误差平衡控制方法 |
-
2009
- 2009-08-27 JP JP2009196275A patent/JP2011050170A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015516792A (ja) * | 2012-03-15 | 2015-06-11 | ボルグワーナー トルクトランスファー システムズ エービー | 道路車両のための電気的駆動軸装置 |
US9744850B2 (en) | 2012-03-15 | 2017-08-29 | Borgwarner Torqtransfer Systems Ab | Electric drive axle arrangement for a road vehicle |
JP2016067079A (ja) * | 2014-09-23 | 2016-04-28 | アスモ株式会社 | 電動機の制御装置 |
CN111034025A (zh) * | 2017-08-31 | 2020-04-17 | 日本电产东测有限公司 | 马达的控制装置和存储介质 |
CN111034025B (zh) * | 2017-08-31 | 2023-02-17 | 日本电产东测有限公司 | 马达的控制装置和存储介质 |
WO2022262091A1 (zh) * | 2021-06-17 | 2022-12-22 | 浙江大学先进电气装备创新中心 | 用于pmsm的多电流传感器比例误差平衡控制方法 |
US11750127B2 (en) | 2021-06-17 | 2023-09-05 | Zhejiang University Advanced Electrical Equipment Innovation Center | Control method for balancing scaling errors of multiple current sensors for PMSM |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kim et al. | Commutation torque ripple reduction in a position sensorless brushless DC motor drive | |
JP2011139582A (ja) | モータ駆動回路 | |
KR20100054830A (ko) | 전동 드라이브 및 그 제어 방법 | |
US20150372629A1 (en) | System, method and apparatus of sensor-less field oriented control for permanent magnet motor | |
JP2009077503A (ja) | 電動機の制御装置,空気調和機の制御装置 | |
JP2011050170A (ja) | インバータ装置 | |
JP4818176B2 (ja) | モータ駆動制御装置並びに換気扇、液体用ポンプ、冷媒圧縮機、送風機、空気調和機及び冷蔵庫 | |
JP2008172948A (ja) | ブラシレスモータの制御装置 | |
JP4791319B2 (ja) | インバータ装置、圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置 | |
JP2012090460A (ja) | モータ制御装置 | |
JP2008301579A (ja) | 冷凍サイクル圧縮機駆動用の電力変換装置及びそれを用いた冷凍装置 | |
JP2009232536A (ja) | モータの制御装置とそれを用いた冷凍装置および空調装置 | |
JP5057368B2 (ja) | 交流電力生成装置、圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置 | |
JP4485902B2 (ja) | インバータ装置、圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置 | |
JP4279654B2 (ja) | インバータ装置、圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置 | |
JP4485903B2 (ja) | インバータ装置、圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置 | |
JP2009017613A (ja) | 制御装置、駆動システム、および熱移動システム | |
JP5146128B2 (ja) | インバータ装置 | |
JP2008029115A (ja) | 単相位置センサレス永久磁石モータ制御装置 | |
JP4256796B2 (ja) | インバータ装置 | |
JP2007151215A (ja) | インバータ装置、圧縮機駆動装置および冷凍・空調装置 | |
JP2006115678A (ja) | モータ駆動制御装置 | |
JP2010098852A (ja) | モータの制御装置とそれを用いた冷凍装置および空調装置 | |
JP2009254191A (ja) | モータ制御装置、圧縮装置、冷凍装置および空調装置 | |
JP3696786B2 (ja) | モータ制御装置 |