JP2009232536A - モータの制御装置とそれを用いた冷凍装置および空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】位置センサレスでモータを駆動するとともに、負荷トルクの変動の大きい場合でも安定なモータの駆動制御を行なうことができるモータの制御装置を提供する。
【解決手段】モータの制御装置50は、モータ電圧とモータ電流との位相差のフィードバック制御によってモータ1を駆動する。ここで、制御装置50は、負荷トルクの変動パターンに合わせてデューティ値41を補正するとともに、インバータ回路2に入力される直流電流の振動成分を検出して回転数指令値44の補正を行なう。このときの振動成分の検出は、直流電流の値から前述のトルク補正によって増減した電流成分を減算した基本電流成分に対して行なわれる。この結果、効果的にモータ電流の振動成分を抑制することができるので、低振動で安定してモータ1を駆動することができる。
【選択図】図2
【解決手段】モータの制御装置50は、モータ電圧とモータ電流との位相差のフィードバック制御によってモータ1を駆動する。ここで、制御装置50は、負荷トルクの変動パターンに合わせてデューティ値41を補正するとともに、インバータ回路2に入力される直流電流の振動成分を検出して回転数指令値44の補正を行なう。このときの振動成分の検出は、直流電流の値から前述のトルク補正によって増減した電流成分を減算した基本電流成分に対して行なわれる。この結果、効果的にモータ電流の振動成分を抑制することができるので、低振動で安定してモータ1を駆動することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、インバータによって駆動されるモータの制御装置、ならびにそのモータを用いて圧縮機を駆動する冷凍装置および空調装置に関する。
永久磁石同期モータは、保守性、制御性、耐環境性に優れるとともに、高効率、高出力の運転が可能であるため、広く利用されている。また、永久磁石が不要な同期リラクタンスモータも安価、かつ、リサイクルが容易なモータとして盛に研究されている。
永久磁石同期モータあるいは同期リラクタンスモータなどの同期モータに高性能な制御を行なうためには、ロータの位置に応じた正弦波電流をモータのコイルに流すことが重要となる。一般的に、このような要件を満たすことが可能なモータの制御方法としては、ホール素子、エンコーダ、レゾルバなどのロータの位置を検出する位置センサの出力を利用する自制運転(速度フィードバック運転)方法がある。また、位置センサの出力に代えて、モータの電圧や電流の情報に基づいて、ベクトル演算により間接的にロータの位置を求める方法も提案されている。
しかし、位置センサはモータ制御装置を備えた機器の小型化を妨げる大きな要因となる。そればかりでなく、位置センサを設置した場合には位置センサの信号を伝える複数本の配線や受信回路も必要となる。よって、位置センサの出力に基づいてロータの位置を求める方法の場合には、機器の信頼性、位置センサを取り付ける際の作業性、および機器の価格などといった点にも問題がある。また、モータの電圧や電流の情報に基づいたベクトル演算によって間接的にロータの位置を求める方法の場合は、複雑かつ高速な演算処理が必要となるため、制御装置が高価になるという問題がある。
上記問題に鑑み、位置情報に基づかずにモータの制御を可能にする第1の従来技術が、たとえば特開2001―112287号公報(特許文献1)に開示されている。第1の従来技術は、速度指令に基づく周波数(以下、強制励磁周波数とも呼ぶ)を有するモータ電圧をモータに印加することによりモータを運転する他制運転(速度オープンループ運転)方法である。さらに、この方法の場合、モータ電圧とモータ電流の位相差をフィードバック制御することにより高性能な正弦波駆動を行なう。
第1の従来技術によれば、制御が簡単なため制御装置を安価に構成することができるが、定常状態からの同期速度のずれが生じると過渡的な変動が生じ、系が不安定になる。この不安定性を解決するための第2の従来技術が、たとえば特開2006―115576号公報(特許文献2)などに開示されている。第2の従来技術のモータ制御装置は、モータ電流の振動成分を検出し、この振動成分に基づいて同期モータの回転数指令値の補正量を算出する。モータ制御装置は、補正後の回転数指令値に応じた正弦波データに基づいて、PWM波形信号を作成する。
ところで、モータ制御装置を接続する負荷としては、一定の負荷トルク(負荷トルク変動小)を有するものもあるが、一方で大きな負荷トルク変動を有するものも多数ある。その一例として、シングルロータ型圧縮機あるいはレシプロ型圧縮機などが挙げられる。シングルロータ型圧縮機あるいはレシプロ型圧縮機などは、空気調和機や冷蔵庫などに用いられる圧縮機として広く使用されているものである。以下の説明では、これら圧縮機の呼称として、単にシングルロータ型圧縮機として説明する。
シングルロータ型圧縮機の特徴は、構造が簡単で製造コストが安価であるという反面、負荷トルク変動が非常に大きいという点にある。シングルロータ型圧縮機では、モータ1回転中に冷媒の吸入,圧縮,吐出という圧縮サイクルを順次繰返していく。したがって、吐出直前は、冷媒が圧縮されているので負荷トルクが大きくなり、吐出直後は、冷媒が抜けているので負荷トルクが小さくなる。シングルロータ型圧縮機に対して一定のトルクで制御を行なうと、負荷トルクとモータトルクの偏差が発生し、圧縮機の振動が大きくなる。
このため、負荷トルクの変動に応じてモータが発生するモータトルクを補正する第3の従来技術(たとえば、特開2004―274841号公報(特許文献3)参照)が提案されている。
特開2001―112287号公報
特開2006―115576号公報
特開2004―274841号公報
一般に冷凍・空調装置などで使用される圧縮機では、内部が高温状態になるので、ホールIC(Integrated Circuit)などのロータ位置を検出する位置センサを設けることが困難である。したがって、位置センサレスでモータを駆動する必要がある。さらに、前述のように、冷凍・空調装置に通常使用されるシングルロータ型圧縮機を負荷装置として駆動した場合には、負荷トルクの変動が大きいという問題がある。さらに、モータ電流の安定化制御が十分でない場合には、モータの回転数が不安定となり、振動、騒音が増大し、モータの効率が悪化する。最悪の場合は脱調停止に至る。
これら問題に対して、前述のモータ電圧とモータ電流との位相差情報を用いた位置センサレス正弦波駆動(第1の従来技術)と、電流振動情報を用いた安定化制御(第2の従来技術)と、負荷トルクに応じてモータトルクを制御するトルク制御手段(第3の従来技術)とを適用することが考えられる。しかしながら、本発明の発明者は、検討の結果、これらの技術を単純に組み合わせて用いるだけでは、モータの安定制御に十分な効果をあげることができないことを見出している。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものである。この発明の目的は、位置センサレスでモータを駆動するとともに、負荷トルクの変動の大きい場合でも安定なモータの駆動制御を行なうことができるモータの制御装置を提供することである。さらに、そのモータの制御装置を用いた冷凍装置および空調装置を提供することである。
本発明は要約すれば、負荷装置に接続された同期モータを回転数指令値に従って可変速制御するためのモータの制御装置であって、インバータ装置と制御部とを備える。ここで、負荷装置は、同期モータのロータの機械角に対応した一定のパターンで負荷トルクが変動する。インバータ装置は、複数のスイッチング素子を含み、パルス幅変調信号に応答して複数のスイッチング素子がスイッチングすることによって、入力された直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を同期モータに出力する。また、制御部は、パルス幅変調信号を生成し、デューティ値演算部と、デューティ値補正部と、回転数補正部と、信号生成部とを含む。ここで、デューティ値演算部は、インバータ装置の出力電圧と出力電流との位相差と回転数指令値に対応して予め定められた目標位相差との誤差が小さくなるように、パルス幅変調信号のデューティ値を定める。デューティ値補正部は、予め測定された負荷トルクの変動パターンに合わせてデューティ値を補正する。回転数補正部は、インバータ装置の入力電流の値を、デューティ値補正部における補正量に対応する第1の電流成分と入力電流の値から第1の電流成分を減算した第2の電流成分とに分離し、第2の電流成分に基づいて回転数指令値を補正する。信号生成部は、デューティ値補正部によって補正されたデューティ値、および回転数補正部によって補正された回転数指令値に基づいて、パルス幅変調信号を生成する。
好ましくは、デューティ値補正部は、ロータの機械角に対応して予め定められたデューティ値の補正係数を記憶するトルクパターン記憶部を有する。そして、デューティ値補正部は、ロータの機械角に対応して補正係数をデューティ値に乗算することによってデューティ値を補正する。
さらに好ましくは、第1の電流成分は、入力電流の平均値と補正係数から1を減じた値との積に比例する。
また、好ましくは、回転数補正部は、第2の電流成分を直流成分と交流成分とに分離し、分離された交流成分が大きくなるほど回転数指令値の補正量を増加させる。
また、好ましくは、制御部は、波形データ作成部と、位相差検出部とをさらに含む。ここで、波形データ作成部は、回転数補正部によって補正された回転数指令値に対応する周波数で周期的に変化する電圧波形データを作成する。位相差検出部は、電圧波形データと出力電流との位相差を検出する。このとき、デューティ値演算部は、目標位相差と位相差検出部によって得られた位相差との誤差を算出し、誤差が小さくなるようにデューティ値を定める。また、信号生成部は、デューティ補正部によって補正されたデューティ値を電圧波形データに乗算し、得られた波形データをパルス幅変調することによってパルス幅変調信号を生成する。
さらに好ましくは、電圧波形データは、正弦波データである。
また、好ましくは、モータの制御装置は、入力電流を検出する電流センサをさらに備え、制御部は、出力電流検出部をさらに含む。ここで、出力電流検出部は、パルス幅変調信号に基づいて、複数のスイッチング素子がスイッチングする直前と直後の電流センサによる検出電流の変化分を算出し、算出された検出電流の変化分に基づいて出力電流を得る。
また、好ましくは、モータの制御装置は、入力電流を検出する電流センサをさらに備え、制御部は、出力電流検出部をさらに含む。ここで、出力電流検出部は、パルス幅変調信号に基づいて、複数のスイッチング素子がスイッチングする直前と直後の電流センサによる検出電流の変化分を算出し、算出された検出電流の変化分に基づいて出力電流を得る。
また、好ましくは、負荷装置は、シングルロータ型圧縮機またはレシプロ型圧縮機である。
本発明による冷凍装置は、負荷装置と、同期モータと、前述のモータの制御装置とを備える。
また、本発明による空調装置は、負荷装置と、同期モータと、前述のモータの制御装置とを備える。
本発明によれば、モータ電圧とモータ電流との位相差のフィードバック制御によってモータを駆動するので、ロータ位置を検知するセンサを必要としない。さらに、本発明によれば、モータトルクの制御を行うとともにモータ電流の安定化制御を行う。このとき、インバータ装置の入力電流からトルク制御によって増減した第1の電流成分を除いた第2の電流成分に基づいて回転数補正量を求める。したがって、負荷トルクの変動が大きい条件においても、効果的にモータ電流の安定化制御を行なうことができる。結果として、低騒音、低振動、高効率でモータを駆動するモータの制御装置を実現することができる。また、このようなモータの制御装置を用いることにより、低騒音、低振動、高効率な冷凍装置および空調装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
図1、図2は、本発明の実施の形態の冷凍装置100の構成を示すブロック図である。図1は、マイクロコンピュータ7のハードウェア構成を表わし、図2は、マイクロコンピュータ7のソフトウェア構成を機能ブロック図で表わす。なお、図1、図2に示す構成を備える機器は、冷凍装置に限らず空調装置であってもよい。
図1を参照して、冷凍装置100は、同期モータ1と、同期モータ1に接続された負荷装置としての圧縮機60と、同期モータ1を駆動制御する制御装置50を含む。ここで、制御装置50は、インバータ回路2と、コンバータ回路3と、AC(Alternating Current)電源4と、電流センサとしての電流検出抵抗5と、直流電流検出用アンプ部6と、制御部としてのマイクロコンピュータ7とを含む。
圧縮機60は、シングルロータ型圧縮機あるいはレシプロ型圧縮機を含む。圧縮機60のトルクは、同期モータ1のロータの機械角に対応して一定のパターンで変動する。
3相4極の同期モータ1は、インバータ回路2の出力側に接続されており、インバータ制御によって駆動される。インバータ回路2には、コンバータ回路3によってAC電源4からの交流電圧が直流電圧に変換されて供給される。
インバータ回路2は、図示しない6個の半導体スイッチング素子を用いた三相ブリッジ回路であり、U相アーム、V相アーム、およびW相アームを有する。半導体スイッチング素子のスイッチングは、PWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)信号48によって制御される。
電流検出抵抗5は、コンバータ回路3とインバータ回路2とを結ぶ直流回路の負極側に設けられる。電流検出抵抗5の両端に発生する電圧に基づいて直流電流信号が検出される。直流電流検出用アンプ部6は、インバータ回路2を流れる直流電流信号を増幅し、マイクロコンピュータ7に出力する。
マイクロコンピュータ7は、データバス74を介して接続されたCPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random-Access Memory)72、ROM(Read-Only Memory)73、A/D(Analog to Digital)変換器70a、およびD/A(Digital to Analog)変換器70bを含む。マイクロコンピュータ7は、A/D変換器70aによって、直流電流検出用アンプ部6から出力された直流電流信号を検出する。また、マイクロコンピュータ7は、検出した直流電流信号に基づいて、モータ1の動作を制御するためのPWM信号48を生成する。生成されたPWM信号は、D/A変換器70bによってアナログ信号に変換された後、インバータ回路2に出力される。マイクロコンピュータ7の処理は、プログラムに基づくソフトウェア処理によって行なわれる。
ここで、本実施の形態によるモータ1の制御方式は、他制運転(速度オープンループ運転)方式である。すなわち、マイクロコンピュータ7による制御によって、インバータ回路2は、回転数指令値に対応した強制励磁周波数を有するモータ電圧をモータ1に印加する。このとき、本実施の形態では、モータ電圧(インバータ回路2の出力電圧)とモータ電流(インバータ回路2の出力電流)との位相差が検出され、検出された位相差が目標位相差となるようにフィードバック制御される。このような位相差制御は、モータ1のロータとステータとの相対位置を直接検出するものではない。しかしながら、位相差情報とロータ・ステータの相対位置とは、ほぼ比例関係にあるので、位相差情報を制御することによって間接的にロータ・ステータの相対位置を制御することができる。この結果、モータ1の高効率駆動が可能なタイミングでモータに通電することができる。
図3は、目標位相差情報のデータテーブルの一例を示す図である。図3に示すように、モータ電圧とモータ電流の位相差の目標値である目標位相差は、回転数指令値に対応して予め定められる。目標位相差情報は、実験やシミュレーションなどによって、モータ1を高効率に駆動するために適した値が予め決められる。
以下、主として図2を参照して、マイクロコンピュータ7が行なう各処理について説明する。マイクロコンピュータ7は、モータ電流検出部8と、位相差検出部9と、目標位相差情報格納部10と、第1の加算器11と、PI演算部12と、デューティ値補正部52とを含む。主にこれらの構成要素によって、マイクロコンピュータ7は、位相差のフィードバック情報に基づいてPWMのデューティ値(以下、デューティ基準値41と称する。)を計算する。計算されたデューティ値は、さらに、デューティ値補正部52によって負荷トルクのパターンに応じて補正される。
また、マイクロコンピュータ7は、回転数指令値を設定する回転数設定部20と、モータ電流の安定化のために回転数指令値を補正する回転数補正部53と、正弦波データテーブル21と、正弦波データ作成部22とをさらに含む。主としてこれらの構成要素によって、マイクロコンピュータ7は、モータ1の回転数を制御する。
さらに、マイクロコンピュータは、PWM信号作成部15を含む。PWM信号作成部15は、デューティ値補正部52によって補正された補正後デューティ値43と、正弦波データ作成部22によって作成された各相ごとの正弦波データ47とに基づいてPWM信号48を作成する。以下では、最初に、主としてデューティ基準値41の制御に関係する構成要素ついて説明し、続いて、回転数制御に関係する構成要素ついて説明する。
図2のモータ電流検出部8は、直流電流信号とPWM信号48とを受けて、インバータ回路2の各スイッチング素子がスイッチングする直前直後の直流電流信号の変化分を検出する。モータ電流検出部8は、検出した直流電流信号の変化分に基づいてモータ電流を算出する。このように、モータの制御装置50では、モータ電流は、インバータ回路2の入力電流(直流電流)から演算により検出される。したがって、制御装置50は、コイルおよびホール素子で構成された電流センサ、カレントトランスといったモータ電流を直接検出するための電流センサを必要としないので、コストを削減することができる。ここで、モータ電流検出部8は、特開平8−19263号公報に記載されているものと同様である。以下、図4を参照して、モータ電流検出部8の構成について説明する。
図4は、図2のモータ電流検出部8の構成の一例を示すブロック図である。モータ電流検出部8は、直流電流検出用アンプ部6から受けた直流電流信号idに基づいて、各相のモータ電流信号iu,iv,iwを算出して出力する。モータ電流検出部8は、サンプルホールド部31,32と、タイミング制御部33と、減算部34と、分配演算部35とを含む。
サンプルホールド部31および32は、PWM信号によるスイッチングパターンに応じて、直流電流信号idのサンプリングおよびサンプリングした値の一時的記憶を交互に行なう。このときのサンプリング制御は、インバータ回路2のU相アーム、V相アーム、W相アームのスイッチングパターンに応じてタイミング制御部33によって制御される。
これにより、サンプルホールド部31,32は、一方が各相のアームのスイッチング直前の直流電流信号idをサンプリングするときに他方がスイッチング直後の直流電流信号idをサンプリングする。
タイミング制御部33は、インバータ回路2の各相アームのオン/オフを制御するPWM信号から各相アームのスイッチングタイミング信号を得るとともに、このタイミング信号に基づいてサンプルホールド部31,32のサンプリングタイミング信号を得る。
減算部34は、サンプルホールド部31,32がそれぞれサンプリングした直流電流信号id1,id2の差であるΔidを算出する。
分配演算部35は、電流差Δidを各相別に分配することによって電流信号iu,iv,iwを得る。この信号分配には、タイミング制御部33からの各相別のタイミング信号が用いられる。こうして得られた各相のスイッチング前後の電流差Δidが、インバータ回路2の各相の出力電流(モータ電流)である。
再び図2を参照して、位相差検出部9は、モータ電流検出部8により出力されたモータ電流信号iu,iv,iwを用いてモータ電圧信号とモータ電流信号との位相差を検出する。このとき、モータ電圧信号は、マイクロコンピュータ7で作成するため、モータ電圧信号を直接検出する必要はなく、ソフト的に検出可能である。具体的には、位相差検出部9は、後述する正弦波データ作成部22から、正弦波データに基づいて抽出されたU,V,Wの各相のモータ電圧位相情報49を受け取る。
目標位相差情報格納部10は、目標とする位相差情報を格納する。位相差情報は、図3に示すデータテーブルで表わされる。位相差情報は、モータ電圧がモータ電流に対して進み位相の場合は正の値、遅れ位相の場合は負の値、同相の場合は0とする。
第1の加算器11は、位相差検出部9によって検出された位相差と目標位相差情報格納部10に格納された目標位相差40との誤差量を求める。
PI演算部12は、比例制御(P制御)によって誤差量に対して所定の増幅を行って比例誤差量を算出する。さらに、PI演算部12は、積分制御(I制御)によって誤差量を積算して、その積算値を増幅して積分誤差量を算出する。PI演算部12は、比例誤差量と積分誤差量とを加算してデューティ基準値41を算出する。
なお、第1の加算器11とPI演算部12とによって、デューティ値演算部51が構成される。デューティ値演算部51は、インバータ回路2の出力電圧(モータ電圧)と出力電流(モータ電流)との位相差と前述の目標位相差との偏差が小さくなるように、デューティ基準値41を定める。
デューティ値補正部52は、得られたデューティ基準値41を負荷トルクの変動パターンに合わせて補正する。デューティ値補正部52は、トルクパターン記憶部13と、乗算器14と、機械角判定部23とを含む。以下、図2、図5、図6を参照して、デューティ値補正部52について説明する。
図5は、負荷トルクとモータ電圧・モータ電流との関係を表わす図である。図5の上側のグラフは、負荷トルクと機械角および電気角との関係を示し、下側のグラフは、U相モータ電圧(実線)およびU相モータ電流(破線)と機械角および電気角との関係を示す。
一般に、極数2pのモータの機械角θmと電気角θeとの関係は、
θe=p×θm/2 …(1)
と表わされる。本実施の形態の4極モータの場合は、θe=2×θmの関係にある。
一般に、極数2pのモータの機械角θmと電気角θeとの関係は、
θe=p×θm/2 …(1)
と表わされる。本実施の形態の4極モータの場合は、θe=2×θmの関係にある。
図5に示すように、シングルロータ型圧縮機の場合、モータ1回転中に、負荷トルクは、機械角に対応した一定のパターンで大きく変動する。この結果、負荷トルクとモータトルクとに差が生じるので、モータ電流の振幅および位相が機械角に対応して変化するとともに、モータ1が振動する。このため、モータを低振動で高効率に駆動するためには、負荷トルクの増減に合わせてモータトルクを増減させる必要が生じる。
具体的に、図2のデューティ値補正部52は、トルクパターン記憶部13に負荷トルクの変動パターンに対応したデューティ補正係数42を予め記憶する。そして、デューティ値補正部52は、デューティ補正係数42とデューティ基準値41とを乗算器14で乗算し、得られた補正後デューティ値43をPWM信号作成部15に出力する。
図6は、トルクパターン記憶部13に記憶されたデューティ補正係数のデータテーブルの一例を示す図である。トルクパターン記憶部13は、負荷トルクと機械角(ロータ位置)とに相関があることを利用して、予め機械角(ロータ位置)に応じたデューティ基準値41の補正係数(デューティ補正係数42)を記憶する。図6に示すように、負荷トルクが大きくなるほど(たとえば、図5、図6で機械角180度付近)、デューティ補正係数42を大きく設定することによって、モータトルクを増加させる。トルク補正を行なわない場合のデューティ補正係数は1である。デューティ補正係数42は、適宜、実験やシミュレーション等などを行い、モータを高効率で低振動に駆動するために適した値に予め定めておく。
図2の機械角判定部23は、デューティ基準値41を補正する場合に、電気角を機械角に対応付けるものである。図5に示すように、4極モータの場合、電気角2回転が機械角1回転に相当する。ここで、モータ1のモータ電圧信号はマイクロコンピュータ7で作成されるため、マイクロコンピュータ7は、電気角を直接検出せずにソフト的に判定可能である。この場合、図5の区間S(機械角の0度〜180度)と区間T(機械角の180度〜360度)のいずれの区間に電気角が対応するのかさえ判定できれば、電気角を機械角に対応付けることができる。この区間判定には、負荷トルクの変動に起因するモータ電流の振幅変化が利用される。
具体的に、機械角判定部23は、モータ電流検出部8で算出したU相のモータ電流信号を受けて、たとえば、電気角90度における電流振幅(図5の82a)と電気角450度における電流振幅(図5の82b)とを比較する。機械角判定部23は、このように、異なる電気角におけるモータ電流振幅の大小関係から、電気角と機械角との対応付けを行なう。
次に、マイクロコンピュータ7による回転数の制御について説明する。
再び図2を参照して、回転数設定部20は、モータ1の強制励磁回転数である回転数指令値44を設定する。回転数指令値44は、プログラムで予め設定されていてもよいし、マイクロコンピュータ7の外部から与えられてもよい。
再び図2を参照して、回転数設定部20は、モータ1の強制励磁回転数である回転数指令値44を設定する。回転数指令値44は、プログラムで予め設定されていてもよいし、マイクロコンピュータ7の外部から与えられてもよい。
回転数補正部53は、モータ電流の不安定性を抑制するために、設定された回転数指令値44を補正する。図2に示すように、回転数補正部53は、基本電流成分分離部16と、電流変動検出部17と、回転数補正量演算部18と、第2の加算器19とを含む。以下、図2、図7、図8を参照して、回転数補正部53について説明する。
図7は、モータ1の動作状態が不安定なときに観測されるモータ電流の振動を説明するための図である。図7は、上から順に、(a)U相電圧、(b)U相電流、(c)U相電流の交流振幅の振動成分、(d)位相差の振動成分を機械角に対して示す波形図である。
前述のように、モータ電圧とモータ電流の位相差をフィードバック制御することにより
モータ1の他制運転(速度オープンループ運転)を行なう場合、定常状態からの同期速度のずれが生じると過渡的な変動が生じて、系が不安定になる。このような不安定性が生じた場合、図7に示すようにモータ電流に振動が現れる。具体的には、図7(b)に示すU相電流波形において、交流振幅83に振動が生じるとともに、モータ電圧とモータ電流との位相差(図7(b)の84a,84b,84c,84d)にも振動が生じる。
モータ1の他制運転(速度オープンループ運転)を行なう場合、定常状態からの同期速度のずれが生じると過渡的な変動が生じて、系が不安定になる。このような不安定性が生じた場合、図7に示すようにモータ電流に振動が現れる。具体的には、図7(b)に示すU相電流波形において、交流振幅83に振動が生じるとともに、モータ電圧とモータ電流との位相差(図7(b)の84a,84b,84c,84d)にも振動が生じる。
図7(c)、図7(d)は、これらの振動波形から直流成分(平均値)を除去して、交流成分(振動成分)のみを表示したものである。図7(c)、図7(d)に示すように、モータ電流の交流振幅が小さくなるほど、モータ電圧に対するモータ電流の位相遅れが大きくなる。逆に、交流振幅が大きくなるほど位相遅れは小さくなる。そこで、電流振幅の振動成分と逆位相の関係になるようにモータの回転数指令値を補正すれば、モータ電流の振動を抑制することができる。このときの補正量は、モータ電流の振幅の振動成分(交流成分)が直流成分に比べて大きくなるほど増加させる。
さらに、図2の回転数補正部53による回転数指令値の補正法には、以下の特徴がある。
第1の特徴は、直流電流検出用アンプ部6により出力された直流電流信号を用いて回転数指令値を補正する点である。インバータ回路2の出力電流(モータ電流)の振幅に振動が生じている場合には、インバータ回路2の入力電流(直流電流)にも同様の振動が生じる。この場合、直流電流信号を用いたほうが、交流電流を用いるよりも振動成分を容易に検出できる。
第2の特徴は、回転数補正部53は、直流電流信号を、デューティ値補正部52における補正量(デューティ補正係数42)に対応する第1の電流成分と、直流電流信号から第1の電流成分を減算した第2の電流成分(基本電流成分)とに分離する点である。回転数指令値の補正は、分離後の第2の電流成分(基本電流成分)に基づいて行なわれる。この理由は次のとおりである。
本実施の形態のように、負荷トルクの変動パターンに合わせてデューティ基準値の補正を行なっている場合には、その補正によっても、インバータ回路2の入力電流および出力電流が変化する。したがって、直流電流信号からデューティ基準値の補正量に対応する変動分を分離しないと、モータ電流の不安定性に起因する振動の有無を判別することができない。したがって、本来安定に動作しているモータ1に対して、誤って回転数指令値の補正を行なうことになってしまう。
以下、図2の回転数補正部53による具体的な回転数指令値の補正方法について説明する。
基本電流成分分離部16は、直流電流検出用アンプ部6により出力された直流電流信号を用いて基本電流成分を検出する。基本電流成分(第2の電流成分)は、直流電流信号から、デューティ値補正部52で増減した電流成分(第1の電流成分)を減算したものである。このとき、デューティ値補正部52で増減した電流成分(第1の電流成分)は、たとえば、直流電流信号の平均値とデューティ補正係数から1を減算した値との積に比例するものとして計算できる。この場合の比例定数をKとすると、
直流電流=第1の電流成分+基本電流成分 …(2)
第1の電流成分=直流電流の平均値×(デューティ補正係数−1)×K …(3)
と表わされる。比例定数Kは、予め実験によって定めておく。
直流電流=第1の電流成分+基本電流成分 …(2)
第1の電流成分=直流電流の平均値×(デューティ補正係数−1)×K …(3)
と表わされる。比例定数Kは、予め実験によって定めておく。
電流変動検出部17は、基本電流成分に基づいて不安定性に起因する振動成分(交流成分)を検出する。振動成分は、基本電流成分の瞬時値から基本電流成分の平均値(直流成分)を減算することによって求めることができる。
回転数補正量演算部18は、電流変動検出部17によって求めた振動成分を比例定数倍することによって回転数指令値の補正量を求める。このときの比例定数は、予め実験によって定めておく。
図8は、図2の電流変動検出部17および回転数補正量演算部18の構成の一例を示す機能ブロック図である。図8に示す例では、電流変動検出部17はハイパスフィルタ77を含み、回転数補正量演算部18は比例増幅器78を含む。この場合、電流変動検出部17は、基本電流成分をハイパスフィルタ77に通すことによって直流成分を除去し、振動成分を出力する。回転数補正量演算部18は、出力された振動成分を比例増幅器78によって増幅して回転数補正量を出力する。
再び図2を参照して、第2の加算器19は、回転数設定部20によって設定された回転数指令値44と、回転数補正量演算部18によって算出された回転数補正量45とを加算することによって、補正後回転数46を算出する。
正弦波データテーブル21は、所定のデータ個数で構成された正弦波データを予め記憶しており、正弦波データを正弦波データ作成部22に出力する。なお、正弦波データは正弦波データテーブル21をもとに作成せずに、演算によって作成してもよい。
正弦波データ作成部22は、補正後回転数46と時間経過とに従って、正弦波データテーブル21からモータ1のU,V,Wの各相に対応した正弦波データを読み出して、PWM信号作成部15に出力する。それとともに、正弦波データ作成部22は、U,V,Wの各相の正弦波データからU,V,Wの各相のモータ電圧位相情報49を抽出し位相差検出部9に出力する。
PWM信号作成部15は、U,V,Wの各相の正弦波データ47と補正後デューティ値43とを乗算し、得られた波形をパルス幅変調することによってPWM信号48を作成する。PWM信号作成部15は、作成したPWM信号48をインバータ回路2の各スイッチング素子に出力する。PWM信号48に応じた三相のモータ電圧がインバータ回路2から出力されることによって、モータ1が駆動される。
図9は、モータの制御装置50によるモータ1の制御手順を示すフローチャートである。以下、図2、図9を参照して、図2のモータ制御装置50の制御手順について総括的に説明する。
図2のモータの制御装置50は、インバータ回路2に入力される直流電流を電流検出抵抗5によって検出する。検出された直流電流信号は、直流電流検出用アンプ部6によって増幅された後、マイクロコンピュータ7に入力される(ステップS1)。ステップS1の後、マイクロコンピュータ7による制御手順は、デューティ基準値41の制御手順(ステップS2〜ステップS6)と回転数の制御手順(ステップS7〜S10)とに分かれる。
最初に、デューティ基準値41の制御手順について説明する。まず、モータ電流検出部8は、インバータ回路2の各スイッチング素子のスイッチング前後における直流電流信号の電流変化を検出する。モータ電流検出部8は、検出した電流変化をもとに、U,V,Wの各相のモータ電流(インバータ回路2の出力電流)を算出する(ステップS2)。
次に、位相差検出部9は、各相のモータ電流と正弦波データ作成部22によって作成された各相の正弦波データ(モータ電圧信号)との位相差を計算する(ステップS3)。この後、第1の加算器11は、算出された位相差と目標位相差40との誤差を求める(ステップS4)。PI演算部12は、求めた誤差をもとにPWM制御のデューティ基準値41を算出する(ステップS5)。乗算器14は、算出されたデューティ基準値41と現在の機械角に対応するデューティ補正係数とを乗算する。これによって、現在の負荷トルクに合わせてデューティ基準値41の補正が行なわれる(ステップS6)。
次に、回転数の制御手順について説明する。まず、基本電流成分分離部16は、直流電流信号を、デューティ補正係数42に対応する第1の電流成分と、直流電流信号から第1の電流成分を減算した第2の電流成分(基本電流成分)とに分離する(ステップS7)。
次に、電流変動検出部17は、求めた基本電流成分を平均値(直流成分)と振動成分(交流成分)とに分離することによって、振動成分を検出する(ステップS8)。回転数補正量演算部18は、振動成分をもとに回転数補正量45を算出する。第2の加算器19は、算出された回転数補正量45を回転数指令値44に加算する。これによって、モータ電流の振動に応じて回転数指令値44が補正される(ステップS9)。こうして得られた補正後回転数46をもとに、正弦波データ作成部22は各相ごとに正弦波データ47を作成する(ステップS10)。
PWM信号作成部15は、以上の処理手順(ステップS6およびS10)によって得られた補正後デューティ値43および正弦波データ47に基づいてPWM信号48を作成し、インバータ回路2に出力する(ステップS11)。こうして、モータの制御装置50では、モータ電圧とモータ電流との位相差が目標位相差に等しくなるようにフィードバック制御される。それとともに、負荷トルクに合わせてモータトルクが補正され、モータ電流の基本電流成分の振動に応じて回転数指令値(強制励磁回転数)が補正される。
図10、図11は、図2の冷凍装置100における各部の信号波形を模式的に示す図である。図10は、モータ電流に過渡的な不安定性が生じていない場合の波形図であり、図11は、モータ電流に過渡的な不安定性が生じている場合の波形図である。図10、図11は、上から順に、(a)負荷トルク、(b)デューティ補正係数、(c)直流電流(インバータ回路2の入力電流)、(d)デューティ補正係数に対応する電流成分、(e)基本電流成分、(f)比較例の回転数補正量、(g)本発明の回転数補正量を示す。図10、図11の横軸は機械角である。ここで、(f)の比較例は、基本電流成分分離部16によって基本電流成分を分離せずに、直流電流検出用アンプ部6から出力された直流電流信号をそのまま使って回転数補正量を計算した場合の例である。以下、図10、図11の波形図をもとにモータの制御装置50ついて具体的に説明する。
まず、図2、図10を参照して、モータ電流に過渡的な不安定性が生じていない場合について説明する。図10(a)のように、シングルロータ型圧縮機60の負荷トルクは、モータ1回転ごとにモータ1の機械角の対応した一定のパターンで変動する。このため、モータ1の振動を低減させるために、負荷トルクの増減に合わせてモータトルクを増減させる。図10(b)は、負荷トルクの変動パターンに対応して定められたデューティ補正係数42である。PI演算部12から出力されたデューティ基準値41にデューティ補正係数42を乗算することによって補正後デューティ値43が求められる。
図10(e)の基本電流成分は、電流検出抵抗5によって検出された直流電流(c)から、デューティ補正係数に対応する電流成分(d)を減算したものである。図10(d)の電流成分は、前述の式(3)に従って計算される。ここで、図10はモータ電流に過渡的な不安定性が生じていない場合であるので、基本電流成分(e)は一定となり、直流成分のみになる。したがって、図10の場合の回転数補正量(g)は0である。
ところが、基本電流成分を分離しない比較例の場合には、直流電流信号(c)に基づいて回転数補正量が計算されることになる。この場合、直流電流信号(c)の波形は、デューティ値補正部52によって補正された電流成分(d)である交流成分(振動成分)を含むことになる。したがって、交流成分の逆位相の信号に比例する回転数補正量(g)は、モータ電流が安定であるにもかかわらず0にならない。この結果、比較例の場合はモータ1が安定動作している場合にも回転数指令値44の補正を行なうことになるので、かえってモータ1の動作状態が不安定化してしまう。一方、本実施の形態では回転数補正量(g)は0となるので、モータ1の動作状態が不安定になることはない。
次に、図2、図11を参照して、モータ電流に過渡的な不安定性が生じている場合について説明する。なお、図11(a),(b)は図10(a),(b)と同一の波形である。
図11の場合、基本電流成分(e)には、モータ電流の不安定性に起因する交流成分(振動成分)が現れている。したがって、直流電流信号(c)は、デューティ値補正部52によって補正された電流成分(d)とモータ電流の不安定性に起因する交流成分(振動成分)との両方の波形が重畳されたものとなっている。
本実施の形態の場合には、回転数補正量(g)は、モータ電流の不安定性に起因する交流成分(振動成分)のみを含む基本電流成分(e)に基づいて計算される。このため、モータ電流の不安定性に起因する交流成分(振動成分)を効果的に抑制することができる。
一方、比較例の場合には、デューティ値補正部52によって補正された電流成分(d)と不安定性に起因する振動成分との両方を含む直流電流信号(c)に基づいて、回転数補正量(g)が計算される。このため、モータ電流の不安定性を効果的に安定化することができない。
以上のとおり、本実施の形態のモータの制御装置50によれば、モータ電圧とモータ電流との位相差をフィードバック制御することによってモータ1を駆動する。したがって、ロータ位置を検知する位置センサを必要としない簡単な構成で、正弦波通電および180度通電を用いた低騒音、低振動、高効率なモータ駆動が実現できる。
また、モータの制御装置50は、PWM制御のデューティ基準値41を負荷トルクの変動パターンに合わせて補正する。したがって、負荷トルクの変動が大きい場合であっても、低振動で安定にモータ1を駆動することができる。
さらにまた、モータの制御装置50は、インバータ回路2の入力電流(直流電流)に基づいてモータ電流の安定化を行なう。このとき、デューティ基準値41の補正によって増減した電流成分を直流電流から減算した基本電流成分に基づいて回転数の制御を行なう。したがって、デューティ基準値41の補正の影響を受けずに、効果的にモータ電流の安定化制御を行なうことができる。
さらに、本実施の形態のモータの制御装置50を用いることにより、低騒音、低振動、高効率な冷凍装置および空調装置を提供することができる。
なお、上述の実施の形態では、冷凍装置・空調装置100を例にあげて説明したが、本発明のモータの制御装置50の用途は冷凍装置・空調装置に限るものでない。本発明の制御装置50は、同期モータ1の回転に同期して負荷装置のトルクが変動するような場合に好適に用いることができる。
また、図2の機械角判定部23の構成を図12のように変形することもできる。ここで、図12の機械角判定部23A以外の構成については図2の場合と同様であるので、説明を繰返さない。
図12は、変形例のモータの制御装置50Aを含む冷凍装置100Aの構成を示すブロック図である。図12の機械角判定部23Aは、位相差検出部9によって検出されたモータ電流とモータ電圧との位相差情報に基づいて機械角を判定する。
図5で説明したように、負荷トルクが変動する場合には、モータ電流の振幅が変化するとともに、モータ電流とモータ電圧との位相差(図5の81a,81b,81c,81d)も変化する。機械角判定部23Aは、この位相差の変化を利用して機械角を判定する。たとえば、電気角0度の位相差(81a)と電気角360度の位相差(81c)との大小関係を比較することによって、図5の区間S(機械角の0度〜180度)と区間T(機械角の180度〜360度)のいずれの区間に電気角が対応するかを判定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 同期モータ、2 インバータ回路、5 電流検出抵抗、8 モータ電流検出部、9 位相差検出部、10 目標位相差情報格納部、13 トルクパターン記憶部、15 PWM信号作成部、16 基本電流成分分離部、17 電流変動検出部、18 回転数補正量演算部、20 回転数設定部、21 正弦波データテーブル、22 正弦波データ作成部、40 目標位相差、41 デューティ基準値、42 デューティ補正係数、43 補正後デューティ値、44 回転数指令値、45 回転数補正量、46 補正後回転数、47 正弦波データ、48 PWM信号、50,50A モータの制御装置、51 デューティ値演算部、52 デューティ値補正部、53 回転数補正部、60 シングルロータ型圧縮機、100,100A 冷凍装置・空調装置。
Claims (10)
- 負荷装置に接続された同期モータを回転数指令値に従って可変速制御するためのモータの制御装置であって、
前記負荷装置は、前記同期モータのロータの機械角に対応した一定のパターンで負荷トルクが変動し、
前記制御装置は、
複数のスイッチング素子を含み、パルス幅変調信号に応答して前記複数のスイッチング素子がスイッチングすることによって、入力された直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を前記同期モータに出力するインバータ装置と、
前記パルス幅変調信号を生成する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記インバータ装置の出力電圧と出力電流との位相差と前記回転数指令値に対応して予め定められた目標位相差との誤差が小さくなるように、前記パルス幅変調信号のデューティ値を定めるデューティ値演算部と、
予め測定された前記負荷トルクの変動パターンに合わせて前記デューティ値を補正するデューティ値補正部と、
前記インバータ装置の入力電流の値を、前記デューティ値補正部における補正量に対応する第1の電流成分と前記入力電流の値から前記第1の電流成分を減算した第2の電流成分とに分離し、前記第2の電流成分に基づいて前記回転数指令値を補正する回転数補正部と、
前記デューティ値補正部によって補正されたデューティ値、および前記回転数補正部によって補正された回転数指令値に基づいて、前記パルス幅変調信号を生成する信号生成部とを含む、モータの制御装置。 - 前記デューティ値補正部は、前記ロータの機械角に対応して予め定められた前記デューティ値の補正係数を記憶するトルクパターン記憶部を有し、
前記デューティ値補正部は、前記ロータの機械角に対応して前記補正係数を前記デューティ値に乗算することによって前記デューティ値を補正する、請求項1に記載のモータの制御装置。 - 前記第1の電流成分は、前記入力電流の平均値と前記補正係数から1を減じた値との積に比例する、請求項2に記載のモータの制御装置。
- 前記回転数補正部は、前記第2の電流成分を直流成分と交流成分とに分離し、分離された交流成分が大きくなるほど前記回転数指令値の補正量を増加させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータの制御装置。
- 前記制御部は、
前記回転数補正部によって補正された回転数指令値に対応する周波数で周期的に変化する電圧波形データを作成する波形データ作成部と、
前記電圧波形データと前記出力電流との位相差を検出する位相差検出部とをさらに含み、
前記デューティ値演算部は、前記目標位相差と前記位相差検出部によって得られた前記位相差との誤差を算出し、前記誤差が小さくなるように前記デューティ値を定め、
前記信号生成部は、前記デューティ補正部によって補正されたデューティ値を前記電圧波形データに乗算し、得られた波形データをパルス幅変調することによって前記パルス幅変調信号を生成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータの制御装置。 - 前記電圧波形データは、正弦波データである、請求項5に記載のモータの制御装置。
- 前記モータの制御装置は、前記入力電流を検出する電流センサをさらに備え、
前記制御部は、前記パルス幅変調信号に基づいて、前記複数のスイッチング素子がスイッチングする直前と直後の前記電流センサによる検出電流の変化分を算出し、算出された前記検出電流の変化分に基づいて前記出力電流を得る出力電流検出部をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のモータの制御装置。 - 前記負荷装置は、シングルロータ型圧縮機またはレシプロ型圧縮機である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のモータの制御装置。
- 同期モータと、
前記同期モータによって駆動され、前記同期モータのロータの機械角に対応した一定のパターンで負荷トルクが変動する負荷装置と、
前記同期モータを回転数指令値に従って可変速制御するための請求項1〜8のいずれか1項に記載のモータの制御装置とを備える、冷凍装置。 - 同期モータと、
前記同期モータによって駆動され、前記同期モータのロータの機械角に対応した一定のパターンで負荷トルクが変動する負荷装置と、
前記同期モータを回転数指令値に従って可変速制御するための請求項1〜8のいずれか1項に記載のモータの制御装置とを備える、空調装置。
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