JP2013012412A - 充電方法及び充電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電解液の攪拌を行い、その電解液の均質性(特に比重における)を高めて電池劣化を抑制する、すなわち電池寿命を延ばす充電方法の提供。
【解決手段】 1セルあたり2.4V〜2.5V、0.10CA〜0.50CAの定電流・定電圧充電を12時間未満充電後に、水素ガス発生に伴う電解液の攪拌を行う最大電流値が、充電する電池の容量に対して0.10CA〜0.50CA、1回の間欠の充電時間が、1.0〜5.0分、且つデューティー比60〜70%、もしくは電圧が安定するまでの時間である間欠的な定電流充電を行う充電方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 1セルあたり2.4V〜2.5V、0.10CA〜0.50CAの定電流・定電圧充電を12時間未満充電後に、水素ガス発生に伴う電解液の攪拌を行う最大電流値が、充電する電池の容量に対して0.10CA〜0.50CA、1回の間欠の充電時間が、1.0〜5.0分、且つデューティー比60〜70%、もしくは電圧が安定するまでの時間である間欠的な定電流充電を行う充電方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は充電方法及び充電器に関し、特に間欠的な定電流充電を行うことによって、電解液の均質性を高めることにより、電池劣化の抑制効果をもたらす充電方法及び充電器に関するものである。
自動車バッテリーや産業機器のバックアップ電源などに用いられている鉛蓄電池を代表とする液式の二次電池の充電には、定格値を超えない充電電圧および充電電流による充電が望ましく、一般に定電圧回路および定電流回路を備えた充電器が用いられている。
さらに、特許文献1〜3には、2次電池を定電流で充電しながら、その時の充電電圧を検出し、2次電池の充電電圧が所定の電圧に達したとき、定電流の2次電池への供給を間欠的に行い、定電流を供給していない状態における2次電池の充電電圧が、所定の基準電圧になったとき、充電を終了するという充電方法が開示されている。
さらに、特許文献1〜3には、2次電池を定電流で充電しながら、その時の充電電圧を検出し、2次電池の充電電圧が所定の電圧に達したとき、定電流の2次電池への供給を間欠的に行い、定電流を供給していない状態における2次電池の充電電圧が、所定の基準電圧になったとき、充電を終了するという充電方法が開示されている。
通常、このような充電方法では、充電効率の高い電流範囲0.005CA〜0.020CAの電流を用いて充電される(特許文献4参照)。
しかし、これらの充電方法では、自己放電電気量を補うことを特長とした充電であるため充電効率が高い電流範囲で行うために水の電気分解による水素ガスが発生せず、特に液式電池に対して電池内部の電解液の上下比重の偏在を抑制する効果はほとんど見られない。したがって、電解液の上下比重の偏在、いわゆる成層化に伴う電池寿命の劣化に対しては、何ら効果をもたらしておらず、逆に電池寿命を縮める結果となっている。
しかし、これらの充電方法では、自己放電電気量を補うことを特長とした充電であるため充電効率が高い電流範囲で行うために水の電気分解による水素ガスが発生せず、特に液式電池に対して電池内部の電解液の上下比重の偏在を抑制する効果はほとんど見られない。したがって、電解液の上下比重の偏在、いわゆる成層化に伴う電池寿命の劣化に対しては、何ら効果をもたらしておらず、逆に電池寿命を縮める結果となっている。
このような状況に鑑み、本発明は水素ガスを発生させて電解液の攪拌を行い、その電解液の均質性(特に比重における)を高めて電池劣化を抑制する、すなわち電池寿命を延ばす充電方法を提供するものである。
本発明の第1の発明は、1セルあたり2.4V〜2.5V、0.10CA〜0.50CAの定電流・定電圧充電を12時間未満充電後に水素ガス発生に伴う電解液の攪拌を行う間欠的な定電流充電を行うことを特徴とする充電方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における間欠的な定電流充電の最大電流値が、充電する電池の容量に対して0.10CA〜0.50CAであることを特徴とするものである。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明おける間欠的な定電流充電の1回の間欠の充電時間が、1.0〜5.0分、且つデューティー比60〜70%、もしくは電圧が安定するまでの時間であることを特徴とするものである。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における間欠的な定電流充電が、最大電圧値を1セルあたり3.0V〜4.0Vとなる条件で行うことを特徴とするものである。
さらに、第1〜第4の発明における間欠的な定電流充電の全充電時間が、定電流・定電圧充電の充電時間の1/10倍から1/3倍、且つ最短1時間の充電時間(第5の発明)、もしくは間欠的な定電流充電における単位時間当たりの電圧上昇値が一定値以上となるまでの充電時間(第6の発明)、もしくは充電前の電圧を検知し、電圧に相当する適切な充電時間(第7の発明)であることを特徴とするものである。
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明における充電方法を有する充電器である。
本発明は、0.10CA〜0.50CAの比較的大きな電流で定電流充電を行なうことにより、電解液内で気泡となる水素ガスを多く発生させ、この気泡により電池内部の電解液を流動的に攪拌し、電解液の上下比重の偏在による電池劣化を抑制する効果を示す。
一方、この比較的大きな電流による定電流充電は、長時間連続で行う場合に問題となる発生した過剰の水素ガスが吸収されずに電池外に放出されやすくなり、電解液が減少してしまう現象に対しても、一定期間の時間を数回繰り返すことにより過剰な水素ガスの放出を抑制し、電解液の減少を抑えるものである。
一方、この比較的大きな電流による定電流充電は、長時間連続で行う場合に問題となる発生した過剰の水素ガスが吸収されずに電池外に放出されやすくなり、電解液が減少してしまう現象に対しても、一定期間の時間を数回繰り返すことにより過剰な水素ガスの放出を抑制し、電解液の減少を抑えるものである。
本発明の充電方法の充電時の電流および電圧の時間的履歴のイメージ図を図1に示す。
図1に示されるように、本発明の充電方法は、先ず所定の電流値I0での定電流充電を行い、電圧が所定の電圧V0に到達後、充電開始より所定の時間t1まで、その電圧V0での定電圧充電に移行して充電継続する。その所定時間t1経過後、図1に示す間欠的な定電流充電にさらに移行するものである。
この本発明における間欠的な定電流充電時の電流Ip、時間tp、周期、最大電圧Vpあるいは定電圧充電の充電時間に対する比率等の数値限定がどのような臨界的意義を有するかを以下に示す。
図1に示されるように、本発明の充電方法は、先ず所定の電流値I0での定電流充電を行い、電圧が所定の電圧V0に到達後、充電開始より所定の時間t1まで、その電圧V0での定電圧充電に移行して充電継続する。その所定時間t1経過後、図1に示す間欠的な定電流充電にさらに移行するものである。
この本発明における間欠的な定電流充電時の電流Ip、時間tp、周期、最大電圧Vpあるいは定電圧充電の充電時間に対する比率等の数値限定がどのような臨界的意義を有するかを以下に示す。
先ず、間欠的な定電流充電時の電流に関しては、最大電流値が充電する電池の容量に対して0.10CA〜0.50CAの範囲であることが望ましい。
その理由は、図2(a)に示すように、0.10C(C/10)A〜0.50C(C/2)Aと比較的大きな電流で定電流充電を行なうことにより、その充電効率が低くなるために電解液中に気泡となる水素ガスが多く発生し、この気泡の発生によって電池内部の電解液が流動的に攪拌され、電解液の上下比重の偏在による電池劣化を抑制する効果をもたらすためである。
その理由は、図2(a)に示すように、0.10C(C/10)A〜0.50C(C/2)Aと比較的大きな電流で定電流充電を行なうことにより、その充電効率が低くなるために電解液中に気泡となる水素ガスが多く発生し、この気泡の発生によって電池内部の電解液が流動的に攪拌され、電解液の上下比重の偏在による電池劣化を抑制する効果をもたらすためである。
その充電電流が0.10C(C/10)Aより小さいと、その充電効率が高くなり水素ガスの発生が起き難くなり、0.50C(C/2)Aより大きくなると、図2(b)に示すように正極格子の腐食に大きく影響するため、0.10C(C/10)A〜0.50C(C/2)Aと限定している。
しかし、この定電流充電を長時間連続で充電すると水素ガスが吸収されずに電池外に放出されやすくなり、その結果電解液が減少してしまう。そのため本発明では、ある一定期間の時間を数回繰り返す、すなわち、充電を間欠的に行うことにより水素ガスを放出され難くして、電解液の減少を抑えている。
しかし、この定電流充電を長時間連続で充電すると水素ガスが吸収されずに電池外に放出されやすくなり、その結果電解液が減少してしまう。そのため本発明では、ある一定期間の時間を数回繰り返す、すなわち、充電を間欠的に行うことにより水素ガスを放出され難くして、電解液の減少を抑えている。
次に間欠的な定電流充電時の最大電圧Vpは、本発明では、図3に示す「定電流充電時の1セルあたりの電圧と過充電による劣化率の関係」より、その最大電圧値は1セルあたり3.0V〜4.0Vとしている。
すなわち、充電電流が0.10CA〜0.50CA程度の場合、満充電状態の電池の最大電圧が2.7V/セル〜3.0V/セルまで上昇する為、定電流充電とするためにはこの電圧以上の電圧が必要となること、また図3に示すように、4.0V/セルより高いと過充電による劣化が大きくなるために限定している。
すなわち、充電電流が0.10CA〜0.50CA程度の場合、満充電状態の電池の最大電圧が2.7V/セル〜3.0V/セルまで上昇する為、定電流充電とするためにはこの電圧以上の電圧が必要となること、また図3に示すように、4.0V/セルより高いと過充電による劣化が大きくなるために限定している。
間欠的な定電流充電における間欠時間は、デューティー比が60〜70%の範囲においては、図4に示すように、電解液の上下比重差が小さくなる時間領域である一回の間欠充電時間tpを1.0〜5.0分とするのが望ましい。
図4は、間欠充電時間に対する電解液の上下比重差を示す図で、電池容量が55.0Ahの80%充電状態の鉛蓄電池を充電電流11.0Aで、所定の間欠時間で充電した時の電解液の上部と下部の比重差を示すものである。
図4は、間欠充電時間に対する電解液の上下比重差を示す図で、電池容量が55.0Ahの80%充電状態の鉛蓄電池を充電電流11.0Aで、所定の間欠時間で充電した時の電解液の上部と下部の比重差を示すものである。
次に、定電圧・定電流充電の充電時間に対する間欠的な定電流充電の全充電時間の比率は、定電圧・定電流充電の充電時間の1/10〜1/3倍、且つ最短で1時間の充電時間を必要とする。
この定電圧・定電流充電の充電時間は、充電前の放電深度DOD%と充電電流によって次のように求められる。
電池の最大放電容量を電池定格容量D23相当のDOD100%の放電容量(P1)55Ahとし、充電電流Icを0.10CA〜0.50CA(電池定格容量D23相当の55Ahでは、5.5〜27.5A)とすると、ほぼ満充電状態(約90%:残存容量P2=0.9)とするまでの充電時間T1は、下記(1)式により求められる。
この定電圧・定電流充電の充電時間は、充電前の放電深度DOD%と充電電流によって次のように求められる。
電池の最大放電容量を電池定格容量D23相当のDOD100%の放電容量(P1)55Ahとし、充電電流Icを0.10CA〜0.50CA(電池定格容量D23相当の55Ahでは、5.5〜27.5A)とすると、ほぼ満充電状態(約90%:残存容量P2=0.9)とするまでの充電時間T1は、下記(1)式により求められる。
よって、定電流・定電圧充電の充電時間は、約2時間から9時間を必要とする。
次に、間欠的な定電流充電は、定電圧定電流充電後に充電する為、ほぼ満充電状態(約90%)から充電が始まる。また充電効率が図2(a)のように約80%〜95%である。また一般的に充電に必要な充電電気量は、放電量の120%〜130%とされている。
したがって、下記の(2)式にて、その全充電時間が算出される。
したがって、下記の(2)式にて、その全充電時間が算出される。
上記式(2)の計算に用いる条件を表1に示す。
上記式(2)および表1を用いて、定電流定電圧充電後の間欠充電における全充電時間を求めると、表2に示すような結果となり、約1〜2時間の充電時間が必要となっている。
従って、定電流定電圧充電時間に対する間欠的な定電流充電の全充電時間の比率Xは、
X=0.2/1.8〜2.7/9
=1/9〜1/3となり、約1/10倍から1/3倍の充電時間が必要である。
X=0.2/1.8〜2.7/9
=1/9〜1/3となり、約1/10倍から1/3倍の充電時間が必要である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
電池定格容量D23相当の鉛蓄電池を用い、残存容量P2が0.9のほぼ満充電状態へ、充電電流0.2CA、充電時間4.5時間の条件で定電流・定電圧充電を行い、満充電の鉛蓄電池を得た。次いで、それらの鉛蓄電池を、充電電流:Icを0.05CA、0.1CA、0.25CA、0.5CA、1.0CA、1回の充電時間を30秒、1、2、5、10分、そのデューティー比を60〜70%の範囲とし、間欠充電中の最大電圧が4.0[V]を超えないようにして、全充電時間が、先の定電流・定電圧充電における充電時間の1/4倍程度になるような充電回数とする間欠充電条件で、間欠的な定電流充電を行い、その充電終了後に、鉛蓄電池の電槽内上下における電解液の比重差を測定した。その結果を表3に示す。その比重差がすべての測定対象で0.01以下であるものを「〇」、0.01を超えるものが1つの測定対象であるものを「×」と評価した。
本発明の充電方法によって充電された鉛蓄電池(表3中の充電電流0.1〜0.5[CA]、充電時間1〜5[分]で示される鉛蓄電池)は、電槽内上下で電解液の比重差が0.01以下と極めて少ないことがわかる。対して、充電電流が小さい(0.05[CA])、大きすぎる(1.0[CA])場合では、電解液の比重差が大きくなり、また充電時間が短い(0.5[分])、長い(10[分])場合でも比重差が大きくなっていて、効果が見られなかった。
なお、電槽内上下における電解液の比重差の測定を以下の方法で行った。その測定方法を図5の模式図を用いて説明する。
(1)鉛蓄電池1の両端のセルc1、c6位置の蓋と左側から4番目のセルc4の位置の蓋2に、直径10mmの孔3を開ける。
(2)各孔にプラスチック製のチューブ(ストローなど)4を2本ずつ挿入し、1本は電槽内底面から10mmの位置が開口になるように固定(下部比重位置)し、他の1本は液面表示ラインの「LOWER LEVEL」の位置が開口になるように固定(上部比重位置)する。
(3)各チューブ4の電槽外部側は蓋上面から約20mm突出させた位置で切断する。
(4)充電終了後に、各チューブ4から注射器5で電解液を吸い上げ、比重計(図示せず)で、下部測定位置と上部測定位置の電解液比重を測定して比重差を算出する。
(1)鉛蓄電池1の両端のセルc1、c6位置の蓋と左側から4番目のセルc4の位置の蓋2に、直径10mmの孔3を開ける。
(2)各孔にプラスチック製のチューブ(ストローなど)4を2本ずつ挿入し、1本は電槽内底面から10mmの位置が開口になるように固定(下部比重位置)し、他の1本は液面表示ラインの「LOWER LEVEL」の位置が開口になるように固定(上部比重位置)する。
(3)各チューブ4の電槽外部側は蓋上面から約20mm突出させた位置で切断する。
(4)充電終了後に、各チューブ4から注射器5で電解液を吸い上げ、比重計(図示せず)で、下部測定位置と上部測定位置の電解液比重を測定して比重差を算出する。
1 鉛蓄電池
2 蓋
3 孔(蓋3に開けられたチューブ4挿入用の孔)
4 チューブ
5 注射器
c1、c2、c3、c4、c5、c6 鉛蓄電池1を構成するセル
2 蓋
3 孔(蓋3に開けられたチューブ4挿入用の孔)
4 チューブ
5 注射器
c1、c2、c3、c4、c5、c6 鉛蓄電池1を構成するセル
Claims (8)
- 1セルあたり2.4V〜2.5V、0.10CA〜0.50CAの定電流・定電圧充電を12時間未満充電後に水素ガス発生に伴う電解液の攪拌を行う間欠的な定電流充電を行う充電方法。
- 前記間欠的な定電流充電における最大電流値が、充電する電池の容量に対して0.10CA〜0.50CAであることを特徴とする請求項1記載の充電方法。
- 前記間欠的な定電流充電における1回の間欠の充電時間が、1.0〜5.0分、且つデューティー比60〜70%、もしくは電圧が安定するまでの時間であることを特徴とする請求項1または2に記載の充電方法。
- 前記間欠的な定電流充電が、最大電圧値が1セルあたり3.0V〜4.0Vとなる条件で行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の充電方法。
- 前記間欠的な定電流充電の全充電時間が、
前記定電流・定電圧充電の充電時間の1/10倍から1/3倍、且つ最短1時間の充電時間、
であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の充電方法。 - 前記間欠的な定電流充電の全充電時間が、
前記定電流・定電圧充電の充電時間の1/10倍から1/3倍、且つ前記間欠的な定電流充電における単位時間当たりの電圧上昇値が一定値以上となるまでの充電時間、
であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の充電方法。 - 前記間欠的な定電流充電の全充電時間が、
前記定電流・定電圧充電の充電時間の1/10倍から1/3倍、且つ充電前の電圧を検知し、電圧に相当する適切な充電時間、
であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の充電方法。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の充電方法を有することを特徴とする充電器。
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