JP2013011029A - 自動車内装材用織編物 - Google Patents

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孝宗 白井
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Abstract

【課題】低環境負荷と引張強力に優れたポリエチレンテレフタレート繊維を含む自動車内装材用織編物を提供する。
【解決手段】バイオマス資源由来エチレングリコールと化石資源由来のテレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエチレンテレフタレート繊維を含んでなる自動車内装材用織編物であって、該ポリエチレンテレフタレート繊維を構成するポリエチレンテレフタレートが、1950年代の循環炭素中の放射性炭素(14C)濃度を基準として求まるバイオマス資源由来の炭素の割合(実測バイオ化率)が、ポリマー中の全炭素原子に対して10%以上であり、該織編物は、目付が100〜600g/m、引張強力がタテ400〜1200N/5cm幅で、ヨコ400〜1600N/5cm幅の織編物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス資源由来の原料からなるポリエステル繊維を用いた自動車内装材用織編物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、バイオマス資源由来のエチレングリコールと化石資源由来のテレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエチレンテレフタレート繊維を含んでなる自動車内装材用織編物に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載することがある。)は、機械的強度、化学的安定性および透明性等に優れていることから、繊維、シート状繊維構造物およびフィルム等の成形品として、最も多く使用されているポリマーである。
PETは、従来、石油から得られたテレフタル酸(以下、TPAと記載することがある。)と、石油から得られたエチレングリコール(以下、EGと記載することがある。)を、エステル化反応後、重縮合反応させて製造されている。従来のPETは、このように石油原料を用いていることから、焼却廃棄され大気中に化石資源からの二酸化炭素を多量に排出する。
一方で、サトウキビ、トウモロコシおよびサツマイモなどから得られる澱粉等を微生物で発酵させて得られたバイオエタノールから、EGを合成し、これをTPAと重縮合させて得られたポリエチレンテレフタレートが知られている(特許文献1参照。)。
バイオマス資源由来のPETは、焼却廃棄されても、バイオマス資源由来物質を使用している部分は、石油資源の使用量を抑制することに役立ち、仮に焼却処理して発生する二酸化炭素は、再び光合成によって植物に取り込まれることになり、大気中の二酸化炭素を増加させにくい材料である。
しかしながら、特許文献1には、バイオマス資源由来物質を原料としてなる繊維が開示されているが、強度や耐久性に優れ、自動車内装向けに好適に適用できる、バイオマス資源由来のPET繊維を使用した織編物用途への展開例はなく、特に自動車内装材用に適応される場合、バイオマス資源由来EGに含まれる不純物による製編や製織時の毛羽や糸切れなどによる加工不良や物性低下が課題であった。
特開2009−91694号公報
そこで本発明の目的は、化石資源の減少および二酸化炭素の増大を抑制し得る、環境負荷低減効果があり、かつ強伸度物性が高い、バイオマス資源由来成分からなるポリエチレンテレフタレート繊維を用いた自動車内装材用資材を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、バイオマス資源由来成分から製造されたエチレングリコールをグリコール成分として用いてなるポリエチレンテレフタレート繊維が自動車内装材用織編物に好適であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の自動車内装材用織編物は、バイオマス資源由来のエチレングリコールと化石資源由来のテレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエチレンテレフタレート繊維を含んでなる織編物であって、該ポリエチレンテレフタレート繊維を構成するポリエチレンテレフタレートが、1950年代の循環炭素中の放射性炭素(14C)濃度を基準として求まるバイオマス資源由来の炭素の割合(実測バイオ化率)が、ポリマー中の全炭素原子に対して10%以上であり、該織編物は、目付が100〜600g/m、引張強力がタテ400〜1200N/5cm幅で、ヨコ400〜1600N/5cm幅であることを特徴とする自動車内装材用織編物である。
本発明の自動車内装材用織編物の好ましい態様によれば、本発明の自動車内装材用織編物のタテ方向およびヨコ方向における5%伸長時の応力は、15〜90N/2.54cmである。
本発明の自動車内装材用織編物の好ましい態様によれば、本発明の自動車内装材用織編物のタテ方向およびヨコ方向における定荷重時伸び率は80N荷重時10〜60%であり、そのときの残留ひずみ率は15%以内である。
本発明によれば、実測バイオ化率が10%以上であるポリエチレンテレフタレート繊維を含み、かつ高い強伸度物性を有する自動車内装材用織編物が得られ、使用量の多い従来の石油資源由来のポリエステル製品の代替となり、化石資源の減少や二酸化炭素の増大を抑制することができる。
本発明の自動車内装材用織編物は、バイオマス資源由来のエチレングリコールと化石資源由来のテレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエチレンテレフタレート繊維を含んでなる自動車内装材用織編物である。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート繊維を構成するポリエチレンテレフタレートは、グリコール成分として、バイオマス資源由来のエチレングリコールを用いたものであることが必要である。
本発明において、使用されるグリコール成分のうち、バイオマス資源由来のグリコール成分の割合は、全グリコール成分に対して50〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは80〜100モル%である。本発明の効果を妨げない範囲で、化石資源由来のグリコール成分が、入っていても良い。
バイオマス資源から、エチレングリコールを得る方法としては、例えば、さとうきびやとうもろこし等の炭水化物系作物などから、生物学的処理方法によりバイオエタノールを得た後、エチレンへ変換し、さらにエチレンオキサイドを経てエチレングリコールを得る方法があるが、これらの方法に限るものではない。
また、本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート繊維を構成するポリエチレンテレフタレートは、酸成分として化石資源由来のテレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体が用いられる。
化石資源由来のテレフタル酸を得る方法としては特に限定されず、どのような方法が用いられてもよい。
化石資源由来のテレフタル酸およびそのエステル形成性誘導体として、例えば、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチルおよびテレフタル酸ジエチルなどが挙げられる。ここでの誘導物は、低級アルキルエステル、無水化合物およびアシル塩化物などである。これらジカルボン酸は、単独あるいは2種類以上を組み合わせで使用することも可能である。
本発明でいう理論上の炭素原子バイオ化率とは、バイオマス資源由来のエチレングリコールと化石資源由来のテレフタル酸を用いてポリエチレンテレフタレートを合成した場合、テレフタル酸の炭素数8に対して、エチレングリコールの炭素数は2であり、合計炭素数10のうち、2がバイオマス資源由来ということになるため、理論上の炭素原子バイオ化率は20%となる。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレートの理論上の炭素原子バイオ化率は、化石資源の減少および二酸化炭素の増大を抑制するためには、10%以上であることが必要であり、15%以上がより好ましく、共重合成分がない場合は17%以上であることがさらに好ましい態様である。
これに関連して、「ポリマー中の全炭素原子に対して、1950年代の循環炭素中の放射性炭素(14C)の濃度を基準として求まるバイオマス資源由来の炭素の割合(実測バイオ化率)」について、次に説明する。
放射性炭素14Cの濃度は、次の放射性炭素濃度測定法により測定することができる。放射性炭素濃度測定法とは、加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)により、分析する試料に含まれる炭素の同位体(12C,13C,14C)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体原子それぞれの存在量を計測する方法である。炭素原子は通常14Cであり、同位体である13Cは約1.1%存在している。14Cは、放射性同位体と呼ばれ、その半減期は約5370年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには、22.6万年を要する。地球の高層大気中では宇宙線が継続的に照射されつづけており、微量ではあるが、絶えず14Cが生成され放射壊変とバランスし、大気中では14Cの濃度はほぼ一定値(炭素原子の約一兆分の一)となっている。この14Cは、直ちに二酸化炭素の12Cと交換反応をおこし、14Cを含んだ二酸化炭素が生成する。植物は、大気中の二酸化炭素を取り込み光合成により成長するため、14Cが常に一定濃度で含まれることになる。
これに対して、化石資源である石油、石炭および天然ガスにおいては、当初は含まれていた14Cが長い年月をかけて既に崩壊しており、ほとんど含まれていない。そこで、14Cの濃度を測定することにより、バイオマス資源由来の炭素をどの程度含んでいるのか、化石資源由来の炭素をどの程度含んでいるのかを判別することができる。中でも、特に1950年代の自然界における循環炭素中の14C濃度を100%とする基準を用いることが通常おこなわれ、標準物質としてシュウ酸(米国基準・科学技術協会NIST供給)が用いられ、下式のように表される値が求められる。この割合の単位としては、pMC(percent Modern Carbon)が用いられる。
・pMC=(14Csa/14C50)×100
14C50:標準物質の14C濃度(1950年代の自然界における循環炭素中の14C濃度)。
14Csa:測定サンプルの14C濃度。
現在、このようにして測定される大気中の14C濃度は、約110pMC(percent Modern Carbon)であることが測定されており、仮に100%バイオマス資源由来の物質であれば、ほぼ同じ110pMC程度の値を示すことが知られている。この値を100%の基準として求まる対象物質のpMCの割合(%)を本発明でいう「ポリマー中の全炭素原子に対して、1950年代の循環炭素中の放射性炭素(14C)の濃度を基準として求まるバイオマス資源由来の炭素の割合(実測バイオ化率)」と言う。
一方、化石資源由来の物質を測定して求められる14C濃度(pMC)は、ほぼ0pMCであることが知られており、この場合実測バイオ化率は0%となる。
実質バイオ化率は、PETの原料である、テレフタル酸とエチレングリコールの内、エチレングリコールのバイオ化率によって決定される。理論上全てのエチレングリコールがバイオマス由来となった場合、ポリマー中の全炭素に対して20%となる。
すなわち、実質バイオ化率10%以上とは、少なくとも50%以上のエチレングリコールがバイオマス由来であった場合に達成される。実質バイオ化率15%以上とは、75%以上バイオマス由来エチレングリコールを使用することを意味する。
本発明の実測バイオ化率は、化石資源の減少および二酸化炭素の増大をより抑制するためには10%〜20%の範囲が好ましく、共重合成分がない場合は15%〜20%の範囲が好ましい。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレートは、通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、およびジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。
ここでエステル化反応は、無触媒でも反応は進行するが、エステル交換触媒と同様にマグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウムおよびチタン等の化合物を触媒として用いてもよい。また、重縮合の際に用いられる触媒としては、チタン化合物、アルミニウム化合物、スズ化合物、アンチモン化合物およびゲルマニウム化合物などが挙げられる。
バイオマス資源由来の原料には不純物が多く含まれ、紡糸時に口金まわりの堆積物が増え、口金洗浄や糸切れの回数が増えて操業性を低下させるが、触媒として高活性なチタン化合物やアルミニウム化合物を用いると、触媒の添加量を減らすことができ、結果として口金まわりの堆積物も減らすことができる。一方、固相重合においてはバイオマス資源由来の原料中の不純物により触媒が失活されて重合時間が延びることがあるため、触媒として、失活しにくいアンチモン化合物やゲルマニウム化合物を用いることが好ましい。
チタン化合物としては、チタン錯体、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびテトラ−n−ブチルチタネートテトラマーなどのチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物およびチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。中でも、ポリマーの熱安定性、色調および口金まわりの堆積物の少なさの観点から、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または多価アルコールをキレート剤とするチタン錯体が好ましく用いられる。
チタン化合物のキレート剤としては、乳酸、クエン酸、マンニトールおよびトリペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物および塩基性アルミニウム化合物などが挙げられ、具体的には、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナートおよび塩基性酢酸アルミニウムなどが挙げられる。
スズ化合物としては、モノブチルスズオキシドが挙げられ、アンチモン化合物としては、アンチモンアルコキシドや三酸化アンチモンが挙げられる。
また、バイオマス資源由来のポリエチレンテレフタレートは、不純物を多く含み、熱安定性が悪い場合がある。そのため、安定剤としてリン化合物が添加されることが好ましい。安定剤としては、具体的には、リン酸、リン酸トリメチルおよびジエチルホスホノ酢酸エチル等が好ましく、色調や耐熱性改善の面から、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(PEP−36:旭電化社製)やテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(GSY−P101:大崎工業社製)などの3価リン化合物がより好ましく用いられる。
本発明で用いられるバイオマス資源由来ポリエチレンテレフタレートは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、艶消剤、蛍光増白剤、可塑剤もしくは消泡剤またはその他の添加剤等を添加してもよい。
上述のポリエチレンテレフタレートからポリエチレンテレフタレート繊維を得る方法としては、通常の溶融紡糸を適応することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートを、加熱筒内を融点以上に加熱して溶融させた後に、細孔から吐出し、冷却風で冷却固化後、油剤を付与して、引き取りローラによって引き取り、引き取りローラ後に配置された巻き取り装置によって巻き取ることにより、未延伸糸を採取することができる。
この加熱筒内の温度は、製糸性向上の観点から280℃〜330℃であることが好ましい。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート繊維を得るための延伸方法としては、引取りローラから一旦巻取って、いわゆる別延伸法で延伸してもよく、あるいは引取りローラから連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法で延伸しても構わない。また、延伸条件としては、1段ないし多段延伸であってもよい。
また、かかるポリエチレンテレフタレート繊維の単繊維繊度は0.1〜10dtexが好ましく、より好ましくは0.4〜7dtexである。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート繊維は、仮撚加工糸、強撚糸およびタスラン加工糸など各種形態の繊維であってもよい。繊維糸条の形態は、マルチフィラメントでも紡績糸でも良い。総繊度は、30〜500dtexの範囲内であることが好ましい。
本発明で用いられる編物の種類は、緯編地であってもよいし経編地であってもよい。緯編地の組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編およびタック編等が好ましく例示され、経編組織としては、トリコット編、ラッセル編およびジャガード編等が例示される。製編は、丸編機、横編機、トリコット編機およびラッシェル編機等通常の編機を用いて、通常の方法により製編することができる。編物の層数も特に限定されず、単層でもよいし2層以上の多層構造を有する編物でもよい。
本発明で用いられる織物の組織としては、平織、斜紋織、朱子織等の三原組織、変化斜紋などの変化組織、およびベロアなどのパイル織などが例示される。これらの織組織を有する織物は、レピア織機やエアージェット織機などの通常の織機を用いて通常の方法により製織することができる。層数も特に限定去れず単層でもよいし2層以上の多層構造を有する織物でもよい。
また、本発明で用いられる織物の耐摩耗性および伸長回復性を十分に高い性能にするために、織密度は、40〜150本/2.54cmであることが好ましい。
本発明の織編物は、目付が100〜600g/mの範囲であることが必要である。目付が100g/m未満では、十分な強力が付与されず自動車内装材として使用時に破れが生じる。また、目付が600g/mを超える場合、生地が固く風合が悪化、あるいは伸度低下を招く。目付は、120〜500g/mが好ましく、より好ましくは150〜400g/mである。
また、本発明で用いられる織編物の引張強力は、タテ方向が400〜1200N/5cm幅、ヨコ方向が400〜1600N/5cm幅の範囲であることが必要である。引張強力がタテ400N/5cm未満で、ヨコ400N/5cm未満の場合、成型に必要な織編物の強力が不足したり、製品に十分な耐摩耗性が付与されず使用時に破れが発生することがある。また、引張強力がタテ1200N/5cm、ヨコ1600N/cmを超える場合、織編物の伸び物性が低下しやすく、逆に成型が困難になることがある。引張強力は、タテ方向が420〜1100N/5cm幅で、ヨコ方向が420〜1500N/5cm幅の範囲であることが好ましく、より好ましくはタテ方向が450〜1000N/5cm幅で、ヨコ方向が450〜1400N/5cm幅の範囲である。
織編物の5%伸長時の応力は、15〜90N/2.54cmの範囲であることが好ましい。5%伸長時の応力が15N/2.54cm未満の場合、成型時にダレやたるみが生じやすく、また90N/2.54cmを超える場合は、織編物の破れやしわが発生し易くなる。
本発明では、織編物の定荷重時伸び率が、80N荷重時10〜60%の範囲であることが好ましい。定荷重時伸び率が10%未満の場合は、風合が硬く、座り心地が悪化する傾向がある。例えば、カーシートに使用した場合、着席時の沈み込みが小さくフィット感が低下する。定荷重時伸び率が60%を超える場合は、沈み込みが大き過ぎるため、反発感がなくなりクッション性が低下する傾向がある。定荷重時伸び率は、12〜55%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは15%〜50%の範囲である。
また、前述の定荷重時伸び率測定後の織編物の残留ひずみ率が、15%以下であることが好ましい。残留ひずみ率が15%を超えると、生地を引き伸ばしても回復性が劣り、例えば、カーシートの着席時のクッションの回復性が低下し、特に長期使用の際は生地のたるみが生じやすくなる。残留ひずみ率は、13%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
本発明により得られた自動車内装材用織編物は、環境負荷低減に加え、伸び物性にも優れ、カーシート、シートカバーおよび天井表皮などの車両内装材用としても好ましく用いられる。
また、本発明の織編物の製織編の後、精練・リラックスし、プレセット、アルカリ減量、染色およびファイナルセットなどの工程を経てもよい。ファイナルセット後に、必要に応じて適宜付帯加工してもよい。
次に、実施例によって、本発明の自動車内装材用織編物をさらに具体的に説明する。実施例中の物性は、次の方法で測定した値である。
(1)実測バイオ化率の測定方法
サンプルポリマーをサンドペーパーおよび粉砕機を用いて粉砕した後、酸化銅と共に加熱し、完全に二酸化炭素まで酸化し、これを鉄粉でグラファイトまで還元することにより、炭素単一化合物に変換する。得られたグラファイトをAMS装置に導入し、測定した。標準物質であるシュウ酸(米国基準・科学技術協会NIST供給)を同時に測定し、標準物質の14C濃度を基準として14C濃度(pMC)を求めた。一方、100%バイオ由来のポリ乳酸の14C濃度(pMC)を同様の方法で求めた。このポリ乳酸の14C濃度(pMC)を100%の基準として、サンプルの実測バイオ化率を求めた。サンプルは3点採取し、その平均値を求めた。少数第1位以下は四捨五入した。100%を超えた場合は100%とした。
(2)織編物の目付
JIS L 1096(8.4.2)に規定された方法により、織編物の単位面積当たりの質量を求めた。
(3)織編物引張強力
JIS L 1096(8.12.1A法、ストリップ法)に規定された方法に基づき、テンシロン型引張試験機を用い、幅5cm、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minの条件で、織編物のタテ方向、ヨコ方向の引張強力を求め、タテ方向、ヨコ方向の平均値を算出した。
(4)織編物5%伸長時応力
長さ30cm×幅5cmの試験片をタテ、ヨコそれぞれ3枚ずつ採取する。幅25.4mmのクランプを取り付けた引張試験に、つかみ間隔200mmで試験片を取付け、200mm/mindの速度で5%伸長時の応力値(N/25.4mm)を求める。タテ、ヨコそれぞれ3枚の平均値を算出した。
(5)織編物の定荷重時伸び率、残留ひずみ率
ASTM D 3107に規定された方法に基づき、マルテンス形疲労試験機を用い、上部チャックに試験片の一端をつかみ、つかみ間隔を150mmとして下側には下部チャックを含めて80Nの荷重かけ、10分間経過後の標線間距離を測定して荷重を取り去り、除重から10分後の標線間距離荷重伸び率(%)を測り、次式により定荷重伸び率(%)、残留ひずみ率を求める。
・ 定荷重伸び率(%)=(L1−L0)/L0×100
・ 残留ひずみ率(%)=(L2−L0)/L0×100
L0:試験前の標線間距離(mm)
L1:荷重をかけて10分後の標線間距離(mm)
L2:除重から10分後の標線間距離(mm)
(実施例1)
石油由来のテレフタル酸とバイオマス資源(サトウキビ)由来エチレングリコール(インディアグリコール社製)を、モル比1/1.6のスラリーとしてエステル化反応器に供給し、温度250℃、圧力50hPaGの条件で8時間反応させた。その後、重合反応槽に移し、酸成分1モルに対し、重合触媒の三酸化アンチモンを1.7×10−4モルを加え、重合反応容器中を減圧にして温度280℃、圧力0.67hPaで2時間重合させ、固有粘度0.62のバイオマス由来のPETを得た。
このPETチップを150℃の温度で15時間真空乾燥した後、エクストルーダー型紡糸機に供給し、紡糸温度300℃、紡糸速度3050m/分で溶融紡糸を行い、総繊度90dtex/36フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸(高配向未延伸糸)を得た。この高配向未延伸糸を、第一デリベリローラー速度が500m/min、延伸倍率1.53倍、第一ヒーター温度200℃の条件で仮撚加工し、56dtex/36フィラメントの仮撚加工糸を得た。この仮撚加工糸の引張強度は、4.0cN/dtexであり、伸度は27%であった。
この仮撚加工糸を用いて、28ゲージのトリコット編機を用いて、3枚筬でフロント糸の組織を2−3/2−1、ミドル糸の組織を1−0/1−2、バック糸の組織を1−0/3−4として、機上コース密度を72コース/2.54cmとして編地を編成した。
得られた編地を、液流染色機を用いて分散染料2%owfの染浴で130℃の温度で30分染色し、80℃の温度で20分の湯洗いを2回行った後、風乾させ、170℃の温度で2分間熱処理を行い、目付195g/mの実施例1の編地を得た。実測バイオ化率は、20%であった。編地物性を表1に示す。環境負荷低減、かつ製編時の加工性が石油由来ポリエチレンテレフタレート繊維と比べ遜色なく、自動車内装用表皮材として、十分な物性を有した編物であった。
(実施例2)
実施例1のトリコット経編機の代わりに、20Gの両面丸編機を用い、表糸、繋ぎ糸および裏糸として、実施例1の56dtex/36フィラメントの仮撚加工糸を2本合糸して製編したこと以外は、実施例1と同様の方法で処理し、目付け435g/mの実施例2の編地を得た。実測バイオ化率は、20%であった。得られた編物の物性を、表1に示す。環境負荷低減、かつ製編時の加工性が石油由来ポリエチレンテレフタレート繊維と比べ遜色なく、自動車内装用表皮材として十分な物性を有した編物であった。
(実施例3)
実施例1で得られた仮撚加工糸を経緯糸に用いてウォータージェットルームで製織し、経糸密度142本/2.54cm 、緯糸密度90本/2.54cmの平織物の生機を得た。引き続いて、常法により精練した後、テンターを用いて170℃の温度で30秒間のプレセットを行い、液流染色機を用いて分散染料2%owfの染浴を用いて130℃の温度で30分間の条件で染色し、テンターを用いて180℃の温度で1分の仕上げセットを行い、仕上密度が経糸密度150本/2.54cm、緯糸密度98本/2.54cmの実施例3の織物を得た。実測バイオ化率は、20%であった。得られた織物の物性を、表1に示す。環境負荷低減、かつ製編時の加工性が石油由来ポリエチレンテレフタレート繊維と比べ遜色なく、自動車内装用表皮材として十分な物性を有した織物であった。
(実施例4)
実施例1で使用したバック糸について、バイオマス資源由来エチレングリコールから石油資源由来のエチレングリコール(BASF製、原料は石油からなり、純度は99%以上)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で処理し、目付け200g/mの実施例4の編地を得た。実測バイオ化率は、11%であった。編物の物性を、表1に示す。環境負荷低減、かつ製編時の加工性が石油由来ポリエチレンテレフタレート繊維と比べ遜色なく、自動車内装用表皮材として十分な物性を有した編物であった。
(比較例1)
実施例1において、エチレングリコールとして、石油由来のエチレングリコール(BASF製、原料は石油からなり、純度は99%以上)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。得られた編地のバイオ化率は0%であった。得られた編物の物性を表1に示す。
Figure 2013011029

Claims (3)

  1. バイオマス資源由来のエチレングリコールと化石資源由来のテレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエチレンテレフタレート繊維を含んでなる織編物であって、該ポリエチレンテレフタレート繊維を構成するポリエチレンテレフタレートは、1950年代の循環炭素中の放射性炭素(14C)濃度を基準として求まるバイオマス資源由来の炭素の割合(実測バイオ化率)が、ポリマー中の全炭素原子に対して10%以上であり、該織編物は、目付が100〜600g/m、引張強力がタテ400〜1200N/5cm幅で、ヨコ400〜1600N/5cm幅であることを特徴とする自動車内装材用織編物。
  2. 織編物のタテ方向およびヨコ方向において、5%伸長時の応力が15〜90N/2.54cmであることを特徴とする請求項1記載の自動車内装材用織編物。
  3. 織編物のタテ方向およびヨコ方向において、定荷重時伸び率が80N荷重時10〜60%であり、そのときの残留ひずみ率が15%以内であることを特徴とする請求項1または2記載の自動車内装材用織編物。
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