JP2013010990A - 材料供給装置及び成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固形の有機材料を昇華・溶解させる速度をより精度よく調整することができる材料供給装置及び成膜装置を提供する。
【解決手段】固体材料を気化させて供給する材料供給装置であって、前記固体材料を供給される供給面を有し、前記固体材料を気化させる気化部材82と、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に供給する粉末材料供給部材94と、前記粉末材料供給部材に取り付けられ、前記気化部材の供給面との間に隙間ができるように配置され、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に分散させる材料分散部材と、前記材料分散部材に対して前記気化部材を移動させる移動機構と、を備える。
【選択図】図4
【解決手段】固体材料を気化させて供給する材料供給装置であって、前記固体材料を供給される供給面を有し、前記固体材料を気化させる気化部材82と、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に供給する粉末材料供給部材94と、前記粉末材料供給部材に取り付けられ、前記気化部材の供給面との間に隙間ができるように配置され、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に分散させる材料分散部材と、前記材料分散部材に対して前記気化部材を移動させる移動機構と、を備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えば有機EL素子の発光層の成膜に用いる成膜装置及び成膜装置において材料を供給する材料供給装置に関するものである。
近年、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)を利用した有機EL素子が開発されている。有機EL素子の基本的な構造は、ガラス基板上にアノード(陽極)層、発光層及びカソード(陰極)層を重ねて形成したサンドイッチ構造である。発光層の光を外に取り出すために、ガラス基板上のアノード層には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極が用いられる。有機EL素子は、表面にITO層(アノード層)が予め形成されたガラス基板上に、発光層とカソード層を順に成膜し、更に封止膜層を成膜することによって製造されるのが一般的である。
有機EL素子の発光層の成膜は、蒸着を用いて行われるのが一般的である。有機材料は固体であり、材料供給装置の加熱により気化された材料ガスが蒸着ヘッドに供給される。特許文献1には、顆粒状の有機材料を供給するゲートバルブ等の開閉式バルブと、回転・昇降自在な蓋体と当該蓋体に対向する凹面体との間に生ずる間隙部と、間隙部の幅を調整する定量部と、粉末材料を気化させる気化部材を有する材料供給装置を備えた成膜装置が開示されている。この装置では、開閉式バルブの開閉により供給された顆粒状の有機材料を間隙部で粉砕して粉末状とし、粉末状の有機材料を気化する。間隙部の幅、蓋体の回転速度及び装置内の圧力差を制御することで、気化部材への有機材料の供給量を制御する。
ところで、気化速度(レート)をより高精度に調整することが求められている。本発明は、固形の有機材料を昇華・溶解させる速度をより精度よく調整することができる材料供給装置及び成膜装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る材料供給装置は、固体材料を気化させて供給する材料供給装置であって、前記固体材料を供給される供給面を有し、前記固体材料を気化させる気化部材と、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に供給する粉末材料供給部材と、前記粉末材料供給部材に取り付けられ、前記気化部材の供給面との間に隙間ができるように配置され、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に分散させる材料分散部材と、前記材料分散部材に対して前記気化部材を移動させる移動機構と、を備えて構成される。
本発明に係る材料供給装置では、気化部材の供給面に粉末材料供給部材から粉末状の固体材料が供給され、移動機構により気化部材が材料分散部材に対して移動する。供給面側を移動させることにより、粉末材料を一層拡散させることができる。また、粉末材料供給部材に取り付けられた材料分散部材と気化部材との隙間によって、固体材料が隙間の幅に応じた厚みで拡散される。このように、有機材料を昇華・溶解させる速度を隙間によって精度よく調整することができる。
ここで、前記材料分散部材は、中空構造を有してもよい。このように構成することで、材料分散部材の内部に収容された粉末材料が気化部材との間の隙間の全てに過不足無く行き渡るため、適切に分散させることができる。
また、前記材料分散部材を前記供給面に対して昇降させる昇降機構を備えてもよい。このように構成することで、隙間の幅を変更することができるため、粉末材料の厚さを変更することが可能となる。
また、前記気化部材は、前記供給面が上面となるように配置されてもよい。このように構成することで、重力を利用して供給面に固体材料を供給することができる。
また、前記気化部材は、多孔質の材料からなる円板部材であり、一方の主面が気化面として形成されてもよい。このように構成することで、上面側で気化されて生成されたガスが円板部材を通過することが可能となるため、生成されたガスを気化部材の下面側から輸送することができる。また、溶融した材料が多孔質の気化部材を通過することが可能となるため、下面側を気化面とすることができる。
また、前記気化部材は、供給面に溝が形成されていてもよい。このように構成することで、供給面と材料分散部材との間に隙間を設けることができるので、供給面と材料分散部材との間を狭くすることにより、溝に充填される量を粉末材料の供給量として設定することが可能となる。このため、粉末材料の供給量を一定とすることが可能となる。
また、前記移動機構は、前記気化部材を回転させてもよい。前記移動機構は、前記気化部材に接続されたロッドを回転軸として前記気化部材を回転させてもよい。このように構成することで、気化部材の全面に粉末部材を分散させることができる。
また、前記粉末材料供給部材は、前記気化部材の回転軸から変位させた軸線を有してもよい。前記材料分散部材は、前記粉末材料供給部材との接続端と前記隙間を形成する端部とを結ぶ面が、前記気化部材の回転方向に湾曲された面であってもよい。
また、前記気化部材の下方に配置され前記気化部材を加熱するヒータを備えてもよい。このように構成することで粉末材料を適切に気化することができる。
また、前記移動機構は、前記気化部材を回転させ、前記ヒータは、前記材料分散部材の配置位置から前記気化部材の回転軸の回転方向に略半周した位置に配置されることが好適である。このように構成することで、加熱領域と材料投入領域とで温度差を設けることができるため、投入時における気化を抑えることが可能となる。よって、材料投入量の定量化を図ることができる。
また、前記固体材料を前記粉末材料供給部材に供給する供給部を備え、前記供給部は、下端に向かって漸次狭くなる円錐形状の下空間が内壁によって画成された筐体であり、前記下空間の最下部には粉末状の前記固体材料を落下させる落下孔が形成されており、当該落下孔から前記内壁に沿って上方へ延びるとともに内側へ屈曲された線状部材を有してもよい。このように構成することで、壁面等に付着された固体材料を線状部材により取り除くことができる。
また、前記供給部が真空引き可能に構成されてもよい。真空引きされた場合には、壁面等に固体材料が付着し易くなるため、線状部材の作用効果を一層奏する構成とすることができる。
また、前記供給部は、上に凸の円錐形状の蓋体、前記蓋体の上面に対向して設けられた円錐形状の凹面体、及び、前記蓋体と前記凹面体とを相対的に回転させる回転機構を有する定量部と、前記定量部に材料を投入する材料投入機構と、前記蓋体と前記凹面体との間の隙間を自在に変更させる昇降機構とを備え、前記材料投入機構の下流側であって前記定量部の上流側に内壁によって上空間が画成され、前記上空間の最下部には前記固体材料を落下させる落下孔が形成されており、当該落下孔から前記内壁に沿って上方へ延びるとともに内側へ屈曲された線状部材を有してもよい。このように構成することで、定量部に供給される前の顆粒状の固体材料を攪拌させ、又は定量部により生成された粉末状の固体材料を攪拌させることができる。
また、前記材料投入機構は、材料が導入される真空引き可能な材料導入部、及び導入された材料を前記材料供給装置に投入する真空引き可能な材料投入部から構成され、前記材料導入部と前記材料投入部はゲートバルブを介して接続されてもよい。このように構成することで、真空中であっても材料を適切に投入させることができる。
また、本発明に係る成膜装置は、上述した材料供給装置を備え、固体材料を気化させて成膜する成膜装置であって、前記固体材料を気化させる材料供給装置と、前記材料供給装置から供給された材料を導入して成膜する成膜部と、を備え、前記材料供給装置は、前記固体材料を供給される供給面を有し、前記固体材料を気化させる気化部材と、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に供給する粉末材料供給部材と、前記粉末材料供給部材に取り付けられ、前記気化部材の供給面との間に隙間ができるように配置され、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に分散させる材料分散部材と、前記材料分散部材に対して前記気化部材を移動させる移動機構と、を備えて構成される。
本発明に係る成膜装置は、上述した材料供給装置と同様の効果を奏する。
本発明によれば、固形の有機材料を昇華・溶解させる速度をより精度よく調整することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る成膜装置1等によって製造されるデバイス(有機EL素子、太陽電池等)の一例である有機EL素子Aの製造工程の説明図である。図1の(a)に示すように、上面にアノード(陽極)層10が成膜された基板Gが用意される。基板Gは、例えばガラス等よりなる透明な材料からなる。また、アノード層10は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性材料よりなる。なお、アノード層10は、例えばスパッタリング法などにより基板Gの上面に形成される。
先ず、図1の(a)に示すように、アノード層10の上に、発光層を含む有機層11が蒸着法によって成膜される。なお、有機層11は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、非発光層(電子ブロック層)、青発光層、赤発光層、緑発光層、電子輸送層、電子注入層を積層した多層構成などからなる。
次に、図1の(b)に示すように、有機層11の上に、例えばAg、Al等からなるカソード(陰極)層12が、例えばマスクを用いたスパッタリングにより形成される。
次に、図1の(c)に示すように、カソード層12をマスクにして、有機層11を例えばドライエッチングすることにより、有機層11がパターニングされる。
次に、図1の(d)に示すように、有機層11及びカソード層12の周囲と、アノード層10の露出部を覆うように、例えば窒化シリコン(SiN)よりなる絶縁性の封止膜層13が成膜される。この封止膜層13の形成は、例えば、μ波プラズマCVD法によって行われる。
このようにして、製造された有機EL素子Aは、アノード層10とカソード層12の間に電圧を加えることによって、発光させることができる。有機EL素子Aは、表示装置や面発光素子(照明・光源等)に適用することができ、その他、種々の電子機器に用いることが可能である。
次に、本実施形態に係る成膜装置1の構成について説明する。以下では、説明理解の容易性を考慮して、基板Gに有機材料ガスを噴出させる蒸着ヘッドを1つ備える成膜装置を説明する。図2は、成膜装置1の構成を示す概要図である。
図2に示すように、成膜装置1は、基板Gに薄膜を成膜する蒸着装置(成膜部)15、及び成膜に用いる材料ガスを蒸着装置15へ供給する材料供給装置30を備えている。蒸着装置15は、成膜処理を行うための第1チャンバー20、第2チャンバー21及び蒸着ヘッド22を備えている。第2チャンバー21は、第1チャンバー20の下方に設けられている。第2チャンバー21及び第1チャンバー20は、内部に空間を画成している。蒸着ヘッド22は、第1チャンバー20と第2チャンバー21とをまたいでそれらの内部に配置されている。第2チャンバー21の内部には、基板Gの成膜対象面を上に向けた状態で(フェースアップ状態で)基板Gを支持する支持台23が設けられている。ここで、蒸着ヘッド22は、蒸着ヘッド22の材料ガス噴出面が基板Gの上面(成膜対象面)に対向するように設置されている。また、第1チャンバー20は、排気管25aを介して真空ポンプ26aに連通し、第2チャンバー21は、排気管25bを介して真空ポンプ26bに連通しており、成膜時には真空引きされる。
また、材料供給装置30は、制御部30a、供給部30b及び材料ガス生成部30cを備えている。制御部30aは、供給部30bの各構成を制御する構成を有している。供給部30bは、材料ガス生成部30cへ有機材料(固体材料)を供給する構成を有している。材料ガス生成部30cは、有機材料を気化させて蒸着装置15へ導入する構成を有している。材料ガス生成部30cは、材料ガスを蒸着ヘッド22へ導入する材料導入路31と連通されている。すなわち、供給部30bから固形の有機材料が材料ガス生成部30cへ供給され、材料ガス生成部30cで材料ガスが生成され、材料ガス生成部30cで生成された材料ガスが蒸着ヘッド22へ導入され、蒸着ヘッド22から基板Gへ材料ガスが噴出される。また、材料導入路31には、蒸着ヘッド22への材料ガスの導入の有無を切り替え可能な弁33が設けられる。材料導入路31において材料ガス生成部30cと弁33の間には、真空ポンプ26aと連通し開閉自在な弁35を有する材料退避路34が設けられる。また、蒸着ヘッド22には、真空ポンプ26aと連通し、開閉自在な弁37を有する管流路36が設けられる。
また、蒸着ヘッド22の両側部、及び第2チャンバー21の両側部には光を透過させる窓39が設けられている。これら窓39に光を透過させて、例えばフーリエ変換型赤外分光法(FTIR)等の方法により蒸着ヘッド22内の材料ガスの蒸気量を調べることが可能な、蒸気量測定器38が第2チャンバー21の外部に設けられている。
以下では、図2中の材料供給装置30の拡大図である図3を参照して、本実施形態に係る材料供給装置30の構成について説明する。
供給部30bは、内部に空間が画成された筐体であって、装置外から装置内へ固体の有機材料を導入・加工して材料ガス生成部30cへ供給するように構成されており、顆粒状の有機材料の投入を行うロードロック式の材料投入機構40、材料投入機構40により投入された顆粒状の有機材料を攪拌する第1攪拌部42、顆粒状の有機材料を定量分だけ粉末状に粉砕する定量部70、定量部70で処理された粉末状の有機材料を攪拌する第2攪拌部71、及び第2攪拌部71から材料ガス生成部30cへ粉末材料を供給する落下通路72を備えている。
材料投入機構40は、有機材料を装置外から装置内へ導入可能な機構を備えている。材料投入機構40は、第1攪拌部42と連通している。材料投入機構40は、例えば、材料が導入される材料導入部、及び導入された材料を第1攪拌部42に投入する材料投入部を備えている。材料導入部及び材料投入部は、真空引き可能に構成され、ゲートバルブを介して接続されている。このため、ゲートバルブを閉じることで材料導入部を大気開放した場合であっても材料投入部の真空度を保つことができる。このため、装置を停止することなく材料を装置外から装置内へ導入することができる。
材料投入機構40と連通する第1攪拌部42は、供給部30bの内壁によって画成された空間(上空間)であって、下端に向かって漸次狭くなる円錐形状とされている。この空間は、材料投入機構40の下流側であって定量部70の上流側に画成される。第1攪拌部42の最下部に有機材料が落下する落下孔43が設けられている。また、攪拌器41は、線状部材であって、落下孔43から第1攪拌部42の内壁に沿って上方に延びるとともに内側に屈曲されている。攪拌器41は、略三角形を描くように内側へ2回屈曲されている。ここで、攪拌器41は、材料供給装置30内部に設けられた2軸のうち外側の回転筒44に連結しており、回転筒44の上部にはプーリ45aが設けられている。また、制御部30aの上部に設けられた回転機構50の下方には回転軸46を介してプーリ45bが設けられ、上記プーリ45aとプーリ45bの間にベルト47が展開される。これにより、回転機構50の回転動力が回転筒44に伝達され、第1攪拌部42内において、攪拌器41が回転する。なお、攪拌器41は、回転筒44の外周に複数設けられている。このように、第1攪拌部42に投入された有機材料は、攪拌器41の回転によって攪拌される。
また、第1攪拌部42の両側部にはヒータ52が取り付けられており、第1攪拌部42の温度を制御可能に構成されている。また、第1攪拌部42は磁性流体シール49により材料供給装置30の上部(制御部30a)に対して封止されている。磁性流体シール49は、回転筒44及びその内側に配置された後述する軸61の2つの回転軸を回転自在な状態で封止する。第1攪拌部42の内部は真空ポンプ55によって真空引きされ、ガス導入器57によって例えばアルゴン等のキャリアガスが導入される。
第1攪拌部42の下方においては、落下孔43の下方に、上に凸の円錐形状の蓋体60が設けられている。蓋体60は、蓋体60の上部に設けられた回転筒44によって支持されている。すなわち、回転筒44に支持されることにより、蓋体60が回転自在となっている。また、制御部30aの上方には昇降機構65が設けられている。昇降機構65は、回転機構62、軸61、回転筒44及び蓋体60を含む制御部30aを昇降させる。ここで、昇降機構65による昇降距離については、その昇降に伴って制御部30aが昇降することから、制御部30aに取り付けられた例えばマイクロメーター等の測定器66によって測定される。
蓋体60の上部近傍には蓋体60の上面に対向して設けられた円錐形状の凹面体63が設けられている。蓋体60の昇降により、蓋体60と凹面体63との間に生ずる間隙部64の幅は変化する。すなわち、間隙部64の幅の変化が測定器66によって測定される。なお、定量部70は、蓋体60及び凹面体63を備えて構成され、回転機構及び昇降機構によって蓋体60が回転・昇降し、間隙部64の幅が変化させられる部分である。回転機構は、蓋体60と凹面体63とを相対的に回転させる。
定量部70の下方には、逆円錐形状の第2攪拌部71が形成されている。第2攪拌部71は、下端に向かって漸次狭くなる円錐形状の空間(下空間)であり、第2攪拌部71の最下部に有機材料が落下する落下通路72が設けられている。第2攪拌部71は、攪拌器48を備えている。攪拌器48は、線状部材であって、落下通路72の上端から第2攪拌部71の内壁に沿って上方に延びるとともに内側に屈曲されている。攪拌器48は、略三角形を描くように内側へ2回屈曲されている。ここで、攪拌器48は、材料供給装置30内部に設けられた2軸のうち内側の軸61に連結している。軸61は結合部材61’を介して上下2つの軸61a及び軸61bから構成されている。軸61aの上部には、例えば回転用モータ等の回転機構62が取り付けられており、軸61は回転自在となっている。すなわち、軸61に連結されていることにより、攪拌器48が回転自在となっている。なお、攪拌器48は、軸61bの外周に複数設けられている。したがって、第2攪拌部71に投入された有機材料は攪拌器48の回転によって攪拌される。また、第2攪拌部71にはガス導入器57が連通しており、例えば、キャリアガスとしてアルゴンが導入され、その圧力は圧力計73によって測定される。また、落下通路72の両側部にはヒータ52が備えられており、温度制御が行われる。ここで、落下通路72には、定量部70側の温度が低く材料ガス生成部30c側の温度が高い温度勾配が付与されていることが好ましい。
上述したように、第1攪拌部42にはガス導入器57からキャリアガスとしてアルゴンが導入され、定量部70及び第2攪拌部71にも同様にキャリアガスが導入される。第1攪拌部42と第2攪拌部71のキャリアガスの圧力の差が要因のひとつとなって粉末状の有機材料は定量部70から落下する。
材料投入機構40から十分な有機材料が投入される場合において、間隙部64の幅、蓋体60の回転速度、攪拌部42と第2攪拌部71の圧力差の3つの要因によって第1攪拌部42から第2攪拌部71への有機材料の落下量が定まることとなる。上記3つの要因は、昇降機構65、回転機構50、ガス導入器57によって制御可能であるため、定量部70から落下させる粉末状の有機材料の量を所望の量に定量することが可能となる。なお、攪拌部42と第2攪拌部71に導入するキャリアガスの圧力を等しくし、攪拌部42と第2攪拌部71の差圧をなくすことで、制御部30aの昇降機構65及び回転機構50の制御によってのみ落下させる有機材料の定量を行うことが可能となり、より簡便に有機材料の材料ガス生成部32cへの導入が行えることとなる。
落下通路72は、材料ガス生成部30cに連通している。材料ガス生成部30cでは、有機材料の気化が行われる。ここで、有機材料には、例えばAlq3等の昇華材や、α−NPD等の溶解材が用いられる。昇華材と溶解材との蒸発メカニズムは異なる。材料ガス生成部30cにおいて蒸発を効率的に行うために、昇華材を用いる場合と溶解材を用いる場合とで異なる構造が採用される。
ここで、有機材料として溶解材を用いた場合に採用される気化器80について図4を参照して説明する。
図4は、溶解材である有機材料を溶解させて材料ガスを発生させる気化器80を備えた材料ガス生成部30cの概略的な断面図である。図4に示すように、材料ガス生成部30cの内部には、中空構造を有する箱型の気化器80が配置されている。気化器80は内部を気密状態とすることが可能に形成されている。気化器80は、上部材154、側方部材153及び下部材155を組み合わせて構成されている。なお、下部材155には脚部152が立設されている。気化器80は、底壁151bに脚部152を介して支持されている。
気化器80の上部材154には、気化器80の内部へ連通する粉末材料供給部材94が挿通されている。粉末材料供給部材94は、その上端部が材料供給装置30と連通する落下通路72と接続されている。このため、粉末状の有機材料が、落下通路72及び粉末材料供給部材94を介して、気化器80の内部へ供給される。なお、気化させたガスを輸送するキャリアガスも落下通路72及び粉末材料供給部材94を介して有機材料と同時に供給される。一方、気化器80の下部材155には第1チャンバー20内の蒸着ヘッド22と連通する材料導入路31が設けられている。気化させたガスは材料導入路31を介して蒸着ヘッド22へ導入される。
気化器80の内部には、有機材料を気化させる材料蒸発板(気化部材)82が配置されている。材料蒸発板82は、略円盤状の板状部材(円板部材)であり、多孔質材料で形成されている。多孔質材料としては、ポーラスセラミック(例えばSiC)が用いられる。材料蒸発板82は、上面(第1の主面、供給面)82a及び下面(第2の主面)82bを有しており、その一方の主面側に有機材料を気化させる気化面を有している。図4中の材料蒸発板82では、有機材料が溶解材であるので、下面82bが気化面とされ、表面積を大きくするために溝が形成されている。図5及び図6は、材料蒸発板82の一例を示すものである。図中の(a)が材料蒸発板82の上面図、(b)が底面図、(c)が材料蒸発板82の断面図である。図5の(a)及び図6の(a)に示すように、上面82aの外縁にはリブ82cが設けられている。また、図5の(b)に示すように、気化面である下面82bの溝82dは格子状に形成されてもよいし、図6の(b)に示すように、溝82dは同心円状に形成されてもよい。いずれにしても図5の(c)及び図6の(c)に示すように、気化面である下面82bの表面積が大きくなっていれば溝82dの形状はどのようなものであってもよい。なお、材料蒸発板82は、直径が約200nmのものが採用される。
図4に示すように、材料蒸発板82は、回転機構によって回転軸で回転可能に構成されている。回転機構は、動力源である真空モータ98、及び一端部が真空モータ98に接続され中心軸を回転軸とするロッド95を備えている。ロッド95の他端部は、材料蒸発板82の下面82bの中心位置に接続される。これにより、材料蒸発板82は、回転機構(移動機構)によって面内方向に回転自在とされる。また、真空モータ98は、材料蒸発板82の回転速度を制御可能に構成されている。
材料蒸発板82の上面82a側には、粉末材料供給部材94の端部が配置されている。粉末材料供給部材94は、その軸線が材料蒸発板82の回転軸から変位されている。粉末材料供給部材94の端部には、粉末状の有機材料を材料蒸発板82の上面82a上に分散させる材料分散部材96が接続されている。図7,8は、材料分散部材96の形状及び材料蒸発板82との位置関係を説明する概要図であり、図7は上面、図8は断面の概要図である。図7,8に示すように、材料分散部材96は、中空構造を有する略ドーム形状を呈し、材料蒸発板82の上面82aに対して傾きを有する端部を備えている。材料分散部材96は、材料蒸発板82の上面82aとの間に隙間Kができるように材料蒸発板82の上面82a近傍に垂直方向に離間して配置される。材料分散部材96は、粉末材料供給部材94との接続端と隙間Kを形成する端部とを結ぶ面が、材料蒸発板82の回転方向に湾曲された面とされている。材料分散部材96は、隙間Kを用いて厚みを調整しながら粉末状の有機材料Dを材料蒸発板82の上面82a上に分散させる。粉末状の有機材料Dは、粉末材料供給部材94を流通して材料蒸発板82の上面82a上に供給される。粉末材料供給部材94及び材料分散部材96は所定位置に固定されているため、材料蒸発板82の回転により、粉末状の有機材料Dは、隙間Kの高さで薄く延ばされ、材料蒸発板82の上面82a上に分散する。このように、隙間Kは粉末材料を延ばす際の厚みを規定するものとなる。また、材料分散部材96の内部には、落下した有機材料Dのうち厚みを調整されて余った分の有機材料Dが収容される。このように、材料分散部材96は、落下した有機材料Dが分散されるように、有機材料Dをある程度収容しながら隙間Kによる厚み調整を行う。
また、図4に示すように、気化器80の側方部材153は、上下方向に伸縮可能な部材で構成される。このような部材として、例えば、蛇腹形状を有するステンレスが用いられる。これにより気化器80は、上部材154が下部材155に対して上下動可能に構成されている。また、材料ガス生成部30cの上部151aには、気化器80の上部材154の高さ及び傾きを調整するための調整具99が配置されている。調整具99は、上部材154と軸99aを介して接続されており、軸99aの押し込み量を調整可能に構成されている。また、上部材154には同様の調整具99及び軸99aがさらに2つ配置されており、3点接触で固定されている(不図示)。そして、一つの支点を基準として、他2点の押し込み量の調整によって、上部材154の高さ又は傾斜が調整されることで、材料分散部材96と材料蒸発板82との隙間Kが調整される。すなわち、側方部材153、調整具99及び軸99aが材料分散部材96の昇降機構(3点キネマチック機構)として機能する。当該機構を用いて、材料蒸発板82への材料供給量が調整される。
また、材料蒸発板82の下面82bの下側には、ヒータ97が配置されている。ヒータ97は、有機材料(溶解材)の溶解点より高い温度となるように、材料蒸発板82を加熱する。例えば、ヒータ97は材料蒸発板82が300℃〜450℃となるように加熱する。ヒータ97は、材料蒸発板82の下面82b側であって、材料分散部材96の配置位置から材料蒸発板82の回転方向に略半周した位置に配置される。略半周とは例えば135°〜225°の範囲であり、この範囲にヒータ97の重心が配置される。なお、ここではヒータ97は、気化器80の下部材155の下側に設けられており、材料蒸発板82の気化面をヒータ97の輻射熱によって加熱する構成とされている。
なお、落下通路72、材料導入路31には、上記述べたようにそれぞれ両側部にヒータ52が設置され、また、気化器80の上面部及び両側部にもヒータ52が設置され、温度制御が可能となっている。
以上の構成により、粉末状の有機材料がキャリアガスとともに粉末材料供給部材94から材料蒸発板82へ供給され、真空モータ98により材料蒸発板82が回転することにより、粉末状の有機材料が材料分散部材96によって厚みを調整されながら材料蒸発板82上に薄く延ばされる。そして、ヒータ97の輻射加熱によって気化面である下面98bで蒸発される。生成された材料ガスは、粉末材料供給部材94から気化器80へ流入するキャリアガスに押し出されるように材料導入路31から流出する。また、昇降機構を用いて、材料蒸発板82への材料供給量が調整され、真空モータ98により材料蒸発板82の回転速度が調整され、ヒータ97により加熱量が調整される。上記調整を行うことができるので、材料蒸発量を制御し、有機材料の気化効率を向上させることができる。
なお、有機材料が粉末の状態で材料蒸発板82に堆積するため、その昇華は、例えば有機材料を顆粒状のまま昇華させる場合と比べて極めて短時間で効率的に昇華させることができ、材料ガスを多量に発生させることができる。
以上説明したように、気化器80の材料ガス生成部30cからは有機材料が気化した材料ガスが材料導入路31に流出する。そして、図2に示すように、材料導入路31は第1チャンバー20内の蒸着ヘッド22に連通しているため、弁33が開いている場合には、材料ガスが蒸着ヘッド22内に導入されることとなる。蒸着ヘッド22にはヒータ52が取り付けられており、蒸着ヘッド22の内部において材料ガスが析出することはなく、蒸着ヘッド22から基板Gに対し材料ガスが噴出される。
なお、蒸着ヘッド22から基板Gに材料ガスの噴出を行わない場合には、弁33を閉じることによって材料導入路31から蒸着ヘッド22への材料ガスの導入を止めることとなる。その際に、材料導入路31に材料ガスが残留することがあるため、材料導入路31には弁35を備え、真空ポンプ26aに連通する材料退避路34が設けられており、材料ガスが真空ポンプ26aにより吸引・回収される。また、成膜終了時に蒸着ヘッド22内に残留した材料ガスを吸引・回収し、蒸着ヘッド22内部を真空引きするための、真空ポンプ26aに連通する出流れ用流路36が蒸着ヘッド22には設けられている。これら材料退避路34及び出流れ用流路36により、材料導入路31及び蒸着ヘッド22内に残留した材料ガスが完全に回収され、成膜を行う基板Gが複数ある場合に、各基板Gの成膜環境を均一なものとすることができ、複数の基板Gに対して均一性の高い成膜が行われる。
また、蒸着ヘッド22の側部(第2チャンバー21の側部)に設けられたFTIR検出器等の蒸気量測定器38によって測定された蒸着ヘッド22内部の蒸気量を、所望の蒸気量と比較して、その結果を信号として材料供給装置30のガス導入器57や、各部に設けられたヒータ52に送り、その信号に基づいてガス導入器57から導入するキャリアガスの量や各部の温度を制御し、蒸着ヘッド22内の蒸気量を最適化させることができる。
以上、本実施形態に係る成膜装置1によれば、顆粒状の有機材料を材料供給装置30において定量するとともに、粉末状とし、さらに材料蒸発板82で厚み(供給量)を調整しながら有機材料を気化させ材料ガスを生成させることができる。また、顆粒状の有機材料を投入後に粉砕する構成を採用することで、例えば、ロードロック式の材料投入機構40を用いて顆粒状の材料を定量部70に投入する場合、材料が粉状である場合と比較して、材料投入時の材料の定量が正確にでき、また、スムーズな連続投入が可能となる。さらに、基板Gに材料ガスを噴出させ、蒸着による成膜を行う場合に、1つの基板Gに対して成膜を行った後、次の基板Gに成膜を行う際に、蒸着ヘッド22及び材料導入路31の内部を一旦真空引きし、1つ目の基板Gとほぼ同様な条件で成膜を行うことによっても、基板Gへの成膜を適切に行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、材料蒸発板82の供給面に粉末材料供給部材94から粉末状の固体材料が供給され、真空モータ98により材料蒸発板82が材料分散部材94に対して移動する。供給面である上面82a側を移動させることにより、粉末材料を一層拡散させることができる。また、粉末材料供給部材94に取り付けられた材料分散部材96と材料蒸発板82との隙間Kによって、固体材料が隙間の幅に応じた厚みで拡散される。このように、有機材料を昇華・溶解させる速度を隙間によって精度よく調整することができる。
また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、材料分散部材96は、内部に粉末状の有機材料を収容する中空構造を有するため、材料分散部材96の内部に収容された粉末材料が材料蒸発板82との間の隙間の全てに過不足無く行き渡り、適切に分散させることができる。
また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、材料分散部材96を上面82aに対して昇降させることで、隙間Kの幅を変更することができるため、粉末材料の厚さを変更することが可能となる。また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、材料蒸発板82は、多孔質の材料からなる円板部材であり、一方の主面が気化面として形成されているため、上面82a側で気化されて生成されたガスが材料蒸発板82を通過することが可能となり、生成されたガスを材料蒸発板82の下面側から輸送することができる。また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、溶融した材料が多孔質の材料蒸発板82を通過することが可能となるため、下面側を気化面とすることができる。
また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、材料蒸発板82に接続されたロッドを回転軸として材料蒸発板82を回転させるため、材料蒸発板82の全面に粉末部材を分散させることができる。ヒータ97が材料分散部材96の配置位置から材料蒸発板82の回転方向に略半周した位置に配置されるため、加熱領域と材料投入領域とで温度差を設けることができる。このため、投入時における気化を抑えることが可能となる。よって、材料投入量の定量化を図ることができる。
また、本実施形態に係る成膜装置1によれば、有機材料を粉末材料供給部材94へ供給する供給部30bを備え、供給部30bは、有機材料を攪拌する第2攪拌部71を有するため、帯電等により壁面等に付着された有機材料を第2攪拌部71により取り除くことができる。特に、第2攪拌部71が真空引きされた場合には、壁面等に有機材料が付着し易くなるため、第2攪拌部71の作用効果を一層奏する構成とすることができる。また、攪拌器の形状を変更することにより、材料ごとの粒径等の違いに対応することが可能となる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る成膜装置及び材料供給装置の一例を示すものであり、実施形態に係る装置に限られるものではなく、変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上記実施形態では、図5の(a)に示すように材料蒸発板82の上面82aにはリブ82cのみが設けられているが、図9の(a)に示すように、溝82fを形成するように中央に同心円状の凸部82eを設けてもよい。図9の(b)に示すように、材料分散部材96は、リブ82c及び凸部82eと接触して配置されることで、有機材料Dは溝82fの分のみ材料蒸発板82へ供給することができる。すなわち、溝82fの容量に応じて材料蒸発板82への材料供給量を制御することが可能となる。このように、溝82fを用いて材料供給量を制御する場合には、定量部70において有機材料が正確に定量されない場合であっても均一なレートで有機材料を昇華・溶解させることができる。すなわち、定量部70を設けなくても均一なレートで有機材料を昇華・溶解させることが可能となる。なお、溝82fは材料蒸発板82を切削することにより形成してもよい。さらに、溝82fの形状は図9の(a)に限られるものではなく、例えば、図5の(b),図6の(b)に示す形状であってもよい。このように、材料蒸発板82は、材料分散部材96と対向する主面側に溝を形成することにより、材料分散部材96が溝をすり切るように配置された場合には、溝に充填される量を有機材料の供給量として設定することができる。このため、有機材料の供給量を一定とすることが可能となる。
また、上記実施形態では、有機材料として溶解材を用いた場合を説明したが、有機材料として昇華材を用いた場合であってもよい。この場合、気化器80に替えて昇華器90が採用される。図10は、昇華器90を採用した材料ガス生成部30cの概要図である。図10に示すように、気化器80との違いは、材料蒸発板100の気下面が上面100aとなっている点のみである。上面100aに設けられた溝は、気下面の表面積を拡大させて蒸発を促進させる機能を有するとともに、上述の通り、材料分散部材96の溝の容量分の材料が供給されることから、溝によって材料供給量を制御する機能を有する。
また、上記実施形態では有機EL素子を製造する場合を例示し、有機材料を用いて基板に有機層を蒸着させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、蒸着処理によって成膜、表面処理等を行うことにより製造される各種電子デバイス、光学デバイス等にも適用させることができる。
また、上記実施形態では、単一の蒸着ヘッドを有する装置について説明したが、通常、成膜装置では、基板Gに有機材料ガスを噴出させる蒸着ヘッドは、例えばホール輸送層、非発光層(電子ブロック層)、青発光層、赤発光層、緑発光層、電子輸送層等の複数の有機層の蒸着のために複数用意される。複数個の蒸着ヘッドを備える装置に、蒸着ヘッドの数に応じた本発明に係る材料供給部が複数設けられた成膜装置についても、当然本発明の範疇に属する。
また、上記実施形態において、材料投入機構40はロードロック方式であるとして説明したが、その具体的な構成としては図11を参照して以下に説明するような構成が考えられる。
図11は材料投入機構40の構成の一例を示す説明図である。図11に示すように材料投入機構40は材料の導入を行う材料導入部120と、材料導入部120から導入された材料を材料供給装置30内に投入する材料投入路125から構成される。材料導入部120は材料投入路125の上方に配置され、材料導入部120と材料投入路125はゲートバルブ130を介して接続されている。材料導入部120は密閉可能な構成であり、材料導入部120には排気口121が設けられているため、排気口121に連通する図示しない真空ポンプの稼動により、材料導入部120は真空引き可能となっている。また、材料投入路125は図11には図示しない材料供給装置30の第1攪拌部42に連通しており、第1攪拌部42と連動して真空引きされる。
また、材料導入部120には、下端に向かって漸次狭くなる円錐形状の空間132を囲むような形状(すり鉢形状)の精製機構140と精製機構140内の円錐形状の空間132内を攪拌する攪拌機構145が設けられている。材料導入部120には、精製機構140内の空間132に材料を導入する開閉自在な導入口133が設けられている。ここで、攪拌機構145は空間132の中心部において図示しない駆動機構の稼動によって回転する回転軸147と回転軸147に複数水平に取り付けられる攪拌棒149から構成される。また、精製機構140の底部(空間132の下部)とゲートバルブ130は、精製機構140において精製された材料の通過するダクト150によって接続しており、ゲートバルブ130開放時には、精製機構140から落下した材料がダクト150を通過し、材料投入路125に送られる構成となっている。
また、精製機構140の外側面にはヒータ142が取り付けられ、精製機構140内に導入される材料を加熱することが可能となっている。なお、ヒータの設置・配置については、材料投入機構40においては、種々の部分にヒータを取り付け材料の温度を所定の温度に保つことが望ましい。なお、精製機構140内において、精製機構140以外の部分についてはヒータを図示していないが、材料を効率的に加熱・均熱する観点から、他の部分にもヒータを設けることが好ましい。
以上、図11に示すように構成される材料投入機構40によって材料供給装置においては、まず、ゲートバルブ130が閉じられた状態で、材料導入部120が大気開放され、材料導入部120の精製機構140内に導入口133から(有機)材料が導入される。そして、精製機構140において材料が攪拌棒149によって攪拌されながら加熱され、精製される。
次いで、材料導入部120内が排気口121からの排気により真空引きされる。ここで、材料供給装置30が稼働中である場合には、例えば図3に示した、材料供給装置30内部、すなわち第1攪拌部42は真空引きされた状態である。そこで、材料投入のためにゲートバルブ130を開放する際には、材料導入部120内と材料投入路125内の真空度(内圧)がほぼ同じである必要があるため、上記材料導入部120の排気は材料供給装置30内の真空度と同程度の真空度となるように行われる。
材料導入部120内が排気された後に、ゲートバルブ130が開放され、精製機構140において精製された材料がダクト150を通り材料投入路125から材料供給装置30の第1攪拌部42に導入される。そして、材料供給装置30に材料を導入した後ゲートバルブ130が閉じられ、材料導入部120が再び大気開放され、次に投入するための新たな材料の精製を行う。
図11に示す材料投入機構40を、以上説明したような工程で稼動させて材料供給装置30に材料を導入することにより、真空引きされた状態で稼働中の材料供給装置30の真空度(内圧)に影響を及ぼすことなく新たな材料を材料供給装置30内に導入することが可能となり、生産性の向上が図られる。
また、上述した実施形態では、真空モータ98及びロッド95を用いて材料蒸発板82を回転させる例を説明したが、材料分散板96に対して移動していればよく、回転以外の移動であってもよい。
また、上述した実施形態では、基板Gの成膜対象面を上に向けた状態で(フェースアップ状態で)基板Gを支持する支持台23の例を説明したが、基板Gの成膜対象面を下に向けた状態で(フェースダウン状態で)基板Gを支持する支持台を設けて成膜する装置であってもよい。
1…成膜装置、15…蒸着装置(成膜部)、30…材料供給装置、30a…制御部、30b…供給部、30c…材料ガス生成部、31…材料導入路、40…材料投入機構、41…攪拌器、42…第1攪拌部、60、60’…蓋体、63…凹面体、64…間隙部、65…昇降機構、70…定量部、71…第2攪拌部、72…落下通路、82…材料蒸発板(気化部材)、94…粉末材料供給部材、96…材料分散板、97…ヒータ、98…真空モータ(移動機構)、130…ゲートバルブ、K…隙間。
Claims (17)
- 固体材料を気化させて供給する材料供給装置であって、
前記固体材料を供給される供給面を有し、前記固体材料を気化させる気化部材と、
粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に供給する粉末材料供給部材と、
前記粉末材料供給部材に取り付けられ、前記気化部材の供給面との間に隙間ができるように配置され、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に分散させる材料分散部材と、
前記材料分散部材に対して前記気化部材を移動させる移動機構と、
を備える材料供給装置。 - 前記材料分散部材は、中空構造を有する請求項1に記載の材料供給装置。
- 前記材料分散部材を前記供給面に対して昇降させる昇降機構を備える請求項1又は2に記載の材料供給装置。
- 前記気化部材は、前記供給面が上面となるように配置される請求項1〜3の何れか一項に記載の材料供給装置。
- 前記気化部材は、多孔質の材料からなる円板部材であり、一方の主面が気化面として形成される請求項1〜4の何れか一項に記載の材料供給装置。
- 前記気化部材は、供給面に溝が形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載の材料供給装置。
- 前記移動機構は、前記気化部材を回転させる請求項1〜6の何れか一項に記載の材料供給装置。
- 前記移動機構は、前記気化部材に接続されたロッドを回転軸として前記気化部材を回転させる請求項7に記載の材料供給装置。
- 前記粉末材料供給部材は、前記気化部材の回転軸から変位させた軸線を有する請求項7又は8に記載の材料供給装置。
- 前記材料分散部材は、前記粉末材料供給部材との接続端と前記隙間を形成する端部とを結ぶ面が、前記気化部材の回転方向に湾曲された面である請求項7〜9の何れか一項に記載の材料供給装置。
- 前記気化部材の下方に配置され前記気化部材を加熱するヒータを備える請求項1〜10の何れか一項に記載の材料供給装置。
- 前記移動機構は、前記気化部材を回転させ、
前記ヒータは、前記材料分散部材の配置位置から前記気化部材の回転軸の回転方向に略半周した位置に配置される請求項11に記載の材料供給装置。 - 前記固体材料を前記粉末材料供給部材に供給する供給部を備え、
前記供給部は、下端に向かって漸次狭くなる円錐形状の下空間が内壁によって画成された筐体であり、前記下空間の最下部には粉末状の前記固体材料を落下させる落下孔が形成されており、当該落下孔から前記内壁に沿って上方へ延びるとともに内側へ屈曲された線状部材を有する請求項1〜12の何れか一項に記載の材料供給装置。 - 前記供給部が真空引き可能に構成される請求項13に記載の材料供給装置。
- 前記供給部は、
上に凸の円錐形状の蓋体、前記蓋体の上面に対向して設けられた円錐形状の凹面体、及び、前記蓋体と前記凹面体とを相対的に回転させる回転機構を有する定量部と、
前記定量部に材料を投入する材料投入機構と、
前記蓋体と前記凹面体との間の隙間を自在に変更させる昇降機構と、
を備え、
前記材料投入機構の下流側であって前記定量部の上流側に内壁によって上空間が画成され、前記上空間の最下部には前記固体材料を落下させる落下孔が形成されており、当該落下孔から前記内壁に沿って上方へ延びるとともに内側へ屈曲された線状部材を有する、
請求項13又は14に記載の材料供給装置。 - 前記材料投入機構は、材料が導入される真空引き可能な材料導入部、及び導入された材料を前記材料供給装置に投入する真空引き可能な材料投入部から構成され、前記材料導入部と前記材料投入部はゲートバルブを介して接続される、請求項15に記載の材料供給装置。
- 固体材料を気化させて成膜する成膜装置であって、
前記固体材料を気化させる材料供給装置と、
前記材料供給装置から供給された材料を導入して成膜する成膜部と、
を備え、
前記材料供給装置は、
前記固体材料を供給される供給面を有し、前記固体材料を気化させる気化部材と、
粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に供給する粉末材料供給部材と、
前記粉末材料供給部材に取り付けられ、前記気化部材の供給面との間に隙間ができるように配置され、粉末状の前記固体材料を前記気化部材の供給面上に分散させる材料分散部材と、
前記材料分散部材に対して前記気化部材を移動させる移動機構と、
を備える成膜装置。
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