JP2013007770A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性を低下させることがなく、重合ロット間で粒径のバラツキが少なく且つ耐久性に優れるトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、水溶性マグネシウム化合物の水溶液と、アルカリ化合物の水溶液とを反応させて水酸化マグネシウムを生成させる工程、前記水酸化マグネシウムを水洗する工程、及び、水洗後の前記水酸化マグネシウムを水系分散媒体に分散させて前記水系分散液を得る工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)の製造方法に関する。
静電潜像を静電荷像現像用トナーにより現像して所望の画像を形成する方法が広く実施されている。例えば、電子写真法では、感光体に形成された静電潜像を、着色樹脂粒子に必要に応じて外添剤やキャリア等の他の粒子を配合してなるトナーで現像し、紙やOHPシート等の記録材に転写した後、トナーを定着させて印刷物を得る。
近年、電子写真法を用いた複合機、ファクシミリ、及びプリンター等の画像形成装置に対し、カラー化のニーズが高まってきている。カラー印刷では、写真等の高解像度且つ鮮明な色調の再現が要求される画像の印刷も行うことから、それらの要求に対応しうるカラートナーが求められている。
カラー複写(カラーコピー)の場合の画像形成方法の一例としては、先ず、カラー原稿を多数の画素に分解して読み取り、色別のデジタル画像信号として、帯電させた感光体上に光を当てて静電潜像を形成する。次に、色別の静電潜像に対応するカラートナーにより、静電潜像を現像してトナー像をつくり、これを紙やOHPシート等の記録材に転写する。転写されたトナー像は、加熱加圧等の方法により記録材に定着される。
一般に、トナーは、粉砕法及び重合法により製造されたものに大別される。
粉砕法は、結着樹脂と着色剤を溶融混練する方法、又はモノマーと着色剤を含有する混合物を重合させる方法により得た着色樹脂の固形物を粉砕し、分級することにより着色樹脂粒子を製造する方法である。
一方、重合法は、例えば重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物の液滴を
形成し、該液滴を重合させて着色樹脂粒子を製造する懸濁重合法や、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する乳化重合凝集法などが挙げられる。粉砕法で得られる着色樹脂粒子が不定形であるのに対して、重合法で得られる着色樹脂粒子は形状が球形に近く、小粒径でシャープな粒径分布をもつ。特に、画像再現性や精細性等の画質を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(いわゆる重合法トナー)のように、形状や粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。
例えば、特許文献1には、水溶性多価金属塩水溶液と水酸化アルカリ金属塩水溶液を混合して反応させて、分散安定化剤として難水溶性多価金属塩コロイドを含有する水系分散媒体を作製し、該水系媒体中で懸濁重合を行い静電荷像現像用トナーを製造する方法が開示されている。具体的には、塩化マグネシウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、水酸化マグネシウムコロイドを含有する水系分散媒体を作製するに当たり、塩化マグネシウムに対する水酸化ナトリウムの化学当量比が0.5〜0.84である静電荷像現像用トナーを製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、水溶性多価金属塩水溶液と水酸化アルカリ金属塩水溶液を混合して反応させて、分散安定化剤として難水溶性多価金属塩コロイドを含有する水系分散媒体を作製し、該水系媒体中で懸濁重合を行い静電荷像現像用トナーを製造する方法において、難水溶性金属水酸化物コロイドを、その生成後4時間以上を経過させた後に使用する、所謂コロイド熟成を行うことが開示されている。
また更に、特許文献3には、粒子径及び粒子形態の制御を図り、分散性及び熱的安定性の向上を目的とした水酸化マグネシウム微粒子及びその製造方法が開示されている。
特開平6−332257号公報 特開平10−221885号公報 特開2009−62214号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、コロイドとはならない未反応の水溶性多価金属塩が分散安定化剤中に多量に存在するために、トナー製造後に未反応の水溶性多価金属塩を含む分散安定化剤を除去するために大量の水と時間が必要になるという問題があった。また、理由は不明であるが、特許文献1に記載された方法の様に、未反応の水溶性多価金属塩が存在する分散系で重合を実施すると、得られるトナーの粒径が重合ロット間でばらつくという問題もあった。
一方、特許文献2に記載された方法では、熟成時間が必要となるためにサイクル時間が長くなり、生産性が低下する問題があった。
また、特許文献3に記載された水酸化マグネシウムは、原料由来もしくは製造工程中に混入する塩素の制御がされておらず、その他トナーに使用する水酸化マグネシウムとしての特性や物性条件についても検討されていなかった。
したがって、本発明の目的は、生産性を低下させることがなく、重合ロット間で粒径のバラツキが少なく且つ耐久性に優れるトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、少なくとも着色樹脂粒子を含有するトナーの製造方法において、特定の方法により調製した水酸化マグネシウムを分散安定化剤として使用することにより、上記課題が解決できることを見いだした。
即ち、本発明によれば、少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、水溶性マグネシウム化合物の水溶液と、アルカリ化合物の水溶液とを反応させて水酸化マグネシウムを生成させる工程、前記水酸化マグネシウムを水洗する工程、及び、水洗後の前記水酸化マグネシウムを水系分散媒体に分散させて前記水系分散液を得る工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
本発明においては、前記水酸化マグネシウム生成工程により得られた水酸化マグネシウムについて水熱反応を行う工程をさらに有し、前記水洗工程において、前記水熱反応後の水酸化マグネシウムを水洗することが好ましい。
本発明においては、水酸化マグネシウムを含有する前記水系分散液の電気伝導度が1mS/cm以下であることが好ましい。
本発明においては、前記水熱反応後の水酸化マグネシウムが、個数平均一次粒径が30〜300nm、及びアスペクト比が2〜10である板状の水酸化マグネシウム微粒子であることが好ましい。
上記の如き本発明によれば、得られるトナーの粒径を精密に制御でき、トナーの安定的な生産が可能となる。また、本発明によれば、水酸化マグネシウムを生成させた後、残留する過剰なマグネシウム塩やアルカリ金属塩を水洗により予め除去するため、重合性単量体を重合する際にこれらの金属塩を含まない重合トナーが得られる結果、重合後のトナーの洗浄が容易であり、且つ、印字環境安定性に優れたトナーが得られる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、水溶性マグネシウム化合物の水溶液と、アルカリ化合物の水溶液とを反応させて水酸化マグネシウムを生成させる工程、前記水酸化マグネシウムを水洗する工程、及び、水洗後の前記水酸化マグネシウムを水系分散媒体に分散させて前記水系分散液を得る工程を有することを特徴とする。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法、及び当該製造方法により得られるトナーについて、順に説明する。
1.静電荷像現像用トナーの製造方法
本発明の製造方法は、特定の方法により調製した水酸化マグネシウムを含む水系分散液を、トナーの重合に供する方法である。
本発明の製造方法は、少なくとも、(1)水酸化マグネシウム生成工程、(2)水酸化マグネシウム水洗工程、(3)水系分散液調製工程、(4)懸濁工程、及び(5)着色樹脂粒子製造工程を有する。本発明は、必ずしも上記5工程のみに限定されることはなく、上記5工程以外にも、例えば、後述するような外添工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(5)並びにその他の工程について、順に説明する。
1−1.水酸化マグネシウム生成工程
本工程は、水溶性マグネシウム化合物の水溶液と、アルカリ化合物の水溶液とを反応させて水酸化マグネシウムを生成させる工程である。
本工程は、具体的には、マグネシウムイオンを含む水溶液と、水酸化物イオンを含む水溶液とを混合することにより、水溶液中で難水溶性の水酸化マグネシウムのコロイドを生成させる工程である。このように難水溶性の水酸化マグネシウムのコロイドを調製し、後述する着色樹脂粒子の製造に用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができる。また、着色樹脂粒子洗浄後の分散安定化剤の残存量を少なくできるため、得られる重合トナーが画像を鮮明に再現することができ、更に環境安定性を悪化させない。
本工程において使用できる水溶性マグネシウム化合物は、マグネシウムイオンを含む水溶性の化合物であれば特に限定されない。なお、マグネシウムイオン以外に金属カチオンを含まないことが好ましい。
水溶性マグネシウム化合物の例としては、具体的には、塩化マグネシウム(MgCl)、硝酸マグネシウム(Mg(NO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、酢酸マグネシウム(Mg(CHCO)等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ化合物との反応性が高く、安定して水酸化マグネシウムを生成できるという観点から、塩化マグネシウム、及び硝酸マグネシウムを用いることが好ましい。なお、水溶性マグネシウム化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性マグネシウム化合物の水溶液濃度は、0.01〜8mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましい。
本工程において使用できるアルカリ化合物とは、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸アンモニウム、アンモニア等であれば特に限定されない。アルカリ金属の水酸化物の例としては、具体的には、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)、及び水酸化セシウム(CsOH)等が挙げられる。また、アルカリ金属の炭酸塩の例としては、具体的には、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸水素ルビジウム(RbHCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)等が挙げられる。
これらのアルカリ化合物の中でも、アルカリ性が高く、水溶性マグネシウム化合物との反応性が高いという観点から、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、及び水酸化カリウム(KOH)を用いることが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ化合物の水溶液濃度は、0.01〜20mol/Lが好ましく、0.1〜10mol/Lがより好ましい。
水溶性マグネシウム化合物の水溶液中におけるマグネシウムイオン(Mg2+)の濃度を[Mg2+]、アルカリ化合物の水溶液中における水酸化物イオン(OH)の濃度を[OH]としたとき、{[OH]/(2・[Mg2+])}=0.8〜10であることが好ましい。{[OH]/(2・[Mg2+])}<0.8であるとすると、マグネシウムイオンの濃度が高すぎるため、マグネシウムに水酸化物イオンが配位するべき位置に水溶性マグネシウム化合物に由来するイオン(塩素イオン等)が混ざることにより、水酸化マグネシウム中に塩素等が混入し、更には収率が悪化するおそれがある。一方、{[OH]/(2・[Mg2+])}>10であるとすると、水酸化物イオンの濃度が高すぎるため、水酸化マグネシウムの粒子成長が促進され、粒子形状が均一になりにくいおそれがある。
なお、{[OH]/(2・[Mg2+])}=0.9〜5であることがより好ましい。
水溶性マグネシウム化合物の水溶液と、アルカリ化合物の水溶液とを混合して得られる水酸化マグネシウム含有水溶液のpHは、9〜14であることが好ましい。なお、ここでいう「水酸化マグネシウム含有水溶液」とは、水酸化マグネシウム固体が分散した水溶液のことをいい、水酸化マグネシウムが溶解した水溶液のことを意味するものではない。水酸化マグネシウム含有水溶液のpHが9未満であるとすると、pHが低すぎるため、マグネシウムに水酸化物イオンが配位するべき位置に水溶性マグネシウム化合物に由来するイオン(塩素イオン等)が混ざることにより、水酸化マグネシウム中に塩素等が混入し、更には収率が悪化するおそれがある。一方、水酸化マグネシウム含有水溶液のpHが14を超えるとすると、pHが高すぎるため、水酸化マグネシウムの粒子成長が促進され、粒子形状が均一になりにくいおそれがある。
なお、水酸化マグネシウム含有水溶液のpHは、10〜13であることがより好ましい。また、水酸化マグネシウム生成反応時の温度は、100℃未満が好ましい。
水酸化マグネシウムのコロイドは、適宜ろ過により余分な水分を除去した上で、次の工程に使用してもよい。
本発明の製造方法は、上記水酸化マグネシウム生成工程により得られた水酸化マグネシウムについて、水熱反応を行う工程をさらに有することが好ましい。
水熱反応とは高温高圧の熱水存在下で結晶を析出及び成長させる反応であり、反応温度は100℃以上であることが好ましく、200〜400℃であることがより好ましい。また、反応圧力は0.1MPa以上であることが好ましく、20〜40MPaであることがより好ましく、反応時間は30秒以上であることが好ましく、30秒〜8時間であることがより好ましい。このような条件を選ぶことで、本発明に使用できる水酸化マグネシウム微粒子を好ましく得ることができる。
水熱反応法の詳細は特に限定されず、例えば、水酸化マグネシウムにNaOH等の結晶制御剤を添加して水熱反応させてもよいし、又は、水酸化マグネシウムにマグネシウム塩水溶液及びアルカリ水溶液を添加して水熱反応させてもよい。また、水熱反応には、連続式水熱反応装置等の装置を用いてもよい。
得られた水酸化マグネシウム微粒子は、後述する疎水化処理剤や、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩等で処理することにより、疎水化処理された水酸化マグネシウム微粒子が得られる。特に、脂肪酸塩を添加することにより、得られる水酸化マグネシウム微粒子の平均粒径の変動係数が小さくなり、粒子形状及び粒径の均一性が高くなる。脂肪酸塩の添加量が多いほど、得られる水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径が小さくなる傾向がみられる。水熱反応において添加する脂肪酸塩の添加量は、水酸化マグネシウム微粒子の理論生成量に対して0.1〜50質量%であることが好ましい。
水熱反応前の水酸化マグネシウム微粒子は、アモルファスに近く、水洗したとしても原料由来の不純物(例えば、Cl、S、Na等)の除去が困難である。水熱反応により、水酸化マグネシウム微粒子の結晶性を高く、且つ結晶粒径を大きくでき、さらに、結晶成長の際に不純物が除去され、高純度化が図れる。また、結晶性が高くなることにより、水酸化マグネシウム微粒子の分散性も向上する。
1−2.水酸化マグネシウム水洗工程
本工程は、上記水酸化マグネシウム生成工程により得られた水酸化マグネシウムを水洗する工程である。水洗により、水溶液中に残存したマグネシウムイオンや、アルカリ金属イオン等を除去し、水酸化マグネシウムのみを得ることができる。
なお、上記水酸化マグネシウム生成工程の後に水熱反応を行った場合には、水熱反応後の水酸化マグネシウムを水洗する。
水洗工程には、重圧ろ過機(遠心分離機等)、真空ろ過機(ヌッチェ等)、加圧ろ過機(フィルタープレス等)等の装置を用いることができる。水洗工程の具体例は以下の通りである。上記装置を用いて、ろ液のpHが12以下、及び/又は電気伝導度が1mS/cm以下となり、ほぼ一定となるまで水洗を行う。pH、及び/又は電気伝導度の変化率が5〜6%以内となるまで水洗を繰り返す。
水熱反応後の水酸化マグネシウムが、個数平均一次粒径が30〜300nm、及びアスペクト比が2〜10である板状の水酸化マグネシウム微粒子であることが好ましい。
板状の水酸化マグネシウム微粒子は、実質的に板状の立体形状、好ましくは四角板状を有するものであれば、板状の頂点が丸みを帯びる等多少変形したものでもよい。
板状の水酸化マグネシウム微粒子を分散安定化剤として使用することにより、重合性単量体組成物の液滴との接触面積が大きくなるために、トナー表面の凹凸を小さくすることができるので、帯電特性がより均一なトナーが得られる効果があるものと推察される。
本発明に使用される水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径が30nmより小さいと、後述する重合性単量体組成物の液滴の粒子間距離が小さくなり、液滴の合一が起こり易くなることがあり、その結果、粗大粒子が増加するおそれがある。一方、水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径が300nmより大きいと、分散安定化剤としての効果を十分に得ることができずに、所望する粒径のトナーが得られないおそれがある。
本発明に使用される水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径は、40〜280nmであることがより好ましく、50〜250nmであることが更に好ましい。
個数平均一次粒径は、例えば、以下のように測定できる。まず、個々の粒子について、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)等により粒子の長径を測定し、当該長径をその水酸化マグネシウム微粒子の粒径とする。次に、200個以上の水酸化マグネシウム微粒子の粒径を計測し、その平均値を、その水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径とする。なお、上述したように、本発明に使用される水酸化マグネシウム微粒子には、板形状の各頂点が丸みを帯びているものや、一辺が丸みを帯びているものもあると考えられるが、このような微粒子についても、ほぼ直方体と見立てた上で、粒径を計測する。
水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径は、上述した水熱反応法における水熱温度を上げたり、滞留時間を長くしたりすると、大きくなる傾向がみられる。滞留時間は0.2〜60分間であることが好ましい。滞留時間が0.2分間より短いと、個数平均一次粒径が小さくなりすぎるおそれがあり、一方、滞留時間が60分間より長いと、個数平均一次粒径が大きくなりすぎるおそれがある。
滞留時間は0.5〜30分間であることがより好ましい。
また、水酸化マグネシウム微粒子のアスペクト比が2より小さいと、トナー表面の凹凸が大きくなるので、トナーの帯電特性が不均一になるおそれがある。一方、アスペクト比が10より大きいと、後述する重合性単量体組成物の液滴の粒子間距離が小さくなり、液滴の合一が起こり易くなることがあり、その結果、粗大粒子が増加するおそれがある。アスペクト比は3〜8がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
アスペクト比は、例えば、以下のように測定できる。まず、個々の水酸化マグネシウム微粒子について、TEM等により水酸化マグネシウム微粒子の短径を測定し、当該短径を水酸化マグネシウム微粒子の厚さとする。次に、200個以上の水酸化マグネシウム微粒子の厚さを計測し、その平均値を、その水酸化マグネシウム微粒子の平均厚さとする。個数平均一次粒径を、平均厚さで除した値を、その水酸化マグネシウム微粒子のアスペクト比とする。
水酸化マグネシウム微粒子のアスペクト比は、上述した水熱反応法における水熱温度を上げると小さくなる傾向がみられる。水熱温度は100℃以上であることが好ましい。水熱温度が100℃未満であると、アスペクト比が大きくなりすぎるおそれがある。水熱温度は200〜400℃であることがより好ましい。
本工程において得られる水洗後の水酸化マグネシウムは、水を含んだいわゆるウェットケーキの状態、又は更に水を多く含むスラリーの状態で次の工程に使用してもよいし、当該ウェットケーキをさらに乾燥させ、水分を除去した粉状の状態で次の工程に使用してもよい。なお、後述する水系分散媒体への分散性の観点から、ウェットケーキの状態で次の工程に使用することが好ましい。
1−3.水系分散液調製工程
本工程は、水洗後の上記水酸化マグネシウムを水系分散媒体に分散させて水系分散液を得る工程である。
本発明において、水系分散媒体とは、水を主成分とする媒体のことを指す。なお、本発明に使用する水系分散媒体は、水が主成分であれば他に水に可溶な有機溶媒を含んでいてもよいが、ほぼ水のみからなることが好ましい。本発明に使用できる水系分散媒体としては、例えば、蒸留水等が挙げられる。
本発明においては、水酸化マグネシウムを含有する前記水系分散液の電気伝導度が1mS/cm以下であることが好ましい。電気伝導度が1mS/cmを超える場合には、水酸化マグネシウム以外の他の化合物、特に、原料である水溶性マグネシウム化合物由来のマグネシウムイオンや、アルカリ化合物由来のアルカリ金属イオン等の不純物を含むおそれがある。これら不純物を含む水系分散液は、着色樹脂粒子の製造に供した際、多量の洗浄水を必要とするばかりでなく、更に不純物がトナー表面に残留した場合には、得られるトナーの吸湿性が上がり、トナーの帯電性に悪影響を及ぼすおそれがある。
水酸化マグネシウムを含有する前記水系分散液の電気伝導度は、0.0001〜0.5mS/cmであることがより好ましく、0.0001〜0.2mS/cmであることが更に好ましい。
1−4.懸濁工程
本工程は、少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る工程である。
本発明においては、着色樹脂粒子の製造に当たり、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得ることができる懸濁重合法を採用する。懸濁重合法は、以下のようなプロセスにより行われる。
1−4−1.重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体及び着色剤、さらに必要に応じて添加される離型剤及び帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールにカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、213、237、238、251、254、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本発明では、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。
定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善する観点から、重合性単量体組成物には、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。
上記離型剤は、エステルワックス及び/又は炭化水素系ワックスを含有することが好ましい。これらのワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリストールテトラパルミネート、ペンタエリストールテトラベヘネート、ペンタエリストールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリストールヘキサミリテート、ジペンタエリストールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもグリセリンエステル化合物が好ましく、また、ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネートがより好ましく、ヘキサグリセリンオクタベヘネートが特に好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられる炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
上記離型剤の他にも、例えば、ホホバ等の天然ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;等を用いることができる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
1−4−2.懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含む重合性単量体組成物を、上述した水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(荏原製作所社製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドリキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本発明に使用される前記水酸化マグネシウム微粒子の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましい。
重合性単量体100質量部に対して、本発明に使用される前記水酸化マグネシウム微粒子の添加量が1質量部より少ないと、分散安定化剤としての効果を十分に得ることができずに、所望する粒径のトナーが得られないおそれがある。一方、当該添加量が20質量部より多いと、分散安定化剤としての効果が高すぎ、所望する粒径のトナーが得られないおそれがある。
1−5.着色樹脂粒子製造工程
本工程は、上記懸濁工程により得られた懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程である。
上記懸濁工程のように液滴形成を行った後、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を調製する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50〜100℃であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子は、そのまま外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
上記重合工程を経て、着色樹脂粒子が得られる。以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、重合トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
1−6.その他の工程
1−6−1.洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
上記重合工程により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤として用いる水酸化マグネシウム微粒子の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、水酸化マグネシウム微粒子を水に溶解し除去することが好ましい。本発明においては、分散安定化剤として、難水溶性の水酸化マグネシウムのコロイドを使用するので、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
着色樹脂粒子中の残留マグネシウム量は、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、20ppm以下であることが更に好ましい。残留マグネシウム量が上記範囲を超えると、得られるトナーの印字耐久性(印字環境安定性)が低下することがある。
1−6−2.外添工程
本発明においては、上記重合工程により得られた着色樹脂粒子を、そのままでトナーとすることもできるが、トナーの帯電性、流動性、及び保存性等を調整する観点から、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナーとすることが好ましい。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分トナーとしてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添剤の添加量が6質量部を超える場合にはカブリが発生することがある。
本発明において、外添剤として、個数平均一次粒径が5〜30nmのシリカ微粒子Aを含有していることが好ましい。
シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径が、5nm未満である場合には、着色樹脂粒子の表面から内部に、当該シリカ微粒子が埋没し易くなり、流動性をトナー粒子に十分に付与させることができず、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径が、30nmを超える場合には、トナー粒子の表面に対して、当該シリカ微粒子が占める割合(被覆率)が低下するため、流動性をトナー粒子に十分に付与させることができない場合がある。
シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径は、10〜30nmであることがより好ましく、15〜25nmであることが更に好ましい。シリカ微粒子Aはフュームドシリカであることが好ましく、更に疎水化処理されているとより好ましい。
本発明において、外添剤として、個数平均一次粒径が35〜80nmのシリカ微粒子Bを含有していることが好ましい。
シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径が、35nm未満である場合には、スペーサー効果が低下し、カブリの発生など印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径が、80nmを超える場合には、トナー粒子の表面から、当該シリカ微粒子が遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径は、40〜80nmであることがより好ましく、更に疎水化処理されているとより好ましい。
シリカ微粒子Aの含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1質量部であることが更に好ましい。
シリカ微粒子Bの含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.2〜3質量部であることが好ましく、0.3〜2質量部であることがより好ましく、0.5〜1.5質量部であることが更に好ましい。
シリカ微粒子Aの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、流動性が低下したり、保存性や耐久性が低下したりする場合がある。一方、シリカ微粒子Aの含有量が2質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該シリカ微粒子が遊離し易くなり、高温高湿環境下での帯電性が低下してカブリが発生する場合がある。
シリカ微粒子Bの含有量が0.2質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Bの含有量が3質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該シリカ微粒子が遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において、より好ましく用いられる疎水化処理されているシリカ微粒子A及びシリカ微粒子Bの疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸及び脂肪酸金属塩等の疎水化処理剤を用いることができる。疎水化処理剤としては、高画質が得られるという観点から、シランカップリング剤、及びシリコーンオイルがより好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のジシラザン;環状シラザン;トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等のアルキルシラン化合物、並びにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物;等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
疎水化処理剤は、上記のうち、1種のみを用いてもよく、又は2種以上用いてもよい。
また、正帯電性トナーを得る場合、良好な正帯電性を持つトナーが得られ易いことから、アミノシラン化合物やアミノ変性シリコーンオイル等のアミノ基を含有するケイ素化合物を用いることがさらに好ましく、アミノ変性シリコーンオイルを用いることが特に好ましい。この場合、高い正帯電性と疎水性を付与するためには、疎水化処理剤として、アミノ基を含有するケイ素化合物と、アミノ基を含有しないケイ素化合物とを併用することが特に好ましい。
2.本発明の製造方法により得られる静電荷像現像用トナー
上記製造方法によれば、水酸化マグネシウムを生成させた後、残留する過剰なマグネシウム塩やアルカリ金属塩を水洗により予め除去するため、上記製造方法により得られる静電荷像現像用トナーは、印字環境安定性に優れたものとなる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.水酸化マグネシウム微粒子の製造
[製造例1]
イオン交換水100部に硝酸マグネシウム六水和物6.7部を溶解させた硝酸マグネシウム水溶液と、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム2.1部を溶解させた水酸化ナトリウム水溶液とを混合して反応させ、水酸化マグネシウム含有水溶液を調製した[{[OH]/(2・[Mg2+])}=1.0、pH=12.5]。調製した水酸化マグネシウム含有水溶液を用いて、連続式水熱反応装置により温度250℃、圧力28MPa、滞留時間0.5minにて水熱反応を行い、その後、ろ過、水洗、脱水して、再度イオン交換水により固形分濃度を調整して、固形分濃度45%の水酸化マグネシウム微粒子1のウェットケーキを得た。このウェットケーキを乾燥させて、後述する粒径測定及び形状観察を行ったところ、水酸化マグネシウム微粒子1は、個数平均一次粒径が73nmであり、アスペクト比が5.8である板状の微粒子であった。
[製造例2]
イオン交換水100部に硝酸マグネシウム六水和物13.8部を溶解させた硝酸マグネシウム水溶液と、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.3部を溶解させた水酸化ナトリウム水溶液とを混合して反応させ、水酸化マグネシウム含有水溶液を調製した[{[OH]/(2・[Mg2+])}=1.0、pH=12.2]。調製した水酸化マグネシウム含有水溶液を用いて、連続式水熱反応装置により温度300℃、圧力28MPa、滞留時間0.9minにて水熱反応を行い、その後、ろ過、水洗、脱水して、再度イオン交換水により固形分濃度を調整して、固形分濃度45%の水酸化マグネシウム微粒子2のウェットケーキを得た。このウェットケーキを乾燥させて、後述する粒径測定及び形状観察を行ったところ、水酸化マグネシウム微粒子2は、個数平均一次粒径が201nmであり、アスペクト比が5.3である板状の微粒子であった。
[製造例3]
イオン交換水50部に塩化マグネシウム六水和物12.2部を溶解させた塩化マグネシウム水溶液と、イオン交換水100部に水酸化ナトリウム9.6部を溶解させた水酸化ナトリウム水溶液とを混合して反応させ、水酸化マグネシウム含有水溶液を調製した[{[OH]/(2・[Mg2+])}=2.0、pH=13.2]。また、その調製時に、水酸化マグネシウム含有水溶液には、水酸化マグネシウム理論生成量に対して20質量%のオレイン酸ナトリウムを添加した。調製した水酸化マグネシウム含有水溶液を用いて、連続式水熱反応装置により、温度250℃、圧力28MPa、滞留時間1.3minにて水熱反応を行い、その後、ろ過、水洗、脱水して、再度イオン交換水により固形分濃度を調整して、固形分濃度45%の水酸化マグネシウム微粒子3のウェットケーキを得た。このウェットケーキを乾燥させて、後述する粒径測定及び形状観察を行ったところ、水酸化マグネシウム微粒子3は、個数平均一次粒径が100nmであり、アスペクト比が5.5である板状の微粒子であった。
2.水酸化マグネシウム微粒子の評価
水酸化マグネシウム微粒子1〜3、及び、市販の粉体状の水酸化マグネシウム微粒子(協和化学社製、商品名:キスマ5Q)について形状観察を行い、且つ、個数平均一次粒径、及びアスペクト比を測定した。また、水酸化マグネシウム微粒子1〜3について、元素分析を行った。
上記各水酸化マグネシウム微粒子について、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−7600)を用いて、加速電圧100kVにて、倍率20万倍でTEM観察を行い、粒子の形状を確認し、個数平均一次粒径、及びアスペクト比を算出した。
まず、ほぼ直方体とみたてた個々の粒子形状について、粒子の長径、短径をそれぞれ測定し、粒子の長径をその水酸化マグネシウム微粒子の粒径とし、粒子の短径をその水酸化マグネシウム微粒子の厚さとした。200個以上の水酸化マグネシウム微粒子の粒径を計測し、その平均値を、その水酸化マグネシウム微粒子の個数平均一次粒径とした。また、200個以上の水酸化マグネシウム微粒子の厚さを計測し、その平均値を、その水酸化マグネシウム微粒子の平均厚さとした。さらに、個数平均一次粒径を、平均厚さで除した値を、その水酸化マグネシウム微粒子のアスペクト比とした。
得られた水酸化マグネシウム微粒子1〜3の個数平均一次粒径、アスペクト比、及び形状を、後述する表1に示す。
Na、Cl、Sについての元素分析は、蛍光X線測定装置(リガク社製、ZSX−100e型)により、Cについての元素分析は、炭素分析装置(堀場製作所製、EMIA−221V型)により、それぞれ行った。得られた水酸化マグネシウム微粒子1〜3の元素分析結果を、後述する表1に示す。
3.着色樹脂粒子、及びトナーの製造
[実施例1]
モノビニル単量体としてスチレン83部及びn−ブチルアクリレート17部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.25部、架橋性単量体としてジビニルベンゼン0.35部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン2.0部、銅フタロシアニン顔料6部、帯電制御樹脂(スルホン酸塩基含有スチレンアクリル系樹脂)1.5部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行い、重合性単量体組成物を調製した。
他方、上記製造例1で製造した水酸化マグネシム微粒子1のウェットケーキ(固形分量45%)22.2部(固形分換算コロイド量10部)を、イオン交換水250部に攪拌しながら徐々に添加して、水酸化マグネシウム微粒子1の水分散液を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、重合性単量体組成物を投入し、攪拌しながら、t−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)6部を添加した。その後、得られた重合性単量体組成物を含む水酸化マグネシウムコロイド分散液を、インライン分散機(荏原製作所社製、商品名「エバラマイルダーMDN303V」)により、回転数15,000rpmで分散させ、重合性単量体組成物の液滴を形成させた。なお、上記インライン分散機と元の撹拌槽内との間で、重合性単量体組成物を含む水酸化マグネシウムコロイド分散液を循環させた。
上記重合性単量体組成物の液滴が分散した水酸化マグネシウムコロイド分散液に、四ホウ酸ナトリウム十水和物1部を添加した後、攪拌翼を装着した反応器に入れ、95℃まで昇温して温度が一定となるように制御し、重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、メチルメタクリレート2部を上記反応器に添加し、さらに、水溶性重合開始剤として水65部に溶解した2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名「VA−086」)0.3部を添加し、95℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記着色樹脂粒子の水分散液を、攪拌しながら、硫酸により水分散液のpHを5.5とし、25℃、10分間攪拌を継続する、酸洗浄を行った。その後、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えてリスラリー化して、10分間攪拌を行う、水洗浄を行った。水洗浄後、着色重合体粒子を濾過分離して、湿潤した着色樹脂粒子を得た。湿潤した着色樹脂粒子を真空乾燥機の容器内に入れ、圧力30torr、温度50℃で48時間真空乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
これらの操作を5回行い、バッチ毎の体積平均粒径を測定し、標準偏差を算出した。この結果を後述する表1に示す。
上記で得られた着色樹脂粒子100部に対し、疎水化処理された個数平均一次粒径20nmのシリカ微粒子を0.8部、疎水化処理された個数平均一次粒径50nmのシリカ微粒子を1部添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、10分間、周速40m/sで混合攪拌して外添処理を行い、実施例1の静電荷像現像用トナーを作製した。
[実施例2]
実施例1において、製造例1で製造した水酸化マグネシウム微粒子1のウェットケーキ22.2部(固形分換算コロイド量10部)を、製造例2で製造した水酸化マグネシウム微粒子2のウェットケーキ11.1部(固形分換算コロイド量5部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の静電荷像現像用トナーを作製した。
[実施例3]
実施例1において、製造例1で製造した水酸化マグネシウム微粒子1のウェットケーキ22.2部(固形分換算コロイド量10部)を、製造例3で製造した水酸化マグネシウム微粒子3のウェットケーキ11.1部(固形分換算コロイド量5部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の静電荷像現像用トナーを作製した。
[比較例1]
実施例1において、製造例1で製造した水酸化マグネシウム微粒子1のウェットケーキ22.2部(固形分換算コロイド量10部)を、市販の粉体状の水酸化マグネシウム微粒子(協和化学社製、商品名:キスマ5Q、個数平均一次粒径:0.84μm)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の静電荷像現像用トナーを作製した。
[比較例2]
実施例1において、製造例1で製造した水酸化マグネシウム微粒子1のウェットケーキを用いず、水酸化マグネシウムコロイド分散液を下記の通りに調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の静電荷像現像用トナーを作製した。
イオン交換水100部に塩化マグネシウム六水和物49.9部を溶解した水溶液を調製した。得られた水溶液に、イオン交換水80部に水酸化ナトリウム13.7部を溶解した水酸化ナトリウム水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド粒子分散液を調製した[{[OH]/(2・[Mg2+])}=0.7、pH=11.0]。
4.着色樹脂粒子及び静電荷像現像用トナーの評価
上記実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例2の静電荷像現像用トナー、及び当該トナーの製造に用いた各着色樹脂粒子について物性を調べた。詳細は以下の通りである。
4−1.着色樹脂粒子の体積平均粒径の測定
着色樹脂粒子の体積平均粒径は、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、サンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウェル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、トナーを湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。上述したように、バッチ毎の着色樹脂粒子について体積平均粒径を測定し、標準偏差を算出した。
4−2.着色樹脂粒子中の残留マグネシウム量の定量
着色樹脂粒子に含まれる残留マグネシウム量は、以下の手順で測定した。
耐熱性の容器に試料(トナー約0.2g)を秤量し、その試料の有機物が炭素化するまで濃硫酸を加えた後、硝酸を加えて炭素化した有機物を二酸化炭素として取り除く湿式分解を行った。湿式分解した試料を10mLメスフラスコに移し、イオン交換水で共洗いをしながら、メスフラスコを定容の10mLとして、測定用の検液を調整した。調整した検液をICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光法)装置(セイコーインスツル社製、商品面「SPS−5100」)を用いて、金属原子の含有量の測定を行い、事前に作成した検量線から着色重合体粒子に含有される残留マグネシウム量を算出した。
4−3.静電荷像現像用トナーの印字耐久性試験
市販の非磁性一成分現像方式プリンターを用いて、印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れた。温度32℃、湿度90%RHの環境下で24時間放置した後、同環境にて、5%印字濃度で10,000枚まで連続印字を行った。かぶりが目視で確認できる枚数を比較した。
なお、表中に「10000<」とあるのは、10,000枚印字時点でもかぶりが確認されなかったことを示している。
実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例2の静電荷像現像用トナーの測定及び試験結果を、対応する水酸化マグネシウム微粒子、及びコロイド分散液の物性等と併せて表1に示す。
Figure 2013007770
5.トナー評価のまとめ
以下、表1を参照しながら、静電荷像現像用トナーの評価結果について検討する。
まず、比較例1のトナーについて検討する。表1より、比較例1のトナーは、個数平均一次粒径が840nm、粒子形状が不定形である市販の水酸化マグネシウム微粒子を含むコロイド分散液を用いて製造したトナーである。
表1より、比較例1のトナーは、着色樹脂粒子のバッチごとの平均粒径のバラつきが大きく、平均粒径Dvの標準偏差σは8.75であった。したがって、市販の水酸化マグネシウム微粒子を含むコロイド分散液を用いて製造したトナーは、安定的な生産が不可能であることが分かる。なお、比較例1においては、印字耐久試験は行わなかった。
次に、比較例2のトナーについて検討する。表1より、比較例2のトナーは、水酸化マグネシウムのコロイド分散液を系中で調製して製造したトナーである。当該コロイド分散液の電気伝導度は47mS/cmである。
表1より、比較例2のトナーは、着色樹脂粒子のバッチごとの平均粒径がややバラつき、平均粒径Dvの標準偏差σは0.19である。また、比較例2のトナーは、印字耐久試験の高温高湿環境下におけるカブリ発生枚数が8,000枚に留まる。
したがって、コロイド分散液を系中で調製しそのまま使用に供して製造した比較例2のトナーは、高温高湿環境下における印字耐久性に劣ることが分かる。
一方、表1より、実施例1〜3のトナーは、個数平均一次粒径が73〜201nm、アスペクト比が5.3〜5.8、且つ、粒子形状がいずれも板状の水酸化マグネシウム微粒子1〜3をそれぞれ含むコロイド分散液を用いて製造したトナーである。
表1より、実施例1〜3のトナーは、着色樹脂粒子のバッチごとの平均粒径のバラつきがほぼ無く、平均粒径Dvの標準偏差σは0.07〜0.11である。また、実施例1〜3のトナーは、印字耐久試験の高温高湿環境下におけるカブリ発生枚数が10,000枚を超える。
したがって、水洗し、不純物を除いた水酸化マグネシウム微粒子を用いて製造した実施例1〜3のトナーは、粒径のバラつきがなく、安定的に生産できると共に、特に高温高湿環境下における印字環境安定性に優れることが分かる。

Claims (4)

  1. 少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    水溶性マグネシウム化合物の水溶液と、アルカリ化合物の水溶液とを反応させて水酸化マグネシウムを生成させる工程、
    前記水酸化マグネシウムを水洗する工程、及び、
    水洗後の前記水酸化マグネシウムを水系分散媒体に分散させて前記水系分散液を得る工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記水酸化マグネシウム生成工程により得られた水酸化マグネシウムについて水熱反応を行う工程をさらに有し、
    前記水洗工程において、前記水熱反応後の水酸化マグネシウムを水洗することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 水酸化マグネシウムを含有する前記水系分散液の電気伝導度が1mS/cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記水熱反応後の水酸化マグネシウムが、個数平均一次粒径が30〜300nm、及びアスペクト比が2〜10である板状の水酸化マグネシウム微粒子であることを特徴とする請求項2又は3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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