JP2013007251A - 塔状構造物、及び塔状構造物の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基盤上に立てられた鉄筋コンクリート製の塔状構造体の上下方向にプレストレスを導入し、塔状構造体の引張応力発生部にコンクリートのひび割れが生じるのを防ぐ。また、この塔状構造体の周方向にプレストレスを導入してコンファインド効果を発揮させることにより、塔状構造体の圧縮耐力、曲げ耐力、変形性能を向上させることができる。そして、これらのプレストレス導入効果により、曲げ破壊が起きにくいコンクリート製の塔状構造物を構築することができる。
【選択図】図1
Description
例えば、図29に示すように、特許文献2のコンクリート製風車支持タワー304は、複数個のコンクリート製筒型セグメント306を上下に積み重ねて構築されている。そして、各コンクリート製筒型セグメント306には、ポストテンション方式によるプレストレスが鉛直方向に導入されている。
一般に、塔状構造物に作用する曲げモーメントの大きさは、塔状構造物の高さが高いほど大きくなるので、このような曲げ破壊の現象は、高い塔状構造物の場合に特に懸念される。
なお、コンクリート製風車支持タワー304が、鉄筋コンクリート製以外のコンクリート製である場合においても上記同様の問題が生ずる。
そして、これらのプレストレス導入手段の効果により、曲げ破壊が起きにくいコンクリート製の塔状構造物を構築することができる。
よって、緊張材同士は接触しないので、緊張材に確実に緊張力を加えることができる。
そして、塔状構造体の軸を中心とした同心円層又は同心多角形層の異なる層に、上下方向緊張材と周方向緊張材とが配置されている。
また、塔状構造体の上下方向と周方向とに導入するプレストレスを個々に調整できる。すなわち、塔状構造体の上下方向と周方向とに最適な大きさのプレストレスを導入することができる。
よって、塔状構造体の軸を中心とした同心円層又は同心多角形層の1つの層で螺旋方向緊張材同士を接触させずに、塔状構造体の上下方向及び周方向にプレストレスを導入することができる。
また、対をなす螺旋方向緊張材同士は互いに反対方向に旋回しているので、プレストレスの導入により塔状構造体に生じる捩れを、防止することができる。
よって、プレキャストコンクリートユニットの組立て(積み上げ)によって塔状構造体を形成することができるので、施工性を向上させることができる。
また、塔状構造体に導入される上下方向のプレストレスを利用して、プレキャストコンクリートユニット同士を圧着接合することができる。
よって、プレキャストコンクリート部材の組立て(配置)によってプレキャストコンクリートユニットを形成することができるので、施工性を向上させることができる。
また、塔状構造体に導入される周方向のプレストレスを利用して、プレキャストコンクリート部材同士を圧着接合することができる。
よって、複数配置されるプレキャストコンクリート部材を同一形状にすることによりプレキャストコンクリート部材の大量生産が可能となるので、低コスト化を図ることができる。
また、プレキャストコンクリート部材の製作寸法や配置位置の誤差を、現場打ちコンクリートによって吸収することができるので、プレキャストコンクリート部材の製作や配置に高い精度を必要としない。
風力発電施設は、多くの発電量を得るために、沿岸部、洋上、山岳部等の風の強い地域に設置されることが多い。よって、一般に、風力発電施設のナセル(ブレード)を最上部に設ける風力発電用タワーには大きな風荷重が作用する。
これに伴って、風力発電用タワーに作用する曲げモーメントも大きくなるが、塔状構造体には曲げ破壊が起きにくいので、塔状構造体を風力発電用タワーとして用いることができる。
第1構造体形成工程では、プレキャストコンクリートユニットを複数積み上げた状態でプレストレスを導入し、積み上げた複数のプレキャストコンクリートユニットを一体にして第1構造体を形成する。
接合工程では、第1構造体と第2構造体とをプレストレスにより接合する。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
塔状構造体12の上下方向及び周方向には、プレストレス導入手段(不図示)によってプレストレスが導入されている。
図1のA−A矢視図である図2の平面図に示すように、プレキャストコンクリートユニット20、22は、一定の壁厚を有し平断面が正八角形状の筒体であり、プレキャストコンクリートユニット20、22を周方向に分割した複数の鉄筋コンクリート製のプレキャストコンクリート部材28によって形成されている。図2では、プレキャストコンクリートユニット22を周方向に4つに分割したプレキャストコンクリート部材28が示されている。
貫通孔30は、1つのシース管34によって形成され、貫通孔32は、プレキャストコンクリート部材28を図2のように正八角形状に配置したときに繋がる2つのシース管36によって形成される。
貫通孔30、32の端部には、支圧板38及び定着具40が設けられるスペースとなる切欠き部42が形成されている。また、貫通孔30、32は、図3の斜視図に示すように、上下に複数形成されている。
次に、貫通孔30、32に、周方向緊張材としてのPC鋼より線44を挿入する。すなわち、プレキャストコンクリートユニット20、22(塔状構造体12)の周方向に周方向緊張材44を配置する。
このようにして、PC鋼より線44により塔状構造体12の周方向にプレストレスを導入し、さらに、貫通孔36に挿入されたPC鋼より線44により、プレキャストコンクリート部材28同士が圧着接合されて、一体化したプレキャストコンクリートユニット20、22を形成する。
これにより、積み上げられたプレキャストコンクリートユニット20、22を一体化する前のプレキャストコンクリートユニット20、22を積み上げただけの状態においても、プレキャストコンクリートユニット20、22が脱落することを防ぐことができる。なお、凸部46をプレキャストコンクリートユニット20、22の下端部に形成し、凹部48をプレキャストコンクリートユニット20、22の上端部に形成してもよい。また、凸部及び凹部は連続して形成する必要はなく、コッター形状のものをプレキャストコンクリートユニット20、22の上端部又は下端部に配置してもよい。また、プレキャストコンクリートユニット20、22の上端部及び下端部に凹部を形成し、これらの凹部にグラウト材を充填してコッターを形成してもよい。また、プレキャストコンクリートユニット20とプレキャストコンクリートユニット22との接合面のせん断力伝達が可能であれば、このような凸部や凹部を形成しなくてもよい。
図4Aでは、ブラケット52は、プレキャストコンクリートユニット20A、22B、20C、22Dに設けられている。
なお、図2に示されたPC鋼より線54は、図4Aの配置になっており、図2に示されたPC鋼より線58は、図4Bの配置になっている。
次に、図6Bの斜視図に示すように、現場の仮組みヤード等において、クレーン等を用いてプレキャストコンクリート部材28を正八角形状に配置する。
あとは、必要な高さになるまで図7E、図7Fの作業を繰り返し行って、塔状構造物10を構築する。
そして、これらのプレストレス導入手段の効果により、曲げ破壊が起きにくいコンクリート製の塔状構造物10を構築することができる。
また、塔状構造体12に導入される上下方向のプレストレスを利用して、プレキャストコンクリートユニット20、22同士を圧着接合することができる。
また、塔状構造体12(プレキャストコンクリートユニット20、22)に導入される周方向のプレストレスを利用して、プレキャストコンクリート部材28同士を圧着接合することができる。
さらに、塔状構造体12にPC鋼棒82を定着した後に、シース管86内にグラウトを充填し硬化させる。
この場合、各プレキャストコンクリート部材28にPC鋼棒82の端部を定着する毎に、シース管86内にグラウトWを充填し硬化させる。
プレストレス導入手段は、後に説明する緊張材としての螺旋方向緊張材(PC鋼より線132、134)を有している。この螺旋方向緊張材(PC鋼より線132、134)に緊張力が加えられることにより、塔状構造体100の上下方向及び周方向にプレストレスが導入される。すなわち、PC鋼より線132、134に加えられた斜め方向の緊張力の鉛直成分が、塔状構造体100の上下方向に導入されるプレストレスとなり、PC鋼より線132、134に加えられた斜め方向の緊張力の水平成分が、塔状構造体100の周方向に導入されるプレストレスとなる。
図16の斜視図に示すように、プレキャストコンクリートユニット104は、一定の壁厚を有する円筒状の構造体であり、鉄筋コンクリートによって形成されている。
突起部112の内部には、突起部112の軸方向に沿ってシース管114が配置されており、このシース管114により貫通孔116が形成されている。
そして、全てのプレキャストコンクリートユニット104の積み上げが完了したときに、各プレキャストコンクリートユニット104に形成された貫通孔110、116が連通し、図17で示したように、挿入孔118、120がそれぞれ形成される。
また、PC鋼より線132、134は、互いに反対方向に旋回するように配置される(図17において、PC鋼より線132は、矢印122の方向に旋回し、PC鋼より線134は、矢印124の方向に旋回する)。
このようにして、図18A〜図18C、及び図19D、図19Eで示した塔状構造物98の構築方法では、プレキャストコンクリートユニット104の組み立て(積み上げ)作業によって合理的に塔状構造物98を構築することができるので、施工コストを低く抑えることができ、工期を短くすることができる。
そして、これらのプレストレスの導入効果により、曲げ破壊が起きにくいコンクリート製の塔状構造物を構築することができる。
また、塔状構造体100に導入される上下方向のプレストレスを利用して、複数のプレキャストコンクリートユニット104同士を圧着接合することができる。
また、プレキャストコンクリートユニット104を複数のプレキャストコンクリート部材(不図示)によって構成し、このプレキャストコンクリート部材同士を圧着接合するようにしてもよい。
緊張材同士の接触をさける工夫としては、例えば、図25に示すように、複数の螺旋方向緊張材の交点にあたる部分に、X形状の連結部材182を設け、連結部材182の端部に形成された雌ネジに、螺旋方向緊張材180の端部に形成された雄ネジをねじ込むようにしてもよい。
また、図26に示すように、立体交差状に螺旋方向緊張材190、192を配置し、螺旋方向緊張材190、192が設けられている突起部186、184が重なり合う交差部188の厚みを厚くしてもよい。
また、例えば、異なる同心円層にそれぞれ多数の螺旋緊張材を配置して、螺旋緊張材が正面視にてメッシュ状に配置されるようにしてもよい。
例えば、螺旋方向緊張材204、206の横断面の直径をdとしたときに、溝200の深さを0.5×dとし、溝202の深さを1.5×dとすれば、螺旋方向緊張材204と螺旋方向緊張材206との干渉を回避させることができる。
そして、プレキャストコンクリートユニット104同士を接合するときに、収容孔154から機械式継ぎ手150を引き出し、シース管158により形成された挿入孔160に挿入して、機械式継ぎ手150を介して鉄筋148同士を接続する。
また、図22Bの立面図に示すように、塔状構造体164を構成するブロックを、上方は塔状構造体164を上下に分割したブロック164Aとし、下方は塔状構造体164を上下及び周方向に分割したブロック164Bとしてもよい。
また、図22Cの立面図に示すように、塔状構造体166を構成するブロックを、下方は塔状構造体166を上下に分割したブロック166Bとし、上方は塔状構造体162を上下及び周方向に分割したブロック166Aとしてもよい。
このようにすれば、同一形状の標準部材170の大量生産が可能となるので、低コスト化を図ることができる。
このようにすれば、標準部材170の製作寸法や配置位置の誤差を、現場打ちコンクリートによって吸収することができるので、標準部材170の製作や配置に、高い精度を必要としない。
また、プレキャストコンクリートユニット20、22、104やプレキャストコンクリート部材28は、工場で製作してもよいし、現場ヤードで製作してもよい。
また、塔状構造体の風下側に発生するカルマン渦に起因して生じる渦励振が問題とならない場合には、これらの突起部は設けなくてもよい。
これに対する対策としては、塔状構造体の水平断面を大きくすることにより塔状構造体に発生する応力を小さくし、これによって設計応力度を小さくすることが考えられる。
しかし、高強度コンクリート材料は、材料コストが高く、普通コンクリートに比べてワーカビリティも低いので施工性が悪くなってしまう。
これにより、プレキャストコンクリートブロックの輸送や揚重作業が容易になり、小さな揚重設備においても施工が可能となる。
よって、流動性の高く、高強度コンクリートと比べて安価なコンクリートを用いることが可能となるので、ワーカビリティ向上や低コスト化を図ることができる。
風力発電施設は、多くの発電量を得るために、沿岸部、洋上、山岳部等の風の強い地域に設置されることが多い。よって、一般に、風力発電施設のナセル(ブレード)を最上部に設ける風力発電用タワーには大きな風荷重が作用する。
これに伴って、風力発電用タワーに発生する曲げモーメントも大きくなるが、本発明の塔状構造体には曲げ破壊が起きにくいので、塔状構造体を風力発電用タワーとして有効に用いることができる。
12、100、162、164、166、168 塔状構造体
14 地盤(基盤)
20、22、104 プレキャストコンクリートユニット
28 プレキャストコンクリート部材
44、72 PC鋼より線(周方向緊張材、緊張材)
54、58、74、76、78、80、82 PC鋼より線(上下方向緊張材、緊張材)
60 第1構造体
62 第2構造体
68A、68B、68C 同心多角形層
70、94、106 軸
92 構造体(塔状構造体)
96A、96B、96C 同心円層
132、134、138、140 PC鋼より線(螺旋方向緊張材、緊張材)
170 標準部材(プレキャストコンクリート部材)
172 調整部材
180、190、192、204、206 螺旋方向緊張材(緊張材)
Claims (11)
- 基盤上に立てられたコンクリート製の塔状構造体と、
前記塔状構造体の外壁面上に該塔状構造体の軸を中心にして螺旋状に配置され、緊張力が加えられて前記塔状構造体の上下方向及び周方向にプレストレスを導入する第1螺旋方向緊張材と、
を有する塔状構造物。 - 前記塔状構造体の軸を中心とした同心円層又は同心多角形層における、前記第1螺旋方向緊張材が配置される層と異なる層に該第1螺旋方向緊張材と対をなして配置され、該第1螺旋方向緊張材と反対方向に旋回している第2螺旋方向緊張材を有する請求項1に記載の塔状構造物。
- 前記第2螺旋方向緊張材は、前記第1螺旋方向緊張材と接触しないように配置されている請求項1又は2に記載の塔状構造物。
- 前記塔状構造体は、鉄筋コンクリート製である請求項1〜3の何れか1項に記載の塔状構造物。
- 前記塔状構造体は、繊維補強コンクリート製である請求項1〜3の何れか1項に記載の塔状構造物。
- 前記塔状構造体は、複数のプレキャストコンクリートユニットを積み上げて形成されている請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の塔状構造物。
- 前記プレキャストコンクリートユニットは、該プレキャストコンクリートユニットを周方向に分割した複数のプレキャストコンクリート部材によって形成されている請求項6に記載の塔状構造物。
- 同一形状に形成され複数配置された前記プレキャストコンクリート部材の間に調整部材が配置されている請求項7に記載の塔状構造物。
- 同一形状に形成され複数配置された前記プレキャストコンクリート部材の間に現場打ちコンクリートが打設されている請求項7に記載の塔状構造物。
- 前記塔状構造体は、風力発電用タワーである請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の塔状構造物。
- 請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の塔状構造物を構築する塔状構造物の構築方法において、
前記プレキャストコンクリートユニットを複数積み上げた状態でプレストレスを導入し、該積み上げた複数のプレキャストコンクリートユニットを一体にして第1構造体を形成する第1構造体形成工程と、
前記第1構造体の上に、次の前記プレキャストコンクリートユニットを複数積み上げた状態でプレストレスを導入し、該積み上げた複数のプレキャストコンクリートユニットを一体にして第2構造体を形成する第2構造体形成工程と、
前記第1構造体と前記第2構造体とをプレストレスにより接合する接合工程と、
を有する塔状構造物の構築方法。
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