JP2013006799A - 水溶性エラスチンペプチドの製造方法 - Google Patents

水溶性エラスチンペプチドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡素な工程で安全性の高い水溶性エラスチンペプチドの製造方法を提供する。
【解決手段】エラスチン含有物をアルカリ性プロテアーゼを用いて夾雑物を除去、洗浄した後、さらにアルカリ性プロテアーゼを用いて前記エラスチン含有物中のエラスチンを水溶性エラスチンペプチドに分解する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エラスチン由来の水溶性エラスチンペプチドを製造する方法に関するものである。
従来より、マグロ等の動脈球を酵素処理してペプチドを製造することが行われている。例えば、特許文献1には、エラスチンを含有する肉を細断してアルカリ分解したのち、濾過により不溶物を回収し、この不溶物にサーモリシンとパパインを添加してエラスチンを分解することが記載されている。特許文献2には、魚類の動脈球を原料として、血液、脂質、可溶性タンパク質およびコラーゲンを除去後、可溶化処理を行うことにより、エラスチン高含有可溶性ペプチドを得ることが記載されている。特許文献3には、洗浄後の魚類の動脈球の細片を、そのまま、蛋白質分解酵素により可溶化処理することが記載されている。
特開2010−239919号公報 特開2007−151453号公報 特開2010−241708号公報
しかし、上記のいずれの方法においても、酵素処理の前の洗浄工程で水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を用いているために、洗浄工程に危険を伴うものであった。また、最終製品を得るまでにアルカリを除去するための洗浄工程や中和工程が必要となり、工程が複雑化するという問題があった。さらに、洗浄不足や中和不足により最終製品にアルカリ性物質が残留する可能性もあり、安全性が低いという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡素な工程で安全性の高い水溶性エラスチンペプチドの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る水溶性エラスチンペプチドの製造方法は、エラスチン含有物をアルカリ性プロテアーゼを用いて夾雑物を除去、洗浄した後、さらにアルカリ性プロテアーゼを用いて前記エラスチン含有物中のエラスチンを水溶性エラスチンペプチドに分解することを特徴とするものである。
前記エラスチン含有物は魚類の動脈球であることが好ましい。
エラスチン含有物をアルカリ性プロテアーゼを用いて洗浄することにより、アルカリ性水溶液や有機溶媒を使用せずに洗浄することができ、安全性を高めることができるものである。また、アルカリ性水溶液や有機溶剤を使用しないために、これらを中和、或いは除去するための洗浄が不要となって簡素な工程にすることができるものである。
実施例の工程を示すフローチャートである。 比較例の工程を示すフローチャートである。 実施例の分子量分布を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明はエラスチン含有物中のエラスチンを水溶性エラスチンペプチドにまで分解するものである。この場合、エラスチン含有物中のエラスチンの全部をペプチドにまで分解しても良いし、エラスチン含有物中のエラスチンの一部をペプチドにまで分解し、残部をアミノ酸にまで分解しても良い。エラスチン含有物としてはエラスチンを含有しているものであれば何でも良いが、エラスチンを豊富に含む魚類の部位を用いることが好ましい。魚類の部位を用いると、哺乳動物の生体組織のようにウイルスや細菌類に感染する機会を少なくすることができる。エラスチンを豊富に含む魚類の部位として動脈球を例示することができ、これにより、デスモシンやイソデスモシンなどのエラスチンに含まれる特異的なアミノ酸を得やすくなるものである。また、魚類の中でも、動脈球に弾性線維を豊富に含むサバ科サバ亜科マグロ族マグロ属の魚類を用いるのが好ましい。具体的には、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ、コシナガ、タイセイヨウマグロなどの動脈球を用いることができる。
本発明は、洗浄工程と可溶化工程と固液分離工程とを備えるものである。また、必要に応じて、固液分離工程の後に乾燥工程を行っても良い。
[洗浄工程]
洗浄工程は、エラスチン含有物に付着・残存している血液や脂質及びコラーゲンなどの夾雑物を除去する工程である。本発明では、この洗浄工程において、水洗後に、アルカリ性プロテアーゼ(エンドペプチターゼ)を用いて洗浄するものであり、これにより、熱水のみの洗浄に比べて、最終製品の水溶性エラスチンペプチドの無臭化を向上させることができる。また、アルカリ性プロテアーゼを用いた場合は、アルカリ性の薬品や有機溶剤を使用して洗浄する場合に比べて、製造設備の腐食や作業員への安全性の問題も少なく、さらに酸による中和作業や脱塩作業、大掛かりな限外濾過装置も必要がなく、加えて、アルカリ性の薬品や有機溶剤を水洗する際の洗浄不足によって、最終製品の水溶性エラスチンペプチドにおける異臭の発生や味覚の低下などの問題を懸念することもなくなるものである。また、アルカリ性プロテアーゼを用いた場合は、酸性プロテアーゼや中性プロテアーゼを使用する場合に比べて、夾雑物の除去率が低下しにくく、エラスチン本体の分解も殆ど起こらないようにすることができる。
アルカリ性プロテアーゼとしては、酵素の至適pHが6以上であるものが好ましく、例えば、糸状菌(Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus saitoi、Aspergillus sojae、Monascus pilosus、Mucor circinelloides、Mucor javanicus、Mucor miehei、 Mucor rouxii、Penicillium citrinum、Rhizomucor miehei、Rhizopus chinensis、 Rhizopus delemar 、Rhizopus niveus)、担子菌(Pycnopporrus coccineus)、放射菌(Streptomyces)、細菌(Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus coaglans、j4、Bacillus lentus 、Bacilluslicheniformis、Bacillus polymixa 、Bacillus stearothermophilus 、Bacillussubtilis 、Bacillus thermoproteolyticus 、Pseudomonas paucimobilis)もしくは酵母(Saccharomyces)等の培養液より得られたものなどを用いることができる。また、洗浄は、エラスチン含有物を水に浸漬させた後、アルカリ性プロテアーゼを添加することによって行うことができる。この場合、エラスチン含有物100重量部に対して、水を200〜800重量部、アルカリ性プロテアーゼを0.1〜0.5重量部の配合割合にするのが好ましい。この範囲であると、エラスチン含有物に対して水やアルカリ性プロテアーゼが多すぎたり少なすぎたりすることがなく、洗浄を十分に行えると共にアルカリ性プロテアーゼが無駄に消費されにくくすることができる。また、洗浄の際のアルカリ性プロテアーゼ水溶液はpHが6.0〜7.5とするのが好ましい。この範囲であるとアルカリ性プロテアーゼの活性が損なわれにくく、洗浄を十分に行うことができる。また、洗浄の際のアルカリ性プロテアーゼ水溶液の温度は50〜70℃であることが好ましい。この範囲であるとアルカリ性プロテアーゼの活性が損なわれにくく、洗浄を十分に行うことができる。また、エラスチン含有物の洗浄時間(浸漬時間)は5〜10分間とするのが好ましい。この範囲であるとアルカリ性プロテアーゼをエラスチン含有物に十分に作用させることができ、洗浄を十分に行うことができると共に洗浄工程の長時間化を防止することができる。
洗浄工程は、アルカリ性プロテアーゼの酵素失活を行った後、アルカリ性プロテアーゼ水溶液とエラスチン含有物とを分離して終了する。
[可溶化工程]
可溶化工程は、洗浄工程後のエラスチン含有物中のエラスチンの一部または全部をペプチドやアミノ酸に加水分解し、本来、不溶性タンパク質であるエラスチンを可溶化(水溶性化)し、市販される製品として加工しやすくするものである。
本発明では、この可溶化工程において、アルカリ性プロテアーゼ(アルカリ性エンドペプチターゼ)を用いるものであり、これにより、酸性プロテアーゼや中性プロテアーゼを使用する場合に比べて、固液分離工程において、濾紙や濾布の目詰まりが発生しにくくなり濾過性や濾過の作業性が向上し、又、魚臭等のエラスチン含有物の臭いもほとんど無くなり、さらに水溶性エラスチンペプチドの収率も20〜25%程度向上させることができる。
ここで、可溶化工程で使用するアルカリ性プロテアーゼは、洗浄工程で使用するアルカリ性プロテアーゼと同じであっても異なっていても良く、例えば、糸状菌(Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus saitoi、Aspergillus sojae、Monascus pilosus、Mucor circinelloides、Mucor javanicus、Mucor miehei、 Mucor rouxii、Penicillium citrinum、Rhizomucor miehei、Rhizopus chinensis、 Rhizopus delemar 、Rhizopus niveus)、担子菌(Pycnopporrus coccineus)、放射菌(Streptomyces)、細菌(Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus coaglans、j4、Bacillus lentus 、Bacilluslicheniformis、Bacillus polymixa 、Bacillus stearothermophilus 、Bacillussubtilis 、Bacillus thermoproteolyticus 、Pseudomonas paucimobilis)もしくは酵母(Saccharomyces)等の培養液より得られたもので、酵素の至適pHが6以上であるプロテアーゼなどを用いることができる。
可溶化工程は、エラスチン含有物を水に浸漬させた後、アルカリ性プロテアーゼを添加することによって行うことができる。この場合、反応性を高めるためにエラスチン含有物を粉砕(ミンチ)するのが好ましい。また、可溶化工程では、エラスチン含有物100重量部に対して、水を200〜800重量部、アルカリ性プロテアーゼを0.1〜0.7重量部の配合割合にするのが好ましい。この範囲であると、エラスチン含有物に対して水やアルカリ性プロテアーゼが多すぎたり少なすぎたりすることがなく、酵素処理(加水分解)によるエラスチンの低分子化を十分に行うことができて水溶性エラスチンペプチドの収率を向上させることができる。また、可溶化工程の際のアルカリ性プロテアーゼ水溶液はpHが6.0〜7.5とするのが好ましい。この範囲であるとアルカリ性プロテアーゼの活性が損なわれにくく、酵素処理を十分に行うことができる。また、可溶化工程の際のアルカリ性プロテアーゼ水溶液の温度は50〜70℃であることが好ましい。この範囲であるとアルカリ性プロテアーゼの活性が損なわれにくく、酵素処理を十分に行うことができる。また、エラスチン含有物の酵素処理時間(浸漬時間)は1〜24時間とするのが好ましい。この範囲であるとアルカリ性プロテアーゼをエラスチン含有物に十分に作用させることができ、酵素処理を十分に行うことができると共に可溶化工程の長時間化を防止することができる。
そして、酵素処理後にアルカリ性プロテアーゼの酵素失活を行うことによって、可溶化工程が終了し、エラスチン由来のペプチドやアミノ酸を含有した水溶液を得ることができる。
[固液分離工程]
固液分離工程は、可溶化工程後のエラスチン由来のペプチドやアミノ酸を含有する水溶液を活性炭処理して不純物を吸着により除去し、この後、液体と固体とに分離する工程である。液体にはエラスチン由来のペプチドが含有されており、場合によってはエラスチン由来のアミノ酸も含まれている。固体は可溶化工程で分解されなかった成分(残渣)である。固液分離工程は、有孔壁遠心分離機、無孔壁遠心分離機、加圧濾過機、濾布、濾紙などによって行うことができる。
本発明では、洗浄工程、可溶化工程及び固液分離工程により、水に溶解した状態のエラスチンペプチドを得ることができる。また、このエラスチンペプチド含有水溶液を濃縮及び乾燥することにより粉末状のエラスチン含有物由来の水溶性エラスチンペプチド粉末を得ることができる。この水溶性エラスチンペプチド粉末にはアミノ酸粉末が含有されている場合がある。
上記のようにして、水溶液に溶解した状態や粉末状で得られた水溶性エラスチンペプチドは食品や化粧品の原料として用いることができる。エラスチン由来のエラスチンペプチドは、細胞増殖促進効果やコラーゲン産生促進効果が見られ、経口摂取により、肌の弾力性や柔軟性の改善及び肌のキメ・シワの改善が期待される。特に、コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸と共にエラスチン由来の水溶性エラスチンペプチドを摂取することにより、肌質改善が期待される。
本発明では洗浄工程において、アルカリ性プロテアーゼを用いるので、アルカリ性水溶液や有機溶剤で洗浄する場合に比べて、水溶性エラスチンペプチドの収率を高くすることができる。これは、(1)アルカリ水溶液等で洗浄処理を行う場合は長時間の処理が必要となり、そのアルカリを水などで洗浄を行う際にエラスチンペプチドも同時に溶出してしまう可能性がある事、(2)酸性や中性プロテアーゼを用いて酵素処理を行うと、特に魚類の場合、濾過速度が極端に遅くなり、未分解物が濾紙や濾布上に残り、これらが目詰まりの原因を起こして、濾液中に分解物(ペプチドやアミノ酸)を効率よく得る事が出来ない、などの理由が考えられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例)
図1に示す工程により、水溶性エラスチンペプチド粉末を製造した。
[洗浄工程]
マグロ(ミナミマグロ)の動脈球を200g用意し、これを動脈球の重量の5倍の水1000gに浸漬し、0.5時間保持した。これにより、水での洗浄を行い、動脈球に付着、残存している血液や脂質などを粗洗浄した。この後、洗浄液(洗浄に用いた水)と動脈球とを濾過により分離する。この洗浄液のビウレット反応は陰性であった(365nm青色蛍光なし)。
次に、水洗後の上記動脈球を熱水1000gと混合し、さらにアルカリ性プロテアーゼ(オリエンターゼ 22BF(HBI Enzymes inc.))を動脈球の重量に対して0.1%添加することによって、アルカリ性プロテアーゼ水溶液による洗浄を行った。このときのアルカリ性プロテアーゼ水溶液の温度は60℃、浸漬時間は10分間、pHは6.2とした。次に、アルカリ性プロテアーゼ水溶液の温度を90℃で10分間保持することによって、アルカリ性プロテアーゼを失活させた。失活後のアルカリ性プロテアーゼ水溶液のブリックス(Brix)は3.6%、pHは6.2であった。
次に、酵素失活後のアルカリ性プロテアーゼ水溶液を濾過し、洗浄液と動脈球とに分離した。この洗浄液のビウレット反応は陰性であった(365nm青色蛍光なし)。
[可溶化工程]
洗浄工程後の動脈球を粉砕(ミンチに)した後、これに水400g加え、さらにアルカリ性プロテアーゼ(オリエンターゼ 22BF(HBI Enzymes inc.))を0.5%配合することによって、アルカリ性プロテアーゼ水溶液による酵素処理(加水分解処理)を行った。このときのアルカリ性プロテアーゼ水溶液の温度は60℃、反応時間は60分間、pHは6.2とした。次に、アルカリ性プロテアーゼ水溶液の温度を90℃で10分間保持することによって、アルカリ性プロテアーゼを失活させた。失活後のアルカリ性プロテアーゼ水溶液のブリックス(Brix)は3.2%、pHは6.2であった。失活後のアルカリ性プロテアーゼ水溶液は、エラスチン由来のペプチドやアミノ酸を含有するエラスチンペプチド含有水溶液である。
[固液分離工程]
可溶化工程で得られたエラスチンペプチドを含有する水溶液を活性炭に接触させて活性炭処理を行った。活性炭処理を行ったエラスチンペプチドを含有する水溶液のブリックス(Brix)は3.0%、pHは5.9であった。
次に、活性炭処理後のエラスチンペプチド含有水溶液を加圧濾過機を用いて濾過し、残渣と濾液とに分離した。濾液はブリックス(Brix)が3.0%、pHが5.8であった。次に、濾液を濃縮し、液量が68.3g、ブリックス(Brix)が34%、pHが5.9とした。次に、濃縮液を噴霧乾燥して粉末状のエラスチンペプチドを得た。この粉末は19.1g得られ、200gの動脈球から収率9.5%で水溶性エラスチンペプチド粉末が得られた。また、この粉末はビウレット反応は陽性であった(365nm青色蛍光あり)。
(比較例1)
図2に示す工程により、水溶性エラスチンペプチド粉末を製造した。
[洗浄工程]
実施例と同様のマグロの動脈球を200g用意し、これを動脈球の重量の5倍の水1000gに浸漬し、0.5時間保持した。これにより、水での洗浄を行い、動脈球に付着、残存している血液や脂質などを粗洗浄した。この後、洗浄液(洗浄に用いた水)と動脈球とを濾過により分離した。この洗浄液のビウレット反応は陰性であった(365nm青色蛍光なし)。
次に、水洗後の上記動脈球を熱水1000gと混合することによって洗浄を行った。このときの熱水の温度は60℃、浸漬時間は2時間とした。次に、濾過により洗浄液(熱水)と動脈球とに分離した。この洗浄液のビウレット反応は陰性であった(365nm青色蛍光なし)。
[可溶化工程]
洗浄工程後の動脈球を粉砕(ミンチに)した後、これに水400g加え、さらに中性プロテアーゼ(オリエンターゼ 90N(HBI Enzymes inc.))を0.5%添加することによって、中性プロテアーゼによる酵素処理(加水分解処理)を行った。このときの中性プロテアーゼ水溶液の温度は60℃、浸漬時間は60分間、pHは6.2とした。次に、中性プロテアーゼ水溶液の温度を90℃で10分間保持することによって、中性プロテアーゼを失活させた。失活後の中性プロテアーゼ水溶液は、エラスチン由来のペプチドやアミノ酸を含有する水溶液である。
[固液分離工程]
可溶化工程で得られた水溶性エラスチンペプチド含有水溶液を活性炭に接触させて活性炭処理を行った。次に、活性炭処理後の水溶性エラスチンペプチド含有水溶液を濾過し、残渣と濾液とに分離した。次に、濾液を濃縮し、液量が60.0g、ブリックス(Brix)は26%であった。次に、濃縮液を噴霧乾燥して粉末状の水溶性エラスチンペプチドを得た。この粉末は15.5g得られ、200gの動脈球から収率7.8%で水溶性エラスチンペプチド粉末が得られた。また、この粉末はビウレット反応が陽性であった(365nm青色蛍光あり)。
(比較例2)
比較例1において、[洗浄工程]の熱水の代わりに、アルカリ水溶液を用いた。アルカリとしては水酸化ナトリウムを用い、濃度は0.1%とした。その他の構成は比較例1と同様にした。この場合、アルカリ除去による動脈球の水洗に3〜4日を要し、洗浄液もビウレット反応が陽性を示した為、実用的では無いと判断し、その後の処理を中止した。
実施例より得られた、水溶性エラスチンペプチド粉末のアミノ酸組成を測定した。結果を表1に示す。尚、アミノ酸組成の測定は以下のようにして行った。
(標準溶液の調製)
アミノ酸標準溶液(アミノ酸混合標準液、H型)及びエラスチン、デスモシン、トリプトファン、ヒドロキシプロリンを0.01Mの塩酸で一定量に定容し、標準溶液とした。
(試料溶液の調製)
実施例により得られたエラスチンペプチド粉末を適量とり、6M塩酸を加えて110℃で、24時間加水分解を行い、中和後、0.01Mの塩酸で定容し、試料溶液とした。シスチンについてはあらかじめ過ギ酸による酸化処理を行った後、加水分解を行った。また、トリプトファンの測定についてはアルカリを用いて加水分解を行った試料を用いた。
(定量)
標準溶液及び試料溶液を液体クロマトグラフ法等により各アミノ酸類及び、デスモシン、イソデスモシンの含量を測定した。トリプトファンについては逆相HPLCにて含量を測定した。
Figure 2013006799
また、実施例について、水溶性エラスチンペプチド粉末の栄養成分値を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2013006799
また、実施例について、水溶性エラスチンペプチド粉末の分子量分布を測定した。結果を表3、4及び図3に示す。尚、分子量分布の測定は以下のようにして行った。
(標準溶液の調製)
分子量マーカーとして、(1)Cytochrome C(M.W=12500)、(2)Aprotinin(M.W=6512)、(3)Bacitracin(M.W=1450)、(4)Angiotensin II(M.W=1046)、(5)Gly−Gly−Tyr−Arg(M.W=451)、(6)Gly−Gly−Gly(M.W=189)の適量をとり、溶出時間及び分子量をもとに検量線を作成した。
(試料溶液の調製)
実施例により得られた水溶性エラスチンペプチド粉末を適量とり、移動相を加えて溶かし、試料溶液とした。
(測定)
各標準溶液を用いて作成した検量線をもとに、下記の条件にて試料溶液中の各ピークにおける分子量を調べた。
[HPLCの条件]
カラム;TSKgel G2500PW 7.8mm×300mm
カラム温度;40℃
移動相;水/アセトニトリル/T.F.A.混液(55/45/0.1)
測定波長;220nm
Figure 2013006799
Figure 2013006799

Claims (2)

  1. エラスチン含有物をアルカリ性プロテアーゼを用いて夾雑物を除去、洗浄した後、さらにアルカリ性プロテアーゼを用いて前記エラスチン含有物中のエラスチンを水溶性エラスチンペプチドに分解することを特徴とする水溶性エラスチンペプチドの製造方法。
  2. 前記エラスチン含有物は魚類の動脈球であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性エラスチンペプチドの製造方法。
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