JP2013004380A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繰り返し充放電の際に優れた充放電特性を有する電池を提供する。
【解決手段】 2,3−ジクロロブタジエン重合体、活物質及び集電体を含有する電池用電極、並びに電解液から構成されることを特徴とする電池。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電池に関するものである。
近年、電池は多岐に渡る用途に利用されている。特に、二次電池の普及が目覚しくなってきている。二次電池が用いられる用途としては、ハイブリッド方式自動車があり、著しく普及してきた。さらに、プラグインハイブリッド方式又は電気式自動車が将来大きく普及すると予測されている。また、電動自転車も普及し始めた。さらに、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどの携帯端末の普及が著しくなってきている。電動工具などのパワーツールの普及も著しい。さらに、スマートグリッド、特に家庭用としての電源制御システムが普及し始めた。これらの電源は、二次電池が用いられており、最近では、リチウムイオン二次電池が多用されてきた。
電池は、電解液、正極用と負極用活物質等と集電体が結着された電極、及びセパレータから基本的に構成される。
上記に掲げた用途において、電池、特に二次電池は、小型化、軽量化、薄型化、高性能化が求められている。電池の性能向上には、電池に用いられている各部材の性能向上が重要であるが、電極の性能向上についても重要な特性と考えられている。電極については、活物質、又は集電体の影響の他、活物質同士、及び活物質と集電体を結着するためのバインダーとなるポリマー材料の影響も重要である。通常、このバインダーは、ポリマーを水又は有機溶剤を媒体とした組成物からなり、当該組成物を活物質などと混合したスラリーを集電体に塗布後、乾燥して電極が製造される。ここで水系スラリーに含まれるバインダーとして、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリルなどを原料とするスチレン・ブタジエンゴム類(SBR)が知られている。溶剤系では、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素系樹脂が知られている。これらのバインダーを用い成形した電極、及び電池が知られている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、水系SBR又は溶剤系フッ素系樹脂を含むスラリーが使用され成形された電極を用いたリチウムイオン二次電池は、繰り返しの充放電の際、性能の低下が課題である。繰り返し充放電の際、活物質の容積が膨張と収縮を繰り返すことが知られており、これまで用いられているバインダーを含むスラリーでは結着性が十分でないために、活物質と集電体間に剥離が認められる。それにより、繰り返し充放電の際、電池の性能低下が起こってしまうと考えられている。
このような状況下、活物質同士や活物質と集電体との十分な結着性を有するスラリーを用い形成された電極から構成される電池であり、繰り返し充放電の際に充放電特性に優れた電池が望まれていた。
特開平5−226004号公報 特開平7−296816号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、繰り返し充放電の際に電池性能が低下しない電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の重合体を含むラテックスを含有するスラリーから形成された電極から構成される電池は、驚くべきことに、繰り返し充放電の際に電池性能が低下しないことを新規に見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、2,3−ジクロロブタジエン重合体、活物質及び集電体を含有する電池用電極、並びに電解液から構成される電池である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の電池は、2,3−ジクロロブタジエン重合体、活物質及び集電体を含有する電池用電極、並びに電解液から構成されるものである。
本発明の電池は、特に制限するものではなく、例えば、一次電池や二次電池であり、好ましくは、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池であり、さらに好ましくは、リチウムイオン二次電池である。
本発明の電池を構成する電池用電極は、2,3−ジクロロブタジエン重合体、活物質及び集電体を含有するものである。
ここに、2,3−ジクロロブタジエン重合体は、2,3−ジクロロブタジエン単独重合体又は2,3−ジクロロブタジエン共重合体である。2,3−ジクロロブタジエン単独重合体は、2,3−ジクロロブタジエンの単量体を重合して得られる。また、2,3−ジクロロブタジエン共重合体は、2,3−ジクロロブタジエンの単量体と、これと共重合可能な他のモノマー(単量体)とを重合することで得られる。2,3−ジクロロブタジエンの単量体と共重合可能なモノマー(単量体)としては、例えば、1,2−ジクロロブタジエンや1,3−ジクロロブタジエンなどの2,3−ジクロロブタジエンの異性体、エチレン、プロピレン、クロロプレン、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。これら共重合モノマーは単独又は2種類以上使用できる。共重合可能なモノマーの組成は、2,3−ジクロロブタジエンの特性を損なわない範囲で使用可能であり、共重合体中の共重合可能なモノマーのモノマー仕込み組成としては特に限定するものではないが、活物質同士や活物質と集電体とのより高い結着性を得るために、0重量%を超えて75重量%以下が好ましく、0重量%を超えて45重量%がさらに好ましい。
また、活物質及び集電体については、後で説明する通りである。
本発明の電池を構成する電池用電極における2,3−ジクロロブタジエン重合体の量は、特に限定するものではないが、活物質同士や活物質と集電体との十分な結着性を維持し、電気を流れやすくし、電池特性を良好にするため、活物質100重量部に対して、2,3−ジクロロブタジエン重合体が、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の電池を構成する電池用電極は、2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックス及び活物質を含有する電池電極用スラリーを集電体上に塗布、乾燥することで得られる。
2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックスは、一般的に2,3−ジクロロブタジエンの単量体、又は2,3−ジクロロブタジエンの単量体とこれと共重合可能な他の単量体を乳化重合することにより得られる。乳化重合の例として、水、単量体、乳化・分散剤、重合開始剤、連鎖移動剤等を乳化し、重合を行えば良い。各原料はいずれも一括添加、逐次添加、分割添加しても良い。
重合に使用する乳化・分散剤としては、特に限定するものではなく、例えば、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型のアニオン型乳化剤、ノニオン型乳化剤、水溶性高分子等が用いられる。カルボン酸型のアニオン型乳化剤としては、例えば、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、不均化ロジン酸のアンモニウム塩、不均化ロジン酸のアミン塩等があげられ、スルホン酸型のアニオン型乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸のアミン塩、アルキルスルホン酸のアンモニウム塩、アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸のアンモニウム塩、アルキルアリールスルホン酸のアミン塩、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩及びアミン塩等があげられ、硫酸エステル型のアニオン型乳化剤としては、例えば、アルキル硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルのアンモニウム塩、アルキル硫酸エステルのアミン塩、アルキルアリール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルアリール硫酸エステルのアンモニム塩、アルキルアリール硫酸エステルのアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステルのアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルのアミン塩等があげられ、ノニオン型乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル等があげられ、水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール等があげられる。使用量としては、特に限定するものではないが、重合時の機械安定性を維持し、及び結着性をより高くするために、単量体100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
重合開始剤としては、公知のフリーラジカル生成物質、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイド等の無機又は有機過酸化物等を用いることができる。また、これらは単独又は還元性物質、例えば、ハイドロサルファイト、チオ硫酸塩、チオ亜硫酸塩、硫酸第一鉄、アスコルビン酸、有機アミン等とのレドックス系で用いてもよいが、より低温で重合できるため、レドックス系が好ましい。使用量としては、特に限定するものではないが、重合をより制御し、適切な重合時間とするために、単量体100重量部に対して0.001〜2重量部が好ましく、0.01〜0.5重量部がさらに好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、アルキルメルカプタン、ハロゲン化炭化水素、ジアルキルキサントゲンジスルフィド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレン、イオウなどの分子量調節剤等があげられる。使用量としては、特に限定するものではないが、結着性をより高くするために、単量体100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましい。
重合可能な温度としては特に限定するものではないが、重合をより制御し、適切な重合時間とするために、0〜80℃の範囲が好ましく、10〜50℃の範囲がさらに好ましい。
重合反応は、重合停止剤を添加することにより終了させる。
重合終了時期は特に限定するものではないが、結着性を十分なものとするために、単量体の転化率が60〜100%まで重合を行うことが好ましく、95〜100%まで重合を行うことがさらに好ましい。
得られたラテックスに単量体が残存する場合は、環境安全面を良好にするために、モノマーストリップ等により単量体を除去してもよい。
重合停止剤としては、通常用いられる停止剤、例えば、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール等のヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン、ジエチルヒドロキシルアミン等が使用できる。これらの停止剤は、有機溶剤及び/又は2,3−DCB単量体等に溶解したものをラテックスに直接添加するか、水に乳化したものを添加すれば良く、添加は所定転化率に到達した時点で添加すればよい。
2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックスは、2,3−ジクロロブタジエン重合体を、乳化重合法以外の重合法である、例えば、塊状重合、懸濁重合、溶液重合等の重合法で製造し、例えば、真空乾燥、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、真空押出機等の方法により媒体を揮散させ、固形の2,3−ジクロロブタジエン重合体を得て、続いて、得られた固形の2,3−ジクロロブタジエン重合体を溶剤に溶解後、水及び乳化剤等を添加することにより乳化し、脱溶剤を行う、いわゆる後乳化法によっても製造することができる。
2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックスの固形分は限定されるものではないが、ラテックスの粘度が高くなるのを防止してスラリーを製造する際の混合を容易にし、スラリーを塗布する際の加工性を良好にするため、65重量%以下が好ましい。
本発明の電池を構成する電池用電極の製造に使用される電池電極用スラリーは、2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックスと活物質を混合させて調製する。
ここに、活物質は、一般的に知られているものならすべて使用できる。例えば、アモルファスカーボン、黒鉛、フッ化カーボン、炭素繊維、樹脂焼成炭素、黒鉛ウィスカーなどの炭素系材料、ポリアセン、ポリアセチレンなどの導電性有機化合物、リチウムと合金化が可能な珪素、錫などの金属、二酸化マンガン、三酸化モリブデン、五酸化二バナジウム、酸化鉄類などの金属酸化物、LiCoO、LiMnO、LiNiOなどのリチウムを含む複合酸化物、LiFePOなどのリチウムを含む複合金属酸化物、FeSなどの遷移金属硫化物、Cuなどの遷移金属酸化物、NiFなどの金属フッ化物等が挙げられる。これらの活物質は、単独又は2種以上用いることができる。これらの活物質は、一方の電極に用いられる活物質と他方の電極に用いられる活物質のそれぞれの電位により、一般的に極性が定義される。電位が高い方の活物質が正極となり、低い方の活物質が負極となる。
電池電極用スラリーは、スラリーの粘度や塗布作業性を調整するため、一般的に知られている界面活性剤、分散剤、水溶性高分子等を含有していてもよい。また、電池電極用スラリーは、導電性をより高くするために、導電性付与剤を含むことが好ましい。導電性付与剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイトなどの導電性カーボン等を用いることができる。
電池電極用スラリーの製造方法は一般的に知られている方法が用いられる。具体的には、ラテックスと活物質を混合して製造される。混合は、一般的に用いられる混合装置であれば制限はない。例えば、ボールミル、ホモジナイザー、超音波分散機、プラネタリーミキサー、ニーダー等を用いることができる。
電池電極用スラリーを構成する2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックスの添加量は、特に限定するものではないが、活物質同士や活物質と集電体との十分な結着性を維持し、電気を流れやすくし、電池特性を良好にするため、活物質100重量部に対して、ラテックスの固形分としての2,3−ジクロロブタジエン重合体が、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部となるように添加する。
集電体は、一般的に用いられるものであれば制限するものではなく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料等が用いられる。正極用ではアルミニウムが好ましく、負極用では、銅が好ましい。集電体の形状は、十分な電池特性が発現するものであれば特に限定するものではない。また、集電体の厚みは、特に限定するものではないが、衝撃や振動などにより、又は折り曲げ時に、集電体が破壊することなく良好な電池特性を示すために、1〜300μmであることが好ましい。
本発明の電池を構成する電池用電極を製造するための、電池電極用スラリーを集電体上に塗布する方法は、一般的な方法であれば制限はない。例えば、ロールコーター、グラビヤ、エアーナイフ、コンマバー、浸漬等の方法である。電池電極用スラリーの集電体上への塗布量は、十分な電池特性が発現するものであれば特に限定するものではないが、乾燥後の塗膜の膜厚が1〜100μmとなるように塗布すればよい。
乾燥方法としては、放置乾燥、送風乾燥、熱風乾燥、赤外線乾燥等の方法が用いられる。乾燥温度と時間は特に限定するものではないが、電池特性を維持するために、水分が十分揮散されることが好ましい。
本電池は、本電池を構成する電池用電極を正極又は負極とし、他の電極を別の物質として構成することができる。他の電極としては、一般的に知られている電極、例えば、金属リチウム、鉛等の金属を用いた電極が挙げられる。また、本電池は、本電池を構成する電池用電極を正極及び負極として構成することもできる。
本発明の電池を構成する電解液は、電解質を溶媒で溶解させたものが挙げられる。電解質は、一般的に用いられるものであれば制限するものではなく、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSOCF、LiN(SO、LiN(SOCFなどのリチウム塩等が挙げられる。溶媒は、一般的に用いられるものであれば制限するものではなく、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、スルホラン類、アセトニトリルなどのニトリル類、イオン性液体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上用いることができる。
また、高分子固体電解質や高分子ゲル電解質などを電解液として用いることもできる。
本発明の電池は、上記した電池用電極及び電解液の他に、セパレータを有していてもよい。ここに、セパレータは、一般的に用いられるものであれば制限するものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池は、例えば、上記した電池用電極や電解液を含み、必要に応じてセパレータなどを用いて、公知の方法で製造される。例えば、正極と負極をセパレータを介して重ね合わせ、巻いたり折りたたんだりして、電池の容器に入れ、電解液を注入して封止する方法である。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型等が知られている。
本発明により、これまでの電池では困難であった優れた繰り返し充放電特性を有した電池を得ることが可能となり、産業上、極めて広い範囲に応用できる。
本発明の電池の構成を示す図である。
次に実施例にもとづき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。
<原料>
本発明の実施例には以下の原料を使用した。
(1)スチレン・ブタジエンゴム類(SBR)−水系スラリー用原料
JSR株式会社製 TRD2001
(2)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)−溶剤系スラリー用原料
株式会社クレハ製 KFポリマー1010
(3)黒鉛−活物質
日本黒鉛工業株式会社製 球状化黒鉛粉末 CGB−10
(4)コバルト酸リチウム−活物質
日本化学工業株式会社製 セルシードC−5H
(5)アセチレンブラック−導電付与材
電気化学工業株式会社製 デンカブラック
(6)カルボキシメチルセルロース(CMC)
ダイセル化学工業株式会社製
(7)N−メチルピロリドン(NMP)
和光純薬工業株式会社製
(8)銅箔−黒鉛極用集電体
日本テストパネル株式会社製 C1220P(100mm×100mm×厚み0.05mm)
(9)アルミ箔−コバルト酸リチウム極用集電体
東洋アルミエコープロダクツ株式会社製 クッキングホイル(250mm×100mm×厚み0.01mm)
<ラテックス1〜5の製造>
表1に示す組成(2,3−ジクロロブタジエン、1,2−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、及び2−クロロブタジエン)の単量体1200g(100重量部)、n−ドデシルメルカプタン4g(0.3重量部)、不均化ロジン酸カリウム250g(20.8重量部)、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物20g(1.7重量部)、オレイン酸硫酸ナトリウム塩20g(1.7重量部)、水酸化ナトリウム15g(1.3重量部)、イオン交換水5935g(495重量部)を攪拌機付き10Lオートクレーブ中に仕込み、20℃、窒素雰囲気中で30分間攪拌した後、アスコルビン酸0.5g(0.04重量部)を添加し、過硫酸カリウム水溶液(過硫酸カリウム0.4g(0.03重量部)、アントラキノンスルホン酸ナトリウム0.1g(0.08重量部)をイオン交換水400g(33.3重量部)に溶解して調整したもの)を連続的に添加して重合を開始した。転化率80%で過硫酸カリウム水溶液の添加を止め、そのまま1時間熟成した。その後、最初に仕込んだものと同じ組成の単量体1200g(100重量部)を添加し、30分間攪拌した後、アスコルビン酸0.6g(0.05重量部)を添加し、過硫酸カリウム水溶液(過硫酸カリウム0.4g(0.03重量部)、アントラキノンスルホン酸ナトリウム0.1g(0.008重量部)をイオン交換水400g(33.3重量部)に溶解して調整したもの)を連続的に添加し重合を再開始した。トータルの転化率が86%(転化率は、固形分測定により算出した。即ち、ラテックス約2gを精秤し、170℃×20分乾燥後の重量を測定することにより固形分を算出し、固形分値から転化率を算出した。)になった時点で過硫酸カリウム水溶液の添加を止めて、そのまま1時間熟成した。その後、再々度、最初に仕込んだものと同じ組成の単量体1200g(100重量部)を添加し、30分攪拌した後、アスコルビン酸0.6g(0.05重量部)を添加し、過硫酸カリウム水溶液(過硫酸カリウム0.4g(0.03重量部)、アントラキノンスルホン酸ナトリウム0.1g(0.008重量部)をイオン交換水400g(33.3重量部)に溶解して調整したもの)の連続添加を開始した。トータルの転化率99%以上で過硫酸カリウム水溶液の添加を止め、フェノチアジン0.4g(0.03重量部)、t−ブチルカテコール0.4g(0.03重量部)を加えて表1に記載の固形分のラテックス1〜5を得た。
Figure 2013004380
実施例1〜9
<電池電極用スラリーの作製>
表2に示す通り、ラテックス1〜5、正極用活物質として黒鉛、アセチレンブラック、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及び水を、1倍量の仕込み重量で、500mlポリエチレン製ボトルにビーズとともに投入し、ボールミル上で回転数270rpm、12時間の条件で混練し、電池電極用スラリーを作製した。
Figure 2013004380
<電池用電極1〜9の作製>
バーコーター(RDS75、Webster社製)を用い、作製した電池電極用スラリーを集電体である銅箔上に一定の厚み(50μm)になるように塗布し、130℃で30分熱風乾燥後、室温で48時間減圧乾燥し、電池用電極1〜9を作製した。
<電池の作製>
図1に示す電池を作製した。電池の作製はアルゴンガス雰囲気下で行った。上記で得られた電池用電極1〜9を直径21mmの円形に切り抜いたものを一方の極(正極、4)とした。別の極(負極、6)として、金属リチウム箔(厚さ0.2mm)から直径21mmの円形に切り抜いたリチウム片を1トン/cmの圧力で集電用メッシュ(7、SUS316製直径21mmの円形)上に圧縮成形したものを極として用いた。つづいて、集電用メッシュ(7)、負極(6)、セパレータ(5)、正極(4)の順に、容器(8)へ設置した。正極は活物質がセパレータと接触するように重ねた。負極はリチウムがセパレータと接触するように重ねた。容器(8)へは、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの1:2混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1mol/dmの濃度で溶解した電解液を、集電用メッシュ(7)から正極(4)までが浸した状態になるように、投入した。つづいて、テフロン(登録商標)シール(3)をねじ込み、その上から蓋(2)をねじ込むことにより、電池を組み立てた。
<充放電特性試験>
充放電特性試験は、得られた電池を用いて定電流で電池電圧が1.5Vから0.01Vの間で50回充放電させることにより行い、2回目の放電容量に対する50回目の放電容量の比率を放電容量維持率とした。電流密度は0.5mA/cm、温度は23℃とした。放電容量維持率は、3つの試料の測定値の平均値を用いた。
その結果を表2に合わせて示す。得られた電池は良好な放電容量維持率を示すことにより、優れた繰り返し充放電特性を示した。
比較例1〜3
表3に示す通り、ラテックス1〜5からSBRに変更した以外は実施例1〜9に記載の方法に従って電極用スラリー、電極10〜12、及び電池を得た。
Figure 2013004380
得られた電池の充放電特性試験を行った。その結果を表3に合わせて示す。得られた電池は放電容量維持率が低く、充放電特性が劣っていた。
比較例4〜5
表3に示す通り、ラテックス1〜5からPVDFに変更し、CMCを添加せず、水をNMPに変更した以外は実施例1〜9に記載の方法に従って電極用スラリー、電極13〜14、及び電池を得た。
得られた電池の充放電特性試験を行った。その結果を表3に合わせて示す。得られた電池は放電容量維持率が低く、充放電特性が劣っていた。
実施例10〜14
<電池電極用スラリーの作製>
表4に示す通り、正極用活物質として黒鉛をコバルト酸リチウムに変更した以外は実施例1〜9に記載の方法に従って電池電極用スラリーを作製した。
Figure 2013004380
<電池用電極(正極)15〜19の作製>
表4に示す通り、正極用活物質として黒鉛をコバルト酸リチウムに変更した以外は実施例1〜9に記載の方法に従って電池用電極15〜19を作製した。
<電池用電極(負極)の作製>
表2に示した電池用電極のうち、表5に示した電極を負極として用いた。
Figure 2013004380
<電池の作製>
表5に示す通り、負極の金属リチウムを電池用電極(負極)、及び正極を電池用電極1〜9から15〜19へ変更した以外は、実施例1〜9に記載の方法に従って電池を作製した。
得られた電池の充放電特性試験を行った。その結果を表5に合わせて示す。得られた電池は良好な放電容量維持率を示すことにより、優れた繰り返し充放電特性を示した。
比較例6〜7
<電極用スラリーの作製>
表6に示す通り、ラテックス1〜5からPVDFに変更し、CMCを添加せず、正極活物質として黒鉛をコバルト酸リチウムに変更し、水をNMPに変更した以外は実施例1〜9に記載の方法に従って電極用スラリーを作製した。
Figure 2013004380
<電極(正極)の作製>
表6に示す通り、ラテックス1〜5からPVDFに変更し、CMCを添加せず、正極活物質として黒鉛をコバルト酸リチウムに変更し、水をNMPに変更した以外は実施例1〜9に記載の方法に従って電極20〜21を作製した。
<電極(負極)の作製>
表3に示した電極のうち、表7に示した電極を負極として用いた。
Figure 2013004380
<電池の作製>
表7に示す通り、負極の金属リチウムを電極(負極)、及び正極を電池用電極1〜9から電極20〜21へ変更した以外は、実施例1〜9に記載の方法に従って電池を作製した。
得られた電池の充放電特性試験を行った。その結果を表7に合わせて示す。得られた電池は放電容量維持率が低く、充放電特性が劣っていた。
本発明により、繰り返し充放電の際に優れた充放電特性を有する電池を得ることができる。
1:正極リード線
2:蓋(導電性)
3:テフロン(登録商標)シール
4:正極
5:セパレータ
6:負極
7:集電用メッシュ
8:容器(導電性)
9:負極リード線

Claims (4)

  1. 2,3−ジクロロブタジエン重合体、活物質及び集電体を含有する電池用電極、並びに電解液から構成されることを特徴とする電池。
  2. 電池用電極が、2,3−ジクロロブタジエン重合体を含むラテックス及び活物質を含有する電池電極用スラリーを集電体上に塗布、乾燥して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  3. 電池が二次電池であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池。
  4. 二次電池がリチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項3に記載の電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020164643A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 東ソー株式会社 クロロプレン系重合体ラテックスとその製造方法

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