JP2013003714A - 電源装置および車両用電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリント配線板の製造コストの増加を抑制しつつ、効率よく放熱することができる電源装置およびその電源装置を備えた車両用電子制御装置を提供する。
【解決手段】多段接続されるシリーズレギュレータを構成する主トランジスタTr1、Tr2は、チップで発生する熱を外部に伝達するための放熱フィン32、33を備えている。主トランジスタTr1、Tr2の各放熱フィン32、33は、プリント配線板31に形成された放熱パターン34、35にそれぞれ接続される。放熱パターン34、35間には、放熱パターン34、35と電気的に接続されていない挿入パターン49が設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】多段接続されるシリーズレギュレータを構成する主トランジスタTr1、Tr2は、チップで発生する熱を外部に伝達するための放熱フィン32、33を備えている。主トランジスタTr1、Tr2の各放熱フィン32、33は、プリント配線板31に形成された放熱パターン34、35にそれぞれ接続される。放熱パターン34、35間には、放熱パターン34、35と電気的に接続されていない挿入パターン49が設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は、多段接続されたシリーズレギュレータを備えた電源装置およびその電源装置を備えた車両用電子制御装置に関する。
例えば、車両に搭載される電子制御装置(ECU)に用いられる電源装置は、車載バッテリから供給される入力電圧(例えば+12V)を所望の電圧(例えば+5V)に降圧して出力する。このような電源装置として、複数のシリーズレギュレータを多段接続することにより、入力電圧を段階的に降圧して出力するという構成が採用されることがある(例えば、特許文献1参照)。シリーズレギュレータは、入力電源線と出力電源線との間に直列に介在する主トランジスタの導通状態を制御することにより、入力電圧を降圧して出力するものである。
そのため、シリーズレギュレータの主トランジスタは、入出力電圧(入出力電力)の差に応じた熱を発生する。また、主トランジスタにおいて、最も発熱する部分は、チップにて生じた熱をパッケージ外部に伝達するための放熱フィン(金属板)が取り付けられる端子である。その端子は、主トランジスタがバイポーラトランジスタであればコレクタ端子であり、MOSFETであればドレイン端子である。
プリント配線板上に実装する部品により上記電源装置を構成する場合、シリーズレギュレータ、特に主トランジスタの発熱対策(放熱)が必要となる。特許文献1記載の構成は、複数のシリーズレギュレータを用いているため、各シリーズレギュレータを構成する主トランジスタごとの発熱は比較的小さくなり、各トランジスタ単体での許容損失が満たされると考えられる。しかし、各トランジスタの配置次第によっては、それぞれのトランジスタによる発熱が相互に影響し合うため、十分に放熱されず、上記許容損失が満たされなくなる可能性がある。
上記問題の対策として、各シリーズレギュレータを構成する主トランジスタ同士が十分に離れた状態となるようなレイアウト設計を行うことが考えられる。しかし、主トランジスタ同士の距離をむやみに長くすると、各シリーズレギュレータ間を接続するための導体パターンの長さや面積が増大する。パターン長およびパターン面積が増大することは、回路性能(電力変換効率や耐ノイズ性能など)の低下や、プリント配線板の面積(外形寸法)の増加、ひいてはプリント配線板のコスト高といった問題に繋がる。
一方、特許文献2には、プリント配線板に熱遮断用の溝(スリット)を形成する構成が開示されている。このような構成によれば、プリント配線板上に搭載される各回路部品において発生する熱の伝導が上記溝により遮断される。そのため、各回路部品による発熱が相互に影響することが抑制され、回路部品の放熱が効率よく行われる。しかし、特許文献2記載の構成は、プリント配線板に溝を形成するものであるため、プリント配線板の製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリント配線板の製造コストの増加を抑制しつつ、効率よく放熱することができる電源装置およびその電源装置を備えた車両用電子制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の手段によれば、各シリーズレギュレータは、それぞれが、主トランジスタおよび電源制御回路を備えている。主トランジスタは、入力電源線および出力電源線の間に直列に介在するように設けられている。電源制御回路は、入力電源線を通じて与えられる入力電圧を降圧した出力電圧が出力電源線を通じて出力されるように主トランジスタの導通状態を制御する。各シリーズレギュレータが多段接続されることにより、初段のシリーズレギュレータへの入力電圧が段階的に降圧され、最終段のシリーズレギュレータから所望の電圧値を持つ出力電圧が出力される。
主トランジスタは、それぞれが、そのチップで発生する熱を外部に伝達するための放熱フィンを備えている。このような主トランジスタを含むシリーズレギュレータを構成する各回路素子は、プリント配線板上に搭載される。プリント配線板には、各主トランジスタの放熱フィンに接続される端子を接続するための導体パターンである放熱パターンが形成されている。また、所定段のシリーズレギュレータを構成する主トランジスタの放熱パターンと、その所定段とは異なる段のシリーズレギュレータを構成する主トランジスタの放熱パターンとの間には、各放熱パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンである第1挿入パターンが設けられている。
シリーズレギュレータを構成する回路素子のうち、最も発熱する部分は、主トランジスタの放熱フィンに接続される端子である。なお、一般に、上記放熱フィンに接続される端子は、バイポーラトランジスタであればコレクタ端子であり、MOSFETであればドレイン端子である。上記構成によれば、その放熱フィンに接続される端子から直接またはプリント配線板に形成された放熱パターンを通じて放射される熱が、第1挿入パターンを通じて放熱される。
従って、第1挿入パターンを挟んで配置された主トランジスタ同士による発熱が相互に影響し合うことが抑制される。その結果、主トランジスタにより生じる熱が放射状に分散されて、効率よく放熱される。また、本手段によれば、プリント配線板に形成される導体パターンの配置に工夫を加えることにより、上記した作用および効果が得られる。つまり、本手段によれば、プリント配線板の製造コストの増加を抑制しつつ、シリーズレギュレータにより発生する熱を効率よく放熱することができる。
請求項2に記載の手段によれば、第1挿入パターンは、プリント配線板上において占める面積が比較的多い導体パターンである。このように比較的面積が多い導体パターンとしては、例えば、GNDや電源などが考えられる。比較的面積が多い第1挿入パターンにより主トランジスタから生じる熱が一層放熱されることになるため、シリーズレギュレータにより発生する熱を一層効率よく放熱することが可能となる。
請求項3に記載の手段によれば、第1挿入パターンは、ビアを通じて、その第1挿入パターンが形成された層とは異なる他の層(外層または内層)に接続されている。このような構成によれば、第1挿入パターンの面積が多くなる。そのため、第1挿入パターンによる放熱効果が向上することになり、シリーズレギュレータにより発生する熱を一層効率よく放熱することが可能となる。
請求項4に記載の手段によれば、第1挿入パターンは、ビアを通じて、その第1挿入パターンが形成された層とは異なる他の外層に接続されている。このような構成によれば、第1挿入パターンの面積が多くなるとともに、空気に触れる面積が多くなる。そのため、第1挿入パターンによる放熱効果がさらに向上することになり、シリーズレギュレータにより発生する熱を一層効率よく放熱することが可能となる。
請求項5に記載の手段によれば、放熱パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンである第2挿入パターンが設けられている。その第2挿入パターンは、放熱パターンの周囲に隣接して配置される。このような構成によれば、主トランジスタから直接または放熱パターンを通じて周囲に放射される熱が、第1挿入パターンだけでなく、さらに第2挿入パターンを通じて放熱されることになる。つまり、主トランジスタから発生する熱が放射状に放熱される。従って、シリーズレギュレータにより発生する熱を一層効率よく放熱することが可能となる。
シリーズレギュレータは、出力電圧を一定に保つため電源供給先となる負荷の状態に応じて、主トランジスタの導通状態を制御するようになっている。そして、主トランジスタによる発熱は、主トランジスタの導通状態に応じて変動する。このような熱の変動(温度の上昇および低下)が他の回路素子に伝わると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、主トランジスタの発熱状態に応じて、回路素子をプリント配線板に取り付けるためのはんだの温度が変動する。一般に、主トランジスタなどの比較的大きな回路素子に対し、例えばチップ抵抗やチップコンデンサなどの比較的小さな回路素子は、少量のはんだによりプリント配線板に実装されている。このように少ない量のはんだは、特に温度変動によってクラックが生じやすい。つまり、比較的小さな回路素子が主トランジスタの発熱の影響を受けると、はんだ部分にクラックが生じる問題が引き起こされる可能性が高い。このような問題の対策として、請求項6に記載の手段を採用するとよい。
請求項6に記載の手段によれば、放熱パターンと、シリーズレギュレータを構成する回路素子のうち、主トランジスタに比べて小さい回路素子を接続するための導体パターンである接続ランドとの間に、その導体パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンである第3挿入パターンが設けられている。このような構成によれば、主トランジスタの放熱フィンに接続される端子から直接または放熱パターンを通じて放射される熱が、第3挿入パターンを通じて放熱される。従って、上記比較的小さい回路素子およびその接続ランドに対する主トランジスタの発熱による影響が抑制され、はんだクラックなどの問題の発生が未然に防止される。
請求項7に記載の手段によれば、第3挿入パターンは、ビアを通じて、その第3挿入パターンが形成された層とは異なる他の層(外層または内層)に接続されている。このような構成によれば、第3挿入パターンの面積が多くなる。そのため、第3挿入パターンによる放熱効果が向上することになり、比較的小さい回路素子およびその接続ランドに対する主トランジスタの発熱による影響が一層抑制される。
請求項8に記載の手段によれば、上記各手段のいずれか一つに記載の電源装置を備えた車両用電子制御装置である。一般に、車両に搭載される装置(車載装置)は、比較的広い温度範囲において動作することが要求される場合が多い。本手段によれば、シリーズレギュレータにより発生する熱を効率よく放熱可能な電源装置を備えている。そのため、動作可能な温度範囲が広くなるという効果が得られる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)の構成を概略的に示している。図1に示すECU1(車両用電子制御装置に相当)は、ECU1の動作全般を制御する制御装置2および制御装置2に対する電源供給を行う電源装置3などを備えている。電源装置3は、2つのシリーズレギュレータ4、5および平滑用コンデンサ6により構成されている。
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)の構成を概略的に示している。図1に示すECU1(車両用電子制御装置に相当)は、ECU1の動作全般を制御する制御装置2および制御装置2に対する電源供給を行う電源装置3などを備えている。電源装置3は、2つのシリーズレギュレータ4、5および平滑用コンデンサ6により構成されている。
シリーズレギュレータ4は、電源線7(入力電源線に相当)を通じてバッテリ8から与えられる入力電圧Vi(例えば+12V)を第1出力電圧Vo1(例えば+8V)まで降圧し、電源線9(この場合、出力電源線に相当)を通じて出力する。シリーズレギュレータ4は、主トランジスタTr1、電源制御回路10、抵抗R1、コンデンサC1などを備えている。
バッテリ8の正極端子は、電源線7に接続されている。バッテリ8の負極端子は、グランド線11に接続されている。主トランジスタTr1は、PNP形バイポーラトランジスタである。主トランジスタTr1のエミッタは抵抗R1を介して電源線7に接続されている。主トランジスタTr1のコレクタは電源線9に接続されている。主トランジスタTr1のベースには、電源制御回路10から制御信号が与えられる。従って、主トランジスタTr1の駆動は、電源制御回路10により制御される。具体的には、電源制御回路10は、電源線7を通じて与えられる入力電圧Viを降圧した第1出力電圧Vo1が、電源線9を通じて出力されるように主トランジスタTr1の駆動をフィードバック制御する。電源制御回路10は、第1出力電圧Vo1を検出する電圧検出回路12、第1出力電圧Vo1の目標値に応じた基準電圧Vr1を生成する基準電圧生成回路13、電圧検出回路12による検出電圧Vd1と基準電圧Vr1との誤差を増幅して上記制御信号を出力する差動増幅回路14、過電流検出回路15などを備えている。
抵抗R1はシャント抵抗であり、その両端電圧は過電流検出回路15に与えられている。過電流検出回路15は、抵抗R1の両端電圧に基づいて主トランジスタTr1に流れる電流を検出する。そして、過電流検出回路15は、その検出値が所定の判定閾値を超えると、主トランジスタTr1に過電流が流れていると判断し、過電流検出信号を差動増幅回路14に出力する。差動増幅回路14は、過電流検出信号が与えられると、主トランジスタTr1の駆動を停止する(オフ駆動する)。コンデンサC1は位相補償用コンデンサであり、差動増幅回路14を構成するオペアンプ(図示せず)の入出力端子間に接続される。
シリーズレギュレータ5は、電源線9(この場合、入力電源線に相当)を通じてシリーズレギュレータ4から与えられる第1出力電圧Vo1を第2出力電圧Vo2(例えば+5V)まで降圧し、電源線16(出力電源線に相当)を通じて出力する。シリーズレギュレータ5は、主トランジスタTr2、電源制御回路17、抵抗R2、コンデンサC2などを備えている。
主トランジスタTr2は、PNP形バイポーラトランジスタである。主トランジスタTr2のエミッタは抵抗R2を介して電源線9に接続されている。主トランジスタTr2のコレクタは電源線16に接続されている。主トランジスタTr2のベースには、電源制御回路17から制御信号が与えられている。従って、主トランジスタTr2の駆動は、電源制御回路17により制御される。具体的には、電源制御回路17は、電源線9を通じて与えられる第1出力電圧Vo1を降圧した第2出力電圧Vo2が、電源線16を通じて出力されるように主トランジスタTr2の駆動をフィードバック制御する。電源制御回路17は、第2出力電圧Vo2を検出する電圧検出回路18、第2出力電圧Vo2の目標値に応じた基準電圧Vr2を生成する基準電圧生成回路19、電圧検出回路18による検出電圧Vd2と基準電圧Vr2との誤差を増幅して上記制御信号を出力する差動増幅回路20、過電流検出回路21などを備えている。
抵抗R2はシャント抵抗であり、その両端電圧は過電流検出回路21に与えられている。過電流検出回路21は、抵抗R2の両端電圧に基づいて主トランジスタTr2に流れる電流を検出する。そして、過電流検出回路21は、その検出値が所定の判定閾値を超えると、主トランジスタTr2に過電流が流れていると判断し、過電流検出信号を差動増幅回路20に出力する。差動増幅回路20は、過電流検出信号が与えられると、主トランジスタTr2の駆動を停止する(オフ駆動する)。コンデンサC2は位相補償用コンデンサであり、差動増幅回路20を構成するオペアンプ(図示せず)の入出力端子間に接続される。
このように、シリーズレギュレータ4、5が多段接続されることにより、1段目(初段)のシリーズレギュレータ4に対する入力電圧Viが段階的に降圧され、2段目(最終段)のシリーズレギュレータ5から制御装置2に供給可能となる所望の電圧値(例えば+5V)を持つ出力電圧Vo2が出力される。出力電圧Vo2は、電源線16およびグランド線11間に接続された平滑用コンデンサ6により平滑され、制御装置2に供給される。
上記したような構成の電源装置3は、プリント配線板上に実装された各回路素子(部品)により構成される。図2は、電源装置を構成する各回路素子のうち、一部の回路素子のプリント配線板上におけるレイアウトを示している。図3は、図2におけるX−X線に沿う縦断面図である。図3に示すように、プリント配線板31は、例えば銅箔などの導体によって構成される4つの層(第1層L1〜第4層L4)を有する4層基板(多層基板)である。
第1層L1および第2層L2の間にはプリプレグP1が介在している。第2層L2および第3層L3の間にはプリプレグP2が介在している。第3層L3および第4層L4の間にはプリプレグP3が介在している。プリプレグP1〜P3は、ガラス繊維に樹脂を染み込ませたものであり、各層間を接着するとともに絶縁している。このように、第1層L1および第4層L4は外層であり、第2層L2および第3層L3は内層である。
図2は、第1層L1側から見たプリント配線板31の平面図である。主トランジスタTr1、Tr2は、比較的大きいコレクタ電流を流すことができるものであり、いわゆるパワートランジスタに分類されるものである。このような主トランジスタTr1、Tr2は、そのチップで発生する熱をパッケージの外部に伝達するための金属板からなる放熱フィン32、33をそれぞれ備えている。また、通常、放熱フィン32、33はコレクタ端子(以下では、コレクタ端子32、33とも称す)と共通になっている。主トランジスタTr1、Tr2がプリント配線板31上に実装される形態においては、そのチップで発生する熱の一部が、このようなコレクタ端子32、33を通じてプリント配線板31に放熱されるようになっている。
主トランジスタTr1のコレクタ端子32は、プリント配線板31の第1層L1を構成する導体パターンである放熱パターン34に接続される。放熱パターン34は略矩形状に形成されている。主トランジスタTr2のコレクタ端子33は、プリント配線板31の第1層L1を構成する導体パターンである放熱パターン35に接続される。放熱パターン35は略矩形状に形成されている。主トランジスタTr1、Tr2の各ベース端子36、37は、導体パターン38、39にそれぞれ接続されている。
主トランジスタTr1のエミッタ端子40は、導体パターン41に接続されている。導体パターン41において、エミッタ端子40との接続部分とは反対側の端部は接続ランド42となっている。接続ランド42には抵抗R1の一方の端子が接続される。抵抗R1の他方の端子は、導体パターン43に繋がる接続ランド44に接続される。
放熱パターン34は、図2中、右下部分から下方向に延びた後、右方向に略90度曲げられて延びており、その先端部が接続ランド45となっている。接続ランド45には抵抗R2の一方の端子が接続される。主トランジスタTr2のエミッタ端子46は、導体パターン47に接続されている。導体パターン47は、図2中、下方向に延びた後、左方向に略90度曲げられて延びており、その先端部が接続ランド48となっている。接続ランド48には抵抗R2の他方の端子が接続される。なお、各導体パターンにおける部品との接続部分および各接続ランドは銅箔が露出した状態になっている。これにより、プリント配線板31上に各部品を、はんだ接続することが可能となっている。
放熱パターン34、35間には、第1層L1を構成する導体パターンである挿入パターン49(第1挿入パターンに相当)が形成されている。挿入パターン49は、バッテリ8の負極端子に電気的に接続されるものであり、グランド線11の電位(0V)を持つ。すなわち、挿入パターン49は、いわゆるGNDパターンであり、放熱パターン34、35と電気的に接続されていない。挿入パターン49は、矩形状に形成されている。図2および図3中、挿入パターン49の左側部および放熱パターン34の右側部が互いに隣接するとともに、挿入パターン49の右側部および放熱パターン35の左側部が互いに隣接している。
挿入パターン49上には3つのビア50〜52が設けられている。挿入パターン49は、それらビア50〜52を通じて、第2層L2および第4層L4におけるグランド線11の電位を持つ導体パターンに接続されている。なお、第2層L2は、グランド線11の電位を持つ導体パターンのみによって構成されている。また、第3層L3は、各種の電源電位を持つ導体パターンによって構成されている。
以上説明したように、本実施形態の電源装置3を構成する各回路素子が実装されるプリント配線板31には、主トランジスタTr1、Tr2の各コレクタ端子32、33を接続するための各放熱パターン34、35間に、それら放熱パターン34、35と電気的に接続されていない挿入パターン49が設けられている。これにより、主トランジスタTr1、Tr2は、互いにある程度の距離だけ離れて配置されることになる。また、シリーズレギュレータ4、5を構成する回路素子のうち、最も発熱する部分は、主トランジスタTr1、Tr2の放熱フィンに接続されるコレクタ端子32、33である。従って、挿入パターン49は、放熱パターン34、35に比べると温度が低い。そのため、コレクタ端子32、33から直接放射される熱および放熱パターン34、35を通じて間接的に放射される熱は、挿入パターン49をも通じて放熱される。
このような構成によれば、挿入パターン49を挟んで配置された主トランジスタTr1、Tr2同士による発熱が相互に影響し合うことが抑制される。その結果、主トランジスタTr1、Tr2により生じる熱が放射状に分散され、効率よく放熱されることになる。そして、本実施形態によれば、プリント配線板31のアートワーク設計において前述した工夫を加えることにより、上記作用および効果が得られる。つまり、本実施形態によれば、プリント配線板31の製造コストの増加を抑制しつつ、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱を効率よく放熱することができる。
挿入パターン49は、グランド線11の電位を持つGNDパターンにより構成されている。一般に、GNDパターンは、プリント配線板31に形成される各導体パターンのうち、プリント配線板31上において占める面積が最も大きい。本実施形態では、挿入パターン49は、ビア50〜52を通じて、内層である第2層L2および外層である第4層L4に接続されている。このように、プリント配線板31において最大の面積を持つGNDパターンにより挿入パターン49を構成すれば、主トランジスタTr1、Tr2から生じる熱の放熱作用が高まる。従って、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱が効率よく放熱される。
また、上記したとおり、挿入パターン49は、主トランジスタTr1、Tr2が配置される一方の外層である第1層L1だけでなく、他方の外層である第4層L4にも接続されている。このような構成によれば、挿入パターン49の面積が多くなるだけでなく、空気に触れる面積も多くなる。そのため、挿入パターン49による放熱作用(空冷作用)が一層向上することになり、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱が一層効率よく放熱される。
また、挿入パターン49を構成するGNDパターン(グランド線11の電位を持つ導体パターン)は、例えばワイヤハーネスなどを通じてプリント配線板31の外部に接続されることが多い。さらに、車両に搭載されるECU1の場合であれば、上記GNDパターンは、最終的には車両のボディなどに接続される可能性が高い。このような面から、挿入パターン49による放熱作用がさらに向上することになり、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱がさらに効率よく放熱される。
一般に、車両に搭載される装置は、比較的広い温度範囲において動作することが要求される場合が多い。言い換えると、他の装置に比べて熱への対策が十分に施されている必要性が高い。本実施形態のECU1は、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱を効率よく放熱可能な電源装置3を備えているため、比較的広い温度範囲にわたって正常に動作することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、上記実施形態と異なる部分を主体に図4および図5を参照しながら説明する。
図4は、第1の実施形態における図2相当図である。図5は、図2におけるY−Y線に沿う縦断面図である。図4に示すように、プリント配線板61に搭載される主トランジスタTr1は、第1の実施形態の配置に対し、時計回りに90度回転した配置に変更されている。また、その配置変更に伴い、抵抗R1の配置、主トランジスタTr1に接続される各配線の配置が変更されている。主トランジスタTr1のコレクタ端子32が接続される放熱パターン62は、略矩形状に形成されている。放熱パターン62は、図4中、左下部分から下方向に延びた後、右方向に略90度曲げられて延びており、その先端部が接続ランド45となっている。
以下、本発明の第2の実施形態について、上記実施形態と異なる部分を主体に図4および図5を参照しながら説明する。
図4は、第1の実施形態における図2相当図である。図5は、図2におけるY−Y線に沿う縦断面図である。図4に示すように、プリント配線板61に搭載される主トランジスタTr1は、第1の実施形態の配置に対し、時計回りに90度回転した配置に変更されている。また、その配置変更に伴い、抵抗R1の配置、主トランジスタTr1に接続される各配線の配置が変更されている。主トランジスタTr1のコレクタ端子32が接続される放熱パターン62は、略矩形状に形成されている。放熱パターン62は、図4中、左下部分から下方向に延びた後、右方向に略90度曲げられて延びており、その先端部が接続ランド45となっている。
放熱パターン62、35間には、第1の実施形態と同様、挿入パターン49が配置されている。また、放熱パターン62と、抵抗R2を接続するための接続ランド45、48との間には、第1層L1を構成する導体パターンである挿入パターン63(第3の挿入パターンに相当)が形成されている。挿入パターン63は、挿入パターン49と同様、グランド線11の電位(0V)を持つ。すなわち、挿入パターン63は、いわゆるGNDパターンであり、放熱パターン62および接続ランド45、48のいずれとも電気的に接続されていない。挿入パターン63は、矩形状に形成されている。図4および図5中、挿入パターン63の左上側部および放熱パターン62の下側部が互いに隣接するとともに、挿入パターン63の左下側部および接続ランド45、48の上側部が互いに隣接している。
挿入パターン63上には3つのビア64〜66が設けられている。挿入パターン63は、それらビア64〜66を通じて、第2層L2および第4層L4におけるグランド線11の電位を持つ導体パターンに接続されている。なお、第1層L1において、挿入パターン49、63を分離せずに、一体化した一つの挿入パターンとして構成してもよい。その場合、その挿入パターンは、略逆L字状に形成されることになる。
放熱パターン35は、図4中、中央下部分から下方向に延びた後、右方向に略90度曲げられて延びており、その先端部が接続ランド67となっている。接続ランド67にはコンデンサC2の一方の端子が接続される。コンデンサC2の他方の端子は、導体パターン68に繋がる接続ランド69に接続される。放熱パターン35と、コンデンサC2を接続するための接続ランド67、69との間には、第1層を構成する導体パターンである挿入パターン70(第3の挿入パターンに相当)が形成されている。挿入パターン70は、挿入パターン49、63と同様、グランド線11の電位を(0V)を持つ。すなわち、挿入パターン70は、いわゆるGNDパターンであり、放熱パターン35および接続ランド67、69のいずれとも電気的に接続されていない。
挿入パターン70は、矩形状に形成されている。図4および図5中、挿入パターン70の上側部および放熱パターン35の右下側部が互いに隣接するとともに、挿入パターン70の下側部および接続ランド67、69の上側部が互いに隣接している。挿入パターン70上には3つのビア71〜73が設けられている。挿入パターン70は、それらビア71〜73を通じて、第2層L2および第4層L4におけるグランド線11の電位を持つ導体パターンに接続されている。
さて、シリーズレギュレータ4、5は、電源供給先である制御装置2の動作状態(通常動作、スリープ動作など)が変化した場合でも、主トランジスタTr1、Tr2の導通状態を制御することにより、出力電圧Vo2を所望の目標値に保つようになっている。そして、主トランジスタTr1、Tr2の導通状態が変化すると、その発熱の度合いも変化する。このような熱(の変動)が、シリーズレギュレータ4、5を構成する他の回路素子に伝わると次のような問題が生じるおそれがある。
すなわち、主トランジスタTr1、Tr2の発熱状態に応じて、回路素子をプリント配線板61に取り付けるためのはんだの温度が変動する。一般に、主トランジスタTr1、Tr2などの比較的大型の回路素子に対し、例えば抵抗R1、R2やコンデンサC1、C2などの比較的小型の回路素子は、少量のはんだによってプリント配線板61に実装されることになる。はんだの温度が変動すると、溶けた状態および固まった状態の状態遷移が繰り返され、クラックが生じるおそれがある。特に、少量のはんだの場合、クラックの問題は顕著に表れる。従って、少量のはんだによりプリント配線板61に取り付けられた抵抗R1、R2やコンデンサC1、C2が、主トランジスタTr1、Tr2の発熱の影響を受けると、はんだにクラックが生じて断線などの問題に繋がる可能性がある。
このような問題の対策として、本実施形態では、放熱パターン62と抵抗R2を接続する接続ランド45、48との間に挿入パターン63を設け、放熱パターン35とコンデンサC2を接続する接続ランド67、69との間に挿入パターン70を設けている。挿入パターン63、70は、いずれもGNDパターンである。このような構成によれば、主トランジスタTr1、Tr2の各コレクタ端子32、33から直接放射される熱または放熱パターン62、35を通じて間接的に放射される熱が、挿入パターン63、70を通じて放熱される。従って、抵抗R2およびコンデンサC2と、その接続ランド45、48、67、69とに対する主トランジスタTr1、Tr2の発熱による影響が抑制され、はんだクラックなどの問題の発生が未然に防止される。
また、挿入パターン63、70は、グランド線11の電位を持つGNDパターンにより構成され、それぞれビア64〜66、71〜73を通じて、内層である第2層L2および外層である第4層L4に接続されている。そのため、第1の実施形態のおける挿入パターン49と同様、挿入パターン63、70による放熱作用(空冷作用)が一層向上することになり、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱が一層効率よく放熱される。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、上記各実施形態と異なる部分を主体として、図6を参照しながら説明する。
図6は、第1の実施形態における図2相当図である。本実施形態のプリント配線板81は、第1の実施形態のプリント配線板31に対し、挿入パターン82を備えている点が異なる。
以下、本発明の第3の実施形態について、上記各実施形態と異なる部分を主体として、図6を参照しながら説明する。
図6は、第1の実施形態における図2相当図である。本実施形態のプリント配線板81は、第1の実施形態のプリント配線板31に対し、挿入パターン82を備えている点が異なる。
挿入パターン82(第2挿入パターンに相当)は、放熱パターン34の左側部に隣接する左部82aと、放熱パターン35の右側部に隣接する右部82bと、左部82aおよび右部82bの上端部同士を結ぶように延びる上部82cとから構成されている。挿入パターン82は、挿入パターン49と同様、グランド線11の電位(0V)を持つ。すなわち、挿入パターン82は、いわゆるGNDパターンであり、放熱パターン34、35と電気的に接続されていない。また、本実施形態では、第1層L1において、挿入パターン82は、挿入パターン49と一体的に形成されている。なお、挿入パターン82は、第1層L1において、挿入パターン49と分離して形成してもよい。
上記したように、挿入パターン82は、放熱パターン34、35の周囲に隣接して配置されている。このような構成によれば、主トランジスタTr1、Tr2から直接的に放射される熱および放熱パターン34、35を通じて間接的に周囲に放射される熱が、挿入パターン49に加え、さらに挿入パターン82を通じて放熱されることになる。つまり、主トランジスタTr1、Tr2から発生する熱が、その周囲全体に(放射状に)放熱される。従って、本実施形態によれば、シリーズレギュレータ4、5により発生する熱をより一層効率よく放熱することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
電源装置3は、3つ以上のシリーズレギュレータを多段接続した構成であってもよい。その場合、3つ以上の主トランジスタに対応する各放熱パターンのうち、少なくともいずれか2つの放熱パターン同士の間に第1挿入パターンが配置されればよい。
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
電源装置3は、3つ以上のシリーズレギュレータを多段接続した構成であってもよい。その場合、3つ以上の主トランジスタに対応する各放熱パターンのうち、少なくともいずれか2つの放熱パターン同士の間に第1挿入パターンが配置されればよい。
シリーズレギュレータは、主トランジスタとしてPNP形バイポーラトランジスタを用いる構成に限らずともよい。例えば、主トランジスタとしてNPN形バイポーラトランジスタを用いた構成、Nチャネル型MOSFETを用いた構成、Pチャネル型MOSFETを用いた構成などでもよい。主トランジスタとしては、チップで発生した熱をパッケージ外部に伝達するための放熱フィンを備えた構成であればよい。なお、MOSFETの場合、放熱フィンに接続される端子はドレイン端子となる。
第1〜第3挿入パターンは、グランド線11の電位(0V)を持つ、いわゆるGNDパターンに限らずともよい。第1〜第3挿入パターンは、電源線7、9、16などの電位を持つ、いわゆる電源パターンであってもよい。すなわち、第1〜第3挿入パターンは、プリント配線板上において占める面積が比較的多いパターンにより構成するとよい。また、第1〜第3挿入パターンは、各種の信号が供給される導体パターンにより構成してもよい。つまり、第1〜第3挿入パターンは、放熱パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンにより構成されていればよい。
第1〜第3挿入パターンは、少なくとも1つのビアを通じて、第1層L1とは異なる他の層(第2層L2〜第4層L4)の少なくとも1つの層に接続される構成であってもよい。また、第1〜第3挿入パターンは、他の層(第2層L2〜第4層L4)に接続されない構成であってもよい。その場合、ビアは不要となる。第1〜第3挿入パターンの形状は、上記各実施形態において示したものに限らずともよい。
シリーズレギュレータの回路素子が搭載されるプリント配線板の層数は、4層に限らない。例えば、プリント配線板は、片面基板や両面基板でもよいし、6層以上有する基板でもよい。
電源装置3は、車両に搭載されるECU1に限らず、その他の装置に用いることも可能である。
電源装置3は、車両に搭載されるECU1に限らず、その他の装置に用いることも可能である。
図面中、1はECU(車両用電子制御装置)、3は電源装置、4、5はシリーズレギュレータ、7は入力電源線、9は出力電源線(入力電源線)、10、17は電源制御回路、16は出力電源線、31、61、81はプリント配線板、32、33は放熱フィン(コレクタ端子)、34、35は放熱パターン、45、48、67、69は接続ランド、49は挿入パターン(第1挿入パターン)、50〜52、64〜66、71〜73はビア、63、70は挿入パターン(第3挿入パターン)、82は挿入パターン(第2挿入パターン)、C2はコンデンサ(回路素子)、R2は抵抗(回路素子)、主トランジスタTr1、Tr2を示す。
Claims (8)
- 多段接続されたシリーズレギュレータを備えた電源装置であって、
前記シリーズレギュレータは、それぞれが、プリント配線板上に搭載されており、入力電源線および出力電源線の間に直列に介在する主トランジスタと、前記入力電源線を通じて与えられる入力電圧を降圧した出力電圧が前記出力電源線を通じて出力されるように前記主トランジスタの導通状態を制御する電源制御回路とを備え、
前記主トランジスタは、それぞれが、チップで発生する熱を外部に伝達するための放熱フィンを備え、
所定段の前記シリーズレギュレータを構成する前記主トランジスタの前記放熱フィンに接続される端子を接続するために前記プリント配線板に形成される導体パターンである放熱パターンと、前記所定段とは異なる段の前記シリーズレギュレータを構成する前記主トランジスタの前記放熱フィンに接続される端子を接続するために前記プリント配線板に形成される導体パターンである放熱パターンとの間に、前記放熱パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンである第1挿入パターンが設けられていることを特徴とする電源装置。 - 前記第1挿入パターンは、前記プリント配線板上において占める面積が比較的多いパターンであることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
- 前記第1挿入パターンは、ビアを通じて、その第1挿入パターンが形成された層とは異なる他の層に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
- 前記第1導体パターンは、ビアを通じて、その第1パターンが形成された層とは異なる他の外層に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電源装置。
- 前記放熱パターンの周囲に隣接して配置されるとともに、その放熱パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンである第2挿入パターンが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電源装置。
- 前記放熱パターンと、前記シリーズレギュレータを構成するための回路素子のうち前記主トランジスタに比べて小さい回路素子を接続するための導体パターンである接続ランドとの間に、その導体パターンと電気的に接続されていない他の導体パターンである第3挿入パターンが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の電源装置。
- 前記第3挿入パターンは、ビアを通じて、その第3挿入パターンが形成された層とは異なる他の層に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
- 請求項1〜7のいずれか一つに記載された電源装置を備えていることを特徴とする車両用電子制御装置。
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