JP2013002434A - エンジンの冷却系および制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】開弁温度を正確に推定することが可能なエンジンの冷却系を提供する。
【解決手段】エンジンの冷却系は、冷却水通路と、冷却水通路に設けられた冷却水の水温センサと、冷却水通路に設けられ、サーモワックスとサーモワックスを加熱する加熱部とを含む切替弁と、切替弁の開閉を制御するECUとを備える。ECUは、水温センサにより検出された水温がピークになる時刻H1から予め設定された時間Fをさかのぼることにより切替弁の開弁時刻H3を推定し、その開弁時刻H3におけるサーモワックスの温度を切替弁の開弁温度と推定するように構成されている。
【選択図】図10

Description

本発明は、切替弁を備えるエンジンの冷却系および切替弁の制御装置に関する。
従来、冷却水通路と、冷却水通路内において冷却水を循環させるウォータポンプと、冷却水通路内において循環する冷却水を冷却するラジエータとを備えたエンジンの冷却系が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1には、エンジンの冷却水通路(ウォータジャケット)、ラジエータ、ウォータポンプの順に冷却水が循環される冷却水循環回路が設けられたエンジン冷却システムが開示されている。冷却水循環回路には、ラジエータと並列にバイパス流路が設けられている。また、エンジン冷却システムには、冷却水の温度に応じて開閉するバルブを有する電子サーモスタット(切替弁)が設けられている。
そして、このエンジン冷却システムでは、冷却水の温度が所定温度よりも低いときには、電子サーモスタットのバルブが閉弁することにより、ウォータジャケットからの冷却水がバイパス流路に流れることによって、冷却水の温度が速やかに上昇されてエンジンの暖機が促進される。その後、冷却水の温度が所定温度よりも高くなったときには、電子サーモスタットのバルブが開弁することにより、ウォータジャケットからの冷却水がラジエータに流れることによって、冷却水の温度が適正な範囲に調整されてエンジンのオーバーヒートが防止される。
なお、電子サーモスタットは、サーモワックスと、サーモワックスを加熱するヒータとを含み、サーモワックスの温度変化に起因する膨張・収縮によりバルブが開閉するように構成されている。電子サーモスタットでは、ECU(制御装置)により制御されるヒータの通電電力によって、バルブが開弁する冷却水の温度が調節されている。
ここで、電子サーモスタットが経時変化した場合には、ヒータ通電電力が同じでもバルブのリフト量が変化して、冷却水の水温を目標の値に精度よく制御できなくなるという不都合があった。
そこで、特許文献1のエンジン冷却システムでは、ヒータ通電電力を補正して、バルブのリフト量の変化を打ち消すことによって、冷却水の水温を目標の値に精度よく制御できるように構成されている。
特開2011−21482号公報
しかしながら、特許文献1に開示された従来のエンジン冷却システムでは、バルブのリフト量の変化を打ち消す補正をすることが可能であるが、電子サーモスタットが経時変化した場合には、バルブの開弁温度も変化するという問題点がある。たとえば、特許文献1のエンジン冷却システムにおいて、経時変化によりバルブの開弁温度が高くなった場合には、電子サーモスタットが開弁しにくいので、ラジエータによる冷却水の冷却の開始が遅くなり、冷却水の温度が想定以上に高くなってしまうという問題点がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、開弁温度を正確に推定することが可能なエンジンの冷却系および制御装置を提供することである。
本発明によるエンジンの冷却系は、冷却水通路と、冷却水通路に設けられた冷却水の水温センサと、冷却水通路に設けられ、サーモワックスとサーモワックスを加熱する加熱部とを含む切替弁と、切替弁の開閉を制御する制御装置とを備える。制御装置は、水温センサにより検出された水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより切替弁の開弁時刻を推定し、その開弁時刻におけるサーモワックスの温度を切替弁の開弁温度と推定するように構成されている。
このように構成することによって、水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより切替弁の開弁時刻を推定し、その開弁時刻におけるサーモワックスの温度を切替弁の開弁温度と推定することにより、開弁時刻におけるサーモワックスの温度を推定することができるので、開弁温度を正確に推定することができる。
上記エンジンの冷却系において、冷却水通路内において冷却水を循環させるためのウォータポンプを備え、冷却水通路は、ウォータジャケットを含み、予め設定された時間は、ウォータジャケットのシリンダヘッドに設けられた部分の中央部から水温センサが配置される位置までの容積と、ウォータポンプから吐出される冷却水の流量とに基づいて設定されていてもよい。
このように構成すれば、水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより、容易に、切替弁の開弁時刻を推定することができる。
上記エンジンの冷却系において、制御装置は、サーモワックスの温度を推定するワックス温度推定部と、切替弁への開弁要求がされた後に、水温センサにより検出された水温がピークになる時刻を算出するピーク時刻算出部と、ピーク時刻算出部の算出結果から予め設定された時間をさかのぼることにより切替弁の開弁時刻を推定する開弁時刻推定部と、開弁時刻推定部により推定された開弁時刻における、ワックス温度推定部により推定されたサーモワックスの温度を、切替弁の開弁温度と推定する開弁温度推定部とを含んでいてもよい。
このように構成すれば、ワックス温度推定部により、サーモワックスの温度を推定するとともに、ピーク時刻算出部および開弁時刻推定部により、開弁時刻を推定することができる。そして、開弁温度推定部により、開弁時刻推定部により推定された開弁時刻における、ワックス温度推定部により推定されたサーモワックスの温度を、切替弁の開弁温度と推定することができる。
上記ピーク時刻算出部を含む制御装置を備えるエンジンの冷却系において、ピーク時刻算出部は、水温センサによる検出結果の時間に対する水温の変化率を算出し、変化率がゼロになる時刻を水温がピークになる時刻であると判断するように構成されていてもよい。
このように構成すれば、ピーク時刻算出部により、水温がピークになる時刻を容易に判断することができる。
この場合において、ピーク時刻算出部は、変化率が規定値を超えた場合に、変化率がゼロになる時刻を探索するように構成されていてもよい。
このように構成すれば、切替弁が開弁されたことを検出した後に、水温がピークになる時刻を探索することができる。
上記開弁温度推定部を含む制御装置を備えるエンジンの冷却系において、制御装置は、サーモワックスの温度の目標値を設定する目標値設定部と、サーモワックスの温度が目標値になるように加熱部への通電を制御する通電制御部とを含み、目標値設定部は、切替弁への開弁要求がされたときの目標値を、開弁温度推定部により推定された開弁温度に設定するように構成されていてもよい。
このように構成すれば、経時変化により開弁温度が変化した場合や、開弁温度に製品ばらつきがある場合にも、開弁要求がされたときの目標値を適切に設定することができる。
上記ワックス温度推定部を含む制御装置を備えるエンジンの冷却系において、ワックス温度推定部は、加熱部からサーモワックスに伝えられる熱量とサーモワックスから周囲に放出される熱量とに基づいてサーモワックスの受熱量を算出し、受熱量とサーモワックスの熱容量とに基づいてサーモワックスの温度変化量を算出し、温度変化量に基づいてサーモワックスの温度を推定するように構成されていてもよい。
このように構成すれば、ワックス温度推定部により、サーモワックスの温度を容易に推定することができる。
上記ウォータポンプを備えるエンジンの冷却系において、制御装置は、切替弁への開弁要求をするときに、ウォータポンプを最大出力で駆動させるように構成されていてもよい。
このように構成すれば、時間に対する水温の変化率を大きくすることができる。
また、本発明による制御装置は、冷却水通路と、冷却水通路に設けられた冷却水の水温センサと、冷却水通路に設けられ、サーモワックスとサーモワックスを加熱する加熱部とを含む切替弁とを備えるエンジンの冷却系に設けられている。制御装置は、切替弁の開閉を制御する制御装置であって、水温センサにより検出された水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより切替弁の開弁時刻を推定し、その開弁時刻におけるサーモワックスの温度を切替弁の開弁温度と推定するように構成されている。
このように構成することによって、水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより切替弁の開弁時刻を推定し、その開弁時刻におけるサーモワックスの温度を切替弁の開弁温度と推定することにより、開弁時刻におけるサーモワックスの温度を推定することができるので、開弁温度を正確に推定することができる。
本発明のエンジンの冷却系および制御装置によれば、開弁温度を正確に推定することができる。
本発明を適用するエンジンの冷却系の一例を示す概略構成図である。 図1の冷却系に用いる切替弁の構造を示す断面図である。なお、(A)では切替弁の閉弁状態を示し、(B)では切替弁の開弁状態を示している。 図1のエンジンの冷却系において、冷間中に冷却水通路を循環する冷却水の流れを示す図(A)、及び、エンジン半暖機状態のときに冷却水通路を循環する冷却水の流れを示す図(B)を併記して示す図である。 図1のエンジンの冷却系においてエンジン完全暖機時に冷却水路を循環する冷却水の流れを示す図である。 図1のエンジンの冷却系に用いるECUの構成を示した機能ブロック図である。 図1のエンジンの冷却系に用いる切替弁のサーモワックスの熱モデルを説明するための図である。 図6のサーモワックスの受熱量と、ワックス温度および切替弁開度との関係を示したグラフである。 図1のエンジンの冷却系に用いるECUによるワックス温度推定処理を説明するためのフローチャートである。 図1のエンジンの冷却系に用いるウォータジャケット内の冷却水の温度分布を説明するための図である。 図1のエンジンの冷却系において、開弁した際のエンジン水温センサの検出温度を示す図(a)、及び、その検出温度を時間微分した結果を示す図(b)を併記して示す図である。 図1のエンジンの冷却系に用いるECUによる開弁制御処理を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明を適用するエンジン1の冷却系(エンジン内水停止冷却系)について図1を参照して説明する。
この例の冷却系は、電動ウォータポンプ(電動WP)2、ラジエータ3、サーモスタット4、ヒータ5、排気熱回収器6、EGRクーラ7、切替弁10、及び、これら機器に冷却水を循環する冷却水通路200などを備えている。
冷却水通路200は、冷却水(例えばLLC:Long Life Coolant)を、エンジン1、ラジエータ3及びサーモスタット4を経由して循環させるエンジン冷却水通路201と、冷却水を、EGRクーラ7、排気熱回収器6、ヒータ5及びサーモスタット4を経由して循環させるヒータ通路202とを備えている。そして、この例では、これらエンジン冷却水通路201とヒータ通路202との冷却水循環に、1台の電動ウォータポンプ2を併用している。
エンジン1は、コンベンショナル車両やハイブリッド車両などに搭載されるガソリンエンジンやディーゼルエンジン等であって、シリンダブロック及びシリンダヘッドにウォータジャケット30(図9参照)が設けられている。すなわち、冷却水通路200は、ウォータジャケット30を含んでいる。エンジン1には、冷却水出口(ウォータジャケット30の出口)1bの水温を検出するエンジン水温センサ21が配置されている。また、エンジン1の吸気通路には、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ23、及び、エンジン1への吸入空気量を検出するエアフロメータ24が配置されている。さらに、エンジン1には、出力軸であるクランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ25が配置されている。これらエンジン水温センサ21、吸気温センサ23、エアフロメータ24、及び、エンジン回転数センサ25の各出力信号はECU(Electronic Control Unit)300に入力される。
電動ウォータポンプ2は、電動モータの回転数を制御することにより吐出流量(吐出圧)を可変に設定することが可能なウォータポンプであって、吐出口がエンジン1の冷却水入口(ウォータジャケット30の入口)1aに連通するように配設されている。電動ウォータポンプ2の作動はECU300によって制御される。なお、電動ウォータポンプ2は、エンジン1の始動に伴って駆動され、エンジン1の運転状態等に応じて吐出流量が制御される。
サーモスタット4は、例えば感温部のサーモワックスの膨張・収縮によって作動する弁装置であって、冷却水温が比較的低い場合は、ラジエータ3と電動ウォータポンプ2との間の冷却水通路を遮断してラジエータ3(エンジン冷却水通路201)に冷却水を流さないようになっている。一方、エンジン1の暖機完了後、すなわち冷却水温度が比較的高い場合には、その冷却水温に応じてサーモスタット4が作動(開弁)してラジエータ3に冷却水の一部が流れることにより、冷却水が回収した熱がラジエータ3から大気に放出される。なお、この例において、サーモスタット4は、ワックス温度が、後述する切替弁10の開弁温度(例えば70℃)よりも高い温度(例えば82℃以上)になったときに開弁するように設定されている。
ヒータ通路202は、エンジン1をバイパスするバイパス通路である。ヒータ通路202には、冷却水流れの上流側から、EGRクーラ7、排気熱回収器6、及び、ヒータ5が
直列に接続されており、電動ウォータポンプ2から吐出した冷却水が、[EGRクーラ7→排気熱回収器6→ヒータ5→サーモスタット4→電動ウォータポンプ2]の順で循環する。ヒータ通路202には、EGRクーラ7と排気熱回収器6との間にヒータ接続通路202aが接続されている。このヒータ接続通路202aは切替弁10を介してエンジン1の冷却水出口(ウォータジャケット30の出口)1bに接続されている。切替弁(制御弁)10はヒータ接続通路202aを開閉する。切替弁10の詳細については後述する。
ヒータ5は、冷却水の熱を利用して車室内を暖房するための熱交換器であって、エアコンディショナの送風ダクトに臨んで配置されている。つまり、車室内の暖房時(ヒータon時)には送風ダクト内を流れる空調風をヒータ5(ヒータコア)に通過させて温風として車室内に供給する一方、それ以外(例えば冷房時)のとき(ヒータoff時)には空調風がヒータ5をバイパスするようになっている。ヒータ5には、ヒータ入口水温センサ22が配置されている。このヒータ入口水温センサ22の出力信号はECU300に入力される。なお、ヒータ5の入口水温は、ヒータ通路202(バイパス通路)を流れる冷却水の温度と同等である。
排気熱回収器6は、エンジン1の排気通路に配置され、排気ガスの熱を冷却水によって回収するための熱交換器であって、その回収した熱はエンジン暖機や車室内暖房などに利用される。EGRクーラ7は、エンジン1の排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路に還流させるEGR通路に配置され、このEGR通路を通過(還流)するEGRガスを冷却するための熱交換器である。
−切替弁−
次に、上記冷却系に用いる切替弁10について図2を参照して説明する。
この例の切替弁10は、ハウジング11、弁体12、圧縮コイルばね13、及び、感温部14などを備えている。
ハウジング11には、図1に示すエンジン1の冷却水出口(ウォータジャケット30の出口)1bに接続される冷却水入口11a、ラジエータ3に接続されるラジエータ接続口11b、及び、ヒータ接続口11cが設けられている。このヒータ接続口11cは、図1に示すヒータ接続通路202aを介してヒータ通路202に接続される。
ハウジング11の内部には、バルブシート(弁座)111とばね座112とが互いに対向する状態で設けられている。これらバルブシート111とばね座112との間の空間(弁体12の上流側の空間)が水導入部11dとなっている。この水導入部11dに上記冷却水入口11aが連通しており、その水導入部11dを介してラジエータ接続口11bが冷却水入口11aに連通している。また、弁体12の下流側の空間が水導出部11eとなっており、この水導出部11eに上記ヒータ接続口11cが連通している。
弁体12は、上記ハウジング11の内部で上記バルブシート111とばね座112との間に、そのバルブシート111に対し接離可能に配設されている。この弁体12と後述する感温部14のケース141とは一体化されている。また、弁体12とばね座112との間には圧縮コイルばね13が挟み込まれており、その圧縮コイルばね13の弾性力によって弁体12がバルブシート111に向けて付勢されている。
感温部(感温アクチュエータ)14はケース141及びロッド142を備えている。ロッド142は、弁体12の開閉方向に沿って延びる棒状の部材であって、ケース141に
摺動自在に配設されている。ロッド142は弁体12を貫通しており、このロッド142に対し弁体12が開閉方向に摺動可能となっている。また、ロッド142の先端部はハウジング11の壁体11f(冷却水入口11aとは反対側の壁体)を貫通しており、その先端部がロッド保持部材16によって保持されている。
感温部14のケース141内には、温度変化によって膨張・収縮するサーモワックス143が充填されており、このサーモワックス143の膨張・収縮によりロッド142のケース141に対する突出量が変化するようになっている。なお、サーモワックス143はゴム等からなるシール材144内に収容されている。
そして、以上の構造の切替弁10において、ワックス温度(サーモワックス143の温度)が所定値(この例では70℃)よりも低いときには、ケース141からのロッド142の突出量が小さい(ケース141内へのロッド142の没入量が大きい)状態となり、弁体12がバルブシート111に圧縮コイルばね13の弾性力によって着座(閉弁)する(図2(A))。このような閉弁状態から、ワックス温度が上記所定値以上(70℃以上)になると、感温部14のサーモワックス143が膨張する。このサーモワックス143の膨張により、ケース141からのロッド142の突き出し量が大きくなって、感温部14の全体つまり弁体12が圧縮コイルばね13の弾性力に抗してバルブシート111から離れる向きに移動して弁体12がバルブシート111から離座(開弁)する(図2(B))。
このように、この例の切替弁10は、ワックス温度が所定値(70℃)よりも低いときには閉弁状態となり、図1に示すエンジン1の冷却水出口1b(エンジン冷却水通路201)とヒータ通路202とが遮断される(エンジン冷却水通路とバイパス通路との冷却水の循環が制限される)。一方、ワックス温度が所定値以上(70℃以上)であるときには開弁状態となり、図1に示すエンジン1の冷却水出口1b(エンジン冷却水通路201)とヒータ通路202とが連通する。なお、冷却水入口11aとラジエータ接続口11bとは連通しているが、図1に示すサーモスタット4が閉弁状態であるときには、冷却水入口11aに流入した冷却水はラジエータ接続口11bには流れない。
ここで、この例の切替弁10においては、感温部14の内部に電気ヒータ15が埋め込まれており、この電気ヒータ15への通電により発生する熱によってワックス温度を制御することが可能である。また、切替弁10の電気ヒータ15は切替弁コントローラ(図示せず)によって作動される。なお、電気ヒータ15は、本発明の「加熱部」の一例である。また、電気ヒータ15への通電はECU300により制御されており、そのECU300による切替弁10の制御については後で詳細に説明する。
−冷却系の動作説明−
図1に示すエンジン1の冷却系の冷却水通路を循環する冷却水の流れについて図3及び図4を参照して説明する。
まず、冷間中は、切替弁10の感温部14の周辺水温が低い(70℃未満)ので切替弁10が閉弁状態となり、エンジン1内(ウォータジャケット30内)の冷却水の流通が停止される(エンジン内水停止)。これによりエンジン1が早期に暖機される。また、切替弁10が閉弁状態のときには、図3(A)に示すように、電動ウォータポンプ2の作動によりヒータ通路202内に冷却水が循環し、冷却水が[電動ウォータポンプ2→EGRクーラ7→排気熱回収器6→ヒータ5→サーモスタット4→電動ウォータポンプ2]の順で流れる。このような早期暖機中に、暖房の要求があるときには、排気熱回収器6にて回収した熱にてヒータ5に必要な熱量を賄うようにすればよい。
次に、エンジン1が半暖機状態になり、開弁要求がなされ、ワックス温度が所定以上(70℃以上)になると切替弁10が開弁する。切替弁10が開弁すると、図3(B)に示すように、上記ヒータ通路202内の冷却水循環に加えて、冷却水が、[電動ウォータポンプ2→エンジン1の冷却水入口1a→エンジン1内(ウォータジャケット30内)→エンジン1の冷却水出口1b→切替弁10→ヒータ接続通路202a]の順で流れてエンジン1が冷却される。また、切替弁10が開弁状態になると、エンジン冷却水通路201内(エンジン1内)の冷却水とヒータ通路(バイパス通路)202内の冷却水とが混合される。
そして、エンジン1が完全暖機状態になると、図4に示すように、サーモスタット4が作動(開弁)してラジエータ3に冷却水の一部が流れるようになり、冷却水が回収した熱がラジエータ3から大気に放出される。
−ECU−
次に、ECU300について説明する。ECU300は、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備えている。ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
ECU300には、上記エンジン水温センサ21、吸気温センサ23、エアフロメータ24、エンジン回転数センサ25を含むエンジン1の運転状態を検出する各種センサが接続されている。また、ECU300にはヒータ入口水温センサ22及びイグニッションスイッチ(図示せず)等が接続されている。
ECU300は、切替弁10の開閉を制御するように構成されている。具体的には、ECU300は、図5に示すように、ワックス温度推定部301と、ピーク時刻算出部302と、開弁時刻推定部303と、開弁温度推定部304と、目標値設定部305と、通電制御部306と、記憶部307とを含んでいる。なお、ワックス温度推定部301、ピーク時刻算出部302、開弁時刻推定部303、開弁温度推定部304、目標値設定部305および通電制御部306は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより実現される。また、記憶部307は、ROM、RAMおよびバックアップRAMなどにより構成されている。また、ECU300の各部については、後で詳細に説明する。
−ワックス温度の推定−
[ワックス温度推定部]
ワックス温度推定部301は、切替弁10のサーモワックス143の温度(ワックス温度)を推定する機能を有する。ワックス温度推定部301は、後述する開弁温度の推定が行われるときには、切替弁10への開弁要求がされた後に推定されたワックス温度を記憶部307に記憶するように構成されている。
ワックス温度推定部301は、たとえば、図6に示す熱モデルを用いてワックス温度の推定を行っている。図6に示す熱モデルでは、電気ヒータ15からサーモワックス143に伝えられる熱量(電気ヒータ15の投入熱量)P[W]と、サーモワックス143から冷却水に移動する熱量(周囲に放出される熱量)P_xw[W]とにより、サーモワックス143の受熱量(P−P_xw)[W]を求める。そして、その受熱量をサーモワックス143の熱容量で除算することにより、サーモワックス143の温度変化量を求める。
なお、サーモワックス143から冷却水に移動する熱量P_xwは、以下の式(1)により算出される。
P_xw=K_xw(T_x−T_w)・・・(1)
上記の式(1)において、K_xw[W/K]は、サーモワックス143から冷却水への熱伝達係数であり、T_x[K]は、サーモワックス143の推定温度である。T_w[K]は、冷却水の水温であり、エンジン水温センサ21の検出結果が用いられる。
また、この熱モデルでは、エンジン1の始動開始時におけるサーモワックス143の温度(初期ワックス温度T_xO[K])は、そのときの冷却水の温度(初期水温T_wO[K])と同じであるとみなしている。そして、サーモワックス143の推定温度T_x[K]は、初期ワックス温度T_xOに、受熱量(P−P_xw)に基づいて算出されるサーモワックス143の温度変化量を積算することにより算出される。
ここで、切替弁10(図2参照)が開閉する際に、サーモワックス143が固体−液体間で相転移を起こす。そして、サーモワックス143は、固体状態、固液共存状態、または、液体状態になり、これらの状態に応じて熱容量が異なる。そこで、上記した温度変化量の算出には、サーモワックス143の状態に応じて、固体熱容量M_xs[J/K]、固液共存熱容量M_xsl[J/K]、または、液体熱容量M_xl[J/K]が用いられる。なお、これらの熱容量は、正確には、サーモワックス143と、サーモワックス143を収納するシール材144およびケース141とを含めた熱容量である。
そして、サーモワックス143の受熱量と、ワックス温度および切替弁開度との関係を図7に示す。図7に示すように、切替弁10は、固体−固液共存境界温度T_x1よりも若干高いワックス温度で開弁を開始し、固液共存−液体境界温度T_x2よりも若干高いワックス温度で全開となるように構成されている。なお、固体−固液共存境界温度T_x1および固液共存−液体境界温度T_x2は、対象とする切替弁10(サーモワックス143)について実験・計算などによって求めた値を用いる。
[ワックス温度推定処理]
次に、図8を参照して、ECU300のワックス温度推定部301によるワックス温度推定処理について説明する。なお、この処理は、ワックス温度推定部301により実行され、エンジン1の始動開始とともに開始される。
まず、ステップS1において、エンジン水温センサ21(図6参照)により、エンジン1の始動開始時における冷却水の温度(初期水温T_wO)が読み取られる。そして、ステップS2において、サーモワックス143の温度(初期ワックス温度T_xO)として、初期水温T_wOが設定される。すなわち、ワックス温度T_xが冷却水の水温と同じであると推定される。
次に、ステップS3において、所定の時間が経過したか否かが判断される。そして、所定の時間が経過していないと判断される場合には、ステップS3が繰り返し行われる。すなわち、ワックス温度推定部301は、所定の時間が経過するまで待機する。そして、所定の時間が経過したと判断される場合には、ステップS4に移る。なお、所定の時間は、予め設定された制御周期の一周期分の時間であり、周期的に行われるワックス温度の推定の一周期分の時間である。
次に、ステップS4において、サーモワックス143が固体状態であるか否かが判断される。具体的には、前回推定したワックス温度T_x(n-1)が固体−固液共存境界温度T_x1(図7参照)以下であるか否かが判断される。そして、サーモワックス143が固体状態であると判断される場合には、ステップS5に移る。その一方、サーモワックス143が固体状態ではないと判断される場合には、ステップS6に移る。
次に、ステップS5において、固体熱容量M_xsを用いた以下の式(2)によりワックス温度が推定される。
T_x(n)=T_x(n-1)+(P−P_xw)/M_xs・・・(2)
なお、式(2)において、T_x(n)は、今回推定されるワックス温度であり、T_x(n-1)は、前回推定されたワックス温度である。また、P−P_xwは、制御周期の間(前回ワックス温度が推定されてから今回ワックス温度が推定されるまでの間)のサーモワックス143の受熱量であり、M_xsは、固体熱容量である。すなわち、この式(2)では、前回推定されたワックス温度に、固体熱容量を用いて算出された制御周期の間の温度変化量が加算されている。その後、ステップS10に移る。
また、ステップS6において、サーモワックス143が固液共存状態であるか否かが判断される。具体的には、前回推定したワックス温度T_x(n-1)が、固体−固液共存境界温度T_x1よりも高く、かつ、固液共存−液体境界温度T_x2(図7参照)以下であるか否かが判断される。そして、サーモワックス143が固液共存状態であると判断される場合には、ステップS7に移る。その一方、サーモワックス143が固液共存状態ではないと判断される場合には、ステップS8に移る。
次に、ステップS7において、固液共存熱容量M_xslを用いた以下の式(3)によりワックス温度が推定される。
T_x(n)=T_x(n-1)+(P−P_xw)/M_xsl・・・(3)
この式(3)では、前回推定されたワックス温度に、固液共存熱容量を用いて算出された制御周期の間の温度変化量が加算されている。その後、ステップS10に移る。
また、ステップS8において、サーモワックス143が液体状態であるか否かが判断される。具体的には、前回推定したワックス温度T_x(n-1)が、固液共存−液体境界温度T_x2よりも高いか否かが判断される。そして、サーモワックス143が液体状態であると判断される場合には、ステップS9に移る。その一方、サーモワックス143が液体状態ではないと判断される場合には、ステップS4に戻り、サーモワックス143の状態が再度確認される。
次に、ステップS9において、液体熱容量M_xlを用いた以下の式(4)によりワックス温度が推定される。
T_x(n)=T_x(n-1)+(P−P_xw)/M_xl・・・(4)
この式(4)では、前回推定されたワックス温度に、液体熱容量を用いて算出された制御周期の間の温度変化量が加算されている。その後、ステップS10に移る。
そして、ステップS10において、ワックス温度の推定が終了されたか否かが判断される。そして、ワックス温度の推定が終了されていないと判断される場合には、ステップS3に戻る。これにより、ワックス温度の推定が終了されたと判断されるまで、上記したステップS3〜S9が繰り返し行われる。そして、ワックス温度の推定が終了されたと判断される場合には、ワックス温度推定処理が終了される。
−開弁時刻の推定−
開弁時刻の推定は、たとえば、60トリップまたは1ヶ月に一度行われる。すなわち、後述する開弁温度の推定も、たとえば、60トリップまたは1ヶ月に一度行われる。これにより、切替弁10の開弁温度の推定が定期的に実行される。
[閉弁時のウォータジャケット内の冷却水の温度分布]
まず、図9を参照して、切替弁10(図3(A)参照)が閉弁しているときにおけるウォータジャケット30内の冷却水の状態について説明する。なお、図9におけるウォータジャケット30は、ウォータジャケット30内に位置する冷却水の温度分布を説明するために概念的に示したものであり、実際の構造とは異なる。
エンジン1が始動開始された後、切替弁10が閉弁しているとき(冷間中)には、サーモスタット4(図3(A)参照)も閉弁しており、ウォータジャケット30内の冷却水が停止された状態になる。このとき、エンジン1が駆動されることにより、ウォータジャケット30内の冷却水の温度が上昇し、早期に暖機される。
ここで、エンジン1から発生する熱に偏りがあることに起因して、図9に示すように、ウォータジャケット30内の冷却水の温度には偏りが生じる。具体的には、ウォータジャケット30のシリンダヘッドに設けられた部分31に位置する冷却水は、ウォータジャケット30のシリンダブロックに設けられた部分32に位置する冷却水に比べて高温になる。また、シリンダヘッドに設けられた部分31に位置する冷却水では、中央部31aに位置する冷却水が両端部に位置する冷却水に比べて高温になる。すなわち、第2気筒#2と第3気筒#3との間に位置する冷却水の温度が高温になる。
そして、切替弁10が開弁されると、シリンダヘッドに設けられた部分31に位置していた冷却水に続いて、シリンダブロックに設けられた部分32に位置していた冷却水がエンジン1の冷却水出口1b(図3(B)参照)を通過する。なお、シリンダヘッドに設けられた部分31に位置していた冷却水においては、第4気筒#4近傍の冷却水、第3気筒#3近傍の冷却水、第2気筒#2近傍の冷却水、および第1気筒#1近傍の冷却水が順に冷却水出口1bを通過する。
これにより、切替弁10が開弁されると、冷却水通路200において冷却水出口1bの近傍に設けられたエンジン水温センサ21には、図10(a)に示すような温度変化が検出される。
[開弁した際のエンジン水温センサの検出結果]
図10(a)に示すように、切替弁10が開弁されてから、シリンダヘッドに設けられた部分31の第4気筒#4近傍および第3気筒#3近傍に位置していた冷却水が冷却水出口1bを通過することにより、エンジン水温センサ21により検出される水温(検出温度thw)が上昇する。その後、第3気筒#3と第2気筒#2との間(シリンダヘッドに設けられた部分31の中央部31a)に位置していた冷却水が冷却水出口1bを通過することにより、エンジン水温センサ21により検出される水温が時刻H1においてピークになる。そして、第2気筒#2近傍および第1気筒#1近傍に位置していた冷却水が冷却水出口1bを通過することにより、エンジン水温センサ21により検出される水温が低下する。その後、シリンダブロックに設けられた部分32に位置していた冷却水が冷却水出口1bを通過することにより、エンジン水温センサ21により検出される水温が開弁前よりも低下する。
[ピーク時刻算出部]
ピーク時刻算出部302(図5参照)は、切替弁10(図1参照)への開弁要求がされた後に、エンジン水温センサ21により検出された水温がピークになる時刻H1を算出する機能を有する。すなわち、ピーク時刻算出部302は、ウォータジャケット30のシリンダヘッドに設けられた部分31の中央部31a(図9参照)に位置していた冷却水がエンジン水温センサ21を通過した時間を特定する機能を有する。
具体的には、ピーク時刻算出部302は、エンジン水温センサ21の検出温度thwに基づいて、図10(b)に示すような時間に対する水温の変化率[℃/sec]を算出する。すなわち、ピーク時刻算出部302は、エンジン水温センサ21の検出温度thwを時間微分する。そして、ピーク時刻算出部302は、その変化率が規定値(たとえば、−1.5℃/sec)Vを超えた場合に、エンジン水温センサ21の検出温度thwが急下降したと判断する。これにより、ピーク時刻算出部302は、切替弁10が開弁したと判断する。そして、ピーク時刻算出部302は、検出温度thwが急下降したと判断した場合に、その直前において変化率がゼロになる時刻H2を探索する。そして、ピーク時刻算出部302は、変化率がゼロになる時刻H2を特定し、その時刻H2を水温がピークになる時刻H1であると判断する。なお、規定値Vは、記憶部307(図5参照)に記憶されており、電動ウォータポンプ2(図1参照)の出力やウォータジャケット30内に位置する冷却水の温度などに基づいて予め設定されている。
[開弁時刻推定部]
開弁時刻推定部303(図5参照)は、ピーク時刻算出部302の算出結果から予め設定された時間Fをさかのぼることにより開弁時刻H3を推定する機能を有する。すなわち、開弁時刻推定部303は、ウォータジャケット30のシリンダヘッドに設けられた部分31の中央部31a(図9参照)に位置していた冷却水が流れ始めた時間を特定することにより、開弁時刻H3を推定する機能を有する。
ここで、予め設定された時間Fは、記憶部307に記憶されており、ウォータジャケット30のシリンダヘッドに設けられた部分31の中央部31aからエンジン水温センサ21が配置される位置までの容積と、電動ウォータポンプ2から吐出される冷却水の流量(切替弁10が開弁されてから水温がピークになる時刻H1までの流量)とに基づいて設定されている。たとえば、容積が380mlであり、流量が190ml/secであれば、予め設定された時間Fは2secである。なお、電動ウォータポンプ2は、開弁時刻の推定が行われるときには、切替弁10への開弁要求がされたときに、最大出力で駆動される。
−開弁温度の推定−
開弁温度推定部304(図5参照)は、開弁時刻推定部303(図5参照)により開弁時刻H3が推定された場合に、記憶部307(図5参照)に記憶されたワックス温度から開弁時刻H3におけるワックス温度を抽出して、そのワックス温度を開弁温度と推定する機能を有する。すなわち、開弁温度推定部304は、開弁時刻推定部303により推定された開弁時刻H3における、ワックス温度推定部301(図5参照)により推定されたワックス温度を、切替弁10の開弁温度と推定する機能を有する。
そして、開弁温度推定部304は、推定した開弁温度を記憶部307に記憶するように構成されている。なお、記憶部307には、開弁温度の初期値として、たとえば、70℃が記憶されており、その値が推定された開弁温度に更新されていく。
−ECUによる切替弁制御−
[目標値設定部]
目標値設定部305(図5参照)は、サーモワックス143(図2参照)の温度の目標値を設定する機能を有する。目標値設定部305は、開弁要求がされたときの目標値を記憶部307に記憶された開弁温度(開弁温度推定部304により推定された開弁温度)に設定するように構成されている。
[通電制御部]
通電制御部306は、サーモワックス143の温度(ワックス温度推定部301により推定されるワックス温度)が目標値設定部305により設定された目標値になるように電気ヒータ15(図2参照)への通電を制御する機能を有する。具体的には、通電制御部306は、ワックス温度推定部301により推定されたワックス温度が目標値よりも低い場合に電気ヒータ15への通電を行い、ワックス温度推定部301により推定されたワックス温度が目標値よりも高い場合に電気ヒータ15への通電を行わないように構成されている。なお、通電制御部306は、上記した切替弁コントローラ(図示省略)を制御することにより、電気ヒータ15の投入熱量P(図6参照)を制御するように構成されている。
[切替弁制御処理]
次に、図11を参照して、ECU300による切替弁制御処理について説明する。なお、この処理は、ECU300により実行され、エンジン1の始動開始とともに開始される。また、この切替弁制御処理は、上記したワックス温度推定処理と並行して行われる。
まず、エンジン1(図1参照)が始動開始されると、図11に示すように、予熱モードに設定される。予熱モード時には、目標値設定部305(図5参照)により、ワックス温度の目標値が予熱温度(たとえば、60℃)に設定される。
このとき、通電制御部306(図5参照)により、ワックス温度が予熱温度(60℃)になるように電気ヒータ15(図1参照)への通電が制御される。これにより、開弁要求がされた際に、切替弁10(図1参照)をすばやく開弁させることが可能である。
なお、予熱モード時には、切替弁10は閉弁しており、図3(A)に示すように、冷間中であり、エンジン1が暖機されている。また、予熱温度は、経時変化により低下した場合の切替弁10の開弁温度よりも低くなるように設定されている。これにより、切替弁10が経時変化した場合であっても、予熱モード時に切替弁10が開弁するのを防止することが可能である。
その後、開弁要求がされると、開弁モードに設定される。開弁モード時には、目標値設定部305により、ワックス温度の目標値が記憶部307(図5参照)に記憶された開弁温度(開弁温度推定部304により推定された開弁温度)に設定される。そして、通電制御部306により、ワックス温度が開弁温度(たとえば、70℃)になるように電気ヒータ15への通電が制御される。
たとえば、記憶部307に記憶された開弁温度(開弁温度推定部304により推定された開弁温度)が75℃であれば、通電制御部306によりワックス温度が75℃になるように電気ヒータ15への通電が制御され、記憶部307に記憶された開弁温度が65℃であれば、通電制御部306によりワックス温度が65℃になるように電気ヒータ15への通電が制御される。なお、開弁温度推定部304による開弁温度の推定が一度も行われていない場合には、開弁温度として記憶部307に記憶された初期値(たとえば、70℃)が用いられる。
なお、開弁要求は、ECU300により、所定の時間(たとえば、20秒)の経過後において、エンジン1内の冷却水の温度が所定値(たとえば、70℃)になると判断された場合に行われる。また、定期的に実行される開弁温度(開弁時刻)の推定が実行されるときである場合には、開弁要求がされた後に、電動ウォータポンプ2が最大出力で駆動され、上記した開弁温度(開弁時刻)の推定が実行される。
そして、ワックス温度が開弁温度に到達すると、水温モードに設定される。水温モード時には、目標値設定部305により、ワックス温度の目標値が切替弁10の全開温度(たとえば、83℃)まで徐々に上昇される。そして、通電制御部306により、ワックス温度が目標値になるように電気ヒータ15への通電が制御される。これにより、切替弁10が徐々に開弁されることにより、エンジン水温センサ21により検出される水温が急変するのを抑制することが可能である。
その後、保護モードに設定され、目標値設定部305により、ワックス温度の目標値が切替弁10の全開温度(83℃)に設定される。そして、通電制御部306により、ワックス温度が全開温度(83℃)になるように電気ヒータ15への通電が制御される。これにより、ワックス温度が十分に高くなったときに、過度に通電されるのを抑制することができるので、感温部14(図2参照)が劣化するのを抑制することが可能である。
−効果−
本実施形態では、上記のように、エンジン水温センサ21により検出された水温がピークになる時刻H1から予め設定された時間Fをさかのぼることにより切替弁10の開弁時刻H3を推定し、その開弁時刻H3におけるワックス温度を切替弁10の開弁温度と推定するようにECU300を構成することによって、開弁時刻H3におけるワックス温度を推定することができるので、開弁温度を正確に推定することができる。これにより、経時変化により切替弁10の開弁温度が変化した場合や、開弁温度に製品ばらつきがある場合にも、切替弁10の開弁温度を正確に推定することができる。なお、開弁温度の経時変化の原因は、たとえば、切替弁10のシール材144の劣化によるワックス漏れやワックス部への冷却水の混入である。
ここで、切替弁10の開弁温度を正確に推定することができない場合には、以下の問題が生じる。
たとえば、経時変化により開弁温度が75℃になったにもかかわらず開弁温度が70℃で切替弁が制御された場合には、開弁していないのにもかかわらずECUが開弁したと誤判断してしまう状況が生じる。この場合には、切替弁が開弁しにくいので、エンジン内(ウォータジャケット内)の冷却水が沸騰して、オーバーヒートの原因となるおそれがある。また、たとえば、経時変化により開弁温度が65℃になったにもかかわらず開弁温度が70℃で切替弁が制御された場合には、開弁してもECUが閉弁状態であると誤判断してしまう状況が生じる。この場合には、サーモワックスが不必要に加熱され、切替弁の劣化を促進してしまうとともに、冷間中にもかかわらず早期に切替弁が開くことにより、燃費改善の効果が低減されてしまう。
したがって、本実施形態では、経時変化により開弁温度が変化した場合や、開弁温度に製品ばらつきがある場合にも、切替弁10の開弁温度を正確に推定することができるので、上記のような問題が発生するのを防止することができる。
また、本実施形態では、ピーク時刻算出部302が、時間に対する水温の変化率がゼロになる時刻H2に基づいて水温がピークになる時刻H1を算出することによって、エンジン水温センサ21の検出温度thwを直接読み取る場合に比べて、ピークになる時刻H1を判断しやすくすることができる。
また、本実施形態では、エンジン水温センサ21の検出温度thwの急下降をピーク時刻算出部302が検出することによって、シリンダヘッドに設けられた部分31に位置していた冷却水と、シリンダブロックに設けられた部分32に位置していた冷却水との温度差を検出することにより、エンジン水温センサ21の検出温度thwの上昇(シリンダヘッドに設けられた部分31内に位置していた冷却水の水温変化)を検出する場合に比べて、水温の変化が大きいので、水温の変化を検出しやすくすることができる。これにより、切替弁10が開弁されたことを検出しやすくすることができる。
また、本実施形態では、電動ウォータポンプ2が、開弁時刻の推定が行われるときには、切替弁10への開弁要求がされたときに、最大出力で駆動されることによって、切替弁10が開弁された際における時間に対する水温の変化率を大きくすることができるので、水温の変化を検出しやすくすることができる。これにより、切替弁10が開弁されたことを検出しやすくすることができる。
また、本実施形態では、定期的(たとえば、60トリップまたは1ヶ月に一度)に開弁温度の推定を実行することによって、切替弁10の開弁温度が経時変化した場合にも、目標値設定部305により設定される開弁温度を適切な温度にすることができる。
また、本実施形態では、ワックス温度推定部301がサーモワックス143の状態に応じた熱容量(固体熱容量M_xs、固液共存熱容量M_xsl、または、液体熱容量M_xl)を用いてワックス温度の推定を行うことによって、同一の熱容量を用いてワックス温度の推定を行う場合に比べて、各状態に応じて適した熱容量の値を用いてワックス温度の推定を行うことができるので、ワックス温度の推定を正確に行うことができる。
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、本実施形態では、冷却水の循環に電動ウォータポンプ2を用いているが、これに限らず、機械式ウォータポンプを冷却水循環に用いてもよい。
また、本実施形態では、熱交換器としてヒータ、排気熱回収器及びEGRクーラが組み込まれた冷却系を示したが、これに限らず、ATF(Automatic Transmission fluid)ウォーマ、ATFクーラなどの熱交換器が組み込まれた冷却系に本発明を適用してもよい。
また、本実施形態では、時間に対する水温の変化率がゼロになる時刻H2に基づいて水温がピークになる時刻H1を算出する例を示したが、これに限らず、エンジン水温センサ21の検出温度thwを直接読み取ることにより、水温がピークになる時刻H1を算出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、エンジン水温センサ21の検出温度thwの急下降を検出して、その直前において変化率がゼロになる時刻H2を探索する例を示したが、これに限らず、エンジン水温センサ21の検出温度thwの上昇を検出して、その近傍において変化率がゼロになる時刻H2を探索するようにしてもよい。
また、本実施形態では、電動ウォータポンプ2が、開弁時刻の推定が行われるときには、切替弁10への開弁要求がされたときに、最大出力で駆動される例を示したが、これに限らず、水温のピークを検出可能であれば、電動ウォータポンプ2が最大出力で駆動されなくてもよい。
また、本実施形態では、開弁モードの後に、水温モードを挟んで、保護モードに設定される例を示したが、これに限らず、開弁モードの後に、水温モードを挟むことなく、直接保護モードに設定されるようにしてもよい。すなわち、切替弁10が開弁した後に、ワックス温度の目標値を徐々に上昇させることなく、ワックス温度の目標値を切替弁10の全開温度(83℃)にするようにしてもよい。
また、本実施形態では、サーモワックス143の状態に応じて異なる熱容量を用いてワックス温度の推定を行う例を示したが、これに限らず、サーモワックス143の状態にかかわらず同一の熱容量を用いてワックス温度の推定を行うようにしてもよい。
また、本実施形態において、開弁温度などの値は、いずれも一例であって、上記した値に限定されるものではない。
2 電動ウォータポンプ(ウォータポンプ)
10 切替弁
15 電気ヒータ(加熱部)
21 エンジン水温センサ(水温センサ)
30 ウォータジャケット
31 シリンダヘッドに設けられた部分
31a 中央部
143 サーモワックス
200 冷却水通路
300 ECU(制御装置)
301 ワックス温度推定部
302 ピーク時刻算出部
303 開弁時刻推定部
304 開弁温度推定部
305 目標値設定部
306 通電制御部

Claims (9)

  1. 冷却水通路と、
    前記冷却水通路に設けられた冷却水の水温センサと、
    前記冷却水通路に設けられ、サーモワックスと前記サーモワックスを加熱する加熱部とを含む切替弁と、
    前記切替弁の開閉を制御する制御装置とを備えるエンジンの冷却系であって、
    前記制御装置は、前記水温センサにより検出された水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより前記切替弁の開弁時刻を推定し、その開弁時刻における前記サーモワックスの温度を前記切替弁の開弁温度と推定するように構成されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  2. 請求項1に記載のエンジンの冷却系であって、
    前記冷却水通路内において冷却水を循環させるためのウォータポンプを備え、
    前記冷却水通路は、ウォータジャケットを含み、
    前記予め設定された時間は、前記ウォータジャケットのシリンダヘッドに設けられた部分の中央部から前記水温センサが配置される位置までの容積と、前記ウォータポンプから吐出される冷却水の流量とに基づいて設定されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  3. 請求項1または請求項2に記載のエンジンの冷却系であって、
    前記制御装置は、
    前記サーモワックスの温度を推定するワックス温度推定部と、
    前記切替弁への開弁要求がされた後に、前記水温センサにより検出された水温がピークになる時刻を算出するピーク時刻算出部と、
    前記ピーク時刻算出部の算出結果から前記予め設定された時間をさかのぼることにより前記切替弁の開弁時刻を推定する開弁時刻推定部と、
    前記開弁時刻推定部により推定された開弁時刻における、前記ワックス温度推定部により推定された前記サーモワックスの温度を、前記切替弁の開弁温度と推定する開弁温度推定部とを含むこと
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  4. 請求項3に記載のエンジンの冷却系であって、
    前記ピーク時刻算出部は、前記水温センサによる検出結果の時間に対する水温の変化率を算出し、前記変化率がゼロになる時刻を水温がピークになる時刻であると判断するように構成されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  5. 請求項4に記載のエンジンの冷却系であって、
    前記ピーク時刻算出部は、前記変化率が規定値を超えた場合に、前記変化率がゼロになる時刻を探索するように構成されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  6. 請求項3から請求項5までのいずれか一つに記載のエンジンの冷却系であって、
    前記制御装置は、前記サーモワックスの温度の目標値を設定する目標値設定部と、前記サーモワックスの温度が前記目標値になるように前記加熱部への通電を制御する通電制御部とを含み、
    前記目標値設定部は、前記切替弁への開弁要求がされたときの前記目標値を、前記開弁温度推定部により推定された開弁温度に設定するように構成されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  7. 請求項3から請求項6までのいずれか一つに記載のエンジンの冷却系であって、
    前記ワックス温度推定部は、前記加熱部から前記サーモワックスに伝えられる熱量と前記サーモワックスから周囲に放出される熱量とに基づいて前記サーモワックスの受熱量を算出し、前記受熱量と前記サーモワックスの熱容量とに基づいて前記サーモワックスの温度変化量を算出し、前記温度変化量に基づいて前記サーモワックスの温度を推定するように構成されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  8. 請求項2から請求項7までのいずれか一つに記載のエンジンの冷却系であって、
    前記制御装置は、前記切替弁への開弁要求をするときに、前記ウォータポンプを最大出力で駆動させるように構成されていること
    を特徴とするエンジンの冷却系。
  9. 冷却水通路と、前記冷却水通路に設けられた冷却水の水温センサと、前記冷却水通路に設けられ、サーモワックスと前記サーモワックスを加熱する加熱部とを含む切替弁とを備えるエンジンの冷却系に設けられ、前記切替弁の開閉を制御する制御装置であって、
    前記水温センサにより検出された水温がピークになる時刻から予め設定された時間をさかのぼることにより前記切替弁の開弁時刻を推定し、その開弁時刻における前記サーモワックスの温度を前記切替弁の開弁温度と推定するように構成されていること
    を特徴とする制御装置。
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JP2017504756A (ja) * 2014-01-15 2017-02-09 ルノー エス.ア.エス. 自動車冷却システム用サーモスタット装置、該サーモスタット装置に適合する冷却システム、および加熱モジュールの制御方法

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