JP2013001158A - ハイブリッド自動車の制御装置、ハイブリッド自動車およびハイブリッド自動車の制御方法、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】加速時の燃費を改善させると共に、加速時にエンジンの出力が制限されても応答性または加速性のドライバビリティを改善させること。
【解決手段】エンジン10と電動機13とを有し、エンジン10もしくは電動機13により走行可能であり、またはエンジン10と電動機13とが協働して走行可能であり、電動機13の効率が所定値以下にならないように電動機13の最大出力を制限するハイブリッドECU18において、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、電動機13の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機13のトルクとエンジン10のトルクとの和がアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン10と電動機13とを有し、エンジン10もしくは電動機13により走行可能であり、またはエンジン10と電動機13とが協働して走行可能であり、電動機13の効率が所定値以下にならないように電動機13の最大出力を制限するハイブリッドECU18において、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、電動機13の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機13のトルクとエンジン10のトルクとの和がアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド自動車の制御装置、ハイブリッド自動車およびハイブリッド自動車の制御方法、並びにプログラムに関する。
ハイブリッド自動車は、エンジンと電動機とを有し、エンジンもしくは電動機、またはエンジンと電動機とが協働して走行可能である。このとき電動機は、高い効率で動作できる出力の範囲が限定されるため、この範囲を逸脱しないように、上下限トルクが設定されている場合がある(たとえば特許文献1参照)。
また、ハイブリッド自動車がディーゼルエンジンを搭載している場合、加速時にアクセルペダルが急峻に操作されたときに、排気ガスに黒煙が含まれないようにするために、燃料噴射時期を遅延させたり(たとえば特許文献2参照)、あるいは燃料噴射量を制限するなどのエンジンの出力を制限する制御が行われる。
上述したエンジンの出力を制限する制御は、運転者のドライバビリティからみると、ハイブリッド自動車の加速性または応答性に対する不足感を覚える要因になる。このため運転者は、出力制限されているにも係わらず、アクセルペダルをよりいっそう深く踏み込んだり、あるいは急峻な踏み込み操作を頻繁に繰り返すなどの行動をとりがちになり、これが燃費の悪化を招く原因になる。
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、加速時の燃費を改善させると共に、加速時にエンジンの出力が制限されても加速性または応答性のドライバビリティを改善させることができるハイブリッド自動車の制御装置、ハイブリッド自動車およびハイブリッド自動車の制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
本発明のひとつの観点は、ハイブリッド自動車の制御装置としての観点である。本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、エンジンと電動機とを有し、エンジンもしくは電動機により走行可能であり、またはエンジンと電動機とが協働して走行可能であり、電動機の効率が所定値以下にならないように電動機の最大出力を制限する電動機出力制限手段を有するハイブリッド自動車の制御装置において、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、電動機出力制限手段による電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機のトルクとエンジンのトルクとの和がアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する制御手段を有するものである。
また、ハイブリッド自動車は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、エンジンの出力制限を実施するエンジン出力制限手段を有するものである場合に、制御手段は、エンジン出力制限手段がエンジンの出力を制限しているときには、電動機出力制限手段における電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機のトルクを、出力制限中のエンジンのトルクに加算してアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御することができる。
本発明の他の観点は、ハイブリッド自動車としての観点である。本発明のハイブリッド自動車は、本発明の制御装置を有するものである。
本発明のさらに他の観点は、ハイブリッド自動車の制御方法としての観点である。本発明のハイブリッド自動車の制御方法は、エンジンと電動機とを有し、エンジンもしくは電動機により走行可能であり、またはエンジンと電動機とが協働して走行可能であり、電動機の効率が所定値以下にならないように電動機の最大出力を制限する電動機出力制限手段を有するハイブリッド自動車の制御方法において、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、電動機出力制限手段による電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機のトルクとエンジンのトルクとの和がアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する制御ステップを有するものである。
また、ハイブリッド自動車は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、エンジンの出力制限を実施するエンジン出力制限手段を有するものである場合に、制御ステップの処理は、エンジン出力制限手段がエンジンの出力を制限しているときには、電動機出力制限手段における電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機のトルクを、出力制限中のエンジンのトルクに加算してアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御するステップを有することができる。
本発明のさらに他の観点は、プログラムとしての観点である。本発明のプログラムは、コンピュータ装置に、エンジンと電動機とを有し、エンジンもしくは電動機により走行可能であり、またはエンジンと電動機とが協働して走行可能であり、電動機の効率が所定値以下にならないように電動機の最大出力を制限する電動機出力制限手段を有するハイブリッド自動車の制御機能を実現させるプログラムにおいて、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、電動機出力制限手段による電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機のトルクとエンジンのトルクとの和がアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する制御機能を実現させるものである。
また、ハイブリッド自動車は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、エンジンの出力制限を実施するエンジン出力制限手段を有するものである場合に、制御機能として、エンジン出力制限手段がエンジンの出力を制限しているときには、電動機出力制限手段における電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機のトルクを、出力制限中のエンジンのトルクに加算してアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する機能を実現させることができる。
本発明によれば、加速時の燃費を改善させると共に、加速時にエンジンの出力が制限されても加速性または応答性のドライバビリティを改善させることができる。
以下、本発明の実施の形態のハイブリッド自動車について、図1〜図6を参照しながら説明する。
(概要について)
図1は、ハイブリッド自動車1の構成の例を示すブロック図である。ハイブリッド自動車1は、車両の一例である。ハイブリッド自動車1は、半自動トランスミッションの変速機を介したエンジン(内燃機関)10および/または電動機13によって駆動される。ハイブリッド自動車1は、所定の時間内におけるアクセルペダル(不図示)の踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには(以下では、これを「急峻なアクセルペダルの操作」と称する)、電動機13の出力制限を解除し、エンジン10のトルクに電動機13のトルクを加算することにより、急加速時のドライバビリティに違和感を与えることなく、急加速時に要するエンジン10の燃料消費量を低減させる。また、ハイブリッド自動車1は、エンジン10の出力を制限することにより、排気ガス中に黒煙などが含まれないように制御する。このときに、ハイブリッド自動車1は、電動機13の出力制限を解除し、エンジン10のトルクに電動機13のトルクを加算することにより、エンジン10の出力制限によるトルク不足を補うことができる。なお、半自動トランスミッションとは、マニュアルトランスミッションと同じ構成を有しながら自動化されたクラッチ12と協働して変速操作を自動的に行うことができるトランスミッションである。
図1は、ハイブリッド自動車1の構成の例を示すブロック図である。ハイブリッド自動車1は、車両の一例である。ハイブリッド自動車1は、半自動トランスミッションの変速機を介したエンジン(内燃機関)10および/または電動機13によって駆動される。ハイブリッド自動車1は、所定の時間内におけるアクセルペダル(不図示)の踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには(以下では、これを「急峻なアクセルペダルの操作」と称する)、電動機13の出力制限を解除し、エンジン10のトルクに電動機13のトルクを加算することにより、急加速時のドライバビリティに違和感を与えることなく、急加速時に要するエンジン10の燃料消費量を低減させる。また、ハイブリッド自動車1は、エンジン10の出力を制限することにより、排気ガス中に黒煙などが含まれないように制御する。このときに、ハイブリッド自動車1は、電動機13の出力制限を解除し、エンジン10のトルクに電動機13のトルクを加算することにより、エンジン10の出力制限によるトルク不足を補うことができる。なお、半自動トランスミッションとは、マニュアルトランスミッションと同じ構成を有しながら自動化されたクラッチ12と協働して変速操作を自動的に行うことができるトランスミッションである。
(ハイブリッド自動車1の構成について)
ハイブリッド自動車1は、エンジン10、エンジンECU(Electronic Control Unit)11、クラッチ12、電動機13、インバータ14、バッテリ15、トランスミッション16、電動機ECU17、ハイブリッドECU18(請求項でいう制御装置)、車輪19、シフト部20、およびキースイッチ21を有して構成される。なお、トランスミッション16は、上述した半自動トランスミッションを有し、ドライブレンジ(以下では、D(Drive)レンジと記す)を有するシフト部20により操作される。シフト部20がDレンジにあるときには、半自動トランスミッションの変速操作が自動化される。
ハイブリッド自動車1は、エンジン10、エンジンECU(Electronic Control Unit)11、クラッチ12、電動機13、インバータ14、バッテリ15、トランスミッション16、電動機ECU17、ハイブリッドECU18(請求項でいう制御装置)、車輪19、シフト部20、およびキースイッチ21を有して構成される。なお、トランスミッション16は、上述した半自動トランスミッションを有し、ドライブレンジ(以下では、D(Drive)レンジと記す)を有するシフト部20により操作される。シフト部20がDレンジにあるときには、半自動トランスミッションの変速操作が自動化される。
エンジン10は、内燃機関の一例であり、エンジンECU11によって制御され、ガソリン、軽油、CNG(Compressed Natural Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、または代替燃料等を内部で燃焼させて、軸を回転させる動力を発生させ、発生した動力を、電動機13を介してクラッチ12に伝達する。
エンジンECU11は、ハイブリッドECU18からの指示に従うことにより、電動機ECU17と連携動作するコンピュータであり、燃料噴射量やバルブタイミングなど、エンジン10を制御する。たとえば、エンジンECU11は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、内部に、演算部、メモリ、およびI/O(Input/Output)ポートなどを有する。
クラッチ12は、ハイブリッドECU18からの変速指示信号に基づき電動機13の回転軸とトランスミッション16の入力軸とを接状態または断状態にするものである。なお、クラッチ12の機構自体は、運転者がクラッチペダルを操作して電動機13の回転軸とトランスミッション16の入力軸とを接状態または断状態に操作するものと同じものである。また、ハイブリッドECU18による制御の他に、運転者が不図示のクラッチペダルを操作することにより、電動機13の回転軸とトランスミッション16の入力軸とを接状態または断状態に操作できるようにしてもよい。
電動機13は、いわゆる、モータジェネレータであり、インバータ14から供給された電力により、軸を回転させる動力を発生させて、その軸出力をクラッチ12を介してトランスミッション16に供給するか、またはトランスミッション16からクラッチ12を介して供給された軸を回転させる動力によって発電し、その電力をインバータ14に供給する。たとえば、ハイブリッド自動車1が加速しているとき、または定速で走行しているときにおいて、電動機13は、軸を回転させる動力を発生させて、その軸出力を、クラッチ12を介してトランスミッション16に供給し、エンジン10と協働してハイブリッド自動車1を走行させる。また、たとえば、電動機13がエンジン10によって駆動されているとき、またはハイブリッド自動車1が減速しているとき、もしくは下り坂を走行しているときなどにおいて、電動機13は、発電機として動作し、この場合、トランスミッション16からクラッチ12を介して供給された軸を回転させる動力によって発電して、電力をインバータ14に供給し、バッテリ15が充電される。このとき、電動機13は、回生電力に応じた大きさの回生トルクを発生する。
インバータ14は、電動機ECU17によって制御され、バッテリ15からの直流電圧を交流電圧に変換するか、または電動機13からの交流電圧を直流電圧に変換する。電動機13が動力を発生させる場合、インバータ14は、バッテリ15の直流電圧を交流電圧に変換して、電動機13に電力を供給する。電動機13が発電する場合、インバータ14は、電動機13からの交流電圧を直流電圧に変換する。すなわち、この場合、インバータ14は、バッテリ15に直流電圧を供給するための整流器および電圧調整装置としての役割を果たす。
バッテリ15は、充放電可能な二次電池であり、電動機13が動力を発生させるとき、電動機13にインバータ14を介して電力を供給するか、または電動機13が発電しているとき、電動機13が発電する電力によって充電される。バッテリ15には、適切なSOCの範囲が決められており、ハイブリッドECU18および電動機ECU17によって、SOCがその範囲を外れないように管理されている。
トランスミッション16は、ハイブリッドECU18からの変速指示信号に従って、複数のギア比(変速比)のいずれかを選択する半自動トランスミッション(図示せず)を有し、変速比を切り換えて、変速されたエンジン10の動力および/または電動機13の動力を車輪19に伝達する。また、減速しているとき、もしくは下り坂を走行しているときなど、トランスミッション16は、車輪19からの動力をクラッチ12を介して電動機13に伝達する。また、トランスミッション16が変速する際には、クラッチ12がいったん断状態に制御される。このように、ハイブリッドECU18は、トランスミッション16とクラッチ12とを協働させてハイブリッド自動車1の自動変速を実施する。なお、半自動トランスミッションは、運転者がシフト部20を操作して手動で任意のギア段にギア位置を変更することもできる。
電動機ECU17は、ハイブリッドECU18からの指示に従うことにより、エンジンECU11と連携動作するコンピュータであり、インバータ14を制御することによって電動機13を制御する。たとえば、電動機ECU17は、CPU、ASIC、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSPなどにより構成され、内部に、演算部、メモリ、およびI/Oポートなどを有する。
また、電動機ECU17は、電動機13の特性に応じて予め設定されている高い効率で動作可能な出力(たとえばトルク)の範囲が内部のメモリに予め記憶されており、電動機13の出力がこの範囲を逸脱しようとすると出力制限を実施する。なお、本発明の実施の形態における電動機ECU17は、ハイブリッドECU18からの指示にしたがって、電動機13の出力制限の解除を実施する。
ハイブリッドECU18は、コンピュータの一例であり、ハイブリッド走行のために、アクセルペダル操作情報、ブレーキ操作情報、車速情報、ギア位置情報、エンジン回転速度情報、およびSOC情報を取得する。取得したこれらの情報に基づいて、ハイブリッドECU18は、変速指示信号を供給することでクラッチ12およびトランスミッション16を制御し、電動機ECU17に対して電動機13およびインバータ14の制御指示を与え、エンジンECU11に対してエンジン10の制御指示を与える。たとえば、ハイブリッドECU18は、CPU、ASIC、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSPなどにより構成され、内部に、演算部、メモリ、およびI/Oポートなどを有する。
また、ハイブリッドECU18は、アクセルペダル操作情報に基づいて運転者の急峻なアクセルペダルの操作を検出し、エンジン10の出力を制限させるべくエンジンECU11に対してエンジン10の制御指示を行う。さらに、ハイブリッドECU18は、運転者の急峻なアクセルペダルの操作、またはエンジン10の出力制限の実施を検出すると、電動機13の出力制限の解除を電動機ECU17に指示する。ここで、エンジン10の出力制限とは、たとえばハイブリッド自動車1がディーゼルエンジンを搭載している場合、アクセルペダルが急峻に操作されたときに、排気ガスに黒煙が含まれないようにするために、燃料噴射時期を遅延させたり(たとえば特許文献2参照)、あるいは燃料噴射量を制限するなどのエンジン10の出力を制限する制御が行われることである。その他にも、エンジン10の出力制限が行われる場合としては、ハイブリッド自動車1が、たとえばガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン(あるいは、CNG、LPG、または代替燃料等で動くエンジン)を搭載している場合、アクセルペダルが急峻に操作されたときに、過度の燃料消費量を抑えるために、エンジン10の出力を制限する制御が行われる場合などがある。
なお、エンジンECU11、電動機ECU17、およびハイブリッドECU18によって実行されるプログラムは、エンジンECU11、電動機ECU17、およびハイブリッドECU18の内部の不揮発性のメモリにあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータであるエンジンECU11、電動機ECU17、およびハイブリッドECU18にあらかじめインストールしておくことができる。
また、エンジンECU11、電動機ECU17、およびハイブリッドECU18は、CAN(Control Area Network)などの規格に準拠したバスなどにより相互に接続されている。
車輪19は、路面に駆動力を伝達する駆動輪である。なお、図1には、1つの車輪19のみが図示されているが、実際には、ハイブリッド自動車1は、複数の車輪19を有する。
シフト部20は、既に説明したように、トランスミッション16の半自動トランスミッションに運転者からの指示を与えるものであり、シフト部20がDレンジにあるときには、半自動トランスミッションの変速操作が自動化される。
キースイッチ21は、運転を開始するときにユーザにより、たとえばキーが差し込まれてON/OFFされるスイッチであり、これがON状態になることによってハイブリッド自動車1の各部は起動し、キースイッチ21がOFF状態になることによってハイブリッド自動車1の各部は停止する。
図2は、プログラムを実行するハイブリッドECU18において実現される機能の構成の例を示すブロック図である。すなわち、ハイブリッドECU18がプログラムを実行すると、ハイブリッドECU18に、制御部30(請求項でいう制御手段)の機能が実現される。
制御部30は、エンジン回転速度情報、アクセルペダル操作情報、および車速情報に基づいてエンジンECU11にエンジン制御指示を行い、電動機ECU17に電動機制御指示を行う機能である。
(ハイブリッドECU18の動作について)
次に、図3のフローチャートを参照して、プログラムを実行するハイブリッドECU18において行われるエンジン制御および電動機制御の処理を説明する。なお、図3のステップS1〜S5の手続きによる処理は1周期分の処理であり、キースイッチ21がON状態である限り処理は繰り返し実行されるものとする。
次に、図3のフローチャートを参照して、プログラムを実行するハイブリッドECU18において行われるエンジン制御および電動機制御の処理を説明する。なお、図3のステップS1〜S5の手続きによる処理は1周期分の処理であり、キースイッチ21がON状態である限り処理は繰り返し実行されるものとする。
図3の「START」では、キースイッチ21がON状態であり、ハイブリッドECU18がプログラムを実行し、ハイブリッドECU18に制御部30の機能が実現されている状態である。
ステップS1において、制御部30は、アクセルペダル操作情報に基づいて急峻なアクセルペダルの操作の有無を判定する。アクセルペダル操作情報は、たとえばアクセルペダルの踏み込み量の情報であり、制御部30は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるか否かを判定することにより、アクセルペダルが急峻に操作されたか否かを判定する。ステップS1において、急峻なアクセルペダルの操作が有ると判定されると、手続きはステップS2に進む。一方、ステップS1において、急峻なアクセルペダルの操作が無いと判定されると、手続きはステップS1を繰り返す。
ステップS2において、制御部30は、電動機13の出力制限を解除するように、電動機ECU17に指示すると共に、電動機13のトルクを、エンジン10のトルクに加算するように、電動機ECU17およびエンジンECU11に指示し、手続きは、ステップS3に進む。
ステップS3において、制御部30は、ステップS2の処理の結果、要求トルクに達したか否かを判定する。ステップS3において、要求トルクに達したと判定されると、手続きは、ステップS4に進む。一方、ステップS3において、要求トルクに達していないと判定されると、1周期分の処理を終了する(END)。なお、ステップS3でNoになる状況とは、ステップS2で電動機13の出力制限を解除し、電動機13が連続して出力可能な最大トルクを出力しても未だ要求トルクに達しない状況である。具体的には、エンジン10の出力制限が実施されている場合、あるいはエンジン10の出力制限が実施されていなくても貨物が定積状態であり急な登り勾配を走行中であるなどで走行負荷が高い場合が考えられる。
ステップS4において、制御部30は、電動機13の出力に余裕が有るか否かを判定する。ステップS4において、電動機13の出力に余裕が有ると判定されると、手続きは、ステップS5に進む。一方、ステップS4において、電動機13の出力に余裕は無いと判定されると、1周期分の処理を終了する(END)。
ステップS5において、制御部30は、エンジン10のトルクを低減させると共に、電動機13のトルクを増加させて、1周期分の処理を終了する(END)。
(効果について)
制御部30の制御によれば、急峻なアクセルペダルの踏み込み操作があり、これにより、エンジン10の出力制限が実施された場合でも、電動機13の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機13のトルクとエンジン10のトルクとを加算するので(ステップS2)、エンジン10の出力制限による加速性または応答性の低下を抑えることができる(ドライバビリティの改善)。また、エンジン10の出力制限は実施されないながらも急峻なアクセルペダルの踏み込み操作がある場合には、出力制限の解除により得られる電動機13のトルクとエンジン10のトルクとを加算して要求トルクになるように制御するので、エンジン10のトルクを抑えることができ(ステップS5)、これにより加速時の燃費を改善させることができる(燃費の改善)。
制御部30の制御によれば、急峻なアクセルペダルの踏み込み操作があり、これにより、エンジン10の出力制限が実施された場合でも、電動機13の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる電動機13のトルクとエンジン10のトルクとを加算するので(ステップS2)、エンジン10の出力制限による加速性または応答性の低下を抑えることができる(ドライバビリティの改善)。また、エンジン10の出力制限は実施されないながらも急峻なアクセルペダルの踏み込み操作がある場合には、出力制限の解除により得られる電動機13のトルクとエンジン10のトルクとを加算して要求トルクになるように制御するので、エンジン10のトルクを抑えることができ(ステップS5)、これにより加速時の燃費を改善させることができる(燃費の改善)。
以下では、本実施の形態の効果について、さらに詳細に説明する。図4は、横軸に時間をとり、縦軸にトルクをとり、エンジン10の出力制限が実施されている場合の図3のフローチャートの処理によるエンジントルクA、電動機アシスト領域D,E、要求トルクB、および総トルクCの状態の変化を、アクセルペダルの踏み込み状況P1、P2に対応させて示している。エンジン10の出力制限が実施されると、従来は、図4の上段の「従来制御による総トルク」Cで示すように、要求トルクBの変化と比較して加速性および応答性が遅くなる傾向がある。これによれば、運転者は、さらなる加速性の増加を要求するため、図4の下段の「従来のアクセルペダル踏み込み状況」P2で示すように、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量は、図4の下段の「本発明のアクセルペダルの踏み込み状況」P1で示すものよりも大きく長い時間に及ぶ傾向がある。
これに対し、制御部30の制御によれば、図4の上段の「出力制限時の電動機アシスト領域」Dで示すアシスト領域に加え、「出力制限解除時の電動機アシスト領域」Eが追加されるので(ステップS2)、図4の上段の「要求トルク(=総トルク)」Bで示すように、加速性および応答性は、ほぼ「本発明のアクセルペダルの踏み込み状況」P1に追随していることがわかる。これによれば、「従来制御による総トルク」Cに比べて、加速性および応答性が改善されていることがわかる。
さらに比較例として、図5は、横軸に時間をとり、縦軸にトルクをとり、従来制御の処理によるエンジントルクG、電動機アシスト領域F、要求トルクB、および総トルクCの状態の変化をアクセルペダルの踏み込み状況P1、P2に対応させて示している。これによれば、「従来制御による総トルク」Cの変化は、要求トルクBの変化に追随しておらず、制御部30の制御に比べてアクセルペダルの操作量は増大し、加速時間は増長していることがわかる。また、図5では、「出力制限時の電動機アシスト領域」Fのみしか存在しないため、エンジントルクGは、アクセルペダルの踏み込み量に対応して増加し続けていることがわかる。これにより、比較例は、本実施の形態と比べて燃費が良くないことがわかる。
このように、本実施の形態の制御によれば、従来と比較して、アクセルペダルの操作量を低減させ、加速時間および応答時間を短縮させることができる。その結果、ハイブリッド自動車1のドライバビリティおよび燃費を改善させることができる。
また、エンジン10の出力制限の必要は無いながらも急峻なアクセルペダルの踏み込み操作がある場合について図6を参照して説明する。このような状況は、たとえばエンジン10のトルクに余裕があり、エンジン10の出力制限を実施するに及ばない場合に生ずる。具体的には、ハイブリッド自動車1が空積時であり車体総重量が軽い場合、もしくはハイブリッド自動車1が緩やかな下り勾配路を走行中であり、比較的小さなトルクで加速可能な状況である場合などである。
図6は、横軸に時間をとり、縦軸にトルクをとり、エンジン10の出力制限が実施されていない場合の図3のフローチャートの処理によるエンジントルクA,H、電動機アシスト領域I,J、および要求トルク(=総トルク)Bの状態の変化をアクセルペダルの踏み込み状況Pに対応させて示している。
図6に示すように、従来は、「従来制御によるエンジントルク」Hで示すように、アクセルペダルの踏み込みに合わせてエンジン10のトルクも増加させていた。これに対し、制御部30の制御によれば、「出力制限時の電動機アシスト領域」Iに加え、「出力制限解除により追加される電動機アシスト領域」Jで示すように、電動機13のアシストトルクがさらに追加されるので(ステップS2)、「電動機アシストの追加により低減されるエンジントルク」Aで示すように、エンジン10のトルクの増加を低く抑えることができる(ステップS5)。これにより、急峻なアクセルペダルの操作が行われた際の燃料消費量を低減させることができる。また、要求トルクBは、総トルクとほぼ等しくなり、運転者の要求トルクを満たしていることがわかる。
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、急峻なアクセルペダルの踏み込み操作に対しては、エンジン10の出力制限を実施する制御を行うハイブリッド自動車1について説明したが、当初よりエンジン10の出力制限の制御機能を有さないハイブリッド自動車にも上述した制御を適用することができる。
上述の実施の形態では、急峻なアクセルペダルの踏み込み操作に対しては、エンジン10の出力制限を実施する制御を行うハイブリッド自動車1について説明したが、当初よりエンジン10の出力制限の制御機能を有さないハイブリッド自動車にも上述した制御を適用することができる。
また、上述の実施の形態において、電動機13の出力制限を解除するのに際し、バッテリ15の充電残量が所定値よりも低い場合、あるいはバッテリ15、電動機13、またはインバータ14などの温度が所定値よりも高い場合には、これら各部の保護のために、電動機13の出力制限の解除は実施しないような制御をさらに加えてもよい。
エンジン10は、内燃機関であると説明したが、外燃機関を含む熱機関であってもよい。
また、ハイブリッドECU18によって実行されるプログラムは、ハイブリッドECU18にあらかじめインストールされると説明したが、プログラムが記録されている(プログラムを記憶している)リムーバブルメディアを図示せぬドライブなどに装着し、リムーバブルメディアから読み出したプログラムをハイブリッドECU18の内部の不揮発性のメモリに記憶することにより、または、有線または無線の伝送媒体を介して送信されてきたプログラムを、図示せぬ通信部で受信し、ハイブリッドECU18の内部の不揮発性のメモリに記憶することで、コンピュータであるハイブリッドECU18にインストールすることができる。これによれば、ハイブリッドECU18のプログラムを更新する必要が生じた場合に、更新作業を簡単に行うことができる。または、ハイブリッドECU18のプログラムのみをユーザに提供するサービスを簡単に実現することができる。
また、各ECUは、これらを1つにまとめたECUにより実現してもよいし、あるいは、各ECUの機能をさらに細分化したECUを新たに設けてもよい。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1…ハイブリッド自動車、10…エンジン、11…エンジンECU、12…クラッチ、13…電動機、14…インバータ、15…バッテリ、16…トランスミッション、17…電動機ECU、18…ハイブリッドECU(制御装置)、30…制御部(制御手段)
Claims (7)
- エンジンと電動機とを有し、前記エンジンもしくは前記電動機により走行可能であり、または前記エンジンと前記電動機とが協働して走行可能であり、前記電動機の効率が所定値以下にならないように前記電動機の最大出力を制限する電動機出力制限手段を有するハイブリッド自動車の制御装置において、
所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、前記電動機出力制限手段による前記電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる前記電動機のトルクと前記エンジンのトルクとの和が前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する制御手段を有する、
ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御装置。 - 請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置であって、
前記ハイブリッド自動車は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、前記エンジンの出力制限を実施するエンジン出力制限手段を有し、
前記制御手段は、前記エンジン出力制限手段が前記エンジンの出力を制限しているときには、前記電動機出力制限手段における前記電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる前記電動機のトルクを、出力制限中の前記エンジンのトルクに加算してアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する、
ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御装置。 - 請求項1または2記載の制御装置を有することを特徴とするハイブリッド自動車。
- エンジンと電動機とを有し、前記エンジンもしくは前記電動機により走行可能であり、または前記エンジンと前記電動機とが協働して走行可能であり、前記電動機の効率が所定値以下にならないように前記電動機の最大出力を制限する電動機出力制限手段を有するハイブリッド自動車の制御方法において、
所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、前記電動機出力制限手段による前記電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる前記電動機のトルクと前記エンジンのトルクとの和が前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する制御ステップを有する、
ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御方法。 - 請求項4記載のハイブリッド自動車の制御方法であって、
前記ハイブリッド自動車は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、前記エンジンの出力制限を実施するエンジン出力制限手段を有し、
前記制御ステップの処理は、前記エンジン出力制限手段が前記エンジンの出力を制限しているときには、前記電動機出力制限手段における前記電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる前記電動機のトルクを、出力制限中の前記エンジンのトルクに加算してアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御するステップを有する、
ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御方法。 - コンピュータ装置に、
エンジンと電動機とを有し、前記エンジンもしくは前記電動機により走行可能であり、または前記エンジンと前記電動機とが協働して走行可能であり、前記電動機の効率が所定値以下にならないように前記電動機の最大出力を制限する電動機出力制限手段を有するハイブリッド自動車の制御機能を実現させるプログラムにおいて、
所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、前記電動機出力制限手段による前記電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる前記電動機のトルクと前記エンジンのトルクとの和が前記アクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する制御機能を実現させる、
ことを特徴とするプログラム。 - 請求項6記載のプログラムであって、
前記ハイブリッド自動車は、所定の時間内におけるアクセルペダルの踏み込み量の増加率が所定値を超えるときには、前記エンジンの出力制限を実施するエンジン出力制限手段を有し、
前記制御機能として、前記エンジン出力制限手段が前記エンジンの出力を制限しているときには、前記電動機出力制限手段における前記電動機の出力制限を解除し、当該出力制限の解除により得られる前記電動機のトルクを、出力制限中の前記エンジンのトルクに加算してアクセルペダルの踏み込み量に対応する要求トルクになるように制御する機能を実現させる、
ことを特徴とするプログラム。
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