JP2013000660A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ここで開示される排ガス浄化用触媒は担体と、該担体に担持された触媒金属と、を備える排ガス浄化用触媒であって、上記担体として、アルミナ系粉末と、ジルコニア−チタニア複合酸化物を含有するジルコニア−チタニア系粉末と、を備え、上記アルミナ系粉末は1000℃未満の温度域ではγ−アルミナを主体として構成されており、上記排ガス浄化用触媒を理論空燃比環境下において1000℃で少なくとも5時間加熱した後においてもα−アルミナを実質的に含有しないことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
従来、上記硫黄被毒を抑制するために、排ガス浄化用触媒の構成、材料、及び制御など各方面から改良がなされている。例えば、硫黄被毒から触媒性能を回復させるために、排ガスの空燃比及び温度を制御することにより、触媒に被覆した硫黄成分をSO2もしくはH2Sとして気化させ、脱離させることが提案されている。しかし、そのような硫黄被毒回復制御は、一方で、触媒の浄化性能低下または劣化を促進することがあり得るため、根本的に硫黄被毒され難い排ガス浄化用触媒の開発が求められている。
本発明は、かかる課題を解決すべく創出されたものであり、高温環境下(例えば800℃以上1000℃以下)における触媒の高活性を維持しつつ、硫黄の蓄積を抑制して被毒影響を回避することを目的とする。
即ち、ここに開示される排ガス浄化用触媒は、担体と、該担体に担持された排ガス浄化のための触媒として機能する金属と、を備える。上記担体としては、γ−アルミナを主体として構成されたアルミナ系粒子と、ジルコニア−チタニア複合酸化物(以下、「ZT複合酸化物」ともいう。)を主体として構成されたジルコニア−チタニア系粒子(以下、「ZT系粒子」ともいう。)と、を備える。そして、ここに開示される上記排ガス浄化用触媒は、理論空燃比環境下において1000℃で少なくとも5時間加熱した後におけるXRD測定で、α−アルミナに帰属されるピークが実質的に生じないことを特徴とする。
また、かかる排ガス浄化用触媒はたとえ理論空燃比環境下において1000℃で少なくとも5時間加熱した後であっても、担体としてα−アルミナを実質的に含まない。α−アルミナは、γ−アルミナと比較して耐硫黄被毒性が著しく低いため、該α−アルミナを含有した排ガス浄化用触媒は硫黄成分を蓄積し易く、浄化性能が低下しがちである。またα−アルミナからなる触媒担体は、γ−アルミナからなる触媒担体と比較して比表面積が小さいため、α−アルミナを含有した担体に担持された触媒金属(典型的には貴金属)はシンタリングを起こし易い。本発明に係る排ガス浄化用触媒は、かかるα−アルミナを高温条件下(例えば800℃以上1000℃以下)であっても実質的に含有しないため、高温環境下においても硫黄被毒による触媒活性の低下が防止され、高い浄化性能を発揮することができ、かつ、触媒の長寿命化を達成し得る。
本明細書において排ガス浄化用触媒が実質的に「γ−アルミナ」又は「α−アルミナ」を含有するか否かの判定は、上記排ガス浄化用触媒をX線回折(XRD)測定したときのアルミナ相の同定により行うことができる。
即ち、所定の触媒担体において「α−アルミナを実質的に含まない」とは、供試触媒担体のXRD測定においてα−アルミナを示すピークが認められないことをいう。例えば、γ−アルミナからなる比較供試体(α−アルミナを含まない)のXRD測定による結果(XRDチャート)と供試触媒担体のXRD測定による結果(XRDチャート)との比較においてα−アルミナを示すピークに相対的な相違が認められない場合(即ち、XRD測定でα−アルミナに帰属されるピークが実質的に生じない場合)、当該供試触媒担体はα−アルミナを実質的に含まないと判定される。
また、ここに開示される排ガス浄化用触媒の好ましい一態様では、担体として上記ZT系粒子と、上記γ−アルミナを主体とする上記アルミナ系粒子が高い分散性を有して均一に混ざり合っていることを特徴とする。かかる高分散状態で上記γ−アルミナと上記ZT複合酸化物が共存する環境では、両者の相乗効果により、特異的に触媒金属の硫化(硫化物の生成)が抑制され、該触媒の耐硫黄被毒性が一層向上する。
上記アルミナ系粒子がイットリウムを、いわば相転移抑制剤として含有していることにより、800〜1000℃程度の高温環境下で触媒使用した場合であっても、上記アルミナ系粒子のγ相からα相への相転移が抑制され、γ−アルミナのままで維持される。かかるγ−アルミナを含有し、かつ、α−アルミナを実質的に含有していない触媒担体を用いた排ガス浄化用触媒は、高温条件下においても高い浄化性能および高い耐硫黄被毒性を発揮することができる。
かかるイットリウム含有ジルコニア−チタニア複合酸化物(以下、「ZTY複合酸化物」ともいう。)はZT複合酸化物と比較して高い耐熱性を有し、特に900℃を超える温度条件下での比表面積の低下が抑制される。かかるZTY複合酸化物を含有した触媒担体を用いた排ガス浄化用触媒は、900〜1000℃程度の高温条件下における浄化性能の低下が一層抑制され得る。
上記イットリウムの含有率が上記範囲内である場合、イットリウム(もしくはイットリア)の添加による熱安定性向上、及び耐硫黄被毒性向上が十分に達成され、一方でイットリウム添加に由来する触媒機能への阻害が生じ難い。このためイットリウムの含有量を上記範囲内に設定すると、排ガス浄化用触媒は高温条件下における高い浄化性能(高耐熱性)及び高い耐硫黄被毒性を両立して達成することができる。
さらに、上記酸性水溶液Aと上記酸性水溶液Bの両方を、上記高pH溶液に対して滴下して混合させることにより、該混合液のpHを塩基性側から酸性側へと下げる方向で変化させ、その過程で沈殿を生成させる工程(4)を含むことを特徴とする。また、得られた沈殿物を焼成することにより、担体を得る工程(5)を含む。また、得られた担体に排ガス浄化のための触媒として機能する金属(典型的には白金族に属するいずれかの貴金属)を担持させる工程(6)を含む。
これに対し本発明に係る製造方法では、高pH溶液に対して、各種水溶性の金属塩を溶解させて調製した上記酸性水溶液A及び酸性水溶液Bを滴下する(典型的には同時に滴下する)ことにより、pHを徐々に小さくする方向(塩基性側から酸性側への方向)で変化させ、比較的大きいpH領域(塩基性が十分に高い領域)において共沈物を生成させることに特徴がある。かかる製造方法によると上記酸性水溶液A及びBを滴下した後の混合溶液中のイットリウムイオンが、アルミナとジルコニアの両方にほぼ同時に固溶する。このため、イットリウム含有アルミナと、イットリウム含有ジルコニア−チタニア複合酸化物(ZTY複合酸化物)の混合粒子を好適に得ることができる。
また、上記沈殿物の生成工程(4)において、上記水溶液Aと上記水溶液Bの両方を上記高pH溶液に対し、好適には実質的に同時に滴下することを特徴とする。かかる態様によると、生成物である上記アルミナ系粒子と上記ZT系粒子の混合物は、一次粒子レベルで均一に混じり合った状態で得られる。かかる混合物を排ガス浄化用触媒用の担体として用いると、イットリウム含有γ−アルミナと、ZTY複合酸化物の相乗効果により、耐硫黄被毒性が一層向上する。さらに、上記アルミナ系粒子が上記ZT系粒子の粒成長を抑制するための拡散障壁となるため、かかる混合物を排ガス浄化用触媒の担体として用いると、排ガス浄化用触媒の熱安定性が一層向上する。
かかる製造方法によると、効率的に高耐熱性及び高比表面積を有するイットリウム含有の混合粉末が得られる傾向があるため好適である。
かかる製造方法によると、イットリウムイオンがアルミナとジルコニアに好適に固溶するため、均一性が高いイットリウム含有の混合粉末が得られる傾向があり、好適である。
一般的にアルミナは、結晶子のサイズや製造方法により多少影響されるが、通常800〜1000℃程度で加熱されることにより、γ相からα相への相転移が起こり、かかる相転移に伴い、アルミナの比表面積は例えば200m2/gから10m2/g程度に減少する。このような担体の比表面積の低下は、該担体に担持された触媒活性点である金属(典型的には貴金属)のシンタリングを引き起こし、該金属の比表面積を低下させる。このためアルミナのγ相からα相への相転移は、排ガス浄化用触媒の浄化性能低下の要因となる。また、相転移した後のα−アルミナを担体として用いた排ガス浄化用触媒は、硫化物が付着し易い性質を有するため、上記相転移により排ガス浄化用触媒の耐硫黄被毒性が低下する。
上記に列挙したγ−アルミナの相転移抑制方法の中で、バリウムを代表とするアルカリ土類元素をγ−アルミナに添加する方法を採用した場合、アルカリ土類元素含有アルミナは窒素酸化物(NOx)及び硫黄酸化物(SOx)を吸蔵し易い性質を有するため、かかるアルミナを担体に用いた排ガス浄化用触媒は、耐硫黄被毒性が低下しがちである。またシリカをγ−アルミナに添加させて熱安定性を向上させる方法では、通常、低温条件下においてシリカを導入するためにはゾルゲル法を用いる必要があり、原料のアルコキシド類が高価であるためコスト面で不利である。
そこで上記γ−アルミナの熱安定性方法としては、添加物による触媒機能の阻害が起こり難く、さらに高温での十分な相転移抑制効果と硫黄被毒防止効果を有する観点から、イットリウム(もしくはイットリア)の添加が好適である。
上記ZT複合酸化物において、該ZT複合酸化物を100質量%としたときのジルコニア(ZrO2)の含有率は10質量%以上90質量%以下(好ましくは30質量%以上、又は50質量%以上、例えば60質量%以上80質量%以下)であることが好ましい。ジルコニアの含有率が上記範囲より少なすぎる場合には、ZT複合酸化物の高温における比表面積低下が起こり易いため好ましくない。また、ジルコニアの含有率が上記範囲より多すぎる場合には、相対的にチタニアの絶対量が少なくなるため、硫黄被毒の影響を受けやすくなり好ましくない。
上記ZTY複合酸化物を100質量%としたとき、上記イットリウムを酸化物(イットリア;Y2O3)に換算したときの含有率は0.5質量%以上10質量%以下(好ましくは1質量%以上5質量%以下、例えば1.5質量%以上3.5質量%以下)であることが好ましい。イットリウムのZTY複合酸化物に占める含有率が上記範囲より少なすぎる場合、熱安定化の効果が現れにくいため好ましくない。またイットリウムの含有率が上記範囲より多すぎる場合、逆に熱安定性が低下する虞があり好ましくない。
即ち、上記担体を構成する金属イオン(アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、イットリウムイオン)を含有した水溶液に対して、アルカリ性を示す溶液を滴下した場合、比較的pHが低い(pH8〜9程度)領域において、イットリウムイオンが優先的にジルコニウムイオンと共沈物を生成してしまい、アルミニウムイオンとイットリウムイオンに基づく共沈物が生成しない(イットリウムがアルミナに対してほとんど固溶しない。)。その結果、生成した混合物は、ZTY複合酸化物、及びアルミナ単体の混合物となる。
上記製造方法によると、比較的pHが高い(典型的にはpH10程度の)領域において、イットリウムイオンが、アルミニウムイオンとジルコニウムイオンの両方とほぼ同時に共沈物を生成するため、得られる生成物は、イットリウム含有γ−アルミナと、ZTY複合酸化物の均一な混合物となる。
上記アルミニウム塩、上記イットリウム塩、上記チタン塩、及び上記ジルコニウム塩としては、水溶液が酸性になるものが好適に使用される。例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物などが好適に用いられる。均一性が高い混合粉末が生成物として得られる観点から、上記アルミニウム塩、上記イットリウム塩、及び上記ジルコニウム塩は硝酸塩であり、上記チタン塩は塩化物であることがより好ましい。
上記沈殿物の乾燥条件は、典型的には80〜150℃程度(例えば100〜130℃)で3〜24時間程度であり、焼成条件は、約400〜800℃程度(例えば500〜700℃)で約2〜4時間程度である。
かかる金属は、排ガスとの接触面積を高める観点から十分に小さい粒径を有することが好ましい。典型的には上記金属の平均粒径(TEM観察により求められる粒径の平均値)は1〜15nm程度(より好ましくは10nm以下、又は7nm以下、更には5nm以下)であることが好ましい。
上記担体に上記金属を担持させる方法としては、特に制限されず、従来用いられている手法を用いることができる。例えばここに開示されるいずれかの担体にロジウムを担持させる場合であれば、ロジウム塩(例えば硝酸塩)を含有する水溶液に、上記担体粉末を含浸させた後、乾燥させ、焼成することにより調製することができる。
すものに限定することを意図したものではない。
(実施例1)
所定量の硝酸アルミニウムと硝酸イットリウムをイオン交換水500mlに溶解させて水溶液Aを調製した。一方、所定量のオキシ硝酸ジルコニウムと四塩化チタンと硝酸イットリウムを溶解させて水溶液Bを調製した。また、pH14のアンモニア水を用意した。上記アンモニア水のpHを随時測定しながら、上記水溶液A及び上記水溶液Bを同時に、上記アンモニア水を入れたビーカーに滴下し、沈殿を生成させた。滴下中、ビーカー内の混合液のpHの値は徐々に小さくなっていき、pHが10程度となったところで滴下を止めた。得られた沈殿物は濾過したあと洗浄し、120℃で24時間乾燥させた後、900℃で5時間焼成することにより、担体粉末(即ち、イットリウム含有γ−アルミナ粉末と、ZTY複合酸化物粉末の混合物)が得られた。このとき、上記担体粉末の組成が酸化物換算の質量比でAl2O3:ZrO2:TiO2:Y2O3=70:21:6:3となるように調整した。
得られた上記担体粉末を所定濃度、及び所定量の硝酸ロジウム溶液に浸した後、蒸発乾固させることにより、該粉末にロジウムを担持させた。このときのロジウム担持量は、上記担体粉末を100質量%としたとき、0.25質量%となるように調整した。得られたロジウム担持粉末を120℃で24時間乾燥させた後、600℃で2時間焼成し、該焼成物を乳鉢で粉砕したあと、プレス機を用いてペレット状に成形した。かかる一連の製造方法により作製された排ガス浄化用触媒を実施例1に係る排ガス浄化用触媒とする。
一つのビーカー内でイオン交換水1000mlに所定量の硝酸アルミニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、四塩化チタン、及び硝酸イットリウムを順不同で加えて溶解させ、原料水溶液を調製した。上記原料水溶液を撹拌しながら適量の過酸化水素水を加えた。過酸化水素水の添加により、チタンイオンとジルコニウムイオンが錯イオン化され、それぞれのイオンに基づく沈殿が生じるpHを近付けることができるため、沈殿物の均一化が促進される。一方、pH14のアンモニア水を用意した。上記で得られたアルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、及びイットリウムイオンを含有した溶液に対し、上記アンモニア水を、混合溶液のpHが9となるまで滴下し、沈殿を生成させた。このとき、イットリウムイオンはアルミナよりも優先的にジルコニアに固溶し、前駆体を形成する。
得られた沈殿物は濾過したあと洗浄し、120℃で24時間乾燥させた後、900℃で5時間焼成することにより、担体粉末(即ち、アルミナ粉末と、イットリウム含有チタニア−ジルコニア(ZTY)複合酸化物粉末の混合物)が得られた。このとき、上記担体粉末の組成は、上記実施例1と同様に、酸化物換算の質量比でAl2O3:ZrO2:TiO2:Y2O3=70:21:6:3となるように調整した。
得られた上記担体粉末に対し、上記実施例1と同様の製造プロセスによりロジウムを担持させ、乾燥、焼成、ペレット成形を行った。ロジウム担持量は、上記担体粉末を100質量%としたとき、0.25質量%となるように調整した。かかる一連の製造方法により作製された排ガス浄化用触媒を比較例1に係る排ガス浄化用触媒とする。
比較のために触媒担体としてα−アルミナ(参考例1)、ZTY複合酸化物(参考例2)、γ−アルミナ(参考例3)を用いた排ガス浄化用触媒を製造した。
具体的には、所定量のα−アルミナ(市販品、和光純薬工業株式会社製)に対し、上記実施例1に係る製造プロセスと同様にロジウムを担持させ、乾燥、焼成、成形して排ガス浄化用触媒を製造し、これを参考例1に係る排ガス浄化用触媒とした。
また、参考例2で用いるZTY複合酸化物は以下のように製造した。即ち、オキシ硝酸ジルコニウム、四塩化チタン、及び硝酸イットリウムを出発原料とし、上記の化合物をイオン交換水に溶解させた後、適量の過酸化水素水を加え、そこにpH14のアンモニア水を滴下して沈殿物を得た。該沈殿物を洗浄し、120℃で24時間の乾燥、900℃で5時間の焼成を行うことによりZTY複合酸化物を得た。このとき、上記ZTY複合酸化物の組成は、酸化物換算の質量比でZrO2:TiO2:Y2O3=70:20:10となるように調整した。得られたZTY複合酸化物に対し、上記実施例1に係る製造プロセスと同様にロジウムを担持させ、乾燥、焼成、成形し、これを参考例2に係る排ガス浄化用触媒とした。
さらに、所定量のγ−アルミナ(市販品、和光純薬工業株式会社製)に上記実施例1に係る製造プロセスと同様にロジウムを担持させ、乾燥、焼成、成形して排ガス浄化用触媒を製造し、これを参考例3に係る排ガス浄化用触媒とした。
上記参考例1〜3に係る排ガス浄化用触媒について、ロジウム担持量は、各担体粉末を100質量%としたときに0.25質量%となるように調整した。
得られた実施例1および比較例1に係る排ガス浄化用触媒に対し、高温耐久処理を施した。具体的には上記排ガス浄化用触媒3gを秤量し、電気炉に入れ、1000℃に保持しながら表1に示す組成のリッチガス及びリーンガスを2分間隔で交互に切り替えながら、300分間(5時間)流入させた。
上記高温耐久処理を施した排ガス浄化用触媒について、硫黄被毒処理を施した。具体的には、上記排ガス浄化用触媒を400℃に保持しながら、表2に示す組成のガス(SO2混合のストイキオメトリガス)を90分間流入させた。
上記高温耐久処理及び硫黄被毒処理における加熱温度条件について、図3に模式的に示す。
上記高温耐久処理後の実施例1及び比較例1に係る排ガス浄化用触媒について、その生成相を同定するために粉末X線回折装置(リガク RINT−TTR III)を用いてXRD測定を行った。また、生成相はJCPDSカードを用いて同定した。XRD測定の結果を図4に示す。
図4に示すXRDチャートの中で、実施例1及び比較例1の両サンプルにおいて観測された測定角2θが30°付近のピークはZT複合酸化物に帰属される。また、比較例1に係るサンプルについて観測された2θが26〜27°付近のピークはα−アルミナに帰属され、実施例1に係るサンプルについては該ピークが検出されなかった。即ち、実施例1に係る排ガス浄化用触媒は、上記1000℃で5時間の高温耐久処理後においてもα−アルミナが生成していないことが確認された。これは、実施例1に係る担体を構成するアルミナが、相転移抑制剤であるイットリウムを適当な含有率で含有しているためである。
上記高温耐久処理、及び硫黄被毒処理を施した後の実施例1及び比較例1に係る排ガス浄化用触媒について、NOx浄化に対する触媒活性を評価した。具体的な評価方法としては、排ガス浄化用触媒3gを秤量し、モデルガス装置内に設置した。次に、所定の温度条件下において表3に組成を示すストイキオメトリ領域のガスを、15L/minのガス流量でモデルガス装置内に流入させ、該装置入口及び出口のNOxガス濃度を測定した。このとき、浄化率(%)は、
浄化率(%)=((入りガス濃度−出ガス濃度)/入りガス濃度)×100
の式により算出される。
上記触媒活性評価における加熱温度条件については図5に示す。ここで、ガス温度が500℃になったところでNOxガスの濃度測定を行った。NOx浄化率の結果を図6に示す。
図6に示す結果より明らかなように、比較例1に係る排ガス浄化用触媒のNOx浄化率が75%であるのに対し、実施例1に係る排ガス浄化用触媒は95%を示し、浄化性能の大幅な向上が見られた。即ち、実施例1に係る排ガス浄化用触媒は、上記高温耐久処理及び上記硫黄被毒処理後であっても高いNOx浄化性能を維持することが確認され、このことは即ち、実施例1に係る排ガス浄化用触媒が高耐熱性及び高耐硫黄被毒性を両立することを示している。
上記硫黄被毒処理後の参考例1〜3に係る排ガス浄化用触媒と、上記高温耐久処理及び上記硫黄被毒処理後の実施例1および比較例1に係る排ガス浄化用触媒について、該触媒に蓄積した硫黄種を同定するために、軟X線XAFS(立命館大学SRセンター ビームライン10)を測定した。参考例1〜3に係る結果を図7に、実施例1及び比較例1に係る結果を図8に示す。
図7及び図8に示すグラフにおいて、横軸で示す光子エネルギー(photon energy)が2479eV付近に現れたピークは、担体に付着(形成)した硫酸塩(SO4)に帰属される。また、より低エネルギー側の2468eV付近のピークは、貴金属であるロジウムの硫化物(Rh−S)に帰属される。ここで、上記の硝酸塩(SO4)の生成は触媒活性に対してあまり寄与しないが、ロジウムの硫化(硫化物の生成)は触媒活性低下の要因となる。
図7に示す結果より明らかなように、参考例1に係るα−アルミナを担体に用いた排ガス浄化用触媒については、ロジウム硫化物が生成していることが判る。一方、ZTY複合酸化物(参考例2)及びγ−アルミナ(参考例3)を担体に用いた排ガス浄化用触媒については、ロジウム硫化物がほとんど生成していないことが判った。即ち、触媒活性の低下要因である貴金属硫化物の生成は、担体がα−アルミナ、ZTY複合酸化物、γ−アルミナである場合、上記の順(α−アルミナ>ZTY複合酸化物>γ−アルミナ)に少なくなることが確認された。
以上の結果より、γ−アルミナはα−アルミナと比較して、硫化物の生成を抑制する効果が高いことが明らかとなった。
以上の結果より、実施例1に係る排ガス浄化用触媒は高温条件下であっても高い耐硫黄被毒性を有することが確認された。
12 γ−アルミナ粒子
14 ZTY複合酸化物粒子
16 金属粒子
20 排ガス浄化用触媒
22 α−アルミナ粒子
24 ZTY複合酸化物粒子
26 金属粒子
Claims (8)
- 担体と、該担体に担持された排ガス浄化のための触媒として機能する金属と、を備える排ガス浄化用触媒であって、
前記担体として、γ−アルミナを主体として構成されたアルミナ系粒子と、ジルコニア−チタニア複合酸化物を主体として構成されたジルコニア−チタニア系粒子と、を備え、
理論空燃比環境下において1000℃で少なくとも5時間加熱した後におけるXRD測定で、α−アルミナに帰属されるピークが実質的に生じないことを特徴とする、排ガス浄化用触媒。 - 前記アルミナ系粒子がイットリウムを含有している、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記ジルコニア−チタニア系粉末が、イットリウムを含有している、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記担体全体を100質量%としたとき、前記イットリウムを酸化物(イットリア)に換算したときの含有率が1質量%以上10質量%以下である、請求項2または3に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記金属としてロジウムを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
- 排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
アルミニウム塩と、イットリウム塩と、を含有する酸性水溶液Aを調製する工程と、
チタン塩と、ジルコニウム塩と、イットリウム塩と、を含有する酸性水溶液Bを調製する工程と、
pHが少なくても11である高pH溶液を用意する工程と、
前記酸性水溶液Aと前記酸性水溶液Bの両方を、前記高pH溶液に対して、滴下して混合させることにより、該混合液のpHを塩基性側から酸性側へと下げる方向で変化させ、その過程で沈殿を生成させる工程と、
得られた沈殿物を焼成することにより、担体を得る工程と、
得られた担体に排ガス浄化のための触媒として機能する金属を担持させる工程と、
を含むことを特徴とする、排ガス浄化用触媒の製造方法。 - 前記高pH溶液がアンモニア水である、請求項6に記載の製造方法。
- 前記アルミニウム塩、前記イットリウム塩、及び前記ジルコニウム塩が硝酸塩であり、前記チタン塩が塩化物である、請求項6または7に記載の製造方法。
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