JP2012528435A - 電子素子及び電子素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

1つの封止部、少なくとも2つの二重層を有する電子素子が記載されている。更に、層列が封止された電子素子の製造方法が記載されている。

Description

本発明は、電子素子及び電子素子の製造方法に関する。
この特許明細書は、ドイツ特許出願第102009023350.4の優先権を主張し、これにより、前記出願の開示内容は参照によってこの明細書に組み込まれる。
電子素子は、しばしば反応性の材料、例えば腐食しやすい金属、又は吸湿性の層を含むため、電子素子の耐用年数は、特に空気酸素及び湿度に対する電子素子の遮蔽に依存する。例えば、電子工学的に励起された分子は、電子素子の運転時に、酸素又は水と容易に反応し、このことが電子素子の耐用年数を制限する。
解決されるべき課題は、改善された遮蔽を有する電子素子を提供することにある。前記課題は、請求項1に記載の電子素子により解決される。この電子素子の他の実施態様及び改善された遮蔽を有する電子素子の製造方法は、他の請求項の主題である。
この実施態様の場合に、基板、前記基板上の少なくとも1つの機能層を有する層列、及び前記層列及び基板上に配置されていてかつ前記層列を基板と共に完全に取り囲む封止部を有する電子素子が提供される。この場合、前記封止部は少なくとも2つの二重層を有し、1つの二重層は第1の層及び第2の層を有し、第1の層は二次元秩序を有する有機単分子膜である。この二次元秩序は無定形であることができる。
つまり、それぞれ第1の層及び第2の層を有する複数の二重層からなる層系が提供され、この第1の層及び第2の層は交互に積み重なって配置されているため、緻密な封止部が製造される。前記封止部の最外層は、第1の層であるか又は第2の層であることができ、つまり、前記層列に接する前記封止部の層は、第1の層又は第2の層であることができ、前記層列から最も離れた前記封止部の層は、前記封止部の第1の層又は第2の層であることができる。前記封止部は、少なくとも1つの機能層を含む層列を空気酸素及び湿分に対して遮蔽するため、前記層列中の、空気及び/又は湿分と反応しやすい層は保護される。それにより、前記層の寿命は延長され、ひいては電子素子の寿命も延長される。
この第1の層は、0.5nm〜5nmの範囲から選択される長さを有する線状の分子を有することができ、この線状の分子の長さに一致する厚さを有する。従って、0.5nm〜5nmの厚さを有することができる封止部の二重層の第1の層が提供される、例えばこの第1の層の厚さは1〜3nmであることができる。
この洗浄の分子は、第1の末端基、中央の基及び第2の末端基を有することができる。第1の末端基は、例えばアンカー基であることができ、第2の末端基は例えばヘッド基であることができる。第1の末端基及び第2の末端基の適切な選択によって、この第1の層は、第2の層と、又は更なる二重層の第2の層と良好に結合することができる。さらに、この第1の末端基と第2の末端基の適切な選択により、それぞれの末端基相互の良好な結合が生じ、それにより、第1の層は高い密度を有し、それにより化学的安定性及び熱的安定性を有する。
末端に第1の末端基を有する線状の分子は、表面上に薄い単分子膜(自己組織化単分子膜:SAM)を形成することができる。この単分子膜は、自己秩序化単分子膜とも言われる。
上記された線状の分子から形成されている第1の層は、第2の層と例えば共有結合を形成することができ、従って、第2の層の表面との良好な付着を有する。第2の層の表面との結合は、自発的にかつ指向的に行うことができる。それにより、有機単分子膜中での二次元秩序が生じ、それにより特に緻密な第1の層を作成することができる。よって、例えば、漏れ電流路を有しないか又はわずかな漏れ電流路しか有しない極めて薄い誘電体を製造することができ、このことは高い破壊電圧により示すことができる。それにより、この単分子膜は、大きな分子、例えば水又は酸素に対して不透過性であるか又はほとんど不透過性である。第2の層中での、10nm未満の大きさを有する欠陥箇所、例えばピンホールは、この第1の層の線状の分子によって閉じることができる。この第1の層は単分子膜を有することにより、封止部の全体の厚さを極めて薄く構成することができ、それにより材料コストもプロセスコストも節約することができる。
この線状の分子の中央の基は分子鎖であることができ、線状のアルキル、線状のフッ素化されたアルキル、ポリエチレングリコール及びポリエチレンジアミンを含むグループから選択することができる。この中央の基は、必要に応じて、絶縁性の脂肪族系又は導電性の共役二重結合を中央の基として選択することにより、第1の層の電気特性に影響を及ぼすことができる。
線状のアルキルは、2〜20個の炭素原子を有し、例えば10〜18個の炭素原子を有することができる。同様に線状のフッ化されたアルキルは、2〜20個、例えば10〜18個の炭素原子を有することができる。例えば、2〜20個の炭素原子を有する線状のアルキルは、第2の末端基としてアリール基を有することができ、このアリール基はパイ−パイ相互作用の形成により線状分子相互を及び隣り合う第2の層に関して安定化する。このアリール基は置換されているか又は非置換であることができる。置換基はフッ素化された及び/又は不飽和のアルキル基、ハロゲン又はS、N又はP含有化合物であることができる。第1の層の製造のために、多様な線状の分子を使用することもできる。
この第1の末端基は、ヒドロキサム酸、オキシム、イソニトリル、ホスフィン、R1−Si(R2)−R3、O=C−R4、O=P(R5)−R6及びO=S(R7)=Oを含むグループから選択することができる。この場合、R1、R2、R3は、相互に無関係に、H、Cl、Br、I、OH、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択され、この場合、R1、R2及びR3の少なくとも1つはHではない。さらに、R4は、H、Cl、Br、I、OH、OSiR123、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択することができる。R5及びR6は、相互に無関係に、H、Cl、Br、I、OH、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択することができる。さらに、R7は、Cl、Br、I、OH、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択することができる。
例示的な上記の特性を有する第1の層の線状の分子を、式1により構成することができる。
Figure 2012528435
式1
全体のR1〜R7について、アルキル基は例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、並びにこれらの分枝された同族体及び分枝された高級の同族体であることが当てはまる。R4は、OSiR123であることができ、R1、R2、R3は、相互に無関係に、アルキル又はHであることができる。第1の末端基O=P(R5)−R6は、隣り合う第2の層及び/又は隣り合う第1の末端基に対して特に安定な結合を形成することができる。
この第2の末端基は、第1の末端基、非置換のアリール基、置換されたアリール基、置換された芳香族基、非置換の芳香族基、置換されたヘテロ芳香族基及び非置換のヘテロ芳香族基を含むグループから選択することができる。例えば、第2の末端基は、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、インドール、2H−イソインドール、ベンゾチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリリウム、α−ピロン、γ−ピロン、キノリン、イソキノリン、ビピリジン及びそれぞれの誘導体であることができる。例示的な第2の末端基は、式2に示されている。
Figure 2012528435
式2
この第2の末端基は、直接又はヘテロ原子のO、S、N、Pを介して中央の基と結合されていてもよい。C−C二重結合又はC−C三重結合を介した結合も可能である。この第2の末端基は、第1の末端基の成分を有する置換基を有していてもよい。さらに、第2の末端基は、メチル基又はカルボニル基に酸化されたメチル基であることもできる。それにより、隣り合う第2の層はこの第1の層と良好に結合することができる。
この第2の層は、金属、金属合金、金属酸化物及びポリマーを含むグループから選択される材料を有することができる。金属は、例えば非反応性又はそれ自体不動態化する金属又は金属合金、例えばAl、Cr、Ni、Fe、Ag、特殊鋼、AlMg3及び他のアルミニウム合金であることができる。金属酸化物は、例えばSiO2又はAl23並びに酸化インジウムスズ(ITO)又は酸化亜鉛から選択することができ、これらは公知の方法で堆積させることができる。ポリマーは、例えばパリレン、アクリラート又はノボラックであることができる。第2の層としてポリマーを使用する場合に、この第2の層の表面上に高いOH基密度が存在することが好ましく、それにより、隣り合う第1の層との安定な結合を形成することができる。高いOH密度は、例えば、少なくとも各10個のモノマー単位に1つのOH基によって実現することができる。例えば、ポリ−o−ヒドロキシ−スチレン又はポリビニルアルコールは高いOH密度を有する。前記層列及び前記基板上にその都度の第2の層を有する複数の二重層が設けられている場合には、個々の第2の層について異なる材料を選択することができる。
第2の層は、5nm〜1μmの範囲から選択される厚さを有することができる。例えば、この厚さは50nm〜1μmの範囲から選択することができる。第2の層の厚さをより厚く選択すればそれだけ、第2の層はより厚くなる。従って、気密な第2の層も提供することができる。
この第2の層が金属層として構成される場合、この層は、金属原子の更なる堆積によって閉じることができないピンホールを有することがある、それというのもピンホールは新たに堆積される金属原子により濡れないためである。第1の層の堆積は、金属が第1の層上で、この金属原子上よりも濡れが悪い場合に、表面エネルギーを低下することを引き起こすことができる。従って、このピンホールは、第1の層の材料によって及び次いで更なる金属原子によって初めて閉鎖され、全体として薄く緻密な層列が作成される。
全体として、わずかな厚さの二重層が提供される、それというのも、第1の層も第2の層も薄膜として構成することができるためである。従って、この電子素子の緻密な薄膜封止部が提供される。この薄膜封止部は、この場合、30までの二重層を有することができる。
第2の層と第1の層の第1の末端基との間及び/又は第2の層と第1の層の第2の末端基の間には、化学結合及び/又は配位結合及び/又はファンデルワース相互作用が存在することができる。従って、この二重層の個々の層の間には、緻密な封止部を生じさせる安定な結合が形成されている。
この封止部は、水分子及び酸素分子を結合する更に少なくとも1つの第3の層を有することができる。この結合は化学的に行うことができ、二重層の封止特性を高める。この第3の層の材料として、例えばCa、Mg、Yb、Ba又はSrを選択することができる。少なくとも1つのこの第3の層は、二重層の間に配置されていてもよい。
この電子素子の層列は、有機発光ダイオード、有機磁気抵抗素子、無機磁気抵抗素子、エレクトロクロミック表示素子、有機太陽電池、無機太陽電池、有機フォトダイオード、無機フォトダイオード、有機センサ、無機センサ及び表面波フィルタを含むグループから選択することができる。磁気抵抗素子は、この場合、GMR効果又はTMR効果を示すことができる。エレクトロクロミック表示素子は、画素形成又はセグメント化されていてもよい。例えば、配線板上に配置されたSiチップを、上記の二重層によって気密に遮蔽することも可能である。
更に、電子素子の製造方法も提供される。この方法は、次の方法段階
A) 少なくとも1つの機能層を基板上に有する層列を配置する段階、
B) 前記基板及び前記層列上に少なくとも2つの二重層を有する封止部を配置することにより、前記層列を前記基板及び前記封止部によって完全に取り囲む段階
を有し、この場合、前記方法段階B)は、次の方法段階
B1) 第1の層を適用する段階、及び
B2) 第2の層を適用する段階
を有し、その際、第1の層として二次元秩序を有する有機単分子膜が製造される。これらの方法段階B1)及びB2)は、この場合に交互に少なくとも2回繰り返されるため、第1の層と第2の層とをそれぞれ有する少なくとも2つの二重層が製造される。従って、酸素及び/又は湿分に対して敏感な層列を封止する簡単な実施方法が提供される。
方法段階B2)では、第2の層のための材料を、蒸着、スパッタリング、印刷、無電解メッキを含むグループから選択される方法を用いて適用することができる。第1の層のための材料として、金属、金属合金、金属酸化物及びポリマーを選択することができる。ポリマーは、気相又は液相から適用することもでき、O2プラズマにより変性され、それにより表面に高いOH基密度を存在させる。
方法段階B1)では、第1の層のための材料を、気相又は溶液から適用することができる。この第1の層の材料として、上述されたような第1の末端基、中央の基及び第2の末端基を有する線状の分子を使用することができる。
方法段階B1)において第1の層のための材料を溶液から適用する場合に、第1の層と第2の層との結合を改善するために、方法段階B2)に引き続いて熱処理及び/又は照射工程を行うことができる。引き続き、第1の層の第2の層と結合していない過剰の材料を除去するために濯ぎが実施される。
この第1の層の材料は、この材料を溶液の形で塗布する場合に、溶剤又は溶剤混合物中に0.0001mol/l〜1mol/lの濃度で溶解して存在することができる。溶剤は、炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、テトラリン及びデカリン、塩素化された炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン、アルコール、例えばメタノール、n−プロパノール、i−プロパノール及びブタノール、エーテル又は環状エーテル、例えばジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン、エステル、例えば酢酸エステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリジノン、γ−ブチロラクトン及びシクロヘキサノンを含むグループから選択することができる。
方法段階B1)において第1の層のための材料が気相から適用される場合に、第1の層の材料は希釈されて又は希釈されずに真空容器から適用することができる。この場合、前記材料は、気相中で1%の割合で存在することができる。希釈剤なしでの前記材料の割合は、気相中で100%である。第1の層の材料を希釈するために、希ガス、例えばHe、Ne、Ar、Kr又はXe又は不活性ガス、例えばN2が使用される。この堆積のために、第1の層のための前記材料の容易に蒸発可能な誘導体を使用することもできる。この堆積の間の圧力は、10-8mbarから1000mbarであり、温度は200℃であることができる。この堆積は、例えば0.1分〜10分間行うことができる。この堆積に引き続き、第1の層の過剰な材料を排気又は加熱により除去することができる。反応性のシランは、例えば気相中に水の導入により固定することができ、この場合シランのCl末端は重合される。
方法段階B2)において、第1の層と第2の層との間に、化学結合及び/又は配位結合及び/又はファンデルワース相互作用を形成することができる。第1の二重層上に第2の二重層を堆積させる場合、第1の二重層の第2の層と、第2の二重層の第1の層との間に、同様に化学結合及び/又は配位結合及び/又はファンデルワールス相互作用が形成させることができる。
第2の層の製造の際に、この第2の層上に欠陥箇所が生じる場合に、第2の層は部分領域が存在し、この欠陥箇所はその上に堆積される次の二重層の第1の層により閉じることができる。第1の層の線状の分子は、第2の層に対して自発的に垂直に整列するため、欠陥箇所では第1の層の線状の分子が第2の層の部分領域に対して平行に配置される。従って、第2の層の緻密性が得られ、かつ許容可能な封止部を製造することができる。
方法段階B1)及びB2)の順序は確定されていない。従って、方法段階A)において配置された層列上にまず第1の層を、次いで第2の層を、又はまず第2の層を、次いで第1の層を堆積させることができる。まず、方法段階B1)を実施する場合、つまり第1の層を層列上に堆積させる場合に、この層列上での第1の層の結合が可能である基、例えば金属基が存在していなければならない。この方法段階B)において最終的に実施される方法段階は、同様に方法段階B1)又はB2)であることができる。後続する方法段階でこの封止部上に更なる層又は要素を適用する場合、例えば、方法段階B)は方法段階B1)で完了する、つまり第1の層の適用で完了することができる。この第1の層は、この場合、付着媒体として機能することができる。
実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
封止部を備えた電子素子の略示された側面図を示す。 二重層の略示した側面図を示す。 欠陥箇所を備えた二重層の略示した側面図を示す。 第1の層の表面上の水滴の写真を示す。 第1の層の表面上の接触角測定のグラフを示す。 層列の略示した側面図を示す。 層列の略示した斜視図を示す。
図1は、電子素子の略示された側面図を示す。この基板10上に、層列20が適用される。例えば、この場合、6つの層を備えた層列20が示されているが、層列中にはより多くの層又はより少ない層が存在することもできる。
この層列中の少なくとも1つの層は、機能層、例えば放射線を発する層である。更に、この層列20中の複数の層の少なくとも1つは、酸素及び/又は空気湿度に対して敏感である。
この層列20及び基板10上に、2つの二重層30が配置され、その結果、この層列20は上記基板10及び上記二重層30によって完全に取り囲まれている。この二重層30は、それぞれ交互に積み重なって配置されている第1の層31と第2の層32とを有する。図1中には、例えば第2の二重層30が示されているが、この二重層30の数は、より多く選択することができる。
この二重層30は、例えば気相から層列20上に堆積させることができる。この場合、この基板を真空容器中で、相応する化合物の希釈された又は希釈されていない蒸気に0.1分〜10分間曝すことができる。この圧力は、この場合、例えば10-8mbar〜1000mbarである。この温度は、20℃〜300℃の範囲内であり、例えば200℃未満であることができる。第1の層も第2の層も、同じ真空容器中で堆積させることができる。第1の層の材料として、ホスホン酸、カルボン酸又はスルホン酸を第1の末端基として選択する場合、容易に蒸発可能であるこれらのエステル又は他の反応性誘導体を使用することもできる。
基本的に、上記の層列上に、まず第1の層を堆積させるか、又はまず第2の層を堆積することができる。まず第1の層を堆積させる場合には、この層列上に、第1の層と結合することができる基が存在していなければならない。この基は、例えば金属基であることができる。封止部の外側層は、同様に第1の層又は第2の層であることができる。外側層が第1の層である場合には、この層は例えば、更に適用されるべき要素又は層のための付着媒体として用いることもできる。図1中には、例えば第1の層31が層列上に適用されていて、封止部は、第2の層32で終わっている。
図2は、二重層30の略示した側面図を示す。第1の層31及び第2の層32は、図示された分子からなる構成として拡大されて示されている。このための材料として、上記の材料を選択することができる。
第1の層31は、第1の末端基31a、中央の基31b及び第2の末端基31cを有する材料を有する。この第1の末端基31aは第2の層と、化学結合、配位結合、ファンデルワールス相互作用を形成することができる。従って、第1の層31と第2の層32は相互に緻密に結合されている。第2の末端基31cは、更なる二重層30のこの後に続く第2の層と同様に結合することができる。この第2の末端基31は、更に相互作用を形成することができるため、この第2の層は緻密に構成される。中央の基31bも、個々の分子間で互いに相互作用を形成するように構成することもできる。第1の層31の線状の分子は、二次元的な秩序で、第2の層32上に配置されている。それにより、全体として緻密な二重層30が形成される。
図3は、他の態様の二重層30の略示された図を示す。この場合、第2の層32、例えば金属層中に、欠陥箇所、例えばピンホールが存在する。この欠陥箇所は、第1の層31の線状の分子が、第2の層32の部分領域の間に配置され、かつ第2の層32を塞ぐことにより充填される。従って、第2の層32の製造時に生じることがある欠陥は、第1の層の適用によって解消される。この閉鎖メカニズムは、第2の層中の10nmよりも小さい欠陥箇所について特に良好に機能する。より大きなピンホールの場合には、複数の二重層の堆積を必要とする。
図4は、第1の層31の表面上の水滴40の写真を示す。この水滴40は、第1の層31に対して大きな接触角Θを形成することが解る。これは第1の層の表面の強い疎水性の特性を示し、この強い疎水性の特性は、第1の層を有する二重層30の良好な遮蔽特性を生じさせる。
この写真のために、15mm×25mmのサイズ及び0.5mmの厚さのAlMg3からなる基板をN−メチルピロリドンで清浄化し、その後でアセトン及びイソプロパノールで脱脂した。炭酸水素ナトリウムの水溶液中で、自己不動態化により生じる自然酸化層を、150mAの電流で、8〜10Vで、カソードとして基板を接続することにより、つまり、還元洗浄法の選択により除去した。引き続き、基の基板を、オクタデシルホスホン酸(100mg)のイソプロパノール(100ml)中の溶液中に30分間浸した。イソプロパノールで洗浄し、引き続き窒素流中で乾燥した後に、この表面はオクタデシルホスホン酸の単分子膜で封止されていた。このように処理された表面上の水滴40は、120゜の範囲の接触角を示す。
上述の実施例は、他のアルミニウム合金又は純アルミニウムを用いて実施することもできる。アルミニウム合金の代わりに、銅、ニッケル又はチタンも同様に被覆することができる。オクタデシルホスホン酸の代わりに、ヘキシルホスホン酸又はデシルホスホン酸を使用することもできる。第1の末端基として、ホスホン酸の代わりにトリクロロシリル基を使用することもできる。この場合、水不含のトルエンを溶剤として使用し、不活性雰囲気、例えば窒素又はアルゴン中で処理される。
上述の実施例について、図5は、それぞれの表面上で測定された接触角Θのまとめを示す。第2の層として、それぞれAlMg3を使用した。第1の層中の線状の分子の中央の基の長さは、16〜18個の炭素原子であり、つまりヘキシル、デシル又はオクタデシルである。第1の末端基として、ホスホン酸基又はトリクロロシリル基が使用される。接触角Θの測定のために、水40、ヘキサデカン41、エチレングリコール42又はジメチルスルホキシド(DMSO)43の媒体を使用する。第1の層の材料は、ヘキサンホスホン酸A、デカンホスホン酸B、オクタデカンホスホン酸C、ヘキサントリクロロシランD、デカントリクロロシランE及びオクタデカントリクロロシランFである。接触角Θは、度で示されている。
接触角Θが大きくなればそれだけ、二重層30の疎水性の特性もより高くなる。第1の末端基としてホスホン酸分子(末端基A、B及びC)を有する分子は、従って最も緻密な第1の層を形成する。末端基としてトリクロロシリル基(末端基D、E及びF)の場合には、最も長い分子のオクタデシルトリクロロシランは、第1の末端基としてのホスホン酸を有する分子よりも、わずかに小さな接触角Θを提供するだけである。オクタデシルホスホン酸は、二重層30中で特に有利な特徴を示すことが推論される。第1の末端基としてトリクロロシリル基を有する線状の分子は、同様に気相中で適用することができる。
図6は、基板10上の層列20の略示された側面図を示し、前記層列20は、上記された二重層30により封止することができる。この例示された層列は、アノード21、正孔輸送層22、機能層としての有機発光層23、電子輸送層24及びカソード25を有する。この層列中に、例えばCa又はLiFからなる電子注入層を存在させることもできる。この電子注入層は、電子輸送層とカソードとの間に配置することができる(ここでは図示されていない)。この基板10は例えばガラス基板であることができ、アノードは酸化インジウムスズを含有することができ、カソードは金属カソードであることができる。
この例示的な層列20は、交互に行われる蒸着プロセスによって堆積させ、構造化することにより、例えばOLEDを製造することができる。OLEDの製造の場合には、最終的に120nmの厚さのアルミニウムカソードを蒸着させる。二重層30からなる封止部を堆積させるために、基板10上に層列20を備えた基板10を真空室中に導入する。この場合、基板10を1mbarで80℃に加熱する。加熱された真空室中で、キャリアガスとして窒素を用いて、オクタデシルホスホン酸ジエチルエステルを10分間導通する。引き続き、この真空室を再び5×10-6mbarに排気し、過剰量のオクタデシルホスホン酸ジエチルエステルを除去する。アルミニウム源の導入の後で、100nmのアルミニウムを蒸着により堆積させる。
第1の層31及び第2の層32の堆積プロセスを、例えば更に4回繰り返すことができる。二重層30の堆積は、アルミニウムカソードを堆積したのと同じ真空室中で行うことができる。オクタデシルホスホン酸ジエチルエステルの堆積は室温で行い、この堆積時間は2分に低減することができる。更に、オクタデシルホスホン酸ジメチルエステルは、別個の供給源から蒸着させることができる。
純アルミニウムの代わりに、更に、合金AlMg3を蒸着させることができる。蒸着プロセスの代わりに、スパッタプロセスが使用される。二重層30中の第2の層は、Ca層として構成することができる。
図7は、他の素子の略示した側面図を示す。ここでは、基板10上にアノード21、有機相26及びカソード25が、構造化されて適用されている。ここでも、例示的に、この素子の運転のために、電圧Vが印加されなければならないことが示されている。アノード21とカソード25には、電圧Vが印加され、電流iが供給される。この素子は、例示的にOMR層列を有することができる。
この層列は、交互に行われる蒸着プロセスにより基板10上に堆積させるか又は構造化させることができ、最終的に、20nm〜2μmの、例えば120nmの厚さのアルミニウムカソードを蒸着させることができる。この層列の封止部は、図6の層列に関して説明されたように封止することができる。
この図中に示された実施態様は、任意に変更することができる。更に、本発明はこれらの実施例に制限されることはなく、ここに記載されていない別の実施態様も可能であることを考慮することができる。

Claims (15)

  1. 基板、
    前記基板上の、少なくとも1つの機能層を有する層列、及び
    前記層列及び前記基板上に配置されていて、かつ前記基板と一緒になって前記層列を完全に取り囲む封止部を有し、
    前記封止部は少なくとも2つの二重層を有し、
    1つの二重層は第1の層と第2の層とを有し、
    前記第1の層は二次元秩序を有する有機単分子膜である、電子素子。
  2. 前記第1の層は、0.5nm〜5nmの範囲から選択される長さを有する線状の分子を有し、前記線状の分子の長さに一致する厚さを有する、請求項1記載の電子素子。
  3. 前記線状の分子は、第1の末端基、中央の基及び第2の末端基を有する、請求項1又は2記載の電子素子。
  4. 前記中央の基が、線状のアルキル、線状のフッ素化されたアルキル、ポリエチレングリコール及びポリエチレンジアミンを含むグループから選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の電子素子。
  5. 前記第1の末端基が、ヒドロキサム酸、オキシム、イソニトリル、ホスフィン、R1−Si(R2)−R3、O=C−R4、O=P(R5)−R6及びO=S(R7)=Oを含むグループから選択され、
    1、R2、R3は、相互に無関係に、H、Cl、Br、I、OH、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択され、R1、R2及びR3の少なくとも1つはHではなく、
    4は、H、Cl、Br、I、OH、OSiR123、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択され、
    5及びR6は、相互に無関係に、H、Cl、Br、I、OH、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択され、
    7は、Cl、Br、I、OH、O−アルキル基、ベンジル基及び不飽和アルケニル基から選択される、請求項3又は4記載の電子素子。
  6. 前記第2の末端基は、第1の末端基、非置換のアリール基、置換されたアリール基、置換された芳香族基、非置換の芳香族基、置換されたヘテロ芳香族基及び非置換のヘテロ芳香族基を含むグループから選択される、請求項3から5までのいずれか1項記載の電子素子。
  7. 前記第2の層は、金属、金属合金、金属酸化物及びポリマーを含むグループから選択される材料を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子素子。
  8. 前記第2の層は、5nm〜1μmの範囲から選択される厚さを有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の電子素子。
  9. 前記第2の層と前記第1の末端基との間、及び/又は前記第2の層と前記第2の末端基との間に、化学結合及び/又は配位結合及び/又はファンデルワールス相互作用が存在する、請求項3から8までのいずれか1項記載の電子素子。
  10. 前記封止部は、水分子及び酸素分子を結合する少なくとも1つの第3の層を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の電子素子。
  11. 前記層列は、有機発光ダイオード、有機磁気抵抗素子、無機磁気抵抗素子、エレクトロクロミック表示素子、有機太陽電池、無機太陽電池、有機フォトダイオード、無機フォトダイオード、有機センサ、無機センサ及び表面波フィルタを含むグループから選択される、請求項1から10までのいずれか1項記載の電子素子。
  12. 電子素子の製造方法であって、次の方法段階
    A) 少なくとも1つの機能層を基板上に有する層列を配置する段階、
    B) 前記基板及び前記層列上に少なくとも2つの二重層を有する封止部を配置することにより、前記層列を前記基板及び前記封止部によって完全に取り囲む段階
    を有し、この場合、前記方法段階B)は、次の方法段階
    B1) 第1の層を適用する段階、及び
    B2) 第2の層を適用する段階
    を有し、その際、第1の層として二次元秩序を有する有機単分子膜が製造され、かつ前記方法段階B1)及びB2)は、交互に少なくとも2回繰り返される、電子素子の製造方法。
  13. 前記方法工程B1)において、前記第1の層のための材料は、気相又は溶液から適用される、請求項12記載の方法
  14. 前記方法段階B2)では、前記第2の層のための材料を、蒸着、スパッタリング、印刷、無電解メッキを含むグループから選択される方法を用いて適用する請求項12記載の方法。
  15. 前記方法段階B2)において、前記第1の層と前記第2の層との間に、化学結合及び/又は配位結合及び/又はファンデルワース相互作用を形成する、請求項12記載の方法。
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