JP5135775B2 - 表示素子 - Google Patents

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本発明は、銀の溶解析出を利用した電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型ディスプレイが主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型ディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要であるなどの課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)が知られている。ED方式は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
本発明者は、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、従来技術では、長期間の使用において、電解質の溶媒が揮発することにより表示ムラが発生することが判明した。これを解決する手段としては、電解質の固体化や電解質溶媒に難揮発性溶媒を使用する等が挙げられるが、いずれも表示速度の大幅な低下が避けられなかった。
本発明は、多孔質白色散乱層として対向電極に垂直な細孔を有するものを選択し、細孔表面に銀と錯体を形成する配位子を持つ化合物からなる自己組織化膜を形成させ、かつ自己組織化膜の表面に銀を規則的に配位させることを特徴とする。結果として、銀イオンの拡散速度に依存せず、銀の連続的な酸化還元によって電子が移動することで、電解質の溶媒にイオン性液体などの難揮発性溶媒を用いても表示速度が低下しないことを特徴とするED方式の表示素子が得られる。
米国特許第4,240,716号明細書 特許第3428603号公報 特開2003−241227号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、エレクトロでポジション方式の表示素子において、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高く、かつ表示速度が速い表示素子であって、さらには、長期間にわたって表示ムラが少ない表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.対向電極間に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層及び多孔質白色散乱層を有し、銀の溶解、析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子において、多孔質白色散乱層が細孔を有しており、かつ細孔の表面に銀と錯体を形成する部位を有する化合物からなる自己組織化膜が形成されており、かつ該自己組織化膜表面に銀が配位していることを特徴とする表示素子。
2.前記多孔質白色散乱層の有する細孔の深さ/細孔の径の比が3000以上であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
3.前記多孔質白色散乱層を形成する化合物が、二酸化チタンであることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
4.前記多孔質白色散乱層を形成する化合物が、アルミナであることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
5.光電気化学エッチング処理によって細孔が形成されていることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
6.陽極酸化処理によって細孔が形成されていることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
7.前記銀と錯体を形成する部位を有する化合物が、構造中に、多孔質白色散乱層に化学吸着または物理吸着する基を有していることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
8.前記銀と錯体を形成する部位を有する化合物の錯体形成部位が、銀と配位結合可能なS原子またはN原子を含むことを特徴とする前記7に記載の表示素子。
9.前記銀と錯体を形成する部位が、メルカプトトリアゾール誘導体、メルカプトオキサジアゾール誘導体またはメルカプトチアジアゾール誘導体構造であることを特徴とする前記8に記載の表示素子。
10.前記銀と錯体を形成する部位が、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体またはターピリジン誘導体構造であることを特徴とする前記8に記載の表示素子。
11.多孔質白色散乱層に化学吸着または物理吸着する基が、−COOH、−P=O(OH)2、−Si(OR)3であることを特徴とする前記7〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
(ここにおいて、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)
12.前記電解質層がイオン性液体を含有していることを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載に表示素子。
本発明により、簡便な部材構成、低電圧で駆動が可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高く、かつ表示速度が速い表示素子であって、さらには長期間にわたって表示ムラが少ない表示素子を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の表示素子は、対向電極間に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層を有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行うED方式の表示素子である。
図1は、本発明の表示素子の基本構成の一例を示す概略断面図である。
図1において、ED表示部は、対向する位置に配置された一対の対向電極が設けられている。ED表示部に近い対向電極の1つである電極1にはITO電極等の透明電極、他方の電極2には銀電極等の金属電極が設けられている。電極1と電極2との間には銀または銀を化学構造中に含む化合物を有する電解質3が担持されており、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することで、電極1と電極2上で銀の酸化還元反応が行なわれ、銀画像(還元状態)と、透明な銀イオンの状態(酸化状態)を可逆的に切り替えることができる。
本発明の表示素子においては、一対の対向電極のうち、非表示部側の電極2上に、多孔質白色散乱層4が、表示コントラスト及び白表示時の反射率を高める目的で設けられる。また、多孔質白色散乱層4には、表示コントラスト及び白表示時の反射率を高め、同時に表示の速度を高めるため、所定の内径及び深さを有する細孔6が形成されており、細孔の表面には銀と錯体を形成する部位を有する化合物からなる自己組織化膜が形成されてなる。
以下、本発明の表示素子構成について説明する。
(多孔質白色散乱層)
本発明の表示素子は、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から多孔質白色散乱層を有している。
本発明の多孔質白色散乱層は、金属酸化物微粒子からなる白色顔料及び分散溶媒及び蛍光増白剤及び高分子化合物を含有した分散物を塗布方式、インクジェット方式、印刷方式等により基体上に塗布することで形成することができる。
多孔質白色散乱層の好ましい形成方式は、スクリーン印刷方式である。
前記多孔質白色散乱層を構成する白色顔料の平均粒径は、5〜1000μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは5〜500μmの範囲である。
多孔質白色散乱層の平均膜厚は、15〜300μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30μmの範囲である。
多孔質白色散乱層を構成する細孔の細孔の深さ(L)/細孔の径(内径D)の比は、100以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上であり、本発明においては3000以上であることが好ましい。
前記細孔は、電極(面)に対して60度から90度の向きで配列していることが好ましく、より好ましい範囲は75度から90度である。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明においては、上記白色粒子の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)または多価アルコール等の有機物で表面処理した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
多孔質白色散乱層を形成する分散物の溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトニトリル、アセチルアセトン、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を用いることができる。
本発明に用いられる高分子化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号公報等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明では、前記高分子化合物に酸化スズ、金、銀、胴、炭素等の導電性の粉末を添加して用いる。添加量は高分子化合物に対して、質量比で0.01〜10%であることが好ましい。
本発明において、前記分散物を塗布する媒体としては、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。
媒体上に付与した前記分散物の溶媒の乾燥は、溶媒を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記分散物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子においては、前記分散物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により前記高分子化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。高分子化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、高分子化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
(細孔)
本発明の表示素子においては、多孔質白色散乱層が細孔を有し、該細孔の径(内径)をD(直径)、細孔の深さをLとしたとき、L/Dが3000以上であることが好ましい。
細孔の径(D:直径)は光学顕微鏡で表面を観察することで見ることが出来る。表面の細孔の面積を測定しこれを円換算して算出する。細孔は少なくとも100個以上を測定し算術平均をとる。
また、細孔の深さLは光学顕微鏡による断面観察によりみることが出来る。少なくとも100個の細孔について測定し、算術平均をとる。
本発明に係る細孔において、細孔の径Dとしては、上記L/Dの規定条件を満たす範囲で特に制限はないが、好ましくは5nm以上、500nm以下である。また、細孔の深さLとしては、上記L/Dの規定条件を満たす範囲で特に制限はなく、1μm以上、300μm以下であることが好ましいが、本発明に係る細孔の機能、すなわち電極面に電解質を十分に供給し、析出銀の溶解を確実に行うという観点からは、細孔の深さLは多孔質白色散乱層表面から電極面まで貫通していることが好ましく、従って、好ましい細孔の深さLは、15μm以上、300μm以下である。
また、本発明に係る細孔の多孔質白色散乱層に対する付与率は、目的とする白表示時の反射率の達成と、析出銀の消失効果に大きく影響を与える因子である。細孔の付与率を高く設定すると析出銀の消失効果は高まる反面、金属酸化物による白表示時の反射率が低下し、逆に細孔の付与率が低すぎると、十分な白表示時の反射率は得られるが、析出銀の消失効果が不十分となる。従って、本発明に係る細孔の多孔質白色散乱層に対する付与率としては、多孔質白色散乱層の単位表面積当たり、細孔の占める面積が1面積%以上、20面積%以下の範囲とすることが好ましく、また、多孔質白色散乱層の単位体積当たり、細孔の占める体積が1体積%以上、20体積%以下の範囲とすることが好ましい。
単位表面積当たり、細孔の占める面積は、前記表面の光学顕微鏡による観察により求めることができる。また、多孔質白色散乱層の単位体積当たりに細孔の占める体積は、断面の光学顕微鏡観察により細孔の径及び深さを測定し細孔断面を円に換算して算出する。少なくとも100個の細孔について測定する。細孔は好ましくは多孔質白色散乱層を貫通しているのでその場合細孔径のみを算出すれば断面を円換算して容易に細孔体積が求められる。
また、前記図1においては、本発明に係る細孔の形成は、電極に対し垂直の条件、すなわち90度の角度で形成した例を示したが、本発明では、電極に対する細孔の形成角度としては、60度以上、90度以下の範囲とすることが好ましく、更に好ましくは75度以上、90度以下である。本発明に係る細孔の形成角度を調整する方法としては、細孔形成時に、後述のような細孔形成装置の設置角度を適宜調整することにより達成することができる。
本発明の表示素子においては、本発明に係る細孔を光電気化学エッチング法または陽極酸化により形成することが好ましい。
本発明でいう光電気化学エッチング法(フォトエッチング法ともいう)とは、溶液中に電極上に設けた多孔質白色散乱層を浸漬し、エッチング電流を印可させた状態で光エネルギーを照射して、細孔を形成する方法であり、その具体的な方法に関しては、例えば、ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサイティ134号 1038頁から1039頁(1987年)[J.Electrochem.Soc. Vol.134 1038−1039(1987)]、R.L.Smithら(J.Appl.Phys.,71,R1,1992)、A.Lagoubiら(11th Photo−voltaic Solar Energy Conference, Montreux,1992)、第18回 固体・表面光化学討論会(平成11年11月29日発表)「光電気化学エッチングによるTiO2表面の微細構造制御」等に記載の方法を挙げることができる。
本発明においては、例えば、非表示側の電極上に金属酸化物を含む分散物を所定の膜厚にスクリーン印刷法により形成した後、乾燥させて多孔質白色散乱層を形成し、次いでこの多孔質白色散乱層を有する電極を酸性水溶液中に浸漬し、アノード分極化条件として、例えば、酸化電位+1.0V(vs SCE:飽和カロメル電極)で、光照射光源として超高圧水銀ランプを用い、その光束を集光し、1C〜50C/cm2の条件で所定の内径D、深さL、L/Dを持つ細孔を形成する。この時、照射する超高圧水銀ランプの照射角度を適宜設定することにより、任意の細孔の角度を得ることができる
また、本発明でいう陽極酸化法とは、一般的にはアルミニウムを陽極とした電気化学的方法で人工的に酸化皮膜を生成させる処理であり、酸の種類と電圧の制御で様々な形状の細孔を形成することができる。本発明ではアルミニウム以外にも同手法を用いてもよい。
(自己組織化膜)
本発明に係る自己組織化膜は、銀と錯体を形成する部位と多孔質白色散乱層に吸着する基を有する化合物から構成されていることを特徴とし、好ましくは、銀と錯体を形成する部位がメルカプトトリアゾール誘導体またはメルカプトオキサジアゾール誘導体またはメルカプトチアジアゾール誘導体またはピリジン誘導体またはビピリジン誘導体またはターピリジン誘導体構造であり、多孔質白色散乱層に化学吸着または物理吸着する基が、−COOH、−P=O(OH)2、−Si(OR)3であることである。ここにおいて、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、好ましくはメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等のアルコキシ基である。
以下に本発明に係る自己組織化膜を構成する化合物の例を示すが、本発明の条件を満足する化合物は下記例示化合物に限定されない。
Figure 0005135775
Figure 0005135775
Figure 0005135775
(電解質層)
本発明に係る対向電極間に形成する電解質層は、有機溶媒、イオン性液体、酸化還元活性物質(銀または銀を化学構造中に含む化合物)、支持電解質等を必要に応じて選択して構成されている。
以下、本発明に係る電解質層の各構成要素について、更に説明する。
(有機溶媒)
本発明に係る電解質層で適用可能な有機溶媒としては、電解質層を形成した後、揮発を起こさず電解質層に留まることができる沸点が120〜300℃の範囲にある有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリクレジルホスフェート、2エチルヘキシルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート等をあげることができる。
上記有機溶媒の中でも、特に蒸気圧が低いトリクレジルホスフェート、2エチルヘキシルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケートが好ましい。
本発明で用いることのできるその他の溶媒として、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,”Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,”Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,”Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,”Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
(イオン性液体)
本発明に係わるイオン性液体とは、室温でも液体で存在する塩を指し、イミダゾリウム、ピリジニウム等の陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等の陰イオンの組合せから選択することができる。
(表示素子の基本構成)
本発明の表示素子において、ED表示部には、対応する1つの対向電極が設けられている。
表示部に近い対向電極の1つである電極1にはITO電極等の透明電極、他方の電極2には銀電極等の金属電極が設けられている。電極1と電極2との間には銀または銀を化学構造中に含む化合物を有する電解質層が担持されており、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、電極1と電極2上で銀の酸化還元反応が行なわれ、還元状態の黒い銀画像と、酸化状態の透明な銀の状態を可逆的に切り替えることができる。
(銀または銀を化学構造中に含む化合物)
本発明に係る銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
(メルカプト系化合物、チオエーテル系化合物)
本発明に係る電解質層では、上記説明した銀または銀を化学構造中に含む化合物、有機溶媒と共に、メルカプト系化合物またはチオエーテル系化合物を含有していることが好ましく、更には、メルカプト系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であること、あるいはチオエーテル系化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005135775
本発明に係る一般式(1)で表されるメルカプト系化合物について説明する。
一般式(1)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR1は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(1)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH34、N(C494、N(CH331225、N(CH331633、N(CH33CH265等が挙げられる。
一般式(1)のZで表される含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
一般式(1)のR1で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の各基が挙げられ、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等の各基が挙げられ、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等が挙げられ、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等が挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基が挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられ、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等の各基が挙げられ、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等の各基が挙げられ、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等の各基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等の各基が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等の各基が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されているわけではない。
Figure 0005135775
Figure 0005135775
次いで、一般式(2)で表されるチオエーテル系化合物について説明する。
一般式(2)
2−S−R3
前記一般式(2)において、R2、R3は各々アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(2)のR2、R3で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されているわけではない
Figure 0005135775
本発明に係るメルカプト系化合物またはチオエーテル系化合物は、1種のみで用いても複数種を併用して用いてもよく、電解質層のAgイオンのモル数に対するメルカプト系化合物及びチオエーテル系化合物の合計のモル数が0.2〜2の範囲にあることが好ましい。
(ハロゲンイオン、銀イオン濃度比)
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
0≦[X]/[Ag]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Ag]が0.01よりも大きい場合は、銀の酸化還元反応時に、X-からX2が生じ、X2は黒化銀と容易にクロス酸化して黒化銀を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Ag]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
(電解質−銀塩)
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀(トシル酸銀)が好ましい。
本発明に係る電解質に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2.0モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kgより少ないと希薄な銀溶液となり駆動速度が遅延し、2モル/kgよりも大きいと溶解性が劣化し、低温保存時に析出が起きやすくなる傾向にあり不利である。
(電解質添加の増粘剤)
本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で、本発明に係るブチラール樹脂の他に電解質層に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダーとして、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
(その他の構成要素)
本発明の表示素子においては、上記説明した構成要素の他、必要に応じて種々の構成層を設けることができる。
(金属酸化物を含む多孔質電極)
また、本発明の表示素子においては、金属酸化物を含む多孔質電極を用いることもできる。
本発明の表示素子で、該対向電極のうち、画像観察側でない面の電極面を、金属酸化物を含む多孔質電極により保護することで、画像観察側でない面での銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化還元反応が、該金属酸化物を含む多孔質電極上または多孔質電極中で行なわれことを見出したことにより、画像観察側でない電極の種類選択肢の拡大及び耐久性を向上させることができる。
本発明に係る多孔質電極を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ、Snドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛等、またはこれらの混合物が挙げられる。
多孔質電極は、上記金属酸化物の複数個の微粒子を結着または接触させることにより形成される。金属酸化物微粒子の平均粒子径は5nm〜10μmが好ましく、より好ましくは20nm〜1μmである。また、金属酸化物微粒子の比表面積は、簡易BET法で1×10-3〜1×1022/gであることが好ましく、より好ましくは1×10-2〜10m2/gである。また、金属酸化物微粒子の形状は、不定形、針状、球形など任意の形状のものが用いられる。
金属酸化物微粒子の形成または結着法としては、公知のゾルゲル法や焼結法を採用することができ、例えば、1)Journal of the Ceramic Society of Japan,102,2,p200(1994)、2)窯業協会誌90,4,p157、3)J.of Non−Cryst.Solids,82,400(1986)等に記載の方法が挙げられる。また、気相法により作製した酸化チタンデンドリマー粒子を溶液上に分散して基体上に塗布し、120〜150℃程度の温度で乾燥して溶媒を除去して多孔質電極を得る方法を用いることもできる。金属酸化物微粒子は結着させた状態が好ましく、連続加重式表面性測定機(例えば、スクラッチ試験器)で0.1g以上、好ましくは1g以上の耐性を有する状態が好ましい。
本発明でいう多孔質とは、多孔質電極を配置し、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が多孔質電極内を移動可能な貫通状態を言う。
(電子絶縁層)
本発明の表示素子においては、電子絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
(その他の添加剤)
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、写真材料において使用されている各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
(層構成)
本発明の表示素子の対向電極間の構成層について、更に説明する。
本発明の表示素子に係る構成層として、正孔輸送材料を含む構成層を設けることができる。正孔輸送材料として、例えば、芳香族アミン類、トリフェニレン誘導体類、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール類、ポリアセチレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリトルイジン誘導体、CuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi23、MoO2、Cr23等を挙げることができる。
(基板)
本発明の表示素子においては、対向電極の少なくとも一方の電極が、プラスチック基板上に構成されていることが好ましい。
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
(電極)
本発明の表示素子は、対向電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(表示素子駆動方法)
本発明の表示素子においては、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行なうことが好ましい。この駆動操作を行なうことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121ページに詳しい解説がある。本発明の表示素子も電極と電解質中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、本発明のように黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行なえると推定される。
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
(商品適用)
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《電解質液の調製》
(電解質液1の調製)
クロロホルムの2.5g中に、トシル酸銀を75mg下記化合物1を150mg加えて加熱溶解して、電解質液1を得た。
Figure 0005135775
(電解質液2の調製)
ジメチルスルホキシドの2.5g中に、トシル酸銀を75mgと化合物1を150mg加えて加熱溶解して、電解質液2を得た。
(電解質液3の調製)
下記化合物3の2.5g中に、トシル酸銀を75mgと化合物1を150mg加えて加熱溶解して、電解質液3を得た。
Figure 0005135775
(電解質液4の調製)
化合物3の2.5g中に、トシル酸銀を75mgと下記化合物2を150mg加えて加熱溶解して、電解質液4を得た。
Figure 0005135775
(電解質液5の調製)
TCP(トリクレジルフォスフェート)の2.5g中に、トシル酸銀を75mgと化合物2を150mg加えて加熱溶解して、電解質液5を得た。
(電解質液6の調製)
クロロホルムの2.5g中に、トシル酸銀を75mgと化合物2を150mg加えて加熱溶解して、電解質液6を得た。
《電極の作製》
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで3cm×3cmのガラス基板上に、ピッチ145μm、電極幅130μmのストライプ状にITO膜を公知の方法に従って形成して、透明電極(電極1)を得た。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで3cm×3cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.8μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmのストライプ状に、銀−パラジウム電極(電極2)を形成して、電極2を得た。
《多孔質白色散乱層の形成》
(多孔質白色散乱層1の形成)
電解質液1にポリフッ化ビリニデンを10質量%添加した液を加熱溶解した後に、二酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させて得られた混和液を乾燥後の膜厚が40μmになるように電極2上に塗布し、その後80℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させて、電極2上に多孔質白色散乱層1を形成した。
(多孔質白色散乱層2の形成)
電極2の上にポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)10質量%を含むイソプロパノール溶液中に、二酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させた混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させて、電極2上に多孔質白色散乱層2を形成した。
(多孔質白色散乱層3の形成)
上記で作製した多孔質白色散乱層2付き電極を、酸性水溶液中でアノード分極化+0.8V(vs SCE)において、超高圧水銀ランプを用いて、電極に対し90度の角度で20C/cm2の光エッチング量になるまで処理して、内径Dが10nm、深さ40μm、L/D=4000、細孔の面積比率20面積%の条件で細孔を形成し、これを多孔質白色散乱層3とした。
(多孔質白色散乱層4の形成)
電極2の上にアルミニウム層をスパッタ法で40μmの厚さで形成し得られたアルミニウム層付き電極を、10%の硫酸水溶液中で電圧10V、電流密度1.0A/dm2、液温10℃の条件で陽極酸化し、内径Dが10nm、深さ40μm、L/D=4000、細孔の面積比率20面積%の条件で細孔を形成し、これを多孔質白色散乱層4とした。
(多孔質白色散乱層5の形成)
多孔質白色散乱層2付き電極を、酸性水溶液中でアノード分極化+0.6V(vs SCE)において、超高圧水銀ランプを用いて、電極に対し90度の角度で20C/cm2の光エッチング量になるまで処理して、内径Dが5nm、深さ40μm、L/D=2000、細孔の面積比率20面積%の条件で細孔を形成し、これを多孔質白色散乱層5とした。
(多孔質白色散乱層6の形成)
多孔質白色散乱層2付き電極を、酸性水溶液中でアノード分極化+0.6V(vs SCE)において、超高圧水銀ランプを用いて、電極に対し90度の角度で40C/cm2の光エッチング量になるまで処理して、内径Dが5nm、深さ80μm、L/D=2000、細孔の面積比率20面積%の条件で細孔を形成し、これを多孔質白色散乱層6とした。
《表示素子の作製》
(表示素子1の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした多孔質白色散乱層1が形成された電極2と電極1を貼り合わせ、加熱押圧して表示素子1を作製した。
(表示素子2の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りした多孔質白色散乱層2が形成された電極2と電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液2を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子2を作製した。
(表示素子3の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りした多孔質白色散乱層2が形成された電極2と電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液3を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子3を作製した。
(表示素子4の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りした多孔質白色散乱層3が形成された電極2と電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液3を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子4を作製した。
(表示素子5の作製)
多孔質白色散乱層3が形成された電極2を例示化合物(29)を0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(29)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液3を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子5を作製した。
(表示素子6の作製)
多孔質白色散乱層3が形成された電極2を例示化合物(31)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(31)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子6を作製した。
(表示素子7の作製)
多孔質白色散乱層3が形成された電極2を例示化合物(2)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(2)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子7を作製した。
(表示素子8の作製)
多孔質白色散乱層3が形成された電極2を例示化合物(38)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(38)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子8を作製した。
(表示素子9の作製)
多孔質白色散乱層3が形成された電極2を例示化合物(10)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(10)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子9を作製した。
(表示素子10の作製)
多孔質白色散乱層4が形成された電極2を例示化合物(38)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(38)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子10を作製した。
(表示素子11の作製)
多孔質白色散乱層4が形成された電極2を例示化合物(10)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(10)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子11を作製した。
(表示素子12の作製)
多孔質白色散乱層5が形成された電極2を例示化合物(38)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(38)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子12を作製した。
(表示素子13の作製)
多孔質白色散乱層6が形成された電極2を例示化合物(38)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(38)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液4を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子13を作製した。
(表示素子14の作製)
多孔質白色散乱層3が形成された電極2を例示化合物(38)0.1mol/L含んだアセトニトリル溶液に1晩浸漬し取り出した後に、多孔質白色散乱層中のアセトニトリルを十分に蒸発乾燥させて、多孔質白色散乱層の細孔表面に化合物(38)の自己組織化膜を形成した。得られた電極の周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むエポキシ系の紫外線硬化樹脂で縁取りし、電極1を貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液5を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子14を作製した。
《表示素子の評価》
(表示速度の評価)
上記で作製した各表示素子に1.5Vの電圧を1.5秒間印加して白色を表示させた時の550nmの反射率と、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加させてグレーを表示させた時の550nmの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。測定した反射率の差をΔRRateとし、ΔRRateを表示速度の指標とした。ここでは、ΔRRateが大きいほど表示速度が速いとする。
(表示ムラ耐性の評価)
上記で作製した各表示素子を25℃の環境下20日間保存した後、1.5Vの電圧を1.5秒間印加して白色を表示させ、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加させてグレーを表示させた状態の表示素子の任意の5箇所の550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、反射率の最大値と最小値の差を算出した。算出した反射率の差をΔRGlayとし、ΔRGlayを表示ムラの指標とした。ここでは、ΔRGlayが小さいほど表示ムラ耐性に優れていることを表す。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 0005135775
表1に記載の結果より明らかなように、固体電解質である表示素子1は長期保存での表示ムラが小さいものの表示速度が著しく遅く、電解質にDMSO(ジメチルスルホキシド)を使用している表示素子2は表示速度は速いものの長期保存での表示ムラが大きいことが分かる。
一方、本発明の構成である多孔質白色散乱層に細孔を有しており、また、該細孔の表面に銀と錯体を形成する部位を有する化合物からなる自己組織化膜を形成しており、さらに該自己組織化膜表面に銀が配位している構成を取っている表示素子5〜14は表示速度の低下がなく、かつ長期保存での表示ムラの発生が抑えられていることがわかる。
本発明の表示素子の基本構成の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1、2 電極
3 電解質
4 多孔質白色散乱層
5 金属酸化物粒子
6 細孔
D 細孔の内径
L 細孔の深さ

Claims (11)

  1. 対向電極間に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層及び多孔質白色散乱層を有し、銀の溶解、析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子において、多孔質白色散乱層が細孔を有しており、かつ細孔の表面に銀と錯体を形成する部位を有する化合物からなる自己組織化膜が形成されており、かつ該自己組織化膜表面に銀が配位し、前記銀と錯体を形成する部位を有する化合物が、構造中に、多孔質白色散乱層に化学吸着または物理吸着する基を有していることを特徴とする表示素子。
  2. 前記多孔質白色散乱層の有する細孔の深さ/細孔の径の比が3000以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記多孔質白色散乱層を形成する化合物が、二酸化チタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記多孔質白色散乱層を形成する化合物が、アルミナであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  5. 光電気化学エッチング処理によって細孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
  6. 陽極酸化処理によって細孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
  7. 前記銀と錯体を形成する部位を有する化合物の錯体形成部位が、銀と配位結合可能なS原子またはN原子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
  8. 前記銀と錯体を形成する部位が、メルカプトトリアゾール誘導体、メルカプトオキサジアゾール誘導体またはメルカプトチアジアゾール誘導体構造であることを特徴とする請求項に記載の表示素子。
  9. 前記銀と錯体を形成する部位が、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体またはターピリジン誘導体構造であることを特徴とする請求項に記載の表示素子。
  10. 多孔質白色散乱層に化学吸着または物理吸着する基が、−COOH、−P=O(OH)、−Si(OR)であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の表示素子。
    (ここにおいて、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)
  11. 前記電解質層がイオン性液体を含有していることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載に表示素子。
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