JP5130636B2 - 表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、銀の溶解析出を利用した電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。また、エレクトロクロミック表示素子は、3V以下の低電圧で駆動が可能であるが、黒色またはカラー色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッド等)の色品質が十分でなく、メモリー性を確保するため表示セルに蒸着膜等の複雑な膜構成が必要などの懸念点がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション(以下EDと略す)方式が知られている。ED方式は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
本発明者は、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、従来技術では、繰り返し駆動を重ねていくと白化時の白の色調変動が生じてしまう課題があることが判明した。
米国特許第4,240,716号明細書 特許第3428603号公報 特開2003−241227号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、繰り返し駆動時の白の色調変動が低減された表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質を含有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該対向電極の少なくとも一方の電極と、カルボキシル基を含む化合物とが、該化合物のカルボキシル基を介して結合していることを特徴とする表示素子。
2.前記カルボキシル基を含む化合物が、下記一般式(A)〜(J)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
Figure 0005130636
〔式中、X1及びX2は各々−NR1−、−S−または−O−を表す。R1は水素原子または隣接原子と二重結合を形成するための結合手を表す。Y1及びY2は各々CR2またはNを表す。R2は水素原子または隣接原子と二重結合を形成するための結合手を表す。Z1はX1及びY1と共に複素環を形成するための原子群を表し、Z2はX2及びY2と共に複素環を形成するための原子群を表す。Z1、X1及びY1で形成される複素環並びにZ2、X2及びY2で形成される複素環は、少なくとも1つのカルボキシル基を有する置換基を有し、また縮合環を形成していてもよい。〕
Figure 0005130636
〔式中、A1は−CH2OH、−PO3(M)2または−COOMを表し、Mはカチオンを表す。nは0または1を表す。L1及びL2は各々炭素数2〜6のアルキレン基または−(B1O)m−B2−を表す。mは0〜8の整数を表し、B1及びB2は各々炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R1は水素原子または−CH2COOM1を表し、R2は−CH2COOM2または−CH(R5)−A2を表し、R1が水素原子のとき、R2は−CH(R5)−A2または−CH2COOM2を表し、R1が−CH2COOM1のとき、R2は−CH2COOM2を表す。R3は水素原子または−CH2COOM3を表し、R4は−CH2COOM4または−CH(R6)−A4を表し、R3が水素原子のとき、R4は−CH(R6)−A4または−CH2COOM4を表し、R3が−CH2COOM3のとき、R4は−CH2COOM4を表す。R5は−CH2−A3を表し、R6は−CH2−A5を表す。M1〜M4は各々カチオンを表す。A2、A3、A4及びA5は各々A1と同義である。〕
Figure 0005130636
〔式中、A1及びA2は各々−COOM、−PO3(M)2、−SO3M、ヒドロキシル基またはメルカプト基を表し、Mはカチオンを表す。Rは水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、X1及びX2は各々2価の脂肪族基若しくは2価の芳香族基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。〕
Figure 0005130636
〔式中、A11、A12、A13及びA14は各々水素原子、水酸基、−COOM1、−PO3(M12、−CH2COOM1、−CH2OHまたは低級アルキル基を表す。ただし、A11、A12、A13及びA14の少なくとも1つは−CH2COOM1、−COOM1または−PO3(M12である。M1、M2及びM3は各々水素原子、アンモニウム基、ナトリウム原子、カリウム原子、リチウム原子または有機アンモニウム基を表す。〕
Figure 0005130636
〔式中、R′及びR″は各々水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基または含窒素複素環を表し、R′及びR″の少なくとも一方は、カルボキシル基を有する置換基を有する。nは2または3を表す。〕
Figure 0005130636
〔式中、A20は置換基を表し、pは0〜4の整数を表す。pが2以上のとき、A20は同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。Mはカチオンを表す。〕
Figure 0005130636
〔式中、A30はそれぞれ置換基を有していてもよいシクロアルキル基、フェニル基または複素環基を表し、縮合環を形成してもよい。Mはカチオンを表す。〕
Figure 0005130636
〔式中、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。〕
Figure 0005130636
〔式中、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。〕
Figure 0005130636
〔式中、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。〕
3.前記カルボキシル基を含む化合物が、カルボキシル基以外で銀と結合可能な構造部位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
4.前記カルボキシル基を含む化合物を前記対向電極の少なくとも一方の電極に結合させる手段が、前記対向電極の少なくとも一方の電極と、前記カルボキシル基を含む化合物を含有する水溶液とを接触させることにより結合させることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
5.前記電解質が、下記一般式(1)または(2)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式(3)または(4)で表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
Figure 0005130636
〔式中、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
Figure 0005130636
〔式中、R5、R6は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
一般式(3)
7−S−R8
〔式中、R7、R8は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。〕
Figure 0005130636
〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
6.前記電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の表示素子。
式(1)
0≦[X]/[Ag]≦0.01
本発明により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、繰り返し駆動時の白の色調変動が低減された表示素子を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質を含有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該対向電極の少なくとも1種の電極と、カルボキシル基を含む化合物とが、該化合物のカルボキシル基を介して結合していることを特徴とする表示素子により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、繰り返し駆動時の白の色調変動が低減された表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明で規定する表示素子の構成において、対向電極の少なくとも1種の電極と、カルボキシル基を含む化合物とが、該化合物のカルボキシル基を介して結合していること、具体的には、カルボキシル基を含む化合物により電極表面をコーティング処理することにより、透明電極耐久性が向上する理由として、1)酸化物から形成される透明電極中に含まれる金属と電解質に含まれる本発明に係る化合物とのキレート反応による透明電極の溶解が低減されること、2)透明電極上の欠陥部位を、本発明に係る化合物によりコーティングすることにより、表面が疎水化して電解質との接触が防止されること、3)さらにカルボキシル基を含む化合物が、カルボキシル基以外の構造部位で銀イオンと錯体を形成できる場合には、透明電極表面での銀の酸化還元反応よりも、銀イオンとの錯体表面での銀酸化還元反応がより支配的になり、透明電極表面での酸化還元反応が緩和される、等が挙げられる。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の表示素子は、対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質を含有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行うED方式の表示素子である。
〔銀または銀を化学構造中に含む化合物〕
本発明に係る銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子において、ED表示部には、対応する1つの対向電極が設けられている。ED表示部に近い対向電極の1つである電極1にはITO電極等の透明電極、他方の電極2には銀電極等の金属電極が設けられている。電極1と電極2との間には銀または銀を化学構造中に含む化合物を有する電解質が担持されており、対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、電極1と電極2上で銀の酸化還元反応が行なわれ、還元状態の黒い銀画像と、酸化状態の透明な銀の状態を可逆的に切り替えることができる。
〔カルボキシル基を含む化合物〕
本発明に係るカルボキシル基を含む化合物とは、化学構造中にカルボキシル基を含む化合物であればいかなる化合物であってもよい。具体的には、酢酸、蟻酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、マレイン酸、及び本発明に係る前記一般式(A)〜(J)で表される化合物等が挙げられるが、その中でも、特に、前記一般式(A)〜(J)で表される化合物のいずれか1種であることが好ましい。
以下、一般式(A)〜(J)で表される化合物の詳細について説明する。
はじめに、一般式(A)で示される化合物について説明する。
前記一般式(A)において、X1及びX2は各々−NR1−、−S−または−O−を表す。R1は水素原子または隣接原子と二重結合を形成するための結合手を表す。Y1及びY2は各々CR2またはNを表す。R2は水素原子または隣接原子と二重結合を形成するための結合手を表す。Z1及びZ2は各々X1、Y1及びX2、Y2と共に複素環を形成するための原子群を表す。X1、Y1、Z1及びX2、Y2、Z2で形成される複素環は、少なくとも1つのカルボキシル基を有する置換基を有し、また縮合環を形成していてもよい。また、これらの複素環は他の炭化水素環或いは複素環を介して全体として一つの縮合環を形成していてもよい。複素環を構成する原子群の個数に特に制限はないが、5員環または6員環であることが好ましい。
前記含窒素複素環の中で好ましいものとして、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、インドール環、テトラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、プリン環等が挙げられる。また、これらの含窒素複素環が有する置換基としては特に制限はないが、中でもヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、リン酸基、カルボキシル基、スルファモイル基、ヒドロキシアルキル基等の親水性の高い置換基が好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(A)で表される化合物を構成する複素環基の代表的具体例を挙げる。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
次に、本発明に係る一般式(A)で表される化合物の代表例を以下に挙げるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
Figure 0005130636
これらの化合物は、市販品として購入することもでき、またバイルシュタイン・ハンドブーフ・デア・オーガニッシェン・ヘミー(Beilsteins Handbuch der Organischen Chemie)、アンナーレン・デア・ヘミー(Ann.Chem.)、ケミカル・アブストラクツ(Chem.Abstracts)、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)、モナッシェフテ・ヒュール・ヘミー(Monatsch.Chem.)、ジュルナール・デア・ルッシシュン・フィジカリッシュ−ヘミッシェン・ゲゼルシャフト(Journal der Russischen Physikalish−Chemischen Gescllschaft)等の抄録誌、報文献に数多く報告されておりこれらに記載された方法を用いて合成することができる。
次に、一般式(B)で示される化合物について説明する。
前記一般式(B)において、A1〜A5は各々、−CH2OH、−PO3(M)2または−COOMを表す。Mは同一でも異なっていてもよく、Mで表されるカチオンとしては、例えば水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、グアジニウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオンが挙げられる。L1及びL2は各々炭素数2〜6のアルキレン基(置換体も含む)または−(B1O)m−B2−を表す。又、B1及びB2は各々炭素数1〜5のアルキレン基(置換体も含む)を表す。L1またはL2で表されるアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられる。又、B1及びB2で表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン等が挙げられる。L1、L2、B1またはB2が表すアルキレン基の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)等が挙げられる。mは0〜8の整数を表し、好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜2である。
以下に一般式(B)で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。また、以下に例示する構造式中のMは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、グアニジウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオンまたはトリメチルアンモニウムイオンを表す。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
Figure 0005130636
本発明に係る一般式(B)で示される化合物は、例えば、Zh.Obshch.Khim.,49,659(1979)、Inorganic Chemistry,Vol.7,2405(1968)、Chem.Zresti,32,37(1978)、米国特許3,158,635号、特開平5−303186号等に記載の一般に知られる方法で合成することができる。
次に、一般式(C)で表される化合物について説明する。
前記一般式(C)において、A1及びA2は各々−COOM、−PO3(M2)、−SO3M、ヒドロキシル基またはメルカプト基を表し、Mはカチオンを表し、例えば水素イオン、アルカリ金属イオン、グアニジウムイオン等である。Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基を表し、X1及びX2は各々2価の脂肪族基、2価の芳香族基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。A1及びA2は−COOMまたはヒドロキシル基であることが好ましい。
Rが表す脂肪族基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜6)が挙げられ、好ましくはアルキル基またはアルケニル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アリル基等があげられる。Rが表す芳香族基としては、芳香族炭化水素基(アリール基)または芳香族複素環基が挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−ピリジル基、2−ピロール基が挙げられ、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。Rとして好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
1及びX2としては、好ましくは炭素数1〜3の置換されてもよいアルキレン基またはo−フェニレン基であり、特に好ましくは、置換されていてもよいメチレン基または置換されていてもよいエチレン基である。また、特に好ましい置換基はカルボキシル基またはヒドロキシル基である。
以下に一般式(C)で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。また、以下に例示する構造式中のMは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、グアニジウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオンまたはトリメチルアンモニウムイオンを表す。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
Figure 0005130636
本発明に係る一般式(C)で示される化合物は、例えば、Zh.Obshch.Khim.,49,659(1979)、特開平6−95319号等に記載の一般に知られる方法で合成することができる。
次に、一般式(D)で表される化合物について説明する。
前記一般式(D)において、A11、A12、A13及びA14は各々、水素原子、水酸基、−COOM1、−PO3(M12、−CH2COOM1、−CH2OHまたは低級アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基等)を表す。ただし、A11、A12、A13及びA14の少なくとも1つは−CH2COOM1、−COOM1または−PO3(M12である。M1、M2及びM3は、各々水素原子、アンモニウム基、ナトリウム原子、カリウム原子、リチウム原子または有機アンモニウム基(例えば、トリメチルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基等)を表す。
以下に、一般式(D)で示される化合物の好ましい具体例を挙げる。以下に例示する構造式中のMは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、グアニジウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオンまたはトリメチルアンモニウムイオンを表す。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
Figure 0005130636
Figure 0005130636
Figure 0005130636
本発明に係る一般式(D)で示される化合物は、例えば、特開昭63−267750号、同63−267751号、特開平2−115172号、同2−295954号公報等に記載の一般的な合成法で合成できる。
次に、一般式(E)で表される化合物について説明する。
前記一般式(E)において、R′及びR″は各々水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基または含窒素複素環を表し、R′及びR″の少なくとも一方は、カルボキシル基を有する置換基を有する。
以下に、一般式(E)で表される化合物の具体例を以下に示す。以下に例示する構造式中のMは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、グアニジウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオンまたはトリメチルアンモニウムイオンを表す。
Figure 0005130636
本発明に係る一般式(A)〜(E)で示される化合物のうち、一般式(A)で示される化合物が特に好ましい。
次に、一般式(F)または(G)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(F)において、A20で完成される複素環に結合する置換基の好ましい例としては、−COOM、−SO3M(Mはカチオンを表し、例えば、水素イオン、アルカリ金属イオン、グアニジウムイオン等)、水素原子、ハロゲン原子(例えば、Cl、F、Br、I等)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、または置換若しくは非置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、カルボキシメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環基(例えば、ピリジル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基)、もしくはカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基等)が挙げられる。また、A20が互いに結合して環を形成する場合の環としては、ベンゼン環などが挙げられる。
以下に、一般式(F)で示される化合物の好ましい具体例を挙げる。以下に例示する構造式中のMは、水素イオン、アルカリ金属イオン、グアニジウムイオンまたはその他のカチオンを表す。以下の構造式中のMは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、グアニジウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオンまたはトリメチルアンモニウムイオンを表す。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
前記一般式(G)において、A30はそれぞれ置換基を有してもよいシクロアルキル基、フェニル基または複素環基を表し、縮合環を形成してもよい。Mは同じでも異なってもよく、アルカリ金属、アンモニウムイオンまたは有機塩基を表す。シクロアルキル基、複素環基を構成する原子群の個数は特に制限はないが、5員環または6員環であることが好ましい。一般式(G)で表される化合物の中でも、A30がそれぞれ置換基を有してもよいピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリル基、ピラゾイル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基及びフリル基から選ばれる複素環基、または置換基を有してもよいフェニル基である化合物が化合物の光・熱安定性の観点から好ましい。更にA30が置換基を有してもよいフェニル基またはピリジル基である場合がより好ましい。
以下に一般式(G)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。以下に例示する構造式中のMは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、グアニジウムイオン、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオンまたはトリメチルアンモニウムイオンを表す。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
これらの化合物は、市販品として購入することができる。また、前記一般式(A)で表される化合物の合成方法において挙げた文献に記載された方法に準じて合成することができる。
次いで、一般式(H)で表される化合物について説明する。
前記一般式(H)において、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。
以下に、本発明に係る一般式(H)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 0005130636
Figure 0005130636
次いで、一般式(I)で表される化合物について説明する。
前記一般式(I)において、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。
以下に、本発明に係る一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 0005130636
次いで、一般式(J)で表される化合物について説明する。
前記一般式(J)において、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。
以下に、本発明に係る一般式(J)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 0005130636
なお、本発明においては、カルボキシル基を含む化合物は、ジカルボン酸が脱水した無水塩であっても良い。
本発明の表示素子においては、本発明に係るカルボキシル基を含む化合物として、カルボキシル基以外で銀と結合可能な構造部位を有する化合物であることも好ましい。本発明に係るカルボキシル基以外で銀と結合可能な構造部位を有するカルボキシル基を含む化合物としては、窒素原子、または、メルカプト基、チオエーテル基を有する化合物が挙げられる。好ましい化合物としては、一般式(A)〜(E)、一般式(J)で表される化合物を挙げることができる。
〔カルボキシル基を含む化合物の電極へのコーティング方法〕
本発明の表示素子においては、上記の本発明に係るカルボキシル基を含む化合物を対向電極の少なくとも一方の電極に結合させる手段が、対向電極の少なくとも一方の電極と、本発明に係るカルボキシル基を含む化合物を含有する水溶液とを接触させることにより結合させる方法が好ましい。この結合方法を、本発明ではコーティング方法と称す。
カルボキシル基を含む化合物の電極へのコーティング方法としては、例えば、カルボキシル基を含む化合物を可溶な有機溶媒に溶解させた溶液と電極とを接触させた後に溶媒を乾燥させる方法、カルボキシル基を含む化合物をカルボキシル基が解離するpHの水溶液に溶解させた液と電極とを接触させた後に、カルボキシル基を含む化合物が不溶な溶媒で洗浄する方法等が挙げられる。上記方法のうち、水溶液を用いる場合には、pH>5かつpH<12が好ましい。pHが5以下の場合にはカルボキシル基の解離が十分でないためカルボキシル基の吸着が十分でなく、また、pHが12以上の場合は高アルカリのため、水溶液のハンドリングに難がある。
上記カルボキシル基を含む化合物を含む水溶液のpH測定方法としては、例えば、東亜電波工業(株)のデジタルpHメーターHM−30S等を用い、25℃におけるpH値を測定する。
〔多孔質白色散乱層〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から多孔質白色散乱層を有していてもよい。
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〔一般式(1)〜(4)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、電解質が、前記一般式(1)または(2)で表される化合物の少なくとも1種と、前記一般式(3)または一般式(4)で表される化合物の少なくとも1種とを含有することが好ましい。
はじめに、本発明に係る一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 0005130636
次いで、本発明に係る一般式(2)で表される化合物について説明する。
前記一般式(2)において、R5、R6は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
以下、本発明に係る一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 0005130636
上記例示した一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(1−1)、(1−2)、(2−3)が好ましい。
本発明に係る一般式(1)、(2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
本発明の表示素子においては、上記一般式(1)または(2)で表される化合物と共に、前記一般式(3)または(4)で表される化合物を用いることが好ましい。
前記一般式(3)において、R7、R8は各々置換または無置換の炭化水素基を表し、これらには直鎖基または分岐基が含まれる。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良い。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。また、S原子に隣接するそれぞれの元素は、炭素原子であることが好ましい。
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質中で銀を可溶化することが必要である。例えば、銀と配位結合を生じさたり、銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるのが一般的である。前記化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基も銀溶剤として、有用に作用し、共存化合物への影響が少なく、溶媒への溶解度が高い特徴がある。
以下、本発明に係る一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
3−1:CH3SCH2CH2OH
3−2:HOCH2CH2SCH2CH2OH
3−3:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
3−4:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
3−5:HOCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2OH
3−6:HOCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OH
3−7:H3CSCH2CH2COOH
3−8:HOOCCH2SCH2COOH
3−9:HOOCCH2CH2SCH2CH2COOH
3−10:HOOCCH2SCH2CH2SCH2COOH
3−11:HOOCCH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2COOH
3−12:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
3−13:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
3−14:H3CSCH2CH2CH2NH2
3−15:H2NCH2CH2SCH2CH2NH2
3−16:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
3−17:H3CSCH2CH2CH(NH2)COOH
3−18:H2NCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2
NH2
3−19:H2NCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2
NH2
3−20:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2
NH2
3−21:HOOC(NH2)CHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH(NH2)COOH
3−22:HOOC(NH2)CHCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH(NH2)COOH
3−23:HOOC(NH2)CHCH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH(NH2)COOH
3−24:H2N(=O)CCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2C(=O)NH2
3−25:H2N(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(O=)NH2
3−26:H2NHN(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NHNH2
3−27:H3C(O=)NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(O=)CH3
3−28:H2NO2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SO2NH2
3−29:NaO3SCH2CH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH2SO3Na
3−30:H3CSO2NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHO2SCH3
3−31:H2N(NH)CSCH2CH2SC(NH)NH2・2HBr
3−32:H2N(NH)CSCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SC(NH)NH2・2HCl
3−33:H2N(NH)CNHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(NH)NH2・2HBr
3−34:〔(CH33NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2N(CH332+・2Cl-
Figure 0005130636
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上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物3−2が好ましい。
次いで、本発明に係る一般式(4)で表される化合物について説明する。
前記一般式(4)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
一般式(4)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH34、N(C494、N(CH331225、N(CH331633、N(CH33CH265等が挙げられる。
一般式(4)のZで表される含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられるが、その中でもトリアゾール環であることが好ましい。
一般式(4)のR9で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の各基が挙げられ、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等の各基が挙げられ、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等が挙げられ、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等が挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基が挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられ、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等の各基が挙げられ、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等の各基が挙げられ、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等の各基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等の各基が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等の各基が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
次に、一般式(4)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005130636
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上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物4−12、4−18が好ましい。
〔ハロゲンイオン、銀イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
0≦[X]/[Ag]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Ag]が0.01よりも大きい場合は、銀の酸化還元反応時に、X-→X2が生じ、X2は黒化銀と容易にクロス酸化して黒化銀を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Ag]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
〔電解質−銀塩〕
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
本発明に係る電解質に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2.0モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kgより少ないと希薄な銀溶液となり駆動速度が遅延し、2モル/kgよりも大きいと溶解性が劣化し、低温保存時に析出が起きやすくなる傾向にあり不利である。
本発明の表示素子においては、上記説明した構成要素の他、必要に応じて種々の構成層を設けることができる。
〔金属酸化物を含む多孔質電極〕
また、本発明の表示素子においては、金属酸化物を含む多孔質電極を用いることもできる。
本発明の表示素子で、該対向電極のうち、画像観察側でない面の電極面を、金属酸化物を含む多孔質電極により保護することで、画像観察側でない面での銀または銀を化学構造中に含む化合物の酸化還元反応が、該金属酸化物を含む多孔質電極上または多孔質電極中で行なわれことを見出したことにより、画像観察側でない電極の種類選択肢の拡大及び耐久性を向上させることができる。
本発明に係る多孔質電極を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ、Snドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛等、またはこれらの混合物が挙げられる。
多孔質電極は、上記金属酸化物の複数個の微粒子を結着または接触させることにより形成される。金属酸化物微粒子の平均粒子径は5nm〜10μmが好ましく、より好ましくは20nm〜1μmである。また、金属酸化物微粒子の比表面積は、簡易BET法で1×10-3〜1×1022/gであることが好ましく、より好ましくは1×10-2〜10m2/gである。また、金属酸化物微粒子の形状は、不定形、針状、球形など任意の形状のものが用いられる。
金属酸化物微粒子の形成または結着法としては、公知のゾルゲル法や焼結法を採用することができ、例えば、1)Journal of the Ceramic Society of Japan,102,2,p200(1994)、2)窯業協会誌90,4,p157、3)J.of Non−Cryst.Solids,82,400(1986)等に記載の方法が挙げられる。また、気相法により作製した酸化チタンデンドリマー粒子を溶液上に分散して基体上に塗布し、120〜150℃程度の温度で乾燥して溶媒を除去して多孔質電極を得る方法を用いることもできる。金属酸化物微粒子は結着させた状態が好ましく、連続加重式表面性測定機(例えば、スクラッチ試験器)で0.1g以上、好ましくは1g以上の耐性を有する状態が好ましい。
本発明でいう多孔質とは、多孔質電極を配置し、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が多孔質電極内を移動可能な貫通状態を言う。
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
〔電解質材料〕
本発明の表示素子において、電解質が液体である場合には、以下の化合物を電解質中に含むことができる。カリウム化合物としてKCl、KI、KBr等、リチウム化合物としてLiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等、テトラアルキルアンモニウム化合物として過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等が挙げられる。また、特開2003−187881号公報の段落番号〔0062〕〜〔0081〕に記載の溶融塩電解質組成物も好ましく用いることができる。さらに、I-/I3 -、Br-/Br3 -、キノン/ハイドロキノン等の酸化還元対になる化合物を用いることができる。
また、支持電解質が固体である場合には、電子伝導性やイオン伝導性を示す以下の化合物を電解質中に含むことができる。
パーフルオロスルフォン酸を含むフッ化ビニル系高分子、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、トリフェニルアミン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリメチルフェニルシラン類、Cu2S、Ag2S、Cu2Se、AgCrSe2等のカルコゲニド、CaF2、PbF2、SrF2、LaF3、TlSn25、CeF3等の含F化合物、Li2SO4、Li4SiO4、Li3PO4等のLi塩、ZrO2、CaO、Cd23、HfO2、Y23、Nb25、WO3、Bi23、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiAlF4、AgSBr、C55NHAg56、Rb4Cu167Cl13、Rb3Cu7Cl10、LiN、Li5NI2、Li6NBr3等の化合物が挙げられる。
また、支持電解質としてゲル状電解質を用いることもできる。電解質が非水系の場合、特開平11−185836号公報の段落番号〔0057〕〜〔0059〕に記載のオイルゲル化剤を用いことができる。
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダーとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〔その他の添加剤〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
〔層構成〕
本発明の表示素子の対向電極間の構成層について、更に説明する。
本発明の表示素子に係る構成層として、正孔輸送材料を含む構成層を設けることができる。正孔輸送材料として、例えば、芳香族アミン類、トリフェニレン誘導体類、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール類、ポリアセチレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリトルイジン誘導体、CuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi23、MoO2、Cr23等を挙げることができる。
〔基板〕
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
〔電極〕
本発明の表示素子においては、対向電極の少なくとも1種が金属電極であることが好ましい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。金属電極は、電解質中の銀の酸化還元電位に近い仕事関数を有する金属が好ましく、中でも銀または銀含有率80%以上の銀電極が、銀の還元状態維持の為に有利であり、また電極汚れ防止にも優れる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
また、本発明の表示素子は、対向電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〔スクリーン印刷〕
本発明においては、シール剤、柱状構造物、電極パターン等をスクリーン印刷法で形成することもできる。スクリーン印刷法は、所定のパターンが形成されたスクリーンを基板の電極面上に被せ、スクリーン上に印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば、光硬化性樹脂など)を載せる。そして、スキージを所定の圧力、角度、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスクリーンのパターンを介して該基板上に転写される。次に、転写された材料を加熱硬化、乾燥させる。スクリーン印刷法で柱状構造物を形成する場合、樹脂材料は光硬化性樹脂に限られず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、ポリビニールケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニールピロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等が挙げられる。樹脂材料は樹脂を適当な溶剤に溶解するなどしてペースト状にして用いることが望ましい。
以上のようにして柱状構造物等を基板上に形成した後は、所望によりスペーサーを少なくとも一方の基板上に付与し、一対の基板を電極形成面を対向させて重ね合わせ、空セルを形成する。重ね合わせた一対の基板を両側から加圧しながら加熱することにより、貼り合わせて、表示セルが得られる。表示素子とするには、基板間に電解質組成物を真空注入法等によって注入すればよい。あるいは、基板を貼り合わせる際に、一方の基板に電解質組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子においては、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行なうことが好ましい。この駆動操作を行なうことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121ページに詳しい解説がある。本発明の表示素子も電極と電解質中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、本発明のように黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行なえると推定される。
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《表示素子の作製》
〔表示素子1の作製〕
(電解液1の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ヨウ化ナトリウム90mg、ヨウ化銀75mgを加えて完全に溶解させた後、ポリビニルピロリドン(平均分子量15000)を150mg加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し、電解液1を得た。
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで2.5cm×4cmのガラス基板上に、ピッチ145μm、電極幅130μmのストライプ状のITO膜を公知の方法に従って形成して、透明電極(電極1)を得た。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで2.5cm×4cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.8μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmのストライプ状の銀−パラジウム電極を形成して、これを電極2とした。
(電極3の作製)
中央部の2cm×2cmの位置で、平均粒子径が40μmのガラス製球形ビーズを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした電極2の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)を2質量%含むイソプロパノール溶液中に、酸化チタン20質量%を超音波分散機で分散させた混和液を100μm塗布し、その後、15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させて、電極3を作製した。
(表示素子の作製)
電極3と電極1を、それぞれのストライプ状の電極が直交するようにして貼り合わせた後、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、画像表示部が2cm×2cmの表示素子1を作製した。
〔表示素子2の作製〕
上記表示素子1の作製において、電解液1に例示化合物A−1を0.1g添加した以外は同様にして、表示素子2を作製した。
〔表示素子3の作製〕
表示素子1の作製において、電極1を下記の電極4に変更した以外は同様にして、表示素子3を作製した。
(電極4の作製)
上記電極1を5ミリモルのクエン酸のメタノール溶液に2時間浸漬し、メタノールを乾燥して電極4を作製した。
〔表示素子4〜13の作製〕
上記表示素子3の作製において、電極4をそれぞれ下記の方法で作製した電極5〜14にそれぞれ変更した以外は同様にして、表示素子4〜13を作製した。
(電極5〜14の作製)
上記電極4の作製において、クエン酸に代えて、それぞれ例示化合物A−1、B−16、C−1、D−2、E−2、F−2、G−3、H−2、I−1、J−1に変更した以外は同様にして、電極5〜14を作製した。
〔表示素子14〜16の作製〕
表示素子1の作製において、電極1に代えて、それぞれ下記電極15〜17に変更した以外は同様にして、表示素子14〜16を作製した。
(電極15〜17の作製)
電極1を、それぞれ5ミリモルの例示化合物A−1、F−2、H−2の水溶液(それぞれ、酢酸またはアンモニアを用いてpHを6.0に調整)に2時間浸漬し、水を乾燥させて、電極15〜17を作製した。
〔表示素子17の作製〕
上記表示素子14の作製において、電解液1のジメチルスルホキシドを同質量のプロピレンカーボネートに、ヨウ化銀を等モルの塩化銀に、ヨウ化ナトリウムを等モルのヨウ化リチウムに、ポリビニルピロリドンを同質量のポリエチレングリコール(平均分子量4万)に、それぞれ変更した以外は同様にして、表示素子17を作製した。
〔表示素子18の作製〕
上記表示素子14の作製において、電解液1のジメチルスルホキシドを同質量のジメチルホルムアミドに、ヨウ化銀を等モルのp−トルエンスルホン酸銀に、ヨウ化ナトリウムを等モルの例示化合物4−12に、ポリビニルピロリドンを同質量のポリエチレングリコール(平均分子量4万)に、それぞれ変更した以外は同様にして、表示素子18を作製した。
〔表示素子19の作製〕
上記表示素子14の作製において、電解液1のジメチルスルホキシドを同質量のプロピレンカーボネートに、ヨウ化銀を等モルのp−トルエンスルホン酸銀/塩化銀(モル比9/1)に、ヨウ化ナトリウムを等モルの例示化合物4−12に、ポリビニルピロリドンを同質量のポリエチレングリコール(平均分子量4万)に、それぞれ変更した以外は同様にして、表示素子19を作製した。
〔表示素子20の作製〕
上記表示素子14の作製において、電解液1のジメチルスルホキシドを同質量のプロピレンカーボネートに、ヨウ化銀を等モルのp−トルエンスルホン酸銀/塩化銀(モル比9/1)に、ヨウ化ナトリウムを等モルの例示化合物3−2に、ポリビニルピロリドンを同質量のポリエチレングリコール(平均分子量4万)に、それぞれ変更した以外は同様にして、表示素子20を作製した。
〔表示素子21の作製〕
上記表示素子14の作製において、電解液1のジメチルスルホキシドを同質量のプロピレンカーボネートに、ヨウ化銀を等モルのp−トルエンスルホン酸銀に、ヨウ化ナトリウムを等モルの例示化合物4−12に、ポリビニルピロリドンを同質量のポリエチレングリコール(平均分子量4万)に、それぞれ変更した以外は同様にして、表示素子21を作製した。
《表示素子の評価:色調安定性の評価》
上記作製した各表示素子について、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dのD65光源におけるL*値が65となる様な駆動条件を求めた後、この駆動条件で白化させた時のL*値、a*値、b*値を測定し、それぞれL1、a1、b1とした。その後、該駆動条件で白化−黒化を1000回駆動させ、その後再度白化させた時のL*値、a*値、b*値を測定し、それぞれL2、a2、b2とした。得られた各測定値から色調変動の評価値として、ΔE=〔(L2−L12+(a2−a12+(b2−b121/2を計算し、得られた結果を表1に示す。ΔEの値が小さいほど、繰り返し駆動において色調変動が小さく、色調安定性に優れていることを示す。
Figure 0005130636
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる表示素子は、比較例に対し、繰り返し駆動後の色調変動が低減され、色調安定性に優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. 対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質を含有し、銀の溶解析出を生じさせるように該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該対向電極の少なくとも一方の電極と、カルボキシル基を含む水溶性化合物とが、該水溶性化合物のカルボキシル基を介して結合しており、
    前記カルボキシル基を含む水溶性化合物が、下記一般式(A)〜(J):
    Figure 0005130636
    〔式中、X1及びX2は各々−NR1−、−S−または−O−を表す。R1は水素原子または隣接原子と二重結合を形成するための結合手を表す。Y1及びY2は各々CR2またはNを表す。R2は水素原子または隣接原子と二重結合を形成するための結合手を表す。Z1はX1及びY1と共に複素環を形成するための原子群を表し、Z2はX2及びY2と共に複素環を形成するための原子群を表す。Z1、X1及びY1で形成される複素環並びにZ2、X2及びY2で形成される複素環は、少なくとも1つのカルボキシル基を有する置換基を有し、また縮合環を形成していてもよい。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A1は−CH2OH、−PO3(M)2または−COOMを表し、Mはカチオンを表す。nは0または1を表す。L1及びL2は各々炭素数2〜6のアルキレン基または−(B1O)m−B2−を表す。mは0〜8の整数を表し、B1及びB2は各々炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R1は水素原子または−CH2COOM1を表し、R2は−CH2COOM2または−CH(R5)−A2を表し、R1が水素原子のとき、R2は−CH(R5)−A2または−CH2COOM2を表し、R1が−CH2COOM1のとき、R2は−CH2COOM2を表す。R3は水素原子または−CH2COOM3を表し、R4は−CH2COOM4または−CH(R6)−A4を表し、R3が水素原子のとき、R4は−CH(R6)−A4または−CH2COOM4を表し、R3が−CH2COOM3のとき、R4は−CH2COOM4を表す。R5は−CH2−A3を表し、R6は−CH2−A5を表す。M1〜M4は各々カチオンを表す。A2、A3、A4及びA5は各々A1と同義である。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A1及びA2は各々−COOM、−PO3(M)2、−SO3M、ヒドロキシル基またはメルカプト基を表し、Mはカチオンを表す。Rは水素原子、脂肪族基または芳香族基を表し、X1及びX2は各々2価の脂肪族基若しくは2価の芳香族基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A11、A12、A13及びA14は各々水素原子、水酸基、−COOM1、−PO3(M12、−CH2COOM1、−CH2OHまたは低級アルキル基を表す。ただし、A11、A12、A13及びA14の少なくとも1つは−CH2COOM1、−COOM1または−PO3(M12である。M1、M2及びM3は各々水素原子、アンモニウム基、ナトリウム原子、カリウム原子、リチウム原子または有機アンモニウム基を表す。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、R′及びR″は各々水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基または含窒素複素環を表し、R′及びR″の少なくとも一方は、カルボキシル基を有する置換基を有する。nは2または3を表す。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A20は置換基を表し、pは0〜4の整数を表す。pが2以上のとき、A20は同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。Mはカチオンを表す。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A30はそれぞれ置換基を有していてもよいシクロアルキル基、フェニル基または複素環基を表し、縮合環を形成してもよい。Mはカチオンを表す。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、A20及びpは、一般式(F)におけるA20、M及びpと同義である。〕
    で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であるか、または、カルボキシル基以外で銀と結合可能な構造部位を有することを特徴とする表示素子。
  2. 前記カルボキシル基を含む水溶性化合物を前記対向電極の少なくとも一方の電極に結合させる手段が、前記対向電極の少なくとも一方の電極と、前記カルボキシル基を含む水溶性化合物を含有する水溶液とを接触させることにより結合させることを特徴とする請求項に記載の表示素子。
  3. 前記電解質が、下記一般式(1)または(2)で表される化合物の少なくとも1種と、下記一般式(3)または(4)で表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
    Figure 0005130636
    〔式中、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、R5、R6は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
    一般式(3)
    7−S−R8
    〔式中、R7、R8は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。〕
    Figure 0005130636
    〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
  4. 前記電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表示素子。
    式(1)
    0≦[X]/[Ag]≦0.01
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