JP2012523569A - Dna−細胞コンジュゲート - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞表面上の天然の官能基にDNAを連結させることによるDNAと細胞とのコンジュゲートを提供する。細胞は、細胞壁がなくてもよく、又は細胞壁を有してもよい。修飾された細胞は基質表面に連結され、アッセイ又はバイオリアクターに用いることができる。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、全ての目的のために全体として本明細書に援用される、2009年4月8日に出願された米国出願第61/167,748号、及び2009年9月16日に出願された米国出願第61/243,123号の優先権を主張する。
政府支援の研究又は開発の下でなされた発明への権利に関する陳述
本研究は、米国エネルギー省によって承認され、エネルギー省、及び科学局、基礎エネルギー科学局のナノスケールサイエンスエンジニアリング及びテクノロジー(NSET)プログラムによって支援された助成金番号DE−AC02−05CH11231により、国立衛生研究所によって承認されたHG003329及びR01GM072700により、並びに国立衛生研究所の分子生物物理学訓練助成金T32GM08295により、政府支援に基づいてなされた。合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
コンパクトディスクで提出された、「配列表」、表、又はコンピュータプログラム表付属物についての言及
該当なし
典型的には、ペプチドは、研究用の細胞を捕捉するための細胞に基づいたアレイにおいて使用されている。表面は、細胞表面上のインテグリンに結合するように設計された「RGD」ペプチドでプリントされるが、このシステムは、非付着性細胞(例えば、白血球、リンパ球)などのインテグリンを持たない細胞とは作用せず、同じプラットフォームにおいて一緒に異なる細胞型を用いた制御された所定のパターニングは不可能である。RGDシステムは、細胞分化を開始し、したがって、分析される前に細胞が変化するという大きな欠点を有する。これは、インテグリンが分化、また分化に関するインテグリン結合後に続く活性の制御に関与する受容体であるからである(Du,X.P.ら,Cell 1991,65,409−416;Xiong,J.P.ら,Science 2002,296,151−155参照)。
間接的な非共有結合は、DNAが抗体−リガンド相互作用を通じて非共有結合により細胞に間接的に結合するタンパク質−タンパク質結合システムを用いて示されている(Bailey RCら.J Am Chem Soc.2007 Feb 21;129(7):1959−67)。細胞上の標的リガンドに特異的な抗体はDNAにコンジュゲートされる。抗体とリガンドとの間の非共有連結は、タンパク質−タンパク質相互作用の典型である水素結合に基づく。細胞表面リガンドに特異的な抗体上の一本鎖DNA(ssDNA)オリゴマーは、それらのリガンドを有する細胞に結合し、順に、細胞は、細胞を捕捉するために細胞上のパートナー鎖に結合するssDNA相補的オリゴマーを有する表面に固定される。
生細胞の表面への合成一本鎖DNA(ssDNA)鎖の間接的共有結合は、最初に、Chandra,R.A.ら.Angew.Chem.−Int.Edit.2006,45,896−901による代謝性オリゴ糖操作を用いて示された。間接的な共有原子価は、DNAの導入前に、過アセチル化されたN−アジドアセチルマンノサミン(Ac4ManNAz)を用いた細胞処理後(3日要する)に得られた細胞表面のシアル酸に導入された特定の化学手(アジド)を介した。次に、ホスフィン−ssDNAコンジュゲートは、アジド糖とDNAとの間にアミド結合(Staudinger連結反応、E.Saxonら.Science 2000,287)を形成するアジド手に共有結合させた。合成アジド糖の代謝によって細胞表面の糖コンジュゲート内に組み込まれたアジドは、多数の安定な細胞−表面付加物を生成するために、ビオチン化されたトリアリールホスフィンと反応させることができる。しかしながら、共有代謝アプローチは、DNA結合のための細胞を調製するのに多くの日数を用紙、細胞表面糖を変更することは、それを分析する機会を得る前に、それを変化する細胞に対して代謝的影響を与える。表面上にシアル酸を所有するある種の哺乳動物細胞にさらに限定され、したがって、細菌、植物細胞、真菌、又は多くの他の動物細胞用に用いることができない。
また、細胞表面で抗体とリガンドを介した非共有結合は、細胞を活性化し、分析が開始され得る前に細胞を無秩序にさせ、共有結合と比較して、より弱く、「可逆的」となる傾向がある。さらに、抗体機構は細胞表面上にリガンドの普及率を必要とし、細胞表面上に十分なDNAを固定するために、リガンドに特異的な抗体を操作することが必要である。
細胞表面での抗体を用いたリガンドの相互作用を介した非共有結合は形成され、この場合、抗体は、タンパク質結合DNAの鎖を担持する(Bailey RCら.J Am Chem Soc.2007 Feb 21;129(7):1959−67)。両方法は、研究のために捕捉しようとする細胞を活性化するという即座の不利益を有し、したがって、分析され得る前に、対象とするものを異なるものに形質転換する。細胞表面上のDNA結合のこれらの初期システムにおける欠点を克服することは、この正に記載された初期分野を変換し、従前は可能でなかった価値あるツール及び操作を提供することができるであろう。
一態様では、本発明は、細胞を有する組成物を提供し、ここで、細胞は、天然の官能基を含む表面を有し、該細胞は細胞壁を持たない。また、この組成物は、核酸部分を含み、該核酸部分は、天然の官能基に共有結合する。
別の態様では、本発明は、細胞と活性化された核酸部分とを接触させることによって、細胞と核酸部分のコンジュゲートを調製する方法を提供し、ここで、細胞は天然の官能基を含む表面を有し、さらに細胞は細胞壁を持たず、それにより、核酸部分は天然の官能基に共有結合される。
別の態様では、本発明は、細胞を有する組成物を提供し、ここで、細胞は細胞壁及び核酸部分を有し、該核酸部分は細胞に共有結合される。
別の態様では、本発明は、細胞と活性化された核酸部分とを接触させることによって、細胞と核酸部分のコンジュゲートを調製する方法を提供し、ここで、細胞は細胞壁を含み、それにより核酸部分は細胞に結合される。
別の態様では、本発明は、第1の核酸部分に共有結合された天然の官能基の細胞表面を有する細胞、第1の核酸部分に相補的である第2の核酸部分を有する基質表面を含むデバイスを提供し、それにより細胞は第1と第2の核酸部分の核酸二重鎖の形成を介して基質表面に結合される。
細胞表面へのssDNAの共有結合。(a)チオール化された一本鎖DNAを最初に室温にてPBS中のNHS−PEG−マレイミドと反応させ、NHS−DNAコンジュゲートを形成させた。次に、この溶液をPBS中の正細胞の懸濁液とともに室温で30分間インキュベートした。DNA鎖の結合後、細胞を培地に戻した。 細胞表面へのssDNAの共有結合。(b)Jurkat細胞は、(a)に記載されるような種々の濃度のNHS−DNA溶液に晒された。次に蛍光鎖コンプリーメントを添加し、細胞修飾のレベルをフローサイトメトリーを用いて定量した。最大120,000のDNA鎖は、各細胞に組み込むことができた。 細胞表面へのssDNAの共有結合。(c)Jurkat細胞は、(a)に記載されるような種々の濃度のNHS−DNA溶液に晒された。次に蛍光鎖コンプリーメントを添加し、細胞修飾のレベルをフローサイトメトリーを用いて定量した。最大120,000のDNA鎖は、各細胞に組み込むことができた。 細胞表面へのssDNAの共有結合。(d)表面への細胞をパターニングするための方法の概略図。
DNA配列特異的な細胞の固定化。(a)DNA配列C2を有する細胞はDNAMマイクロアレイ上の相補的(配列M2)スポットに結合した(スポットサイズ=60μm)。未占有のままである非相補的配列M1を有する近接スポット。(b)同じマイクロアレイ基質は、それぞれC2とC1を有するJurkat細胞とMDA細胞の混合懸濁液に曝露された。Jurkat細胞は、Cell−Tracker Greenで染色され、MDA細胞をCell−Tracker Buleで染色した。(c)MCF−、及び(d)MDA細胞はまた、迅速に安定かつ配列特異的にDNA被覆表面に結合された。DNA被覆領域と未被覆領域との間の明確な描写が観察された。位相画像はインキュベーションの2時間後を示された。(e)MCF−7及び(f)MDA細胞は広がり、36時間に増殖したが、しかし、DNAプリントされた領域に限定されたままであった。
直接的なDNA改変と初代細胞の捕捉。(a)ヒト赤血球は、DNAスポットにJurkat細胞と同じように結合し、結合直後に形態学的に同一であるようであった。トリパンブルー染色は、膜が完全なままであることを示した。DNA被覆されたマウスCD4+ヘルパーT細胞は、相補的DNAで被覆されたスポットによって結合された。曝露の3分後、明確な境界が、スライドのプリントされた領域をプリントされていない領域との間で見ることができた。(c)フォトリソグラフィーとマクロファブリケーションによって作製されたマイクロスケールDNAパターン。蛍光コンジュゲートされたssDNA鎖を基質上にパターン化させ、視覚化を可能にした。(d)マウス初代T細胞は同じDNAパターン上に捕捉された。(e)ELISAによって決定されたDNA固定化されたT細胞と遊離T細胞のIL−2産生。ConA=コンカナバリンA。PNA=ホルボールメリスチルアセテート。CSA=シクロスポリンA。
初代筋芽細胞の捕捉及び分化。(a、b)スライドガラス上のDNAパターンは、細胞が結合する領域を決定する。(c)筋芽細胞は、増殖培地に維持したとき、捕捉直後(示す)及び1日後に分化の兆候を示さない。(d)筋管は、分化培地の展開により形成する。写真は、スイッチがなされて5日後に撮影された。(e)分化培地中でのインキュベーションの6日後、環状にパターン化された筋管は、端に沿って整列されている固定された筋管を形成する。(f)6日後、長方形配列における筋細胞は、パターンの長軸に沿って整列されている筋管を形成する。直線パターンについて、大部分の筋細胞は、(g)パターン境界角が20°以内に整列し、(h)端間の中間で見出される。
DNA改変反応のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析。モデルアミン化合物は、NHSエステルと反応することが見出され、細胞表面上のアミドの形成を変化させる。
NHS−DNAを用いて修飾されたJurkat細胞の生存率。A)DNA被覆細胞(それぞれ20塩基)の溶液を相補鎖と一緒にした。様々な時間点で、全細胞数は視覚的にカウントした(青色の曲線)。対照試料(オレンジ色の曲線)は、添加DNAがない状態で増殖する未修飾Jurkat細胞からなっている。B)結合後の生存率を評価するために、DNA修飾細胞は、鎖相補体を有するスライドガラスに固定された。24時間と48時間の固定後、細胞は、アネキシンV−FITC(緑色のバー)とPI(赤色のバー)の溶液とともにインキュベートされた。細胞は、蛍光顕微鏡を用いて1時間以内に評価された。遊離細胞は、表面DNAを欠如している対照試料であり、スライドに結合しなかった。
固定されたMCF−7とMDA細胞は、2、12、24、36時間後に画像化された。
筋芽細胞は増殖培地中で3日間インキュベートされた。A)筋芽細胞はコラーゲン被覆されたディッシュ上に播種された。B)筋芽細胞はNHS−DNAと反応させられ、配列特異的に表面に結合された。
筋芽細胞は2、4、6、8、10、12、14日後に融合培地中でインキュベートされ、コラーゲン被覆されたディッシュ上に播種されるか、又はNHS−DNAと反応させられ、配列特異的に表面に結合された。
所定パターン上の筋管整列の分析。距離(赤色の線)と角度は、筋管と最も近い端との間で測定された。全ての距離測定は、管の中間点から行われた。パターン端間の全距離は緑色の線によって示される。
単一細胞モニタリング用の二機能性微小電極の製作。(A)金電極は、フォトリソグラフィーとリフトオフを用いてガラスウエハー上にパターン化される。次に、パリレン−cの7μmの絶縁層は、電極上に配置され、100nmの蒸着アルミニウムで覆われる。(B)フォトレジストはアルミニウム層上にパターン化され、次に、パリレン絶縁体用にエッチング処理され、エッチマスクとして用いられる。(C)酸化イリジウムのセンサー層は電極表面上に配置され、次に、アミン修飾された捕捉DNA結合用にアルデヒドシランで処理される。(D)最後に、アルミニウム層は強塩基に溶解され、センサー表面上で捕捉DNAだけを放出する。表面結合された相補鎖を有する細胞が導入され、センサー上に直接的かつ特異的に捕捉された。(E)細胞は、細胞表面上に一級アミンに結合する、末端N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル官能基を担持する一本鎖DNA(5’−CCCT AGAGTGAGtcgt atga−3’)で処理される。このDNAバーコードラベリングは、デバイスにDNA指向的捕捉のために細胞を官能化する。(F)マイクロ流体デバイスの概略図。電極をPDMSチャネルによって囲み、マイクロ流体デバイスを形成する。
二機能性微小電極アレイ用の較正データ。(A)標準的なpH4、5及び7の緩衝液を用いた1つのDNA修飾された酸化イリジウムセンサーについて記録する典型的な較正。電圧は、Ag/AgCl参照電極と比較して測定される。(B)傾き−68.5mV/pHユニットとR2=0.99995の電圧対pH標準測定のプロット。
二機能性微小電極アレイへの細胞捕捉。センサー電極上で相補鎖に結合した表面結合DNAバーコードを用いた個々の非接着性Jurkat細胞の蛍光顕微鏡写真。電極領域を白色で描く。バーは40μmである。挿入図:電極上の単一のJurkat細胞の拡大図、電極領域を表すための追加の斜照明を有する。
二機能性微小電極アレイを用いて測定された単一の細胞酸性化。(A)既知のホモジナイズ試料において測定された単一のJurkat及び初代T細胞酸性化の代表的な合成データ。(B)混合物から捕捉され、アレイ上での10分間中同時にモニタリングされた単一のJurkat及び初代T細胞。(C)10分間中の既知のタイプの試料における個々の細胞酸性化のヒストグラム。Jurkat細胞は、低緩衝化培地中の初代T細胞と比較して、酸性化の有意に高い(P<0.0002)を有することが見られる。
二機能性微小電極アレイによって測定された単一の細胞刺激。Jurkat細胞は、最初の13分間で正常なベースラインの酸性化を示し、次に低緩衝化培地中の10μMロテノンの125μLをチャネル出口リザーバーに添加し、この場合、数秒以内にチャネル内に核酸する。ロテノンは、ミトコンドリア電子伝達鎖を阻害し、乳酸排出速度の増加を引き起し、したがって酸性化の速度を高める。
カンチレバーと細胞表面への生体分子の共有結合。a)酸素プラズマを用いて表面を酸化後、アルデヒド官能基は、化学蒸着を用いて窒化ケイ素カンチレバー(CVD)に導入された。b)水素化ホウ素ナトリウムを含む抗CD3 IgG又はConAの溶液は、湿潤チャンバーにおけるアルデヒド被覆カンチレバー表面に導入された(IgG=免疫グロブリンG)。DNA修飾は、100℃で30分間、アミン官能化ssDNA溶液中にカンチレバーを浸し、その後、水素化ホウ素ナトリウム溶液に曝露することによって達成された。c)代謝工学を用いて、過アセチル化N−アジドアセチルマンノサミン(Ac4ManNAz)を用いて処理によって細胞表面にアジド基を導入した。ホスフィン官能化ssDNAを合成し、Staudinger連結によって細胞の外部に共有結合させた。
生体分子に基づく接着法の比較。a)バルクな細胞増殖速度は、最初に、接着分子の存在下で決定された。Jurkat細胞の懸濁液とConA又は抗CD3 IgGとを組み合わせ、DNA修飾は被覆された細胞の溶液を相補的DNA鎖と組み合わせた。種々の時間点で、全細胞数をカウントした。対照試料は、任意の接着分子の不存在下で増殖された。b)細胞捕捉効率を評価するために、20μMのFITC標識ssDNA、20μMのFITC標識ConA、及び6μMのFITC標識抗CD3 IgGの溶液は、アルデヒド被覆スライドガラスに適用され、生体分子を還元アミノ化により結合された。次に1×107個のJurkat細胞/mLを得られたスライド上に導入した。試料を10分間室温にてインキュベートし、その後、評価前にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を2回に分けて洗浄した。c)細胞生存率を評価するために、細胞をDNA、ConA、及び抗CD3 IgG被覆されたスライド上に固定した。24時間及び48時間の固定後、アネキシンV−FITC(黒色のバー)及びPI(グレーのバー)の溶液と共に細胞をインキュベートした。蛍光顕微鏡により細胞を1時間以内に評価した。*アネキシンによって部分的に染色されたConA及び抗体固定化された細胞は、アポトーシスを受けている細胞としてカウントされた。NBは、表面に結合しなかった対照試料を表す。誤差バーは1つの標準偏差を表す。
脱着力のAFM測定。A)単一の細胞についての6個の試料のトレースを灰色の陰で示し、平均トレースを黒色で示す。ゼロ間隔で、細胞をカンチレバーと完全に接触させ、それはポジティブフォースを適用している。距離が増加すると、カンチレバーは、スライドガラス表面から引き離され、細胞−カンチレバー連結を裂き、非接触領域であるゼロフォースをもたらす原因となる。d−距離の力は、曲線最小と水平接触なし領域との間の距離として計算される。B)接着力は、DNA、ConA、及び抗体系について異なる後退速度(15.7及び8.2μm/s)及び接触力(400及び200pN)で測定された。データは、4個を超える異なる細胞上で6個の脱着イベントを測定することによって得られた。誤差バーは1つの標準偏差を表す。
生細胞のディップペンパターニング。a)カンチレバーへの短いDNA鎖(13塩基)の結合、及びスライドガラスへの長い鎖(20塩基)の結合によって、単一の生細胞はAFM装置によって移動させられ、スライドガラス上の所定一に直接プリントされ得る。b−d)このプロセスは、細胞の単一パターンの形成について段階的に示される。
単一細胞の遺伝子サイレンシングアッセイの概要。Jurkat細胞を培養及び表面標識し、単一細胞はDNA二重鎖形成を介して標的パッド上に捕捉され、RT−PCR発現プロフィールを生じさせる。(A)正常増殖条件下の細胞は、対照の18S rRNAと比較して、GAPDH(緑色の細胞)の均一な高発現を示す。(B)GAPDHに指向されたsiRNAで処理された細胞は、様々なレベルのmRNAノックダウンを示す。
微小流体デバイスレイアウト。単一の細胞遺伝子発現プロフィールについて装置(4つの完全なシステムのうちの2つ)の半分を示す図である。4層のガラス−PDMS−ガラス−ガラス微小デバイスは4つの異なる領域を含む。上部の最初の領域は3バルブポンプである。リアクター領域は、200nL反応チャンバーの中心にあるフォトリソグラフィー用に画定された金細胞捕捉パッドと熱サイクル用にRTD及び微細加工ヒーターからなっている。アフィニティー捕捉領域は、ホールドチャンバーとアフィニティー捕捉チャンバー(黄色)を含む。最後に、熱放出アンプリコンはCE分離チャネル(赤色)上で分析される。各デバイスは、並行して4つの単一細胞の分析を可能にする4つの独立したアドレス可能なシステムを含む。
統合された遺伝子発現微小デバイスにおいて行われる生化学的ステップの概略図。(上段)分析は75分未満で完了する。(下段)(A)単一の細胞遺伝子発現微小システムの操作の記述。(B)最初に、細胞膜上に20塩基のオリゴヌクレオチドで官能化された細胞をリアクターに流す。(C)単一細胞は、外部上のssDNAが金パッドに固定された相補的捕捉鎖に結合する場合、サイズ限界25×25μm2の金パッド上に捕捉される。(D)固定された細胞は凍結融解により溶解され、mRNAを安定なcDNA鎖に逆転写する(15分)。PCR増幅(30サイクル)を25分で完了する。(E)増幅された断片及び未反応RT−PCR混合物は、リアクターからホールドチャンバーにポンプ注入され、廃棄(W)から陰極(C)リザーバーに電気泳動的に移動される。(F)アフィニティー捕捉プローブに相補性を有する対象の断片を濃縮し、生成した捕捉プラグを作製する捕捉チャンバーの入口で固定される。(G)最後に、生成物は、アフィニティー捕捉ゲルから80℃で熱的に放出され、それらが陽極(A)に移動するにつれて電気泳動的に分離される。蛍光標識されたアンプリコンは、共焦点蛍光によって検出され、それらの量及び固有性を決定する。
単一細胞レベルでの遺伝子発現及びサイレンシング。(A)個々のJurkat細胞からの代表的な遺伝子発現の電気泳動図。GAPDH(200bp)及び18S rRNA(247bp)を標的とするプライマーを用いた単一の野生型細胞は、それぞれ160s及び185sで移動する2つの強いピークを生じる。GAPDH mRNAで指向されたsiRNAを用いて電気泳動された単一の細胞は、18S rRNAについて唯一のピークを示す。(B)正常な未処理細胞と比較したGAPDH siRNAで処理されたJurkat細胞についてのGAPDHの遺伝子発現。GAPDH発現は比較のための対象18S rRNAに標準化されている。8つの個々の細胞からの実験は、正常な未処理Jurkat細胞の0、5、50、1、48、0、5、及び0%のGAPDH mRNAレベルを示す。しかしながら、50個の細胞からの代表的なバルク測定は、21±4%のGAPDH発現を示す。細胞がパッドに捕捉されない場合、増幅は見られない。同様に、逆転写のないPCR対照は増幅を示さない。(C)siRNA処理された細胞に対するイベント数のヒストグラムは、発現レベルが集団平均とは非常に異なる細胞の2つの異なる集団が存在することを示す。
標的送達のためのキャプシドの二重表面修飾が示される。内部表面修飾について、MS2コートタンパク質のN87C突然変異は、部位特異的なアルキル化を可能にする最大180の積み荷分子はこれらの位置で組み込まれ得る。外部表面修飾について、アプタマーは、最初にフェニレンジアミン基で修飾される。キャプシド上のT19paF突然変異は、NaIO4媒介の酸化的カップリング反応によって、MS2の外部表面への修飾されたDNAの結合を可能にする。
MS2の外部表面へのDNA結合の分析。(a)MS2−DNAコンジュゲートはSDS−PAGE後、クマーシー染色によって分析された。レーン1〜7はA鎖と反応された。レーン8はB鎖との反応を示す。(b)MS2へのコンジュゲート後の塩基対についてDNA能力を確認するゲルシフトアッセイ。レーン10は、増加した電気泳動シフトについての追加の20個のアデニン塩基を有するA鎖に相補配列を含み、レーン9は添加された追加のDNAを有しない。透過型電子顕微鏡画像(c)と動的光散乱分析(d)はDNAコンジュゲート後の無傷なキャプシドを示した。さらに、DLSは、A鎖のコンジュゲートに基づく径の有意な増大を示し、並びにA鎖(追加の20塩基の突出なし)に相補的な20塩基の配列の追加によりさらに径が増大したことを示す。TEM画像のスケールは100nmを表す。
アプタマー標識されたキャプシドを用いた細胞標的化及び取り込み。(a)細胞標的化はフローサイトメトリーを用いて確認された。B鎖で修飾されたMS2キャプシドだけがJurkat細胞に結合した(青色)。外部に未修飾のキャプシド及びC鎖で修飾されたキャプシド(それぞれ緑色及び黄色)は、LDL標識されたデンドソーム(b)を有するが、トランスフェリン標識されたエンドソーム(c)を持たない、B標識されたキャプシドの共局在化を示す。スケールバーは3μmを表す。
ウイルス外部への細胞標的化アプタマーの内部積み荷結合の組み込みを示す。概略図はウイルスに関わる基本プロセスを記述する:ウイルスは糖質でオリゴヌクレオチドアプタマーにより被覆され、ウイルスは積み荷(最大180個の分子)を含む;生きた標的細胞の表面上の細胞表面タンパク質についてアプタマー特異性のために、アプタマーは受容体タンパク質に結合又は内在化するか、又は他にはその細胞に内容物を輸送する。
本方法を用いてパターン化された細胞の画像、及び相乗的ソーラーパワーのH2燃料電池(チップ上)における生物の役割の短い説明を示す。図28AはSynechocystis PCC6803(シアノバクテリア)、C.reinhardtii(藻類)、R.rubrumを示す。 本方法を用いてパターン化された細胞の画像、及び相乗的ソーラーパワーのH2燃料電池(チップ上)における生物の役割の短い説明を示す。図28BはA.vinelandiiを示す。細胞はssDNAの巨大なスポット上にパターン化され、それはこのパターンに対して唯一の部分的な湾曲が画像に示されている理由である。
E.coliパターンの画像を示す。(A)はFITC DICオーバーレイで標識されたパターン化された大腸菌20×を示す。(B)及び(C)は、パターン化された大腸菌(蛍光標識されていない)とSynechocystis(FITC標識)のマイクロアレイパターン20×(上段)と10×(下段)の画像を示す。バックグラウンド蛍光があるが、細胞はそれらの質感によって示され得る。
燃料電池デバイスにおいて使用するためのガラス基質上のSynechocystis PCC6803(cyanobacteria)、A.vinelandii、及びR.rubrumのパターン化された層を示す。
細胞表面上のリジンの天然の官能基との反応による本発明によって調製され、相補的DNA鎖で修飾された顕微鏡用スライドガラス上に固定された哺乳動物細胞のDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を示す。 細胞表面上のリジンの天然の官能基との反応による本発明によって調製され、相補的DNA鎖で修飾された顕微鏡用スライドガラス上に固定された哺乳動物細胞のDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を示す。
相補的DNA鎖で修飾された顕微鏡用スライドガラス上に固定された本発明によって調製された非哺乳動物細胞のDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を示す。 相補的DNA鎖で修飾された顕微鏡用スライドガラス上に固定された本発明によって調製された非哺乳動物細胞のDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を示す。 相補的DNA鎖で修飾された顕微鏡用スライドガラス上に固定された本発明によって調製された非哺乳動物細胞のDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を示す。
細胞表面上のグルタミン酸の天然の官能基との反応による本発明によって調製され、相補的DNA鎖で修飾された顕微鏡用スライドガラス上に固定された哺乳動物細胞のDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を示す。
発明の詳細な説明
I.一般
本発明は、代謝工学を必要とせずに、細胞表面上の天然の官能基を介して、DNAを細胞に共有的に連結させることによって調製される細胞−DNAコンジュゲートの最初の例を提供する。細胞壁を持たない哺乳動物細胞及び他の細胞について、DNAは、リジンアミンなどの、細胞表面のアミノ酸に直接共有結合される。細胞壁を持たない植物細胞及び他の細胞について、細胞の表面上の糖類は、アルデヒド又はケトンを形成するように、例えば酸化によって最初に修飾され、次にDNAで修飾される。
DNA−細胞コンジュゲートを形成させるための従来の方法は、代謝工学の使用、即ち、細胞によって代謝され、細胞表面に発現されるアジド官能化糖などの適切に修飾された糖を有する細胞を与えることを必要としていた。次に、DNAは、アジド修飾糖にコンジュゲートされた。この方法は、有用性及び応用範囲の両方を制限するいくつかの欠点を有している。例えば、代謝工学は、細胞表面上に十分量のアジド官能化糖を細胞に与えるのに数日を必要とする。また、修飾することができる細胞型は制限され、重要な診断的有用性を有する初代細胞を排除する。最後に、代謝工学は、必ず、細胞の構造及び特性を修飾する。
本発明は、細胞表面に既に存在する天然の官能基を用いることによって、アジド代謝工学プロセルに固有の困難性を克服する。NHS−エステルで修飾されたDNAなどの活性化DNA配列を用いることによって、DNAは、細胞壁を持たない細胞の細胞表面上にリジン基のアミンに共有結合可能である。このプロセスは最大数時間を要する。プロセスの容易さにより、初代細胞、並びに幹細胞の修飾も可能にする。細胞壁を有する細胞について、細胞表面上の天然の糖は、アルデヒド及びケトンを形成するために、例えば、酸化によって最初に修飾され、次に例えば、アミノオキシ基を用いて活性化DNA配列と反応させる。本発明のDNA−細胞コンジュゲート及び方法は、細胞検出及びアッセイ方法に向かって実質的な跳躍を表す。
表面で細胞をパターニングする能力は、種々の研究及び応用のための新しいプラットフォームを提供し、例えば、細胞生物学の研究、幹細胞分化の制御、及び新しい組織の操作が挙げられる。典型的には、細胞に基づくアッセイは、細胞表面上のインテグリンに結合するように設計される「RGD」を用いて、対象の表面をプリントすることによって形成される。このアプローチは多数の細胞型の固定化に幅広く適合されている一方で、非付着細胞(例えば白血球)を捕捉し、又は独自のアレイ特徴に複数の細胞型を結合するために使用することができない。また、細胞分化又は行動において望ましくない変化を引き起こす可能性があり、これは、これらのプロセスの制御と関わる正に表面受容体を用いるためである。
これらの制限を回避するために、相補鎖でプリントされた表面に対して細胞膜に共有結合された合成DNA鎖のハイブリダイゼーションを介した生細胞の捕捉は、参照により本明細書中に援用されるChandra,R.A.;Douglas,E.S.;Mathies,R.A.;Bertozzi,C.R.;Francis,M.B.Angew.Chem.−Int.Edit.2006,45,896−901における発明者らの幾人かによって従来報告されている。複数の細胞型が単一の基質にパターニングされるようにすることに加えて、この方法は、基質再利用及び同調性の重要な利点を提供した。最も重要なことには、このアプローチは、接着細胞に加えて非接着細胞を捕捉するために用いられ、この受容体に依存しないプロセスを通じた固定化の結果として、細胞は行動の最小の変化を経験することが示されている。従来の報告では、この方法の有用性はまた、複雑な細胞パターンの形成について示されている。
従来の研究で用いられたDNA鎖は、2工程プロセスを通じて細胞表面のグリカンに組み込まれた。最初に、細胞は、1〜3日間、アジド含有マンノース誘導体と一緒に与えられた。この糖は、その後代謝され、細胞表面のグリカンを含むシアル酸に組み込まれた。次に、DNAは、Staudinger連結を用いてアジド官能性に標的化された。効果的ではあるが、このプロトコールは、培養された哺乳動物細胞株について最も適切であり、これは、十分な数のアジド基を組み込むために数日の曝露が必要である。
DNAに基づく接着法の一般性を拡張するために、本発明は、実質的に任意の細胞表面に核酸の直接的な組込みのための改善された方法を提供する。ここで図1に言及すると、一態様では、活性化された又は官能化された単一鎖の核酸は、最初に、緩衝溶液中で化学的リンカーと反応し、核酸−リンカーコンジュゲートを形成する。細胞又は細胞表面は、細胞表面への化学的リンカーを介して核酸を結合させるように進行する反応を可能にする特定の期間、緩衝溶液に曝露される。細胞への核酸の結合後、細胞を細胞培地に戻す。種々の濃度の核酸は、図1aにおいて記載及び定量されるように用いることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、化学的リンカーにオリゴヌクレオチドをコンジュゲートするために、中性緩衝溶液中で化学的リンカーと反応させられ、次に、細胞は、30分間、オリゴヌクレオチド−リンカーコンジュゲートを含む緩衝溶液とともにインキュベートされ、細胞表面へのオリゴヌクレオチド−リンカーコンジュゲートの修飾及び結合を可能にする。
細胞修飾は、典型的には、リンカーと細胞表面上のアミノ酸との間の共有結合の形成を介して開始する。いくつかの態様では、細胞表面は、動物、植物、藻、又は細菌細胞を含む任意の起源由来の生細胞の細胞膜であってもよい。いくつかの態様では、共有結合はアミド結合又はエステル結合である。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドは単一鎖である。他の態様では、アミノ酸は、リジン、システイン、チロシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びトリプトファンから選択される。
細胞壁を有する植物細胞などの細胞では、連結は、とりわけヒドラゾン、オキシム、又はアミンであってもよく、ここで、結合は、過ヨウ素酸塩酸化、続くヒドラゾン、オキシム又はアミン形成を介して生じる。一態様では、細胞上の糖質は酸化を受けアルデヒド官能基を生じさせ、次にアルデヒドは、植物細胞表面の直接細胞修飾のためのオリゴヌクレオチド−リンカーコンジュゲートと反応する。
この手法は、いくつかの態様では1時間未満で行うことができ、対象の任意のオリゴヌクレオチド配列を用いて等レベルの細胞表面官能化をもたらす。本方法は、RT−PCR分析用の単一細胞の捕捉、力測定又は細胞パターニング技術用の固体基質への生細胞の結合を含む種々の態様に適用され得る。実施例では、本発明者らは、他の方法を用いたパターニングが困難であるあらゆる細胞型である、赤血球、初代T細胞、及び筋芽細胞を捕捉するためのこの新しい標識法の使用を示す。この新しい技術は、DNAに基づく接着ストラテジーの範囲を大いに拡張し、有機合成を専門にしない研究室において使用するには十分に容易である。
したがって、一態様では、本発明は、直接共有結合されたオリゴヌクレオチドを有する細胞膜を含む組成物である。細胞膜は全体として無傷な細胞であってもよく、それにより、組成物は直接共有結合されたオリゴヌクレオチドを有する全細胞を含む。多数のオリゴヌクレオチドは単一細胞に結合され得る。細胞は生細胞であってもよい。細胞は、動物細胞又は非動物細胞を含む真核細胞などの任意の細胞であってもよい。細胞又は細胞膜が「直接的に」修飾されるということは、細胞膜(細胞表面、細胞の外側)がオリゴヌクレオチドの結合前に修飾及び変化しないことを意味する。具体的には、結合は細胞表面上の構成に対するものであるため、直接的には、オリゴヌクレオチド結合が、オリゴヌクレオチドとの共有結合前に修飾されない構成を意味する。従来の方法は全て、オリゴヌクレオチドに結合する前に、最初に細胞表面上の部分を修飾する。
対照的に、結合は、新しい共有結合が互いに接続する2つの分子間で形成されることを意味する。結合は、典型的にはアミド又はエステル結合であるが、オリゴヌクレオチドと細胞表面の部分(例えば、タンパク質、アミノ酸、若しくは糖質、又は他の細胞表面実体)との間の結合の目的を果たす任意の結合であってもよい。
一態様は、迅速及び効率的プロセスにおいてNHS−DNAコンジュゲートを用いて細胞表面の直接修飾を促進し、1時間以内で相補的DNAを有する表面上で実質的に任意の哺乳動物細胞をパターニングすることができる。本明細書に記載される特定の技術は、赤血球細胞、初代T細胞、及び筋芽細胞を含む、従来のインテグリン標的技術とは一般的に不適合ないくつかの細胞型を用いる能力を示す。固定化手法は、従来報告されている抗体及びレクチンに基づく方法と比較して、初代T細胞を活性化しなかった。これらの研究では、筋芽細胞は、高効率でパターニングされ、表面結合後に分化しないままであった。分化培地を変えると、筋芽細胞は、優れた程度の端整列を有するパターン化された領域の中心に形成した。この新しいプロトコールの利用性は、一般的に、人工組織の生成及び生細胞のデバイス設定への組み込みのためのDNAに基づく結合ストラテジーの応用性を拡張する。
II.定義
「細胞」は、生命の基本的な機能的単位を意味し、原核細胞及び真核細胞の両方を含む。細胞は、核又は核様体を有する内部、及び細胞膜(細胞表面)によって特徴付けられる。細胞はまた細胞壁を有してもよい。細胞壁を持たない細胞は、真核細胞、哺乳動物細胞、及び幹細胞を含む。細胞壁を有する原核細胞及び植物細胞を含む。他の細胞は、本発明において有用である。
「天然の官能基」とは、細胞表面に由来する官能基を意味し、例えば、アミノ酸及び糖が挙げられ、本発明のコンジュゲートを形成するための核酸部分と反応する。例示的なアミノ酸には、リジン、システイン、チロシン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びトリプトファンが含まれる。例えば、以下に記載のアミノ酸などの他のアミノ酸も有用である。また、糖は細胞表面に由来し、マンノース、ガラクトース及びシアル酸、並びに以下の記載の糖が含まれる。天然の官能基は、未修飾形態の核酸部分と反応することができ、又はそれらをより反応的にさせるように修飾され得る。
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸に類似して機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を意味する。天然に存在するアミノ酸、遺伝子コードによってコードされたアミノ酸、後に修飾されるそれらのアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリンが挙げられる。
「アミノ酸類似体」は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本の化学構造、即ち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合する炭素原子を有する化合物を意味し、例えば、モホセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムが挙げられる。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本の化学構造を保持する。
「非天然アミノ酸」は遺伝子によってコードされないが、必ずしも天然に存在するアミノ酸と同じ基本構造を持たない。非天然アミノ酸は、限定されるものではないが、アゼチジンカルボン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、ベータアラニン,アミノプロピオン酸、2−アミノブチル酸、4−アミノブチル酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノへプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、tert−ブチルグリシン、2,4−ジアミノイソ酪酸、デスモシン、2,2’−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ−イソロイシン、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルペンチルグリシン、N−メチルバリン、ナフタアラニン、ノルバリン、オルニチン、ペンチルグリシン、ピペコリン酸、チオプロリン、アミノフェニルアラニン、ヒドロキシチロシン、及びアミノチロシンを含む。
「アミノ酸模倣体」とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸と類似したように機能する構造を有する化合物を意味する。
アミノ酸は、本明細書において、IUPAC−IUB生化学命名委員会によって推奨される通常知られている3文字シンボル又は1文字シンボルによって示されてもよい。同様に、ヌクレオチドは、それらの通常許容される1文字コードによって示されてもよい。
「保存的に修飾された改変体」とは、アミノ酸及び核酸配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾された改変体」は、同一若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は本質的に同一の配列を指す。遺伝子コードの縮退のため、大多数の機能的に同一の核酸は任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンのGCA、GCC、GCG及びGCUは全てアミノ酸のアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされるポリペプチドを変えることなしに、記載の対応するコドンのいずれかに変更され得る。このような核酸改変体は「サイレント改変体」であり、保存的に修飾された改変体の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書における全ての核酸配列はまた、核酸の全ての可能なサイレント改変体を記載する。当業者は、核酸における各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が機能的に同一分子を生じさせるように改変可能である。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント改変体は、記載された各配列において潜在的である。
アミノ酸配列について、当業者は、コードされた配列において単一のアミノ酸又は少ない割合のアミノ酸を置換、付加又は欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対して個々の置換、欠失又は付加は、その変更が化学的に類似した(疎水性、親水性、正に帯電した、中性、負に帯電した)アミノ酸によるアミノ酸の置換に至る「保存的に修飾された改変体」であることを認識する。代表的な疎水性アミノ酸には、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプトファンが含まれる。例示的な芳香族アミノ酸には、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが挙げられる。例示的な脂肪族アミノ酸にはセリン及びスレオニンが含まれる。例示的な塩基性アミノ酸にはリジン、アルギニン及びヒスチジンが含まれる。カルボン酸側鎖を有する例示的なアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられる。カルボキサミド側鎖を有する例示的なアミノ酸にはアスパラギン及びグルタミンが含まれる。機能的に類似したアミノ酸を与える保存的置換表は当該技術分野において周知である。このような保存的に修飾された改変体は加えられるが、本発明の多型改変体、種間ホモログ、及び対立遺伝子を排除する。
以下の8つの群の各々は、互いに保存された置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton,Proteins(1984)参照)。
「糖」は、単糖、二糖、オリゴ糖又は多糖などの糖を意味する。単糖には、限定されないが、グルコース、リボース、フルクトース、シアル酸、マンノース及びガラクトースが含まれる。二糖には、限定されないが、スクロース及びラクトースが含まれる。多糖には、限定されないが、セルロース、ヘミセルロース及びリグノセルロース又はスターチが挙げられる。他の糖は、本発明において有用である。
本明細書で使用するとき、用語「接触すること」とは、少なくとも2つの区別される種が反応し得るようにそれらを接触させるプロセスを意味する。しかしながら、得られた反応生成物は、添加された試薬間での反応から直接的に、又は反応混合物において生成され得る添加された試薬の1以上からの中間体から生成され得ることを認識しなければならない。
「核酸部分」は、複数のヌクレオチド又は核酸からなる群を意味する。例示的な核酸部分には、限定されないが、オリゴヌクレオチド、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックト核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、2’−フルオロデオキシリボ核酸、アプタマー及びその他が挙げられる。
「活性化された核酸部分」は、1以上の天然の官能基との反応性が増加した基を有する核酸部分を意味する。例えば、天然の官能基がアミン又はリジンである場合、活性化基は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS−エステル)などの活性化基であり得る。活性化エステルは、活性化核酸部分の核酸部分に直接結合されるか、又はリンカーを介して結合され得る。天然の官能基がシステインである場合、活性化基はマレイミドであり得る。他の活性化エステル及び活性化基は、活性化核酸部分に有用である。チロシンは、ジアゾニウム塩、イミン、及びアリル−パラジウム種を用いて修飾され得る。トリプトファンはメタロカルベノイド及びイミンを用いて修飾されてもよい。N末端アミノ酸はアミノ転移を介して修飾されてもよく、N末端セリン及びスレオニンは酸化されて、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてアルデヒドを生じさせてもよい。
「修飾された天然の官能基」は、細胞表面に核酸部分を結合するために修飾された天然の官能基を意味する。天然の官能基は、代謝工学によることを除いて、種々の方法において修飾され得る。例えば、天然の官能基が糖である場合、糖は、安定な修飾剤又は過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いて酸化されてもよい。天然の官能基が糖であり、修飾剤が過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤である場合、修飾された天然の官能基はアルデヒド又はケトンであり得る。
「基質表面」は、核酸部分を含むように誘導され得る任意の材料を指す。基質表面に対する材料の例には、限定されないが、ガラス(制御された細孔ガラスを含む)、ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体)、シリコーンゴム、石英、ラテックス、誘導可能な遷移金属、磁気材料、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガリウムヒ素、及びそれらの誘導体が挙げられる。表面上の反応部位を除いて、材料は、一般的に、それらが供されてもよい様々な化学反応条件に耐性である。
III.細胞−DNAコンジュゲート
本発明は、細胞−DNAコンジュゲート及びコンジュゲートを製造するための方法を提供する。
A.細胞壁を持たない細胞のコンジュゲート
本発明は、核酸部分と、細胞壁を持たない細胞とのコンジュゲートを提供する。コンジュゲートは、細胞表面上に天然の官能基を介して細胞表面に核酸部分を共有的に連結させることによって形成される。本発明のコンジュゲートに使用される細胞は任意の細胞であってもよく、核酸部分をコンジュゲートするために官能基を導入する代謝工学を必要としない。
いくつかの態様では、本発明は細胞と核酸部分のコンジュゲートを提供し、ここで、細胞は天然の官能基を含む表面を有し、細胞は細胞壁を持たず、核酸部分は天然の官能基に共有結合される。
本発明に有用な細胞は、任意の細胞型を含む。いくつかの態様では、細胞は細胞壁を持たない細胞である。核酸部分結合のために用いることができる細胞(及び同使用のための細胞膜)は、全ての動物細胞、植物細胞、藻細胞、細菌細胞及び真菌細胞を含む任意の真核細胞であってもよい。以下は、本発明の組成物、デバイス及び方法において使用されてもよい細胞の限定的なリストである。このリストは、多数の細胞及び細胞型を含むことを意図し、限定されないが、本発明において使用されてもよい細胞の限定である。むしろこれらの細胞及び細胞型は代表的であり、例示的である。生細胞、死細胞、及び細胞株は、本発明において使用されてもよい。生細胞は大分の分析的及び有用な上方を提供する可能性があり、生細胞が細胞表面修飾を通じて活性化されることなしに本発明において使用可能であるため、それらは、本発明によってかつ本発明に固有して提供されるツールを用いた人工的なシステム及びデバイスにおいて、それらの天然又は天然に近い特性について研究され得る。
以下は、細胞の非制限的リストである。血液及び免疫系由来のヒト細胞型には以下が含まれる:リンパ球:B細胞、T細胞(細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、調節性T細胞、TヘルパーT細胞)、ナチュラルキラー骨髄細胞:顆粒細胞(好塩基性顆粒球、好酸性顆粒球、好中性顆粒球/過分葉好中球)、単球/マクロファージ、赤血球(網状赤血球)、マスト細胞、血小板/巨核球、樹状細胞。内分泌系には、甲状腺(甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞)、副甲状腺(副甲状腺主細胞、好酸性細胞)、副腎(クロム親和性細胞)、松果体(松果体細胞)の細胞が含まれる。神経系の細胞には、グリア細胞(星状細胞、小膠細胞)、大細胞性神経分泌細胞、星細胞、ベッチャー細胞、下垂体性、(性腺刺激細胞、皮質刺激細胞、甲状腺刺激細胞、ソマトトロピン産生細胞、プロラクチン産生細胞)が含まれる。呼吸系の細胞には、肺細胞(I型肺細胞、II型肺細胞)、クララ細胞、杯細胞、塵埃細胞が含まれる。消火器系の細胞には、胃(胃主細胞、壁細胞)、杯細胞、パネート細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、I細胞、K細胞、S細胞が含まれる。腸内分泌細胞、腸クロム親和性細胞、APUD細胞、肝臓(肝細胞、クッパー細胞)、軟骨/骨/筋肉。外皮系骨:骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、歯細胞(セメント芽細胞、エナメル芽細胞)軟骨:軟骨芽細胞、軟骨細胞、皮膚/毛髪:毛胞、ケラチン生成細胞、メラニン形成細胞(母斑細胞)、筋肉:筋細胞、その他:脂肪細胞、線維芽細胞、腱細胞。泌尿器系には、有足細胞、糸球体傍細胞、糸球体内メサンギウム細胞/糸球体外メサンギウム細胞、近位尿細管刷子縁細胞、緻密斑細胞が含まれる。生殖系には、雄(精子、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞)、雌(卵子)が含まれる。角化上皮細胞には、表皮角化細胞(分化上皮細胞)、表皮基底細胞(幹細胞)、手足の爪の角化細胞、爪床基底細胞(幹細胞)、毛髄質細胞、毛皮質軸細胞、毛表皮軸細胞、毛根表皮鞘細胞、根鞘小皮細胞、ハクスリ層根鞘細胞、ヘンレ層根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母体細胞(幹細胞)、湿潤層障壁上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道及び膣腔の重層扁平上皮被蓋上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道及び膣腔の上皮基底細胞(幹細胞)、尿管上皮細胞(膀胱および尿管の内膜)、外分泌上皮細胞、唾液腺粘液細胞(多糖類の豊富な分泌)、唾液腺漿液細胞(糖タンパク質酵素の豊富な分泌)、舌のフォンエブナー腺細胞(味蕾を洗う)、乳腺細胞(乳汁を分泌)、涙腺細胞(涙を分泌)、耳道腺細胞(耳垢を分泌)、エクリン汗腺暗細胞(糖タンパク質を分泌)、エクリン汗腺明細胞(小分子を分泌)が含まれる。アポクリン汗腺細胞(発香性物質を分泌、性ホルモン感受性)、まぶたのモル腺細胞(特化汗腺)、皮脂腺細胞(脂質に富む皮脂の分泌)、鼻のボーマン腺細胞(嗅上皮を洗う液の分泌)、十二指腸のブルンナー腺細胞(酵素を含むアルカリ性粘液を分泌)、精嚢細胞(精子のエネルギー源であるフルクトースを含む精液の成分を分泌)、前立腺細胞(精液の成分を分泌)、球尿道腺細胞(粘液を分泌)、バルトリン腺細胞(膣の潤滑液を分泌)、リトレ腺細胞(粘液を分泌)、子宮内膜細胞(糖質を分泌)、気道および消化管の単離された杯細胞(粘液を分泌)、胃の内層の粘液上皮細胞、(粘液を分泌)、胃腺の酵素源細胞(ペプシノーゲンを分泌)、胃腺の塩酸分泌細胞(塩酸の分泌)、膵臓の腺房細胞(消化酵素と重炭酸塩を分泌)、小腸のパネス細胞(リゾチームを分泌)、肺のII型肺胞細胞(界面活性物質を分泌)、肺のクララ細胞、ホルモン分泌細胞、下垂体前葉細胞、ソマトトロピン産生細胞、プロラクチン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞、下垂体中葉細胞(メラノサイト刺激ホルモンを分泌)、大細胞性神経分泌細胞(オキシトシン及びバソプレシンを分泌)、消化管及び気道の細胞(セロトニン、エンドルフィン、ソマトスタチン、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、インスリン、グルカゴン、ボンベシンを分泌)、甲状腺細胞、甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺細胞、上皮小体主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和性細胞(ステロイドホルモン(鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド)を分泌)、精巣ライディヒ細胞(テストステロンを分泌)、卵巣濾胞の内卵胞膜細胞(エストロゲンを分泌)、卵胞破裂部位黄体細胞(プロゲステロンを分泌)、顆粒膜黄体細胞、卵胞膜ルテイン細胞、腎臓の傍糸球体装置細胞(レニンを分泌)、腎臓の緻密斑細胞、代謝及び貯蔵細胞、障壁機能細胞(肺、消化管、外分泌腺及び尿生殖路)、腎臓、I型肺胞細胞(肺の気室内膜)、膵臓導管細胞(腺房中心細胞)、無筋導管細胞(汗腺、唾液腺、乳腺など)、導管細胞(精嚢、前立腺など)、閉鎖性内部体腔を有する上皮細胞、推進機能を有する絨毛細胞、細胞外マトリックス分泌細胞、収縮性細胞、骨格筋細胞、幹細胞、心筋細胞、血液及び免疫系細胞、赤血球、巨核球(血小板前駆細胞)、単球細胞、結合組織のマクロファージ(多種類)、表皮ランゲルハンス細胞、破骨細胞(骨)、樹状細胞(リンパ系組織)、ミクログリア細胞(中枢神経系)、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、網状赤血球、血液及び免疫系の幹細胞と方向づけられた前駆細胞(多種類)、多能性幹細胞、全能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、成人幹細胞、神経系、感覚変換器細胞、自立性ニューロン細胞、感覚器官及び末梢ニューロン支持細胞、中枢神経系ニューロン及びグリア細胞、レンズ細胞、色素細胞、メラニン細胞、網膜色素上皮細胞、生殖細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞(精母細胞の幹細胞)、精子、ナース細胞、卵巣濾胞細胞、セルトリ細胞(精巣内)、胸腺上皮細胞、間質細胞、又は間質性角膜炎が挙げられる。
細胞は健常細胞、又は疾患細胞であってもよい。例えば、細胞は癌状態由来であってもよく、例えば上皮癌又は癌腫が挙げられ、限定されないが、前立腺の癌腫、乳癌腫、結腸癌腫、膵臓癌腫、肺癌腫、皮膚癌腫(メラノーマ)、食道癌腫など、又は起源の推定細胞(肝細胞癌、腎細胞癌腫、及び小細胞肺癌種など)が含まれる。他の癌細胞には、筋上皮癌、肉腫、神経膠腫、リンパ腫、白血病、カルチノイド、及び任意の他の癌タイプが挙げられる。組織の他の状況又は状態における細胞が使用されてもよく、限定されないが、自己免疫状態、免疫関連状態(例えば、アレルギー、抗原投与に対する免疫応答など)、標準的処置に貢献するか又はそれに対する耐性を示す状態を代表する細胞、状態に対する感受性又は素因(例えば、糖尿病、甲状腺状態、脳卒中、心血管状態、又は肝臓の質、機能、及び変性など)が挙げられる。
いくつかの態様では、細胞は初代細胞である。他の態様では、細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの他の態様では、細胞は幹細胞である。
細胞表面は、任意の適した天然の官能基、例えば、アミノ酸及び糖を含むことができる。いくつかの態様では、天然の官能基は、アミノ酸であってもよく、例えば、リジン、システイン、チロシン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はトリプトファンが含まれる。他の態様では、天然の官能基はリジンである。いくつかの他の態様では、天然の官能基はN末端セリン又はスレオニンであってもよい。
核酸部分は、核酸又はヌクレオチドを有する任意の適した核酸部分であってもよい。例示的な核酸部分には、限定されないが、オリゴヌクレオチド、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックト核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、アプタマー及びその他が挙げられる。他の核酸部分はフッ素化された核酸が挙げられる。
別の態様では、本発明の核酸部分は核酸であり、またヌクレオチドのポリマーでもある。用語「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」は相互交換的に用いることができ、DNA又はRNAヌクレオチドの生体高分子を含むことを意味し、一本鎖、二本鎖、三本鎖、分岐若しくは未分岐、又は部分的にハイブリダイズする短いオリゴヌクレオチド、二次構造を有する核酸、及び/又は天然に存在する若しくは天然に存在しないヌクレオチドである核酸を含む。
一態様では、一本鎖オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションによって、別の細胞、基質表面、又はデバイス上のその相補鎖へ細胞を結合させる機会を提供する。
細胞表面上への結合に使用される一本鎖オリゴヌクレオチドの長さは、約4ヌクレオチド〜約200ヌクレオチドの範囲であり得る。一般に、約12ヌクレオチド〜40ヌクレオチドの長さはハイブリダイゼーションに最適である。約20〜約25ヌクレオチドの鎖は、多くの場合、ハイブリダイゼーションの目的に用いられる。
細胞表面に結合される核酸部分の数は、細胞あたり約100,000以上であり得る。いくつかの態様では、核酸部分の数は、約10,000、又は約30,000、又は約50,000に対して1つの核酸部分であり得る。必要とされる核酸部分の数は、用途及び/又は細胞型などの因子に基づいて変化し得る。図1bでは、最大120,000個のDNA鎖が各細胞上に導入されたことを示す。
一態様では、核酸部分はアプタマーである。アプタマーは、三次元構造を適合し、特異的な標的分子を結合し得るオリゴ核酸分子である。アプタマーは、通常、大きなランダム配列プールからそれらを選択することによって作成されるが、天然のアプタマーはまたリボスイッチに存在する。アプタマーは、基礎研究及び高分子薬物などの臨床目的に用いることができる。アプタマーは、それらの標的分子の存在において自己開裂するようにリボザイムと組み合わせることができる。これらの化合物分子は、さらなる研究、産業上及び臨床上の用途を有する。DNA又はRNAアプタマーは、核酸部分の短鎖である。アプタマーは、小分子、タンパク質、核酸、並びにさらには細胞、組織及び臓器などの種々の分子標的に結合するように、インビトロ選択又は同等にはSELEX(指数的濃縮によるリガンドの系統的進化)の繰り返しラウンドを通じて操作された核酸種である。アプタマーは、バイオテクノロジー及び治療的用途において有用であり、これは、それらが一般に使用される生体分子、抗体と競う分子認識特性を提供するためである。それらの識別認識に加えて、アプタマーは、試験管において完全に操作され得るため、抗体と比較して利点を提供し、それらは、化学合成によって容易に生成され、所望の貯蔵特性を有し、及び治療用途において免疫原性が少ないか又はそれがない。アプタマー選択は、人工的に作製されたアプタマーに類似した分子認識性を有するリボスイッチと呼ばれる核酸に基づく遺伝子調節要素を含む。
スマートアプタマーの概念、及びスマートリガンドは、アプタマー−標的相互作用の所定の平衡(Kd)、速度(koff、kon)定数、及び熱力学的(ΔH、ΔS)パラメータを有するアプタマーを発見する。動的キャピラリー電気泳動はアプタマーを選択する。非修飾アプタマーは、数分から数時間の半減期で血流から急速に浄化され、それは主に、アプタマーの固有の低分子量の結果として、ヌクレアーゼ分解及び腎臓による生体からの浄化による。未修飾アプタマーの用途は、現在、血液凝固などの一時的な状態の治療、又は局所投与が可能な場合には眼などの臓器の治療に焦点が当てられている。この急速な浄化は、インビボの診断画像などの用途に利点であり得る。例は、癌画像のための開発中のテニシン結合アプタマーである。いくつかの修飾、例えば、2’−フッ素置換されたピリミジン、ポリエチレングリコール(PEG)連結など(それらはともにMacugen、FDA適合アプタマーに使用される)は、当日又はさらには週の時間スケールまで容易にアプタマーの半減期を増大させる科学者に利用可能である。
アプタマーに基づく治療の開発に加えて、多くの研究者は、プロテオミクスと呼ばれる全細胞タンパク質プロファイリングのため、及び疾患対健康状態の区別のための医学的診断のための診断技術を開発してきた。全てのインビトロの選択についての資源として、アプタマーデータベースは全ての公開された実験を分類する。これは、aptamer.icmb.utexas.edu/でオンラインに見出される。AptaBiD又はアプタマー−促進バイオマーカーディスカバリーはバイオマーカーディスカバリーのための技術である。AptaBiDは、バイオマーカーの指数関数的な検出を促進する細胞上の異なる分子標的のためのアプタマーの複数ラウンドの生成又はそのプールに基づく。それは3つの主要な段階を伴う:(i)標的細胞のバイオマーカー用のアプタマーの異なる複数ラウンドの選択;(ii)標的細胞のバイオマーカー用のアプタマーに基づく単離;及び(iii)バイオマーカーの質量分析同定。AptaBiD技術の重要な特徴は、同時にバイオマーカーディスカバリーを用いて合成のアフィニティープローブ(アプタマー)を生成することである。AptaBiDでは、アプタマーは、それらの自然な状態及び立体構造における細胞表面バイオマーカーについて開発されている。バイオマーカーの同定の促進に加えて、このようなアプタマーは、細胞単離、細胞視覚化、及びインビボでの細胞追跡に直接使用され得る。また、それらは、細胞受容体の活性を調節し、異なる薬物(例えば、siRNA及び薬剤剤)を細胞に送達するために用いることができる。
アプタマーの親和性及び選択性は、抗体のそれと匹敵し得る。本発明では、アプタマーは、特定のレポーター、リンカー、又は他の部分を組み込むために、化学的又は酵素的合成中に容易に部位特異的に修飾され得る。また、アプタマーの二次構造は、分析物に依存した立体構造変化を受けるように操作され得て、それは、化学的薬物を具体的に認識する能力と協力して、種々の可能なシグナル伝達スキーマを可能にし、検出様式が光学的、電気化学的、又は質量に基づくものであるかどうかは関係がない。
別の態様では、核酸部分は、同定の配列、バーコード配列、プローブ、ハイブリダイゼーション用の捕捉配列、認識配列、遺伝子発現調節配列、遺伝子配列、エンハンサー、及び/又は天然に存在する酵素、タンパク質を組み込む又は由来の配列、あるいはその他の配列として用いることができるオリゴ核酸配列である。
一態様では、細胞に結合された核酸部分配列(複数)は同じである。別の態様では、細胞に結合された核酸部分の配列は異なってもよい。これは、複数の使用のための核酸部分の結合を可能にするであろう。例えば、特定の配置での細胞を捕捉するための捕捉核酸部分、特定の活性又は有用性を達成するためのハイブリダイゼーション又は活性化された配列である。
いくつかの態様では、核酸部分は、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、PNA又はアプタマーであってもよい。他の態様では、核酸部分は、一本鎖DNA(ssDNA)であってもよい。いくつかの他の態様では、核酸部分は、約10〜約100個の核酸であってもよい。なお他の態様では、核酸部分はアプタマーであってもよい。
また、本発明の核酸部分にはリンカーが含まれてもよい。別の態様では、細胞結合システム用の化学的リンカーを用いてオリゴヌクレオチドを細胞表面に連結する。ここで図1Aによると、リンカーは、アミノ酸、糖質、又は他の細胞表面部分などの細胞表面上の細胞部分への結合を促進する。一態様では、リンカーは、アミノ酸(又は細胞表面上の糖質若しくは他の部分)を最初に修飾せずに、細胞上のアミノ酸に直接結合させることができる部分である。化学的リンカーは、結合されるべきオリゴヌクレオチドの一端に配置される。一態様では、化学的リンカーによって、細胞表面タンパク質のアミノ酸を用いた結合の形成はその特徴を変更し、共有結合はアミノ酸と核酸オリゴヌクレオチドとの間に化学的リンカーを介して形成される。いくつかの態様では、形成された結合はアミド結合又はエステル結合である。このようにして、アミノ酸に結合するプロセスにおいて、化学的リンカーは、典型的には、アミド、エステル、又は他の結合を形成するその特徴を変化させ、また、細胞表面部分は共有結合の部分となることが確認される。
1つの特定の態様では、N−ヒドロスクシンイミド(NHS)エステルは、カルボジイミドの存在下において、カルボン酸塩とNHSとの反応によって形成される1つのこのような可能性のある化学的リンカーである。NHS又はスルホ−NHSエステル含有試薬は、NHS又はスルホ−NHS脱離基の放出を伴う求核試薬と反応し、アシル化生成物を形成する。このようなエステルとスルフヒドリル基又はヒドロキシル基との反応は、エステル連結又はスルフヒドリルエステル連結を形成する。これらの結合の両方は、潜在的には、水性環境において加水分解され、又は隣接するアミンと交換し、アミド結合及びNHS脱離基を形成する。
別の態様では、化学的リンカーはヘテロ二官能性架橋剤である。一態様では、ヘテロ二官能性架橋剤はNHS−PEOn−マレイミドである。NHS−PEOn−マレイミド試薬は、アミンとスルフヒドリルを含有する分子の共有コンジュゲートを可能にする、N−ヒドロスクシンイミド(NHS)エステルとマレイミド基を有するヘテロ二官能性架橋剤である。
別の態様では、ポリエチレングリコール(PEG)を有する架橋剤は、ポリエチレンオキシド(PEO)とも呼ばれ、スペーサーは、純粋に炭化水素スペーサーアームを有する試薬に対する共有的代替物である。PEGスペーサーは、試薬とコンジュゲートの水溶性を改良し、コンジュゲートの凝集の可能性を減少させ、架橋の柔軟性を増大させる。その結果、スペーサー自体の免疫原的応答を減少させる。異なるPEG鎖長の異種混合物を含む典型的なPEG試薬と比較して、これらのPEO試薬は、所定の重量及びスペーサーアーム長の同質化合物であり、架橋応用の最適化及び特徴付けにおいてより大きな精密性を提供する。例えば、スクシンイミジル−[(N−マレイミドプロピオンアミド)−ヘキサエチレングリコール]エステルは、5mgのNHS−PEO6−マレイミド(Pierce Biotechnology,Inc.Rockford,IL 61105)を溶解させることによってストック溶液を作製するために実施例において用いられた。
別の態様では、シアル酸及びEDC又は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(カルボン酸塩及びアミンを含む生物学的基質をコンジュゲートするために使用されるカルボジイミド)の存在下、NHS−マレイミドは、スルホヒドリル−オリゴヌクレオチドとコンジュゲートし、アミノ酸と反応して、細胞表面でエステル結合を形成することができる。
オリゴヌクレオチド上のリンカーとのアミド、エステル、又は他の結合を形成する可能性のあるアミノ酸は、リジン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、トリプトファン及びセリンが挙げられる。一般に、リジン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びチロシンは、NHS−オリゴヌクレオチドとアミド結合を形成し、セリンは、NHS−オリゴヌクレオチドとエステル結合を形成する。他のリンカーは異なる結合を形成する場合がある。例えば、マレイミド、ジスルフィドを含む試薬、アシル化のプロセスを用いて、細胞表面タンパク質上のシステインと直接共有結合を形成することができる。アミドカップリングは、アスパラギン酸及びグルタミン酸で使用され、アミド結合を形成することができる。ジアゾニウムカップリング、アシル化、及びアルキル化は、細胞表面上のチロシンで使用され、アミド結合連結を形成することができる。アミノ酸(20個のアミノ酸又は任意の非天然アミノ酸)のいずれかを用いて、細胞表面とのオリゴヌクレオチドの結合である直接共有結合を形成することができる。20個のアミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、及びバリン(必須アミノ酸)、並びにアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、及びチロシン、非必須アミノ酸、さらにアルギニン及びヒスチジンである。
一般に、従来技術において有用な任意の親和性分子は、検出可能な基質の特異的認識を与える既知のリガンドと共に、本発明の核酸基の結合に有用性を見出す。次にこれらの官能基に結合し得るこのような生物学的分子の例には、既知の結合パートナーを有するリンカー分子が含まれ、又は親和性分子は、限定されないが、多糖、レクチン、セレクチン、核酸(単量体及びオリゴ体の両方)、タンパク質、酵素、脂質、抗体、及び小分子、例えば、糖、ペプチド、アプタマー、薬物、及びリガンドが挙げられる。
別の態様では、結合は共有結合性である。本発明に有用な二官能性架橋剤は、ペプチド、タンパク質、巨大分子、半導体ナノ結晶、又は基質などの2種の官能性標的にカップリングすることができる2種の反応基を含む。2種の反応基は同じであってもよく又は異なっていてもよい。限定されないが、このような官能基、例えば、チオール、カルボン酸塩、アミン、ヒドロキシル、アルデヒド、ケトン、活性水素、エステル、スルフヒドリル又は光反応部分が挙げられる。例えば、一態様では、架橋剤は、官能末端上に1つのアミン反応基及びチオール反応基を有することができる。本発明における連結剤として用いられてもよいヘテロ二官能性架橋剤の例には、限定されないが、以下が含まれる:
−アミン反応性+スルフヒドリル反応性架橋剤。
−カルボニル反応性+スルフヒドリル反応性架橋剤。
−アミン反応性+光反応性架橋剤。
−スルフヒドリル反応性+光反応性架橋剤。
−カルボニル反応性+光反応性架橋剤。
−カルボン酸塩反応性+光反応性架橋剤。
−アルギニン反応性+光反応性架橋剤。
以下は、一般に、架橋剤が適合する分類のリストである。このリストは例示的であり、本発明に有用であり得る架橋剤のタイプの包括的なものである考えるべきではない。各分類について、即ち、これらの化学的標的がどの官能基であるかについて、いくつかのサブ分類があり、それは、1つの反応基がいくつかの官能基と反応し得るためである。
反応基を有する大部分の架橋剤は以下の分類に広く分類され得る:
1.アミノ反応性:アミン(NH2)含有分子への架橋剤カップリング。
2.チオール反応性:スルフヒドリル(SH)含有分子への架橋剤カップリング。
3.カルボン酸塩反応性:カルボン酸(COOH)含有分子への架橋剤カップリング。
4.ヒドロキシル反応性:ヒドロキシル(−OH)含有分子への架橋剤カップリング。
5.アルデヒド及びケトン反応性:アルデヒド(−CHO)又はケトン(R2CO)含有分子への架橋剤カップリング。
6.活性水素反応性。
7.光反応性。
より具体的には、これらの分類に入る化学物質は、限定されないが、以下を含むものが挙げられる:
1.イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、スルホニルクロリド、アルデヒド及びグリオキサル、エポキシド及びオキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、アルキン。
2.ハロアセチル及びハロゲン化アルキル誘導体、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオールジスルフィド交換試薬。
3.ジアゾアルカン及びジアゾアセチル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール及びカルボジイミド。
4.エポキシド及びオキシラン、カルボニルジイミダゾール、過ヨウ素酸塩を用いた酸化、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート又はN−ヒドロキシスクシンイミドクロロホルメート、酵素的酸化、アルキルハロゲン、イソシアネート。
5.シッフ塩基形成又は還元アミノ化のためのヒドラジン誘導体。
6.マンニッヒ縮合及びヨウ素化反応のためのジアゾニウム誘導体。
7.アリールアジド及びハロゲン化アリールアジド、ベンゾフェノン、ジアゾ化合物、ジアジリン誘導体。
これらのサブ分類の各々については、化学物質の多くの例がある。全てのこれらの化学物質及びサブ分類の上記リストは、従来技術に記載されているが、多くは、参照により本明細書に援用される、”Bioconjugate Techniques”(Greg T Hermansonによる)Academic Press,San Diego,1996に見出すことができる。
細胞へのコンジュゲーション及び結合が実施される緩衝溶液の選択は、化学的リンカー又は架橋剤の選択、及び細胞の増殖状態の維持(即ち、細胞溶解を妨げること)に依存する。好ましい態様では、緩衝溶液の範囲はpH6〜8であり、一本鎖核酸と反応する化学的リンカーに使用される同一の官能基を含んではならない。pH7.2は、中央値pHであるが、pHは中性でないが、化学反応と細胞状態の適合性に依存している。
一態様では、緩衝溶液は、N−ヒドロスクシンイミド(NHS)エステル(例えば、NHS−PEO−マレイミド)が化学的リンカーとして用いられてもよいように中性pHのリン酸緩衝溶液である。反応は、一般に、化学的リンカーと核酸のコンジュゲート、及び細胞又は細胞表面へのその後の結合を可能にする条件下で実施される。NHSエステル架橋剤とリン酸緩衝溶液を用いるいくつかの態様では、反応は、中性pH(例えば、pH7.2)、室温にて、所定の期間(例えば、1、3、5、10、20、30、45、60分又はそれを超える)実施される。
いくつかの態様では、コンジュゲートは、細胞表面にリジンを有する哺乳動物細胞、及びアミドを介してリジンに共有結合される一本鎖DNAを含む。
本発明のコンジュゲートは、当該技術分野において既知の任意の適した手段によって調製可能である。一般に、この方法は、細胞が未修飾である細胞の天然の官能基にDNAを連結されるが、コンジュゲーション工程に干渉してもよい他の生物学的材料から細胞を単離することを伴う。任意のバイオコンジュゲート技術、例えば、Hermansonにおいて上述される技術を用いることができる。
いくつかの態様では、本発明は、細胞と活性化された核酸部分との接触によって、細胞と核酸部分とのコンジュゲートを調製する方法を含み、ここで、細胞は、天然の官能基を含む表面を有し、細胞は細胞壁を持たず、それにより、核酸部分が天然の官能基に共有結合する。
活性化された核酸部分には、上記されるリンカーが含まれる。いくつかの態様では、活性化された核酸部分は活性化エステルを含む。他の態様では、コンジュゲートを作製する方法は、哺乳動物細胞と活性化された核酸部分を接触させることを含み、ここで、天然の官能基はリジンを含み、活性化された核酸部分はNHS−エステルを含み、それにより、核酸部分はアミド結合形成によって天然の官能基に共有結合される。
B.細胞と細胞壁とのコンジュゲート
また、本発明は、核酸部分と細胞壁を有する細胞とのコンジュゲート、及びそれを製造する方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、細胞壁を有する細胞と核酸部分とのコンジュゲートを提供し、ここで、核酸部分は細胞に共有結合される。他の態様では、核酸部分は、細胞表面に共有結合される。
天然の官能基は、任意の適した天然の官能基、例えば、アミノ酸又は糖であってもよい。核酸部分の連結に有用な糖は、限定されないが、グルコース、リボース、フルクトース、シアル酸、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、及びその他が挙げられる。他の糖には、限定されないが、単糖、二糖及び多糖が含まれる。
別の態様では、細胞表面へのオリゴヌクレオチドの結合は、植物細胞、細菌細胞、真菌、酵母、藻、及び古細菌を用いて達成することができる。この場合の結合は、最初に、細胞表面上で糖質分子の修飾を必要とし、次に、修飾された部分へのオリゴヌクレオチドリンカーの結合が必要である。動物細胞と植物細胞との主な相違は、植物細胞は細胞壁を有することであり、したがって、オリゴヌクレオチドの結合前に修飾を必要とする。一態様では、オリゴヌクレオチドの結合は、過ヨウ素酸塩酸化、次にヒドラゾン形成によって達成され得る。一態様では、植物細胞上の糖質は、哺乳動物細胞又は動物細胞を用いた他の態様におけるようにタンパク質を修飾する代わりに修飾されてもよい。本実施例では、糖質の糖は、機能的アルデヒド(又はケトン)を生成するために酸化される。次に、アルデヒド又はケトンは、合成のヒドリジド−DNAと反応され、ヒドラゾンと呼ばれる共有結合を形成する。
より一般的には、組成物は、化学的リンカーにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを含み、そのリンカーは細胞の外表面に共有的に結合されている。結合又は連結は、一般に、ヒドラゾン、オキシム、又はアミンである。オリゴヌクレオチドと細胞表面の糖質との間の結合を形成する方法は、非動物細胞表面の糖質を修飾して、アルデヒド又はケトンを形成することを含む。この形成のプロセスは、過ヨウ素酸化を含むことができる。次に、アルデヒド又はケトンは、共有結合を形成するために反応する官能基を有するオリゴヌクレオチドと接触される。共有結合は、オリゴヌクレオチド上のリンカーと細胞表面上の糖質との間のヒドラゾン、オキシム、又はアミン連結であってもよい。一般に、これらの結合を有する連結は、細胞表面上の糖質での連結である。この反応は、非動物細胞又は動物細胞、好ましくは非動物細胞、例えば、植物、酵母、細菌及び藻、並びに他の単細胞生物を用いて行うことができる。いくつかの態様では、細胞は植物細胞である。
他の態様では、天然の官能基には、修飾された天然の官能基が含まれる。上記される通り、天然の官能基は、酸化してアルデヒド又はケトンを形成する1,2−ジオール基を有する糖であってもよい。いくつかの他の態様では、修飾された天然の官能基は酸化された糖が含まれる。さらに他の態様では、修飾された天然の官能基は、シアル酸、マンノース、グルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルマンノサミンが含まれる。
また、本発明は、核酸部分と細胞的を持つ細胞とのコンジュゲートを作製する方法を提供する。上記したように、本方法は、最初に細胞壁を有する細胞の天然の官能基を修飾し、次に修飾された天然の官能基に核酸部分をコンジュゲートするという2段階プロセスを含むことができる。
いくつかの態様では、本発明は、細胞と核酸部分のコンジュゲートを調製する方法を提供し、これは、細胞と活性化された核酸部分を接触させることを含み、ここで、細胞は細胞壁を有し、それにより核酸部分は細胞に連結される。活性化された核酸部分は、上記されるように核酸部分の細胞へのコンジュゲートを可能にする任意の適切な活性化基を含むことができる。いくつかの態様では、活性化された核酸部分には、アミノオキシ、ヒドラジド、ヒドラジン、セミカルバジド、チオセミカルバジド又はアミンが含まれる。あるいは、活性化された核酸部分は、チアゾリジンを形成させるためのシステイン、又はオキサゾリジンを形成させるためのセリンを含むことができる。核酸部分と細胞をコンジュゲートさせる他の方法は、Hermanson(上記参照)に報告されている。
また、細胞壁を有する細胞を有するコンジュゲートを調製する方法は、天然の官能基を修飾する段階を含む。いくつかの態様では、核酸部分と細胞壁を持つ細胞とのコンジュゲートを調製する方法は、天然の官能基と修飾剤を接触させて、修飾された天然の官能基を調製することを含み、それにより核酸部分は修飾された天然の官能基に共有結合される。
修飾剤は、修飾された官能基を調節するための任意の適した薬剤であってもよい。例えば、修飾剤には、限定されないが、酸化剤が挙げられる。いくつかの態様では、修飾剤には酸化剤が含まれる。適切な酸化剤には、限定されないが、過ヨウ素酸ナトリウムが挙げられる。他の態様では、酸化剤は過ヨウ素酸ナトリウムを含む。いくつかの他の態様では、修飾された天然の官能基は酸化糖を含む。なお他の態様では、修飾された天然の官能基は酸化されたシアル酸を含む。やはり他の態様では、修飾された天然の官能基はアルデヒド基を含む。
IV.デバイス
また、本発明は、本発明のコンジュゲートを含む基質表面及びデバイスを提供する。いくつかの態様では、本発明は、第1の核酸部分に共有結合される天然の官能基を含む細胞表面を有する細胞を含むデバイスを提供する。また、このデバイスは、第1の核酸部分に相補的な第2の核酸部分を含む基質表面を含み、それにより、細胞は、第1及び第2の核酸部分の核酸二重鎖の形成を介して基質表面に結合される。
いくつかの態様では、細胞は動物細胞である。
基質表面は任意の適した材料の表面であってもよい。適切な材料の例には、限定されないが、ガラス(制御された細孔ガラスを含む)、ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体)、シリコーンゴム、石英、ラテックス、誘導可能な遷移金属、磁気材料、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガリウムヒ素、及びそれらの誘導体が挙げられる。また、基質表面は、限定されないが、平面、局面及び球面を含む任意の適切な表面形状を有することができる。
いくつかの態様では、基質表面は平面である。他の態様では、基質表面は球面である。
いくつかの態様では、デバイスはまた流体のためのチャネルを含む。他の態様では、チャネルはマイクロチャネルである。いくつかの態様では、チャネルはナノチャネルである。
いくつかの態様では、デバイスはセンサーを含む。他の態様では、センサーはナノセンサーを含む。いくつかの態様では、センサーは電極を含む。さらに他の態様では、センサーは圧電センサーを含む。やはり他の態様では、デバイスは原子間力顕微鏡に適合される。
いくつかの態様では、デバイスは、細胞の生化学的又は電気化学的分析に適合される。他の態様では、生化学的分析にはゲノム分析を含む。いくつかの態様では、デバイスはまた、微細加工ヒーター、温度センサー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバー又はキャピラリー電気泳動分離チャネルから選択されるコンポーネントを含む。なお他の態様では、デバイスは、細胞の転写プロフィールを生じさせることができる。
いくつかの態様では、デバイスはまたバイオリアクターを含む。
別の態様では、本発明は、創傷治癒、組織再生、感染、試験薬物に対する反応性又は応答性、一般的な薬物スクリーニング、及び刺激に応答した遺伝子発現などのオリゴヌクレオチド結合による細胞捕捉を介して研究することができるプロセスを観察し、スクリーニングするための使用に関するプラットフォームを提供する。また、本発明は、オリゴヌクレオチド結合による細胞捕捉を通じて研究又は検出されるように種々のヒト状態及び状況(例えば、疾患及び正常)を可能にする方法及び合成系を提供する。例えば、細胞へのオリゴヌクレオチド結合はまた、捕捉オリゴヌクレオチドへの細胞表面マーカーのハイブリダイゼーションを検出することによって、疾患の細胞表面マーカーの検出による疾患の診断の実施に提供されてもよい。
細胞表面に結合されたオリゴヌクレオチド鎖を有する細胞は、流体又はゲルなどの3次元で互いにハイブリダイズするか又はアニーリングされてもよい。この技術の多数の応用が可能である。3次元足場又はメッシュは、平面上に提示され得るよりも多くの細胞をパターン化するために使用することができる。このようにして、一態様では、メッシュ、孔質バルク材、又は足場は、表面に結合されたオリゴヌクレオチドを提示するように修飾され得て、それにより、本方法を用いて修飾された細胞は表面上に表示又は捕捉することができる。このような表面は、遺伝学、加齢、及び薬物応答の研究に、又は代謝工学、細胞副産物の生成及び回収に用いることができる。
例えば、細胞は、心筋組織再生などの組織再生に用いることができ、ここで、臨界数の細胞は、十分な数の細胞の蓄積に応じて拍動単位を形成する。任意の組織は、相互作用する細胞のネットワークを生じさせるために、播種された細胞結合マトリックスを用いて潜在的には「成長」させ得る。このような細胞凝集体及び刺激された組織の動力学及び生成物が研究され、制御され得る。例えば、幹細胞の分化及び貯蔵は、細胞結合システムを用いて促進することができる。例えば、成人幹細胞及び誘導された多能性幹細胞は、分化を避け、所望の細胞型として分化状態に導かれ得る。人工組織は、ヒトを含む動物において、喪失した、損傷を受けた、又は疾患した組織を置換するために生成され得る。神経及び脊髄組織再生は、インビトロ又はインビボの適切な環境において実行可能である。このようなシステムに細胞を導き又は研究するために、センサーは、細胞内で、又は細胞と接触した表面上で配置されてもよい。
細胞結合システムは、アプタマー、遺伝子制御分子、遺伝子発現調節分子、遺伝子発現を調節するための遺伝子などの他の細胞表面分子を送達する結合されたオリゴヌクレオチドを有する細胞を用いて、送達目的に用いることができる。また、細胞結合システムは、結合されたオリゴヌクレオチドを有する細胞の内容物を別の細胞に送達するために用いることもできる。例えば、小分子、ペプチド、ペプチド模倣体、遺伝子発現用のDNAを有するベクター、低分子阻害因子RNA又は短鎖ヘアピンRNAなどの干渉RNA分子、及び他の送達可能な分子が挙げられる。細胞表面上のアプタマーは、内在する受容体に結合することができ、細胞は、その内容物と共に内在化される。一般に、タンパク質を結合するように適合されたアプタマーである。オリゴヌクレオチドを表面に有する細胞は、別の生細胞に又はその中に送達機構を与える。アプタマーそれ自体は、細胞において発現するためのオリゴヌクレオチド、干渉RNA(例えば、siRNA、shRNA、又はミクロRNA)などの細胞内に作用するように適合された核酸、又は細胞において特定配列を結合するように適合されたレベルを有する核酸などの分子指標を含んでもよく、その配列又はその配列によって示される遺伝子の光学的検出を提供してもよい。核酸は、いくつかある遺伝的修飾活性のうち、遺伝子発現を増大し、遺伝子発現を調節し、遺伝子発現をブロックし、又は遺伝子発現を修飾することができる。
別の態様では、本発明は、基質上の配列特異的なパターニング又は細胞の捕捉のための方法、及びスクリーニング方法を提供する。例えば、細胞又は細胞試料は、実施例に記載されるようにpH7.2のPBSリン酸緩衝液及びリンカーと共に数分から数時間インキュベートされ、細胞表面に一本鎖オリゴヌクレオチドを結合させ、それにより、その表面上でオリゴヌクレオチドを用いて細胞は修飾される。基質表面に結合された配列(例えば、ssDNA捕捉配列)を有する基質表面が調製され得る。一態様では、細胞に結合された一本鎖オリゴヌクレオチドは、基質に結合されたssDNA捕捉配列に相補的であり、それにより、細胞は基質と接触することができる場合に、2つの配列がハイブリダイズし、よって、細胞が基質に固定される。
したがって、別の態様では、本発明は、さらに、細胞修飾の本方法を用いて、表面に固定された細胞を特徴とするデバイスを提供する。一態様では、本発明のデバイスは、マイクロアレイ又はマイクロアレイ様パターンにおいてパターン化されたセンサーであってもよい。別の態様では、結合されたオリゴヌクレオチドを有する細胞又は細胞膜は、細胞の分析又は他の目的のためのデバイスにおいて用いることができる。いくつかの態様では、デバイスは、本方法を用いて細胞に結合されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするための、その表面上に相補的オリゴヌクレオチドを有する。デバイスは、任意の有用な形状、例えば、平面又は球面であってもよい。それは、流体のためのチャネル(即ち、マイクロチャネル又はナノチャネル)を有することができる。デバイスは、ナノセンサー、電極、又は圧電極などのセンサーを含んでもよい。デバイスは、原子間力顕微鏡、細胞の生化学的分析、又はゲノム分析用に適合されてもよい。デバイスは、可能なプロセスのうち特に、追加のコンポーネント、例えば、ヒーター、温度センサー、及び細胞の転写プロフィールを生成するためのPCRチャンバー及びキャピラリー電気泳動分離チャネルなどのコンポーネントを有してもよい。デバイスはさらにバイオリアクターを含むことができる。デバイスは、微細加工されたヒーター、温度センサー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チャンバー及びキャピラリー電気泳動分離チャネルから選択されるコンポーネントを含むことができる。
一態様では、ハイブリダイゼーションイベントの検出のため、細胞に結合されたオリゴヌクレオチド又はデバイス上の相補的オリゴヌクレオチド若しくは捕捉オリゴヌクレオチドは、デバイスに依存して標識される。例えば、標識が増幅混合物と共に添加される場合、cDNAは鋳型鎖上にあり、一方、プローブはセンス鎖上にある(それらは負の対照でない場合)。標識は、典型的には蛍光であるが、時により放射線標識等が使用される。標識は直接的又は間接的であってもよい。間接標識は、ハイブリダイゼーション前又は後で生じ得るカップリング段階を必要とする。標識がハイブリダイゼーション前になされる場合、アミノアリル−UTP及びNHSアミノ反応色素(シアニン色素など)などの色素で標識されたハイブリダイゼーション(例えば、2チャネルアレイにおいて)を使用してもよい。アミノアリル基は、典型的には、反応色素と反応する核酸塩基に結合した長いリンカー上のアミノ基である。いくつかの態様では、修飾されたヌクレオチド(典型的には、1aaUTP:4TTP混合物)は、通常のヌクレオチドと比較して酵素的には低い割合で添加され、結果として、典型的には、分光光度計で測定すると60塩基ごとに1つである。次に、aaDNAは、例えば、アミン基を含むTrisリン酸緩衝液を含有する溶液を用いて、カラムで精製される。
マイクロアレイは、様々な技術を用いて加工することができ、スライドガラスへの微細なポイントピンによるプリンティング、予め作製されたマスクを用いるフォトリソグラフィー、ダイナミックマイクロミラー装置を用いるフォトリソグラフィー、インクジェットプリンティング、又は微小電極アレイ上の電気化学的方法が挙げられる。スポットされたマイクロアレイでは、プローブはオリゴヌクレオチド、cDNA又はmRNAに対応するPCR産物の小断片である。プローブは、アレイ表面上に配置する前に合成され、次にガラスに「スポット」される。共通のアプローチは、DNAプローブを含み、アレイ表面上の設計された位置で各プローブを配置しているウェルに浸されているロボットアームによって制御された微細ピン又は針のアレイを利用する。得られたプローブの「グリッド」は、調製されたプローブの核酸プロフィールを表し、実験的又は臨床的試料から誘導された相補的cDNA又はcRNA「標的」を受けるようになっている。
一態様では、これらのオリゴヌクレオチドマイクロアレイにおけるオリゴヌクレオチドプローブは、既知の又は予測されたオープン・リーディング・フレームの配列の一部と適合するように設計された短い配列である。このようなアレイにおいて、基質上に整列されたオリゴヌクレオチドは、無傷の配列を配置する代りに、直接アレイ表面上にこの配列を合成することによって、単一の遺伝子又は遺伝子サイレンス改変体のファミリーを表すように設計された短いオリゴヌクレオチド配列をプリントすることによって生成することができる。配列は、所定の目的に応じて、長い(Agilentデザインなどの60マープローブ)又は短い(Affymetrixによって生成された25マープローブ)のものであってもよい;長いプローブは、個々の標的遺伝子により特異的であり、短いプローブはアレイ全体に高密度でスポットされ、製造業者により安価である。オリゴヌクレオチドアレイを製造するために使用される1つの技術は、シリカ基質上のフォトリソグラフィー合成(Agilent及びAffymetrix)を含み、そこでは、光及び光感受性マスキング剤を使用して、全アレイ全域で一度に1ヌクレオチドあたり配列を「構築」する。利用可能なプローブの各々は、単一のヌクレオチドの溶液中にアレイを水に浸す前に選択的に「マスクが取られ」、次に、マスキング反応が起こり、次のセットのプローブは、異なるヌクレオチド曝露のための準備においてマスクが取られる。多数の繰り返しの後、各プローブの配列は、完全に構築されるようになる。より最近には、NimbleGenシステムのMaskless Array Synthesisは、多数のプローブとの柔軟性を組み合わせている。
2色マイクロアレイ又は2チャンネルマイクロアレイは、典型的には、比較されるべき2つの試料(例えば、疾患組織対健常組織、又は疾患細胞対健常細胞)から調製されたcDNAとハイブリダイズし、2種のフルオロフォアで標識される。cDNA標識に使用される蛍光色素には、蛍光の発光波長が570nm(光スペクトルの緑色部分に対応する)であるCy3、蛍光の発光波長が670nm(光スペクトルの赤色部分に対応する)であるCy5が含まれる。2つのCy標識されたcDNA試料を混合し、単一のマイクロアレイにハイブリダイズさせ、次に、マイクロアレイスキャナーでスキャンし、所定波長のレーザービームを用いて発光後に2つのフルオロフォアの蛍光を視覚化する。その後、各フルオロフォアの相対強度は、比率に基づく分析に用いられて、上方制御及び下方制御された遺伝子を特定してもよい。
本細胞修飾は、細胞になされてもよく、微小流体応用、方法及びデバイスに用いられてもよい。細胞表面修飾の本方法は、表面に単一の細胞を捕捉及び固定することができ、それによって、種々の方法で細胞に作用するようにする。例えば、特定の態様では、実施例4に記載されたデバイス、及び、参照により本明細書に援用されるTorielloら,Integrated microfluidic bioprocessor for single−cell gene expression analysis,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,105,20173−20178,2008 Dec 23;105(51):20173−8に報告されたデバイスなどの組み込まれた微小流体デバイスを作製することができる。この組み込まれた微小流体は、単一の細胞において遺伝子発現の分析用に開発された。単一細胞の逆転写PCR増幅は、この組み込まれた微小デバイスの表面上で単一細胞を捕捉及び固定することによって可能となる。
このようにして、一態様では、本方法は、この直接的な細胞修飾を用いた固定細胞を特徴とする微小流体構造を可能にする。このような微小流体構造には、微小空気式システム、即ち、オフチップ流体の操作用のマイクロシステム(液体ポンプ、ガスバルブなど)、及び例えば、酵素的分析(例えば、グルコース及び乳酸塩アッセイ)、DNA分析(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応及びハイスループットアッセイ)、及びプロテオミクス用などの種々の分子生物学手法で使用するためのナノ及びピコリットル体積のオンチップ操作用の微小流体構造が含まれる。
このような微小流体デバイスは、検出などのアッセイ操作、並びに1つのチップ上での試料の前処理及び試料の調製を統合することが意図される。バイオチップ用の新たな応用分野は臨床病理学であり、特に疾患の即時のポイントオブケア診断である。さらに、生化学的毒素及び他の危険な病原体についての空気/水試料の連続サンプリング及びリアルタイム試験を可能にする微小流体に基づくデバイスは、早期警告のためのバイオセンサー(例えば、「バイオ煙探知器」)として役立つ可能性がある。
別の態様では、本方法によって到達されるオリゴヌクレオチドを有する細胞を用いた微小流体は、微細加工されたチャネルを通じた連続液体流の操作に基づく連続流技術を含む。液体流の作動は、外部の圧源、外部の機械的ポンプ、組み込まれた機械的微小ポンプ、又は動電学的な機構のいずれかによって実施される。連続流の微小流体操作は、実施することは容易であり、タンパク質の汚染問題に感受性であることは低いため、主流アプローチである。連続流デバイスは、多数の十分に定義された試料の生化学的応用のため、及び化学的分離などのある種の作業のために適切であるが、それらは、高い程度の柔軟性又は複雑な流体操作を必要とする作業にはあまり適していない。連続流システムにおけるプロセスモニタリング能力は、ナノリットルレンジに下げた解像度を提供するMEMS技術に基づく高い感受性の微小流体のフローセンサーを用いて達成され得る。
他の態様には、限定されないが、新規な解放構造を含む上記の閉鎖チャネルの連続流システムに対するデジタル(液滴系)微小流体代替物が含まれ、この場合、分離した、独立に生業可能な液滴が基質上で作用される。
マイクロアレイに加えて、別の態様は、二次元電気泳動、トランスクリプトーム分析、PCR増幅などのために設計されたバイオチップを包含する。他の応用には、タンパク質及びDNA用の種々の電気泳動及び液体クロマトグラフィー、細胞分離、特に血液細胞分離、タンパク質分析、細胞生存性分析及び微生物捕捉を含む細胞操作及び分析が挙げられる。
別の態様では、この直接的な細胞修飾法は、単一細胞の画像化、操作及びパターニングのためのデバイスを可能にする。例えば、細胞は、原子間力顕微鏡(AFM)又は走査型力顕微鏡(SFM)を用いて、分析又はパターン化することができる。このようにして、一態様では、参照により本明細書に援用されるHsiao SCら,DNA−coated AFM cantilevers for the investigation of cell adhesion and the patterning of live cells,Angew Chem Int Ed Engl.2008;47(44):8473−7,16 Sep 2008 Epubに報告されている、さらに実施例8に記載されているもいるAFMカンチレバーなどのデバイスが挙げられる。本発明に包含される技術がAFMデバイスにもたらす利点は、分析及び操作のためのAFMカンチレバーを用いて細胞を正確に配置する能力である。AFM及びSFMはともに、非常に高解像型の走査型プローブ顕微鏡であり、実証された解像度はナノメートルの画分であり、光回折限界よりも1000倍良好である。
本発明のオリゴヌクレオチド結合システムを用いてAFMに生細胞を供する能力は、複数の細胞型を同時に特異的に分析する能力を提供し、実際に、安全に保持され、オリゴヌクレオチドアンカーから調節されるため、より高い忠実性で単一細胞を分析する機会を与える。例えば、AFMの別の主要な応用は、力分光法であり、力−距離曲線を測定する。この方法について、AFMは、表面に伸長し、表面から縮まり、それは、カンチレバーの電界偏向が圧電移動の関数としてモニタリングされる。これらの測定は、名のスケール接触、原子結合、ファンデルワールス力、及びカシミール力、液体及び単一の分子ストレッチング中の解離力、及び破壊力を測定するために用いられている。ここで、数ピコニュートンのオーダーの力は、通常、0.1ナノメートルよりも良好な垂直距離解像度で測定され得る。
マイクロ及びナノ技術は、化学分析、環境モニタリング、医療診断、並びに医薬のためのセロミクス及びマイクロリアクターに適用されている。チップ上での研究(LOC)システムは、同様に、ナノ技術を用いることによって、流体走査構造のダウンスケールに対して広がると期待される。サブマイクロメートル及びナノサイズチャネル、DNAラビリンス、分析あたり単一の細胞検出、及びナノセンサーは、生物学的種及び巨大分子との相互作用の新しい方法を可能にすることを実施可能にされてもよい。本方法は、全細胞にこれらの細胞を可能することに貢献する。LOSシステムは、リアルタイムPCRを達成させ、生化学的アッセイ、免疫アッセイを促進し、細菌、ウイルス及び癌を抗原−抗体反応に基づいて検出し、癌細胞及び細菌を検出する誘電泳動、血液試料調製は、チャネルスクリーニング上でDNAを抽出し、細胞分析のために細胞を壊す可能性がある。
チップ上での研究技術は、すぐに、特にポイントオブケア試験デバイスの開発を通じて、健康全体を改善するために、重要な努力部分となっている場合がある。医療財源の少ない国々では、先進国において治療可能である感染疾患は、多くの場合、致命的である。いくつかの場合、乏しい医療機関は、ある種の病気を治療するための薬物を有するが、薬物を受け入れるべき患者を同定するための診断ツールを欠如する。多くの研究者は、LOC技術は、強力な新しい診断装置への鍵となり得る。これらの研究者の目標は、研究支持なしの免疫アッセイ及び核酸アッセイなどの診断試験を行うための乏しい設備の機関において医療プロバイダーを可能にする微小流体チップを作製することである。逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用の画期的なポリマーのチップ上の研究(LOC)が設計され、加工させ、ポイントオブケア試験(POCT)の臨床診断用に特徴付けられている。さらに、RT−PCRプロセス用の非接触赤外線(IR)に基づく温度調節システム、及びオンチップ検出用の光学検出システムからなる携帯用分析器はまた開発されつつあり、RT−PCR LOCをモニターするために開発されている。
別の態様では、キャピラリー電気泳動分離チャネルに直接連結された微細加工されたヒーター、温度センサー、及びPCRチャンバーを含む完全に統合されたゲノム分析マイクロシステムが構築されている。実施例6では、単一の細胞遺伝子発現分析用の統合された微小流体バイオプロセッサーが記載され、さらに、参照により本明細書に援用される、Torielloら,“Integrated microfluidic bioprocessor for single−cell gene expression analysis”,PNAS,December 23,2008 vol.105 no.51 20173−20178,online on 9/16/08に報告されている。デバイスは、科学捜査、及びポイントオブケア分子医療診断において使用するための微細加工されたゲノムマイクロプロセッサーに向けた重要な工程である。細胞がデバイス上に表示されるか、又は互いに接触されるかどうかであろうと、遺伝子発現の分析は、マイクロアレイ、発現されたcDNA配列タグ(EST)配列決定、遺伝子発現の連続分析(SAGE)タグ配列決定、大規模な並列シグネチャ配列決定(MPSS)、又は多重インサイチュハイブリダイゼーションの種々の応用を含む複合的技術を用いてmRNAレベルを測定することによって決定され得る。これらの技術の全ては、極めてノイズな傾向にあり、及び/又は生物学的測定におけるバイアスに影響を受け、計算生物学における主要な研究分野は、ハイスループット遺伝子発現試験におけるノイズからシグナルを分離するための統計手段の開発を含む。このような研究は、多くの場合、障害に関わる遺伝子を決定するために使用される:癌性上皮細胞からのマイクロアレイデータと非癌性細胞からのデータを比較し、癌細胞の特定集団において上方制御及び下方制御される転写物を決定してもよい。
制御の分析は、同様に、これらのオリゴヌクレオチドを連結した細胞において生じることができる:制御は、ホルモンなどの細胞外シグナルで開始し、1以上のタンパク質の活性化の増加又は減少をもたらすイベントの複雑な編成である。バイオインフォマティックス技術は、このプロセスにおける種々の工程を調査するために適用されている。例えば、プロモーター分析は、遺伝子のコード領域を囲むDNAにおける配列モチーフの同定及び研究を伴う。これらのモチーフは、その領域がmRNAに転写される程度に影響を及ぼす。発現データは遺伝子調節を推測するために使用され得る:多種多様の状態の生物からのマイクロアレイデータを比較して、各状態に関係する遺伝子について仮説を立ててもよい。単一の細胞生物では、細胞周期の段階、及び種々のストレス状態(熱ショック、飢餓など)を比較してもよい。次に、どの遺伝子が同時発現されるかを決定するために、クラスタリングアルゴリズムをその発現データに適用してもよい。例えば、同時発現した遺伝子の上流領域(プロモーター)は、過多の調節要素について調査されてもよい。
別の態様では、結合されたオリゴヌクレオチドを用いて現に修飾された細胞は、物理量を測定し、観察者又は装置によって読むことができるシグナルにそれを変換するセンサーデバイスにおいて、又はそれに組み込んで用いられる。例えば、タンパク質発現の分析はまた、これらの組成及びシステムを用いて達成可能である。タンパク質マイクロアレイ及びハイスループット(HT)質量分析(MS)は、細胞に存在するタンパク質のスナップショットを提供することができる。バイオインフォマティックスは、タンパク質マイクロアレイ及びHT MSデータの意味をなすことに非常に関わる;前者のアプローチは、mRNAを標的としてマイクロアレイと類似した問題に直面し、後者は、タンパク質配列データベースから予測された量に対する大量の質量データを適合させる問題、及び各タンパク質の複数であるが、不完全なペプチドが検出される試料の複雑な統計分析を伴う。
癌、又は任意の他の疾患若しくは条件における突然変異の分析は、オリゴヌクレオチドを捕捉した細胞を用いてこれらのシステムによって達成可能である。癌においては、影響を受けた細胞のゲノムは、複雑に又はさらには予測できないように再配列される。大規模な配列決定の努力により、癌における様々な遺伝子の従来未知の点突然変異を同定した。バイオインフォマティックスは、莫大な量の生じた配列データを管理するための特殊化した自動システムを生み続け、それらは、配列決定している結果と、ヒトゲノム配列及び生殖細胞系列の多型の成長する回収とを比較するための新しいアルゴリズムとソフトウェアを作製する。新しい物理的検出技術、例えば、染色体の増加及び喪失(比較ゲノムハイブリダイゼーションと呼ばれる)を同定するためのオリゴヌクレオチドマイクロアレイ、及び既知の点突然変異を検出するための単一ヌクレオチド多型を用いる。これらの検出法は、ゲノム中の数十万の部位を同時に測定し、数千の試料を測定するためにハイスループットで用いられる場合、1実験あたりテラバイトのデータを生じる。大量であり、新しいタイプのデータは、バイオインフォマティシャンのために新しい機会を生じさせる。データは、多くの場合、相当な変動性、又はノイズを含むことが分かり、したがって、Hidden Markovモデル及び変化点分析法は、実際のコピー数変化を暗示するように開発されつつある。バイオインフォマティックスの構造的部門では、相同性は、タンパク質のどの部分が構造形成に、及び他のタンパク質との相互作用に重要であるかを決定するために用いられる。相同性モデリングと呼ばれる技術では、相同なタンパク質の構造が一度知られると、このインフォメーションを用いてタンパク質の構造を予測する。これは、現在、タンパク質の構造を確実に予測する唯一の方法のままである。
比較ゲノミクスは、本発明のシステムを用いて行うことができる。比較ゲノム分析のコアは、異なる生物における遺伝子(オルソロジー分析)又は他のゲノム特徴間の対応の確率である。2つのゲノムの相違に関係する進化プロセスを追跡することを可能にするのはこれらのマップである。種々の構成レベルで作用する多数の進化イベントは、ゲノム進化を形成する。最低レベルでは、点突然変異は個々のヌクレオチドに影響を及ぼす。より高いレベルでは、大きな染色体部分は、二量化、水平伝達、逆転、転位、欠失及び挿入を受ける。最終的に、全ゲノムはハイブリダイゼーション、倍数化及び内部共生のプロセスに関与し、多くの場合、急速特殊化に至る。ゲノム進化の複雑性は、数学的モデル及びアルゴリズムの開発者に多くの刺激的なチャレンジを課し、開発者は、アルゴリズム、統計及び数学的技術のスペクトルを頼り、最節約モデルに基づく課題のための正確な固定パラメータ及び近似パラメータから、確率的モデルにも基づく課題のBayesian分析のためのMarkov Chain Monte Carloアルゴリズムの範囲である。
細胞及びシステムは、患者の予後及び診断を行うために用いることができる。個々のゲノムは、直接的な細胞修飾によって実施されるデバイスを用いて遺伝子型を決定し、分析され得る。例えば、遺伝子型決定段階では、単一ヌクレオチド多型(SNP)チップ(典型的にはゲノムの0.02%)を含む多種の実験的アプローチ、又は部分的若しくは完全なゲノム配列決定を有することができる。遺伝子型が知られると、個々のゲノムと比較し、遺伝子及び遺伝子座の疾患関連を見つけることができる多くのバイオインフォマティックス分析ツールがある。
別の態様では、現に修飾された細胞は、細胞において、又はいくつかの分子間の生物活性を促進するバイオリアクターデバイス若しくはシステムにおいて使用され、一般的には、最終生成物、又はいくつかの他の所望の結果、例えば、生物活性(例えば、代謝、エネルギー生産、電気信号、異化、アポトーシス、成長、分化、増殖など)をもたらす。例えば、細胞の代謝はこれらのシステムにおいて研究され得る。バイオリアクターは、生物学的に活性な環境を支持する任意のデバイス又はシステムを指してもよい。
生体材料、幹細胞、成長及び分化因子における化学的利点は、操作された細胞外マトリックス(「足場(scaffold)」)、細胞、及び生物学的に活性な分子の組み合わせから実験室において組織を組み立てるための固有の機会を与える。別の態様では、本細胞修飾法は、細胞培養という文脈において、細胞又は組織を成長させることが意図された他の表面に細胞を結合又は配置されることが可能である。例えば、細胞表面に共有結合によって結合された一本鎖オリゴヌクレオチドを有する細胞は、隣接細胞又は表面の相補鎖にハイブリダイズすることができ、したがって、細胞同士を連結させ、及び/又は細胞、組織及び臓器の発生及び研究のための表面に細胞を連結させる手段を提供する。組織工学の学際的分野における力強い開発は、新規な一連の組織置換部分、本方法が使用を見出す実施戦略を生み出している。一態様では、結合したオリゴヌクレオチドを用いて修飾された細胞は、3次元組織形成を支持することができる人工構造に移植されるか又は「播種」され得る。バルク材料、ステント、足場は、エクスビボ及びインビボの両方で、インビボ環境を繰り返し、細胞にそれらの有する微小環境に影響を及ぼすようにするには、多くの場合、不可欠であり、本方法を用いて細胞接着を可能にするように修飾されてもよい。
一態様では、光合成単細胞生物は、本方法を用いて修飾され、オリゴヌクレオチドが結合される。提案される生物は、限定されないが、以下を含む:光合成:C.reinhardtii(藻類)、Synechocystis PCC 6803(シアノバクテリア)、R.rubrum(グラム陰性菌);従属栄養生物:C.pasteurianum(窒素固定細菌)、Azotobacter sp.(任意の生物の最高呼吸速度を有するように提案される)(参照により本明細書に援用されるMelisら参照)。
一態様では、藻類は修飾され、オリゴヌクレオチドが結合される。藻類は、増殖が速く、高い割合で脂質、又は油成分を含むことができるため、本質的には適している場合がある。それらは、一日に数倍で重量を倍増させることができ、菜種、パーム、大豆、又はジャトロファ(jatropha)などの代替よりも、1エーカーあたり少なくとも15倍多く生成される。奇麗な水の必要性の欠如により、藻類農業はまた、多くの他の穀物よりも費用効率が高く、新鮮な水源に対する圧力をほとんど生じさせない。また、食用作物を移すことなしに成長可能である。オリゴヌクレオチド結合システムは、表面上に、例えば、太陽光への曝露を最大にするように角度調節された表面上に、植物、細菌、又は藻類細胞の配置の調節を可能にする。
別の態様では、結合されたオリゴヌクレオチドを用いて現に修飾された細胞は、燃料電池、又は他の電気化学的変換デバイスに用いることができる。それは、電極の存在下で反応する(陽極側で)燃料から電気、及び(陰極側で)酸化物を生成する。反応物は細胞に流れ込み、反応生成物はそこから流れ出すが、一方、電極はその中に維持する。燃料電池は、必要な流れが維持される限り、実質的に連続して操作可能である。燃料電池は、典型的には熱力学的な開放系である、補充されなければならない外部電源からの反応物を消費する点において、電気化学的電池バッテリーとは異なる。対照的に、バッテリーが電気エネルギーを化学的に貯蔵し、したがって、熱力学的に閉鎖系を示す。燃料及び酸化物の多くの組み合わせが可能である。水素電池は、燃料として水素、及び酸化物として酸素(通常は空気)を使用する。他の燃料には炭化水素及びアルコールが挙げられる。他の酸化物には塩素及び二酸化塩素が挙げられる。
生物太陽電池は、Rosenbaum,Appl.Microbiol.Biotechnol.(2005)68:753−756に報告されるような微生物電気発生用の緑色藻類Chlamydomonas reinhardtiiを用いて生成される。2つの部屋のある微生物燃料電池は、Wangら,Electrochimica Acta 54(2009)1109−1114に報告されている。自律した光栄養微生物燃料電池(MFC)はHeら,Environ.Sci.Technol.2009,43,1648−1654に報告され、そこでは、自律した堆積光栄養MFCからの電気発生は、光合成微生物及び従属栄養細菌の混合した微生物群を用いて達成された。電気は、これらのMFCから一定に発生し、有機化合物及び栄養素を添加することはなかった。Kjeangら(Journal of Power Sources 158(2006)1−12)は、個々の代謝回転率に関連して、デバイス中でパターン化された分離した酵素を用いて、区分化されていない燃料電池アセンブリにおいて、組み合わせた燃料及び酸化物チャネルを最適化するために、微生物燃料電池について戦略的な酵素パターニングを報告する。Ringeisenら.J.of Power Sources 165(2007)591−597は、嫌気性及び好気性環境において活性を維持するShewanella(DSP10)oneidensisを用いて構築された小型MFCを報告する。従来の研究は、この細菌からの電子が酸素の存在下で金属を減少させるために使用されていたことを示した。細菌は、陽極チャンバーにおける活性化された電気化学的種としてデバイスに使用された。この論文は、水面下モニタリングシステム用のセンサーが、好気性環境(即ち、水表面に近い水柱)で機能し得る小さく(密かに、電力供給するデバイスと比較して、大きさにおいて重要でない)理想的な電源として要求し、連続出力(再充電及び寿命問題がない)を提供し、高レベルの太陽放射を必要としない(したがって、表面下及び夜間等に機能する)。このグループによって研究用に選択される細菌は、センサーネットワークのためのRFコミュニケーションの機会を与え、これは、陽極用の嫌気性環境になくてもよく、したがって、水面で光環境において機能し得るためである。また、現在の設計における微生物燃料電池は、太陽エネルギーによって出力される場合、より頑丈に作られ、このようなシステムに可能な電源は、窒素供給源及び光利用性の性質に依存する。注意深く設計されたシステムでは、窒素(例えば、堆積物、廃水、又は農業廃棄物)の組み合わせを有するシステムは、太陽エネルギーを用いて出力され、システムの窒素を有する電池(Choら,J.Applied Microbiology 104(2008)640参照)を出力し、結果はより多くの電気を生じ、システムの寿命を長くする。
このようにして、本発明のオリゴヌクレオチド結合システムを用いたデバイスが製造され、例えば、本発明のオリゴヌクレオチド修飾された非動物細胞、及び本発明と一致した他の原理を用いた燃料電池デバイスが挙げられる。例えば、水素生成燃料電池は、修飾された植物細胞を用いて製造することができる。典型的には、植物細胞はパターン化され、このようにして、水素生産者及び酸素捕捉者が、エネルギー生産用の最適配置において組み合わせられる。デバイスは平面若しくは球面であってもよく、又は太陽エネルギーの捕捉及び処理に最適な任意の表面を提供し、センサーを含んでもよい。また、デバイスは、エネルギー目的のために、植物、細菌又は藻類細胞を研究又は使用するために作製され得る。このデバイスは、さらに、エネルギーを貯蔵するために用いられてもよい。デバイスはセンサーを含むことができ、又はバイオリアクターであってもよい。藻類は、緑色藻類による光合成H2生成を用いた維持でき、商業的に実施可能に統合された生物学的水素生成プロセスのための基礎となり得て、太陽のスペクトルの視覚領域は、太陽光の近赤外領域を利用する酸素非発生型の光合成細菌によるH2生成と共役する。2つの生物による光合成の経過におけるバイオマス蓄積は、次に、さらなるH2生成のための遮光嫌気的発酵に利用される。遮光嫌気的発酵の副産物としての小さい有機酸蓄積、及びこれらは、緑色藻類及び光合成細菌によるさらなる水素生成を支持する基質として利用され得る。このような統合されたH2生成の基礎は、単細胞の緑色藻類(例えば、Chlamydomonas reinhardtii)の酸素発生型光合成であり、プロセスは、水、二酸化炭素及び無機栄養素を生命の基本の構成要素に変換するために太陽光のエネルギーを用いる(A.Melis,及びM.R.Melnicki,International J.of Hydrogen Energy 31(2006)1563−1573を参照)。
本発明のツールが適用され得る他の光合成の光起電性非動物細胞に基づくシステムは、シリカゾル−ゲルを形成させるためのSynechocystis sp.PCC 6803の使用を報告しているDicksonら.International J.Hydrogen Energy,34(2009)204−215を含む。このような技術は、小型の電子デバイスに直接適用可能であり得る。Suiら.J.of Microelectromechanical systems vol.17,no.65,Dec 2008は、包埋された微細加工されたマイクロ支柱電極を有するポリジメチル−シロキサン(PDMS)の微生物燃料電池(MFC)を報告している。このMFCは、移植されたbioMEWSデバイス用の潜在的な電源として生体移植に適した柔軟性があり、生体適合性構造によって特徴付けられる。Songらは、bioMEMSデバイス用のポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いた微小流体ポリマー電解質メンブレン(PEM)燃料電池を報告し、それは、携帯用の電子デバイス及び他の小型化したMEMSデバイスを電力供給するために用いることができる。Songらによって報告された操作は、薄いNafionシートを挟む代わりに、燃料電池電極間でイオン選択メンブレンを生成するために可逆的に結合したPDMS微小チャネルを用いたガラス基質上で1ミクロン未満の薄いNafionメンブレンをパターン化する。PDMS材料の柔軟性により、Nafionメンブレンは、PDMSチップとガラス基質との間で、酸素プラズマ結合により密閉され得る。表面パターニングは、標準的な微細加工プロセスフローに途切れなく統合され得て、効果のない取り付けにより、厄介である層の同時締めつけ及び漏れの固有のリスクなしにPEM微小流体燃料電池を形成することができる。最低限でも、このデバイスは、微小流体燃料電池の大規模な並列アレイの構築を可能にする。細胞のパターニングは、本発明の細胞結合法を用いて促進可能である。
別の態様では、本修飾技術を用いて修飾される細胞表面は、ウイルスの外被タンパク質、ファージ及び他の自己集合した生体分子表面又は構造などの細胞膜様表面である。実施例9は、DNAアプタマーを表面に結合させる本細胞修飾法を用いて修飾されたウイルス又はファージが多価細胞標的ビヒクルの作製を可能にすることを示す。このようにして、この直接的な細胞修飾法は、核酸又はオリゴヌクレオチドの直接結合を要求する任意の数の応用のために、多くの単量体又は生体分子表面の修飾に用いることができる。
V.キット
本発明はまた、本発明の核酸−細胞コンジュゲートの形成に適した活性化された核酸部分、及び相補的核酸部分を有する基質表面を有するキットを提供する。いくつかの態様では、本発明は、細胞表面の天然の官能基への供給結合に適した活性化された核酸部分、及び該活性化された核酸部分に相補的な核酸部分を含む基質表面を提供する。活性化された核酸部分は粉末であってもよく、又は溶液中にあってもよい。また、キットは当業者に知られている緩衝溶液、及び核酸−細胞コンジュゲートを形成し、次に、該核酸−細胞コンジュゲートを、基質表面上の核酸部分を介して基質表面に結合させるための他の溶液を含んでもよい。
キットの成分は、上記で詳述されている。基質表面は任意の適した材料を含み、限定されないが、顕微鏡用スライドガラス、カバーシリップ、組織培養プレート、又はウェルプレートが挙げられる。基質表面は、特定の位置における核酸部分を用いて予めプリントされてもよい。キットには、他の成分が含まれてもよく、例えば、細胞の固定液、検出剤の溶液、細胞染色剤の溶液、緩衝溶液などである。他の溶液は、核酸部分それ自体、並びに細胞に核酸部分を結合させるための溶液及び試薬を含んでもよい。
VI.実施例
実施例1.リジン天然官能基を介した細胞壁を持たない細胞へのDNAのコンジュゲーション
全ての細胞培養試薬は、特記がなければ、Gibco/Invitrogen Corp(Carlsbad,CA)から購入した。細胞培養は、標準的な技術を用いて行われた。Jurkat細胞は、10%(v/v)牛胎仔血清(FBS,Hyclone)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S,Sigma)を捕捉したRPMI培地1640中でT−25培養フラスコ(Corning,米国)において増殖させた。MCF−7細胞は、1%非必須アミノ酸及び10%牛胎仔血清+1%ペニシリン/ストレプトマイシンを捕捉したDMEM中で増殖させた。MDA−MB−231細胞は、MCF−7細胞と同じ条件であるが、非必須アミノ酸なしで増殖させた。
蛍光顕微鏡写真は、DAPI/Hoechst、フルオロセイン/フルオロ−3、及びローダミン用の蛍光フィルターセットを備えたAxiovert 200M倒立顕微鏡(ZEISS)を用いて撮像された。種々のオリゴヌクレオチドの紫外線吸収は、UVIKON933二重ビームUV/vis分光光度計(Kontron Instruments,英国)で260nmで測定された。
NHS−DNAコンジュゲートの合成。細胞接着研究について、3つの相補的オリゴヌクレオチド対を設計し、全体組成において一致し、配列のみ異なっていた。各配列対はまた、同程度の融点(55℃)及び最小二次構造を有するように計算された。
配列同一性は以下の通りであった:
C1:5’−GTA ACG ATC CAG CTG TCA CT−3’
M1:5’−AGT GAC AGC TGG ATC GTT AC−3’
C2:5’−TC A TAC GAC TCA CTC TAG GG−3’
M2:5’−CCC TAG AGT GAG TCG TAT GA−3’
C3:5’−ACT GAC TGA CTG ACT GAC TG−3’
M3:5’−CAG TCA GTC AGT CAG TCA GT−3’
オリゴヌクレオチドは、5’末端に組み込まれたチオール基を用いて、Integrated DNA Technologies(Coralville,IA)から購入した。試料(80μl中の2mg)は、320μlの10mMのTris(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)及び400μlの1×TE緩衝液(1mMのEDTAを含む10mMのTris、HClでpHを7.5にする)と合わせ、使用するまで−20℃で凍結保存した。NHS−PSO6−マレイミド(スクシンイミジル−[(N−マレイミドプロピオンアミド)−ヘキサエチレングリコール]エステル)をPierceから購入した。ストック溶液は、1mLのDMSO(Sigma)中に5mgのNHS−PSO6−マレイミドを溶解させることによって調製した。この溶液のアリコート(各々20μL)を使用するまで−20℃で保存した。
DNA修飾は、NAP−5サイズ排除カラム(GE Healthcare)に5’−チオールssDNA(30μl、0.39mM)の解凍溶液を通過させることによって達成された。次に、溶出物は、室温で10分間、20μLのNHS−PSO6−マレイミド溶液に曝露された。その後、反応物は、PBS溶液(pH7.2)を用いて予め平衡にされた二次NAP−5カラムを通過させることによって精製された。カラム溶出中のDNA濃度は、UV−vis分光法を用いて確認された。次に、得られた溶液を生細胞の試料に適用された。
修飾化学の性質を確認するために、オリゴヌクレオチドコンジュゲートのモデルを調製し、特徴付けた。これをするために、0.5mLのDMFを6−アミノ−N−(4−アミノフェニルエチル)ヘキサミドにより飽和し、NAP−5精製後に得られた1mLの反応溶液を添加した。室温にて30分のインキュベーション後、オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、MALDI−TOF MSを用いて分析された。観察された質量は、期待値の0.090%以内であった。
生細胞の修飾及び合致したDNA分子の定量は、以下の通りに達成された:修飾の直前に、5×106個のJurkat細胞の試料をPBS緩衝液で3回洗浄し、培地からいずれのタンパク質を除去した。次に、細胞は、30分間室温にて、NHS−DNAの溶液(C3鎖、3μM〜54μMの最終濃度)に曝露された。遠心分離により分離後、細胞を培地に戻すか、又は後述するように蛍光DNA相補体を用いて標識された。
表面DNA分子の数を定量するために、修飾された細胞の一部がFITC標識された粗相補的DNA鎖の10μL容器と共に0℃にて30分間インキュベートされた。次に、細胞をPBS溶液で洗浄し、分析前に1%FBS含有PBS中に再懸濁させた。その後、細胞をフローサイトメーターにより分析した。蛍光測定は、既知のフルオロフォア密度の蛍光ビーズを用いて較正された。蛍光測定は、DNA修飾のない対照細胞とミスマッチDNA配列と反応させた細胞に対応する蛍光測定と比較された。
図31は、上記方法によって調製したDNA−細胞コンジュゲートを示し、相補的DNA鎖を用いて修飾された基質表面に結合し、これはDNA−細胞コンジュゲートの形成を実証している。
実施例2.アスパラギン酸又はグルタミン酸の天然の官能基を介した細胞壁を持たない細胞へのDNAのコンジュゲーション
DNAは、以下の手法によって、EDCカップリング化学を用いて細胞にコンジュゲートされた:
1.5ミクロンの細胞を採取し、10mLのPBSで2回洗浄する。
2.0.366gのEDCを19.06mLのPBSに溶解させる。
3.0.452gのNHSをEDC溶液に添加する。
4.pHが7近辺であることを確認する(通常はそうである)。
5.このEDC/NHS溶液を1mL採取し、200μLの80μMアミン−ssDNA(1×SSC中)を添加する。
6.室温で30分〜1時間インキュベートする。
7.10mLの1%FBS/PBSで3回洗浄する。
8.50〜100μLの1%FBS/PBSに再懸濁させ、スライドに載せるために準備をする。
実施例3.酸化糖の天然の官能基へのDNAのコンジュゲーション
細胞壁を持つ細胞上での表面曝露されたジオール類(リポ多糖、リポタイコ酸など)の酸化。1mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)中の細胞(105〜107個)を遠心分離を用いてリンスする。DPBS中の0.5〜5mMのNaIO4の2mLに細胞を懸濁し、20分間、軌道振とうしながら37℃に置いた。低濃度の過ヨウ素酸塩は、藻類及び酵母などの原核生物には必要である。DPBS中の1mLの0.1Mグルコースを用いて過ヨウ素酸塩を中和する。細胞を遠心分離して沈殿させ、2×1mLのDPBS、1×1mL pH6のMOPS緩衝液で洗浄する(下記参照)。
酸化された表面曝露されたジオール類へのハイブリダイズ修飾されたssDNAの結合。800μLのpH6 MPOS緩衝液(0.5MのNaCl、0.1Mの3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、18.2MΩのH2O、pHを6.0に調整)+10mMアニリン+約35μMヒドラジンssDNA(Integrated DNA Technologiesから購入)中に細胞を再懸濁させた。穏やかに振とうさせながら、表面ジオールの濃度に依存して、室温にて1〜18時間、細胞を反応させる。細胞をスピンダウンさせ、DPBSでリンスする。
図32は、相補的DNA鎖を用いて修飾された基質表面に結合する、上記方法によって調製されたDNA−細胞コンジュゲートを示し、DNA−細胞コンジュゲートの形成を実証している。
実施例4.デバイス
DNA鎖の細胞への結合、及びDNAをプリントした表面へのそれらの固定のための一般的なプロトコールは以下の通りであった:修飾の直前に、5×106個のJurkat細胞の試料は、PBSを用いて3回洗浄し、培地からいずれのタンパク質を除去した。最終リンス後、追加のPSを添加し、体積を5mLにした(1×106細胞/mL)。次に、細胞懸濁物は、30μLの5’−チオールssDNA(C2配列)から合成及び精製された1mLのNHS−DNA(11.7μM)溶液と反応した。混合物は、室温にて30分間反応させ、次に1%FBS含有PBSを用いて3回洗浄した。その後、細胞は、1%FBS含有PBSの0.5mLに再懸濁された。
ガラス表面をプリントするために、3×クエン酸ナトリウム緩衝生理食塩水(SSC:45mMクエン酸ナトリウム、450mMのNaCl、pH7.0)中の5’アミン官能化されたssDNAの20μM溶液を試料調製に用いた。DNA溶液は、手動のピペッティングにより、又はUC Berkeley Functional Genomic Laboratoryでロボットマイクロアレイプリントシステムを用いることにより、アルデヒド官能化されたスライドガラス(SCHOTT Nexterion,Louisville,KY)に置いた。スポットされたDNAを固定し、製造業者のプロトコールに従ってスライドを不活性化した。プリント後、スライドをN2気流下で乾燥させ、乾燥雰囲気下、暗所に保存した。パターン化されたスライドは、典型的には、1カ月以内に使用した。
スライドガラスの微細パターニングは、アルミニウムリフトオフ技術と組み合わせたフォトリソグラフィーを用いて達成され、全詳細にはいずれかに記載されている。ある細胞型を用いて研究について、全細胞はC2配列を用いて標識された。スライドは、他に特記がなければ、相補的DNA配列であるM2を用いてパターン化された。DNA修飾された細胞の溶液は、各表面に導入され、撹拌せずに3〜5分間インキュベートされた。次に、デバイスは、1%FBS含有PBSを用いて洗浄された。反復データセットは、洗浄前に無作為に3つのデバイス領域を選択することによって回収した。各位置が撮影され、洗浄され、次に再び視覚化された。
細胞生存性の評価は以下の通りに行われた:C2鎖で被覆されたJurkat細胞は、通常の増殖培地を含む1mLのペトリ皿に播種され、M2鎖DNAは、2μM濃度になるように溶液に添加された。未修飾のJurkat細胞は、対照として同一条件下で培養された。血球計算盤を用いて24、48、及び72時間で4つの試料の各々において細胞をカウントした。細胞生存性は、トリパンブルーの添加によりモニタリングされた。
表面に結合した細胞のアポトーシスの程度は、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム染色(BD Biosciences)により決定された。DNAによるスライド上への固定後、細胞を通常の培地中で37℃にて24時間インキュベートした。未結合のJurkat細胞(表面DNA鎖がない)の試料は、対照と同じ条件下でインキュベートされた。900μLの1×結合緩衝液、30μLのアネキシンV−FITCストック溶液、及び30μLのPIストック溶液からなる溶液を調製した。24時間後、この溶液の100μLは、15分間室温にてスライドに適用された。細胞は、蛍光顕微鏡により画像化され、非生存細胞の数を1時間後にカウントした。
パターン化された表面上への接着細胞株の固定は以下の通りに達成された:2つの乳癌細胞株であるMCF−7及びMDA−MB−231をATCCから購入した。細胞は、いずれのトリプシンなしで1mMのEDTAを用いて培養プレートから脱着させ、細胞溶液をPBSで3回洗浄した。細胞溶液(1×106細胞/mL)の5mL部分は、上記される30μLの5’−チオールssDNA(C2配列)から合成した1mLnoNHS−DNA溶液と反応させた。混合物は、室温にて30分間反応させ、1%FBS含有PBSを用いて3回洗浄された。次に、細胞は、1%FBS含有PBSの0.5mL中に再懸濁された。細胞溶液は、相補的DNA配列M2を用いてパターン化されたスライドガラスに導入され、試料を5分間インキュベートした。次に、スライドは、1%FBS含有PBSで2回洗浄された。DNAハイブリダイゼーションを介したスライドへの固定後、細胞は、通常の培地中でインキュベートされ、36時間観察された。反復データセットは、12時間の間隔で、3つの異なる表面領域を撮影することによって回収された。
細胞固定の配列特異性の確認を以下の通り行った:DNA修飾されたJurkat細胞及びMDA細胞は、上記されるように、30分間、PBS中のNHS−DNA(それぞれ配列C2又はC1)とともに各細胞群をインキュベートすることによって調製された。細胞の視覚差別化を促進するために、各群の細胞質ゾルは、CellTracker BlueTM又はCellTracker GreenTM生細胞染色を用いて標識された。リンス後、等量の各群を混合し、配列M2又はM1(上記されるように構築された)を有する微細スポットされたDNAマイクロアレイに導入し、5分間インキュベートした。次に、マイクロアレイは、1%FBS含有PBSで2回洗浄され、蛍光顕微鏡下で観察された。
ヒト赤血球細胞の固体は以下の通りに達成された:赤血球の新鮮な試料は、健常なヒトの血液試料から得て、室温にて、1%クエン酸溶液中に保存された。1時間以内に細胞を用いた。細胞溶液をPBSで3回洗浄し、次に、細胞表面の修飾を可能にするため、30分間、NHS−ssDNA溶液中でインキュベートした。その後、細胞懸濁物は、1%FBS/PBS溶液で3回洗浄され、次に、相補的ssDNA鎖を有するスライドガラスに適用された。細胞接着後、スライドガラスを1%FBS/PBSで洗浄し、いずれの未結合細胞も除去し、光学顕微鏡下で視察した。固定後、1%FBS/PBS中で細胞をインキュベートし、それらの生存率は、3時間後に、トリパンブルー染色を用いて調べた。
初代CD4+T細胞のパターニング及びIL−2産生アッセイは以下の通りに行った:初代CD4+T細胞(Jay T.Groves Lab,UC Berkeleyとのコラボレーションにより得た)をマウスから集め、使用前に報告されている条件下で増殖させた。次に、初代T細胞は、NHS−DNAプロトコールを用いて修飾され、上記されるように、スポッティングにより、又はフォトリソグラフィーの使用によりプリントされた異なるDNAパターンに曝露された。DNA固体化された細胞を有するスライドガラスを1%FBS/PBSで洗浄し、いずれの未結合細胞を除去し、顕微鏡下で視察した。
DNA二重鎖で固定された初代T細胞のIL−2産生は、ELISAを用いて試験された。2×105個の初代T細胞の集団は、DNA鎖で修飾され、相補配列を有する一連のスライド(1cm2)に固定された。次に、これらの試料を3つの部分に分けた。第1の試料は、いずれの追加試薬を含まない正常なT細胞増殖培地中でインキュベートされた。第2の試料は、PHA(1μg/mL)及びPMA(50ng/mL)で処理された。第3の試料は、ConA(1μg/mL)、PMA(50ng/mL)及びCSA(μg/mL)で処理された。表面DNAを含まない遊離T細胞の類似試料を対照として調製した。全ての細胞試料を37℃にて20時間インキュベートし、次に遠心分離した。培地部分(1mL)は細胞の各集団から採取し、マウスインターロイキン−2 ELISAテストキット(Thermo Scientific)を用いてIL−2産生について試験した。
初代筋芽細胞のパターニングは以下の通りに達成された:初代筋芽細胞(Randall Lee Lab,UCSFとのコラボレーションにより得た)は、参照により本明細書中に援用されるHuang,N.F.;Patel,S.;Thakar,R.G.;Wu,J.;Hsiao,B.S.;Chu,B.;Lee,R.J.;Li,S.Nano Lett.2006,6,537−542に報告されるような公知のプロトコールに従ってマウスから回収し、精製した。要約すると、正常な細胞増殖は、10%(v/v)牛胎仔血清(FBS,HyClone)、1%bGF(Invitrogen)、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S,Sigma)を含むHam’s F−10培地(Invitrogen)中で達成された。表面修飾の直前に、細胞は、いずれのトリプシンなしで1mMのEDTAを用いて脱着させた。得られた細胞懸濁物をPBSで3回洗浄した。細胞溶液(1×106細胞/mL)の5mL部分は、1mLのNHS−DNA溶液と反応された。混合物を室温にて30分間反応させ、次に、細胞は、1%FBS含有PBSで3回洗浄された。表面は、スポッティング又はフォトリソグラフィーを介して相補的DNA配列でパターン化し、1%FBS含有PBSと共に室温にて1時間インキュベートされた。細胞溶液をスライドに導入し、5分間インキュベートした。次に、デバイスを1%FBS含有PBSを用いて3回洗浄した。固定後、細胞は、融合培地(5%ウマ血清、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S,Sigma)を含むDMEM(Invitrogen))中で37℃にて14日間インキュベートされた。未結合の筋芽細胞は、対照として同一条件下で培養された。全ての細胞試料の画像及び動画は24時間ごとに記録された。
実施例5:DNAバーコード
微小デバイスは、代謝分析のためおpH感受性微小電極のアレイ上で単一細胞のDNAバーコード指向された捕捉用に開発された。細胞は、膜結合の一本鎖DNAを用いて修飾され、特定の単一細胞捕捉は、微小流体チャネル内の酸化イリジウムpH微小電極のセンサー領域に結合された捕捉鎖によって指向される。この二機能性微小電極アレイは、pHモニタリング、並びに初代T細胞及びJurkatTリンパ球の分化について実証される。単一のJurkat細胞は、11ミリpH/分の細胞外酸性速度を示し、一方、初代T細胞はたった2ミリpH/分を示した。このシステムを用いて、特異的に非接着細胞を捕捉し、代謝特性の変化に基づく異種案産物における視覚的に同じ健常な細胞と癌性細胞との間を区別することができる。本明細書に示されている二機能性微小電極は、本発明の組成を用いて作製されたデバイスが、選択的に細胞を捕捉し、それらの電気的及び代謝的活性を測定する能力をどのようにして持つのかを示す。DNA−バーコード捕捉を用いて、接着細胞と自然な非接着細胞とが同じデバイス上で研究され得る。さらに、このように捕捉された細胞は活性化されない。アレイフォーマットは、混合物から細胞間を直接区別でき、単一細胞特性における変化、及びその細胞が全体にどのように寄与するかを示す。制御された単一細胞の電気化学的測定は、細胞活性の多重な細胞内分析を可能にする名のスケールの細胞接触面を用いることを指摘する。
微小流体デバイスにおける単一細胞の制御された捕捉は、単一細胞分析の統合された微小流体の開発には本質的である。個々の細胞に匹敵する大きさと体積スケールを用いて、微小流体デバイスは、細胞の微小環境を制御するための力強いツールを与える。操作された細胞表面DNA(細胞接着バーコード)の使用は、細胞捕捉を可能にし、従前の細胞のDNA捕捉は、微小流体チップ内の単一細胞の遺伝子発現分析を行うために用いることができ、不活性化された細胞を代表するその遺伝子分析を有する。本発明のデバイスは、不活性化された(天然の)細胞を用いてpH感受性微小電極のアレイを装着するためのDNAバーコード細胞捕捉を用いることができる。システムは、pHセンサー表面上で、非接着の単一細胞(従前は不可能である)、並びに接着細胞の迅速、選択的及び不可逆的捕捉を可能にする。この二機能性システムは、細胞該酸性化が全エネルギー使用に比例するという原理に基づく単一細胞の代謝の正確なリアルタイムモニタリングを可能にする。これらの実験では、この技術は高い代謝活性を有する癌細胞を特定することができることを実証し、このデバイスは癌治療用の潜在的な診断及び予測ツールとなる。さらに、システムは、研究される細胞について非常に選択的及び特異的であるように適合することができ、これらの細胞はデバイス表面上の正確な位置で置くことができるため、システムは、患者の特定の分析、及び当然に癌を含む任意の疾患の治療として知られている用途にとって理想的である。
従来の作業は、微小流体システムにおいて、単一細胞の捕捉及びpHモニタリングの個々の側面を示していた。整列された単一細胞の捕捉のための様々な方法が示され、物理的及びエネルギートラップ、並びに生化学的接着が含まれる。この従前の作業における細胞は、DNAを用いて捕捉されなかったが、むしろデバイス環境における障壁によって物理的に拘束された。単一の限定捕捉壁又は微小流体トラップは、センサー全体で細胞を単離するために用いることができたが、一方、新鮮な培地へのアクセス、及び廃棄物を浄化する能力が正常な細胞機能に重要であることが示されている。非常に正確な細胞配置はまた、細胞内スケールの電極が使用される場合、活性をモニターするために重要でもある。本発明のオリゴヌクレオチド結合システムは、デバイス上の物的障壁に関わらない捕捉、並びにプロセスにおいてそれらを喪失危険性がない、細胞の供給及び洗浄を可能にする。
細胞外酸性化の使用は、細胞活性化の定量的分析における有益なツールである。主要な例は、Cytosensor Microphysiometerであり、これは、代謝を定量する手段として、バルクな細胞集団(104〜106細胞/3μl試料)からの酸性化を測定するために幅広く用いられている。このシステムは、多数の応用に用いられている。例えば、Gタンパク質共役(ケモカイン)受容体活性化、ニューロトロフィン活性、リガンド開閉イオンチャネル、及びチロシンキナーゼ受容体へのリガンドの結合が挙げられる。また、オーファン受容体のためのリガンドを同定するために用いられている。他のデバイスはまた、単一細胞レベルまで下げる細胞活性を測定するためにpH電極を使用している。最近、Gesら.Biomed.Microdevices,2008,10,347−354に報告された作業は、物理的限定を用いた単一心筋細胞からの酸性化速度のオンチップ測定のためのデバイスを示した。Gesシステムでは、単一の筋細胞は、PDMSチャネルの末端を物理的に閉鎖して摘むことによって検知溶液において単離された。システムは単一細胞モニタリングにおける重要な段階を表す一方、細胞単離技術は、センサー電極上に制御された捕捉を可能にせず、この電極は、同じ制御環境における単一細胞から同時のマルチ分析物モニタリングに必要である。本発明は、これらの重要な利点を提供する。
本明細書に記載されているデバイスは、個々の細胞の同サイズスケールであるセンサーを用いて、オリゴヌクレオチドに基づく細胞捕捉技術の直接的な統合を提供し、したがって、二機能性電極システムにおいて、これまでは達成できなかった細胞分析を可能にする。リソグラフィー的にパターン化された酸化イリジウムpH微小電極のアレイは、微小流体チャネル内に囲まれる。単一の標準DNAは、シランリンカーを用いて酸化イリジウム表面に結合され、検出感受性を保持しながら、相補的DNAを持つ細胞を捕捉する能力をセンサーに与える。ここで、本発明者らは、このシステムを用いて、非接着T細胞の代謝から得られる細胞外酸性化を測定し、pH感受性は、健常な初代T細胞と、高い代謝を有する癌性Jurkat細胞との間を区別するには十分である。これらの結果は、同基本型の個々の健常及び形質転換された細胞の微分可能な代謝活性を示し、それは、異種試料内の循環腫瘍細胞(CTC)の同定を可能にする。二機能性電極上でDNA指向されて細胞捕捉と電気化学的モニタリングの新規な組み合わせは、単一細胞分析について新しいプラットフォームを提供する。
電極センサー製作は以下の通りに達成される:電極(40nm厚、Au、20nmのCr接着層を有する)は、上記される標準的なフォトリソグラフィーリフトオフを用いて、1.1mm厚のボロフロートガラスウエハース上にパターン化された。7μ厚層のパリレン−cは、Specialty Coating Systems Labcoter 2パリレン配置システムを用いてウエハース上に配置し、AlphaStep IQ表面形状測定装置を用いて測定された(図11)。100nm層のアルミニウムをデバイス上に蒸着し、次に、30秒間60℃で界面活性剤を用いてAir Productアルミニウムエッチング液によりリソグラフィー的にエッチングした(図11A、11B)。アルミニウム層のためのエッチマスクは、フォトリソグラフィー的にパターン化された1μm厚フィルムのShipley1818フォトレジストであった。次に、アルミニウム層をマスクとして用い、酸素プラズマにより下層のパリレンをエッチングした(60seem02,100W,60分)。
センサー領域からパリレン絶縁を除去後、センサーは、Yamanakaらのプロトコールに従って、酸化イリジウム層を用いて電着された。要約すると、イリジウム沈着溶液は次にように調製された。37.5gのOfIrCl4を75mLの脱イオンすりに添加し、90分間撹拌した。次に、125mgのシュウ酸を添加し、この溶液を3時間撹拌した。最後に、溶液のpHをK2CO3を用いて11に調整した。溶液は、最初は薄黄色であり、薄青色に変化し、最後には数週間経過して暗青色に変わった。沈着溶液は、調製後に少なくとも6カ月間安定であった。酸化イリジウム沈着は、電圧循環モードでCHI660ポテンシオスタットを用いて行われた。飽和した塩化第一水銀リファレンスを用いた3つの電極配置及びプラチナ対電極に240サイクロ(登録商標)の+0.7V(0.25s)及び−0.5V(0.25s)を用いた。
沈着後、装置は、1分間、プラズマ洗浄され、60℃にて60分間の蒸着によって、トリメトキシシリルプロパナールを用いて修飾された。次に、アミン修飾されたssDNA(リン酸緩衝生理食塩水中の80μM)をデバイスに蒸着し、上記した還元アミノ化を用いて結合させた(図11C)。DNA沈着後、保護アルミニウム層は、20分間撹拌しながら、室温にて0.1MのNaOHを用いた処理によって溶解し、センサー表面上にのみ捕捉DNAを放置した(図11D)。
微小流体デバイス調製は以下のようにして達成される:Dow Corning Sylgard 184を用いて、SU−8又はポリスチレン鋳型によりポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)チャネルを調製した。チャネルは幅5mm、長さ15mm、及び高さ600μmであった。20ゲージのテフロン(登録商標)チューブと適合する流体入口は、18ゲージの鈍い先端の針を用いて穴をあけ、5mm径の出口リザーバーは他の末端で穴をあけた。PDMSチャネルは、10分間、UV/オゾン径で洗浄され、デバイスに適用された。チャネルはDI水で1時間満たされ、酸化イリジウム層を水和させ、次に、電極のpH応答は、標準のpH4、5、7及び10の緩衝液を用いて較正された。チャネルは、MinCOポリイミドヒーターとCole−Parmer DigiSense PID温度コントローラーを備えた加熱されたアルミニウムステージを用いて37℃に維持された。
細胞調製及び標識は以下のようにして達成された:Jurkat細胞は、10%牛胎仔血清(FBS)及び1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液を含むPRMI−1640中に培養された。培養細胞は、37℃にて5%COにおいて維持され、2〜3日ごとに1:10に分割された。細胞酸性化実験は、25mMのD−グルコース、5.3mMのKCl、及び110.34mMのNaCl+1%FBS及びペニシリン/ストレプトマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地のカスタム低緩衝化培地に基づいて行われた。最後に、培地は、0.1MのNaOHを用いてpHを7.45に調整された。細胞は、従来報告されているようにマウスから単離され、調製された(A.L.DeMond,K.D.Mossman,T.Starr,M.L.Dustin and J.T.Groves,Biophys.J.,2008,94,3286−3292参照)。
ssDNAによる細胞表面標識は、上記されるように、細胞表面上の1級アミンを共有結合的に修飾するNHS−DNAコンジュゲートを用いて達成される。要約すると、細胞は、室温にて30分間、PBS中の120μMのNHS−DNA溶液においてインキュベートされ、次に、3回洗浄して、いずれの未結合DNAを除去した。バーコード特異的細胞捕捉は、従来(Douglasら.Chip,2007,7,1442−1448参照)報告されているように、スポットされたDNAマイクロアレイスライドを用いて試験された。
代謝モニタリングは以下のようにして達成された:細胞は、106細胞/mlの濃度で懸濁され、懸濁液を微小流体デバイスに流し入れられた。細胞懸濁液は、テフロン(登録商標)チューブを用いて1mLシリンジによりチャネルに流し入れられた。Jurkat細胞及び初代T細胞を同時にモニタリングする場合、それらは、上記されるように、それぞれCellTracker Green及びRed色素で標識され、等比で混合された。5分のインキュベーションによりDNAに基づく細胞捕捉を可能にした後、未結合細胞は、低緩衝液培地でリンスして除去された(5μl/分、3分間)。リンス後、pH応答は、電気化学的に10分間モニタリングされた。これを記録した後、細胞は、デバイスを55℃に加熱し、低緩衝液培地で強力にリンス(200μL/分)を適用することによって電極から離された。一度リンスし、37℃に戻し、デバイスに細胞を再充填することができた。これにより、複数測定が単一細胞調製で採用されることができた。
電圧測定は、酸化イリジウム電極と遠隔のFLEXREF Ag/AgCl参照電極(World Precision Instruments)との間に記録された。細胞領域外の同一酸化イリジウム電極は、任意のセンサードリフトを相殺するために用いられた。センサー電極は、16ビットのアナログ−デジタル変換を用いるNational Insturments PCI−603 IEデータ収集カードに接続された。デジタル化シグナルは、カスタムLabview VIを用いてモニタリングされ、3hzで多重にサンプリングされた。電圧シグナルは、Peak Fitソフトウェアを用いて、1%Loessフィルターにより処理され、ノイズを減少させた。
代謝解析前、電極は、標準のpH緩衝液を用いて特徴付けられた(図12)。これらのDNA修飾された電極は、それらのpH感受性を維持することが見出され、性能は未修飾の酸化イリジウムセンサーに匹敵していた。電極応答は、安定かつ迅速であり、500ms未満で1pH単位変化に応答した。電極のpH応答は、典型的には、−68.6mV/pH単位であり、pH4〜10の範囲全体で線状応答であった。細胞酸性化測定についての典型的な範囲は、約6.5〜7.5であり、それにより、このセンサーは測定に十分に適している。観察された応答の大きさは、従来実証されている他の水和した酸化イリジウムセンサーの−60〜−80mV/pHレンジと一致して反応する。pH感受性を提供する電極での反応は、Olthuisらによって報告されている。−60〜−80mV/pH感受性レンジは、種々の電気化学的技術により示されているように、酸化イリジウムフィルムの酸化段階に依存する。感受性を与える電極での反応は、Olthuisによって与えられた。
2Ir(OH)2-+H2O===Ir2O(OH)33-+3H++2e-
二機能性微小電極アレイチップ上のpH微小電極を用いたアフィニティー捕捉DNAプローブの組み込みは、通常には非接着性の細胞については、細胞外酸性化の直接モニタリング用のプラットフォームを与える。また、システムは、細胞が接着性であるか又は非接着性であるかに関わらずに、オリゴヌクレオチド結合システムによって達成されない細胞のモニタリングを与える。図13に示されるように、大きさを制限する二機能性微小電極は、センサーに直接単一細胞捕捉を可能にする。二機能性微小電極アレイは、Jurkat細胞及び初代T細胞の細胞外酸性化を測定することによって試験された。第1に、Jurkat細胞及び初代T細胞は、センサー官能性、及び2種細胞型間での単一細胞酸性化における相違を達成するためのアレイ上で別々に捕捉され、モニタリングされた。図14Aは、10分の期間での単一細胞の酸性化データを示す。Jurkat細胞は、11.5±3.3ミリpH/分の細胞外酸性化速度を示し、一方、初代T細胞は、1.61±1.5ミリpH/分を示した(s.d.,それぞれn=9)。また、この相違は、バルク細胞集団の酸性化測定(低緩衝液培地中の約106/mlの細胞、37℃)を用いて確認された。
混合した集団において異なる細胞を区別する能力を実証するために、同じ細胞接着バーコードを有するJurkat細胞と初代T細胞の混合物からの単一細胞が同時にアレイ上でモニタリングされた。図14Bは、10分間のアレイ上の混合細胞からの酸性化データを示す。測定された酸性化速度の相違は、別々の試料と同じ動向を追い、2つの視覚的に類似した細胞間での区別を可能にした(図14B)。Jurkat細胞は、10.1±2.3ミリ−pH/分の酸性化速度を有し、健常なT細胞は、2.41±2.54ミリ−pH/分を有した(s.d.、それぞれn=5)。
図14Cは、アレイ上の既知の細胞集団を用いたいくつかの試験全体での酸性化速度の棒グラフを示す。Jurkat細胞について、平均酸性化速度は11.5±3.2ミリ−pH/分であり、一方、初代T細胞は1.62±1.31ミリ−Ph/分の速度を示した。この相違は明確に有意であり、T−検定の値はP<0.0002であった。一方、Jurkat細胞は、初代T細胞よりも僅かに大きく(典型的には、12μm対10μm径)、大きさの相違は、酸性化の相違に占めるほど十分に大きくはない。
外因性刺激に対する単一細胞の応答を測定する能力を実証するために、Jurkat細胞はロテノンで処理される一方で、二機能性微小電極アレイ上で捕捉された(図15)。ロテノンとのインキュベーションは、ミトコンドリアの電子伝達鎖との干渉に曝露され、解糖回路を完成するための細胞を乳酸発酵にシフトさせた。次に、乳酸の得られた排出物は、細胞環境において酸性化速度を増加させなければならない。実験では、捕捉された細胞は、最初に、好気的代謝下での酸性化の基準速度(約8.8ミリ−pH/分)を確立するために、正常な条件下でインキュベートされた。13分後、10μMロテノンがチャネルに添加され、その結果、1分以内に酸性化速度(−27.7ミリ−pHh/分)を3倍に増大させた。Jurkat細胞が低緩衝培地中の1μMロテノンで処理された(約106細胞/mL、37℃)バルク細胞対照は、同一の未処理細胞と比較して、60分間で2倍超の酸性化を常に示した。この代謝シフトの観察は、単一シグナル細胞レベルで、受容体−リガンド結合などの、外因性薬物に対する応答をモニタリングするこの技術の能力の重要な実証を与える。
本明細書において開発された二機能性微小電極アレイは、アレイフォーマット上で選択的細胞捕捉及び単一細胞の代謝的モニタリングという2つの重要な機能を含む。初期の研究では、Castellarnauらは、ISFET pHセンサー近くの最近の高濃度懸濁物を局在化する二電気泳動を用い、グルコース存在下で細胞の酸性化を測定した。この技術はバルク応答の測定に十分に適している一方で、単一細胞の固有の活性を解決する能力を欠如している。Gesらの単一の癌性細胞pHシステムは、大きな接着細胞をモニタリングする能力を提供するが、チャネルを密封することによって生じる体積変位は細胞接着を指向することを困難にする。DNA−バーコード捕捉は、接着細胞、並びにT細胞及びB細胞など自然には非接着性細胞の指向された捕捉の利点、さらに、オリゴヌクレオチド結合方法によって達成されない細胞の分析の更なる利点を提供する。この制御された捕捉は、空間分解の電子的及び/又は光学プロービング用のプラットフォーム、及び細胞表面での活性の測定を与える。
酸性化データは、単一の非接着細胞が捕捉DNAを用いて処置、及び電極への結合後に正常に継続して挙動することを示す。任意の捕捉技術は細胞に対するいくつかの効果を有する可能性がある一方で、細胞接着バーコードは、インテグリン又は抗体に基づく捕捉用に多くの場合に使用される天然の細胞表面受容体をバイパスし、このようして、それらの既知のシグナル伝達経路の活性化を避けるべきである。Jurkat細胞と初代T細胞について、測定される細胞外酸性化速度は、Gesらによって報告されている単一細胞酸性化速度と匹敵するが、本発明者らの機能化微小電極技術の増大した感受性は、2つの細胞型間の区別を可能にする。
本発明者らの単一細胞結果は、初代非形質転換細胞と不死化された癌性T細胞の代謝活性化における相違が、単一細胞レベルで検出され得ることを示す。本発明者らは、この代謝相違を用いて、同じ基本型からの視覚的に類似した単一細胞間を電気化学的に区別する能力を示している。この方法論は、それらの典型的な代謝活性によって個々の循環腫瘍細胞を同定するために使用することができ、単一の抗体に基づく捕捉を超える。また、異なる転移能の癌性細胞間を差別化するために使用され得る。このような混合内で単一細胞モニタリングは、癌の進行又は起源の細胞状態に基づいた薬物応答における相違を検出することを可能にする。
より多くの要素を含むための明確な拡張を伴うアレイフォーマットは、アンサンブルバリエーションを特徴付けるのに十分な力を用いて、同条件下で多数の細胞の個々の活性を直接比較することができる。ナノ加工された電極アレイの構築は、高い空間分解を有する細胞表面の電気化学的分析マップを生じさせることができる。停止細胞表面プロフィーリングは、従来は走査型電気化学顕微鏡を用いて実証されてきたが、ナノ電極アレイは、一連のプロセスから並行プロセスにこれを形質転換し、正細胞と同様に時間的分解を与えることができる。
このシステムは、単一細胞からの検出された分析物の数を増加させることができ、一般に、分析システムの増加した複雑性についての能力を有する。従来言及された、バルク細胞のモニタリング用のCytosensor Microphysiometerシステムは、標準pH測定能力に加えて、グルコース、乳酸塩及び酸素レベルを同時に測定するように改変された。マイクロ又はナノ加工された分析物−選択的センサーはまた、単一細胞上の複数分析物の検知を含む、更なる分析的深さのためのシステムに加えることができた。カルシウム感受性のフルオロフォアと電気制御との組み合わせは、Thayerらによって報告されているパッチクランプ中に単一ニューロンにおいてカルシウム流入をモニタリングするために使用されている。PDMS/ガラス多層デバイスは、同時蛍光及び電気的測定を可能にするように容易に修飾され得る。蛍光プローブは、多くの場合、光退色を被る一方で、本明細書において具体化された技術は、数時間又は数日、単一細胞の代謝活性を追跡するために用いることができ、そのライフサイクル全体で細胞進行としていずれかの変化を表す。
DNAバーコードに基づく細胞捕捉は、電極上で、離散したマルチタイプの細胞システムの構築及び分析を可能にする個々の細胞間での結合を操作する能力を与える。例えば、単一のニューロンは、単一細胞の神経筋シナプス形成及び操作の分析を可能にする単一の筋細胞にDNAを用いて連結させることができる。さらに、人工的な組織は、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを用いた、細胞−細胞結合により操作可能である。センサーは、システム内又はその近傍に配置され、システムにおける代謝、電気的又は他の変化を記録することができる。
実施例6:微小流体バイオプロセッサー
単一細胞分析は、同系細胞集団内で遺伝子発現の変化を理解するための強力なアプローチである。マイクロアレイ及び遺伝子発現の連続分析などの伝統的な遺伝子発現分析は、単一細胞レベルでの変化、及び大多数の細胞のアンサンブル平均挙動に関する単なる記録を分析するには十分感受性でない。最近、多種の高感度であり、特殊化された技術が、単一細胞における遺伝子発現を探査するために開発されている。これらのアプローチの多くはリアルタイムモニタリングの利点を提供するが、必要されるプロトコールは困難であり、多くの場合、細胞操作を必要とし、限定された多重化能力を有する。
新しく開発された微小流体技術及び方法は、大多数の細胞に縮尺を合わせることができるフォーマットにおいて単一細胞分析を可能にする。微小流体デバイスは単一細胞を探査するための力強いプラットフォームを示し、これは、固有の長さ(1〜100μm)及び体積スケール(ピコリットル〜ナノリットル)が単一細胞の大きさ及び体積(約1pL)に近いためである。最大利点の微小流体は、全てのプロセッシング工程を単一デバイスに組み込む能力であり、感受性、再現性、及び定量的な単一細胞分析を妨げるであろう試料汚染及び生成物喪失を排除する。
単一細胞遺伝子発現分析を行うために微小デバイスに組み込まなければならない3工程は、細胞選択及び局在化、酵素的反応、及び対象分析物の定量的検出である。多数の微小流体システムは、これらのエレメントの1又は2を実証しているが、3つ全ての組み込みの成功は非常に挑戦的である。初期の微小流体システムは、キャピラリー電気泳動(CE)分離チャネルにPCRチャンバーを首尾よくカップリングさせた。最近の統合された微小システムは、検出感受性の有意な増加、粗試料の処理、及び超並列処理を実証している。これらの利点にもかかわらず、統合された微小流体デバイスは、単一細胞から直接、遺伝子発現の変化を測定する単一プラットフォームに3工程全てを首尾よく結合させている。根本的なハードルは、各ナノリットル加工工程間の分析物の有効な移動である。
この挑戦に加えて、本発明者らは、単一細胞遺伝子発現プロフィーリングのために必要なエレメントの全てを備えた、統合された微小流体デバイスを開発し、単一細胞の遺伝子サイレンシングの研究を行うためにそれを使用した(図20)。細胞は、DNAハイブリダイゼーションによって金パッド上に捕捉できる細胞表面上の20塩基のオリゴヌクレオチドを用いて官能化される。GAPDHのmRNAと対照18S rRNAの多重遺伝子発現分析は、2細胞集団で行われる。第1の細胞集団は、両方の標的遺伝子の均一な高発現を示す通常条件下で増殖させた未処理Jurkat Tリンパ球からなる(図20A)。第2の細胞集団は、GAPDHのmRNAで指向されたsiRNAで処理される(図20B)。GAPDHのmRNAは個々の細胞において沈黙される程度が、18S rRNA対照と比較して精査される。
遺伝子発現微小デバイスは、100mm径のガラスウエハース上で4つの独立したアドレス可能な整列された分析システムを含む(図21)。同一の微小システムの各々は、プロセッシング工程間で最大移動効率を可能にするように統合される4つの異なる領域を含む。第1の領域は、リアクター領域を通じて、試料入口から材料を移動するための3バルブポンプである。リアクター領域では、単一細胞が捕捉、溶解され、対照のmRNAが逆転写され、RT−PCRによって増幅される。アフィニティー捕捉領域は、アンプリコンが、アフィニティー捕捉ゲルマトリックスにおいて固定化され、精製され、及び濃縮される、リザーバー及び捕捉チャンバーとして作用するホールドチャンバーを含む。最後に、システムは、生成物のサイズに基づく分離と定量のためのCE分離チャネルを含む。
CE分離及び検出による単一細胞システムからの完全な分析は、図22Aに概要されるように、75分未満で行われる。第1に、Jurkat細胞は、20塩基のオリゴヌクレオチドで官能化される(図22E)。Jurkat細胞は、細胞によって代謝され、細胞表面上にアジド基の提示をもたらす合成の過アセチル化N−アジドアセチルマンノサミン(AcManNAz)とともに増殖される。リン酸緩衝化ssDNAは、Staudinger連結によってアジド基と反応し、細胞あたり約270,000のssDNA分子を用いて官能化された細胞集団を生じさせる。
別の態様では、ssDNA分子は、以下のように、実施例1に記載される通り、本方法を用いてJurkat細胞に結合可能である:修飾直前に、5×106個のJurkat細胞の試料をPBS緩衝液で3回洗浄し、培地からいずれのタンパク質も除去する。最後のリンス後、追加のPBSを添加して、5mL体積にする(1×106細胞/mL)。次に、細胞懸濁液は、合成された1mLのNHS−DNA(11.7μM)溶液と反応させ、30μLの5’−チオールssDNAから精製される。混合物は、30分間室温にて反応させ、次に1%FBS含有PBSで3回洗浄した。その後、細胞を0.5mLの1%FBS含有PBSに再懸濁される。
リアクター内では、チオール修飾された捕捉DNAの相補的20塩基鎖は、金−チオール連結を有する、フォトリソグラフィー的に画定された25×25μm2サイズ制限の金パッド上に固相化される。細胞をリアクター内に流入させ、DNAハイブリダイゼーションを介して金パッドに固相化される。パッドのサイズは、たった1個の細胞が結合することを確実にする。従来の報告では、本発明者らは、代謝工学とDNAに基づく結合の組み合わせが、抗体又はレクチン系の方法よりも有意に少ない細胞活性化をもたらすことを示している。したがって、任意の結合方法が細胞挙動に対して何らかの影響を与えることが期待されるが、DNAに基づく方法はこれらの効果を最小にする。
リアクターから外に出た残りの捕捉されていない細胞を洗浄後、捕捉された細胞を分析のために調製する(図22C)。急速な30秒の凍結融解による溶解後、標的mRNAは、42℃にて15分のインキュベーション中に安定なcDNA標準に逆転写される。次に、30サイクルのPCR増幅は、25分以内に同じ200nLのリアクターにおいて完了される。次に、全てのRT−PCRは、サイズ分析用の分離チャネルにリアクターから定量的に移される。増幅された断片と未反応のRT−PCRの混合物は、リアクターからホールドチャンバーにポンプで送られ、廃棄から陰極リザーバーに電気泳動的に駆動される。アフィニティー捕捉プローブに相補性を有する対象の談判は、定量的に濃縮され、捕捉チャンバーの入口に固相化され、精製された捕捉プラグが作製される。アフィニティー捕捉マトリックスは、対象の断片(20μM)に相補的な2つの20塩基オリゴヌクレオチド捕捉プローブと共重合された直鎖状ポリアクリルアミド(LPA)ゲルを含む。この捕捉プロセスは、dsDNAアンプリコンを固相化するために、配列特異的なヘリックス侵入を用いる。捕捉プローブは、GAPDH及び18S rRNAアンプリコンの末端からのそれぞれ配列23及び47塩基に相補的である。プライミング部位内にプローブを置くことによって、捕捉ゲルはまた、未反応の高いモル濃度のFAM標識されたプライマーを除くために精製マトリックスとして作用する。最後に、精製され、濃縮された生成物は、アフィニティー捕捉ゲルから80℃で熱的に放出され、電気泳動的に分離され、共焦点傾向検出によって定量される(データ示さず)。
統合された微小流体遺伝子発現システムは、個々の細胞の遺伝子サイレンシングに関する定量的データを生じさせる。期待通り、未処理のJurkat細胞は、GAPDH mRNA及び18S rRNAの正常な発現を示す(図23A)。代表的な電気泳動図は、200bpのGAPDH及び247bpの18S rRNA標的のそれぞれ160s及び185sを移動する2つの強力なピークを示す(図23)。さらに、対象の断片を固相化するために捕捉マトリックスの使用は、分離から全ての未処理プライマーを除去し、干渉なしに小さな及び大きなアンプリコンの両方を検出することができる。GAPDH mRNAに指向されるsiRNAを用いて電気泳動された単一のJurkat細胞は、18S rRNAの唯一の単一ピークを185sに生じさせる。8個の個々の細胞からの単一細胞実験は、未処理Jurkat細胞の0、5、50、1、48、0、5、及び0%でGAPDH mRNAの発現を示す。この分析は、中程度(約50%)又は完全な(約0%)のサイレンシングを伴う集団に分類する。これらの単一細胞測定は、同条件下の50個のJurkat細胞において行われたバルク測定とは基本的に異なり、この場合、GAPDHの発現は元の値の21±4%(n=4)まで減少される。このようにして、遺伝子サイレンシングについて測定されたアンサンブル平均は、個々の細胞応答の確率的多様正をマスクする。パッド上に細胞が捕捉されていない対照アッセイは生成物を示さず、これは、このシステムにおいて余分な汚染がないことを証明している。同様に、逆転写なしのPCR対照は増幅を示さず、これは、増幅鋳型がRNAであり、DNAでないことを確認する。
サイレンシング挙動の変化がエレクトロポレーションプロセス中に導入されてsiRNAの量の単純な関数でないことを確認するために、細胞は、蛍光標識されたsiRNAで処理された。正常な条件下で増殖させた細胞は、17±2の相対蛍光単位(rfu)のCy3標識されたsiRNAの平均取り込みを示し(表S1)、30個のうち4個の細胞は、22rfuの僅かなレベル上昇を示した。エレクトロポレーションの変化が2個の細胞集団の原因である場合、本発明者らは、13%の細胞が、完全にサイレントされたとして特徴付けられ、87%が中程度にサイレントされたとして特徴付けられると期待した。微小流体デバイスにおいて行われた単一細胞遺伝子発現分析は、反対の蛍光を示す(図23B)。
Figure 2012523569
さらに、GAPDH遺伝子は、中程度のサイレンシングを経験している細胞集団がsiRNA結合ドメインにおけるヘテロ接合多形から生じているどうかを調べるために配列決定された。配列には突然変位がないことが分かった。GAPDH siRNA結合配列決定の配列決定の結果は、期待される配列(5’−AAA GTT GTC ATG GAT GAC C−3’)が、Jurkat細胞に見出され、2つの細胞集団が結合ドメインにおける多形の結果でないことを示唆した。したがって、本明細書に示されている2つの細胞集団は、siRNA送達の些細な結果、遺伝子変化、及び細胞生存性ではない。
異なるレベルの遺伝子サイレンシングを有する2つの異なる細胞集団の出現は、Liu YP,Dambaeva SV,Dovzhenko OV,Garthwaite MA,Golos TG.Stable plasmid−based siRNA silencing of gene expression in human embryonic stem cells.Stem Cells Dev.2005;14:487−492によって検出されている。ヒト胚幹細胞(hESC)における増強した緑色蛍光タンパク質生産の測定は、siRNA処理に対する全か無の応答を示しているが、根底のメカニズムは特徴付けられていなかった。本発明者らのシステムは、定量的な転写分析を行う独特な能力を実証し、80%の細胞が期待される完全な阻害を示すが、20%は50%阻害を示したことを表す。これは、siRNAの分解を調節し、その標的結合をブロックし、又は転写分解を阻害する遺伝的又は表現的な双安定性又はスイッチの存在を示唆する。これらのうち、後者のほんの2つのメカニズムは、50%阻害レベルについて重要な説明を与える。現在、より網羅的な研究は、本明細書において観察された二相発現蛍光を確認し、その機械的起源を探査することが要求されている。非常に並行した構造の作製は、本発明者らのアプローチの腫瘍な利点の1つであるため、最大96個にスケールアップしたアナライザーは、この種の研究のために必要なスループットを提供することになる。
単一リアクターにおけるたった30サイクルのPCRを用いた、本発明者らの発現微小デバイスにおける1工程のRT−PCR増幅を行う本システムは、有効な統合の直接的な結果である。第1に、多孔質重合材料というよりはむしろガラスの使用は生成物吸着を妨げる。第2に、ガラスの高い熱伝導性は、迅速な熱サイクリングを可能にし、反応効率を増加させる。第3に、空気弁及びポンプの使用は、ナノリットルのボーラスな材料の効率的移動を可能にする。最後に、アフィニティー捕捉、精製、及び濃縮プロセスは、全ての生じた生成物の定量的分析、伝統的なクロスインジェクター又は動圧インジェクターの使用と比較した劇的な改善を可能にし、これは、分析されるべきごく一部(1%未満)の生成物だけを可能にする。この統合されたデバイスのこれらの有意な特性は、単一細胞の特性及び挙動に関する多種多様の生物分析的研究への方向性を示す。
ここで、本発明者らは、siRNA処理の結果としてノックダウンされたmRNAの変化に関する単一細胞測定を行っている。このアッセイは、バルク測定によってマスクされた個々の細胞において、固有の二相遺伝子ノックダウン効率を示唆する。分析工程はサイズに基づく分離を利用するため、多重能力は、生成及び分析され得る生成物数によって決定され、これは、5〜10の標的の発現が並行して研究され得ることを示唆している。この微小デバイスをレーザー捕捉顕微解剖と結合させることによって、腫瘍の異種性が単一細胞レベルで調査され得る。また、Oct4 mRNA標的を使用して、トロポブラスト様細胞に分化を誘導する場合、hESCにおける発現に対するsiRNA処理の効果の定量的単一細胞分析を行うことができるはずである。さらに、リアクターあたり11個未満のmRNA分子の本発明者らの従前の検出に基づいて、本微小流体でデバイスは、改善された生成物捕捉、精製及び注入プロセスが十分に可能とされ、統合されると、単一転写レベルで個々の細胞からの発現の研究を最終的に可能とする。全体として、本アプローチは、アンサンブル平均の根拠をなす遺伝子発現における確率的変動を示すための多くの興味深い可能性を提供する。
材料及び方法。バイオセンサー製造。製造プロトコールは、参照により本明細書に援用されるToriello NM,Liu CN,Mathies RA.Multichannel reverse transcription−polymerase chain reaction microdevice for rapid gene expression and biomarker analysis.Anal Chem.2006;78:7997−8003に記載の従来の核酸増幅微小デバイスに使用されるものに類似している。要約すると、空気マニホールドウエハースを形成するために、バルブシートと作動チャネルはフォトリソグラフィー的に画定され、0.5mm厚のボロフロートの100mmガラスウエハース上に38μmの深さでエッチングした。バルブ作動アクセスホールにドリルで穴をあけ、マニホールドは再利用可能な9mm×6cmストリップに切られた。取り外し可能なポリジメチルシロキサン(PDMS)エラストマーバルブは、PDMS−ガラス結合を改善するために、1.5分間、UVオゾンクリーナーを用いて254μmのPDMSメンブレンの両側を活性化し、次に、マニホールドと結合されたチャネルウエハースとの間のメンブレンをサンドイッチにすることによって形成された。
リアクター/チャネルウエハースは、0.5mm厚のボロフロートガラスウェア上に作製された。ポンプするための流体チャネルは、前面側にフォトリソグラフィー的に画定され、深さ38μmにエッチングされた。反応、ホール後、及び捕捉チャンバー、並びに分離チャネルは、裏側にフォトリソグラフィー的に画定され、深さ20μmの深さにエッチングされた。電気泳動リザーバー、抵抗温度検出(RTD)アクセルホール、及びホールを介したバルブはダイヤモンドドリルで穴があけられた。RTDウエハースを形成するために、200ÅのTi及び2,000Åのpt(Ti/Pt;UHVスパッタリング)で配置された0.5mm厚のボロフロートガラスウェアは、フォトリソグラフィー的にパターン化され、30μm幅のRTDエレメント及び300μm幅のリードを形成するために、90℃の王水でエッチングされた。ドリルで穴があけられたリアクター/チャネルウエハースは整列させられ、665℃で6時間、プログラム可能な真空炉を用いることによって、RTDウエハースに熱的に結合された。
取り外し可能なモジュラーヒーターを形成するために、0.5mm厚のボロフロートガラスウェアは、2,200ÅのTi/Ptを用いてスパッター配置された。ヒーターリーダーは、リソグラフィー的に画定された領域に6μmの金を電気めっきすることによって形成された。金リードに接続しているTi/Ptは、ヘビ型抵抗ヒーターエレメントは、イオンミルにおいてフォトリソグラフィー的に曝露されたTi/Ptを異方的にエッチングすることによって形成された。
Jurkat細胞調製。Tリンパ球Jurkat細胞は、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(1%P/S;Invetrogen)及び25μMのAc4ManNAz含有の10mLの培地(RPMI培地1640;Invetrogen)中に50mLフラスコ(Nalge−Nunc International)において48時間培養された。増殖の最初の24時間、細胞は10%FBS(JR Scientific)を用いて培養された。Jurkat細胞を洗浄し、25μMのAc4ManNAz含有の血清枯渇培地中でさらに24時間、同期のためにインキュベートした。新鮮なDNA官能化されたJurkat細胞は、分析の1時間前に調製された。1%FBS含有PBS(Ambion)5mLで細胞を2回洗浄し、1%FBS/PBS中の125μMのリン酸修飾したssDNA(5’−phos−GTA ACG ATC CAG CTG TCA CT−3’)と1時間37℃で反応した。次に、微小流体デバイスに導入前に、5mLの1%FBS/PBSで細胞を3回リンスした。
siRNA処理。遺伝子サイレンシング研究について、150,000個のJurkat細胞は、二重標準GAPDH siRNA(センス、5’−GGU CAU CCA UGA CAA CUU UdTdT−3’;Ambion)の2.5μgを用いてエレクトロポレートされた。細胞は、75μLのsiPORTエレクトロポレーション緩衝液(AM1629;Ambion)中に懸濁され、単一パルスは、250μs間250Vで1mmキューベット(Bio−Rad)において行われる。次に細胞を増殖させ、上記のJurkat細胞の調製のセクションに記載されたのと同じようにして調製した。負の対照研究について、細胞は、mRNAに結合しないCy3標識されたsiRNAの150pmolを用いてエレクトロポレートされた。
RT−PCR混合物。多重RNA RT−PCRは、Jurkat細胞から直接得たGAPDH及び18S rRNAについて行われた。25μLのRT反応混合物は、Cell−to−cDNA IIキット[4単位のMoloneyマウス白血病ウイルス(Mo−MLV)逆転写酵素、0.4単位のRNase阻害剤、0.1μMのdNTP、1×RT緩衝液(Ambion)]、0.08単位のプラチナTaqポリメラーゼ(Invetrogen)、並びにGAPDH遺伝子に対する800nMのフォワードとリバースプライマー、及び18S rRNA標的に対する20nMのフォワードとリバースプライマーを含む。GAPDHフォワード(5’−AGG GCT GCT TTT AAC TCT GG−3’)及びリバース(5’−FAM−TTG ATT TTG GAG GGA TCT CG−3’)プライマーは、200bpアンプリコンを生じさせる。18S rRNAフォワード(5’− CGG CTA CCA CAT CCA AGG AAG−3)及びリバース(5’−FAM−CGC TCC CAA GAT CCA ACT AC−3’)プライマーは247bpアンプリコンを生じさせる。RTなしの対照、及び鋳型なしの対照は、反応混合物からそれぞれMo−MLV RT及びJurkat細胞を除くことによって微小デバイスで行われた。
マトリックス合成。DNAアフィニティー捕捉ゲルは、LPAと2つの5’−アクリダイト修飾された捕捉オリゴヌクレオチドとを共重合させることによって合成される。アフィニティー捕捉マトリックスは、6%wt/volのアクリルアミド、1×TTE、及び40nmolの2アクリダイト修飾されたオリゴヌクレオチド(IDT)をアルゴンで2時間散布し、次に0.015%wt/volの過硫酸アンモニウム(APS;Fisher Scientific)及びテトラメチルエチレンジアミン(TEMED;Fisher Scientific)を添加することによって4℃にて合成される。アフィニティー捕捉マトリックスは、GAPDH(5’−Acry−ATC CCA TCA CCA TCT TCC AG−3’、TM=54.2;50mMの一価塩、20μM)及び18S rRNA(5’−Acry−GCA GCC GCG GTA ATT CCA GC−3’、TM=61.9;50mM一価塩、20μM)に対する捕捉プローブを含む。GAPDH捕捉オリゴヌクレオチドは、200bpアンプリコン中の20塩基配列に相補的であり、5’FAN標識された末端から23塩基である。18S rRNA捕捉オリゴヌクレオチドは、247bpアンプリコン中の20塩基配列に相補的であり、5’FAM標識された末端から60塩基である。
リアクター製造。ガラス表面は、非特異的細胞接着を妨げるために、改変されたHjerten被覆プロトコールを用いることによって、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)を用いて誘導化される。最初に、リアクターのガラス表面は、1MのNaOHで1時間インキュベートすることによって脱プロトン化される。NaOH溶液を3.5pH H2O中の0.6%(vol/vol)(γ−メタクリオキシプロピル)トリメトキシシラン溶液(γ、Sigma)に置換する。二機能性γ−溶液は、アクリルアミドポリマー核生成のためにガラス表面を調製する。γ−溶液のインキュベーション中、250μLのジメチルアクリルアミドは、4.75mLのH2Oに溶解され、Arを用いて1時間散布される。Ar散布後、100μLの磯ピルアルコール(IPA)、20μLのTEMED、及び25μLの10%(vol/vol)APSを連続して、アクリルアミド溶液に添加し、直鎖状PDMAを形成する。γ−溶液をチャネルから取り出し、PDMA溶液をチャネル中で1時間インキュベートする。次に、チャネルをリンスし、アセトニトリルで乾燥させる。
次に、反応チャンバーの中心においてリソグラフィー的に画定された25μm×25μmの金パッドは、Tris(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、200μM;Invetrogen)脱保護されたチオール−DNA(5’−チオール−AGT GAC AGC TGG ATC GTT AC−3’、20μM)とともに1時間インキュベートすることによってssDNAで官能化される。その後、チャンバーはリンスされ、乾燥して未結合DNAを取り除く。
ゲル泳動配列。デバイスは、電気浸透流を抑制するために分離チャネル、ホールドチャンバー、及び捕捉チャンバーをメタノールに希釈された動的被覆を用いて1分間処理することによって、アフィニティー捕捉及び分離について分離される。多重アフィニティー捕捉マトリックス(20μM、6%、黄色)は、室温にて分離チャネル交差まで各陰極(C)リザーバーから泳動される。次に、分離マトリックス(赤色)は中央陽極(A)から捕捉チャンバーを過ぎて試料泳動クロスに泳動される。全ての開放されたバルブを用いて、システムの残りは、試料部分で3μLのRNase不含水を添加し、廃棄(W)リザーバーで真空にすることによって水和させる。その後、微小デバイスは、44℃の温度制御段階に配置される。追加の2μLの水が、試料泳動黒数から熱的に拡張したゲルを取り除くためにシステムを通じて流される。
バイオプロセッサー操作。図22に示されるように、微小デバイス操作は、細胞捕捉用の反応チャンバーを調製することによって開始する。それらの表面にssDNAを含むように修飾された細胞は、反応混合物に懸濁され、真空によって反応に導かれる。細胞が金細胞捕捉パッド全体に流れる場合、DNAハイブリダイゼーションは、細胞表面上のssDNAと金パッドに固相化された捕捉的ssDNAとの間で生じる。捕捉効率を最大にするため、DNA媒介した細胞捕捉は、15分間行われる。捕捉されていない細胞をシステムから洗い出し、廃棄部分で除去され、バルブは熱サイクリングのために閉じられた。この研究中に、4つ全てのリアクターを並行して用いた。これは、4個の個々の細胞から同時分析を可能にした。捕捉後、各細胞の形態学は、視覚可能な状態にしていることを確認するために記録される。単一細胞研究のための全データ回収時間は1カ月であった。
凍結融解の溶解及び1工程のRT−PCR熱サイクリングは、単一の200nLリアクター内で行われた。ドライアイスの破片は、捕捉されたJurkat細胞を凍結融解によって溶解するために、30秒間、4つ全てのリアクターの反応チャンバーに置かれた。凍結融解の溶解は、この1工程RT−PCRにおいて用いることにより、Hot Start Tagポリメラーゼの初期に望ましくない活性化を妨げ、逆転写酵素の変性を妨げ、RNaseによるRNA分解を最小にした。次に、細胞のRNAから線状の15分のcDNA合成が、対象のRNA転写物(GAPDH及び18S rRNA)に相補的なプライマーを用いることによって、42℃で行われた。cDNA合成後、Mo−MLV RTを変性し、プラチナTaqポリメラーゼを95℃にて60秒間活性化し、その後、95℃5秒、47℃20秒、及び72℃25秒の30サイクルのPCRを行った。急速加熱及び冷却速度(>15℃s-1)のため、PCRの各サイクルは50秒で完了し、全反応時間は46分である。
熱サイクリング後、対象生成物のアフィニティー捕捉、精製及び濃縮を行った。リアクター内容物は、5段階のポンプサイクルによってホールドチャンバーにポンプで入れられた。350ms作動が各工程と共に使用され、30nLの1回拍出量に至った。23秒遅延は、各ポンプサイクル間で使用され、分析物を捕捉領域に移動させ、ホールドチャンバーに分析物蓄積を妨げるのに十分な時間とした。廃棄(W)と陰極(C)リザーバーとの間の一定の100V/cm領域は、捕捉チャンバーに分析物を駆動する。捕捉チャンバーに相補的な分析物は、捕捉チャンバーの入口でハイブリダイズされ、試料プラグを作製した。廃棄と陰極との間の電場は、残りのPCR反応物(過剰のプライマー、塩、及び緩衝液)が陰極リザーバーに線状されるまで維持され、結果として、精製されたアンプリコン試料プラグをもたらす。第3のポンプサイクルを用いて、全体として12.2分の捕捉及び洗浄時間であった。捕捉プロセスが完了後、全デバイスの温度を80℃に上昇させ、アフィニティー捕捉ゲルから熱的に捕捉されたDNA断片を熱的に放出し、試料は、陰極と陽極との間の150V/cmの領域で分離された。4つ全てのレーンから電気泳動的分別されたFAM標識された生成物は、Berkeleyロータリー共焦点スキャナーを備えたレーザー誘導蛍光(Shi YNら.Radial capillary array electrophoresis microplate and scanner for high−performance nucleic acid analysis.Anal Chem.1999;71:5354−5361)を用いることによって検出された。全捕捉及び放出プロセスは、熱勾配を防ぐために、スキャナー上の温度制御段階で行われた。
実施例7:バイオリアクター又は燃料電池のための単一藻類細胞又は細菌細胞のパターニング
糖質上のアルデヒド又はケトンを介して非動物細胞へのオリゴヌクレオチド結合に適用される本発明の原理を用いて、水素生成効率を研究及び最適化することができる。デバイスに対するオリゴヌクレオチドの捕捉及び結合により、チップ上でパターン化された細胞及び酵素の作製を可能にする。システムにおいて、電気へん水素ガスの変換は、水素生成を測定する。電流生成を介した直接的な水素生成の測定は、従来の測定と比較して、水素生成に対する潜在的に高い感受性のために有利である(培養の上部空間のGS表示を参照)。このような研究及び作動に対する本発明の利点には、デバイス上の細胞の正確な配置を伴う結合及び制御インプリシットを含み、次に、燃料電池は再利用可能であり、また燃料及びカーボンエネルギーの利用において高効率である。例えば、自立型燃料電池デバイスは、異なる光合成電池のパターン化された層を用いて構築することができ、この場合、電池は、太陽スペクトルの重ならない部分において太陽光を吸収し、さらに、隣接層の光合成電池によって作られたバイオマスを供給し、利用する窒素固定生物の代替層(単数又は複数)を組み込む。消耗した場合、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションによって結合された細胞を有する燃料電池は加熱され、オリゴヌクレオチドは脱ハイブリダイズし、死細胞は洗い出される。表面は、デバイス表面上の相補的オリゴヌクレオチドに再度結合する新鮮な修飾された細胞を用いて全体がリンスされる。しかしながら、ゾルゲル包埋された細胞を有するゾルゲルデバイスは廃棄され、同じように再使用することはできないが、この代謝回転はそれらの標的とされた応答に適している場合がある。
最適化された細菌及び藻類細胞パターニングは、DPBS中の5mMのNaIOにおいて、20分間37℃にて懸濁された細胞を用いて達成される。DPBSでリンス後、細胞は、pH6.0のMOPS緩衝液中の10mMアニリン、及び35μMのIリンカー−DNA(IDTから購入される、Iリンカーはヒドラジドリンカーである)において2時間再懸濁される。細胞をリンスし、インキュベートし、数分間、相補的パターン化されたDNAについて遠心分離(1%FBS)した。さらに、既に記載の他の利点のために、既に記載した他の利点に加えて、オリゴヌクレオチド捕捉された細胞を使用し、バイオリアクター、生物活性、代謝、及び燃料電池電気生成、及びこのような類似した他の使用のためのエネルギー供給源として太陽光に曝露した場合、本発明は、単層又は多層に細胞を配置する機会を与え、各細胞は、太陽燃料供給源に対して触接アクセスを有する。順に、これは、低強度光を使用する機会を与える。
本システムの他の実験及び使用は、チップ上のプロトン交換膜水素燃料電池のための設計を最適化することである。さらに、多孔性ポリマーは、窒素塩基及び細胞廃棄による白金/パラジウムの毒性作用を妨げるために使用されてもよい。このようなシステムの置換における水素出力効率を決定するために、単位時間に発生した電流が測定される。
異なる光合成及び非光合成微生物の組み合わせの水素出力効率は、システム効率の増加に向けた経路について研究され得る。デバイス上の生物のパターン、露光量、パターンにある生物の特定の組み合わせなどのパラメータは、効率を最適化するために変化させることができる。例えば、Melis研究室によって提案された3つの生物水素生成システム(太陽放射の異なる領域を吸収する2つの光合成独立栄養生物、及び光合成によって作製されるバイオマスを採用し、光合成が独立栄養成長に必要とする低分子有機酸に変換する1つの従属栄養生物)が適合され得る。提案された生物には、限定されないが、光合成:C.reinhardtii(藻類)、Synechocystis PCC 6803(シアノバクテリア)、R.rubrum(グラム陰性嫌気性生物);従属栄養生物:C.pasteurianum(窒素固定細菌)、Azotobacter sp.(任意の生物の最大呼吸速度を有することが提案される)が挙げられる(Melisら参照、本明細書のいずれかに引用されている)。
別の態様では、燃料電池は、陰極での溶液系還元の代りに開放空気陰極、及び陽極上に直接的に細菌をパターン化された陽極を含む。これは、LPA(直鎖状ポリアクリルアミド)修飾されたストレプトアビジン(Invitrogenから利用可能である)を用いて陽極を被覆することによって行われる。被覆はまた、細胞からの窒素廃棄による毒性からPtを保護する作用がある。5’−ビオチン修飾されたDNAは、アルミニウムリフトオフのリソグラフィーパターニングを用いて、LPA被覆された電極にパターン化される。そこで、ガラス電極基部は、電極にパターン化され、最終的には細胞は電極上にパターン化され、PDMS上部が結合される。水素生成は長期成長中、及び栄養素がプラトーになるときに最大となるため、細胞への非常に遅い培地の流れが一定に存在する。デバイスが照らされ、光合成による水素生成は、例えば、細胞に配置されたある種のバイアスを用いてリザーバー全体での電圧降下によって測定され得る。
燃料電池デバイスでは、水素ガスはPt電極上で核となり、大部分の燃料電池設計と同様に、電子が除かれ、直ぐに、細胞によって生成された水素を電気に変換する。
パターニングの別の関心のある局面は、燃料電池デバイスに使用するために、互いに上部に細胞をパターン化するためにDNAを用いている。ここで図30を参照すると、複数の細胞は、DNAマイクロアレイ上に互いの上部にパターン化され得る。各細胞は、シアノバクテリアであるSynechocystisを除き、赤色の自己蛍光を発する異なるフルオロフォアで標識される。細胞及びそれらが標識されるフルオロフォアが何かを示す概略図を図30に示す。利点は、光合成細胞間に挟まれた酸素吸収細胞(A.vinelandii)の空間配向が、光合成細胞の局所的近辺において酸素濃度を低く維持するのに潜在的に有用であるということである。光合成は副産物として酸素(少なくとも藻類及びシアノバクテリアの場合)を生成し、酸素を生成する酵素は酸素によって阻害されるので、信じられないほどに高い代謝を有する細胞に拘束された光合成細胞を有することは、局所的酸素濃度がいつも低く、酸素生成が維持されることを意味する。現在、Synechocystisは、ヒドロゲナーゼ酵素の酸素阻害により、長期のH2生成を上手く行わない。現に予期された実験は、細胞を一緒にして培養することを行うことができ(例えば、A.vinelandiiとSynechocystisとの同時培養、A.vinelandiiとR rubrumとの同時培養、又は3つ全てが一緒に培養される)、これらの培養は、好感的な水素放出を与え、細胞が単独で培養された場合よりも存在する酸素の低同を有することを示すべきである。
2及びH2ガス濃度はガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。デバイスの構築におり、1つの細胞型(例えば、R.rubrum)を用いて試験され、水素燃料電池として機能し得ることを示す。最後の実験は、二次元及び三次元パターニングが、2以上の細胞型の組み合わせを用いた場合、細胞の電気出力(H2酸性と同義)にどのようにして影響を及ぼすかを調べている。
各細胞を修飾するために使用された鎖は、細胞が正確にパターン化されることを確実にするために、他細胞又はガラス上の任意の他の鎖を補完しない。上記実施例において使用された同オリゴヌクレオチド(M1/C1、M2/C2、M3/C3)及び他の2つの相補的配列Z2(5’CACACACACACACACACACA3’)及びzc2(5’TGTGTGTGTGTGTGTGTGTG3’)は、ガラス基質上でこれらの細胞をパターン化するために使用することができる。細胞は、一度に1層でパターン化される。細胞は、5mM過ヨウ素酸ナトリウムで酸化され、次に、MOPS(N−モルフィリノプロパンスルホン酸)緩衝液中、pH6で約35μMヒドラジン−DNAにおいてインキュベートされる(MOPSは通常の緩衝化範囲外でこの実験に使用されることに留意すべきである)。細胞を洗浄後、予めDNAで修飾されたガラス基質上でPDMSウェルに可逆的に結合される。ウェルを1つの細胞溶液で満たし、3000rpmで5分間遠心分離し、PBS中でリンスし、次に、2又は3種の細胞型で連続的に繰り返す。DNAは、これらの条件下では脱ハイブリダイズせず、細胞は、図30に示されるようにパターン化される。選択される細胞型は、それらに限定されないが、多層のパターン化された細胞が本方法を用いて添加することができる。例えば、図30を参照すると、ガラスは、M2オリゴヌクレオチドで修飾され得る。Synechocystis細胞の層は、C1オリゴヌクレオチドを介してガラス基質に結合される。次に、このSynechocystis層は、C2オリゴヌクレオチドを用いて修飾される。A.vinelandii細胞は、M2オリゴヌクレオチドで修飾され、MS/C2ハイブリダイゼーションを介して、第1のSynechocystis層に結合される。A.vinelandii細胞の第2の層は、M2とC3で修飾され、R.rubrum細胞の第3の層は、Meで修飾され、次に、M2オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、第3の層を第2の層の細胞に連結させる。
パターニングは無菌条件下で行うべきであり、次に、全ての細胞が増殖することができる培地、及び少量の頭部空間を有するバイアルにおいてパターンを配置すべきである。H2生成は、この頭部空間から試料を経時的に採取し、活性をモニタリングすることによってモニタリングすることができた。システムは、全3若しくは2の細胞型、又はしかしながら多数の細胞型がパターン化される媒体、光源を必要とし、例えば、太陽光又は蛍光又はタングステンバルブが十分である。デバイスでは、培地の遅い流れがチャンバーの内外に与えられ、そこでは、細胞は電極上にパターン化される。システムを維持するために気体は必要でない。しかしながら、窒素ガスは、嫌気的環境を作るために燃料電池を開始した場合、システムを分離するために使用される。
各細胞の個々の培地であるが、1つの培地の体積で必要とされる同じ栄養素濃度を含む任意の培地が使用とされ得る。例えば、Synechocystisは、BG11と呼ばれる培地を用い、A.vinelandiiは、Burk培地で生存し、そのため、1LのBG11と1LのBurk培地において全ての栄養素成分を含む共培養の培地が、単一体積(1L)で作製され、それにより、個々の培地と比較して、1リットルあたりの栄養素の高い濃度を与える。R.rubrumは、ORMEROD培地を用い、その場合、3つ全ての生物用の培地は、1つの高い栄養培地に3つの培地を作る1Lの共培養培地における各培養の1Lについての全ての成分(緩衝化させるためのリン酸塩を引く)を有する。Burk培地からのリン酸緩衝液調製法を用いて、リン酸塩濃度を最適化することができる。
デバイスは、絶えず外部にある物に電力を供給するために働く。電池が消耗した場合、デバイスは加熱し、DNAは脱ハイブリダイズし、死細胞が洗い出され、新鮮な細胞は古い脂肪と置換して洗浄される。また、デバイスは、バッテリーとして、又はパワーグリッドに対する付加として作用し得る。理論的には、デバイスの多くは、連続して媒体に潜在的に電力を与えるように配線され、同意語としてSiソーラーパネルを用いて作用し得る。
実施例8:AFMパターニング
力支配の細胞−細胞間接着は、多くの生物学的プロセスに極めて重要であり、細胞分化、組織成長、腫瘍形成、及び脊椎動物の免疫応答の適切な機能化が挙げられる。これらの相互作用の強度は、典型的には、吸入マイクロピペットなどの力測定を可能にするプローブへの単一の生細胞の結合を介して特徴付けられる。ごく細菌、光学ピンセットが単一細胞の捕捉、及び高精度でこれらの力の測定に適用されているが、この技術は、ピコニュートンレンジでの力を適用することに限定される。原子間力顕微鏡(AFM)は、これらの方法に魅力的に代わるものを提供し、それは、ピコニュートンからナノニュートンで力を定量することができるためであり、この技術は、単一の生細胞の機械的特性を測定し、単一細胞レベルでの接着力を研究するために実際に使用されている。いくつかの基本的な接着測定は、細胞表面上で糖質部分に結合するフィブロネクチン又はレクチンを用いてAFMカンチレバーを被覆することによって達成されているが、特に、後者の場合には、細胞結合分子それ自体が、評価される細胞統制に影響を及ぼし得るある程度の細胞毒性を有することが報告されている。このようにして、これらの研究は、細胞受容体−リガンド相互作用の測定についてAFMの用途を強調するが、拡大された一連のカンチレバー結合法は、幅広く変化する時間スケールに対して、細胞−細胞間相互作用の研究に必要とされる。
この必要性に対処するために、本発明者らは、細胞生存率、接着強度、各技術が達成し得るプローブ再使用に重点を置いて、AFMカンチレバーに生細胞を結合するための3つの生体分子を媒介した方法を比較した。これらの研究は、相補的DNA鎖の使用を介した細胞結合が生存性に少なくとも影響を与え、細胞シグナル伝達経路を活性化しそうにないことを指示した。また、この方法は、全体の優れた接着強度を提供するが、このパラメータは、1つの表面から別の表面に細胞を移動することができるように減衰させることができる。本発明者らは、遊離細胞を拾い上げ、より長い相補領域を有するDNA鎖を持つ基質上に正確な位置でそれらを配置することによってこの概念を実証することができた。この「つけペン(dip−pen)」生細胞パターニングは、DNA媒介の細胞接着法の再利用性を実証し、十分に定義された空間関係を用いて複雑な細胞混合物の構築に有用であることを明らかにすることができた。
いくつかの結合ストラテジーの比較を可能にするために、3つの異なる生体分子(DNA、コンカナバリンA(ConA)、及び抗体)が、細胞アンカリング用に窒化ケイ素AFMカンチレバーに結合された。全ての結合法について、作業表面上の酸化ケイ素の薄層は、図16aに概要されるようにアルデヒド基で変換された。これらの工程を用いた製造された表面は、接触角測定によって特徴付けられた。
アミン官能化されたDNAは、還元アミノ化を介してアルデヒド基に結合された(図16b)。第1に、アルデヒド被覆されたカンチレバーは、アミン官能化された一本鎖DNA(ssDNA)溶液に浸され、次に、イミン形成を促進するために加熱された。室温まで冷却後、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を用いて、イミンを非加水分解性のアミン連結に還元された。また、この工程は、任意の未反応アルデヒド官能基をアルコールに還元するために利用された。3’末端でフルオロセインイソチオシアネート(FITC)を有する5’−アミン−官能化されたDNA鎖をカップリングさせることによって、この鎖の存在が蛍光画像により確認することができた。
これまで取り組みにおいて、タンパク質は、非特異的な吸着を介して、及びチップ表面に導入されたアミン基へのグルタルアルデヒド架橋を介して、AFMチップに結合された。より十分に画定された連結を提供する(したがって、より均一な細胞結合を実現する)ために、本発明者らは、代わりに、アミノ−DNA鎖に使用される単一の還元アミノ化ストラテジーを用いることを選択する。ConA及び抗ヒトCD抗体(抗CD3)上の表面リジン残基は、カンチレバー表面上のアルデヒド官能基(図16b)と反応させたが、低濃度の還元剤(66μM)は、タンパク質の三次構造を維持するために必要とされるジスルフィド結合の減少を最小にするために使用された。この反応に使用されるタンパク質濃度(20μMのConA及び6μMの抗CD)は、市販の試料を用いて容易に達成される。DNAについて上述したように、FITC標識されたConA及び抗CD3は、蛍光顕微鏡を用いて生体分子結合を検証するために、ある実験において使用された。同様のレベルの蛍光が各々について検出された。
DNA、レクチン、及び抗体のカンチレバーへの共有結合について、以下の方法を用いた。DNAを媒介にした細胞接着研究について、相補的オリゴヌクレオチド配列対(A/A’)を設計した。配列同一性は以下の通りであった:
A:5’−TCA TAC GAC TCA CTC TAG GG−3’
A:5’−CCC TAG AGT GAG TCG TAT GA−3’
アルデヒド被覆されたカンチレバー(MLCT−NONM)は、3×生理食塩水/クエン酸ナトリウム緩衝液(45mMクエン酸ナトリウム、450mMのNaCl、pH7.0)中の5’−アミン官能化されたssDNAの20μMの溶液中に15分間浸され、オーブン中に100℃にて30分間加熱され、次に、0.2%SDS溶液及び蒸留水(各1分)で洗浄された。得られたカンチレバーは、10mLのエタノール及び30mLのPBS中の0.1gのNaBH4の新鮮な溶液中で15分間浸され、次に0.2%SDS溶液及び水(各1分)で洗浄された。カンチレバーをN2下で乾燥し、使用するまで低湿度環境で保存した。ssDNAで被覆されたカンチレバーは、3’−FITC標識された5’−アミノssDNA(A鎖)をアルデヒド被覆されたカンチレバー表面にカップリングさせ、次に蛍光顕微鏡を用いて画像化することによって特徴付けられた。
また、コンカナバリンA及び抗CD3 IgGモノクローナル抗体は、還元アミノ化手法によって、アルデヒド被覆されたカンチレバー(MLCT−AUNM)表面にカップリングされた。アルデヒド被覆されたカンチレバーは、高湿度チャンバー中で2時間、66μMのNaBH4を含むpH7.0のPBS緩衝溶液中のタンパク質の20μM(ConA)又は1ng/mL(抗CD3)溶液に曝露された。次に、カンチレバーは、過剰のPBS及び水で洗浄され、使用するまで純粋なPBS溶液中で4℃にて保存された。
生細胞の表面にssDNAを有する生細胞を調製するために、本発明者らは、最初に、従来報告されている通り[Zabzdyr JL,Lillard SJ.Measurement of single−cell gene expression using capillary electrophoresis.Anal Chem.2001;73:5771−5775]、原形質膜に包埋された糖タンパク質にアジド官能基を導入した。過アセチル化N−α−アジドアセチルマンノサミン(AcManNAz)を細胞に添加し、次に代謝され、細胞の表面にアジドを提示した(図16c)。トリアリールホスフィン修飾されたssDNAは、5’−アミン修飾されたssDNAとホスフィンペンタフルオロフェニル(PFP)エステルとの反応を通じて調製された。その後、この試薬は、Staudinger連結を介して細胞表面のアジド基を標識するために使用され、安定なアミド連結を生じさせた。フローサイトメトリー実験は、アジド修飾された細胞表面への連結を受けるホスフィン−DNAコンジュゲートの能力を以前に検証している。多数の細胞型はこのシステムと適合されることが期待される(以前にはDNAに基づく接着法を用いて探査されている)が、非接着性のJurkat細胞は、それらが自ら細胞外マトリックスを分泌しないため、これらの研究のために選ばれなかった。したがって、全ての細胞接着イベントは、それらの表面上の生体分子からのみ生じる。
他の研究では、生細胞の表面にssDNAを有する生細胞を調製するために、DNA標準を細胞に結合させるための一般的なプロトコールを実施することができる。修飾直前に、5×106個のJurkat細胞の試料はPBS緩衝液で3回洗浄され、培地からいずれのタンパク質も除去した。最後のリンス後、追加のPBSを添加し、体積を5mL(1×106細胞/mL)にした。次に、細胞懸濁液を合成された1mLのNHS−DNA(11.7μM)溶液と反応させ、30μLの5’−チオールssDNA(C2配列)から精製した。混合物を室温にて30分間反応させ、次に1%FBS含有PBSで3回洗浄する。その後、0.5mLの1%FBS含有PBSに細胞を再懸濁させる。
細胞の生存率に対する接着分子の効果は、2つの異なる方法を用いて評価された。最初に、未修飾のJurkat細胞の懸濁液は、ConA又は抗CD3抗体とともに懸濁され、DNA被覆された細胞の溶液は相補配列とともに懸濁された。図17aは、3日間で、得られた細胞の増殖曲線を示す。DNA修飾された細胞の増殖は、未修飾細胞と同じであったが、抗CD3処理された細胞は増殖が遅延することが示された。ConA被覆された細胞は凝集し、12時間後、もはや生存していなかった。細胞形態変化は、可溶性生体分子によって誘導された。Jurkat細胞は、通常培地(対照)で増殖し、DNA修飾されたJurkat細胞は2μMのDNAの存在下で増殖し、未修飾のJurkat細胞は、2μMのConA又は0.1mg/mLの抗CD3の存在下で増殖された。得られた細胞は、12時間の期間後、光学顕微鏡で調べられた。細胞の見掛けは、DNA存在下で大きくは変化しなかったが、ConA及び抗CD3の存在下で増殖させた細胞は、凝集及び他の形態変化を示した。
第2の比較法として、3つの細胞接着分子は、上記で概要されたのと同じ還元アミノ化法を用いて、市販のアルデヒド被覆されたスライドガラスに被覆された。目視検査によって、3つ全ての表面は、効果的な細胞結合を達成することができた(図17b)が、DNAコンジュゲートされた細胞だけは、48時間後に形態変化を示していないようであった。ConA及び抗CD3固相化された細胞は、この期間中に有意な変化を示し、それらの表面受容体の架橋による可能性があった。表面固相化された細胞の生存率は、アネキシンV及びヨウ化プロピジウム(PI)染色を用いて24及び48時間後に決定された。DNA固相化された細胞について、低い割合のアポトーシス及びネクローシス細胞は、未修飾細胞と同じであった(図17c)。しかしながら、ConA及び抗CD3固相化された細胞は、対照試料と比較して、アポトーシス細胞の数が有意に高いことが示された。このようにして、DNA分子は、それらの相補パートナーとハイブリダイズするだけのようであり、力測定実験において細胞の全生理学を阻害する可能性は非常に小さかったはずである。
生細胞は、3つ全ての生体分子を有するAFMチップによって容易に捕捉された。この捕捉は、細胞膜をカンチレバーで触れるだけで達成され、5秒程度の短い接触時間で細胞のAFMチップへの移動がもたらされた。適切な生体分子を欠如しているチップによっては細胞は捕捉されなかった。
カンチレバー付着の強度を決定するための本アッセイは、細胞−カンチレバー接着が、細胞と相補的に官能化されたスライドガラスとの間のDNAに基づく接着よりも、総合して小さく、したがって、全体で弱くなるように設計された。この配列により、細胞−カンチレバー相互作用は、最初に破壊されることが期待され、相対的に低い濃度の生体分子が達成され得る相互作用の強度を生じさせた。細胞−表面相互作用前の細胞−カンチレバー相互作用の破壊は、実験中に視覚的観察によって検証された。脱着力は、2つの異なる収縮速度と2つの異なる接触力を用いて、各付着法のために測定された(図18a)。測定された脱着力は、Bellモデルによって予測されるように、全ての付着法を全体で接触力を及び修飾速度とともに増大した。ConA結合法は、脱着測定の12%でゼロ力結合イベントを生じさせた。このようなイベントは、DNA及び抗体の場合には観察されなかった。
有意な力の広がりは、3つ全ての付着法について観察された;しかしながら、全ての実験パラメータでは、DNA法が最も強い平均接着を示し、続いて抗体結合、次にConAであった(図18b)。対照実験として、本発明者らは、ConA及び抗CD3の捕捉効率は、細胞表面に導入されたDNA差の存在によって影響を及ぼされない。各結合ストラテジーについて決定された全脱着力は、連結の数と収縮速度に依存し、したがって、個々の生体分子相互作用の絶対的力を反映していない。比較のために、典型的な20bpのDNA二重鎖を分離するために必要とされる力は、38〜50pNであることが以前に決定され、本実験では、相互作用力が単純に付加的であると想定される場合、およそ20〜25の個々の連結は、細胞とカンチレバーとの間でなされるが、複数の並列結合はより複雑なスケーリング挙動を示し得る。同様の理由は、約10個のConA−マンノース相互作用(各47pN)及び12個の抗体−抗原相互作用(各49pN)が関与することを示唆した。各接着イベントに関わる連結の数を決定するための実験は、これらの効果をより正確に決定するために進行中である。それにも関わらず、この現在の結果は、各個々の連結の力が他の生体分子よりも小さい可能性があるとしても、DNAハイブリダイゼーション法は、典型的な調製条件下で最も強固な接着をもたらすことを示す。
細胞−カンチレバー相互作用の強さは、相互作用する鎖の数、及び相補的領域の長さを変化させることによって調整することができ、DNAハイブリダイゼーションの可逆性はまたチップが何回も使用されることを可能にする。これらの利点の両方によって、細胞を1つずつパターンに配列するためのAFMチップを使用できるようになる。最近の報告では、個々のDNA鎖は、プリントされた基質にある位置から別の位置に移動可能であり、類似のやり方で低分子色素をプリントすることができる。
これを行うために、短いDNA鎖(13塩基)の5μM溶液をカンチレバーに適用し、長鎖(20塩基)の80μM溶液をスライドガラスにカップリングさせた。DNA被覆されたJurkat細胞はCO2独立培地中でインキュベートされ、AFM装置下でスライドガラスの未被覆側に適用された。次に、カンチレバーは、400pNの接触力で10秒間細胞と接触するように下げられる。その後、カンチレバーを引っ込めて、カンチレバーへの細胞付着を視覚的に確認した。次に、結合した細胞は、1mm/sの最大速度でDNA被覆側に移動された。カンチレバーをスライドに接触するように下げ、細胞は、400pNの接触力で10秒間基質と接触するように下げられた。次に、カンチレバーを引っ込めて、すると、細胞はスライドガラスに接触したままとなる。このプリント方法を適用することによって、細胞は、2D基質に正確にそれらを配置するための(x,y)座標を与えられ得る。細胞は、パターニング後に視覚された状態で見出された。
要約すると、本発明者らは、AFMによる細胞−細胞相互作用の研究のための多目的なDNAに基づく接着法の開発を記載してきた。このプラットフォームの主要な利点は、チップの再利用性、相互作用力の調整可能性、及び十分に画定された化学的連結の使用を含む。使用された3つの生体分子に基づく結合ストラテジーのうち、DNA法は、結合後の細胞生存率の観点から優れていることが分かった。個々の細胞の正確かつプログラム可能なパターンを形成するためのAFMの使用は、細胞分化及び制御に関する隣接相互作用の影響を理解するための有用なツールを提供する。従来の報告では、本発明者らは、複雑なパターンは、相補的オリゴヌクレオチドを用いてプリントされた表面上でDNA被覆された細胞の自己アセンブリーを介して調製され得ることを示した。本明細書に記載されるAFMつけペン法は、複数の細胞型からなるクラスターを作製し、調べるために必要とされる高解像度を達成することができるこの技術に対する有用な補完体を提供する。本発明者らは、現在、癌の転移、免疫シナプス形成、及び細胞−細胞コミュニケーションに関与する基本的な接着メカニズムを解明するためにこの方法を用いている。
実施例9:ウイルスキャプシド
多価の標的送達ビヒクルのためのウイルスキャプシドの修飾。多価であり、標的とされた送達ビヒクルは、薬物投与及び診断画像のために大きな保証を与える。多数のコア足場、例えば、ポリマー、デンドリマー、無機ナノ粒子、及びリポソームは、これらの応用における顕著な成功をもって使用されてきた。生体分子に基づくベクターに関して、操作された熱ショックケージ及びウイルスキャプシドはまた、それらの内側に薬物分子を収納するように開発されてきた。これらの担体タイプの各々について、非常に重要な検討事項は、担体と標的とされた組織タイプの選択的関連性を可能にする受容体結合グループの設置である。この目的のための最も共通した分子ストラテジーは、葉酸、コバラミン、糖質、ペプチド及び抗体、並びに核酸アプタマーを伴っている。これらの分子の豊富な化学的多様性は、組成物を変化させるための足場に各々の複数コピーを付着させる希望に加えて、見事に官能化された基の寛容、及び生理学的条件下で進められる化学的反応を要求する。
化学選択的カップリング反応の増加数は、フルサイズの生体分子の標識に有利である。報告された方法の全ては、特定の強さ及び理想的用法を有糸、各技術の追加を伴って、新しい可能性は、複数の生体分子成分を含む複雑な構造の精製のために生じている。このリストに加えて、本発明者らは、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液の存在下でアニリンとフェニレンジアミンとの間で生じる非常に効果的な酸化的カップリング反応について報告している。この反応は、今までの優れた化学選択性を示し、μM濃度及び中性pHで迅速に進行する。この報告では、本発明者らは、ゲノムを含まないウイルスキャプシドの表面への20〜60コピーのDNAアプタマーを結合させるためにこの方法を適用する。得られた多価アセンブリーは、Jurkat細胞の表面にチロシンキナーゼ受容体に結合し、容易にエンドサイトーシスされる。最後に、本発明者らは、この化学は、担体内に機能的薬物分子を組み込むことができた他のバイオコンジュゲートと組み合わせることができることを示す。これらのヘテロ生体分子構造を調製する酸化的カップリングストラテジーの能力は、多数の異なるタイプの送達ビヒクルの調製においてその使用について十分な前兆となる。
バクテリオファージMS2は、標的とされた送達薬物の構築のために容易に利用可能な足場を提供する。このウイルスのタンパク質コートは、中空球形構造に配置されている180の配列同一な単量体からなる。コートタンパク質単量体は、大腸菌において発現され、容易に自己集合され得て、ゲノムを含まない頑丈であり、無毒な生分解性構造を生じる。参照により本明細書中に援用されるCarrico,Z.M.;Romanini,D.W.;Mehl,R.A.;Francis,M.B.Chem.Commun.2008,1205−1207を参照されたい。MS2キャプシドは、キャプシドの内部にアクセスを可能にする32個の孔を有するので、選択的修飾は、直交バイオコンジュゲート反応を用いて、内面及び外面の両方に達成され得る。(Hooker,J.M.;Kovacs,E.W.;Francis,M.B.Journal of the American Chemical Society.2004,126,3718−3719;Kovacs,E.W.;Hooker,J.M.;Romanini,D.W.;Holder,P.G.;Berry,K.E.;Francis,M.B.Bioconjugate Chemistry.2007,18,1140−1147)。 従来の報告では、本発明者らは、チロシンに基づく化学が、画像化応用に使用できるようにするために、F−18 PETトレーサー(Hooker,J.M.;O’Neil,J.P.;Romanini,D.W.;Taylor,S.E.;Francis,M.Molecular Imaging and Biology.2008,10,182−191)及びGdに基づくMRIコントラスト促進剤(Hooker,J.M.;Datta,A.;Botta,M.;Raymond,K.N.;Francis,M.B.Nano Letters.2007,7,2207−2210;Datta,A.;Hooker,J.M.;Botta,M.;Francis,M.B.;Aime,S.;Raymond,K.N.Journal of the American Chemical Society.2008,130,2546−2552)を組み込むために使用され得ることを示している。
特定の標的能力を有するキャプシドに与えるために、本発明者らは、核酸アプタマーをそれらの表面に接触させるのに有効な合成法を開発してきた。SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)プロセスを用いて、アプタマー配列は、実質的に任意の標的に結合するように進展させることができ(Tuerk,C;Gold,L.Science.1990,249,505−510;Ellington,A.D.;Szostak,J.W.Nature.1990,346,818−822)、一度、組成が同定されると、それらは自動化された固相合成技術を用いて容易に得ることができる。また、それらの合成は、安定性を改善するか又は新規な機能性を授けることができる修飾された骨格の導入に影響を受けやすい。さらに、アプタマーは、多くの場合、抗体の特異性及びアフィニティーと合致するか又は抑制することさえも可能であり、より小さなサイズの付加された利便性を有する。これらの質は、標的とされた治療の開発、及び幅広く変化に富む標的能力を有するプラットフォームを画像化するための魅力的なツールとする。
MS2キャプシドの表面にオリゴヌクレオチドアプタマーを組み込むために、本発明者らは、従来報告されているNaIO4媒介性酸化剤カップリングストラテジーを選択する。この方法は、NaIO4の存在下でアニリンへのN,N−ジエチル−N’−アシルフェニレンジアミン部分の化学選択的カップリングを必要とする。従来の研究では、過ヨウ素酸ナトリウムを使用して、RNAの3’末端に1,2−ジオールを酸化し、アルデヒド官能性を導入していたが、RNA鎖の分解は観察されなかった。この観察は、RNAに基づくアプタマーが本方法を用いて使用可能であったことを示唆するが、本発明者らは、単離及び操作工程中の加水分解に向けた安定性の増大に起因して、DNAを進めることを選択する。アニリンカップリングパートナーは、アンバーストップコドン抑制システムを用いて、MS2コートタンパク質の19位に、直接的な化学修飾、又は非天然アミノ酸であるp−アミノフェニルアラニン(paF)の導入を通じてMS2キャプシドの外面に導入され得る(Carrico,Z.M.;Romanini,D.W.;Mehl,R.A.;Francis,M.B.Chem.Commun.2008,1205−1207)。後者の経路を用いて、本発明者らは、酸化カップリングストラテジーが、フェニレンジアミン基を有するペプチド鎖の100を超えるコピーを導入することができることを以前に報告している。この報告について、本発明者らは、再度、T19paF突然変位(MS2−paF19)を有するキャプシドを生成するために抑制法を用い、したがって、外面へのカップリングのために180個のアニリン基を提供した。しかしながら、この場合、本発明者らは、再度、カード導入のために内面に180個のスルフィドリル基を提供するためにN87C突然変位を導入した。得られたMS2−paF19−N87C二重突然変位体は、10mg/Lの培養物として得られた。
反応条件を開発するために、20塩基のDNA配列、A鎖を最初に選択した。この配列のアミン末端バージョンから開始して、N,N−ジエチル−N−アシルフェニレンジアミン部分は、NHS−エステル含有前駆体を用いたアシル化を通じて容易に導入された。次に、反応銃剣は、反応性DNA、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度、及び反応時間を変更することによってスクリーニングされた(図25)。最適DNAカップリングは、MS2−paF19コートタンパク質(20μM、単量体に基づく)と比較して10〜20当量(200〜400μM)のDNAコンジュゲート、及び250当量の過ヨウ素酸塩(5mM)を用いて、室温にて1時間で達成された。カップリング効率の更なる増加は、反応が高濃度の塩化ナトリウムで行う場合に観察され、それは、より多くのDNAが結合されるため、キャプシド表面上の負の電荷密度の蓄積を保護するための高いイオン強度の能力による可能性がある。A鎖について、SDS−PAGE及びクーマシー染色、続く光学密度測定により32%のキャプシド単量体がDNAの一本鎖で修飾されていることが示され、これは、各々の無傷なキャプシド上の55本の鎖に対応する。長い配列は、僅かに低い変換を示し、これは、立体効果及び静電反発力に起因している可能性が高い。反応後、修飾されたキャプシドは、100kDaの分子量カットオフを有するサイズ排除クロマトグラフィー又は遠心分離濃縮器を用いて過剰なDNAから分離され得た。技術的ノートとして、全てのグリセロール、エチレングリコール又は他の隣接ジオールを試料から除くには注意が必要であり、それにより、過ヨウ素酸塩との反応からそれを妨げる。
図25cとdに示されるように、得れたキャプシドは、透過型電子顕微鏡(TEM)及び動的光散乱(DLS)によって無傷のままであった。DLSは、A鎖のキャプシドへのコンジュゲートに応じて、流体力学直径において10.5±0.7nmの増加を示した。相補鎖が導入された場合、直径はさらに3.9±1.0nm増加し、これは、DNAが、キャプシドの外部にコンジュゲートした場合に、ワトソン−クリック−フランクリン塩基対をなおも可能にすることを示唆した。塩基対の能力は、DNA鎖が酸化カップリング条件を通じて安定であるという良好な証拠を提供する。変性したキャプシド単量体を用いて、コンジュゲートしたDNAの塩基対は、さらに、ゲルシフトアッセイを用いてSDS−PAGEによって確認された(図25b)。
MS2の内部表面の官能化のため、標準的なシステインバイオコンジュゲートを選択した。MS2は、正常なマレイミドバイオコンジュゲート条件下でアクセスできないことが分かっている2つの天然のシステインを含む。したがって、二重突然変異(MS2−paF19−N87C)を発現させ、内部表面にシステインを導入した。システイン突然変異の反応性を示し、この場合、MS2は、Alexa Fluor 488マレイミド(AF488)の存在下で蛍光標識されるようになる。さらに、MALDI−TOF MSは、単一修飾された生成物への定量に近い変換を示す。システイン突然変異のないMS2−paF19キャプシドは、同一条件下で色素導入を示さなかった。
図24に示される送達ビヒクルの合成を終了させるために、Jurkat細胞上に特異的な細胞表面マーカーを標的とする41ヌクレオチドのDNAアプタマー(B鎖)を外部標的基として選択した。B鎖は、従前、sgc8cとして報告され、細胞−SELEXプロセスを用いて単離され、その結合パートナーは、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)であることが決定された。PTK7は、Jurkat細胞の白血病細胞、並びに多数の他の白血病細胞株の表面に存在する膜貫通型タンパク質であり、T細胞の急性リンパ芽球性白血病用の潜在的なバイオマーカーとして提案されている。酸化カップリングストラテジーを用いて、20〜40コピーのジエチルフェニレンジアミン標識されたB鎖が各キャプシドに結合され、SDS−PAGE及びデンシトメトリー分析によって決定された(図25a、レーン8)。細胞結合アッセイにおけるキャプシドを検出するために、内部は、DNA結合前に、上記したAF488発色団で修飾された。
本発明者らは、Jurkat細胞とともに37℃にて30〜60分間、培地中にてこれらのキャプシドをインキュベートすることによって、キャプシドの標的特異性を試験した。フローサイトメトリーを用いたその後の分析は、B鎖(キャプシド中に11nM)を有するMSキャプシドに曝露された細胞試料が、バックグラウンドの細胞の自己蛍光と比較して、平均蛍光強度の有意な増加を示したことを表した(図26a)。負の対照について、本発明者らは、外部修飾のないAF488修飾キャプシド(AF488−MS2)、及びランダム配列の41nt鎖で修飾されたキャプシド(C)を合成した。両方の対照キャプシドは、平均蛍光強度の増加を生じさせず、細胞結合における特異的アプタマー配列の役割を確認した。
フローサイトメトリー実験におけるB鎖の標的を検証すると、本発明者らは、共焦点顕微鏡を用いて、修飾キャプシドの細胞内在化を調べた。Jurkat細胞と共に30〜60分間、37℃にてインキュベーション後、B鎖で標識されたキャプシドの存在は、細胞内の明るい蛍光ドットとして検出され得た(図3b)。蛍光エンドサイトーシスマーカーを用いて同時染色実験は、B標識キャプシドは低密度リポタンパク質(LDL)粒子(トランスフェリンでない)を用いて同時局在したことを示した。トランスフェリン及びLDLは既知のエンドサイトーシスマーカーである一方で、それらは、細胞内に一度入ると異なる経路を介して移動する。トランスフェリンは、リサイクリング経路を介して表面に戻るように指向されるエンドソームを指示することが示され、一方、LDLと関連した小胞は、最終的にはリソゾームに移動する。α−PTK7アプタマーの標的特異性と組み合わせて、Bキャプシドのリソゾーム運命は、リソゾーム酸性化に応じて優先的に放出される酸に不安定なプロドラッグの標的薬物送達について促される。
任意の送達ビヒクル組成について、保護されていない生体分子標的試薬の結合は、組織特異性を達成するために主に重要なものになる可能性がある。この報告書は、この目的のための化学選択的酸化カップリング反応の利用性を実証する。具体的には、本明細書に記載されているMS2に基づくビヒクルは、ここで、結合アプタマーが決定されている任意の受容体に標的とされ得る。診断画像の目的のため、キャプシドが内在化される必要はない可能性がある;しかしながら、観察された取り込みは、薬物送達応用に非常に有益であるように描かれる。この実験では、本発明者らは、これらの担体に抗癌剤、並びにインビボで細胞マーカーの局在を決定するために用いることができる放射性核種及び造影剤を添加している。
一般的手法及び材料。特に記述がなければ、全ての化学物質及び溶媒は、分析グレードのものであり、市販供給源から入手されるものを用いた。分析用の薄層クロマトグラフィー(TLC)は、EM試薬0.25mmのシリカゲル60−F254プレート上で行われ、254nmでの紫外線(UV)照射又は過マンガン酸カリウム染色によって視覚化した。全ての有機溶媒は、ロータリーエバポレーターを用いて減圧したで除去された。ジクロロメタン(CH2Cl2)は、窒素雰囲気下で水素化カルシウムから蒸留された。生物学的手法に使用されるか又は反応溶媒としての水(dd−H2O)は、NANOpure精製システム(Barnstead,USA)を用いて脱イオン化された。4−(4−ジエチルアミノ−フェニルカルバモイル)−酪酸スクシンイミジルエステルは、以前に報告された方法を用いて調製された。全てのオリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(Coralville,IA)から入手された。試料は、逆相HPLC又はNAP−5ゲル濾過カラム(GE Helthcare)によって精製された。LAB CONCO Freezone 4.5(Lab Conco)を用いて試料を凍結乾燥させた。凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドは適切な緩衝液中で再懸濁され、濃度は260nmの吸光度を測定することによって決定された。全ての細胞培養試薬は、他に記述がなければ、Gibco/Invitrogen Corp(Carlsbad,CA)から入手された。細胞培養は標準的な技術を用いて行われた。Jurkat細胞は、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS、HyClone)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、Sigma)が補足されたRPMI培地1640中でT−25培養フラスコ(Corning、USA)において増殖された。
器具及び試料分析NMR。1H及び13Cスペクトルは、Bruker AVQ−400(400MHz)分光計を用いて測定された。化学シフトは、クロロホルム−d(δ7.26,s)と比較して、100万分の1(ppm)でδとして報告された。多重度は以下のように報告される:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、dd(二重項の二重項)、p(五重項)、m(多重項)、br(ブロード)、又はapp(見掛け)。カップリング定数は、J値(ヘルツ(Hz))として報告される。所定の共鳴のプロトン数(n)は指示されたnHであり、スペクトル統合値に基づく。
質量分析。マトリックス支援レーザー吸着イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF MS)は、Voyager−DETMシステム(PerSeptive Biosystems,USA)で行われた。MALDI−TOF MS分析前、試料は、C18 ZipTip(登録商標)ピペットチップ(Millipore,USA)を用いて脱塩された。オリゴヌクレオチド試料は、3−ヒドロキシピコロン酸:クエン酸アンモニウム溶液(4.5:5.5のMeCN:ddH2O中の45mg/mL:5mg/mL)を用いて同時結晶化された。電気スプレーイオン化質量分析(ESI−MS)オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、Ion Max電気スプレーイオン化(ESI)源を曽田得たLTQ Orbitrap XL質量分析器(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を用いて分析された。試料溶液は、シリンジポンプを用いて、流速5μL/分にてESIプローブに注入された。イオン光学に適用される電圧は、Tune Plusソフトウェア(バージョン2.4,Thermo)を用いて、対象のイオンの最適な脱溶媒和及び透過のために自動的に調節された。マススペクトルは、2分間のm/z=500〜2000の範囲全体で負のイオンモードにおいて記録された。マススペクトルは、Xcaliburソフトウェア(バージョン4.1,Thermo)を用いて処理され、測定された変化状態の分布は、ProMassソフトウェア(バージョン2.5SR−1、Novatia,Monmouth Junction,NJ)を用いて解析された。ESI−MS分析前に、オリゴヌクレオチドは以前に記載の通りに調製された。オリゴヌクレオチド及びタンパク質試料についての全てのMSデータは、0.1%の正確な値の範囲内にあることが見出された。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)。HPLCは、アジレント1100シリーズのHPLCシステム(Agilent Technologies,USA)で行われた。全てのHPLC実験についての試料分析は、インラインのダイオードアレイ検出器(DAD)で達成された。オリゴヌクレオチドの分析用及び調製用の逆相HPLCは、C18静止期、及びMeCN/100mM酢酸トリエチルアンモニウム(TAA,pH=7.0)を用いて達成された。
ゲル分析。タンパク質分析について、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、Laemmliのプロトコールに従って、Bio−Rad(Hercules,CA)のMini−Protean装置で実施された。全てのタンパク質の電気泳動試料は、1,4−ジチオトレイトール(DTT)の存在下で10分間100℃にて加熱され、いずれのジスルフィド結合の還元が確認された。5分間、30Vで70〜90分にて120Vでゲルを泳動し、バンドの良好な分離を可能にした。市販のマーカー(Bio−Rad)は、見掛けの分子量の帰属のために各ゲルの少なくとも1つのレーンに適用された。タンパク質バンドの視覚は、クーマシーブリリアントブルー(Bio−Rad)を用いた染色によって達成された。蛍光タンパク質コンジュゲートについて、視覚化はUVバックライトで達成された。ゲルイメージ化は、EpiChem3ダークルームシステム(UVP,USA)にて行われた。
動的光散乱。Malvern Instruments Zetasizer Nano ZS usage courtesy of Jean Frechetを用いて、DLS測定値を得た。データプロット及び標準偏差は、3点想定の平均から計算され、各々は各45秒の15ランからなっている。測定データは強度プロットを示し、小さい径よりも多い106の因子によって大きな径を計測する。試料は、10mM(pH7.0)リン酸緩衝液に採取された。
透過型電子顕微鏡(TEM)。TEM画像は、100kV加速電圧を有するFEI Tecnai 12透過型電子顕微鏡を用いて、UCBerkeley Electron Microscope Labで得られた。TEMグリッドは、Cressington 108 Auto Sputter Coaterにおいて、アルゴンプラズマ(0.1mbarで30秒間、40mA)でカーボン被覆されたフォームバー指示された銅メッシュグリッドをチャージすることによって調製された。タンパク質試料は、5μLの試料をこれらのグリッド上でピペッティングし、3分間、平衡にすることによってTEM分析のために調製された。次に、試料は、フィルターペーパーで水分を吸い上げ、ddH2Oでリンスした。次に、グリッドは、負の染色として、90秒間、酢酸ウラニルの1%(w/v)水溶液5μLに曝露された。過剰染色を除去後、グリッドを空気中で乾燥させた。
オリゴヌクレオチドにフェニルジアミンを添加するための実験の一般的手法。5’末端に一級アミンを含むDNAオリゴヌクレオチドを購入した。典型的な反応は以下の通りである:300μM濃度のDNAは、DMFと50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)の1:1溶液中で、4−(4−ジエチルアミノ−フェニルカルバモイル)−酪酸スクシンイミジルエステル(60〜120当量)と反応させる。反応混合物は、簡単にボルテックスし、次に、室温にて2時間反応させた。RPHPLC又は市販のゲル濾過カラムを用いて、市販のプロトコールに従って、DNAから低分子を精製することができる。精製後、DNAを凍結乾燥させ、次に所望の緩衝液に再懸濁させる。260nmの吸光度を測定することによって濃度を決定する。A、B、及びCの配列識別は以下の通りである:
A:5’−TCATACGACTCACTCTAGGGA−3’
B:5’−ATCTAACTGCTGCGCCGCCGGGAAAATACTGTACGGTTAGA−3’
C:5’−CCCTAGAGTGAGTCGTATGACCCTAGAGTGAGTCGTATGAA−3’。
MS2へのDNAコンジュゲートのための一般的手法。エッペンドルフチューブは、MS2−paF19又はMS2−paF19−N87C(20μM)、フェニレンジアミン被覆オリゴヌクレオチド(200〜400μM)、及びNaIO4(5mM)で満たされる。反応は、150mMのNaClを含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)において行われる。反応は、簡単にボルテックスし、室温にて1時間反応させる。1時間後、50μLの反応物について、反応は、500mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)の50μLを添加することによってクエンチされる。精製について、試料を最初に、ゲル濾過(NAP−5)によって所望の緩衝液にバッファー交換する。次に、過剰のDNAは、100k分子量カットオフ(Millipore)を用いて連続遠心分離濾過によって除去される。
MS2変位体のクローニング及び発現。pBAD−MS2−paF19プラスミド生成及び増殖は従来報告されている。本発明者らは、p−アミノフェニルアラニン(paF)組み込みのために必要なtRNA及びtRNA−シンターゼをコードするプラスミドについて、Peter Schultz lab(Scripps Research Institute,LaJolla,CA)を考慮したい。87位は、以下のフォワード及びリバースプライマーを用いてシステインに突然変位された:フォワード:5’−AGCCGCATGGCGTTCGTACTTATGTATGGAACTAACCATTC−3’、リバース:5’−GAATGGTTAGTTCCATACATAAGTACGAACGCCATGCGGCT−3’。MS2−paF19−N87Cの増殖及び精製は、MS2−paF19と同じであったが、MS2−paF19−N87C(約1〜10mg/L、比較するとMS2−paF19については約20mg/mLである)については低収率で得られた。
MS2−paF19−N87Cの二重表面修飾。MS2−paF19−N87Cは最初に、内部システインにおいて修飾される。システインアルキル化反応について、Alexa Fluor 488マレイミド(Invetrogen)(DMSO中の19mL溶液15μL)をMS2−paF19−N87C(10mMリン酸緩衝液(pH7.2)中の100μM溶液285μL)に添加する。反応は、簡単にボルテックスし、室温にて1時間反応させる。過剰の低分子をゲル濾過(NAP−5)によって除去し、残りのタンパク質は遠心分離濾過を用いて濾過された。遠心分離フィルターは使用前に予めリンスされることに気付くことは重要である。それは、本発明者らは、これは酸化カップリング工程での問題を避けることを見出したからである。外部修飾は、上記されるように行われた。
蛍光キャプシドのフローサイトメトリー。フローサイトメトリー分析は、FACSCaaliburフローサイトメーター(BD Biosciences,USA)上で標準の488Arレーザーを用いて獲得された。データは、全ての実験について、少なくとも10,000個の生細胞ついて獲得された。Jurkat細胞(250μL中に1×10細胞)は培地中の蛍光キャプシド(2μM)で処理され、氷上又は38℃にて30〜60分間インキュベートされた。インキュベーション後、細胞は、1mLの新鮮な培地で2回洗浄され、次にフローサイトメーターで分析された。
共焦点顕微鏡。共焦点顕微鏡画像化は、64×Achroplan IR油浸対物レンズを用いて、Zeiss LSM510 META/NLO Axioimager上で行われた。Jurkat細胞の二重標識は、修飾されてMS2(20μM)及びDiILDL(16μg/mL、Invetrogen)又はAlexa Fluor 594−トランスフェリン(25μg/mL、Invetrogen)と共に30〜60分間、37℃にて細胞をインキュベートすることによって行われた。修飾されたMS2(Alexa Fluor 488で蛍光標識されている)は、488nmで励起され、発光は495〜530nmの間で回収された。DiI−LDL及びAF594−トランスフェリンは543nmラインで励起され、発光は、それぞれ590〜625nmの間、及び590〜655nmの間で回収された。
前述の発明は、理解の明確性のために説明及び例示によって幾分詳細に記載したが、当業者は、添付の特許請求の範囲内である種の変更及び改変を行い得ることを承認するであろう。さらに、本明細書に挙げられた各参考文献は、各参考文献が個別に参照によって援用されているかのように、ある程度まで全体として参照により援用される。本出願と本明細書に挙げられた参考文献との間に矛盾がある場合、本出願が優先されなければならない。
配列
配列番号1
GTA ACG ATC CAG CTG TCA CT
配列番号2
AGT GAC AGC TGG ATC GTT AC
配列番号3
TCA TAC GAC TCA CTC TAG GG
配列番号4
CCC TAG AGT GAG TCG TAT GA
配列番号5
ACT GAC TGA CTG ACT GAC TG
配列番号6
CAG TCA GTC AGT CAG TCA GT
配列番号7
TCATACGACTCACTCTAGGGA
配列番号8
ATCTAACTGCTGCGCCGCCGGGAAAATACTGTACGGTTAGA
配列番号9
CCCTAGAGTGAGTCGTATGACCCTAGAGTGAGTCGTATGAA
単一細胞モニタリング用の二機能性微小電極の製作。(A)金電極は、フォトリソグラフィーとリフトオフを用いてガラスウエハー上にパターン化される。次に、パリレン−cの7μmの絶縁層は、電極上に配置され、100nmの蒸着アルミニウムで覆われる。(B)フォトレジストはアルミニウム層上にパターン化され、次に、パリレン絶縁体用にエッチング処理され、エッチマスクとして用いられる。(C)酸化イリジウムのセンサー層は電極表面上に配置され、次に、アミン修飾された捕捉DNA結合用にアルデヒドシランで処理される。(D)最後に、アルミニウム層は強塩基に溶解され、センサー表面上で捕捉DNAだけを放出する。表面結合された相補鎖を有する細胞が導入され、センサー上に直接的かつ特異的に捕捉された。(E)細胞は、細胞表面上に一級アミンに結合する、末端N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル官能基を担持する一本鎖DNA(5’−CCCTAGAGTGAGTCGTATGA−3’(配列番号4))で処理される。このDNAバーコードラベリングは、デバイスにDNA指向的捕捉のために細胞を官能化する。(F)マイクロ流体デバイスの概略図。電極をPDMSチャネルによって囲み、マイクロ流体デバイスを形成する。
標的送達のためのキャプシドの二重表面修飾が示される。内部表面修飾について、MS2コートタンパク質のN87C突然変異は、部位特異的なアルキル化を可能にする最大180の積み荷分子はこれらの位置で組み込まれ得る。外部表面修飾について、アプタマー(配列番号10)は、最初にフェニレンジアミン基で修飾される。キャプシド上のT19paF突然変異は、NaIO4媒介の酸化的カップリング反応によって、MS2の外部表面への修飾されたDNAの結合を可能にする。
配列同一性は以下の通りであった:
C1:5’−GTA ACG ATC CAG CTG TCA CT−3’(配列番号1)
M1:5’−AGT GAC AGC TGG ATC GTT AC−3’(配列番号2)
C2:5’−TC A TAC GAC TCA CTC TAG GG−3’(配列番号3)
M2:5’−CCC TAG AGT GAG TCG TAT GA−3’(配列番号4)
C3:5’−ACT GAC TGA CTG ACT GAC TG−3’(配列番号5)
M3:5’−CAG TCA GTC AGT CAG TCA GT−3’(配列番号6)
さらに、GAPDH遺伝子は、中程度のサイレンシングを経験している細胞集団がsiRNA結合ドメインにおけるヘテロ接合多形から生じているどうかを調べるために配列決定された。配列には突然変位がないことが分かった。GAPDH siRNA結合配列決定の配列決定の結果は、期待される配列(5’−AAA GTT GTC ATG GAT GAC C−3’(配列番号11))が、Jurkat細胞に見出され、2つの細胞集団が結合ドメインにおける多形の結果でないことを示唆した。したがって、本明細書に示されている2つの細胞集団は、siRNA送達の些細な結果、遺伝子変化、及び細胞生存性ではない。
Jurkat細胞調製。Tリンパ球Jurkat細胞は、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(1%P/S;Invetrogen)及び25μMのAc4ManNAz含有の10mLの培地(RPMI培地1640;Invetrogen)中に50mLフラスコ(Nalge−Nunc International)において48時間培養された。増殖の最初の24時間、細胞は10%FBS(JR Scientific)を用いて培養された。Jurkat細胞を洗浄し、25μMのAc4ManNAz含有の血清枯渇培地中でさらに24時間、同期のためにインキュベートした。新鮮なDNA官能化されたJurkat細胞は、分析の1時間前に調製された。1%FBS含有PBS(Ambion)5mLで細胞を2回洗浄し、1%FBS/PBS中の125μMのリン酸修飾したssDNA(5’−phos−GTA ACG ATC CAG CTG TCA CT−3’(配列番号12))と1時間37℃で反応した。次に、微小流体デバイスに導入前に、5mLの1%FBS/PBSで細胞を3回リンスした。
siRNA処理。遺伝子サイレンシング研究について、150,000個のJurkat細胞は、二重標準GAPDH siRNA(センス、5’−GGU CAU CCA UGA CAA CUU UdTdT−3’(配列番号13);Ambion)の2.5μgを用いてエレクトロポレートされた。細胞は、75μLのsiPORTエレクトロポレーション緩衝液(AM1629;Ambion)中に懸濁され、単一パルスは、250μs間250Vで1mmキューベット(Bio−Rad)において行われる。次に細胞を増殖させ、上記のJurkat細胞の調製のセクションに記載されたのと同じようにして調製した。負の対照研究について、細胞は、mRNAに結合しないCy3標識されたsiRNAの150pmolを用いてエレクトロポレートされた。
RT−PCR混合物。多重RNA RT−PCRは、Jurkat細胞から直接得たGAPDH及び18S rRNAについて行われた。25μLのRT反応混合物は、Cell−to−cDNA IIキット[4単位のMoloneyマウス白血病ウイルス(Mo−MLV)逆転写酵素、0.4単位のRNase阻害剤、0.1μMのdNTP、1×RT緩衝液(Ambion)]、0.08単位のプラチナTaqポリメラーゼ(Invetrogen)、並びにGAPDH遺伝子に対する800nMのフォワードとリバースプライマー、及び18S rRNA標的に対する20nMのフォワードとリバースプライマーを含む。GAPDHフォワード(5’−AGG GCT GCT TTT AAC TCT GG−3’(配列番号14))及びリバース(5’−FAM−TTG ATT TTG GAG GGA TCT CG−3’(配列番号15))プライマーは、200bpアンプリコンを生じさせる。18S rRNAフォワード(5’−CGG CTA CCA CAT CCA AGG AAG−3’(配列番号16))及びリバース(5’−FAM−CGC TCC CAA GAT CCA ACT AC−3’(配列番号17))プライマーは247bpアンプリコンを生じさせる。RTなしの対照、及び鋳型なしの対照は、反応混合物からそれぞれMo−MLV RT及びJurkat細胞を除くことによって微小デバイスで行われた。
マトリックス合成。DNAアフィニティー捕捉ゲルは、LPAと2つの5’−アクリダイト修飾された捕捉オリゴヌクレオチドとを共重合させることによって合成される。アフィニティー捕捉マトリックスは、6%wt/volのアクリルアミド、1×TTE、及び40nmolの2アクリダイト修飾されたオリゴヌクレオチド(IDT)をアルゴンで2時間散布し、次に0.015%wt/volの過硫酸アンモニウム(APS;Fisher Scientific)及びテトラメチルエチレンジアミン(TEMED;Fisher Scientific)を添加することによって4℃にて合成される。アフィニティー捕捉マトリックスは、GAPDH(5’−Acry−ATC CCA TCA CCA TCT TCC AG−3’(配列番号18)、T=54.2;50mMの一価塩、20μM)及び18S rRNA(5’−Acry−GCA GCC GCG GTA ATT CCA GC−3’(配列番号19)、T=61.9;50mM一価塩、20μM)に対する捕捉プローブを含む。GAPDH捕捉オリゴヌクレオチドは、200bpアンプリコン中の20塩基配列に相補的であり、5’FAN標識された末端から23塩基である。18S rRNA捕捉オリゴヌクレオチドは、247bpアンプリコン中の20塩基配列に相補的であり、5’FAM標識された末端から60塩基である。
次に、反応チャンバーの中心においてリソグラフィー的に画定された25μm×25μmの金パッドは、Tris(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、200μM;Invetrogen)脱保護されたチオール−DNA(5’−チオール−AGT GAC AGC TGG ATC GTT AC−3’(配列番号20)、20μM)とともに1時間インキュベートすることによってssDNAで官能化される。その後、チャンバーはリンスされ、乾燥して未結合DNAを取り除く。
各細胞を修飾するために使用された鎖は、細胞が正確にパターン化されることを確実にするために、他細胞又はガラス上の任意の他の鎖を補完しない。上記実施例において使用された同オリゴヌクレオチド(M1/C1、M2/C2、M3/C3)及び他の2つの相補的配列Z2(5’CACACACACACACACACACA3’(配列番号21))及びzc2(5’TGTGTGTGTGTGTGTGTGTG3’(配列番号22))は、ガラス基質上でこれらの細胞をパターン化するために使用することができる。細胞は、一度に1層でパターン化される。細胞は、5mM過ヨウ素酸ナトリウムで酸化され、次に、MOPS(N−モルフィリノプロパンスルホン酸)緩衝液中、pH6で約35μMヒドラジン−DNAにおいてインキュベートされる(MOPSは通常の緩衝化範囲外でこの実験に使用されることに留意すべきである)。細胞を洗浄後、予めDNAで修飾されたガラス基質上でPDMSウェルに可逆的に結合される。ウェルを1つの細胞溶液で満たし、3000rpmで5分間遠心分離し、PBS中でリンスし、次に、2又は3種の細胞型で連続的に繰り返す。DNAは、これらの条件下では脱ハイブリダイズせず、細胞は、図30に示されるようにパターン化される。選択される細胞型は、それらに限定されないが、多層のパターン化された細胞が本方法を用いて添加することができる。例えば、図30を参照すると、ガラスは、M2オリゴヌクレオチドで修飾され得る。Synechocystis細胞の層は、C1オリゴヌクレオチドを介してガラス基質に結合される。次に、このSynechocystis層は、C2オリゴヌクレオチドを用いて修飾される。A.vinelandii細胞は、M2オリゴヌクレオチドで修飾され、MS/C2ハイブリダイゼーションを介して、第1のSynechocystis層に結合される。A.vinelandii細胞の第2の層は、M2とC3で修飾され、R.rubrum細胞の第3の層は、Meで修飾され、次に、M2オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、第3の層を第2の層の細胞に連結させる。
DNA、レクチン、及び抗体のカンチレバーへの共有結合について、以下の方法を用いた。DNAを媒介にした細胞接着研究について、相補的オリゴヌクレオチド配列対(A/A’)を設計した。配列同一性は以下の通りであった:
A:5’−TCA TAC GAC TCA CTC TAG GG−3’(配列番号23)
A:5’−CCC TAG AGT GAG TCG TAT GA−3’(配列番号24)
オリゴヌクレオチドにフェニルジアミンを添加するための実験の一般的手法。5’末端に一級アミンを含むDNAオリゴヌクレオチドを購入した。典型的な反応は以下の通りである:300μM濃度のDNAは、DMFと50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)の1:1溶液中で、4−(4−ジエチルアミノ−フェニルカルバモイル)−酪酸スクシンイミジルエステル(60〜120当量)と反応させる。反応混合物は、簡単にボルテックスし、次に、室温にて2時間反応させた。RPHPLC又は市販のゲル濾過カラムを用いて、市販のプロトコールに従って、DNAから低分子を精製することができる。精製後、DNAを凍結乾燥させ、次に所望の緩衝液に再懸濁させる。260nmの吸光度を測定することによって濃度を決定する。A、B、及びCの配列識別は以下の通りである:
A:5’−TCATACGACTCACTCTAGGGA−3’(配列番号7)
B:5’−ATCTAACTGCTGCGCCGCCGGGAAAATACTGTACGGTTAGA−3’(配列番号8)
C:5’−CCCTAGAGTGAGTCGTATGACCCTAGAGTGAGTCGTATGAA−3’(配列番号9)
MS2変位体のクローニング及び発現。pBAD−MS2−paF19プラスミド生成及び増殖は従来報告されている。本発明者らは、p−アミノフェニルアラニン(paF)組み込みのために必要なtRNA及びtRNA−シンターゼをコードするプラスミドについて、Peter Schultz lab(Scripps Research Institute,LaJolla,CA)を考慮したい。87位は、以下のフォワード及びリバースプライマーを用いてシステインに突然変位された:フォワード:5’−AGCCGCATGGCGTTCGTACTTATGTATGGAACTAACCATTC−3’(配列番号25)、リバース:5’−GAATGGTTAGTTCCATACATAAGTACGAACGCCATGCGGCT−3’(配列番号26)。MS2−paF19−N87Cの増殖及び精製は、MS2−paF19と同じであったが、MS2−paF19−N87C(約1〜10mg/L、比較するとMS2−paF19については約20mg/mLである)については低収率で得られた。

Claims (30)

  1. 天然の官能基を含む表面を有する細胞であって、細胞壁を持たない細胞;及び
    該天然の官能基に共有結合される核酸部分
    を含む組成物。
  2. 細胞が初代細胞である、請求項1に記載の組成物。
  3. 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載の組成物。
  4. 細胞が幹細胞である、請求項1に記載の組成物。
  5. 天然の官能基が、リジン、システイン、チロシン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びトリプトファンからなる群から選択されるアミノ酸を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 天然の官能基がリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 核酸部分が、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、PNA及びアプタマーからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 核酸部分が一本鎖DNAを含む、請求項1に記載の組成物。
  9. 核酸部分が約10〜約200個の核酸を含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 核酸部分がアプタマーを含む、請求項1に記載の組成物。
  11. 核酸部分がリンカーを含む、請求項1に記載の組成物。
  12. 細胞表面上にリジンを含む哺乳動物細胞;及び
    アミドを介してリジンに共有結合される一本鎖デオキシ核酸
    を含む、請求項1に記載の組成物。
  13. 細胞と活性化された核酸部分とを接触させることを含む、細胞と核酸部分とのコンジュゲートを製造するための方法であって、ここで、細胞は天然の官能基を含む表面を有し、細胞は細胞壁を持たず、それにより核酸部分が天然の官能基に共有結合される方法。
  14. 活性化された核酸部分が活性化エステルを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 哺乳動物細胞と活性化された核酸部分とを接触させることを含み、ここで、天然の官能基がリジンを含み、活性化された核酸部分がNHS−エステルを含み、それにより核酸部分がアミド結合形成によって天然の官能基に共有結合される、請求項13に記載の方法。
  16. 細胞壁を含む細胞、及び該細胞に共有結合される核酸部分を含む組成物。
  17. 細胞が天然の官能基を含む表面を有し、ここで、核酸部分が天然の官能基に結合される、請求項16に記載の組成物。
  18. 細胞が植物細胞である、請求項16に記載の組成物。
  19. 天然の官能基が修飾された天然の官能基を含む、請求項16に記載の組成物。
  20. 修飾された天然の官能基が酸化糖を含む、請求項19に記載の組成物。
  21. 糖が、シアル酸、マンノース、グルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
  22. 細胞と活性化した核酸部分とを接触させることを含む、細胞と核酸部分とのコンジュゲートを調製する方法であって、細胞が細胞壁を含み、それにより核酸部分が細胞に連結される方法。
  23. 活性化された核酸部分が、アミノオキシ、ヒドラジド、ヒドラジン、セミカルバジド、チオセミカルバジド及びアミンからなる群から選択される基を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 細胞が天然の官能基を含む表面を有し、さらに、天然の官能基と変性剤とを接触させ、修飾された天然の官能基を調製し、それにより核酸部分が修飾された天然の官能基に共有結合されることを含む、請求項22に記載の方法。
  25. 変性剤が酸化剤を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 変性剤が過ヨウ素酸ナトリウムを含む、請求項24に記載の方法。
  27. 修飾された天然の官能基が酸化糖を含む、請求項24に記載の方法。
  28. 修飾された天然の官能基がアルデヒド基を含む、請求項24に記載の方法。
  29. 第1の核酸部分に共有結合された天然の官能基を含む細胞表面を有する細胞;及び
    第1の核酸部分に相補的な第2の核酸部分を含む基質表面
    を含むデバイスであって、それにより第1及び第2の核酸部分の核酸二重鎖の形成を介して、細胞が基質表面に結合するようになるデバイス。
  30. 細胞表面の天然の官能基への共有結合に適した活性化された核酸部分;及び活性化された核酸部分に相補的な核酸部分を含む基質表面を含むキット。
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