JP2007319153A - 核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 応用範囲の広いRNAアプタマーとその中和剤とを開発する。
【解決手段】 標的物質に特異的に結合する核酸リガンドと、少なくとも1部に前記核酸リガンドの相補的配列を含む中和剤との組み合わせ製剤であって、
前記標的物質が幹細胞のマーカーであることを特徴とする、核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤。
【選択図】なし
【解決手段】 標的物質に特異的に結合する核酸リガンドと、少なくとも1部に前記核酸リガンドの相補的配列を含む中和剤との組み合わせ製剤であって、
前記標的物質が幹細胞のマーカーであることを特徴とする、核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤に関する。本発明は、特に幹細胞のマーカーに特異的に結合する核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤に関する。
核酸以外の物質を標的としたRNA医薬品としてRNAアプタマー(核酸リガンドの一種)が注目されている(以下、アプタマーという:非特許文献1)。
ある標的物質に特異的に結合する20∧100 base程度のRNA/DNA分子をアプタマー(aptamer:ラテン語aptus[to fit]からの造語)という。アプタマーはアンチセンス、リボザイムとは異なり、標的物質の表面に適合した立体構造をとって、また、特異的な水素結合で、時には標的を挟み込むようにして結合する。アプタマーを得るためにはランダム配列の中から標的分子に特異的に結合する配列を選び出すことが必要で、この選別作業をSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment(SELEX)と呼ぶ。
近年、RNAとタンパク質が互いの立体構造に依存した相互作用により生体内の代謝を効率よく行っているという概念が示された。このことは、タンパク質が介在する現象をRNAアプタマーで代用できる可能性を示すものとして興味深い。また、SELEXのシステムは生物の進化に伴う分子レベルでの物質の進化を考察するモデルとして、進化生物学者にも注目されている。
SELEXの概要を図1に示した。まず、適当な長さのランダム配列を2つのフラグメント(一方はT7ポリメラーゼプロモーター配列を含む)で挟んだDNAからRNAを合成し、標的物質と会合させる。RNA−標的物質複合体を固相化して洗浄、RNAを回収してRT−PCRを行い、次ラウンドのテンプレートとする。このとき、PCR反応液のマグネシウムイオン濃度を高くして複製の正確性を下げることにより鋳型アプタマーと似て非なるものが得られる。これにより会合前のアプタマープールに存在しない新たな配列が生まれ、より結合力の強いアプタマーを得られる可能性がある。すなわち、アプタマーが進化する可能性が出てくるのである。このような一連の作業を8∧15ラウンド繰り返すことによって、標的物質に特異的に結合するアプタマーを得ることができる。ランダム配列40塩基を含むアプタマーライブラリーは、理論上、440種類の立体構造を取る可能性があることから、種々の標的物質に対して結合可能と予想される。事実、RNA/DNA結合タンパク質のみならず、数々の生体内物質、金属イオン、合成化合物などに対するアプタマーが報告されている。
種々の物質と結合するものが作製できるというアプタマーの特徴は抗体の特徴でもある。この2つを比較してみると、1)試験管内で大量に合成できる、2)生物種間での共通配列に対して結合するものが得られる、3)抗体(解離定数Kd=10−9M)より結合力が強いものが取れる可能性がある、という点でアプタマーが優れている。一方、アプタマーは安定性の面で抗体に劣るが、2’−fluoro−CTP/UTP、2’−amino−CTP/UTPなどの修飾ヌクレオシドを用いることにより、より結合力の強い分解されにくいアプタマーが作製されている。これらのことから、免疫染色、ELISAなど、抗体を用いるほとんどの実験でアプタマーを使用することが可能と考えられる。さらには、DNAマイクロアレイの技術を利用してアプタマーチップを作製し、研究、臨床診断に応用する計画もある。
大津敬、小黒明広、中村義一:RNA医工学.実験医学18:172−180,2000.
ある標的物質に特異的に結合する20∧100 base程度のRNA/DNA分子をアプタマー(aptamer:ラテン語aptus[to fit]からの造語)という。アプタマーはアンチセンス、リボザイムとは異なり、標的物質の表面に適合した立体構造をとって、また、特異的な水素結合で、時には標的を挟み込むようにして結合する。アプタマーを得るためにはランダム配列の中から標的分子に特異的に結合する配列を選び出すことが必要で、この選別作業をSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment(SELEX)と呼ぶ。
近年、RNAとタンパク質が互いの立体構造に依存した相互作用により生体内の代謝を効率よく行っているという概念が示された。このことは、タンパク質が介在する現象をRNAアプタマーで代用できる可能性を示すものとして興味深い。また、SELEXのシステムは生物の進化に伴う分子レベルでの物質の進化を考察するモデルとして、進化生物学者にも注目されている。
SELEXの概要を図1に示した。まず、適当な長さのランダム配列を2つのフラグメント(一方はT7ポリメラーゼプロモーター配列を含む)で挟んだDNAからRNAを合成し、標的物質と会合させる。RNA−標的物質複合体を固相化して洗浄、RNAを回収してRT−PCRを行い、次ラウンドのテンプレートとする。このとき、PCR反応液のマグネシウムイオン濃度を高くして複製の正確性を下げることにより鋳型アプタマーと似て非なるものが得られる。これにより会合前のアプタマープールに存在しない新たな配列が生まれ、より結合力の強いアプタマーを得られる可能性がある。すなわち、アプタマーが進化する可能性が出てくるのである。このような一連の作業を8∧15ラウンド繰り返すことによって、標的物質に特異的に結合するアプタマーを得ることができる。ランダム配列40塩基を含むアプタマーライブラリーは、理論上、440種類の立体構造を取る可能性があることから、種々の標的物質に対して結合可能と予想される。事実、RNA/DNA結合タンパク質のみならず、数々の生体内物質、金属イオン、合成化合物などに対するアプタマーが報告されている。
種々の物質と結合するものが作製できるというアプタマーの特徴は抗体の特徴でもある。この2つを比較してみると、1)試験管内で大量に合成できる、2)生物種間での共通配列に対して結合するものが得られる、3)抗体(解離定数Kd=10−9M)より結合力が強いものが取れる可能性がある、という点でアプタマーが優れている。一方、アプタマーは安定性の面で抗体に劣るが、2’−fluoro−CTP/UTP、2’−amino−CTP/UTPなどの修飾ヌクレオシドを用いることにより、より結合力の強い分解されにくいアプタマーが作製されている。これらのことから、免疫染色、ELISAなど、抗体を用いるほとんどの実験でアプタマーを使用することが可能と考えられる。さらには、DNAマイクロアレイの技術を利用してアプタマーチップを作製し、研究、臨床診断に応用する計画もある。
大津敬、小黒明広、中村義一:RNA医工学.実験医学18:172−180,2000.
生体組織の特定細胞を標識したり、精製するときに主として抗体が用いられるが、抗体が細胞表面に結合するとその状態の変化が情報として細胞内に伝達されることがある。この情報伝達により細胞内では様々な生化学反応が起こり、細胞の生理状態は元の状態とは異なったものに変化してしまう。そのため、特に特定細胞を精製した後に抗体を解離させる必要があるが、現在のところ、タンパク質分解酵素使う、キレート剤を使う、pHを酸性にするといった、細胞に悪影響を与える方法しかない。より生体内に近い状態で細胞を取り扱うことの重要性は基礎研究から医療への応用まで幅広い分野で認識されていて、細胞の性質を変えることなく特定細胞に結合し、かつ、その細胞に影響を与えずに解離する物質が求められている。
一方、がん幹細胞という考え方が認知されるようになってくるとともに、がん幹細胞そのものを研究すること、がん幹細胞を標的とする医療の確立が急がれている。
前述のように核酸リガンドは、種々の医薬品用途の応用に期待できるが、標的物質を工夫することにより、さらに核酸リガンドの応用範囲が増えるものと考えられる。さらに、核酸リガンドの結合力を失活させる中和剤に関する要求がある。
本発明による核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤は、これまでにない新しい方法で上記課題を解決することができる。
前述のように核酸リガンドは、種々の医薬品用途の応用に期待できるが、標的物質を工夫することにより、さらに核酸リガンドの応用範囲が増えるものと考えられる。さらに、核酸リガンドの結合力を失活させる中和剤に関する要求がある。
本発明による核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤は、これまでにない新しい方法で上記課題を解決することができる。
前記課題を解決するための本発明は下記項目に関する。
1 標的物質に特異的に結合する核酸リガンドと、少なくとも1部に前記核酸リガンドの相補的配列を含む中和剤との組み合わせ製剤であって、前記標的物質が幹細胞のマーカーであることを特徴とする、核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤。
2 前記標的物質である幹細胞のマーカーがp75NTRであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
3 前記標的物質である幹細胞のマーカーがCx45であることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
4 前記標的物質である幹細胞のマーカーがCx43であることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
5 前記標的物質である幹細胞のマーカーがc13Lであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
6 前記標的物質である幹細胞のマーカーがNカドヘリンであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
7 前記標的物質である幹細胞のマーカーがTNFαRであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
8 前記標的物質である幹細胞のマーカーがTGFβRであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
9 標的物質の異なる1∧8に記載の製剤に含まれる核酸リガンドのうち、少なくとも2種類を直接またはリンカー物質を介して結合させた核酸リガンドと、それに結合する中和剤との組み合わせ製剤。
10 前記核酸リガンドに担体部位を有することを特徴とする、1または2∧9に記載の組み合わせ製剤。
11 前記担体部位に、幹細胞に対する機能が確認された薬剤を含むことを特徴とする10に記載の組み合わせ製剤。
12 前記担体部位が、アガロースビーズなどの固相化担体または破性体を含む固相化担体から構成されていることを特徴とする10に記載の組み合わせ製剤。
13 前記担体部位に、ビオチン、放射性物質、X線造影剤またはその他の既知の標識物質からなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする10に記載の組み合わせ製剤。
14 標的物質の異なる1∧13に記載の製剤を、少なくとも2種類混合した製剤。前記核酸リガンド担体部位を有することを特徴とする、1または2に記載の組み合わせ製剤。
1 標的物質に特異的に結合する核酸リガンドと、少なくとも1部に前記核酸リガンドの相補的配列を含む中和剤との組み合わせ製剤であって、前記標的物質が幹細胞のマーカーであることを特徴とする、核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤。
2 前記標的物質である幹細胞のマーカーがp75NTRであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
3 前記標的物質である幹細胞のマーカーがCx45であることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
4 前記標的物質である幹細胞のマーカーがCx43であることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
5 前記標的物質である幹細胞のマーカーがc13Lであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
6 前記標的物質である幹細胞のマーカーがNカドヘリンであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
7 前記標的物質である幹細胞のマーカーがTNFαRであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
8 前記標的物質である幹細胞のマーカーがTGFβRであることを特徴とする1に記載の組み合わせ製剤。
9 標的物質の異なる1∧8に記載の製剤に含まれる核酸リガンドのうち、少なくとも2種類を直接またはリンカー物質を介して結合させた核酸リガンドと、それに結合する中和剤との組み合わせ製剤。
10 前記核酸リガンドに担体部位を有することを特徴とする、1または2∧9に記載の組み合わせ製剤。
11 前記担体部位に、幹細胞に対する機能が確認された薬剤を含むことを特徴とする10に記載の組み合わせ製剤。
12 前記担体部位が、アガロースビーズなどの固相化担体または破性体を含む固相化担体から構成されていることを特徴とする10に記載の組み合わせ製剤。
13 前記担体部位に、ビオチン、放射性物質、X線造影剤またはその他の既知の標識物質からなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする10に記載の組み合わせ製剤。
14 標的物質の異なる1∧13に記載の製剤を、少なくとも2種類混合した製剤。前記核酸リガンド担体部位を有することを特徴とする、1または2に記載の組み合わせ製剤。
本発明により、幹細胞、特にがん幹細胞を、その性質を損なうことなく特異的に標識し、また、効率よく精製することが可能となる。例えばがん幹細胞本来の性質を良く反映した評価系を構築し、より生体内に近い条件でがんに対する機能性を評価した薬剤を開発することが可能となる。
また、生理活性を持つ核酸リガンドの取得や核酸リガンドに薬剤を結合させた製剤によりがん幹細胞の増殖を抑制する医薬品に応用することが可能となる。しかも、本発明は、中和剤との組み合わせであるので、製剤になんらかの支障を来たした場合に製剤を標的物質から容易に脱離させること、すなわち不活性化させることが可能である。
また、生理活性を持つ核酸リガンドの取得や核酸リガンドに薬剤を結合させた製剤によりがん幹細胞の増殖を抑制する医薬品に応用することが可能となる。しかも、本発明は、中和剤との組み合わせであるので、製剤になんらかの支障を来たした場合に製剤を標的物質から容易に脱離させること、すなわち不活性化させることが可能である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(構成要件)
本発明は、核酸リガンドの一種であるRNAアプタマーの標的物質として所定の幹細胞に対するマーカー、特にがん幹細胞マーカーを用いると、前記マーカーにより所定の幹細胞に対する薬効成分の機能性を確認後にRNAアプタマー製剤を開発可能であるという知見および、もし、RNAアプタマー製剤を脱離する必要があるとき容易に且つ無侵襲性に脱離できる中和剤と組合せることによってRNAアプタマーの用途を広げることが可能であるという知見に基づくものである。
(構成要件)
本発明は、核酸リガンドの一種であるRNAアプタマーの標的物質として所定の幹細胞に対するマーカー、特にがん幹細胞マーカーを用いると、前記マーカーにより所定の幹細胞に対する薬効成分の機能性を確認後にRNAアプタマー製剤を開発可能であるという知見および、もし、RNAアプタマー製剤を脱離する必要があるとき容易に且つ無侵襲性に脱離できる中和剤と組合せることによってRNAアプタマーの用途を広げることが可能であるという知見に基づくものである。
本発明は、標的物質としての幹細胞マーカー部分に特異的に結合する核酸リガンド(RNAアプタマー)と、所望に応じて設けられた担体部分とから構成された核酸リガンド(RNAアプタマー)製剤と、少なくとも1部に前記核酸リガンドの相補的配列を含む中和剤とから構成される。
幹細胞のマーカーとして、特に限定されるものではないが、細胞増殖制御関連因子の受容体、特に細胞の自己増幅関連分子およびその受容体、及び細胞分化,細胞死誘発因子の受容体などが含まれる。具体的には、本発明者の一人が見いだしている細胞表面に発現するマーカーとしてNGFR(p75NTR),c13L, Cx45,Cx43,カドヘリンファミリー、TNFa−R,TGFb−R, integrinb1,integrinb4がある。これらのうち二種またはそれ以上のマーカー各々に特異的に結合する核酸リガンドを混合物として用いることも可能である。また、少なくとも二種類の核酸リガンドを直接または適切なリンカーを介して結合させた複合製剤として用いることも可能である。
本発明において特に好ましいマーカーは、p75NTR、である。p75NTRは、本発明者のうちの一人が上皮系の前がん、進行がん及び悪性化子宮体がんで発現していることを見出しているマーカーである。このマーカーは、各種幹細胞を含む細胞群に対して幹細胞の状態に影響を与える細胞環境の変化に応じて発現の仕方が異なることを見出しており、幹細胞の分裂後の運命、即ち自己増殖、分化決定、細胞死の誘発を含む細胞の初期から進行がんの状態に応じた薬剤の開発に有効なマーカーである。具体的には多段階に進行する発がん素過程で複数の異なった発現傾向を示す標的分子、具体的には細胞接着関連分子であるカドヘリンファミリー分子、Cx45及びCx43、TNFa−R, TGFb−R,との組み合わせによるこのようなマーカーを本発明に用いることにより、幹細胞の状態に応じた核酸リガンドの開発がはじめて可能となる。また、幹細胞の存在が公知となっているグリオーマで高発現しているCD133及び乳がん幹細胞マーカーは、本発明の核酸リガンド(RNAアプタマー)の対象として有効に用いられると考えられる。
本発明における核酸リガンドとして有効に作用するものであれば特にRNAアプタマーなどに限定されるものではなく、公知の核酸リガンド若しくはこれから開発される核酸リガンドを含むことを意味する。
担体とは本発明の核酸リガンドを固相化するため、または新たな機能を付与するための物質で、前記核酸リガンドと結合させて製剤とするためのものである。
例えば、担体としてマグネチックビーズ、アガロースビーズ、リポソーム、多孔質ナノパーティクルなどを用いることができる。また、既知の抗がん剤やX線造影剤などを用いることもできる。
例えば、担体としてマグネチックビーズ、アガロースビーズ、リポソーム、多孔質ナノパーティクルなどを用いることができる。また、既知の抗がん剤やX線造影剤などを用いることもできる。
中和剤とは、細胞と結合した本発明の核酸リガンドを細胞から離脱させる作用を有するものであり、少なくとも一部に前記核酸リガンドの配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。
(製造方法)
本発明の核酸リガンドの製造方法は特に限定されるものではなく、当該技術分野に公知の方法により製造することが可能である。例えば、図1に示し従来技術の項目で記載したSELEXを用いることができる。
本発明の核酸リガンドの製造方法は特に限定されるものではなく、当該技術分野に公知の方法により製造することが可能である。例えば、図1に示し従来技術の項目で記載したSELEXを用いることができる。
(応用例)
1. p75NTRを用いた薬剤開発
図2は各種状態の幹細胞に対するp75NTRの発現パターンを示す図面である。図2に示す通り、p75NTRは、幹細胞の状態により発現パターンが異なり、特にがん初期状態の幹細胞に対して特異的に発現する。このような各種状態の幹細胞を含む細胞群に添加すべき薬効成分を所定量添加することによって薬効成分の各段階の幹細胞に対する影響を類推することが可能となる。
これを用いて、本発明のRNAアプタマー製剤に添加する薬剤及びその量を類推することが可能である。しかも、p75NTRは、本発明のRNAアプタマー製剤において、所定の幹細胞に対する結合因子となりえるので、ターゲットとする幹細胞に本発明のRNAアプタマーが直接結合すると推定される。
1. p75NTRを用いた薬剤開発
図2は各種状態の幹細胞に対するp75NTRの発現パターンを示す図面である。図2に示す通り、p75NTRは、幹細胞の状態により発現パターンが異なり、特にがん初期状態の幹細胞に対して特異的に発現する。このような各種状態の幹細胞を含む細胞群に添加すべき薬効成分を所定量添加することによって薬効成分の各段階の幹細胞に対する影響を類推することが可能となる。
これを用いて、本発明のRNAアプタマー製剤に添加する薬剤及びその量を類推することが可能である。しかも、p75NTRは、本発明のRNAアプタマー製剤において、所定の幹細胞に対する結合因子となりえるので、ターゲットとする幹細胞に本発明のRNAアプタマーが直接結合すると推定される。
2. マグネチックビーズを用いた幹細胞の取得
本発明の別の実施形態では、マグネチックビーズを担体としてアプタマーを固相化して、がん組織由来の細胞群と複合体を形成させ、複合体を形成しなかった細胞を除去した後、本発明の中和剤により細胞とアプタマーを固相化した担体とを遊離させて、標的とした細胞表面マーカーを持つ細胞のみを精製するのに用いることができる。このようにして得られた細胞は、アプタマーを細胞から遊離させる際に無侵襲性の中和剤を用いているために機能解析に重要な細胞として用いることが可能となる。
したがって、本発明は、本発明の担体を含むRNAアプタマーと所定の細胞とを結合して複合体を形成した後に中和剤で中和することによって所定の細胞を精製する細胞の取得方法まで拡張される。
本発明の別の実施形態では、マグネチックビーズを担体としてアプタマーを固相化して、がん組織由来の細胞群と複合体を形成させ、複合体を形成しなかった細胞を除去した後、本発明の中和剤により細胞とアプタマーを固相化した担体とを遊離させて、標的とした細胞表面マーカーを持つ細胞のみを精製するのに用いることができる。このようにして得られた細胞は、アプタマーを細胞から遊離させる際に無侵襲性の中和剤を用いているために機能解析に重要な細胞として用いることが可能となる。
したがって、本発明は、本発明の担体を含むRNAアプタマーと所定の細胞とを結合して複合体を形成した後に中和剤で中和することによって所定の細胞を精製する細胞の取得方法まで拡張される。
Claims (14)
- 標的物質に特異的に結合する核酸リガンドと、少なくとも1部に前記核酸リガンドの相補的配列を含む中和剤との組み合わせ製剤であって、
前記標的物質が幹細胞のマーカーであることを特徴とする、核酸リガンドと中和剤との組み合わせ製剤。 - 前記標的物質である幹細胞のマーカーがp75NTRであることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 前記標的物質である幹細胞のマーカーがCx45であることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 前記標的物質である幹細胞のマーカーがCx43であることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 前記標的物質である幹細胞のマーカーがc13Lであることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 前記標的物質である幹細胞のマーカーがNカドヘリンであることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 前記標的物質である幹細胞のマーカーがTNFαRであることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 前記標的物質である幹細胞のマーカーがTGFβRであることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ製剤。
- 標的物質の異なる請求項1から8に記載の製剤に含まれる核酸リガンドのうち、少なくとも2種類を直接またはリンカー物質を介して結合させた核酸リガンドと、それに結合する中和剤との組み合わせ製剤。
- 前記核酸リガンドに担体部位を有することを特徴とする、請求項1または請求項2∧9に記載の組み合わせ製剤。
- 前記担体部位に、幹細胞に対する機能が確認された薬剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の組み合わせ製剤。
- 前記担体部位が、アガロースビーズなどの固相化担体または磁性体を含む固相化担体から構成されていることを特徴とする請求項10に記載の組み合わせ製剤。
- 前記担体部位に、ビオチン、放射性物質、X線造影剤またはその他の既知の標識物質からなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項10に記載の組み合わせ製剤。
- 標的物質の異なる請求項1から13に記載の製剤を、少なくとも2種類混合した製剤。
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