本発明は、請求項1の前段部分(プレアンブル)にかかる、車両用ステアリングホイールに関するものである。
そのようなステアリングホイールは、運転者によるステアリングホイールの回転のためのステアリングホイールリムと、ステアリングホイールとは別体で回転可能なステアリングシャフトにステアリングホイールを接続可能なステアリングホイールハブと、を備え、これによりステアリングホイールリムの回転動作がステアリングシャフトの回転動作に変換される。このステアリングホイールリム及びステアリングホイールハブは、例えば複数のスポークを介して接続される。
更に、ステアリングホイールには、スーパーポジションステアリングの作動用のスーパーポジション駆動装置が設けられ、ステアリングホイールリムの運転者の操作によって形成されるステアリング角度は、スーパーポジションステアリングを介して、スーパーポジションステアリングによって形成される付加角度(重ね合せ角度)での合成(重ね合せ)が可能とされ、これによりステアリングシャフトがステアリングホイールに接続された状態では、ステアリングシャフトの回転動作は、ステアリングホイールリムの運転者の操作によって形成されるステアリング角度と、スーパーポジションステアリングによって形成される付加角度とによって設定され、スーパーポジションステアリングが非作動状態の場合には、付加角度が回転動作に寄与しない。
そのようなステアリングホイールは、WO2007/009420A1から公知である。この中では、スーパーポジション駆動装置は、2つの駆動モータ(電動モータ)を備えており、それぞれがステアリングホイールのスポークの1つに組み込まれ、前記モータはそれぞれ1つのウォームを介してスーパーポジション駆動装置のうち出力駆動側のウォームギアの形態の中央ギア要素に作用する。スーパーポジション駆動装置は、出力駆動側のこのギア要素によって車両のステアリングシャフトに接続され、ステアリングホイールリムの運転者の操作によって形成されるステアリング角度に加えて、ステアリングシャフトを所定の付加角度で回転させるべく、スーパーポジション駆動装置の駆動モータによって形成される動作をステアリングシャフトに伝達させることができる。
駆動モータと、駆動モータに付属のギアを備えたスーパーポジション駆動装置の更なる変更例が、DE10160313A1から公知であり、ここではこのスーパーポジション駆動装置は、ステアリングホイールの外部において、ステアリングホイールに接続された入力側のステアリングシャフト部と、車両のステアリングギアに接続された出力側のステアリングシャフト部との間に配置されている。このため、スーパーポジションステアリングのハウジングとしてステアリングシャフトを取り囲むステアリングコラムの領域に、追加の装着空間が必要であり、ステアリングコラムにこれに対応した構造を設ける必要がある。
本発明の課題は、ステアリングコラム内に追加の装着空間を必要とせず、且つ非作動時に確実に拘束されるように構成されたスーパーポジションステアリングを備えた車両用のステアリングホイールを実現することである。
本発明によれば、この課題は請求項1の特徴部分を有するステアリングホイールを提供することによって解決される。
これによれば、付加角度を形成するためのスーパーポジションステアリングの構成要素とは別に、機械式の拘束装置がステアリングホイールに設けられ、スーパーポジション駆動装置は、前記拘束装置による機械的な動作によって拘束される。
請求項によれば、拘束装置は、伝達角度を形成する機能を果たすスーパーポジション駆動装置の構成要素とは別の装置であり、そのような拘束装置は、スーパーポジション駆動装置のセルフロック構造を用いることができない。スーパーポジション駆動装置がセルフロック駆動であるか、或いは非セルフロック駆動であるかには無関係にこの拘束装置を適用できる。
ここで、拘束装置は、(例えば電気式、電磁石やリレー、或いは空気式での)作動が可能とされ、拘束装置の作動時には、スーパーポジション駆動装置に拘束装置の機械的な動作が作用し、またこれによって前記スーパーポジション駆動装置が拘束される。従って、この場合、拘束装置の作動によって(特に直接的な結果として)スーパーポジション駆動装置の拘束が生じる。
拘束装置は、スーパーポジション駆動装置の拘束時における最適な保持動作が確保されるように構成され得る。他方で、このスーパーポジション駆動装置では、その実際の駆動機能を、特にはその効率を最適化することができる。
スーパーポジション駆動装置を、例えば駆動モータの形態のアクチュエータと、アクチュエータに付属のスーパーポジションギアとによって構成することができ、アクチュエータによって生じる駆動トルクは、前記スーパーポジションギアを介して、ステアリングシャフトの規定のステアリング角度に変換される。
スーパーポジション駆動装置を拘束又はロックする機械的な形態として、特にポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態のために、拘束装置は少なくとも1つの保持要素を備え、当該保持要素は、所定の保持位置においては、スーパーポジション駆動装置の構成要素をブロックし、またこれによりスーパーポジション駆動装置を拘束又はロックするべく、ポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態でスーパーポジション駆動装置の構成要素と係合することができる。このため、保持要素は、例えばスーパーポジション駆動装置の拘束又はロックがなされない前記保持要素の解除位置と保持位置との間での往復動が可能である。
保持要素は、スーパーポジション駆動装置の構成要素を(押圧ロック又はポジティブロックの形態で)固定又はブロックするために、例えば少なくとも1つの押圧要素の形態の、或いはポジティブロック手段の形態の固定手段を備えることができる。
保持要素は、少なくとも一部がスーパーポジション駆動装置の入力側と出力側との間の相対動作を防止し、これによってスーパーポジション駆動装置を拘束又はロックするために、本質的にスーパーポジション駆動装置の構成要素のいずれか1つに作用することができる。スーパーポジション駆動装置のロック状態では、運転者によるステアリングホイールの操作によって変換される所定トルクによってのみ、ステアリング角度(即ち、ステアリングシャフトの回転動作)が形成可能とされる。特に、保持要素は、スーパーポジション駆動装置のアクチュエータ(モータシャフト)の駆動シャフトに作用することができ、このシャフトの自由端部において作用するのが有利とされ、前記シャフトのこの端部は、所定の拘束部はアクチュエータのケーシング(モータケーシング)から外部に突出している。駆動シャフトのこの拘束部は、駆動シャフトを付属のスーパーポジションギアに作用させるシャフト部とは反対側に位置するのが好ましい。一方で変更例として、保持要素は、例えば、スーパーポジションギアの一部を構成する駆動ウォームのような、駆動シャフトとの接続要素に作用することもできる。
保持要素を、解除位置と保持位置との間で(また従って、拘束装置の非作動位置と作動位置との間で)往復動させるために、動作発生装置として、例えば電磁石及び/又はバネ手段を、また特にはそのような2つの要素を組み合わせた構成を設けることができる。この場合、電磁石の作動時(通電時)においては、保持要素に磁力(磁気による荷重)を作用させことができ、この目的のために保持要素は、磁性材料によって作られ、或いは磁性要素を備え、前記の位置のいずれか、即ち解除位置又は保持位置においては、前記バネ手段の拘束下で前記磁力が保持要素を保持する。電磁石の非通電時では、保持要素はバネ手段の作用下で2つの位置のうち他方の位置へと移動することができる。
特に、電磁石の作動状態(通電状態)では、保持要素は、バネ手段の付勢に抗して解除位置で保持されることができ、また電磁石の非作動状態(非通電状態)ではバネ手段の付勢にしたがって保持位置へと移動することができる。
更に、保持要素を解除位置と保持位置との間で移動させるべく、駆動モータの形態或いはリレーの形態のアクチュエータ(特にリニアモータ)を設けることができ、保持要素をその解除位置或いはその保持位置のいずれか一方の位置へと移動させる。好ましくは、保持要素は、拘束装置のアクチュエータの作動時には解除位置に設定され、同様にこの実施の形態では、保持要素は、アクチュエータの非作動時にはその保持位置に設定されるのが有利である。
保持要素がその解除位置にあるとき、当該保持要素は、スーパーポジション駆動装置に作用しないように、特にはスーパーポジション駆動装置の入力側と出力側との間でのトルク伝達に影響しないように配置されるべきである。この場合、保持要素は、その保持位置においては、スーパーポジションステアリングのアクチュエータの駆動シャフトに係合し、その解除位置においては、駆動シャフトの回転動作に影響しないように、駆動シャフトから離間して配置されるのが有利である。
スーパーポジション駆動装置を運転状態から拘束状態又はロック状態へと変更するためには、拘束装置の作動前又は作動時に、スーパーポジション駆動装置のアクチュエータへの電力供給(通電)を遮断することができ、及び/又は、アクチュエータを(アクチュエータの少なくとも2つの磁極を)電気的に短絡させることができる。後者の場合には、アクチュエータ又はスーパーポジション駆動装置は、短絡制動部(短絡ブレーキ部)によって減速され、更に拘束装置によって機械的に拘束される。
ここで、保持要素又は当該保持要素に割り当てられた動作発生装置は、拘束装置の作動時においては、アクチュエータへの電流を遮断する機能、及び/又は、前記アクチュエータを短絡する機能を果たす。この目的のために、保持要素は、アクチュエータの電気接点に作用することができ、及び/又はそれ自体が電気接点を有し、保持要素がその解除位置からその保持位置へと移動する際に、アクチュエータへの電流が遮断され、及び/又は、アクチュエータが短絡される。特に、電力供給又は電流の遮断によって、結果的に拘束装置とアクチュエータを非作動状態にする手段との間を強制的に接続することができる。
具体的には、保持要素又は付属の動作発生装置の別の構成要素は、保持要素の解除位置において、アクチュエータと車両の電力供給/電子制御のシステムとの間の電気接点を設ける機能を果たし、また保持要素の解除位置への移動時に前記電気接点が遮断されその上部にて短絡される。
他方では、スーパーポジション駆動装置を非作動状態にする手段又は付属のアクチュエータ(遮断機構)は、拘束装置とは独立して作動することもできる。この場合、スーパーポジション駆動装置/アクチュエータに電流及び/又は制御信号を供給する制御ユニットによって、スーパーポジション駆動装置、或いは特にアクチュエータを非作動状態にすることができる。
保持要素自体は、当該保持要素が解除位置と保持位置との間で回転可能とされ或いは移動可能とされるように、回転動作及び/又はスライド動作する構成を採り得る。
1つの実施形態によれば、保持要素は、(所定の角度をなす)アーム状の2つのレバーアームからなり、そのうちの第1のレバーアームは、保持要素を解除位置と保持位置との間で往復動させるべく、動作発生装置に割り当てられ、またそのうちの第2のレバーアームは、保持要素が保持位置にあるときにスーパーポジション駆動装置の構成要素との係合をブロックするために設けられる。
別の実施形態によれば、保持要素をロックボルトとして構成することができ、当該ロックボルトは、適切な作動手段、例えば拘束装置のアクチュエータによって、付属の要素、例えばスーパーポジション駆動装置をロックするべくスーパーポジション駆動装置の構成要素に設けられたロックプレートと、ポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態で係合することができる。
本発明における改良によれば、例えばスーパーポジションギア及び/又はスーパーポジション駆動装置に割り当てられる制御ユニットのような、少なくともスーパーポジション駆動装置の部品が、ステアリングホイールハブの後方に配置される。これは、ステアリングホイールが車両に適正に装着されたとき、ステアリングホイールを操作しなければならない車両操作者(運転手)の正規のシートから視て、前述のアセンブリ(組み付け部品)がステアリングホイールハブによって遮蔽されることを意味している。
更に、スーパーポジション駆動装置のアクチュエータは、その駆動シャフト(モータシャフト)又はこれによって規定される駆動軸を備え、ステアリングシャフトに対して(90°以下の角度で)傾斜して延在するように、特にはステアリングシャフトに対するステアリングホイールスポークの傾斜と同様の傾斜角度で延在するように、空間上に配設されるのが有利である。このため、視覚的にアピールできるようにステアリングホイールスポークを備える所定の装着ユニットにこのアクチュエータを統合させることができる。
請求項32によれば、短絡制動部とスーパーポジションステアリングのスーパーポジション駆動装置のための拘束装置とを組み合わせた構造を、ステアリングシステムにおいてステアリングホイールの外部に有利に設けることも可能であり、例えばステアリングホイールと付属のステアリングシャフトとの間に、或いはステアリングシャフトの2つのシャフト部の間に当該構造を設けることができる。
本発明の更なる詳細点及び利点は、図面に基づく以下の典型的な実施形態の詳細な説明によって明確化される。
図1は、車両ステアリングホイール用のスーパーポジションステアリングのアクチュエータの側面視を、アクチュエータを拘束するための拘束装置とともに示す図である。
図2Aは、図1のアクチュエータの一部の第1の斜視図であって、アクチュエータがスーパーポジションステアリングを駆動することができる非作動状態の拘束装置を示す図である。
図2Bは、図2Aにおける配置の第2の斜視図である。
図2Cは、図2Aにおける配置の第3の斜視図である。
図3Aは、図1のアクチュエータの一部の第1の斜視図であって、アクチュエータが拘束された拘束装置の作動状態を示す図である。
図3Bは、図3Aにおける配置の第2の斜視図である。
図3Cは、図3Aにおける配置の第3の斜視図である。
図4は、スーパーポジションステアリングを備えた車両用ステアリングホイールであって、アクチュエータと、このアクチュエータ部に付属のスーパーポジションギアと、このアクチュエータに割り当てられた拘束装置とが、それぞれステアリングホイール上に配置された様子を示す図である。
図5は、図1から図4に示す典型的な実施形態の変更例を、ステアリングホイールの断面視にて示す図である。
図1には、スーパーポジションステアリング(「運転者が入力するステアリング角度(操舵角)に基づいて所定のアクチュエータによって更なる角度を付加する機能を有するステアリング」ともいう)のアクチュエータ1(「作動装置」ないし「スーパーポジション駆動装置」ともいう)の側面視が示されており、この場合、当該アクチュエータは、アクチュエータ1に付属のスーパーポジションギアを駆動するための駆動モータ(電動モータ)として構成されており、前記スーパーポジションギアによって、ステアリングホイールの作動によって設定される所定のステアリング角度に、更なるステアリング角度を付加して重ね合せることができる。
アクチュエータ1は、ケーシング10(モータケーシング)を備えており、駆動シャフト12(アクチュエータ又はモータシャフト)が当該ケーシングの外部へと公知の形態で突出しており、前記駆動シャフトは、アクチュエータ1によって生じた所定の駆動トルクをスーパーポジションギアに伝達するべく、アクチュエータ1の作動時に回転されて、付属のスーパーポジションギアと相互作用する。
本構成では、アクチュエータ1の駆動シャフト12は、(筒形状ないしパイプ状の)ケーシング1から外部へと突出しており、その自由端部に付属のスーパーポジションギアとトルク伝達によって接続可能なシャフト部を有し、この駆動シャフト12(トルク伝達要素)はその上部においても、このケーシング10の軸上の前面10aの第2自由端部12aがケーシング1から外部へと突出している。駆動シャフト12のこの第2自由端部12aは、駆動シャフト12の拘束部12aとして構成され、これは、このアクチュエータ1が以下に詳細に示されるように、拘束装置の機械的動作によって駆動シャフト12の拘束部12aにて拘束され、或いはロックされるからである。
典型的な実施形態では、拘束装置2,3,4は、2つのレバーアーム21,22を有する拘束レバーの形態の保持要素2(「遮断機構」ともいう)を備えており、当該2つのレバーアームは、互いに所定の角度で(直角となるように)延在し、また接続部23を介して互いに接続されており、当該拘束装置は、更に保持要素2を作動させるための動作発生装置として、電気コネクター35を有する電磁石3とバネ手段4とを備えている。
保持要素2は、ここでは回転軸17まわりに回転可能となるように装着されており、保持部材16によってアクチュエータ1のケーシング10に取り付けられている。電磁石3及びバネ手段4も同様に、ケーシング10上に配置されており、ケーシング10を取り囲む保持リング15に電磁石3が設けられ、またケーシング壁の一部にバネ手段4が設けられており、それらが保持要素2の第1のレバーアーム21とケーシング10との間に収容されている。
拘束装置2,3,4の構造及び機能は、図1とともに図2Aから図2C、及び図3Aから図3Cを組み合わせることによって、以下により詳細に説明され、ここでは図2Aから図2Cには、非拘束状態のアクチュエータ1が示されており、図3Aから図3Cには、拘束装置2,3,4によって拘束されたアクチュエータ1が示されている。
図1と図2Aから図2Cとの組み合わせによれば、保持要素2の第1のレバーアームは拘束レバーとして構成されており、作動部21としての機能を果たし、前記作動部21の電磁石3及びバネ手段4の相互作用によって、当該作動部を介して、回転軸17まわりの保持要素2の回転動作を開始させることができる。
アクチュエータ1が図2Aから図2Cに示される状態では、電磁石3が作動し、即ち通電されており、これにより当該電磁石が保持要素2の作動部21に磁気による保持力Mを作用させ、前記保持力は、特に図2Aからわかるように、保持要素2の作動部21を電磁石3に接触させるように作用する。この目的のために、保持要素2の作動部21は、その少なくとも幾つかの領域が磁性材料によって作られる。
電磁石3及び保持要素2の作動部21は、電磁石3の通電時においては、作動部21に作用する磁気による保持力、或いは(保持要素2の回転軸17に関して)それに関連する保持モーメントが、アクチュエータ1のケーシング10と保持要素2の作動部21との間に配置されたバネ手段4によって電磁石3に抗して作用する復帰力又は復帰モーメントよりも大きくなるように構成されている。ここでバネ手段4は、典型的な実施形態では圧縮バネとして構成され、予め応力が付与された作用下では、保持要素2の作動部21を電磁石3から離間するように移動させる。
従って、電磁石3が通電状態になると、保持要素2の作動部21に作用する磁気による保持力Mは、保持要素2がその作動部21にて前記電磁石3を押圧するのに十分な大きさになる。これは、割り当てられた回転軸17のまわりの保持要素2の回転方向Sの動作に対応しており、また駆動シャフト12の拘束部12aと相互作用する保持部22が前記拘束部12aから所定方向Aに沿って係合解除する動作に対応している。即ち、保持要素2の保持部22は、この係合解除状態では、駆動シャフト12の拘束部12aに作用せず、これによりこの駆動シャフト12は自在に回転することができる。
特に図2Bを参照することによって明確になるように、アクチュエータ1を作動させるために、保持要素2の領域に、典型的な実施形態では、特に保持要素2の保持部22の領域に2つの電気コネクター51,52が設けられており、またケーシング10の前面10aに配置され、その前側に保持要素2の保持部22が延在している(前記保持部22は、固定要素25とともに駆動シャフト12の拘束部12aのまわりを囲む囲み部22aを有する)。
第2の電気コネクター52がアクチュエータ1に直に電気接触している間は、第1の電気コネクター51は、接続伝導要素53を介してアクチュエータ1に電気的に接続される。この目的のために、第1の電気コネクター51は、保持要素2上に、即ちその保持部22上に配置され、(所定の角度をなして延在する)コネクター部51aを備え、(電磁石3が通電されている)図2Aから図2Cに示す状態において、保持要素2がその保持部22とともに調整され、これにより保持部22が駆動シャフト12の拘束部12aに係合しないとき、当該コネクターの上部がコネクター部51aを介して接続伝導要素53の接触部53aに電気的に接続される。このため、図2Bに図示されるように、アクチュエータ1への供給のための電力供給線Eに沿って電流を流すことができる。
更に、第1の電気コネクター51に割り当てられた接続伝導要素53と第2の電気コネクター52との間には、保持要素2の電気伝導面22bに対向して配置された短絡部52b及び53bがそれぞれ設けられており、当該電気伝導面は、モータケーシング10或いは保持要素側の前面10aに対向し、図2Aから図2Cに示す状態では、互いに対向する前記の短絡部52b,53bと保持要素2又は保持部22の電気伝導面22bとの間が接触しないように所定の隙間が形成される。
拘束要素2,3,4の図2Aから図2Cに示すような状態に基づいて、作動状態の(通電状態の)電磁石3と、非作動状態の拘束要素2,3,4とによって、車両ステアリングホイールのスーパーポジションステアリングを作動させるためのアクチュエータ1は、以下のように制御される。
車両の電気システム或いは車両側の電源から電気コネクター51,52を介してアクチュエータ1に供給される電力(電流)は、起電原理によってアクチュエータ1の駆動シャフト12を回転させ、これによりアクチュエータ1に付属のスーパーポジションギアに対して所定トルクを伝達させることができる。変更例として、駆動シャフト12自体をスーパーポジションギアの一部とすることができる。駆動シャフト12のうち拘束部12aとは反対側の端部に、例えばウォームシャフトとして最も好ましい構成の歯部が設けられる。ここでは、保持要素2、特にその保持部22が駆動シャフト12の拘束部12aから係合解除されるため、駆動シャフト12の回転動作が拘束装置2,3,4によって影響を受けない。
ここで、典型的な実施形態とは異なり、保持要素2、電磁石3及びバネ手段4の相互作用を変更するように構成することも可能であり、これにより図2Aから図2Cに示す状態で電磁石3が非通電状態になる場合が想定される。この場合、例えばテンションバネの形態のバネ手段4は、保持要素2が駆動シャフト12の拘束部12aに作用しない状態で、保持要素2を保持するように構成配置されなければならない。電磁石3は、通電時に保持要素2がアクチュエータ1を拘束する状態へと移動するように、保持要素2又はその作動部21と相互作用しなければならない。
一方で、図示された典型的な実施形態によれば、本構成では、拘束装置2,3,4は更に、電磁石3の通電時に非作動状態になる場合が想定される。
この典型的な実施形態によれば、アクチュエータ1を停止して拘束するためには、単に電磁石3への電流を遮断する(或いは、図示された典型的な実施形態の上記の変更例では電磁石3に通電する)ことが必要である。このため、図示された典型的な実施形態では、電磁石3は、保持要素2又はその作動部21に磁気による保持力をもはや作用させることができず、これにより保持要素2は、アクチュエータ1のケーシング10と保持要素2、特にその作動部21との間に配置されたバネ手段4の作用下においては、図3Aに図示されるように、バネ力F又はそれに関連するバネモーメントによって定まる所定方向に沿って電磁石3から離間する。このため、バネ手段4によって生じるバネ力F又はそれに関連するバネモーメントは、保持要素2の(磁気による保持力Mによって予め定まる回転方向Sと反対方向の)所定の動作(回転動作S’)をもたらし、これによって図3Aが参照されるように、保持要素2の保持部22は、駆動シャフト12の拘束部12aに対し所定の係合状態を形成するべく所定の復帰方向Rに沿って移動する。これは、保持要素2が、アクチュエータ1が拘束されない解除位置(図2Aから図2C)から、アクチュエータ1が保持要素2によって拘束された保持位置(図3Aから図3C)へと移動することに相当する。
しかしながら、保持要素2の上記の(回転)動作の結果、機械的な係合状態が(完全に)形成される前に、図3Bが参照されるように最初にアクチュエータ1のための電流の供給が遮断されるが、これは図3Bを参照することによって示されるように、保持要素2上に、特にはその保持部22上に配置された第1の電気コネクター51は、このコネクター51とアクチュエータ1とを電気的に接触させる接続伝導要素53との接触が解除され、これにより第1の電気コネクター51とアクチュエータ1との間の電気的な接続が遮断されるからである。具体的には、保持要素2の上記の(回転)動作によって、第1の電気コネクター51のコネクター部51aが、接続伝導要素53の接触部53Aから離間する。それで、電磁石3のための通電が遮断され、またこれによって保持要素2の(回転)動作S’が開始されると直ぐに、アクチュエータ1のための通電が遮断される。
保持要素2の移動時、特に回転時においては、電磁石3への電流の供給が遮断され、またそれに接続された保持要素2の保持部22が復帰動作Rを行った後に、保持要素2の電気伝導面22bは、その上部が第2の電気コネクター52と第1の電気コネクター51に割り当てられた接続伝導要素53との短絡部52b,53bと電気的に接触し、これによりモータの両磁極は、更に図3Bが参照されるように、外形が示された短絡線Kに沿って短絡される(この目的のために、保持要素2は、電気伝導材料によって作られ、或いは前述の面22b上に電気コーティング膜又は別の電気伝導板が設けられる)。
その結果、EP1382792A1が参照されるように、駆動シャフト12の回転を公知の形態で減速させるアクチュエータ1の短絡制動部(「短絡ブレーキ部」ともいう)が作動する。
その結果、(電磁石3のための電流の供給が遮断される結果として)、図2aから図2cに示される(拘束装置が非作動状態になる)解除位置から保持位置へと向かう保持要素2の(回転)動作S’によって、アクチュエータ1のための電流の供給の遮断が生じるのみならず、アクチュエータ1の、特にその駆動シャフト12の短絡制動(短絡ブレーキ)もまた生じることとなる。
特に、図3A及び図3Cに示されるように、保持要素2の(回転)動作S’は、更に保持要素2又はその保持部22が復帰動作Rによって駆動シャフト12の拘束部12aと(ポジティブロック(突部での係合によるロック)及び/又は圧入ロックによる形態で)係合するように作用し、保持部22の(本質的にU字形状の)囲み部22aは、前記保持部22に設けられた固定要素25とともに駆動シャフト12の拘束部12aを取り囲み、拘束部12a上に押圧状に(従って、本質的に圧入/摩擦によるロック形態で)作用する。ここで、固定要素25は、駆動シャフト12の拘束部12aを円弧状(典型的な実施形態では180°以下の角度によって)に取り囲み、これによりその円弧長さ部分によって駆動シャフト12の拘束部12a上への固定要素25の押し付け作用が得られる。
(固定要素25が円弧状に構成されたことによる)ポジティブロックによる固定要素は、圧入或いは摩擦による固定要素と比較して、専ら二次的な(補助的な)役割を果たす。保持要素2又は保持部22を、駆動シャフト12の拘束部12aとポジティブロックの形態によって係合させるために、拘束部12aに例えば凹部を設けることができ、保持部側の突部が当該凹部と係合することができる。
概して、拘束装置2,3,4、特には保持要素2又は拘束装置の保持部22と、アクチュエータ1の拘束部12aとの機械的な係合によって、アクチュエータ1又はその駆動シャフト12は、(静止位置で)確実に拘束され得る。電磁石3が再び通電されるまでこの機械的な拘束が維持され、これにより対応する磁気による保持力Mの作用下では、保持要素2は再び図2Aから図2Cに示される、拘束装置2,3,4が非作動状態である初期位置(解除位置)へと移動する。既に上述のように、拘束装置2,3,4が非作動状態である解除位置への保持要素2の復帰は、ここでは基本的に電磁石の通電とは別の形態によっても起こり得る。保持要素2が解除位置へと復帰する時には、アクチュエータ1の電気コネクター51,52(磁極)の短絡も解除され、同時に第1の電気コネクター51と関連する接続伝導要素53との間が再び電気的に接続されるが、これはアクチュエータ1の(復帰の)電気的な制御に不可欠である。
保持要素2は、その保持部22及び固定要素25を介して、図2Aから図2Cに示す、拘束装置2,3,4が非作動状態になる解除位置からその保持位置まで(回転)動作S’を行う際には、未だ全速(回転)で回転動作する(駆動シャフト12の)拘束位置12aへと直ぐには移行せず、前記拘束部12aを直ぐに減速させる短絡制動がアクチュエータ1に作用するので、保持要素2と前記拘束部12aとの係合時には相当に小さな荷重又はモーメントが作用する。これにより、費用を相当に低く抑えることができ、また保持要素2の、特にその固定要素25のための材料の要請を相当に低く抑えることができる。
車両用ステアリング装置のスーパーポジション駆動装置のアクチュエータ1の短絡制動部と、アクチュエータ1の機械的な固定とを組み合わることによって、車両用ステアリングホイールにおいて、スーパーポジション駆動装置及び拘束装置の付属の構成要素とともにアクチュエータ1の配置を自由に設定することもできる。即ち、例えばステアリングホイールとステアリングホイールに付属のステアリングシャフトとの間に、ステアリングホイールから離間した構造物、或いはステアリングホイールの2つのシャフト部の間の構造物としてスーパーポジション駆動装置が配置される際に、短絡制動部及び機械的拘束装置の組み合わせを使用するのが有利である。
更に、スーパーポジション駆動装置の機械的な拘束又は固定のために拘束装置2,3,4が作用する拘束部12aは、アクチュエータ1の構成要素である必要はなく、またアクチュエータ12の一部である必要はない。むしろ、そのような拘束装置2,3,4は、スーパーポジション駆動装置の一構成要素として、アクチュエータ1又は駆動シャフト12に付属のギア要素の所定の拘束部に作用することもできる。
その後、図1から図3Cに図示されている種類のアクチュエータ1が、アクチュエータ1に付属のギア要素及び駆動要素の拘束装置2,3,4を備えたスーパーポジション駆動装置の一部として如何にして車両用ステアリングホイールに装着されるかが、図4を用いることによって説明される。
図4では、車両のステアリングホイール6は、ステアリングホイールハブ60として構成されたベース領域と、そのベース領域にスポーク61によって接続されたステアリングホイールリム62とを備えるように図示されている。ステアリングホイールリム62は、運転者によってステアリングホイール6を回転させるための機能を果たし、前記運転者は、ステアリングホイールリム62上のステアリングホイール6を把持してステアリング軸Lまわりに回転させる。
ステアリングホイールハブ60として構成されたステアリングホイール6のベース領域は、ステアリングホイール6を(例えば、ステアリングコラム70にて車両に装着される)ステアリングシャフト7に接続する機能を果たし、この目的のために接続ピン75が設けられている。このようにして、ステアリングホイール6の各回転動作は、所定の回転角度でのステアリングシャフト7の回転動作に変換される。ステアリングシャフト7へのステアリングホイール6の具体的な接続構造は、スーパーポジションギア100を参照しつつより以下により詳細に説明される。
ステアリングシャフト7の回転動作は、ステアリングホイールリム62上でのステアリングホイール6の(手動の)操作のみならず、図1から図3Cに図示された種類のステアリングホイール6に配置されたアクチュエータ1による、いわゆるスーパーポジションステアリングの作動によっても可能となる。
アクチュエータ1は、スーパーポジション駆動装置1,100の一部として、拘束装置2,3,4とともに、ステアリングホイール6に配置され、特に具体的には、ステアリングホイールハブ60として構成されたステアリングホイール6のベースへの移行領域においてステアリングスポーク61に配置される。
この場合、アクチュエータ1は、駆動モータの形態であり、(駆動シャフト12を介して)付属のスーパーポジションギア102,104を駆動し、当該ギアは、典型的な実施形態では、アクチュエータ1の駆動シャフト12に接続された、即ち当該駆動シャフトに装着された駆動ウォーム102と、駆動ウォーム102に係合するウォームギア104とを備えている。後者のウォームギア104は、ステアリングホイール6のステアリング軸L上に回転可能に装着されている。変更例として、駆動ウォーム102を、駆動シャフト12との一体部品として構成することができる。
スーパーポジションギアのギア要素102,104を収容するために、図4において破線(点線)で示されるギアボックスケーシング101は、典型的な実施形態では、ステアリングホイール6のベース領域に、即ちステアリングホイールハブ60に設けられている。
アクチュエータ1の作動の際、このアクチュエータ1に接続されたウォーム102が回転され、これによりウォームギア104が駆動され、前記ウォームギアはステアリングシャフト7に接続されており、アクチュエータ1の作動によって生じるウォームギア104の回転が、ステアリングホイール6に対するステアリングシャフト7の所定の付加角度(「付加角度」、「重ね合わせ角度」ないし「重畳角度」ともいう)での回転動作を発生させる。
スーパーポジション駆動装置1,100によって、即ちアクチュエータ1及び付属のスーパーポジションギア100によって発生するステアリングシャフト7の所定の付加角度での回転動作は、ステアリングホイールリム62上のステアリングホイール6の手動操作によって生じる所定のステアリング角度でのステアリングシャフト7の回転動作とは独立しており無関係である。即ち、一方ではステアリングホイール6のステアリングホイールリム62を介して手動で、また他方ではスーパーポジション駆動装置1,100によって、ステアリングシャフト7が同時に作動する際、前記のステアリング角度と、それに付加される付加角度とからなる合成された回転角度で、ステアリングシャフト7が回転動作する。
特にステアリングシャフト7に付属のピン75と、一方ではステアリングホイール6の手動で、また他方ではステアリングホイール側のスーパーポジション駆動装置1,100によって、ステアリングシャフト7上でのステアリングホイール6の所定の動作を可能とするべくステアリングホイール側に割り当てられたスリーブ又はブッシュを介して、ステアリングホイール6をステアリングシャフト7に適切に接続する構造は、WO2007/009420A1の文献に詳述されている。具体的には、ステアリングホイール側のスリーブがステアリングシャフト側のピン75を保持し、これら両方の部材は、例えばステアリング軸Lに沿って延在するネジ72による取り付け手段によって互いに接続される。ステアリングシャフト7に対するステアリングホイール6の(例えば、ネジ72による)接続に関しては、実質的に当該文献の全体が参照される。
特に、ステアリングシャフト7のピン75は、スーパーポジションギア100の出力駆動側にてギア要素(ウォームギア104)と耐トルクの形態で接続され、また適切な取り付け手段によって固定されるように構成することができる。ウォームギア104の形態の出力駆動側のギア要素と、前記ウォームギア104に係合するウォーム102の形態の別のギア要素は、いずれもギアボックスケーシング101内に配置されている。ギアボックスケーシング101は、ステアリングホイール6とそのベース領域(ステアリングホイールハブ60)にて接続されているため、ステアリング軸Lまわりのステアリングホイール6の回転時に、特にはステアリングホイールリム6上でのステアリングホイールの手動操作時に、ステアリングシャフト7を(そのシャフトの長軸上において)ともに回転させることができる。その上部において、スーパーポジションギア100は、アクチュエータ1による作動時に、出力駆動側のウォームギア104の形態のギア要素によるステアリングシャフト7上での動作によって、ステアリングホイールシャフト7に作用して当該シャフトを回転させることもできる。
ステアリングシャフト7へのステアリングホイール6の上述の接続によって、特に所定の相対動作、即ちステアリングホイール6に対するステアリングシャフト7の相対回転が可能となる。従って、ステアリングホイール6の手動操作の際、結果的に形成されるステアリングシャフト7の回転角度は、ステアリングホイール6の(手動)回転によって生じるステアリング角度に対応する必要はなく、このステアリング角度は、アクチュエータ1の作動及びこれによって生じるスーパーポジションギア100の作動によって形成される所定の付加角度での合成が可能とされる。(スーパーポジション駆動装置1,100が作動し拘束装置2,3,4によって拘束されない場合を除いて、ステアリングシャフト7の回転は、専らステアリングホイール6の機械的な駆動によって発生することができる。)従って、ステアリングホイール6とステアリングシャフト7との間の接続によって、ステアリングシャフト7は、スーパーポジション駆動装置1,100によって付加角度を形成する合成によって結果的に形成された回転角度で、回転動作することができ、当該回転角度は、ステアリングホイール6の手動操作によって形成されるステアリング角度に一致する必要はなく、ステアリング軸Lに関するステアリングホイール6及びステアリングシャフト7の互いの相対回転に対応している。
関連する拘束装置2,3,4を含むスーパーポジション駆動装置1,100の全体がステアリングホイール6に一体化され、またステアリングホイール6を接続ピン75で(ステアリングホイールとは別体の)共通のステアリングシャフト7に接続することができるため、スーパーポジションステアリングを設けることでは、ステアリングホイール6の外部においてステアリングシステムの構造上の特別な調整(変更)を要しない。ステアリングシャフト側のピン75とステアリングホイール側に割り当てられるスリーブとを互いに調整することのみが必要となる。
スーパーポジションステアリングをステアリングに一体化する必要はあるが、特にステアリングシャフト7を複数の部品で設計する必要はない。更に、ステアリングシャフト上に設けられたスーパーポジションステアリングが、テアリングコラムにスーパーポジション駆動装置を一体化させる構造を必要とする場合と比較して、ステアリングシャフト7を取り囲むステアリングコラムに特別な装着手段を設ける必要がない。
図5には、図1から図4の典型的な実施形態の変更例が示されており、ここでは図4と同様に全体が図示されている一方、一部が断面で示されている。
図5に図示されたステアリングホイール6は、その基本構造は図4に示されているステアリングホイールと同様である。このステアリングホイールは、ステアリングホイールスケルトン6a(「ステアリングホイールの骨格部分」ともいう)と、例えば発泡材料の形態の被覆部6bを含み、またスポーク61を介して互いに接続されるステアリングホイールハブ60及びステアリングホイールリム62を規定している。
車両の運転者の斜めの視点から視てステアリングホイールの中央領域には、車両乗員の保護のためのエアバッグモジュールMが、ステアリングホイールハブ60の上方に車両に公知の形態で装着されており、即ち当該エアバッグモジュールは、この運転者の場合、膨張可能なガスバッグGと、モジュールカバーAとともにガスバッグGを膨張させるためのガス発生装置(インフレータI)を含む。
ステアリングホイール6は、(車体に固定された)ステアリングコラム70内に延在するステアリングシャフト7を作動される機能を果たす。スーパーポジション駆動装置1,100が介在した状態でのステアリングホイール6とステアリングシャフト7との接続に関しては、特に図1から図4の典型的な実施形態との対比による相違点が、以下により詳細に説明される。
まず、ステアリングホイール6とともに回転可能なステアリングホイール側に電気的および/または電子的なモジュールを装着するために、車体側のアセンブリとして接点ユニットKが設けられ、当該接点ユニットはステアリングコラム70に配置されるアセンブリとしてのステーターS(固定子)を有し、ステアリングホイール側のアセンブリとしてのローターR(回転子)は、ステアリングホイールと、これら2つのアセンブリ間の電気的な接続部としての、いわゆるコイルバネWの形態の可撓性の導体要素(伝導要素)とともに回転することができる。DE19727856A1に開示の、ステーター及びローターを備えた公知の接点ユニットによれば、接点ユニットの構造及び作用の詳細が参照される。更に、車体に固定された構成要素に対するステアリングホイール6又はステアリングシャフト7の相対動作を記録可能な角度センサ(検知器D)を設けることができる。
エアバッグモジュールM及び接点ユニットKの両方を、図4のステアリングホイール上に関連する形態で設置することも可能であり、これらは、図4では単に斜視図での視認性の理由によって図示されていない。
図1から図4の典型的な実施形態の場合のように、図5のステアリングホイール6にもスーパーポジション駆動装置1,100が割り当てられており、これによりステアリングホイール6に割り当てられたステアリングシャフト7は、ステアリングホイール6の駆動による通常の形態と、スーパーポジション駆動装置1,100による(追加の)形態の両方の形態で作動することができ、それぞれの形態でステアリング軸L上でのステアリングシャフト7の回転動作を形成する。スーパーポジション駆動装置100は、例えば電動モータの形態のアクチュエータ1と、アクチュエータによって駆動されるスーパーポジションギア100と、例えばアクチュエータ1の駆動シャフトに(耐トルクの形態で)配置され、アクチュエータ1によって回転可能な駆動ウォーム102と、駆動ウォーム102に係合するウォームギア104とを備えている。ここで、このスーパーポジションギア100はギアボックスケーシング101内に配置されている。
ステアリングホイール6上へのスーパーポジション駆動装置1,100の配置に関しては、図4の実施形態と対比して、以下の2つの重要な相違点があり、1つの相違点として、図5におけるスーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1は、その駆動シャフト又は駆動軸(主軸H)がステアリングホイール6のステアリングシャフト7(ステアリング軸)に対して傾斜し、本質的にステアリングホイールスポーク61と同じ傾きで延在するように(ステアリングホイールスポーク61の領域に)配置されており、図4の典型的な実施形態のように、ステアリングシャフト7に対して(90°の角度で)垂直状には延在していない。別の相違点として、スーパーポジション駆動装置100の本質的な部品、即ち図5の典型的な実施形態では、アクチュエータ1によって駆動される駆動ウォーム102と付属のウォームギア104は、車両の運転者の斜めの視点から視て、ステアリングホイールハブ60の後方(「下方」ないし「裏面側」ともいう)に配置される一方、図4の典型的な実施形態では、スーパーポジション駆動装置100の対応する構成要素102,104は、ステアリングホイールハブ60の前方(「上方」ないし「表面側」ともいう)に配置されている。
スーパーポジション駆動装置100のウォームギア104に、典型的な実施形態では、具体的に(ステアリングシャフト7と対向する)ウォームギア104の内側に(駆動ウォーム102と相互作用する外側とは反対側の面に)、スリーブ状の突出部106が取り付けられている。この突出部106は、ステアリングシャフト7に沿ってスリーブ状に延在し、また例えばロールベアリング(回転ベアリング)の形態の適切なベアリング66,67を介して回転可能に装着され、この場合、ニードルベアリングとして構成されたラジアルベアリング66及び軸ベアリング67がステアリングホイールハブ60のベアリングピン65上に配置されている。ここでベアリングピン65は、ウォームギア104が(突出部106及びベアリング66,67を介して)ステアリング軸Lまわりに回転可能に配置されるように構成され調整される。ここでベアリングピン65を、特にステアリングホイールハブ60内に鋳込むことができる。
スリーブ状の突出部106を、一方ではウォームギア104と一体状に構成することができ、或いは例えば溶接、熱収縮、或いは鋳造によって、ウォームギア104に接続される別部品として構成することができる。
更に、突出部106は、適切な取り付け手段72によって固定され、当該取り付け手段が(中央の)ネジの形態の場合には、ステアリングシャフト7に耐トルクの形態で固定される。その結果、ウォームギア104は、スリーブ形状の突出部106を介して、ステアリングシャフト7に(耐トルクの形態で)固定される。この目的のために、スリーブ形状の突出部106は、ステアリングシャフト7の領域に、ステアリングシャフト7に割り当てられた外歯と相互作用する内歯を更に備えることができる。他方で、ウォームギア104は、(例えば、アクチュエータ1及びギアボックスケーシング101を介して)ステアリングホイール6上に配置されるので、ステアリングシャフト7に対するステアリングホイール6の接続は、概してウォームギア104及びそのスリーブ形状の突出部106によっても同時に行われる。そのような接続は、例えばDE102005034636A1に示されている。
スーパーポジションギア100、特に駆動ウォーム102及びウォームギア104は、図5の破線(点線)で示されているギアボックスケーシング101に収容されており、当該ケーシングを、例えばネジの形態の適切な取り付け手段101aを介してステアリングホイール6上に、特にはステアリングホイールハブ60上に固定することができる。更に、(スリーブ形状の突出部106を介して)ウォームギア104の配置のために、ギアボックスケーシング101に、例えば軸ベアリング(ニードルベアリング63)の形態の少なくとも1つの別のベアリング領域を設けることができる。ギアボックスケーシング101は、ステアリングホイールハブ60に向けて開口しており、これによりステアリングホイールハブ60は(ベアリングピン65とともに)、ギアボックスケーシング101のためのケーシングカバーを構成している。
ギアボックスケーシング101のうちアクチュエータ1に対向する部位は、ギアボックスケーシング101上にアクチュエータ1を取り付けるための機能を果たし、これによりその結果として前記ケーシング101は、スーパーポジションギア100を装着するための機能のみならず、更にアクチュエータを支持するための機能をも果たす。変更例として、ステアリングホイール6上又はステアリングホイールスケルトン6a上にアクチュエータ1を直に固定することもできる。
スーパーポジション駆動装置1,100に拘束装置8が割り当てらており、前記拘束装置は、図5の典型的な実施形態では、作動手段としての(例えば、リニアモータ、リレー式又は空気式の駆動の形態の)それ自体の作動部/アクチュエータ80と、前記作動部/アクチュエータ80によって駆動される保持要素としてのロックボルト82と、駆動ウォーム102に固定状に接続された(また、前記ウォーム102とともに回転する)ロックプレート84とを備えている。ロックプレート84は、例えば(その外側リムの領域に)複数の凹部を備えており、典型的な実施形態では当該凹部は、ロックプレート84のまわりに延在し、またロックプレート84の回転を阻止するべくポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態で、固定手段としての機能を果たす部位(端部)82aを有するロックボルト82(また、駆動ウォーム102)に係合可能に構成されている。アクチュエータ80の作動によって(例えば、リニアモータ/リレーでの電流供給の遮断によって)、ロックボルト82は、スーパーポジション駆動装置1,100を拘束するべく、スーパーポジション駆動装置1,100の駆動ウォーム102を固定するためのロックプレート84に係合することができる。この係合は、例えばアクチュエータ80により生じるロックボルト82の長さ方向の移動によって発生可能であり、ここでは前記ボルト82がロックプレート84又は当該複数の凹部のいずれかに係合可能である。ここで図5には、拘束装置8の拘束状態(ロック状態)が示されており、この拘束状態ではロックボルト82がポジティブロック/圧入ロックの形態でロックプレート84に作用している。
発泡ケーシング68又はカバー69によって被覆されている場合、ステアリングホイール上には、更に作動部/アクチュエータ1,8を制御するための電子アセンブリを備えた制御ユニット9(ECU)が配置され、更にステアリングホイール6に(耐トルクの形態で)接続された電気式/電子式のモジュール(「切り替え手段」ないし「スイッチ手段」ともいう)が配置されている。車両側では、ステアリングホイール6と車両のオンボード電子システム及び中央電子システムとを電気的に接続する接点ユニットKを介して、制御ユニット9(「遮断機構」ともいう)に電流及び電気信号が伝送される。図5の典型的な実施形態では、制御ユニット9は、ステアリングホイールハブ60の後方に位置しており、従ってステアリングホイール6を適切に作動させる車両の運転者とは反対側に離間して配置されている。
接点ユニットK、特にステアリングホイール6とともに回転可能なそのローターRとの接続のために、制御ユニット9に、例えばプラグの形態の電気的な接続リンク95が設けられている。制御ユニット9からの電流及び電気信号を、ステアリングホイール6の個別の電気的な構成要素に伝達させることができ、この場合、2つのアクチュエータ1,80を備えた電気接続部91,92の一例が、即ちスーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1が、拘束装置8のアクチュエータ80とともに図示されている。
図5に示されるステアリングホイール6では、ステアリングシャフト7への作用によって、以下のようにステアリング動作が生じ得る。
一方では、ステアリングホイール6は、ステアリング軸Lまわりのステアリングホイールリム62の手動操作によって通常の形態で回転可能とされ、ここではこの回転動作が、(セルフロック構造の)スーパーポジション駆動装置1,100を介して、即ち入力側のそのギアボックスケーシング101と、出力側のスリーブ形状の突出部106を介してステアリングシャフト7に伝達され、これによりステアリングホイール6の回転動作によってステアリングシャフト7の対応する回転が生じる。
他方では、ステアリングホイールリム62を介して生じるステアリングホイール6の動作とは全く独立して、スーパーポジション駆動装置1,100によってステアリング軸L上でのステアリングシャフト7の回転動作が生じ、当該駆動装置では、そのアクチュエータ1が作動し、また前記アクチュエータは、アクチュエータ1の駆動シャフトに配置された駆動ウォーム102を介してウォームギア104に作用し、当該ウォームギアがスリーブ状の突出部106を介してステアリングシャフト7に接続され、これによりアクチュエータ1の作動により発生するウォームギア104のステアリング軸Lまわりの回転動作によって、ステアリングシャフト7の対応する回転動作が生じる。
スーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1の作動及び非作動は、制御ユニット9によって、また制御ユニット9とアクチュエータ1との間の(直接的な)電気接続部91を介して発生する。図1から図4の典型的な実施形態とは異なり、一方ではスーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1を非作動状態にする通電遮断のための(また短絡を形成させるための)手段と、他方ではスーパーポジション駆動装置1,100を拘束するための装置との間には、(機械的又は磁気的な)接続が形成されない。むしろ、(別個の)アクチュエータ1,80を制御することによって、両機能を別々に得ることができる。この場合、(電流供給の遮断/短絡の形成によって)アクチュエータ1を非作動にするための手段は、電気回路によって構成され、また例えば少なくともサイリスターのような制御ユニット9の一構成要素として構成される。
一方ではスーパーポジションギア1,100の、他方では拘束装置8の制御では、好ましくは、(制御ユニット9によって)ステアリングシャフト7の回転動作を停止させるために、最初に(接続部91による電流カット/短絡の形成によって)アクチュエータ1が拘束前に非作動状態になり、制御ユニット9によって(例えば、電流カットによっても同様に)拘束装置8が(接続部92を介して)作動され、また拘束装置8のアクチュエータ80によって作動可能なロックボルト82と、付属のロックプレート84とを介して、スーパーポジション駆動装置1,100の駆動ウォーム102に固定力が作用する。拘束装置8がスーパーポジション駆動装置1,100に、特にはその駆動ウォーム102に作用するべく作動したときには、スーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1は既に電気的に、即ち(図1から図4を用いて上述したように、追加で短絡が適用できる)電流遮断によって非作動状態になるため、拘束装置8の機械的な負荷がこれに応じて減少する。これに対応して拘束装置8の構成要素80,82,84の寸法をより小さくすることができ、ステアリングホイール6内で利用できる限られた自由装着空間を得ることができるため有利である。
本発明は、請求項1の前段部分(プレアンブル)にかかる、車両用ステアリングホイールに関するものである。
そのようなステアリングホイールは、運転者によるステアリングホイールの回転のためのステアリングホイールリムと、ステアリングホイールとは別体で回転可能なステアリングシャフトにステアリングホイールを接続可能なステアリングホイールハブと、を備え、これによりステアリングホイールリムの回転動作がステアリングシャフトの回転動作に変換される。このステアリングホイールリム及びステアリングホイールハブは、例えば複数のスポークを介して接続される。
更に、ステアリングホイールには、スーパーポジションステアリングの作動用のスーパーポジション駆動装置が設けられ、ステアリングホイールリムの運転者の操作によって形成されるステアリング角度は、スーパーポジションステアリングを介して、スーパーポジションステアリングによって形成される付加角度(重ね合せ角度)での合成(重ね合せ)が可能とされ、これによりステアリングシャフトがステアリングホイールに接続された状態では、ステアリングシャフトの回転動作は、ステアリングホイールリムの運転者の操作によって形成されるステアリング角度と、スーパーポジションステアリングによって形成される付加角度とによって設定され、スーパーポジションステアリングが非作動状態の場合には、付加角度が回転動作に寄与しない。
そのようなステアリングホイールは、WO2007/009420A1から公知である。この中では、スーパーポジション駆動装置は、2つの駆動モータ(電動モータ)を備えており、それぞれがステアリングホイールのスポークの1つに組み込まれ、前記モータはそれぞれ1つのウォームを介してスーパーポジション駆動装置のうち出力駆動側のウォームギアの形態の中央ギア要素に作用する。スーパーポジション駆動装置は、出力駆動側のこのギア要素によって車両のステアリングシャフトに接続され、ステアリングホイールリムの運転者の操作によって形成されるステアリング角度に加えて、ステアリングシャフトを所定の付加角度で回転させるべく、スーパーポジション駆動装置の駆動モータによって形成される動作をステアリングシャフトに伝達させることができる。
駆動モータと、駆動モータに付属のギアを備えたスーパーポジション駆動装置の更なる変更例が、DE10160313A1から公知であり、ここではこのスーパーポジション駆動装置は、ステアリングホイールの外部において、ステアリングホイールに接続された入力側のステアリングシャフト部と、車両のステアリングギアに接続された出力側のステアリングシャフト部との間に配置されている。このため、スーパーポジションステアリングのハウジングとしてステアリングシャフトを取り囲むステアリングコラムの領域に、追加の装着空間が必要であり、ステアリングコラムにこれに対応した構造を設ける必要がある。
本発明の課題は、ステアリングコラム内に追加の装着空間を必要とせず、且つ非作動時に確実に拘束されるように構成されたスーパーポジションステアリングを備えた車両用のステアリングホイールを実現することである。
本発明によれば、この課題は請求項1の特徴部分を有するステアリングホイールを提供することによって解決される。
これによれば、付加角度を形成するためのスーパーポジションステアリングの構成要素とは別に、機械式の拘束装置がステアリングホイールに設けられ、スーパーポジション駆動装置は、前記拘束装置による機械的な動作によって拘束される。
請求項によれば、拘束装置は、伝達角度を形成する機能を果たすスーパーポジション駆動装置の構成要素とは別の装置であり、そのような拘束装置は、スーパーポジション駆動装置のセルフロック構造を用いることができない。スーパーポジション駆動装置がセルフロック駆動であるか、或いは非セルフロック駆動であるかには無関係にこの拘束装置を適用できる。
ここで、拘束装置は、(例えば電気式、電磁石やリレー、或いは空気式での)作動が可能とされ、拘束装置の作動時には、スーパーポジション駆動装置に拘束装置の機械的な動作が作用し、またこれによって前記スーパーポジション駆動装置が拘束される。従って、この場合、拘束装置の作動によって(特に直接的な結果として)スーパーポジション駆動装置の拘束が生じる。
拘束装置は、スーパーポジション駆動装置の拘束時における最適な保持動作が確保されるように構成され得る。他方で、このスーパーポジション駆動装置では、その実際の駆動機能を、特にはその効率を最適化することができる。
スーパーポジション駆動装置を、例えば駆動モータの形態のアクチュエータと、アクチュエータに付属のスーパーポジションギアとによって構成することができ、アクチュエータによって生じる駆動トルクは、前記スーパーポジションギアを介して、ステアリングシャフトの規定のステアリング角度に変換される。
スーパーポジション駆動装置を拘束又はロックする機械的な形態として、特にポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態のために、拘束装置は少なくとも1つの保持要素を備え、当該保持要素は、所定の保持位置においては、スーパーポジション駆動装置の構成要素をブロックし、またこれによりスーパーポジション駆動装置を拘束又はロックするべく、ポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態でスーパーポジション駆動装置の構成要素と係合することができる。このため、保持要素は、例えばスーパーポジション駆動装置の拘束又はロックがなされない前記保持要素の解除位置と保持位置との間での往復動が可能である。
保持要素は、スーパーポジション駆動装置の構成要素を(押圧ロック又はポジティブロックの形態で)固定又はブロックするために、例えば少なくとも1つの押圧要素の形態の、或いはポジティブロック手段の形態の固定手段を備えることができる。
保持要素は、少なくとも一部がスーパーポジション駆動装置の入力側と出力側との間の相対動作を防止し、これによってスーパーポジション駆動装置を拘束又はロックするために、本質的にスーパーポジション駆動装置の構成要素のいずれか1つに作用することができる。スーパーポジション駆動装置のロック状態では、運転者によるステアリングホイールの操作によって変換される所定トルクによってのみ、ステアリング角度(即ち、ステアリングシャフトの回転動作)が形成可能とされる。特に、保持要素は、スーパーポジション駆動装置のアクチュエータ(モータシャフト)の駆動シャフトに作用することができ、このシャフトの自由端部において作用するのが有利とされ、前記シャフトのこの端部は、所定の拘束部はアクチュエータのケーシング(モータケーシング)から外部に突出している。駆動シャフトのこの拘束部は、駆動シャフトを付属のスーパーポジションギアに作用させるシャフト部とは反対側に位置するのが好ましい。一方で変更例として、保持要素は、例えば、スーパーポジションギアの一部を構成する駆動ウォームのような、駆動シャフトとの接続要素に作用することもできる。
保持要素を、解除位置と保持位置との間で(また従って、拘束装置の非作動位置と作動位置との間で)往復動させるために、動作発生装置として、例えば電磁石及び/又はバネ手段を、また特にはそのような2つの要素を組み合わせた構成を設けることができる。この場合、電磁石の作動時(通電時)においては、保持要素に磁力(磁気による荷重)を作用させことができ、この目的のために保持要素は、磁性材料によって作られ、或いは磁性要素を備え、前記の位置のいずれか、即ち解除位置又は保持位置においては、前記バネ手段の拘束下で前記磁力が保持要素を保持する。電磁石の非通電時では、保持要素はバネ手段の作用下で2つの位置のうち他方の位置へと移動することができる。
特に、電磁石の作動状態(通電状態)では、保持要素は、バネ手段の付勢に抗して解除位置で保持されることができ、また電磁石の非作動状態(非通電状態)ではバネ手段の付勢にしたがって保持位置へと移動することができる。
更に、保持要素を解除位置と保持位置との間で移動させるべく、駆動モータの形態或いはリレーの形態のアクチュエータ(特にリニアモータ)を設けることができ、保持要素をその解除位置或いはその保持位置のいずれか一方の位置へと移動させる。好ましくは、保持要素は、拘束装置のアクチュエータの作動時には解除位置に設定され、同様にこの実施の形態では、保持要素は、アクチュエータの非作動時にはその保持位置に設定されるのが有利である。
保持要素がその解除位置にあるとき、当該保持要素は、スーパーポジション駆動装置に作用しないように、特にはスーパーポジション駆動装置の入力側と出力側との間でのトルク伝達に影響しないように配置されるべきである。この場合、保持要素は、その保持位置においては、スーパーポジションステアリングのアクチュエータの駆動シャフトに係合し、その解除位置においては、駆動シャフトの回転動作に影響しないように、駆動シャフトから離間して配置されるのが有利である。
スーパーポジション駆動装置を運転状態から拘束状態又はロック状態へと変更するためには、拘束装置の作動前又は作動時に、スーパーポジション駆動装置のアクチュエータへの電力供給(通電)を遮断することができ、及び/又は、アクチュエータを(アクチュエータの少なくとも2つの磁極を)電気的に短絡させることができる。後者の場合には、アクチュエータ又はスーパーポジション駆動装置は、短絡制動部(短絡ブレーキ部)によって減速され、更に拘束装置によって機械的に拘束される。
ここで、保持要素又は当該保持要素に割り当てられた動作発生装置は、拘束装置の作動時においては、アクチュエータへの電流を遮断する機能、及び/又は、前記アクチュエータを短絡する機能を果たす。この目的のために、保持要素は、アクチュエータの電気接点に作用することができ、及び/又はそれ自体が電気接点を有し、保持要素がその解除位置からその保持位置へと移動する際に、アクチュエータへの電流が遮断され、及び/又は、アクチュエータが短絡される。特に、電力供給又は電流の遮断によって、結果的に拘束装置とアクチュエータを非作動状態にする手段との間を強制的に接続することができる。
具体的には、保持要素又は付属の動作発生装置の別の構成要素は、保持要素の解除位置において、アクチュエータと車両の電力供給/電子制御のシステムとの間の電気接点を設ける機能を果たし、また保持要素の解除位置への移動時に前記電気接点が遮断されその上部にて短絡される。
他方では、スーパーポジション駆動装置を非作動状態にする手段又は付属のアクチュエータ(遮断機構)は、拘束装置とは独立して作動することもできる。この場合、スーパーポジション駆動装置/アクチュエータに電流及び/又は制御信号を供給する制御ユニットによって、スーパーポジション駆動装置、或いは特にアクチュエータを非作動状態にすることができる。
保持要素自体は、当該保持要素が解除位置と保持位置との間で回転可能とされ或いは移動可能とされるように、回転動作及び/又はスライド動作する構成を採り得る。
1つの実施形態によれば、保持要素は、(所定の角度をなす)アーム状の2つのレバーアームからなり、そのうちの第1のレバーアームは、保持要素を解除位置と保持位置との間で往復動させるべく、動作発生装置に割り当てられ、またそのうちの第2のレバーアームは、保持要素が保持位置にあるときにスーパーポジション駆動装置の構成要素との係合をブロックするために設けられる。
別の実施形態によれば、保持要素をロックボルトとして構成することができ、当該ロックボルトは、適切な作動手段、例えば拘束装置のアクチュエータによって、付属の要素、例えばスーパーポジション駆動装置をロックするべくスーパーポジション駆動装置の構成要素に設けられたロックプレートと、ポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態で係合することができる。
本発明における改良によれば、例えばスーパーポジションギア及び/又はスーパーポジション駆動装置に割り当てられる制御ユニットのような、少なくともスーパーポジション駆動装置の部品が、ステアリングホイールハブの後方に配置される。これは、ステアリングホイールが車両に適正に装着されたとき、ステアリングホイールを操作しなければならない車両操作者(運転手)の正規のシートから視て、前述のアセンブリ(組み付け部品)がステアリングホイールハブによって遮蔽されることを意味している。
更に、スーパーポジション駆動装置のアクチュエータは、その駆動シャフト(モータシャフト)又はこれによって規定される駆動軸を備え、ステアリングシャフトに対して(90°以下の角度で)傾斜して延在するように、特にはステアリングシャフトに対するステアリングホイールスポークの傾斜と同様の傾斜角度で延在するように、空間上に配設されるのが有利である。このため、視覚的にアピールできるようにステアリングホイールスポークを備える所定の装着ユニットにこのアクチュエータを統合させることができる。
請求項32によれば、短絡制動部とスーパーポジションステアリングのスーパーポジション駆動装置のための拘束装置とを組み合わせた構造を、ステアリングシステムにおいてステアリングホイールの外部に有利に設けることも可能であり、例えばステアリングホイールと付属のステアリングシャフトとの間に、或いはステアリングシャフトの2つのシャフト部の間に当該構造を設けることができる。
本発明の更なる詳細点及び利点は、図面に基づく以下の典型的な実施形態の詳細な説明によって明確化される。
図1は、車両ステアリングホイール用のスーパーポジションステアリングのアクチュエータの側面視を、アクチュエータを拘束するための拘束装置とともに示す図である。
図2Aは、図1のアクチュエータの一部の第1の斜視図であって、アクチュエータがスーパーポジションステアリングを駆動することができる非作動状態の拘束装置を示す図である。
図2Bは、図2Aにおける配置の第2の斜視図である。
図2Cは、図2Aにおける配置の第3の斜視図である。
図3Aは、図1のアクチュエータの一部の第1の斜視図であって、アクチュエータが拘束された拘束装置の作動状態を示す図である。
図3Bは、図3Aにおける配置の第2の斜視図である。
図3Cは、図3Aにおける配置の第3の斜視図である。
図4は、スーパーポジションステアリングを備えた車両用ステアリングホイールであって、アクチュエータと、このアクチュエータ部に付属のスーパーポジションギアと、このアクチュエータに割り当てられた拘束装置とが、それぞれステアリングホイール上に配置された様子を示す図である。
図5は、図1から図4に示す典型的な実施形態の変更例を、ステアリングホイールの断面視にて示す図である。
図1には、スーパーポジションステアリング(「運転者が入力するステアリング角度(操舵角)に基づいて所定のアクチュエータによって更なる角度を付加する機能を有するステアリング」ともいう)のアクチュエータ1(「作動装置」ないし「スーパーポジション駆動装置」ともいう)の側面視が示されており、この場合、当該アクチュエータは、アクチュエータ1に付属のスーパーポジションギアを駆動するための駆動モータ(電動モータ)として構成されており、前記スーパーポジションギアによって、ステアリングホイールの作動によって設定される所定のステアリング角度に、更なるステアリング角度を付加して重ね合せることができる。
アクチュエータ1は、ケーシング10(モータケーシング)を備えており、駆動シャフト12(アクチュエータ又はモータシャフト)が当該ケーシングの外部へと公知の形態で突出しており、前記駆動シャフトは、アクチュエータ1によって生じた所定の駆動トルクをスーパーポジションギアに伝達するべく、アクチュエータ1の作動時に回転されて、付属のスーパーポジションギアと相互作用する。
本構成では、アクチュエータ1の駆動シャフト12は、(筒形状ないしパイプ状の)ケーシング1から外部へと突出しており、その自由端部に付属のスーパーポジションギアとトルク伝達によって接続可能なシャフト部を有し、この駆動シャフト12(トルク伝達要素)はその上部においても、このケーシング10の軸上の前面10aの第2自由端部12aがケーシング1から外部へと突出している。駆動シャフト12のこの第2自由端部12aは、駆動シャフト12の拘束部12aとして構成され、これは、このアクチュエータ1が以下に詳細に示されるように、拘束装置の機械的動作によって駆動シャフト12の拘束部12aにて拘束され、或いはロックされるからである。
典型的な実施形態では、拘束装置2,3,4は、2つのレバーアーム21,22を有する拘束レバーの形態の保持要素2(「遮断機構」ともいう)を備えており、当該2つのレバーアームは、互いに所定の角度で(直角となるように)延在し、また接続部23を介して互いに接続されており、当該拘束装置は、更に保持要素2を作動させるための動作発生装置として、電気コネクター35を有する電磁石3とバネ手段4とを備えている。
保持要素2は、ここでは回転軸17まわりに回転可能となるように装着されており、保持部材16によってアクチュエータ1のケーシング10に取り付けられている。電磁石3及びバネ手段4も同様に、ケーシング10上に配置されており、ケーシング10を取り囲む保持リング15に電磁石3が設けられ、またケーシング壁の一部にバネ手段4が設けられており、それらが保持要素2の第1のレバーアーム21とケーシング10との間に収容されている。
拘束装置2,3,4の構造及び機能は、図1とともに図2Aから図2C、及び図3Aから図3Cを組み合わせることによって、以下により詳細に説明され、ここでは図2Aから図2Cには、非拘束状態のアクチュエータ1が示されており、図3Aから図3Cには、拘束装置2,3,4によって拘束されたアクチュエータ1が示されている。
図1と図2Aから図2Cとの組み合わせによれば、保持要素2の第1のレバーアームは拘束レバーとして構成されており、作動部21としての機能を果たし、前記作動部21の電磁石3及びバネ手段4の相互作用によって、当該作動部を介して、回転軸17まわりの保持要素2の回転動作を開始させることができる。
アクチュエータ1が図2Aから図2Cに示される状態では、電磁石3が作動し、即ち通電されており、これにより当該電磁石が保持要素2の作動部21に磁気による保持力Mを作用させ、前記保持力は、特に図2Aからわかるように、保持要素2の作動部21を電磁石3に接触させるように作用する。この目的のために、保持要素2の作動部21は、その少なくとも幾つかの領域が磁性材料によって作られる。
電磁石3及び保持要素2の作動部21は、電磁石3の通電時においては、作動部21に作用する磁気による保持力、或いは(保持要素2の回転軸17に関して)それに関連する保持モーメントが、アクチュエータ1のケーシング10と保持要素2の作動部21との間に配置されたバネ手段4によって電磁石3に抗して作用する復帰力又は復帰モーメントよりも大きくなるように構成されている。ここでバネ手段4は、典型的な実施形態では圧縮バネとして構成され、予め応力が付与された作用下では、保持要素2の作動部21を電磁石3から離間するように移動させる。
従って、電磁石3が通電状態になると、保持要素2の作動部21に作用する磁気による保持力Mは、保持要素2がその作動部21にて前記電磁石3を押圧するのに十分な大きさになる。これは、割り当てられた回転軸17のまわりの保持要素2の回転方向Sの動作に対応しており、また駆動シャフト12の拘束部12aと相互作用する保持部22が前記拘束部12aから所定方向Aに沿って係合解除する動作に対応している。即ち、保持要素2の保持部22は、この係合解除状態では、駆動シャフト12の拘束部12aに作用せず、これによりこの駆動シャフト12は自在に回転することができる。
特に図2Bを参照することによって明確になるように、アクチュエータ1を作動させるために、保持要素2の領域に、典型的な実施形態では、特に保持要素2の保持部22の領域に2つの電気コネクター51,52が設けられており、またケーシング10の前面10aに配置され、その前側に保持要素2の保持部22が延在している(前記保持部22は、固定要素25とともに駆動シャフト12の拘束部12aのまわりを囲む囲み部22aを有する)。
第2の電気コネクター52がアクチュエータ1に直に電気接触している間は、第1の電気コネクター51は、接続伝導要素53を介してアクチュエータ1に電気的に接続される。この目的のために、第1の電気コネクター51は、保持要素2上に、即ちその保持部22上に配置され、(所定の角度をなして延在する)コネクター部51aを備え、(電磁石3が通電されている)図2Aから図2Cに示す状態において、保持要素2がその保持部22とともに調整され、これにより保持部22が駆動シャフト12の拘束部12aに係合しないとき、当該コネクターの上部がコネクター部51aを介して接続伝導要素53の接触部53aに電気的に接続される。このため、図2Bに図示されるように、アクチュエータ1への供給のための電力供給線Eに沿って電流を流すことができる。
更に、第1の電気コネクター51に割り当てられた接続伝導要素53と第2の電気コネクター52との間には、保持要素2の電気伝導面22bに対向して配置された短絡部52b及び53bがそれぞれ設けられており、当該電気伝導面は、モータケーシング10或いは保持要素側の前面10aに対向し、図2Aから図2Cに示す状態では、互いに対向する前記の短絡部52b,53bと保持要素2又は保持部22の電気伝導面22bとの間が接触しないように所定の隙間が形成される。
拘束要素2,3,4の図2Aから図2Cに示すような状態に基づいて、作動状態の(通電状態の)電磁石3と、非作動状態の拘束要素2,3,4とによって、車両ステアリングホイールのスーパーポジションステアリングを作動させるためのアクチュエータ1は、以下のように制御される。
車両の電気システム或いは車両側の電源から電気コネクター51,52を介してアクチュエータ1に供給される電力(電流)は、起電原理によってアクチュエータ1の駆動シャフト12を回転させ、これによりアクチュエータ1に付属のスーパーポジションギアに対して所定トルクを伝達させることができる。変更例として、駆動シャフト12自体をスーパーポジションギアの一部とすることができる。駆動シャフト12のうち拘束部12aとは反対側の端部に、例えばウォームシャフトとして最も好ましい構成の歯部が設けられる。ここでは、保持要素2、特にその保持部22が駆動シャフト12の拘束部12aから係合解除されるため、駆動シャフト12の回転動作が拘束装置2,3,4によって影響を受けない。
ここで、典型的な実施形態とは異なり、保持要素2、電磁石3及びバネ手段4の相互作用を変更するように構成することも可能であり、これにより図2Aから図2Cに示す状態で電磁石3が非通電状態になる場合が想定される。この場合、例えばテンションバネの形態のバネ手段4は、保持要素2が駆動シャフト12の拘束部12aに作用しない状態で、保持要素2を保持するように構成配置されなければならない。電磁石3は、通電時に保持要素2がアクチュエータ1を拘束する状態へと移動するように、保持要素2又はその作動部21と相互作用しなければならない。
一方で、図示された典型的な実施形態によれば、本構成では、拘束装置2,3,4は更に、電磁石3の通電時に非作動状態になる場合が想定される。
この典型的な実施形態によれば、アクチュエータ1を停止して拘束するためには、単に電磁石3への電流を遮断する(或いは、図示された典型的な実施形態の上記の変更例では電磁石3に通電する)ことが必要である。このため、図示された典型的な実施形態では、電磁石3は、保持要素2又はその作動部21に磁気による保持力をもはや作用させることができず、これにより保持要素2は、アクチュエータ1のケーシング10と保持要素2、特にその作動部21との間に配置されたバネ手段4の作用下においては、図3Aに図示されるように、バネ力F又はそれに関連するバネモーメントによって定まる所定方向に沿って電磁石3から離間する。このため、バネ手段4によって生じるバネ力F又はそれに関連するバネモーメントは、保持要素2の(磁気による保持力Mによって予め定まる回転方向Sと反対方向の)所定の動作(回転動作S’)をもたらし、これによって図3Aが参照されるように、保持要素2の保持部22は、駆動シャフト12の拘束部12aに対し所定の係合状態を形成するべく所定の復帰方向Rに沿って移動する。これは、保持要素2が、アクチュエータ1が拘束されない解除位置(図2Aから図2C)から、アクチュエータ1が保持要素2によって拘束された保持位置(図3Aから図3C)へと移動することに相当する。
しかしながら、保持要素2の上記の(回転)動作の結果、機械的な係合状態が(完全に)形成される前に、図3Bが参照されるように最初にアクチュエータ1のための電流の供給が遮断されるが、これは図3Bを参照することによって示されるように、保持要素2上に、特にはその保持部22上に配置された第1の電気コネクター51は、このコネクター51とアクチュエータ1とを電気的に接触させる接続伝導要素53との接触が解除され、これにより第1の電気コネクター51とアクチュエータ1との間の電気的な接続が遮断されるからである。具体的には、保持要素2の上記の(回転)動作によって、第1の電気コネクター51のコネクター部51aが、接続伝導要素53の接触部53Aから離間する。それで、電磁石3のための通電が遮断され、またこれによって保持要素2の(回転)動作S’が開始されると直ぐに、アクチュエータ1のための通電が遮断される。
保持要素2の移動時、特に回転時においては、電磁石3への電流の供給が遮断され、またそれに接続された保持要素2の保持部22が復帰動作Rを行った後に、保持要素2の電気伝導面22bは、その上部が第2の電気コネクター52と第1の電気コネクター51に割り当てられた接続伝導要素53との短絡部52b,53bと電気的に接触し、これによりモータの両磁極は、更に図3Bが参照されるように、外形が示された短絡線Kに沿って短絡される(この目的のために、保持要素2は、電気伝導材料によって作られ、或いは前述の面22b上に電気コーティング膜又は別の電気伝導板が設けられる)。
その結果、EP1382792A1が参照されるように、駆動シャフト12の回転を公知の形態で減速させるアクチュエータ1の短絡制動部(「短絡ブレーキ部」ともいう)が作動する。
その結果、(電磁石3のための電流の供給が遮断される結果として)、図2aから図2cに示される(拘束装置が非作動状態になる)解除位置から保持位置へと向かう保持要素2の(回転)動作S’によって、アクチュエータ1のための電流の供給の遮断が生じるのみならず、アクチュエータ1の、特にその駆動シャフト12の短絡制動(短絡ブレーキ)もまた生じることとなる。
特に、図3A及び図3Cに示されるように、保持要素2の(回転)動作S’は、更に保持要素2又はその保持部22が復帰動作Rによって駆動シャフト12の拘束部12aと(ポジティブロック(突部での係合によるロック)及び/又は圧入ロックによる形態で)係合するように作用し、保持部22の(本質的にU字形状の)囲み部22aは、前記保持部22に設けられた固定要素25とともに駆動シャフト12の拘束部12aを取り囲み、拘束部12a上に押圧状に(従って、本質的に圧入/摩擦によるロック形態で)作用する。ここで、固定要素25は、駆動シャフト12の拘束部12aを円弧状(典型的な実施形態では180°以下の角度によって)に取り囲み、これによりその円弧長さ部分によって駆動シャフト12の拘束部12a上への固定要素25の押し付け作用が得られる。
(固定要素25が円弧状に構成されたことによる)ポジティブロックによる固定要素は、圧入或いは摩擦による固定要素と比較して、専ら二次的な(補助的な)役割を果たす。保持要素2又は保持部22を、駆動シャフト12の拘束部12aとポジティブロックの形態によって係合させるために、拘束部12aに例えば凹部を設けることができ、保持部側の突部が当該凹部と係合することができる。
概して、拘束装置2,3,4、特には保持要素2又は拘束装置の保持部22と、アクチュエータ1の拘束部12aとの機械的な係合によって、アクチュエータ1又はその駆動シャフト12は、(静止位置で)確実に拘束され得る。電磁石3が再び通電されるまでこの機械的な拘束が維持され、これにより対応する磁気による保持力Mの作用下では、保持要素2は再び図2Aから図2Cに示される、拘束装置2,3,4が非作動状態である初期位置(解除位置)へと移動する。既に上述のように、拘束装置2,3,4が非作動状態である解除位置への保持要素2の復帰は、ここでは基本的に電磁石の通電とは別の形態によっても起こり得る。保持要素2が解除位置へと復帰する時には、アクチュエータ1の電気コネクター51,52(磁極)の短絡も解除され、同時に第1の電気コネクター51と関連する接続伝導要素53との間が再び電気的に接続されるが、これはアクチュエータ1の(復帰の)電気的な制御に不可欠である。
保持要素2は、その保持部22及び固定要素25を介して、図2Aから図2Cに示す、拘束装置2,3,4が非作動状態になる解除位置からその保持位置まで(回転)動作S’を行う際には、未だ全速(回転)で回転動作する(駆動シャフト12の)拘束位置12aへと直ぐには移行せず、前記拘束部12aを直ぐに減速させる短絡制動がアクチュエータ1に作用するので、保持要素2と前記拘束部12aとの係合時には相当に小さな荷重又はモーメントが作用する。これにより、費用を相当に低く抑えることができ、また保持要素2の、特にその固定要素25のための材料の要請を相当に低く抑えることができる。
車両用ステアリング装置のスーパーポジション駆動装置のアクチュエータ1の短絡制動部と、アクチュエータ1の機械的な固定とを組み合わることによって、車両用ステアリングホイールにおいて、スーパーポジション駆動装置及び拘束装置の付属の構成要素とともにアクチュエータ1の配置を自由に設定することもできる。即ち、例えばステアリングホイールとステアリングホイールに付属のステアリングシャフトとの間に、ステアリングホイールから離間した構造物、或いはステアリングホイールの2つのシャフト部の間の構造物としてスーパーポジション駆動装置が配置される際に、短絡制動部及び機械的拘束装置の組み合わせを使用するのが有利である。
更に、スーパーポジション駆動装置の機械的な拘束又は固定のために拘束装置2,3,4が作用する拘束部12aは、アクチュエータ1の構成要素である必要はなく、またアクチュエータ12の一部である必要はない。むしろ、そのような拘束装置2,3,4は、スーパーポジション駆動装置の一構成要素として、アクチュエータ1又は駆動シャフト12に付属のギア要素の所定の拘束部に作用することもできる。
その後、図1から図3Cに図示されている種類のアクチュエータ1が、アクチュエータ1に付属のギア要素及び駆動要素の拘束装置2,3,4を備えたスーパーポジション駆動装置の一部として如何にして車両用ステアリングホイールに装着されるかが、図4を用いることによって説明される。
図4では、車両のステアリングホイール6は、ステアリングホイールハブ60として構成されたベース領域と、そのベース領域にスポーク61によって接続されたステアリングホイールリム62とを備えるように図示されている。ステアリングホイールリム62は、運転者によってステアリングホイール6を回転させるための機能を果たし、前記運転者は、ステアリングホイールリム62上のステアリングホイール6を把持してステアリング軸Lまわりに回転させる。
ステアリングホイールハブ60として構成されたステアリングホイール6のベース領域は、ステアリングホイール6を(例えば、ステアリングコラム70にて車両に装着される)ステアリングシャフト7に接続する機能を果たし、この目的のために接続ピン75が設けられている。このようにして、ステアリングホイール6の各回転動作は、所定の回転角度でのステアリングシャフト7の回転動作に変換される。ステアリングシャフト7へのステアリングホイール6の具体的な接続構造は、スーパーポジションギア100を参照しつつより以下により詳細に説明される。
ステアリングシャフト7の回転動作は、ステアリングホイールリム62上でのステアリングホイール6の(手動の)操作のみならず、図1から図3Cに図示された種類のステアリングホイール6に配置されたアクチュエータ1による、いわゆるスーパーポジションステアリングの作動によっても可能となる。
アクチュエータ1は、スーパーポジション駆動装置1,100の一部として、拘束装置2,3,4とともに、ステアリングホイール6に配置され、特に具体的には、ステアリングホイールハブ60として構成されたステアリングホイール6のベースへの移行領域においてステアリングスポーク61に配置される。
この場合、アクチュエータ1は、駆動モータの形態であり、(駆動シャフト12を介して)付属のスーパーポジションギア102,104を駆動し、当該ギアは、典型的な実施形態では、アクチュエータ1の駆動シャフト12に接続された、即ち当該駆動シャフトに装着された駆動ウォーム102と、駆動ウォーム102に係合するウォームギア104とを備えている。後者のウォームギア104は、ステアリングホイール6のステアリング軸L上に回転可能に装着されている。変更例として、駆動ウォーム102を、駆動シャフト12との一体部品として構成することができる。
スーパーポジションギアのギア要素102,104を収容するために、図4において破線(点線)で示されるギアボックスケーシング101は、典型的な実施形態では、ステアリングホイール6のベース領域に、即ちステアリングホイールハブ60に設けられている。
アクチュエータ1の作動の際、このアクチュエータ1に接続されたウォーム102が回転され、これによりウォームギア104が駆動され、前記ウォームギアはステアリングシャフト7に接続されており、アクチュエータ1の作動によって生じるウォームギア104の回転が、ステアリングホイール6に対するステアリングシャフト7の所定の付加角度(「付加角度」、「重ね合わせ角度」ないし「重畳角度」ともいう)での回転動作を発生させる。
スーパーポジション駆動装置1,100によって、即ちアクチュエータ1及び付属のスーパーポジションギア100によって発生するステアリングシャフト7の所定の付加角度での回転動作は、ステアリングホイールリム62上のステアリングホイール6の手動操作によって生じる所定のステアリング角度でのステアリングシャフト7の回転動作とは独立しており無関係である。即ち、一方ではステアリングホイール6のステアリングホイールリム62を介して手動で、また他方ではスーパーポジション駆動装置1,100によって、ステアリングシャフト7が同時に作動する際、前記のステアリング角度と、それに付加される付加角度とからなる合成された回転角度で、ステアリングシャフト7が回転動作する。
特にステアリングシャフト7に付属のピン75と、一方ではステアリングホイール6の手動で、また他方ではステアリングホイール側のスーパーポジション駆動装置1,100によって、ステアリングシャフト7上でのステアリングホイール6の所定の動作を可能とするべくステアリングホイール側に割り当てられたスリーブ又はブッシュを介して、ステアリングホイール6をステアリングシャフト7に適切に接続する構造は、WO2007/009420A1の文献に詳述されている。具体的には、ステアリングホイール側のスリーブがステアリングシャフト側のピン75を保持し、これら両方の部材は、例えばステアリング軸Lに沿って延在するネジ72による取り付け手段によって互いに接続される。ステアリングシャフト7に対するステアリングホイール6の(例えば、ネジ72による)接続に関しては、実質的に当該文献の全体が参照される。
特に、ステアリングシャフト7のピン75は、スーパーポジションギア100の出力駆動側にてギア要素(ウォームギア104)と耐トルクの形態で接続され、また適切な取り付け手段によって固定されるように構成することができる。ウォームギア104の形態の出力駆動側のギア要素と、前記ウォームギア104に係合するウォーム102の形態の別のギア要素は、いずれもギアボックスケーシング101内に配置されている。ギアボックスケーシング101は、ステアリングホイール6とそのベース領域(ステアリングホイールハブ60)にて接続されているため、ステアリング軸Lまわりのステアリングホイール6の回転時に、特にはステアリングホイールリム6上でのステアリングホイールの手動操作時に、ステアリングシャフト7を(そのシャフトの長軸上において)ともに回転させることができる。その上部において、スーパーポジションギア100は、アクチュエータ1による作動時に、出力駆動側のウォームギア104の形態のギア要素によるステアリングシャフト7上での動作によって、ステアリングホイールシャフト7に作用して当該シャフトを回転させることもできる。
ステアリングシャフト7へのステアリングホイール6の上述の接続によって、特に所定の相対動作、即ちステアリングホイール6に対するステアリングシャフト7の相対回転が可能となる。従って、ステアリングホイール6の手動操作の際、結果的に形成されるステアリングシャフト7の回転角度は、ステアリングホイール6の(手動)回転によって生じるステアリング角度に対応する必要はなく、このステアリング角度は、アクチュエータ1の作動及びこれによって生じるスーパーポジションギア100の作動によって形成される所定の付加角度での合成が可能とされる。(スーパーポジション駆動装置1,100が作動し拘束装置2,3,4によって拘束されない場合を除いて、ステアリングシャフト7の回転は、専らステアリングホイール6の機械的な駆動によって発生することができる。)従って、ステアリングホイール6とステアリングシャフト7との間の接続によって、ステアリングシャフト7は、スーパーポジション駆動装置1,100によって付加角度を形成する合成によって結果的に形成された回転角度で、回転動作することができ、当該回転角度は、ステアリングホイール6の手動操作によって形成されるステアリング角度に一致する必要はなく、ステアリング軸Lに関するステアリングホイール6及びステアリングシャフト7の互いの相対回転に対応している。
関連する拘束装置2,3,4を含むスーパーポジション駆動装置1,100の全体がステアリングホイール6に一体化され、またステアリングホイール6を接続ピン75で(ステアリングホイールとは別体の)共通のステアリングシャフト7に接続することができるため、スーパーポジションステアリングを設けることでは、ステアリングホイール6の外部においてステアリングシステムの構造上の特別な調整(変更)を要しない。ステアリングシャフト側のピン75とステアリングホイール側に割り当てられるスリーブとを互いに調整することのみが必要となる。
スーパーポジションステアリングをステアリングに一体化する必要はあるが、特にステアリングシャフト7を複数の部品で設計する必要はない。更に、ステアリングシャフト上に設けられたスーパーポジションステアリングが、テアリングコラムにスーパーポジション駆動装置を一体化させる構造を必要とする場合と比較して、ステアリングシャフト7を取り囲むステアリングコラムに特別な装着手段を設ける必要がない。
図5には、図1から図4の典型的な実施形態の変更例が示されており、ここでは図4と同様に全体が図示されている一方、一部が断面で示されている。
図5に図示されたステアリングホイール6は、その基本構造は図4に示されているステアリングホイールと同様である。このステアリングホイールは、ステアリングホイールスケルトン6a(「ステアリングホイールの骨格部分」ともいう)と、例えば発泡材料の形態の被覆部6bを含み、またスポーク61を介して互いに接続されるステアリングホイールハブ60及びステアリングホイールリム62を規定している。
車両の運転者の斜めの視点から視てステアリングホイールの中央領域には、車両乗員の保護のためのエアバッグモジュールMが、ステアリングホイールハブ60の上方に車両に公知の形態で装着されており、即ち当該エアバッグモジュールは、この運転者の場合、膨張可能なガスバッグGと、モジュールカバーAとともにガスバッグGを膨張させるためのガス発生装置(インフレータI)を含む。
ステアリングホイール6は、(車体に固定された)ステアリングコラム70内に延在するステアリングシャフト7を作動される機能を果たす。スーパーポジション駆動装置1,100が介在した状態でのステアリングホイール6とステアリングシャフト7との接続に関しては、特に図1から図4の典型的な実施形態との対比による相違点が、以下により詳細に説明される。
まず、ステアリングホイール6とともに回転可能なステアリングホイール側に電気的および/または電子的なモジュールを装着するために、車体側のアセンブリとして接点ユニットKが設けられ、当該接点ユニットはステアリングコラム70に配置されるアセンブリとしてのステーターS(固定子)を有し、ステアリングホイール側のアセンブリとしてのローターR(回転子)は、ステアリングホイールと、これら2つのアセンブリ間の電気的な接続部としての、いわゆるコイルバネWの形態の可撓性の導体要素(伝導要素)とともに回転することができる。DE19727856A1に開示の、ステーター及びローターを備えた公知の接点ユニットによれば、接点ユニットの構造及び作用の詳細が参照される。更に、車体に固定された構成要素に対するステアリングホイール6又はステアリングシャフト7の相対動作を記録可能な角度センサ(検知器D)を設けることができる。
エアバッグモジュールM及び接点ユニットKの両方を、図4のステアリングホイール上に関連する形態で設置することも可能であり、これらは、図4では単に斜視図での視認性の理由によって図示されていない。
図1から図4の典型的な実施形態の場合のように、図5のステアリングホイール6にもスーパーポジション駆動装置1,100が割り当てられており、これによりステアリングホイール6に割り当てられたステアリングシャフト7は、ステアリングホイール6の駆動による通常の形態と、スーパーポジション駆動装置1,100による(追加の)形態の両方の形態で作動することができ、それぞれの形態でステアリング軸L上でのステアリングシャフト7の回転動作を形成する。スーパーポジション駆動装置100は、例えば電動モータの形態のアクチュエータ1と、アクチュエータによって駆動されるスーパーポジションギア100と、例えばアクチュエータ1の駆動シャフトに(耐トルクの形態で)配置され、アクチュエータ1によって回転可能な駆動ウォーム102と、駆動ウォーム102に係合するウォームギア104とを備えている。ここで、このスーパーポジションギア100はギアボックスケーシング101内に配置されている。
ステアリングホイール6上へのスーパーポジション駆動装置1,100の配置に関しては、図4の実施形態と対比して、以下の2つの重要な相違点があり、1つの相違点として、図5におけるスーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1は、その駆動シャフト又は駆動軸(主軸H)がステアリングホイール6のステアリングシャフト7(ステアリング軸)に対して傾斜し、本質的にステアリングホイールスポーク61と同じ傾きで延在するように(ステアリングホイールスポーク61の領域に)配置されており、図4の典型的な実施形態のように、ステアリングシャフト7に対して(90°の角度で)垂直状には延在していない。別の相違点として、スーパーポジション駆動装置100の本質的な部品、即ち図5の典型的な実施形態では、アクチュエータ1によって駆動される駆動ウォーム102と付属のウォームギア104は、車両の運転者の斜めの視点から視て、ステアリングホイールハブ60の後方(「下方」ないし「裏面側」ともいう)に配置される一方、図4の典型的な実施形態では、スーパーポジション駆動装置100の対応する構成要素102,104は、ステアリングホイールハブ60の前方(「上方」ないし「表面側」ともいう)に配置されている。
スーパーポジション駆動装置100のウォームギア104に、典型的な実施形態では、具体的に(ステアリングシャフト7と対向する)ウォームギア104の内側に(駆動ウォーム102と相互作用する外側とは反対側の面に)、スリーブ状の突出部106が取り付けられている。この突出部106は、ステアリングシャフト7に沿ってスリーブ状に延在し、また例えばロールベアリング(回転ベアリング)の形態の適切なベアリング66,67を介して回転可能に装着され、この場合、ニードルベアリングとして構成されたラジアルベアリング66及び軸ベアリング67がステアリングホイールハブ60のベアリングピン65上に配置されている。ここでベアリングピン65は、ウォームギア104が(突出部106及びベアリング66,67を介して)ステアリング軸Lまわりに回転可能に配置されるように構成され調整される。ここでベアリングピン65を、特にステアリングホイールハブ60内に鋳込むことができる。
スリーブ状の突出部106を、一方ではウォームギア104と一体状に構成することができ、或いは例えば溶接、熱収縮、或いは鋳造によって、ウォームギア104に接続される別部品として構成することができる。
更に、突出部106は、適切な取り付け手段72によって固定され、当該取り付け手段が(中央の)ネジの形態の場合には、ステアリングシャフト7に耐トルクの形態で固定される。その結果、ウォームギア104は、スリーブ形状の突出部106を介して、ステアリングシャフト7に(耐トルクの形態で)固定される。この目的のために、スリーブ形状の突出部106は、ステアリングシャフト7の領域に、ステアリングシャフト7に割り当てられた外歯と相互作用する内歯を更に備えることができる。他方で、ウォームギア104は、(例えば、アクチュエータ1及びギアボックスケーシング101を介して)ステアリングホイール6上に配置されるので、ステアリングシャフト7に対するステアリングホイール6の接続は、概してウォームギア104及びそのスリーブ形状の突出部106によっても同時に行われる。そのような接続は、例えばDE102005034636A1に示されている。
スーパーポジションギア100、特に駆動ウォーム102及びウォームギア104は、図5の破線(点線)で示されているギアボックスケーシング101に収容されており、当該ケーシングを、例えばネジの形態の適切な取り付け手段101aを介してステアリングホイール6上に、特にはステアリングホイールハブ60上に固定することができる。更に、(スリーブ形状の突出部106を介して)ウォームギア104の配置のために、ギアボックスケーシング101に、例えば軸ベアリング(ニードルベアリング63)の形態の少なくとも1つの別のベアリング領域を設けることができる。ギアボックスケーシング101は、ステアリングホイールハブ60に向けて開口しており、これによりステアリングホイールハブ60は(ベアリングピン65とともに)、ギアボックスケーシング101のためのケーシングカバーを構成している。
ギアボックスケーシング101のうちアクチュエータ1に対向する部位は、ギアボックスケーシング101上にアクチュエータ1を取り付けるための機能を果たし、これによりその結果として前記ケーシング101は、スーパーポジションギア100を装着するための機能のみならず、更にアクチュエータを支持するための機能をも果たす。変更例として、ステアリングホイール6上又はステアリングホイールスケルトン6a上にアクチュエータ1を直に固定することもできる。
スーパーポジション駆動装置1,100に拘束装置8が割り当てらており、前記拘束装置は、図5の典型的な実施形態では、作動手段としての(例えば、リニアモータ、リレー式又は空気式の駆動の形態の)それ自体の作動部/アクチュエータ80と、前記作動部/アクチュエータ80によって駆動される保持要素としてのロックボルト82と、駆動ウォーム102に固定状に接続された(また、前記ウォーム102とともに回転する)ロックプレート84とを備えている。ロックプレート84は、例えば(その外側リムの領域に)複数の凹部を備えており、典型的な実施形態では当該凹部は、ロックプレート84のまわりに延在し、またロックプレート84の回転を阻止するべくポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態で、固定手段としての機能を果たす部位(端部)82aを有するロックボルト82(また、駆動ウォーム102)に係合可能に構成されている。アクチュエータ80の作動によって(例えば、リニアモータ/リレーでの電流供給の遮断によって)、ロックボルト82は、スーパーポジション駆動装置1,100を拘束するべく、スーパーポジション駆動装置1,100の駆動ウォーム102を固定するためのロックプレート84に係合することができる。この係合は、例えばアクチュエータ80により生じるロックボルト82の長さ方向の移動によって発生可能であり、ここでは前記ボルト82がロックプレート84又は当該複数の凹部のいずれかに係合可能である。ここで図5には、拘束装置8の拘束状態(ロック状態)が示されており、この拘束状態ではロックボルト82がポジティブロック/圧入ロックの形態でロックプレート84に作用している。
発泡ケーシング68又はカバー69によって被覆されている場合、ステアリングホイール上には、更に作動部/アクチュエータ1,8を制御するための電子アセンブリを備えた制御ユニット9(ECU)が配置され、更にステアリングホイール6に(耐トルクの形態で)接続された電気式/電子式のモジュール(「切り替え手段」ないし「スイッチ手段」ともいう)が配置されている。車両側では、ステアリングホイール6と車両のオンボード電子システム及び中央電子システムとを電気的に接続する接点ユニットKを介して、制御ユニット9(「遮断機構」ともいう)に電流及び電気信号が伝送される。図5の典型的な実施形態では、制御ユニット9は、ステアリングホイールハブ60の後方に位置しており、従ってステアリングホイール6を適切に作動させる車両の運転者とは反対側に離間して配置されている。
接点ユニットK、特にステアリングホイール6とともに回転可能なそのローターRとの接続のために、制御ユニット9に、例えばプラグの形態の電気的な接続リンク95が設けられている。制御ユニット9からの電流及び電気信号を、ステアリングホイール6の個別の電気的な構成要素に伝達させることができ、この場合、2つのアクチュエータ1,80を備えた電気接続部91,92の一例が、即ちスーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1が、拘束装置8のアクチュエータ80とともに図示されている。
図5に示されるステアリングホイール6では、ステアリングシャフト7への作用によって、以下のようにステアリング動作が生じ得る。
一方では、ステアリングホイール6は、ステアリング軸Lまわりのステアリングホイールリム62の手動操作によって通常の形態で回転可能とされ、ここではこの回転動作が、(セルフロック構造の)スーパーポジション駆動装置1,100を介して、即ち入力側のそのギアボックスケーシング101と、出力側のスリーブ形状の突出部106を介してステアリングシャフト7に伝達され、これによりステアリングホイール6の回転動作によってステアリングシャフト7の対応する回転が生じる。
他方では、ステアリングホイールリム62を介して生じるステアリングホイール6の動作とは全く独立して、スーパーポジション駆動装置1,100によってステアリング軸L上でのステアリングシャフト7の回転動作が生じ、当該駆動装置では、そのアクチュエータ1が作動し、また前記アクチュエータは、アクチュエータ1の駆動シャフトに配置された駆動ウォーム102を介してウォームギア104に作用し、当該ウォームギアがスリーブ状の突出部106を介してステアリングシャフト7に接続され、これによりアクチュエータ1の作動により発生するウォームギア104のステアリング軸Lまわりの回転動作によって、ステアリングシャフト7の対応する回転動作が生じる。
スーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1の作動及び非作動は、制御ユニット9によって、また制御ユニット9とアクチュエータ1との間の(直接的な)電気接続部91を介して発生する。図1から図4の典型的な実施形態とは異なり、一方ではスーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1を非作動状態にする通電遮断のための(また短絡を形成させるための)手段と、他方ではスーパーポジション駆動装置1,100を拘束するための装置との間には、(機械的又は磁気的な)接続が形成されない。むしろ、(別個の)アクチュエータ1,80を制御することによって、両機能を別々に得ることができる。この場合、(電流供給の遮断/短絡の形成によって)アクチュエータ1を非作動にするための手段は、電気回路によって構成され、また例えば少なくともサイリスターのような制御ユニット9の一構成要素として構成される。
一方ではスーパーポジションギア1,100の、他方では拘束装置8の制御では、好ましくは、(制御ユニット9によって)ステアリングシャフト7の回転動作を停止させるために、最初に(接続部91による電流カット/短絡の形成によって)アクチュエータ1が拘束前に非作動状態になり、制御ユニット9によって(例えば、電流カットによっても同様に)拘束装置8が(接続部92を介して)作動され、また拘束装置8のアクチュエータ80によって作動可能なロックボルト82と、付属のロックプレート84とを介して、スーパーポジション駆動装置1,100の駆動ウォーム102に固定力が作用する。拘束装置8がスーパーポジション駆動装置1,100に、特にはその駆動ウォーム102に作用するべく作動したときには、スーパーポジション駆動装置1,100のアクチュエータ1は既に電気的に、即ち(図1から図4を用いて上述したように、追加で短絡が適用できる)電流遮断によって非作動状態になるため、拘束装置8の機械的な負荷がこれに応じて減少する。これに対応して拘束装置8の構成要素80,82,84の寸法をより小さくすることができ、ステアリングホイール6内で利用できる限られた自由装着空間を得ることができるため有利である。
本発明では、「ステアリングホイール(6)を回転させるためのステアリングホイールリム(62)と、前記ステアリングホイール(6)を、当該ステアリングホイール(6)とは別体の車両のステアリングシャフト(7)に接続するためのステアリングホイールハブ(60)と、スーパーポジションステアリングを作動させるためのスーパーポジション駆動装置(1,100)と、を備え、前記ステアリングホイールリムの作動によって形成されるステアリング角度に、前記スーパーポジションステアリングによって形成される付加角度を合成することができ、これにより前記ステアリングホイール(6)に接続されたステアリングシャフト(7)の回転動作が、前記ステアリングホイールリム(62)の作動によって形成されるステアリング角度と、前記スーパーポジションステアリングの作動によって形成される付加角度とによって設定され、前記付加角度を形成するための前記スーパーポジションステアリングの構成要素(1,12,100,102,104)とは別に前記ステアリングホイール(6)上に拘束装置(2,3,4;8)が設けられ、前記拘束装置(2,3,4;8)による機械的な動作によって前記スーパーポジション駆動装置(1,100)が拘束可能とされ、前記拘束装置(2,3,4;8)の作動前又は作動時に遮断機構(2,51,53;9)が作動し、これにより前記拘束装置(2,3,4;8)が前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束し、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)への電力供給、特に電流供給が遮断され、前記遮断機構(9)は、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)への電力供給を遮断するための電気式又は電子式の切り替え手段を備えているステアリングホイール、又は請求項2に記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4;8)は、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を機械的な動作によってブロックするために、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)の構成要素(12;102)に対しポジティブロック及び/又は圧入ロックの形態で作用するよう構成配置されていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様1)を採り得る。
また本発明では、「請求項1から4、前記態様1のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束するための前記拘束装置(2,3,4;8)は、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)のトルク伝達要素(12,102)の拘束部(12a,84)に係合可能であることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様2)を採り得る。
また本発明では、「請求項2ないし前記態様2に記載のステアリングホイールであって、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)の前記トルク伝達要素(12)は、前記アクチュエータ(1)の駆動シャフト(12)又は当該シャフトに接続された要素(102)からなることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様3)を採り得る。
また本発明では、「請求項1ないし4に記載のステアリングホイールであって、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)への電力供給は、前記保持要素(2)をその解除位置から保持位置へと移動させることによって遮断されることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様4)を採り得る。
また本発明では、「請求項1から4、前記態様1から4のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4;8)の作動前又は作動時に作動する短絡制動部(22b,52b,53b)が設けられ、これにより前記拘束装置(2,3,4;8)が前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束し、電力が供給された前記スーパーポジション駆動装置(1,100)のアクチュエータ(1)は短絡によって減速されることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様5)を採り得る。
また本発明では、「請求項4ないし前記態様5に記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2)がその解除位置から保持位置へと移動することによって、前記短絡が形成されることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様6)を採り得る。
また本発明では、「請求項1から4、前記態様1から6のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4)を、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束する作動状態と、非作動状態とに設定可能な動作発生装置(3,4)を備え、当該動作発生装置は、電磁石(3)及び/又はバネ手段(4)を備えていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様7)を採り得る。
また本発明では、「請求項4ないし前記態様7に記載のステアリングホイールであって、動作発生装置として電磁石(3)及びバネ手段(4)が前記保持要素(2)に割り当てられ、前記電磁石(3)及び前記バネ手段(4)の相互作用によって、前記保持要素(2)はその解除位置と保持位置との間で往復動可能であることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様8)を採り得る。
また本発明では、「前記態様7又は8に記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4)は、前記バネ手段(4)によって作動状態の方向へと移動され、前記作動状態では前記拘束装置(2,3,4)が前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束することを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様9)を採り得る。
また本発明では、「前記態様7から9のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4)は、前記電磁石(3)の作動によって非作動状態に設定可能であることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様10)を採り得る。
また本発明では、「請求項4、又は請求項4に従属の前記態様5から10のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2,82)は、前記拘束装置(2,3,4;8)の非作動状態では解除位置に配置され、前記拘束装置(2,3,4;8)の作動状態では保持位置に配置されることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様11)を採り得る。
また本発明では、「請求項1から4、前記態様1から11のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4;8)を、当該拘束装置(2,3,4;8)が前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束する作動状態と、非作動状態とに設定可能な動作発生装置(3,4;80,82)を備え、当該動作発生装置は、アクチュエータ(3;80)と、前記アクチュエータ(3;80)によって作動可能な保持要素(2,82)とを備えていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様12)を採り得る。
また本発明では、「前記態様12に記載のステアリングホイールであって、前記拘束装置(2,3,4;8)は、前記アクチュエータ(3;80)の作動によって非作動状態に設定可能とされ、当該非作動状態では前記アクチュエータ(3;80)が前記保持要素(2;82)に作用して前記保持要素(2;82)が解除位置に設定され、前記拘束装置(2,3,4;8)は、前記アクチュエータ(3;80)への電流供給の遮断によって作動状態に設定可能とされ、当該作動状態では前記保持要素(2;82)が保持位置に設定されることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様13)を採り得る。
また本発明では、「請求項3、又は請求項3に従属の請求項4、前記態様5から13のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2;82)に少なくとも1つの固定要素(25,82a)が設けられ、当該固定要素は、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束するべく前記駆動装置の構成要素(12,102)に作用することを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様14)を採り得る。
また本発明では、「前記態様14に記載のステアリングホイールであって、前記固定要素(25,82a)は、押圧ロック及び/又はポジティブロックの形態で前記スーパーポジション駆動装置(1,100)の前記構成要素(12,102)に作用するよう構成配置されていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様15)を採り得る。
また本発明では、「請求項3、又は請求項3に従属の請求項4、前記態様5から15のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2;82)は、当該保持要素(2;82)が解除位置と保持位置との間で移動可能となるように、スライド可能或いは回転可能に設けられていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様16)を採り得る。
また本発明では、「前記態様16に記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2)は、2つのレバーアームからなり、第1のレバーアームは、前記保持要素(2)が前記解除位置と前記保持位置との間を移動可能となるように当該保持要素を作動させるための作動部(21)としての機能を果たし、第2のレバーアームは、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)を拘束するべく前記駆動装置の構成要素(12a)に作用するための保持部(22)としての機能を果たすことを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様17)を採り得る。
また本発明では、「前記態様17に記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2)の両アームは、互いに所定の角度で、特に直角に配置されていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様18)を採り得る。
また本発明では、「請求項3、又は請求項3に従属の請求項4、前記態様5から18のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)への電流供給を可能とする少なくとも1つの電気伝導要素(51)が前記保持要素(2)に設けられ、前記保持要素(2)の保持位置への移動によって前記電流供給が遮断されることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様19)を採り得る。
また本発明では、「請求項3、又は請求項3に従属の請求項4、前記態様5から19のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2)は、少なくとも1つの電気伝導領域(22b)を備え、前記保持要素(2)の保持位置への移動によって、前記スーパーポジション駆動装置(1,100)のアクチュエータ(1)における電気的な短絡が当該電気伝導領域を介して形成可能であることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様20)を採り得る。
また本発明では、「請求項3、又は請求項3に従属の請求項4、前記態様5から20のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(2)は、少なくとも一部が磁性材料によって作られていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様21)を採り得る。
また本発明では、「請求項3、又は請求項3に従属の請求項4、前記態様5から21のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、前記保持要素(82)は、ロックプレート(84)に係合可能なロックボルトとして構成されていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様22)を採り得る。
また本発明では、「請求項2、又は請求項2に従属の前記態様2から22のうちのいずれかに記載のステアリングホイールであって、スーパーポジションギア(100)が前記ステアリングホイールハブ(60)の後方に配置されていることを特徴とするステアリングホイール」という態様(態様23)を採り得る。