JP2012515147A - ノカルジオフォーム放線菌の群に属する細菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、動物のマクロファージ内で生存する能力を有するノカルジオフォーム放線菌(nocardioform actinomycetes)の群に属する細菌による感染から生じる障害に対して該動物を防御するための医薬組成物であって、ノカルジオフォーム放線菌種の生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている)と、これらの生細菌のための医薬上許容される担体とを含む医薬組成物に関する。

Description

本発明は、ノカルジオフォーム放線菌(nocardioform actinomycetes)の群に属する細菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための医薬組成物に関する。本発明はまた、該組成物を製造するための、この群の生弱毒化細菌の使用、およびこの組成物での動物の治療方法に関する。
アクチノバクテリア綱の細菌には、一般に放線菌(actinomycetes)と称される、放線菌目(Actinomycetales)と呼ばれる細菌目が存在する。この目に属する細菌は、高いG+C含量を有する糸状グラム陽性細菌である[しかし、例えば、放線菌目マイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)科に属する多数の種の場合のように、幾つかの種は、古典的なグラム染色に好適でない又は更には不適当な複雑な細胞壁構造を有する]。種々の株は、植物、およびヒトを含む動物に生息するが、それらは土壌生息生物として最もよく知られている。それらは、気菌糸体または菌糸にしばしば結合している耐性胞子を産生する。放線菌は有機物質の分解において重要な役割を果たしている。幾つかの種は、それらの特徴的な特性のため、産業および医薬研究において使用される。
ほとんどの放線菌は動物(本発明に関して用いられる動物なる語はヒトを含む)に対して非病原性である。しかし、放線菌の多数の亜目[すなわち、ストレプトスポランジネエ(Streptosporangineae)、ミクロコクシネエ(Micrococcineae)、ストレプトマイシネエ(Streptomycineae)およびフランキネエ(Frankineae)]のなかには、多くの非病原性細菌と共に相当数の動物病原体を含む1つの亜目、すなわち、コリネバクテリネエ(Corynebacterineae)が存在する。これらの病原体は、マイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)、ノカルジアセエ(Nocardiaceae)およびコリネバクテリアセエ(Corynebacteriaceae)科を含むノカルジオフォーム放線菌として公知の系統群内に存在するらしい(とりわけ、題名:Rhodococus equi:Pathogenesis and Replication in Macrophages,in“Opportunistic Intracellular Bacteria and Immunity”,Lois J.Paradiseら(編),New York,1999の第11章を参照されたい)。注目すべきことに、これらの病原体による感染に関連した疾患の大部分に対しては、利用可能な適当な予防方法(すなわち、疾患に罹患するのを予防し又は該疾患の影響を少なくとも軽減しうる、疾患を引き起こす病原体に対する曝露の前またはそれと実質的に同時の処置)がほとんど存在しない。近年、ノカルジオフォーム放線菌の系統群のマイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)、ノカルジアセエ(Nocardiaceae)およびコリネバクテリアセエ(Corynebacteriaceae)科はコリネバクテリネエ(Corynebacterineae)亜目内の非常に密接に関連した科であるという認識が確認された(University of California,San Diego,Outline of Senior Project,Marelle L.Yehuda,June 2,2005をも参照されたい)。特にこの群内の病原性細菌、少なくとも、適当な予防的治療が存在しない病原性細菌[例えば、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)およびロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)]は以下の重要な特性を共有することも明らかになっている:すなわち、感染は典型的には皮膚または粘膜を介して生じ、ついで該細菌はマクロファージ内に広がり、これらのマクロファージ内で複製される(とりわけ、Microbes and Infection 7,2005,1352−1363;Proceedings of the National Academy of Sciences,June 7,2005,Vol.102,no 23,pp 8327−8332;Nature Medicine 13,282−284,2007;Transplantation Proceedings,Volume 36,Issue 5,June 2004,pp 1415−1418を参照されたい)。実際にマクロファージは微生物感染に対する宿主免疫防御の最前線に位置するが、宿主内で生存するためには食作用の回避に頼る細菌とは異なり、この群内のここで意図される病原性細菌は、宿主内で生存し複製されるためにマクロファージを標的化するのである。本発明は、本発明の場合にはマクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌と称される、動物のマクロファージ内で生存する能力を有するこれらの細菌に関する。
マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌は、微生物に対する動物の防御の決定的な機能を逃れるように進化してきたようである。特に、結核の原因微生物であるマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)は、インビボでのその主要ニッチとしてマクロファージを成功裏に利用している種であるが、マイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)、ノカルジアセエ(Nocardiaceae)およびコリネバクテリアセエ(Corynebacteriaceae)を含むノカルジオフォーム放線菌に属する他の細菌種も同じ戦略を採っている。これらは、例えば、ブルリ潰瘍を引き起こすマイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、ウシにおいてヨーネ病を引き起こしヒトにおけるクローン病に関連づけられているマイコバクテリウム・アビウム・パラツベルクローシス(Mycobacterium avium paratuberculosis)、ウシ結核を引き起こすマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、エイズ患者のような免疫無防備状態の患者の日和見感染に関連づけられているマイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、魚類においてノカルジア症を引き起こすノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)およびノカルジア・ファルシニカ(Nocardia farcinia)、腎移植レピシエントにおける感染を引き起こすノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、子ウマ(幼いウマ科動物)において肺炎を引き起こし免疫無防備状態の患者における日和見感染にも関連づけられているロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)[かつてはコリネバクテリウム(Corynebacterium)として公知であった]、ヒツジ、ヤギ、ウマ、そしてまた、時にはヒトの肺における膿瘍を引き起こすコリネバクテリウム・シュードツベルクローシス(Corynebacterium pseudotuberculosis)などである。これらの細菌種の全ては、マクロファージ内で生存し、それに感染し、このタイプの宿主細胞内で複製される能力を共有する。
この特徴的な特性は、マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌の群に属する細菌による感染から生じる障害(本明細書においては「障害」なる語は「疾患」と同等な語として用いられる)の治療を著しく妨げる。多くの場合、臨床徴候が実際に存在する場合には治療は抗生物質を使用して行われる。しかし、これは難題である。なぜなら、マクロファージ内には相当な量の該細菌が存在し、抗生物質がそれに到達するのは困難だからである。したがって、抗生物質での治療は、しばしば、長い治療期間を要し、その成否は様々である。ヒトにおける結核、魚類におけるノカルジア症および子ウマにおける肺炎のような疾患では、予防的治療が好ましいであろう。そのような予防的治療は典型的には、野生型細菌に由来する不活化または生弱毒化細菌を含むワクチンの使用によるものである。マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌に関しては、不活化(死菌)ワクチン(すなわち、死んだ細菌またはその1以上のサブユニットを療法因子として含むワクチン)は成功をもたらさないことが判明している。現在、マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌に対する予防的治療の成功のためには生細菌を要すると一般に考えられている。なぜなら、これらのみが、マクロファージに到達する能力、および適度な免疫応答を誘発するのに十分な程度に野生型細菌を模擬する能力を有しうるからである。実際、結核を治療するためには、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)種に非常に密接に関連しているマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)種に基づく生ワクチン(BCG,カルメット・ゲラン桿菌)が利用可能である。しかし、防御効果は優れたものではない。ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)およびノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)のようなノカルジアセエ科の種に関しては、現在、商業的に入手可能なワクチンは存在しない。コリネバクテリウム・シュードツベルクローシス(Corynebacterium pseudotuberculosis)種に関しては、自己ワクチンを使用する防除が試みられているが、その成否は様々である(RUMA Guidelines,National Office of Animal health,Hertfordshire,United Kingdom,2006)。
マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための適当な予防的治療が明らかに必要とされている。この意味における治療は、野生型微生物でのチャレンジの負の効果を少なくとも軽減するのに十分な程度に標的動物の免疫系を刺激することを意味する。その目的は、これが該障害に対する防御を招くこと、すなわち、該障害が予防され、または少なくとも、該動物における感染または疾患の臨床徴候のレベルが低下し、結果的に疾患の重症度も低下することである。マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌が宿主内での生存のために同じ戦略を採っていることは、これらの細菌による感染に対する予防的治療のための共通の戦略の着想をもたらす。
この点に関しては、コレステロール代謝がマクロファージにおけるノカルジオフォーム放線菌の生存において極めて重要な役割を果たしており、重要なビルレンス(毒性)因子でありうる、と文献に記載されていることが注目される(Proceedings of the National Academy of Science,February 6,2007,vol.104,no.6,pp 1947−1952)。この代謝は、病原性株と戦うための新規治療用物質、すなわち、感染が生じた後の治療のための薬物の論理的標的となることも示唆された。実際、先行技術を精査してみると、全てのマクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌に関して、宿主マクロファージ内での該細菌の生存および維持においてコレステロール代謝が或る役割を果たしているという確立された事実を裏付ける他の証拠が見出される。例えば、第11章(題名:Rhodococus equi:Pathogenesis and Replication in Macrophages,in“Opportunistic Intracellular Bacteria and Immunity”,Lois J.Paradiseら(編),New York,1999)からは、幾つかのノカルジオフォーム放線菌により引き起こされる感染の間には臨床総体症状における大きな類似性が存在することが公知であり、コレステロールオキシダーゼがビルレンス因子の酵素成分であることが確認された。Veterinairy Microbiology,Volume 56,Issue 3−4,June 1997,269−276には、該コレステロールオキシダーゼ過程にはロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)と共にコリネバクテリウム・シュードツベルクローシス(Corynebacterium pseudotuberculosis)が関与することが示されている。
したがって、一見したところでは、そのことは、コレステロール代謝がマクロファージ内のこれらの細菌の生存において極めて重要な役割を果たしているという認識により、マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための医薬組成物(そのような組成物はワクチンとも称されうる)を開発する気にさせそうである。しかし、前記で言及したPNAS論文(2007年の論文)においてなされている示唆は薬物に関連しており、したがって、該細菌のコレステロール代謝を妨げることにより該細菌を完全に殺すことを目的としていることを認識すれば、同じ戦略に従うことは生ワクチンには不適と思われる。すなわち、複製の必須部位における該細菌の生存を阻害することにより細菌を弱毒化することを試みると、該細菌は複製されず、宿主動物内に存続するであろう。確かに、薬物での治療の場合には、これは理想的な状況である。しかし、生ワクチンの場合には、該細菌の生存を完全に阻止すると、不活化細菌を含むワクチンを模擬すると予想される。
そのようなワクチンは、マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌に対する治療には成功しないことが判明している。野生型病原性ナカルジオフォーム放線菌でのチャレンジに対して動物を防御するための医薬組成物における、コレステロール代謝において欠損した生細菌の使用を評価するための試みが尚も行われている。そのような試みの一例は、野生型ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株103+(Prescott,Veterinary Microbiology 118,2006,pp 240−246)のコレステロールオキシダーゼ(ChoE)突然変異体に基づく生ワクチンである。この試みは成功しなかった。しかし、それは、前記で言及したPNAS論文(PNAS February 6,2007,vol.104,no.6,pp 1947−1952)の技術的教示に基づいて予想されるとおり、それが防御を誘導しなかったからではなく、該突然変異株が尚も強すぎる毒性を示したからである。該突然変異体は尚も、野生型ロドコッカス・エクイ(R.equi)に匹敵するレベルでマクロファージ内で生存し増殖することが可能であった。また、このコレステロール欠損突然変異体の抗原負荷は野生型生物の場合に匹敵するようであった。したがって、該突然変異体は尚も疾患を誘発する能力を有していた。一方、実際に、コレステロールを全く取り込み得ない生突然変異ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)[Van der Geizeら,4th Havemeyer Workshop on Rhodococcus equi,Edinburgh,13−16 July,2008、およびVan der Geizeら:“A novel method to generate unmarked gene deletions in the intracellular pathogen Rhodococcus equi using 5−fluorocytosine conditional lethality” in Nucleic Acids Research 2008、doi:10.1093/nar/gkn811(更に、“Van der Geizeら,2008”とも称される)に提示されているステロール取り込みパーミアーゼ突然変異体supAB][これは、(少なくとも出発化合物としてコレステロールが使用される場合)完全なコレステロール代謝が遮断されていることを意味する]は尚もマクロファージ内で生存し存続することが可能であり(Van der Geizeら,2008)、したがって強すぎる毒性を有することが確認されている。生ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)を弱毒化するためには、コレステロール代謝以外に影響を及ぼす追加的な突然変異を必要とするらしい(Prescott:Veterinary Microbiology 125,2007,100−110)。これらの結果に基づいて、コレステロール代謝自体は重要なビルレンス因子ではなく、これらの細菌を十分に弱毒化するためには利用できないと結論づけられた。コレステロール代謝における突然変異を有する細菌は、野生型生物と同じ又は少なくとも比較しうる抗原負荷を有するらしく、したがって、(対象動物が該突然変異細菌でのチャレンジの後で生存した場合には)適度な防御をもたらしうるものの、医薬組成物中で使用されるには余りにも強すぎる毒性を有する。したがって、コレステロール代謝に関与する遺伝子を不活化することにより弱毒化された生細菌を含有する予防的治療用の医薬組成物を目標とすることは、袋小路に入るようなものだと考えられる。
"Opportunistic Intracellular Bacteria and Immunity",Lois J.Paradiseら(編),New York,1999,第11章 University of California,San Diego,Outline of Senior Project,Marelle L.Yehuda,June 2,2005 Microbes and Infection 7,2005,1352−1363 Proceedings of the National Academy of Sciences,June 7,2005,Vol.102,no 23,pp 8327−8332 Nature Medicine 13,282−284,2007 Transplantation Proceedings,Volume 36,Issue 5,June 2004,pp 1415−1418 RUMA Guidelines,National Office of Animal health,Hertfordshire,United Kingdom,2006 Proceedings of the National Academy of Science,February 6,2007,vol.104,no.6,pp 1947−1952 Veterinairy Microbiology,Volume 56,Issue 3−4,June 1997,269−276 Prescott,Veterinary Microbiology 118,2006,pp 240−246 Van der Geizeら,4th Havemeyer Workshop on Rhodococcus equi,Edinburgh,13−16 July,2008 Van der Geizeら,"A novel method to generate unmarked gene deletions in the intracellular pathogen Rhodococcus equi using 5−fluorocytosine conditional lethality" in Nucleic Acids Research 2008、doi:10.1093/nar/gkn811 Prescott,Veterinary Microbiology 125,2007,100−110
しかし、驚くべきことに、マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するために、ノカルジオフォーム放線菌種[典型的には、感染細菌と同じ種、あるいはマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)とマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)との場合のように非常に密接に関連していて多数のT細胞エピトープを共有する種である]の生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている)と、該細菌を運搬するための医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を使用しうることを、本出願人は見出した。
この場合における「弱毒化」は、該弱毒化細菌のビルレント(しばしば、野生型)病原性対応物に通常関連している疾患の完全な症状を誘導し得ないことを意味する。本発明の場合における「不活化(不活性化)」は、例えばオペロン(すなわち、タンパク質を機能的レベルで実際に発現するのに必要な遺伝子の組)の一部である遺伝子がゲノムから完全に除去されている、または変化していて(いずれかの公知の又は更には今後案出される技術により;Introduction to Biotechnology and Genetic Engineering,A.J.Nair,INFINITY SCIENCE PRESS LLC,2008,chapter 13“Genetic Techniques”,pp 476−496およびchapter 15“Recombinant DNA Technology”,pp 563−612を参照されたい)、それが対応野生型タンパク質を、もはやコードしていない、または完全な転写に、もはや利用不可能であることを意味し、あるいは該遺伝子がゲノム内のいずれかの他の変化を受けていて、該遺伝子(または適用可能な場合にはオペロン)が、正常な代謝を支持するのに適した形態である状況と比較された場合に、少なくとも、正常なメチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート異化作用を支持するレベルでは、該野生型タンパク質が該弱毒化細菌によりインビボで産生されないことを意味する。本発明の場合における「タンパク質をコードする」は、遺伝子(例えば、オペロンの一部であるもの)が、該タンパク質または該タンパク質のサブユニット(酵素的に活性なタンパク質を一緒になって形成する多サブユニット)を直接的にコードすること、あるいは該遺伝子が、該タンパク質または該タンパク質のサブユニット(酵素的に活性なタンパク質を一緒になって形成する多サブユニット)における、直接的に又は複数の工程により変換される1以上の中間体をコードすることを意味する。「医薬上許容される担体」は、例えばとりわけ無菌状態にされることにより、標的動物に生理的に適合可能な又は許容される、任意の溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌物質、等張および吸収遅延物質などでありうる。そのような運搬媒体の幾つかの具体例としては、水、塩類液、リン酸緩衝食塩水、細菌培養液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組合せが挙げられる。それらは、意図される投与方法に応じて、液体、半固体および固体剤形を与えうる。一般に公知のとおり、運搬媒体の存在はワクチンの効力に必須ではないが、それは該抗原の投与量調整および投与を著しく簡単にしうる。該医薬組成物は、該担体および抗原に加えて、他の物質、例えばアジュバント、安定剤、粘度調節物質または他の成分を含むことが可能であり、該組成物の意図される用途または要求される特性に応じて、それらは添加される。
本発明の医薬組成物中には生細菌が存在し、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子が不活化されるように該細菌は突然変異している。一般に公知のとおり、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート[HIPまたは3aα−H−4α(3’−プロピオン酸)−7aβ−メチルヘキサヒドロ−1,5−インダンジオンとしても公知である]および5−ヒドロキシ−メチルヘキサヒドロインダノンプロピオナート[HILまたは3aα−H−4α(3’−プロピオン酸)−5α−ヒドロキシ−7aβ−メチルヘキサヒドロ−1−インダノン−δ−ラクトンとしても公知である]は、マクロファージ生存性ノカルジオフォーム放線菌を含むアクチノバクテリアによりコレステロールの分解中に生成される。最近、コリネバクテリネエ(Corynebacterineae)亜目に属する細菌種において、HIP分解に関与するトランスフェラーゼのαおよびβサブユニットをコードするオペロン[ipdAB:インダンジオンプロピオナート分解アルファ+ベータ(ndanedione roprionate egradiation lfa+eta)と称される]が特定された(2007年8月21日付け出願の米国優先権主張基礎出願に基づく2008年8月19日付け出願の同時係属国際特許出願PCT/EP2008/060844を参照されたい)。該公知トランスフェラーゼノックアウト突然変異体は、もはや、HIPおよびHILを分解する能力を有さず(前記特許出願の図3を参照されたい)、また、それはHIP、HILまたは4−アンドロステン−3,17−ジオン上で増殖しない。いずれの場合にも、「HIP分解に関与する」は、ノックアウト突然変異体が、もはや、唯一の炭素およびエネルギー源としてのHIP上で増殖する能力を有さず、あるいは少なくとも、非突然変異細菌により得られうるレベルではHIP上で増殖する能力を有さないことを意味する。現在のところ、該トランスフェラーゼがHIP分解自体を異化するのかどうか、また、HIP分解が依拠する反応が触媒されるのかどうかは、明らかでない。それでも、HIP分解はコレステロール代謝における比較的遅い段階で生じ、コレステロール分解経路における非常に特異的な段階である。コレステロール代謝における突然変異に関する公に入手可能な知見に基づけば(前記のPrescottの文献)、この突然変異は、防御効果をもたらすものの、毒性が余りにも強すぎる生細菌を与える、と予想されるであろう。しかし、本出願人が驚いたことには、そのような突然変異体は適度に弱毒化されているらしく、これはマクロファージ内の該突然変異体の生存能の著しい低下によるものである。HIP分解に関与する遺伝子がマクロファージ内の生存におけるそのような重要な役割を果たしている理由は明らかでない。さらに、それは、コレステロール代謝の完全な遮断でさえも、どうやらノカルジオフォーム放線菌のマクロファージ内生存能に対する効果が無いため、乏しい弱毒化効果しか示していない先行技術の結果と矛盾するようである。したがって、この突然変異が、コレステロール異化経路に沿った副次的段階に影響を及ぼし、マクロファージ内の病原性ノカルジオフォーム放線菌の生存能を著しく阻害することを見出したことは、非常に驚くべきことであった。特に、該突然変異生細菌はマクロファージに侵入しそこにおいて存続する能力を尚も有するが(したがって防御免疫応答の刺激は確保される)、それは非常に低レベルであるため、それらのビルレンスは有意に低下するらしく、そしてこのことにより該生細菌は予防的治療に許容されるものとなることが、本発明において見出された。
1つの実施形態においては、1つのオペロン内の複数の遺伝子が不活化されている。複数の遺伝子を不活化することにより、野生型(類似)表現型への該細菌の変化の可能性が減少するであろう。特に、遺伝子ipdAおよびipdBが不活化されている。これらの遺伝子を不活化することにより、有効かつ安全な弱毒化がもたらされうる。好ましい実施形態においては、該不活化は、非標識(unmarked)遺伝子欠失により少なくとも1つの遺伝子を欠失させることにより実現される。非標識突然変異の利点は、それが同一株における突然変異の反復導入を可能にすることである。該突然変異の導入の過程で外来DNA(ベクターDNA)が除去される。したがって、第2の突然変異の導入のための新たに導入されるベクターDNAは(ベクターDNA間の相同組換えによっては)前の突然変異の部位においては組込まれ得ない。組込みは、ベクターDNAが尚も存在すれば、限定的に生じ、多数の偽陽性組込み体を与えるであろう。該系は、莫大な数の突然変異の導入のための唯一の抗生物質遺伝子の使用を可能にする。非標識突然変異はまた、産業における容易な使用を可能にする。なぜなら、異種DNAが存在しないため、発酵ブロスの容易な使い捨てが可能となるからである。遺伝子欠失による遺伝子不活化は安定な非復帰突然変異体の構築を可能にする。特に小さい遺伝子(<500bp)は単一組換え組込みによる遺伝子破壊より容易に遺伝子欠失により不活化される。遺伝子欠失突然変異誘発は、ゲノムからの幾つかの遺伝子のクラスターを不活化するのに適用されうる。該遺伝子欠失突然変異誘発法は遺伝子置換(例えば、野生型遺伝子を突然変異遺伝子に変化させること)にも適用されうる。
1つの実施形態においては、該細菌はノカルジアセエ(Nocardiaceae)またはマイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)科に属する。好ましくは、該細菌はロドコッカス(Rhodococcus)、ノカルジア(Nocardia)またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属し、特に、ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)、ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)またはマイコバクテリウム・アビウム・パラツベルクローシス(Mycobacterium avium paratuberculosis)種のいずれかに属する。これらの種に関しては、現在のところ、適当なワクチンが商業的に入手できない。本発明は、これらの細菌と戦うための、そしてひいては、それらが動物において引き起こす対応疾患を緩和するためのワクチンとして使用されうる医薬組成物の提供を可能にする。
1つの実施形態においては、該医薬組成物は、経口投与に適した形態である。それは非常に簡便な投与方法であることに加えて、特に、この投与方法は安全であることが明らかとなっている。非経口投与は膿瘍を引き起こしうる。好ましくは、該生細菌は1×10〜1×1010 CFU/用量の濃度で存在する。
本発明はまた、Collection Nationale de Cultures de Micro−organismes of the Institut Pasteur(Paris France)に番号CNCM I−4108または番号CNCM I−4109として寄託された株に由来するロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)細菌、およびこの株に属する細菌に関する。
本発明はまた、対応する野生型細菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための医薬組成物を製造するための、動物のマクロファージ内で生存する能力を有するノカルジオフォーム放線菌の群に属する生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている)の使用に関する。
本発明はまた、動物のマクロファージ内で生存する能力を有するノカルジオフォーム放線菌の群に属する細菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための動物の治療方法に関する。該方法は、ノカルジオフォーム放線菌の生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている)を含む医薬組成物を動物に投与することを含む。
マクロファージにおける生存を示す。 マクロファージにおける生存を示す。 マクロファージにおける生存を示す。 マクロファージにおける生存を示す。 チャレンジ後の直腸温度を示す。 チャレンジ後の直腸温度を示す。 肺に関する死後所見を示す。 プライマーオリゴヌクレオチド配列を示す。 プライマーオリゴヌクレオチド配列を示す。 遺伝子の概要を示す。 チャレンジ後の結果を示す。 遺伝子の概要を示す。 マクロファージ内の生存を示す。 マクロファージ内の生存を示す。 弱毒化実験の結果を示す。 効力実験の結果を示す。
本発明は、本発明の具体的な実施形態を記載する以下の実施例を用いて更に詳しく説明される。該実施形態は以下の3つの部にわたる。
A部:株の同定および構築。
B部:インビボ弱毒化のモデルとしてのマクロファージ生存。
C部:野生型による感染に対する防御における突然変異細菌の効力。
A部:株の同定および構築
A1 培地および増殖条件
バクト−トリプトン(Bacto−Tryptone)(BD)、酵母エキス(BD)および1% NaCl(Merck)またはミネラルアセタート培地からなるルリア・バータニ(Luria−Bertani)(LB)培地内でロドコッカス・エクイ(R.equi)株を30℃(200rpm)で増殖させた。0.05% Tween80で補足されたBBLトリプチカーゼダイズブロス(TSB;BD)エム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155(Snapperら,1990,Mol.Microbiol.4:1911−1919)を37℃(200rpm)で増殖させた。ミネラルアセタート培地(MM−Ac)は、KHPO(4.65g/l)、NaHPO・HO(1.5g/l)、酢酸Na(2g/l)、NHCl(3g/l)、MgSO・7HO(1g/l)、チアミン(40mg/l、濾過滅菌;Sigma)およびビシュニアック(Vishniac)ストック溶液(1ml/l)を含有していた。ビシュニアック(Vishniac)ストック溶液は、以下のとおりに調製した(VishniacおよびSanter,1957,Rev.21:195−213から改変)。EDTA(10g/l)およびZnSO・7HO(4.4g/l)を蒸留水(2M KOHを使用してpH8)に溶解した。ついでCaCl・2HO(1.47g/l)、MnCl・7HO(1g/l)、FeSO・7HO(1g/l)、(NHMo24・4HO(0.22g/l)、CuSO・5HO(0.315g/l)およびCoCl・6HO(0.32g/l)をその順序でpH6において加え、最後にpH4で保存した。固形培地上の増殖のために、Bacto−寒天(15g/l;BD)を加えた。5−フルオロシトシン(Sigma−Aldrich)ストック溶液(10mg/ml)を蒸留水中で調製し、50℃に加熱することにより溶解し、濾過滅菌し、高圧滅菌培地に加えた。
ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriola)株INS436を、Tween80(0.05%)で補足されたユーゴン(Eugon)ブロス(BD)内で26℃(200rpm)で増殖させた。固形培地上での増殖のために、バクト(Bacto)−寒天(15g/l;BD)を加えた。sacB依存性スクロース選択のために、スクロース(2%)を該寒天培地に加えた。
A2 ロドコッカス・エクイ(R.equi)株103+におけるipdA、ipdBおよびfadE30ならびにノカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436におけるipdABの同定
前記のとおり、ロドコッカス(Rhodococcus)におけるipdAおよびipdB遺伝子はメチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート[HIP;3aα−H−4α(3’−プロピオン酸)−7aβ−メチルヘキサヒドロ−1,5−インダンジオン]および5−ヒドロキシ−メチルヘキサヒドロインダノンプロピオナート[HIL;3aα−H−4α(3’−プロピオン酸)−5α−ヒドロキシ−7aβ−メチルヘキサヒドロ−1−インダノン−δ−ラクトン]の分解に関与することが判明している。ゲノムデータベースにおけるロドコッカス・エリスロポリス(R.erythropolis)株SQ1のIpdAおよびIpdBのタンパク質配列のバイオインフォマティクス解析は、IpdAおよびIpdBをコードする遺伝子ならびにそれらの見掛け上のオペロン体制がロドコッカス・エクイ(R.equi)103+(J.F.Prescott,Ontario,Canadaから入手した野生型株;Veterinary Microbiology 118(2006)240−246において言及されているとおり)のゲノムにおいて保存されていることを示した。ロドコッカス・エクイ(R.equi)103+ゲノム配列はSanger Institute,Hinxton,Cambridge,UKにおけるロドコッカス・エクイ(R.equi)配列決定グループにより決定されている(「R.equi 103S」として公開されているゲノム)。ゲノム解析は更に、ロドコッカス・エクイ(R.equi)103+がipdAおよびipdBの追加的なパラログ遺伝子(それぞれipdA2およびipdB2と称される)を含有することを示した。これらの遺伝子はコレステロール異化遺伝子クラスターの外部に位置する。IpdA、IpdB、IpdA2およびIpdB2のアミノ酸配列を、それぞれ、添付の配列番号1、2、3および4に示す。ロドコッカス・エクイ(R.equi)103+のIpdAおよびIpdBタンパク質のアミノ酸配列の実体を、これらのパラログおよび幾つかの他のアクチノバクテリア(actinobacterial)オルソログを表6に示す。この表は、ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株103+のIpdAおよびIpdBのオルソログをコードする、ノカルジオフォーム放線菌の他のゲノムにおいて同定された遺伝子の概要を示す。本発明に関しては、これらの及び他のオルソログはIpdAおよびIpdBと称される。タンパク質の同一性は、ロドコッカス・エクイ(R.equi)103SのIpdAとIpdBとの完全長アミノ酸配列の同一性(%)を示している。アクチノバクテリアゲノム配列は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の微生物ゲノムのゲノムBLASTサーバーから入手した。該ロドコッカス・エクイ(R.equi)103+配列データはSanger Instituteにおけるロドコッカス・エクイ(R.equi)配列決定グループにより作製された。株103+(103Sとして公知である)のゲノムをこれらの同定目的に使用した。以下に例示するとおり、ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)での実際の研究は、ロドコッカス・エクイ(R.equi)株RE1[ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)感染により引き起こされる肉芽腫性肺炎に罹患した子ウマから分離されたもの]を使用して行った。
メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナートの分解に関与する第2の遺伝子はfadE30である。ΔfadE30突然変異体はHILおよびHIP上の増殖において著しく損なわれており、24時間のインキュベーション後には増殖を実質的に全く示さない。ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)のfadE30遺伝子を、Sanger Institute(http://www.sanger.ac.uk)において入手可能なロドコッカス・エクイ(R.equi)103+ゲノム上で行うタンパク質配列類似性検索により同定した。ロドコッカス・ジョスティイ(Rhodococcus jostii)株RHA1(Ro4596,Genbankアクセッション番号ABG96382)のFadE30のアノテーション付きタンパク質配列をタンパク質配列鋳型として使用した(McLeodら,2006,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.103:15582−15587;およびVan der Geizeら,2007,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.104:1947−1952)。Ro04596でのデータベース類似性検索は、Ro04596に対して73%のアミノ酸配列同一性を示すタンパク質をコードするロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)103Sの遺伝子を示した。このタンパク質はロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)103SのFadE30(配列番号43)としてアノテーション付けされ、その対応遺伝子はfadE30と称される。他のアクチノバクテリアにおいてFadE30をコードするオルソログ遺伝子が同様にして同定されうるであろう。これらのうちの選ばれたものを表8に示す。
アクチノバクテリアipdAB遺伝子座の高度に保存されたヌクレオチド配列上で得られたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriola)のipdABゲノム遺伝子座を3つの部分においてPCRにより増幅した。これらの保存領域は、ipdAB遺伝子の幾つかの公知アクチノバクテリア配列のヌクレオチド配列アライメントにより同定された。ノカルジア・ファルシニカ(Nocardia farcinica)のipdAB領域のヌクレオチドゲノム配列(nfa05080−nfa05090)(DDBJアクセッション番号AP006618)を、オリゴヌクレオチドPCRプライマーを得るための一次鋳型として使用した。使用したプライマーオリゴヌクレオチド配列を表5に示す。ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriola)INS436の染色体DNAをPCRのための鋳型として使用した。プライマーipdA−actino−FおよびipdB−actino−R(PCR 22)を使用してノカルジア・セリオレ(Nocardia seriola)のipdAB遺伝子を増幅し、ipd−actino−F2およびipdA−actino−R(PCR 23)を使用してipdABの上流領域を増幅し、ipdB−actino−Fおよびipd−actino−R(PCR 21)を使用して下流領域を増幅した。PCR産物をpGEM−Tクローニングベクター内にクローニングし、該インサートのヌクレオチド配列を決定した。ついで、得られたDNA配列上で、異なるプライマーペアを得、それを使用してipd遺伝子座を再クローニングし、再配列決定した。これは、4,139bpを含むノカルジア・セリオレ(N.seriola)のipdABの完全なヌクレオチド配列を与えた。配列決定されたDNA断片はノカルジア・セリオレ(N.seriola)のipdAおよびipdB遺伝子ならびにそれらの隣接遺伝子を含有していた。ノカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436のIpdAおよびIpdBの推定タンパク質配列を、それぞれ配列番号58および配列番号59に示す。
A3 クローニング、PCRおよびゲノムDNA単離
全てのクローニング法の宿主としてエシェリキア・コリ(Escherichia coli)DH5αを使用した。制限酵素はFermentas GmbHから入手した。GenElute Bacterial Genomic DNA Kit(Sigma−Aldrich)を該製造業者の説明に従い使用して、細胞培養の染色体DNAを単離した。Tris−HCl(10mM,pH8)、1×標準ポリメラーゼバッファー、dNTP(0.2mM)、DMSO(2%)、PCRプライマー(それぞれ10ng/μl、表5)および高忠実度DNAポリメラーゼ酵素(Fermentas)またはPwo DNAポリメラーゼ(Roche Applied Science)からなる反応混合物(25μl)中でPCRを行った。コロニーPCRのために、細胞物質を100μlのクロロホルムおよび100μlの10mM Tris−HCl(pH8)と混合し、激しくボルテックスし、遠心分離(2分間、14,000×g)した。ついで上部水相(1μl)のサンプルをPCRのための鋳型として使用した。標準的なPCRは、95℃で5分間のDNA融解工程、ならびにそれに続く95℃で45秒間の変性、60℃で45秒間のアニーリングおよび72℃で1〜3分間の伸長の30サイクルを含むものであった。用いた伸長時間は、1.5分/1kbを一般則として採用して、予想されるPCRアンプリコンの長さに左右された。
A4 ロドコッカス・エクイ(R.equi)、マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)およびノカルジア・セリオレ(N.seriolae)の電気的形質転換
ロドコッカス・エクイ(R.equi)の細胞を、記載されているのと実質的に同じ方法で(Van der Geizeら,受理された前記NAR論文;Navasら,2001,J.Bacteriol.183:4796−4805)、エレクトロポレーションにより形質転換した。簡潔に説明すると、OD600が0.8〜1.0に達するまで、細胞培養を50ml LB中、30℃で成長させた。該細胞をペレット化し(4,500×gで20分間)、10% 氷冷グリセロールで2回洗浄した。ペレット化細胞を0.5〜1mlの氷冷10% グリセロールに再懸濁させ、200μl アリコートに分割した。マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155の細胞を、記載されているのと実質的に同じ方法で(Jacobsら,1991,Methods Enzymol.204:537−555)、エレクトロポレーションにより形質転換した。簡潔に説明すると、細胞培養(250ml)を、OD600が0.8に達するまで、TSB培地+0.05% Tween80中、37℃で成長させ、氷上に1時間半放置し、遠心分離(5,000×gで10分間)して該細胞をペレット化した。該細胞を蒸留水で2回洗浄した。ペレット化細胞を0.5〜1mlの氷冷10% グリセロールに再懸濁させ、200μl アリコートに分割した。MilliQ溶出プラスミドDNA(5〜10μl;GenElute Plasmid Miniprep Kit,Sigma−Aldrich)を2mmギャップ化(gapped)キュベット内の200μlの細胞に加えた。12.5kV/cm、1000オームおよび25μFの単一パルスでエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーションされた細胞を1mlのLB培地(R.equi)または1mlのTSB+0.05% Tween80(M.smegmatis)と穏やかに混合し、2時間(R.equi)または5時間(M.smegmatis)にわたって37℃で200rpmで回収した。回収された細胞のアリコート(200μl)を選択寒天培地上にプレーティングした。ロドコッカス・エクイ(R.equi)形質転換体を、アプラマイシン(50μg/ml)を含有するLB寒天上で選択し、30℃で2〜3日間のインキュベーションの後にそれが出現した。マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)を、カナマイシン(10μg/ml)を含有するTSB+0.05% Tween80寒天上で選択し、37℃で4〜5日間のインキュベーションの後にそれが出現した。
ノカルジア・セリオレ(N.seriolae)の場合には、株INS436の前培養(20ml)を、ユーゴンブロス+0.05% Tween80(OD600nm=6)中、26℃(200rpm)で5日間成長させ、それを使用して100mlの新鮮なユーゴンブロス+0.05% Tween80培地(1:100)に接種した。初代培養を、OD600nm=1.3まで、26℃で20時間にわたって一晩成長させた。該細胞を4℃でペレット化し(20分間、4000g)、50mlの氷冷10% グリセロールで2回洗浄した。該ペレット化細胞を500μlの10% グリセロールに再懸濁させ、200μlのアリコートに分割し、直ちに電気的形質転換のために使用した。MilliQ溶出プラスミドDNA(5〜10μl;GenElute Plasmid Miniprep Kit,Sigma−Aldrich)を2mmギャップ化(gapped)キュベット内の200μlの細胞に加え、混合し、氷上で1分間放置した。17.5kV/cm、200オームおよび50μF(おおよその時間パルス9.3ms)の単一パルスでエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーションされた細胞を、0.05% Tween80で補足された1mlのユーゴンブロスと穏やかに混合し、3.5時間にわたって26℃で220rpmで回収した。回収された細胞の50および100μlのアリコートを、0.05% Tween80およびカナマイシン(20μg/ml)で補足された選択ユーゴン寒天上にプレーティングした。26℃で7日間のインキュベーションの後、形質転換体が出現した。
A5 5−フルオロシトシン(5−FC)選択を用いるロドコッカス・エクイ(R.equi)株における非標識遺伝子欠失
ロドコッカス・エクイ(R.equi)の非標識(unmarked)遺伝子欠失突然変異体を、記載されているのと実質的に同じ方法(Van der Geizeら,2008)で作製した。野生型または突然変異細胞のエレクトロポレーションから得たロドコッカス・エクイ(R.equi)形質転換体を、アプラマイシンで補足されたLB寒天培地上にストリークしてアプラマイシン耐性(Apra)を確認した。形質転換当たり4つのApra形質転換体を、25mlのLB培地中、30℃、200rpmで一晩(20〜24時間)増殖させ、100μl アリコート中の5−FC(100μg/ml)で補足されたMM−Ac寒天プレート上にMM−Ac培地中の10〜10倍希釈度でプレーティングした。30℃で3日間のインキュベーションの後に出現した5−FC耐性コロニーを、LB寒天上、およびアプラマイシン(50μg/ml)で補足されたLB寒天上にレプリカストリークして、アプラマイシン感受性(Apra)および5−FC耐性(5−FC)コロニーを選択した。遺伝子欠失の遺伝子座を増幅するプライマー(表5)を使用するコロニーPCRにより、Apra/5−FCコロニーを所望の遺伝子欠失の存在に関して確認した。潜在的遺伝子欠失突然変異体からゲノムDNAを単離し、それを使用して、遺伝子欠失を確認した。これは、ipdABまたはipdAB2遺伝子座ならびにこれらの遺伝子座の上流および下流領域を増幅するプライマー(表5に記載されているプライマー)を使用して行った。
A6 ロドコッカス・エクイ(R.equi)におけるipdABおよびipdAB2遺伝子欠失のためのプラスミドの構築
ロドコッカス・エクイ(R.equi)RE1におけるipdABオペロンの非標識遺伝子欠失の生成のためのプラスミドpSelAct−ipd1を以下のとおりに構築した。ipdAB遺伝子の上流(1,368bp;プライマーipdABequiUP−FおよびipdABequiUP−R)および下流(1,396bp;プライマーipdABequiDOWN−FおよびipdABequiDOW番号)隣接領域をPCR(表5、PCR1およびPCR2)により増幅した。得られたアンプリコンをEcoRV消化pBluescript(II)KS内に連結して、それぞれ上流および下流領域にプラスミドpEqui14およびpEqui16を得た。pEqui14の1.4kbのSpeI/EcoRV断片をSpeI/EcoRV消化pEqui16内に連結してpEqui18を得た。ipdAB遺伝子欠失およびその隣接領域を含有する、pEqui18の2.9kbのEcoRI/HindIII断片をクレノウフラグメントで処理し、SmaI消化pSelAct自殺ベクター(Van der Geizeら,2008)内に連結した。得られたプラスミドを、ipdAB遺伝子欠失突然変異体ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔipdAB(RG1341とも称される)の構築のためにpSelAct−ipd1と命名した。この突然変異体はCollection Nationale de Cultures de Micro−organismes of the lnstitut Pasteur(Paris France)に番号CNCM I−4108として寄託された。
二重遺伝子欠失突然変異体ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔipdABΔipdAB2(RG2837とも称される)を、プラスミドpSelAct−ΔipdAB2を使用して、ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔipdAB突然変異株におけるipdAB2オペロンの非標識遺伝子欠失により作製した。プラスミドpSelAct−ΔipdAb2を以下のとおりに構築した。ipdAB2の上流(1,444bp;プライマーipdAB2equiUP−FおよびipdAB2equiUP−R)および下流(1,387bp;ipdAB2equiDOWN−F、ipdAB2equiDOW番号)領域を、鋳型としてゲノムDNAを使用するPCR(表5、PCR6およびPCR7)により増幅した。該アンプリコンをSmaI消化pSelAct内に連結して、それぞれプラスミドpSelAct−ipdAB2equiUPおよびpSelAct−ipdAB2equiDOWNを得た。BglII/SpeIでの両プラスミドの消化の後、pSelAct−ipdAB2equiDOWNの1,381bpの断片をpSelAct−ipdAB2equiUP内に連結して、ΔipdAB2遺伝子欠失の構築のために使用するpSelAct−ΔipdAB2を得た。得られた突然変異体ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔipdABΔipdAB2はCollection Nationale de Cultures de Micro−organismes of the lnstitut Pasteur(Paris France)に番号CNCM I−4109として寄託された。
A7 マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc 155におけるipdAB遺伝子欠失のためのプラスミドの構築
マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155におけるipdAB遺伝子の非標識遺伝子欠失のために使用するプラスミドpK18−ipdABsmegを以下のとおりに構築した。ipdAB遺伝子の上流(1,502bp;プライマーipdABsmegUP−FおよびipdABsmegUP−R)および下流(1,431bp;プライマーipdABsmegDOWN−FおよびipdABsmegDOW番号)隣接領域を、鋳型としてマイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155のゲノムDNAを使用するPCR(表5、PCR12およびPCR13)により増幅した。得られたアンプリコンをSmaI消化pK18mobsacB(Schaferら,1994,Gene 145:69−73)内に連結して、それぞれpK18−ipdABsmegUPおよびpK18−ipdABsmegDOWNを得た。ついで、BamHI/SpeI消化pK18−ipdABsmegUPから得た1.5kbのDNA断片を、BamHI/SpeIで線状化されたpK18−ipdABsmegUP内に連結して、ipdAB遺伝子欠失のために使用するpK18−ipdABsmegを構築した。
A8 ロドコッカス・エクイ(R.equi)におけるfadE30の遺伝子欠失のためのプラスミドの構築
ロドコッカス・エクイ(R.equi)RE1におけるfadE30の非標識遺伝子欠失の生成のためのプラスミドpSelAct−fadE30を以下のとおりに構築した。fadE30の上流(1,511bp;プライマーfadE30equiUP−FおよびfadE30equiUP−R)および下流(1,449bp;プライマーfadE30equiDOWN−FおよびfadE30equiDOW番号)隣接ゲノム領域を、高忠実度DNAポリメラーゼ(Fermentas GmbH)を使用する標準的なPCR(表5;PCR15およびPCR16)により増幅した。得られたアンプリコンをpGEM−Tクローニングベクター(Promega Benelux)内に連結してpGEMT−fadE30UPおよびpGEMT−fadE30DOWNを得た。1.4kbのBcuI/BglII DNA断片をpGEMT−fadE30DOWNから切断し、BcuI/BglIIで線状化されたpGEMT−fadE30UP内に連結してpGEMT−fadE30を得た。pSelAct−fadE30を構築するために、pGEMT−fadE30をNcoIおよびBcuIで消化し、クレノウフラグメントで処理した。fadE30遺伝子欠失を含有する2.9kbの平滑末端DNA断片をSmaI消化pSelAct(van der Geizeら,2008)内に連結した。得られたプラスミドをpSelAct−fadE30と命名し、突然変異株ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔfadE30の構築のために使用した。
A9 ノカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436におけるipdAB遺伝子欠失のためのプラスミドの構築
ノカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436におけるipdAB遺伝子の非標識遺伝子欠失のために使用するプラスミドpK18ipdABNserを以下のとおりに構築した。ipdAB遺伝子の上流(1,487bp;プライマーipdABNserUP−FおよびipdABNserUP−R;PCR24)および下流(1,049bp;プライマーipdABNserDOWN−FおよびipdABNserDOW番号;PCR25)隣接領域を、DNA鋳型としてカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436のゲノムDNAを使用するPCRにより増幅した(表5)。得られたアンプリコンをSmaI消化pK18mobsacB(Schaferら,1994,Gene 145:69−73)内に連結して、それぞれpK18−ipdABNserUPおよびpK18−ipdABNserDOWNを得た。ついで、SmaI/PstI消化pK18−ipdABNserDOWNから得た1.07kbのDNA断片を、SmaI/PstIで線状化されているpK18−ipdABNserUP内に連結して、ipdAB遺伝子欠失のために使用するプラスミドpK18−ipdABNserを構築した。
A10 突然変異株ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔipdABおよびロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔipdABΔipdAB2の構築
ロドコッカス・エクイ(R.equi)のために開発された5−フルオロシトシン対抗選択での2段階相同組換え法(Van der Geizeら,2008)を用いて、ipdAB(RG1341)およびipdABipdAB2(RG2837)のロドコッカス・エクイ(R.equi)非標識遺伝子欠失突然変異体を構築した。ΔipdAB突然変異ロドコッカス・エクイ(R.equi)株RG1341の構築のために、非複製型プラスミドpSelAct−ipd1を電気的形質転換によりロドコッカス・エクイ(R.equi)株RE1に転移させた。ついで、プラスミドpSelAct−ipd1とRE1ゲノムとの間の相同組換えから得られた4つのApra形質転換体を、遺伝子欠失を引き起こす第2の稀有相同組換え事象の発生に関して選択するために、5−FC選択に付した。18個のランダムに拾ったApra/5FCコロニーをコロニーPCRに付した。3個のFC/Apraコロニーが予想サイズ(296bp、表5、PCR5)のアンプリコンを与えた。ゲノムDNAをこれらの3つのΔipdAB突然変異体から単離し、ipdAB遺伝子座ならびにその上流および下流隣接領域のPCR分析に付した(表5、PCR3およびPCR4)。この分析は3例中2例において真正ipdAB遺伝子欠失の存在を証明し、ipdAB遺伝子座における異常なゲノム再構成を示さなかった。ビルレンスプラスミドのマーカーとしてのvapAの存在がPCR(表5、PCR11)により確認された。1つのipdAB突然変異株を選択し、ロドコッカス・エクイ(R.equi)RG1341と命名し、更なる研究に使用した。
ΔipdAB単一突然変異体の単離に関して記載されているのと実質的に同じ方法でプラスミドpSelAct−ΔipdAB2を使用して、二重遺伝子欠失突然変異株RG2837を株RG1341から構築した。pSelAct−ΔipdAB2での株RG1341の細胞のエレクトロポレーションから得た4つのApra形質転換体を、Apra/5−FCコロニーを選択するために5−FC選択に付した。ipdAB2オペロンを増幅するために作製されたオリゴヌクレオチド(表5、PCR10)を使用する、18個のApra/5−FCコロニーの後続のPCR分析は、得られた123bpのアンプリコンから明らかなとおり、2つのコロニーがΔipdAB2遺伝子欠失を含有することを証明した。PCRによるipdAB2遺伝子座の上流および下流領域の更なる分析はipdAB2遺伝子欠失の存在を証明し、異常なゲノム再構成を示さなかった(表5、PCR8およびPCR9)。また、vapAビルレンス遺伝子の存在がPCR(表5、PCR11)により確認された。1つのΔipdABΔipdAB2二重遺伝子欠失突然変異株RG2837を更なる研究のために選択した。
A11 突然変異株マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)ΔipdABの構築
以下のとおりにsacB対抗選択系(Pelicicら,1996,Mol.Microbiol.20:919−925;Van der Geizeら,2001,FEMS Microbiol Lett.205:197−202)を用いて、マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155の非標識ipdAB遺伝子欠失突然変異体を構築した。マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155のΔipdAB突然変異体の構築のために、非複製型プラスミドp18−ipdABsmegを電気的形質転換によりマイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)に転移させた。幾つかの形質転換体を得た。1つのカナマイシン耐性形質転換体を、0.05% Tween80を含有するTSB培地中、37℃で非選択的に2日間増殖させ、ついで、sacB対抗選択によりカナマイシン感受性(Km)およびスクロース耐性(Suc)二重組換え体を選択するために、2% スクロースを含有するTSB寒天プレート上にプレーティングした。3日間のインキュベーションの後に出現したコロニーをTSB寒天上、およびカナマイシン(10μg/ml)で補足されたTSB寒天上にレプリカストリークして、Km/Sucコロニーを選択した。コロニーPCR(表5、PCR14)により、ipdAB遺伝子欠失の存在に関して真正Km/Sucコロニーを更に調べた。3つの潜在的ipdAB突然変異体からゲノムDNAを単離した。PCR分析はipdAB遺伝子欠失の存在を証明した。1つのipdAB突然変異株を更なる研究のために選択し、マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)ΔipdABと命名した。
A12 突然変異株ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔfadE30の構築
ロドコッカス・エクイ(R.equi)のために開発された5−フルオロシトシン対抗選択での2段階相同組換え法(Van der Geizeら,2008)を用いて、ipdAB(RG1341)およびipdABipdAB2(RG2837)のロドコッカス・エクイ(R.equi)RE1におけるfadE30の非標識遺伝子欠失を作製した。ΔfadE30突然変異株の構築のために、非複製型プラスミドpSelAct−fadE30を電気的形質転換によりロドコッカス・エクイ(R.equi)株RE1に転移させた。ついで、プラスミドpSelAct−fadE30とRE1ゲノムとの間の相同組換えから得られた2つのApra形質転換体を、fadE30遺伝子欠失を引き起こす第2の稀有相同組換え事象の発生に関して選択するために、5−FC選択に付した。18個のランダムに拾ったApra/5FCコロニーを、プライマーfadE30cont−FおよびfadE30cont−R(表5;PCR19)を使用するコロニーPCRに付した。3個のFC/Apraコロニーが予想サイズ(428bp)のアンプリコンを与えた。ゲノムDNAを2つの潜在的ΔfadE30突然変異体から単離し、PCR分析に付した。オリゴヌクレオチドプライマーfadE30contr−FおよびfadE30contr−R(表5)を使用するfadE30遺伝子座のPCR分析はfadE30遺伝子欠失の存在および野生型fadE30遺伝子の非存在を証明した。PCRによる上流および下流隣接領域の分析は、予想されたそれぞれ1.86kbおよび1.76kbの産物を与えた。該分析はどちらの場合においても真正fadE30遺伝子欠失の存在を証明し、fadE30遺伝子座における異常なゲノム再構成を示さなかった。ビルレンスプラスミドのマーカーとしてのvapAの存在がPCRにより確認された。1つのfadE30突然変異株をロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔfadE30と命名し、更なる研究に使用した。
A13 突然変異株ノカルジア・セリオレ(N.seriola)ΔipdABの構築
以下のとおりにsacB対抗選択系(Pelicicら,1996,Mol.Microbiol.20:919−925;Van der Geizeら,2001,FEMS Microbiol Lett.205:197−202)を用いて、ノカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436の非標識ipdAB遺伝子欠失突然変異体を構築した。マイコバクテリウム・スメグマチス(M.smegmatis)mc155のΔipdAB突然変異体の構築のために、非複製型プラスミドp18−ipdABNserを電気的形質転換によりノカルジア・セリオレ(N.seriola)INS436に転移させた。ついで幾つかのカナマイシン耐性形質転換体を、0.05% Tween80を含有するユーゴンブロス培地中、非選択的に26℃で7日間増殖させた。ついで、2% スクロースを含有するユーゴン寒天プレート上にプレーティングすることにより、sacB対抗選択によるカナマイシン感受性(Km)およびスクロース耐性(Suc)二重組換え体の選択を行った。26℃で7日間のインキュベーションの後に出現したコロニーをユーゴン寒天プレート上、およびカナマイシン(20μg/ml)で補足されたユーゴン寒天プレート上にレプリカにより移して、Km/Sucコロニーを選択した。プライマーipdABNser−FおよびipdABNser−R(表5)を使用するコロニーPCRにより、ipdAB遺伝子欠失の存在に関して、真正Km/Sucコロニーを更に調べた。3つの潜在的ipdAB突然変異体からゲノムDNAを単離した。プライマーペアipdABNser−FおよびipdABNser−R(PCR23)を使用するPCR分析は222bpのPCR産物を与え、1,634bpの野生型PCR産物の非存在を示し、これはipdAB遺伝子欠失の存在を証明した。ipdAB遺伝子欠失を更に確認するために、プライマーペアIpdABNser−F2およびIpdABNserDOWN−Contr−R(PCR26)を使用した。このプライマーペアはipdAB突然変異体に関する1,148bpの予想されたPCR産物を与え、一方、該野生型株の場合においてのみ、2,560bpのPCR産物が得られた。1つの突然変異株をノカルジア・セリオレ(N.seriola)ΔipdABと命名し、更なる研究のために選択した。
B部:インビボ弱毒化のモデルとしてのマクロファージ生存
B1 使用株
ビルレント株
株RE1:野生型親株。この株はコレステロール上で増殖する。株RE1ΔsupAB:supAB遺伝子の欠失体。この株はコレステロール上で増殖できない。
非ビルレント株
株103−:80−から90−kbのビルレンスプラスミドを欠き、ウマにおいて非病原性であることが公知である(Takaiら,2000,Infect.Immun.68:6840−6847)。この株はコレステロール上で増殖する。
本発明の株
株RE1ΔipdAB(RG1341):コレステロール異化クラスターにおけるipdAB遺伝子が欠失している。この株は4−アンドロステン−3,17−ジオン(AD)上で増殖しない。株RE1ΔipdAB−AD+:AD上で増殖するように順応した株RE1ΔipdABの細菌[唯一の炭素源としてのADと共に株RE1ΔipdABを高濃度(10CFU/ml以上)でプレーティングした場合には、AD上で増殖する少数のコロニーが出現しうる]。株RE1ΔipdABipdAB2(RG2837):(コレステロール異化クラスターの部分ではない)ipdAB遺伝子のもう1つの組も欠失している。この株はAD上では増殖しない。株ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔfadE30。この株はHIP/HILおよびAD上での増殖に関して著しく欠損している。
B2 マクロファージ感染のためのロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)培養
マクロファージ生存アッセイにおいて試験すべき種々のロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株を栄養ブロス(Difco)内で37℃、100rpmで一晩(17時間)増殖させて、1〜2×10 CFU/mlの最終濃度とした。新鮮に調製した培養のみを使用した。該マクロファージの接種後、感染価を確認するために生存数測定(プレート計数)を行った。
B3 子ウマへのチャレンジのためのロドコッカス(Rhodococcus)培養
ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株RE1、RE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+を血液寒天上でプレーティングし、37℃で24時間インキュベートした。プレート当たり4mlの無菌等張PBSで細菌を集めた。該細菌懸濁液を無菌等張PBSで希釈して、4×10 CFU/mlの最終濃度とした。輸送は室温で行った。該希釈培養は、調製後4時間以内に使用した。チャレンジ後、感染価を確認するために生存数測定(プレート計数)を行った。生存数は、それぞれ、RE1では4.35×10 CFU/ml、RE1ΔipdABでは7.1×10 CFU/ml、およびRE1ΔipdAB−AB+では5.8×10 CFU/mlであった。
B4 試験系
マクロファージ細胞系
ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株の生存に関して試験するために細胞系U937(ヒト単球)を使用した。該単球を、10mM HEPESで緩衝化され200 IU/ml ペニシリンおよびストレプトマイシンならびに10% ウシ胎児血清(FBS)で補足されたRPMI 1640+NaHCO+NAPYR+グルコース培地(RPMI 1640培地)内で増殖させ。該細胞を37℃および5% COにおいて懸濁状態で増殖させた。
子ウマ
8頭の子ウマ(7頭は3〜5週齢の子ウマであり、1頭は7週齢であった)(全て母ウマを伴っていた)を使用した。全群にわたって年齢分布が均等になるように、該子ウマを3頭、3頭および2頭の子ウマの3群に割り当てた。該実験中、該子ウマは乳を吸い、母ウマは標準的な手法により給餌された。新鮮な水道水が自由に摂取できるようにした。
Figure 2012515147
T=0において、針付きシリンジを使用して(いわゆる、経気管注射)、株RE1、RE1ΔipdABまたはRE1ΔipdAB−AD+の100mlのチャレンジ培養物(前記「子ウマへのチャレンジのためのロドコッカス培養」を参照されたい)で全ての子ウマを気管内にチャレンジした。
B5 実験方法およびパラメーター
マクロファージ生存試験
マクロファージ生存アッセイのために、前記のとおり、単球を数日間増殖させた。培地を新鮮な培地と交換し、60ng/ml ホルボール12−ミリスタート13−アセタート(PMA)で該細胞を一晩活性化させて、マクロファージへのそれらの分化を誘導した。分化した細胞を遠心沈降(200×gで5分間)させ、10% FBSを含有する新鮮な抗生物質非含有RPMI1640培地にペレットを再懸濁させた。試験すべき各株ごとに、約10 細胞/mlの細胞懸濁液10mlを含有するチューブにロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)を約10細菌/マクロファージの感染多重度で接種した。該細菌を該マクロファージと共に37℃、5% COで1時間インキュベートした。該培地を、10% FBSおよび100μg/ml ゲンタマイシンで補足された10mlのRPMI培地と交換し、再び1時間インキュベートして、細胞外細菌を殺した。該マクロファージ(インターナリゼーションされたロドコッカス・エクイを含有するもの)を遠心沈降(200×gで5分間)させ、10mM HEPESで緩衝化され10% FBSおよび10μg/ml ゲンタマイシンで補足された40mlのRPMI1640培地にペレットを再懸濁させた。この懸濁液を4本の培養ボトル(それぞれ10ml)に分割し、37℃、5% COでインキュベートした。4、28、52および76時間後、該マクロファージ(株当たり1本の培養ボトル)を遠心沈降(200×gで5分間)させ、ペレットを1mlの抗生物質非含有RPMI1640培地中で2回洗浄した。最後に、該ペレットを0.01M リン酸緩衝食塩水(PBS)中の1% TritonX−100で細胞溶解し、ついで生存数測定(プレート計数)を行った。
子ウマへのチャレンジ
1−直腸温度:チャレンジの1日前、チャレンジの当日(チャレンジの直前)、ついで、チャレンジ後は剖検まで1日1回測定した。
2−臨床検査:チャレンジ後3週間にわたり、該ウマを臨床徴候に関して毎日検査した。
3−死後検査および細菌学:チャレンジ後第21日に、該子ウマを秤量し、ついでキシラジン(100mg/100kg)およびケタミン(500mg/100kg)での麻酔ならびにそれに続く失血により死亡させた。肺対体重比を計算するために肺を秤量した。肺および付随リンパ節に特に注意して、完全な死後検査を行った。異常の場合には、病理学者により必要とみなされたら、組織学的検査のためのサンプルを採取した。
組織サンプル(1cm)を、肺の各半分の葉を代表する7つの標準的な部位(半分当たり3つの部位+付属葉)から切除し、各部位に関して、罹患組織が存在する場合にはそれを優先的に選択した。鏡像サンプル(各半分の同等の葉の2つのサンプル)をプールして、子ウマ当たり3つのサンプル+1つの付属葉のサンプルを得た。それぞれの(プールされた)サンプルをホモジナイズし、系列希釈し、血液寒天プレート上に接種し、ついで37℃で16〜24時間インキュベートした。ロドコッカス(Rhodococcus)コロニーを計数し、CFU/mlホモジネートとして表した。全ての他の異常から追加的スワブを採取した。スワブを血液寒天プレート上にストリークし、ついで37℃で16〜24時間インキュベートした。ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)を、まず、その典型的な非溶血性ムコイドコロニー形態学的特徴により同定した。グラム染色、API/フェニックス(Phoenix)および/またはPCRにより、更なる同定を行った。
B6 結果
マクロファージにおける生存
2つの別々の実験の結果を表1(および図1)および表2(および図2)に示す。該結果は、RE1ΔsupAB突然変異体が、野生型親株RE1と同様にマクロファージ内で生存可能であることを示しており、このことは、コレステロール代謝がマクロファージ生存に必須ではないことを示している。これは、コレステロール代謝自体がビルレンスには重要でないという認識と合致する。これとは対照的に、株RE1ΔipdAB、株RE1ΔipdABipdAB2、株RE1ΔipdAB−AD+および株103−のマクロファージ内生存は明らかに低下した。しかし、それらの細菌が、有意に低下したレベル(典型的には野生型レベルの100〜1000倍低い濃度)でではあるが、マクロファージ内で尚も生存可能であることに注目されたい。株103−は80−から90−kbのビルレンスプラスミドを欠き、ウマにおいて非ビルレントであることが公知である(Takaiら)。この株103−はワクチン株としては適当でない。なぜなら、それは、おそらくそれが該ビルレンスプラスミドを欠いているため、防御免疫応答を誘導しないからである。表9(および図4)には、野生型株RE1および株RE1ΔipdABと比較された突然変異株ロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔfadE30に関する結果が示されている。明らかに、fadE30突然変異体は、ΔipdAB株と比較されうる生存特性を有し、また、より低いマクロファージ内生存能を有する。
メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解活性に関与するタンパク質をコードするオペロンにおける突然変異を有する株[すなわち、株RE1ΔipdAB、RE1ΔipdABipdAB2、RE1ΔipdAB−AD+およびロドコッカス・エクイ(R.equi)ΔfadE30]での結果は、これらの株が、より低いマクロファージ内生存能を有すること、特に、それらの生存能が非病原性株103−の生存能に匹敵することを示している。これは、既に、適度な弱毒化の良好な指標である。株RE1ΔipdAB−AD+は株RE1ΔipdABと同じマクロファージ表現型を示した。このことは、野生型レベルでのマクロファージ生存に必須なものが、無傷コレステロール代謝ではなく無傷ipdABオペロンであることを示している。単一ipdAB遺伝子欠失(コレステロール異化遺伝子クラスターにおけるもの)はマクロファージ生存の阻害をもたらした。これらの遺伝子のコピー(ipdA2およびipdB2と称される、コレステロール異化クラスター以外のipdAおよびipdB)における追加的な欠失は該マクロファージ試験において更なる弱毒化効果を及ぼさなかった。これらの結果を考慮して、株RE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+(=AD上での増殖に順応した株RE1ΔipdAB)を子ウマに気管内投与し(通常のチャレンジ法)、野生型親株RE1と比較してインビボ弱毒化を試験した。
直腸温度
表3(および図3)には、直腸温度の結果が示されている。群1は、野生型RE1株が投与された群である。群2および3には、それぞれRE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+が投与された。第3日〜第10日の温度は示されていない。なぜなら、それらは正常直腸温度からの有意な変化を何ら示さなかったからである。異常温度が太字で示されている。野生型親株RE1でチャレンジされた3頭中2頭の子ウマ(番号18および19)は、チャレンジの14日後以降の明らかに増加した直腸温度を示した。14日後の直腸温度の増加は臨床徴候の発生と符合した(後記を参照されたい)。子ウマ番号21(株RE1ΔipdABでチャレンジされたもの)は、チャレンジ後第1日に、若干増加した温度(39.1℃)を示したが、これは、おそらく、ロドコッカス(Rhodococcus)感染に関連していない(このチャレンジモデルにおけるインキュベーション時間は通常、7日を超える)。さらに、RE1ΔipdABまたはRE1ΔipdAB−AD+のいずれでチャレンジされた子ウマにおいても、温度上昇は観察されなかった。
チャレンジ後の臨床徴候
第7日から第21日までの臨床スコアは実際に、野生型親株RE1でチャレンジされた子ウマ番号18および19がチャレンジの13日後から呼吸疾患の徴候を現すことを示した。子ウマ番号17(RE1チャレンジ群)はチャレンジ後に軽度の臨床徴候を示したに過ぎなかった。突然変異株RE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+でチャレンジされた子ウマは呼吸疾患の明らかな徴候を示さなかった。後者の2つの群の臨床効果は、主に、若干増加した心拍に基づくものであった。これはまた、(部分的に)ストレスの処理によるものであった可能性がある。なぜなら、それはチャレンジ前にも存在したからである。
死後検査
肺に関する死後所見を表4に示す。野生型親株RE1でのチャレンジの後、該子ウマは呼吸疾患の徴候を現した(特に子ウマ番号18および19)。突然変異株でチャレンジされた子ウマは依然として健康であった。チャレンジ後第21日に、該子ウマを殺し、剖検した。死後において、該野生型株でチャレンジされた全ての子ウマは典型的な化膿性肉芽腫肺炎を有しているようであった。ロドコッカス・エクイ(R.equi)を純粋培養としてそれから再単離し、該野生型株の同一性をPCRにより確認した。また、子ウマ番号18からは、拡大した縦隔リンパ節から、野生型ロドコッカス・エクイ(R.equi)が単離された。該突然変異株でチャレンジされた子ウマの肺は肺炎領域を示さず、子ウマ番号20の若干拡大した気管支リンパ節からの場合および子ウマ番号24の健常肺組織からの場合を除き、ロドコッカス(Rhodococcus)は単離されなかった。これらの単離物の同一性は、それぞれPCRおよびAD寒天上の増殖により、RE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+と確認された。
B7 これらの実験のB部の結論
株RE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+はマクロファージ生存において明らかに欠損しており、子ウマにおいて弱毒化されている。ipdAB遺伝子の第2コピーのノックアウト(RE1ΔipdABipdAB2を与える)は、マクロファージ生存試験において、そして恐らくは子ウマにおいても、追加的な効果を及ぼさないようであった。株RE1、RE1supAB、103−、RE1ΔipdABおよびRE1ΔipdAB−AD+でのインビボおよびインビトロの総合的な結果は、ノカルジオフォーム放線菌に属する細菌に関するマクロファージ生存レベルとインビボビルレンスとの間の良好な相関性を示している。特に、突然変異株が、有意に低下(典型的には、ビルレント親株に対して約2〜3log)したマクロファージ生存能を有する場合、該突然変異株は該親株と比べて有意に弱毒化されている。
感染の様態および毒性因子がノカルジオフォーム放線菌の間で共有されているという一般に公知の事実、したがってロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)が、マイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)を研究するための、特に、マクロファージ生存および存続性に関連したビルレンス因子に関するモデルとして一般に使用されること(とりわけ、PNAS,February 6,2007,vol.104,no.6,pp 1947−1952を参照されたい)に基づけば、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化による細菌の生存率の低下はノカルジオフォーム放線菌の弱毒化に関して一般的なことだと理解される。
C部:野生型による感染に対する防御における突然変異細菌の効力
C1 序論
本発明の生突然変異細菌を含有する医薬組成物に関する効力は固有のものだと考えられる。これは、コレステロール代謝における突然変異を有する細菌が、野生型生物のものに匹敵する抗原負荷を尚も有することを、コレステロール代謝における突然変異に関する公に入手可能な知見が明らかに示していることを認識することにより理解されうる。該突然変異生細菌はマクロファージに侵入しそのなかで存続する能力を尚も有するという本発明により入手可能となった現在の知見と組合せると、免疫応答の刺激が確保されることは疑いがない。それでもなお、本出願人は、この見解を証明するための実験を行った。このために、生ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)を含有するワクチンを使用した。本質的に、この細菌に対して利用可能なワクチンは尚も存在せず、このことは該実験を本質的に重要なものとする。しかし、より重要なことには、この細菌は、他のノカルジオフォーム放線菌、特にマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)に関する良好なモデルと一般に認識されている。他の証明実験(ノカルジオフォーム放線菌の全範囲を含む証明結果を得るためのもの)は、例えばノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)を使用して行われうるであろう(C6節を参照されたい)。これは魚類病原体であり、他のマクロファージ生存ノカルジオフォーム放線菌に対する適当なワクチンが利用可能でないのと同じ理由により、それに対する適当なワクチンは利用可能でない。
C2 実験計画
16頭の2〜4週齢の子ウマを該研究に使用した。該子ウマを4頭の子ウマの4つの群に分け、種々の用量のRE1ΔipdAB(無菌等張リン酸緩衝食塩水中で還元される)を含有する1mlのワクチンをそれに経口的にワクチン接種した。群1には5×10 CFUをワクチン接種し、群2には5×10 CFUをワクチン接種し、群3には5×10 CFUをワクチン接種し、群4は未ワクチン接種対照として残された。ワクチン接種はT=0およびT=2週の時点で行った。T=4週において、全ての子ウマをロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株85F(100ml用量当たり5×10 CFUを含有する)の100mlの培養物で気管内にチャレンジした。
チャレンジ後の3週間にわたり、該ウマを臨床的に評価した。該子ウマを初回ワクチン接種の日、チャレンジの日および剖検の日に秤量した。チャレンジ後3週間の時点で(または重篤な臨床徴候の場合には、それより早期に)、該子ウマを秤量し、安楽死させ、肺および呼吸リンパ節に特に注意して完全な死後検査を行った。肺対体重比を計算するために肺を秤量した。全ての肺葉からの組織サンプルを検査のために採取した。
C3 材料および方法
試験物品
該ワクチンは、無菌等張リン酸緩衝食塩水(PBS)中で還元される株RE1ΔipdABの生ロドコッカス(Rhodococcus)を含有していた。該チャレンジ培養物は以下のとおりに調製した。ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)株85Fを血液寒天上にプレーティングし、37℃で24時間インキュベートした。プレート当たり4mlの無菌等張PBSで細菌を集めた。該細菌懸濁液を無菌等張PBSで希釈して、4×10 CFU/mlの最終濃度とした。輸送は室温で行った。希釈培養は、調製後4時間以内に使用した。チャレンジ後、感染価を確認するために生存数測定を行った。該感染価は5.3×10 CFU/mlであった。
実験方法およびパラメーター
各ワクチン接種の直前ならびに第0、1、2、3、6、10、14、15、16、17、20および24日(ワクチン接種後)に直腸スワブを採取することにより、細菌の再単離を行った。T=0(初回ワクチン接種の直前)に該子ウマから鼻スワブを採取した。該スワブサンプルを生理的塩溶液中で系列希釈し、血液寒天上でプレーティングし、37℃で16〜24時間インキュベートした。ロドコッカス(Rhodococcus)コロニーを、まず、典型的な非溶血性ムコイドコロニー形態学的特徴により同定し、計数し、CFU/mlとして表した。それぞれの単離の日に3つの再単離物を(存在する場合には3つの異なるウマから)ランダムに選択し、それを使用して同一性[グラム染色、API/フェニックス(Phoenix)およびIipdAB遺伝子上のPCR]を確認した。
該研究中、全身健康状態および/または行動の異常に関して、生物専門家が該ウマを毎日観察した。チャレンジの1日前から、該ウマを臨床徴候に関して(剖検まで)毎日検査した。初回ワクチン接種の直前、チャレンジの直前および剖検の直前に秤量を行った。このようにして、体重増加および肺対体重比を計算することが可能であった。
チャレンジ後第14〜20日に(重篤な臨床徴候の場合には、それより早期に)、該子ウマをキシラジン(100mg/100kg)およびケタミン(500mg/100kg)での麻酔ならびにそれに続く失血により死亡させた。肺対体重比を計算するために肺を秤量した。完全な死後検査を行った。組織サンプル(1cm)を、肺の各半分の葉を代表する7つの標準的な部位(半分当たり3つの部位+付属葉)から切除し、各部位に関して、罹患組織が存在する場合にはそれを優先的に選択した。鏡像サンプル(各半分の同等の葉の2つのサンプル)をプールして、子ウマ当たり3つのサンプル+1つの付属葉のサンプルを得た。それぞれの(プールされた)サンプルをホモジナイズし、系列希釈し、血液寒天プレート上に接種し、ついで37℃で16〜24時間インキュベートした。ロドコッカス(Rhodococcus)コロニーを計数し、CFU/mlホモジネートとして表した。尖端(左+右)、尾側(左+右)および付属肺節に関して固質化の比率を確定することにより、各動物に関する肺炎肺スコアを得た。各動物ごとに、1つの肺スコア数を得るために、これらの比率を加えた。このようにして、0〜500の肺スコアが得られる。
C4 結果
チャレンジ後の結果を表7に要約する。4つ全ての対照が、唯一の病原体としてのロドコッカス・エクイ(R.equi)により引き起こされる化膿性肉芽腫肺炎の重篤な徴候を現したことが、要約された結果から明らかである。2つのワクチン被接種体番号4および5は、対照と比較されうる徴候を示したが、全ての他のワクチン被接種体はそれより遥かに軽度な徴候を示したか、または徴候を実質的に全く示さなかった。%肺重量(肺炎の量に関する客観的尺度)は該ワクチン被接種体のほとんどにおける部分的な防御を証明している。ワクチン接種された子ウマ番号2は、非特異的細菌により引き起こされる肺炎を有していた。実際、この子ウマは防御されているとみなされうる。なぜなら、大量のチャレンジにもかかわらず、ロドコッカス(Rhodococcus)が単離されなかったからである。また、肺炎を有するワクチン接種された3頭の子ウマからは、混合感染が単離された。これらの混合感染は、おそらく、種々の防御パラメーターに負の影響を及ぼすであろう。該ワクチンの防御効果は明らかであるが、用量反応効果は観察されなかった。それどころか、最低用量が最良の結果を与えたようである。このことと、子ウマが未熟な胃腸フローラを有することとを考え合わせると、最適用量は1×10〜1×1010 CFUであると考えられる。
C5 該実験のC部の結論
該ワクチンの3つ全ての経口用量は若い子ウマに有効であるらしく、激しい気管内チャレンジに対して相当な防御を誘導した。本実験においては、ipdABオペロンの遺伝子ipdAおよびipdBを共に、該ワクチンにおける細菌のゲノムから除去した。しかし、同じオペロンに影響を及ぼす他の突然変異も同等に有効でありうることが明らかである。例えば遺伝子ipdAまたはipdBの1つだけに影響を及ぼす突然変異はそれ自体で同等に有効でありうる。後者の場合のいずれにおいても、関与するトランスフェラーゼは産生され得ず、したがって同じ表現型が得られる。実際、これはRengarajan(PNAS,June 7,2005,Vol.102,No.23,pp 8327−8332)からも導かれうる。この参考文献においては、別のノカルジオフォーム放線菌、すなわち、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)に関する関連証拠が記載されており、オルソログipd遺伝子(マイコバクテリウム・ツベルクローシスにおいて、それぞれrv3551およびrv3552と称される)のいずれかの不活化は同一表現型を与える。
C6 ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)突然変異体のワクチン効力の証明
ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)に関する前記実験を、魚類においてノカルジア症を引き起こす別の放線菌である魚類病原体ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)に関して繰返した。この実験のために、野生型株INS436およびΔipdAB株(前記A13段落に記載されているもの)を使用した。20匹のブリ[セリオラ・キンクエラジアタ(Seriola quinqueradiata)]の群に該野生型株または突然変異株を(種々の濃度で)IP注射し、20匹の魚の1つの群を対照として残した。死亡および他の臨床反応の発生に関して該魚を2〜3週間観察して、該突然変異株の弱毒化を評価した。この観察期間の終了時に、生存魚を一定用量の該野生型株でチャレンジして、ワクチンとしての該突然変異株の効力を評価した。さらに2週間にわたり、魚を観察した。
該野生型に関しては、2.25×10 cfu/mlの接種物を調製した。該突然変異株に関しては、これは7.85×10 cfu/ml(約3倍高い)であった。これらの原液接種物から、弱毒化研究に使用するための2倍、20倍、200倍および2000倍の希釈物を調製した。該IPチャレンジ物質は1.2×10 cfu/mlを含有していた。
該弱毒化実験の結果を表10(これは該観察期間の終了時における死亡率を示す)に示す。該突然変異株は、該野生型株と比べて弱毒化されていることが、この表から明らかとなる。すなわち、該突然変異株の原液接種物はcfu/mlにおいて3倍高かったが、該突然変異株の投与を受けた群においては死亡率は有意に低かった。該効力実験の結果を表11に示す。比較されうる防御は得られなかったが、(対照群においては該観察期間中に該魚の60%が死亡したことを考慮すると)該突然変異体は有意な防御をもたらすことが明らかである。2000倍希釈物の投与を受けた魚の群においてさえも、野生型ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)でのチャレンジにより、遥かに少数の魚が死亡した。
このように、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化は他のノカルジオフォーム放線菌における弱毒化および防御ワクチン株を与えることが示された。これは、本発明が全範囲のノカルジオフォーム放線菌に適用可能であることを更に支持するものである。

Claims (13)

  1. 動物のマクロファージ内で生存する能力を有するノカルジオフォーム放線菌(nocardioform actinomycetes)の群に属する細菌による感染から生じる障害に対して該動物を防御するための医薬組成物であって、ノカルジオフォーム放線菌種の生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている。)、およびこれらの生細菌のための医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
  2. オペロン内の複数の遺伝子が不活化されていることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 遺伝子ipdAおよびipdBが不活化されていることを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 不活化が、非標識(unmarked)遺伝子欠失により少なくとも1つの遺伝子を欠失させることにより実現される、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 細菌がノカルジアセエ(Nocardiaceae)またはマイコバクテリアセエ(Mycobacteriaceae)科に属することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 細菌がロドコッカス(Rhodococcus)、ノカルジア(Nocardia)またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属することを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 細菌がロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)、ノカルジア・セリオレ(Nocardia seriolae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)またはマイコバクテリウム・アビウム・パラツベルクローシス(Mycobacterium avium paratuberculosis)種に属することを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 経口投与に適した形態であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 生細菌が1×10から1×1010 CFU/用量の濃度で存在することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. Collection Nationale de Cultures de Micro−organismes of the Institut Pasteur(Paris France)に番号CNCM I−4108または番号CNCM I−4109として寄託された株に由来するロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)細菌。
  11. Collection Nationale de Cultures de Micro−organismes of the Institut Pasteur(Paris France)に番号CNCM I−4108または番号CNCM I−4109として寄託された株のロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)細菌。
  12. 動物のマクロファージ内で生存する能力を有するノカルジオフォーム放線菌の群に属する生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている。)の使用であって、対応する野生型細菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための医薬組成物を製造するための、使用。
  13. 動物のマクロファージ内で生存する能力を有するノカルジオフォーム放線菌の群に属する細菌による感染から生じる障害に対して動物を防御するための動物の治療方法であって、ノカルジオフォーム放線菌種の生細菌(該生細菌は、メチルヘキサヒドロインダンジオンプロピオナート分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子の不活化により弱毒化されている。)を含む医薬組成物を該動物に投与することを含む方法。
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