JP2012511154A - 生体分子の濃度を測定するための方法 - Google Patents

生体分子の濃度を測定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、対象において関心対象の生体分子の絶対濃度を測定するための方法を提供する。そのような生体分子は、一つまたは複数の神経性および神経変性の疾患または障害に関与し得る。治療剤が中枢神経系由来の生体分子のインビボでの代謝に影響を与えるかどうかを判定するための方法も提供する。本発明の方法を行うためのキットも提供する。

Description

発明の分野
本発明は、全体として、神経性および神経変性の疾患、障害、および関連する過程の診断ならびに治療のための方法に関する。
背景情報
アルツハイマー病(AD)は、最も一般的な痴呆の原因であり、ますます増えつつある公衆衛生上の問題である。現在、米国内では500万の人々を苦しめていると推定され、2050年までに1300万人まで増大すると予想されている(Herbert et al, 2001, Alzheimer Dis. Assoc. Disord. 15(4): 169-173(非特許文献1))。ADは他の中枢神経系(CNS)の変性疾患と同様に、タンパク質の産生、蓄積、およびクリアランスの障害によって特徴付けられる。ADでは、アミロイドβ(Aβ)というタンパク質の代謝の調節異常が、この疾患を有する者の脳内におけるこのタンパク質の塊状の蓄積によって示される。ADは、記憶喪失、認知機能の喪失、ならびに最終的には自立性の喪失および死につながる。この疾患は、患者、家族および社会に過酷な人的および経済的打撃を与える。この疾患の重篤性および人口内での有病率の増加のため、より良い治療を開発することが急務である。
現在、症状を改変する薬剤はいくつか存在しているが、しかし、疾患修飾性の治療は存在していない。疾患修飾性の治療は、不可逆的な脳障害の発症前に施されるなら、最も効果的である可能性が高いと考えられる。しかしながら、ADの臨床診断が下される時には、既に大量の神経喪失が生じている(Price et al. 2001, Arch. Neurol. 58(9): 1395-1402(非特許文献2))。それゆえ、ADを発病するリスクがある者を特定する方法は、ADの発症を予防または遅延するうえで最も有益であると考えられる。現在、ADで臨床症状の発症前に生じる病態生理学的変化を同定する手段、またはこの疾患の発症を予防し得るもしくはその進行を遅延し得る治療の効果を効果的に測定する手段は存在していない。
それゆえ、対象における生体分子を定量するための高感度の、正確な、かつ再現性のある方法の必要性が存在している。絶対定量に用いられる従前の技術には、抗体を用いて捕捉かつ濃度測定を行う、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)が含まれる。しかしながら、ELISAは、総濃度を定量し、または定量用のアイソフォーム特異的抗体に依拠し、大部分は、1アッセイ法当り1つの種のみの濃度を測定するために使用され得る。抗体は、それらが結合するタンパク質の種およびタンパク質の立体構造に極めて特異的であり、関心対象のタンパク質に結合する二つの抗体への依存が、ELISAアッセイ法から報告される濃度には高いアッセイ法間およびアッセイ法内のバラツキにつながり得る。そのため、一つまたは複数の生体分子が疾患の診断および/または進行に関連する、生物体液中および生物組織中の該生体分子の濃度の絶対定量の測定をインビボで行うための方法が、必要とされる。
Herbert et al, 2001, Alzheimer Dis. Assoc. Disord. 15(4): 169-173 Price et al. 2001, Arch. Neurol. 58(9): 1395-1402
本発明のさまざまな局面のなかには、対象中の一つまたは複数の生体分子の濃度を算出するための方法の提供がある。この方法は、定量標準物質と対象由来の試料を接触させる段階であって、該定量標準物質が、既知濃度の関心対象の標識された生体分子である段階を含む。この方法は、試料から関心対象の生体分子を単離する段階、および試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を測定し、それによって、該比率を用いて試料中の非標識の生体分子の濃度を算出する段階をさらに含む。一つの態様において、この方法は、算出された濃度を標準曲線に対して規準化する段階であって、該標準曲線が、定量標準物質に対する非標識の生体分子の比率の二つまたはそれ以上を測定することによって作成され、該非標識の生体分子の濃度が既知である段階をさらに含む。
別の局面において、本発明は、対象中の一つまたは複数の生体分子の濃度を定量するインビボ方法を提供する。この方法は、一つまたは複数の標識されたアミノ酸を該対象に投与する段階であって、該標識されたアミノ酸が該対象中の関心対象の生体分子に組み込まれる段階を含む。この方法は、生物体液または生物組織の試料を該対象から得る段階であって、該試料が、標識された生体分子の画分と非標識の生体分子の画分とを含む段階をさらに含む。この試料を次いで、定量標準物質と接触させ、該定量標準物質は、該対象に投与された一つまたは複数の標識されたアミノ酸とは異なる分子量を有する部分で標識された既知濃度の生体分子を含む。次に定量標準物質に対する標識された生体分子の比率および定量標準物質に対する非標識の生体分子の比率を用いて、それぞれ、標識された生体分子および非標識の生体分子の両方の濃度を算出することができる。一つの態様において、非標識の生体分子の濃度を算出する段階は、定量標準物質の濃度に、定量標準物質に対する非標識の生体分子の測定された比率を乗ずることを含む。別の態様において、標識された生体分子の濃度を算出する段階は、定量標準物質の濃度を、定量標準物質に対する標識された生体分子の測定された比率に乗ずることを含む。さらに別の態様において、非標識の生体分子および標識された生体分子の算出された濃度が、それぞれのそれらの個々の標準曲線に対して規準化され、該標準曲線が、定量標準物質に対する非標識の生体分子および標識された生体分子の比率の二つまたはそれ以上を測定することによって作成され、非標識の生体分子および標識された生体分子の濃度が既知である。
別の局面において、本発明は、対象の中枢神経系において産生される一つまたは複数の生体分子のインビボでの代謝を測定するための方法を提供する。この方法は、血液脳関門を通過すること、および一つまたは複数の生体分子が対象の中枢神経系において産生される際に生体分子に組み込むことができる標識された部分を、対象に投与する段階を含む。この方法は、中枢神経系の組織または体液である中枢神経系試料を、対象から得る段階をさらに含む。中枢神経系試料は、標識された部分が一つまたは複数の生体分子に組み込まれている、標識された生体分子の画分と、標識された部分が一つまたは複数の生体分子に組み込まれていない、非標識の生体分子の画分とを含む。この過程の最終段階は、一つまたは複数の生体分子のそれぞれについて標識された生体分子の量および非標識の生体分子の量を検出することを含み、ここで各生体分子についての非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率が対象中の該生体分子の代謝に正比例する。
別の局面において、本発明は、対象の中枢神経系において産生される生体分子の代謝に治療剤が影響を与えるかどうかを判定するための方法を提供する。この方法は、治療剤を、ならびに血液脳関門を通過することができる、および生体分子が対象の中枢神経系において産生される際に該生体分子に組み込まれることができる、標識された部分を、対象に投与する段階を含む。この方法は、標識された部分が生体分子に組み込まれている、標識された生体分子の画分と、標識された部分が生体分子に組み込まれていない、非標識の生体分子の画分とを含む生体試料を、対象から得る段階をさらに含む。この過程の次の段階は、標識された生体分子の量および非標識の生体分子の量を検出することを含み、ここで非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率が対象中の生体分子の代謝に正比例する。この過程の最終段階は、対象中の生体分子の代謝を適切な対照値と比較することを含み、ここで対照値からの変化は、治療剤が対象の中枢神経系における生体分子の代謝に影響を与えることを示唆する。
別の局面において、本発明は、本発明の方法を行うためのキットを提供する。一つの態様において、対象における神経性疾患または神経変性疾患の進行または治療を診断および/またはモニタリングするためのキットを提供する。このキットは、一つまたは複数の標識された部分(例えば、標識されたアミノ酸)および一つまたは複数のアミノ酸を対象に投与するための手段を含む。このキットは、対象から一定時間毎に生体試料を得るための手段をさらに含むことができる。ある種の態様において、このキットはまた、関心対象の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を経時的に検出および測定するための、ならびに非標識の生体分子の濃度を算出するための使用説明書も含む。一つの態様において、この使用説明書は、算出された濃度を、本明細書において開示のある種の標準物質および/または対照と比較するための方法について開示する。
全ての局面において、標識された部分は、2H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36Sからなる群より選択される非放射性同位体を含む。一つの態様において、標識された部分は、必須アミノ酸などの標識されたアミノ酸である。例示的な必須アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されることはない。したがって、一つの態様において、標識された部分は、x = 1〜6である13Cxロイシンである。別の態様において、標識された部分は、15Nで標識されたアミノ酸である。別の態様において、標識された部分は、x = 1〜9である13Cxで標識されたフェニルアラニンである。別の態様において、標識された部分は、x = 1〜6である13Cxで標識されたイソロイシンである。別の態様において、標識された部分は、13Cxで標識されたイソロイシンおよび13Cyで標識されたフェニルアラニンであり、x = 1〜6およびy = 1〜9である。
全ての局面において、生体分子は、ペプチド、脂質、核酸または炭水化物であることができる。一つの態様において、生体分子は、アミロイドβ(Aβ)、α-シヌクレイン、タウ、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α-2-マクログロブリン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、インターロイキンおよびTNFなどの中枢神経系(CNS)において合成されるペプチドである。二つまたはそれ以上の生体分子がアッセイされる本発明の局面において、生体分子は同一タンパク質のアイソフォームであることができる。したがって、一つの態様において、生体分子は、Aβ1-16、Aβ1-17、Aβ1-37、Aβ1-38、Aβ1-39、Aβ1-40、Aβ1-41、Aβ1-42およびAβ1-43の一つまたは複数であることができる。
本発明の他の局面および特徴を以下にさらに詳細に記述する。
Aβ17-28、Aβ29-37、Aβ29-38、Aβ29-39、Aβ29-40およびAβ29-42のピークを示す、細胞培地から単離された異なるトリプシンAβ(Aベータ)ペプチドのクロマトグラフィーの結果を示すグラフ表示である。 培地由来の標準曲線を示すグラフ表示である。標識の割合の異なる培地中で、種々のAβ(Aベータ) 29-xアイソフォームのそれぞれ、および17-28ペプチドに対して標識率を分析した。TTRはトレーサー/トレイシー比(tracer to tracee ratio)を表す。 内因性ペプチドとスパイクされた(spiked)ペプチドとの間の比率の算出に定量標準物質を使用できることを示すグラフ図である。 内因性ペプチドとスパイクされたペプチドとの間の比率の算出に定量標準物質を使用できることを示すグラフ図である。 Aβを分泌する細胞由来の培地試料における測定時のAβ(Aベータ)の絶対濃度を示すグラフ図である。
発明の詳細な説明
本発明は、一つには、生体分子の安定同位体標識法が生体分子の分子量のわずかな相違をもたらすものの、生体分子の物理的または化学的な特性に影響を与えることはないという発見に基づく。本明細書において提供される技術を用い、生体分子の分析を使って、神経性障害または神経変性障害を有するまたはそれらを発症するリスクのある対象を診断するおよび/または治療することができる。したがって、本発明は、対象において関心対象の一つまたは複数の生体分子の濃度を算出するのに有用な方法およびキットを提供する。
本発明はまた、治療剤が対象において、神経性疾患または神経変性疾患に関連する、生体分子の産生速度またはクリアランス速度に影響を与えるかどうかを評価するための方法を提供する。したがって、この方法を用いて、治療剤の最適な投与量および/または最適な投与計画を確定することができる。さらに、この方法を用いて、どの対象が特定の治療剤により良く反応するかを判定することができる。例えば、生体分子の産生の増大を伴う対象は、ある治療剤により良く反応することができる一方で、生体分子のクリアランスの低減を伴う対象は別の治療剤により良く反応することができる。あるいは、ある特定の遺伝子型を有する対象は、異なる遺伝子型を有するものよりも特定の治療剤により良く反応することができる。最後に、アイソフォーム特異的な定量を可能とすることで、この方法を用いて、あるアイソフォームの産生を同一生体分子の別のアイソフォームに切り替えることにより治療剤が生体分子の産生を調節し得るかどうかを判定することができる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」とは、文脈上明らかに他の意味に解されない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば「その方法(the method)」への言及は、1つもしくは複数の方法、および/または本開示を読めば当業者には明らかになると考えられる本明細書において記述される種類の段階などを含む。
他に規定されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記述されるものと類似のまたは同等の任意の方法および材料を、本発明の実践または試験において用いることができるが、好ましい方法および材料をこれから記述する。
本明細書において用いられる「対象」という用語は、本方法が行われる任意の個体または患者をいう。一般に、対象はヒトであるが、当業者には理解されるように、対象は動物であってもよい。かくして、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ; ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどを含む家畜、および霊長類(サル、チンパンジー、オランウータンおよびゴリラを含む)などの哺乳類を含む、他の動物は、対象の定義のなかに含まれる。さらに、「対象」という用語は、本発明の方法をインビトロで行って、例えば、治療剤の効力を評価する、細胞の培養物をいうこともできる。
本明細書において用いられる場合、「試料」および「生体試料」という用語は、本発明によって提供される方法に適した任意の試料をいう。本発明の方法において用いられる細胞の試料は、対象由来の組織試料もしくは体液、または生検手順(例えば、針生検)もしくは外科手順によって得た組織から得ることができる。ある種の態様において、本発明の生体試料は体液、例えば、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、尿、唾液および涙液の試料である。
本明細書において開示される場合、生体分子の安定同位体標識法は、生体分子の分子量のわずかな相違をもたらすが、生体分子の物理的または化学的特性に影響を与えることはない。したがって、生体分子は、同じように抗体に結合し、液体クロマトグラフィーカラムから溶出し得る。質量分析計などの高感度機器は、標識された生体分子と非標識の生体分子との間の重量のわずかな相違を測定する能力を提供する。
したがって、一つの局面において、本発明は、対象において生体分子の濃度を算出する方法を提供する。一つの態様において、この方法は、定量標準物質と対象由来の試料を接触させる段階を含む。本明細書において用いられる場合、「定量標準物質」とは、試料中に存在し得る他の標識された生体分子または非標識の生体分子とは異なる分子量を有する、既知濃度の標識された生体分子をいう。その後、質量分析計、タンデム質量分析計またはその両方の組み合わせなどの、高感度測定装置を用いて、非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を測定する。標識された生体分子および非標識の生体分子の物理的特性は同一であるので、質量分析計により測定される比率は、元の試料における比率と同一である。したがって、それぞれが特有の同位体標識で標識された、既知量の一つまたは複数の生体分子を添加することにより、本発明は、異なる同位体組成を有する生体分子の量を定量する能力を提供する。
本明細書において用いられる場合、「生体分子」という用語は、生きている生物における任意の有機分子をいう。例示的な生体分子としては、ペプチド、脂質、核酸および炭水化物が挙げられるが、これらに限定されることはない。一つの態様において、生体分子は、対象の中枢神経系(CNS)において合成される、タンパク質などの、ペプチドである。本発明の方法によって測定できる例示的なタンパク質としては、アミロイドβ(Aβ)およびその変種、可溶性アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アポリポタンパク質E (アイソフォーム2、3または4)、アポリポタンパク質J (クラスタリンとも呼ばれる)、タウ(アルツハイマー病に関連する)、ホスホタウ、グリア線維酸性タンパク質、α-2マクログロブリン、α-シヌクレイン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質(多発性硬化症に関わる)、プリオン、インターロイキン、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、腫瘍壊死因子(TNF)、熱ショックタンパク質90 (HSP90)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。標的化され得るさらなる生体分子には、GABA作動性ニューロン、ノルアドレナリン作動性ニューロン、ヒスタミン作動性ニューロン、セロトニン作動性ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン、コリン作動性ニューロンおよびグルタミン作動性ニューロンの産物、またはそれらのニューロンと相互作用するタンパク質もしくはペプチドが含まれる。一つの態様において、インビボ濃度が測定されるタンパク質は、アポリポタンパク質Eタンパク質であってよい。別の態様において、インビボ濃度が測定されるタンパク質は、α-シヌクレインであってよい。別の態様において、インビボ濃度が測定されるタンパク質は、Aβまたはその変種もしくはアイソフォームであってよい。濃度が測定され得るAβの例示的なアイソフォームとしては、Aβ1-16、Aβ1-17、Aβ1-37、Aβ1-38、Aβ1-39、Aβ1-40、Aβ1-41、Aβ1-42およびAβ1-43が挙げられるが、これらに限定されることはない。
限定ではなく例として、CSFにはいくつかのC末端特有のAβアイソフォームが存在することに留意されたい。これらのペプチドのトリプシン消化は、各アイソフォームに特有の29-xペプチドを生じるが、表1を参照されたい。したがって、29-xアイソフォームの定量は、元の生物体液におけるこれらのアイソフォームの濃度の算出を可能にする。
(表1)主なAβアイソフォームにおけるトリプシン切断部位の位置
Figure 2012511154
C末端ペプチド(29-x, GAII...)は、種々のアイソフォームの間で異なるペプチドである。
したがって、本方法は、エンドプロテアーゼ(例えば、トリプシンまたはV8プロテアーゼ)による消化後に産生される断片などの、さまざまなAβアイソフォームの断片の濃度を測定する能力を提供する。Aβアイソフォームの例示的な断片としては、N末端ペプチド断片(例えば、Aβ1-5、Aβ1-16)、中央ドメイン断片(例えば、Aβ17-28)ならびにC末端ペプチド断片(例えば、Aβ29-37、Aβ29-38、Aβ29-39、Aβ29-40およびAβ29-42などの、29-xペプチド)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
本明細書において用いられる場合、「核酸」という用語は、DNA、RNA、一本鎖、二本鎖または三本鎖のものおよびその任意の化学的修飾をいう。実質的に任意の核酸修飾が企図される。「核酸分子」は、長さが10塩基、20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、60塩基、75塩基、100塩基、125塩基、150塩基、175塩基、200塩基、225塩基、250塩基、275塩基、300塩基、400塩基、500塩基、600塩基、700塩基、800塩基、900塩基、1000塩基、1500塩基、2000塩基、2500塩基、3000塩基、3500塩基、4000塩基、4500塩基、5000塩基、6000塩基、7000塩基、8000塩基、9000塩基、10,000塩基、15,000塩基、20,000塩基、30,000塩基、40,000塩基、50,000塩基、75,000塩基、100,000塩基、150,000塩基、200,000塩基、500,000塩基、1,000,000塩基、1,500,000塩基、2,000,000塩基、5,000,000塩基またはさらにそれ以上の塩基から、全長の染色体DNA分子までの、ほぼすべての長さのものであってよい。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、ペプチド結合または改変されたペプチド結合によって相互に連結された二つまたはそれ以上のアミノ酸残基、すなわち、ペプチド同配体をいうように本明細書において互換的に用いられる。この用語は、一つまたは複数のアミノ酸残基が対応の天然アミノ酸の人工的な化学模倣体である、アミノ酸重合体に当てはまり、ならびに天然アミノ酸重合体、改変残基を含むものおよび非天然アミノ酸重合体に当てはまる。「ポリペプチド」は、ペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと一般にいわれる短い鎖も、タンパク質と一般にいわれるさらに長い鎖もいう。ポリペプチドは、20種の遺伝子コードアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。また、「タンパク質」は、少なくとも二つの共有結合的に付着されたアミノ酸をいい、これにはタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドが含まれる。タンパク質は、天然のアミノ酸およびペプチド結合、または合成ペプチド模倣構造から構成されることができる。したがって、本明細書において用いられる「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然アミノ酸も合成アミノ酸もともに意味する。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは、本発明の目的ではアミノ酸と見なされる。「アミノ酸」は、プロリンおよびヒドロキシプロリンなどのイミノ酸残基も含む。側鎖は、(R)配置または(S)配置のどちらかであることができる。
いくつかの異なる部分を用いて関心対象の生体分子を標識することができる。一般的に言えば、本発明の方法において用いられる二種類の標識部分は、放射性同位体および非放射性(安定)同位体である。一つの態様において、非放射性同位体を用い、質量分析計によって測定してもよい。好ましい安定同位体には、重水素(2H)、13C、15N、17または18Oおよび33、34または36Sが含まれるが、一般的な天然型において見られるよりも多いまたは少ない中性子によって原子の質量を変化させるいくつかの他の安定同位体も有効であることが理解される。一般的に、適した標識は、質量分析計において検出できるように研究対象の生体分子の質量を変化させる。一つの態様において、測定される生体分子はペプチドまたはタンパク質であってよく、標識された部分は非放射性同位体(例えば、13C)を含むアミノ酸であってよい。別の態様において、測定される生体分子は核酸であってよく、標識された部分は非放射性同位体(例えば、15N)を含むヌクレオシド三リン酸であってよい。あるいは、放射性同位体を用いてもよく、標識された生体分子を、質量分析計によるだけでなくシンチレーション計数器で(または核シンチグラフィーによって)測定してもよい。一つまたは複数の標識された部分を同時にまたは順番に用いてもよい。
したがって、一つの態様において、本方法を用いてタンパク質の濃度を測定する場合、標識された部分は典型的にはアミノ酸である。当業者であれば、いくつかのアミノ酸を用いて生体分子の標識を提供できることを理解すると考えられる。一般的に、アミノ酸の選択は、以下などの種々の要因に基づく。(1) アミノ酸は概して、関心対象のタンパク質またはペプチドの少なくとも一つの残基に存在する。(2) アミノ酸は概して、タンパク質産生の部位に素早く到達し、血液脳関門または他の組織もしくは細胞の障壁を横断して、迅速に平衡に達し得る。(3) アミノ酸の標識は概して、関心対象のタンパク質の代謝に影響を与えない(例えば、非常に多量のロイシンは筋肉代謝に影響を与える場合がある)。および(5) 所望のアミノ酸の利用可能性(すなわち、アミノ酸のなかには、他のアミノ酸よりも非常に高価または製造困難なものもある)。
一つの態様において、アミノ酸は、必須アミノ酸(体内で産生されない)であり、したがっていっそう高い割合の標識化を達成することができる。別の態様において、アミノ酸は非必須アミノ酸である。例示的なアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されることはない。したがって、一つの態様において、標識されたアミノ酸は、15Nで標識されたアミノ酸、x = 1〜9である13Cxで標識されたフェニルアラニン、x = 1〜6である13Cxで標識されたイソロイシンのうちの一つまたは複数である。例えば、6個の13C原子を含む13C6フェニルアラニンを用いて関心対象の生体分子(例えば、CNS由来タンパク質)を標識することができる。別の態様において、13C6ロイシンを用いて関心対象の生体分子(例えば、CNS由来タンパク質)を標識することができる。さらに別の態様において、13C6ロイシンを用いてAβを標識する。
非放射性同位体および放射性同位体の両方の、標識されたアミノ酸の商業的供給源が数多く存在する。一般的に、標識されたアミノ酸は、生物学的にまたは合成的に作製することができる。生物学的に作製されるアミノ酸は、生物がタンパク質を産生する際にアミノ酸に取り込まれる13C、15Nまたは他の同位体の濃縮混合物中で増殖させた生物(例えば、昆布/海草)から得ることができる。このアミノ酸を次いで分離し、精製する。あるいは、アミノ酸は公知の合成化学過程で作製することもできる。
標識された部分(例えば、標識されたアミノ酸)は、いくつかの方法によって対象に投与することができる。適した投与経路には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または経口によるものが含まれる。一つの態様において、標識された部分は静脈内注入によって投与することができる。別の態様において、標識された部分は経口的に摂取することができる。
標識された部分は、選択される分析の種類(例えば、定常状態もしくはボーラス/追跡)によって単回大量投与量として、長期間にわたってゆっくり、または初回ボーラス投与後に長期間にわたってゆっくり投与することができる。標識された生体分子の定常状態でのレベルを達成するには、標識時間は概して、標識された生体分子を確実に定量できるように十分な長さのものとすべきである。一つの態様において、標識された部分は単回経口投与量として投与される。別の態様において、標識された部分は、約1時間から約36時間に及ぶ期間にわたって投与される。別の態様において、標識された部分は、約6時間から約12時間に及ぶ期間にわたって投与される。さらに別の態様において、標識された部分は、約9時間から約12時間に及ぶ期間にわたって投与される。さらに別の態様において、標識された部分は、約9時間から約24時間に及ぶ期間にわたって投与される。
標識された部分の投与の速度は、約0.5 mg/kg/時間から約5 mg/kg/時間に及ぶことができる。一つの態様において、標識されたロイシンの投与の速度は、約1 mg/kg/時間から約3 mg/kg/時間までである。別の態様において、標識されたロイシンの投与の速度は、1.8 mg/kg/時間から約2.5 mg/kg/時間までである。別の態様において、標識されたロイシンは、約50〜約500 mg/kg対象体重、約50〜約300 mg/kg対象体重、または約100〜約300 mg/kg対象体重のボーラスとして、投与することができる。さらに別の態様において、標識されたロイシンは、約200 mg/kg対象体重のボーラスとして投与することができる。代替的な態様において、標識されたロイシンは、約0.5〜約10 mg/kg対象体重、約1〜約4 mg/kg対象体重、または約2 mg/kg対象体重の初回ボーラスの後に上記に詳述の通りに静脈内投与することができる。
当業者であれば、標識された部分の量(または投与量)は、変わり得るおよび変わるであろうことを理解すると考えられる。一般的に、その量は。以下の要因に依存する(および以下の要因によって推定される)。(1) 望まれる分析の種類。例えば、血漿中で約15%の標識されたロイシンの定常状態を達成するには、10分間にわたる2 mg/kgの初回ボーラスの後に約9時間にわたり約2 mg/kg/時間を要する。反対に、定常状態が必要とされなければ、標識された部分の大量ボーラス(例えば、標識されたロイシン1または5グラム)を最初に与えることができる。(2) 分析対象のタンパク質。例えば、タンパク質が急速に産生されているなら、必要な標識時間は短くなり、必要な標識は少なくなり得る‐恐らく1時間で僅か0.5 mg/kg。しかしながら、ほとんどのタンパク質は、数時間〜数日間の半減期を有するので、むしろ、4時間、9時間または12時間の持続注入を0.5 mg/kg〜4 mg/kgで用いてもよい。および(3) 標識の検出感度。例えば、標識検出の感度が増すと、必要となる標識量は少なくなり得る。
単一の対象において二つまたはそれ以上の標識された部分を使用できることを理解されるべきである。これにより、同一生体分子の多数標識が可能となり、それぞれ別の時点でのその生体分子の産生またはクリアランスに関する情報を提供することができる。例えば、第一の標識を最初のうちに対象に与え、その後、薬理作用のある物質(薬物)を与えることができ、さらにその後、第二の標識物を投与することができる。一般に、対象から得られる試料の分析は、薬物投与の前後での関心対象の生体分子の濃度の測定を提供し、同じ対象での薬物の薬力学的作用を直接的に測定することと考えられる。あるいは、多数の標識を同時に用いて、生体分子の標識化を増大し得る。
したがって、疾患が確立され、かつ治療プロトコールが開始されると、本発明の方法を定期的に繰り返して、対象中の関心対象の生体分子の濃度をモニタリングすることができる。連続的なアッセイ法から得られた結果を用いて、数日から数ヶ月に及ぶ期間にわたり治療の効力を明らかにすることができる。したがって、本発明の別の局面は、神経性障害または神経変性障害を有する対象を治療するための治療レジメンをモニタリングする方法に指向する。療法の前および間に関心対象の生体分子の濃度を比較することで、療法の効力が示されると考えられる。それゆえ、当業者は、必要に応じて治療的手段を認識かつ調整することができると考えられる。
本発明の方法は、関心対象の一つまたは複数の生体分子のインビボでの濃度を測定できるように、対象から試料を得ることを提供する。一つの態様において、試料は体液である。適した体液には脳脊髄液(CSF)、血漿、血清、尿、唾液、汗および涙液が含まれるが、これらに限定されることはない。体液は、典型的には、多数の定量可能な生体分子を含有することを理解されるべきである。例えば、試料がCSFである場合、定量できる例示的な生体分子としては、アミロイドβタンパク質、アミロイドβタンパク質(Aβ)の変種、アミロイドβタンパク質の消化産物、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、タウ、α-シヌクレイン、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。別の態様において、試料は、中枢神経系(CNS)由来の組織の試料などの組織試料である。試料は一般に、当業者に周知の標準的な手順を用いて収集されると考えられる。
一つの態様において、試料は、脳組織および脊髄組織を含む、中枢神経系由来の組織を含むが、これに限定されない、CNS試料である。本発明の一つの態様において、CNS試料は、前脳(例えば、大脳皮質、大脳基底核、海馬)、間脳(例えば、視床、視床下部、視床腹部)、中脳(例えば、蓋、被蓋)、または後脳(例えば、橋、小脳、延髄)由来の組織を含むが、これらに限定されない、脳組織から取得することができる。別の態様において、CNS試料は脊髄組織から収集することができる。他の態様において、二つまたはそれ以上のCNS領域由来のCNS試料を取得することができる。したがって、関心対象の生体分子の濃度を、異なるCNS試料において、例えば、皮質および海馬において、同時に、測定することができる。
CNS試料は、公知の技術によって得ることができる。例えば、脳組織または脊髄組織は、切開または切除によって得ることができる。あるいは、CNS試料は、レーザーマイクロダイセクションを用いて得ることもできる。対象は、望まれるCNS試料および使用される対象によって、試料を得るために殺処理される必要があるまたはその必要がない場合がある。
一般に、研究対象の生体分子がペプチドまたはタンパク質である場合、本発明は、ベースラインを提供するために標識された部分の投与の前に対象から第一の試料を取得できることを提供する。標識された部分(例えば、標識されたアミノ酸)の投与の後、対象から一つまたは複数の試料を得る。当業者には理解されるように、試料の数および試料をいつ取得するかは一般に、分析の種類、投与の種類、関心対象のタンパク質、代謝の速度、検出の種類および対象の種類などの、いくつかの要因によると考えられる。
一つの態様において、単一の所定の時点で、例えば、標識から1時間以内に対象から試料を得る。一般に、代謝が速いタンパク質の場合、標識された部分の投与開始後の最初の12〜18時間の間に得た試料を用いて、関心対象の生体分子の産生速度を測定することができ、標識された部分の投与開始後24〜36時間の間に得られた試料を用いて、関心対象の生体分子のクリアランス速度を測定することができる。別の態様において、試料を、対象から1時間毎に0から12時間まで、0から24時間までまたは0から36時間まで得る。さらに別の態様において、関心対象の生体分子の産生およびクリアランスの速度に依存して、1時間から数日間またはさらに数週間離して試料を取得することができる。
異なる時点での試料を望む場合には、複数の対象が用いられてもよいと理解されるべきである。例えば、一対象をベースライン試料のために用い、別の対象を標識された部分の投与後1時間の時点のために用い、別の対象を標識された部分の投与後6時間の時点のために用いてもよい。
したがって、本発明は、試料中の標識された生体分子の量および非標識の生体分子の量の検出を用いて非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を測定でき、次に、これを用いて、対象中の関心対象の生体分子の濃度を算出できることを提供する。一つの態様において、その比率は、標識された生体分子(例えば、ペプチドまたはタンパク質)の、非標識の生体分子に対する質量変化を検出することによって測定される。標識された生体分子と非標識の生体分子との間の質量差を検出するための例示的な手段としては、液体クロマトグラフィー質量分析計、ガスクロマトグラフィー質量分析計、MALDI-TOF質量分析計およびタンデム質量分析計が挙げられるが、これらに限定されることはない。
しかしながら、非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を検出する前に、関心対象の生体分子を試料中の他の生体分子から単離および/または分離することが望ましい場合がある。したがって、一つの態様において、免疫沈降を用いて、関心対象の生体分子(例えば、ペプチドまたはタンパク質)をその分析の前に単離および精製することができる。別の態様において、関心対象の生体分子を親和性クロマトグラフィーまたは免疫親和性クロマトグラフィーによって単離または精製することができる。あるいは、クロマトグラフィー装置を有する質量分析計を用いて、免疫沈降なしでタンパク質を分離してもよく、次いで、関心対象の生体分子を直接測定してもよい。例示的な態様において、関心対象のタンパク質を免疫沈降し、次いで、エレクトロスプレイイオン化源を備えたタンデムMSユニットとインターフェイスで接続した液体クロマトグラフィーシステム(LC-ESI-タンデムMS)によって分析してもよい。
別の局面において、本発明は、同一試料中の複数の生体分子を同時に測定できることを提供する。すなわち、非標識の生体分子の量も標識された生体分子の量もともに、複数の生体分子について別々にまたは同時に検出および測定することができる。そのため、本発明は、一つまたは複数の生体分子の産生およびクリアランスの変化を大規模にスクリーニングするのに有用な方法(すなわち、プロテオミクス/メタボロミクス)を提供し、根本的な病態生理に関わる生体分子を検出および測定するための高感度の手段を提供する。局面において、本発明はまた、複数種の生体分子を測定するための手段を提供する。これに関連して、例えば、タンパク質および脂質を同時にまたは順番に測定することができる。
標識された生体分子および非標識の生体分子の量が試料において検出されると、非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率または割合を測定することができる。その後、試料中の非標識の生体分子の濃度を測定することができる。言い換えれば、既知量の標識された生体分子が未知量の生体分子に添加され、非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率が測定されるので、非標識の生体分子の濃度をその比率から以下のように算出することができる。
(i) 非標識の生体分子の濃度 = (標識された生体分子に対する非標識の生体分子の比率)×(標識された生体分子の濃度)
この方程式は次のように単純化することができる。
(ii) 非標識の生体分子の濃度 = (非標識の生体分子:定量標準物質の比率)×(定量標準物質の濃度)
反対に、既知量の非標識の生体分子が未知量の標識された生体分子に添加される場合には、標識された生体分子の濃度は以下のように算出することができる。
(iii) 標識された生体分子の濃度 = (非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率)×(非標識の生体分子の濃度)
さらに、標識1で標識された、既知量の生体分子1が、標識2で標識された未知量の生体分子2に添加される場合には、生体分子2の濃度は以下のように算出することができる。
(iv) 標識2の濃度 = (標識1に対する標識2の比率)×(標識1の濃度)
同様に、標識1で標識された、既知量の生体分子1が、未知量の、標識2で標識された生体分子2および標識3で標識された生体分子3に、添加される場合には、生体分子2および生体分子3の濃度は以下のように算出することができる。
(v) 標識2の濃度 = (標識1に対する標識2の比率)×(標識1の濃度)
(vi) 標識3の濃度 = (標識1に対する標識3の比率)×(標識1の濃度)
最後に、標識1で標識された、既知量の生体分子1が、標識2で標識された、未知量の生体分子2に、および未知量の非標識の生体分子3に添加される場合には、生体分子2および非標識の生体分子の濃度は以下のように算出することができる。
(vii) 標識2の濃度 = (標識1に対する標識2の比率)×(標識1の濃度)
(viii) 非標識の生体分子の濃度 = (標識1に対する非標識の生体分子の比率)×(標識1の濃度)
別の態様において、本方法は、標準曲線によって作成された曲線適合方程式に基づいた標準曲線に対して、算出された濃度を規準化する段階をさらに含む。本明細書において用いられる標準曲線は、その各定量標準物質に対する非標識の生体分子の比率の二つまたはそれ以上を測定することにより作成され、関心対象の非標識の生体分子の濃度は既知である。
別の局面において、本発明は、同時に標識されたタンパク質および非標識のタンパク質の測定を可能にし、その結果、非標識のタンパク質に対する標識されたタンパク質の比率、およびその算出を得ることができる。当業者であれば、本発明の方法で使用できる標識化の一次速度則モデルを熟知していると考えられる。例えば、分画合成速度(fractional synthesis rate)(FSR)を算出することができる。FSRは、前駆体の増加で割った非標識のタンパク質に対する標識されたタンパク質の増加の初速度に等しい。同様に、分画消失速度(fractional clearance rate)(FCR)を算出することができる。さらに、遅延時間および同位体トレーサー定常状態などの、他のパラメータを決定し、タンパク質の代謝作用および生理機能の尺度として用いることもできる。また、データに対してモデル化を行い複数のコンパートメントモデルに適合させて、コンパートメント間の移動を推定することもできる。もちろん、選択される数学的モデル化の種類は、個々のタンパク質合成およびクリアランスのパラメータ(例えば、ワンプール、マルチプール、定常状態、非定常状態、コンパートメントモデル化など)に依存すると考えられる。本明細書において用いられる場合、「定常状態」とは、特定の期間にわたって測定パラメータの有意な変化がない間の状態をいう。
安定同位体動的標識化(stable isotope kinetic labeling)(SILK)法は、生きている対象の脳脊髄液において新たに合成されたタンパク質への安定(非放射性)同位体の代謝的取り込みを検出することが示されている。SILKに関する詳細な情報は、米国特許出願公開第2008/0145941号および同第2009/0142766号、ならびに国際PCT公報番号WO 2006/107814を参照されたく、これらのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。SILKは、中枢神経系におけるタンパク質の産生およびクリアランス速度を測定することを可能にする。これまで、この方法は、アルツハイマー病(AD)に関わるアミロイドβタンパク質(Aβ)の産生およびクリアランスの測定に適用されてきた。
しかしながら、今までのところ、現行版のSILKアッセイ法では総Aβの代謝しか測定されず、これは、このアッセイ法がAβの17-28ペプチドへの「標識」(すなわち、自然界に見られるものとは異なる同位体組成を有する原子を含むアミノ酸または生体分子)の取り込みを測定するためである。そのようなアッセイ法によっては、Aβ産生阻害剤の生物活性の測定は可能になるが、例えば、γセクレターゼ調節剤(GSM)を含む、Aβアイソフォーム産生を調節するいずれの種類の薬物または他の化合物の測定も可能にはならない。したがって、Aβはこの態様における一例として提供されるが、本明細書において提供される方法はアイソフォームを含む任意のタンパク質(例えば、タウ)に適用できることを理解されたい。
したがって、一つの局面において、Aβは、Aβの中央ドメインまたはAβのN末端ドメインのどちらかを認識する抗体を用いて免疫沈降により生体試料から単離される。この態様において、単離ペプチドを、例えばギ酸を用いることにより、抗体から溶出し、次いで、トリプシンまたは別のプロテアーゼで消化する。表1を参照されたいが、Aβの17-28トリプシン断片の定量による、オリジナル版のSILK-Aβ(商標)アッセイ法とは対照的に、本発明は、このアッセイ法を拡張して、29-xペプチドにおける標識比率を測定することにより異なるAβアイソフォームの特異的な代謝を測定する。したがって、アイソフォーム特異的ではない抗体を用いることにより、生体試料からAβのC末端アイソフォームの全てを単離することが可能である。Aβ 29-xペプチドは一つのロインシを含み、本明細書において記述される通り、13C6ロイシン標識化を用いてSILKアッセイ法により定量することができる。
本発明において用いられる「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、ならびにエピトープ決定基に結合できるFabおよびF(ab')2、FvおよびSCA断片などのそれらの断片の無傷の分子を含むよう意図される。「特異的に結合する」または「特異的に相互作用する」という用語は、抗体に関して用いられる場合、抗体および特定のエピトープの相互作用が少なくとも約1×10-6、一般的には少なくとも約1×10-7、通常は少なくとも約1×10-8、および特に少なくとも約1×10-9もしくは1×10-10またはそれ以下の解離定数を有することを意味する。
したがって、タンパク質の産生は、典型的には、経時的な標識された/非標識のタンパク質比率の増加の速度に基づく(すなわち、傾き、指数適合曲線またはコンパートメントモデル適合がタンパク質産生の速度を規定する)。これらの算出には、最低限一つの試料が、典型的には、必要とされる(ベースラインレベルを推定することができる)が、二つが好ましく、タンパク質への標識の取り込みに関する正確な曲線(すなわち、産生速度)を算出するためには複数の試料がさらに好ましい。複数の試料が用いられるまたは好ましい場合には、試料を同じ対象から取得する必要はない。例えば、タンパク質を異なる5つの対象においてゼロの時点で標識化することができ、次いで、単一の試料を標識後の異なる時点で各対象から取得することができる。
反対に、標識されたアミノ酸の投与が終結した後には、非標識のタンパク質に対する標識されたタンパク質の比率の減少の速度が、典型的には、そのタンパク質のクリアランス速度を反映する。これらの算出には、最低限一つの試料が、典型的には、必要とされる(ベースラインレベルを推定することができる)が、二つが好ましく、経時的なタンパク質由来の標識の減少に関する正確な曲線(すなわち、クリアランス速度)を算出するには複数の試料がさらに好ましい。複数の試料が用いられるまたは好ましい場合には、試料を同じ対象から取得する必要はない。例えば、タンパク質を異なる5つの対象においてゼロの時点で標識化することができ、次いで、単一の試料を標識後の異なる時点で各対象から取得することができる。所与の時点でのCNS試料中の標識されたタンパク質の量は、産生速度またはクリアランス速度(すなわち、除去または破壊)を反映し、通常、対象におけるタンパク質の割合/時間または質量/時間(例えば、mg/hr)として表現される。
標識された部分の注入後の異なる時点での標識された生体分子の比率を測定するための安定同位体標識化動態(stable isotope labeling kinetics)(SILK)と組み合わせて、本明細書において提示される方法は、新たに合成された生体分子(例えば、ペプチドもしくはタンパク質)の絶対濃度および/またはその生体分子のアイソフォームのそれぞれの絶対濃度の算出を可能にする。
本発明の方法を用いて、対象中の関心対象の一つまたは複数の生体分子のインビボ濃度を測定することにより、神経性疾患または神経変性疾患の進行を診断またはモニタリングすることができる。さらに、本発明の方法を用いて、対象中の関心対象の生体分子のインビボ濃度を測定することにより神経性疾患または神経変性疾患の治療をモニタリングすることができる。任意の増加または減少が疾患の存在または進行を示し得るように、生体分子の濃度を、神経性疾患または神経変性疾患に結び付けることができる。したがって、関心対象の一つまたは複数の生体分子の算出された濃度を、対応する正常試料中の同一生体分子の濃度と、既知の神経性疾患状態もしくは神経変性疾患状態の対象中の同一生体分子の濃度と、以前の時点で測定された同一対象由来の同一生体分子の濃度と、またはそれらの任意の組み合わせと、比較することができる。
さらに、そのような方法は、疾患の発症の素因を有するとして個体を特定する補助となり得、または実際の臨床症状の出現の前に疾患を検出するための手段を提供し得る。この種のより確定的な診断は、医療従事者が早期に予防策または積極的治療を用いることを可能にし、それによって疾患の発症または疾患のさらなる進行を予防し得る。
本明細書において用いられる場合、「対応する正常試料」とは、検査される試料と同じ起源由来のおよび/または同じ種類の試料をいう。一つの局面において、対応する正常試料は、健常個体から得た細胞の試料を含む。そのような対応する正常試料は、検査される試料を提供する個体と年齢が適合するおよび/または同じ性別である個体由来であってもよいが、そうである必要はない。別の局面において、対応する正常試料は、検査される試料を得る対象の組織の、その他の点では健康な部分から得た細胞の試料を含む。
既知の神経性疾患状態または神経変性疾患状態の対象中の生体分子の濃度への言及には、神経性疾患または神経変性疾患に関係している生体分子の所定の濃度が含まれる。したがって、その濃度は、単一の個体の試料から得た生体分子の既知濃度と比較されても、または対象のそれと同じ種類の樹立細胞株由来であってもよい。一つの局面において、樹立細胞株は、そのような細胞株のパネルのうちの一つであってよく、ここで、このパネルは、同じ種類の疾患の異なる細胞株、および/または同一生体分子に関連する異なる疾患の異なる細胞株を含むことができる。そのような細胞株パネルは、例えば、治療される対象からごく少数の細胞しか得られず、したがって対象の細胞の代用試料を提供できる場合には、本発明の方法を実践するのに有用であることができ、かつまた、本発明の方法を実践する際に対照試料として含めるのに有用であることもできる。
関心対象の生体分子の濃度範囲に関係し得る例示的な神経性疾患または神経変性疾患としては、アルツハイマー病、ピック病、パーキンソン病、脳卒中、前頭側頭型認知症(FTD)、ハンチントン病、進行性核上まひ(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、加齢関連性の障害および認知症、多発性硬化症、プリオン病(例えば、クロイツフェルト・ヤコブ病、牛海綿状脳症もしくは狂牛病、およびスクレイピー)、レビー小体病、統合失調症、筋萎縮性側索硬化症(ALSもしくはルー・ゲーリック病)または他の運動ニューロン疾患、むずむず脚症候群、てんかんまたは他の発作性障害、震え、うつ、躁病、不安障害、脳外傷または脳損傷、発作性睡眠、不眠症または他の睡眠障害、自閉症、正常圧水頭症、疼痛障害または疼痛症候群、片頭痛、群発頭痛または他の形態の頭痛、脊髄小脳疾患、筋ジストロフィー、重症筋無力症、網膜色素変性症または他の形態の網膜変性が挙げられるが、これらに限定されることはない。本発明の方法を用いてCNSの正常な生理機能、代謝作用および機能を研究できることも想定される。
別の局面において、本発明は、神経性疾患または神経変性疾患を治療するために使用される治療剤が対象中の関心対象の生体分子の濃度に影響を与えるかどうかを評価するための方法を提供する。例えば、生体分子の濃度を測定して、所与の治療剤が生体分子の濃度の増加または減少をもたらすかどうかを判定することができる。一つの態様において、本方法は、本明細書において記述される通り、インビボで行われる。別の態様において、本方法は、細胞の培養物を使用してインビトロで行われ、ここで、細胞の培養物は、本明細書において記述される方法では「対象」である。したがって、本明細書において提供される方法の使用により、当業者は、関心対象の生体分子の濃度の変化度を正確に測定することが可能となり、これらの測定結果を疾患修飾性治療の臨床転帰と関連付けることが可能となると考えられる。それゆえ、本発明のこの局面からの結果は、治療剤の最適な投与量および投与頻度を確定する補助となり得、臨床試験のデザインに関する意思決定の補助となり得、最終的には、神経性疾患または神経変性疾患の治療に有効な治療剤の検証を促進し得る。
したがって、本発明の方法を用いて、どの対象が特定の治療剤に反応するかを予測することができる。例えば、特定の生体分子の濃度増大を伴う対象は、生体分子の濃度減少を伴う対象とは異なって特定の治療剤に反応することができる。具体的には、この方法からの結果を用いて、特定の対象に適切な治療(例えば、生体分子の産生を遮断する剤または生体分子のクリアランスを増大する剤)を選択することができる。同様に、この方法からの結果を用いて、特定の遺伝子型を有する対象に適切な治療を選択することができる。
どの対象が特定の治療剤に反応するかを予測するための方法は、治療剤を、および該対象において生体分子が産生される際に生体分子に取り込まれる標識された部分を、対象に投与する段階を含む。一つの態様において、治療剤を標識された部分の投与の前に対象に投与することができる。別の態様において、標識された部分を治療剤の投与の前に対象に投与することができる。各投与の間の期間は、数分、1時間、数時間、または何時間であってもよい。別の態様において、治療剤および標識された部分は同時に投与することができる。この方法は、標識された生体分子と非標識の生体分子とを含む少なくとも一つの生体試料を、収集する段階、試料中の標識された生体分子および非標識の生体分子の比率を測定する段階、ならびに対象中の非標識の生体分子の濃度を算出する段階をさらに含む。その後、対照値との算出された濃度の比較により、治療剤が対象中の生体分子の濃度を(例えば、産生の速度またはクリアランスの速度を変化させることによって)変化させるかどうか判定されると考えられる。
当業者であれば、治療剤は、治療される神経性疾患もしくは神経性障害または神経変性疾患もしくは神経変性障害および/あるいは代謝を分析中の生体分子に依存して、変わり得るおよび変わるであろうことを理解すると考えられる。生体分子がAβである態様において、適した治療剤の非限定的な例としては、γセクレターゼ阻害剤、βセクレターゼ阻害剤、αセクレターゼ活性化剤、RAGE阻害剤、APPもしくはAβ産生の小分子阻害剤、Aβに対するヒト化抗体、Aβ CNSクリアランス活性化剤、Aβ重合の小分子阻害剤、白金に基づくAβ産生阻害剤、白金に基づく重合阻害剤、金属タンパク質相互作用を妨げる剤、可溶性Aβに結合するタンパク質(例えば、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)または可溶性LRPなど)、ならびに可溶性Aβを取り除くおよび/または沈着したAβを壊す抗体が挙げられる。他の適したAD治療剤は、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、ホルモン、神経保護剤、および細胞死阻害剤を含む。上記の治療剤の多くは、神経変性障害に関わる他のタンパク質のインビボでの代謝に影響を与えることもできる。タウの代謝に影響を与え得るさらなる治療剤は、例えば、タウキナーゼ阻害剤、タウ凝集阻害剤、カテプシンD阻害剤などを含む。さらに、シヌクレインのインビボでの代謝に影響を与え得る治療剤は、サーチュイン2阻害剤、シヌクレイン凝集阻害剤、プロテオソーム阻害剤などを含む。
治療剤は公知の方法によって対象に投与することができる。典型的には、治療剤は経口的に投与されるが、非経口または局所などの他の投与経路が用いられてもよい。対象に投与される治療剤の量は、剤の種類、対象および特定の投与方法によって、変わり得るおよび変わるであろう。当業者であれば、Goodman & Goldman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition (2001), Appendix II, pp. 475-493、および米医薬品便覧(Physicians' Desk Reference)からの指針に基づいて用量を確定できることを理解すると考えられる。
本明細書において記述される本発明の方法は、高速大量処理の形式に適合され、したがって、非依存的に同じものまたは異なるものであってよい複数(すなわち、2つ、3つ、4つまたはそれ以上)の試料および/または生体分子を同時に試験することを可能にし得ることを理解されるべきである。高速大量処理の形式は数多くの利点を提供する。例えば、高速大量処理の形式は、対象の、単独のまたは組み合わせでの、2つ、3つ、4つなどの異なる生体分子の試験/定量を可能にする。最後に、高速大量処理の形式は、例えば、試験試料と同時に対照試料(陽性対照およびまたは陰性対照)を実行することを可能にする。さらに、高速大量処理の方法は、複数の抗体を用いた同時の複数のタンパク質の免疫沈降を可能にし得る。
別の局面において、本発明は、本発明の方法を行うためのキットを提供する。一つの態様において、対象における神経性疾患または神経変性疾患の進行または治療を診断および/またはモニタリングするためのキットを提供する。このキットは、一つまたは複数の標識された部分(例えば、標識されたアミノ酸)および一つまたは複数のアミノ酸を対象に投与するための手段を含む。このキットは、対象から一定時間毎に生体試料を得るための手段をさらに含むことができる。ある種の態様において、このキットはまた、関心対象の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を経時的に検出および測定するための、ならびに非標識の生体分子の濃度を算出するための使用説明書も含む。一つの態様において、この使用説明書は、算出された濃度を、本明細書において開示のある種の標準物質および/または対照と比較するための方法について開示する。
別の態様において、本発明のキットは、標識された部分および本発明の方法を行うためのさまざまな手段を含む一つまたは複数の容器を含む、区分化された担体を提供する。
以下の例は、本発明の利点および特徴をさらに例証するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。それらは使用され得るものの典型であるが、当業者に公知の他の手順、方法論または技術が、代わりに使用されてもよい。
実施例1
安定同位体の動的標識化
本実施例では、SILK法に比べて明らかになった改善点について例証する。細胞培地を、非標識のAβに対する標識されたAβの既知比率で作製した。その後、この標準曲線培地を用いて、Aβの29-xペプチドの検出および定量を試験した。この培地を用い、一連の試験を行って、29-xペプチドの可溶性を向上させるために、およびペプチドの検出を増大させるために改善されたクロマトグラフィー条件を樹立した。
29-xペプチドの可溶性増大
IPおよび洗浄段階のために0.5 Mグアニジンを用いる代わりに、0.025%の界面活性剤、例えばTween-20、TritonまたはCHAPSを使用することによってオリジナルのSILK-Aβ(商標)法を改変した。同様に消化の間、および質量分析計へ注入されるまで、ペプチドを0.025%の界面活性剤溶液中で保持する。Aβは高疎水性のペプチドであり、Tween-20の添加は大いに、可溶性を向上させ、かつ17-28ペプチドの場合と同じくらい高い29-40のイオン強度が得られるほどに、29-xペプチドの質量分析計シグナルを向上させる。これは、Aβ40が最も豊富なAβ種であり、したがって17-28ペプチドの大部分がAβ40ペプチドから生じるので、重要である。そのため、二つのペプチドのイオン強度が同様であることから、Aβ29-40の全てが質量分析計による検出に関して溶解状態であることが示唆される。
還元状態での29-xペプチドの維持
さらに、還元状態で29-xペプチドを保持するための方法を開発した。例えば、これらのペプチドは、酸化され得る一つのメチオニン残基を含む。一つの例示的な特徴付けにおいては、およそ10%のメチオニンがCSF中および培地中で酸化されることが分かったので、還元剤を添加することにより、酸化型を取り除くこと、および生体試料中にもともと存在する酸化状態に応じて、シグナルを10%またはそれ以上増大することが可能であった。この酸化状態は、特に、酸化的損傷を伴うことが公知のアルツハイマー病などの疾患状態によって変わり得る。β-メルカプトエタノールおよびトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)などの還元剤を用いて、メチオニン酸化を取り除く。
カラムの修飾
最後に、Aβペプチドがカラムに固着しないようにするため、C18カラムをC1カラムに替えた。C1、C4またはC8カラムなどの、C18の炭素含量よりもはるかに低い炭素含量を有するカラムは、疎水性がはるかに低く、より高いAβペプチドの回収を可能にし、ペプチドのピーク形状を向上し、および試料を流す間の持ち越し汚染を減らし得る。
図1に示される通り、本明細書において提供される方法は、細胞培地中で29-xペプチドの全て、および17-28ペプチドを検出することができる。ピークを観察することに加えて、これらのペプチド由来のピークを確実に定量し、それによってC末端アイソフォームの標準曲線を作成できるかどうかを判定するために研究を行った。標準曲線培地を用いることで、アイソフォームを定量する能力が得られた(図2参照)。
実施例2
定量標準物質
本実施例では、内因性ペプチドとスパイクされたペプチドとの間の比率の算出に定量標準物質のスパイキング(spiking)を使用できることを実証する。したがって、既知量の標識されたAβ37、Aβ38、Aβ39、Aβ40およびAβ42のスパイキングは、試料中の総Aβ濃度の定量に加えてそれらのアイソフォームの特異的定量を可能にする。
標識されたペプチドを製造する期間のリードタイムのため、本発明者らは当初、未知物質として100% 13C6ロイシン中で増殖された細胞由来の培地中のスパイク(spike)として非標識のペプチドを用い、かつ該培地を用いた。本発明者らは、100% 13C6ロイシン培地中に非標識のAβ38およびAβ42をスパイクし、その比率を測定した。より多くの非標識のペプチドが培地中にスパイクされたので、17-28ペプチドおよび29-38ペプチドの両方のトレーサー/トレイシー比(TTR、本実験では標識物に対する非標識物の比として定義された)は、直線的に増加した(図3および4参照)。
これは、異なる同位体標識サインを含むペプチドの未知量を含む溶液中に、標準物質をスパイクすることに基づく、これらのペプチドの濃度の測定の実現可能性を例証する。
実施例3
絶対濃度を算出するための定量標準物質
本実施例では、生体分子の絶対濃度を算出するために使用される、関心対象の生体分子の産生速度またはクリアランス速度を算出するための定量標準物質の使用を、実証する。
非標識の形態、および13C6-ロイシンで標識された形態(標識されたロイシンが対象の天然の生物学的過程によって試料に組み込まれている)の両方でAβまたは他のペプチドアイソフォーム(Aβ1-37、Aβ1-38、Aβ1-39、Aβ1-40、Aβ1-42を含むが、これらに限定されない)を含有する試料に、定量標準物質をスパイクする。経時的な非標識のペプチドに対する標識されたペプチドの比率を用いて、対象におけるペプチドの動的な産生速度およびクリアランス速度(代謝)を算出する。定量標準物質に対する標識されたペプチドまたは非標識のペプチドの比率を用いて、各ペプチド型の濃度を算出する。
タンパク質に特異的な抗体を使用して生体分子(例えば、タンパク質またはペプチド)を免疫沈降する。Aβの場合、免疫沈降は、Aβの単離および調製の各段階の間に0.025% Tween-20を加えて、25 mM重炭酸アンモニウム、pH 7.6中で行われる。Aβの場合、試料を、室温で2〜3時間抗体とともにインキュベートし、3回洗浄し、ギ酸50 μlの添加によって抗体から溶出し、speed-vacで乾固する。0.025% Tween-20を加え、25 mM重炭酸アンモニウム、10%アセトニトリル, pH 7.6 20 μl中で試料を再構成し、終夜、20 μlのトリプシンまたは別のエンドプロテアーゼで消化する。消化後、1%のβ-メルカプトエタノール1 μlを加えて、メチオニン残基の酸化を低減する。
分析のため、試料5 μlを、質量分析計への注入の前に、BioBasic C18カラムまたはペプチド分離用の他の逆相もしくはタンパク質分離カラムに、注入する。限定するものではないが、アイソフォーム17-28、ならびに29-37、29-38、29-39、29-40および29-42に対応する各C末端トリプシンペプチドのm/z比を次いで、CIDのためにスキャンし選択する(全ての非標識の、+6Dで標識されたおよび+12Dで標識された(定量標準物質)について行う)。これは、定量を行うために用いられるms2データをもたらす。次にXCalibur処理ソフトウェアを用いて、非標識物、+6D標識物および+12D標識物に対する全ms2データの全ピーク面積を算出する。
産生速度およびクリアランス速度ならびに絶対濃度の定量を次に、生体試料と同時に実行した二組の標準曲線を用いて算出する。第一の標準曲線には、非標識のロイシンに対する+6Dロイシンの既知比率(0〜25%)で標識されたAβペプチドが含まれる。この標準曲線を線形回帰によって分析し、生物学的起源由来の非標識のペプチドおよび+6Dで標識されたペプチドに対するピーク面積の比率を、標準曲線線形回帰に基づいて規準化する。
第二の標準曲線は、既知量の、合成の標準物質または生物学的に作製された標準物質からなる。定量されるそれぞれの種は、曲線内に存在しなければならない。例えば、非標識のおよび13C6で標識されたAβ17-28の濃度を測定したい場合には、13C6で標識されたAβも非標識のAβもともに標準曲線内に存在しなければならない。さらに、この標準曲線には定量標準物質が含まれ、Aβ1-40の場合、19位および20位(17-28ペプチドの部分)に二つの13C6フェニルアラニンならびに31位および32位(29-xペプチドの部分)に二つの13C6イソロイシンを含有するペプチドを用いた。さらに15Nペプチドが用いられ、または非標識のペプチドおよび代謝的に標識されたペプチドとは異なるm/zサインを与える他のアミノ酸の組み合わせが用いられ得る。これらのペプチドの全てを、それらが対象によってもたらされたかのごとく、内因性マトリックスに似ているマトリックス中にスパイクし、かつ処理する(免疫沈降、消化、質量分析)。非標識のペプチド、+6および+12Dで標識されたペプチドのピーク面積をもう一度、XCalibur処理ソフトウェアによって算出し、標準曲線をプロットし、線形回帰を決定する。内因性ペプチドに対する面積を前に行った通りに算出する。非標識のペプチドおよび+6Dで内因的に標識されたペプチドに対する面積を合計し、+12D合成標準物質の標準曲線と比較し、それらの面積を線形回帰から算出する。このように内因性ペプチドの総量を内部合成標準物質の既知量と直接比較し、したがって各生体試料中に存在するAβの絶対濃度を明確に決定する。さらに、非標識のペプチドまたは13C6で標識されたペプチドのそれぞれの濃度を個別に算出することができる。
実施例4
標準曲線を用いた試料についての複数回の実行
本実施例では、実施例3に記載した方法の変化形を実証する。非標識のAβも代謝的に(13C6ロイシン)標識されたAβも既に含んだ培地試料中に、Aβ定量標準物質20 ngをスパイクした。
用いた定量標準物質は、19位および20位において2つの13C6フェニルアラニン(下記表中のF、17-28ペプチドの部分)をならびに31位および32位において2つの13C6イソロイシン(下記表中のI、29-xペプチドの部分)を含有する、Aβ1-40であった。
(表2)Aβ40ペプチドにおける標識されたアミノ酸の位置を示す
Figure 2012511154
Aβ1-37、1-38、1-39、1-40、1-42に対して同様のペプチドを作製することができる。
試料をトリプシンで消化して、17-28ペプチドおよび29-xペプチドを得た。
培地試料は、個々の細胞培養実験に由来し、したがって、生物学的変化に起因してその中に異なる量のAβを有する。
一回の実行毎に、0.4 ng/mL〜100 ng/mLに及ぶ非標識のAβを含めた定量曲線が実行された。試料に対してIPを行う前に、定量標準物質を定量物(quantitation)中にスパイクした。
非標識のイオンと定量標準物質に由来するイオンとの間の比率を定量標準曲線とともに用いて、各試料中の非標識のAβ17-28およびAβ29-40の量を算出した。表2に示したデータは、試料についての3回の実行の平均である(図5参照)。
Figure 2012511154
本発明を上記の例に関連して記述してきたが、変更および変形は、本発明の趣旨および範囲のなかに包含されることが理解されると考えられる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (81)

  1. 対象における生体分子の濃度を算出する方法であって、
    (a) 定量標準物質と該対象由来の試料を接触させる段階であって、該定量標準物質が、既知濃度の関心対象の標識された生体分子を含む段階;
    (b) 該試料から関心対象の生体分子を単離する段階;
    (c) 該試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を測定する段階; および
    (d) 該試料中の該非標識の生体分子の濃度を算出する段階
    を含む、方法。
  2. 前記非標識の生体分子の前記濃度を算出する段階が、前記定量標準物質の既知濃度を、前記試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の前記比率に乗ずることを含む、請求項1記載の方法。
  3. 算出された前記濃度を標準曲線に対して規準化する段階であって、該標準曲線が、定量標準物質に対する非標識の生体分子の比率の二つまたはそれ以上を測定することによって作成され、該非標識の生体物質の濃度が既知である段階
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記定量標準物質が、一つまたは複数の標識された部分を含む、請求項1記載の方法。
  5. 前記一つまたは複数の標識された部分が、2H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36Sからなる群より選択される非放射性同位体を含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記生体分子が、ペプチド、脂質、核酸および炭水化物からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  7. 前記生体分子が、中枢神経系(CNS)において合成されるペプチドである、請求項6記載の方法。
  8. 前記ペプチドが、アミロイドβ(Aβ)、α-シヌクレイン、タウ、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α-2-マクログロブリン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、インターロイキンおよびTNFからなる群より選択されるタンパク質である、請求項7記載の方法。
  9. 前記標識された部分が、標識されたアミノ酸である、請求項4記載の方法。
  10. 前記アミノ酸が必須アミノ酸である、請求項9記載の方法。
  11. 前記必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
  12. 前記標識された部分が、x = 1〜6である13Cxロイシンである、請求項4記載の方法。
  13. 前記標識された部分が、15Nで標識されたアミノ酸である、請求項4記載の方法。
  14. 前記標識された部分が、x = 1〜9である13Cxで標識されたフェニルアラニンである、請求項4記載の方法。
  15. 前記標識された部分が、x = 1〜6である13Cxで標識されたイソロイシンである、請求項4記載の方法。
  16. 前記標識された部分が、13Cxで標識されたイソロイシンおよび13Cyで標識されたフェニルアラニンであり、x = 1〜6およびy = 1〜9である、請求項4記載の方法。
  17. 前記試料を二つまたはそれ以上の定量標準物質と接触させ、かつ二つまたはそれ以上の前記非標識の生体分子の濃度を算出する、請求項1記載の方法。
  18. 前記二つまたはそれ以上の生体分子が、同一タンパク質のアイソフォームである、請求項17記載の方法。
  19. 前記生体分子が、Aβ1-16、Aβ1-17、Aβ1-37、Aβ1-38、Aβ1-39、Aβ1-40、Aβ1-41、Aβ1-42およびAβ1-43からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
  20. 前記試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、尿、唾液、涙液および生物組織からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  21. 前記試料が、CSFであり、かつアミロイドβタンパク質、アミロイドβタンパク質の変種、アミロイドβタンパク質の消化産物、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、タウ、α-シヌクレイン、α-2-マクログロブリン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、インターロイキン、TNFまたはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項20記載の方法。
  22. 前記試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の前記比率が、質量分析計、タンデム質量分析計およびそれらの組み合わせからなる群より選択される手段によって検出される、請求項1記載の方法。
  23. 前記生体分子が、ペプチドであり、かつ前記比率を測定する前にエンドプロテアーゼで消化される、請求項22記載の方法。
  24. 前記エンドプロテアーゼがトリプシンまたはV8プロテアーゼである、請求項23記載の方法。
  25. 消化された前記ペプチドが、前記比率が測定される前にクロマトグラフィー分離によって分離される、請求項23記載の方法。
  26. 前記クロマトグラフィー分離が、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィーを含む、請求項25記載の方法。
  27. 前記生体分子が免疫沈降によって単離される、請求項1記載の方法。
  28. 関心対象の非標識の生体分子の濃度を、対応する正常試料中の同一生体分子の濃度と、既知の神経性疾患状態もしくは神経変性疾患状態の対象中の同一生体分子の濃度と、以前の時点で測定された同一対象由来の同一生体分子の濃度と、またはそれらの任意の組み合わせと比較する段階
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  29. 前記神経性疾患または前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、前頭側頭型認知症(FTD)、ハンチントン病、進行性核上まひ(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、加齢関連性の障害および認知症、多発性硬化症、プリオン病、レビー小体病、ならびに筋萎縮性側索硬化症からなる群より選択される、請求項26記載の方法。
  30. 対象における一つまたは複数の生体分子の濃度を定量するインビボ方法であって、
    (a) 一つまたは複数の標識されたアミノ酸を該対象に投与する段階であって、該標識されたアミノ酸が、該対象中の関心対象の生体分子に組み込まれる段階;
    (b) 該対象由来の生物体液または生物組織の試料を得る段階であって、該試料が、標識された生体分子の画分と非標識の生体分子の画分とを含む段階;
    (c) 定量標準物質と該試料を接触させる段階であって、該定量標準物質が、該対象に投与された該一つまたは複数の標識されたアミノ酸とは異なる分子量を有する部分で標識された既知濃度の生体分子を含む段階;
    (d) 該試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率、該定量標準物質に対する標識された生体分子の比率、および該定量標準物質に対する非標識の生体分子の比率を測定する段階; ならびに
    (e) 該試料中の該非標識の生体分子の濃度、および該標識された生体分子の濃度を算出する段階
    を含む、方法。
  31. 前記非標識の生体分子の濃度を算出する段階が、前記定量標準物質の濃度を、該定量標準物質に対する非標識の生体分子の測定された比率に乗ずることを含む、請求項30記載の方法。
  32. 前記標識された生体分子の濃度を算出する段階が、前記定量標準物質の濃度を、該定量標準物質に対する標識された生体分子の測定された前記比率に乗ずることを含む、請求項30記載の方法。
  33. 非標識の生体分子の標準曲線に対して、非標識の生体分子の算出された前記濃度を規準化する段階、および
    標識された生体分子の標準曲線に対して、標識された生体分子の算出された前記濃度を規準化する段階
    をさらに含む、方法であって、
    それぞれの該標準曲線が、定量標準物質に対する非標識の生体分子または標識された生体分子の比率の二つまたはそれ以上を測定することによって作成され、非標識の生体物質または標識された生体分子の前記濃度が既知である、請求項30記載の方法。
  34. 前記標識されたアミノ酸および前記定量標準物質が、2H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36Sからなる群より選択される非放射性同位体で独立して標識される、請求項30記載の方法。
  35. 前記標識されたアミノ酸が必須アミノ酸である、請求項34記載の方法。
  36. 前記必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンからなる群より選択される、請求項35記載の方法。
  37. 前記標識されたアミノ酸または前記定量標準物質が、x = 1〜6である13Cxロイシンを含む、請求項34記載の方法。
  38. 前記標識されたアミノ酸または前記定量標準物質が、x = 1〜6である13Cxイソロイシンを含む、請求項34記載の方法。
  39. 前記標識されたアミノ酸または前記定量標準物質が、x = 1〜9である13Cxフェニルアラニンを含む、請求項34記載の方法。
  40. 前記定量標準物質が15Nを含む、請求項34記載の方法。
  41. 前記標識されたアミノ酸が、経口的に、静脈内に、筋肉内に、または皮下に投与される、請求項30記載の方法。
  42. 前記標識されたアミノ酸が、単回経口投与量として投与される、請求項41記載の方法。
  43. 前記標識されたアミノ酸が、1時間毎に6〜12時間投与される、請求項41記載の方法。
  44. 前記標識されたアミノ酸が、1時間毎に9〜12時間投与される、請求項41記載の方法。
  45. 前記生体分子が、ペプチド、脂質、核酸および炭水化物からなる群より選択される、請求項30記載の方法。
  46. 前記生体分子が、中枢神経系(CNS)において合成されるペプチドである、請求項45記載の方法。
  47. 前記ペプチドが、アミロイドβ(Aβ)、α-シヌクレイン、タウ、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α-2-マクログロブリン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、インターロイキンおよびTNFからなる群より選択されるタンパク質である、請求項46記載の方法。
  48. 前記ペプチドがAβであり、かつ前記定量標準物質が、15Nで標識されたアミノ酸を含む、請求項45記載の方法。
  49. 前記ペプチドがAβであり、かつ前記定量標準物質が、x = 1〜9である13Cxで標識されたフェニルアラニンを含む、請求項45記載の方法。
  50. 前記ペプチドがAβであり、かつ前記定量標準物質が、x = 1〜6である13Cxで標識されたイソロイシンを含む、請求項45記載の方法。
  51. 前記ペプチドがAβであり、かつ前記定量標準物質が、13Cxで標識されたイソロイシンおよび13Cyで標識されたフェニルアラニンの両方を含み、x = 1〜6およびy = 1〜9である、請求項45記載の方法。
  52. 前記生体分子がAβであり、前記標識されたアミノ酸が13C6ロイシンであり、かつ前記定量標準物質が、13C6で標識されたイソロイシンおよび13C6で標識されたフェニルアラニンの両方を含む、請求項45記載の方法。
  53. 既知濃度の標識されたアミノ酸の二つまたはそれ以上を前記対象に投与し、かつ一つまたは複数の生体分子の濃度を算出する、請求項30記載の方法。
  54. 既知濃度の標識されたアミノ酸の一つまたは複数を前記対象に投与し、かつ二つまたはそれ以上の生体分子の濃度を算出する、請求項30記載の方法。
  55. 前記二つまたはそれ以上の生体分子が同一タンパク質のアイソフォームである、請求項54記載の方法。
  56. 前記生体分子が、Aβ1-16、Aβ1-17、Aβ1-37、Aβ1-38、Aβ1-39、Aβ1-40、Aβ1-41、Aβ1-42およびAβ1-43からなる群より選択される、請求項55記載の方法。
  57. 前記試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、尿、唾液および涙液からなる群より選択される、請求項30記載の方法。
  58. 前記試料が、CSFであり、かつアミロイドβタンパク質、アミロイドβタンパク質の変種、アミロイドβタンパク質の消化産物、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、タウ、α-シヌクレイン、α-2-マクログロブリン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、インターロイキン、TNFまたはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項57記載の方法。
  59. 前記試料を単一の所定の時点で得る、請求項57記載の方法。
  60. 前記試料を、前記対象から1時間毎に0から12時間まで、0から24時間までまたは0から36時間まで得る、請求項57記載の方法。
  61. 前記試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の前記比率が、質量分析計、タンデム質量分析計およびそれらの組み合わせからなる群より選択される手段によって検出される、請求項30記載の方法。
  62. 前記生体分子が、ペプチドであり、かつ前記比率を測定する前にエンドプロテアーゼで消化される、請求項30記載の方法。
  63. 前記エンドプロテアーゼがトリプシンまたはV8プロテアーゼである、請求項62記載の方法。
  64. 消化された前記ペプチドが、前記比率が測定される前にクロマトグラフィー分離によって分離される、請求項62記載の方法。
  65. 前記クロマトグラフィー分離が液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィーを含む、請求項64記載の方法。
  66. 前記試料から前記関心対象の生体分子を単離する段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
  67. 前記関心対象の生体分子が免疫沈降によって単離される、請求項66記載の方法。
  68. 関心対象の非標識の生体分子の濃度を、対応する正常試料中の同一生体分子の濃度と、既知の神経性疾患状態もしくは神経変性疾患状態の対象中の同一生体分子の濃度と、以前の時点で測定された同一対象由来の同一生体分子の濃度と、またはそれらの任意の組み合わせと比較する段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
  69. 前記神経性疾患または前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、前頭側頭型認知症(FTD)、ハンチントン病、進行性核上まひ(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、加齢関連性の障害および認知症、多発性硬化症、プリオン病、レビー小体病、ならびに筋萎縮性側索硬化症からなる群より選択される、請求項68記載の方法。
  70. 対象における神経性疾患または神経変性疾患の進行または治療を診断またはモニタリングするためのキットであって、
    (a) 一つまたは複数の標識されたアミノ酸;
    (b) 該一つまたは複数の標識されたアミノ酸を該対象に投与するための手段であって、それにより、該標識されたアミノ酸が、該対象中の関心対象の生体分子に組み込まれることができる、および該対象中の該関心対象の生体分子を標識することができる、手段;
    (c) 標識された生体分子の画分と非標識の生体分子の画分とを含む生体試料を、該対象から一定時間毎に得るための手段;
    (d) 関心対象の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の比率を経時的に検出および測定するための、ならびに該試料中の該非標識の生体分子の濃度を算出するための使用説明書であって、それにより、非標識の生体分子の該濃度を、対応する正常試料中の同一生体分子の濃度と、既知の神経性疾患状態もしくは神経変性疾患状態の対象中の同一生体分子の濃度と、以前の時点で測定された同一対象由来の同一生体分子の濃度と、またはそれらの任意の組み合わせと比較することができる、使用説明書
    を含む、キット。
  71. 前記標識されたアミノ酸が必須アミノ酸である、請求項70記載のキット。
  72. 前記必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンからなる群より選択される、請求項71記載のキット。
  73. 前記標識されたアミノ酸が非放射性原子を含む、請求項70記載のキット。
  74. 前記非放射性原子が、2H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sおよび36Sからなる群より選択される、請求項73記載のキット。
  75. 前記生体分子が、ペプチド、脂質、核酸および炭水化物からなる群より選択される、請求項70記載のキット。
  76. 前記生体分子が、中枢神経系(CNS)において合成されるペプチドである、請求項75記載のキット。
  77. 前記ペプチドが、アミロイドβ(Aβ)、α-シヌクレイン、タウ、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質J、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α-2-マクログロブリン、S100B、ミエリン塩基性タンパク質、TDP-43、スーパーオキシドジスムターゼ-1、ハンチンチン、インターロイキンおよびTNFからなる群より選択されるタンパク質である、請求項76記載のキット。
  78. 一つまたは複数のさらなる標識されたアミノ酸を前記対象に投与するための手段、ならびに
    一つまたは複数のさらなる生体分子の比率および一つまたは複数のさらなる生体分子の濃度を測定するための使用説明書
    をさらに含む、請求項65記載のキット。
  79. 前記一つまたは複数のさらなる生体分子が、同一タンパク質のアイソフォームである、請求項78記載のキット。
  80. 質量分析計、タンデム質量分析計およびそれらの組み合わせからなる群より選択される手段によって検出される、標識された生体分子および非標識の生体分子の量から、前記試料中の非標識の生体分子に対する標識された生体分子の前記比率を測定する、請求項70記載のキット。
  81. 前記神経性疾患または前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、前頭側頭型認知症(FTD)、ハンチントン病、進行性核上まひ(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、加齢関連性の障害および認知症、多発性硬化症、プリオン病、レビー小体病、ならびに筋萎縮性側索硬化症からなる群より選択される、請求項70記載のキット。
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