JP2012507555A - 稀少疾患の治療における抗cs1抗体の使用 - Google Patents
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Abstract
NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型リンパ腫等の稀少リンパ腫の治療における単独又は他の物質との併用による抗CS1抗体の使用。
Description
(1.発明の分野)
本発明はNKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型リンパ腫の治療における抗CS1抗体の使用に関する。
本発明はNKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型リンパ腫の治療における抗CS1抗体の使用に関する。
(2.背景)
CS1(CD2サブセット1)(別称SLAMF7、CRACC、19A、APEX−1及びFOAP12)(Genbankアクセション番号NM_021181.3)は細胞表面糖蛋白質のCD2ファミリーのメンバーである。CS1は正常組織でもCD34+幹細胞でも発現されないが、原発性骨髄腫、ナチュラルキラー細胞、細胞傷害性t細胞及び活性化B細胞でその発現が報告されている。
CS1(CD2サブセット1)(別称SLAMF7、CRACC、19A、APEX−1及びFOAP12)(Genbankアクセション番号NM_021181.3)は細胞表面糖蛋白質のCD2ファミリーのメンバーである。CS1は正常組織でもCD34+幹細胞でも発現されないが、原発性骨髄腫、ナチュラルキラー細胞、細胞傷害性t細胞及び活性化B細胞でその発現が報告されている。
非ホジキンリンパ腫はリンパ組織(リンパ節、脾臓及び免疫系の他の臓器)の癌である。非ホジキンリンパ腫には、B細胞、T細胞起源又はナチュラルキラー(NK)細胞起源の緩徐進行性リンパ腫、中等度アグレッシブリンパ腫及びアグレッシブリンパ腫が含まれる。例えば、血管免疫芽球型リンパ腫は非ホジキンリンパ腫の1〜2%を構成する中等度アグレッシブリンパ腫である。この疾患の患者は通例では進行した段階にあり、全身性の症状を示す。初期には多くの患者でステロイド療法が有益であるが、疾患は通例では別の型のリンパ腫まで(例えば高悪性度T細胞免疫芽球型リンパ腫や、エプスタイン・バー・ウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫まで)進行する。
T/NK及びNK細胞リンパ腫は他の人種に比較してアジア人に多く見られる稀少型の非ホジキンリンパ腫である。これらのリンパ腫は主に鼻腔内で発生するが、皮膚や腸管等の他の部位で発生する場合もある。大半の腫瘍はNK細胞表現型を示すが、T細胞表現型を示す場合もある。節外性NK/T細胞リンパ腫は高度にアグレッシブな稀少癌であり、これらの腫瘍の病因物質とみなされるエプスタイン・バー・ウイルス(EBV)と強い関連を示す。今日に至るまで、進行型のこれらのリンパ腫に満足な治療法は存在していない。
従って、NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫等の稀少リンパ腫を治療するための新規な治療法及び治療レジメンが依然として必要とされている。
本願のセクション2又は他のセクションに文献を引用又は記載する場合には、このような文献が本発明の従来技術として利用可能であると認めるという意味に解釈すべきではない。
(3.概要)
CS1(CRACC,SLAMF7,CD319)はシグナル伝達リンパ球活性化分子関連受容体ファミリーのメンバーである。これは良性及び悪性形質細胞の細胞表面に高度且つ均一に発現される。NK細胞及びNK様T細胞(NK/T)でも低レベルのCS1が報告されている。有効な治療法の存在しないアグレッシブリンパ腫であるNK及びT細胞リンパ腫におけるCS1発現については、まだわかっていない。NK及び末梢T細胞リンパ腫におけるCS1の発現を正常NK及びT細胞と比較検討した。正常NK細胞及びNK様T細胞(NK/T)ではCS1の発現レベルが低いのに対して、CS1はNK及び末梢T細胞リンパ腫では高度に発現される。他の癌細胞型にCS1を標的送達すると、癌細胞の増殖を抑制することが分かった。例えば、CS1は骨髄腫細胞で高度に発現され、抗CS1抗体であるHuLuc63は原発性骨髄腫細胞におけるインビトロ抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)と、インビボ抗腫瘍活性を示す(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14(9):2775−84)。
CS1(CRACC,SLAMF7,CD319)はシグナル伝達リンパ球活性化分子関連受容体ファミリーのメンバーである。これは良性及び悪性形質細胞の細胞表面に高度且つ均一に発現される。NK細胞及びNK様T細胞(NK/T)でも低レベルのCS1が報告されている。有効な治療法の存在しないアグレッシブリンパ腫であるNK及びT細胞リンパ腫におけるCS1発現については、まだわかっていない。NK及び末梢T細胞リンパ腫におけるCS1の発現を正常NK及びT細胞と比較検討した。正常NK細胞及びNK様T細胞(NK/T)ではCS1の発現レベルが低いのに対して、CS1はNK及び末梢T細胞リンパ腫では高度に発現される。他の癌細胞型にCS1を標的送達すると、癌細胞の増殖を抑制することが分かった。例えば、CS1は骨髄腫細胞で高度に発現され、抗CS1抗体であるHuLuc63は原発性骨髄腫細胞におけるインビトロ抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)と、インビボ抗腫瘍活性を示す(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14(9):2775−84)。
従って、本願は治療を必要とする患者に治療有効量の抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを投与することにより、NK細胞リンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫を治療する方法に関する。抗CS1抗体、フラグメント及びコンジュゲートは単独療法として投与してもよいし、他の治療剤、例えば対応する分類のリンパ腫の標準治療法と併用投与してもよい。本願には特定の治療レジメンを記載する。本願に記載する方法による治療は任意ステージのNK細胞リンパ腫、NK/T細胞リンパ腫又は血管免疫芽球型T細胞リンパ腫の患者に有効に利用することができる。
本明細書に引用する全刊行物を本願に援用する。本明細書に収載した文献、法令、材料、装置、商品等に関する全記載は単に本願開示の背景を説明する目的に過ぎない。これらの事項のいずれも従来技術の根拠になると認めるという意味に解釈すべきではなく、あるいは、本願の優先日以前に国内外に存在していた本願開示に関連する分野における通常の一般知識であったと認めるという意味に解釈すべきではない。
本願開示の特徴及び利点はその各種態様に関する以下の詳細な説明から更に理解されよう。
当然のことながら、特許出願の常識通り、本願では特に指定しない限り、不定冠詞と定冠詞を1個以上という意味で使用する。更に、特許出願の常識通り、本願では「又は」なる用語を離接接続詞「又は」又は接続詞「及び」という意味で使用する。
(4.図面の簡単な説明)
(4.図面の簡単な説明)
(5.詳細な説明)
5.1 抗CS1抗体
本願開示はNK/T細胞リンパ腫等の稀少リンパ腫を治療するための抗CS1抗体の使用に関する。特に指定しない限り、「抗体」(Ab)なる用語は特定抗原と特異的に結合するか又は前記抗原に対して免疫反応性の免疫グロブリン分子を意味し、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝子組換え抗体及び他の改変型抗体を包含し、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トライアボディ及びテトラボディ)及び抗体の抗原結合フラグメント(例えばFab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rIgG及びscFvフラグメント)が挙げられる。更に、特に指定しない限り、「モノクローナル抗体」(mAb)なる用語はインタクト分子に加え、蛋白質に特異的に結合することが可能な抗体フラグメント(例えばFab及びF(ab’)2フラグメント)も包含するものとする。Fab及びF(ab’)2フラグメントはインタクト抗体のFcフラグメントを欠失しており、動物又は植物の循環からより迅速に排出され、インタクト抗体よりも非特異的組織結合が少ないと思われる(Wahl et al.,1983,J.Nucl.Med.24:316)。
5.1 抗CS1抗体
本願開示はNK/T細胞リンパ腫等の稀少リンパ腫を治療するための抗CS1抗体の使用に関する。特に指定しない限り、「抗体」(Ab)なる用語は特定抗原と特異的に結合するか又は前記抗原に対して免疫反応性の免疫グロブリン分子を意味し、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝子組換え抗体及び他の改変型抗体を包含し、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トライアボディ及びテトラボディ)及び抗体の抗原結合フラグメント(例えばFab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rIgG及びscFvフラグメント)が挙げられる。更に、特に指定しない限り、「モノクローナル抗体」(mAb)なる用語はインタクト分子に加え、蛋白質に特異的に結合することが可能な抗体フラグメント(例えばFab及びF(ab’)2フラグメント)も包含するものとする。Fab及びF(ab’)2フラグメントはインタクト抗体のFcフラグメントを欠失しており、動物又は植物の循環からより迅速に排出され、インタクト抗体よりも非特異的組織結合が少ないと思われる(Wahl et al.,1983,J.Nucl.Med.24:316)。
本願に開示する治療方法で使用するのに適した抗CS1抗体としては、限定されないが、CS1上で同定された3個のエピトープクラスターの1個以上と結合する単離抗体と、ハイブリドーマ細胞株Luc2、Luc3、Luc15、Luc22、Luc23、Luc29、Luc32、Luc34、Luc35、Luc37、Luc38、Luc39、Luc56、Luc60、Luc63、Luc69、LucX.1、LucX.2又はLuc90により産生されるモノクローナル抗体が挙げられる。これらのモノクローナル抗体を以下の文中では夫々抗体Luc2、Luc3、Luc15、Luc22、Luc23、Luc29、Luc32、Luc34、Luc35、Luc37、Luc38、Luc39、Luc56、Luc60、Luc63、Luc69、LucX及びLuc90と言う。ヒト化抗体の場合には、頭に「hu」又は「Hu」を付ける(例えば、その開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2005/0025763号及び2006/0024296号参照)。
所定態様において、適切な抗CS1抗体としては、CS1上で同定された3個のエピトープクラスターの1個以上と結合する抗体が挙げられる(配列番号1,下表1;例えば、その開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2006/0024296号参照)。米国特許公開第2006/0024296号に開示されているように、CS1抗体結合部位は3個のエピトープクラスターに分類されている。
・Luc90により規定され、hu50/mu50と結合するエピトープクラスター。このエピトープはヒトCS1の約アミノ酸残基23〜約アミノ酸残基151に対応する。このエピトープは細胞外ドメインのドメイン1(Vドメイン)内に位置する。このエピトープはLuc34、LucX(LucX1及びLucX2を含む)及びLuc69にも認識される。
・Luc38により規定され、mu25/hu75及びhu50/mu50と結合するエピトープクラスター。このエピトープは恐らくヒトCS1の約アミノ酸残基68〜約アミノ酸残基151に対応する。このエピトープはLuc5にも認識される。
・Luc63により規定され、mu75/hu25と結合するエピトープクラスター。このエピトープはヒトCS1の約アミノ酸残基170〜約アミノ酸残基227に対応する。このエピトープはヒトCS1のドメイン2(C2ドメイン)内に位置する。このエピトープはLuc4、Luc12、Luc23、Luc29、Luc32及びLuc37にも認識される。
・Luc90により規定され、hu50/mu50と結合するエピトープクラスター。このエピトープはヒトCS1の約アミノ酸残基23〜約アミノ酸残基151に対応する。このエピトープは細胞外ドメインのドメイン1(Vドメイン)内に位置する。このエピトープはLuc34、LucX(LucX1及びLucX2を含む)及びLuc69にも認識される。
・Luc38により規定され、mu25/hu75及びhu50/mu50と結合するエピトープクラスター。このエピトープは恐らくヒトCS1の約アミノ酸残基68〜約アミノ酸残基151に対応する。このエピトープはLuc5にも認識される。
・Luc63により規定され、mu75/hu25と結合するエピトープクラスター。このエピトープはヒトCS1の約アミノ酸残基170〜約アミノ酸残基227に対応する。このエピトープはヒトCS1のドメイン2(C2ドメイン)内に位置する。このエピトープはLuc4、Luc12、Luc23、Luc29、Luc32及びLuc37にも認識される。
1特定例において、本願方法で使用される抗CS1抗体はLuc63であるか、あるいはLuc63の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域配列を含む。Luc63の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はその開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2005/0025763号に夫々配列番号5及び配列番号6として開示されている。Luc63の重鎖及び軽鎖可変領域の配列を本願では夫々配列番号1及び配列番号2により示す。他の側面において、NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫又は血管免疫芽球型リンパ腫の治療で使用される抗CS1抗体はLuc63の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列を含むか、あるいはLuc63の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%の配列一致度をもつ1、2又は3個のCDR配列を含む。Luc63の重鎖CDR配列を本願では配列番号3、4及び5により示し、Luc63の軽鎖CDR配列を本願では配列番号6、7及び8により示す。
1特定例において、本願方法で使用される抗CS1抗体はHuLuc63であるか、あるいはHuLuc63の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域配列を含む。HuLuc63の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はその開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2006/0024296号に夫々配列番号41及び配列番号44として開示されている。HuLuc63の重鎖及び軽鎖可変領域の配列を本願では夫々配列番号9及び配列番号10により示す。他の側面において、NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫又は血管免疫芽球型リンパ腫の治療で使用される抗CS1抗体はHuLuc63の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列を含むか、あるいはHuLuc63の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%の配列一致度をもつ1、2又は3個のCDR配列を含む。HuLuc63の重鎖CDR配列を本願では配列番号11、12及び13により示し、HuLuc63の軽鎖CDR配列を本願では配列番号14、15及び16により示す。
別の特定例において、本願方法で使用される抗CS1抗体はLuc90であるか、あるいはLuc90の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域配列を含む。Luc90の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はその開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2005/0025763号に夫々配列番号3及び配列番号4として開示されている。Luc90の重鎖及び軽鎖可変領域の配列を本願では夫々配列番号17及び配列番号18により示す。他の側面において、NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫又は血管免疫芽球型リンパ腫の治療で使用される抗CS1抗体はLuc90の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列を含むか、あるいはLuc90の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%の配列一致度をもつ1、2又は3個のCDR配列を含む。Luc90の重鎖CDR配列を本願では配列番号19、20及び21により示し、Luc90の軽鎖CDR配列を本願では配列番号22、23及び24により示す。
更に別の特定例において、本願方法で使用される抗CS1抗体はLuc34であるか、あるいはLuc34の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域配列を含む。Luc34の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はその開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2005/0025763号に夫々配列番号7及び配列番号8として開示されている。Luc34の重鎖及び軽鎖可変領域の配列を本願では夫々配列番号25及び配列番号26により示す。他の側面において、NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫又は血管免疫芽球型リンパ腫の治療で使用される抗CS1抗体はLuc34の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列を含むか、あるいはLuc34の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%の配列一致度をもつ1、2又は3個のCDR配列を含む。Luc34の重鎖CDR配列を本願では配列番号27、28及び29により示し、Luc34の軽鎖CDR配列を本願では配列番号30、31及び32により示す。
更に別の特定例において、本願方法で使用される抗CS1抗体はLucX抗体LucX.2であるか、あるいはLucX.2の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域配列を含む。LucX.2の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はその開示内容全体を本願に援用する米国特許公開第2006/0024296号に夫々配列番号66及び配列番号67として開示されている。LucX.2の重鎖及び軽鎖可変領域の配列を本願では夫々配列番号33及び配列番号34により示す。他の側面において、NKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫又は血管免疫芽球型リンパ腫の治療で使用される抗CS1抗体はLucX.2の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列を含むか、あるいはLucX.2の重鎖CDR配列、軽鎖CDR配列、又は重鎖及び軽鎖両方のCDR配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%の配列一致度をもつ1、2又は3個のCDR配列を含む。LucX.2の重鎖CDR配列を本願では配列番号35、36及び37により示し、LucX.2の軽鎖CDR配列を本願では配列番号38、39及び40により示す。
下表1は上記HuLuc63、Luc90、Luc34及びLucX.2の配列を示す。
所定態様において、本願に開示する方法で有用な抗CS1抗体はCS1との結合についてLuc63又はLuc90と競合する。CS1との結合に関する競合能は競合アッセイを使用して試験することができる。競合アッセイの1例では、マイクロウェルプレートをCS1の溶液と(例えばPBS中5μg/mlの濃度で4℃にて一晩)接触させることによりCS1を固体表面(例えばマイクロウェルプレート)に固定する。プレートを洗浄し、(例えば5mM CaCl2と2% BSAを添加したTBS緩衝液で)ブロックする。蛍光標識したLuc63又はLuc90(「参照」抗体)の溶液を(例えば1μg/ml、2μg/ml又は5μg/mlの濃度で)プレートに加え、プレートを2時間インキュベートする。プレートを洗浄し、競合性抗CS1抗体(「試験」抗体)を(例えば3μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、50μg/ml又は100μg/mlの濃度で)加え、プレートを1時間インキュベートする。アッセイは各種濃度の競合性抗体で同時に実施することができる。プレートを洗浄し、平均蛍光強度(「MFI」)を対照プレート(試験抗体を加えてインキュベートしなかったプレート、例えばアイソタイプ対照抗体を加えてインキュベートしたプレート)に対して比較測定する。この中和アッセイでの変動を使用し、Luc63又はLuc90と別の抗CS1抗体の競合を試験することもできる。例えば、所定側面では、抗CS1抗体を参照抗体として使用し、Luc63又はLuc90を試験抗体として使用する。更に、可溶性CS1の代わりに膜結合型CS1を使用することができ、例えば培養により細胞(好ましくは哺乳動物細胞、例えばCOS細胞)上に組換え発現させることができる。一般に、約104〜106個、特定態様では、約105個の導入細胞を使用する。競合アッセイの他のフォーマットも当分野で公知であり、利用することができる。抗体Luc90を産生するハイブリドーマ細胞株はP.O.Box 1549,Manassas,Va.20108に所在のAmerican Type Culture Collection(ATCC)にアクセション番号PTA−5091で寄託されている。このハイブリドーマ細胞株の寄託は2003年3月26日付けでATCCにより受託された。ハイブリドーマ細胞株Luc63も上記住所に所在のATCCにアクセション番号PTA−5950で寄託されている。Luc63抗体の寄託は2004年5月6日付けでATCCにより受託された。
各種態様において、稀少リンパ腫を治療するために有用な抗CS1抗体は、3μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、50μg/ml、100μg/mlの濃度、又は上記数値の任意2値間の範囲の濃度(例えば20μg/ml〜50μg/mlの範囲の濃度)で抗CS1抗体を使用した場合に、標識Luc63又はLuc90のMFIを少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は上記数値の任意2値間の範囲の百分率だけ低下させる(例えば、抗CS1抗体は標識Luc63又はluc90のMFIを50%〜70%低下させる)。
他の態様において、Luc63又はLuc90は、3μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、50μg/ml、100μg/mlの濃度、又は上記数値の任意2値間の範囲の濃度(例えば10μg/ml〜50μg/mlの範囲の濃度)でLuc63又はLuc90を使用した場合に、本願に開示する方法で有用な標識抗CS1抗体のMFIを少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は上記数値の任意2値間の範囲の百分率だけ低下させる(例えばLuc63又はLuc90は標識抗CS1抗体のMFIを50%〜70%低下させる)。
本願方法で有用な抗CS1抗体としては、CS1発現細胞の抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を誘導する抗体が挙げられる。抗CS1抗体のADCCはフコース濃度が低いか又はフコースを含まない抗体を使用することにより改善することができる。フコースを含まない抗体は特に抗体用量が低い場合にADCC(抗体依存性細胞傷害)活性の増加に関連があるとされている(Shields et al.,2002,J.Biol.Chem.277:26733−26740;Shinkawa et al.,2003,J.Biol.Chem.278:3466)。フコース不含抗体の作製方法としては、ラット骨髄腫YB2/0細胞(ATCC CRL 1662)で増殖させる方法が挙げられる。YB2/0細胞はポリペプチドのフコシル化に必要な酵素(α1,6−フコシルトランスフェラーゼ)をコードするFUT8 mRNAを低レベルで発現する。ADDC活性を増加させる代替方法としては、CS1抗体のFc部分の突然変異、特にFcγR受容体に対する抗体親和性を増加する突然変異が挙げられる。標的細胞傷害性細胞アッセイを使用してFcγR結合性の増加とFc突然変異の関連性が実証されている(Shields et al.,2001,J.Biol.Chem.276:6591−6604;Presta et al.,2002,Biochem Soc.Trans.30:487−490)。特異的Fc領域突然変異によりADCC活性を増加させる方法としては、
抗体依存性ADCC活性はCS1発現細胞の培養上清中の乳酸脱水素酵素(LDH)遊離率の測定によりモニター及び定量することができ、前記酵素は細胞膜の損傷に伴って迅速に遊離される。CS1発現細胞は所定態様ではリンパ腫細胞、例えばT細胞、NK細胞又はNK−T細胞リンパ腫細胞である。各種態様において、抗体は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%又は80%の標的細胞の細胞傷害性を誘導する。抗CS1抗体のADCCを測定するために使用することができるADCCアッセイの1例はTai et al.,2008,Blood 112:1329−1337のアッセイである。
本願の開示は抗CS1scFv分子の使用も包含する。「scFv」なる用語は従来の抗体の重鎖と軽鎖の可変領域を連結して1本鎖を形成した1本鎖Fv抗体を意味する。
「VH」とは抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を意味し、Fv、scFv又はFabの重鎖を含む。「VL」とは免疫グロブリン軽鎖の可変領域を意味し、Fv、scFv、dsFv又はFabの軽鎖を含む。抗体(Ab)及び免疫グロブリン(Ig)は同一の構造特徴をもつ糖蛋白質である。抗体は特定標的に対して結合特異性を示すが、免疫グロブリンは抗体と標的特異性をもたない他の抗体様分子の両方を包含する。天然抗体及び免疫グロブリンは通常、2本の同一の軽(L)鎖と2本の同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖蛋白質である。各重鎖は一端に可変領域(VH)をもち、それに続いて多数の定常領域をもつ。各軽鎖は一端に可変領域(VL)をもち、その他端に定常領域をもつ。
相補性決定領域(「CDR」)とは、軽鎖及び重鎖可変領域における超可変領域を意味する。可変領域の高度に保存された部分をフレームワーク領域(「FR」)と言う。抗体の超可変領域を規定するアミノ酸位置/境界は状況と当分野で公知の各種定義により異なる。可変領域内の所定の位置は、1組の基準下では超可変領域の内側にあるとみなすことができるが、別の組の基準下では超可変領域の外側にあるとみなすことができるという意味で、ハイブリッド超可変位置とみなすことができる。これらの位置の1個以上が拡張超可変領域に存在する場合もある。天然重鎖及び軽鎖の可変領域は各々大部分がβシート構造をとる4個のFR領域を3個のCDRで連結することにより構成され、従って、CDRはβシート構造を連結し、場合によってはその一部となるループを形成する。各鎖のCDRはFR領域により近接して保持され、他の鎖からのCDRと共に、抗体の標的結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health,Bethesda,Md.1987)参照)。特に指定しない限り、本願で使用する免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリングはKabatらの免疫グロブリンアミノ酸残基ナンバリングシステムに従う。
「抗体フラグメント」なる用語は全長抗体の一部、一般には標的結合領域又は可変領域を意味する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメントが挙げられる。「Fv」フラグメントは完全な標的認識結合部位を含む最小抗体フラグメントである。この領域は1個の重鎖可変領域と1個の軽鎖可変領域を非共有的に緊密に結合した二量体(VH−VL二量体)から構成される。この構成において各可変領域の3個のCDRは相互作用し、VH−VL二量体の表面に表面結合部位を規定する。全体として、6個のCDRは抗体に対する標的結合特異性を付与する。他方、全長結合部位よりも親和性は低いが、1個の可変領域(又は標的に特異的な3個のCDRのみからなるFvの半分)でも標的を認識し、結合することができる。「1本鎖Fv」ないし「sFv」抗体フラグメントは抗体のVH領域とVL領域を含み、これらの領域は1本のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは更にsFvが標的との結合に望ましい構造を形成できるようにVH領域とVL領域の間にポリペプチドリンカーを含む。
Fabフラグメントは軽鎖の定常領域と重鎖の第1の定常領域(CH1)を含む。Fab’フラグメントは抗体ヒンジ領域に由来する1個以上のシステインを含む少数の残基が重鎖CH1領域のカルボキシル末端に付加されている点がFabフラグメントと相違する。F(ab’)フラグメントはF(ab’)2ペプシン消化産物のヒンジシステインにおけるジスルフィド結合の開裂により生成される。抗体フラグメントのその他の化学的カップリングも当業者に公知である。
所定態様において、抗CS1抗体はモノクローナル抗体である。本願で使用する「モノクローナル抗体」なる用語はハイブリドーマ法により作製される抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」なる用語は任意真核、原核又はファージクローンを含むシングルクローンに由来する抗体を意味し、抗体の作製方法を意味するものではない。モノクローナル抗体はハイブリドーマ法、組換え法及びファージディスプレイ法、又はその組み合わせの使用を含む当分野で公知の多様な技術を使用して作製することができる。ヒトにおける抗CS1抗体のインビボ使用及びインビトロ検出アッセイを含む他の態様では、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体を使用することができる。
所定態様において、抗CS1抗体はキメラ抗体である。本願で使用する「キメラ」なる用語はラット又はマウス抗体等の非ヒト免疫グロブリンに由来する可変配列と、一般的にはヒト免疫グロブリン鋳型から選択されるヒト免疫グロブリン定常領域をもつ抗体を意味する。キメラ抗体の作製方法は当分野で公知である。例えば、その開示内容全体を本願に援用するMorrison,1985,Science 229(4719):1202−7;Oi et al.,1986,BioTechniques 4:214−221;Gillies et al.,1985,J.Immunol.Methods 125:191−202;米国特許第5,807,715号、4,816,567号及び4,816397号参照。
所定態様において、抗CS1抗体はヒト化抗体である。非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(例えば抗体のFv,Fab,Fab’,F(ab’)2又は他の標的結合配列)である。一般に、ヒト化抗体は少なくとも1個、一般的には2個の可変領域の実質的に全部を含み、CDR領域の全部又は実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全部又は実質的に全部がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体は更に免疫グロブリン定常領域(Fc)、一般的には選択されるヒト免疫グロブリン鋳型の定常領域の少なくとも一部を含むことができる。ヒト化はヒト可変領域の1個以上のアミノ酸又は部分が非ヒト種に由来する対応配列で置換されたキメラ抗体を作製する技術である。ヒト化抗体は非ヒト種に由来する1個以上の相補性決定領域(CDR)とヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク(FR)をもつ所望抗原と結合する非ヒト種で作製される抗体分子である。多くの場合には、抗原結合を改変、好ましくは改善するように、ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基をCDR供与抗体に由来する対応残基で置換する。これらのフレームワーク置換は当分野で周知の方法により同定され、例えば抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するにはCDR残基とフレームワーク残基の相互作用をモデル化し、特定位置における異常なフレームワーク残基を同定するには配列比較する。例えば、Riechmann et al.,1988,Nature 332:323−7並びにQueen et al.,米国特許第5,530,101号、5,585,089号、5,693,761号、5,693,762号及び6,180,370号参照(各々その開示内容全体を本願に援用する)。当分野で公知の各種技術を使用して抗体をヒト化することができ、例えばCDR移植(EP239400;PCT公開WO91/09967;米国特許第5,225,539号、5,530,101号及び5,585,089号)、ベニアリングないしリサーフェシング(EP592106;EP519596;Padlan,1991,Mol.Immunol,28:489−498;Studnicka et al.,1994,Prot.Eng.7:805−814;Roguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.91:969−973)、及び鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号)が挙げられ、上記文献はいずれもその開示内容全体を本願に援用する。
所定態様において、ヒト化抗体はQueen et al.,米国特許第5,530,101号、5,585,089号、5,693,761号、5,693,762号及び6,180,370号(各々その開示内容全体を本願に援用する)に記載されているように作製される。
所定態様において、抗CS1抗体はヒト抗体である。ヒト患者の治療処置には完全「ヒト」抗CS1抗体が望ましいと思われる。本願で使用する「ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列をもつ抗体と、ヒト免疫グロブリンライブラリー又は1種以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、内在性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体を包含する。ヒト抗体はヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用して上記ファージディスプレイ法を含む当分野で公知の各種方法により作製することができる。各々その開示内容全体を本願に援用する米国特許第4,444,887号及び4,716,111号;並びにPCT公開WO98/46645;WO98/50433;WO98/24893;WO98/16654;WO96/34096;WO96/33735;及びWO91/10741参照。ヒト抗体は機能的内在性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して作製することもできる。例えば、その開示内容全体を本願に援用するPCT公開WO98/24893;WO92/01047;WO96/34096;WO96/33735;米国特許第5,413,923号;5,625,126号;5,633,425号;5,569,825号;5,661,016号;5,545,806号;5,814,318号;5,885,793号;5,916,771号;及び5,939,598号参照。更に、Abgenix(Fremont,CA)(現在はAmgenと合併)やMedarex(Princeton,NJ)等の企業に委託し、上記と同様の技術を使用して選択した抗原に対するヒト抗体を作製してもらうことができる。選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は「誘導選択」と呼ばれる技術を使用して作製することができる。このアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えばマウス抗体)を使用し、同一エピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導する(Jespers et al.,1988,Biotechnology 12:899−903)。
所定態様において、抗CS1抗体は霊長類化抗体である。「霊長類化抗体」なる用語は、サル可変領域とヒト定常領域を含む抗体を意味する。霊長類化抗体の作製方法は当分野で公知である。例えば、その開示内容全体を本願に援用する米国特許第5,658,570号、5,681,722号及び5,693,780号参照。
所定態様において、抗CS1抗体は二重特異性抗体である。二重特異性抗体は少なくとも2個の異なる抗原に対して結合特異性をもつモノクローナル抗体、好ましくはヒト又はヒト化抗体である。本願方法で有用な二重特異性抗体では、結合特異性の一方をCS1に対する特異性とすることができ、他方を他の任意抗原、好ましくは細胞表面蛋白質、受容体、受容体サブユニット、組織特異抗原、ウイルス由来蛋白質、ウイルスによりコードされるエンベロープ蛋白質、細菌由来蛋白質又は細菌表面蛋白質等に対する特異性とすることができる。
所定態様において、抗CS1抗体は誘導体化抗体である。例えば、これらに限定するものではないが、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知保護基/ブロッキング基による誘導体化、蛋白分解開裂、細胞リガンド又は他の蛋白質との結合(抗体コンジュゲートについてはセクション5.2参照)等により修飾された誘導体化抗体が挙げられる。限定するものではないが、特異的化学開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成等の公知技術により多数の化学修飾の任意のものを実施することができる。更に、誘導体に1個以上の非古典的アミノ酸を組込んでもよい。
所定態様において、抗CS1抗体又はそのフラグメントは対応する野生型配列に対して少なくとも1種の定常領域介在性生物学的エフェクター機能を低下させるように配列を改変させた抗体又は抗体フラグメントとすることができる。Fc受容体との結合性の低下を示すように抗CS1抗体を改変するためには、Fc受容体(FcR)相互作用に必要な特定領域で抗体の免疫グロブリン定常領域セグメントを突然変異させればよい(例えばCanfield and Morrison,1991,J.Exp.Med.173:1483−1491;及びLund et al.,1991,J.Immunol.147:2657−2662参照)。抗体のFcR結合能を低下させると、オプソニン化及び貪食や抗原依存性細胞傷害作用等のFcR相互作用に依存する他のエフェクター機能も低下させることができる。
更に他の側面において、抗CS1抗体又はそのフラグメントは非改変抗体に対して少なくとも1種の定常領域介在性生物学的エフェクター機能を獲得するように改変させた抗体又は抗体フラグメントとすることができる。Fcγ受容体(FcγR)との結合性の増加を示すように抗CS1抗体を改変するためには、FcγR相互作用を強化するように抗体の免疫グロブリン定常領域セグメントを突然変異させればよい(例えばUS2006/0134709A1参照)。FcγR結合性を強化すると、抗CS1抗体の抗原依存性細胞傷害作用も強化することができる。特定態様において、抗CS1抗体は対応する野生型定常領域よりも高い親和性でFcγRIIA、FcγRIIB及び/又はFcγRIIIAと結合する定常領域をもつ。
更に別の側面において、抗CS1抗体又はそのフラグメントは胎児性Fc受容体であるFcRnに対するその結合親和性を増加又は低下させるように改変させた抗体又は抗体フラグメントとすることができる。FcRnに対する結合親和性を改変するためには、FcRn相互作用に必要な特定領域で抗体の免疫グロブリン定常領域セグメントを突然変異させればよい(例えばWO2005/123780参照)。FcRnに対する結合親和性を増加すると、抗体の血清半減期は長くなり、FcRnに対する結合親和性を低下させると、逆に抗体の血清半減期は短くなるはずである。特定態様において、抗CS1抗体は重鎖定常領域のアミノ酸残基250、314及び428のうちの少なくとも1個を未改変抗体に存在するアミノ酸残基と異なるアミノ酸残基で置換したIgGクラスの抗体である。IgGクラスの抗体としては、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の抗体が挙げられる。置換は250位、314位もしくは428位単独、又はその任意組み合わせに実施することができ、例えば250位と428位、又は250位と314位、又は314位と428位、又は250位と314位と428位が挙げられ、好ましい組み合わせとしては250位と428位が挙げられる。位置毎に、置換するアミノ酸は未改変抗体の該当位置に存在するアミノ酸残基とは異なる任意アミノ酸残基とすることができる。250位では、置換するアミノ酸残基はスレオニン以外の任意アミノ酸残基とすることができ、限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン又はチロシンが挙げられる。314位では、置換するアミノ酸残基はロイシン以外の任意アミノ酸残基とすることができ、限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンが挙げられる。428位では、置換するアミノ酸残基はメチオニン以外の任意アミノ酸残基とすることができ、限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンが挙げられる。適切なアミノ酸置換の特定の組み合わせはWO2005/123780の表1に記載されており、同表の開示内容全体を本願に援用する。その開示内容全体を本願に援用するHinton et al.,米国特許第7,217,797号、7,361,740号、7,365,168号及び7,217,798号も参照。
更に他の側面において、抗CS1抗体は例えばUS2007/0280931に記載されているように、その超可変領域の1個以上に1個以上のアミノ酸が挿入されている。
5.2 抗体コンジュゲート
所定態様において、抗CS1抗体は例えばCS1との結合を妨げないように任意型の分子を抗体と共有結合することにより、改変された抗体コンジュゲートである。
所定態様において、抗CS1抗体は例えばCS1との結合を妨げないように任意型の分子を抗体と共有結合することにより、改変された抗体コンジュゲートである。
例えば、所定態様では、抗CS1抗体をエフェクター部分又はラベルと結合することができる。本願で使用する「エフェクター部分」なる用語は例えば抗腫瘍剤、薬剤、毒素、生体活性蛋白質(例えば酵素、他の抗体又は抗体フラグメント)、合成又は天然ポリマー、核酸(例えばDNA及びRNA)、放射性核種、特に放射性ヨウ化物、放射性同位体、キレート金属、ナノ粒子及びレポーター基(例えば蛍光化合物又はNMRもしくはESR分光法により検出可能な化合物)を包含する。
別の例として、所定の生体応答を改変するように、細胞傷害性物質、放射性核種又は薬剤部分等のエフェクター部分と抗CS1抗体を結合することができる。エフェクター部分は蛋白質又はポリペプチドとすることができ、限定するものではないが、例えば毒素(例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素又はジフテリア毒素)、シグナル伝達分子(例えばα−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子又は組織プラスミノーゲンアクチベーター)、抗血栓剤もしくは抗血管新生剤(例えばアンギオスタチン又はエンドスタチン)又はサイトカインもしくは成長因子等の生体応答調節剤(例えばインターロイキン−1(IL−I)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)又は神経成長因子(NGF))か挙げられる。
別の例において、エフェクター部分は細胞毒素又は細胞傷害性物質とすることができる。細胞毒素及び細胞傷害性物質の例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン並びにそのアナログ又はホモログが挙げられる。
エフェクター部分としては、限定されないが、更に代謝拮抗剤(例えばメトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC5並びにシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)(シスプラチン))、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシン又はデュオカルマイシン)、及び有糸分裂阻害剤(例えばビンクリスチン及びビンブラスチン)も挙げられる。
他のエフェクター部分としては放射性核種が挙げられ、限定されないが、In111及びY90、Lu177、ビスマス213、カリホルニウム252、イリジウム192並びにタングステン18s/レニウム188と、限定されないが、アルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイド及びスラミン等の薬剤が挙げられる。
このようなエフェクター部分を抗体に結合する技術は当分野で周知である(例えばHellstrom et al.,Controlled Drug Delivery,2nd Ed.,pp.623−53(Robinson et al.,eds.,1987));Thorpe et al.,1982,Immunol.Rev.62:119−58及びDubowchik et al.,1999,Pharmacology and Therapeutics 83:67−123参照)。
1例では、抗体又はそのフラグメントを場合によりN末端又はC末端で別の蛋白質(又はその部分;好ましくは前記蛋白質の少なくとも10、20又は50アミノ酸部分)のアミノ酸配列と共有結合(例えばペプチド結合)により融合する。抗体又はそのフラグメントを抗体の定常領域のN末端で他の蛋白質と結合することが好ましい。このような融合体を作製するためには、例えばWO86/01533及びEP0392745に記載されているように、組換えDNA法を使用することができる。別の例において、エフェクター分子は半減期をインビボで延長することができ、及び/又は上皮バリアを通して抗体を免疫系に送達し易くすることができる。この種の適切なエフェクター分子の例としては、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合蛋白質又はWO2005/117984に記載されているもの等のアルブミン結合化合物が挙げられる。
所定態様では、抗CS1抗体をポリ(エチレングリコール)(PEG)部分と結合することができる。例えば、抗体が抗体フラグメントである場合には、抗体フラグメントに配置された任意の利用可能なアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸官能基(例えば任意遊離アミノ基、イミノ基、チオール基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基)を介してPEG部分を結合することができる。このようなアミノ酸は抗体フラグメントに天然に存在するものでもよいし、組換えDNA法を使用してフラグメントに組込んでもよい。例えば米国特許第5,219,996号参照。複数の部位を使用して2個以上のPEG分子を結合することができる。抗体フラグメントに配置された少なくとも1個のシステイン残基のチオール基を介してPEG部分を共有結合することが好ましい。チオール基を結合点として使用する場合には、適切に活性化されたエフェクター部分(例えばマレイミドやシステイン誘導体等のチオール選択性誘導体)を使用することができる。
別の例において、抗CS1抗体コンジュゲートは例えばEP0948544に開示されている方法に従ってペグ化された修飾Fab’フラグメントであり、即ちPEG(ポリ(エチレングリコール))が共有結合している。Poly(ethyleneglycol) Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications,(J.Milton Harris(ed.),Plenum Press,New York,1992);Poly(ethyleneglycol) Chemistry and Biological Applications,(J.Milton Harris and S.Zalipsky,eds.,American Chemical Society,Washington D.C,1997);Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences,(M.Aslam and A.Dent,eds.,Grove Publishers,New York,1998);及びChapman,2002,Advanced Drug Delivery Reviews 54:531−545も参照。
「ラベル」なる用語を本願で使用する場合には、抗CS1抗体と直接又は間接的に結合することができる検出可能な化合物又は組成物を意味する。ラベルはそれ自体検出可能(例えば放射性同位体ラベル又は蛍光ラベル)でもよいし、酵素ラベルの場合には、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的改変を触媒することができる。有用な蛍光部分としては、限定されないが、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジエチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリスリン等が挙げられる。有用な酵素ラベルとしては、限定されないが、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等が挙げられる。
5.3 治療方法、医薬組成物及び投与経路
本願に記載するCS1抗体はNKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫の治療に有用である。臨床的に、NKリンパ腫とNK/T細胞リンパ腫は鼻型、非鼻型及びアグレッシブリンパ腫/白血病サブタイプに分類することができ、いずれも本願に記載する方法に従って、抗CS1抗体で有効に治療することができる。
本願に記載するCS1抗体はNKリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫の治療に有用である。臨床的に、NKリンパ腫とNK/T細胞リンパ腫は鼻型、非鼻型及びアグレッシブリンパ腫/白血病サブタイプに分類することができ、いずれも本願に記載する方法に従って、抗CS1抗体で有効に治療することができる。
疾患の治療は任意臨床ステージの任意型の疾患もしくは徴候をもつと既に診断されている患者の治療;疾患の症状もしくは徴候の発生もしくは進行もしくは重篤化もしくは悪化の遅延;並びに/又は疾患の予防及び/もしくはその重篤度の低減を包含する。
リンパ腫の治療のために抗CS1抗体を投与する前に、例えば患者からの生検をCS1 RNA又は蛋白質についてアッセイすることにより、リンパ腫をCS1発現について試験することができる。(例えば免疫組織化学法により)生検サンプル上又は(例えばRT−PCRを使用して)サンプルからの核酸もしくは蛋白質抽出物上でCS1発現をアッセイすることができる。
抗CS1抗体を投与する「対象」ないし「患者」は非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット等)又は霊長類(例えばサル又はヒト)等の哺乳動物とすることができる。所定側面において、ヒトは小児患者である。他の側面において、ヒトは成人患者である。
抗CS1抗体と、場合により下記セクション5.4に記載する第2の治療剤等の1種以上の他の治療剤を含有する組成物も本願に記載する。組成物は一般的に医薬的に許容可能なキャリアを含む滅菌医薬組成物の一部として提供される。この組成物は(患者への所望投与方法に応じて)適切な任意形態とすることができる。
抗CS1抗体は経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、筋肉内、髄腔内、局所又は局部等の各種経路で患者に投与することができる。所定の任意ケースで最適な投与経路は特定抗体、対象、並びに対象の疾患の種類と重篤度及び健康状態により異なる。一般的には、HuLuc63等の抗CS1抗体を静脈内投与する。
典型的態様では、0.5mg/kg〜20mg/kgを静脈投与できるように十分な濃度で抗CS1抗体を医薬組成物に加える。所定態様において、本願に記載する組成物及び方法で使用するのに適したHuLuc63の濃度としては、限定されないが、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、又は上記数値の任意数値間の範囲の濃度(例えば1mg/kg〜10mg/kg、5mg/kg〜15mg/kg、又は10mg/kg〜18mg/kg)が挙げられる。
抗CS1抗体の有効用量は単回(例えばボーラス)投与、複数回投与又は連続投与により約0.001〜約750mg/kgとすることができ、あるいは単回(例えばボーラス)投与、複数回投与又は連続投与により0.01〜5000μg/mlの血清濃度が得られるような用量とすることができ、あるいは治療する病態、投与経路並びに対象の年齢、体重及び健康状態に応じて任意の有効範囲又はその範囲内の数値とすることができる。所定態様において、各用量は体重1キログラム当たり約0.5mg〜約50mg又は体重1キログラム当たり約3mg〜約30mgとすることができる。抗体は水溶液として製剤化することができる。
医薬組成物は用量当たり規定量の抗CS1抗体を含有する単位用量形態で好適に提供することができる。このような単位は0.5mg〜5gを含有することができ、限定されないが、例えば1mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、750mg、1000mg、又は上記数値の任意2値間の任意範囲(例えば10mg〜1000mg、20mg〜50mg、又は30mg〜300mg)が挙げられる。医薬的に許容可能なキャリアは例えば治療する病態や投与経路に応じて多様な形態をとることができる。
有効用量、合計投与回数及び抗CS1抗体による治療期間の決定は当業者が十分になし得る範囲内であり、最大耐量(MTD)を特定するための標準段階的用量増加試験を使用して決定することができる(例えば、その開示内容全体を本願に援用するRichardson et al.,2002,Blood,100(9):3063−3067参照)。
本願に記載する方法で適切な抗CS1抗体の治療用製剤は所望純度を有する抗体を場合により当分野で一般的に利用されている医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤又は安定剤(本願では「キャリア」と総称する)、即ち緩衝剤、安定剤、防腐剤、等張化剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤及び他の各種添加剤と混合することにより凍結乾燥製剤又は水溶液として保存するように製造することができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition(Osol,ed.1980)参照。このような添加剤は利用する用量及び濃度でレシピエントに非毒性でなければならない。
緩衝剤は生理的条件に近い範囲にpHを維持するのに役立つ。緩衝剤は約2mM〜約50mMの範囲の濃度で加えることができる。適切な緩衝剤としては、クエン緩衝液(例えばクエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混液、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混液、クエン酸−クエン酸一ナトリウム等)、コハク酸緩衝液(例えばコハク酸−コハク酸一ナトリウム混液、コハク酸−水酸化ナトリウム混液、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混液等)、酒石酸緩衝液(例えば酒石酸−酒石酸ナトリウム混液、酒石酸−酒石酸カリウム混液、酒石酸−水酸化ナトリウム混液等)、フマル酸緩衝液(例えばフマル酸−フマル酸一ナトリウム混液、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混液、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混液等)、グルコン酸緩衝液(例えばグルコン酸−グルコン酸ナトリウム混液、グルコン酸−水酸化ナトリウム混液、グルコン酸−グルコン酸カリウム混液等)、蓚酸緩衝液(例えば蓚酸−蓚酸ナトリウム混液、蓚酸−水酸化ナトリウム混液、蓚酸−蓚酸カリウム混液等)、乳酸緩衝液(例えば乳酸−乳酸ナトリウム混液、乳酸−水酸化ナトリウム混液、乳酸−乳酸カリウム混液等)及び酢酸緩衝液(例えば酢酸−酢酸ナトリウム混液、酢酸−水酸化ナトリウム混液等)等の有機及び無機酸とその塩が挙げられる。更に、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液及びトリメチルアミン塩(例えばTris)も使用することができる。
微生物増殖を遅らせるために防腐剤を添加することができ、0.2%〜1%(w/v)の範囲の量で添加することができる。適切な防腐剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウムハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物及びヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン(例えばメチルパラベン又はプロピルパラベン)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3−ペンタノールが挙げられる。等張化剤は「安定剤」と言う場合もあり、液体組成物の等張性を確保するために添加することができ、多価糖アルコール類、好ましくは三価以上の糖アルコール類(例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトール)が挙げられる。安定剤とは増量剤から治療剤を可溶化する添加剤又は変性もしくは容器壁への付着を防止するのに役立つ添加剤に至るまでの機能範囲に対応し得る広い分類の賦形剤を意味する。典型的な安定剤としては、多価糖アルコール類(上記のもの);アミノ酸類(例えばアルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等)、有機糖類又は糖アルコール類(例えばラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロール等が挙げられ、イノシトール等のシクリトール類も含む);ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;硫黄含有還元剤(例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム);低分子量ポリペプチド(例えば10残基以下のペプチド);蛋白質(例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)、単糖類(例えばキシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例えばラクトース、マルトース、スクロース)及び三糖類(例えばラフィノース);並びに多糖類(例えばデキストラン)が挙げられる。安定剤は活性蛋白質重量部当たり0.1〜10,000重量部の範囲で加えることができる。
治療剤を溶解し易くすると共に、治療用蛋白質を撹拌による凝集から保護し、更に蛋白質の変性を生じずに製剤を表面剪断応力に暴露できるように、非イオン性界面活性剤ないし表面活性剤(別称「湿潤剤」)を添加することができる。適切な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート類(20,80等)、ポロキサマー類(184,188 etc.)、Pluronicポリオール類、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル類(TWEEN(登録商標)−20,TWEEN(登録商標)−80等)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は約0.05mg/ml〜約1.0mg/mlの範囲、又は約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で加えることができる。
その他の賦形剤としては、増量剤(例えば澱粉)、キレート剤(例えばEDTA)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び補助溶媒が挙げられる。
本願の製剤は更に抗CS1抗体以外に第2の治療剤も含有することができる。適切な第2の治療剤の例は下記セクション5.4に挙げる。
投与スケジュールは疾患の種類、疾患の重篤度及び抗CS1抗体に対する患者の感受性を含む多数の臨床因子に応じて1カ月に1回から毎日までとすることができる。特定態様では、毎日、週2回、週3回、5日置き、10日置き、2週間置き、3週間置き、4週間置きもしくは1カ月に一度、又は上記数値の任意2値間の任意範囲、例えば4週間置きから1カ月置き、10日置きから2週間置き、又は週2〜3回等に抗CS1抗体を投与する。
抗CS1抗体の投与用量は特定抗体、対象、疾患の種類と重篤度、対象の健康状態、治療レジメン(例えば第2の治療剤の使用の有無)、及び選択する投与経路により異なり、適切な用量は当業者が容易に決定することができる。
当業者に自明の通り、抗CS1抗体の最適量及び投与間隔は治療する病態の種類と程度、投与形態、経路及び部位、並びに治療する特定対象の年齢と健康状態により決定され、適切な使用量は最終的に医師が決定する。この投与を適切な回数反復することができる。副作用が生じる場合には、通常の臨床プラクティスに従って投与量及び/又は頻度を変更又は減少させることができる。
5.4 併用療法
以下、抗CS1抗体を利用することができる併用法について記載する。併用法は少なくとも2種類の物質を患者に投与し、第1の物質を抗CS1抗体とし、第2の物質を第2の治療剤とする。抗CS1抗体と第2の治療剤は同時、逐次又は別々に投与することができる。
以下、抗CS1抗体を利用することができる併用法について記載する。併用法は少なくとも2種類の物質を患者に投与し、第1の物質を抗CS1抗体とし、第2の物質を第2の治療剤とする。抗CS1抗体と第2の治療剤は同時、逐次又は別々に投与することができる。
大半の鼻型NK細胞リンパ腫はステージI/II疾患を呈し、現場の放射線療法が治療成功の最も重要な鍵である。放射線療法を受けた多くのステージI/IIの患者は全身が衰弱するため、化学療法の併用が必要になると思われる。進行した鼻型NK細胞リンパ腫と、非鼻型及びアグレッシブサブタイプには化学療法が指定される。しかし、治療結果は一般に不十分である。高用量化学療法を造血幹細胞移植と併用すると、選択された患者に有益であることが示唆されている(Kwong et al.,2005,Leukemia 19:2186−94)。抗CS1抗体は放射線療法、化学療法又は他の治療剤を伴う任意治療レジメンと有益に併用投与することができる。本願に記載する併用療法では相加効果を上回る効果が得られ、抗CS1抗体又は第2の治療剤による単独療法が治療上有効である場合に治療上の利点が得られる。
一般的には、第2の治療剤の投与の約0〜60日前又は後に抗CS1抗体を投与する。所定態様では、第2の治療剤の投与の約30分〜約1時間前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約1時間〜約2時間前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約2時間〜約4時間前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約4時間〜約6時間前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約6時間〜約8時間前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約8時間〜約16時間前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約16時間〜1日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約1〜5日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約5〜10日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約10〜15日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約15〜20日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約20〜30日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約30〜40日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約40〜50日前もしくは後、又は第2の治療剤の投与の約50〜60日前もしくは後に抗CS1抗体を投与する。これに関連して、上記任意期間に関する「約」なる用語は指定数値範囲に対してその下限の20%までを引いた値からその上限の20%までを足した値までを意味すると解釈することができる(例えば「約40〜50日」の期間は32〜60日の範囲の期間を意味する)。特定態様において、期間に関する「約」なる用語の使用は指定数値範囲に対してその下限の2%、3%、5%、10%又は15%までを引いた値からその上限の2%、3%、5%、10%又は15%までを足した値までを意味する。
従って、抗CS1抗体と第2の治療剤を同時又は連続して併用投与することができる。本願で使用する場合、抗CS1抗体と第2の治療剤を同日、例えば1回の患者来院中に患者に投与する場合に連続投与すると言う。連続投与は1、2、3、4、5、6、7又は8時間間隔で行うことができる。これに対して、抗CS1抗体と第2の治療剤を別の日に患者に投与する場合に別々に投与すると言い、例えば本発明の抗CS1抗体と第2の治療剤を1日、2日、3日、1週間、2週間又は1カ月間隔で投与することができる。
本願に記載する方法では、抗CS1抗体の投与は第2の治療剤の投与の前でも後でもよい。非限定的な例として、抗CS1抗体と第2の治療剤を一定期間併用投与した後に、第2の期間では抗CS1抗体と第2の治療剤を交互投与する。
抗CS1抗体と第2の治療剤を投与する潜在的相乗効果により、これらの物質はその一方又は両方を単独で投与する場合には治療上有効でないような量で投与することができる。例えば、各種態様において、抗CS1抗体の投与用量及び/又は第2の治療剤の投与用量は単独療法レジメンに一般に許容される有効用量範囲の約10%〜90%である。所定態様では、一般に許容される有効用量範囲の約10%、約15%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約75%又は約90%を使用し、あるいは上記数値の任意数値間の用量範囲(例えば一般に許容される有効用量範囲の10%〜40%、30%〜75%、又は60%〜90%)を使用する。
所定側面において、第2の治療剤は抗炎症剤、化学療法剤、放射線療法、免疫抑制剤、細胞傷害性薬剤、標的剤、ホルモン剤又は補助治療剤である。
適切な抗炎症剤としては、限定されないが、ペンタサ、メサラジン、アサコール、リン酸コデイン、ベノリラート、フェンブフェン、ナプロシン、ジクロフェナック、エトドラク並びにインドメタシン、アスピリン及びイブプロフェンが挙げられる。
適切な化学療法剤としては、限定されないが、放射性分子、毒素(細胞毒素又は細胞傷害性物質とも言い、細胞の生存に有害な任意物質を含む)、作用物質、及び化学療法用化合物を含むリポソーム又は他の小胞が挙げられる。適切な化学療法剤の例としては、限定されないが、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシルデカルバジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、アントラマイシン(AMC)、有糸分裂阻害剤、シス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)(シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗剤、アスパラギナーゼ、BCG生菌(膀胱内)、リン酸ベタメタゾンナトリウム及び酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ロイコボリンカルシウム、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、共役エストロゲン、シクロホスファミド、シクロソスファミド、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、サイトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ダウノルビシンHCL、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンディフティトックス、デクスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、メシル酸ドラセトロン、ドキソルビシンHCL、ドロナビノール、大腸菌L−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチン−α、エルビニアL−アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシドcitrororum因子、リン酸エトポシド、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、ゲムシタビンHCL、グルココルチコイド、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、グラニセトロンHCL、ヒドロキシ尿素、イダルビシンHCL、イホスファミド、インターフェロンα−2b、イリノテカンHCL、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソールHCL、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、メクロレタミンHCL、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファランHCL、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロンHCL、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、ペントスタチン、ピロカルピンHCL、プリマイシン、ポリフェプロサン20とカルムスチンインプラントの併用、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、プロカルバジンHCL、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオエパクロラムブシル、チオグアニン、チオテパ、トポテカンHCL、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン及び酒石酸ビノレルビンが挙げられる。
適切な標的剤としては、ベバシズマブ、スチニブ、ソラフェニブ、2−メトキシエストラジオールないし2ME2、フィナスナート、PTK787、バンデタニブ、アフリベルセプト、ボロシキシマブ、エタラシズマブ(MEDI−522)、シレンジチド、エルロチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ゲフィチニブ、トラスツズマブ、TKI258、CP−751,871、アタシセプト、リツキシマブ、アレムツズマブ、アルデスロイキン、アトリズマブ、トシリズマブ、テムシロリムス、エベロリムス、NPI−1387、MLNM3897、HCD122、SGN−40、HLL1、huN901−DM1、アチプリモド、ナタリズマブ、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、NPI−0052、タネスピマイシン、メシル酸サキナビル、リトナビル、メシル酸ネルフィナビル、硫酸インジナビル、ベリノスタット、LBH589、マパツムマブ、レキサツムマブ、AMG951、ABT−737、オブリメルセン、プリチデプシン、SCIO−469、P276−00、エンザスタウリン、チピファルニブ、ペリフォシン、イマチニブ、ダサチニブ、レナリドマイド、サリドマイド、シムバスタチン及びセレコキシブが挙げられる。
適切なホルモン剤としては、アナストロゾール、レトロゾール、ゴセレリン、タモキシフェン、デキサメタゾン、プレドニゾン及びプリドニシロンが挙げられる。
適切な補助治療剤としては、パミドロネート、ゾレドロン酸、イバンドロネート、硝酸ガリウム、デノスマブ、ダルベポエチンα、エポエチンα、エルトロンボパグ及びペグフィルグラスチムが挙げられる。
所定側面において、第2の治療剤は非ホジキンリンパ腫の治療に使用される任意併用療法レジメンである。典型的なレジメンを以下に挙げる。
他のレジメンも当分野で公知であり「第2の治療剤」として抗CS1抗体療法と併用することができる。化学療法レジメンではコンパジン、又はキトリル等の制吐剤を併用することができる。
6.実施例1:CS1は鼻型NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫で発現される。
背景:CS1(CRACC,SLAMF7,CD319)はシグナル伝達リンパ球活性化分子関連受容体ファミリーのメンバーである。これは良性及び悪性形質細胞の細胞表面に高度且つ均一に発現される。NK細胞及びNK様T細胞(NK/T)でも低レベルのCS1が報告されている。有効な治療法の存在しないアグレッシブリンパ腫であるNK及びT細胞リンパ腫におけるCS1発現については、まだ分かっていない。正常NK/T細胞と一連のNK及び末梢T細胞リンパ腫(PTCL)におけるCS1の発現を試験した。
方法:自動免疫組織化学法(IHC,Ventana Medical Systems)を使用して遺伝子発現プロファイリングにより正常NK及びT細胞におけるCS1発現を評価した。直接共役したAlexa−488エロツズマブ(HuLuc63)を使用して正常サンプルからの血液でフローサイトメトリー(FACSCalibur,Becton Dickinson)を実施した。パラフィン反応性1G9モノクローナル抗体(Hsi et al.,2008,Clinical Cancer Research 14:2775−2784に記載)を使用して血管免疫芽球型T細胞リンパ腫(AITL)と鼻型NK/T細胞リンパ腫を含むPTCLに由来する保管ホルマリン固定パラフィン包埋組織をCS1発現について試験した。次にサンプルをSniper試薬(Biocare)でブロックし、2.5μg/mLの一次抗体を32分間37℃で加えた。抗体検出にはVentana DABmapと汎用二次抗体を使用した。
結果:遺伝子発現プロファイリングは精製NK及びNK/T細胞においてCS1発現を示した。Alexa−488 HuLuc63を使用してフローサイトメトリーにより正常血液NK及びNK/T細胞上におけるCS1蛋白質の細胞表面発現を確認した(n=18サンプル)。大半の正常NK及びNK/T細胞はCS1を発現した(夫々平均陽性%及び標準偏差96%±4%及び71%±24%)。鼻型NK/T細胞リンパ腫患者と他の末梢T細胞リンパ腫患者からの腫瘍サンプルをIHCによりCS1発現についてアッセイした。鼻型NK/T細胞リンパ腫をもつ患者13人(米国人5人と韓国人8人)からの生検をIHCにより評価した。13人中12人の患者(92%)のサンプルはCS1を発現し、大半のケースが過半数の細胞陽性を示した。46人のPTCLも評価した(9人のAITLを含む)。全体では、PTCL患者の46人中8人(17%)がCS1を発現した。他方、AITLでは、9人中4人(44%)がCS1を発現した。
結論:CS1はほぼ全ての鼻型NK/T細胞リンパ腫と実質的比率のAITLで発現される。
7.実施例2:CS1は鼻型NK/T細胞リンパ腫及び血管免疫芽球型T細胞リンパ腫で発現される。
7.1 緒言
CS1(CD319,CRACC,SLAMF7)はシグナル伝達リンパ球活性化分子関連受容体ファミリーのメンバーである。これは形質細胞で選択的に発現される細胞表面抗体として最近同定された(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)。シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)関連受容体ファミリーの他のメンバーとしては、SLAM(CD150)、2B4(CD244)、CD84、NTB−A(Ly−108)及びLy−9(CD229)が挙げられる。これらの分子は2又は4個の細胞外免疫グロブリン(Ig)様領域と、コンセンサスアミノ酸配列TxYxxV/Iをもつ免疫受容体チロシンスイッチモチーフからなる細胞内シグナル伝達領域により特徴付けられる。
7.1 緒言
CS1(CD319,CRACC,SLAMF7)はシグナル伝達リンパ球活性化分子関連受容体ファミリーのメンバーである。これは形質細胞で選択的に発現される細胞表面抗体として最近同定された(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)。シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)関連受容体ファミリーの他のメンバーとしては、SLAM(CD150)、2B4(CD244)、CD84、NTB−A(Ly−108)及びLy−9(CD229)が挙げられる。これらの分子は2又は4個の細胞外免疫グロブリン(Ig)様領域と、コンセンサスアミノ酸配列TxYxxV/Iをもつ免疫受容体チロシンスイッチモチーフからなる細胞内シグナル伝達領域により特徴付けられる。
CS1(エロツズマブ、別称HuLuc63)に対するヒト化抗体は再発多発性骨髄腫で現在試験中である(Tai et al.,2008,Blood 112(4):1329−37;Tai et al.,2007,Blood.110(5):1656−63)。CS1は良性及び悪性形質細胞で選択的に発現されるが、正常NK細胞とT細胞のサブセットでも低レベルで発現される(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)。本試験では、満足な治療法のないアグレッシブリンパ腫である一連のT細胞リンパ腫及び鼻型NK細胞におけるCS1の発現を特性決定した。
7.2 方法
試料及び免疫組織化学法:試料はクリーブランドクリニックとサムスン病院の保管検体に由来するものとした。血液リンパ腫瘍に関するWHO分類の確立基準に従って診断を行った。成熟T細胞リンパ腫については、直径1mmのコアを2個ずつ使用して組織マイクロアレーを作製した(Beecher Instruments)。CD4及びCD8に対するモノクローナル抗体(Ventana Medical Systems,Tucson AZ)又はパラフィン反応性抗CS1モノクローナル抗体1G9(Hsi et al,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)について記載されているように免疫組織化学法を実施した。腫瘍細胞の20%超がCS1を発現した場合に試料を陽性とみなした。従来記載されているように、HANK1細胞は鼻型NK/Tリンパ腫に由来するIL−2依存性細胞株である(Kagami et al.,1998,Br.J.Haematol.103:669−677)。
試料及び免疫組織化学法:試料はクリーブランドクリニックとサムスン病院の保管検体に由来するものとした。血液リンパ腫瘍に関するWHO分類の確立基準に従って診断を行った。成熟T細胞リンパ腫については、直径1mmのコアを2個ずつ使用して組織マイクロアレーを作製した(Beecher Instruments)。CD4及びCD8に対するモノクローナル抗体(Ventana Medical Systems,Tucson AZ)又はパラフィン反応性抗CS1モノクローナル抗体1G9(Hsi et al,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)について記載されているように免疫組織化学法を実施した。腫瘍細胞の20%超がCS1を発現した場合に試料を陽性とみなした。従来記載されているように、HANK1細胞は鼻型NK/Tリンパ腫に由来するIL−2依存性細胞株である(Kagami et al.,1998,Br.J.Haematol.103:669−677)。
フローサイトメトリー:正常NK及びT細胞におけるCS1発現を遺伝子発現プロファイリングにより評価した。直接共役したFITC−エロツズマブを使用して正常血液サンプルでフローサイトメトリー(FACSCalibur,Becton Dickinson)を実施した。フローサイトメトリーに使用した抗CS1−PEマウスモノクローナル抗体(クローン235614)はR&D Systems(Minneapolis,MN)から入手した。
7.3 結果
7.3.1 末梢血リンパ球(PBL)フローサイトメトリー
従来の遺伝子プロファイリング試験により正常NK細胞におけるCS1発現が立証されている(Boles et al.,2001,Immunol Rev.181:234−49;Boles et al.,2001,Immunogenetics.52:302−307)。CS1に対するマウスモノクローナル抗体はNK及びNK/T細胞においてCS1の高度の発現を示した(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)。直接共役したエロツズマブを使用し、正常リンパ球におけるCS1の発現パターンを確認するために、フローサイトメトリーを実施した。12個の検体を分析した。B及びCD4+T細胞は相当量のCS1を失っていた。他方、NK細胞と、程度は劣るがCD16/56陽性T細胞はCS1を発現した(夫々平均陽性%及び標準偏差97%±4%及び67%±29%)(図3)。非特定型末梢T細胞リンパ腫(PTCL NOS)、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫(AITL)及び鼻型NK/T細胞リンパ腫におけるCS1の発現を評価した。この試験の結果を下表2にまとめる。
7.3.1 末梢血リンパ球(PBL)フローサイトメトリー
従来の遺伝子プロファイリング試験により正常NK細胞におけるCS1発現が立証されている(Boles et al.,2001,Immunol Rev.181:234−49;Boles et al.,2001,Immunogenetics.52:302−307)。CS1に対するマウスモノクローナル抗体はNK及びNK/T細胞においてCS1の高度の発現を示した(Hsi et al.,2008,Clin.Cancer Res.14:2775−2784)。直接共役したエロツズマブを使用し、正常リンパ球におけるCS1の発現パターンを確認するために、フローサイトメトリーを実施した。12個の検体を分析した。B及びCD4+T細胞は相当量のCS1を失っていた。他方、NK細胞と、程度は劣るがCD16/56陽性T細胞はCS1を発現した(夫々平均陽性%及び標準偏差97%±4%及び67%±29%)(図3)。非特定型末梢T細胞リンパ腫(PTCL NOS)、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫(AITL)及び鼻型NK/T細胞リンパ腫におけるCS1の発現を評価した。この試験の結果を下表2にまとめる。
7.3.2 T細胞リンパ腫及び鼻型NK/T細胞リンパ腫におけるCS1発現
パラフィン反応性CS1抗体(クローン1G9)を作製し、保管固定組織で免疫組織化学法に使用した。図4は散在したT細胞と形質細胞(上皮下領域に多い)が陽性である正常扁桃におけるパターンを示す。27人の患者からのPTCL NOS29例とAITL8例から構成される末梢T細胞リンパ腫37例を試験した。PTCL NOS試料の7/29(24%)が陽性であった。2人の患者から生検を2個ずつ採取した。一方の生検では、どちらの検体も陰性であったが、他方では、一方の再発検体が陰性であり、初期検体は陽性であった。CD4又はCD8発現が認められた6個のCS1+PTCL NOS検体のうち、4個がCD8+であった。AITLは8例中1例(15%)のみが陽性であり、この試料はCD4+であった(図5)。
パラフィン反応性CS1抗体(クローン1G9)を作製し、保管固定組織で免疫組織化学法に使用した。図4は散在したT細胞と形質細胞(上皮下領域に多い)が陽性である正常扁桃におけるパターンを示す。27人の患者からのPTCL NOS29例とAITL8例から構成される末梢T細胞リンパ腫37例を試験した。PTCL NOS試料の7/29(24%)が陽性であった。2人の患者から生検を2個ずつ採取した。一方の生検では、どちらの検体も陰性であったが、他方では、一方の再発検体が陰性であり、初期検体は陽性であった。CD4又はCD8発現が認められた6個のCS1+PTCL NOS検体のうち、4個がCD8+であった。AITLは8例中1例(15%)のみが陽性であり、この試料はCD4+であった(図5)。
NK及びNK様T細胞はCS1を発現したため、一連の鼻型NK/T細胞リンパ腫も試験した。13例中12例(92%)がCS1を発現した。従って、集団的に、このリンパ腫型は最も一般的な型の成熟T細胞リンパ腫に比較して高頻度でCS1を発現した(P<.0001,フィッシャーの正確検定)。鼻型NK/T細胞リンパ腫細胞株HANK1をフローサイトメトリーにより試験した処、CS1表面発現が確認された(図6)。
7.4 結論
鼻型NK/T細胞リンパ腫の大多数はCS1を発現する。CS1は所定のPTCL NOS及びAITLでも発現される。
鼻型NK/T細胞リンパ腫の大多数はCS1を発現する。CS1は所定のPTCL NOS及びAITLでも発現される。
本願に引用する全公報、特許、特許出願及び他の文献は、各特許公報、特許、特許出願又は他の文献を全目的で本願に援用すると個々に明記すると同程度まで、全目的でその開示内容全体を本願に援用する。
種々の特定態様について例証及び記載したが、当然のことながら、発明の趣旨と範囲内で種々の変更が可能である。
Claims (56)
- NK細胞リンパ腫、NK/T細胞リンパ腫、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫(AITL)、又は非特定型末梢T細胞リンパ腫(PTCL−NOS)の治療方法であって、前記治療を必要とするヒト患者に治療有効量の抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体もしくは抗原結合フラグメントを細胞傷害性物質と結合した抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを投与する段階を含む前記方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを単独療法として投与する請求項1に記載の方法。
- 更に前記患者に第2の治療剤を投与する段階を含む請求項1に記載の方法。
- NK細胞リンパ腫、NK/T細胞リンパ腫、AITL又はPTCL−NOSの治療方法であって、前記治療を必要とするヒト患者に(a)抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体もしくは抗原結合フラグメントを細胞傷害性物質と結合した抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートと、(b)第2の治療剤を含む治療有効量の併用療法剤を投与する段階を含む前記方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが前記リンパ腫の細胞にADCCを誘導する請求項1又は4に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号3、4及び5のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する重鎖CDR配列を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号6、7及び8のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する軽鎖CDR配列を含む請求項6に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号1の重鎖可変領域と配列番号2の軽鎖可変領域を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号11、12及び13のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する重鎖CDR配列を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートか配列番号14、15及び16のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する軽鎖CDR配列を含む請求項9に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号9の重鎖可変領域と配列番号10の軽鎖可変領域を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号19、20及び21のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する重鎖CDR配列を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号22、23及び24のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する軽鎖CDR配列を含む請求項12に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号17の重鎖可変領域と配列番号18の軽鎖可変領域を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号27、28及び29のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する重鎖CDR配列を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号30、31及び32のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する軽鎖CDR配列を含む請求項15に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号25の重鎖可変領域と配列番号26の軽鎖可変領域を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号35、36及び37のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する重鎖CDR配列を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号38、39及び40のCDR配列に対して少なくとも85%の配列一致度を有する軽鎖CDR配列を含む請求項15に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが配列番号33の重鎖可変領域と配列番号34の軽鎖可変領域を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートが、American Type Culture Collection(「ATCC」)にアクセション番号PTA−5950で寄託されたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体Luc63に対してCS1との結合を競合する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートがATCCにアクセション番号PTA−5091で寄託されたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体Luc90に対してCS1との結合を競合する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 患者がNK細胞リンパ腫をもつ請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
- NK細胞リンパ腫がステージI/II NK細胞リンパ腫である請求項23に記載の方法。
- NK細胞リンパ腫が進行したNK細胞リンパ腫である請求項23に記載の方法。
- NK細胞リンパ腫がアグレッシブNK細胞リンパ腫である請求項23に記載の方法。
- NK細胞リンパ腫が鼻型NK細胞リンパ腫である請求項23に記載の方法。
- NK細胞リンパ腫が末梢NK細胞リンパ腫である請求項23に記載の方法。
- 前記NK細胞リンパ腫がCS1発現陽性である請求項23から28のいずれか一項に記載の方法。
- 更に前記投与の前に、CS1発現について前記NK細胞リンパ腫をアッセイする段階を含む請求項29に記載の方法。
- 患者がNK/T細胞リンパ腫をもつ請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
- NK/T細胞リンパ腫が鼻型NK/T細胞リンパ腫である請求項31に記載の方法。
- NK/T細胞リンパ腫が末梢NK/T細胞リンパ腫である請求項31に記載の方法。
- 前記NK/T細胞リンパ腫がCS1発現陽性である請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
- 更に前記投与の前に、CS1発現について前記NK/T細胞リンパ腫をアッセイする段階を含む請求項34に記載の方法。
- 患者がAITLをもつ請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記AITLがCS1発現陽性である請求項36に記載の方法。
- 更に前記投与の前に、CS1発現について前記AITLをアッセイする段階を含む請求項37に記載の方法。
- 患者がPTCL−NOSをもつ請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記PTCL−NOSがCS1発現陽性である請求項39に記載の方法。
- 更に前記投与の前に、CS1発現について前記PTCL−NOSをアッセイする段階を含む請求項40に記載の方法。
- 第2の治療剤が放射線療法である請求項3から41のいずれか一項に記載の方法。
- 第2の治療剤が化学療法剤である請求項42に記載の方法。
- 化学療法剤が細胞傷害性物質である請求項43に記載の方法。
- 細胞傷害性物質がメトトレキサート、デキサメタゾン、L−アスパラギナーゼ、アバスチン、キャンパス、エトポシド、ベルケード、クロファラビン、プロテアソーム阻害剤(PR−171、NPI0052)、トシツモマブ、イブリツモマブ、エベロリムス、サリドマイド、シスプラチン、アドリアマイシン、レブリミド、メルファラン、バトラシクリン、ラパチニブ、レキサツムマブ、イスピネシブ、HSP90阻害剤(17−AAG、ゲルダナマイシン、タネスピマイシン)、三酸化ヒ素である請求項44に記載の方法。
- 第2の治療剤が抗血管新生剤である請求項3から38のいずれか一項に記載の方法。
- 抗血管新生剤がスーテント、M200、アバスチン、ラパチニブ又は抗HDGF抗体である請求項46に記載の方法。
- 第2の治療剤がサイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤又はHDAC阻害剤である請求項3から38のいずれか一項に記載の方法。
- 第2の治療剤が併用療法である請求項3から38のいずれか一項に記載の方法。
- 併用療法がCHOP(シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)である請求項49に記載の方法。
- 併用療法が更にリツキサン療法を含む請求項50に記載の方法。
- 抗CS1抗体と第2の治療剤を同時、逐次又は別々に投与する請求項3から51のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを皮下投与する請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを静脈内投与する請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを局所投与する請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
- 抗CS1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、又は抗CS1抗体−薬剤コンジュゲートを局部投与する請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
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