JP2012506936A - オルガノメトキシシランを含み、異方性物質の特性を有する、ポリウレタン組成物 - Google Patents

オルガノメトキシシランを含み、異方性物質の特性を有する、ポリウレタン組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、単一成分の湿気硬化性組成物に関し、これは少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリアルジミン、オルガノメトキシシラン、酸、同様にスズ触媒を、お互い適合する特定の割合で含む。組成物は、気泡を形成することなく、できるだけ湿気によって硬化する。大気湿度による組成物の硬化において、事実上表面の粘着性を有さない主に弾性の被覆と主に塑性のコアとを有する異方性物質を生成する。組成物は、フレキシブルな封止剤として特に好適である。

Description

本発明は、単一成分の湿気硬化性ポリウレタン組成物、同様にその用途、特に封止剤としての分野に関する。
単一成分の湿気硬化性ポリウレタン組成物は、接着剤、封止剤、およびコーティング剤として、長い間使用されている。構造物の伸縮継手のための封止剤としての用途のために、組成物は、気泡を形成することなく硬化し、広い温度範囲において硬化後にフレキシブルである; つまり、少ない伸縮範囲において、引張応力の最も低い可能な値を有し、同時に高い形状回復性を有する必要がある。結果として、このような封止剤は、可逆的な方法で、かつ継手の物質への少ない力の伝達で、動作または温度差によって誘起される、継手の伸縮または圧縮を補うことができ、したがって可能な限り後者への圧力または損傷を少なくすることができる。
長鎖のポリアルジミンを含み、フレキシブルな封止剤として好適な、単一成分のポリウレタン組成物は、WO 2007/104761 A1から知られている。記載されている組成物は、気泡を形成することなく硬化し、室温および-20℃の両方において、100%引張応力の低い値を有する。しかしながら、他のフレキシブルなポリウレタン組成物と同様に、これらは多かれ少なかれ強い粘着表面を形成しがちであり、これは硬化の間、容易に汚れるようになる。構造物の外部の領域における伸縮継手は、ほとんどの場合において、すぐに観察者に目に見え、ビルの前面に色を合わせる。さらに、これらはしばしば明るい色調、例えば白色、薄灰色、またはコンクリート灰色を有し; これらの汚れはしばしばすぐに目に見え、それゆえ目をそらさせる。
封止剤として好適な、汚れにくい特別なポリアルジミンを含む単一成分の組成物は、WO 2008/116900 A1およびWO 2008/116902 A1から知られている。記載された組成物は、硬化後に低い表面の粘着性を有するが、異方性物質の特性を有さない。
WO 2007/104761 A1 WO 2008/116900 A1 WO 2008/116902 A1
それゆえ、本発明の目的は、利用可能な単一成分の湿気硬化性ポリウレタン組成物を作ることであり、これは気泡を形成することなく硬化し、硬化後にほとんど粘着を有さない表面を有し、同様に100%引張応力の低い値を有し、優れた形状回復性を有する。
驚くべきことに、この目的は、請求項1に開示された組成物によって達成され得る。この組成物は、ほとんど気泡を形成することなく、湿気によって硬化する。大気湿度による組成物の硬化において、異方性物質が、実質的に表面の粘着を有さない、主に弾性の被覆(「上部」)と、主に可塑性のコアとで生成される。しかしながら、十分に多量の本質的に均一に混合された水による組成物の硬化において、ほとんど等方性の
物質が生成される。この組成物は、その機械的特性に対して広い範囲内で変化し得る。これは、特にビルおよび産業用途、特に構造物の伸縮継手または自動車における封止のためのフレキシブルな封止剤として好適である。しかしながら、これは、振動抑制接着剤または封止剤として、あるいは衝撃および/または振動抑制コーティング剤としても使用されることができる。継手のための封止剤としての用途において、大気湿度による硬化後、継手は、粘着を有さない耐性のある表面で生成され、これは全体として広い温度範囲においてフレキシブルな特性および優れた形状回復性を有し、汚れの影響を受けにくい。
本発明の他の態様は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明の主題は、以下:
a) 少なくとも1つのポリイソシアネートP、
b) 少なくとも1つの式(I)のアルジミンA:
Figure 2012506936
(ここで、
nは2または3または4を表し、
Eはn個の第一級アミノ基を除去した後のn価のアミンBの有機基を表し、かつ
Yは1から35個のC原子を有する一価の炭化水素基を表し、これは場合によって少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよい)、
c) 少なくとも1つの式(VI)の基:
Figure 2012506936
(ここで、
aは0または1または2、好ましくは0または1を表し、かつ
R7は1から8個のC原子を有するアルキル基、特にメチル基を表す)
を有する、少なくとも1つのオルガノメトキシシランOS、
d) ジアルキルスズ(IV)化合物の形態の、少なくとも1つのスズ触媒Z、
e) 少なくとも1つの酸S;
を含む、単一成分の湿気硬化性組成物であるが、ただし、組成物において、
(i) アルジミノ基の数とイソシアネート基の数との間の比V1が、0.2から0.8の範囲であり、
(ii) オルガノメトキシシランOSのメトキシ基の数とイソシアネート基の数との間の比V2が、0.2から0.7の範囲であり、
(iii) スズ触媒Zからのスズ原子の数とイソシアネート基の数との間の比V3が、0.002から0.006の範囲である。
本明細書において、「ポリ」で始まる物質名、例えばポリオール、ポリイソシアネートまたはポリアルデヒドは、形式的に、1分子ごとに、その名称を生じる2つ以上の官能基を含む物質を表す。
本明細書において、用語「ポリイソシアネート」は、それがモノマーのジイソシアネートであるか、オリゴマーのジイソシアネートであるか、またはイソシアネート基を有する比較的高分子量のポリマーであるかに関わらず、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を含む。
本明細書において、用語「オルガノメトキシシラン」はケイ素を含む化合物を表し、ここでケイ素原子は、少なくとも1つ、特に2つまたは3つのメトキシ基と、少なくとも1つの直接結合した有機基との両方と結合し、したがって少なくとも1つのSi-C結合を有する。これに対応して、用語「シラン基」は、オルガノメトキシシランの有機基に結合したケイ素を含む基を表す。オルガノメトキシシラン、またはそのシラン基は、湿気と接触して加水分解する特性を有し、この場合、メタノールを放出する。
用語「引張応力」は、膨張状態の物質に働く応力を表す。用語「100%引張応力」は、その長さの2倍に伸張した物質に働く応力を表す。
一実施形態において、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPは、ポリイソシアネートPとして好適である。
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート-ポリマー法によって生成された全てのポリマーを含む。これには、ウレタン基をほとんど含まないか、または完全に含まないポリマーが含まれる。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレートおよびポリカルボジイミドである。
好適なポリウレタンポリマーPUPは、特に、少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのポリイソシアネートとの反応から得られる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートを一般的に使用される方法、例えば50℃から100℃の温度で、場合によって同時に好適な触媒を使用してもよく反応させて行うことができ、ここでポリイソシアネートは、そのイソシアネート基が、ポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的過剰量で存在するように測定される。ポリイソシアネートは、有利には、1.3から5、特に1.5から3のNCO/OH比を維持するように測定される。「NCO/OH比」は、使用されるヒドロキシル基の数に対する、使用されるイソシアネート基の数の比を意味する。好ましくは、0.5から15質量%、特に好ましくは0.5から5質量%の自由なイソシアネート基の含有量が、ポリオールの全てのヒドロキシル基の反応後にポリウレタンポリマーPUP中に残る。
場合によって、ポリウレタンポリマーPUPを、同時に軟化剤を使用して生成することができ、ここで使用される軟化剤は、イソシアネート基に対して反応性であるいずれの基も含まない。
ポリウレタンポリマーPUPの生成のためのポリオールとして、例えば以下の商業的に利用可能なポリオールまたはその混合物を使用することができる:
- ポリエーテルポリオールまたはオリゴエテロール(oligoetherol)とも呼ばれるポリオキシアルキレンポリオールであって、場合によって2つ以上の活性水素原子、例えば水、アンモニア、またはいくつかのOHもしくはNH基を有する化合物、例えば1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、同様に上記で挙げた化合物の混合物を有するスターター分子(starter molecule)を使用してポリマー化されてもよい、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-または2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランまたはその混合物の重合生成物。低い不飽和度(ASTM D-2849-69によって測定され、ポリオールの1グラムあたりの不飽和のミリグラム等量(mEq/g)で示される)を有し、例えばいわゆる二重金属シアニド錯体触媒(DMC触媒)を使用して生成される、ポリオキシアルキレンポリオールと、同様に、高い不飽和度を有し、例えばNaOH、KOH、CsOHまたはアルカリアルコラートなどのアニオン性触媒を使用して生成される、ポリオキシアルキレンポリオールとの両方を使用することができる。
ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンジオールならびにトリオールが、特に好適である。
0.02mEq/g未満の不飽和度を有し、かつ1000〜30000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールおよびトリオール、同様に400〜8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールが、特に好適である。
また、特に好適なものは、いわゆるエチレンオキシドで末端化された(「EOで末端をキャップされた」、エチレンオキシドで末端をキャップされた)ポリオキシプロピレンポリオールである。後者は、例えば純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールを、エチレンオキシドとのポリプロポキシ化反応が終了した後、さらにアルコキシル化し、結果として第一級ヒドロキシル基を有することで得られる特別なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
- スチレン-アクリロニトリルまたはアクリロニトリル-メチルメタクリレートを埋め込まれたポリエーテルポリオール。
- 知られている方法、特に二価または多価のアルコールと、ヒドロキシカルボン酸との重縮合または脂肪族および/あるいは芳香族のポリカルボン酸との重縮合によって生成される、オリゴエステロール(oligoesterol)とも呼ばれるポリエステルポリオール。
ポリエステルポリオールとして特に好適なものは、二価から三価、特に二価のアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマーの脂肪酸ジオール(ダイマーのジオール)、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパンまたは上記で挙げたアルコールの混合物と、有機のジ-またはトリカルボン酸、特にジカルボン酸、またはそれらの無水物もしくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマーの脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸およびトリメリト酸無水物、または上記で挙げた酸の混合物とから生成されるもの、同様にラクトン、例えばε-カプロラクトンと上記で挙げた二価または三価のアルコールなどのスターターとからなるポリエステルポリオールである。
特に好適なポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。
- ポリカーボネートポリオールであって、これらは例えばポリエステルポリオールを作るために使用された上記で挙げたアルコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートまたはホスゲンとの反応によって利用可能である。
- 上記の種類のポリエーテル、ポリエステルおよび/またはポリカーボネート構造を有する、少なくとも2つの異なるブロックを有する、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するブロックコポリマー、特にポリエーテル-ポリエステルポリオール。
- ポリアクリレート-およびポリメタクリレートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性の脂肪および油、例えば天然の脂肪および油、特にキャスター油; または天然の脂肪および油の化学変性によって得られるポリオール-いわゆる油脂化学のポリオール、例えば不飽和油のエポキシ化および続けてカルボン酸もしくはアルコールとの開環によって得られるエポキシポリエステルまたはエポキシポリエーテル、または不飽和油のヒドロホルミル化および水素化によって得られるポリオール; あるいは分解プロセス、例えばアルコール分解またはオゾン分解および続けて得られた分解生成物またはその誘導体の化学的架橋、例えば再エステル化またはダイマー化によって天然の脂肪および油から得られるポリオール。天然の脂肪および油の好適な分解生成物は、特に脂肪酸および脂肪アルコール、同様に、例えばヒドロキシ脂肪酸エステルを形成するためのヒドロホルミル化および水素化によって得られる、脂肪酸エステル、特にメチルエステル(FAME)である。
- オリゴハイドロカルボノール(oligohydrocarbonol)とも呼ばれるポリ炭化水素、例えばポリヒドロキシ官能性のポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン; ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン-、エチレン-ブチレン-またはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマーであって、これらは例えばKraton Polymers社によって製造される; 特にアニオン性の重合化から生成され得る、ジエン、特に1,3-ブタジエンのポリヒドロキシ官能性のポリマー; ジエン、例えば1,3-ブタジエンまたはジエンの混合物と、ビニルモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレンおよびイソプレンとからなるポリヒドロキシ官能性のコポリマー、例えばポリヒドロキシ官能性のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーであって、これらは例えばエポキシドまたはアミノアルコールとカルボキシル末端化アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーから生成され得る(例えばNanoresins AG、ドイツ、またはEmerald Performance Materials LLCのHypro(登録商標)(以前はHycar(登録商標)) CTBNおよびCTBNXならびにETBNの名称で商業的に利用可能); 同様にジエンの水素化されたポリヒドロキシ官能性のポリマーまたはコポリマー。
これらの上記で挙げたポリオールは、好ましくは、250〜30000g/mol、特に400〜20000g/molの平均分子量を有し、これらは好ましくは、1.6から3の範囲の平均OH官能度を有する。
ポリオールとして、ポリエーテル-、ポリエステル-、ポリカーボネート-およびポリアクリレートポリオール、好ましくはジオールおよびトリオールが好ましい。ポリエーテルポリオール、特にポリオキシプロピレン-およびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、同様に液体のポリエステルポリオールおよびポリエーテル-ポリエステルポリオールが特に好ましい。
これらの上記で挙げたポリオールに加えて、少量の低分子の二価または多価のアルコール、例えば1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ダイマーの脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、糖アルコール、例えばキシリトール、ソルビトールまたはマンニトール、サッカロースなどの糖、他の多価のアルコール、上記で挙げた二価および多価アルコールの低分子のアルコキシル化生成物、同様に上記で挙げたアルコールの混合物を、ポリウレタンポリマーPUPの生成において、同時に使用することができる。また、3を超える平均OH官能度を有する少量のポリオール、例えば糖ポリオールを、同時に使用することができる。
芳香族または脂肪族のポリイソシアネート、特に芳香族または脂肪族のジイソシアネートを、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの生成のためのポリイソシアネートとして使用する。
芳香族イソシアネート基のみを有する有機化合物は、「芳香族のイソシアネート」として表される。芳香族または複素環式基に結合したイソシアネート基は、「芳香族」として表される。脂肪族イソシアネート基を含む有機化合物は、「脂肪族のイソシアネート」として表される。脂肪族基、脂環式基または芳香脂肪族基に結合したイソシアネート基は、「脂肪族」として表される。
芳香族のポリイソシアネートとして、特に以下が好適である: モノマーのジ-またはトリイソシアネート、例えば2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネート、ならびにこれらの異性体のいずれかの混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-および2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートならびにこれらの異性体のいずれかの混合物(MDI)、MDIおよびMDIの同族体(ポリマーのMDIまたはPMDI)からなる混合物、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアネートベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアネートジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5-トリス-(イソシアネートメチル)-ベンゼン、トリス-(4-イソシアネートフェニル)-メタン、トリス-(4-イソシアネートフェニル)-チオホスフェート、上記で挙げたイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、同様に上記で挙げたイソシアネートのいずれかの混合物。MDIおよびTDIが好ましい。
脂肪族のポリイソシアネートとして、特に以下が好適である: モノマーのジ-またはトリイソシアネート、例えば1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンおよびリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-および-2,6-ジイソシアネート-シクロヘキサン、ならびにこれらの異性体(HTDIまたはH6TDI)のいずれかの混合物、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチル-シクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ-2,4’-および-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIまたはH12MDI)、1,4-ジイソシアネート-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス-(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-XDI)、m-およびp-テトラメチル-1,3-ならびに-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-TMXDI)、ビス-(1-イソシアネート-1-メチルエチル)-ナフタレン、ダイマーおよびトリマーの脂肪酸イソシアネート、例えば3,6-ビス-(9-イソシアネートノニル)-4,5-ジ-(1-ヘプテニル)-シクロヘキセン(ジメリル(dimeryl)ジイソシアネート)、α,α,α’,α’,α”,α”-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネート、上記で挙げたイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、同様に上記で挙げたイソシアネートのいずれかの混合物。HDIおよびIPDIが好ましい。
芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPが好ましい。
別の実施形態において、モノマーのジ-もしくはトリイソシアネートまたはモノマーのジイソシアネートのオリゴマーあるいはモノマーのジイソシアネートの誘導体の形態におけるポリイソシアネートPIが、ポリイソシアネートPとして好適であり、ここで特に上記で挙げた芳香族および脂肪族のジ-およびトリイソシアネートが、モノマーのジ-もしくはトリイソシアネートとして好適である。
ポリイソシアネートPIとして、以下が特に好適である: モノマーのジイソシアネート、特にHDI、IPDI、TDIおよびMDIのオリゴマーまたは誘導体。商業的に利用可能な種類は、特にHDIビウレット、例えばDesmodur(登録商標) N 100およびN 3200(Bayerから)、Tolonate(登録商標) HDBおよびHDB-LV(Rhodiaから)、ならびにDuranate(登録商標) 24A-100(Asahi Kaseiから); HDIイソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標) N 3300、N 3600およびN 3790 BA(すべてBayerから)、Tolonate(登録商標) HDT、HDT-LVおよびHDT-LV2(Rhodiaから)、Duranate(登録商標) TPA-100およびTHA-100(Asahi Kaseiから)ならびにCoronate(登録商標) HX(Nippon Polyurethanesから); HDIウレトジオン(uretdione)、例えばDesmodur(登録商標) N 3400(Bayerから); HDI-イミノオキサジアジンジオン、例えばDesmodur(登録商標) XP 2410(Bayerから); HDI-アロファネート、例えばDesmodur(登録商標) VP LS 2102(Bayerから); IPDIイソシアヌレート、例えば溶液中のDesmodur(登録商標) Z 4470(Bayerから)または固体の形態のVestanat(登録商標) T1890/100(Degussaから); TDIオリゴマー、例えばDesmodur(登録商標) IL(Bayerから); 同様にTDI/HDIに基づく混合されたイソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標) HL(Bayerから)。さらに、以下が室温において特に好適である: 例えばDesmodur(登録商標) CD、Desmodur(登録商標) PF、Desmodur(登録商標) PC(全てBayerから)などの商標名で知られている、MDIとMDIの誘導体、例えばMDIカルボジイミドまたはMDIウレトンイミンあるいはMDIウレタンとの混合物を表す、液体の形態のMDI(いわゆる“変性MDI”)、同様にDesmodur(登録商標) VL、Desmodur(登録商標) VL50、Desmodur(登録商標) VL R10、Desmodur(登録商標) VL R20およびDesmodur(登録商標) VKS 20F(全てBayerから)、Isonate(登録商標) M 309、Voranate(登録商標) M 229、およびVoranate(登録商標) M 580(全てDowから)またはLupranat(登録商標) M 10 R(BASFから)などの商標名で利用可能な、MDIとMDI同族体(ポリマーのMDIまたはPMDI)との混合物。
上記で挙げたオリゴマーのポリイソシアネートPIは、実際にはたいてい、異なるオリゴマー化度および化学構造を有する物質の混合物を表す。これらは、好ましくは、2.1から4.0のNCO官能度を有し、特にイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン、ウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、またはオキサジアジントリオン基を含む。これらのオリゴマーは、好ましくは、少ない含有量のモノマーのジイソシアネートを有する。
ポリイソシアネートPIとして、室温で液体のMDIの形態、同様にHDI、IPDIおよびTDIのオリゴマー、特にイソシアヌレートおよびビウレットが好ましい。
別の実施形態において、ポリイソシアネートPは、少なくとも1つのポリウレタンポリマーPUPと少なくとも1つのポリイソシアネートPIとからなる混合物であり、これらは前に記載した通りである。
ポリイソシアネートPは、好ましくは、芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである。
ポリイソシアネートPは、たいてい、全体の組成物に対して、5から95質量%の量で、好ましくは10から90質量%の量で存在する。フィラー入りの組成物、つまりフィラーを含む組成物において、ポリイソシアネートPは、全体の組成物に対して、5から60質量%、特に10から50質量%の量で好ましくは存在する。
さらに、単一成分の湿気硬化性組成物は、少なくとも1つの式(I)のアルジミン:
Figure 2012506936
を含む。
好ましい式(I)のアルジミンは、式(Ia)または(Ib)のアルジミンA1:
Figure 2012506936
(ここで、
R1およびR2は、お互い独立に、それぞれの場合において、1から12個のC原子を有する一価の炭化水素基を表すか、または、一緒になって、5から8個、好ましくは6個のC原子を有する、場合によって置換されてもよい炭素環の一部である、4から12個のC原子を有する二価の炭化水素基のどちらかを表し;
Y1は1から32個のC原子を有する一価の炭化水素基を表し、これは場合によって少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル、カルボニルまたはエステル基の形態の酸素を有してもよく;
Y2は、5から8個、好ましくは6個の原子の環のサイズを有する、置換されたまたは置換されていないアリールあるいはヘテロアリール基を表すか、または
Figure 2012506936
のどちらかを表し、ここでR6は水素原子またはアルコキシ基、あるいは置換されたもしくは置換されていない、少なくとも6個のC原子を有するアルケニルまたはアリールアルケニル基を表し;
Eおよびnは既に述べた意味を有する)
である。
それぞれの場合において、R1およびR2は、好ましくはメチル基を表す。
さらに、Y1は、好ましくは式(II)または(III)の基:
Figure 2012506936
(ここで、
R3は水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、あるいは1から12個のC原子を有するアルコキシカルボニル基を表し;
R4は1から30個のC原子を有する炭化水素基を表し、これは場合によってエーテル酸素原子を含んでもよく;
R5は水素原子を表すか、または1から30個のC原子を有し、場合によって環式部分を有してもよく、場合によって少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル、カルボニルもしくはエステル基の形態の酸素原子を有してもよい、直鎖もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または5から30個のC原子を有する、1つまたは複数の場所において不飽和の直鎖または分枝状の炭化水素基を表すか、あるいは場合によって置換されてもよい、芳香族または複素環式の5-もしくは6-員環のいずれかを表す)
を表す。
それぞれの場合における、本明細書中の式中の点線は、置換基と関連する分子の基との間の結合を表す。
R3は、好ましくは水素原子を表す。
R4は、好ましくは、場合によってエーテルの酸素原子を含んでもよい、6から30個、特に11から30個のC原子を有する炭化水素基を表す。
R5は、好ましくは、6から30個、特に11から30個のC原子を有し、場合によって環式部分を有してもよく、場合によって少なくとも1つのヘテロ原子を有してもよい、直鎖または分枝状のアルキル基を表すか、または6から30個、特に11から30個のC原子を有する、1つまたは複数の場所において不飽和の直鎖または分枝状の炭化水素基を表す。
R5は、最も好ましくはC11-アルキル基を表す。
アルジミンAとして最も好ましくは、Y1が式(III)の基を表す、式(Ia)のアルジミンA1である。
式(I)のアルジミンAは縮合反応によって得ることができる一方、少なくとも1つの式(IV)のアミンBと少なくとも1つの式(V)のアルデヒドALDとの間で、水で開裂する。これに関連して、アルデヒドALDを、アミンBのアミノ基に対して化学量論的に、または化学量論的過剰量で使用する。
Figure 2012506936
式(IV)および(V)において、E、nおよびYは、既に述べた意味を有する。
アミンBとして、一実施形態において、少なくとも2つの第一級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、特に以下が好適である。
- 脂肪族、脂環式または芳香脂肪族のジアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパン-ジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)-メタン(H12-MDA)、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)-メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンならびにこれらの混合物、1,3-および1,4-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス-(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8-メンタン(menthane)ジアミン、3,9-ビス-(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、同様に1,3-および1,4-キシリレンジアミン;
- エーテル基を含む脂肪族のジアミン、例えばビス-(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミンおよびこれらのジアミンの高オリゴマー、ビス-(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフランおよび例えば350から5200の範囲の分子量を有する、他のポリテトラヒドロフラン-ジアミン、同様にポリオキシアルキレン-ジアミン。後者は、典型的には、ポリオキシアルキレン-ジオールのアミノ化からの生成物を表し、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsmanから)の名称で、ポリエーテルアミンの名称で(BASFから)、またはPC Amine(登録商標)(Nitroilから)の名称で利用可能である。特に好適なポリオキシアルキレン-ジアミンは、Jeffamine(登録商標) D-230、Jeffamine(登録商標) D-400、Jeffamine(登録商標) D-2000、Jeffamine(登録商標) D-4000、Jeffamine(登録商標) XTJ-511、Jeffamine(登録商標) ED-600、Jeffamine(登録商標) ED-900、Jeffamine(登録商標) ED-2003、Jeffamine(登録商標) XTJ-568、Jeffamine(登録商標) XTJ-569、Jeffamine(登録商標) XTJ-523、Jeffamine(登録商標) XTJ-536、Jeffamine(登録商標) XTJ-542、Jeffamine(登録商標) XTJ-559、Jeffamine(登録商標) EDR-104、Jeffamine(登録商標) EDR-148、Jeffamine(登録商標) EDR-176; ポリエーテルアミン D 230、ポリエーテルアミン D 400 およびポリエーテルアミン D 2000、PC Amine(登録商標) DA 250、PC Amine(登録商標) DA 400、PC Amine(登録商標) DA 650およびPC Amine(登録商標) DA 2000である;
- 脂肪族、脂環式または芳香脂肪族のトリアミン、例えば4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス-(アミノメチル)-ベンゼン、1,3,5-トリス-(アミノメチル)-シクロヘキサン、トリス-(2-アミノメチル)-アミン、トリス-(2-アミノプロピル)-アミン、トリス-(3-アミノプロピル)-アミン;
- ポリオキシアルキレン-トリアミン、これは典型的にはポリオキシアルキレントリオールのアミノ化からの生成物を表し、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsmanから)の商標名で、ポリエーテルアミンの名称で(BASFから)、またはPC Amine(登録商標)(Nitroilから)の名称で利用可能であり、例えば、Jeffamine(登録商標) T-403、Jeffamine(登録商標) T-3000、Jeffamine(登録商標) T-5000; ポリエーテルアミン T403、ポリエーテルアミン T5000; およびPC amine(登録商標) TA 403、PC Amine(登録商標) TA 5000。
アミンBとして、別の実施形態において、少なくとも2つの第一級芳香族アミノ基を有するポリアミン、特に芳香族のジ-およびトリアミン、例えば1,2-、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4-および2,6-トルイレンジアミン(TDA)、3,4-トルイレンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-および-2,6-トルイレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-および-2,6-トルイレンジアミン(DETDA)、2,4,6-トリエチル-1,3-フェニレンジアミン、2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、3-エチル-5-メチル-2,4-トルイレンジアミン、3,5-ジイソプロピル-2,4-トルイレンジアミン、3,5-ビス-(1-メチルプロピル)-2,4-トルイレンジアミン、3,5-ビス-(tert-ブチル)-2,4-トルイレンジアミン、3-エチル-5-イソプロピル-2,4-トルイレンジアミン、5-イソプロピル-2,4-トルイレンジアミン、5-(tert-ブチル)-2,4-トルイレンジアミン、4,6-ビス-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(tert-ブチル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-(tert-ブチル)-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-エチル-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4,6-ジシクロペンチル-1,3-フェニレンジアミン、3-イソプロピル-2,6-トルイレンジアミン、2-メチルプロピル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、tert-ブチル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、2,6-ジアミノピリジン、メラミン、4,4’-、2,4’-および2,2’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-DEA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-CDEA)、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-MIPA)、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-DIPA)、3,3’,5,5’-テトラ-(1-メチルプロピル)-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)-ベンゼンスルホンアミド、5,5’-メチレンジアントラニル酸、ジメチル-(5,5’-メチレンジアントラニレート)、1,3-プロピレン-ビス-(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレン-ビス-(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ビス-(4-アミノベンゾエート)(Air ProductsのVersalink(登録商標)として利用可能)ならびに1,2-ビス-(2-アミノフェニルチオ)-エタンが好適である。
別の実施形態において、以下がアミンBとして好適である: 第一級芳香族および第一級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、特に4-(アミノエチル)アニリン、4-(アミノメチル)アニリン、4-[(4-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン、2-(アミノエチル)アニリン、2-(アミノメチル)アニリン、2-[(4-(アミノシクロヘキシル)メチル]アニリンおよび4-[(2-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン。
窒素原子が脂肪族基、脂環式基または芳香脂肪族基のみに結合したアミンまたはアミノ基は、「脂肪族」として表される。窒素原子が直接芳香族基または複素環式基に結合したアミンまたはアミノ基は、「芳香族」として表される。
アミンBは、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)-メタン、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン; 2つまたは3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミン、特にJeffamine(登録商標)の商標名でHuntsmanから利用可能な種類D-230、D-400、D-2000、T-403およびT-5000、ならびにそれと類似体であるBASFまたはNitroilからの化合物; 1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4-および2,6-トルイレンジアミン、4,4’-、2,4’-および2,2’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン; ならびに上記で挙げたポリアミンの混合物からなる群から好ましくは選択される。
アミンBは、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMDおよび2つまたは3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミン、特にJeffamine(登録商標)の商標名でHuntsmanから得られる種類D-230、D-400およびT-403、ならびにそれと類似体であるBASFまたはNitroilからの化合物からなる群から特に好ましくは選択される。
アルデヒドALDとして、以下が好適である: 第一級および第二級脂肪族のアルデヒド、特にプロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチル-ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチル-ウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドおよびジフェニルアセトアルデヒド。
アルデヒドALDとして、エノール化できないアルデヒドが特に好適であり、これはアルデヒド(これは、エナミノ基に互変異性化できず、それゆえ特によくブロックされたアミノ基を表す)が、第一級アミンとの反応においてアルジミノ基を形成するからである。特に、第三級脂肪族および芳香族のアルデヒドは、エノール化しないアルデヒドを表す。
アルデヒドALDとして、式(Va)の第三級脂肪族のアルデヒドALD1:
Figure 2012506936
(ここで、R1、R2およびY1は既に述べた意味を有する)
が特に好ましい。
式(Va)の好適なアルデヒドALD1は、特に、ピバルアルデヒド(=2,2-ジメチル-プロパナール)、2,2-ジメチル-ブタナール、2,2-ジエチル-ブタナール、1-メチル-シクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-メチル-シクロヘキサンカルボキシアルデヒド; 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとアルコール、例えばプロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび2-エチルヘキサノールとからなるエーテル; 2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸または3-ホルミル-3-メチル酪酸とアルコール、例えばプロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび2-エチルヘキサノールとからなるエステル; 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとカルボン酸、例えば酪酸、イソ酪酸、および2-エチルヘキサン酸とからなるエステル; 同様に以下で特に好適として記載される、2,2-二置換3-ヒドロキシプロパナール、-ブタナールまたは同様の高アルデヒド、特に2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールからのエーテルおよびエステルである。
式(Va)の特に好適なアルデヒドALD1は、式(Vb)のアルデヒドALD2:
Figure 2012506936
(ここで、R1、R2、R3およびR4は既に挙げた意味を有する)
の実施形態である。
式(Vb)のアルデヒドALD2は、脂肪族、脂環式または芳香脂肪族の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドと式R4-OHのアルコールまたはフェノール類、例えば脂肪アルコールもしくはフェノール類とのエーテルを表す。好適な2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドは、第一級または第二級脂肪族のアルデヒド、特にホルムアルデヒドと、第二級脂肪族、第二級脂環式または第二級芳香脂肪族のアルデヒド、例えば特にイソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロプアルデヒド)またはジフェニルアセトアルデヒドとの間のアルドール反応、特に交差アルドール反応から順に利用可能である。好適な2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドの例は、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-ブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチル-ブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-ペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチル-ヘキサナール、1-ヒドロキシメチル-シクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチル-シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチル-シクロへキシ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニル-プロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニル-プロパナールおよび3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-プロパナールである。
特に好適なアルデヒドALD2は、2,2-ジメチル-3-フェノキシ-プロパナール、3-シクロヘキシルオキシ-2,2-ジメチル-プロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)-プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシ-プロパナールおよび2,2-ジメチル-3-ステアロキシ-プロパナールである。
式(Va)の特に好適なアルデヒドALD1は、式(Vc)のアルデヒドALD3:
Figure 2012506936
(ここで、R1、R2、R3およびR5は既に述べた意味を有する)
の別の実施形態である。
式(Vc)のアルデヒドALD3は、既に記載した2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒド、例えば特に2,2-ジメチル-3-ヒドロキシ-プロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-ブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチル-ブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-ペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチル-ヘキサナール、1-ヒドロキシメチル-シクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチル-シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチル-シクロへキシ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニル-プロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニル-プロパナールおよび3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-プロパナールと、好適なカルボン酸とのエステルを表す。
この反応に好適なカルボン酸は、例えば、飽和脂肪族のカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチル-カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸; 一重不飽和脂肪族のカルボン酸、例えばパルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸; 多重不飽和脂肪族のカルボン酸、例えばリノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸; 脂環式カルボン酸、例えばシクロヘキサンカルボン酸; 芳香脂肪族のカルボン酸、例えばフェニル酢酸; 芳香族のカルボン酸、例えば安息香酸、ナフトエ酸、トルイル酸、アニス酸; これらの酸の異性体; 天然の油および脂肪の技術的な鹸化からなる脂肪酸混合物、例えば菜種油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナッツ油、パーム核油、およびパーム油; 同様にジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジオン酸およびポリエチレングリコールの類似の誘導体とアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、これらのアルコールの高同族体および異性体との単純エステル化から得られる、ジカルボン酸モノアルキル-および-アリールエステルである。好ましいものは、少なくとも7個のC原子、特に少なくとも12個のC原子を有するカルボン酸である。
式(V)のアルデヒドALDとして、式(Vd)のアルデヒドALD4:
Figure 2012506936
(ここで、Y2は既に述べた意味を有する)
が、別の実施形態において、特に好適である。
一方、アルデヒドALD4として、以下が好適である: 芳香族のアルデヒド、例えば特にベンズアルデヒド、2-および3-ならびに4-トルアルデヒド、4-エチル-および4-プロピル-および4-イソプロピルならびに4-ブチル-ベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、異性体のジ-およびトリアルコキシベンズアルデヒド、2-、3-および4-ニトロベンズアルデヒド、2-および3-ならびに4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-および2-ナフチルアルデヒド、3-および4-フェニルオキシ-ベンズアルデヒド、キノリン-2-カルバルデヒド、ならびにその3-、4-、5-、6-、7-および8位の異性体、同様にアントラセン-9-カルバルデヒド; 同様に、さらに、グリオキサル、グリオキサル酸エステル、例えばグリオキサル酸メチルエステル、桂皮アルデヒド、ならびに置換された桂皮アルデヒド。
式(V)のアルデヒドALDとして、式(Va)のエノール化しないアルデヒドALD1、式(Vb)のALD2、式(Vc)のALD3および式(Vd)のALD4が好ましい。式(Vb)のアルデヒドALD2および式(Vc)のALD3が特に好ましい。式(Vc)のアルデヒドALD3、特に基R5が6から30のC原子を有するものが、特に好ましい。基R5が11から30のC原子を有する、式(Vc)の無臭のアルデヒドALD3が最も好ましい。これらの中で、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシ-プロパナールが特に好ましい。
式(I)のアルジミンAは、単一成分の湿気硬化性組成物中に、組成物中のアルジミノ基の数とイソシアネート基の数との間の比V1が、0.2から0.8、特に0.3から0.6の範囲となる量で存在する。
Y1が6から30個のC原子を有する基R5を有する式(III)の基を有する、式(Ia)のアルジミンA1は、低臭気であり、それゆえ好ましい。
Y1が11から30個のC原子を有する基R5を有する式(III)の基を有する、式(Ia)のアルジミンA1は、臭気が無く、それゆえ特に好ましい。
式(Ia)のこのようなアルジミンA1を含む組成物は、硬化の前、間および後にほとんど臭気を有さないか、または臭気を有さない。
「低臭気」の物質と「低臭気の生成を伴う」物質は、臭気が知覚できる物質が、わずかな程度でのみヒトによって匂いを感じられる物質として区別無く定義され、したがってこれは、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、または溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトンのような強い臭気を有さず、それゆえこのわずかな臭気は、ほとんどのヒトにとって不快または忌避されるとは考えられない。
「臭気を有さない」物質は、ほとんどのヒトによって匂いを感じられない物質として定義され、したがって知覚できる臭気を有さない。
さらに、単一成分の湿気硬化性組成物は、少なくとも1つの式(VI)の基を有する、少なくとも1つのオルガノメトキシシランOSを含む。
オルガノメトキシシランOSとして、特に以下が好適である: メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、2-メチルプロピルトリメトキシシラン、2,4,4-トリメチルペンチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、N-トリメトキシシリルプロピル-O-メチル-カルバメート、S-オクタノイル-メルカプトプロピルトリメトキシシラン; メルカプトシラン、特に3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン; 第一級および第二級アミノシラン、特に3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノイソブチルトリメトキシシラン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、同様に第一級アミノシラン、例えば特に3-アミノプロピルトリメトキシシランと、アクリロニトリル、マレイン酸またはフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、アクリル酸およびメタクリル酸アミド、ならびにイタコン酸ジエステルとの、モル比1:1で反応させた、マイケル様付加からなる生成物; 3-アミノプロピル-トリメトキシシランと、エノール化しないアルデヒド、特に既に挙げた式(Va)のアルデヒドALD1、式(Vb)のALD2、式(Vc)のALD3および式(Vd)のALD4との反応からのアルジミノシラン; さらに、トリメトキシシラン基の代わりにジメトキシメチルシラン基を有する、対応するオルガノメトキシシラン; さらに、メルカプトシラン、または第一級もしくは第二級アミノシランと、イソシアネートまたはイソチオシアネートとからの
付加物AD; ならびにさらに、上記で挙げたオルガノメトキシシランのオリゴマーの形態。
上記で挙げたオルガノメトキシシランの多くは商業的に利用可能であり、特にWacker Chemie、Evonik Degussa、Momentive Performance MaterialsおよびShin-Etsuなどの会社から利用可能である。
付加物ADのためのイソシアネートまたはイソチオシアネートとして、一実施形態において、モノイソシアネート、またはモノイソチオシアネート、例えばメチルイソチオシアネート、エチルイソチオシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、フェニルイソチオシアネート、p-トルエンスルホニル-イソシアネートおよびイソシアネートプロピルトリメトキシシランが好適である。さらに、付加物ADのための好適なイソシアネートは、ポリイソシアネート、特に既に挙げたポリイソシアネートPIである。さらに、付加物ADのための好適なイソシアネートは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマー、特に既に挙げたポリウレタンポリマーPUPである。イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーとアミノ-またはメルカプトシランとからなる付加生成物は、シラン官能性ポリマーとしても表され得る。
さらに、既に挙げたもの以外のシラン官能性ポリマーは、オルガノメトキシシランOSとして好適である。例えば、末端の二重結合とポリマーとのヒドロシリル化反応によって利用可能な、少なくとも1つの式(VI)の基を有するシラン官能性ポリマー、例えばポリ(メタ)アクリレートポリマーまたはポリエーテルポリマー、特にアリル-末端ポリオキシアルキレンポリマーが好適である。また、好適なものは、ヒドロキシ官能性ポリマーと、3-イソシアネートプロピル-トリメトキシシランまたは3-イソシアネートプロピル-ジメトキシメチルシランとの反応により利用可能なシラン官能性ポリマーであり、ヒドロキシ官能性ポリマーとして、場合によってポリイソシアネートで鎖が延びてもよいポリエーテルポリオールが特に好適である。
メルカプトシランまたは第一級あるいは第二級アミノシランがオルガノメトキシシランOSとして使用される場合、既存のポリイソシアネートPを有する付加物ADは、したがってin situにおける組成物中で形成される。
オルガノメトキシシランOSは、好ましくは、a=0を有する少なくとも1つの式(VI)の基(VI)を有する。
オルガノメトキシシランOSは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミンおよびN-(3-トリメトキシシリル-プロピル)-アミノ-コハク酸-ジエチルエステルからなる群から好ましくは選択される。
オルガノメトキシシランOSとして、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
オルガノメトキシシランOSは、単一成分の湿気硬化性組成物中に、オルガノメトキシシランOSのメトキシ基の数とイソシアネート基の数との間の比V2が、0.2から0.7、特に0.2から0.5の範囲となる量で存在する。
湿気と接触すると、オルガノメトキシシランOSのシラン基は加水分解され、これによりメトキシ基はメタノールとして開裂する。
さらに、単一成分の湿気硬化性組成物は、ジアルキルスズ(IV)化合物の形態で、少なくとも1つのスズ触媒Zを含む。スズ触媒Zとして、特に以下が好適である: ジブチル-およびジオクチルスズジカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、ジブチルスズジアセテート(DBTA)、ジオクチルスズジアセテート(DOTA)、ジブチルスズ-ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチルスズ-ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズ-ビス(ネオデカノエート)、ジブチルスズジバーサテート、ジブチルスズ-ビス(メチルマレエート)、ジブチルスズ-ビス(モノブチルマレエート)、ジブチルスズ-ビス(オクチルマレエート)、ジブチルスズジオクタノエート、ジオクチルスズジオクタノエート、ジブチルスズ-ビス(イソオクタノエート)、ジブチルスズジパルミテート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジリノレエート、ジブチルスズジリノレネート、ジブチルスズマレエート; ジブチル-およびジオクチルスズジケトネート、例えばジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズジアセチルアセトネート; ジブチルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズオキシド(DBTO)、ジオクチルスズオキシド; スタンオキサン(stannoxane)、例えばジブチル-ラウリルジスタンオキサンおよびSn,Sn'-ビス(トリエチルオルトシリケート-ジブチル)-ジスタンオキサン(Nitto KaseiのNeostann(商標) U700); 同様に、ブチル基またはオクチル基の代わりに他のアルキル基を有する、対応するジアルキルスズ(IV)化合物。
スズ触媒Zは、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジラウレートからなる群から好ましくは選択される。
スズ触媒Zは、単一成分の湿気硬化性組成物中に、スズ触媒Zからのスズ原子の数とイソシアネート基の数との間の比V3が、0.002から0.006、特に0.002から0.0045の範囲となる量で存在する。
スズ触媒Zは、シラン基の加水分解およびイソシアネート基と例えば水およびメタノールとの反応を加速する。
さらに、単一成分の湿気硬化性組成物は、少なくとも1つの酸Sを包含する。
酸Sは、特に任意のブレンステッド酸、例えば塩酸、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸; モノ-およびジアルキル-ならびに-アリールホスフェート、例えばトリデシルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジフェニルホスフェートおよびビス-(2-エチルヘキシル)ホスフェート; 亜リン酸、硝酸、亜硝酸、過塩素酸、亜塩素酸、同様に任意の有機のブレンステッド酸、同様に上記で挙げたブレンステッド酸の混合物である。
酸Sとして好ましいものは、有機のブレンステッド酸、例えば以下である:
- カルボン酸、例えば飽和脂肪族のモノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸; 飽和脂肪族のポリカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸; 一重または多重の不飽和脂肪族のモノ-およびポリカルボン酸、例えばパルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、リシン酸(ricinic acid)、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸; 脂環式モノ-およびポリカルボン酸、例えばシクロヘキサンカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、樹脂酸、ナフテン酸; 脂肪族のヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、マンデル酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸; ハロゲン化された脂肪族のカルボン酸、例えばトリクロロ酢酸または2-クロロプロピオン酸; 芳香族のモノ-およびポリカルボン酸、例えば安息香酸、サリチル酸、没食子酸、位置異性体のトリル酸、メトキシ安息香酸、クロロ安息香酸、ニトロ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸; 技術的なカルボン酸混合物、例えばバーサティック酸(versatic acid); アクリル酸およびメタクリル酸の重合または共重合からのポリカルボン酸;
- カルボン酸無水物、例えばフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびヘキサヒドロメチルフタル酸無水物、有機のカルボン酸のシリルエステル;
- 有機のカルボン酸のシリルエステル;
- スルホン酸、例えばメチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ブチルスルホン酸、3-ヒドロキシプロピルスルホン酸、スルホ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-キシレンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸およびジノニルナフタレンジスルホン酸、同様にスルホン酸エステル;
- 有機のホスホン酸およびモノアルキルホスホネート、例えばメチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2-ヒドロキシエチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ホスホノ酢酸、エチドロン酸、メチルホスホン酸エチルエステル; 同様に上記で挙げたブレンステッド酸の混合物。
酸Sとして、カルボン酸およびスルホン酸の形態の有機のブレンステッド酸、特に芳香族のカルボン酸、例えば安息香酸およびサリチル酸が好ましい。サリチル酸が特に好ましい。
酸Sは、アルジミンAの加水分解への触媒作用を有する。結果として、濃度および酸強度に応じて、組成物中に十分な水が存在する場合、アルジミンAとイソシアネート基との反応を多かれ少なかれ強く促進する。
たいてい、酸Sは、単一成分の湿気硬化性組成物中に、0.005から2質量%、好ましくは0.01から0.5質量%の量で存在する。
単一成分の湿気硬化性組成物は、場合によってさらなる成分、特にアジュバントおよびポリウレタン組成物において通常使用される添加剤を含んでもよく、例えば以下である:
- 軟化剤、特にカルボン酸エステル、例えばフタレート、特にジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、またはジイソデシルフタレート; アジペート、特にジオクチルアジペート、アゼレートおよびセバケート; 有機のリン酸エステルおよびスルホン酸エステル、あるいはポリブテン;
- 非反応性熱可塑性ポリマー、例えば、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル、およびアルキル(メタ)アクリレートを含む群からの不飽和モノマーのホモ-またはコポリマー、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)およびアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 溶媒;
- 無機および有機フィラー、例えば場合によって脂肪酸、特にステアレートでコートされていてもよい、重質または沈降炭酸カルシウム、バライト(BaSO4、硫酸バリウムとも呼ばれる)、石英の粉、焼成したカオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸、特に熱分解プロセスからの高分散ケイ酸、カーボンブラック、特に産業的に製造されたカーボンブラック(以下で「カーボンブラック」として表される)、PVCのパウダーまたは中空球;
- 繊維、例えばポリエチレンから作られたもの;
- 顔料、例えば二酸化チタンまたは酸化鉄;
- イソシアネート基の反応を加速するさらなる触媒、例えばスズ(II)化合物、例えばスズジオクトエートおよびスズ-ビス(ネオデカノエート); ビスマス化合物、例えばビスマストリオクトエートおよびビスマストリス(ネオデカノート); ならびに第三級アミノ基を含む化合物、例えば2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルおよび1,4-ジアザ-ビシクロ[2,2,2]オクタン;
- レオロジー改質剤、例えば増粘剤またはチキソトロピー剤、例えば尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、または焼成ケイ酸;
- 乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ、酸化カルシウム、p-トシルイソシアネートなどの高反応性イソシアネート、オルトギ酸エステル、テトラメトキシ-または-エトキシシランなどのケイ酸エステル;
- 熱、光およびUV照射を保護するための安定化剤;
- 難燃性物質;
- 界面活性剤、例えば湿潤剤、流動促進剤、換気剤(ventilating agent)または発泡阻害剤;
- 殺生物剤、例えば殺藻剤、殺真菌剤または真菌の成長を阻害する物質;
同様に、単一成分の湿気硬化性ポリウレタン組成物において通常使用される他の物質。
このようなさらなる成分を使用する場合、前記成分が組成物の寿命を大きく損なわないことを確実にすることが有利である。これは、湿気を含まない条件下の組成物の保存の間、前記成分が十分な程度までのイソシアネート基の架橋を誘発しないことを意味する。特にこれは、添加剤を、水を含まないか、または微量の水のみを含むように使用することを意味する。組成物に添加剤を混合する前に、化学的または物理的に特定の添加剤を乾燥することが望ましい。
単一成分の湿気硬化性組成物は、湿気を含まない条件下で生成され、かつ保存される。これは長い寿命を有する、つまりこれは好適な包装または配置、例えばドラム、バッグ、もしくはカートリッジ中で、数ヶ月から最大1年間およびもっと長い間にわたって湿気を含まない条件下で保存することができ、これはその用途の特性またはその使用に関連した程度まで硬化後の特性を代えることはない。たいてい、寿命は粘度または押出し力を測定することによって決定される。芳香族イソシアネート基を含む組成物は、エナミンを形成しない式(Ia)または(Ib)のアルジミンA1がアルジミンAとして存在する場合、特に貯蔵中に安定である。
アルジミンAのアルジミノ基は、湿気と接触して加水分解する特性を有する。組成物中に存在するイソシアネート基は、加水分解の間に形式的に自由化される式(IV)のアミンBと反応し; これに関連して、式(V)の対応するアルデヒドALDが放出される。この場合において、イソシアネート基と加水分解するアルジミンAとの反応は、アミンBと起こる必要はない。もちろん、アルジミンAの加水分解の中間段階の反応も可能である。例えば、半アミナールの形態のアルジミンAの加水分解は、イソシアネート基と直接反応することがあり得る。
さらに、オルガノメトキシシランOSのシラン基は、湿気と接触して加水分解する特性を有する。この場合において、メタノールの放出と一緒に、Si-OH基、いわゆるシラノール基を形成する。放出されたメタノールは、存在するイソシアネート基と反応し、それゆえそれぞれの場合において、O-メチルカルバメート基を形成する。イソシアネート基が自由化されたメタノールのための反応剤として利用可能ではない場合、メタノールは徐々に組成物から拡散する。代わりに生成されたシラノール基は、水を放出してお互い縮合して、Si-O-Si基を形成する。
さらに、存在するイソシアネート基は、直接湿気と反応することができる。この場合において、2つのイソシアネート基から尿素基が形成し、一方、CO2分子と一緒に開裂する。
イソシアネート基でアルジミンAを加水分解する反応、およびイソシアネート基の直接湿気との反応は、いわゆる架橋反応である。これらの反応の結果として、組成物は最終的に硬化する; このプロセスは架橋としても表される。
イソシアネート基とのメタノールの反応は、いわゆる連鎖停止反応である。この場合において形成されるO-メチルカルバメート基は、さらにイソシアネート基と反応することができない。したがって、イソシアネート基は「ブロック」される。組成物中のO-メチルカルバメート基は、架橋サイトの損失をもたらし、したがって硬化した組成物の弾性および機械的強度、つまり塑性の特性の低下をもたらす。
硬化のために必要とされる湿気は、大気(大気湿度)から得られるか、または組成物は水を含む成分、例えば平滑剤と一緒に、例えば塗ることによって、もしくはスプレーすることによって接触させられるか、あるいは水を含む成分(例えばスタティックミキサーで混合された水性ペーストの形態で)を用途の組成物に加えることができる。
組成物は、好ましくは大気湿度によって硬化される。
記載された単一成分の湿気硬化性組成物は、水分によって硬化し、生成された物質は水分の利用可能性に応じて機械的特性が変化する点で区別される。物質のうち、硬化条件に応じて、徐々にお互い融合する、主に弾性から主に塑性へ変形挙動の変化する領域が存在し得る。特に、組成物が硬化し、直接湿気と接触する領域(空気と接する一層または湿気を透過するもしくは湿気を放出する物質の上にある一面)は硬化して主に弾性の特性を有する物質を形成し、間接的にのみ、特に隣接する領域を通った拡散効果を介して接触する領域(内部の層または湿気を透過しないもしくは湿気を放出しない物質の上にある層)は硬化して多かれ少なかれ塑性の特性を有する物質を形成し、これにより物質の塑性の程度が、湿気の供給源からの距離が遠くなるにつれて増加する。したがって、機械的な挙動と比較して、異方性物質は、外部から内部までの湿気との反応による硬化前に等方性である物質から生成される。
異方性物質の特性をもたらすこの硬化挙動は驚くべきである。本発明に限定されないが、この可能な説明は、オルガノメトキシシランOSの加水分解から放出されたメタノールが、好ましくは、既に硬化した物質の層を通って外部に拡散し、そこから蒸発する代わりに、まだ硬化していない物質の層の内部に拡散するという仮説である; 結果として、投与された組成物の内部のイソシアネート基が、加水分解するアルジミノ基および/または湿気と接触する前に、メタノールと強く反応し、したがって塑性の物質をもたらす。
記載した硬化挙動の発生を、水の供給の好適な制御によって使用することができ、満たされた水のホースと類似した、主に弾性の被覆と主に塑性のコアとを有する物質を生成する。
特に、主に弾性の被覆と主に塑性のコアとを有する異方性の組成物が、大気湿度によって硬化することによって、前に詳細に記載した単一成分の湿気硬化性組成物から得られる。
記載した異方性物質の特性の形成のために、組成物の必要不可欠な成分が、比V1、V2およびV3によって定義された通り、お互いに適合する割合で存在することが重要である。
したがって、比V1で特定されたアルジミンAの量は、気泡の形成を抑制し、弾性かつ耐久性のある皮膜を形成するために必要である。特定されたよりも少ないアルジミンAを使用する場合、気泡を形成し、薄い皮膜を形成する危険性があり; 特定されたよりも多いアルジミンAを使用する場合、機械的に弱い皮膜を形成し; 両方の場合において、全体として、硬化された組成物は抵抗性が弱い。
さらに、比V2で特定されたオルガノメトキシシランOSの量は、大気湿度による硬化において、十分な連鎖停止反応が内部で起こり、主に塑性の特性を有する、十分に大きなコアを得るために必要である。特定されたよりも少ないオルガノメトキシシランOSを使用する場合、さらなる十分な異方性が発生せず; 逆に、特定されたよりも多いオルガノメトキシシランOSを使用する場合、内部における主に塑性の物質の割合が非常に大きく、したがって弾性の皮膜が非常に薄く、全体として、硬化された組成物は抵抗性が弱い。
比V3で特定されたスズ触媒Zの量は、正しい測定において、オルガノメトキシシランOSの加水分解反応を加速し、したがってメタノールを放出し、続けて物質の内部で連鎖停止反応させるために必要であり; 特定されたよりも少ないスズ触媒Zを使用する場合、さらなる十分な異方性が発生せず; 逆に、特定されたよりも多いスズ触媒Zを使用する場合、一方で内部における主に塑性の物質の割合が非常に大きく、したがって弾性の皮膜が非常に薄く、全体として、硬化された組成物は抵抗性が弱く、かつ他方で硬化した組成物の熱的安定性が低下する。
最後に、記載した組成物中の酸Sの存在は、アルジミンAの加水分解を促進し、したがって弾性の皮膜の形成を可能にするために必要である。
さらに、記載した異方性物質の特性の程度は、適用された組成物の層の厚みおよび形状に依存する。特に、組成物が十分大きな層厚み、典型的には少なくとも2、3ミリメートルで適用され、かつ硬化される場合、有利である。
しかしながら、異方性物質の特性を望まない場合、単一成分の湿気硬化性組成物を、特に十分な量の水を適用し、組成物を本質的に均一に混合することによって、例えば水を含むペーストをスタティックミキサーによって組成物中で混合することによって硬化して、ほとんどまたは完全に等方性の物質を形成することができる。結果として、水は全体の組成物中に十分な量で利用可能であり、これは組成物が硬化して全体的に比較的高い強度および弾性を有する等方性物質を形成することをもたらす。
したがって、等方性の組成物は、本質的に均一に混合された水による硬化によってか、または本質的に均一に混合された水を含む成分によって、詳細に前に記載した単一成分の湿気硬化性組成物から得られる。
したがって、組成物の機械的特性は、組成物の成分の選択および相対割合のみならず、硬化の種類によっても、広い範囲内で変化し得る。
単一成分の湿気硬化性組成物は、接着剤、封止剤、封止する化合物、またはコーティング剤として好適である。
フレキシブルまたは減衰特性を必要とする用途、例えば地表面より上部または下部の構造の伸縮継手のためのフレキシブルな封止剤、ハードウェアまたはエンジンの振動抑制の封止またはコーティング、または衝撃保護のコーティング例えば自動車のための車台の保護に特に好適である。
単一成分の湿気硬化性組成物は、拡散開放ベース、例えば特に木材、コンクリート、モルタル、れんが、日干しれんが、石膏および花崗岩または大理石などの天然石、同様に多孔質のプラスチックの構造物の伸縮継手のためのフレキシブルな封止剤として、特に好適である。異方性物質の特性に基づいて、このような継手は有利な特性を有し、例えば特にロバスト性を有し、粘着性のある表面を有さず、優れた形状回復性を有し、かつ23℃および-20℃における引張応力の低い値を有する。
これに関連して、室温における≦0.4MPaの、および-20℃における≦0.6MPaの100%引張応力をEN ISO 11600による分類25LMの構造設計のためのフレキシブルな継手の封止剤のために必要である、粘着性のある表面を有さない物質で達成することが、特に有利であある。
本発明の別の態様は、基材S1を基材S2に結合するための方法に関し、これは以下の工程:
α) 前に詳細に記載した組成物を基材S1に適用する工程;
β) 組成物の可使時間内に、適用した組成物を基材S2に結合する工程;
または
α’) 前に詳細に記載した組成物を基材S1および基材S2に適用する工程;
β’) 組成物の可使時間内に、適用した組成物をお互いに結合する工程;
を含み、ここで基材S2は基材S1と同じかまたは異なる物質からなる。
この場合において、可使時間は、皮膜が適用された組成物の表面に形成しない時間として定義される。これは、皮膜形成時間としても表される。
本発明の別の態様は、封止するための方法に関する。これは、以下の工程:
α’’) 前に詳細に記載した組成物を基材S1と基材S2との間に適用して、組成物が基材S1および基材S2と接触する工程;
を含み、ここで基材S2は基材S1と同じかまたは異なる物質からなる。
たいてい、封止剤はいわゆる継手にプレスされる。
本発明の別の態様は、基材S1をコートするための方法に関する。これは、以下の工程:
α’’’) 前に詳細に記載した組成物を基材S1に適用する工程;
を含む。
この方法において、好適な物質S1および/またはS2は、特に以下である:
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、日干しれんが、石膏および花崗岩または大理石などの天然石;
- 金属または合金、例えばアルミニウム、スチール、鉄、非鉄金属、および亜鉛めっき金属;
- 革、布地、紙、木材、樹脂で結合した木材ベースの物質、樹脂-布地複合体、および他のいわゆるポリマーコンポジット;
- プラスチック、例えばポリ塩化ビニル(硬質および軟質PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シート成型化合物)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエステル、エポキシド樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)およびエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、ここでプラスチックは好ましくはプラズマ、コロナまたは火炎によって表面処理され得る;
- コートされた基材、例えばパウダーコートされた金属または合金; 同様に塗料およびワニス。
湿気に対して拡散開放である基材S1および/またはS2を封止するための方法が特に好ましい。特に、これらは、木材、コンクリート、モルタル、れんが、日干しれんが、石膏および花崗岩または大理石などの天然石、同様に多孔質のプラスチックなどの物質である。
必要な場合、物質を、組成物を適用する前に前処理することができる。このような前処理は、特に物理的および/または化学的洗浄方法、例えば研削、サンドブラスト、ブラッシング、もしくは同様のもの、または洗浄剤もしくは溶剤での処理、あるいは接着促進剤、接着促進溶液またはプライマーの適用を含む。
組成物の適用は、広い温度範囲で行われ得る。特に、組成物は室温で適用される。しかしながら、組成物はより低い温度、同様により高い温度でも適用され得る。
物品は、接着、封止またはコートするためのこの記載した方法から生成されるか、または接着剤、封止剤、封止する化合物またはコーティング剤として、前に詳細に記載した組成物の使用から生成される。
この物品は、特に構造物、特に地表面より上部もしくは下部の構造物、または産業品目もしくは消費品目、特に窓、家電製品、あるいは輸送手段、特に水または陸の車両、好ましくは自動車、バス、トラック、電車もしくはボート、または輸送手段の付属品、あるいは家具、布地もしくは包装産業の物品である。
記載した組成物は、好ましくは、構造的に粘性の特性を有する、ペースト状の堅さを有する。このようなペースト状の組成物を、好適な装置によって接着剤または封止剤としての使用において塗布する。ペースト状の接着剤または封止剤を適用するための好適な方法は、例えば、好ましくは手動で操作される、商業的に利用可能なカートリッジの適用である。供給ポンプまたは押出し機による、商業的に利用可能なカートリッジから、または管もしくはバケツからの圧縮された空気による適用、場合によって適用ロボットによる適用も可能である。
1. 測定方法の記載
粘度を温度調節されたコーン-プレート-粘度計Physica UM(コーンの直径 20mm、コーンの角度 1°、コーンの先端とプレートの間隔 0.05mm、せん断速度 10から1000 s-1)で測定した。
アミン含有量、つまり生成した化合物中のアルジミノ基と自由なアミノ基の全含有量を、滴定的に決定し(氷酢酸中の0.1N HClO4で、クリスタルバイオレットに対して)、常にmmol N/gで示す。
2. アルジミンの生成
(アルジミンA-1)
55.0g(0.19mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシ-プロパナールを、窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。激しく攪拌しながら、15.6g(0.18mol N)の1-アミノ-3-アミノメチル-3-5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミン、IPDA; Vestamin(登録商標) IPD、Degussa、アミン含有量 11.68mmol N/g)を、滴下漏斗からゆっくりと加えた。その後、揮発性化合物を真空(10mbar、80℃)で除去した。
収量: 2.73mmol N/gのアミン含有量および20℃で190MPa sの粘度を有する、67.1gの透明な無色の油。
(アルジミンA-2)
52.4g(0.18mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシ-プロパナールを、窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。激しく攪拌しながら、10.0g(0.17mol N)の1,6-ヘキサメチレンジアミン(BASF; アミン含有量 17.0mmol N/g)を、加熱した滴下漏斗からゆっくりと加えた。その後、揮発性成分を真空(10mbar、80℃)で除去した。
収量: 2.85mmol N/gのアミン含有量を有する、57.7gの透明な淡黄色の油。
(アルジミンA-3)
74.3g(0.26mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシ-プロパナールを、窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。激しく攪拌しながら、30.0g(0.25mol N)のポリエーテルジアミン(約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレン-ジアミン; Jeffamine(登録商標) D-230、Huntsman; アミン含有量 8.29mmol N/g)を、滴下漏斗からゆっくりと加え、ここで混合物を加熱し、だんだんと曇らせた。その後、揮発性成分を真空(10mbar、80℃)で除去した。
収量: 2.50mmol N/gのアミン含有量を有する、99.5gの透明な淡黄色の油。
(アルジミンA-4)
25.0g(0.21mol N)のポリエーテルジアミン(約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレン-ジアミン; Jeffamine(登録商標) D-230、Huntsman; アミン含有量 8.29mmol N/g)を、窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。激しく攪拌しながら、23.0g(0.22mol)のベンズアルデヒドを、滴下漏斗からゆっくりと加え、混合物を加熱した。その後、揮発性成分を真空(10mbar、80℃)で除去した。
収量: 4.72mmol N/gのアミン含有量を有する、43.8gの透明な淡黄色の油。
3. 組成物の生成
(実施例1から13、同様に比較例14から20: 封止剤)
それぞれの実施例に対して、それぞれの成分を加工して、表1(湿気を含まない環境下での真空ミキサー中の予備乾燥なしの質量部を示した)による均一なペーストを形成し、前記ペーストを、内部にワニスを塗ったアルミニウムのカートリッジにすぐに移し、カートリッジを密閉方法で封止した。
TDI(トルイレンジイソシアネート)として、BayerからのDesmodur(登録商標) T 80 Pを使用した。
以下のオルガノメトキシシランを使用した:
A187: 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標) A-187、Momentive Performance Materials)、
XL10: ビニルトリメトキシシラン(Geniosil(登録商標) XL 10、Wacker Chemie)、
VDM: ビニルジメトキシメチルシラン(ABCR GmbH)、
Phen: フェニルトリメトキシシラン(ABCR GmbH)、
Asp: N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-アミノ-コハク酸-ジエチルエステル(実施例1としてWO 02/090411 A1に記載されているマレイン酸エステル-アミノシラン付加物に従って生成した)、
TMS: テトラメトキシシラン(=テトラメチルオルトシリケート)(ABCR GmbH)、
GLYEO: 3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標) GLYEO、Evonik Degussa)。
STP-1: 以下に記載した通りに生成した、シラン官能性ポリマー:
湿気を含まない環境において、1000gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標) 12200、Bayer; OH数 11.0mg KOH/g)、43.6gのイソホロンジイソシアネート(IPDI; Vestanat(登録商標) IPDI、Degussa)、126.4gのジイソデシルフタレート(DIDP; Palatinol(登録商標) Z、BASF)および0.12gのジブチルスズジラウレートを、連続的に攪拌しながら90℃に加熱し、滴定的に決定された自由なイソシアネート基の含有量が0.63質量%に達するまで、この温度で放置した。その後、62.3gのN-(3-トリメトキシシリル-プロピル)-アミノ-コハク酸-ジエチルエステル(Asp)を混合し、混合物を、自由なイソシアネートがFT-IR分光法によって検出できなくなるまで、90℃で攪拌した。シラン官能性ポリマーを室温に冷却し、湿気を排除して保存した。
ポリマーP-1を以下の通りに生成した:
3080gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標) 4200 N、Bayer; OH数 28.1mg KOH/g)、1540gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン-トリオール(Caradol(登録商標) MD34-02、Shell; OH数 35.0mg KOH/g)および385gのトルイレンジイソシアネート(TDI; Desmodur(登録商標) T 80 P、Bayer)を80℃で反応させて、滴定的に決定された、1.53質量%の自由なイソシアネート基の含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを形成した。
ポリマーP-2を以下の通りに生成した:
590gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標) 4200 N、Bayer; OH数 28.1mg KOH/g)、1180gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオール(Caradol(登録商標) MD34-02、Shell; OH数 35.0mg KOH/g)および230gのイソホロンジイソシアネート(IPDI; Vestanat(登録商標) IPDI、Degussa)を80℃で知られている方法によって反応させて、滴定的に特定された、2.10質量%の自由なイソシアネート基の含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを形成した。
増粘剤を以下の通りに生成した:
3000gのジイソデシルフタレート(DIDP; Palatinol(登録商標) Z、BASF)および480gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI; Desmodur(登録商標) 44 MC L、Bayer)を真空ミキサーに入れ、わずかに加熱した。その後、270gのモノブチルアミンを、激しく攪拌しながら、滴下でゆっくりと加えた。生成したペーストを、真空下でさらに攪拌し、1時間冷却した。
Figure 2012506936
Figure 2012506936
得られた封止剤を、適用特性、硬化方法および硬化後の特性について試験した。
適用特性の測定として、安定性および粘着性を使用した。安定性を決定するために、封止剤を、三角形のノズルを介して、一枚の垂直なボール紙に対して、8mmの底部の直径および20mmの高さ(三角形の先端の底部までの高さ)を有する、水平に走る三角形のビード(bead)として、コーキングガンによって適用した。5分後、先端が落ちた、つまり三角形のビードの中心の元の位置から動いた程度を測定した。先端が正確に同じであるか、ほぼ変わらない位置にあった場合、これを「非常に良好」(=「s.gut」[「v.優れた」])として評価し、先端が中心と底部の端との間にあった場合、「良好」として評価した。粘着性を、例えば封止剤を壁に取り付けた一枚のボール紙に適用し、コーキングガンを適用した封止剤からすぐに引き戻すことによって適用の端部で引き離し、この場合における分離した場所に残る糸の長さを測定することによって、定性的に決定した。
一方、硬化方法を試験するために、皮膜形成時間(粘着性がなくなるまでの時間、「不粘着時間」)を使用した。この目的のために、数グラムの室温の封止剤を、約2mmの層厚みで、通常の気候(23±1℃および50±5%の相対大気湿度)でボール紙に適用し; 封止剤の表面をLDPEから作られるピペットによってわずかに突いた場合、ピペットに残留物が残らなくなるまでにかかる時間を決定した。
さらに、封止剤を、ショアA試験片(以下を参照)を硬化した1日後に親指で押し、その後、手を上げた場合にどれくらいの長さ試験片が親指に接着するかを決定することによって、接着力を定性的に試験した。接着力を、高い(試験片が3秒より長く接着したまま)、中間(試験片が約3秒間接着したまま)、低い(試験片が1から2秒間接着したまま)、およびなし(試験片が1秒未満接着したまま)として評価した。さらに、封止剤を、硬化の間の気泡の形成を視覚的に評価した。最後に、封止剤を、物質の特性の異方性を試験した。この目的のために、室温の封止剤を、約50mmの長さおよび30mmの底部の直径を有する水平コーンとして、円形の先端(10mmの開口部)を通して、壁に取り付けた一枚のボール紙にコーキングガンによって適用し、通常の気候条件下で14日間放置し、その後底部から1cmの距離で切断し、切断表面を様々な点でスパチュラで押して、弾性から塑性の性質までの段階的な移行を示すことによって、外部の層における物質が内部の層とは異なる(異方性=「あり」)かどうか、または物質が全ての点で同様である(異方性=「なし」)かどうかを決定することによって視覚的に評価した。「(あり)」は、物質が非常にわずかのみの異方性の特性を有する、つまり非常に小さな塑性のコアが存在することを示す。異方性物質の特性と一緒に、少なくとも部分的に弾性の皮膜の厚み(「皮膜の厚み」)を、およその目盛りで決定した。値「(15)」が皮膜の厚みとして示されている場合、これは、物質が完全に等方性の特性を有することを意味し、したがって弾性の「皮膜」がコアの全体の断面を通して続いており、それゆえ形式的に15mmの厚みを有する。
ショアA硬度を、通常の気候で14日間硬化した試験片で、DIN 53505に従って決定した。100%引張応力を、DIN EN 28339(Sika(登録商標) primer-3Nで前処理したコンクリート試験片で、方法A)に従って、23℃、同様に-20℃のそれぞれの場合で決定した。形状回復性を、DIN EN 27389と類似の方法で決定し、ここでアルミニウムのプロファイルの代わりにコンクリートの試験片を使用した(Sika(登録商標) primer-3Nで前処理、方法A、100%膨張)。期間膨張後の接着力および継手の完全性を、DIN EN 28340(方法A、コンクリート試験片、Sika(登録商標) primer-3Nで前処理、100%膨張)に従って調べた。
試験の結果を表2に示す。
表2から、本発明による実施例1から13の封止剤は、気泡の形成なしで硬化し、明らかに異方性物質の特性を有することが分かる。この場合において、これらは大きな粘着性を有さない表面および十分に厚い弾性の皮膜を形成して、これらは損傷なく期間膨張を克服する(この試験が行われた場合)。実施例1から13の全てにおいて(この試験が行われた場合)、100%引張応力は、EN ISO 11600による分類25LMの構造設計のためのフレキシブルな継手の封止剤に必要とされている、室温で≦0.4MPaおよび-20℃で≦0.6MPaである。比較例の封止剤は、明らかにこれらとは異なる: 少ないスズ触媒を有する比較例14および15、スズ触媒を有さない比較例16、およびオルガノメトキシシランOSの代わりにケイ酸エステルまたはオルガノエトキシシランを含むか、あるいはシランを含まない比較例17、18および19は、異方性を示さないか、またはわずかな異方性のみを示し、したがって十分に高い100%引張応力を有さない。アルジミンAを有さない比較例20は、強い異方性物質の特性を示すが、不十分な安定性を有する非常に薄く強い接着性の「皮膜」を形成し、したがって損傷なく期間膨張に耐えない。
(実施例21から25ならびに比較例26および27)
実施例1から9ならびに比較例18および19の封止剤を、水を含む成分Wを加えることによって、加速した速度で硬化した。この場合において、表3に示した質量部のそれぞれの封止剤を、成分Wと本質的に均一に混合した。混合を、24個の混合要素を有するSulzer Quadro(登録商標)の種類(Sulzer Chemtechから利用可能)のスタティックミキサーを取り付けた2成分のガンによって行った。混合された封止剤と一緒に、ショアA試験片を、DIN 53505に記載された通りに生成した; これは通常の気候で一日の間に硬化することができ、その後室温でショアA硬度を試験した。試験の結果を表3に示す。
Figure 2012506936
Figure 2012506936
水を含む成分Wを、以下の通りに生成した:
真空ミキサー中で、イソホロンジイソシアネート(IPDI; Vestanat(登録商標) IPDI、Degussa)を、N-メチルピロリドン(NMP)中の、ポリエーテルポリオール(Caradol(登録商標) ED56-11、Shell)、アミノエチルエタノールアミン、および2,2-ビス-(ヒドロキシメチル)-プロピオン酸と、知られている方法に従って反応させて重付加物を形成し、これをトリエチルアミンで中性化し、29.5質量%の含水量に達するまで水で希釈した。この場合において、約20000の平均分子量を有する、イオン基を有するポリウレタンポリマーを含むエマルションを得た。85gのこのエマルションを、真空ミキサー中で10gの疎水性の焼成ケイ酸(Aerosil(登録商標) 200、Degussa)および5gの白亜(Omya(登録商標) 5 GU、Omya)と混合して、25質量%の含水量を有する微細なクリーム状のペーストを形成した。
Figure 2012506936
実施例21から25のショアA硬度から、本発明による実施例1から9を、水を加えることによって加速した速度で硬化することができ、これにより少ない量の水では、硬化は軟らかい物質をもたらし、多い量の水では、硬化は硬い物質をもたらすことが分かる。3.0の水/NCO比では、実施例1(実施例24)または実施例9(実施例25)の封止剤のショアA硬度が、比較例18の等方性のシランを含まない封止剤の値を事実上達成した。これとの比較において、水を予め混合することによる比較例18(比較例26)または19(比較例27)の封止剤のショアA硬度は、大気湿度での硬化とほぼ同じ値に達した。

Claims (15)

  1. a) 少なくとも1つのポリイソシアネートP、
    b) 少なくとも1つの式(I)のアルジミンA:
    Figure 2012506936
    (ここで、
    nは2または3または4を表し、
    Eはn個の第一級アミノ基を除去した後のn価のアミンBの有機基を表し、かつ
    Yは1から35個のC原子を有する一価の炭化水素基を表し、これは場合によって少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよい)、
    c) 少なくとも1つの式(VI)の基:
    Figure 2012506936
    (ここで、
    aは0または1または2、好ましくは0または1を表し、かつ
    R7は1から8個のC原子を有するアルキル基、特にメチル基を表す)
    を有する、少なくとも1つのオルガノメトキシシランOS、
    d) ジアルキルスズ(IV)化合物の形態の、少なくとも1つのスズ触媒Z、
    e) 少なくとも1つの酸S;
    を含む、単一成分の湿気硬化性組成物であって、ただし組成物において、
    (i) アルジミノ基の数とイソシアネート基の数との間の比V1が、0.2から0.8の範囲であり、
    (ii) オルガノメトキシシランOSのメトキシ基の数とイソシアネート基の数との間の比V2が、0.2から0.7の範囲であり、
    (iii) スズ触媒Zからのスズ原子の数とイソシアネート基の数との間の比V3が、0.002から0.006の範囲である、組成物。
  2. 前記式(I)のアルジミンAが、式(Ia)または(Ib):
    Figure 2012506936
    (ここで、
    R1およびR2は、お互い独立に、それぞれの場合において、1から12個のC原子を有する一価の炭化水素基を表すか、または、一緒になって、5から8個、好ましくは6個のC原子を有する、場合によって置換されてもよい炭素環の一部である、4から12個のC原子を有する二価の炭化水素基のどちらかを表し;
    Y1は1から32個のC原子を有する一価の炭化水素基を表し、これは場合によって少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル、カルボニルまたはエステル基の形態の酸素を有してもよく;
    Y2は、5から8個、好ましくは6個の原子の環のサイズを有する、置換されたまたは置換されていないアリールあるいはヘテロアリール基を表すか、または
    Figure 2012506936
    のどちらかを表し、ここでR6は水素原子またはアルコキシ基、あるいは置換されたもしくは置換されていない、少なくとも6個のC原子を有するアルケニルまたはアリールアルケニル基を表す)
    を有することを特徴とする、請求項1に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  3. それぞれの場合におけるR1およびR2がメチル基を表す、請求項2に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  4. Y1が好ましくは式(II)または(III)の基:
    Figure 2012506936
    (ここで、
    R3は水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、あるいは1から12個のC原子を有するアルコキシカルボニル基を表し;
    R4は1から30個のC原子を有する炭化水素基を表し、これは場合によってエーテル酸素原子を含んでもよく;
    R5は水素原子を表すか、または1から30個のC原子を有し、場合によって環式部分を有してもよく、場合によって少なくとも1つのヘテロ原子、特にエーテル、カルボニルもしくはエステル基の形態の酸素原子を有してもよい、直鎖もしくは分枝状のアルキル基を表すか、または5から30個のC原子を有する、1つまたは複数の場所において不飽和の直鎖または分枝状の炭化水素基を表すか、あるいは場合によって置換されてもよい、芳香族または複素環式の5-もしくは6-員環のいずれかを表す)
    を表す、請求項2または3に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  5. R4が、6から30個、特に11から30個のC原子を有する炭化水素基を表し、これは場合によってエーテルの酸素原子を含んでもよい、請求項2から4のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  6. R5が、6から30個、特に11から30個のC原子を有し、場合によって環式部分を有してもよく、場合によって少なくとも1つのヘテロ原子を有してもよい、直鎖または分枝状のアルキル基を表すか、または6から30個、特に11から30個のC原子を有する、1つまたは複数の場所において不飽和の直鎖または分枝状の炭化水素基、好ましくはC11-アルキル基を表す、請求項2から5のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  7. 前記アミンBが、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)-メタン、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)-メタン、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン; 2つまたは3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミン、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4-および2,6-トルイレンジアミン、4,4’-、2,4’-および2,2’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン; ならびに上記で挙げたポリアミンの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  8. 前記オルガノメトキシシランOSが、a=0の少なくとも1つの式(VI)の基を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  9. 前記オルガノメトキシシランOSが、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミンおよびN-(3-トリメトキシシリル-プロピル)-アミノ-コハク酸-ジエチルエステルからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  10. 前記ポリイソシアネートPが、芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである、請求項1から9のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  11. 前記スズ触媒Zが、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジラウレートからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物。
  12. 以下の工程:
    α) 請求項1から11のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物を基材S1に適用する工程;
    β) 組成物の可使時間内に、適用した組成物を基材S2に結合する工程;
    または
    α’) 請求項1から11のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物を基材S1および基材S2に適用する工程;
    β’) 組成物の可使時間内に、適用した組成物をお互いに結合する工程;
    を含み、ここで基材S2は基材S1と同じかまたは異なる物質からなる、基材S1を基材S2に結合するための方法。
  13. 以下の工程:
    α’’) 請求項1から11のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物を基材S1と基材S2との間に適用して、組成物が基材S1および基材S2と接触する工程;
    を含み、ここで基材S2は基材S1と同じかまたは異なる物質からなる、封止するための方法。
  14. 請求項1から11のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物を、大気湿度によって硬化することによって得られる、主に弾性の被覆と主に塑性のコアとを有する異方性組成物。
  15. 請求項1から11のいずれか一項に記載の単一成分の湿気硬化性組成物を、本質的に均一に混合された水によってか、または本質的に均一に混合された水を含む成分によって硬化することによって得られる、等方性組成物。
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