JP2012501867A - 調節可能な交換式ドリル、調整システム及び支持体 - Google Patents

Abstract

調節可能なドリルは、方向保持機構のある表面を有するドリル本体を備える。少なくとも１個のカートリッジが表面に選択的に隣接配置され、調節のために方向保持機構に従って選択的にスライド可能である。少なくとも１個のチップがカートリッジのチップポケットに着脱自在に固定される。さらに他の実施例では、調節可能なドリルは、調節可能なカートリッジとの組み合わせである中央切削システムを備え、中央切削システムは、モジューラ型であってもよい。また、様々な用途にシステムを適応させるために、モジューラ型の支持体構成が与えられてもよい。
【選択図】図１

Description

本発明は、一般に、交換式及びサイズを調節可能なドリルであって、加工対象物に穴を形成するためのドリルに関する。

従来のツイスト型のドリルが長年用いられている。このツイスト型のドリルは、一般に硬化鋼で形成されている。強固なカーバイドドリルは、機械に要求される強度特性を有する反面、様々な制約を有する。交換式チップを備えるドリル工具の開発は、これらの制約のいくつかを克服した。交換式ドリルは刃先を用いる。該刃先は、ひとつ又はそれ以上の交換可能、置換可能なチップに備えられている。チップは、ドリル本体の切削末端のポケットに装着される。ポケットは、チップの形状の少なくとも一部に一致する形状を有する。チップは交換できる。つまり、操作中に刃先を装着するときに、チップは、ドリル本体におけるチップの位置から取り外される、又は緩められる。そして、チップは、所定の範囲で回転され、又は交換され、チップに備えた追加の刃先の使用が可能となる。少なくとも１個の刃先が、チップに取り付けられ、刃先は２つ又はそれ以上の指標となる部分を備える。例えば、およそ三角形のチップは、３つの位置で刃先の形状を有する。およそ正方形又は四角形のチップは、４つの位置で刃先の形状を有する。また、その他の適した形状のチップも同様である。チップは、ドリル本体より固い及び／又は高密度の物質で形成される。

交換可能なチップは、従来のツイスト型のドリルよりも切削送り及び切削速度を速くできる。チップは、カーバイド物質またはこれに類似する物質で形成することができる。これらの物質は、適切な固さを有し、又は切削される物質よりも固い刃先を与える固さである。交換式ドリルは、「１らせん溝型」、「２らせん溝型」、あるいは複数のらせん溝構造であってもよく、１個の、又はそれ以上のチップを備える場合、各チップは１らせん溝型である。ツイスト型のドリルは、一般的に２らせん溝型である。

多くの用途に有用ではあるが、交換式ドリルは、小さい穴に対して有効ではない。小さい穴は、例えば、３／４インチ（約１９ミリメートル）又はそれ以下の小さな穴に対して有効ではない。これは、従来の１らせん溝型構造のものと同じである。操作中、単独の１らせん溝型の交換式チップは、２らせん溝型のツイストドリル、あるいは２らせん溝型のスペードチップドリルを用いる場合よりも作業が遅い。スペード型チップは、前面に「ブレード型」掘削ポイントを備えており、カーバイド構造物又は微粒子工具鋼で形成される。

上述したように、交換式ドリルは、１個又はそれ以上の置換可能なチップを利用でき、該チップは、費用効率が高い。特に、ドリルのサイズが大きい場合、又は穴を開けるのが困難な物質の場合に費用効率が高い。交換式ドリルは、より速い回転スピードで操作でき、「スペード型」ドリルよりも広い表面領域を切削することができる。このため、速い切削送りが可能となる。従来のスペード型ドリル、固いカーバイドドリル、あるいは従来の通常のツイスト型のドリルに対する交換式ドリルの他の利点は、チップが消耗品であることである。刃先を研磨する代わりに、チップは、刃先を新しい刃先に交換可能である。そして、刃先の全てがすり減ったら、チップを廃棄することができる。

交換型ドリルは、一般に、この技術分野において「荒削り工具」として知られている。なぜなら、交換式ドリルは、他のタイプのドリルのようにセルフセンタリング機能がないからである。問題は、交換式で対称でないチップのらせん溝が、例えば、スペード型のドリル又は他のドリルにおいて、ドリルの操作中に不均一な切削力を生じさせてしまうことである。従来、ドリルは、機械の軸によって、所定の切削範囲に保つことができる。その精度は、機械及び軸の剛性、そして固定の条件に依存する。このため、従来の交換式ドリルは、ドリル径の３倍の深さの穴を切削するのに効率的ではない。ドリル径の３倍の深さでは、従来の交換式ドリルの精度は低下し、機械と機械の軸にかかる負荷が大きくなる。

交換式ドリル、又は荒穴開け工具は、これまで、穴のサイズが大まかな範囲で製造されてきた。従来のドリルでサイズが大きくなる場合、１つのドリルと次に大きいサイズのドリルとのサイズの違いは、直径約１／４インチ（約６ミリメートル）かそれ以上である。使用者は、１つの工程で従来のドリルのサイズの間のサイズの穴を開けるのが困難であった。約１と１／４インチから５インチ（３２ミリメートルから１２７ミリメートル）より大きなサイズのドリルにおいて、ドリルの穴径の誤差を小さくする改良はこれまでにされなかった。そして、その代わりに別の穴開け用の機械が使われ、大まかに開けた穴を仕上げていた。

また、従来の標準的なサイズの間の穴径は、特別に注文されたドリルで対応していた。しかし、特別に注文される工具は、多くの時間と費用を必要とする。なぜなら、特別に注文される工具は、少量生産、非標準的なサイズ、特別な作業と流通を要するからである特別なサイズのドリルを入手するための費用と時間のせいで、使用者は、特別なドリルを買うことをあきらめ、追加作業のための追加費用が発生してしまう。

また、従来の交換式ドリルは、作業中に、チップ交換式のドリルに対する物理的な切削状態が、穴の縁端から穴径の中心にかけて変化する。これは、素材を横切る刃先の線速度が変化するからである。穴径の中心近くでは、刃先の線速度はとても遅い。先行技術の交換式ドリルでは、穴径の中心における低い線速度のために、機械の切削動作が、素材を押し出す「のみ」のようになる。穴径の中心から離れるほど、チップの線速度は増加し、刃先が効率よく素材を切削する。これまでは、穴径の中心における低い線速度のために、ドリルが故障することがあった。穴径の中心における低い線速度に対応するために、従来のドリルでは、中央切削チップを使用することが試みられていて、該切削チップは、様々な形状の刃先、様々な物質でできた刃先、あるいは特別な刃先を備える。

また、従来のドリルは、サイズが大きくなると、より大きなサイズのチップで構成される。チップのサイズと形が大きくなると、ポケットにチップを保持するチップねじも変更する。多くのサイズの穴を開ける使用者は、多くのチップ、チップの等級、種々のサイズのねじを持ち運ばなければならない。最小の穴径から最大の穴径までが１．５インチ（３８ミリメートル）程の小さい範囲である使用者でさえ、３０から４５の部品を所持しなくてはならない。

バランスのとれていないドリルは、ぐらついてガタガタと音が出る。交換式チップは、２らせん溝型ではなく、不均一なため、従来の交換式ドリルは、バランスをとることが難しい。従来は、交換式チップは、研がれた、又は平坦な面の刃先を備え、該刃先をぐらつき、あるいは、ずれないようにしており、これは、先行技術における交換式ドリルに共通する。このため、従来のドリルでは、さらに大きな出力が必要とされ、従来技術では研がれた、又は平坦な面の刃先が使用された。

また、従来技術における交換式ドリルは、穴を開けている間、大量の冷却剤によって切りくずを排出する。切削動作によって出される切りくずは、刃先から後ろに移動され、刃の領域近くの溝から排出されなければならない。これは、ドリル本体と切削径との間の隙間に切りくずが入り込むのを避けるためである。冷却剤は、ドリル本体を通って送り出され、ドリルの末端から放出され、圧力と運動量によって後ろに流れて、切りくずを溝の後ろに押し上げる。冷却剤は、水溶性の油を含み、この油は、切削で発生する熱と圧力によって霧状になる。冷却材は、吸い込んだときに作業者の健康に害を及ぼし、さらに、ろ過、あるいはその他の機械の操作者による吸入を減らすための処理を要する。

従来の交換式ドリルでは、ドリルの故障する箇所は、中央のチップ領域の近くである。中央の領域は、切りくずが詰まり、この切りくずは、後ろやドリル本体の構造の外部に移動されなかったり、形成された穴から排出されなかったりしたものである。

本発明に係る調節可能なドリルは、長軸を有するドリル本体を備え、ドリル本体は、表面を備え、表面は、ドリル本体内に伸びる開口部と、開口部付近にあってドリル本体の末端に向かって伸びる方向保持機構と、ドリル本体の一部に沿って表面から伸びる長軸溝と、表面に隣接して配置され、方向保持機構に従って選択的にスライド可能なカートリッジとを備え、カートリッジは、方向保持機構に沿った穴と、ドリル本体の端部に隣接して配置されるチップポケットを有する切削面と、穴を介して開口部にカートリッジを着脱自在にドリル本体に固定する留め具と、チップポケットに着脱自在に固定されるチップと、を備える。

調節可能なドリルは、第２の表面をさらに備え、該表面は、ドリル本体内に伸びる第２の開口部と、第２の表面に隣接して、貫通穴を有する第２のカートリッジと、ドリル本体の軸付近に配置されるチップポケットを有する第２の切削面と、貫通穴を通って第２の開口部に、第２のカートリッジを着脱自在にドリル本体に固定する留め具と、チップポケットに着脱自在に固定されるチップとを備える。

調節可能なドリルは、様々な構造のチップをさらに備え、該チップは、ドリルとともに、ドリルの切削特性を変更する。

他の実施形態では、調節可能なドリルは、中央に配置されるドリルチップをさらに備え、ドリルシステムの操作中における安定性を向上させる。この場合でもチップ構造は交換可能である。また、その他の実施形態では、システムは、モジューラシステムを備え、該モジューラシステムは、支持体と連結して使用する置換可能なチップを備える。中央の位置にチップが配置され、該チップは、調節可能な交換式チップとともに切削を容易にする。また、システムはモジューラ型の支持体構成を備え、様々な用途に対する操作において柔軟性を与える。

図１は、明示のために一部を除いた本発明に係る調節可能な交換式ドリルを分解して示す透視図である。 図２は、図１に示すドリルの正面図である。 図３は、図１に示すドリルのカートリッジ及びチップの部分図である。 図４Ａは、図１に示すドリルの一部の側面図である。図４Ｂは、図４Ａに示す部分の上面図である。図４Ｃは、図１に示すドリルの側面図である。図４Ｄは、図４Ｃに示すドリルの上面図である。 図５は、図１に示すドリルの上面図である。 図６Ａ乃至図６Ｄ各々は、本発明とともに用いることが可能な三角型のチップの一例を示す図である。 図７Ａ乃至図７Ｄ各々は、別のチップの構造の一例を示す図（その１）である。 図８Ａ乃至図８Ｄ各々は、別のチップの構造の一例を示す図（その２）である。 図９Ａ乃至図９Ｄ各々は、別のチップの構造の一例を示す図（その３）である。 図１０Ａ乃至図１０Ｄ各々は、中央に置かれた切削チップを備える本発明に関する他の実施形態を示す図である。 図１１は、図１０に類似する別の実施形態の断面図（その１）である。 図１１は、図１０に類似する別の実施形態の断面図（その２）である。 図１３Ａ乃至図１３Ｄ各々は、示された最も小さい及び最も大きい切削径の中央に置かれた切削チップを備える実施形態の部分図である。 図１４は、本発明で用いられるモジューラ型の支持体の実施形態を示す図である。 図１５は、図１４に示されたモジューラ型の支持体の実施形態の分解図である。 図１６は、実施形態に係るモジューラ型の支持体の構成の間の連結部の分解図（その１）である。 図１７は、実施形態に係るモジューラ型の支持体の構成の間の連結部の分解図（その２）である。 図１８は、モジューラ型の支持体の構成の間の連結部の実施形態を示す断面図である。 本発明で用いられる支持体の他の実施形態を示す図（その１）である。 本発明で用いられる支持体の他の実施形態を示す図（その２）である。 本発明で用いられる支持体の他の実施形態を示す図（その３）である。 本発明で用いられる支持体の他の実施形態を示す図（その４）である。

調節可能な交換式ドリルに関する本発明が、実施例とともに開示される。ドリルは、１個又はそれ以上のチップカートリッジと交換式の切削チップを用いる。本実施例において、交換式チップドリルは、上述した交換式ドリルの欠陥の多くを軽減し、能力効率を向上し、作業コストを軽減し、不必要な作業を排除する。また、交換式チップドリルは、通常の作業に必要とされる冷却剤を減らす。これによって、チップ交換式ドリルは、冷却剤に含まれる物質等を吸入する可能性がある作業者の危険を減らす。また、後述するように、交換式チップドリルは、滑らかに、機械加工された部分に安定した入刃ができる。これによって、安定した操作が可能となり、ドリルの誤差を所望する形状の穴に近づけることができる。図１を参照すると、調節可能な交換式ドリル１０は、ドリル本体１２と、内側カートリッジ１４と、外側カートリッジ１６とを備える。ただし、各種の構成品、例えば、カートリッジ１４、１６を固定するボルトや後述されるチップ等は、図１に図示されていない。

ドリル本体１２は、ほぼ円筒形状であって、１つ又はそれ以上の長軸溝１８を備える。各溝１８は、主表面２０と、副表面２２とを備える。主表面２０と副表面２２とは、約９０度ずつ離れている。なお、主表面２０と副表面２２とは、９０度以上、又は９０度未満離れていてもよい。ドリル本体１２の一端は、第１の表面２６と、第２の表面２８とを備える。長軸溝１８は、第１の表面２６、第２の表面２８からドリル本体１２の少なくとも一部に沿って伸びている。１個又はそれ以上のチップカートリッジがドリル本体に用いられてよく、チップカートリッジは、例えば、チップカートリッジ１４、１６である。チップカートリッジ１４、１６は、表面２６、２８の近くでドリル本体１２に固定される。

ドリル１０に複数の切削チップ３０を用いて、チップのサイズを小さくしてもよい。チップは、チップの切削範囲が重複するように配置される。ドリルの直径が大きくなり、切削範囲を互いに正確に重複できなくなったら、追加のチップが用いられる。少なくとも１個の切削チップ３０が、チップカートリッジ１４、１６それぞれに固定される。図１乃至５は、調節可能な交換式ドリル１０を示し、このドリル１０は、４つ又はそれ以上の切削チップ３０、３１、３２、３３を例示のために用いる。もちろん用途に応じて４つより少ないチップを用いることも可能である。本発明の特徴の１つであるが、ドリルは、あるサイズの範囲内で調節可能である。調節可能である例の１つは、外側カートリッジ１６が移動可能であって、チップカートリッジ１４が実質的に１８０度反対に配置される。移動可能なカートリッジの調節は、ドリルで開ける穴のサイズの調節を可能とし、要求される所定の穴のサイズに対してドリルの正確な調節を可能とする。また、この調節は、すり減った機械の軸、すり減った工具の支持体、あるいは不良な状態を補うことを可能とする。単一の操作で穴を最後まで切削できるので、追加の穴開けと穴を拡げる作業をなくして、所望のサイズの穴を仕上げることができる。言い換えると、このことによって、ある特定の用途に必要な切削と掘削のための工具セットを減らし、ドリルのサイズの範囲は、追加の穴開けと穴を拡げる作業の必要性を排除するとともに、特別に新たなサイズのドリルを用意する必要性を低減する。また、これは、注文製作の工具にかかる時間とお金を排除する。所望する穴径が大きくなると、追加のチップが用いられ、例えば、これに限られないが、チップは、６つか８つのチップである。逆に、所望する穴径が小さくなると、より少ないチップが用いられ、例えば、これに限られないが、チップは、２つか３つのチップである。切削チップ３０、３１、３２、３３は、刃先の形状を備え、該刃先の形状は、刃先４０、４１、４２、４３を有し、該刃先には、先端４４が形成される。例示された先端は、ある角度で拡張している刃先によるものであり、この角度は、約２０度である。チップは、１個又はそれ以上の追加の刃先４０’、４１’、４２’、４３’と交換可能であってもよい。

内側カートリッジ１４は、切削面を備え、該切削面はチップポケットを有する。該チップポケットは、ドリル本体の軸近くに配置される。切削チップ３０は、内側カートリッジ１４のチップポケットに固定され、刃先４０は、穴径の中央の部分を切削できる。

外側カートリッジ１６は、切削面を備え、該切削面はチップポケットを有する。該チップポケットは、ドリル本体の末端の近くに配置される。切削チップは、穴径の最も外側の部分を切削するために配置され、外側カートリッジ１６のチップポケットに固定される。外側カートリッジ１６の切削面は、内側カートリッジの切削面から約１８０度の位置である。

第１の表面２６、第２の表面２８は、角度をつけられた表面であってもよい。図２及び図３に示すように、第１の表面２６、第２の表面２８は、垂直平面から所定の角度Ａがつけられており、角度Ａは、例えば、約２度から５度である。なお、表面２６、２８は、垂直平面から約０．５度から１０度、又はそれ以上の角度がつけられてもよい。表面２６、２８の一方又は双方は、表面の法線ベクトルが溝の主表面２０に対して平行になるように角度をつけられてもよい。なお、表面は、傾いてもよい。表面２６、２８が傾斜していると、表面の一部分への滑らかな入刃が可能になる。また、この傾斜は、使用中のドリルの安定化を容易にする。また、これによって、中央のチップ、本実施例では反対側の、又は次に内側のチップがその表面部分に入刃するときに、切削チップ３０、特にその先端４４が切削範囲に軌跡を形成することを可能にする。この構造によって、ドリルは、外側のチップが切削し始める前に、この軌跡を追跡し始める。こうすることで、その表面部分に対する滑らかな、安定した入刃が可能となる。表面２６、２８に垂直平面の位置から同一の角度をつけ、該位置は、チップカートリッジ１４、１６が固定された位置である。これによって、刃先４０、４１、４２、４３は、最も内側の刃先４０が最先端に配置され、それに続いて他のチップがドリルの前面から離れて配置される。このような切削チップ３０、３１、３２、３３の配置によって、次のチップが切削し始め、軌跡を追跡し、各チップが加わって切削するまで、それぞれ連続するチップが効率的に切削、又は軌跡の追跡を開始できる。したがって、中央のチップ３０は、チップ３１が切削を始める前に、わずかな接線方向荷重を発生する。さらに、切削チップ３２、３３でも同様である。表面部分への滑らかな入刃によって、揺れを避けることができる。この揺れは、１個のチップを備えるドリル機械での切削において、最悪の状態である跳ね返りを引き起こす

第１の表面２６、第２の表面２８は、開口部あるいはホール４８の近くに規制機構を備える。該規制機構は、ドリル本体の端に向かって伸びる。例えば、これに限られないが、規制機構は、長軸の鋸歯、又は長軸のキー溝、又はその他の形状であって、表面２６、２８に装着されたときにカートリッジ１４、１６を規制することができる形状である。図４Ａ及び図４Ｂに示すように、第１の表面２６、第２の表面２８は、規制機構を備える。この規制機構は、例えば、表面の少なくとも一部を覆う鋸歯５０である。この実施例で示すように、鋸歯は、鋸歯の角度が６０度であるが、鋸歯の角度は、他の好適な角度でもよい。なお、規制機構は、規制キー型を用いることができるし、その他の好適な規制構造であってもよい。内側カートリッジ１４、外側カートリッジ１６は、表面２６、２８上の規制形状にかみ合う形状を有する。この形状は、例えば、対応する鋸歯、規制キー溝、又はその他の形状であって、図４Ｃ及び図４Ｄに示すように、表面２６、２８に装着されたときに、カートリッジ１４、１６を規制することができる形状である。ドリル本体１２は、ドリル本体１２に伸びる開口部又はホール４８を備える。これは、ボルト又は留め具を受けるためのものであって、例えば、ねじ又は留め具は、カートリッジ１４、１６を固定するためのボルト（不図示）である。カートリッジ１４、１６は、着脱自在にドリル本体１２に留め具によって固定される。例えば、これに限定されないが、留め具は、ボルトやその他の留め具である。留め具は、穴付きボルトであってもよい。この構造によって、カートリッジ１４、１６は、選択的な置換が可能となり、ドリルの組み立てにおいて、単純で効率的な方法で、最前面の切削面の効率的な置換が可能となる。また、本発明の構造によって、ドリル本体から切削チップポケット３４までの距離を短くすることができ、切削チップにかかる全ての曲げモーメントを抑制することができる。ドリル本体１２の末端から刃先４０までの距離は、約１／２インチから１インチ（約１２から２５ミリメートル）の範囲である。なお、ドリル本体１２の末端から刃先４０までの距離は、約３／４インチから２インチ（約１９から５１ミリメートル）の範囲であってもよい。カートリッジを刃先４０の近くで支持すると、ドリル１０に加わる力が減少する傾向がある。

内側カートリッジ１４と外側カートリッジ１６とは、各カートリッジを貫通する開口部を備え、該開口部は、ドリル本体にカートリッジを固定する。図４Ｂ及び図５に示すように、内側カートリッジ１４を貫通する開口部５２及び外側カートリッジ１６を貫通する開口部５４は、座ぐりを備え、該座ぐりは、ボルトの頭又はその他、留め具のための隙間を与える。例えば、ボルト（不図示）は、開口部５２、５４を介してカートリッジ１４、１６を固定するために用いられ、開口部５２、５４は、表面２６、２８に形成された開口部に対応する。この位置にホール４８、開口部５２、５４があるので、使用者は、ドリルの端部表面にカートリッジを装着できる。ドリルの末端表面においてホール４８、開口部５２、５４がこの位置にあるので、使用者はドリルを機械の軸に取り付けたままで、カートリッジを取り外すことができ、時間を節約できる。

なお、１個又はそれ以上のカートリッジが、ドリル本体に組み込まれるようにしてもよい（不図示）。

溝１８は、自身を開いた形状を有し、切りくずの流れに対する障害を少なくする。溝の主表面２０は、ほぼ平坦である。図１に示すように、副表面２２は、楕円形のくぼんだ表面である。楕円形の副表面２２は、冷却剤の圧力を減らし、切りくずを切削部分から後方に遠ざけて排出するように流す。冷却剤の圧力と体積を減らすと、ろ過又はその他の処理によって生じる冷却剤の霧の量を減らすことができる。交換式ドリル１０は、素材によっては、冷却剤を使わないで切削できる。

切削チップ３０、３１、３２、３３は、内側カートリッジ１４及び外側カートリッジ１６に設けられたポケット又は空洞に取り付けられる。ポケットは、チップの形状の少なくとも一部に一致する形状を有する。また、ポケットは、カートリッジの表面に対してチップに角度がつくような形状にしてもよい。先端が２０度外側に傾くようなチップポケットの回転によって、穴の中心線近くのチップの線速度が小さいために生じる中央のチップの”遅れ”が低減される。例えば、チップの角度は、垂直から１．５から２．７５度である。回転の角度は、各種用途における要求に応じて検討される。

ドリル１０は、所定のサイズ範囲内で直径を調節できる。外側カートリッジ１６は、表面に隣接する移動可能なカートリッジでもよく、方向保持機構に従って選択的にスライドできる。図４Ｂと図５に示すように、開口部５４は、鋸歯５０と同じ方向に沿う溝であってもよい。この溝は、外側カートリッジ１６が約１／１６インチから１／２インチ（約１から１２ミリメートル）、あるいはさらにドリル本体１２が大きい場合はそれ以上、移動できるようなサイズである。なお、この溝は、外側カートリッジ１６が約１／８インチから１／４インチ（約２から６ミリメートル）、移動できるようなサイズであってもよい。移動できる長さは、各種用途における要求に応じて検討される。ドリルの操作の際は、外側カートリッジ１６を調節するために、カートリッジをドリル本体に固定する留め具を緩め、溝の長さだけカートリッジをスライド又は移動させる。カートリッジが所望の位置にあるときに、留め具を再び締めて、ドリル本体にカートリッジを固定する。

ドリル径の調整によって、使用者は、様々な穴径に対応するようにドリルを調節できる。この調節によって、使用者は、すり減った機械の軸、工具の支持体、あるいは不良な状態を補うことが可能となる。また、ドリルの調節は、費用のかかる二次的な作業、例えば、切削後の穴開け又は穴の拡張、を減らすことができる。また、調節できるので、製造工場に備える切削及び穴開け工具セットの数を減らすことができる。また、調節できるので、特別注文のサイズの高価なドリルの必要性が低減される。例えば、ドリルシステム一式は、サイズが重複したドリルを含むが、例示したチップは、直径約０．２インチの範囲であって、切削可能な穴のサイズは、事実上無限にある。小さな穴の形状に対して、本発明の工具における調節は、さらに小さくてもよく、例えば、０／１２５インチの範囲であってもよい。一般に、調節の段階は、所望するように選択可能な範囲であってもよく、例えば、１／１６インチから１／２インチの範囲である。本発明のドリルによる調節によって、求められる仕上がりのサイズの穴が製作できる。

調節可能な交換式ドリル１０は、複数のチップを使って、切削力を切削幅に渡って分配してもよく、該チップは、少し薄いチップである。チップ端の刃の傾斜又は傾きは相当自由に決めることができる。これはドリルの安定性によってもたらされる。ホーニング刃を排除することと刃の領域を強化することによって、より少ない出力で穴を開けることができ、使用者は省力できる。また、より小さいサイズの切削チップにすることによって、切削工具チップに用いられる材料を少なくすることができる。１個又はそれ以上の切削チップは、カートリッジ１４と１６のような少なくとも１個のカートリッジに、何らかの適当な方法、例えばボルト等（不図示）で固定される。

図６を参照されたい。本発明の実施例としてのドリルに用いられる三角型の切削チップ６０を、より詳細に図６Ａから図６Ｄに示している。図６では、三角型の切削チップ６０は、３つの側面６２を備え、該側面６２は、第１の部分６４と第２の部分６６とを備える。断面図に示すように、第１の部分６４は、それぞれ約７度と１５度の刃先６８と起伏表面を形成していて、留め具構成のために中央の開口部６９が設けられている。図６Ｂに示すように、側面６２は、隣接する側面６２に対して所望の角度がつけられており、約８０±０．５度の角度Ａになる方向に向けられている。側面６２各々は、所望の角度Ｂで角度をつけられた２つの面７０、７２を備え、本実施例で示すように、約１６０度の外部夾角になるようにされている。刃先６８は、側面６２のそれぞれに形成され、側面６２の軸の中心から伸びている。刃先６８は、切削チップ６０のちょうど中央を中心とする円Ｃに実質的に内接する。円Ｃの直径は、所望の寸法Ｄ、例えば、７．９３８±０．０５ミリメートルである。半径Ｆは、側面６２間で与えられ、例えば、０．７８７ミリメートルである。図６Ｃに示された横断面は、図６Ｂの線６Ｃ−６Ｃに沿って切断されたものである。図６Ｃに示すように、開口部６９は、取り付けねじに合わせた所望の構造を有する。例えば、外側の寸法Ｇは、４．９３±０．０７ミリメートルであって、内側の寸法Ｈは、３．２３±０．０７ミリメートルである。半径Ｉは、開口部６９の中点で規定され、例えば、２．３６３ミリメートルである。外側では、開口部６９は、部分６５を備え、該部分６５は、カウンタボアＪを有し、Ｊは、例えば、０．５１±０．０７ミリメートルである。半径は、部分６５と開口部６９の隣接する部分との間で規定され、例えば、０．２０３ミリメートルである。表面６４と６６は、刃先６８に対して所望の角度で形成され、例えば、表面６４に対する第１の隙間角Ｋは、例えば、７度であり、表面６６に対する第２の隙間角Ｌは、例えば、１５度である。必要ならば、第１の隙間表面だけ用いてもよい。本実施例では、第１の隙間表面６４と第２の隙間表面６６の大きさを所望されるように選択できる。チップ６０は、所望の厚さＮを備え、例えば、厚さＮは、３．９６±０．０２ミリメートルであって、表面６４は寸法Ｏ、例えば、１．９０５ミリメートルを備える。本実施例及び他の実施例において、チップは、ＩＳＯ基準より大きい厚さで形成され、強度と耐久性を備えるようにしてもよい。例えば、厚さは、国際標準の厚さより大きい０．４ミリメートル以上である。図６Ｃの部分６Ｄを示す図６Ｄの詳細な部分断面図は、刃先部分６８とチップ区切面６３の詳細を示す。刃先６８は、刃の要素を複数含み、これらが一緒になって、素材及び／又はドリルの用途に応じて所望の切削面を与える。一般に、チップ６０は、支持体と一緒に所定の方向に回転駆動されたときに切削するように設計されている。例えば、チップの開口部６９は、カートリッジ１４又は１６の開口部と組み合わされて、チップ６０をカートリッジ１４と１６のポケットに固定する。開口部６９は、皿穴部分とともに形成され、該皿穴部分は、留め具、例えば、ボルト等のテーパーしたあるいはそれに似た、対応する表面とかみ合うように適応された軸受面として形成される。該留め具構成は、例えば、ボルト又はその他のものである。開口部６９とこれに対応するカートリッジ１４又は１６の開口部は、互いに補う形になり、チップ６０をポケットに固定し、チップ６０をポケットの接触面に押しつける。各側面６２の刃先６８の近く、すなわち図６Ｄに示すように形成された穴の縁又はチップ区切面６３は、所望のチップと刃先６８につながる区切り表面の形成のために設けられる。三角形のチップの型における他の特別な特徴がこれらの図から分かるように、他の三角型又はトロコイド型のチップが、必要ならば、様々な用途に対する使用に適するように各種形成されることも理解されるべきである。本実施例では、ある三角型のチップ６０は、同じサイズの構造を有し、所定の夾角を備え、必要ならば、該夾角は、ドリル工具のサイズに応じて変更できる。また、チップ６０は、第１及び第２の隙間表面を備えるが、他の形状も検討されることが理解されるべきである。

図７Ａ乃至図７Ｄには、ダイヤモンド形状のチップ８０がドリルで使用可能なチップの例として示されている。ダイヤモンド形状のチップ８０は、刃先８１をそれぞれ備える４つの側面が見られる。ダイヤモンド形状のチップ８０の本実施例では、図７Ｂに示すように、刃先８１は、円８２に内接するように形成され、円８２の直径は、例えば、３／８インチである。また、刃先８１は、相互の角度が、所定の角度８４で形成され、角度８４は、例えば、８０度である。図７Ｃに示すように、図７Ｂの線７Ｃ−７Ｃに沿って切断された断面図によれば、第１の隙間表面８６が刃先８１の裏側に形成される。チップは、厚さ８７を備え、厚さ８７は、例えば、約０．１５６３ミリメートルである。図７Ｄに示された刃先８１のさらに詳細な図によれば、チップ区切面８８は、刃先８１の近くに形成される。

図８Ａ乃至図８Ｄには、ドリルシステムで使用可能なクアドロン形状のチップ９０が示されている。クアドロン形状のチップ９０には、数個の刃先９１をそれぞれ備える４つの側面が見られる。本実施例では、クアドロン形状のチップ９０は、ひし形状である。図８Ｂに示すように、クアドロン形状のチップ９０は、複数の刃先を備え、該刃先は内接円に接するように形成され、該内接円は、例えば０．３７５０ミリメートルの直径９２を有する。刃先９１は、クアドロン形状のチップ９０の各側面の中心線に対して所望の位置に配置されるように形成される。刃先９１は、例えば、角度９４で配置され、該角度は、例えば互いに８０度である。チップ刃先９１がカートリッジ１４又は１６に対応するポケット３４に配置されると、刃先９１はチップ９０の中心線に対して斜めになる。クアドロン形状のチップ９０の各側面は、刃先９１を備えるように構成され、該刃先９１は、互いに夾角９６をなすように形成されてもよい。例えば、夾角９６は１６０度である。図８Ｃに示すように、刃先９１それぞれの近くに第１の隙間表面１００が構成されてもよく、第１の隙間表面１００は、角度１０２になるように形成され、角度は、例えば、８度である。取り付け穴１０４が要求に応じて取り付け可能に構成される。図８Ｄに示すように、チップ区切面１１４が刃先９１それぞれの近くに形成される。

図９Ａ乃至図９Ｄには、ドリルシステムで使用可能なチップの例として、四角形状のチップ１３０が示されている。四角形状のチップ１３０には、１個の刃先１３２をそれぞれ備える４つの側面が見られる。図９Ｂに示されるように、刃先１３２は、内接円１３４に接するように形成され、該内接円は、所定の直径を有しており、例えば、直径３／８インチである。刃先は、角度１３６で形成され、四角形状のチップ１３０において角度１３６は９０度である。チップ１３０は、寸法１３８の側面を備え、寸法１３８は、例えば、０．３７５０ミリメートルである。図９Ｃに示すように、第１の起伏表面１４０が所定の角度で形成され、例えば、角度は８度である。第１の起伏表面１４０は、上記の実施例に記載のクアドロン形状のチップと同様に、取り付け穴を備える。図９Ｄに示すように、チップ区切面１４４が刃先１３２それぞれの近くに形成される。

図６乃至図９に示されたチップの型は、好適に用いられる型の例であるが、他の形状が検討されてもよいし、チップが配置されたカートリッジを相互に交換可能にしてもよい。

本発明に係るさらなる実施形態が図１０Ａ乃至図１０Ｄに示されている。調節可能なドリルは、中央にドリルシステム２３０が配置され、ドリルの操作中の安定性が増加する。外側のチップは交換可能である。図１０Ａに示された本実施形態では、工具２００は、上述の実施形態のような１個又はそれ以上のチップカートリッジ、例えば、チップカートリッジ２０４と２０６とを備え、チップカートリッジ２０４と２０６は、表面２０８、２１０を介してドリル本体２０２に固定される。なお、１個又はそれ以上のカートリッジが、ドリル本体に組み込まれてもよい（不図示）。

ドリル２００は、複数の切削チップ２２０を備える。チップ２２０は、上記の実施形態のように、チップの切削範囲が重複するように配置され、ドリルの直径に応じて使用するチップの数が増減する。少なくとも１個の切削チップ２２０が、チップカートリッジ２０４、２０６それぞれに固定される。上記の実施形態のように、図１０Ａ乃至図１０Ｄは、４個又はより多くの切削チップ２２０を用いる調節可能な交換式ドリル２００を示すが、４個より多い、あるいは少ない数のチップが用いられてもよい。ドリル２００は、所定のサイズの範囲内で調節可能であって、この調節は、上記の実施例のようにすることができる。これは、外側カートリッジ２０６が移動可能であって、固定されたチップカートリッジ２０４の実質的に１８０度反対側に配置されるためである。カートリッジ２０４は、固定されずに、移動可能であってもよい。少なくとも１個の移動可能なカートリッジを調節できるので、所望のサイズの穴に対してドリルを正確に合わせるためにドリルのサイズを調節できる。切削チップ２２０は、所望の刃先の形状を備え、１個又はそれ以上の追加の刃先と交換できる。

内側カートリッジ２０４及び外側カートリッジ２０６は、切削面を備え、該切削面は、ドリル本体の軸の近くに配置されるチップポケットを備える。切削チップ２２０は、上記の実施例のようにチップポケットに固定される。外側カートリッジ２０６の切削面は、内側カートリッジ２０４の切削面からおよそ１８０度である。

第１の表面２０８と第２の表面２１０は、上記の実施例に記載されたように、角度をつけられた表面である。表面２０８、２１０の片方又は双方は、上記の実施例のようにいずれかの方法を選択して角度がつけられ、例えば、該表面の法線ベクトルが溝主表面に対して平行になるように、又は、該表面が傾いてもよい。

上記の実施例のように、第１の表面２０８及び第２の表面２１０は、カートリッジ２０４と２０６とを規制する規制機構を備える。該規制機構は例えば、表面の少なくとも一部に渡る鋸歯２１４、キー型の規制機構、あるいはその他の好適な規制構造である。内側カートリッジ２０４及び外側カートリッジ２０６は、表面２０８、２１０と組み合わされて規制機構として機能する構造又は形状を備える。この構造又は形状は、例えば、対応するキー溝又はその他の好適な構造又は形状である。ドリル本体２０２は、ドリル本体に伸びる開口部又はホール２１２を備えてもよい。該開口部、ホール２１２は、ボルト、留め具あるいはその他、カートリッジ２０４、２０６を固定するために用いられる好適な構成要素を受けいれる。カートリッジ２０４、２０６は、留め具でドリル本体２０２に着脱自在に固定され、該留め具は、例えば、これらに限定されないが、ボルト又はその他の留め具である。この構造によってカートリッジ２０４、２０６は、選択的な置換が可能であって、ドリルの組み立てにおいて、最前面の切削面の効率的な置換が可能となる。上記の実施例と類似するこの構造は、ドリル本体から切削チップポケット３４までの距離を短くすることができ、チップに対するあらゆる曲げモーメントを抑制することができる。

内側カートリッジ２０４及び外側カートリッジ２０６は、それぞれ開口部２１６、２１８を備え、該開口部はカートリッジを貫通し、ドリル本体にカートリッジを固定する。図１０Ａ及び図１０Ｄに示されるように、内側カートリッジ２０４を貫通する開口部２１６は、それを固定位置に位置決めするためにある。外側カートリッジ２０６を貫通する開口部２１８は、表面の近くの移動可能なカートリッジにあり、工具の軸に対して選択的なスライド又は移動が可能である。開口部２１８は、上記の実施例のように外側カートリッジ２０６の移動を可能にする穴であってもよく、移動距離の変更が検討されてもよい。カートリッジ２０４、２０６、チップ２２０及び支持体２０２の他の特徴は、上記の実施例と同様である。

本実施形態では、ドリルシステム２３０が中央に配設される。システム２３０は、モジューラ型であってもよく、好適な位置決め構成によって位置を選択することが可能であり、該位置決め構成は、カートリッジ２０４と２０６との間の中央の位置で支持体２０２に形成される。本実施形態で示されるように、位置決め構成は、穴であってもよく、該穴は、例えば支持体２０２に形成された円筒形の穴２３６である。この他の好適な構成、例えば、溝、多角形の穴又はその他の好適な構成であって、システム２３０を受け入れて保持するものが検討されてもよい。また、システム２３０を、モジューラ型のシステムにして、様々なドリルシステムが位置決め構成２３６に受け入れられて使用できるようにしてもよい。図１０に示す実施例では、システム２３０は、置換可能な支持本体２３５を備え、該支持本体２３５には、置換可能な切削チップ２３１が選択的に配置される。該切削チップの型は、例えば、種々の型又は構成である。モジューラ型のシステムによれば、例えば、各種の異なる切削チップ２３１でシステムを再構成することによってドリルシステムに顕著な柔軟性が与えられ、多様な用途における使用についてシステムが最適化される。システム２３０は、ドリルチップ２３１の置換、及び／又は支持本体２３５の置換が可能であり、ドリル構成の容易な変更や、ドリル操作中にチップを装着して、新しいチップ２３１を取り付けることが可能となる。中央の切削チップ２３１は、第１の及び第２の刃先と一緒に配置され、ドリルの回転軸の近くに配設される。実施例のように、中央の切削チップ２３１は、ブレード型のチップであってもよいし、その他の好適なチップ構成が用いられてもよい。なお、必要ならば、中央の切削チップは、ドリル本体と一体に形成されてもよい。中央のチップ２３１は、ドリル工具の安定性を向上させ、特に、穴が深くなるにつれて切削作業を容易にする。工具２００の外側の切削面は、切削チップ２２０によって与えられ、該切削チップ２２０は、刃溝を持たず、ドリル操作中に要求される安定性が中央のドリルシステム２３０とチップ２３１によって向上する。例えば、穴が深くなると、中央のチップ２３１を備えることによって、切削中のドリル工具は、さらに安定する。例えば、直径の約１倍から４倍、又はそれ以上の深さにおいて、中央のチップによって得られる安定性は有用である。中央に配設された切削チップ２３１は、様々な型をとることができ、例えば、スペード型であってもよい。図１０の実施例では、中央のチップ２３１は、Ｇｅｎ３ｓｙｓチップといわれるチップであってもよい。Ｇｅｎ３ｓｙｓチップは、アライド・マシン・アンド・エンジニアリング社によって市販されている。このようなチップは、螺旋状の溝、曲がった刃先及び独特の刃の形状を備え、高い切削効率、穴開け加工品質の耐久性、表面の仕上がり、正しい位置と安定性、及びその他の利点を有する。ある例では、ドリル工具であって、これ又はこれに類似する切削システム２３０が中央に配置されたドリル工具が、高い安定性を備えるシステムを提供し、該システムは、ここで説明された例にある交換可能なカートリッジを備える。中央のチップ２３１は、穴又は穴部に配置され、該穴又は穴部は、支持本体２３５に形成される。支持体２３５は、位置決めボルト（不図示）によって所定の位置に固定され、該位置決めボルトは、開口部２３２に配置され、該開口部２３２は、ドリル本体２０２の側面であって、穴２３６の近くに形成される。中央のチップ本体２３５は、切り抜き部２３４を備え、該切り抜き部２３４は、例えば、位置決めボルトの座面を形成する。所望する位置に中央のチップシステム２３０を配置する他の構成が検討されてもよい。

図１１を参照すると、選択可能な工具２４０が、上記の実施例と類似する特徴を備え、さらに選択可能な中央切削システム２４２を備えることが示されている。本実施例での中央切削システム２４２は、中央に配置されるＡＳＣソリッドカーバイド・ツイスト・ドリルに類似するものであってもよい。なお、ＡＳＣソリッドカーバイド・ツイスト・ドリルは、アライド・マシン・アンド・エンジニアリング社によって市販されている。図１２では、選択可能な工具２５０が上記の実施例と類似する特徴を備え、さらに選択可能な中央切削システム２５２を備えることが示されている。本実施例での中央切削システム２５２は、置換可能な切削チップを備え、該切削チップは、図１０の実施形態に類似し、例えば、Ｔ−Ａ又はＧＥＮ２チップであってもよい。なお、Ｔ−Ａ又はＧＥＮ２チップは、アライド・マシン・アンド・エンジニアリング社によって市販されている。その他のチップ型の構成、例えば、アライド・マシン・アンド・エンジニアリング社又はその他の製造業者によって提供される構成が用いられてもよい。また、他の中央に配置される切削システム又は構成が利用可能であって、本発明で検討される。

図１３Ａ乃至図１３Ｄを参照されたい。図１３Ａ乃至図１３Ｄに示す例は、実施例又は中央切削システム２６０を用いる他の例と関連し、工具は上記の実施例に類似する方法で切削作業の際に調節可能である。これらの図を参照すると、外側カートリッジ２０６は、調節可能に形成され、最も小さい直径のドリルが図１３Ａ及び図１３Ｂに示され、最も大きい直径のドリルが図１３Ｃ及び図１３Ｄに示されている。図１３Ｂと図１３Ｄは、中央のシステム２６０の片側において、多数のチップ２２０が重複して配列されている状態を明確に示している。また、チップ２２０は、交換可能であって、上述のように新しい切削面を与える。図１３Ｄに示すように、直径が最大になるとき、すなわち外側カートリッジ２０６が完全に外側に拡張されたときであっても、カートリッジ２０６における中央のチップ２６０とこれに近接する切削チップ２２０との間には重複がある。

本発明に係る実施例に関連して、例えば、モジューラ型のドリル本体の構成が図１４乃至図１８に示される。この例では、ドリル本体又は支持体が３００で示され、該ドリル本体又は支持体は、複数の構成要素を備え、この構成要素は、胴部３０２、少なくとも１つの拡張部３０４及び頭部３０６が含まれ、所望のドリル本体が構成される。ドリルをモジューラ型のシステムとすることによって、胴部３０２を様々に構成することが容易になる。また、少なくとも１つの拡張部３０４を使ってドリル本体３００の長さを様々に変更することができる。また、頭部３０６を交換して頭部３０６の構成を変更できる。この例では、Ｃａｔ５０の胴部が示されているが、Ｃａｔ５０は、工具支持体の胴部構成の標準的な型であって、ドリル・チャックに関するドリル工具として用いられる。他の胴部の構成は、これに限られないが、Ｃａｔ４０、ＢＴ、フローティング・タップ、直線形状の胴部、Ｒ８、ＨＳＫ、モース・タッパー（Ｍｏｒｓｅ Ｔａｐｅｒ）、カイサー（Ｋａｉｓｅｒ）、あるいはフランジのついた直線形状の構成等であってもよい。本実施例では、胴部３０２は、所定の規制システムに組み合わさるように形成され、該規制システムと連結する連結部３１０を備える。また、本実施例に示すように連結部は、拡張部３０４と組み合わせ又は連結可能であり、あるいは、必要ならば、頭部３０６に直接接続することも可能である。本実施例では、拡張部３０４は、後方の合わせ部３１２と前方の合わせ部３１４とを備える。後方の合わせ部３１２は、径が小さくなっており、胴部３０２の連結部３１０（又は、例えば代わりの拡張部）の中に伸びて、選択的に固定される。本実施例では、合わせ部３１２は、溝３１６を備え、溝３１６は、胴部３０２の合わせ部３１０にある開口部３１８に対応する位置に配置される。スラストボルト（不図示）は、開口部３１８と組み合わせて用いられ、溝３１６と係合し、拡張部３０４を胴部３０２に保持する。また、その他の好適な構成が用いられてもよく、さらに、本発明で検討されてもよい。また、胴部３０２に対する拡張部３０４の位置合わせは、規制機構又はキー構成３２０によって可能となり、該規制機構又はキー構成３２０は、キー溝３２２、３３４との組み合わせで提供される。該キー溝３２２、３３４は、構成の向きを決め、該構成間の連結モジュールとして機能する。キー溝３２２、３３４は、例えば、胴部３０２、拡張部３０４のそれぞれに形成されている。同様に、前方の合わせ部３１４は、くぼみであってもよく、該くぼみは、類似の方法で頭部３０６の連結部３２８を受け入れる。連結部３２８に形成された溝３３０に対応する開口部３２６は、頭部３０６を、システムを介して保持する。該システムは、例えば、図１７及び図１８に示されるものであってもよく、あるいは、その他の好適なシステムであってもよい。キー溝３２２と３３４に組み合わされる規制構成３２０は、拡張部３０４及び頭部それぞれに形成され、所望の向きでの頭部３０６との連結を容易にする。その他の連結又は位置合わせの構成が利用可能であり、本発明で検討される。

工具支持体又はドリル本体をモジューラ型にすることによって、様々な用途や環境に対して多様な方法で対応する工具支持体の構成の柔軟性が大きく向上することを認識すべきである。

実施形態における、頭部３０６と拡張部３０４又は胴部３０２との間の連結が図１７及び図１８に示されている。本実施例では、胴部（あるいは拡張部）の連結部３１０は、くぼみ３４８を備え、該くぼみ３４８は、頭部３０６（あるいは拡張部）の柱拡張部３５０の中に配置される。受け開口部３５２は、オフセットコーン部材とかみ合うようにされてもよい。例えば、図中の中央にスタッド３５４、一端に置かれたコーン３４４及び他端に置かれた反転コーン３４２にコーンのくぼみを形成して、これらが受け開口部３５２の中で互いにかみ合って固定されるようにしてもよい。その他、モジューラ型システムの構成を１つに組み合わせるのに好適な構成が検討されてもよく、種々の好適なシステムが用いられてもよい。本実施例に示された組み合わせシステムは、くぼみ３４８内部の位置に柱３５０を固定するために用いることもできる。位置合わせ又は方向決めピン３５５は、胴部３０２における開口部３４６と、頭部３０６における対応する開口部（不図示）とかみ合い、これら構成を一列にならべる。その他の連結又は位置合わせの構成が利用可能であって、本発明で検討される。

様々なモジューラ型の構成が容易に実現されることが認識されるべきである。図１９に示すように、複数の拡張部３０４が、例えば、所望の深さの穴に対して選択可能である。その他、様々な、例えば、胴部３０２の変更及び／又は頭部３０６の変更であってもよい。

本発明に係る多様な実施例における支持体又はドリル本体とともに使用できる種々の胴部の構成に関する考えを提供するために、図２０乃至図２２には、使用可能な種々の構成を示す。図２０では、Ｃａｔ５０構成が、一体型あるいは非モジューラ型の構成の例として示されている。図２１では、胴部が示され、図２２では、カイサー型の胴部が示されている。これらの構成及びその他、記載された構成がモジューラ型又は非モジューラ型の構成で使用可能である。さらに、調節可能な刃の頭部の追加によって、本発明に係る実施例で説明された重要な利点が提供される。

上述の図面及び記載において、本発明が説明され、詳細に記載されたが、これらは、説明としてであって、特徴を限定しないことが考慮されるべきであり、上記の記載は、実例的な実施形態として示され、記載されたにすぎないことが理解されるべきである。そして、特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨を逸脱することがないあらゆる変更と改良が保護されることが望ましい。本発明への付加的な特徴は、本明細書の記載を考察した当業者にとって明らかである。本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、あらゆる改良がなされる。

１０ ドリル
１２、３００ ドリル本体
１４、２０４ 内側カートリッジ（チップカートリッジ、カートリッジ）
１６、２０６ 外側カートリッジ（チップカートリッジ、カートリッジ）
１８ 長軸溝（溝）
２０ 主表面
２２ 副表面
２６、２０８ 第１の表面（表面）
２８、２１０ 第２の表面（表面）
３０、３１、３２、３３、６０、８０、９０、１３０、２２０、２３１ 切削チップ（チップ）
３４ 切削チップポケット（ポケット）
４０、４１、４２、４３、８１、９１、１３２ 刃先
４４ 先端
４８、２１２ ホール
５０、２１４ 鋸歯
５２、５４、６９、２１６、２１８、２３２、３１８、３２６ 開口部
６２ 側面
６３、８８、１１４、１４４ チップ区切面
６４ 第１の部分（表面、第１の隙間表面）
６５ 部分
６６ 第２の部分（表面、第２の隙間表面）
６８ 刃先（刃先部分）
７０、７２ 面
８２ 円
８４、９４、１３６ 角度
８６、１００ 第１の隙間表面
８７ 厚さ
９２ 直径
９６ 夾角
１０４ 取り付け穴
１３４ 内接円
１３８ 寸法
１４０ 第１の起伏表面
２００ ドリル（工具）
２０２ ドリル本体（支持体）
２３０、２４２、２５２、２６０ 切削システム（ドリルシステム、システム、チップシステム、チップ）
２３４ 切り抜き部
２３５ 支持本体（支持体、チップ本体）
２３６ 穴（位置決め構成）
２４０、２５０ 工具
３０２ 胴部
３０４ 拡張部
３０６ 頭部
３１０ 連結部（合わせ部）
３１２、３１４ 合わせ部
３１６、３３０ 溝
３２０ キー構成
３２２、３３４ キー溝
３２８ 連結部
３４８ くぼみ
３４２ コーン
３４４ 反転コーン
３５０ 柱拡張部（柱）
３５２ 受け開口部
３５４ スタッド
３５５ 方向決めピン

上述の図面及び記載において、本発明が説明され、詳細に記載されたが、これらは、説明としてであって、特徴を限定しないことが考慮されるべきであり、上記の記載は、実例的な実施形態として示され、記載されたにすぎないことが理解されるべきである。そして、特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨を逸脱することがないあらゆる変更と改良が保護されることが望ましい。本発明への付加的な特徴は、本明細書の記載を考察した当業者にとって明らかである。本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、あらゆる改良がなされる。
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に参照として組み込まれる２００８年９月１２日に出願された審査中の米国出願１２／２０９，９３１の優先性、及び利益を主張する。

Claims (32)

1. 長軸を有するドリル本体を備え、
   前記ドリル本体は、少なくとも１面の表面を有し、
   前記少なくとも１面の表面は、前記少なくとも１面の表面に形成された規制機構と、前記表面から前記ドリル本体の一部に沿って伸びる長軸溝を有するとともに、
   前記表面に隣接配置されて、前記少なくとも１面の表面に対して選択的に移動可能にされて、前記規制機構と組み合わされる、少なくとも１個のカートリッジを備え、
   前記少なくとも１個のカートリッジは、切削面を有し、前記切削面は、前記ドリル本体の端部に隣接して配置されたチップポケットを有し、
   さらに、前記少なくとも１個のカートリッジを着脱自在に固定する固定部と、
   前記チップポケットに着脱自在に固定される少なくとも１個のチップと、
   を備える調節可能なドリル。
2. 前記表面は、ドリルの回転軸に垂直な平面に対して角度がある、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
3. 前記少なくとも１面の表面は、前記カートリッジを選択的に移動可能とする方向保持機構を有し、
   前記方向保持機構と前記切削面がほぼ平行である、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
4. 前記長軸溝は、少なくとも１面のくぼんだ表面を有する、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
5. 前記カートリッジは、少なくとも２個のチップポケットを有する、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
6. 前記規制機構は、少なくとも１つの長軸の鋸歯である、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
7. 前記規制機構は、長軸のキー溝である、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
8. 前記カートリッジは、前記規制機構に対応して、前記規制機構とかみ合うように形成されたかみ合い構造を有する、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
9. 前記カートリッジは、前記カートリッジを移動可能にする留め具が配置される穴を有し、
   前記穴は、座ぐりを有する、
   請求項１に記載の調節可能なドリル。
10. 前記固定部は、穴付きボルトである、
    請求項１に記載の調節可能なドリル。
11. 規制機構が形成された第２の表面と、
    前記第２の表面に隣接し、少なくとも１個のチップポケットを有する切削面を有する少なくとも１個の第２のカートリッジと、
    前記第２のカートリッジを着脱自在に前記ドリル本体に固定する固定部と、
    前記第２のカートリッジの前記チップポケットに着脱自在に固定される少なくとも１個のチップと、
    をさらに備える請求項１に記載の調節可能なドリル。
12. 前記第１及び前記第２のカートリッジは、
    貫通穴と、
    前記貫通穴を通して、対応する表面に形成された開口部に配置されて、前記カートリッジを着脱自在に固定する留め具と、
    をさらに有する請求項１１に記載の調節可能なドリル。
13. 前記第２の表面は、ドリルの回転軸に垂直な平面に対して角度がある、
    請求項１１に記載の調節可能なドリル。
14. 前記第２のカートリッジは、少なくとも２個のチップポケットを有する、
    請求項１１に記載の調節可能なドリル。
15. 前記ドリル本体は、複数の部分からなるモジューラシステムを構成する、
    請求項１に記載の調節可能なドリル。
16. 前記複数の部分は、胴部と頭部を含む、
    請求項１５に記載の調節可能なドリル。
17. 前記複数の部分は、前記胴部と前記頭部との間に少なくとも１つの拡張部をさらに含む、
    請求項１６に記載の調節可能なドリル。
18. 前記チップは、三角型チップ、ダイヤモンド型チップ、クアドロン型チップ及び四角型チップからなる群から選択される、
    請求項１に記載の調節可能なドリル。
19. 前記チップは、国際標準の厚さよりも少なくとも０．４ミリメートル大きい厚さの三角型チップである、
    請求項１に記載の調節可能なドリル。
20. 前記チップは、刃先を有する３つの面を備える三角型チップであって、前記三角型チップの前記刃先の近くに第１及び第２の隙間表面を有する、
    請求項１に記載の調節可能なドリル。
21. 中央切削システムをさらに備え、
    前記切削システムは、ドリルの回転軸の近くに配設される第１及び第２の刃先を有する、
    請求項１に記載の調節可能なドリル。
22. 前記中央切削システムと組み合わされる前記第１及び第２の刃先は、切削チップ、強固なカーバイドの切削手段、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択される、
    請求項２１に記載の調節可能なドリル。
23. 前記中央切削システムは、置換可能な支持本体を有し、
    前記支持体に置換可能な切削チップが選択的に配置される、
    請求項２２に記載の調節可能なドリル。
24. 前記置換可能な支持本体は、前記ドリル本体の穴に選択的に配置され、前記ドリル本体に選択的に固定される、
    請求項２３に記載の調節可能なドリル。
25. 前記切削チップは、ブレード型のチップである、
    請求項２２に記載の調節可能なドリル。
26. 少なくとも１面の表面を有し、前記少なくとも１面の表面に、前記少なくとも１面の表面と組み合わされた規制機構が形成された支持体と、
    前記少なくとも１面の表面に対して選択的に位置決めが可能であって、前記少なくとも１面の表面に対して選択的に移動が可能であり、前記規制機構と組み合わされて移動方向が規制される少なくとも１個の調整可能なカートリッジとを備え、
    前記少なくとも１個のカートリッジは、少なくとも１個のチップポケットを有する切削面を有し、少なくとも１個のチップが前記チップポケットに着脱自在に固定されるとともに、
    中央切削システムを備え、
    前記中央切削システムは、第１及び第２の刃先を有し、前記第１及び第２の刃先は前記ドリルの回転軸に隣接して配置される、
    調節可能なドリル。
27. 前記中央切削システムと組み合わされる前記第１及び第２の刃先は、切削チップ、強固なカーバイドの切削手段、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択される、
    請求項２６に記載の調節可能なドリル。
28. 前記中央切削システムは、置換可能な支持本体を有し、
    前記支持本体に置換可能な切削チップが選択的に配置される、
    請求項２７に記載の調節可能なドリル。
29. 前記置換可能な支持本体は、前記ドリル本体の穴に選択的に配置され、前記ドリル本体に選択的に固定される、
    請求項２８に記載の調節可能なドリル。
30. 前記ドリル本体は、複数の部分からなるモジューラシステムを構成する、
    請求項２６に記載の調節可能なドリル。
31. 前記複数の部分は、胴部と頭部を含む、
    請求項３０に記載の調節可能なドリル。
32. 前記複数の部分は、前記胴部と前記頭部との間に少なくとも１つの拡張部をさらに含む、
    請求項３１に記載の調節可能なドリル。

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