本発明は、3次元トランジスタを製造するための半導体構造の作製方法に関する。この半導体構造は、シリコンウェハー基板およびエピタキシャル層を備え、このエピタキシャル層は、3次元トランジスタ作製に適した終点検出領域を備える。終点検出領域はエピタキシャル成膜により形成されるため、フィン高さの制御がより正確に行われ得る。この半導体構造は、SOIウェハーの作製と比較して、3次元トランジスタの製造に使用するために、低コストで製造され得る。さらに、この半導体構造は、シリコン格子構造を損傷し得るイオン注入法により作製されるものではない。このことにより、格子構造に対する損傷を修復し注入されたドーパント原子を活性化するために、注入後の半導体構造の熱アニールの必要性がさらに回避される。
一般に、本発明に係る半導体構造は、エピタキシャル成膜により、3次元トランジスタを製造するために作製されるものである。エピタキシャル堆積層の成膜が行われる間、例えば、ガスの組成、反応温度等の成膜条件が細心の注意を持って調整され、その結果、エピタキシャル層内に薄い領域が形成される。なお、このエピタキシャル層は、ウェハーのエピタキシャル領域にフィン(単数または複数)を形成する後続のエッチング処理の間に終点を示す終点検出不純物がドーピングされたものである。この点に関して、本発明に係るエピタキシャル成膜プロセスは、エピタキシャル成膜条件を制御することにより、(1)シリコンウェハー基板の前部表面上にバルクエピタキシャル領域を、(2)バルクエピタキシャル領域上に終点検出エピタキシャル領域を、および(3)終点検出エピタキシャル領域上に表面エピタキシャル領域を形成することを含む。
この方法において、バルクエピタキシャル領域および表面エピタキシャル領域を形成する間のガスの組成は、例えば、SiH4、SiCl3H等の、エピタキシャル層を成膜するための従来の任意の組成であり得る。これらのエピタキシャル領域は、従来から知られているように、P型ドーパント(例えば、ホウ素)またはN型ドーパント(例えば、As、P)でドーピングされてもよい。終点検出エピタキシャル堆積領域を成膜するためのガスの組成は、終点検出エピタキシャル堆積領域の形成が行われる間に終点検出エピタキシャル堆積領域に終点検出不純物を成膜するために、変化される。終点検出不純物は、終点検出不純物がデバイスの電気的特性に影響しないよう、電気的活性ドーパント原子でないことが好ましい。さらに、終点検出エピタキシャル堆積領域における終点検出不純物の成膜は、不整合転位を生じさせるような高い濃度では行われないことが好ましい。加えて、終点検出不純物は、フィンのエッチングの後、シリコン酸化の間に、容易に消耗され除去されることが好ましい。これらの制限を満足する不純物は、ゲルマニウムおよび炭素を含み、特に、炭素が好ましい。
A.シリコン基板
概して、本発明の方法によりエピタキシャ層が成膜されるシリコン基板は、従来のチョクラルスキー(「Cz」)結晶成長法により成長した単結晶インゴットからスライスされるシリコンウェハーであり得、通常150mm、200mm、300mm、400mm、またはそれより大きい公称直径を有する。このシリコンウェハーは、Cz成長法により得られ得る任意の結晶構造、すなわち100面、110面、111面、その他を有する結晶からスライスすることができる。このウェハーは研磨されてもよく、またあるいは、研磨ではなくラッピングまたはエッチングされてもよい。係る方法、ならびに標準的なシリコンスライシング、ラッピング、エッチング、および研磨技術が、例えば、F. Shimura、Semiconductor Silicon Crystal Technology、Academic Press、1989、およびSilicon Chemical Etching、(J. Grabmaierら) Springer-Verlag、New York、1982(これらは、参照することにより本明細書に援用される)に開示されている。ウェハーは、当業者に知られている標準的な方法により研磨および洗浄されることが好ましい。例えば、W. C. O' Maraら、Handbook of Semiconductor Silicon Technology、Noyes Publicationsを参照されたい。
図3を参照すると、シリコン基板は、中心軸33と、前部表面35と、後部表面37と、前部表面および後部表面の間に存在し且つ前部表面および後部表面に平行である仮想の中心平面39と、周縁端部41と、中心軸から周縁端部へと延長する半径43とを備えるシリコンウェハー31であり得る。この文脈における用語「前部」および用語「後部」は、ウェハー31における、2つの主要な略平面状の表面を区別するために用いるものである。ウェハー31の(本明細書での意味における)前部表面35は、後に電子デバイスがその上に作られる表面であるとは限らず、またウェハー31の(本明細書での意味における)後部表面37も、電子デバイスがその上に作られる表面に対して逆側にある主要表面であるとは限らない。加えて、シリコンウェハーは通常は、何らかの全厚変動(TTV:total thickness variation)、ワープ(そり)、およびボウ(曲がり)を有するため、前部表面上の各点と後部表面上の各点の中点が正確に1つの平面上に位置するとは限らない。しかし実際問題として、TTV、ワープ、およびボウが通常は非常に小さいため、上述の各中点は、前部表面および後部表面からほぼ等距離にある仮想の中心平面上に近似的に位置すると言うことができる。
単結晶シリコンウェハーは、1つまたは複数のN型ドーパントまたはP型ドーパントでドーピングされてもよい。一般的なN型ドーパントは、リン、ヒ素、およびアンチモンを含む。一般的なP型ドーパントは、ホウ素、アルミニウム、およびガリウムを含む。1つの好適な実施形態では、3次元トランジスタの製造に用いられるウェハー基板は、P型ドーパントでドーピングされる。さらに好ましくは、ウェハーはホウ素でドーピングされる。ドーパント濃度は、1013ドーパント原子/cm3(約0.0002PPMA)から約2x1019ドーパント原子/cm3(約200PPMA)の間であり得る。これは、約1000Ωcmから約0.005Ωcmの範囲の抵抗率に相当する。1つの好適な実施形態では、シリコン基板は、約1018ドーパント原子/cm3(約20PPMA)から約1019ドーパント原子/cm3(約200PPMA)の濃度のホウ素で多量にドーピングされる。これは、約0.04Ωcmから約0.009Ωcmの範囲の抵抗率に相当する。
一般に、Cz法により成長したシリコン基板は、約1017ドーパント原子/cm3(約2PPMA)から約1018ドーパント原子/cm3(約20PPMA)の範囲内の任意の酸素濃度の酸素を含むものである。チョクラルスキー成長法の結果、単結晶シリコン中に不純物として低濃度の置換炭素が存在し得る。通常、単結晶シリコンは、約5x1016原子/cm3、好ましくは約1x1016原子/cm3、さらに好ましくは約5x1015原子/cm3より低い炭素を有する。
B.エピタキシャル層
3次元トランジスタの製造に使用される半導体構造は、シリコン基板の表面上にエピタキシャル層を備える。再び図3を参照すると、エピタキシャル層43は、シリコン基板31の前部表面35上に、シリコン基板31の後部表面37上に、またはシリコン基板の前部表面および後部表面の両方の上に成膜されてもよい。1つの実施形態では、エピタキシャル層43は、シリコン基板の1つの表面上に、好ましくは、シリコン基板の前部表面35上に成膜される。なお、このシリコン基板31の前部表面35は、後続の処理の間に3次元トランジスタが作られる表面である。エピタキシャル層45は、前部表面47および後部表面49を備える。この点に関して、エピタキシャル層の後部表面49は、シリコンウェハー基板31の前部表面35に連続するエピタキシャル層の表面である。
エピタキシャル層45は、概して、約1マイクロメートルから約6マイクロメートルの厚さ(すなわち、エピタキシャル層の前部表面47からエピタキシャル層の後部表面49へと測定する平均横断距離)に成膜される。なお、この厚さは、高性能論理デバイスおよび記憶デバイスの製造に使用されるウェハーに対して十分な厚さである。エピタキシャル層45は、さらに一般的には、約2マイクロメートルから約4マイクロメートルの厚さに、より好ましくは、約2マイクロメートルから約3マイクロメートルの厚さに成膜される。
ここで図4を参照すると、エピタキシャル層が成膜されるシリコンウェハー基板51の断面図が示されている。このエピタキシャル層は、3つの別個の領域、すなわち(1)エピタキシャル層の前部表面からシリコン基板の中心平面へと測定して平均横断距離D1だけ延長する表面エピタキシャル領域53と、(2)表面エピタキシャル領域からシリコン基板の中心平面へと測定して平均横断距離D2だけ延長する終点検出エピタキシャル領域55と、(3)終点検出エピタキシャル領域からシリコン基板の中心平面へと測定して平均横断距離D3だけ延長するバルクエピタキシャル領域57とを備える。
バルクエピタキシャル領域57は、概して、エピタキシャル層の最も厚い部分を含む。なぜなら、3次元トランジスタ製造のためのフィン高さは、エピタキシャル層の全体の厚さと比較して、薄いためである。終点検出エピタキシャル領域からシリコン基板の中心平面へと測定するバルクエピタキシャル領域57の平均横断距離D3は、一般に、ウェハーの意図された用途およびデバイス製造の仕様に応じて変動する。次に、これらの考察に基づいて、エピタキシャル層の全体の厚さ、終点検出エピタキシャル領域の全体の厚さ、および表面エピタキシャル領域の全体の厚さが決定され、それらは以下でさらに詳細に説明される。概して、バルクエピタキシャル領域の平均横断距離は、エピタキシャル層の頂部から約100nmから約300nmまでの部分を除いて、エピタキシャル層全体におよび、例えば、エピタキシャル層の厚さが約2マイクロメートルである場合、バルクエピタキシャル領域の平均横断距離は、したがって、約1.7マイクロメートルから約1.9マイクロメートルの範囲となり得る。
一般に、エピタキシャル処理条件は、極めて低い濃度の終点検出不純物を含むバルクエピタキシャル領域が成膜されるよう、制御される。「終点検出不純物」は、本明細書では、炭素およびゲルマニウム等の、フィン製造の間にプラズマエッチングの終点を示すために加えられる非電気的活性ドーパント原子を含むものであると理解される。本明細書で用いられる「終点検出不純物」は、ヒ素、リン、およびホウ素等の、エピタキシャル層の電気的特性を変化させるために一般に用いられる電気的活性ドーパント原子にまで意味が及ぶことはない。エピタキシャル成膜条件は、終点検出不純物の検出限界よりも低い終点検出不純物を有するバルクエピタキシャル領域を生じさせるよう選択されることが好ましい。この検出限界は、現時点では、2次イオン質量分析法(SIMS:secondary ion mass spectrometry)の測定によると、約1x1016原子/cm3(約0.2PPMA)である。現時点の実験手順を用いて、バルクエピタキシャル領域における終点検出不純物濃度を、約5x1016原子/cm3(約1PPMA)より低く、好ましくは約1x1016原子/cm3(約0.2PPMA)より低く、好ましくは約5x1015原子/cm3(約0.1PPMA)より低く、さらにより好ましくは約1x1O15原子/cm3(約0.02PPMA)、約1x1O14原子/cm3、約1x1O13原子/cm3、または約1x1012原子/cm3より低くなるまでにも、制限することができる。
バルクエピタキシャル領域は、電気的に活性なN型ドーパントまたはP型ドーパントを含んでもよい。典型的なN型ドーパントは、リン、ヒ素、およびアンチモンを含む。典型的なP型ドーパントは、ホウ素、アルミニウム、およびガリウムを含む。1つの実施形態では、バルクエピタキシャル領域は、P型ドーパントでドーピングされる。より好ましくは、バルクエピタキシャル領域は、ホウ素でドーピングされる。ドーパント濃度は、約1x1014ドーパント原子/cm3(約0.002PPMA)から約2x1016ドーパント原子/cm3(約0.4PPMA)の間で変動し得る。このドーパント濃度は、約131Ωcmから約0.77Ωcmの間の抵抗率に相当する。好ましくは、バルクエピタキシャル領域におけるドーパント原子の濃度は、約1x1015ドーパント原子/cm3(約0.02PPMA)から約1016ドーパント原子/cm3(約0.2PPMA)の間である。これは、約13Ωcmから約1.4Ωcmの間の抵抗率に相当する。エピタキシャル成膜条件は、全エピタキシャル領域、すなわちバルク領域、終点検出領域、および表面領域が、実質的に同一濃度の同一の電気的活性ドーパントでドーピングされるものであることが好ましい。そうすることにより、全エピタキシャル領域が、電気的特性に関して実質的に全体的に均質となる。
バルクエピタキシャル領域の成膜が行われた後、エピタキシャル成膜処理条件(例えば、ガス混合物、温度)は、成長するエピタキシャル層に終点検出不純物原子を成膜し、それによりエピタキシャル層の組成に急激な遷移を生じさせるために、変更することができる。エピタキシャル成膜が行われる間のガス混合物の組成の変化は即座に行われるものではないため、バルクエピタキシャル領域と終点検出エピタキシャル領域との間に狭い遷移領域が存在し得、その領域は、バルクエピタキシャル領域における低濃度から終点検出エピタキシャル領域における所望の濃度へと至る、急勾配の増加する終点検出不純物濃度により特徴付けられる。
図4を参照すると、終点検出領域55は、表面エピタキシャル領域53から中心平面へと測定して約5nmから約100nmの平均横断距離D2(例えば、約10nmから約50nm、またはさらに、約10nmから約25nm)だけ延長する。いくつかの実施形態では、終点検出領域の厚さは、約8nmから約12nmの範囲(例えば、10nm)となり得る。
終点検出エピタキシャル領域は、表面エピタキシャル領域における濃度よりも実質的に高い濃度の終点検出不純物を含む。また終点検出不純物は、表面エピタキシャル領域およびバルクエピタキシャル領域の両方における濃度よりも著しく高い濃度で、終点検出エピタキシャル領域に存在することが好ましい。本明細書で用いられる終点検出不純物は、終点検出不純物が、最終的な半導体基板の、例えば抵抗率等の、電気的特性に影響することがないような、非電気的活性ドーパント原子である。したがって、終点検出不純物は、例えば、ホウ素、リン、またはヒ素等の、電気的活性ドーパント原子を含まない。終点検出不純物はまた、例えば、シリコン酸化に続くフィンエッチングが行われる間等の、後続の3次元トランジスタ処理工程の間に容易に消耗および除去され得るよう、選択される。これらの要件を満足する典型的な不純物は、炭素、ゲルマニウム、さらには炭素とゲルマニウムの組み合わせをも含む。1つの好適な実施形態において、表面エピタキシャル領域における濃度よりも実質的に高い濃度で終点検出エピタキシャル領域に存在する終点検出不純物は、炭素である。
概して、終点検出エピタキシャル領域における終点検出不純物は、表面エピタキシャル領域における終点検出不純物の少なくとも100倍の濃度で存在する。終点検出エピタキシャル領域における終点検出不純物の濃度は、表面エピタキシャル領域における終点検出不純物の少なくとも1000倍の濃度(例えば、表面エピタキシャル領域における終点検出不純物の少なくとも10,000倍の濃度)であることが好ましい。不純物の絶対濃度に関して、終点検出不純物は、約1x1017原子/cm3(約2PPM)から約5x1O19原子/cm3(約1000PPMA)の濃度(例えば、約5x1017原子/cm3(約10PPM)から約5x1019原子/cm3(約1000PPMA))で終点検出エピタキシャル領域に存在し得る。
終点検出エピタキシャル領域は、上述した終点検出不純物に加えて、電気的に活性なN型ドーパントまたはP型ドーパントをさらに含んでもよい。一般的なN型ドーパントは、リン、ヒ素、およびアンチモンを含む。一般的なP型ドーパントは、ホウ素、アルミニウム、およびガリウムを含む。1つの好適な実施形態では、終点検出エピタキシャル領域は、P型ドーパントでドーピングされる。より好ましくは、終点検出エピタキシャル領域は、ホウ素でドーピングされる。ドーパント濃度は、約1x1014ドーパント原子/cm3(約0.002PPMA)から約2x1016ドーパント原子/cm3(約0.4PPMA)の間で変動し得る。これは、約131Ωcmから約0.77Ωcmの抵抗率に相当する。終点検出エピタキシャル領域におけるドーパント原子の濃度は、約1x1015ドーパント原子/cm3(約0.02PPMA)から約1016ドーパント原子/cm3(約0.2PPMA)であることが好ましい。これは、約13Ωcmから約1.4Ωcmの抵抗率に相当する。
終点検出エピタキシャル領域の成膜の後、エピタキシャル成膜処理条件(例えば、ガス混合物、温度)は、成長するエピタキシャル層に注入される終点検出不純物の濃度を低下させ、フィンが形成される機能的表面エピタキシャル領域を成長させるよう、再び変更され得る。エピタキシャル成膜が行われる間、ガス混合物の組成の変化は即座に行われるものではないため、終点検出エピタキシャル領域と表面エピタキシャル領域との間に狭い遷移領域が存在し得、その領域は、終点検出エピタキシャル領域における所望の不純物濃度から表面エピタキシャル領域における低濃度へと至る、急勾配の減少する終点検出ドーパント濃度により特徴付けられる。
再び図4を参照すると、表面エピタキシャル領域53は、エピタキシャル層の前部表面からシリコン基板の中心平面へと測定して、約50nmから約400nm、約100nmから約400nm、約100nmから約300nm、または約200nmから約300nmの平均横断距離D1だけ延長する。3次元トランジスタの製造に有用なフィンは、表面エピタキシャル領域をエッチングすることにより作られるので、表面エピタキシャル領域の全厚変動を最小とするため、表面エピタキシャル領域の成膜を注意深く制御することが好ましい。表面エピタキシャル領域の全厚変動は、以下の式により算出される。
TTV(単位:%)=[(Maximumtd−Minimumtd)/std dev]x100
式中、TTV(単位:%)はパーセンテージで表現した全厚変動、Maximumtdは表面エピタキシャル領域の最大横断距離、Minimumtdは表面エピタキシャル領域の最小横断距離、および、std devは標準偏差である。全厚変動は、一般に、約0.5%から約4%であるが、約1%から約2%であることが好ましい。
上述のように、終点検出エピタキシャル領域における終点検出不純物濃度は、表面エピタキシャル領域における不純物濃度の少なくとも100倍、少なくとも1000倍、さらには少なくとも10,00O倍であることが好ましい。エピタキシャル成膜条件は、終点検出不純物の検出限界よりも小さい終点検出不純物を有する表面エピタキシャル領域が生じるよう選択されることが好ましい。この検出限界は、現時点では、2次イオン質量分析法(SIMS)の測定によると、約1x1016原子/cm3(約0.2PPMA)である。現時点の実験手順を用いて、表面エピタキシャル領域における終点検出不純物の濃度が、約5x1016原子/cm3(約1PPMA)より低く、好ましくは約1x1016原子/cm3(約0.2PPMA)より低く、好ましくは約5x1015原子/cm3(約0.1PPMA)より低く、さらにより好ましくは約1x1015原子/cm3(約0.02PPMA)、約1x1014原子/cm3、約1x1013原子/cm3、さらに約1x1012原子/cm3より低くなるよう、制限することができる。
表面エピタキシャル領域は、電気的に活性なN型ドーパントまたはP型ドーパントをさらに含んでもよい。一般的なN型ドーパントは、リン、ヒ素、およびアンチモンを含む。一般的なP型ドーパントは、ホウ素、アルミニウム、およびガリウムを含む。1つの好適な実施形態では、表面エピタキシャル領域は、P型ドーパントでドーピングされ、より好ましくは、表面エピタキシャル領域は、ホウ素でドーピングされる。ドーパント濃度は、約1x1014ドーパント原子/cm3(約0.002PPMA)から約2x1016ドーパント原子/cm3(約0.4PPMA)の間で変動し得る。これは、約131Ωcmから約0.77Ωcmの抵抗率に相当する。表面エピタキシャル領域は、約1x1015ドーパント原子/cm3(約0.02PPMA)から約1016ドーパント原子/cm3(約0.2PPMA)の濃度でドーピングされることが好ましい。これは、約13Ωcmから約1.4Ωcmの抵抗率に相当する。
C.エピタキシャル成膜
本発明は、さらに、(a)中心軸と、中心軸に略垂直である前部表面および後部表面と、前部表面および後部表面の間にあり且つ前部表面および後部表面に平行である中心平面と、周縁端部と、中心軸から周縁端部へと延長する半径とを有するシリコン基板、および(b)前部表面および後部表面を有するエピタキシャル層を備え、エピタキシャル層の後部表面はシリコン基板の前部表面に連続する、半導体構造の作製方法にも関する。このプロセスは、シリコン基板の前部表面上に上述のバルクエピタキシャル領域を形成することと、次に、バルクエピタキシャル領域上に終点検出エピタキシャル領域を形成することと、最後に、終点検出エピタキシャル領域上に表面エピタキシャル領域を形成することとを含む。終点検出エピタキシャル領域は、炭素、ゲルマニウム、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される終点検出不純物を含み、終点検出不純物は、表面エピタキシャル領域における終点検出不純物の濃度の少なくとも100倍の濃度で終点検出エピタキシャル領域に存在する。
エピタキシャル層は、ウェハーの全体上に成膜されてもよく、あるいは、ウェハーの一部のみ、例えば、ウェハーの前部表面上のみまたはウェハーの後部表面上のみに成膜されてもよい。例えば、1つの実施形態では、エピタキシャル成膜が行われる間、2つのウェハーの後部表面どうしが共に圧着されて、エピタキシャル層が2つのウェハーの前部表面のみに成膜されてもよい。図3を参照すると、エピタキシャル層45は、ウェハーの前部表面35上に成膜されることが好ましい。エピタキシャル層45は、ウェハーの前部表面35の全面に成膜されることがさらに好ましい。エピタキシャル層がウェハーの他の任意の部分に成膜されることが好ましいかどうかは、ウェハーの意図する用途による。大部分の用途では、ウェハーの他の任意の部分におけるエピタキシャル層の有無は、重要ではない。
通常の処理では、シリコン基板の表面は、例えば、無酸化物雰囲気においてウェハーの表面を加熱(例えば、H2または希ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、またはアルゴン)を含有する雰囲気において少なくとも約1100℃の温度で)することにより、表面酸化物が洗浄され得る。あるいは、表面酸化物は、知られているように、リン酸、ヒドロフルオロ酸、または他の酸を用いて、当業者に知られている手段により、化学的に除去し得る。
エピタキシャル成膜は、化学気相蒸着法により行われる。化学気相蒸着法では、例えばApplied Materials社から入手できるCentura反応器等のエピタキシャル成膜反応器において、シリコンを含有する雰囲気にウェハーの表面が曝露される。ウェハーの表面は、シリコン(例えば、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、SiH3Cl、またはSiH4)を含有する揮発性ガスに曝露されることが好ましい。この雰囲気は、キャリアガス(好ましくはH2)も含有することが好ましい。例えば、エピタキシャル成膜が行われる間のシリコン供給源はSiH2Cl2またはSiH4であり得る。SiH2Cl2が用いられる場合、成膜が行われる間の反応器の真空圧力は、約500トルから約760トルであることが好ましい。一方、SiH4が用いられる場合、反応器の圧力は、約100トルであることが好ましい。成膜が行われる間のシリコン供給源は、SiHCl3であることが最も好ましい。SiHCl3は、他の供給源よりもはるかに安価である傾向にある。加えて、SiHCl3を使用するエピタキシャル成膜は、大気圧で行うことが可能である。これは、真空ポンプが要求されないため、有利であり、また反応器チャンバは、真空ポンプを用いる場合ほど、崩壊しないように堅牢である必要がない。さらに、安全上の問題も軽減され、空気または他のガスが反応器チャンバに漏入する可能性も低減される。
エピタキシャル成膜が行われる間、ウェハー表面の温度は、シリコン含有ガスを含む雰囲気が多結晶性シリコンを表面上に堆積しない程度の温度に上昇させられ維持されることが好ましい。一般に、この期間の表面温度は、少なくとも約900℃である。表面温度は、約1050℃から約1150℃の範囲に維持されることがより好ましい。表面温度は、シリコン酸化物除去温度に維持されることが最も好ましい。
エピタキシャル成膜の成長速度は、約0.5μm/分から約7.0μm/分であることが好ましい。約3.5μm/分から約4.0μm/分の成長速度は、例えば、約1150℃の温度下および最大約1気圧までの絶対圧力下において、実質的に約2.5モル%のSiHCl3および約97.5モル%のH2からなる雰囲気を使用することにより、達成され得る。
いくつかの用途では、ウェハーは、電気的特性を与えるエピタキシャル層を含む。例えば、N型エピタキシャル層を作る場合、エピタキシャル層は、リン、ヒ素、またはアンチモンで軽くドーピングされる。したがって、エピタキシャル成膜のための周囲の雰囲気は、例えば、アルシン、AsH3、またはホスフィン、PH3等の揮発性化合物として提供される、リン、ヒ素、またはアンチモンの気体源をさらに含む。あるいは、エピタキシャル層は、ホウ素を含み得る。係る層は、例えば、成膜が行われる間、B2H6を雰囲気に含有することにより形成し得る。
上述のように、エピタキシャル層は、ゲルマニウム、炭素、またはゲルマニウムおよび炭素の組み合わせからなる群から選択される終点検出不純物を含む終点検出エピタキシャル領域を含む。どの場合においても、エピタキシャル成膜ガスの混合物(すなわち、終点検出不純物ガスの導入および成膜ガス混合物からの終点検出不純物ガスの除去の両方)の組成を急激に変化させることにより、終点検出層の厚さおよび位置を正確に制御することができる。
ゲルマニウム不純物をエピタキシャル層に組み込むためには、ゲルマニウムの揮発性供給源が、エピタキシャル成膜ガス混合物に含められる。揮発性ゲルマニウム供給源は、とりわけ、ゲルマン、二塩化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムを含む。炭素不純物をエピタキシャル層に組み込むためには、炭素の供給源が、エピタキシャル成膜ガス混合物に含められる。揮発性炭素供給源は、とりわけ、メタン、エタン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素を含む。
終点検出エピタキシャル領域が所望の厚さに成膜された後、エピタキシャルガス成膜混合物は、ゲルマニウム供給源または炭素供給源を除去するように、変更される。例えば温度等の追加的な処理条件をさらに変更して、エピタキシャル成長速度を低下させることが好ましい。なぜなら、表面エピタキシャル領域の成長を、表面エピタキシャル領域を正確にエッチングして均一なフィン高さを有するフィンが形成されるよう、正確な厚さに制御することが好ましいからである。
エピタキシャル成膜は、通常、エピタキシャル成膜が行われる間に形成された副産物を取り除くために、エピタキシャル成膜の後、エピ後洗浄工程を必要とする。この工程は、時間依存性のヘイズを防ぐために用いられる。時間依存性のヘイズは、係る副産物が空気と反応した場合に結果として生じるものである。加えて、多数のエピ後洗浄技術は、シリコン酸化物層をエピタキシャル表面上に形成する傾向があり、シリコン酸化物層はエピタキシャル表面を不動態化(すなわち、保護)する傾向がある。本発明に係るエピタキシャルウェハーは、当業者に知られている方法により洗浄することができる。
D.プラズマエッチング
バルク領域を備えるエピタキシャル層、終点検出領域、および表面エピタキシャル領域の成膜が行われた後、半導体構造にプラズマエッチングが施され、3次元トランジスタの製造に使用される、所望のパターンのフィン(単数または複数)が表面エピタキシャル領域内に画成される。
図4を参照すると、フィン59は、シリコン立方体を含む。このシリコン立方体は、半導体構造の表面から延長するものであり、長さ、深さ、および高さにより画定される。フィンの長さ寸法および深さ寸法は、フィン高さに対して垂直であり、プラズマエッチングに対する耐性を有する、SiN等のハードマスク61のパターンにより決定される。
フィンの長さおよび幅は、ウェハーの意図された用途に依存し得る。本明細書において、フィンの「長さ」は、フィン高さおよびフィン深さに対して垂直である横断寸法を指し、従来、深さよりも大きい値となる。同様に、フィンの「深さ」は、フィン高さおよびフィン長さに対して垂直である横断寸法を指し、従来、フィン長さよりも短い。フィンの長さ寸法および深さ寸法は、ウェハーの意図された用途およびデバイス製造者の仕様により定まる。
プラズマエッチングにより、表面エピタキシャル領域が部分的にエッチングされ、その結果、フィンパターンが現され、フィン高さが画定される。表面エピタキシャル領域がエッチングにより取り除かれ、終点検出エピタキシャル領域が現されると、プラズマエッチングチャンバ内のガス混合物の変化により、プラズマエッチングの終点が示される。プラズマエッチングチャンバ内のガス混合物は、半導体基板から取り除かれたエピタキシャル層の組成を判定するために、継続的に監視される。プラズマエッチングが表面エピタキシャル領域から終点へと達する際、ガス混合物の屈折率の変化は、たとえ変化したとしても、わずかなものであり得るため、レーザー干渉はプラズマエッチングの終点を判定する方法としては、特に有用であるとは限らない。したがって、係る例においては、発光分析(「OES」:optical emission spectrometry)が好ましい。OESは、チャンバ内でいくつかの波長の強度を監視し、何らかの判定基準レベルのもとで、特定の波長の強度の増減を判定する。他の例では、質量分光が、プラズマ放出における気相種を検出するために用いられ得る。例えば、Silicon Processing for the VLSI era Volume 1、S. Wolf and R.N. Tauberを参照されたい。
表面エピタキシャル領域がエッチングされると、ガス混合物は、通常、もしシリコンおよび電気的活性ドーパントが存在する場合、これらを含む。表面エピタキシャル領域は低濃度の終点検出不純物を含み得るため、OES測定器は、終点検出不純物の基準濃度値を、プラズマエッチングチャンバにおいて検出する。表面エピタキシャル領域がエッチングにより取り除かれると、終点検出エピタキシャル領域が現され、表面エピタキシャル領域のエッチングが行われる間に測定された基準値を超えて、終点検出不純物の濃度が増加する。したがって、プラズマエッチングの終点に対する合図は、例えば、不純物濃度が、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、または少なくとも約20%だけ増加する場合の、経験的に判定され、および少なくとも部分的に基準の標準偏差による、プラズマ検出の終点を測定するための、例えば濃度増加に関する基準の標準偏差等のノイズとは区別され得る、少なくとも何らかの濃度増加である。再び図4を参照すると、この時点で、半導体基板は、シリコンウェハー基板、バルクエピタキシャル領域、わずかにエッチングされた終点検出領域、およびSiNハードマスクを頂部に有する分離したフィンを備える。
このようにして、エピタキシャル層の前部表面から中心平面へと測定して、約100nmから約400nm、約100nmから約300nm、または約200nmから約300nmの高さだけ延長するフィン(単数または複数)が、表面エピタキシャル領域から作られる。
本発明の、または本発明の好適な実施形態(単数または複数)の構成要素を導入する際、冠詞「1つの」(「a」、「an」)、「この」(「the」)、および「前記」(「said」)は、当該の構成要素が1つまたは複数存在することを意図するものである。用語「備える」、「含む」、および「有する」は、包括的であることを意図するものであり、列挙した構成要素の他に追加の構成要素が存在し得ることを意味する。
上記を鑑みると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られたことが理解できるであろう。
本発明の範囲を逸脱することなく、上述の構成および方法に様々な変更例をもたらすことが可能であるので、これまでの記載に含まれた、および添付の図面に示された、すべての要件は、例示的なものであると解釈すべきであり、限定的な意味で解釈すべきでないことを意図するものである。