JP2012256464A - 端子付電線 - Google Patents

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正人 井上
Yukiyasu Sakamoto
幸康 坂本
Hiroshi Sudo
博 須藤
Yuji Yamaguchi
裕司 山口
Hisahiro Yasuda
久洋 安田
Tetsuya Nakamura
哲也 中村
Nariyuki Tanaka
成幸 田中
Tsubasa Nishida
翼 西田
Kazuo Nakajima
一雄 中嶋
Hideki Imamura
秀樹 今村
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Abstract

【課題】端子付電線において、圧着端子が設けられる端部が過剰に太くならないようにしつつ、電線の端部における芯線の部分を密封し、芯線の腐食を防止すること。
【解決手段】端子付電線1において、防食剤8が、電線9における裸芯線91の先端部91Aを覆う。さらに、熱収縮チューブ7が、熱を受けて収縮した状態で、電線9の端部における被覆圧着部20が圧着された部分から防食剤8で覆われた部分に亘る保護領域を圧着端子10及び防食剤8の外側から覆う。熱収縮チューブ7の内側面と電線9の保護領域との間には、熱収縮チューブ7と電線9の保護領域とを接着する熱可塑性の接着剤6が形成されている。防食剤8は、エポキシ樹脂を主成分とし、JIS Z8803に準拠して測定される25℃での粘度が1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内にある樹脂の硬化物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電線と電線の端部に取り付けられた圧着端子とを含む端子付電線に関する。
一般に、ワイヤハーネスにおける電線の端部には、金属製の圧着端子が取り付けられる。特許文献1に示されるように、圧着端子は、被覆圧着部、芯線圧着部及び端子接続部を有する場合が多い。被覆圧着部は、電線の端部における絶縁被覆に圧着される部分である。芯線圧着部は、電線の端部における絶縁被覆から延び出た芯線に圧着される部分である。また、端子接続部は、相手側の端子と嵌り合うことによって相手側の端子に接続される部分である。一般的な絶縁電線の芯線は、タフピッチ銅などの銅で構成される。
そして、被覆圧着部及び芯線圧着部の各々の一部が曲げられて絶縁被覆及び芯線に対してかしめられることにより、被覆圧着部が電線の絶縁被覆を把持し、芯線圧着部が電線の芯線を把持する。その結果、圧着端子は、電線の端部に固定される。以下、端部に圧着端子が取り付けられた電線のことを端子付電線と称する。
圧着端子において、被覆圧着部は、圧着端子を電線に強固に保持する役割を担い、芯線圧着部は、主として圧着端子と電線の芯線とを電気的に接続する役割を担う。なお、被覆圧着部、芯線圧着部及び端子接続部は、それぞれインシュレーションバレル、ワイヤバレル及びコンタクトと称される。一般に、圧着端子は、銅又は銅の合金で構成される。
ところで、端子付電線において、電線の芯線がアルミニウム線である場合、銅又は銅の合金で構成された圧着端子と接触するアルミニウム線は、異種金属接触腐食によって腐食しやすい。端子付電線における異種金属接触腐食を防止するためには、異種の金属が接触する部分、即ち、電線の芯線と圧着端子の芯線圧着部とが接触する部分への水分の浸入を防ぐことが有効である。
異種金属接触腐食を防止するため、特許文献1に示される端子付電線は、内側面に熱可塑性接着剤が形成された熱収縮チューブである熱可塑性接着剤付き熱収縮チューブを備える。特許文献1に示される端子付電線において、熱可塑性背着剤付き熱収縮チューブは、電線におけるインシュレーションバレルが圧着された部分から芯線の先端部に亘る領域を電線及び圧着端子の外側から覆う。
また、特許文献2には、電線の芯線と端子との接続部における腐食を防止するため、電線の芯線に接続された端子金具が挿入されたコネクタ内にグリースを注入することについて示されている。
特開2011−29102号公報 特開平5−159846号公報
しかしながら、特許文献1に示される端子付電線は、以下に示す問題点を有している。第1の問題点は、電線における芯線の先端部と熱可塑性接着剤付き熱収縮チューブとの間に隙間が生じやすいことである。即ち、熱収縮チューブ内の熱可塑性接着剤は、加熱により溶融して芯線の先端部へ流れ出すが、芯線の先端部全体に行き渡って芯線の先端部全体を覆う状態になりにくい。芯線の先端部と熱収縮チューブとの間に隙間が生じると、十分な防食効果は得られない。
また、第2の問題点は、芯線の先端部と熱収縮チューブとの間に隙間が生じないほどに熱収縮チューブ内における熱可塑性接着剤の量を増やすと、端子付電線における熱収縮チューブの部分が太くなり過ぎることである。一般に、端子付電線の端部は、太過ぎると、コネクタなどに形成された取付孔への挿入ができなくなるため、太さに制限がある。
また、特許文献2に示されるグリースは、粘度が高く流動性が悪いため、電線の芯線と圧着端子との間の隙間などの防食部位全体へ確実に行き渡るように塗布することが難しい。さらに、十分な防食効果を得るためにグリースの充填量が増量されると、余分なグリースが防食の必要のない部位にも付着して電線のベタつきを招き、電線の取り扱い性が悪化する。即ち、グリースは、過不足のない塗布によって芯線の腐食を確実に防止することが難しいという問題点を有している。
本発明の目的は、端子付電線において、圧着端子が設けられる端部が過剰に太くならないようにしつつ、電線の端部における芯線の部分を密封し、芯線の腐食を確実に防止することである。
本発明に係る端子付電線は、以下に示される各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、電線である。
(2)第2の構成要素は、電線の端部における絶縁被覆に圧着された被覆圧着部、電線の端部における絶縁被覆から延び出た芯線に圧着された芯線圧着部及び相手側の端子に接続される端子接続部を有する圧着端子である。
(3)第3の構成要素は、芯線の先端部を覆う第1の防食剤である。第1の防食剤は、エポキシ樹脂を主成分とし、JIS Z8803に準拠して測定される25℃での粘度が1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内にある樹脂の硬化物である。
(4)第4の構成要素は、熱を受けて収縮した状態で、電線の端部における被覆圧着部が圧着された部分から第1の防食剤で覆われた部分に亘る保護領域を圧着端子及び第1の防食剤の外側から覆う熱収縮チューブである。
また、本発明に係る端子付電線が、さらに以下に示される構成要素を備えることも考えられる。
(5)第5の構成要素は、熱収縮チューブの内側面と電線の保護領域との間に形成され、熱収縮チューブと保護領域とを接着する熱可塑性の接着剤である。
また、本発明に係る端子付電線において、接着剤は、融点が芯線の先端部で固化した第1の防食剤の融点よりも低い熱可塑性材料で構成されていることが考えられる。
また、本発明に係る端子付電線が、さらに以下に示される構成要素を備えることも考えられる。
(6)第6の構成要素は、電線における圧着端子の被覆圧着部が圧着された部分と芯線圧着部が圧着された部分との間における芯線を覆う第2の防食剤である。
また、本発明に係る端子付電線において、電線の芯線と圧着端子とは異なる種類の金属材料で構成されていることが考えられる。より具体的には、電線の芯線がアルミニウムを主成分とする金属の線であることが考えられる。
また、本発明に係る端子付電線において、防食剤の元となるエポキシ樹脂が1液形の樹脂であれば好適である。
本発明に係る端子付電線においては、防食剤が、電線の端部における芯線の先端部を覆うとともに、芯線の先端部と熱収縮チューブとの隙間を埋める。さらに、収縮した熱収縮チューブが、電線の端部における被覆圧着部が圧着された部分、即ち、絶縁被覆の部分から防食剤で覆われた部分に亘る領域(保護領域)を覆う。そのため、電線の端部における芯線の部分は、防食剤及び熱収縮チューブにより密封され、芯線の腐食が防止される。また、熱収縮チューブの内側に大量の熱可塑性接着剤が形成される必要がなく、圧着端子が設けられる電線の端部が過剰に太くなることもない。
また、本発明に係る端子付電線において、防食剤の元となる樹脂は、エポキシ樹脂を主成分とし、JIS Z8803に準拠して測定される25℃での粘度が1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内にある。そのような樹脂は、グリースよりも塗布性に優れ、硬化後に確実に高い防食性能を発揮する。なお、塗布性とは、電線の芯線と圧着端子との間の隙間などの防食部位全体へ確実に行き渡るように過不足なく塗布することの容易性を意味する。
また、エポキシ樹脂を主成分とする樹脂が硬化した材料で構成される防食剤は、熱可塑性樹脂に比べ耐熱性に優れている。また、そのような防食剤は、熱収縮チューブが加熱されるときに溶融して流れ出すことなく、芯線の先端部を覆う状態を維持する。
また、本発明に係る端子付電線が、熱収縮チューブの内側面と電線の保護領域との間に形成された熱可塑性の接着剤を有していれば、熱収縮チューブによる電線の端部の密封性がより高まり好適である。さらに、電線に対する熱収縮チューブの位置ずれが防止される。
また、本発明に係る端子付電線において、熱収縮チューブと電線の保護領域との間の接着剤が、芯線の先端部で固化した防食剤よりも融点の低い熱可塑性材料で構成されていれば好適である。これにより、熱収縮チューブが、その内側の接着剤を溶融させるために加熱されるときに、防食剤が溶融して流れ出すことを防止できる。
また、本発明に係る端子付電線において、電線における圧着端子の被覆圧着部が圧着された部分と芯線圧着部が圧着された部分との間における芯線の部分が、防食剤で覆われていればなお好適である。これにより、万一、水分が熱収縮チューブの内側に浸入した場合でも、その水分が芯線に到達することは防がれる。これにより、芯線の防食効果がより高まる。
また、本発明に係る端子付電線は、電線の芯線と圧着端子とが異なる種類の金属材料で構成されている場合、即ち、異種金属接触腐食の防止のためにより高い防水構造が要求される場合に特に効果的である。より具体的には、電線の芯線がアルミニウムを主成分とする金属の線である場合に、本発明に係る端子付電線の防食効果が特に顕著となる。
本発明の実施形態に係る端子付電線1の斜視図である。 端子付電線1の端部の縦断面図である。 端子付電線1の製造過程における電線の端部の第1の状態の斜視図である。 端子付電線1の製造過程における電線の端部の第2の状態の斜視図である。 実施例および比較例に係る防食剤の剥がれ試験及び腐食試験の評価結果を表す図である。 防食性能試験の様子を表す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
<実施形態>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る端子付電線1の構成について説明する。端子付電線1は、電線9と、その端部に取り付けられた圧着端子10と、電線9の端部に形成された防食剤8と、電線9の端部を覆う熱収縮チューブ7とを備える。図2は、端子付電線1の端部における、電線9及び圧着端子10の長手方向の中心線に沿う断面の図である。
以下、電線9の中央寄りから先端寄りへ向かう方向を延伸方向と称する。即ち、延伸方向は、電線9の長手方向である。圧着端子10及び熱収縮チューブ7は、その長手方向が延伸方向に沿うようにして電線9の端部に取り付けられている。各図に示される座標軸におけるX軸の正方向が延伸方向である。また、図1、図3及び図4における破線は、隠れ線である。なお、電線9の中央寄りとは、電線9の先端側(末端側)に対して反対側に寄っていることを意味する。
<電線>
圧着端子10が取り付けられる対象となる電線9は、長尺な導体である芯線と、その芯線の周囲を覆う絶縁体である絶縁被覆とを有する絶縁電線である。圧着端子10が取り付けられる電線9の端部は、予め一定の長さの分の芯線の周囲から絶縁被覆が剥がれた状態、即ち、一定の長さ分の芯線が絶縁被覆から延び出た状態に加工されている。
以下、電線9の端部において、絶縁被覆の端から延び出た芯線を裸芯線91と称する。また、電線9の絶縁被覆における端部の一定の範囲(数ミリメートルから二十数ミリメートル程度の長さの範囲)の部分を被覆端部92と称する。
端子付電線1において、電線9の芯線は、圧着端子10を構成する金属材料とは種類の異なる金属材料で構成されている。電線9の芯線は、例えば、複数本の素線が撚り合わされた撚り線である。この場合、撚り線が、1種の金属素線より構成されていること、又は2種以上の金属素線より構成されていることが考えられる。また、撚り線が、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線などを含むことも考えられる。
なお、撚り線が1種の金属素線より構成されるとは、撚り線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料からなることをいう。一方、撚り線が2種以上の金属素線より構成されるとは、撚り線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線が含まれることをいう。また、撚り線が、絶縁電線を補強する補強線(テンションメンバ)等を含むことも考えられる。
電線9の芯線の材料は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種メッキが施された材料などである。端子付電線1は、電線9の芯線がアルミニウムを主成分とする金属の線材である場合に特に好適である。また、補強線としての金属素線の材料は、例えば、銅合金、チタン、タングステン、ステンレスなどである。また、補強線としての有機繊維は、例えば、ケブラーなどである。なお、電線9の芯線が、撚り線ではなく単芯線であることも考えられる。
また、電線9の絶縁被覆の材料は、例えば、ゴム、ポリオレフィン、PVC、熱可塑性エラストマー又はそれらのうちの2種以上が混合された材料などである。また、電線9の絶縁被覆の材料中に、各種の添加剤が添加されていてもよい。添加剤は、例えば、難燃剤、充填剤又は着色剤などである。
<圧着端子>
図1及び図2に示されるように、圧着端子10は、延伸方向に沿って一列に並んで形成された、被覆圧着部20、第一連結部30、芯線圧着部40、第二連結部50及び端子接続部60を有している。
圧着端子10は、銅もしくは黄銅などの銅合金の部材、又はそれらの部材に錫(Sn)メッキもしくは錫に銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)などが添加された錫合金のメッキが施された導体の部材である。
<圧着端子:被覆圧着部>
被覆圧着部20は、曲がって形成された板状の部分であり、電線9に圧着される前の状態において、電線9の被覆端部92が挿入される溝を形成している。そして、被覆圧着部20は、被覆圧着部20が形成する溝の内側に挿入された被覆端部92に対してかしめられることにより、被覆端部92に圧着される。
より具体的には、被覆圧着部20は、被覆端部92を一の方向から支える底板部と、その底板部から被覆端部92の両側へ起立して形成され、被覆端部92に対してかしめられる起立部とを有する。各図に示される座標軸のY軸方向は、一対の起立部が対向する方向(幅方向)である。また、各図に示される座標軸のZ軸方向は、延伸方向及び幅方向に直交する方向(高さ方向)である。
<圧着端子:芯線圧着部>
芯線圧着部40は、曲がって形成された板状の部分であり、電線9に圧着される前の状態において、電線9の裸芯線91が挿入される溝を形成している。そして、芯線圧着部40は、芯線圧着部40が形成する溝の内側に挿入された裸芯線91に対してかしめられることにより、裸芯線91に圧着される。
より具体的には、芯線圧着部40は、裸芯線91を一の方向から支える底板部と、その底板部から裸芯線91の両側へ起立して形成され、裸芯線91に対してかしめられる起立部とを有する。芯線圧着部40における一対の起立部も、幅方向において対向して形成されている。
<圧着端子:第一連結部>
第一連結部30は、被覆圧着部20と芯線圧着部40とを繋ぐ部分である。第一連結部30は、曲がって形成された板状の部分であり、被覆端部92及び裸芯線91の境界部分が挿入される溝を形成している。
<圧着端子:第二連結部>
第二連結部50は、芯線圧着部40と端子接続部60を繋ぐ部分である。第二連結部50は、曲がって形成された板状の部分であり、溝を形成している。裸芯線91の先端部91Aが、芯線圧着部40から第二連結部50が形成する溝へはみ出す場合もあるが、そうでない場合もある。なお、各図に示される例は、裸芯線91の先端部91Aが、芯線圧着部40から第二連結部50側へわずかにはみ出している例である。
<圧着端子:端子接続部>
端子接続部60は、圧着端子10の接続相手となる不図示の相手側端子と嵌り合うことによって相手側端子と直接接触し、相手側端子に接続される部分である。図1に示される端子接続部60は、相手側端子が嵌め入れられる孔である端子挿入孔61が形成された筒状の部分である。なお、端子接続部60が、相手側端子の端子挿入孔に嵌め入れられる棒状の導体である場合もある。
<防食構造>
端子付電線1において、電線9の芯線(裸芯線91)と、圧着端子10とは、それぞれ異種の金属で構成されている。具体的には、芯線は、アルミニウム線、即ち、アルミニウムを主成分とする金属(アルミニウムまたはアルミニウム合金)の線材である。一方、圧着端子10は、銅もしくは黄銅などの銅合金の部材、又はそれらの部材に錫(Sn)メッキもしくは錫に銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)などが添加された錫合金のメッキが施された部材である。そのため、圧着端子10と接触する裸芯線91は、異種金属接触腐食によって腐食しやすい。
そこで、端子付電線1における電線9の端部には、水分などの浸入を防ぐことによって裸芯線91の腐食を防ぐ防食構造が設けられている。端子付電線1における防食構造は、防食剤8及び熱収縮チューブ7を含む。
<防食構造:防食剤>
防食剤8は、圧着端子10における芯線圧着部40と第二連結部50とに跨る部分において、裸芯線91の先端部91Aに対し、その先端部91Aを覆うように塗布されている。防食剤8は、裸芯線91の先端部91Aを密封することにより、水分が裸芯線91の先端部91Aに浸入することを防ぐ。
後述するように、防食剤8の一部は、内側面に接着剤6が形成された熱収縮チューブ7によって覆われる。そして、防食剤8は、熱収縮チューブ7を収縮させ、かつ、接着剤6を溶融させるための加熱によって溶融しない材料で構成される必要がある。そのため、防食剤8は、裸芯線91の先端部91Aで固化した状態において、融点が熱収縮チューブ7の収縮に必要な温度、及び、熱収縮チューブ7内の接着剤6の融点よりも低い材料で構成されている。
固化する前の防食剤8は、エポキシ樹脂を主成分とする液状の樹脂である。そのエポキシ樹脂は、1液形及び2液形のいずれであってもよいが、1液形である方が望ましい。樹脂が1液形である場合、樹脂が2液形である場合に比較して、樹脂を硬化させるための混合工程が不要になることが、生産性の向上に寄与する。
上記のエポキシ樹脂は、例えば、フェノール類を原料とするビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、アルコール類等を原料とする脂肪族型エポキシ樹脂、アミン類を原料とするエポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂を原料とするクレゾールノボラックエポキシ樹脂などである。
また、防食剤8の元となる樹脂は、1種類のエポキシ樹脂で構成されていてもよいし、2種以上のエポキシ樹脂が混合された樹脂であってもよい。また、必要に応じて、防食剤8の元となる樹脂には、物性を損なわない範囲で、添加剤又は他のポリマなどが混合されていてもよい。
防食剤8の元となる樹脂に混合される添加剤としては、一般的に樹脂成形材料に使用される添加剤が考えられる。そのような添加剤は、例えば、硬化剤、無機充填剤、酸化防止剤、金属不活性化剤(銅害防止剤)、紫外線吸収剤、紫外線隠蔽剤、難燃助剤、加工助剤(滑剤、ワックスなど)、カーボンやその他の着色用顔料、可撓性付与材、耐衝撃性付与材、有機充填材、希釈材(溶媒など)、揺変材、各種カップリング、消泡材又はレベリング材などである。
防食剤8の元となる樹脂、即ち、電線9に塗布される段階の防食剤8は、未硬化物であり、電線9への塗布後に、機械的強度を上げるなどの目的で硬化される。
防食剤8の元となる樹脂は、JIS Z8803に準拠した測定方法により得られる25℃での粘度が1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内にある樹脂である。なお、測定に用いる粘度計は、回転粘度計である。また、以下の説明において、樹脂の粘度は、JIS Z8803に準拠した測定方法により得られる25℃での粘度である。
樹脂の粘度が1000mPa・s未満であると、樹脂が、電線9に塗布された際に流れ出してしまい、十分な量の樹脂(防食剤8)を防食部位に留まらせることができず、十分な防食効果が得られない。一方、樹脂の粘度が30000mPa・sより大きいと、樹脂が、電線9に塗布された際に円滑に流動せず、過不足ない量の樹脂(防食剤8)を防食部位全体に行き渡らせることができず、十分な防食効果が得られない。
従って、防食剤8の元となる樹脂の粘度は、前述したように1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内である必要がある。また、生産性及び防食性などの観点から、防食剤8の元となる樹脂の粘度の上限値は、上記の測定方法に基づく粘度として25000mPa・s以下であることが望ましい。
<防食構造:熱収縮チューブ>
熱収縮チューブ7は、例えば、ポリオレフィン、フッ素系樹脂、塩素系樹脂又は熱可塑性エラストマーなどの熱収縮性の筒状部材である。端子付電線1において、熱収縮チューブ7は、電線9の端部、圧着端子10の一部及び防食剤8の一部を内包し、加熱されることによって収縮した状態で内包物に対して密着している。
より具体的には、熱収縮チューブ7は、熱を受けて収縮した状態で、電線9の端部における所定の保護領域を圧着端子10及び防食剤8の外側から覆う。保護領域は、電線9の端部における、被覆圧着部20が圧着された部分から防食剤8で覆われた部分に亘る領域である。本実施形態において、保護領域は、被覆圧着部20が圧着された部分よりも中央寄りの根元部92Aも含む。なお、根元部92Aは、被覆端部92の一部である。
また、端子付電線1において、熱収縮チューブ7の内側面と電線9の保護領域との間には、熱収縮チューブ7と電線9の保護領域とを接着する熱可塑性の接着剤6が形成されている。熱収縮チューブ7は、接着剤6を介して電線9の保護領域に対して密着している。また、接着剤6は、融点が裸芯線91の先端部91Aで固化した防食剤8の融点よりも低い熱可塑性材料で構成されている。
端子付電線1は、自動車などの車両内、特に、熱および水の影響を受けて腐食が生じやすいエンジンルームなどに敷設される電線として採用されれば好適である。
<端子付電線の製造手順>
次に、図3及び図4を参照しつつ、端子付電線1の製造手順の一例について説明する。図3及び図4は、それぞれ端子付電線1の製造過程における電線の端部の第1の状態及び第2の状態の斜視図である。
図3は、電線9の端部に圧着端子10が取り付けられた後、防食剤8の塗布及び熱収縮チューブ7に対する加熱が行われる前の電線9及び圧着端子10の斜視図である。また、図4は、電線9における裸芯線91の先端部91Aに防食剤8が塗布された後、熱収縮チューブ7に対する加熱が行われる前の電線9及び圧着端子10の斜視図である。
端子付電線1の製造過程において、まず、図3に示されるように、圧着端子10が、予め熱収縮チューブ7に通された電線9の端部に圧着される。加熱される前の熱収縮チューブ7の内径は、電線9の端部及びその端部に圧着された圧着端子10における被覆圧着部20から芯線圧着部40に亘る部分の最大外径よりも大きい。
また、加熱により電線9の端部に溶着される前の接着剤6は、熱収縮チューブ7の内側面に形成されている。本実施形態において、接着剤6は、熱収縮チューブ7の内側面全体に形成されている。接着剤6は、熱収縮チューブ7の内側面と電線9の端部の外側面とに密着し、熱収縮チューブ7と電線9の端部との間に隙間が生じることを防ぐとともに、電線9に対する熱収縮チューブ7の位置ずれを防止する。なお、接着剤6は、熱収縮チューブ7の内側面の両端部において全周方向に亘って形成されていれば、電線9の端部を密封し、熱収縮チューブ7の位置ずれを防止する機能を果たす。
次に、図4に示されるように、防食剤8が、芯線圧着部40が圧着された裸芯線91の先端部91Aに対し、その先端部91Aを覆うように塗布される。防食剤8は、例えば、滴下、塗布用具による塗りつけ又は押し出しなどの方法により塗布される。また、防食剤8の塗布工程において、必要に応じて加温又は冷却が行われることも考えられる。
防食剤8は、裸芯線91の先端部91Aに塗布されるときには所定の粘度の液状であり、何らかの作用を受けることにより、裸芯線91の先端部91Aを覆う状態で硬化する。防食剤8の硬化方法としては、湿気硬化、熱硬化又は化学硬化などが挙げられる。
例えば、防食剤8が熱硬化性樹脂である場合、裸芯線91の先端部91Aに塗布された防食剤8は、加熱されることにより硬化する。また、防食剤8が光硬化性樹脂である場合、裸芯線91の先端部91Aに塗布された防食剤8は、特定の波長の光で露光されることにより硬化する。
防食剤8は、硬化することにより固化するため、端子付電線1の取り扱いの際にベタつくことはなく、長期にわたって塗布された状態を維持して定着する。そのため、硬化後の防食剤8は、長期にわたって防食効果を維持することができる。
裸芯線91の先端部91Aを覆う防食剤8が固化した後、熱収縮チューブ7は、電線9の端部における保護領域を覆う位置へ移動され、その位置で加熱される。これにより、熱収縮チューブ7は、熱を受けて収縮し、電線9の端部における保護領域を圧着端子10及び防食剤8に対して密着する状態でそれらを外側から覆う。その際、熱収縮チューブ7の内側の接着剤6は、熱を受けて溶融し、少なくとも保護領域における被覆端部92の根元部92A、被覆圧着部20、芯線圧着部40及び防食剤8の部分において、それらと熱収縮チューブ7の内側面との間に充満する。なお、前述したように、電線9の端部における保護領域は、被覆圧着部20が圧着された部分から防食剤8で覆われた部分に亘る領域である。
そして、接着剤6は、加熱の停止により冷却すると固化し、電線9の端部における少なくとも被覆端部92の根元部92A、被覆圧着部20、芯線圧着部40及び防食剤8の部分において、それらと熱収縮チューブ7とを接着する。即ち、熱収縮チューブ7は、接着剤6を介して電線9の保護領域に対して密着する。
<効果>
端子付電線1においては、防食剤8が、裸芯線91の先端部91Aを覆うとともに、裸芯線91の先端部91Aと熱収縮チューブ7との隙間を埋める。さらに、収縮した熱収縮チューブ7が、被覆端部92における被覆圧着部20が圧着された部分よりも中央寄りの根元部92Aから防食剤8で覆われた部分に亘る保護領域を覆う。そのため、電線9の端部における裸芯線91は、防食剤8及び熱収縮チューブ7により密封され、裸芯線91の腐食が防止される。また、熱収縮チューブ7の内側に大量の熱可塑性接着剤が形成される必要がなく、圧着端子10が設けられる電線9の端部が過剰に太くなることもない。
また、端子付電線1において、熱収縮チューブ7の内側面と電線9の保護領域との間に熱可塑性の接着剤6が形成されているため、熱収縮チューブ7による電線9の端部の密封性がより高まる。また、電線9に対する熱収縮チューブ7の位置ずれも防止される。
また、端子付電線1において、接着剤6が、裸芯線91の先端部91Aで固化した防食剤8よりも融点の低い熱可塑性材料で構成されていれば、熱収縮チューブ7が加熱されるときに、防食剤8が溶融して流れ出すことを防止できる。例えば、防食剤8が、熱硬化性樹脂が加熱により硬化した材料で構成されていれば、熱収縮チューブ7が加熱されるときに、防食剤8が溶融して流れ出すことを確実に防止できる。
また、端子付電線1は、電線9の芯線と圧着端子10とが異なる種類の金属材料で構成されている場合、即ち、異種金属接触腐食の防止のためにより高い防水構造が要求される場合に特に効果的である。より具体的には、電線9の芯線がアルミニウムを主成分とする金属の線である場合に、端子付電線1の防食効果が特に顕著となる。
また、端子付電線1において、防食剤8の元となる樹脂は、エポキシ樹脂を主成分とし、JIS Z8803に準拠して測定される25℃での粘度が1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内にある。そのような樹脂は、グリースよりも塗布性に優れ、硬化後に確実に高い防食性能を発揮する。
<防食剤の性能評価>
以下、端子付電線1に採用される防食剤8の性能を評価した事例について詳細に説明する。なお、以下に示される事例は、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
<電線の作製>
防食剤8の性能評価に用いた電線9は、以下の方法で作製された。絶縁電線である電線9の作製において、まず、ポリ塩化ビニル組成物を調製する工程が行われた。その工程は、ポリ塩化ビニル(重合度1300)100質量部に対して、可塑剤としてジイソノニルフタレート40質量部、充填剤として重炭酸カルシウム20質量部、安定剤としてカルシウム亜鉛系安定剤5質量部をオープンロールにより180℃で混合し、ペレタイザーにてペレット状に成形する工程である。
次に、電線9の成形工程が行われた。その工程は、50mm押出機を用いて、先の工程で得られたポリ塩化ビニル組成物を、アルミ合金線を7本撚り合わせたアルミニウム合金撚線よりなる芯線(断面積0.75mm)の周囲に0.28mm厚で押出被覆する工程である。この工程により、絶縁電線(PVC電線)である電線9が作製された。
<端子付電線の作製>
次に、防食剤8の性能評価に用いた端子付電線の作製方法について説明する。防食剤8の性能評価に用いた端子付電線は、本発明の実施形態に係る端子付電線1とは異なる。即ち、防食剤8の性能評価に用いた端子付電線は、熱収縮チューブ7及び接着剤6は設けられておらず、電線9における被覆圧着部20が圧着された部分から裸芯線91の先端部分までを覆って形成された防食剤8が設けられている。
防食剤8の性能評価に用いた端子付電線の作製において、まず、電線9に圧着端子10を取り付ける工程が行われた。その工程は、先の工程で作製された電線9における端末の絶縁被覆を剥がして芯線を露出させ、その後、自動車用として汎用されている黄銅製の圧着端子10の圧着部(タブ幅0.64mm)を電線9の端末にかしめて圧着する工程である。
次に、防食剤8の形成工程が行われた。その工程は、以下の第1工程及び第2工程を含む。第1工程は、圧着端子10との電気接続部に防食剤8の元となる樹脂を塗布し、裸芯線91及び裸芯線91に圧着された芯線圧着部40をその樹脂により被覆する工程である。ここで、電気接続部は、電線9における被覆圧着部20が圧着された部分から芯線圧着部40が圧着された裸芯線91の先端までの部分である。以下、防食剤8の元となる樹脂、即ち、硬化する前の樹脂のことを防食用樹脂と称する。
第2工程は、第1工程の後、恒温槽にて所定の硬化条件で所定時間が経過するまで防食用樹脂の硬化処理を行う工程である。これらの工程により、評価用の端子付電線が作製された。第1工程及び第2工程は、以下に示される各種の防食用樹脂各々を用いて行われた。なお、各種の防食用樹脂は、厚さ0.05mmで形成された。
<事例1>
事例1において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[スリーボンド(株)製、「2212C」]であり、25℃における粘度は25000mPa・sである。また、硬化条件は、80℃の状態を30分間継続するという条件である。
<事例2>
事例2において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[スリーボンド(株)製、「2212」]であり、25℃における粘度は13000mPa・sである。また、硬化条件は、90℃の状態を30分間継続するという条件である。
<事例3>
事例3において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[スリーボンド(株)製、「2210」]であり、25℃における粘度は8000mPa・sである。また、硬化条件は、90℃の状態を30分間継続するという条件である。
<事例4>
事例4において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[味の素ファインテクノ(株)製「プレーンセットAE−400」]であり、25℃における粘度は10000mPa・sである。また、硬化条件は、80℃の状態を30分間継続するという条件である。
<事例5>
事例5において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[味の素ファインテクノ(株)製、「プレーンセットAE−15」]であり、25℃における粘度は2000mPa・sである。また、硬化条件は、80℃の状態を30分間継続するという条件である。
<事例6>
事例6において、防食用樹脂は、2液エポキシ樹脂[田岡化学工業(株)製、「テクノダインAH6021W」]であり、25℃における粘度は15000mPa・sである。また、硬化条件は、80℃の状態を60分間継続するという条件である。
<比較例1>
比較例1において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[スリーボンド(株)製、「2212E」]であり、25℃における粘度は35000mPa・sである。また、硬化条件は、90℃の状態を30分間継続するという条件である。
<比較例2>
比較例2において、防食用樹脂は、1液エポキシ樹脂[味の素ファインテクノ(株)製、「プレーンセットAE−901B」]であり、25℃における粘度は60000mPa・sである。また、硬化条件は、60℃の状態を30分間継続するという条件である。
<比較例3>
比較例3において、防食用樹脂は、2液エポキシ樹脂[田岡化学工業(株)製、「テクノダインAH3051K」]であり、25℃における粘度は35000mPa・sである。また、硬化条件は、100℃の状態を30分間継続するという条件である。
<評価方法>
防食剤の評価は、各種の防食剤が形成された評価用の端子付電線各々を用いて、以下に示される剥がれ試験及び防食性能試験により行われた。なお、各種の防食剤とは、前述した各事例及び各比較例に示された内容に従って得られる防食用樹脂の硬化物である。
<剥がれ試験>
剥がれ試験は、評価用の端子付電線各々について、防食剤の部分を爪で引っ掻くことにより防食剤が剥がれるか剥がれないかを評価する試験である。
<防食性能試験>
図6は、防食性能試験の様子を表す図である。図6に示されるように、防食性能試験は、所定の電圧が印加された評価用の端子付電線1Aの圧着端子の部分を、塩化ナトリウム水溶液5に浸し、塩化ナトリウム水溶液5へのアルミニウムイオンの溶出量を測定する試験である。
より具体的には、防食性能試験において、評価用の端子付電線1Aの芯線が、12V電源3の正極に接続され、純銅板4が12V電源3の負極に接続される。さらに、評価用の端子付電線1Aにおける圧着端子の部分(電気接続部)及び純銅板4が、塩化ナトリウム水溶液5に浸漬される。塩化ナトリウム水溶液5の量は300ccであり、塩化ナトリウム水溶液5の濃度は15%である。また、純銅板4の寸法は、幅が10ミリメートル、長さが20ミリメートル、厚みが1ミリメートルである。
そして、12V電源3による通電状態が2分間継続された後に、塩化ナトリウム水溶液5のICP発光分析が行われ、これにより、評価用の端子付電線1Aの芯線からのアルミニウムイオンの溶出量が測定された。
図5は、前述した各事例及び各比較例における剥がれ試験及び防食性能試験の評価結果を表す図である。図5において、剥がれ試験の評価結果として、試験により防食剤が剥がれなかった結果が丸印で表され、試験により防食剤が剥がれた結果がバツ印で表されている。また、図5において、防食性能の評価結果として、アルミニウムの溶出量が0.1ppm未満であった結果が丸印で表され、アルミニウムの溶出量が0.1ppm以上であった結果がバツ印で表されている。
図5に示される評価結果は、以下のことを示している。即ち、比較例1〜3における防食剤は、事例1〜6における防食剤に比べて防食性能が劣る。比較例1〜3における防食剤は、電気接続部から剥がれることなく密着しているものの、防食部位全体への樹脂の浸透が十分でないため、十分な防食性能を発揮できなかったものと推察される。ここで、比較例1〜3における防食剤の粘度は、本発明において規定される粘度の範囲外である。
一方、事例1〜6における防食剤の粘度は、本発明において規定される粘度の範囲内である。図5に示される結果によれば、事例1〜6における防食剤は、電気接続部に対して十分に密着しており、優れた防食性能を発揮している。事例1〜6における防食剤は、その粘度が適切であるため、防食部位全体へ十分に浸透したと推察される。
<その他>
以上に示された実施形態において、防食剤8は、裸芯線91の先端部91Aにのみ設けられている。しかしながら、防食剤8が、電線9における被覆圧着部20が圧着された部分と芯線圧着部40が圧着された部分との間における裸芯線91の部分にも塗布されることも考えられる。この場合、第1の防食剤8は、裸芯線91の先端部91Aを覆う。第2の防食剤8は、電線9における被覆圧着部20が圧着された部分と芯線圧着部40が圧着された部分との間における裸芯線91の部分を覆う。
第1の防食剤8に加え第2の防食剤8が形成されることにより、万一、水分が熱収縮チューブ7の内側に浸入した場合でも、その水分が裸芯線91に到達することは防がれる。これにより、裸芯線91の防食効果がより高まる。
また、端子付電線1が、実施形態に示された構成から接着剤6が省略された構成を備えることも考えられる。この場合、熱収縮チューブ7は、保護領域における少なくとも被覆端部92の根元部92A、被覆圧着部20、芯線圧着部40及び防食剤8の部分に対して直接密着する。この場合においても、電線9の端部における裸芯線91は、防食剤8及び熱収縮チューブ7により密封され、裸芯線91の腐食が防止される。
また、接着剤6が省略される場合、粘着テープが、電線9の被覆端部92と熱収縮チューブ7の根元部92A側の端部とに対してそれらに跨るように巻き付けられることも考えられる。これにより、熱収縮チューブ7による電線9の端部の密封性がより高まるとともに、電線9に対する熱収縮チューブ7の位置ずれが防止される。
1 端子付電線
1A 評価用の端子付電線
3 12V電源
4 純銅板
5 塩化ナトリウム水溶液
6 接着剤
7 熱収縮チューブ
8 防食剤
9 電線
10 圧着端子
20 被覆圧着部
30 第一連結部
40 芯線圧着部
50 第二連結部
60 端子接続部
61 端子挿入孔
91 裸芯線(芯線)
91A 裸芯線の先端部
92 被覆端部(絶縁被覆)
92A 被覆端部の根元部

Claims (7)

  1. 電線と、
    前記電線の端部における絶縁被覆に圧着された被覆圧着部、前記電線の端部における前記絶縁被覆から延び出た芯線に圧着された芯線圧着部及び相手側の端子に接続される端子接続部を有する圧着端子と、を備える端子付電線であって、
    前記芯線の先端部を覆う第1の防食剤と、
    熱を受けて収縮した状態で、前記電線の端部における前記被覆圧着部が圧着された部分から前記第1の防食剤で覆われた部分に亘る保護領域を前記圧着端子及び前記第1の防食剤の外側から覆う熱収縮チューブと、を備え、
    前記第1の防食剤は、エポキシ樹脂を主成分とし、JIS Z8803に準拠して測定される25℃での粘度が1000mPa・sから30000mPa・sまでの範囲内にある樹脂の硬化物であることを特徴とする端子付電線。
  2. 前記熱収縮チューブの内側面と前記電線の前記保護領域との間に形成され、前記熱収縮チューブと前記保護領域とを接着する熱可塑性の接着剤をさらに備える、請求項1に記載の端子付電線。
  3. 前記接着剤は、融点が前記芯線の先端部で固化した前記第1の防食剤の融点よりも低い熱可塑性材料で構成されている、請求項2に記載の端子付電線。
  4. 前記電線における前記圧着端子の前記被覆圧着部が圧着された部分と前記芯線圧着部が圧着された部分との間における前記芯線を覆う第2の防食剤をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の端子付電線。
  5. 前記電線の前記芯線と前記圧着端子とは異なる種類の金属材料で構成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の端子付電線。
  6. 前記電線の前記芯線がアルミニウムを主成分とする金属の線である、請求項5に記載の端子付電線。
  7. 前記エポキシ樹脂は1液形の樹脂である、請求項1から請求項6のいずれかに記載の端子付電線。
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