JP2012251240A - パラジウム前駆体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子デバイスなどにパラジウム構造を低コストで形成するための方法およびパラジウム堆積に使用できる溶液処理可能な塑性物を提供する。
【解決手段】パラジウム塩およびオルガノアミンを含み、還元剤を含まない非触媒パラジウム前駆体組成物であって、この組成物は、実質的に水を含まない。この組成物を、溶液処理方法を使用して基板上に溶液堆積させ、加熱して伝導性パラジウムを形成させ、パターン状のものを含む種々広範の基板にパラジウム層を形成し、電子デバイスのための電気回路または経路を形成する。
【選択図】なし

Description

本願は、2011年6月6日出願の米国特許出願整理番号第13/153,856号の一部継続出願である。この出願全体は、本明細書に引用することで完全に組み込まれる。
本開示は、種々の基板にパラジウム層を堆積および形成するための組成物およびプロセスに関する。組成物は、例えば溶液であってもよく、スピンコーティング、浸漬コーティング、およびインクジェット印刷を含む溶液堆積プロセスによって、対象物、例えば電子デバイスまたはそれらの構成要素をコーティングする、印刷するなどのために使用されてもよい。
パラジウム(Pd)は、多くの独特の特性を有するレアメタルであり、結果として幅広い用途がある。例えば、パラジウムは、自動車の触媒コンバーターに使用され、燃焼副生成物を無害な物質に転化する。パラジウムはまた、多くの電子デバイス、セラミックコンデンサ、燃料電池などに使用される。パラジウム構造は、通常、電気めっき、スパッタリング、または化学蒸着(CVD)によってこうしたデバイスに形成される。
パラジウム構造を形成するために低コストの手法を使用することが所望される。パラジウム堆積に使用できる溶液処理可能な組成物が必要とされている。
種々の実施形態では、パラジウム層および/または構造を種々の基板上に形成するために使用できる溶液処理可能なパラジウム前駆体組成物が開示される。これらの組成物は、例えばパラジウム層を用いてパターン状に基板をコーティングおよび印刷するのに有用であり、電子デバイスにおける電気伝導性素子、経路および/または回路を製作するために使用できる。得られたパラジウム層および/または構造は、実質的に均一であり、低温で高い伝導率および良好な接着を示す。
本開示の基板(例えばワイヤ)をコーティングするプロセスを示す概略図である。 パラジウム層およびこのパラジウム層上のオーバーコート層を有するワイヤの断面図である。 パラジウムコーティングを有する銅ワイヤの写真である。 パラジウム前駆体組成物から形成される構成要素を有することができるTFTの第1の実施形態の図である。 パラジウム前駆体組成物から形成される構成要素を有することができるTFTの第2の実施形態の図である。 パラジウム前駆体組成物から形成される構成要素を有することができるTFTの第3の実施形態の図である。 パラジウム前駆体組成物から形成される構成要素を有することができるTFTの第4の実施形態の図である。 パラジウム前駆体組成物から形成される構成要素を有することができる例示的な太陽電池デバイスの断面図である。
本開示は、対象物または基板上にパラジウム層を製造するための液体系堆積プロセスと共に使用できるパラジウム前駆体組成物に関する。本発明のパラジウム前駆体組成物は、パラジウム塩およびオルガノアミンを含み、実質的に水を含まない。他の実施形態において、本開示のパラジウム前駆体組成物は、実質的に水を含まず、実質的に還元剤を含まない。いくつかの実施形態において、オルガノアミンは、錯化剤および溶媒の両方として機能する。他の実施形態において、オルガノアミンは、錯化剤としてだけ機能し、パラジウム前駆体組成物はさらに、第2の有機溶媒を含むことができる。特定実施形態において、オルガノアミンは、錯化剤としてだけ機能し、パラジウム前駆体組成物はさらに、水と不混和性の第2の有機溶媒を含むことができる。他の特定実施形態において、オルガノアミンは、錯化剤および溶媒の両方として機能し、パラジウム前駆体組成物はさらに、第2の有機溶媒を含むことができる。これらの前駆体組成物は、低温にて高い伝導率および良好な接着性を有するパラジウム層に処理できる。特定実施形態において、パラジウム前駆体組成物は、本質的に、パラジウム塩および少なくとも1つのオルガノアミンからなる。他の特定実施形態において、パラジウム前駆体組成物は、本質的に、パラジウム塩、少なくとも1つのオルガノアミン、および水不混和性有機溶媒からなる。
パラジウム塩は、炭酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、ヨウ化パラジウム、シアン化パラジウム、エチレンジアミン塩化パラジウム、テトラアミン臭化パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジアミンジニトロパラジウム、またはこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
いくつかの実施形態において、パラジウム塩は、一般構造Pd(OOCR(OOCR2−xを有する炭酸パラジウムであり、式中、RおよびRは、独立に、水素、1〜11個の炭素原子を有するアルキル、2〜約13個の炭素原子を有するアルケニル、および2〜約13個の炭素原子を有するアルキニルから選択される。R1およびR2上の水素原子は、別の官能基、例えば−CHO、−OH、ハロゲンなどで置換されてもよい。特定実施形態において、炭酸パラジウムは酢酸パラジウムPd(O−CO−CHである。数字xは、0〜2のいずれかの数字、例えば0、0.01、0.1、1、1.5、1.57、2.0などであることができる。好ましい実施形態において、パラジウム塩は炭酸パラジウムである。
パラジウム塩が分子化合物であることに留意すべきである。Pd−Pd結合が、分子化合物に存在し得る。しかし、パラジウム塩は、ナノ粒子または同様の材料であると考えられるべきではない。塩中のパラジウム原子は、価数が0ではないが、パラジウム原子はナノ粒子形態において価数が0である。
オルガノアミンは錯化剤として機能し得る。一般に、オルガノアミンは、いずれかの一級、二級または三級アミンであってもよい。オルガノアミンはまた、モノアミン、ジアミン、またはポリアミンであることができる。1つを超えるオルガノアミンの組み合わせも想定できる。より詳細には、オルガノアミンは、1つ、2つまたはそれ以上の式(I)のアミン基を含有していてもよい。
式中、A、BおよびCは、独立に、水素および有機基から選択され、少なくとも1つが有
機基である。三級アミンがこうしたアミン基を複数含有する場合、窒素原子は互いに直接
結合しない。有機基は、少なくとも1つの炭素原子を含有する。例示的な有機基としては、アルキル、アリール、置換されたアルキルおよび置換されたアリールが挙げられる。いずれか2つの有機基A、BおよびCは、環状構造を形成できる。
より詳細な実施形態において、パラジウム前駆体組成物に存在するオルガノアミンは水に不混和性である。一般に、水不混和性オルガノアミンは、アミン基あたり少なくとも8個の炭素原子を含有する。特定実施形態において、オルガノアミンは1つだけ窒素原子を有する(すなわちモノアミン)。例示的な水不混和性オルガノアミンとしては、式NH−Rの一級脂肪族アミンが挙げられ、式中Rは、8〜約18個の炭素原子を有するアルキルであり、特にRが線状アルキル鎖であるものが挙げられる。一部の二級脂肪族アミン、例えば式NHRのアミンも水不混和性であり、式中RおよびRは、独立に、4から約18個の炭素原子を有するアルキルである。一部の三級脂肪族アミン、例えば式NRのアミンも水不混和性であり、式中R、RおよびRは、独立に、3〜約18個の炭素原子を有するアルキルである。
実施形態において、オルガノアミンはまた、溶媒としても機能し、パラジウム塩はオルガノアミン中に「溶解する」。故にオルガノアミンは、液相状態であるべきである。種々のオルガノアミンについて異なる融点により、パラジウム前駆体組成物の温度は、室温を超えてもよい。例えば、ドデシルアミンは、28〜30℃の融点を有し、ヘキサデシルアミンは、43〜46℃の融点を有し、オクタデシルアミンは53℃の融点を有する。いくつかの実施形態において、オルガノアミンは、50℃未満の融点、または40℃未満の融点(室温未満の融点を含む)を有する。換言すれば、オルガノアミンは室温で液体である室室温で液体であるオルガノアミンの一部の例としては、オクチルアミン(mp=−1℃)、ジアミノプロパン(mp=−12℃)、およびトリプロピルアミン(mp=−94℃)が挙げられる。液相/低融点は、均一パラジウム層を得るために重要である。前駆体組成物の液体堆積後、非晶質層は、低融点を有するオルガノアミンが使用される場合に形成される。一方で、高融点のオルガノアミンは、前駆体組成物の堆積後に結晶化し、最終パラジウム層において表面ラフネスが高くなり、ホールを生じ得る。実施形態において、パラジウム前駆体組成物の温度は、室温から約80℃までであってもよいこの温度は、外部熱源なしで、例えばパラジウム塩とオルガノアミンとの発熱反応により生じ得る。
いくつかの実施形態において、オルガノアミンはアミノ酸化合物ではない換言すれば、式(I)を参照して、A、BまたはCのいずれも−COOHで置換されていない。一部の他の実施形態において、オルガノアミンは、アミノ酸化合物であることができる(すなわち、A、BおよびCの少なくとも1つは−COOHで置換されている)。
より詳細な実施形態において、オルガノアミンは、一級モノアミン、すなわち式NH−Rの化合物であり、式中Rは、約2〜約18個の炭素原子(約5〜約14個の炭素原子、または8〜約18個の炭素原子を含む)を有するアルキルである。
理論に限定されないが、パラジウム塩およびオルガノアミンはパラジウムアミン錯体を形成すると考えられる。このことは、通常、色変化が証拠となる。例えば、酢酸パラジウムは、トルエン中では赤みを帯びた溶液であるが、オクチルアミンのようなオルガノアミンが添加される場合、溶液は淡黄色に変化する。パラジウムアミン錯体は、パラジウム塩を溶解するのを助け、塩の高充填を可能にし、結果として前駆体組成物中のパラジウム含有量が高くなる。
実施形態において、パラジウムアミン錯体が溶解され、得られた前駆体組成物は透明溶液である。組成物はまた、錯化していないパラジウム塩分子も含んでいてもよいことに留意されたい。特定実施形態において、組成物は、パラジウムアミン錯体、および錯化されていない形態で過剰量のオルガノアミンを含む。
他の特定実施形態において、パラジウムアミン錯体は、モノアミンから形成される。特に、モノアミンは、式NH−Rの一級アルキルモノアミンであってもよく、式中Rは少なくとも8個の炭素原子を有するアルキルである。
前駆体組成物中のパラジウムおよびオルガノアミンは、錯体を形成する。パラジウムは、有機合成における触媒として使用される場合もあることに留意すべきである。有機合成反応がオルガノアミン試薬を含有する場合、パラジウムオルガノアミン錯体は、有機反応中に形成される場合がある。これは、いくつかの観点において本開示とは異なる。まず、合成反応中のパラジウムは、触媒として機能するが、本前駆体組成物中のパラジウムは、パラジウム層のための金属源となり、触媒としては作用しない。第2に、合成反応中のオルガノアミンは、反応体として機能するが、前駆体組成物中のオルガノアミンは、錯化剤および/または溶媒として機能する。第3に、パラジウムは、合成反応中では触媒量で使用されるが、パラジウム塩は、前駆体組成物の優位な構成成分の1つにすぎない。一般に、ここでは前駆体組成物は、非触媒組成物である。別の言い方をすれば、パラジウムアミン錯体は、2つの反応体から生成物を形成する際には使用されない。用語「非触媒」とは、パラジウム前駆体組成物中のパラジウムが触媒として機能しないという事実を指す。これは、オルガノアミンが前駆体組成物中の第3化合物の一部ではない点からわかる。換言すれば、パラジウム前駆体組成物は、オルガノアミンに共有結合カップリングする化合物を含有しない。
実施形態において、オルガノアミンとパラジウム塩とのモル比は約1:1〜約10:1である。より詳細な実施形態において、オルガノアミンとパラジウム塩とのモル比は、約1:1〜約5:1、または約2:1〜約5:1、または約2:1〜約3:1である。いくつかの実施形態において、アルガノアミンとパラジウムとのモル比は、オルガノアミン中のパラジウム塩の良好な溶解を確実にするために少なくとも2:1である。
他の特定実施形態において、パラジウム塩およびオルガノアミンの特定の組み合わせが想定される。これらの組み合わせにおいて、パラジウム塩およびオルガノアミンにおける炭素原子の総数を合わせ、その合計は10以上である。例えば、パラジウム塩が炭酸パラジウムPd(OOCR(OOCR2−xであり、オルガノアミンがオクチルアミンHN−Rである場合、炭素原子の総数は、R中の炭素原子+R中の炭素原子×X+Rの炭素原子×(2−X)+2である。特定実施形態として、パラジウム塩が酢酸パラジウムPd(OCOCHであり、オルガノアミンはオクチルアミンである場合、炭素原子の総数は12であり、酢酸からの4、オルガノアミンからの8である。総数は、パラジウム塩およびオルガノアミンについての化学式に基づく。総数は、パラジウム塩およびオルガノアミンの相対量の差に関しては変化せず、2つの成分のモル数または重量%に関連しない。他の実施形態において、パラジウム塩およびオルガノアミン中の炭素原子の総数は、少なくとも10、または少なくとも11、または少なくとも12である。
実施形態において、水と不混和性の別の有機溶媒が含まれることができ、または換言すれば、第2の水不混和性有機溶媒が使用できる。所与の有機溶媒をほぼ等体積量の水と混合する場合、沈降後に相分離が検出されるなら(視覚的にまたは光散乱または屈折率のような計器によって)、溶媒は水不混和性であると考えられる。パラジウム塩、オルガノアミンおよび得られたパラジウムアミン錯体は、この第2の溶媒中に可溶性であるべきである。例えば、第2の溶媒に添加される所与の構成成分の少なくとも0.5重量%の量(少なくとも1重量%または少なくとも10重量%の添加される量を含む)は、溶解すべきである。不溶性部分は、例えばろ過によって前駆体組成物から除去できる。
いずれかの好適な水不混和性有機溶媒は、第2の溶媒のために使用できる。いくつかの実施形態において、第2の有機溶媒は、炭化水素溶媒、例えば置換された炭化水素または芳香族炭化水素溶媒であってもよい。
特定実施形態において、パラジウム前駆体組成物は水を含有すべきでない。換言すれば、パラジウム前駆体組成物は、水を含まない、または実質的に水を含まない。しかし、これらの相は、完全な水の不存在を必要としないことに留意されたい。一部の残留水が、種々の成分または周囲/雰囲気条件から前駆体組成物中に存在してもよい。例えば、オクチルアミンは、通常、最大0.1重量%の水含有量の仕様で販売されており、またはトリブチルアミンは、通常、最大0.3重量%の水含有量の仕様で販売されている。これらの水の量が、残留していると考えられるべきであり、こうした量の水を含有する前駆体組成物は、実質的に水を含まないと考えられるべきである。
一部の他の実施形態において、水および/または水混和性溶媒は、パラジウム前駆体組成物中に存在してもよい。しかし、水および/または水混和性溶媒の量(重量による)は、いくつかの実施形態において、オルガノアミンの量よりも少ない。例示的な水混和性溶媒としては、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール、グリコール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、アセトニトリル、およびジオキサンが挙げられる。いずれかの好適な濃度の水および/または水混和性溶媒が存在してもよい。
パラジウム塩は、通常、前駆体組成物の約1〜約50重量%(重量%)を構成する。より詳細な実施形態において、パラジウム塩は、前駆体組成物の約5重量%〜約30重量%を構成する。
前駆体組成物はさらに、別の金属種、例えば銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、白金(Pt)などを含むことができる。他の金属種は、別の出発成分として、例えば金属塩の形態で導入されてもよい。
パラジウム前駆体組成物は、33mN/m未満(30mN/m未満、または28mN/m未満、または例えば約23mN/m〜約30mN/mを含む)の表面張力を有する。この低表面張力は、基板上に形成されるべきパラジウムの均一コーティングを可能にする。好適なオルガノアミンまたは第2の水不混和性有機溶媒の選択は、所望の表面張力を与える。パラジウム前駆体組成物は、約0.8〜約100cps(約0.8〜約50cps、または約2〜約30cpsを含む)の粘度を有する。
ある実施形態において、パラジウム前駆体組成物は、還元剤を含有せず、または実質的に還元剤を含まない。こうした還元剤のいくつかの例としては、ギ酸およびギ酸塩またはエステル、次亜リン酸塩、ヒドラジン、アンモニウム化合物、アミンボラン化合物、アルカリ金属ホウ化水素、シュウ酸、アルカリまたはアルカリ土類硫酸塩などが挙げられる。
パラジウム前駆体組成物は、溶液堆積を介して、パラジウムコーティングまたは層をいずれかの基板または対象物上に適用するために使用できる。パラジウム前駆体組成物は、基板上に溶液堆積できる。
予め堆積されたパラジウム前駆体組成物は、次いで加熱されて、基板上にパラジウム層を形成する。加熱により、パラジウムアミン錯体またはパラジウム塩が熱分解して固体のパラジウム層を形成する。対照的に、無電解めっきでは、パラジウム塩または錯体は、パラジウムに化学的に還元される。加熱は、約80℃〜約350℃の温度にて行われてもよい。他の実施形態において、加熱は、100℃を超える温度、または約120℃〜約300℃、または約150℃〜約250℃、または200℃未満の温度、または150℃未満の温度にて行われ使用される基板に拘わらず、加熱温度は、望ましくは、予め堆積されたいずれかの層または基板の特性に負の変化を生じないものである(単一層基板または複数層基板に拘わらず)。加熱は、30分までの期間で行われてもよく、パラジウム層のサイズおよび加熱方法に依存して、0.1秒程度の短期間であることもできる。加熱は、空気、不活性雰囲気(例えば窒素またはアルゴン下)、または還元雰囲気(例えば1〜約20体積%の水素を含有する窒素下)中で行われることができる。加熱はまた、標準大気圧または、例えば約1000ミリバール〜約0.01ミリバールの減圧下で行うことができる。加熱技術の例としては、熱加熱(例えば、ホットプレート、オーブン、およびバーナー)、赤外線(「IR」)放射線、レーザービーム、閃光、マイクロ波放射線、またはUV放射線、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
加熱の間、いくつかの実施形態において、パラジウムオルガノアミン錯体の少なくとも一部がまず、インサイチュでパラジウムナノ粒子を形成する。これらのパラジウムナノ粒子は、続いて融合して連続的で均一なパラジウム層になる。パラジウムナノ粒子が形成されるこうした中間工程は、最終的なパラジウムフィルムの均一性を向上させる。このことは、パラジウム塩が中間ナノ粒子形態を経ることなく、パラジウム層に直接堆積される従来の無電解めっきとは異なる。さらなる実施形態において、パラジウムオルガノアミン錯体の大部分は、インサイチュでパラジウムナノ粒子を形成する。パラジウムナノ粒子の形成は、加熱時、堆積したパラジウムオルガノアミン錯体の色変化が証拠となる。銀色の金属性パラジウム層が形成される前には多くの場合黒色が観察され、パラジウムナノ粒子中間体が加熱工程の間に形成されたことを示す。
パラジウム前駆体組成物が加熱されて、パラジウム層を形成する場合、前駆体組成物の温度は、溶液堆積中の前駆体組成物の温度を超えて上昇することに留意すべきさある。予め議論されたように、前駆体組成物の温度は、室温を超えて、オルガノアミンが溶液堆積中に液相状態にあることを確実にできる。
本明細書に記載される堆積プロセスは、繰り返されて、より厚いパラジウム層を対象物上に構築できる。例えば、実施形態において、最終層の厚さは、約10ナノメートル〜約50マイクロメートル、または約50ナノメートル〜約30マイクロメートル、または約50nm〜約5マイクロメートル、または約80nm〜約1マイクロメートルであってもよい。この点において、複数の溶液堆積工程は、最終層を形成するために後続の1回の加熱を伴って行われてもよい。あるいは、溶液堆積および加熱工程は、複数回繰り返されて、いくつかの薄い層から厚い層を構築することもできる。
加熱の前に、パラジウム塩またはパラジウムアミン錯体を含有する構造またはフィルムは、電気絶縁性であってもよく、または非常に低い電気伝導率を有していてもよい。加熱は、パラジウムの電気伝導性層をもたらす。加熱によって生じたパラジウム層の伝導率は、例えば、約100ジーメンス/センチメートル(「S/cm」)を超え、約1000S/cmを超え、約2,000S/cmを超え、約5,000S/cmを超え、または約10,000S/cmを超え、または50,000S/cmを超える。
いくつかの実施形態において、加熱の前に、パラジウム塩またはパラジウムアミン錯体を含有する構造は、非晶質である。いくつかの特定実施形態において、パラジウムオルガノアミン錯体は、加熱前は液相状態のままである。
他の実施形態において、パラジウム層は伝導性でない。加熱によりパラジウム錯体のパラジウムへの分解が生じるが、他のイオン(塩由来)の存在または残留量のオルガノアミンおよびその分解された形態の存在のために、または前駆体組成物中の絶縁添加剤、例えばポリマーの存在のために、パラジウム層は必ずしも伝導性でない場合がある。しかし、パラジウム層は、光沢のある金属性白色を有する。
いくつかの実施形態において、還元剤は、対象物または基板上にパラジウム層を調製および獲得するために必要でない場合がある。故に、こうした還元剤は、パラジウム前駆体組成物中に存在せず、追加の処理工程として別に添加されない。
特定実施形態において、パラジウム前駆体組成物は、1つ以上のパラジウム塩および1つ以上のオルガノアミンから本質的になる。前駆体組成物は、溶液処理可能な基本的な特徴を有する。前駆体組成物は、還元剤を含有しない。特定実施形態において、オルガノアミンは一級モノアミンである。
本明細書に使用されるプロセスはワイヤをコーティングするために使用できることが、特に想定される。いかなるワイヤも、ワイヤの直径、形状、または長さに拘わらず、パラジウム組成物でコーティングできることに留意すべきである。有機材料(例えば、プラスチック)および無機材料(例えば銅)の両方は、ワイヤのための基板として使用できる。ワイヤは、そのまま(すなわち他の層で被覆されていない)であってもよい、またはコアの周りの他の層の追加によって絶縁されてもよい。ワイヤは、一本鎖(すなわち中実)、複数鎖、および/または捻じれていてもよい。例示的な無機材料としては、銅、アルミニウム、タングステン、酸化亜鉛、ケイ素などのような金属が挙げられる。例示的なプラスチックワイヤとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド(Nylor)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアクリレートなどから製造されるワイヤが挙げられる。
場合により、受容層は、パラジウム前駆体組成物を通して対象物(すなわちワイヤ)を引き込む前に適用できる。受容層は、対象物に前駆体組成物の接着を向上させてもよい。いずれかの好適な受容層が使用できる。例示的な受容層は、例えばシラン、特にアミノ基を含むシランから形成できる。
所望により、追加の層は、パラジウム層の頂部に適用できる(追加の層は、オーバーコート層と称されてもよい)。当該技術分野において既知のいずれかの層、特に良好な引掻耐性を有する材料を適用してもよい。
図1は、本明細書に記載されるプロセスを例示する概略図である。工程100において、パラジウム前駆体コーティング溶液12は容器14にある。ワイヤ20は、ワイヤ上のコーティング22を形成するためにコーティング溶液中に引き込まれる。これによりワイヤの連続製造が可能になることに留意されたい。次に工程200において、コーティング22は熱への曝露によりアニーリングされる。成果物は、パラジウム層32を有するワイヤ30である。オリジナルワイヤ20は、パラジウム層が位置する基板として作用する。
図2は、最終ワイヤ30の断面図である。オリジナルワイヤ20は中央にある。上記で記述されたように、このオリジナルワイヤ20は、コア21、およびパラジウム層を受容する前の他の層を含んでいてもよい。例えば、オリジナルワイヤは、受容層23を含んでいてもよい。パラジウム層32はワイヤ20を覆う。オーバーコート層34はパラジウム層32を取り囲んでもよい。
パラジウム前駆体組成物中にワイヤを引き込む前にワイヤを洗浄するのが望ましい場合がある。これは、例えばワイヤをイソプロパノールで拭き取る、またはワイヤの表面にプラズマ処理を用いることによって行うことができる。これは、均一コーティングを維持するのを助ける。
パラジウム前駆体組成物はまた、電子デバイス、例えば薄層トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電波による固体識別(RFID)タグ、太陽電池、および伝導性素子または構成要素を含む他の電子デバイスにおける電気伝導性素子、例えば電極、導電線、導電パッド、導電トラック、回路、経路、チャンネル、導電コーティング、導電フィルムなどを形成するのに有用であり得る。
図4〜7は、薄層トランジスタの特定の異なる構成を例示する。パラジウム前駆体組成物は、例えばトランジスタにおける電極(ゲート、ソース、ドレイン)のいずれかを形成するために、使用できる。
図4は、本開示に従うボトムゲート型のボトムコンタクト型TFT構成を例示する。TFT310は、ゲート電極318およびゲート誘電体層314と接触する基板316を含む。ゲート電極318は、ここでは基板316の頂上に記載されているが、ゲート電極は基板内のくぼみに位置することもできる。ゲート誘電体層314は、ゲート電極318とソース電極320、ドレイン電極322、および半導体層312とを分離することが重要である。半導体層312は、ソース電極320とドレイン電極322との間に延びる。半導体は、ソース電極320とドレイン電極322との間のチャンネル長さを有する。
図5は、本開示に従うボトムゲート型のトップコンタクト型TFT構成を例示する。TFT330は、ゲート電極338およびゲート誘電体層334と接触する基板336を含む。半導体層332は、ゲート誘電体層334の頂部上に配置され、ソース電極340およびドレイン電極342とゲート誘電体層とを分離する。
図6は、本開示に従うボトムゲート型のボトムコンタクト型TFT構成を例示する。TFT350は、ゲート電極としても作用し、ゲート誘電体層354と接触する基板356を含む。ソース電極360、ドレイン電極362、および半導体層352は、ゲート誘電体層354の頂部に位置する。
図7は、本開示に従うトップゲート型のトップコンタクト型TFT構成を例示する。TFT370は、ソース電極380、ドレイン電極382、および半導体層372と接触した基板376を含む。半導体層372は、ソース電極380とドレイン電極382との間に延びる。ゲート誘電体層374は、半導体層372の頂部上にある。ゲート電極378は、ゲート誘電体層374の頂部上にあり、半導体層372と接触しない。
薄膜トランジスタは、ソース電極、ドレイン電極、および任意のゲート電極に加えて、一般に基板、誘電体層、および半導体層を含む。
基板は、ケイ素、ガラスプレート、プラスチックフィルムまたはシート、および種々の金属が挙げられるが、これらに限定されない材料を含み得る。構造的に可撓性のデバイスのために、プラスチック基板、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシートなどが好ましい場合がある。基板厚さは、約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えてもよく、例示的な厚さは特に可撓性プラスチック基板について約50〜約100マイクロメートル、硬質基板、例えばガラスまたはケイ素については約0.5〜約10ミリメートルである。
誘電体層は、一般に、無機材料フィルム、有機ポリマーフィルム、または有機−無機複合フィルムであることができる。誘電体層として好適な無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムジルコニウムなどが挙げられる。誘電体層は、当該技術分野において既知の従来のプロセス(例えばゲート電極を形成する際に記載されたプロセスを含む)を用いて形成される。
誘電体層は、表面改質剤を用いて表面改質されてもよい。例示的な表面改質剤としては、オルガノシラン、例えばヘキサメチルジシラザン(HMSD)、オクチルトリクロロシラン(OTS−8)、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS−18)およびフェニルトリクロロシラン(PTS)が挙げられる。半導体層は、この改質された誘電体層表面と直接接触し得る。接触は、完全または部分的であってもよい。この表面改質はまた、誘電体層と半導体層との間の界面層を形成するものとして考えられ得る。
半導体層は、一般に有機半導体材料から製造される。有機半導体の例としては、アセン、例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン、および置換されたペンタセン、ペリーレン、フラーレン、オリゴチオフェン、ポリチオフェンおよびそれらの置換された誘導体、ポリピロール、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニルビニリデン、ナフタレンジカルボン酸二無水物、ナフタレン−ビスイミド、ポリナフタレン、フタロシアニン、例えば銅フタロシアニン、または亜鉛フタロシアニンおよびそれらの置換誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。半導体はまた、ZnO、ZnS、ケイ素ナノワイヤなどのような無機半導体であってもよい。
半導体層は、約5ナノメートル〜約1000ナノメートルの深さ(約20〜約100ナノメートルの深さを含む)である。特定構成、例えば図3および6に示される構成において、半導体層は、完全にソースおよびドレイン電極を覆う。半導体層は、ソース電極とドレイン電極との間の距離によって規定されるチャンネル長さを有する。
半導体層は、分子ビーム堆積、真空蒸着、昇華、スピンオンコーティング、浸漬コーティング、印刷(例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ミクロコンタクト印刷、フレキソ印刷)、およびゲート電極を形成する際に記載されるプロセスを含む当該技術分野において既知の他の従来のプロセスによって形成できる。
電気的性能特徴に関して、有機半導体は、通常10−8〜10−4S/cmの範囲の伝導率を有する。当該技術分野において既知の種々のドーパントも、伝導率を変更するために添加されてもよい。有機半導体は、p型またはn型半導体のいずれかであることができる。p型に関して、半導体は、通常、4.5eVを超えるエネルギーレベル(HOMOレベル)を有する。特定実施形態において、p型半導体は、約5.1eVのHOMOレベルを有する。n型に関して、半導体は、通常、4.5eV未満のエネルギーレベル(LUMOレベル)を有する。特定実施形態において、n型半導体は、約4.0eVのLUMOレベルを有する。特定実施形態において、半導体は、p型半導体である。特定実施形態において、有機半導体はポリチオフェンであるポリチオフェンは、一般に約4.7eV〜約5.5eVのHOMOレベルを有する。
ソース、ドレインおよび任意のゲート電極は、他の電気伝導性材料から同様に製造されてもよい。それらは、例えば金属薄膜、伝導性ポリマーフィルム、伝導性インクまたはペーストから製造される伝導性フィルム、またはゲート電極の場合には基板自体、例えば重ドープされたケイ素であることができる。電極材料の他の例としては、これらに限定されないが、アルミニウム、金、銀、クロム、亜鉛、インジウム、伝導性金属酸化物、例えば酸化亜鉛ガリウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウムアンチモン、伝導性ポリマー、例えばポリスチレンスルホネートドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)、およびカーボンブラック/グラファイトを含む伝導性インク/ペーストが挙げられる。電極は、真空蒸着、金属または伝導性金属酸化物のスパッタリング、従来のリソグラフィおよびエッチング、化学蒸着、スピンコーティング、キャスティングまたは印刷または他の堆積プロセスによって調製できる。ゲート電極の厚さは、例えば金属フィルムでは約10〜約200ナノメートル、伝導性ポリマーでは約1〜約10マイクロメートルの範囲である。ソースおよびドレイン電極の典型的な厚さは、例えば約40ナノメートル〜約1マイクロメートル(より詳細な厚さは約100〜約400ナノメートルを含む)である。
所望により、バリア層はまた、電気的特性を劣化させ得る環境条件、例えば光、酸素および湿分などから保護するために、TFTの頂部上に堆積されてもよい。こうしたバリア層は、当該技術分野において既知であり、ポリマーだけからなってもよい。
TFTの種々の構成要素は、いずれかの順序で基板上に堆積されてもよい。しかし、一般に、ゲート電極および半導体層は両方とも、ゲート誘電体層と接触すべきである。加えて、ソースおよびドレイン電極は両方とも、半導体層と接触すべきである。「いずれかの順序で」という語句は、連続した形成および同時形成を含む。例えば、ソース電極およびドレイン電極は、同時または連続的に形成できる。基板「上(on)」または「上(upon)」という用語は、種々の層および構成要素が頂部上にあり、これらの底部または支持体である基板に対して種々の層および構成要素を言及する。換言すれば、構成要素のすべては、それらすべてが基板と直接接触しない場合であっても、基板上にある。例えば、誘電体層および半導体層の両方は、1つの層が他の層よりも基板に近くても、基板上にある。
図8は、例示的な太陽電池デバイス700の側部断面図である。基板710が与えられる。第1の電極、例えばアノード720は、基板710上に位置する。半導体層740は、アノード720上に位置する。いくつかの実施形態において、例えばここで記載される実施形態において、半導体層740は、第1の副層742および第2の副層744としてここでは示される異なる材料の層から製造されてもよい。第1の副層742は、第2の副層744よりもアノード720に距離が近い場所に位置する。接点745は、第1の副層742と第2の副層744との間に形成される。任意の電子ブロッキング層730は、アノード720と第1の副層742との間に、所望により位置してもよい。電子輸送層750は、半導体層740の第2の副層744と接触する。任意のホールブロッキング層760は、電子輸送層750に位置する。最後に、第2の電極、例えばカソード770は、基板710に配置され、ホールブロッキング層760上に位置する。半導体層740の第2の副層744は、第1の副層742よりもカソード770に近い。アノード720は、カソード770よりも基板710に近い場所に位置することにも留意すべきである。
基板710、アノード720、半導体層740、電子輸送層750、およびカソード770だけが、機能する太陽電池デバイスを製造するために必要である。しかし、追加の層も、高効率の太陽電池デバイスを得る際に助けとなる。換言して記載される場合、半導体層740は、アノード720とカソード770との間に位置する。また、電子輸送層750は、第2の副層744とカソード770との間に位置する。ホールブロッキング層760は、同様に第2の副層744とカソード770との間に位置する。電子輸送層とホールブロッキング層との両方が存在する場合、ホールブロッキング層760は、電子輸送層750とカソード770との間に位置する。
太陽電池デバイスの基板710は、太陽電池デバイスの他の構成要素を支持する。基板はまた、スペクトルの少なくともNIR範囲において光学的に透明であるべきであり、光が通過して、半導体層と接触できる。一般に、基板は、薄層トランジスタの基板について先行して記載されるような材料を含む。
アノード720またはカソード770は、パラジウム前駆体組成物から製造されてもよく、または薄層トランジスタの電極について先行して記載されたような材料を用いて製造されてもよい。半導体層740は、薄層トランジスタの電極について先行して記載されたような材料を用いて製造できる。
電子輸送層750は、半導体層740とカソード770との間に位置する。この層は、一般に効率良く電子を移動でき、さらに特定の光波長を吸収し得る材料から一般に製造される。電子輸送層についての例示的な材料としては、C60フラーレン、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)、C70フラーレン、[6,6]−フェニル−C71−酪酸メチルエステル(PC[70]BM)、またはいずれかのフラーレン誘導体が挙げられる。電子輸送層は、約5ナノメートル〜約100ナノメートルの厚さを有していてもよい。
電子ブロッキング層730は、アノード720から半導体二重層740との間に存在してもよい。この層は、アノードへの電子の移動を阻害することによってアノードでの再結合を防止する。例示的な材料としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)、MoO、およびVが挙げられる。電子ブロッキング層は、約1ナノメートル〜約100ナノメートルの厚さを有していてもよい。
ホールブロッキング層760はまた、電子輸送層750とカソード770との間に位置してもよい。この層に関して例示的なホールブロッキング材料としては、バトクプロイン(BCP)、フッ化リチウム、およびバトフェナントリンが挙げられる。ホールブロッキング層は、約0.1ナノメートル〜約100ナノメートルの厚さを有していてもよい。
(比較例)
酢酸パラジウム(トリマー)をAlfa Aesarから購入した。
0.1グラムの酢酸パラジウムを0.7グラムのトルエンに添加した。塩は、部分的に可溶性であり、橙褐色を示した。
(実施例1)
酢酸パラジウム(トリマー)をAlfa Aesarから購入した。
0.1グラムの酢酸パラジウムを0.7グラムのトルエンに添加した。次いで0.22グラムのオクチルアミンを混合物に添加し、次いで混合物を振とうした。パラジウム塩の不溶性部分を溶解して、非常に安定な淡黄色溶液を形成した。
(試験結果)
比較例および実施例1の溶液を、グラススライドにそれぞれスピンコーティングし、フィルムを形成した。実施例1の溶液は、結晶化も沈殿も生じることなく均一なフィルムを形成した。対照的に、比較例の溶液は、スピンコーティング後に塩の沈殿を伴って不均一なフィルムを形成した。
200〜250℃で数分間加熱した後、実施例1のフィルムは、最初の黒色から、次いで艶のある金属色に変化した。パラジウム薄膜は、2つのプローブ測定によって、約1.0x10S/cmと見積もられる伝導率を有し、非常に伝導性であることが測定された。
(実施例2)
銅ワイヤを、実施例1の溶液に浸漬させ、パラジウム前駆体組成物でワイヤ表面をコーティングした。溶液を徐々に引き出した後、ワイヤを、還元ガス(4.5%の窒素中水素)下、オーブン中で200℃に5分間加熱した。艶のある金属性白色ワイヤが得られたが、それは図3からわかる。パラジウムコーティングは、溶媒、例えばイソプロピルアルコール(IPA)およびトルエンで洗浄した場合、非常に堅牢性であった、すなわちコーティングは溶解も剥がれ落ちもしなかった。パラジウムコーティングはまた、機械的摩擦下での損傷に抵抗性であった。
(実施例3)
酢酸パラジウム(トリマー)をAlfa Aesarから購入した。
0.1グラムの酢酸パラジウムを0.7グラムの安息香酸ベンジルに添加した。次いで0.22グラムのオクチルアミンを混合物に添加し、次いで混合物を振とうした。パラジウム塩の不溶性部分を溶解して、非常に安定な淡黄色溶液を形成した。
(実施例4)
2.5グラムの酢酸パラジウムを1.5グラムのトルエンに添加した。次いで6.0グラムのオクチルアミンを混合物に徐々に添加し、次いで混合物を振とうした。混合物の温度は、パラジウムオルガノアミン錯体を形成するための酢酸パラジウムとオクチルアミンとの間の発熱反応により、約60〜65℃に増大した。室温にて24時間撹拌した後、酢酸パラジウムを完全に溶解させ、非常に安定な淡黄色溶液を形成した。溶液の粘度は、約30cpsであると測定された。
(実施例5)
0.1グラムの酢酸パラジウムを0.25グラムのオクチルアミンに添加した。液体オクチルアミンは、錯化剤と溶媒との両方として機能した。室温で撹拌した後、透明な黄色油様ペーストを得た。ペーストをグラススライド上に塗布し、オーブン中、250℃にてアニーリングした。透明なペーストは、まず暗色ペーストに変わり、次いで銀色の金属性パラジウム層になった。

Claims (4)

  1. パラジウム塩およびオルガノアミンを含む出発成分を含む、非触媒パラジウム前駆体組成物であって、前記組成物が、実質的に還元剤を含まず、前記組成物が前記還元剤を含む別の組成物と接触しない、組成物。
  2. 基板上に伝導性パラジウム層を形成するためのプロセスであって、
    パラジウム塩およびオルガノアミンを含む出発成分を含む、実質的に還元剤を含まないパラジウム前駆体組成物を受容する工程と、
    前記パラジウム前駆体組成物を前記基板上に溶液堆積させる工程と、
    前記パラジウム前駆体組成物を加熱して、伝導性パラジウム層を形成する工程と、を含むプロセス。
  3. パラジウムオルガノアミン錯体を含む非触媒パラジウム前駆体組成物であって、前記組成物が実質的に水を含まない、組成物。
  4. パラジウム塩およびオルガノアミンを含む出発成分を含む、非触媒パラジウム前駆体組成物であって、前記オルガノアミンが溶媒として機能する、組成物。
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