JP2012250404A - ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】押出発泡後の発泡体の収縮を抑制または防止し、寸法安定性に優れるポリオレフィン系樹脂積層発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂2とブタン8とを含む発泡芯層形成用溶融樹脂9と、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする表面層形成用溶融樹脂5とを環状ダイ13から共押出しする。積層発泡シート1全体の見掛け密度は18〜90kg/mで、かつ厚み2mm以上30mm未満で、表面層形成用溶融樹脂5には脂肪酸エステル等からなる収縮防止剤が0.7質量部以上配合されており、一方発泡芯層形成用溶融樹脂9には、脂肪酸エステル等からなる収縮防止剤が0.7質量部未満配合されているかまたは配合されておらず、層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tをそれぞれ3〜15とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法に関する。
無架橋ポリエチレン発泡シート等のポリエチレン系樹脂発泡シートは良好な緩衝性能を有し、各種工業用品などの梱包剤として好適である。特に押出発泡法により製造された厚みの厚い発泡シートは抜き・切断・溶着などを行うことで任意の形状を提供でき、かつ高価な金型を使用する必要はないことから、任意形状の緩衝材として安価に提供することが可能である。
近年のオゾン層破壊や地球温暖化などの環境問題の顕在化により、ポリエチレン系樹脂発泡シートを製造する際に、フロン系の発泡剤の使用は困難になっている。そこで、押出発泡法により無架橋発泡シートを製造する際に発泡剤としてブタンのような脂肪族炭化水素が用いられるようになっている。しかし、発泡剤としてブタンを使用するとフロンよりガス透過速度が速いために押出発泡後、発泡シートからの急速な発泡剤の放散により気泡内の圧力が低下し、発泡シートが著しく収縮してしまうという問題が生ずる。押出後に発泡シートが著しく収縮してしまうと、発泡シートの気泡内に空気が流入してきても所望の発泡倍率まで回復しなくなってしまう。
この収縮の問題を解決するために、ポリエチレン系樹脂発泡シートを製造する際に、各種の化合物を収縮防止剤として添加することが提案されている(特許文献1〜5)。グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテートなどの脂肪酸エステルや、脂肪族アミン又は脂肪酸アミドなどを収縮防止剤としてポリオレフィン系樹脂に添加して押出発泡することにより、押出発泡後に急速な発泡剤(ブタン)が放散することを防ぐことが可能となり、発泡剤放散による発泡シートの収縮を抑制することが可能となった。
収縮防止剤の添加は、シート状のポリエチレン系樹脂発泡体を得る場合に効果的であるが、発泡した後に発泡体の収縮を防止できる程度の収縮防止剤を添加すると、発泡剤の放散が遅くなりすぎて発泡剤が発泡体中に長期に亘って多量に残存することとなった。発泡剤が多量に残存していると発泡剤残量の変化、および大気中の空気が気泡内に流入してくることに伴う気泡内の内圧変化により加工後に寸法変化を生じてしまうため、発泡体から発泡剤を十分に放散させるために長時間の養生をとる必要が生じた。すなわち、発泡剤が発泡体の気泡内に封じ込められた状態で空気が流入してくると一時的に発泡体の内圧が高まる方向となる。その後、発泡体から発泡剤が放散していき、発泡体の内圧は大気圧に戻っていくが、その内圧が大気圧付近に戻る前に、所望の寸法に加工してしまうと、その後の内圧変化によって寸法が変化してしまう。
発泡体から発泡剤を放散させる為に、例えば、収縮発泡剤を添加して押出後の発泡体の収縮を防止し、その後発泡体に針穴加工を施す方法や、発泡体を圧縮して収縮防止剤の膜にヒビを生じさせる方法などにより、発泡剤と空気との置換を速める方法がある(特許文献6、7)。
特開昭54−81370号公報 特開昭54−111573号公報 特開昭54−127473号公報 特開平3−215534号公報 特開平8−090626号公報 特開2003−53764号公報 特開2005−297341号公報
しかし、特許文献6、特許文献7に記載の方法を用いると、気泡膜に穴が形成されたり、発泡体を無理に圧縮するため、発泡体の圧縮強度等の物性低下を生じるという問題があった。
すなわち、ブタンのような脂肪族炭化水素を発泡剤として使用して厚物のポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する場合には、発泡体の発泡後の収縮を抑制しつつも、長期間の養生を必要とせず、かつ機械的強度に優れた発泡体を得る技術は確立されていなかったのが現状である。
本発明は、上記問題点を解決して、押出発泡後の発泡シートの収縮を抑制しながらも、長時間の養生が不要であると共に、圧縮強度等の機械的強度に優れ、更に繰り返し圧縮に対する耐性の大きい厚手のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、ポリエチレン系樹脂とブタンとを混練してなる発泡芯層形成用溶融樹脂の両面に、収縮防止剤を特定量配合したポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする表面層形成用溶融樹脂を特定積層量となるように積層して共押出しすることにより、上記課題を解決して厚みのあるポリエチレン系樹脂積層発泡シートを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)から(4)に記載する発明を要旨とする。
(1)ポリエチレン系樹脂とブタンとを混練してなる発泡芯層形成用溶融樹脂と、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする表面層形成用溶融樹脂とを環状ダイから共押出することにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された筒状積層発泡体を形成し、該筒状積層発泡体を押出方向に切開くことにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された、積層発泡シート全体の見掛け密度18〜90kg/m、かつ厚み2mm以上30mm未満の積層発泡シートを製造する方法であって、表面層形成用溶融樹脂には、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が、表面層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部以上の配合割合で配合されており、発泡芯層形成用溶融樹脂には、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部未満の配合割合で配合されている、または脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が配合されておらず、積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tをそれぞれ3〜15とすることを特徴とするポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
(2)前記発泡芯層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合が、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以下(ただし、0を含む。)であることを特徴とする前記(1)に記載のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
(3)前記表面層形成用溶融樹脂に、炭素数2〜7の脂肪族炭化水素、炭素数4〜7の脂環式炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、および炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種又は2種以上の有機化合物が配合されていることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
(4)前記発泡芯層のポリエチレン系樹脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
本発明の製造方法により、特に発泡後に収縮が起こりやすい、発泡剤としてブタンを使用する、見掛け密度18〜90kg/mで、厚み2mmm以上30mm未満のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造時において、一定量(0.7質量部以上)の収縮防止剤を含む表面層形成用溶融樹脂を、わずかに収縮防止剤を含む(0.7質量部未満)か、または収縮防止剤を全く含まない発泡芯層形成用溶融樹脂の両面に、特定積層量となるように積層して共押出発泡することで、表層部の収縮防止剤の配合割合が高く、内部の収縮防止剤の配合割合が低いまたは配合されていない積層発泡シートを得ることが可能になる。このような積層発泡シートは、従来のように発泡シート全体に収縮防止剤を必要量添加した発泡シートと同様に、押出発泡後の積層発泡シートの収縮を抑制または防止できると共に、従来のように発泡シート全体に収縮防止剤を必要量添加したものよりも発泡剤の放散速度が速く、養生期間を短縮できる効果がある。また、比較的早期に発泡剤と空気とのガス置換が終了することから、寸法安定性に優れる積層発泡シートを得ることができる。
本発明のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法の一例を示す説明図である。
以下に、ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法について説明する。本発明のポリエチレン系樹脂積層発泡シート(以下、積層発泡シートと記載することがある)の製造方法は、ポリエチレン系樹脂とブタンとを混練してなる発泡芯層形成用溶融樹脂と、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする表面層形成用溶融樹脂とを環状ダイから共押出することにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された筒状積層発泡体を形成し、該筒状積層発泡体を押出方向に切開くことにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された、積層発泡シート全体の見掛け密度18〜90kg/m、かつ厚み2mm以上30mm未満の積層発泡シートを製造する方法であって、表面層形成用溶融樹脂には、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が、表面層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部以上の配合割合(A1)で配合されており、発泡芯層形成用溶融樹脂には、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部未満の配合割合で配合されている、または脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が配合されておらず、積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tをそれぞれ3〜15とすることを特徴とする。
本発明のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法の一例を図1に示す。
積層発泡シート1は、発泡芯層形成用溶融樹脂9の両面に、表面層形成用溶融樹脂5を積層して共押出し、発泡芯層形成用溶融樹脂を発泡させることにより製造される。
第1の押出機11の投入口に、表面層を形成するためのポリエチレン系樹脂2と、必要量の収縮防止剤3を供給し、それらを溶融混練した後、必要に応じて有機化合物4を押出機途中から添加し、さらに溶融混練して表面層形成用溶融樹脂5を調整する。第2の押出機12の投入口に、発泡芯層を形成するためのポリエチレン系樹脂6、必要に応じて収縮防止剤7を供給し、それらを溶融混練した後に発泡剤8を押出機途中から添加し、さらに溶融混練して発泡芯層形成用溶融樹脂9を調整する。押出機の下流に備えられた共押出環状ダイ13内で、発泡温度に調整された発泡芯層形成用溶融樹脂9の両面(外面および内面)に表面層形成用溶融樹脂5を積層し、共押出環状ダイ13の先端に設けられた環状のダイリップから該ダイ内よりも低圧下(通常は大気圧下)に共押出して発泡芯層形成用溶融樹脂9を発泡させて、発泡芯層の両面に表面層が積層された筒状積層発泡体を形成し、該積層発泡体を押出方向に切り開くことにより、ポリエチレン系樹脂積層発泡シート1が製造される。
本発明における、表面層形成用溶融樹脂、又は表面層形成用溶融樹脂と発泡芯層形成用溶融樹脂の双方に配合される収縮防止剤は、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上である。
脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と水酸基を3〜7個有する多価アルコールとのエステルが好ましい。炭素数8以上の脂肪酸としては、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコ酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などが挙げられる。水酸基を3〜7個有する多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エリトリットアラビット、キシリマアット、マンニット、ソルビット、ソルビタンなどが挙げられる。
これらのエステル化合物の中でも、これらの完全エステル化物よりは部分エステル化物、特にモノエステル化物がより顕著な収縮防止効果が得られるため好ましく、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘン酸モノグリセライド、又はステアリン酸モノグリセライドとベヘン酸モノグリセライドの混合物が更に好ましい。
また、脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−エチルオクタデシルアミン、ヘキサデシルプロピレンジアミン、オクタデシルプロピレンジアミンなどが挙げられる。
また、脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルステアリン酸アミド、N,N−ジエチルステアリン酸アミド、ジラウリン酸アミド、ジステアリン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリステアリン酸アミドなどが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、発泡芯層と該発泡芯層の両面に形成される表面層との多層構成とし、表面層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合(A1)が表面層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部以上であり、発泡芯層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合(A2)が発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部未満(ただし、0を含む。)であり、かつ押出直後の積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tをそれぞれ3〜15として押出発泡することにより、押出発泡後の積層発泡シートの急激な収縮を抑制、または防止することが可能となり、さらに、発泡後の収縮を抑制するのに十分な収縮防止剤が配合された従来の発泡芯層のみからなる単層の発泡シートに比べて発泡剤放散速度が速く、養生期間を短縮できる効果が得られる。
発泡後の収縮を防止するためには、両表面付近にのみ収縮防止剤が多く存在して、発泡シート全体からの急激な発泡剤の放散を防げばよいことを見出した。積層発泡シートが冷却した後は、両表面付近には収縮防止剤が多く存在するが、積層発泡シート内部の収縮防止剤の濃度が相対的に少ないので、発泡シート全体に収縮防止剤が高濃度で存在する場合と比べると、積層発泡シートから発泡剤が速く放散していくこととなる。これにより上記効果が得られるものと推察される。
表面層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合(A1)は該溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部以上である。配合割合が過少では収縮防止効果が不充分となる。一方、配合割合が過多の場合には収縮防止効果が頭打ちとなるためコスト的にメリットがなく、その上限は、該溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して概ね3質量部程度である。
一方、発泡芯層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合(A2)は、発泡剤と空気とのガス置換速度を速めて積層発泡シートの養生時間を短縮するために、表面層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合(A1)よりも低い濃度であり、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部未満(ただし、0を含む。)である。
本発明において、発泡芯層と表面層に用いられるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレンとコモノマーとの共重合体でエチレン成分が50モル%を超えるもの、更にそれら2種以上の混合物が挙げられる。前記ポリエチレン系樹脂の中でも、特に弾性率の低い低密度ポリエチレンを基材樹脂とする発泡シートは押出発泡後に収縮しやすく、本発明の製造方法は低密度ポリエチレンを発泡させる際に特に有効である。なお、低密度ポリエチレンの密度は、概ね0.85〜0.93g/cm程度である。
本発明において、上記発泡芯層および表面層に用いられるポリエチレン系樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム等のゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のエラストマー等のポリエチレン系樹脂以外の重合体を添加することができる。その場合、前記ポリエチレン系樹脂以外の重合体の添加量は40質量%以下、更に20質量%以下、特に10質量%以下とすることが好ましい。
発泡芯層と表面層にそれぞれ用いられる好ましいポリエチレン系樹脂については後述する。
本発明において、ポリエチレン系樹脂積層発泡シートを、発泡芯層形成用溶融樹脂と表面層形成用溶融樹脂を積層して共押出することにより形成する際に、発泡芯層形成用溶融樹脂に配合される発泡剤としてブタンが使用される。
前述の通り、オゾン層破壊や地球温暖化などの環境問題の顕在化によりこれらフロン系の発泡剤は利用が難しくなっている実情から脂肪族炭化水素を用いるようになっているが、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂を押出発泡させやすいことから、発泡剤として脂肪族炭化水素の中でもブタンが使用される。ブタンとしては、ノルマルブタン、イソブタン、又はノルマルブタンとイソブタンの混合物が挙げられる。これらの中でも、発泡時に発泡シートから放散しにくいことから、イソブタン又はイソブタンを30モル%以上含むノルマルブタンとイソブタンとの混合物が好ましい。
本発明において、ポリエチレン系樹脂積層発泡シートを、発泡芯層形成用溶融樹脂と表面層形成用溶融樹脂を積層して共押出して形成する際に、表面層形成用溶融樹脂に可塑化効果を付与するために特定の有機化合物が配合されていることが望ましい。
表面層形成用溶融樹脂に特定の有機化合物が配合され、該溶融樹脂が可塑化されることにより、該溶融樹脂の樹脂温度を発泡芯層の発泡を阻害しない温度まで低下させる冷却調整が可能となると共に発泡芯層に追従する伸長性を付与することができる。このような手段は、特に発泡芯層を高発泡倍率とする場合に効果的であり、表面層に亀裂や裂け等を発生させることなく、表面層を発泡芯層上に積層することが可能となり、さらに発泡芯層の連続気泡率の低い積層発泡シートを製造することが可能になる。また、特定の有機化合物は、押出後表面層から放散していくため、積層発泡シートの機械的強度に影響を与えにくい。
有機化合物としては、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素、炭素数4〜7の脂環式炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、および炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種又は2種以上を使用することができ、特に炭素数3〜6の脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。上記炭化水素の使用は、表面層形成用溶融樹脂を効率よく可塑化させるという点から好ましい。上記炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどが挙げられこれらの中でも、ブタンを使用することが好ましい。
(1)発泡芯層形成用溶融樹脂
発泡芯層形成用溶融樹脂には、前記ポリエチレン系樹脂と、発泡剤としてブタンとが含まれ、更に必要により気泡調整剤、収縮防止剤等が配合される。
発泡芯層形成用溶融樹脂の基材樹脂であるポリエチレン系樹脂としては、190℃におけるメルトフローレイト(MFR)が0.05〜10g/10分、更に0.1〜8.0g/10分、190℃における溶融張力(MT)が3〜30cN、更に3.5〜25cNのポリエチレン系樹脂であることが、目的とする見掛け密度のポリオレフィン系樹脂発泡層を得る上で好ましい。更に該基材樹脂が、密度0.900〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。尚、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)A法に準拠して、試験温度190℃、荷重21.18Nで測定される値である。
上記溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定された値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定することができる。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を190℃とし、試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を得る。上記操作を異なる試料を使用し、計10回の測定を行い、10回で得られた極大値の最も大きな値から順に3つの値と、極大値の最も小さな値から順に3つの値を除き、残った中間の4つの極大値を相加平均して得られた値を溶融張力(cN)とする。
但し、上記した方法で溶融張力の測定を行い、引取り速度が200m/分に達しても紐状物が切れない場合には、引取り速度を200m/分の一定速度にして得られる溶融張力(cN)の値を採用する。詳しくは、上記測定と同様にして、溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を張力検出用プーリーに掛け、4分間で0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーを回転させ、回転速度が200m/分になるまで待つ。回転速度が200m/分に到達してから溶融張力のデータの取り込みを開始し、30秒後にデータの取り込みを終了する。この30秒の間に得られた縦軸にメルトテンションを、横軸に時間を取ったテンション荷重曲線から得られたテンション最大値(Tmax)とテンション最小値(Tmin)の平均値(Tave)を本明細書における溶融張力とする。
ここで、上記Tmaxとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたピーク(山)値の合計値を検出された個数で除した値であり、上記Tminとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたディップ(谷)値の合計値を検出された個数で除した値である。尚、当然のことながら上記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。
発泡芯層形成用溶融樹脂には前述の通り発泡剤としてブタンが使用される。
発泡芯層形成用溶融樹脂における発泡剤の配合量は、目的とする見掛け密度に応じて調整する。即ち、見掛け密度18〜90kg/mの発泡芯層を得るためには、ブタンの添加量はポリオレフィン系樹脂100質量部当たり3〜35質量部とすることが好ましい。
発泡芯層形成用溶融樹脂に収縮防止剤を配合する場合の配合割合(A2)は、前述のとおり、発泡後の養生期間が長時間にならないように、該溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7重質量部未満(ただし、0を含む)であり、好ましくは0.5質量部以下(ただし、0を含む)であり、より好ましくは0.2質量部(ただし、0を含む)であり、さらに好ましくは無配合である。
一方、本発明の積層発泡シートの製造方法で得られる積層発泡シート全体の厚みが厚い場合、シート端部小口(筒状発泡体を切り開いた際の切断面)からも発泡剤が放散しやすくなるため、この小口からの発泡剤の放散を防ぐために発泡芯層にもごく少量の収縮防止剤が配合されることが好ましい。かかる観点から、収縮防止剤の配合量の下限は、該溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.1質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部である。
発泡芯層形成用溶融樹脂には、必要に応じて、タルク、炭酸カルシウムなどの無機物や、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸との混合物などの化学発泡剤等を気泡調整剤として配合することができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。気泡調整剤は、発泡芯層の基材樹脂と同種のポリエチレン系樹脂と、気泡調整剤とからなるマスターバッチの形態で添加してもよい。また気泡調整剤の配合量は、目的とする気泡径に応じて調節することができるが発泡芯層の基材樹脂であるポリエチレン系樹脂100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜8質量部である。
(2)表面層形成用溶融樹脂
本発明において、表面層を形成する基材樹脂のポリエチレン系樹脂としては、発泡芯層の基材樹脂と同様のものを使用することができる。発泡芯層との接着性の観点からは、発泡芯層のポリエチレン系樹脂と同種のものを使用することが好ましい。
表面層形成用溶融樹脂への脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる前記収縮防止剤の配合量は、前述の通り、該溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部以上であり、該収縮防止剤の配合量が前記範囲未満では収縮防止効果が不充分となる。一方、配合量が多すぎても収縮防止効果が頭打ちとなる。かかる観点から収縮防止剤の配合量は、該溶融樹脂のポリエチレンン系樹脂100質量部に対して0.8〜2.5質量部が好ましく、より好ましくは0.9〜1.5質量部である。
表面層形成用溶融樹脂には、前記有機化合物が配合されることが好ましい。有機物化合物の配合により、表面層形成用溶融樹脂を可塑化させることにより、該溶融樹脂の樹脂温度を発泡芯層の発泡を阻害しない温度まで低下させる冷却調整することが可能になると共に発泡芯層に追従する伸長性を付与することが可能になる。
また、表面層の坪量が特定量以上、例えば60g/m以上となるように共押出することにより、前記有機化合物が発泡剤として作用し、表面層が発泡した積層発泡シートを得ることもできる。また、表面層が発泡した積層発泡シートを得るためには、表面層形成用溶融樹脂には気泡調整剤が配合されることが好ましい。表面層の坪量が小さい場合や、気泡調整剤が配合されていない場合には、表面層が発泡しないことがあり、その場合には、前記有機化合物は、上記可塑剤として作用する。
有機化合物としては、前述の通り、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素の使用が好ましく、表面層形成用溶融樹脂を効率よく可塑化させることができることからブタンの使用が特に好ましい。
前記有機物化合物の配合量は、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して3〜20質量部であることが好ましい。有機化合物の添加量が前記3質量部以上であると、表面層形成用溶融樹脂が押出時に過剰に発熱するのを防止でき、また該発熱により表面層形成用溶融樹脂と合流ダイにて積層される発泡芯層形成用溶融樹脂の樹脂温度が上昇して発泡芯層形成用溶融樹脂の押出発泡時に気泡が破泡して見掛け密度の小さくなるのも防止して、独立気泡構造の高い発泡芯層を得ることが可能になる。更に、表面層の溶融伸び不足による、製膜性の低下を抑制して、所望の収縮防止効果を得ることが可能になる。
一方、有機物化合物の添加量が前記20質量部以下であると、有機物化合物が表面層を形成する溶融樹脂と充分に混練されるためダイリップからの有機化合物の噴き出しを防止でき、その結果、積層発泡シートの表面層に穴が開くのを抑制して、所望の収縮防止効果を得ることが可能になる。
すなわち、有機物化合物の配合量を上記範囲とすることで、共押出時の表面層形成用溶融樹脂の溶融粘度低下効果と伸張性向上効果を確保できる。かかる観点から、前記有機化合物の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3〜20質量部であることがより好ましく、さらに好ましくは5〜15質量部である。
表面層形成用溶融樹脂には、必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。各種の添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤等が挙げられる。その場合の配合量は表面層形成用溶融樹脂中で10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。下限は概ね0.01質量%である。
(3)ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法
図1を用いて、本発明の「ポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法」を例示するが、本発明は、図1の例示に限定されるものではない。
表面層形成用溶融樹脂5と発泡芯層形成用溶融樹脂9を、各押出機11、12内においてそれぞれ適正温度に調整してから、合流ダイ13内にて積層して該ダイ13から共押出すことにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された積層発泡シートが形成される。
上記溶融樹脂9の押出機12内における適正温度とは、上記溶融樹脂9が発泡芯層を形成するのに最適な粘弾性を示す温度のことである。また上記溶融樹脂5の押出機11内における適正温度は、上記溶融樹脂5が表面層を形成するのに良好な伸長性を示し且つ発泡芯層の形成を阻害しない温度のことである。具体的には、上記溶融樹脂9、5の該適正温度は、それぞれ各層のエチレン系樹脂の[結晶化温度+5℃]以上で[結晶化温度+30℃]以下であり、かつ上記溶融樹脂9、5の該適正温度の関係から、表面層形成用溶融樹脂5の温度が[発泡芯層形成用溶融樹脂の温度−30℃]以上で[発泡層形成用溶融樹脂の温度+30℃]以下であることが、発泡芯層の連続気泡率の低下や得られる積層発泡シートの収縮を抑える観点から好ましく、さらに好ましくは表面層形成用溶融樹脂5の温度が[発泡芯層形成用溶融樹脂の温度−15℃]以上で[発泡芯層形成用溶融樹脂の温度+15℃]以下である。
なお、本明細書において結晶化温度は、JIS K7122(1987)に準拠して測定される値であり、加熱速度10℃/minにて常温から200℃まで加熱して溶融させたサンプルを冷却速度10℃/minにて40℃まで温度を降下させる際に得られるDSC曲線の結晶化熱量ピークの頂点温度を結晶化温度(℃)とする。
本発明の製造方法は、発泡後に収縮が起こりやすく、残留発泡剤の空気との置換に時間がかかる見掛け密度18〜90kg/m、厚み2mm以上、さらに見掛け密度18〜60kg/m、厚み4mm以上、特に見掛け密度18〜46kg/m、厚み5mm以上のポリエチレン系樹脂発泡シートに対して特に有効である。
本発明において、積層発泡シートの全体の見掛け密度は、積層発泡シートの質量を積層発泡シートの体積で割り算し、[kg/m]に単位換算することにより求めることができる。なお、積層発泡シートの体積は、水没法や、外形寸法から求めればよい。
本発明において、積層発泡シートの全体の厚みは下記方法により求めることができる。積層発泡シートの幅方向垂直断面において、積層発泡シートの厚み[mm]を等間隔に幅方向に10点測定し、測定した各点における積層発泡シートの厚み[mm]の算術平均値を積層発泡シートの厚み[mm]とする。
本発明の製造方法において、押出直後の積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tをそれぞれ3〜15の範囲とする。
すなわち、表面層で発泡剤の散逸を防止し、収縮せず、且つ発泡剤と空気とのガス置換が早い積層発泡シートを得るためには、表面層のガス透過速度をコントロールすることとなるが、その場合、表面層に加えられる収縮防止材の配合量とともに、表面層の樹脂量をコントロールすることが重要である。そのためには、積層発泡シートを製造する際に、押出直後の積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tを上記範囲内としておけばよい。
前記比率m/tが上記範囲の上限を超えると、当初の目的である養生期間の短縮化が達成できないおそれがある。一方で、前記比率m/tが上記範囲の下限未満になると、収縮防止効果を発揮できず、積層発泡シートが収縮し、かえって所望の密度まで回復するまで長い養生期間をとる必要が出る場合もある。かかる観点から、該比m/tは4〜12とすることが好ましく、より好ましくは4〜10である。
本発明の製造方法において、表面層は発泡芯層の両面に形成されるが、一方の面側の表面層の坪量と他方の面側の表面層の坪量とは同じ坪量とすることが好ましい。
片面あたりの表面層の坪量は、表面層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂の吐出量、積層発泡シートの幅、及び積層発泡シート製造時の引取速度から下記式により求めることができる。
片面あたりの表面層の坪量(W1)[g/m]=
吐出量[g/hr]/(シート幅[m]×引取速度[m/hr])
以下、実施例、比較例により、本発明を具体的に説明する。実施例で使用した原材料であるポリエチレン系樹脂、収縮防止剤、及び気泡調整剤、並びに評価方法を以下に記載する。
(1)原材料
(イ)ポリエチレン系樹脂
低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記載することがある)
日本ユニカー(株)製、商品名:NUC8321、(密度922g/L、MFR=2.4g/10分)
(ロ)収縮防止剤
ステアリン酸モノグリセライド(表1〜4中、GMSと記載する)
(ハ)気泡調整剤
タルク(松村産業(株)製、ハイフィラー#12)
(2)評価方法
(イ)押出直後の積層発泡シート全体の厚み
押出直後の積層発泡シートの全体の厚みの測定は、前記の測定法を採用し、押出直後の積層発泡シートの厚みを測定した。
(ロ)押出直後の見掛け密度
押出直後の積層発泡シート全体の見掛け密度の測定は、以下のようにして行った。押出直後の積層発泡シートからシートの幅方向全体に亘って押出方向に10cmの長さに切り出したサンプルの質量を測定し、該サンプル質量を、前記方法により求めたシートの厚みと、シート幅と、サンプル長さ(具体的には10cm)とから求めたサンプルの体積で割り算し、単位を[g/cm]に換算することにより、積層発泡シート全体の見掛け密度を求めた。
また、表面層が発泡している場合には、押出直後の表面層の見掛け密度の測定は、以下のようにして行った。押出直後の積層発泡シートからシートの幅方向全体に亘って押出方向に10cmの長さのサンプルを切り出し、さらにサンプルから発泡芯層が含まれないように両表面層を切り分け、該表面層の質量を測定し、水没法により求めた表面層の体積で割り算し、単位を[g/cm]に換算することにより求めた。
(ハ)押出1日後の見掛け密度
積層発泡シートをその押出後直ちに、温度50℃、相対湿度50%の雰囲気下で保管し、押出から1日経過後に、前記測定方法と同様にして積層発泡シート全体の見掛け密度を求めた。
(ニ)表面層の坪量
表面層の坪量の測定は前記の測定法を採用した。
(ホ)必要養生日数
必要養生日数とは、積層発泡シートを押出直後から50℃、相対湿度50%の雰囲気下で養生した際に、積層発泡シートの比容変化率が±20%以内で、且つ発泡剤(ブタン)残量が1質量%以下となるのに要した日数である。
比容変化率は、発泡直後の積層発泡シートの比容Vaに対する、50℃、相対湿度50%の雰囲気下で任意の期間養生した後の積層発泡体の比容Vbの比である。なお、積層発泡体の比容とは、積層発泡体の見掛け密度の逆数である。
比容変化率[%]=100−(任意の期間養生後の比容Vb[cm/kg]÷発泡直後の比容Va[cm/kg])×100
発泡剤残量は以下の方法により求めた。積層発泡シートの発泡層の中心部から、約1g程度の試験片切り出した。この試験片を密閉容器内で既知量のシクロペンタンをトルエンに加えた45mlの溶媒中に常温で24時間浸漬して、試験片中に残存する発泡剤(ブタン)を溶媒中に抽出した。溶媒中に抽出されたブタン量をガスクロマトグラフ(内部標準法)により定量し、予め測定しておいた試験片の質量から、発泡芯層中に残存する発泡剤(ブタン)量を求めた。
(ホ)養生完了後の見掛け密度および厚み
養生完了後、上記と同様な方法にて、積層発泡シート全体の見掛け密度および厚みを求めた。
[実施例1〜10]、[比較例3〜6]
発泡芯層形成用押出機として内径90mmの単軸の第一押出機と内径120mmの単軸の第二押出機を直列に連結した押出機を用いた。表面層形成用押出機として内径115mmの単軸の第三押出機を用いた。該第二押出機の出口に共押出用ダイが取付けられ、該共押出用ダイに第三押出機連結させた共押出装置を用いた。
ポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレン及び収縮防止剤、気泡調整剤を表1に示す配合にて第一押出機に投入し、溶融混練後、同押出機内に発泡剤のブタンとして表1に示す量のイソブタン:ノルマルブタン=30:70(モル比)の混合ブタン(表中SBと記す。)を注入し再び混練した後第二押出機にて目標の樹脂温度まで冷却し、発泡芯層形成用溶融樹脂とした。なお、収縮防止剤、気泡調整剤、ブタンの配合量(質量部)は、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対する値である。
同様に、ポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレン及び収縮防止剤、気泡調整剤を表1に示す配合にて第三押出機に供給し、溶融混練後、有機化合物として表1に示す量のイソブタン:ノルマルブタン=30:70(モル比)の混合ブタンを注入し再び混練した後目標の樹脂温度まで冷却し、表面層形成用溶融樹脂とした。なお、収縮防止剤、気泡調整剤、有機化合物の配合量(質量部)は、表面層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対する値である。
発泡芯層形成用溶融樹脂と表面層形成用溶融樹脂とをそれぞれ表1に示す吐出量比で共押出環状ダイ内に押出し、該ダイ内にて表面層形成用溶融樹脂を発泡芯層形成用溶融樹脂の両面(外面および内面)に積層し、共押出ダイの先端に取り付けられた環状のダイリップ(実施例1〜5および比較例3、4では口径108mm、実施例6〜10および比較例5、6では口径72mmのダイリップを用いた。)から押出して円筒状に発泡させた。得られた積層発泡体を円柱状の冷却管(実施例1〜5および比較例3、4では直径350mm、実施例6〜10および比較例5、6では212mmの冷却管を用いた。)に沿わして引き取りながら切り開いて目的の積層発泡シートを得た。なお、表面層形成用溶融樹脂については、押出機先端に取り付けられた分配器にて吐出量比1:1に分配した後にそれぞれ共押出内へと供給し、発泡芯層形成用溶融樹脂の両面に積層した。
得られた積層発泡シートの評価結果を表2に示す。なお、実施例7で得られた積層発泡シートの表面層は発泡しており、その密度は61kg/mであった。また、実施例7以外の実施例、比較例で得られた積層発泡シートの表面層は発泡していなかった。
[比較例1、2]
比較例1および比較例2として、発泡芯層形成用押出機として内径90mmの単軸の第一押出機と内径120mmの単軸の第二押出機を直列に連結した押出機を単独で用いた以外は実施例1と同様にして従来通りの単層の発泡シートを得た。比較例1では収縮防止剤をポリエチレン系樹脂100質量部に対して1.2質量部加え、比較例3では収縮防止剤を全く加えなかった。得られた単層の発泡シートの評価結果を表2に示す。その結果、比較例1の発泡シートは押出後に収縮は生じなかったが、発泡シートからのブタンの放散が遅くガス置換に時間を要し、必要養生日数は4日であった。一方、収縮防止材を加えなかった比較例2の発泡シートは、押出後に著しく収縮してしまった。
Figure 2012250404
Figure 2012250404
なお、比較例2、4、6で得られた発泡シート、積層発泡シートは、押出から1日経過した後の収縮が著しかったため、その後の評価は行わなかった。
1 ポリエチレン系樹脂積層発泡シート
2 ポリエチレン系樹脂
3 収縮防止剤
4 有機化合物
5 表面層形成用溶融樹脂
6 ポリエチレン系樹脂
7 収縮防止剤
8 発泡剤
9 発泡芯層形成用溶融樹脂
11 表面層形成用押出機
12 発泡芯層形成用押出機
13 共押出環状ダイ

Claims (4)

  1. ポリエチレン系樹脂とブタンとを混練してなる発泡芯層形成用溶融樹脂と、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とする表面層形成用溶融樹脂とを環状ダイから共押出することにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された筒状積層発泡体を形成し、該筒状積層発泡体を押出方向に切開くことにより、発泡芯層の両面に表面層が積層された、積層発泡シート全体の見掛け密度18〜90kg/m、かつ厚み2mm以上30mm未満の積層発泡シートを製造する方法であって、
    表面層形成用溶融樹脂には、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が、表面層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部以上の配合割合で配合されており、
    発泡芯層形成用溶融樹脂には、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.7質量部未満の配合割合で配合されている、または脂肪酸エステル、脂肪族アミン、及び脂肪酸アミドから選択された1種又は2種以上からなる収縮防止剤が配合されておらず、
    積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比m/tをそれぞれ3〜15とすることを特徴とするポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  2. 前記発泡芯層形成用溶融樹脂への収縮防止剤の配合割合が、発泡芯層形成用溶融樹脂のポリエチレン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以下(ただし、0を含む。)であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  3. 前記表面層形成用溶融樹脂に、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素、炭素数4〜7の脂環式炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、および炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種又は2種以上の有機化合物が配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  4. 前記発泡芯層のポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
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