JP2012250034A - 断層写真法画像の再構成の方法及びシステム - Google Patents

断層写真法画像の再構成の方法及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】第三世代コーン・ビーム計算機式断層写真法(CT)において、特にアキシャル(円形)走査軌道の場合に、Z方向(すなわちX線源が患者の周りを回転するときの軸に対応する方向)でのデータの打ち切り、正しく取り扱われていないデータ、及び/又は欠落周波数のように多様な原因から生じ得るコーン・ビーム・アーティファクトを除去する。
【解決手段】周波数データが不完全であるような場合にも実質的に一様で且つ完全な周波数データ集合を生成するように、取得されるデータを再編成するアルゴリズムを開示する。この工程又は等価工程が、再構成空間及び/又は後処理空間の一方又は両方においてフィルタ処理ステップを用いて、計算効率のよい態様で達成され得る。
【選択図】図1

Description

非侵襲型の撮像技術は、患者又は物体に対して侵襲的処置を施すことなく患者又は物体の内部構造の画像を得ることを可能にする。具体的には、計算機式断層写真法(CT)のような技術が、標的容積を通過するX線の差分透過のような様々な物理的原理を用いて画像データを取得して断層写真法画像(例えば人体又は他の被撮像構造の内部の三次元表現)を構築する。しかしながら、取得に対する様々な物理的制限又は制約のため、再構成画像にアーティファクト又は他の不完全性が生じ得る。
例えば、第三世代コーン・ビームCTは、特にアキシャル(円形)走査軌道の場合にコーン・ビーム・アーティファクトを生じ得る。これらのアーティファクトは、Z方向(すなわちX線源が患者の周りを回転するときの軸に対応する方向)でのデータの打ち切り(トランケーション)、正しく取り扱われていないデータ、及び/又は欠落周波数のように多様な原因から生じ得る。
一実施形態では、画像データ処理の方法が提供される。この方法によれば、全走査(フル・スキャン)アキシャル投影データ集合の初期部分集合を再構成して、予備的画像を形成する。最も一様に重み付けされた周波数の部分集合を保存するように予備的画像をフィルタ処理して、部分再構成を生成する。再構成の動作及び生成する動作をビュー範囲を移動させて所定の回数繰り返して、一組の部分再構成集合を生成する。この部分再構成集合を結合して、実質的に完全な周波数データを備えた中間容積を生成する。対応するコンピュータ可読媒体及びシステムの実施形態も提供される。
もう一つの実施形態では、画像データを処理する方法が提供される。この方法によれば、複数のビュー角度限定再構成を再構成する。これら複数のビュー角度限定再構成の和を取って、全走査再構成を生成する。ビュー角度限定再構成の2分の1を共役再構成から減算した後に、複数の第一のフィルタの一つを適用してフィルタ処理済み容積を生成する。これらのフィルタ処理済み容積を結合して、中間容積を生成する。中間容積から、時間窓容積を生成する。全走査再構成を時間窓容積と結合する。対応するコンピュータ可読媒体及びシステムの実施形態も提供される。
もう一つの実施形態では、画像データを処理する方法が提供される。この方法によれば、再構成されるべきあらゆるボクセル毎にあらゆる周波数方向毎に1対のビューを含む全走査アキシャル投影データ集合にアクセスする。各々のボクセル及び周波数方向に関連付けられる各々のビューの対毎に、特定のビューの近傍に相対的に近接したそれぞれのビューを選択して、各々のそれぞれのビューの対を、選択されたそれぞれのビューの方が対応する再構成されたボクセルにおいて大きい寄与を有するように処理する。対応するコンピュータ可読媒体及びシステムの実施形態も提供される。
本発明の実施形態のこれらの特徴及び観点、並びに他の特徴及び観点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらに十分に理解されよう。図面全体にわたり、類似の参照符号は類似の部材を表わす。
本開示の各観点による画像を形成するのに用いられるCTイメージング・システムの線図である。 球面殻を画定する周波数空間の円形掃引を示す図である。 走査面の外部の点について180°範囲にわたり周波数空間において円によって掃引される領域であって、周波数が欠落している領域を示す図である。 走査面の外部の点について180°範囲にわたり周波数空間において円によって掃引される領域であって、周波数が欠落している領域を示す代替的な図である。 360°範囲にわたる周波数空間において円によって掃引される領域を示す図である。 周波数空間に対する単一のビューの寄与を示す図である。 図6の円によって掃引される全45°の区画のビューを示す図である。 180°分のデータを生ずるための図7の4個の45°区画の結合を示す図である。 本開示の各観点に従って保存されるデータのセクタを示す図である。 図9において保存されたセクタから45°回転された本開示の各観点によるさらにもう一つのデータのセクタを示す図である。 本開示の各観点による相対的に完全な周波数情報を有する生成されるデータのセクタの結合を示す図である。 周波数情報が欠落している図11の領域の詳細図である。 本開示の各観点による画像再構成工程を具現化する一つのアルゴリズムを記述した流れ図である。 本開示の各観点によるアルゴリズムの一具現化形態において生成される二つの中間容積を示す図である。 本開示の各観点による複合再構成を生成するように周波数空間においてフィルタ処理した二つの中間容積の結合を示す図である。 本開示の各観点による複合再構成を生成するように周波数空間においてフィルタ処理した二つの中間容積の代替的な結合を示す図である。 本開示の各観点による複合再構成を生成するように周波数空間においてフィルタ処理した二つの中間空間のもう一つの結合を示す図である。 それぞれのビュー範囲と共に再構成を示す図であって、データ取得系列を示し、またデータが取得される時刻又はビューに関して不連続性が存在するフーリエ空間の部分を破線の区画を介して示す図である。 本開示の各観点によるセクタ・マスクの例を示す図である。 本開示の各観点による本発明のアルゴリズムの代替的な概念化を示す図である。 本開示の各観点による本発明のアルゴリズムのもう一つの概念化を示す図である。 本開示の各観点による画像データを処理するアルゴリズムの流れ図である。 本開示の各観点によるフィルタ処理関数の結合及び単純化を示す図である。 本開示の各観点による全走査再構成及び差容積を生成するための中間再構成の結合を示す図である。 本開示の各観点による多重アキシャル再構成を示す図である。 本開示の各観点による多重セクタ再構成を示す図である。 本開示の各観点によるさらにもう一つの多重セクタ再構成を示す図である。
本書に開示される実施形態は、コーン・ビーム計算機式断層写真法(CT)を用いて収集されるデータからの画像の再構成のためのアルゴリズムを提供する。これらのアルゴリズムは、Z方向でのデータの打ち切り、データ冗長性の重み付けを誤ったため正しく取り扱われていないデータ、及び/又は欠落周波数データの1又は複数に帰属可能なアーティファクトに対処する。かかるアプローチの一例では、アルゴリズムは、180°ビュー範囲からの初期データ集合から画像を再構成することの等価処理を行なう。画像は、45°範囲から周波数を選択するようにフィルタ処理され得る。ビュー範囲を45°ずつ移動させることができ、4個の部分再構成が取得されるまでこれらのステップを繰り返す。この工程を繰り返して、第一の4個の再構成に対して相補的な4個の付加的な再構成を生成することができ、二つのビュー範囲の合体が全360°ビュー範囲となるようにする。実際には、この工程又は等価工程は、再構成空間及び/又は後処理空間の一方又は両方においてフィルタ処理ステップを用いて計算効率のよい態様で達成され得る。加えて、計算に関しては、この工程又は等価工程は、全走査再構成及び共役不一致又は差容積のように中間部分再構成と同じ結果を生ずる論理的構成体を用いて達成され得る。
本書に開示されるアプローチは、一定範囲の断層写真法再構成システムと共に用いるのに適する場合がある。説明を分かり易くするために、本開示は主に、本発明の再構成アプローチをCTシステムの状況で議論する。しかしながら、以下の議論はまた、他の断層写真法再構成システムにも適用可能であり得ることを理解されたい。
このことを念頭に置いて、患者(又は他の着目被検体若しくは着目物体)の周りの多様なビューにおいてX線減弱データを取得するように設計されており、断層写真法再構成に適した計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム10の一例を図1に掲げる。図1に示す実施形態では、イメージング・システム10は、コリメータ14に隣接して配置されているX線放射線源12を含んでいる。X線源12は、X線管、分散型X線源(固体X線源若しくは熱イオンX線源等)、又は医用画像若しくは他の画像の取得に適した他の任意のX線放射線源であってよい。
コリメータ14は、患者18が配置されている領域にX線16を通過させる。図示の例では、X線16は円錐形のビームすなわちコーン・ビームになるようにコリメートされて、このビームが被撮像容積を通過する。X線放射線の一部20が患者18(若しくは他の着目被検体)を又は周囲を通過して、参照番号22に全体的に表わされている検出器アレイに入射する。アレイの検出器素子は、入射X線20の強度を表わす電気信号を発生する。これらの信号を取得し処理して、患者18の体内の特徴の画像を再構成する。
線源12はシステム制御器24によって制御され、制御器24はCT検査系列のための電力及び制御信号の両方を供給する。図示の実施形態では、システム制御器24は、当該システム制御器24の一構成要素であり得るX線制御器26を介して線源12を制御する。かかる実施形態では、X線制御器26は、電力及びタイミング信号をX線源12に供給するように構成され得る。
また、検出器22もシステム制御器24に結合され、制御器24は検出器22において発生される信号の取得を制御する。図示の実施形態では、システム制御器24は、検出器によって発生される信号をデータ取得システム28を用いて取得する。データ取得システム28は、検出器22の読み出し電子回路によって収集されるデータを受け取る。データ取得システム28は標本採集されたアナログ信号を検出器22から受け取り、このデータをディジタル信号へ変換して、以下で議論されるプロセッサ30による後の処理に供することができる。代替的には、他の実施形態では、検出器22自体に設けられている回路によってディジタルからアナログへの変換を行なうことができる。システム制御器24はまた、ダイナミック・レンジの初期調節及びディジタル画像データのインタリーブ処理等のような取得画像信号に関する様々な信号処理作用及びフィルタ処理作用を実行することができる。
図1に示す実施形態では、システム制御器24は回転サブシステム32及び線形配置サブシステム34に結合されている。回転サブシステム32は、X線源12、コリメータ14及び検出器22が、主に患者を中心としたxy平面において回転する等のように患者18の周りで1回又は多数回にわたり回転することを可能にする。尚、回転サブシステム32は、それぞれのX線放出構成要素及びX線検出構成要素が配設されているガントリを含み得ることを特記しておく。このように、かかる実施形態では、システム制御器24を用いてガントリを動作させることができる。
線形配置サブシステム34は、患者18又はさらに明確に述べると患者を支持したテーブルを、ガントリの回転に対してZ方向等にCTシステム10の中孔の内部で変位させることを可能にし得る。このように、テーブルをガントリの内部で線形移動させることができ(連続的態様又は段階的態様で)患者18の特定の区域の画像を形成することができる。図示の実施形態では、システム制御器24は、モータ制御器36を介して回転サブシステム32及び/又は線形配置サブシステム34の移動を制御する。
一般的には、システム制御器24は、検査プロトコルを実行して取得データを処理するようにイメージング・システム10の動作を命令する(上述の線源12、検出器22、及び配置システムの動作等を介して)。例えば、システム制御器24は上述の各システム及び各制御器を介して、X線減弱データを被検体に対して多様なビューにおいて得ることができるように線源12及び検出器22を支持したガントリを着目被検体の周りに回転させることができる。ここでの状況では、システム制御器24はまた、信号処理回路と、コンピュータによって実行されるプログラム及びルーチン(本書に記載される画像処理手法を実行するルーチン等)、並びに構成パラメータ及び画像データ等を記憶する付設されるメモリ回路とを含み得る。
図示の実施形態では、システム制御器24によって取得されて処理される画像信号は、画像の再構成のために処理構成要素30に供給される。処理構成要素30は、1又は複数の従来のマイクロプロセッサであってよい。データ取得システム28によって収集されるデータは、直接又はメモリ38での記憶の後に処理構成要素30に伝送され得る。データを記憶するのに適した任意の形式のメモリが、かかる例示的なシステム10によって用いられ得る。例えば、メモリ38は、1又は複数の光学式、磁気式、及び/又は固体メモリ記憶構造を含み得る。また、メモリ38は、取得システム現場に位置していてもよいし、画像再構成のためのデータ、処理パラメータ、及び/又はルーチンを記憶する遠隔記憶装置を含んでいてもよく、このことについては後述する。
処理構成要素30は、典型的にはキーボード及び/又は他の入力装置を装備した操作者ワークステーション40を介して操作者から命令及び走査パラメータを受け取るように構成され得る。操作者が、操作者ワークステーション40を介してシステム10を制御することができる。このように、操作者は、操作者ワークステーション40を用いて再構成画像を観察し、且つ/又は他の場合にはシステム10を動作させることができる。例えば、操作者ワークステーション40に結合されている表示器42を用いて再構成画像を観察したり撮像を制御したりすることができる。加えて、操作者ワークステーション40に結合され得るプリンタ44によって画像を印刷することができる。
さらに、処理構成要素30及び操作者ワークステーション40を、標準型又は特殊目的のコンピュータ・モニタ及び付設の処理回路を含み得る他の出力装置に結合することができる。さらに、システム・パラメータの出力、検査依頼、及び画像観察等を行なうために1又は複数の操作者ワークステーション40がシステムに結合されていてよい。一般的には、システムの内部に提供されている表示器、プリンタ、ワークステーション、及び類似の装置は、データ取得構成要素に対してローカルに位置していてもよいし、これらの構成要素から遠隔に位置していてもよく、インターネット及び仮想私設網等のような1又は複数の構成自在型網を介して画像取得システムに結合されて施設若しくは病院の内部の他の箇所、又は全く異なる位置等に位置していてよい。
さらに、操作者ワークステーション40はまた、画像保管及び通信システム(PACS)46に結合され得ることを特記しておく。次いで、異なる位置にいる他者が処理前又は処理済みの画像データに接触し得るように、PACS46を遠隔クライアント48、放射線科情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)、又は構内網若しくは外部網に結合してもよい。
以上の議論ではイメージング・システム10の様々な例示的な構成要素を別々に扱ったが、これらの様々な構成要素が共通の一つのプラットフォームの内部又は相互接続された複数のプラットフォームに設けられていてもよい。例えば、処理構成要素30、メモリ38、及び操作者ワークステーション40が、本開示の各観点に従って動作するように構成されている汎用又は特殊目的のコンピュータ又はワークステーションとしてまとめて設けられていてもよい。かかる実施形態では、汎用又は特殊目的コンピュータはシステム10のデータ取得構成要素に関して別個の構成要素として設けられていてもよいし、かかる構成要素を備えた共通のプラットフォームに設けられていてもよい。同様に、システム制御器24は、かかるコンピュータ又はワークステーションの一部として設けられていてもよいし、画像取得専用の別個のシステムとして設けられていてもよい。
上述のように、図示のCTイメージング・システム10のようなイメージング・システムによって取得されるデータからの画像の再構成は、形成される画像にアーティファクト又は他の不完全性を生じ得る様々な制限を受ける場合がある。例えば、幾つかの取得シナリオでは、取得されるデータがZ方向において打ち切られる場合がある。具体的には、アキシャル(すなわち円形)コーン・ビーム取得では、画像容積のボクセルの幾つかは、アキシャル回転の間にわたり常にX線ビーム内に位置する(中間面すなわちX線焦点スポットが移動する平面の近傍のボクセル等)が、他のボクセルは、アキシャル回転の間にわたりビューの幾つかでは照射されるが他のビューでは照射されない。例えば、X線源12に相対的に近接したX線錐(コーン)の部分は狭い(すなわち線源からの距離が増すにつれて錐は拡張し又は発散する)ため、X線源12の近傍では狭い区画のボクセルが照射され得るが、線源から最遠に位置するボクセルは錐の広い底面の近くに位置しているため完全に又は殆ど照射される。しかしながら、X線源が容積の周りをアキシャル回転するのに伴って、X線源12の近傍の容積の部分及びX線源12から離隔した容積の部分もまた回転し、結果として、一つのボクセルが受けるX線照射の範囲は、焦点スポット回転の中間面からのボクセルの距離と共に単調減少し得る。結果として、アキシャル・スキャンにおいては、Z方向のX線錐の端辺に関して利用可能なデータが、Z方向の錐の中間面のより近傍のボクセルについてのデータよりも少なくなる。このZ方向でのデータ打ち切りのため、アキシャル・スキャンの間に検出器に常に投影される容積の部分の外部では良質な画像の再構成を阻む場合がある。
正しく取り扱われていないデータの場合については、任意の所与のボクセルが、所与のコーン・ビーム・アキシャル・スキャンの何らかの角度ビュー範囲について線源及び検出器によって捉えられる。しかしながら、幾つかのラドン方向又はラドン周波数は、かかる走査において2回測定される。再構成はこの冗長性を正しく考慮すべきであり、さもないとアーティファクトが生じ得る。単純なサイノグラム領域重み付けは必ずしもこの目標に正確に合致せず、従ってさらに進化したフィルタ処理手法が有用であり得る。幾つかの例では、本書に記載しているような正しく取り扱われていないデータのため、再構成画像にコーン・ビーム・アーティファクトが生じ得る。
加えて、コーン・ビームアキシャル・スキャンが用いられる幾つかの例では、幾分かの周波数情報が所与のボクセルについて欠落し得る。例えば、円形(すなわちアキシャル)走査によって生成される360°領域の内部であっても、幾つかの欠落周波数が、特にZ方向に沿って生じ得る。欠落周波数の量は、中間面(X線焦点スポットが移動する平面)からの距離と共に増大する。
以下で議論されるアプローチの幾つかの観点を導入することにより、周波数解析の簡単な議論を掲げる。例えば、図2〜図5に移り、本発明のアプローチを理解するのに有用であり得ると判明した周波数解析の各観点について議論する。具体的には、コーン・ビーム断層写真法では、各々の測定(及びフィルタ処理済み)射線が、当該射線に直交する大円(又はフーリエの場合には円板)における3Dラドン(又はフーリエ)情報(以下周波数情報と呼ぶ)に寄与する。特定のボクセルにおいて正確な再構成を得るために、周波数球面を一様にカバーする周波数寄与を有するフィルタ処理済み射線を蓄積する。1本の射線のコーン角がゼロである場合に、周波数空間において対応する大円はz(周波数)方向に平行である。線源軌跡の平面(走査面)に位置する点がこのような例に相当する。従って、走査面の特定のボクセルにおいて正確な再構成を得るためには、当該ボクセルに対して相対的な又は当該ボクセルによって捉えられる180°範囲にわたり当該ボクセルを通過するフィルタ処理済み射線を蓄積すべきである。このことは、図2に示すように、図示の鉛直(zに平行な)円80が、180°回転されるのに伴って全球面殻82を掃引することを認めることにより理解され得る。
走査面の外部に位置する点については、大円80をコーン角分だけz軸から傾斜させる。かかるデータが180°範囲にわたり用いられる場合には、結果は図3及び図4に示すように現われる。図4では、見易くするために各々の大円の二つの二半部によって掃引される領域を異なる網掛けパターン(第一の網掛けパターン88及び第二の網掛けパターン90)によって示す。二回カバーされる球面の領域(混合網掛けパターン92)と、全くカバーされないもう一つの領域(欠落周波数情報94)とが存在している。
この状態が180°だけでなく360°にわたり継続した場合には、結果は図5に示すように現われる。図5に示すように、全ての周波数が2回測定される(混合網掛けパターン92によって示す)が、単位球面の頂上の空白によって示すように全く測定されない周波数が存在する(欠落周波数情報94)。全アキシャル・スキャンの利用に関連する時間分解能問題(すなわちアキシャル・ハーフ・スキャンを得るのに必要とされる時間長に比較して全アキシャル・スキャンを得るのに必要とされる時間の方が長いことによる)を蒙ることなく、全走査が与える一様な周波数データ・カバー範囲(図5に示すようなもの)を有することが望ましい場合がある。
以上を念頭に置いて、図6は、周波数空間に対する単一のビューの寄与を示す。この寄与を円80として示す。図7は、全45°の区画(セグメント)100のビュー(ここでは第一の区画V1として表わす)を示しており、区画V1は第一のビュー範囲102に対応している。図6の円80が一つのビューに対応するフーリエ・データを表わしているのと同様に、図7の45°区画100は45°に対応するフーリエ・データを表わしている。図8に示すような区画100の4個(V1、V2、V3、V4)の結合から180°分のデータが得られ、対応する第二、第三の第四のビュー範囲104、106、108はそれぞれの45°区画100V2、V3、及びV4に対応している。
図示の例では、着目点は走査面(例えば中間面)の外部に位置しており、成分円がコーン角だけz軸から傾斜して、重なり領域92(すなわち2回カバーされる領域)と、周波数情報が欠落している領域94とを生じている。説明を分かり易くするために、様々なセクタ(セクタ)112、114、116、118、120、124、126、128を図8に示す。セクタ118及び128は、それぞれ重なり領域92及び欠落周波数データ(領域94)によって、他のセクタに比較して不釣り合いに毀損されている。4個の他のセクタ112、116、120、及び126は、重なり領域92及び欠落周波数データ(領域94)によって、セクタ118及び128に比較して平均的に毀損されている。残り二つのセクタ114及び124は、周波数に関して相対的に一様にカバーされており、アキシャル全走査状況であってもやはり全体的に欠落するであろう周波数データのみが欠落している。
本実施形態の各観点によれば、各々の45°区画100が再構成されて、これにより各セクタにおける欠落したデータ又は冗長性を補正することが可能になる。本発明のアルゴリズムの一実施形態では、アルゴリズムは、図9に示すように、二つの相対的に完全で且つ一様なセクタ(すなわちセクタ114及び124)からの情報を保存し、残りのデータを破棄する。次いで、図10に示すように、画像データの一つの部分を除去して隣接する区画からの他の部分を加えることにより走査範囲を45°等で回転させることができる。例えば、図示の例では、V4に関連付けられるデータがV8によって置き換えられており、以前のセクタ112及び120に対応する新たなセクタ130及び132を生じている。
例えばこの例では、V1、V2、V3、及びV8に関連付けられるデータを逆投影し、このステップについてはセクタ130、132以外のセクタをフィルタ除去し又は他の場合には破棄する。次いで、この手順をさらに2回繰り返して、8個全ての周波数セクタへの寄与を得ることができ、すなわちセクタ116、118、126、及び128に対応するもう一つの4個の置き換えセクタを生成することができる。初期セクタ114及び124(相対的に完全で且つ一様であったもの)を生成されるセクタ130、132、134、136、138、140と組み合わせることにより、図11に示すように問題の点について相対的に完全な周波数情報を生ずる。図11では、各々のビュー部分に異なる網掛けパターンが割り当てられており、各々の部分が寄与する周波数をそれぞれの網掛けパターンによって示している。この例では、ビュー部分150は完全に利用されているが、両端のビュー部分152及び154は極く僅かしか寄与していない。一実施形態では、周波数カバー範囲は全体的に一様であるばかりでなく、一つの寄与を有するあらゆる周波数において、選択される方の寄与(利用可能な二つのうち)は特定のビューに最も近接したビューに由来するものとし、この特定のビューを中心ビューと呼び、この中心ビューは心走査ではEKG信号によって決定される相対的に静穏な物体運動の時間区間の中心において取得されるビューに対応する。反対に、中間面は通常、円形線源経路を含む平面である。心撮像の実施形態では、中心ビューは、コーナー(隅角)領域の容積の部分については最小のコーン角を有するビューとなるようにシフトされる。この場合には、共役射線よりも中間面に近接した射線を与えるビューが選択される。すなわち、コーナーでは中間面に最も近接したビューを用い、データが完全であるような領域では中心ビューに最も近接したビューを用いることができる。
図11に示すように、上述のアプローチは、近一様な周波数空間カバー範囲を生じ、非一様性は、図11の周波数空間表現の中心領域の拡大図を示す図12に示すように、欠落した錐の近傍でのみ生じている。この例では、文字A、B及びCは各々の領域に対する寄与の数を示す。この数は、欠落したデータ錐(寄与がゼロである(文字Bによって示す))及び欠落したデータ領域94を包囲する16個の小領域156以外では、常に1である(文字Aによって示す)。16個の領域は各々ゼロ又は2(文字Cによって示す)の寄与を有する。認められるように、ビュー部分の数(図11に示すようにここでは8個)によって小領域156の数及び大きさが決まる。しかしながら、本発明のアルゴリズムは、所望に応じてさらにこれらの小領域156を縮小するために、8個よりも多いビュー部分によって適用されてもよい。
以上を念頭に置いてまとめると、一具現化形態では、8個のデータ・セクタ(又は10、12、16及び20等のような他の何らかの数のセクタ)が逆投影される。何れの画像ボクセルを考察しているかを問わず各々の区画が45°分のフーリエ(すなわち周波数)情報を寄与する(又は他の何らかの範囲すなわち区画当たり20個の18°セクタを寄与する等)ように、このデータを再編成(リビニング)した後に分割する。認められるように、コーン角(従って様々な大円とz軸との間の傾斜量)は、考察されているボクセルが(x,y)においてFOVの中心から離隔しているときには常に、ビュー角度と共に変化する。
かかる一具現化形態の一例を図13の流れ図200に示す。かかる一具現化形態では、アキシャル・ハーフ・スキャン(又は全走査未満の走査)データの初期集合202が180°ビュー範囲から先ず再構成されて(ブロック204)、画像206を形成するアルゴリズムを用いることができる。画像206をフィルタ処理して(ブロック210)、45°範囲からの周波数のみを選択し、これにより部分再構成212を生成する。一実施形態では、この工程を、各々の回でビュー範囲を45°ずつ移動させて4回等のように所定の回数繰り返す(ビュー範囲を移動させて)。かかる実施形態では、各ステップが所定の回数実行されたらブロック214において判定を行ない、この態様で生成される部分再構成を組み合わせて(ブロック216)、一様で且つ完全な周波数データを有するデータ集合を生成することができる。所定の回数の繰り返しが行なわれていない場合には、ビュー範囲を45°等のように移動させて(ブロック218)、次の画像206を再構成する。
一具現化形態では、工程200をさらに1サイクル、例えばこの例ではさらに4回繰り返してもよい。認められるように、この例では、同じフィルタを用いた部分再構成を対にする場合に、第一の部分再構成224を第五の部分再構成226と対にし、第二の部分再構成228を第六の部分再構成230と対にし、第三の部分再構成232を第七の部分再構成234と対にし、第四の部分再構成236を第八の部分再構成238と対にする。これらの部分再構成対の各々について180°ビュー範囲は相補的である(すなわち径方向に対向している)。結果として、二つのビュー範囲の合体が全360°のビュー範囲となる。再構成及びフィルタ処理は線形演算であるので、選択された1対の部分再構成に対応するフィルタを全走査再構成に適用することにより、このフィルタを二つの180°再構成に適用した後に合算した場合と同じ結果を得ることができる。さらに、あらゆる周波数について4個のフィルタが一つに合算されるので、8個全ての部分再構成の正味の結果は全走査再構成に等しくなる。
このことを念頭に置くと、(1)全走査再構成から、すなわち同義には上述の部分再構成の8個から、各々の周波数に対して二つの寄与が存在すること、及び(2)4個の部分再構成は、殆どあらゆる周波数において所与のビュー角度に相対的に近いビューからの寄与を選択する結果を与えることが認められよう。このことを念頭に置くと、第五〜第八の部分再構成226、230、234、238は、殆どあらゆる周波数において所与のビュー角度から相対的に遠いビューからの寄与のみを保存している。また、選択されるビューから相対的に遠いビューを選択することは、異なるビュー、明確に述べると選択されるビューから180°離隔したビューに相対的に近いビューを選択することと等価である。
以上を念頭に置いて、本発明のアルゴリズムの一具現化形態は二つの別個の中間容積250、252を生成し、それぞれの再構成を図14の周波数空間に示す。第一の中間容積250は最初の4個の部分再構成224、228、232、236の結果であり、第二の中間容積252は最後の4個の部分再構成226、230、234、238の結果である。網掛けパターンによって認められるように、一つの再構成に最も寄与するビュー範囲は、他の再構成には、寄与したとしても極く僅かしか寄与しない。実際に、二つの相補的再構成250、252では、何れの点(周波数)も同じビュー範囲によって充填されることはない。二つの再構成250、252は、全走査の二つの相対向する180°ビュー範囲のデータから主に構成されている。図の矢印256は各々の特定の再構成250、252について用いられるビュー区間の中心を示す。
特に関心のあることとして、二つの中間再構成250、252は、図15に示すような周波数空間におけるフィルタ処理を介して(フィルタ272及び相補的フィルタ274等を介して)共に混合されて、任意の(例えば利用者選択の)180°ビュー範囲から主に構成される複合再構成276を生成することができる。かかる一例では、各々の中間再構成250、252の90°セクタを結合して、中間再構成250、252に対応する各中心ビューの中間に厳密に位置した中心ビューを有する180°範囲からのデータを主に用いる複合再構成276を生成することができる。特記すべきこととして、複合再構成276の中央の区画280は、中間再構成250、252の中心ビュー282、284に対応する周波数に対応するそれぞれのビュー部分から90°オフセットしたビュー部分の周波数に対応する。
図16及び図17に示す他の例では、複合再構成276の中心ビューを他の範囲に移動させることができる。例えば、図16に示す具現化形態では、複合再構成276の中心ビューは、二つの中間再構成250、252の第一のものに対して45°移動している。認められるように、このオフセットは増分が45°である必要はない。例えば、図17は、複合再構成276の中心ビューが第一の中間再構成250に対して22.5°移動した具現化形態を示している。周波数空間の外観は前の例と異なっているが結果は同じであって、選択される中心ビューに最も近接した周波数寄与が選択されている。
以上の例及び議論から認められるように、単一の1対の中間再構成250、252から各々異なる心臓相の多様な再構成を効率よく生成することができる。従って、心運動の時系列を後処理ステップとして効率よく生成することができる。単一よりも多い回転分のデータが取得されたとしても、各々の180°ビュー範囲毎に一つの中間再構成を生成することができ、任意の心臓相を表わす画像(取得窓の範囲内に十分に収まっている)を形成することができる。
以上の議論は本発明のアルゴリズムの実施形態による周波数解析に関するものであるが、以下ではかかるアルゴリズムの時間的な特性について議論する。例えば、図18に移り、本発明のアルゴリズムによる再構成が、画像データの取得に関連するビュー範囲の系列302、304、306、308、310、312、314、316と共に図示されている。認められるように、一つの周波数が取得される時刻は破線320に沿った部分以外では周波数の関数として連続である。不連続性の大きさは、破線320に沿って移動するのに伴って変化する。第一の矢印322では、不連続性の大きさはゼロである。この大きさは、破線320に沿って右下へ向けて移動するのに伴って第二の矢印324に達するまで増加し、この第二の矢印324の点では不連続性は線源が180°だけ回転するのに掛かる時間に等しい。不連続性は、第二の矢印324及び第三の矢印326では同じ大きさを有しているが、破線320に沿って第三の矢印326から離隔するにつれてさらに増大する。不連続性の大きさは第四の矢印328において最大値に達し、この点では線源が360°回転するのに掛かる時間に等しい。すなわち、走査が開始したばかりのときに取得される第四の矢印328の先端の近傍の周波数と、走査が終了する間際に取得される近傍の他の周波数とが存在している(極く小さい集合を形成しているに過ぎないが)。
破線320に沿った不連続性は、撮像されている物体がデータ取得工程時に運動していると縞アーティファクトを招き得る。この問題に対処するために、本発明のアルゴリズムに従って、相(例えば心臓相)を各々僅かにオフセットさせて多数の異なる再構成を実行して、多数の再構成を共に平均することができる。フーリエ変換の線形性、及び各々の相が中間再構成250、252のフーリエ混合を通じて形成され得るという上で為された観察の結果として、適当に平滑化されたフーリエ・マスクを用いることにより、鋭い移行を有するものと同じように容易に滑らかな移行領域による再構成を生成することができる。
以上の議論は、360°分のデータが利用可能であるような具現化形態に関する。しかしながら、360°分のコーン・ビーム・データが取得されても、再構成容積の幾つかの部分は完全ビュー集合として測定されない(検出器に投影されない)場合があることを認められたい。すなわち、再構成容積の幾分かの部分は全てのビューにおいて測定されるが、再構成容積の残りの部分は全てのビューで測定される訳ではない。
全てのビューでは測定されないような再構成容積の部分に関して、これらの領域では、補外されたデータを用いて周波数空間の幾つかの領域を充填する。この結果、中間再構成250、252がアーティファクトを含み得る。異なるビュー範囲では容積の異なる部分が検出器に投影されるので、アーティファクトの周波数内容は空間的に変化する。実際に、二つの中間再構成の各々において、打ち切りアーティファクトによって殆ど影響を受けない各々のアキシャル画像の何らかのセクタ(中心ビューに対向する)がコーナー領域に存在する。上で議論したフーリエ混合を適用することにより、この極角を任意の方向に変化させることができる。
この観察を本発明のアルゴリズムの一部として用いて打ち切りアーティファクトを軽減することができる。例えば、かかる一実施形態では、全てのビューでは測定されない再構成容積の部分を分割して多数のセクタにする。各々のセクタにおいて、前述のようなフーリエ混合を適用して、選択されるセクタに対向するビューを中心としたハーフ・スキャンから大部分成っている画像を形成することができる。この結果、着目セクタに最小限のアーティファクトを有する画像が得られる。次いで、各々の得られる画像の最小限のアーティファクトのセクタを結合することができる。
実際には、セクタを重ね合わせると有用である場合があり、重なり合ったセクタを共に配合するように重み付けマスクを画定することができる。利用可能なデータの量は、全てのビューにおいて測定される領域から最も遠い画像位置において最小であるので、辺縁では全く又は殆ど重なり合わず、中心の実質的に近くで重なり合うセクタ・マスクを用いることができる。これにより、画像においてz打ち切りの効果を軽減しつつ利用可能なデータの完全利用を可能にする。かかる一具現化形態では、36個のセクタを対応するセクタ・マスク340と共に用いることができる。かかるセクタ・マスク340の五つの実例(36個のセクタの具現化形態ではセクタ1、2、3、15及び36に対応している)を図19に示しており、端辺の近傍では重なりが全体的に欠如しているが中心の近傍では重なっていることを示す。一実施形態では、偶数個数のセクタを用いることができ、各々の対において一方のマスクを他方のマスクから減算することにより画像マスクの対向対を結合することにより計算時間を2分の1に短縮することができる。
フーリエ混合ステップにおいて用いられるフーリエ・マスクは、ある程度の平滑化を用いることができる。両形態の平滑化が用いられる具現化形態では、二つの平滑化演算の結合によって、画像の各々のボクセルについて適当なビュー重み付け関数を実効的に提供することができる。
鋭いフーリエ混合マスクの場合であっても、データ寄与はハーフ・スキャンに完全に限定される訳ではない。実際に、補外されたものを含めてあらゆるビューからの幾分かの小さい寄与が存在する。本発明のアルゴリズムと共に用いられ得る一つのアプローチは、データを補外しないものである。補外を行なわない例では、明らかに補外されたデータからの寄与は存在しないが、僅かに大きい欠落データ領域が存在する場合があり、欠落周波数は平面内方向では低周波数である。このように、このトレード・オフを蒙ってよいかの判断に依存して、本発明のアルゴリズムと組み合わせてデータ補外を行なってもよいし行なわなくてもよい。実際には、225°分の平行データが利用可能であるときに(例えば8個の45°区画のうち5個)、データ補外に帰属され得るアーティファクトは許容可能であって、本発明のアルゴリズムと共に補外を実行することができる。反対に、無補外のデータが190°未満となるときには、アーティファクトが十分に激しく、データ補外を行なわない(少なくとも幾つかのビューについては)方が順当である場合がある。
以上では、二つの中間再構成250、252の形成は、二組の4個の別個の180°再構成集合(又は他の何らかの数及び範囲の再構成)を行なうことに続いて、8個の再構成の各々に対してフーリエ・マスクを適用した後に各々の4個の集合を結合して単一の画像にすることに帰属されていた。かかる具現化形態は本発明のアルゴリズムを説明してアルゴリズムを導く手段として有用であるが、他の実施形態では、本発明の再構成アルゴリズムを異なるように具現化して、さらに効率のよい成果を達成することもできる。
例えば、図20に移り、本発明の再構成アルゴリズムを概念化して具現化する代替的な方法について説明する。この例では、各々の破線の箱360は、異なるフィルタによってフィルタ処理される再構成区画を画定している。例えば、A/Eフィルタが、ビュー部分V8、V1、V2、及びV3を逆投影することにより得られる再構成に適用される。次いで、ビュー部分V1〜V4を逆投影して、得られる再構成にB/Fフィルタを適用する等を行なうことができる。ビュー部分逆投影362の総数は16であり、他の中間再構成を形成するのに必要とされるもう一組の16個が存在する。この工程は、各々のビュー部分を1回のみ逆投影することにより単純化され得る。逆投影は線形であるので、同じ結果を得るためには、画像領域において8個の得られる容積を結合した後にフィルタ処理することができる。これにより、4個分だけ逆投影負荷が軽減される。
また、代替的な最適化が線形性に基づいて行なわれるが、この場合にはフィルタ処理の線形性である。図20の結合を図21に示すように編成し直して(破線の箱368によって示す)、ビュー部分再構成を結合する必要性を回避することができる。代わりに、各々のビュー部分再構成は単一のフィルタによってフィルタ処理される。例えば、V1容積は、A/Eフィルタ及びB/Fフィルタの和であるフィルタによってフィルタ処理され得る。相補的フィルタが各々のビュー部分再構成に適用される場合には、他の中間再構成が生成される。さらに、一つのビュー部分に適用されるフィルタは、対向ビュー部分(180°離隔した部分)に適用されるフィルタに対して常に相補的である。認められるように、相補的フィルタは、元のフィルタと加算されると全ての周波数について1の値を加えるフィルタである。従って、フィルタが1である場合に、相補分は0であり以下同様である。このことはさらなる最適化を示唆しており、すなわち対向対においてビュー部分を減算してフィルタ処理を減少させることができる。また、全走査の二つの異なる二半部を表わす中間再構成250、252を記憶する代わりに、全走査を表わすもの及び全走査の二つの二半部の差すなわち差分を表わすものを記憶することができる。
これらの例を念頭に置いて、本発明のアルゴリズムの一つの適当な具現化形態を図22に示す。この例では、8個の初期容積380が再構成され、各々が一つの45°ビュー部分を逆投影することに基づいている。8個全ての初期容積の和(ブロック382)が一つの中間再構成384(すなわち全走査再構成)として記憶される。各々のビュー部分がフィルタ処理の前に共役部分から減算される(ブロック386)。フィルタ処理は、各々のスライスの2D高速フーリエ変換(FFT)の後の乗算(ブロック388)によって行なわれる。対の一つはフィルタ処理を要求しないが、それでもFFTを行なってよい。これら4個の2Dフーリエ領域容積を加算して(ブロック390)、第二の中間容積392として記憶する。ここが再構成部分の終わりである。
8個のビューの部分再構成380のフィルタ処理は、KAB、KABC、及びKBCDと示されている二値マスク388に基づく。これらのマスク388は、保存されている周波数セクタに基づく。例えば、KABはAセクタ及びBセクタ(共役セクタE及びFを含む)において1であるマスクであり、他の全てのセクタ(C、D、G及びH)では0である。一具現化形態では、適用されるフィルタは実際には(2*K−1)であって、0である領域が−1によって置き換えられるようなものである。このことは、全走査の二つの二半部である中間再構成250、252から全走査及び二つの二半部の間の差である中間再構成250、252への切り換えの結果である。
後処理において、全走査再構成を、第二の容積392をフィルタ処理することにより生成される時間窓容積396に加算する(ブロック394)。中心ビューは、全てのビューでは測定されない再構成容積の部分に移動しているので、この時間窓容積396は、図19に関して上で議論されたそれぞれのセクタ・マスクを用いて、N個のフィルタ処理済み形態の第二の容積392を画像領域において混合することにより構築され得る。
ここで議論されている実施形態の時間窓関数において、適用されるもう一つのフーリエ・マスクが存在する(ブロック400)。このマスクをmkと示し、極空間周波数座標において定義する(極角が範囲[0,π)の範囲にあり、半径が符号付き距離である)。例えば、mk(t,R)は極角t及び半径Rでの第kの時間窓マスクの値である。幾つかの場合には、マスクは第二の変数(R)においては不変であるが、コーナー領域での雑音と分解能とのトレード・オフのための機構を可能にするように融通性を可能にする。関数mは一般的には以下のように定義される。fを正の関数として、
(1) mk=f(t−tk,R)
(2) f(t,R)+f(t+π,R)=1
(3) f(t,R)=f(t+2π,R)
(4) f(0,R)≧f(t,R)
式中、fはtが0からπへ移行しても増加しない。例えば、f(t,R)は台形関数であってよく、
(5) f(t,R)=f(t)=台形関数(π,s)
である。
一具現化形態では、用いられる関数は、ここでも中間再構成が全走査再構成及び共役不一致として具現化されるため(0.5−mk)である。図22の流れ図の各ステップの一具現化形態では、時間窓計算の数は、全てのビューにおいて測定される再構成容積の部分のみが再構成される場合には1まで減少し得る。また、時間分解能が問題となっていない場合には(例えば心臓以外の走査では)、時間窓処理を、全てのビューにおいて測定される再構成容積の部分については省いてもよい。但しこの場合にも、時間窓は、打ち切りアーティファクトの軽減のために適当なビュー範囲を選択するために、全てのビューでは測定されない再構成容積の部分には依然適用され得る。
本発明のアルゴリズムに施され得る付加的な単純化が存在する。上の例では、議論されたフィルタ処理(逆投影の後)は二つのステップにおいて行なわれていた。これらのステップの第一のものは、8個の初期ビュー部分再構成容積を二つの容積(すなわち中間再構成250、252)に変換するように行なわれている。第二のフィルタ処理ステップは、これら二つの再構成を単一の容積に組み合わせるように行なわれている。これらのフィルタの各々が、二つのより単純な関数の積に分解され得る。これらの関数の一方は何れの関数でも同じであり、値の全てが1又は−1の何れかであるので自身の反数である。結果的に、二つのフィルタ処理関数の各々をこの共通の自己反転関数によって除算することができる。
このことを図形的に図23に示しており、同図では、第一の枠420において、フィルタ処理関数A418(第一のフィルタ処理ステップ388からのもの)は、二つの符号関数428の積である(符号関数は、特定のベクトルとの内積が正であるときには1であり、このベクトルとの内積が負であるときには−1であるような関数である)。フィルタ処理関数B426は、符号関数428と、符号関数に類似しているがさらに滑らかな関数424との積である(第二の枠422に図形的に示す)。第三の枠430は、二つのフィルタ処理関数418、426の積432を示す。S1及びS2は同じ符号関数428であるので、この関数を両方のフィルタ処理関数A及びBから除去することができる。これにより、A′434及びB′436が得られ、これらの関数はA418及びB426よりも単純な関数である。これらの新たな関数(A′434及びB′436)(第四の枠438として示す)を乗算すると、A418及びB426を乗算したときと同じ結果432を得る。
この例は、画像セクタの一つについて8個のビュー部分の一つの例をカバーしているに過ぎない。しかしながら、ビュー部分の全てが、二つの符号関数の積に分解され得るフィルタによってフィルタ処理される。また、着目の符号関数は各々の例において同じである(ビュー部分数と共に変化する他方の符号関数である)。加えて、全てのセクタについてのフィルタも上述のように分解され得る。さらに、符号関数は常に同じである(セクタと共に変化する他方の関数である)。結果として、上の結果は、全ての画像セクタにおいて全てのビュー部分について成り立つ。
以上のことは、代替的な態様としても概念化され且つ/又は具現化され得る。例えば、上述のように、上述の定式化における二つの容積は、1)全走査に対する両方の寄与と、2)全走査に対する二つの寄与の間の差とによって寄与される周波数を表わす。この観察は、上の修正の後にも真である。しかしながら、変化しているのは、第二の容積を生成するために二つの寄与の何れを他方から減算すべきかを決定するための選択規準である。前の例では、特定の「中央」線源角度に相対的に近接していた線源角度に由来している寄与を、他の線源からの寄与(「中央」線源角度から離隔している方)から減算した。ここの例では、周波数空間のランプ・フィルタの右(又は左)側から由来する寄与を左(又は右)側から由来する寄与から減算する。
このことの一例を図24に示し、同図では、左側に中心ビュー角度454の近傍に基づいて分割された二つの寄与450、452が位置している。第一の寄与450の二半部を第二の寄与452の二半部と交換すると再構成456、458が得られる。この例は、ランプ・フィルタの側(左か右か)に基づいて分割された寄与を示す。これらの二つの寄与456、458の和460が全走査462である。二つの寄与456、458の差464はデルタ容積466であって、導関数逆投影(derivative back projection、DBP)容積に密接に関係しており、この場合には全走査の全体にわたり逆投影が行なわれる。二つの寄与456、458が同じである(すなわち運動又はz打ち切りが存在しない)場合には、雑音が存在し得る範囲以外ではデルタ容積はゼロとなる。
以上の具現化形態の一つの望ましい観点は、フィルタが単純であり、互いに打ち消し合う二つの符号関数の間に不整合のリスクが存在しないことである。また、対称角が最早存在しないので対称角を任意の特定の配向と合致させる心配はない(y軸から45°の増分に位置するビュー部分境界又は線のように)。ビュー部分境界は、心臓相を問わず自由に選択され得る。
本発明のアプローチはまた、多重セクタ再構成にも用いられ得る。例えば、全走査を超えた走査が取得されたときに、本発明のアルゴリズムのアプローチを用いて付加的な中間容積を再構成することができる。かかる例では、あらゆる180°分のデータ毎に一つの中間再構成が生成され得る。例えば、一実施形態では、データを走査の開始時及び終了時に正確に90°だけ充填することができる。開始(終了)時の各々の充填されるビューは、充填済みビューの後(又は前)の一回転に取得された実際のビューから複製される。次いで、合計ビュー範囲が180°の倍数となるまでこの同じ手順に従って付加的なビューを終了時に充填する。例えば、3.25回転分のデータが取得された場合には、先頭の90°及び末尾の180°が複写される。すると、合計ビュー範囲は4回転となる。この場合の中間リコン(再構成)の数は7となる。このことは、元のビュー範囲を2倍回転させて(回転当たり二つの180°区画が存在するから)、次いで切り上げたものとなる(ceil(3.25*2)=7)。
この充填するステップの後に、参照角を選択して、参照角に最も近接した2乃至3の中間リコンについてマスク関数(m)を構築する。例えば、図25に示す例では、二つの可能な参照角480が示されている。一例では、mを画定する台形関数が三つの近傍リコンまで延在しており、他の例では二つのみに達している。
多重セクタ再構成では、二つの可能な具現化形態を用いることができる。図26に示す一つの具現化形態では、工程を上で議論した多重アキシャル・アプローチの場合と同様に開始することができる。しかしながら、ハーフ・スキャンを全て心臓相/ビュー角度空間484にマッピングすることができる。続いて、各々のビュー角度について、正しい相に如何に近接しているかに基づいて様々な再構成を重み付けすることができる。
図27に示す第二の多重セクタ具現化形態では、各々の寄与を相オフセットに従って重み付けすることにより、単一の全走査データ集合を先ず全ての利用可能なデータから構築することができる。線量を考慮に入れてもよいが、線量はしばしば相オフセットに相関するのでこのことは必須ではない。次に、全走査再構成を前述のように処理して、所望の撮像容積を生成することができる。
本発明の技術的効果は、Z方向のデータの打ち切り、データ冗長性のため正しく取り扱われていないデータ、及び/又は欠落周波数データの1又は複数に帰属可能なアーティファクトに対処することを含む。一つの技術的効果は、幾分かの周波数情報を欠落させたデータから周波数空間において実質的に一様で且つ実質的に完全な再構成を生成することを含む。
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
10:計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム
12:X線放射線源
14:コリメータ
16:X線
18:患者
20:X線放射線の一部
22:検出器
24:システム制御器
26:X線制御器
28:データ取得システム
30:処理構成要素
32:回転サブシステム
34:線形配置サブシステム
36:モータ制御器
38:メモリ
40:操作者ワークステーション
42:表示器
44:プリンタ
46:PACS
48:遠隔クライアント
80:円
82:球面殻
88:第一の網掛けパターン
90:第二の網掛けパターン
92:重なり領域/混合網掛けパターン
94:欠落周波数情報
100:ビュー区画
102:第一のビュー範囲
104:第二のビュー範囲
106:第三のビュー範囲
108:第四のビュー範囲
112:第一のセクタ
114:第二のセクタ(一様)
116:第三のセクタ
118:第四のセクタ(毀損)
120:第五のセクタ
124:第六のセクタ(一様)
126:第七のセクタ
128:第八のセクタ(毀損)
130、132、134、136、138、140:生成されたセクタ
150、152、154:ビュー部分
156:小領域
200:流れ図
250:第一の中間容積
252:第二の中間容積
256:ビュー区間の中心
272:フィルタ
274:相補的フィルタ
276:複合再構成
280:中央の区画
282、284:中心ビュー
302、304、306、308、310、312、314、316:ビュー範囲
320:破線
322:第一の矢印(不連続性ゼロ)
324:第二の矢印
326:第三の矢印
328:第四の矢印(不連続性最大)
340:セクタ・マスク
360:破線の箱(異なるフィルタによってフィルタ処理された再構成区画)
362:ビュー部分逆投影
368:破線の箱
380:初期容積
382:初期容積の和
384:中間再構成
386:共役部分からビュー部分を減算する
388:乗算/二値マスク
390:フーリエ領域容積を加算する
392:第二の中間容積
394:全走査再構成を時間窓容積に加算する
396:時間窓容積
400:フーリエ・マスクを適用する
418:フィルタ処理関数A
420:第一の枠
422:第二の枠
424:滑らかな関数
426:フィルタ処理関数B
428:符号関数
430:第三の枠
432:フィルタ処理関数A及びBの積
434:A′
436:B′
438:第四の枠
450:第一の寄与
452:第二の寄与
454:中心ビュー角度
456:第一の再構成
458:第二の再構成
460:再構成の和
462:全走査
464:再構成の差
466:デルタ容積
480:参照角
484:ビュー角度空間

Claims (12)

  1. 予備的画像(206)を形成するために、全走査アキシャル投影データ集合の初期部分集合(202)を再構成するステップ(204)と、
    部分再構成(224)を生成するために、最も一様に重み付けされた周波数の部分集合を保存するように前記予備的画像(206)をフィルタ処理するステップ(210)と、
    一組の部分再構成集合(224、226、228、230)を生成するために、前記再構成するステップ(202)及び生成するステップをビュー範囲を移動させて(218)所定の回数繰り返すステップと、
    実質的に完全な周波数データを備えた中間容積(250)を生成するために、前記部分再構成集合(224、226、228、230)を結合するステップ(216)と
    を備えた画像データ処理の方法。
  2. 投影データの各々の初期部分集合(202)は、全走査に満たない走査にわたるアキシャル・スキャンのデータを含んでいる、請求項1に記載の方法。
  3. 投影データの各々の初期部分集合(202)は、180°ビュー範囲にわたり再構成される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記部分再構成(224、226、228、230)を生成するステップは、18°〜45°の範囲からの周波数のみを選択するように前記画像(206)をフィルタ処理することを含んでいる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記再構成するステップ(204)及び生成するステップは、相補的な部分再構成の対を生成するように角度をオフセットさせて繰り返される、請求項1に記載の方法。
  6. 相補的な部分再構成集合(232、234、236、238)を生成するために、前記再構成するステップ(204)及びフィルタ処理するステップ(210)をビュー範囲を移動させて所定の回数繰り返すことを含んでいる請求項1に記載の方法。
  7. 360°ビュー範囲の周波数データを生成するために、前記部分再構成集合(224、226、228、230)と前記相補的な部分再構成集合(232、234、236、238)とを結合することを含んでいる請求項6に記載の方法。
  8. 実質的に完全な周波数データを備えた相補的な中間容積(252)を生成するために、前記相補的な部分再構成集合(232、234、236、238)を結合することを含んでいる請求項6に記載の方法。
  9. 前記中間容積(250)及び前記相補的な中間容積(252)を組み合わせたものは全走査再構成に等価である、請求項8に記載の方法。
  10. 利用者選択の180°ビュー範囲から主に構成される1又は複数の複合再構成(276)を生成するために、フィルタ処理を介して前記中間容積(250)及び前記相補的な中間容積(252)を結合することを含んでいる請求項8に記載の方法。
  11. スキャナ軸に沿ったデータ打ち切りの影響を実質的に解消した容積を生成するために、画像領域において幾つもの複合再構成(276)を配合することをさらに含んでいる請求項10に記載の方法。
  12. 1又は複数のルーチンを記憶したメモリ(38)と、
    該メモリ(38)に記憶された前記1又は複数のルーチンを実行するように構成されている処理構成要素(30)と
    を備えた画像処理システムであって、前記1又は複数のルーチンは、前記処理構成要素(30)により実行されると、
    再構成されるべきあらゆるボクセル毎にあらゆる周波数方向毎に1対のビューを含む全走査アキシャル投影データ集合にアクセスし、
    各々のボクセル及び周波数方向に関連付けられる各々のビューの対毎に、特定のビューの近傍に相対的に近接したそれぞれのビューを選択して、各々のそれぞれのビューの対を、選択された前記それぞれのビューの方が前記対応する周波数方向において対応する再構成されたボクセルにおいて大きい寄与を有するように処理する、画像処理システム。
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